日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
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66 巻 , 7 号
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  • 斎藤 和好
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1517-1527
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 太枝 良夫, 磯野 敏夫, 吉岡 茂, 貫井 裕次
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1528-1533
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    早期乳癌において腋窩リンパ節郭清省略の可能性のある症例に対し,局所麻酔下のセンチネルリンパ節生検法と乳房部分切除の逐次療法を施行した日帰り手術について検討した.局所麻酔下のセンチネルリンパ節生検を先行させる意義は,摘出センチネルリンパ節を永久標本として微小転移などの検索を十分に行うことにより,偽陰性を回避する点にある.さらに術中迅速診断に比較し,病理診断医や技師の被爆回避を徹底できる点も有用である.日帰り手術の治療費は入院手術のそれに比べ2分の1以下となり,医療費の削減にも有用であった.
    本手法によるセンチネルリンパ節生検法を先行させる乳癌日帰り手術は,腋窩リンパ節郭清を省略した乳房部分切除術を行ううえで比較的安全かつ容易に行える治療の一選択肢になり得る有用な方法と思われた.
  • 坂部 龍太郎, 平林 直樹, 多幾山 渉, 山本 英喜, 住谷 大輔, 嶋田 徳光, 佐藤 幸雄, 佐伯 修二, 向田 秀則, 山下 芳典, ...
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1534-1539
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    当科で施行している十二指腸潰瘍穿孔保存的治療に対するクリニカルパス (CP) の妥当性,有用性を検討した.当科では平成13年8月より十二指腸潰瘍穿孔に対する保存的治療を開始し,良好な結果を得てきた.これらのデータに基づいて平成15年4月に十二指腸潰瘍穿孔保存的治療に対するCPを作成し,現在までに10例に対して運用してきた.本稿ではCP導入前後の比較を行い,バリアンスに関して要因別に検討した. CP導入前後で治療経過に大きな差は認められなかったが, CP導入後は入院期間が短縮し入院医療費が減少する傾向があった. CP導入後,重篤な合併症や手術への移行は経験しておらず,バリアンスは許容できるものであった.当科の十二指腸潰瘍穿孔保存的治療に対するCPは妥当なもので,治療法の開示と標準化,簡略化を図る上でCP導入の効果は大きいと考えられた.
  • 最相 晋輔, 須藤 一郎, 江田 泉, 末光 浩也, 大塚 昭雄
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1540-1547
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    目的: 90歳以上の超高齢者に対する開腹手術について,当施設の現状と問題点を検討する.対象: 1994年1月から2004年12月までの,当施設の開腹手術1,571例中, 90歳以上の症例は21例 (1.3%) であった.これらの原因疾患や併存疾患,手術,術後合併症・経過より,超高齢者開腹手術における問題点を検討した.結果:平均年齢92.4歳で,最高齢は99歳であった. 20例が術前併存疾患を有し,大半が循環器疾患であった.悪性疾患は8例で,施行術式は,根治手術3例,姑息的手術5例であった.術後合併症は20例に認め,呼吸器合併症,せん妄,廃用症候群が多かった.術後死亡は9例で,手術関連死4例,全身衰弱4例,癌死1例であった.結論:当施設の90歳以上の超高齢者開腹手術は,在院死亡40%余で予後不良であった.今後,周術期管理を見直し,手術成績の改善に努めるとともに,早期退院と退院後の社会生活を安心して営めるよう,地域の介護支援システムの構築が急務である.
  • 大見 良裕, 稲葉 宏, 齋藤 浩幸, 長谷川 信吾, 大見 琢磨, 深野 雅彦, 星 加奈子, 城 俊明, 山本 雅由, 中橋 ちぐさ
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1548-1554
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    高位の痔瘻10例(高位経外肛門括約筋7例,そのうち3例は馬蹄型,高位筋間3例)に対して,一次口,一次瘻管,内肛門括約筋,原発巣,皮下外肛門括約筋をseton法で切開開放とする手術を行い,その効果を検討した.
    1年以上経過観察により, 8例は治癒した. setonが脱落するまでの期間は6日から38週で,平均17.9週で,治癒するまでの期間は7~38週で平均17.9週であった.治癒しなかった2例はいずれも高位経外肛門括約筋痔瘻(うち1例は馬蹄型)であった.手術後の肛門機能は治癒した8例で全て良好であった.
  • 神田 和亮, 井上 啓爾, 北島 知夫, 小原 則博, 宮田 昭海
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1555-1559
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    平成10年から平成15年までにマムシ咬傷にて当院で入院治療した46例について,臨床的特徴,血清CPK値,血中尿中ミオグロビン値と重症度の関係,セファランチンや乱切など治療と重症度の関係について検討した.マムシ咬傷の男女比は27:19, 受傷部位は90%以上が手先や足先であった.年齢は50代から70代にピークが,受傷時期は7月から9月にピークがあった.死亡例はなく,合併症として肩関節拘縮1例,手指拘縮1例を認めた.血清CPK値,血中尿中ミオグロビン値と重症度分類の検討では,重症度があがるほど高値を示す傾向がみられた.血清CPK値,血中尿中ミオグロビン値は,病状の程度の推定に有用であった.乱切やセファランチンが病状の進行を阻止するデータは得られなかった.またマムシ抗毒素血清,セファランチン,乱切など治療について文献的考察を加えた.
  • 岡崎 啓介, 松本 健太郎, 岡本 好司, 小西 鉄巳, 永田 直幹, 伊藤 英明
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1560-1564
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    職業との関連が示唆されるStreptococcus intermediusを起炎菌とするガス壊疽の1例を経験した.症例は42歳,男性,歯科医.薬剤アレルギー歴あり. 2週間前より特に外傷なく右腋窩に疹痛と腫脹を生じ, 5日前より同部の自潰排膿があり,患者自ら歯科診療所の器具を用い自潰部を縫合した.右腋窩および胸部の痔痛と発熱を主訴に来院.来院時縫合部より出血および排膿がみられ,右腋窩および胸部の発赤熱発と触診上の握雪感を認めた.炎症反応も強く, X線検査でも筋層内に気泡を認めたため,ガス壊疽と診断し直ちに手術的にデブリードマン,ドレナージ施行.薬剤リンパ球刺激試験で陰性の抗生剤投与に加え高圧酸素療法も併用した.最終的に二次縫合し退院となった.本症例で分離されたS. intermediusは,以前はS. milleriグループに分類されており,口腔内特に歯科領域で分離される.今回の症例では感染巣の増悪に関与したものと考えられた.
