日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
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68 巻 , 11 号
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原著
  • 小室 一輝, 橋田 秀明, 岩代 望, 大原 正範, 石坂 昌則, 武田 聡司, 米澤 一也
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2691-2696
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    目的 : 3D-CTリンパグラフィ (3D-CTLG) の乳癌センチネルリンパ節生検 (SLNB) への有効性を検討した.
    対象と方法 : 手術可能な乳癌患者51例において, 水溶性造影剤1~2.5mlを乳輪下および腫瘍周囲に注入, 15~30秒間乳房マッサージ後, 2分以内に数回1.25mm厚の横断面画像で乳房と腋窩を撮影する. それらの画像から3D画像を作成し, センチネルリンパ節 (SLN) の位置, サイズ, 数を同定する. 色素法でback up郭清を伴うSLNBを施行し, 精度は病理学的に評価した.
    結果 : 10症例までは結果が安定しなかったが, 次の21症例では検査法の安定性が増し同定率100%で偽陰性率0%となった.
    考察 : 3D-CTLGはSLNの同定を簡便に正確に出来, SLNとリンパ路を抽出するのに妥当である. 色素法との併用によりSLNBに有用であった.
  • 尾身 葉子, 飯原 雅季, 岡本 高宏, 鈴木 留美, 川真田 明子, 児玉 ひとみ, 伊藤 悠基夫, 小原 孝男
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2697-2706
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    副腎癌の臨床的特徴と治療成績について報告する. 対象は当科にて初回治療した副腎癌9例で, 内訳は原発性アルドステロン症3例, 男性化腫瘍2例, クッシング症候群4例である. そのうちアルドステロン単独分泌腫瘍の2例を除く7例で尿中17-KSが高値を示した. CT, MRIでは腫瘍径の小さな症例を含む全例で, 腫瘍の不整な形状, 造影効果から術前より副腎癌が疑われた. Stage I : 1例, Stage II : 3例, Stage III : 3例, Stage IV : 2例であった. Stage IからIIIの7例に対して手術を施行した. Stage IV 2例と再発1例に対してo,p'-DDD (ミトタン) 投与を行うもいずれもPD (Progressive Disease) であった. 手術症例7例のうち2例が無病生存, 3例が担癌生存, 2例が死亡した. 非手術症例は2例とも死亡した. 担癌生存のStage II症例では, 繰り返し再発巣切除を行って長期生存している. Stage I, II症例はStage III, IV症例と比較して予後が良好で, 再発が出現しても, 積極的な治療を行うことにより長期生存が得られた.
  • 西尾 梨沙, 柵瀬 信太郎, 井上 弘, 大東 誠司, 西尾 剛毅, 小野寺 久
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2707-2712
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    目的 : 鼠径ヘルニアに対するtension free repairは合併症・再発率とも低いことが報告されているが, 両側同時手術症例の検討は少ない. 今回両側ヘルニアの特徴および同時手術の安全性について検討した. 方法 : 1993年1月~2003年9月に治療された成人鼠径ヘルニア患者899症例 (A群 : 両側153例, B群 : 片側746例) を対象とし, 両群の特徴, 術後合併症, 再発率をretrospectiveに比較検討した. 結果 : 片側を主訴に来院した症例の10%に両側ヘルニアを認めた. ヘルニアのタイプはB群で外鼠径76%, A群で両側内鼠径45%, 両側外鼠径30%, 両側異なるタイプ25%であった. 術後入院期間 (A群 : 3.6日, B群 : 3.2日), 術後合併症 (1.9% vs 1.8%), 再発率 (メッシュ不使用例6.5% vs 3.9%, 使用例は両群とも0%) はいずれも両群に差を認めなかった. 結論 : 鼠径ヘルニアの診察では対側の有無の確認が重要で, 両側同時に手術することは安全である.
