日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
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65 巻 , 4 号
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  • 野村 昌哉, 井上 善文, 桂 浩, 藤田 繁雄, 阪尾 淳, 横谷 仁彦, 文元 雄一, 吉川 幸伸, 宗田 滋夫
    2004 年 65 巻 4 号 p. 869-873
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    2001年7月から2003年11月までに, 8例のHER2陽性転移乳癌に対してtrastuzumabを投与した.年齢は50歳から66歳,平均55.1歳であった.組織型は硬癌6例,充実腺管癌2例で,ホルモンレセプターは陽性3例,陰性5例であった. Hercep testは3 (+) 6例, 2 (+) 2例(FISH陽性)であった. Trastuzumab投与回数は26回から103回,平均59回で, 7例に併用化学療法が施行された. CR 2例, PR 1例, long NC 3例, PD 2例で,奏効率は37.5%であった. grade 3の白血球減少症を3例に, infusion reactionを3例に,左室機能低下を1例に認めたが,有害事象による投与中止症例はなかった.
    HER2陽性転移乳癌に対するtrastuzumab療法は有効かつ安全で,第一選択の治療法になりうると考えられた.
  • 佐野 渉, 知久 毅, 田村 英彦, 橋場 隆裕, 田代 亜彦
    2004 年 65 巻 4 号 p. 874-877
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    切除不能食道癌に対し食道ステントを挿入しても経口摂取が改善しない症例があるため, 18症例に対して挿入前のperformance status (以下PS),挿入後の自覚症状や経口摂取量を検討.挿入前PSは, PS0が3例, PS1が7例, PS2が3例, PS3が2例, PS4が3例であった.挿入後の自覚症状の改善は14例に認めたが, 4例では改善しなかった.挿入前PS毎の挿入後の経口摂取量は, PS0が83±17%, PS1が94±6%, PS2が53±29%, PS3が15±5%, PS4が37±32%であった.改善しなかった症例は,挿入前PS2が1例, PS3が1例, PS4が2例(このPS3, 4の3例は癌による衰弱のためPSが低下)であった.ステント挿入の合併症は,出血を1例,脱落を3例,上室性頻拍を1例認めた.癌による衰弱でPSが不良な症例では充分な効果が得られない場合もあり,慎重な適応決定が必要である.
  • 土屋 誉, 生澤 史江, 林 啓一, 赤石 敏, 本多 博, 内藤 剛, 橋本 明彦, 杉山 慎一郎, 白石 振一郎, 工藤 大介, 高木 ...
    2004 年 65 巻 4 号 p. 878-886
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    幽門側胃切除(DG) (135例)および胃全摘(TG)症例(58例)に術後早期経腸栄養を行い,その効果について検討した.術中に挿入したENチューブより第1~7病日まで半消化態流動食(200~800ml)を投与した. 5日以上投与可能であったEN:完遂群はDG症例81.5%, TG症例69.0%であった.中止例のうち,腹部膨満感によるものはDG症例で12.1%, TG症例で8.1%であったが,下痢が原因で中止した症例はなかった. EN:完遂群, EN:中止群および経腸栄養導入前のTPN (完全静脈栄養)症例と比較すると, DG症例では術後の総リンパ球数,血清アルブミン値の低下からの回復, CRPの正常化がEN:完遂例でEN:中止群, TPN群に比して有意に早かった. DG, TG症例の術後の炎症性合併症の発生頻度は, EN:完遂群でEN:中止群, TPN群に比して有意に低かった.術後早期経腸栄養は,胃切除症例に安全に施行可能で,栄養および合併症発生の点からも有用性が明らかとなった.
  • 前田 壽哉, 浅沼 雄之, 橋詰 倫太郎, 高橋 直人, 山口 邦彦, 重田 博, 望月 篤, 田中 一郎
    2004 年 65 巻 4 号 p. 887-890
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    開腹術による大腸癌術後の早期経口摂取開始の可能性について検討を行った.対象は待機的に開腹術による手術を施行した大腸癌67例である.術後第1病日に胃管抜去,同日夕または第2病日朝より飲水を開始,第2病日夕より流動食,第3病日朝より3分粥,第4病日朝より5分粥,第5病日朝より全粥とした.結果は39例で予定通りに, 14例は胃管抜去が1日遅れたが以降順調に経口摂取が可能であり, 8割の症例で術後1週間での普通食摂取が可能であった.従来大腸癌術後の経口摂取開始時期については排ガス,排便を確認し,縫合不全がないことを確認してから始めるとされてきたが,開腹術における大腸癌術後においても早期経口摂取は可能であり,合併症などの安全面においても問題なく施行可能であると思われた.
  • 青柳 信嘉, 渡邊 稔, 飯塚 一郎
    2004 年 65 巻 4 号 p. 891-895
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    精神疾患合併の有無による肝切除術の周術期成績への影響を検討した. 1996年4月から2003年7月までの間に当科で施行された72例82回の肝切除術症例を対象とし,これらの精神疾患合併群11例13回と精神疾患非合併群61例69回に分け周術期成績(術式,手術時間,出血量,輸血,術後合併症,術後入院期間)を比較検討した.両群において年齢,性,肝機能,術式などの背景因子に有意差はなかった.術後の治療抵抗行動や身体抑制は精神疾患合併群に有意に多かったものの,術後身体的合併症の頻度や術後入院期間では有意差を認めなかった.精神疾患合併患者における肝切除は非合併患者と同等の安全性を有し,精神疾患の併存により肝切除術のリスクが高まることはないと考えられた.
  • 窪田 健司, 進藤 俊哉, 長阪 智, 小島 淳夫, 松本 雅彦, 飯野 弥
    2004 年 65 巻 4 号 p. 896-899
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    動注化学療法は一般的となり成績も良好となっているが,致死率の高い合併症もみられる.今回われわれは,動注用ポート感染に対して血行再建を先行した後にポートを摘除し救命できた1例を経験したので報告する.症例は60歳,男性,直腸癌術後肝転移に対して右総大腿動脈より肝動脈にカテーテルを挿入,ポートを右鼠径部に留置した.最近1年間は使用していなかったが,発熱および右鼠径部の発赤・疼痛などを認めるようになったため当科に紹介となった.ポート感染の診断で緊急手術を行った.左大伏在静脈を用いて感染巣を避けるルートで右外腸骨一浅大腿動脈バイパスを行い,創を閉鎖してから感染ポートを摘除した.総大腿動脈は2重結紮の後に切離し,さらに右外腸骨動脈をバイパスの中枢側吻合部末梢で結紮した.その後肝・脾膿瘍,肝動脈瘤を合併したが,保存的治療にて改善し術後40病日に退院となった.