  • 田中 覚, 三好 和裕, 竹田 幹
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1565-1569
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    本邦では稀とされる,乳癌による癌性髄膜症の1例を経験した.症例は40歳,女性. 2002年1月18日,当科にて右乳癌(T3 N2 M0 Stage IIIA)に対して胸筋温存乳房切除術 (Bt+Ax+Ic) を施行し,術後内分泌療法(TAMおよびLH-RH analog),化学療法(CAF療法を6クール施行後5'-DFUR内服)を行っていた. 2004年8月1日より頭痛,後頸部痛が出現し,精査加療目的で入院となった.頭部MRIおよび髄液細胞診にて,癌性髄膜症と診断された.他臓器転移を認めず, Methotrexateの髄腔内投与が施行された.一時的に症状は改善したが,発症から151日目で死亡した.
    本邦では,乳癌による癌性髄膜症の報告は, 2004年7月までに自験例を含めて14例であったが,そのうち他臓器転移を認めず癌性髄膜症を単独できたした症例は,自験例を除くと1例のみであった.
  • 吉田 寛, 真々田 裕宏, 谷合 信彦, 古川 清憲, 秋丸 琥甫, 田尻 孝
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1570-1573
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    肝切除後に真菌性眼内炎を併発し,早期の抗真菌剤投与により症状の改善を認めた肝硬変合併肝細胞癌の1例を経験したので報告する.症例は68歳,男性で,肝細胞癌の手術目的で入院となった.術前6日に中心静脈カテーテルを挿入して高カロリー輸液を開始し,肝亜区域切除術を施行した.術後食事摂取が不良であったため高カロリー輸液を継続した.第21病日に39.5°Cの発熱を認め,カテーテル感染を疑い抜去した.翌日,解熱傾向を認めたものの,目のかすみ,眼痛などの眼症状が出現した.真菌性眼内炎を疑い,同日fluconazole 200mgの静脈投与を開始した.眼所見は両眼球結膜充血,右眼底白色滲出斑,角膜後面沈着物を認め網脈絡膜炎の状態であったが硝子体は正常であった.以上の所見より真菌性眼内炎と診断した. fluconazoleの静脈投与を継続し, 4週間後には眼底所見改善とともに自覚症状も軽快した.
  • 荒居 琢磨, 松下 明正, 久保 周, 熊木 俊成, 春日 好雄, 上原 剛
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1574-1577
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    17歳,女性に発生し,術前乳腺線維腺腫と診断された乳腺管状腺腫の1例を経験したので報告する.症例は17歳の女性.左乳房腫瘤を主訴に当科外来を受診した.初診時,左乳房CD領域に大きさ20×20mmの可動性良好の腫瘤を触知した.穿刺吸引細胞診検査では, class II(乳腺線維腺腫)であったため,腫瘍摘出術が行われた.病理組織学的検査所見では, α-smooth muscle actin染色を合わせて行い乳腺管状腺腫と診断された.乳腺管状腺腫は乳腺の上皮性良性腫瘍で稀な疾患であり,本邦の報告は50症例に満たない. 20歳未満の若年者は本症例を含めて9例で全症例の約23%であったが,術前診断はほとんどが線維腺腫であり,悪性を疑ったものは認めなかった.
  • 神 康之, 笠原 彰夫, 米山 克也, 菅野 伸洋, 玉川 洋, 山本 裕司
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1578-1582
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    マンモグラフィ上病変内に石灰化を認め,乳癌との鑑別が困難であった乳腺血管腫の症例を経験したので報告する.症例は68歳,女性. 1988年頃より右乳房腫瘤を自覚.近医で精査を行い良性腫瘍と診断され,その後9年間放置. 1997年に乳癌検診を受診して異常を指摘され,当科初診.マンモグラフィ上病変内に石灰化がみられ,超音波検査,穿刺吸引細胞診を施行したが確定診断には至らず,術中迅速病理診断を行う方針で手術に臨んだ.結果は血管腫であり,腫瘍切除にとどめた.術後6年11カ月が経過したが,再発の兆候はない.検索しえた限りで,病変内に石灰化を有する乳腺血管腫は,自験例を含めて2例しかなく,極めて稀な疾患と考えられた.
  • 岩村 道憲, 島田 和生, 松本 哲平, 品川 裕治, 廣吉 元正, 武田 成彰
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1583-1586
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,女性,右乳房のしこりが急速に大きくなったため受診した.右乳房に各々径9cm, 5cmの弾性軟の腫瘤を触知し,超音波とマンモグラフィ検査の所見からは葉状腫瘍が最も考えられた.しかし針生検では非常に高分化な癌の可能性が高いと診断され,胸筋温存乳房切除術およびレベルIリンパ節郭清が施行された.病理組織所見は2個とも純型の粘液癌であり,乳管内進展による連続性を認めた.腫瘍内には出血がみられ,この出血巣が超音波検査で後方エコーの増強を伴う無エコー部と帯状の低エコー部として描出され,葉状腫瘍と酷似した超音波所見を呈したものと思われた.出血の原因として内服中の抗血小板薬が関与した偶発出血が最も考えられたが,マンモグラフィ時の圧迫も出血を助長した可能性があり,粘液癌のように柔らかい腫瘍で,特に本症例のように腫瘍が大きい場合は注意が必要と思われた.
  • 坂尾 寿彦, 加洲 保明, 杉下 博基, 梶原 伸介
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1587-1589
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,女性.動悸息切れを認め当院入院した.心エコー心臓カテーテル検査でバルサルバ洞動脈瘤破裂と診断し,人工心肺下にパッチ閉鎖術を施行した.術後経過は良好であったが, 13カ月後に抜歯を施行し,その後発熱が出現した.発熱が治まらず当科入院となった.経胸壁心エコーで大動脈弁逆流を3度と大動脈弁に疣贅様の陰影を認め,血液培養でα溶連菌を検出した.ペニシリンGを投与し解熱した.人工心肺下に大動脈弁置換術を施行した.術中の経食道心エコーで大動脈弁弁膜瘤を認めた.左冠尖に径1cmの左室側に突出する弁膜瘤を認めたが,細菌性の疣贅はなく弁輪部への炎症の波及も認めなかった.術後経過は良好であった.大動脈弁弁膜瘤は稀な疾患で,感染性心内膜炎に合併することが多い.バルサルバ洞破裂修復術後に発症した報告例は調べた限りなく,文献的考察を加え報告した.