症例
  • 伊禮 聡子, 上原 忠司, 松浦 文昭, 豊見山 健, 宮里 浩, 久高 学
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2713-2716
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は68歳, 女性. 右臀部痛と足背の腫脹を主訴に当院の救急外来を受診し, 右股関節炎を疑われ入院となった. 胸腹部CTおよび胸部MRI検査で, 右胸鎖関節周囲, 縦隔, 右胸腔, 骨盤内・右臀部に膿瘍を疑わせる所見が認められた. 膿培養, 血液培養からはStreptococcus agalactiaeが検出された. 右胸鎖関節周囲および臀部の膿瘍に対しドレナージを行い, 抗菌薬の点滴を行ったが, 縦隔・胸腔内・骨盤内の膿瘍は改善せず, それぞれの膿瘍に対してドレナージ術を施行した. 術後, 膿瘍は徐々に改善し, 第118病日目には退院となった. 入院中に神経因性膀胱がみられ, 尿路感染症を繰り返していたことから, 原因は尿路感染であった可能性が示唆された. B群溶連菌感染症および縦隔膿瘍は致死率の高い疾患であるが, 膿瘍ドレナージ術が奏効し救命しえた1例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 境澤 隆夫, 春日 好雄, 松下 明正, 坂口 博美, 久保 周, 熊木 俊成, 上原 剛
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2717-2721
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    乳腺の偽血管腫様過形成が腫瘤を形成する場合はpseudoangiomatous stromal hyperplasia (PASH) と呼ばれ, 稀とされている. 今回われわれはPASHの1例を経験したので報告する. 症例は28歳, 女性. 右乳房腫瘤を主訴に当科を受診した. 右乳房A領域に大きさ30×25mm, 境界明瞭で弾性硬, 可動性良好の腫瘤を触知した. 超音波検査, 穿刺吸引細胞診では線維腺腫が疑われたが, 比較的腫瘍が大きいため腫瘤摘出術が行われた. 病理組織学的所見では紡錘形細胞を伴ったスリット状, 血管様の間隙が不規則にみられた. 免疫組織学的染色ではVimentin, α-SMA, Desmin, CD34が陽性でありPASHと診断された. PASHは術前診断が困難な場合が多く, 時に低悪性度の血管肉腫と鑑別を要することもあり注意が必要である.
  • 毛利 有佳子, 高杉 みゆき, 萬谷 京子, 中野 正吾, 福富 隆志, 原 一夫
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2722-2726
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は35歳, 女性. 平成18年4月に第2子を出産した. 同年10月に左乳房腫瘤を自覚, 11月中旬より左乳房の急激な腫大, 発赤を認めるようになり断乳した後, 当科受診となった. 触診では左乳頭を中心として10×9cmの皮膚発赤と軽度の浮腫を伴う可動性良好な腫瘤を認めた. マンモグラフィ, 超音波検査で乳房に腫瘤像と腋窩リンパ節の腫大を認めた. 腋窩リンパ節の穿刺吸引細胞診と左乳房のcore needle biopsyでdiffuse large B-cell lymphomaと診断した. 比較的稀な授乳期に発生した乳房原発悪性リンパ腫の1例を経験したので報告するとともに授乳期の化学療法について考察を加えた.
  • 中村 幸生, 吉留 克英, 今分 茂, 仲原 正明, 中尾 量保, 辻本 正彦
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2727-2730
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    前立腺癌に対する内分泌療法 (抗アンドロゲン剤, LH-RHアゴニスト) 後に発症した男性乳癌の1例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. 症例は88歳, 男性. 平成12年前立腺癌に対して手術を施行され, 術後内分泌療法としてLH-RHアゴニストと抗アンドロゲン剤が投与された. 平成14年頃より両側乳房腫脹が出現し, 平成15年左乳房腫瘤のため当科受診. 穿刺吸引細胞診にて左乳癌と診断. 左乳房切除および大胸筋合併切除, 腋窩リンパ節郭清術を施行した. 病理組織診断はInvasive ductal carcinoma, papillo tubular carcinomaであった. 術後抗エストロゲン剤および5'-DFURの内服を開始したが, 術後8カ月目に局所再発し, 術後26カ月目で永眠された.