  • 廣納 麻衣, 田中 克浩, 池田 雅彦, 中島 一毅, 紅林 淳一, 園尾 博司
    2004 年 65 巻 4 号 p. 900-903
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    乳房原発悪性リンパ腫は,乳房悪性腫瘍の0.04~0.5%,節外性悪性リンパ腫の約2.1%を占める稀な疾患である.なかでも,妊娠・授乳期に発症する報告は非常に少なく,またその多くはBurkitt lymphomaで通常頻度の高いdiffuse B-cell lymphomaの報告はほとんどない.今回われわれは,妊娠期に発症した乳房原発悪性リンパ腫1例を経験した.
    症例は30歳,女性,妊娠13週. 2002年1月左乳房腫瘤自覚.穿刺吸引細胞診class IV,悪性リンパ腫を疑われ当科紹介受診.摘出生検施行.病理検査結果diffuse large B-cell lymphoma. stage IE期.妊娠中絶後CHOP施行.妊娠期乳房原発悪性リンパ腫の稀な症例であった.
    乳房原発悪性リンパ腫は乳癌との鑑別が困難である.今回われわれは摘出生検後,化学療法を施行できたが,無駄な拡大手術を避け,適切な治療を選択することが必要であると思われた.
  • 東海林 安人, 成田 吉明, 樫村 暢一, 石塚 玲器, 成松 英明, 加藤 紘之
    2004 年 65 巻 4 号 p. 904-908
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    副甲状腺癌の縦隔転移により難治性の高Ca血症を呈した症例に対し,外科的切除を行い軽快しえた1例を経験した.患者は55歳,男性,主訴は全身倦怠感,口渇,多飲,多尿.副甲状腺腫瘍にて3回の手術歴があった.前医に十二指腸潰瘍穿孔で入院した際,高Ca血症を認め,さらに胸部CT検査で縦隔内に腫瘤を認めたため,縦隔内副甲状腺腫瘍が疑われ,手術目的に当院に紹介入院となった.血清Ca値が異常高値のため,術前に薬物療法を行うも正常化は得られなかった.縦隔内腫瘍に対し,胸骨縦切開による腫瘍摘出術を施行した.術後,血清Ca値は正常化して症状も軽快した.病理診断は副甲状腺癌の縦隔転移再発であった.高Ca血症は緊急を要する病態であり,再発症例や難治症例では異所性副甲状腺腫瘍も積極的に疑った局在診断が必要であり,また治療にあたっては腫瘍を遺残なく切除することが重要であると考えられた.
  • 安岡 康夫, 吉田 敦
    2004 年 65 巻 4 号 p. 909-914
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    患者は69歳,女性.上腹部痛を主訴に来院.諸検査にて上部消化管穿孔による汎発性腹膜炎と診断.開腹所見は十二指腸潰瘍穿孔による腹膜炎であり,大網充填術+ドレナージ術を行った.術前心電図異常は認めなかった.
    術後ICU管理中も全身状態は良好であった.術翌日,心不全症状が出現. 12誘導心電図上胸部誘導にて広範なST-T上昇を認めた.血清トロポニン迅速検査は陽性.心エコーでは左室壁運動の低下を認め,急性心筋梗塞による心不全と診断し,心不全に対する治療を開始した.術後23日目,心エコー上も左室壁運動は正常化した.その後冠動脈造影検査を行ったが,明らかな冠動脈の狭窄は認めなかった.上記より,タコツボ型心筋症が疑われた.腹部症状に関しては順調に改善.全身状態良好で術後34日目退院となった.その後は明らかな胸部症状などは認めていない.
  • 森 秀暁, 岡村 吉隆, 望月 吉彦, 飯田 浩司, 山田 靖之, 三好 新一郎
    2004 年 65 巻 4 号 p. 915-918
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は60歳の女性で,二度の腰椎椎間板ヘルニア手術の既往がある.手術後16年目に左総腸骨動静脈瘻が原因の鬱血性心不全を発症した.手術は左総腸骨動脈を縦切開し,動脈内腔より瘻孔の直接閉鎖術を行った.動静脈瘻閉鎖後に心不全症状が解除され,術前診断で発見された胸腺腫に対し,二期的に拡大胸腺摘出術を施行した.本症例は腹部外傷の既往や腹部大動脈または腸骨動脈瘤の合併がないことから,左総腸骨動静脈瘻は腰椎椎間板ヘルニアの手術中に発生したと考えられた.
  • 盛島 裕次, 久高 学, 山城 和也, 与儀 実津夫, 又吉 隆
    2004 年 65 巻 4 号 p. 919-923
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,特発性中結腸動脈瘤破裂の1例を経験したので報告する.症例は53歳,男性.平成14年10月18日朝,突然の腹痛,意識レベル低下のため,当院救急外来へ搬送された.来院時ショック状態で,腹部は硬く膨隆し,上腹部の圧痛が著明であった.腹部CTで腹腔内出血および横行結腸間膜部に巨大な血腫を認めた.緊急血管造影で中結腸動脈分枝血管の数珠状病変および同部位よりの造影剤漏出を認めた.経カテーテル的動脈塞栓術(TAE)を試みたが困難であったため,緊急開腹術を施行した.手術所見では中結腸動脈分枝血管が破裂し,動脈性出血が認められ同部位を結紮止血した.術後経過は良好で,患者は術後18日目に退院した.腹部内臓動脈瘤破裂の治療法にはTAEと開腹術があるが,両者の特徴を考慮した上で,患者の全身状態に応じた治療法を選択すべきである.
  • 山本 英希, 松島 申治, 江上 格, 清水 一雄
    2004 年 65 巻 4 号 p. 924-928
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は62歳,男性.左側胸部から背部の痛みを主訴として近医を受診し,肋骨骨折を指摘された.胸部CTで,左胸壁に肋骨を巻き込んだ多発性腫瘍を認め,手術を行った.左第7肋骨から第10肋骨まで肋骨4本を含む胸壁切除を行った.欠損範囲が15×10cmと大きく, Marlex meshのみによる胸壁再建では胸郭の変形が生じるため,チタン製リコンストラクションプレートを用いて再建した.術後は胸壁動揺や感染を認めず順調に経過した.腫瘍は病理組織学的に紡錘形細胞肉腫と診断された.術後3年経過し,無再発生存中である.チタン製リコンストラクションプレートを用いた結果,胸郭の変形は軽微で,肺機能も良好に保たれている.
  • 四方 裕夫, 佐々木 規之, 上田 善道, 高山 宗之, 中西 正樹, 浅野 元和, 松原 純一
    2004 年 65 巻 4 号 p. 929-933
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は46歳,女性.平成13年3月,咳嗽,発熱を主訴として来院.胸部X線写真で右下葉に肺炎の所見を認めた.肺炎と診断して加療のため入院した.幼少時より感染を繰り返していたとのことで精査を進め,検査の結果Pryce I型肺内肺分画症を疑った. MRI, DSAで異常血管を同定し,更に肺動脈との相互関連を検討する目的で肺動脈と異常血管の同時造影を行い,分画部から正常肺静脈への還流を認めた.感染の沈静化後の平成13年6月手術目的に再入院した.分画部より肺静脈への還流の情報を得ていたため, VATSでの分葉は危険と判断して開胸した.約1cmの異常動脈を可及的に大動脈近くで刺入結紮切離した.その後右下葉切除を行った.経過良好で術後17日目に退院し,その後肺の感染症状をきたしていない.肺動脈と異常血管の同時造影が肺内分画部の切離時に有用であった症例を経験した.