  • 菅原 由至, 毛利 教生, 永江 隆明, 向井 憲重, 山口 昇
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1590-1594
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    大動脈瘤の消化管穿破は稀な病態であり,外科治療には人工血管感染の予防や消化管再建の工夫が必要である.本病態を呈した1症例を救命したので報告する.症例は55歳,男性.約1カ月前にCTで腎下部腹部大動脈瘤と診断されていたが,手術を拒否していた.今回,腰痛と吐下血を主訴にショック状態で搬送された.同大動脈瘤の破裂と診断し緊急手術を行ったところ,炎症性動脈瘤の所見を認め,十二指腸第3部内へ穿破していた.腸液汚染によるグラフト感染が危惧されたので,腹腔内での血行再建を回避した.瘤の中枢側で大動脈を閉鎖し,破裂腸管を一期的に縫合閉鎖した.閉腹後に左腋窩両側大腿動脈バイパス術により下肢の血行再建を行った.感染徴候なく経過良好で術後第17病日に退院した.消化管内に破裂した腹部大動脈瘤に対して,大動脈の離断閉鎖と非解剖学的バイパス術による血行再建が有効であった.
  • 田中 浩一, 近藤 征文, 岡田 邦明, 石津 寛之, 秦 庸壮, 加藤 治文
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1595-1599
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胸壁浸潤を伴う高齢者肺癌症例に対しe-PTFE patchと広背筋弁との併用による胸壁再建術を行った.症例は81歳男性.胸壁浸潤を伴う左S3原発の扁平上皮癌と診断し手術を行った.第3, 4, 5肋骨および前鋸筋と小胸筋の一部を左肺上葉と共にen-blockに切除した.胸壁欠損は約12×10cmで,同部にe-PTFE patchを補填し固定した.さらに強度を安定させるためその上層に有茎広背筋弁をのせ,周辺を大胸筋,前鋸筋,大円筋に固定した.術後奇異呼吸はみられず術後のQOLは良好であった.現在術後4年を経過し無再発生存中である.側胸部のように胸壁が薄く人工材料あるいは筋肉弁補填単独では強度が不十分となりやすい部位に適した胸壁再建方法といえる可能性が示唆された.
  • 高安 肇, 山岸 純子, 大谷 祐之, 石丸 由紀, 池田 均
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1600-1604
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Morgagni孔ヘルニアは比較的稀な横隔膜ヘルニアであり,その手術の工夫については腹腔鏡手術を含めて様々な報告がある.私たちはLa GrecaやAzzieらの報告をもとに大網を内容とするMorgagni孔ヘルニアの1例において腹腔鏡補助下の腹壁外結紮法を施行した.ヘルニア門の前縁が不明瞭で縫い代の確保が困難な本症において,本法はヘルニア門後縁の横隔膜を腹壁外から前腹壁に縫合しヘルニア門を閉鎖する方法であり,簡便かつ確実で,整容的にも満足のできる優れた方法である.
  • 徳原 孝哉, 原 章倫, 高橋 優子, 常深 聡一郎, 泉 信行, 岩本 伸二
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1605-1609
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は42歳,女性. Mt領域の早期食道癌に対し,右開胸開腹食道亜全摘術(胃管再建,胸骨後経路)およびリンパ節郭清術を施行した.術当日に白血球数が1.1×103/μlと急激に減少したため, G-CSF投与を開始した.白血球数の回復は緩徐であったが,全身状態は安定して経過した.術後9日目に突然,発熱,呼吸困難,血圧低下が出現しショック状態となった.著明な汎血球減少,日和見感染を疑わせる左側腹壁の炎症性変化を認めたため,何らかの血液疾患の存在を疑い,術後11日目に骨髄穿刺を施行した.骨髄穿刺像にて,マクロファージによる白血球,赤血球,血小板の貪食像を多数認め,血球貪食症候群と診断した.ステロイドパルス療法を開始したが,最終的にDIC, MOFを合併し死亡した.外科手術を契機に血球貪食症候群を発症することは稀であるが,的確な診断のためには,術後合併症の一つとして本症を念頭に入れる必要があると考えられる.
  • 南 英夫, 村上 望, 小竹 優範, 小泉 博志, 伴登 宏行, 山田 哲司
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1610-1613
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は43歳,男性. 27歳時に,家族歴および筋生検の結果よりBecker型筋ジストロフィーを指摘されていた.今回摂食不良にて当院受診,精査の結果胃癌と診断され,胃全摘術を施行した.
    るいそうや血清CK値の上昇は認めたが,著明な筋力低下や歩行障害といった筋ジストロフィーにみられる徴候はなかった.遺伝子検査を施行したところ, dystrophin遺伝子の欠失を認め, Becker型筋ジストロフィーを示唆する所見が得られた.筋ジストロフィー患者は一般的に短命であり,死因として呼吸不全や心不全が多い.手術を行う際にも,術中・術後の呼吸器および循環器系の合併症に注意する必要がある.
  • 岡田 了祐, 葦沢 龍人, 寿美 哲生, 増田 茂, 片桐 智子, 青木 達哉
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1614-1618
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    腫瘍はさまざまなサイトカインを産生し,その進展を促すとともに随伴症状を呈する.今回,胃癌術後類白血病反応を呈したG-CSF, IL-6を産生する再発例を経験した.症例は55歳,男性.平成13年12月胃全摘術が施行され,翌年11月より39°C台の発熱, WBC, CRP, CEA, CA19-9などの著明な上昇を認めた.骨髄検査では,反応性の骨髄過形成以外異常所見はみられず血液疾患は否定された.左腎上極外側に6×4cmの腫瘤を認め,組織学的に胃癌の再発腫瘍と診断された.また,腫瘍の細胞質にG-CSF, IL-6の陽性所見を認め各血清値 (242.0pg/ml, 60.3pg/ml) への反映が示唆された.病状はしだいに進行し類白血病反応を呈するとともに,癌性悪液質のため平成15年1月永眠された.死亡前の白血球数114,960/μl, CRP 16.18mg/dl, CEA 229.79ng/ml, CA19-9 491.57U/mlまで上昇した.術後の急速な進展と生体反応は, G-CSFおよびIL-6の強い影響が示唆された.
  • 五十嵐 章, 小里 俊幸, 斉藤 孝晶
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1619-1623
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は49歳,男性.吐血を主訴に来院,上部消化管内視鏡検査で胃体上部にDieulafoy潰瘍が認められ,クリップにて止血した.止血後のフォローアップ内視鏡検査で瘢痕化した潰瘍の口側に発赤を伴う不整な粘膜病変が認められ,生検の結果は中分化型腺癌であった.手術は胃全摘術を施行した.病理組織では広範囲なIIc病変(深達度m) 内に潰瘍瘢痕が認められた.潰瘍瘢痕の粘膜下層に小動脈の蛇行,内膜肥厚の所見があり出血の原因と判明した. Dieulafoy潰瘍類似の早期胃癌症例は,検索しえた範囲内では本邦で16例目と少なく,稀な疾患であった.出血性潰瘍病変に内視鏡的止血術を行った後は,止血の確認のみならず,癌の併存にも注意が必要と思われた.
