日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
66 巻 , 5 号
選択された号の論文の51件中1~50を表示しています
  • 大塚 裕一, 國崎 主税, 秋山 浩利, 小野 秀高, 野村 直人, 山田 六平, 羽鳥 慎祐, 今田 敏夫, 渡会 伸治, 嶋田 紘
    2005 年 66 巻 5 号 p. 985-989
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    食道癌手術術後の退院基準の選択肢として在宅経腸栄養療法 (HEN) を組み込むことの妥当性を検討するために,食道癌術後にHENを行った症例の解析を行った.術後経口摂取不良の原因では反回神経麻痺に関係するものが多く,そのためにHENが導入されていた.しかし, HEN導入症例の67% (24/36例)では,経口摂取不良の原因が明らかでなかった.詳細な評価可能なHEN施行群9例とHEN非施行群14例の比較では,術後在院期間 (p=0.90), 術後3, 6, 12カ月の体重変化 (p=0.97, 0.38, 0.11), 栄養指標 (prognostic nutritional index) の変化は (p=0.99, 0.91, 0.95) と差はみられなかった.また, 22.2% (8/36例)では, HENを施行したが術後12カ月体重が減少し続けHENの終了時期が不適切であったと考えられた. HENを行った患者およびその家族に対するアンケート (10例)の結果では,施行に困難を感じていた症例は少なかったが (10%), 施行上のサポート体制の充実を希望していた.術後経口摂取不良症例の退院基準のひとつとしてHENの導入を組み込むことが可能であり, HENの終了については,慎重に判断する必要があると考えられた.
  • 桧垣 健二, 守田 陽土, 久保 陽司, 見前 隆洋, 丁田 泰宏, 梅岡 達生, 原野 雅生, 佐々木 寛, 二宮 基樹, 高倉 範尚
    2005 年 66 巻 5 号 p. 990-994
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    腫瘍径が3cm以上のStage IIAからIIIBまでの進行乳癌36例に術前化学療法 (paclitaxel followed by FEC療法)を施行した.その結果,臨床効果はCR+PR=33/36 (91.7%), 組織学的効果はGr3+Gr2=18/36 (50.0%) であった.乳房の温存率は31/36=86.1%であり,温存時の切除断端の陽性率は5/31=16.1%であった.
    化学療法によりN0の8/8 (100%), N1の13/17 (76.5%), N2の1/8 (12.5%) に組織学的転移は認められなかった.術後の経過観察期間は短いが,現在のところ乳房再発や腋窩リンパ節再発はみられていない.
    以上により,術前化学療法は乳房温存手術およびSNBの適応を拡大させる可能性がある.しかし, SNBは現時点でコンセンサスがえられていないため,慎重な実施が必要であると思われた.
  • 藤谷 和正, 辻仲 利政, 平尾 素宏, 佐野 武, 笹子 三津留
    2005 年 66 巻 5 号 p. 995-1000
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    目的:肝転移や腹膜転移などの非治癒因子を有する進行胃癌症例において,減量手術の意義を問う前向き臨床試験の対象を設定することを目的に,アンケート調査を行った.
    方法と結果: 30施設に調査を行い, 18施設から回答を得た. (1) 現行の胃切除の適応としては,肝転移陽性症例ではH1もしくはH2とする施設が多く,腹膜転移陽性症例ではP2までとする施設が多かった. (2) 減量手術により生存の延長を期待できる症例とは, H1, P0CY1, P1とする施設が多かった. (3) 術中登録により減量手術施行もしくは非切除を選択するのは,可能・不可能が半々であった.
    結論:減量手術の意義を問う臨床試験の対象としては, H1症例やP1もしくはP0CY1症例が考えられた.しかしながら,肝臓や腹膜の転移巣が切除可能な場合に,切除を胃原発巣だけにとどめる減量手術には外科医や患者側の同意が得られにくいことが予想され,切除不可能な転移症例も臨床試験の対象に含めることが望ましいであろう.
  • 石井 要, 鎌田 徹, 林田 有市, 吉本 勝博, 田島 秀浩, 竹田 利弥, 神野 正博
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1001-1007
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    幽門側胃切除後の再建方法に,吻合部狭窄予防や小胃症状改善目的に空腸pouchを用いたRoux-en Y法(以下pouch RY)を施行し経過観察を行ってきた. pouch RYの術後成績や術後愁訴について, Billroth-I法(以下B-I)による再建症例と比較検討を行い, pouch RYの有用性にっいて考察した.当科でのB-I症例31例とpouch RY症例58例を対象とした.術後愁訴の評価目的には,アンケート調査を用い集計を行った. B-Iとpouch RYとの間に術後合併症の発生率に差は認めなかった.体重変化率では,有意差はないもののpouch RYにおいても良好な結果が得られた.アンケートによる術後愁訴に関した検討でも有意差は認めなかった. pouch RYは, B-Iと比較しても遜色は無く,他の再建法と比較しても安全性や吻合部狭窄の予防の面などで利点を有することから,幽門側胃切除後の再建方法の一つになり得るものと考えられた.
  • 中村 光宏, 池内 浩基, 中埜 廣樹, 内野 基, 野田 雅史, 柳 秀憲, 山村 武平
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1008-1011
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    [目的]潰瘍性大腸炎(以下UC) 手術症例の術前ステロイド総投与量とその副作用について検討した.[方法]1984年8月から2003年12月までに当科で経験したUC手術症例634例のうち術前のステロイド総投与量を算定できた582例を対象とした.[結果]ステロイドのmajor side effectの中で最も多かったのは,骨粗霧症で66%に認められた.骨粗鬆症に対する術後の薬物療法は,術後12カ月で有意な改善を認めたが,正常値には至らなかった.不可逆的な副作用である白内障,大腿骨頭壊死,胸・腰椎圧迫骨折は,ステロイド総投与量が7,000~10,000mgにかけて有意に増加していた.[結論]ステロイド総投与量が7,000mgを越える症例では,不可逆性の副作用の出現に注意し,出現前の手術が望ましいと思われた.また,最も多い副作用である骨粗鬆症の治療には術後1年以上の薬物療法が必要であることが明らかとなった.
  • 呉 成浩, 金子 哲也, 竹田 伸, 井上 総一郎, 中尾 昭公
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1012-1015
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    ERCP所見におけるdouble duct signとは,総胆管と主膵管の両方が狭窄を示すもので,膵頭部癌においてしばしば認められるが,門脈浸潤との関係を検討した報告はない.方法: 1986年から2003年の期間に当科で切除した膵頭部癌のうち術前にERCPが施行されている105例を対象とし, double duct signと門脈浸潤を含む病理組織因子との関係を検討した.結果: Double duct signは病理組織学的門脈浸潤に有意に相関した (P<0.001). Double duct sign陽性で,術前CTによる腫瘍径が2cm以上の場合,門脈浸潤の診断において, specificity (76.9%), positive predictive value (72.7%), の点で有用だった.また, double duct signは腫瘍径, perineural invasion, とも有意に相関した.結語: Double duct signは膵頭部癌における門脈浸潤を術前に評価する一助になると考える.