  • 松山 謙, 大澤 宏, 露口 直彦, 高野 一, 松島 申治, 高石 光二
    2004 年 65 巻 4 号 p. 934-939
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    子宮内膜症性気胸と子宮広間膜異常裂孔ヘルニアは共に稀な疾患であるが,両者を併発した1例を経験したので報告する.症例は45歳,女性,平成11年5月胸痛を主訴に初診,右気胸の診断にて入院.発症日は月経最終日であった.その後6月と8月に月経周期に一致した右気胸を確認し,子宮内膜症性気胸と診断した. Gn-RH誘導体(酢酸ナファレリン)の点鼻を開始し,その後気胸再発なく経過していた.平成12年1月突然の心窩部痛にて入院. CTにて子宮後方に拡張した腸管と腹水を認め, 12日絞扼性イレウスの診断で緊急手術を行った.子宮広間膜異常裂孔ヘルニア嵌頓による回腸壊死と判明,壊死小腸切除を行った.この経過中気胸再発はなかった.平成12年4月より希望によりホルモン療法を中止したところ, 7, 8, 9月に右気胸を繰り返し発症したため10月17日胸腔鏡下手術を行った.肺に病変を認めず横隔膜に小孔2個を認め横隔膜部分切除を行い,フィプリン糊による胸膜癒着療法を加えた.横隔膜病理検査にては,明らかな子宮内膜上皮は認められなかった.術後もホルモン療法を続けており術後2年間再発はなかったが平成14年10月,平成15年9月に2回再発を認めた.入院加療を要せず改善した.
  • 池田 太郎, 越永 従道, 星野 真由美, 後藤 博志, 杉藤 公信, 萩原 紀嗣
    2004 年 65 巻 4 号 p. 940-944
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    遅発性先天性横隔膜ヘルニアは新生児期発症例と比較して良好な経過をとることが多いが,その初発症状は多彩である.今回,われわれは過去10年間に本症を4例経験したので報告する.症例は2カ月から2歳(平均9.5カ月)で,男児3例と女児1例であった.全例とも明らかな胸腹部の外傷の既往は認めていない.初発症状は喘息様発作が1例と不機嫌・チアノーゼが1例,嘔吐・発熱が1例,嘔吐・腹部膨満が1例であった.全例が胸腹部単純X線写真での胸腔内腸管ガス像を認め,本症と診断された.全例が左側であり,経腹的に裂孔閉鎖術を施行した.裂孔の大きさは最大径で2.5cm~7.0cmであり,全例が無嚢性で,内容は小腸および結腸が3例,脾臓が3例,胃が1例,大網が1例であった.術後経過は良好で,全例とも術後3週間以内に退院し,現在まで再発は認めていない.
  • 芹澤 淳, 丸尾 祐司, 大澤 浩一郎, 伊藤 孝, 小川 博
    2004 年 65 巻 4 号 p. 945-949
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    横隔膜原発と考えられる悪性線維性組織球腫の1例を経験したので報告する.症例は72歳,男性.咳嗽と背部痛を主訴に近医を受診した.画像診断で右後腹膜の腫瘍と診断され当科に紹介された. CT, MRIで右腎上極背面から胸腔内に突出する4 cm大の腫瘍像を認めた.手術所見で,腫瘍は右腎被膜,肝右葉とは剥離可能であったが,右横隔膜肋骨部と強く固着していたことと,腫瘍の辺縁で横隔膜との移行所見があり横隔膜原発と考えた.周囲の横隔膜を合併切除し腫瘍を摘出した.病理所見からstoriform pleomorphic typeの悪性線維性組織球腫と診断された.手術より2カ月後のCTで局所再発が認められたが,呼吸状態悪化のため再手術は行えず, 10カ月後に呼吸不全で死亡した.本疾患はその組織像の多彩さのため術前の組織診断や画像診断が困難である.横隔膜に発生した場合,四肢原発のものと比べ体内深部に位置することが,さらに予後を不良にすると考えられた.
  • 岡田 一幸, 東野 健, 中野 芳明, 矢野 浩司, 門田 卓士
    2004 年 65 巻 4 号 p. 950-953
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は52歳,男性.食道平滑筋腫に対し,胸腔鏡下腫瘍摘出術を施行.術後6日目に腫瘍切除部の縫合不全および胸腔内膿瘍を合併したため,ドレナージ術および排液持続吸引,ドレーン洗浄などの保存的治療を試みたが難治性皮膚瘻を形成した.これに対し,内視鏡下フィブリン糊充填術を計5回行ったところ,回を重ねるごとに膿瘍腔は縮小し,完全閉鎖しえた.当院におけるフィブリン糊充填法は,フィブリノゲン溶液とトロンビン溶液を混合する際に,トロンビン溶液を希釈すると凝固時間が延長するというデータを基に,トロンビン溶液を規定の濃度の20倍に希釈して施行している.本法ではシングルルーメンカテーテルにて,混合液の注入が簡便に行えるとともに,瘻孔の隅々まで行き渡ってから凝固するため,複雑な瘻孔においても死腔を生じる危険が少なく,確実な治療効果が期待できる有用な治療手段であると考えられた.
  • 島 一郎, 蓮田 正太, 濱津 隆之, 井上 道博, 磯 恭典, 白水 和雄
    2004 年 65 巻 4 号 p. 954-957
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    最近,膵外腫瘍性低血糖においてIGF-IIの関連が注目されるようになってきた.今回われわれはIGF-IIを産生し,低血糖を頻発した胃癌症例を経験したので報告する.症例は76歳男性で近医にて胃癌と診断され,精神不穏にて入院した.以前より時々意識が朦朧とすることがあり,入院時検査にて貧血と低血糖(45mg/dl)を認め,内分泌検査では血中インスリン1μU/ml, IGF-I 36ng/ml, IGF-II 297ng/ml, IGF-I /IGF-II比8.3であった.腹部CTでは多発性肝転移を認めたが,脳や副腎に異常所見はみられなかった.入院後, TPN管理を開始したが低血糖による意識障害をその後も頻発し,診断後10週で癌死した.胃生検は低分化腺癌で,組織化学的検査では腫瘍腺管のIGF-II陽性所見を認めIGF-II産生胃癌と診断した. IGF産生腫瘍は肝転移例に多く予後不良であるが,本症例はTPN管理でも低血糖発作を頻発し治療に難渋した.