  • 長田 博光, 横尾 直樹, 北角 泰人, 吉田 隆浩, 北村 好史, 岡本 清尚
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1624-1628
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,男性で,平成15年11月より間欠的心窩部痛を自覚し,平成16年1月8日近医を受診した.上腹部に腫瘤を指摘され, 1月9日精査加療目的に当院紹介受診した.上部消化管X線透視,上部消化管内視鏡,腹部CTなどにより,有茎性巨大胃体部癌の診断で1月29日幽門側胃切除術, 2群リンパ節郭清を施行した.病理組織診断では胃原発の小細胞癌であった.一般的に胃小細胞癌は悪性度が高く,極めて予後不良な例が多いことから,術後早期より全身化学療法を開始した.画像上術後7カ月目に膵頭部近傍のリンパ節再発を認めたが,引き続き全身化学療法を継続した結果,術後1年を経過した現在もリンパ節再発の増大傾向なく, QOLを維持しながら外来通院化学療法中である.巨大腫瘤を形成した自験例は胃小細胞癌報告例の中でも非常に稀であったため,治療経過を含めて,若干の文献的考察を加え報告する.
  • 冨松 裕明, 番場 嘉子, 中野 達也
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1629-1633
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は81歳,女性.右中下腹部に腫瘤を触知され入院.上行結腸癌の診断で結腸右半切除術を施行.術後2カ月半経過して,胆汁性嘔吐が出現し再入院した.上部消化管造影では,十二指腸下行部下端で屈曲狭窄し, Treitz靱帯がなく,右腹部にある空腸にそのままつながっていた.腸回転異常による腸の捻転で十二指腸狭窄が生じていると診断し手術を施行した.術中所見では,十二指腸からつながる腸管が右上後腹膜へ癒着していた.それを剥離すると,十二指腸と空腸の境界が不明瞭で,小腸間膜の固定が全くなく,空腸起始部が正常の位置に対し180度時計方向に回転しているのが判明した.再び捻転しない様に,腸管を正常の解剖の位置に戻し固定し,手術を終えた.この様な症例は稀と思われ報告した.
  • 瓜園 泰之, 勝井 錬太, 上山 直人
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1634-1638
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    シートベルトは,頭部,胸部の重篤な外傷を予防するために必要であるが,シートベルトによる腹腔内臓器損傷の報告も増加している.今回,シートベルトに起因すると思われた小腸損傷の4症例を経験したので報告する.男性3例,女性1例で,全例,トラック,乗用車および軽四自動車の運転者であった. 3症例は搬入時には,腹膜刺激症状がはっきりせず,画像検査上も異常は認めなかった.治療は手術により,小腸部分切除か損傷部の縫合閉鎖を施行し,術後の経過は順調であった.
    腹部をハンドルなどで直接打撲していない場合においてもシートベルト痕を認めれば,時間の経過とともに消化管損傷による腹膜刺激症状や画像所見での異常がはっきりしてくるので,慎重に観察することが重要であると考える.
  • 石黒 要, 今井 哲也, 品川 誠
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1639-1642
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,女性.慢性関節リウマチのため10年以上プレドニゾロン10mg/日を服用していた. 2003年9月18日,腹痛を認め救急車にて搬送された.腹部CT検査にて小腸穿孔・汎発性腹膜炎と診断,手術を施行した.回盲部より30cm口側の回腸に穿孔を認め,小腸切除術を施行した.病理組織学的検査では,潰瘍底にカンジダの増殖を伴う潰瘍を2カ所に認め,うち一方が穿孔していた.医学中央雑誌で過去10年間を検索したが,カンジダによる成人の小腸穿孔の報告はなかった.カンジダは易感染性の患者に日和見感染症を起こし重篤になる場合がある.小腸カンジダ症は稀ではあるが,潰瘍や穿孔の一因になりうるということを,再度認識する必要があると思われた.
  • 小林 靖幸, 戸田 央, 大場 宗徳
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1643-1646
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は48歳,女性.持続する下痢を主訴に近医受診し, CTで腹部腫瘤・肝腫瘤を指摘され当院入院となった. CTでは腸間膜に6cmの腫瘤を認め,肝には3mmから15mmの腫瘤を50個以上認めた.肝生検でカルチノイド腫瘍の肝転移と診断され手術を施行した.開腹時多数の腹膜播種を認めた.腸間膜腫瘤は径6cmで周囲組織はこの腫瘤に向かい牽縮していた.腸間膜が広範に巻き込まれていたため十分な長さの回腸切除を伴う回盲部切除を施行した.原発巣は回腸にあり, IIa様で8×8mmであった.病理組織診断では深達度mpのカルチノイド腫瘍であった.腸間膜腫瘍はリンパ節転移で,周囲に著明な線維化を伴っていた.本邦では小腸カルチノイドは少ないがその転移率は高い.しかし自験例のように原発巣が8mmにもかかわらず大きなリンパ節転移を伴い,多発肝転移,腹膜播種までもきたした症例は非常に稀である.今後このような症例に対する集学的治療の確立が望まれる.
  • 宮澤 智徳, 冨田 広, 牧野 春彦
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1647-1650
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    腸重積を伴った回腸原発の血管脂肪腫の1例を経験したので報告する.症例は53歳,男性.突然の下腹部痛を主訴に当院を受診した.腹部CT検査で終末回腸から上行結腸にかけてmultiple concentric ring signを,横行結腸内に3cm大のlow densityな腫瘤を認めた.以上から,回腸の脂肪腫が先進した腸重積と診断し,緊急手術を施行した. Hatchinson手技で重積を解除し回盲部切除にて腫瘤を摘出した.切除標本では終末回腸に5cm大の有茎性腫瘍を認めた.病理組織学検査は成熟脂肪組織と毛細血管の増生からなる腫瘍で血管脂肪腫の所見であった.
