日本臨床外科学会雑誌
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67 巻, 9 号
選択された号の論文の53件中51~53を表示しています
  • 近藤 英介, 西谷 慶, 清水 善明, 大多和 哲, 石井 隆之, 小川 清
    2006 年 67 巻 9 号 p. 2228-2231
    発行日: 2006/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は, 77歳の男性.排尿障害で泌尿器科を受診,骨盤内の腫瘤を指摘された.下腹部と右ソケイ部に腫瘤を触知し,両下肢の浮腫を認めた. CT, MRIでは,骨盤内を占拠する主腫瘍と,右ソケイ部に娘腫瘍を認めた.注腸検査では,直腸の圧排所見を認めた.術前の画像検査では,確定診断には至らなかったが,骨盤内悪性腫瘍を疑い手術を施行した.骨盤内を占拠する巨大な腫瘍を認め,直腸壁とは剥離不能で合併切除としハルトマン術式を施行した.腫瘤は嚢胞性で内壁にコーヒー残渣様の隆起を認めた.病理組織診断は,陳旧性血腫の診断であった. 30年前に,骨盤内の手術歴があり, 6年前に, 5cmの骨盤内の腫瘤を指摘されていた. 30年前の手術が血腫の契機で,ゆっくり骨盤内で巨大化し各種の症状を呈したと推測された.慢性拡張性血腫 (chronic expanding hemangioma) の診断であった.
  • 中野 雅人, 林 達彦, 渡辺 直純, 村山 裕一, 五十嵐 俊彦, 清水 春夫
    2006 年 67 巻 9 号 p. 2232-2237
    発行日: 2006/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    今回われわれは腸閉塞を伴う直腸癌の術前精査にて偶然発見された非常に稀とされる肝細胞癌と胆管細胞癌の重複癌を合併した同時性3重複癌の症例を経験した.
    症例は84歳,男性.以前よりHCV感染を指摘されていたが無治療であった.腹部膨満にて発症,精査にて直腸癌による腸閉塞と診断.また,術前の腹部超音波検査で肝のS5に3×2cm大, S7に2×2cm大の原発性肝細胞癌と考えられる腫瘤を認めた.手術は低位前方切除,肝S5, 7の部分切除術を施行した.術後病理組織診断で肝S5の腫瘤を肝細胞癌,肝S7の腫瘤は胆管細胞癌と診断され,それぞれの腫瘤間に連続性のないことから重複癌と判断した.肝細胞癌と胆管細胞癌が同一の肝臓に異所性に発生する重複癌は極めて稀な疾患であり,その予後は肝細胞癌,胆管細胞癌いずれの単独例よりも悪いと報告されている.当症例では直腸癌に合併していたことで早期発見ができ,いずれも遺残なく摘出することができた.現在までの術後17カ月間再発なく生存している.
  • 完山 泰章, 横井 一樹, 市川 俊介, 森 俊明, 鈴木 祐一, 木村 次郎
    2006 年 67 巻 9 号 p. 2238-2242
    発行日: 2006/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    直腸癌の副腎,腎転移はそれぞれ稀であり,1症例に異時性に認め,切除された報告例はない.今回,直腸癌術後,肺,副腎,腎に異時性に転移をきたし切除を繰り返した症例を経験したので報告する.症例は69歳,女性.直腸癌 (Rs) にて高位前方切除, D3郭清を行った.病理所見は,高分化型腺癌, ss, INFβ, ly2, v1, n0, stage IIであった.初回手術2年6カ月後,左肺転移に対しS8区域切除術施行,同3年8カ月後,左副腎転移に対し副腎摘出術施行,同4年6カ月後,左腎転移に対し腎摘出術施行,同5年4カ月後,再度の左肺転移に対し舌区,上葉部分切除術を施行した.直腸癌の異時性の転移巣に対しては,原発巣がコントロールされており,他に転移巣がなければ積極的な切除がすすめられる.
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