  • 清水 文彰, 土屋 拓司, 鈴木 彰, 岡本 講平
    2004 年 65 巻 4 号 p. 958-961
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,男性.原発性胆汁性肝硬変にて加療中,食道胃静脈瘤,胃角部の0-IIa+IIc胃癌と診断された.食道静脈瘤に対し,内視鏡的食道静脈瘤結紮術EVL (endoscopic variceal ligation)が施行され,また,胃癌に対しては内視鏡的粘膜切除術EMR (endoscopic mucosal resection)が施行されたが,胃静脈瘤の残存および胃癌の壁深達度がsmであったため,手術目的に当科紹介された.待機手術を予定していたが,食道静脈瘤からの再出血があり緊急EVLにて止血した.手術は胃全摘術,脾合併切除術を行った.術後,吻合部狭窄があり内視鏡的拡張術を要したが,食道静脈瘤は完全に消失していた.食道胃静脈瘤を合併した肝硬変患者に胃癌が併発していた症例に対し,胃全摘術,脾摘を行い,良好な経過であった.
  • 北見 智恵, 黒崎 功, 飯合 恒夫, 横山 直行, 植木 匡, 畠山 勝義
    2004 年 65 巻 4 号 p. 962-965
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    今回われわれは脾動脈瘤(splenic artery aneurysm:以下SAA)を併発した十二指腸乳頭部癌に対し,脾温存脾動脈瘤切除を施行した1例を報告する.症例は62歳,女性.黄疸,嘔吐を主訴に受診し,十二指腸乳頭部癌と診断された.術前CT検査で, SAAの併発を指摘され,血管造影検査では脾動脈本幹と脾門部の分岐動脈にそれぞれ径1.2cm大の石灰化を伴う瘤が認められた.膵空腸吻合部が瘤近傍に位置し,経過観察は危険であること,脾摘後の免疫力低下,膵体尾部への血流保持を考慮し,脾温存脾動脈瘤切除および幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.術後経過は順調で, MR angiographyでも脾の血流は良好であった.脾摘後に敗血症を引き起こす率が高くなるという報告や, T細胞を介した免疫反応が弱まるとの報告もあり,脾温存の意義はあると考えられた.
  • 今井 哲也, 戸田 有宣, 石黒 要, 品川 誠, 辻端 亜紀彦, 小田 惠夫
    2004 年 65 巻 4 号 p. 966-970
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は39歳,女性.腹痛と嘔吐を主訴に当院を受診した.腹部CT検査上回腸閉塞の所見を呈し,また拡張腸管の近傍に不整形高吸収域が認められた.イレウス管を挿入したが症状改善はなく,またCRP値の急激な上昇が認められた.絞扼性イレウスが疑われ,緊急開腹手術を施行した.小腸間膜上に径8 mm大の石灰化腫瘤を認め,そこを発端にした炎症性索状物によって小腸が絞扼され壊死となっていた.病理組織学的にこの腫瘤は多核白血球浸潤を伴う肉芽腫で,内部に壊死に陥った寄生虫が認められた.形態学的にこの虫体はアニサキスIV期幼虫と同定され,陳旧性の消化管外アニサキス症が原因で絞扼性イレウスを発症したものと結論した.自験例のような絞扼性イレウスの発症機転は稀であるが,開腹手術歴がなく絞扼の発生原因として有力な根拠に欠ける場合には,消化管外アニサキス症の関与も念頭に置く必要があると思われる.
  • 奥芝 知郎, 川村 健, 中久保 善敬, 直江 和彦, 渡辺 不二夫
    2004 年 65 巻 4 号 p. 971-974
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は83歳,男性.喘息発作と腹痛を主訴に来院.腹部は著明に膨満し下腹部を中心に腹膜刺激症状を認めた.腹部単純X線で腹腔内遊離ガスを認めたため,腸管穿孔による腹膜炎の診断で手術を施行した.手術所見では横隔膜,小腸壁に広範な気腫性変化をきたしており一部穿孔を疑う部位を含め小腸部分切除を施行した.病理所見では粘膜下層から筋層,また漿膜下層に嚢胞が存在し,嚢胞周囲に線維性の肥厚,肉芽性の変化を認めた.以上より小腸の嚢腫様気腫症と診断された.本症の治療は高圧酸素療法などの保存的治療が中心であるが,腹膜刺激症状を有する場合は消化管穿孔との鑑別が重要と考える.
  • 斎藤 由理, 加藤 裕治郎, 高橋 貞二, 森山 昌樹
    2004 年 65 巻 4 号 p. 975-979
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,女性,腹部膨満感と嘔吐を主訴に受診し,腹部単純X線写真上に鏡面像を認め入院した.理学所見では腹部膨隆と腸雑音の亢進,血液検査所見では炎症所見を認めた.腹部CT検査と腹部超音波検査で門脈ガスを認めたが,腸管壊死を疑わせる所見ないため保存的な加療とした. 18時間後,炎症所見の進行と, GOT, LDH, CPKの上昇,腹膜刺激症状あり,腸管壊死を疑い開腹術を施行した.開腹時,全小腸に壊死またはチアノーゼを認めたが,減圧にて一部の空腸の血行再開と色調の改善がみられた.腸管に機械的な閉塞はなく,上腸間膜動脈根部の拍動は良好だった.壊死腸管180cmを切除し両側断端を人工肛門とした.術後52病日に空腸盲腸端側吻合を行い術後55病日に退院した.腹部CT検査,腹部超音波検査での門脈ガス血症が理学所見,血液所見より先にみられており腸管壊死の診断に有用であると考えられた.
  • 首藤 恭広, 山本 重孝, 田中 康博, 森本 芳和, 栗原 陽次郎, 西川 和宏
    2004 年 65 巻 4 号 p. 980-983
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    空腸憩室の多くは無症状に経過する.症状を呈する症例のうちでも下血を初発症状とするものは6.6%と少ない.今回憩室からの大量下血のため出血性ショックをきたした稀な症例を報告する.症例は75歳,女性.平成14年6月1日,下血により高度の貧血をきたし出血性ショックの状態で緊急入院した.保存的治療によりショック状態を脱し,出血も軽快した.諸検査にて空腸多発性憩室および憩室からの出血と診断した.平成14年7月3日,開腹術を施行した. Treitz靱帯から28cm~103cmにわたる空腸に大小多数の憩室を認め,これらを含む約80cmの空腸を切除した.病理組織学的所見は,憩室壁の一部に固有筋層の欠損を認める仮性憩室で出血源と思われる露出血管を2カ所に認めた.術後経過は良好で術後第18病日に退院した.小腸出血の診断および治療には難渋する場合が多いが,稀ではあるが空腸憩室からの大量出血の可能性も念頭におくべきと思われる.