  • 井上 雅史, 玉井 伸幸, 石倉 孝訓, 栗栖 泰郎, 岩永 幸夫, 豊田 暢彦
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1651-1655
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胃癌,大腸癌を合併した空腸GISTの1例を経験した.患者は87歳,男性.近医で早期胃癌と診断され,当院紹介入院となった.術前検査で小腸腫瘍,大腸癌の合併を認めた.術前経過中にDICを合併したため,過大侵襲を考慮し,早期である胃癌は二期的に手術することとし,小腸部分切除術,回盲部切除術のみ施行した.摘出標本で大腸癌は中分化腺癌であった.空腸腫瘍は管内管外性に増殖しており, HE染色で異型性に乏しい紡錘形腫瘍細胞が索状に増殖していた.免疫染色でc-kit (+), CD34 (+), S-100蛋白 (-) であり,狭義の良性GISTと診断した. GISTと消化器癌合併の本邦報告例は本例を含め14例で,死亡例は3例であった. GISTと合併癌の手術療法は良好な予後が期待できると考えられた.
  • 繁本 憲文, 坂下 吉弘, 橋本 泰司, 高村 通生, 近藤 成, 金 啓志
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1656-1659
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    炎症所見を認めなかった魚骨による虫垂穿孔の1例を経験した.症例は55歳,男性.右下腹部痛を主訴に来院した.血液検査と画像検査にて炎症所見を認めなかったが,理学的所見から急性虫垂炎などの炎症性疾患を否定しえなかった.手術を施行し魚骨による虫垂穿孔と診断した.誤嚥された魚骨が虫垂を穿孔することは稀である. 1989年以降,本邦に於いて報告された魚骨による虫垂穿孔例は自験例を含め18例であった.多くは虫垂炎や回盲部膿瘍などの炎症性疾患の術前診断にて開腹手術が施行されており,術前に診断に至ったものは3例であった.また,血液検査,画像検査にて異常を指摘できなかった例が2例みられ,理学的所見を軽視できないことが示唆された.文献的考察を加えて報告する.
  • 佐野 佳彦, 山川 知洋, 佐々木 学
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1660-1664
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    急性虫垂炎で発症し,病理学的検索で虫垂好銀性カルチノイドと診断した症例を経験した.症例は36歳女性.下腹部痛を主訴に入院した.右下腹部に筋性防御を伴う圧痛を認めたが,入院2日目に理学的所見,炎症所見ともに増悪したため,急性虫垂炎として,虫垂切除術を施行した.病理組織学的には,虫垂粘膜下層を主座に,球状で,粗大なクロマチンを有し,比較的均一な核を有する細胞のシート状,胞巣状,一部索状の増生がみられ,腫瘍細胞はchromogranin A染色陽性, Grimelius染色陽性, Fontana-Masson染色陰性であり,虫垂好銀性カルチノイドと診断した.組織学的に断端陽性であったため, 55日後に追加切除(回盲部切除)を行ったが,摘出標本に腫瘍細胞はみられなかった.術後1年4カ月の現在再発の徴候はみられない.虫垂好銀性カルチノイドは極めて稀であるため,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 根本 洋, 吉澤 康男, 相田 邦俊, 笹屋 昌示, 緑川 武正, 真田 裕, 楯 玄秀
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1665-1669
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,女性.下腹部痛,全身浮腫および炎症所見陽性より入院し,回盲部腫瘤を認めた.入院中に消化管穿孔が発症し,緊急に回盲部切除を行った.摘除標本では回盲部が硬く肥厚し,その口側に穿孔を伴う輪状潰瘍が認められた.腫瘍細胞は虫垂より回腸末端にみられ虫垂杯細胞カルチノイド(本疾患)の回腸浸潤と診断した.また,サイトケラチン染色ではCK20陽性で大腸癌に特異的とされるパターンと同一であった.本例のサイトケラチン染色の結果は,カルチノイドのうちでも特に予後不良とされる本疾患の性格を考慮する上で,大変興味深い.
  • 池田 宏国, 辻 和宏, 斉藤 誠, 平川 栄一郎
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1670-1674
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は84歳,女性.腹部膨満感を主訴に当院内科を受診,腸閉塞症の診断にて緊急入院した.腹部超音波, CTにて肝臓に大小多数の腫瘍性病変と盲腸に腫瘤像を認め,盲腸癌による腸閉塞症および多発性肝転移を疑った.全身状態を考慮し,消化管の通過障害を改善することを目的として回盲部切除術を行った.切除標本の病理組織学的所見では,核異型・核分裂像に富む多角形の腫瘍細胞が胞巣状・充実性に浸潤増殖し,腫瘍細胞の索状の配列,ロゼット様構造も多数認められた.さらにGrimelius染色,神経内分泌マーカーによる免疫染色にて陽性反応を認め,自験例を盲腸内分泌細胞癌と診断した.大腸内分泌細胞癌は,急速に発育して早期から脈管侵襲と転移をきたす予後不良の高悪性度癌である.発生経路についても不明な点が多く,現在でも,治療法は確立されていない.
  • 神谷 和則, 宇山 亮, 唐沢 学洋, 唐沢 洋一, 河野 透, 葛西 眞一
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1675-1679
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は92歳の男性で,右下腹部の腹壁瘢痕ヘルニア部に瘻孔と血性浸出液を認めて,精査のため入院した.大腸内視鏡検査で皮膚瘻を形成した盲腸癌と診断して,腹壁瘻孔部を含めた回盲部切除術を施行した.病理検査結果では,中分化腺癌,粘液癌(瘻孔部), si(皮膚), n0, stage IIIaであった.術後経過は良好で,明らかな再発を認めなかったが, 3年10カ月後に他病死した.
    大腸癌による皮膚瘻は比較的稀であり,本邦報告例は自験例を含めて25例である.自験例は盲腸癌のため症状の出現が遅れ,また癌浸潤部が粘液癌のため,腹壁へ高度に浸潤したと考えられた.さらに癌浸潤部に癒着,腹壁瘢痕ヘルニアがあったことで,皮膚瘻が形成されたと考えられた.
  • 内本 和晃, 稲次 直樹, 吉川 周作, 高村 寿雄, 増田 勉, 榎本 泰三
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1680-1683
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    患者は34歳の男性. 2年前発症の潰瘍性大腸炎(UC)患者.重症の全大腸炎型の診断にて近医入院し中心静脈栄養,プレドニゾロン,メサラジン,顆粒球除去療法(GCAP)が施行された. 2カ月にわたって治療されるも症状改善せず当院紹介入院となった.転院時,呼吸困難,発熱,低酸素血症,胸部X線像にて両肺にびまん性の淡いスリガラス状の陰影を認めた.カリニ肺炎による間質性肺炎と診断し, ST合剤を投与した.これにより呼吸状態が改善し,結腸亜全摘,一時的回腸瘻, S状結腸粘液瘻造設術を行った.