  • 番場 嘉子, 神尾 孝子, 青山 圭, 大地 哲也, 亀岡 信悟
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1016-1019
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は57歳,女性. 10年前より子宮癌術後の更年期症状に対しホルモン補充療法受けていたが,定期健診にて乳房の異常を指摘されたため当科を紹介受診となった.視触診,マンモグラフィーでは異常を認めないが,超音波検査では,両側乳房に大きさ0.4~0.5cm, D/W比の高い微小腫瘤像を多発,散在性に認めた.これらに対する超音波ガイド下の細胞診ではいずれもclass IIIの診断であったため,局所麻酔下に腫瘤摘出術(右2カ所,左3カ所)を施行した.この結果,全てに浸潤性乳管癌の診断を得たため,両側乳房切除を施行した.癌巣のER, PgRはいずれも陽性であった.ホルモン補充療法は乳癌発生のリスク因子であることが指摘されている.今回われわれは,ホルモン補充療法経過中に診断された非触知両側多発性乳癌の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
  • 首藤 恭広, 青野 豊一, 田中 康博, 三方 彰喜
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1020-1022
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    骨・軟骨化生を伴う乳癌は浸潤癌の特殊型に属し,発生頻度は全乳癌の0.003%~0.12%と低い.稀な病理組織型である本例の1例を報告する.症例は61歳,女性.左乳房腫瘤を自覚し平成13年6月当院外来を受診した.触診上,左CD領域に最大径2.1cm大の境界明瞭,弾性硬,表面平滑な腫瘤を触知した.腋窩リンパ節は触知しなかった.穿刺吸引細胞診検査の結果はmalignant, ductal adenocarcinomaであった. T2N0M0 Stage IIAの左乳癌の診断のもとに,平成13年7月乳房扇状部分切除術(Bq+Ax)および広背筋皮弁による乳房再建術を施行した.切除標本は20×18mm大の充実性腫瘍であった.病理組織学的には周辺組織を圧排するように発育する浸潤性の癌病巣であり,内部に軟骨化生病巣が認められ乳管癌部分から移行していた.組織学的診断は骨・軟骨化生を伴う癌, n(0/10)ly(-)v(-)ER(-)PgR(-)であった.術後40カ月後の現在,転移再発徴候を認めていない.
  • 村上 昌裕, 中野 芳明, 大西 直, 東野 健, 矢野 浩司, 門田 卓士
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1023-1026
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は55歳,女性. 1999年6月左乳癌にて乳房部分切除術を施行.病理組織学的結果で左D領域, 15×15mm, Invasive ductal carcinoma, scirrous type, f, t1, 病期分類はTINXMl stage IV, ER, PgRはともに陽性であった.胸水転移,多発性骨転移を認め,全身ホルモン (toremifene) 化学療法 (Cyclophosphamide, Methotrexate, 5-FU, 以下CMF) を施行した. 2001年10月急激な溶血性貧血をきたし,原因検索の骨髄生検で乳癌の骨髄癌症と診断.これによる細小血管障害性溶血性貧血 (microangiopathic hemolytic anemia, 以下MHA) が考えられた.化学療法 (Docetaxel) を施行した後MIHAやDICは認めず,通院で治療を継続したが2003年3月肝不全で死亡した.骨髄癌症は一般にDICなどを伴い急速な経過をとるが,今回全身化学療法が有効で, QOLを保ちながら長期生存しえた乳癌の1例を経験した.
  • 菅原 由至, 毛利 教生, 永江 隆明, 向井 憲重, 山口 昇
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1027-1031
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    たこつぼ心筋障害は原因不明の一過性の心臓障害であり,ストレスを誘因に発症しやすい.われわれは,開腹術後に本症を生じた1例を経験した. 59歳の女性が黄疸を主訴に入院した.精査したところ,胆管および胆嚢の腫瘍の合併し総胆管が閉塞していた.内視鏡的に胆汁ドレナージを行い黄疸を改善させたのち,膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本より中部胆管癌と胆嚢癌と診断された.術直後の経過は良好であったが,第3病日に肺水腫による呼吸困難のため人工呼吸が必要となった.心エコーでは,左心室心尖部側は広範囲にakinesisを呈し心基部の収縮性は保たれていた.心電図で胸部誘導全般に陰性T波が出現した.発症3日目には心機能,呼吸状態ともに回復した.造影で冠状動脈に有意狭窄はなく,たこつぼ心筋障害と診断した.開腹術後急性期の肺水腫の原因として本症を認識する必要があると考えたので報告する.
  • 森田 一郎, 木下 真一郎, 種本 和雄
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1032-1036
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は17歳,女性.咳嗽・頭痛・微熱を主訴に近医を受診した.薬物療法を受けるも改善せず,胸部X線で右下肺野に腫瘤像を認められ,川崎医科大学呼吸器内科に精査目的にて入院した.気管支鏡検査で,悪性小円形細胞腫瘍と診断.遠隔転移なく,腫瘍増大につれ閉塞性肺炎を合併したため,当科(胸部心臓血管外科)へ転科し手術となった.腫瘍は8cm大でS7から生じ,一部中葉に浸潤また横隔膜にも癒着していた.右中下葉切除,リンパ節郭清を施行した.病理診断はPNETであった.術後は微熱が持続し,体力が回復せず呼吸器内科に転科したものの化学療法も施行せずに退院した.術後2カ月で微熱に加え背部痛が出現し,呼吸器内科に再入院した.右側に胸水を伴い,その細胞診でclass VのPNET再発と診断され,化学療法・放射線療法を施行したが効果なく,癌性心膜炎を併発し,術後5カ月で永眠した.
  • 幸部 吉郎, 山本 義一, 高石 聡, 所 義治, 舟波 裕, 関 幸雄
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1037-1040
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    患者は79歳,女性.乗用車乗車中の交通事故にて受傷し近医に入院した.右血胸と診断され胸腔ドレーンの挿入を受け軽快したので退院した.受傷半年後の胸部単純X線検査にて右下肺野異常陰影を認め,精査するも無症状のため経過観察となっていた.受傷3年後,食後に嘔吐が出現し近医受診,胸部単純X線検査にて右横隔膜ヘルニアと診断され翌日当院入院となった.胸腹部CTにて胸腔内に腸管,肝,胆嚢の脱出を確認した.外傷性右横隔膜ヘルニアの診断にて開腹したが,回腸がヘルニア門に陥入しており他に肝内側区域,胆嚢もヘルニア門に陥入していた.横隔膜の右側に径7×5cmの裂傷を認め,結節縫合にて閉鎖した.術後経過は良好で術後第15病日に退院した.遅発性の発症で発生部位が右側横隔膜である外傷性横隔膜ヘルニアは稀であるが,若干の反省を含め文献的考察を加え報告した.