  • 足立 広幸, 藤沢 順, 原田 浩, 加藤 直人, 松川 博史, 益田 宗孝
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2731-2735
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    進行・再発乳癌の皮膚浸潤による出血は圧迫止血やアルギン酸使用により一時的に止血しても頻回に再出血を起こし, 時として高度の貧血に陥ることもある. このため患者は日常生活の制限を余儀なくされQOLが低下することがみられる. 安定した止血を得るためには局所切除や放射線治療が必要であるが, 特に進行・再発乳癌では患者の全身状態や放射線の前治療歴によりこれらの治療を施すことが難しいことも多い.
    今回, われわれは3%ホルマリン液を用いて出血病変を固定することにより安定した止血が得られた2症例を経験したので報告する. この方法はストーマ装具を用いて3%ホルマリン液に出血病変を浸透・固定するもので病棟にて簡便に行うことができ, 2症例とも短期的には大きな副作用もなく一回の固定で2カ月間の安定した止血を得ることができた. 以上より, 3%ホルマリン固定療法は進行・再発乳癌患者のQOLを向上させる有効な治療法と考えられた.
  • 寺下 幸夫, 服部 浩次, 森 亮太, 斉藤 慎一郎, 内藤 明広, 岩田 宏
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2736-2739
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は58歳, 男性. 透析患者. 発熱, 腹痛を主訴に来院. 上腹部に腹膜刺激症状を認め, CTにて網嚢内のfree air, 縦隔気腫, 頸部皮下気腫を指摘された. 上部消化管内視鏡検査にて, 胃体上部小彎側に瘢痕を認めるも, 穿孔は認めなかった. 下部消化管の穿孔も否定できず, 開腹手術を施行した. 網嚢内に混濁した少量の腹水および, free airを認めた. 胃体部は後腹膜に癒着し, 瘢痕化していた. 他の消化管に異常を認めず, 腹腔ドレナージのみ施行した. 術後炎症所見の軽快に乏しく, 再度, 胸腹部CTを施行したところ, 縦隔内に膿瘍形成が確認され, 第21病日, 胸腔鏡補助下に縦隔ドレナージ術を施行した. 右肺下葉が縦隔胸膜と強固に癒着しており, 約8cmの小開胸を要したが, 膿瘍腔の開放が可能であった. 胃穿孔に伴う縦隔膿瘍は稀で, 胸腔鏡補助下のドレナージが有効であった症例を経験したので, 文献的考察を加え報告する.
  • 伊東 紀子, 中本 充洋, 野口 純也, 児玉 孝仁, 井原 司, 岡部 正之
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2740-2744
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は39歳, 男性. 生来, 脳性麻痺の既往があったが, 経口摂取は問題なく可能であった. 2006年8月中旬, 夕食後より嘔吐が出現した. 以後24時間以上嘔吐が続き血性の吐物を認めたため, 当院緊急搬入された. 初診時, 上腹部に膨隆を認め, 腹部X線検査にて胃の著明な拡張および肝内に樹枝状のガス像を認めた. 腹部CTにても胃の著明な拡張, 肝内門脈および肝静脈内にガス像を認めた. 胃管を挿入したが, 挿入困難であったため, 透視下に挿入し減圧した. 一時的に症状軽快したが, 腹痛が増強し, ショック状態となったため, 緊急手術を施行した. 胃は短軸捻転しており, 胃上部胃壁に壊死性変化を認めたため, 胃全摘術を施行した. 胃軸捻転症は比較的稀な疾患であり, これに門脈内ガス血症を合併した報告はない. 今回, 予後不良な病態徴候と考えられている門脈ガス血症を伴う胃軸捻転症に対し, 早期診断・外科的治療により救命しえた1例を経験した.