    UCの治療経過中にステロイド剤や免疫抑制剤, GCAPなどが併用される.これによって免疫不全をきたし日和見感染症を合併することもある.内科的治療の限界を見極め,感染合併症を引き起こす前に手術に踏み切ることが重要と考える.
  • 山田 忍, 冬廣 雄彦, 山崎 政直, 康 純明, 新田 敦範, 田中 肇
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1684-1689
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は55歳,男性.平成15年4月人間ドックにて直腸指診を施行したところ肛門縁より約3cmの直腸壁左側に約3cm大の弾性硬で表面平滑な隆起状腫瘍を触知したため,当科紹介受診した.大腸内視鏡検査では直腸Rb領域に約1/4周を占める,潰瘍や陥凹を伴わない表面平滑な腫瘍を認めた.骨盤MRIでは直腸左側にT1, T2強調画像で等信号を示し,直腸内腔および壁外へ突出する3×2cm大の腫瘤を認めた.周囲組織への浸潤やリンパ節腫大は認めなかった.針生検可能と判断し経肛門的に針生検を施行し, HE染色で紡錘形細胞の充実性増殖を認め,免疫組織染色ではCD34強陽性,平滑筋アクチン陰性, S100陰性でありGISTと診断された.リンパ節郭清は不要,肛門機能の温存可能と判断し,経仙骨的直腸部分切除術を行った.術後約20カ月を経過したが局所再発,遠隔転移はみられない.
  • 全並 秀司, 杉浦 正彦, 寺下 幸夫, 幸 大輔
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1690-1693
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は56歳の男性.肛門痛を主訴に来院.肛門に発赤を伴う潰瘍を認め,肛門周囲膿瘍と診断し切開を延長し排膿を促した.しかし,治癒遅延があり,入院の上保存的に経過観察し肉芽形成を期待したが治癒傾向乏しく瘻孔を形成したため,痔瘻の診断にてlay open法による根治術を施行した.手術標本の病理組織診で乾酪壊死巣を認め周囲にラングハンス巨細胞があり結核性痔瘻が疑われ,さらに喀痰検査により肺結核と診断された症例を経験した.結核性痔瘻は最近非常に稀になったが,術前に診断することは困難であり,摘出病理標本による診断が必須で痔瘻の原因が結核である可能性も常に念頭に置き,肛囲膿瘍・痔瘻を診察することが重要と思われた.
  • 野中 隆, 清水 輝久, 重政 有, 柴田 良仁, 國崎 忠臣, 米満 伸久
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1694-1697
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は62歳,女性.健診にて便潜血陽性を指摘され精査目的で当院外来受診.肛門鏡,肛門指針にて肛門部3時の方向に弾性硬の可動性不良の粘膜下腫瘍を認めた.腹部造影CTにて造影効果を伴う腫瘤を認め,肛門部の悪性腫瘍を否定できないため経肛門的腫瘍摘出術を施行した.摘出標本の病理組織診断にて,顆粒状あるいは明るく広い細胞質と類円形核を有する細胞を認め,免疫組織学的にS-100蛋白陽性であり,肛門部に発生した顆粒細胞腫と診断された.
    顆粒細胞腫はSchwann細胞由来の良性腫瘍といわれている.胸壁,乳房,頸部の皮下に好発するといわれ消化管では口腔内,食道の報告が多く肛門部の報告は極めて稀といわれる.今回われわれは肛門部に粘膜下腫瘍として発見された顆粒細胞腫の稀な1例を経験したので報告する.
  • 森川 充洋, 石田 誠, 飯田 敦, 片山 寛次, 山口 明夫, 今村 好章
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1698-1702
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,男性.検診を契機に前立腺癌と診断され,他臓器スクリーニングの腹部CTにて肝内腫瘤を指摘され紹介された.腹部超音波検査では腫瘤陰影を指摘できず,単純CTでは右肝静脈周囲に不整形の低吸収域として捉えられた.経時的造影CTおよび血管造影では腫瘤辺縁よりゆっくりと内部が造影されたが,海綿状血管腫と転移性肝癌との鑑別は困難であった. MRIでも血管腫に特異的な所見は得られず,悪性腫瘍を否定できず,肝右葉切除を施行した.腫瘍は肝実質とは境界明瞭な5×3cmの充実白色調で,右肝静脈に接して存在していた.組織学的には硝子化を伴う線維組織内に血管腔が散在し,硬化性血管腫と診断された.この腫瘍の画像診断における造影効果は,広範な線維組織の血行動態を反映するため,線維化の著明な悪性腫瘍との鑑別が困難である.比較的頻度の高い肝血管腫のvariantとして本腫瘍の存在に留意すべきであると考えられた.
  • 森本 修邦, 門田 雅生, 篠崎 幸司, 川崎 靖仁, 大鶴 実, 安田 青兒
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1703-1708
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,女性. 1988年より近医にて肝嚢胞を経過観察されていたが, 2003年12月当院人間ドックの腹部超音波検査にて嚢胞内部に充実性部分を認めたため1月6日内科受診.腹部CT, MRI検査にて肝S6に長径9cmの嚢胞性病変と内部に2cm大の隆起性部分を認めたため,肝嚢胞腺腫あるいは腺癌の診断にて当科紹介受診となる.手術所見では腫瘍は肝S6表面に認め,肝外性に突出していたが,周囲への癒着は認めず,肝右葉切除術を施行した.腫瘍割面では嚢胞内部は茶褐色の浸出液と黄白色のスポンジ様の物質で充満し,嚢胞内面に長径2cmの隆起性部分を認めた.病理診断では充実性部分は海綿状血管腫でスポンジ様の物質はコレステリンの析出物であった.嚢胞として長期間経過観察されていることから嚢胞壁に存在した血管腫が嚢胞内に穿破し,血液中のコレステリンが析出したものと推測された.
  • 滝沢 宏光, 中野 基一郎, 監崎 孝一郎, 駒木 幹正, 森本 忠興, 丹黒 章
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1709-1712
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    甲状腺髄様癌術後の肝転移に対し肝動脈化学塞栓療法を施行し,以後2年間腫瘍マーカーの上昇なく病状コントロールできている症例を経験したので報告する.患者は女性. 14歳時に甲状腺髄様癌(pT2bN1bM0)にて甲状腺全摘術とD3a郭清を施行した. 17歳の頃からCEA,カルシトニン値が徐々に上昇したため種々の画像診断を行ったが再発,転移巣は明らかでなかった. 22歳時の造影CTで肝内に造影早期相で濃染する1.5cm大までの結節影を多数認め,腫瘍マーカーはCEA 852.9ng/ml,カルシトニン12,100pg/mlまで上昇していた.これらの病変に対し動脈化学塞栓療法を計3回施行した.以後2年経過するが肝の結節影に増大傾向は認めず,腫瘍マーカーはCEA 577.5ng/ml,カルシトニン6,400pg/mlとピーク時より低下したレベルで横ばいとなっており健在である.