  • 丸島 秀樹, 二村 浩史, 三森 教雄, 大平 寛典, 樫村 弘隆, 矢永 勝彦
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1041-1044
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    高度腹膜播種をきたした胃GIST手術症例に対してSTI571を投与し,著効した症例を経験したので報告する.症例は57歳,男性. 2000年8月に健康診断での上部消化管造影検査で胃粘膜下腫瘍が指摘された. 2002年1月,腫瘍の増大が認められたため当院紹介となった.入院時,腹壁に硬い腫瘤を触知し,上部消化管内視鏡検査にて胃体下部後壁に中心潰瘍を伴う巨大粘膜下腫瘍が認められた.生検のc-Kit免疫染色にてGISTと診断された.腹部CTでは胃体部より壁外性に発育する内部低濃度な嚢胞性腫瘍と,播種と考えられる腫瘤が認められた.腹膜播種を伴う胃GISTと診断され,幽門側胃切除術を施行した.病理組織診断から胃GISTと高度腹膜播種と診断された.術後, STI571 400mg/dayの内服治療を開始,約36カ月経過し,現在,明らかな再発は認められていない.
  • 清水 文彰, 松山 智洋, 前島 俊孝, 鈴木 彰, 土屋 拓司, 岡本 講平, 杉山 敦
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1045-1048
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    H. pylori陽性のITPに対して, H. pylori除菌が有効であると,最近多く報告されている.今回,われわれはH. pyloriを感染した胃癌に対し,幽門側胃切除術を行い,術後にITPが改善した1症例を経験したので報告する.症例は77歳,男性.胃癌のため入院.血液検査で血小板は4.6万と低値, PAIgGは51ng/107cells (正常9.0~25.0) と高値であり, ITPと診断した.手術は,幽門側胃切除術, D2郭清を施行した.術中血小板10単位投与したのみで,血小板は術後徐々に上昇し,術後8日目には10.1万まで回復し,その後も10万前後で推移し,血小板の追加投与は要しなかった.摘出標本上H. Pylori陽性であった.術後4カ月後にはPAIgGは29と低下し,血小板数は正常値を維持している. H. pylori感染胃癌に対し,幽門側胃切除術施行した後, ITPが改善しており,除菌と同等の効果があったと考えられた.
  • 平山 信男, 宮崎 信一, 松原 久裕, 青木 泰斗, 軍司 祥雄, 落合 武徳
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1049-1053
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,男性. 1982年胃癌にて幽門側胃切除術 (Billroth II法再建,以下B-II), 1988年胆石にて胆嚢摘出術, 1994年食道癌にて右開胸開腹胸部食道,残胃切除術,胸壁前回結腸再建術を施行. 2001年経過観察目的の上部消化管内視鏡検査で,再建結腸と空腸の吻合部に粘膜不整像あり,生検にて腺癌の診断.手術記録より再建結腸と空腸の吻合に残胃の断端を用いたことが判明,結腸-残胃-空腸切除術,辺縁動脈沿いのリンパ節郭清を併施した.再建はB-IIに準ずる形で行った.術後輸入脚症候群を発症したが保存的に軽快,退院となった.切除標本上3型, tub2, pT2(ss), ly2, v1, infβ, 断端陰性.結腸壁在リンパ節転移を1個認め,現在外来にて抗癌剤 (5FU) 経口投与中,再発の徴候はない.悪性腫瘍の術後は,常に新たな癌の発生を念頭においた検査が必要である,ということを再認識した1例であった.
  • 奥村 拓也, 福本 和彦, 岡本 和哉, 鈴木 憲次, 梅原 靖彦, 木村 泰三
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1054-1057
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は39歳の女性.急性腹症で当院救急外来を受診した.腹部CTにて下行結腸の走行異常と胃と膵の間にある小腸拡張を認めた.腹痛は改善したため,入院し精査を行った.腹痛発作時に行ったCTで下腸間膜静脈に向かう小腸の嚢状拡張を認め,下行結腸間膜固定不全を合併した左傍十二指腸ヘルニアと診断した.開腹所見では,下行結腸固定不全と,回腸末端を除く全小腸が下腸間膜静脈の背側を潜って下行結腸間膜の左側に変位していた.空腸起始部から110cmまでの小腸はヘルニア嚢を有していたが,それ以下の小腸は遊離腹腔に面していた.腸管整復後下行結腸の固定と下行結腸間膜の欠損孔を閉鎖した.
    左傍十二指腸ヘルニアは下腸間膜静脈をヘルニア門の前縁とするが,本症例ではヘルニア嚢を有する部分と遊離腹腔に面する部分の二成分より構成されており,左傍十二指腸ヘルニアの亜型と考えられた.
  • 柴田 直史, 成田 洋, 小林 建司, 早川 哲史, 加藤 克己, 田中 守嗣
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1058-1062
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は46歳,男性. 2年前からCrohn病の診断にてメサラジンを内服していたが最近は自己判断で中止していた.今回は右下腹部痛を主訴に当院救急外来を受診した.来院時,右下腹部を中心に強い腹膜刺激症状を認め,腹部単純X線検査で腹部全体に小腸イレウスを疑わせるガス像を認めた.また腹部CTで肝全域に及ぶ門脈内ガス像を認めた.門脈ガス血症を伴ったイレウスの診断にて緊急開腹術を施行した.手術所見では回腸末端の壁肥厚と狭窄,小腸間の穿通を認めたが,壊死腸管や腸管の虚血性変化などは認めなかった.小腸部分切除術のみを行ったが,病理組織学的診断はCrohn病であった.以上より門脈ガス血症を伴ったCrohn病による単純性イレウスと最終診断した.術後経過は順調で第1病日には門脈内ガスは消失,第19病日に退院した. Crohn病を背景にした門脈ガス血症の報告は極めて稀で本邦では自験例を含め2例のみであった.
  • 川瀬 寛, 海老原 裕磨, 奥芝 俊一, 加藤 紘之, 近藤 哲
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1063-1066
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は63歳男性.前医にて単純性小腸潰瘍と診断され,約2カ月間ステロイドの投与,栄養療法を受けていたが,急激に腹部膨満,右下腹部痛が出現し当院へ救急搬送された.入院時の腹部所見では右下腹部に腫瘤ならびに著明な圧痛を認め,血液検査では高度の炎症反応を認めた.腹部CT上,小腸の拡張像および回盲部に著明な腸管壁と腸間膜の肥厚像を認めた.単純性潰瘍の急性増悪による腸閉塞の診断にて回盲部切除術を施行した.手術所見は回腸に9カ所の狭窄を認め, Bauhin弁から口側約60cmを切除した.病理組織学的には回腸末端に打ち抜き状の深い潰瘍が多発し非特異的急性炎症所見が認められた.また潰瘍部分同士の癒着により腸管狭窄をきたしていた.以上より多発性単純性小腸潰瘍の急性増悪による腸閉塞と診断した.術後経過良好にて術後33日目に軽快退院となり,術後6カ月を経過した現在再発を認めていない.