  • 右田 和寛, 渡辺 明彦, 横山 貴司, 大山 孝雄, 石川 博文, 山本 克彦
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2745-2748
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は70歳代, 男性. 前立腺癌に対し内分泌療法を受けている. 2006年12月, 下腹部痛のため当科を受診した. 下腹部に著明な圧痛と反跳痛を認め, 血液検査で炎症所見を認めた. 腹部造影CT検査で骨盤腔内に腹水の貯留と大網に帯状の肥厚像を認めた. 保存的加療を行うも改善せず, 急性腹膜炎の原因精査のため, 全身麻酔下に腹腔鏡検査を施行した. 肥厚した大網が広汎に腹壁に癒着し, 壁側腹膜は発赤し, 骨盤内に淡血性腹水を認めた. 大網を剥離した後, 小切開を加え大網を部分切除した. 切除した大網に4cm大の腫瘤を4個認め, 病理組織検査で腺癌の転移と診断された. 術後の上部消化管内視鏡検査でBorrmann4型胃癌を認め, 胃癌の大網転移と診断した.
  • 齊藤 卓也, 望月 能成, 伊藤 誠二, 佐々木 英一, 山村 義孝
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2749-2753
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は62歳, 女性. 検診の腹部超音波検査で右上腹部に腫瘤を指摘され当院を受診した. 上部消化管内視鏡検査で胃前庭部大彎後壁側に長径8cmのSMTを認めた. 腹部造影CT検査では同部位に不均一に造影される壁外に突出する腫瘍を認めた. 超音波内視鏡下穿吸引生検法の結果, 癌腫と診断した. 胃原発のSMTの形態を呈する胃癌と診断し, 開腹術を行った. 術中所見では胃前底部に基部を有する壁外発育性の境界明瞭の類円形の腫瘤性病変で, 横行結腸間膜および膵頭部に一部浸潤が疑われたが, 根治切除可能と判断しD2リンパ節郭清を伴う幽門側胃切除および横行結腸, 膵部分合併切除術を施行した. 切除標本では腫瘍は8cm×7cm×6cmの大きさで, 被覆粘膜は正常で胃壁外に発育していた. 病理組織所見は癌腫では胃上皮とは連続性はなく, 免疫組織学的所見で, 異所性膵あるいは異所性肝組織などから発生した癌腫が考えられた.
  • 柴田 智隆, 唐原 和秀, 和田 伸介, 内田 雄三, 中川 晴雄
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2754-2757
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は59歳, 男性. Behçet病およびCrohn病にて通院していた. 腹痛を主訴に入院し, 上部消化管内視鏡検査で早期胃癌と診断し, 内視鏡的粘膜下層剥離術 (ESD) を行った. 術中に穿孔し, CT検査で門脈ガス血症を認めた. 腹痛が持続したため, 緊急に胃全摘術を施行した. ESD後に発症した門脈ガス血症は腸管壊死を伴う重篤な門脈ガス血症と異なり, 病態の重症度を表してはいないと考えられるが, 重症化の可能性もあり, より厳重な経過観察が必要であると思われた.
  • 名和 正人, 土屋 十次, 立花 進, 熊澤 伊和生, 川越 肇, 伊藤 元博
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2758-2763
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は48歳の女性で右上腹部痛を主訴に受診した. 貧血著明で右上腹部に小児頭大で弾性軟の腫瘤を触知した. CTにて肝下面から骨盤腔に至り右腎腹側を占拠し, その内部には壊死部と考えられる低吸収域を伴った径約20cm, 厚さ7cmの巨大腫瘍を認めた. 血管造影では頭側3分の1が右肝動脈より, 尾側3分の2が前および後上膵十二指腸動脈より栄養されるhypervascularな腫瘍を認めた. 画像所見より後腹膜腫瘍の診断にて開腹したところ, 腫瘍は十二指腸下行部乳頭対側壁の1cm径の小結節を基部にして管外性発生していた. 後腹膜との癒着はなく, 十二指腸楔状部分切除にて腫瘍は摘出された. 病理検査の結果, 十二指腸GISTと診断され, 免疫染色ではc-kitとCD34が陽性, s-100とα-SMAが陰性であった. 十二指腸GISTは稀な疾患で, さらには本症例の様に腫瘍径20cmを超え後腹膜腫瘍様に進展する症例は非常に稀と考えられたため若干の文献的考察を加え報告する.