  • 北原 光太郎, 野口 純也, 生天目 信之, 渡辺 直純, 伊達 和俊, 小野 一之
    2004 年 65 巻 4 号 p. 984-987
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,男性.主訴は右下腹部痛. 1月初旬より右下腹部痛があり, 2月下旬になって痛みが増強したため来院.来院時右下腹部に圧痛と同部に直径約7 cm大の可動性不良な硬い腫瘤を認め,白血球10,800/ul, CRP 12.9mg/dlであった.腹部CTでは右下腹部に5 cm大の境界やや不明瞭な腫瘤を認めた.また中心部に長さ約3 cmの線状high densityな部分が認められた. CT所見と病歴により魚骨による虫垂穿孔と診断し手術を施行した.虫垂の中央部に2.5cmの魚骨が穿孔しており,一塊となった回盲部を切除した.術後経過は良好で術後17日目に退院となった.魚骨による虫垂穿孔は手術により診断されることが多いが,詳細な病歴聴取とCTなどの画像検査により術前診断がなされた報告が散見されており,本疾患も念頭におくことが重要であると考えられた.
  • 日高 敦弘, 平田 貴文, 田中 裕穂, 立石 勉, 白水 勇一郎, 八塚 宏太
    2004 年 65 巻 4 号 p. 988-991
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は86歳,女性.腹痛,嘔吐を主訴に来院.腹部単純X線写真でイレウスと診断され,イレウスチューブ挿入のもと保存的に加療したが,充分な減圧は得られなかった.腹部エコーでは胃から小腸の著明な拡張と,盲腸後面に拡張した小腸に連続してstrong echoが認められ,この部位が閉塞部と考えられた.また腹部CTでも小腸の著明な拡張と,盲腸から上行結腸の背側に拡張した小腸を認め,上行結腸は腹側へ偏位していた.以上より回盲部付近の内ヘルニアによる閉塞性イレウスが疑われ,手術を施行した. Bauhin弁より約30cm口側の部位で回腸が約20cmにわたり盲腸後窩に嵌頓しており,小腸部分切除術を行った.
    内ヘルニアの中でも盲腸周囲ヘルニアは6.0%前後と極めて稀である.発症年齢,発症様式も様々であるが,内ヘルニアの際には常に念頭に置くべき疾患の一つである.
  • 上地 一平, 北村 宗生
    2004 年 65 巻 4 号 p. 992-995
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は80歳,女性.主訴は右下腹部痛.精査目的で近医より当院紹介入院となった. CT検査で回盲部から上行結腸に一致して6 cm大の壁に一部石灰化を伴った嚢胞性病変を認めた.冠状断像では,嚢胞性病変の尾側に腸間膜の嵌入がみられ,嚢胞性病変が先進部となって上行結腸内に重積しているのがわかった.大腸内視鏡検査では,盲腸底部から上行結腸内腔に向かって粘膜下腫瘍様の隆起を認め,頂部は糜爛を伴い虫垂開口部と思われた.生検ではGroup IIであった.ファイバーは回盲弁を通過した.以上より,虫垂粘液嚢腫による腸重積の診断で回盲部切除術を施行した.病理組織診断で虫垂粘液嚢胞腺腫と診断された.
    虫垂粘液嚢胞腺腫が腸重積を起こした稀な症例で, CT検査の冠状断像が診断に有用であった.術中,所属リンパ節の迅速病理診断で腫瘍細胞を認めなかったため,回盲部切除とした.
  • 豊田 暢彦, 岩本 明美, 池田 光之, 前田 啓之, 栗栖 泰郎, 岩永 幸夫
    2004 年 65 巻 4 号 p. 996-999
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は52歳,男性.平成13年8月頃より便通異常を自覚するも放置していた. 8月13日より腹痛,腹部膨満感を認め,近医を受診した.イレウスと診断され当院に紹介となり,大腸内視鏡検査にて下行結腸に完全狭窄をきたした腫瘍を認めた.イレウスチューブを留置し減圧を試みるも効果なく, 8月15日緊急手術を施行した.開腹すると下行結腸に全周性の腫瘍を認め,それより口側の結腸の拡張と横行結腸中程までの暗赤色調の変化を認めた.これより下行結腸癌に合併した閉塞性大腸炎と診断し,結腸左半切除術を施行した.本症の治療は原発巣を含めた潰瘍壊死部の完全切除が原則であるが,腸管の大量切除となることと,潰瘍部の筋層は保たれているという考えより自験例のように潰瘍部で吻合することも選択肢の一つであると思われる.
  • 宮澤 正紹, 武藤 淳, 佐藤 正幸, 児山 香, 大谷 聡, 蘆野 吉和
    2004 年 65 巻 4 号 p. 1000-1003
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    消化器癌の臍転移はSister Mary Joseph結節の名で知られ比較的稀である.今回われわれは,同時性臍転移を認めた大腸癌の1切除例を経験したので報告する.
    症例89歳,女性.平成14年12月頃から臍部の痛みを伴う2 cm大の腫瘍に気付き近医を受診した.この時右下腹部に腫瘍を触知し,内視鏡検査にて盲腸癌と診断された.平成15年3月12日右結腸切除術,臍切除を施行した.肝転移,腹膜播腫はなかった.盲腸癌と臍部との連続性はなかった.病理組織学的検査では中分化腺癌の盲腸癌と臍部皮膚転移であった.術後経過は特に問題なく退院となった.
    臍転移は予後不良な徴候として,原発巣の診断に先行して発見されることがあり臨床的に留意すべきである.
  • 輿石 直樹, 井出澤 剛直, 井上 亜矢子, 柴 修吾, 岡崎 護, 木嶋 泰興
    2004 年 65 巻 4 号 p. 1004-1007
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,女性,近医にて貧血を指摘され,外来を受診し,直腸指診で下部直腸癌と診断された.既往症として内臓逆位症を指摘されていた. CTなどの検査で随伴奇形を認めず,完全内臓逆位症を合併した直腸癌と診断し,腹会陰式直腸切断術を施行した.開腹所見では肝臓は左側に,胃は右側に存在し,完全内臓逆を呈していたが,腸回転異常や血管系の奇形を認めず,手術操作は問題なく行えた.内臓逆位症に合併した直腸癌の報告は本邦で3例目と稀であるため,文献的考察を加え報告する.
  • 徳丸 勝悟, 久保田 仁, 鈴木 秀昭, 浅羽 雄太郎
    2004 年 65 巻 4 号 p. 1008-1011
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は75歳の男性. 6年程前より肛門部の疼痛,腫張,排膿を繰り返していた.平成13年5月頃より肛門部の疼痛が強くなったため当院外科を初診した.肛門部2時の方向に5×3 cm大の腫瘤を認めた.また1時3時5時に2次口を認めmucin様の分泌物を認めた.腫瘤部の生検にて癌と診断した.
    術前検査にて注腸では肛門管の圧排所見を認めたが,病変の描出はできなかった. CTでは坐骨直腸窩左方に不規則に造影されるlow density lesionを認めたが不明瞭であった.一方, MRIではT2強調画像にて強いhigh intensityを示す病変として非常に明瞭に腫瘤を描出することができた.