  • 飯田 有二, 青山 吉位, 窪田 智行, 雄谷 純子, 加藤 万事
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1067-1071
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    46歳の男性. 1年前に回腸穿孔性腹膜炎で回腸部分切除を受け, Crohn病と診断された.以後メサラジン内服,成分栄養剤投与にて外来通院治療中であった.急な腹痛を訴え,腹部CTにて遊離ガス像と拡張した小腸像を認めたため, Crohn病の急性増悪による小腸穿孔を疑って,開腹手術を行った.腹腔内に腹水の貯留はなく,消化管に明らかな穿孔部位は認めなかった.上行結腸の壁が軽度肥厚しており,その漿膜表面に多数の気腫性変化を認めたため, Crohn病による腸管の慢性炎症に起因する腸管嚢腫様気腫症と診断して,ドレナージのみを行った.術後経過は良好で内服経口摂取を再開した. Crohn病に腸管嚢腫様気腫症を合併したという報告は稀であるが,念頭におくべき疾患と考えて報告する.
  • 細野 芳樹, 種村 廣巳, 大下 裕夫, 菅野 昭宏, 日下部 光彦, 波頭 経明
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1072-1075
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    von Recklinghausen病は全身の皮膚にcafe-au-lait spotと腫瘤が多発する常染色体優性遺伝の多発性末梢神経線維腫で,種々の腫瘍の合併例が報告されている.今回,高度の貧血と腹部腫瘤で受診したvon Recklinghausen病に合併する小腸malignant schwannomaを経験したので報告する.症例74歳,男性.動悸と労作時呼吸困難を自覚,近医を受診し,貧血と腹部腫瘤を指摘され当科に入院した.全身の皮膚にcafe-au-lait spotと腫瘤が多発しており下腹部に可動性を有する腫瘤を触知した.血液検査で貧血と可溶性IL2レセプターの上昇を認め,便潜血反応が陽性だった.腹部CTと小腸造影検査より小腸原発で壁外に発育した腫瘍と考えられた. von Recklinghausen病に合併した小腸腫瘍と診断し,腫瘍を含め140cmの小腸部分切除術を行った.免疫組織染色はS-100蛋白, NSEが陽性, SMAが陰性でありmalignant schwannomaであると診断した.
  • 上野 公彦, 阪田 和哉, 田中 賢一, 平岡 邦彦, 金丸 太一, 山本 正博
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1076-1079
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,男性.下腹部痛を主訴に来院.急性腹症の診断にて緊急手術施行.回腸の約60cmの範囲に多発性の腫瘍を認め,その一部が小腸間膜に穿通していた.穿通部を含め約70cmの小腸切除と所属リンパ節の可及的な郭清を行い手術を終了した.化学療法 (CHOP) を施行したが,術後73日目に永眠された.病理組織学的所見上は小腸原発のT細胞性悪性リンパ腫で,新WHO分類上enteropathy typeであった.また免疫染色上CD56, CD8ともに陽性であった.本症例は複数の予後不良因子を併せ持つ悪性リンパ腫で,術後の化学療法でもほとんど効果が得られず,極めて予後不良な経過をたどったと考えられた.
  • 遠藤 健, 松山 秀樹, 上野 貴史, 畑中 正行, 高橋 豊
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1080-1084
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は51歳,男性で,主訴は特になし.既往症としての糖尿病の経過観察中に施行した腹部超音波で,膵体部下縁に膵との境界不明瞭のSOLを指摘された.腹部CT, 腹部MRIにおいては,膵とは境界のある内部が壊死に陥った血管に富む腫瘍として描出された.腹部血管造影では,上腸間膜動脈より分岐する空腸第一枝を栄養血管とする血管の豊富な腫瘍濃染像を認めた.以上より空腸原発腫瘍 (GIST) と診断し,摘出手術を施行した.腫瘍はTreitz靱帯より3cm肛門側に長径6cmで,腸間膜対側の空腸に壁外性に発育しており,表面は凹凸があり弾性硬であった.病理組織学的検査では,紡錘形の細胞が束状に増殖して錯綜配列をしており,核分裂像がほとんどみられず,免疫染色ではc-kit陽性であり,中等度悪性度のGISTと診断された.
  • 浦山 雅弘, 瀬尾 伸夫, 太田 圭治, 軽部 康明, 川口 清
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1085-1089
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,男性. 2003年10月中旬より下血あり.その後腹痛および発熱を認め,翌日には症状が増悪したため,当院を受診した.腹部全体に自発痛あり,圧痛,筋性防御を認めた.ヘモグロビン値5.3g/dlと著明な貧血あり.腹部CT検査では小腸に連続する約7cm大の腫瘍を認めた.この腫瘍に関連した消化管出血と腹膜炎と診断し,緊急手術を施行した.腹腔内には約100mlの膿汁汚染あり,腹膜炎の状態であった. Treitz靱帯より120cm部の小腸腸間膜側に7cm大の腫瘍を認めた.腫瘍は充実性の部分で腸管に連続し出血を伴い,嚢胞状の部分で穿孔していた.腫瘍を含めて約20cmの小腸切除を施行した.病理組織学的には中悪性度のGISTと診断された.小腸GISTは本来稀な疾患であり,消化管出血および穿孔による腹膜炎の両者の合併となると極めて稀と考えられたので報告した.
  • 木内 誠, 佐藤 学, 金子 直征, 土井 孝志, 黒田 房邦, 小林 信之
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1090-1093
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は60歳の男性.排尿時重苦感を主訴に当院受診,腹部超音波検査および腹部CT検査で右水腎症および回盲部腫瘤を指摘され精査加療目的で当科入院となった.入院時には腹部に圧痛を認めず,血液検査所見でも異常所見を認めなかった.大腸内視鏡検査では盲腸に表面平滑で粘膜下腫瘍様の隆起性病変を,腹部CT検査では回盲部に辺縁不明瞭な腫瘤を認めこの部位で右尿管を圧迫しており右水腎症の状態であった.以上の所見より虫垂原発の悪性腫瘍と診断し結腸右半切除術およびS状結腸部分切除術を施行した.病理組織検査では腫瘍と思われた部分は線維性肉芽組織で,虫垂開口部の隆起性病変は間質の線維化による非腫瘍性病変と診断された.回盲部腫瘤性病変の良悪性の鑑別に際しては虫垂入口部の隆起性病変や水腎症は虫垂炎の一つの所見であることを念頭に置き,術中迅速組織診を積極的に施行して術式を決定する必要があると思われた.
  • 前多 力, 渡部 智雄, 石引 佳郎, 冨木 裕一, 坂本 一博, 鎌野 俊紀
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1094-1098
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は48歳,女性,悪性関節リウマチの治療中に,反復する右上腹部痛が出現し,腹部CT検査,注腸造影検査で回盲部を先進部とする結腸重積症と診断した.大腸内視鏡検査では結腸重積は解除されており,虫垂の盲腸への不完全重積を認めた.重積部に絨毛様病変を認め,生検は高度異型を伴う絨毛腺腫であった.虫垂原発villous tumorによる虫垂重積症の診断で回盲部切除術を施行した.病理組織検査では高度異型を伴う腺管絨毛腺腫であった.