  • 鳥越 貴行, 宮下 薫, 福田 進太郎, 佐野 文
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2764-2767
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    閉塞性黄疸にて発症したCA19-9産生十二指腸癌の1例を経験したので報告する. 症例は68歳, 女性. 褐色尿, 胸やけを主訴に当院内科を受診. ビリルビン・肝胆道系酵素の上昇, 血中CA19-9の高値 (425.2U/ml) を示し, 腹部CT検査にて約2cm大の膵頭部腫瘍を認めた. 閉塞性黄疸をきたした膵頭部癌の診断にて減黄処置後, 膵頭十二指腸切除術を施行した. 病理組織学的検査にて膵浸潤を伴う原発性十二指腸癌と診断した. また抗CA19-9抗体による免疫組織染色にて腫瘍細胞は陽性に染まった. 閉塞性黄疸にて発症した原発性十二指腸癌は膵浸潤を伴い進行例がほとんどであるが, 積極的な外科的切除にて予後の改善が期待できる.
  • 藤井 雅和, 平田 健, 濱野 公一
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2768-2772
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は55歳, 男性. 主訴は検診での異常. 平成17年7月に検診のGIFで十二指腸下降脚に不整形陥凹病変を認め, 生検でGroup Vを認めた. 早期十二指腸癌の診断で, 平成17年8月に膵頭十二指腸切除術 (以下PD) を施行した. 病理組織学的所見は, 管状腺癌高分化型, sm2, n0, ly1, v0であった. 平成18年6月にCEA358ng/mlと急上昇し, 腹部CTで腹部大動脈周囲リンパ節の腫大を認めPET-CTを施行されたが, 腹部大動脈周囲リンパ節の異常所見と右肺野の結節像を認めた. 十二指腸癌再発の診断で平成18年6月よりTS-1内服を開始したが, 平成18年8月に咳嗽を認め, 胸部CTで癌性リンパ管症との診断でパクリタキセル, CPT-11を追加したが, 平成19年2月に永眠した. 十二指腸癌は稀な疾患であり, 抗癌剤治療も確立されたものはない. 本症例は早期の管状腺癌高分化型であったにも拘らず, 急速な増悪傾向をたどった1例である.
  • 角田 知行, 鈴木 聡, 三科 武, 二瓶 幸栄, 岩谷 昭, 渡邉 真実
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2773-2777
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    横行結腸間膜裂孔部への癒着により空腸起始部の狭窄をきたした1例を報告する. 症例は72歳の男性で, 腹部膨満感を主訴に来院. 腹部CT, MRIではTreitz靱帯を越えた空腸起始部に全周性の壁肥厚像を認め, 腫瘍性病変の存在が除外できなかったため, 精査開始後26日目に手術を施行した. 開腹所見では, 空腸壁は全周性に肥厚し, Treitz靱帯部後腹膜に中等度癒着していた. 剥離するとTreitz靱帯直近に直径3cmの横行結腸間膜裂孔を認めた. 空腸の屈曲は裂孔内へ空腸起始部腸管が出入りするうちに炎症性に癒着した結果生じたものと考えられた. 本症は比較的稀な疾患ではあるが, 原因不明なイレウスの鑑別診断として念頭におくべき疾患の一つであると考えられた.
  • 十倉 正朗, 上坂 邦夫, 勢馬 佳彦, 藤原 澄夫, 嶋田 安秀
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2778-2782
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    亜イレウス症状を呈し, 大腸内視鏡検査にて狭窄部の観察ができた狭窄型虚血性小腸炎の症例を経験した.
    症例は82歳, 男性で, 多発性脳梗塞や心房細動, 長年にわたる喫煙歴がみられた. 腹部レントゲン上小腸イレウス所見を認め, 腹部CTでは回腸末端部付近に腸管の肥厚・浮腫が認められた. 腸間膜リンパ節腫脹はなかった. 大腸内視鏡では大腸に潰瘍性病変や腫瘍はなかったが, 回盲部から15cm口側に著明な全周性狭窄を認め, 狭窄部肛門側には炎症性びらんや発赤がみられた. 同部生検では悪性所見はなく非特異的炎症所見で, 肉芽腫もみられなかった. 以上臨床所見から狭窄型虚血性小腸炎と診断した. 保存的療法にて改善しないため狭窄・炎症部を切除した. 肉眼・組織検査では不十分であるが虚血性小腸炎が最も考えられた.