    痔瘻に発生する癌は管外性に発育するため内視鏡や注腸でその範囲を特定することは難しい.自験例では痔瘻癌の進展度診断にMRIのT2強調画像が有効であった.
  • 岡本 秀一, 志野 佳秀, 榎本 浩士, 中谷 勝紀
    2004 年 65 巻 4 号 p. 1012-1016
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    今回われわれは悪性黒色腫に特徴的な黒色を呈さない直腸肛門原発の無色素性悪性黒色腫の1例を経験したので報告する.症例は72歳の男性で下血を主訴に当院入院.歯状線口側に直径1.5cm大の亜有茎性のポリープを認め表面の色彩は暗赤色であった.生検の結果低分化型腺癌の可能性があり,経肛門的に局所切除を行った.病理組織学的には明るく大きな核小体を有する多型性の細胞がシート状に配列しメラニン色素はほとんど認められず, S-100蛋白, HMB-45染色が強陽性であり無色素性悪性黒色腫と診断した. 4カ月後に局所再発を認めたが,初回同様経肛門的に局所切除を行った.歯状線近傍の隆起性病変の診断の際には無色素性悪性黒色腫も念頭に入れ,術後は厳重な経過観察が重要と考えられた.
  • 高島 勉, 仲田 文造, 河本 真大, 埜村 真也, 西野 裕二, 平川 弘聖
    2004 年 65 巻 4 号 p. 1017-1021
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,男性. C型慢性肝炎の経過観察中2000年8月,肝後区域に4.8×4.6cm大の肝細胞癌を認めα-fetoprotein (AFP)は9, 820.7ng/mlと異常高値を示した.同時に膵頭部背側の傍大動脈リンパ節腫大も認めた. 2000年11月無治療にも関わらずAFPが2, 741.8ng/mlと低下を示し,肝腫瘍は2 cm大に縮小がみられたが,リンパ節転移は増大していた. AFPは2002年2月には21, 164.9ng/mlまで増加した. 2002年4月9日リンパ節切除手術を施行した.術後AFPは一旦低下を示したが術後4カ月目に3,030.9ng/mlと再上昇を示した.画像上肝腫瘍は変化なく,膵腹側に新たに径3 cm大のリンパ節腫大を認めた.術後1年目, AFPは2,277.6ng/mlとやや減少し,肝腫瘍もリンパ節も増大を認めていない.肝細胞癌の自然退縮は極めて稀であり,さらに原発巣とリンパ節転移巣が相反する動向を示したことは非常に興味深い.
  • 山田 卓也, 阪本 研一, 関野 考史, 松尾 浩, 吉田 直優, 竹村 博文
    2004 年 65 巻 4 号 p. 1022-1026
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例1. 69歳の女性. 1988年死体腎移植術が施行され,免疫抑制療法をうけていた. 1995年腹部超音波検査で肝S8に径6 cmの肝細胞癌を指摘され, HBV肝硬変でICG 15分値32%であったため, TAEが施行された. 1996年両葉に多発再発を認め,再度TAEとPEITを施行したが癌死した.症例2. 72歳の男性. 1990年死体腎移植を施行し,免疫抑制療法をうけていた. 2001年腹部超音波検査でS4の肝細胞癌が指摘された. HBV陽性, ICG 15分値10%,単発性肝細胞癌, T2, N0, M0と診断され,肝左葉切除術をうけた.術後手術侵襲に伴う急性拒絶反応の考慮し,タクロリムスを0.01mg/kg/hrの持続静脈内投与で,血中濃度を20ng/mlと高値に維持された.重篤な合併症なく, 20病日に退院し,術後24カ月現在,腎機能正常で無再発生存中である.
  • 赤羽 康彦, 佐藤 篤
    2004 年 65 巻 4 号 p. 1027-1030
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    今回われわれはCT上肝臓内にガス像を認めた急性気腫性胆嚢炎の2例を経験した.症例1は糖尿病の既往があり,食道癌術後に腹痛,発熱で発症した. CT上胆嚢および肝内胆管内にガス像を認め,胆嚢摘出術, Tチューブドレナージ術を施行した.症例2は失神発作で搬送されたが,入院時のCT上胆嚢および肝内門脈枝にガス像を認めた.入院後腹痛が増強し腹膜刺激症状が出現.再検査のCT上胆嚢穿孔が疑われ,緊急手術を施行した.胆嚢穿孔による腹膜炎に対し胆嚢摘出術,腹腔内洗浄,ドレナージ術を施行した. 2例とも救命しえて退院した.気腫性胆嚢炎は通常の胆嚢炎に比べて様々な特徴を持ち壊死,穿孔に至る可能性が高い疾患である.近年CT検査により早期診断が可能となった.早期に診断するとともに全身状態に応じた適切な治療が重要であると考えられた.
  • 高橋 英治, 吉田 洋, 松尾 吉庸, 藤田 眞幸
    2004 年 65 巻 4 号 p. 1031-1035
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    胆道系の断端神経腫は,胆管周囲のSchwann細胞を含む神経線維が過剰再生し,神経線維に覆われた結節を形成したものである.手術操作などによる胆管周囲の神経線維の損傷を誘因として発生してくることが多い.今回われわれは,胆管胆管吻合術を施行後,総胆管完全閉塞をきたし,病理組織検査で断端神経腫と診断された1例を経験した.症例は70歳,女性.全身倦怠感,黄疸を主訴として当科を受診し,急性膵炎,胆嚢炎の診断にて入院した.炎症の改善を待って腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行したか,総胆管を損傷し,総胆管の端々吻合術を施行した.術後7カ月目に閉塞性黄疸にて再入院となり,画像診断にて総胆管の完全閉塞を認め, CT検査にて腫瘤状陰影が認められたため,悪性疾患も否定できず再手術を施行した.術後の病理組織学的検査にて胆管の断端神経腫と診断された.
  • 神谷 和則, 橋本 道紀, 小谷 裕美, 斉藤 孝成, 葛西 眞一
    2004 年 65 巻 4 号 p. 1036-1039
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    肝硬変合併Mirizzi症候群に対して腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)を施行した2例を経験したので報告する.症例1は49歳,男性,右季肋部痛にて前医受診入院となった.精査にて肝硬変合併Mirizzi症候群と診断され当院紹介入院となり, LCを施行した.症例2は71歳,男性,前医で肝硬変治療通院中,右季肋部痛と発熱を認め,胆石胆嚢炎の診断で当院紹介入院となった.精査にて肝硬変合併Mirizzi症候群と診断しLCを施行した.症例1は術後出血,腹水を,症例2は術後出血の合併症を認めた.肝硬変合併Mirizzi症候群に対するLCは,術中剥離操作,止血処置が困難で時間を要する場合には術後合併症の発生が危惧されるため,胆嚢亜全摘術,開腹への移行を常に念頭におき慎重に対応すべきであると考えられた.