    虫垂原発villous tumorは半数以上に虫垂重積症を合併しており,虫垂切除術のみでは切除断端を陰性にすることは困難と思われる.さらに62%という高い癌併存率を考えると,リンパ節郭清を伴う術式も考慮すべきと考えられた.
  • 東原 宣之, 味村 俊樹, 安達 実樹, 冲永 功太, 久山 泰, 田中 文彦
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1099-1104
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡補助下手術にて早期に摘除しえた虫垂粘液嚢胞腺癌の1例を経験したので報告する.症例は57歳女性.平成15年4月右下腹部痛出現し,虫垂炎の疑いで保存的に治療. 5月に同症状あるも再度保存的療法で軽快.注腸造影検査で虫垂が造影されず,大腸内視鏡検査でバウヒン弁に発赤を認めたが,虫垂開口部は確認できなかった. 9月に同症状あり,腹部CT検査で回盲部に浮腫性の壁肥厚を認めたため, 10月に回盲部炎症性腫瘤の診断で腹腔鏡補助下結腸右半切除術を施行.術中所見は,腫大した虫垂が盲腸に癒着し,それに回腸が癒着して腫瘤を形成していた.病理組織学的には高分化の虫垂粘液嚢胞腺癌,深達度m, ly0, v0, n0であった.虫垂粘液嚢胞腺癌に対する腹腔鏡手術は本症例を含めて5例報告されているが,腹膜偽粘液腫としての再発を防ぐため,術中は臓器の愛護的操作に努め,粘液や腫瘍細胞の腹腔内播種を避ける配慮を十分に行うべきである.
  • 野村 尚弘, 三輪 高也, 武内 有城, 神田 光郎, 末永 昌宏
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1105-1110
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,女性.貧血の精査目的で紹介入院となった.下部消化管内視鏡にて,横行結腸に中央発赤を伴う滑らかな隆起性病変を認めた. DSAでは内視鏡で認められた病変に一致して,中結腸動脈より栄養される濃染像および早期の静脈還流を認め動静脈奇形と診断した.また,総ビリルビン3.4mg/dl,直接ビリルビン1.9mg/dlと直接型優位の高ビリルビン血症を認めた. ICGを含めた肝機能は正常で,肝生検にて肝細胞内に褐色顆粒を認めDubin-Johnson症候群と診断した. Dubin-Johnson症候群に合併した大腸動静脈奇形の診断で横行結腸切除術を施行した.肝臓は黒褐色調を呈していた.術後はビリルビンの上昇もなく経過したが,下血が続き再度内視鏡を行うとS状結腸に動静脈奇形が存在し出血源と考えられた.患者の負担を考慮しアルゴンプラズマ凝固法による内視鏡治療を行った.治療後1年経過するが再出血はなく,経過良好である.
  • 正岡 直子, 池尻 真康, 広原 鍾一
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1111-1114
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は87歳,女性.眩暈,息切れを主訴に近医受診.高度の貧血を認めたため,当院内科紹介となった.既往歴は,高血圧,腎機能障害,胃潰瘍を認めた.入院第7病日に大腸内視鏡検査を施行した.上行結腸に出血源と思われる病変を認めたため,内視鏡的に止血を行った.その後も下血続いたため,第11病日に再度大腸内視鏡検査を施行した.前回クリップをかけ止血した対側より出血を認めたため,再度止血を行った.第13病日より再度下血を認めたため,内視鏡では止血困難と判断.第22病日に結腸右半切除術を行った.病理所見では, 6カ所にangiodysplasiaを認めた.大腸angiodysplasiaは,高齢者における大量下血の主要な原因のひとっとされている.若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 曽ヶ端 克哉, 染谷 哲史, 佐藤 卓, 鳥越 俊彦, 佐藤 昇志, 平田 公一
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1115-1118
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    自動吻合器を使用したPPH (procedure for prolapse hemorrhoids) 法により痔核手術を施行したが,術後に巨大な直腸粘膜下血腫を生じ排便困難になった症例を経験した.患者は69歳女性で,痔核の脱出を主訴に外来受診し, Goligher分類ではIII度内痔核であったため手術を施行した.手術は肛門拡張器を肛門内に挿入し, Purse-string Suture Anoscopeを順次回転させながら2-0プロリンにて直腸粘膜に巾着縫合を全周にかけ,自動吻合器により切除を行った.巾着吻合の糸を索引した際に下腹部痛,嘔気および徐脈・血圧低下を訴え,術後も下腹部の違和感が残っていた.術後4日目になっても便が排出されず,肛門診の際吻合部に疼痛を訴えたため術後7日目に骨盤CT施行したところ,直腸に直径約7cmの粘膜下血腫を認めた. PPH法は手技も簡便で術後痔痛が少ないなど利点も多い.しかし安易な施行は合併症を起こすことを認識し,適応と手技を十分に検討していく必要があると思われた.
  • 黒田 雅利, 田中 弓子, 宇佐美 和男, 吉谷 新一郎, 喜多 一郎, 高島 茂樹
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1119-1124
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    非浸潤性に小腸転移をきたした多発S状結腸癌の1例を報告する.患者は62歳,男性. 2002年2月よりふらつき感と全身倦怠感を認めたため来院した.入院時貧血を認めた以外,生化学的には異常はなく,腫瘍マーカーはCEA5.8ng/ml, CA19-9181U/mlと軽度高値を示した.注腸ではS状結腸に2カ所の陰影欠損像を認め,大腸内視鏡検査でも,規約3型の腫瘍が確認された.多発S状結腸癌の診断のもと手術を施行したところS状結腸の腫瘍とは別にTreitz靱帯より約120cmと回腸末端から15cmと25cmの3カ所の小腸に腫瘍がみられたため, S状結腸切除術 (D3) と2カ所の小腸切除術を施行した.なお腹腔洗浄細胞診では悪性細胞は証明されなかった. S状結腸癌と小腸腫瘍の病理組織学的所見ではともに中分化腺癌で, S状結腸癌の静脈侵襲が極めて高度で,しかも小腸腫瘍の主座が粘膜下層にあったことより, S状結腸癌の非浸潤性小腸転移と診断された.患者は術後5FUを中心とした化学療法を継続しているが, 2年7カ月経過した現在,再発はなく元気に社会復帰している.本例のような非浸潤性の小腸転移症例は,検索した限りでは自験例を含め8例のみで極めて稀である.
  • 中尾 照逸, 内田 寿博, 塚本 義貴
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1125-1129
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    局所進行直腸癌に対し,膀胱温存手術を行い良好な術後生活を得た症例を報告する.症例は59歳,男性.排便異常を主訴に来院.大腸内視鏡検査・MRI検査などの結果,前立腺・精嚢への浸潤を伴う2型直腸癌と診断した.術中迅速病理診断で大動脈周囲リンパ節転移がないことを確かめた後に,膀胱を温存して前立腺・精嚢を直腸と共に合併切除した.組織学的病期はa2, n1(+), P0, H0, M(-), stage IIIaであった.残存膀胱・尿道吻合部の癒合まで術後5週間かかった.退院後は夜間のみ尿漏れがある程度で,患者のQOLはいたって良好であり,術後3年経過して再発の徴候はない.画像診断・手術手技が発達した今日,局所進行直腸癌に対しては,可及的に膀胱を温存する縮小手術が考慮されるべきである.