  • 小林 裕幸, 野崎 英樹, 清水 稔, 秀村 和彦, 田中 千恵, 佐々 実穂
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1713-1716
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,女性で黄疸のため当院を紹介され入院した. MRCP検査にて肝内胆管の拡張と肝門部での胆管閉塞を認めた.膵内胆管もやや狭窄していた.肝門部胆管癌の診断にて拡大肝右葉切除術を施行した.病理検査では胆管の線維化と慢性炎症細胞の浸潤を特徴とする硬化性胆管炎であった.術後の血液検査で抗核抗体陽性, IgG4高値を示した. ERP検査にて膵管狭細型慢性膵炎の所見を認め,自己免疫性膵炎と診断した.術後経過は良好であった.肝門部胆管癌と鑑別すべき疾患として自己免疫性膵炎に伴う硬化性胆管炎も念頭におく必要がある.
  • 杉本 琢哉, 近藤 哲矢, 島本 強, 村瀬 勝俊, 尾関 豊
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1717-1720
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,女性. 2003年6月頃から右側腹部痛があり近医を受診した. CTで胆管拡張を指摘され,精査加療目的で当科に入院した.腹部CTでは胆嚢の腫大,肝内胆管から上部胆管の拡張を認めた.また,膵体尾部は脂肪に置換していた. MRCP, ERCPでは三管合流部のすぐ下流側に2cm大の小結節状の陰影欠損があり,上流側胆管は直径2cmに紡錘形に拡張していた.また膵胆管合流異常を伴っていた.主膵管は体部まで造影されたが,尾部は造影されなかった.以上から膵胆管合流異常および膵体尾部脂肪置換を伴った胆管癌の診断で手術を施行した.術中胆道鏡で中下部胆管に乳頭状の腫瘍を確認し予定通りPPPDを施行した.病理組織診断は乳頭腺癌,深達度ssでリンパ節転移は認めなかった.術後経過は良好で16カ月の現在無再発生存中である.
  • 小牧 孝充, 長岡 眞希夫, 山辺 和生, 谷 岳人, 鎌田 創吉, 藤井 亮知
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1721-1724
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胆嚢未分化癌は比較的稀で,極めて予後不良とされる.今回われわれは胆嚢未分化癌の1例を経験したので報告する.症例は51歳,女性. 2004年3月31日に発熱,右季肋部痛を認め当院に入院した.画像検査で胆嚢体部に4cm大の辺縁整,境界明瞭な腫瘍を認めた.胆嚢癌とそれに伴う胆嚢炎と診断し保存的治療を行うも症状の改善を認めず.徐々に貧血,肝機能異常が出現したため, 5月15日に全層切除を伴った胆嚢摘出術および1群までのリンパ節郭清を行った.腫瘍は漿膜下層まで浸潤していたがリンパ節転移,脈管転移は認めなかった.病理所見より腫瘍は紡錘細胞からなり,腫瘍中心部は壊死していた.サイトケラチン陽性,ピメンチン陰性で胆嚢未分化癌と診断した.術後は追加手術を行わず,抗癌剤のみで治療を行った.術後17カ月の現在,再発の徴候はみられていない.
  • 二村 直樹, 三鴨 肇, 山本 淳史, 真鍋 秀明, 堀谷 喜公
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1725-1728
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胆管嚢胞腺癌の1例を経験したので報告する.症例は69歳の女性.約5年前から肝嚢胞を経過観察されていた. 2002年7月,腹部超音波検査にて肝嚢胞内に乳頭状隆起とデフリ様エコーを認め,精査を行った.画像診断では肝内側区域中心に約8cm大の嚢胞性病変と嚢胞壁に約6mm大の隆起を認めた.腫瘍性嚢胞や胆管と交通した嚢胞を疑って肝嚢胞穿刺検査を行った.嚢胞内容液は白色透明な粘液で,細胞診はclass IIであった.嚢胞性肝腫瘍の診断で拡大左葉切除術を行った.摘出標本では肝内側区域中心に約8cm大の単房性嚢胞があり,内部に粘液を認めた.嚢胞壁は平滑であったが1カ所に6mm大の乳頭状隆起を認めた.病理組織検査では乳頭状隆起以外の嚢胞壁は高円柱状異型上皮で覆われ,胆管嚢胞腺腫と診断された.乳頭状隆起では異型が強く,この部分では嚢胞腺癌と診断された.腺腫の一部が癌化したものと考えられた.
  • 福山 時彦, 田口 健蔵, 鬼丸 学, 田村 利尚, 平野 豊, 許斐 康煕
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1729-1733
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,男性.膵の嚢胞性病変を指摘され3年8カ月の経過観察後, CA19-9の上昇および腫瘤の増大を認め紹介された.自覚症状はなく,腹部に異常所見を認めず, CEA6.5U/ml, CA19-983U/mlと上昇を認める他,血液生化学検査は異常なかった.腹部超音波検査上は膵臓に接する径約3cmの境界明瞭な低エコーの腫瘤で,腹部CT検査では膵体部の上方の表面平滑な低吸収の腫瘤であり,膵体部との連続性が疑われた. 3年8カ月間で腫瘤はCT上約1.5倍に増大していた.膵臓由来の嚢胞性腫瘍もしくはリンパ節腫大の術前診断で腫瘍摘出術を行った.腫瘍は被膜を有する多房性の嚢胞構造で,クリーム状の物質が充満しており,病理組織学的には, lymphoepithelial cystと診断された.本疾患は膵臓では稀な良性の嚢胞性疾患であり,経過観察の後に切除された症例の報告は非常に少ない.