  • 太田 智行, 濱砂 一光, 大野 義一朗
    2004 年 65 巻 4 号 p. 1040-1044
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    87歳,女性,右下腹部の発赤を伴う膨隆を他院で指摘され,精査加療目的で当院へ搬送された.超音波検査およびCT検査では右下腹部腹腔内に結石を有するcystic lesionとこれに連続する皮下膿瘍の存在が示唆された.緊急手術を行ったところ,腹腔内病変は胆嚢であり肝床部と間膜で付着する遊走胆嚢であった.皮下膿瘍は腹壁内の瘻孔で胆嚢と連続しておりspontaneous cholecystocutaneous abscess (自発性胆嚢皮膚膿瘍)と考えられた.自発性胆嚢皮膚膿瘍は自発性胆嚢皮膚瘻と同様に,胆嚢疾患の診断,治療の発達した現在では稀である.検索しえた範囲で,遊走胆嚢に合併した症例はこれが最初の報告である.
  • 藤本 大裕, 飯田 敦, 片山 寛次, 広瀬 和郎, 山口 明夫, 今村 好章
    2004 年 65 巻 4 号 p. 1045-1049
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,女性, 2002年8月下旬より右背部痛が出現し近医受診し, CTで胆嚢腫瘍の診断で当科紹介受診. CTで胆嚢底部に径4 cmの結節状陰影と,膵頭部背面に径5 cmのリンパ節腫脹を認め, MRCPで充実性腫瘍による欠損像を認めたので胆嚢癌と診断し,膵頭十二指腸切除および拡大胆嚢摘出術+D3+18を行った.病理組織像では表在性にわずかに腺管形成を認めるが,大部分は充実性胞巣をなす未分化小細胞癌様の像を認めた.免疫組織化学染色では, NSE陽性, Chromogranin陰性, Grimelius陰性で内分泌細胞癌と診断した.リンパ節転移は13bにのみ認め,内分泌細胞癌の組織像のみを認めた.内分泌細胞癌は増殖浸潤能が高度で,早期よりリンパ節転移,肝転移を認める例が多い.自験例では孤発性に巨大なリンパ節転移を伴ったもので報告例はなく,非常に稀な1例と考えられた.
  • 玄 東吉, 谷畑 英一, 林 政澤, 阿美 克典, 岡本 浩之, 大槻 将
    2004 年 65 巻 4 号 p. 1050-1055
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,男性,膀胱癌にて膀胱全摘術後鼠径部リンパ節転移に対し放射線療法施行. 5カ月後閉塞性黄疸出現しPTCD挿入.腹部エコー, CT, PTCD造影検査で下部胆管の閉塞と膵頭部の腫大を認める以外異常はなかった. ERCP検査では膵内胆管の平滑な全周性狭窄を認め, MRI検査で主膵管は膵頭部で狭細化し,膵体尾部では拡張を認めなかった.膵頭部癌も否定できず手術を施行した.膵はびまん性に硬く膵組織の術中迅速病理検査では慢性膵炎と診断され胆管空腸吻合術を施行した.切除胆管と膵の組織像では,著明な線維化とリンパ球や形質細胞の炎症細胞浸潤を認めた.血液検査で好酸球増多症,高γグロブリン血症, IgG高値,自己免疫抗体陽性を示し,自己免疫性膵炎と考えられた. 7カ月後リンパ節転移は再燃し,膀胱癌の骨転移により死亡した.自己免疫性膵炎は下部胆管狭窄による閉塞性黄疸の鑑別診断として重要であり,悪性腫瘍との合併も考慮すべきであると考えられた.
  • 山口 智弘, 小出 一真, 塩飽 保博, 武藤 文隆, 栗岡 英明, 細川 洋平
    2004 年 65 巻 4 号 p. 1056-1060
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    非機能性膵ラ氏島腫瘍と鑑別困難であった副脾の1例を経験したので報告する.症例は35歳,男性.水様性下痢,心窩部痛を主訴に来院.超音波検査で膵尾部に直径1 cmのhypoechoic massを認め, CT検査では動脈相で均一に濃染され, MRI検査では, T1, T2強調画像でlow intensity massを認めた.血管造影ではhypervascular massを認めた.血液検査は膵ホルモンの上昇を認めなかった.以上より膵尾部に発生した非機能性膵ラ氏島腫瘍,または副脾と診断し手術施行した.組織学的には腫瘤は線維性被膜を有し,周囲の膵臓組織と明瞭に境界された正常の脾臓組織であった.膵尾部に発生した副脾はMRI T2強調画像以外,画像診断上膵内分泌腫瘍と酷似している.確定診断が困難な場合,脾シンチグラフィ, SPIO造影(ferumoxides) MRIを併用すべきであったと考えられる.
  • 中村 敏夫, 八木 誠, 三木 明, 福井 康雄, 谷木 利勝, 山川 卓
    2004 年 65 巻 4 号 p. 1061-1067
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,男性.慢性C型肝炎と慢性膵炎などで当院通院加療中であった.左側腹部痛があり,腹部超音波検査にて膵尾部の腫瘤を認めたため精査目的で入院となった. CT上は約4 cm大の膵尾部多房性嚢胞性病変として描出され,逆向性膵管造影にて膵管と嚢胞性病変に交通を認めなかった. CA19-9とCEAが高値を示し悪性腫瘍を否定できなかったため手術を施行した.腹腔鏡下に膵尾部脾臓切除術を行い,病理検査でリンパ上皮性嚢胞と診断された.術後少量の膵液瘻を認めたものの経過は良好であった.術後にCA19-9とCEAは正常化した.膵嚢胞性腫瘍との鑑別診断として稀ではあるが膵リンパ上皮嚢胞を念頭に置く必要があり, CA19-9など腫瘍マーカーの判断には注意を要すると考えられた.
  • 藤川 正博, 根津 理一郎, 藤井 眞, 前田 庄平, 仲 至永, 川野 潔, 吉川 澄
    2004 年 65 巻 4 号 p. 1068-1071
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    腎細胞癌膵転移切除後の残膵再発に対し残膵全摘術を施行した1例を経験した.症例は56歳,男性. 1993年2月左腎細胞癌にて腎摘出術, 1995年12月膵頭部転移に対し膵頭十二指腸切除術を受け経過観察中, 2001年7月残膵に再発を疑われ当科紹介された.腹部CTで残膵体尾部と右腎に腫瘍陰影を,腹部血管造影では残膵に腫瘍濃染像を認めた. 2001年7月残膵全摘,脾摘術を, 9月右腎部分切除術を施行した.術後,病理組織学的に膵,腎ともに転移性腎細胞癌と診断した.術後経過は良好で, 2年6月経過した現在まで再発徴候は認めない.残膵に再発した腎細胞癌でも積極的な切除が予後の改善につながると考えられた.