  • 日野 直樹, 原内 大作, 滝沢 宏光
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1130-1134
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    患者は67歳の男性.主訴は下血,近医で直腸に腫瘍を指摘された.当院にて直腸原発の腺癌と扁平上皮癌の重複癌と診断し,腺癌に対し経肛門的腫瘍切除を,扁平上皮癌に対し低位前方切除を施行し,術後にUFTとCDDPによる化学療法を行った.術後3カ月目に直腸下部後壁に扁平上皮癌の再発を認め,腹会陰式直腸切断術を行った.仙骨前面に浸潤を認めたため,仙骨部に対し放射線50Gyと5-FU・カルボプラチンの動注を行ったが経過中に肝転移し,術後15カ月目に死亡した.大腸原発の扁平上皮癌は予後が悪く手術だけでなく集学的な治療が必要と思われるが,稀な疾患なために有効な治療法が確立されていない.僅かに放射線療法が有効な場合があると思われた.自験例は術中の操作でimplantationにより再発したと思われる.術式には十分注意すべきである.
  • 奈賀 卓司, 角 賢一, 村田 陽子, 浜副 隆一
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1135-1138
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は19歳の男性で,腹部USで偶然に右肝静脈根部S7領域に直径2cmの腫瘤が発見された.血液検査ではHCV抗体, HBs抗原は陰性, AFP, PIVKA-II, 肝機能は正常であった. CT, MRI, 血管造影では全体に明瞭な造影効果を認めたが,中心性瘢痕やspoke wheel appearanceは描出されなかった.画像所見からは肝細胞腺腫や肝細胞癌との鑑別は困難であり,外科的に腫瘍を切除した.腫瘍は直径27mmの被膜を有さない単結節型であった.組織学的には中心性瘢痕は認められなかったが,異型に乏しい肝細胞の増生と,グリソン鞘では線維化と胆管の増生を認め,肝限局性結節性過形成 (FNH) と診断した.中心性瘢痕, spoke wheel appearance, Kupffer細胞の存在はFNHに特徴的な所見ではあるが,典型的な所見を呈する症例は少なく,肝細胞癌との鑑別は困難である.また右斜め胴切り開胸開腹法は,右肝静脈根部近傍を安全に操作するのに適したアプローチと思われた.
  • 遠藤 文庫, 吉村 哲規, 村山 忠雄, 水口 博之, 岡村 孝, 杉原 健一
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1139-1145
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,女性.食欲不振を主訴に近医を受診した.腹部超音波検査にて嚢胞性肝腫瘤を指摘され,当科を紹介された.
    入院時,全身状態良好で体温36.3°C, 身体所見では手術痕以外には,異常所見を認めなかった. CT, MRIにて肝右葉前区域に,不均一に造影される,肥厚した嚢胞壁を伴い隔壁を有する多房性嚢胞性腫瘤を認めた.血管造影検査では腫瘍濃染像, encasement, 肝動脈門脈シャントを認めた.一方,下部消化管検査にて2型直腸癌を認めた.
    以上より嚢胞性肝腫瘤の鑑別診断として肝嚢胞腺癌,転移性肝腫瘍,肝細胞癌などを含めた悪性の腫瘍を強く疑い,直腸低位前方切除術,肝前区域切除術を施行した.病理組織学的には嚢胞性肝腫瘤に悪性所見を認めず,細菌培養検査よりKlebsiella. pneumoniaeが検出され,肝膿瘍と診断した.
    術前診断にて悪性を否定しえなかった肝膿瘍の1切除例を経験したので,若干の考察を加え報告する.
  • 三田村 篤, 天本 明子, 鈴木 雄, 竹花 教, 遠藤 義洋, 北村 道彦, 君塚 五郎
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1146-1150
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は67歳の女性で, 1986年から肝右葉の肝嚢胞を指摘され, 1998年以降当院にてCT, 腹部超音波検査にて経過観察されていた.嚢胞は増大傾向を示し, 2002年7月より下腹部から右腎部の疼痛と食欲不振を自覚し入院となる.内部に腫瘤陰影を認め, 9月18日,肝悪性腫瘍の診断にて肝右葉切除術を施行した.病理組織検査にて嚢胞腺癌 (papillotubular, 肝臓浸潤(+)), EMA(+), CK7(+), CK20(+~-), AFP(-) であった.経過良好で,第19病日退院となったが, 12月に入り全身倦怠感などが出現. CTにて傍大動脈リンパ節腫大を認め, CEA, CA19-9も上昇し,再発と診断した.抗癌剤治療を行ったが全身状態は悪化し, 4月22日死亡された.肝嚢胞は多くの場合良性であるが,多房性で,壁の肥厚や不整を有する例では,悪性を念頭に入れた注意深い経過観察が必要である.
  • 松本 逸平, 味木 徹夫, 沢 秀博, 上田 隆, 藤野 泰宏, 黒田 嘉和
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1151-1155
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,女性,主訴は上腹部痛・嘔吐で,精査にて胆石性重症急性膵炎と診断された.膵炎に対する治療を行った後,胆石症に対し腹腔鏡下胆嚢摘出術を待機的に施行した.術前腹部超音波検査では胆嚢内に3~5mm大の結石を多数認めた. MRCP (magnetic resonance imaging cholangiopancreatography) では胆道系に異常を認めなかったが,術中胆道造影で総胆管に流入する2本の胆嚢管を認め重複胆嚢管と診断した.
    重複胆嚢管は胆嚢管走行異常の中でも極めて稀と報告されている.手術に際し,胆嚢管の走行異常を疑った場合には,重複胆嚢管の存在も念頭におき,術中胆道造影の施行が必須であると考えられた.
    また,自験例を含む報告例27例の集計を行い,検討を行った.
  • 吉田 徹, 下沖 収, 馬場 祐康, 阿部 正, 菅井 有, 中村 眞一
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1156-1160
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胆道系に発生する外傷性神経腫 (traumatic neuroma: 以下,本症と略記)は稀である.今回,手術既往がなく胆嚢に発症した本症を経験したので報告する.患者は68歳の男性で,検診で胆嚢の異常を指摘されて当院を受診した.腹部症状はなかったが,超音波検査, CT・MRCPなどの精査の結果,胆嚢腫瘍および胃粘膜下腫瘍疑いと診断され,胆嚢摘出術および胃部分切除術を施行した.胆嚢内に有茎性の3×1cmの隆起性腫瘤を認めた.病理組織検査では,胆嚢腫瘤は過形成上皮で被覆されており,腫瘤基部の胆嚢壁に線維化を伴う神経の増生が認められた.同部位はS-100蛋白陽性で本症と診断した.本症の発生には何らかの侵襲による神経の損傷を必要とする.本症例は手術歴や胆嚢結石の存在もなく,有茎性ポリープの牽引による物理的刺激が,その原因と推測された.胆道系腫瘍の鑑別に留意すべき疾患と考え報告した.