  • 田村 光, 杉浦 功一, 前田 真悟, 池田 信良, 斉藤 建, 小島 正夫
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1734-1738
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,男性.両下肢浮腫を主訴に近医受診し,血液検査で高度血小板減少,低蛋白,貧血を認めたため,精査目的で当院に紹介入院となった.入院時の血液検査では, TP 3.5g/dl, Hb 9.8g/dl, Plt1.8万/μlであった.腹部CTを施行したところ脾は腫大し,内部に複数の腫瘍を認めた.肝内にも複数の腫瘍を認めた.術前確定診断がつけられなかったことと,血小板の回復を期待して開腹下に脾摘を施行した.脾臓は, 12×9.5×6cmで辺縁やや不明瞭な多数の出血性腫瘍を認めた.免疫染色では, CD 31(+), KPI (CD68) (+), S-100(+), Vimentin(+), CD1a(-), CD21(-) で血管肉腫と診断された.脾摘後も患者の血小板は回復することなく,低値が続いた.脾摘後の補助治療については,特に行われなかった.平成15年9月18日患者は全身倦怠感,呼吸苦を訴え,救急外来に搬送されたが,来院時すでに心肺停止状態であり,蘇生を試みるも回復せず死亡した.
  • 西岡 宏彰, 平林 邦昭, 硲野 孝治, 山口 拓也, 戸口 景介, 中林 洋
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1739-1742
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    原因不明の巨大脾腫,脾機能亢進症に対して脾臓摘出術を施行したところ,病理組織所見から脾サルコイドーシス(サ症)と診断された.術後症状,血液所見とも著明に改善した稀な脾サ症の1例を経験した.
    症例は21歳,男性.小学3年生ころより不明熱,脾腫を指摘され,他院にてBanti Syndromeとして加療を受けた.腎機能が低下し透析導入後脾腫が増強,平成4年3月より全身倦怠感,高熱,汎血球減少症が出現した.経肝的門脈圧測定にて上昇はなく,原発性脾機能亢進症と考え,脾動脈塞栓術を施行後, 6月16日開腹脾臓摘出術を施行した.脾臓は1,500gで23×14×7cmと巨大であった.病理所見では脾臓全体と肝小葉内,門脈域にサルコイド結節を認め,脾サ症と診断された.術後,症状,汎血球減少は劇的に改善した.
    脾サ症で汎血球減少を呈する巨大脾腫は少なく,脾摘が有効とする報告があるが,再燃例の報告もある.術後長期に再発なく経過している1例を報告した.
  • 木村 文彦, 梅本 健司, 三好 秀幸, 国府 育央, 山本 正之, 平塚 正弘
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1743-1747
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は58歳の男性.主訴は,肛門痛と排尿困難.直腸診にて全周性の腫瘤を触知し,腹部CT検査では直腸,前立腺が一塊となった腫瘤を認めた.大腸内視鏡検査では,歯状線直上より全周性の狭窄を認めたが,生検では確定診断に至らなかった.直腸癌または前立腺癌を疑い,骨盤内臓器全摘術を施行した.病理学的検査では低分化型腺癌.免疫組織染色を行い, CEA陰性, PSA陽性であったため,前立腺癌と診断した.術後の経過は良好であった.前立腺癌は前立腺被膜およびDenonvilliers筋膜によって防御されており,浸潤が直腸壁におよぶことは稀である.自験例では,高度の直腸浸潤による狭窄病変のために原発性直腸癌に似た様相を呈した.直腸の輪状狭窄を診療する際には,前立腺癌も念頭において血清PSA値の測定やCEA, PSAの免疫組織染色を積極的に行うべきであると考えられた.
  • 別府 理智子, 豊原 敏光
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1748-1752
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,男性.アルコール性肝障害,糖尿病,高血圧の既往あり.食欲不振,腹痛を主訴に入院.翌日ショックとなり,陰嚢部の糜爛も発見されFournier's gangreneの診断で緊急手術となった.会陰,両陰嚢,肛門括約筋,肛門挙筋,下部直腸と広範囲の壊死がありデブリードメントを行った.術後のエンドトキシン吸着後よりショックから離脱し,肛門機能の廃絶があることと便汚染の防止目的に術後13日目に永久的人工肛門造設を行った.初回術後23週3日目に創がほぼ治癒し退院となった. Fournier's gangreneは急速に進行する会陰部,性器の壊死性筋膜炎で未だに死亡率が高い.糖尿病やアルコール中毒をもつ患者に多いとされ,このような基礎疾患を持つ患者は常に当疾患を念頭に置くことが早期発見に重要である.治療には早期の充分な壊死組織のデブリードメントが基本であるが,エンドトキシン吸着も有用と思われた.
  • 小西 寿一郎, 長井 一信, 岡野 和雄
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1753-1756
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は81歳,女性.腹痛を主訴に来院.腹部所見で右下腹部に手拳大の弾性硬な可動性に乏しい圧痛を伴う腫瘤を触知した.また,腫瘤の内側縁には62年前に施行した虫垂炎の手術痕が認められた.腹部CTにて同部位に1.5cmほどの腹壁欠損があり,その箇所から腸管と腹腔内脂肪組織が腹膜外に脱出している所見を認めた.以上より腹壁瘢痕ヘルニアの嵌頓と診断し徒手的整復を試みたが,還納できないため緊急手術を施行した.ヘルニアの内容はMeckel憩室とヘルニア嚢に癒着した大網であった. Meckel憩室に対しては楔状切除術を施行し,腹壁ヘルニアは一期的にPROLENE® Hernia System (PHS) を用いて修復した.感染徴候もなく,術後経過は良好であった. Meckel憩室による腹壁瘢痕ヘルニア嵌頓は極めて稀であり,文献的考察を加えて報告する.
  • 木村 章彦, 上田 毅, 鈴木 一則, 皆木 真一, 竹内 勤
    2005 年 66 巻 7 号 p. 1757-1761
    発行日: 2005/07/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    原発巣不明の腺癌腹腔内リンパ節転移例に膵頭部腫瘍との鑑別が困難であったためPDを施行したが原発巣不明のまま再発兆候なく8年経過した症例を経験した.症例は85歳,女性.食欲不振,体重減少のため消化器精査を行った.腹部CT, USで膵頭部に4.2×3.6cmの腫瘤を認めた. ERCPでは膵管に異常なく,腹部血管造影で腫瘍濃染を認めた. USガイド下穿刺細胞診は陽性で術前膵島細胞腫瘍を疑った.手術所見では5×3cmの腫瘍が総肝動脈を巻き込み膵頭部より外方に発育しNo.8リンパ節との鑑別が問題になったがPDを行った.術後の病理組織診断では腫瘍は膵と連続性はなくリンパ節に限局し転移性腺癌と診断された.膵,胆管内に原発巣は認めなかった.原発不明癌でも腹腔内リンパ節転移の場合他臓器の合併切除が必要なこともあり,根治性をどこまで追及するか苦慮する点であるが,本症例ではこの手術でcurative operationを行い得たと考えている.
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