  • 戸谷 直樹, 吉田 和彦, 黒田 徹, 山崎 洋次
    2004 年 65 巻 4 号 p. 1072-1075
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    脾動脈瘤に対する待機手術として,脾門部吊り上げ法による腹腔鏡下脾臓摘出術を施行して良好な結果を得たので報告する.症例は45歳,女性.腹部超音波検査で脾門部に径2×2 cmの脾動脈瘤を指摘され手術目的に入院した.手術は,右側臥位で腹腔鏡下に脾臓摘出術を行った. 5mmと10mm径のトロッカーを左肋弓下線に沿って4カ所に留置した.最も外側のトロッカーからsnake retractorを挿入して脾門部を腹側に牽引することによって,脾動静脈の安全な展開が可能であった.術後は特に問題なく退院した.腹腔鏡下脾臓摘出術は術後入院期間の短縮や術後疼痛の軽減が期待できるため,脾動脈瘤に対して積極的に考慮すべき術式と考えられる.また脾門部吊り上げ法によって安全に脾門部の処理が可能であった.
  • 鶴田 豊, 杉原 重哲, 小林 広典, 米満 弘一郎, 外山 栄一郎
    2004 年 65 巻 4 号 p. 1076-1080
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    脾臓に原発する悪性腫瘍はきわめて稀で,その診断は困難で手術摘出により確定診断が得られることが多い.今回,われわれは脾膿瘍の診断で手術後発見された脾原発性悪性腫瘍の1例を経験した.症例は60歳,男性. 38℃台の発熱を認め,近医での腹部CT,超音波検査などで脾膿瘍が疑われ,当科を紹介された.腹部CT検査にて脾腫瘍は14×12.5×12cm大で,腹部超音波, MRI,血管造影検査でも悪性を否定できないものの脾膿瘍が強く疑われ,抗生剤投与にて解熱したが,脾腫は巨大であり,脾摘術を施行した.暗赤色の内容液を650ml穿刺吸引し,病理組織学的に高悪性度の腫瘍細胞を認め,免疫染色では悪性リンパ腫,血管原性腫瘍も否定的で確定診断には至らず,脾原発のunknown malignant tumorとした. 4カ月後に肝転移にて死亡した.
  • 中村 健一, 徳家 敦夫, 尾崎 信弘
    2004 年 65 巻 4 号 p. 1081-1084
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    巨大褐色細胞腫手術の際には術中の出血,血圧変動への対処が必要となる.症例は51歳,男性. 15年前より高血圧,心房細動を指摘されていたが検診のエコーで腹腔内腫瘤を指摘され,副腎外巨大褐色細胞腫と診断された.腫瘍摘出術,右腎合併切除を施行.出血量4,986ccであったが回収自己血輸血装置により2,100cc返血した.返血は腫瘍摘出前より開始したが,腫瘍摘出前に血圧の変動が大きかったのに比べ,摘出後は自己血輸血を継続しても極めて安定した循環動態を示した.切除標本は13×7.2×5cmの境界明瞭な腫瘍で悪性所見は認められなかった.褐色細胞腫摘出術に際しての回収自己血輸血は回収自己血中のカテコラミンによる血圧上昇が危惧されるが,注意深く血圧をモニターし,術前のドーパミン値に留意することで安全に施行可能であると考えられた.
  • 星本 相淳, 萩生田 純, 五十嵐 直喜, 松井 英男, 小山 恭正, 宮北 誠, 相羽 元彦
    2004 年 65 巻 4 号 p. 1085-1089
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は83歳,女性.平成14年7月,直腸癌に対し低位前方切除術およびリンパ節郭清(D3)を施行した.術前の腹部CTで左副腎に内部が不均一に造影される3cm大の腫瘤を認めたが内分泌検査で異常を認めず,内分泌非活性腺腫を疑い,左副腎腫瘍に関しては経過観察とした.術後6カ月目に全身検索を目的に再入院となったが,腹部CTで左副腎の腫瘍は3.5cm大と軽度増大し,肝S7に1.5cm大の腫瘍を認めた.直腸癌術後肝転移,左副腎転移と診断し左副腎全摘,肝右葉切除術を施行した.副腎腫瘍は最大径35mm,肝腫瘍は18mmで,病理組織学的に副腎皮質癌の肝転移と診断された.再手術後8カ月目に多発性肝転移のため死亡した.副腎皮質癌は稀な疾患であるが自験例は腫瘍径35mmと非常に小さいにもかかわらず肝転移を認めたことから,副腎偶発腫瘍を認めた場合は副腎皮質癌も念頭において厳重な経過観察が必要と考えられた.
  • 小林 隆, 小田 幸夫, 高桑 一喜
    2004 年 65 巻 4 号 p. 1090-1094
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    直腸からS状結腸にかけて高度の狭窄性病変を呈し,大腸癌と鑑別が困難であった腸管子宮内膜症の1例を経験したので報告する.症例は47歳の女性.検診にて便潜血陽性を指摘され来院.注腸および大腸内視鏡検査で直腸からS状結腸にかけて高度の狭窄像を認めた. 2回の生検はいずれもGroup 1であり,子宮内膜症も疑い婦人科で精査施行されるも内膜症は否定的であった.大腸癌の可能性もあり,前方切除術を施行.術中所見では子宮後壁と直腸の高度の癒着を認め,組織の迅速病理診断では子宮内膜症であった.このため両側卵巣摘出術を追加した.術前に確定診断のつかない腸管子宮内膜症では術中迅速病理診断が有用であると考えられた.
  • 水本 一生, 竹本 元義, 峠 哲哉
    2004 年 65 巻 4 号 p. 1095-1098
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    腸腰筋膿瘍を契機に発生した血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura; TTP)の1例を経験したので報告する.
    症例は67歳,男性.発熱を主訴に入院.入院時検査成績および腹部CT検査所見から腸腰筋膿瘍と診断し,開腹,ドレナージ術が施行された.開腹所見からは隣接臓器と膿瘍の連絡はなく,特発性腸腰筋膿瘍と診断された.また症例は術前,術後を通じて,血小板減少,溶血性貧血,動揺性精神神経症状,腎機能障害,発熱を認め,腸腰筋膿瘍を契機に発症したTTPと考えられた.
  • 加藤 洋介, 大浜 和憲
    2004 年 65 巻 4 号 p. 1099-1101
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は9歳の男児. 2度の開腹手術の既往があった.腹痛,腹部腫瘤を主訴とし来院した.術前検査にて炎症性腫瘤,もしくは悪性腫瘍との診断にて抗生剤治療を開始したが腫瘤は縮小しなかった.診断ならびに治療目的に開腹手術を施行した.腫瘤は周囲との癒着が非常に強固であり,術中迅速診断にて悪性所見を認めなかったため,一部腫瘤を残した亜全摘手術にて終了した.術後病理検査にて放線菌症と判明した.術後1年間ABPC内服を行い腫瘤は消失した.非常に稀な小児の腹部放線菌症で,治癒しえた症例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
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