  • 畑 幸樹, 佐々木 定之, 朝子 理, 笠川 脩
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1161-1165
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    腸回転異常を伴う成人型総胆管嚢腫の1手術例を経験したので報告する.症例は32歳の女性で,主訴は上腹部痛と背部痛.腹部超音波検査で肝門部に嚢胞様の病変を認めた.腹部CT検査でも,肝門部近傍に巨大な嚢腫を認めた.また,上部消化管造影では十二指腸の水平脚がみられず,小腸全体が右側に位置していた.さらに注腸検査で結腸が全体的に左側に位置しており,腸回転異常症と診断した. ERCP検査では膵管の造影が不充分で,膵胆管合流異常を証明することは出来なかった.嚢腫のドレナージを行い細胞診検査で悪性が疑われたため,腸回転異常を伴った総胆管嚢腫の診断で嚢腫摘出術および胆道再建術を施行した.術後の病理学的検査では悪性所見は認めなかった.
  • 重田 匡利, 須藤 学拓, 折田 雅彦, 榎 忠彦, 野島 真治, 濱野 公一
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1166-1169
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Peribiliary cystsは肝内胆管付属腺より発生し,肝門部胆管周囲に特異的に多発する嚢胞である.今回われわれは,肝門部胆管狭窄をきたしたperibiliary cystsの1例を経験したので報告する.患者は72歳の男性で肝機能異常を指摘され精査が施行された. CT, MRI, ERCPにて肝門部胆管狭窄と診断され,胆道鏡で狭窄部に隆起性の結節病変が認められた.肝門部胆管癌を疑い手術を施行した.術中所見として肝門部に多発性の小嚢抱を認め,それらの嚢胞が胆管狭窄の原因と判断し,嚢胞を切除あるいは開窓したところ狭窄は解除された.術後は良好に経過した. Peribiliary cystsの嚢胞径は小さいために胆管狭窄のある症例では画像診断上,拡張した胆管や胆管周囲の浮腫との鑑別が困難となることが多い.胆管狭窄をきたす原因疾患として本疾患も念頭に置いておくことが重要であると考えられた.
  • 藤岡 秀一, 岡本 友好, 三澤 健之, 高尾 良彦, 穴澤 貞夫, 矢永 勝彦
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1170-1174
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は66歳の男性で,上腹部痛を主訴に受診し,精査目的にて入院となった.ERCPを施行した結果,中部胆管に55mm大の乳頭膨張型腫瘍を認めた.麻痺を伴う脳梗塞の合併症のため,家族が手術を希望されず,胆道プラスチックステントを挿入し,経過観察を行った.この間家族の判断でサメ軟骨製剤を自己服用していたが, 7カ月後のERCPでは腫瘍は15mm大にまで縮小していた.その後無治療にて経過観察を行っていたが(この間家族の判断でサメ軟骨の服用を中止), 5カ月後に腫瘍が増大したため手術を施行した.サメ軟骨抽出物は強力な抗血管新生作用を呈し,同製剤であるneovastatは米国で第3相臨床試験が施行されている.胆管腫瘍とサメ軟骨でPubMedでの英語文献検索を行ったところ過去の報告例はなく,極めて稀な症例と考えられた.本経験から,従来抗癌剤に耐性で標準化学療法が確立されていない胆管癌において,抗血管新生療法が有効である可能性が示唆された.
  • 石倉 久嗣, 沖津 宏, 藤井 義幸, 阪田 章聖, 木村 秀, 石川 正志, 一森 敏弘
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1175-1178
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,男性.胸部異常陰影にて外来経過観察中,定期のCT撮影にて胃小彎側に壁外性に突出する5cm大の腫瘤陰影がみられた.大彎後壁よりに5cm程度の隆起性病変があり,粘膜下あるいは壁外から圧迫されていると考えられ,粘膜下腫瘍様であった.胃壁発生GISTの術前診断にて手術を施行した.開腹所見では胃壁には異常を認めず,膵上縁に黄白色の腫瘤がみられた.腫瘍は膵との連続性は強固ではなく,腫瘤摘出術のみで手術を終えた.嚢胞内腔は重層扁平上皮で覆われ,その直下にリンパ球がみられることから,膵リンパ上皮性嚢胞と診断した.また, CA19-9染色にて重層扁平上皮が陽性に染まり,本疾患と膵組織の関連が示唆された.画像上,胃の壁外発生のGISTとの鑑別を要した膵上縁に発生したリンパ上皮性嚢胞を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告した.
  • 梁井 公輔, 西原 一善, 勝本 富士夫, 森 敏尚, 中守 真理, 豊島 里志, 光山 昌珠
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1179-1183
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は初診時64歳の女性. 1990年2月右乳癌(潜在癌)の診断で拡大乳房切除術施行した(Stage III,充実腺管癌).術後はタモキシフェン, UFT®を5年間内服.1998年5月(71歳)性器出血から子宮体癌と診断,同年7月準広汎子宮全摘術施行され,組織検査では小細胞癌(Stage IIIc)であった.術後補助化学療法としてカルボプラチン+エトポシドを6コース施行. 1998年12月(72歳)子宮癌の経過観察中腹部超音波検査で膵体部癌を発見され, 1999年3月膵体尾部切除術,術中放射線照射25Gy施行された(Stage II,高分化腺癌).膵癌術後5年10カ月経過したが,無再発生存中である.本症例では子宮体癌術後の経過観察中に膵癌を比較的早期に発見できたことが長期生存の大きな要因と考えた.
  • 高 順一, 吉武 理, 藤田 省吾, 村上 雅彦, 草野 満夫
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1184-1187
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    リンパ嚢腫は腎移植術の術後合併症としてしばしば経験する.われわれは腎移植後のリンパ嚢腫に対して,腹腔鏡下に開窓術を行い,良好な結果が得られたので報告する.患者は40歳,男性.生体腎移植術後7日目にリンパ嚢腫と診断した.徐々に嚢腫が増大し,水腎症,腎機能障害をきたしたため,経皮的ドレナージ施行.硬化療法を行うも改善されず,腹腔鏡下開窓術を施行した.手術時間70分,出血量は少量,術後4日で退院し, 11カ月間再発を認めていない.本術式は低侵襲で早期に退院でき,非常に有効な術式であると考えられた.
  • 本山 一夫, 伊藤 雅史, 安藤 正幸, 兼子 順, 関根 毅, 前島 静顕
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1188-1193
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Pseudo-Meigs症候群を呈した上行結腸癌両側卵巣転移の1例を経験したので報告する.症例は48歳,女性.全身倦怠感,呼吸困難を主訴に当院救急外来を受診し,貧血と右胸水の貯留を認めたため入院した.下腹部に巨大腫瘤を触知し,腹部超音波, CT検査にて25cm大の巨大な左卵巣腫瘍と5cm大の右卵巣腫瘍を認めた.大腸内視鏡検査では上行結腸に2型,全周性の腫瘍を認めた.腫瘍マーカーはCEA 52.8ng/ml, CA125 312U/mlと著明な高値を示した.大腸癌と両側卵巣癌およびPseudo-Meigs症候群による胸水貯留と診断し,右半結腸切除術,単純子宮全摘・両側卵巣切除術を施行した.術後免疫組織染色にて大腸癌の両側卵巣転移と診断された.術後経過は良好で,胸水は著明に減少した.胸水および腹水を合併している女性骨盤内腫瘤症例においては本症候群を念頭において精査を進めるとともに,消化器系の悪性腫瘍の検索をすることが重要であると思われた.
  • 萩原 謙, 橋爪 正明, 角田 元, 吉田 直, 河口 忠彦
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1194-1198
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は74歳女性.腹痛を主訴に来院した.腹部所見は腹部全体に反跳痛を認め,血液検査で著明な炎症反応を認めた.腹部CT, MRI検査にて,近侯小腸間膜内に4.5×8.0cmの境界不明瞭な腫瘤状病変を認め,小腸腸間膜脂肪織炎と診断した.試験開腹,腹腔鏡も含め手術も考慮したが,保存的治療を継続し徐々に症状は改善し軽快退院となった. 1カ月, 3カ月後の経過観察CTにて腫瘤の縮小を認めた.今回われわれは術前に診断し手術を回避しえた稀な小腸腸間膜脂肪織炎の1例を経験したので報告する.
  • 東 正樹, 中村 利夫, 倉地 清隆, 林 忠毅, 鈴木 昌八, 今野 弘之
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1199-1202
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は36歳,男性. 27歳時に虫垂切除の既往がある. 2004年1月から繰り返す下腹部痛のため近医を受診したが,イレウスと診断され保存的治療を受けていた. 8月31日から再び下腹部痛を認めたため, 9月3日当科を受診し,イレウスの疑いで同日入院した.腹部CTで回腸末端部の肥厚を認めた.繰り返す腹痛の究明および治療のため, 9月6日腹腔鏡補助下手術を施行した.腹腔鏡下にて観察すると回腸末端部の壁肥厚と同部位の癒着を剥離すると腸間膜から膿の流出を認めたため,回腸腸間膜膿瘍と診断し,回盲部切除術を施行した.切除標本では回盲弁から約2cmの回腸に憩室を認め,同部位に腸間膜膿瘍を形成していた.病理組織学的所見では腸管の固有筋層を貫く仮性憩室を認め,周囲に膿瘍を形成しており,回腸憩室穿通に伴う腸間膜膿瘍と診断した.術後経過は良好で術後第13病日で退院した.
  • 森岡 徹, 高間 雄大, 仲田 裕
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1203-1207
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    大網裂孔ヘルニアは稀な疾患であり最近経験した2例について報告する.症例1: 82歳,女性.昼食後,急に腹痛,嘔気,嘔吐が出現し,近医より当院に紹介され緊急手術を施行した.大網下部遊離端近くの裂孔に小腸が30cmにわたり嵌入し絞扼され,壊死していたため小腸切除を行った.症例2: 82歳,男性.急に上腹部痛が出現し,嘔吐も出現したため,近医より当院に紹介された.腹部CTで腹水と,上行結腸および横行結腸の腹側にヘルニア門と思われる一点を中心に,放射状に分布する拡張した小腸が認められた.大網裂孔ヘルニアによる小腸閉塞が疑われ,まず腹腔鏡で腹腔内を観察したが,血性腹水と右上腹部大網前面に壊死小腸を認めたため開腹術に変更した.大網の異常裂孔内に小腸が嵌頓し壊死していたため,大網を切開開放し,小腸を切除した.開腹歴のないイレウスにおいて本症も念頭に置く必要があると思われ,その診断に腹部CTや腹腔鏡は有用であると考えられた.
  • 長田 俊一, 石部 敦士, 高橋 徹也, 小尾 芳郎, 山中 研, 阿部 哲夫
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1208-1212
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は41歳,女性.主訴は腹部膨満感.平成15年10月に鼠径ヘルニアの手術.術後より腹部膨満感出現.胸やけが出現したため前医受診.腹部腫瘤の診断で当科紹介となった.平成16年6月2日手術を行った.腫瘍は,右側後腹膜にあり,上縁は肝および十二指腸,下縁は総腸骨動静脈,内側は尿管に接し,上行結腸および右腎は内側に押し上げられていた.腫瘍を周囲後腹膜より剥離し,腸腰筋の筋膜は合併切除したが,右腎は温存した.腫瘍径40×29×17cm,重量7,108g.紡錘形細胞が密に花筵状storiformに増殖している部分と紡錘形細胞が粗で粘液状基質を有する部分とが混在している病理所見からMFHと診断された.術後5カ月が経過し,再発は認めなかった.巨大な後腹膜MFHは稀と考えられ文献的考察を加え報告する.
  • 松原 長樹, 味元 宏道, 石黒 源之
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1213-1215
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は50歳,男性.アルコール性肝硬変にて治療中に腹水のコントロールが困難となった.腹部の膨隆に続いて臍部の突出をみとめる様になったので外科的治療が必要と診断され当科を紹介された.臍ヘルニアは双手拳大で表面は暗赤色であった.腹部CTでは著明な腹水を認め,臍ヘルニア内は腹水が充満していた.肝表面は不平であった.最初の手術は腹壁の一期的縫合をしたが,術後腹壁の〓開をきたした.そこで2回目の手術では腹壁の縫合に加えて腹腔・静脈シャント (Denverシャント)を留置し著効を得た.成人臍ヘルニアは嵌頓したり破裂する危険な合併症をきたすので,その原因を考慮した治療を早急に行わなければならない.
  • 田中 善宏, 渋谷 智顕, 山本 悟, 竹内 賢, 渡辺 敦, 久野 壽也
    2005 年 66 巻 5 号 p. 1216-1220
    発行日: 2005/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    平滑筋肉腫は,皮膚や皮下軟部組織に発症することはきわめて稀である.今回われわれは,右大胸筋内に発症した平滑筋肉腫の1例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は70歳男性.主訴は右前胸部の皮下腫瘤.右前胸部に20×5mm大の皮下腫瘤を認めた.皮膚の変色は認めず,自発痛・圧痛も認めなかった.過去7年間に3回の右大胸筋原発の平滑筋肉腫を切除されていたが,今回3回目の前胸部での局所再発の診断のもとに,腫瘤広範囲切除を行った.免疫組織化学検査にて平滑筋肉腫局所再発と診断された.過去7年間にわたり,他臓器の腫瘍性病変は認めず,右大胸筋内の血管平滑筋原発の平滑筋肉腫の局所再発と考えられた.術後4カ月を経過している現在,再発・転移徴候は認めていないが,今後さらに厳重な経過観察を要するものと考える.
feedback
Top