  • 野竹 剛, 松下 啓二, 高山 寛人, 島田 良, 荻原 廸彦
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2783-2787
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は55歳, 女性. 動悸と下血を主訴に救急外来を受診. 血液生化学検査ではHb4.8g/dlと貧血を認め, CEA25.5ng/mlと高値を示していた. 消化管出血を疑いGIFとCFを施行したが出血源は不明であった. 経口的に小腸ファイバーを施行したが到達した上部空腸に異常なく, 同時に施行した小腸造影で空腸に境界明瞭な隆起性病変を認めた. 骨盤CTでは骨盤内左側に45mm大の腫瘤が確認された. 以上より原発は特定不可の悪性腫瘍が考えられ開腹手術を施行した. Treitz靱帯から160cmの空腸に4cm大の壁外発育型の腫瘤を認め, 小腸を20cm部分切除した. 病理組織診断では固有筋層由来のSMTでありc-kit (+), CD34 (+) で小腸GISTと診断した. CEA染色を行ったところ腫瘍本体は染色されなかったが腫瘍近傍の潰瘍を形成した小腸粘膜にCEAの発現がみられた. GISTと腫瘍マーカーの関連を示した報告は過去にほとんどみられず, 貴重な小腸GIST症例と考えられた.
  • 八木 草彦, 児島 洋, 串畑 史樹, 今井 良典, 本田 和男, 小林 展章
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2788-2793
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は72歳, 男性. C型慢性肝炎にて当院内科に通院中であった. 左腹痛を訴え, 同部に腫瘤も触知され精査加療目的にて入院となった. CT検査にて左上腹部に最大径88mmの腫瘤を認めた. 小腸内視鏡検査では空腸に全周性の潰瘍性病変を認めた. 小腸内視鏡下に生検を施行しdiffuse large Bcell lymphomaと診断した. 腫瘍が大きく周囲への浸潤があり切除するには侵襲が大きい為, まず化学療法を行った. R-CHOP療法を4クール施行し, 終了後左腹部の腫瘤は触知されない程にまで縮小した. しかし瘢痕様狭窄を生じた為同部の切除および組織学的検索目的に腹腔鏡補助下手術を行った. 瘢痕狭窄部にはviableな腫瘍組織は認めなかった. 小腸腫瘍に対する診断確定のための開腹手術は従来一般的であったが, 今回, 小腸内視鏡による確定診断と鏡視下手術による低侵襲治療が有効であった症例を報告する.
  • 小倉 豊, 片山 信, 白井 量久, 深谷 昌秀, 井原 努, 尾上 俊介
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2794-2799
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は57歳, 男性. 検診で便潜血反応陽性を指摘され精査目的で当院へ紹介入院となった. 大腸内視鏡検査で回盲弁より4cm口側の回腸末端に陥凹を伴う隆起性病変を認め, 引き続き行った細径プローブでの超音波検査では第三層の断裂を認めた. 生検はadenocarinomaで注腸所見をあわせて深達度MPの原発性回腸癌の術前診断で腹腔鏡補助下回盲部切除, D3リンパ節郭清を施行した. 術後の病理組織検査では高分化腺癌, 深達度m, n0で組織学的病期はStage0であった. 原発性小腸癌は比較的稀な疾患であり, 診断方法, 治療方針など統一した見解がないのが現状である. 本症例は回腸末端であったため盲腸癌に準じたリンパ節郭清を選択し, しかも腹腔鏡補助下に低侵襲かつ効果的な切除を行うことが可能であった. しかし診断では小腸癌の術前病期診断の難しさを痛感させられた症例であった.
  • 中島 裕一, 槇野 好成, 橘 球, 山口 恵実, 小野田 敏尚, 内田 正昭
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2800-2803
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    腸回転異常症は成人では無症状で経過し, 偶然発見されることが多い. 今回われわれは術前診断に難渋した成人腸回転異常症に伴う急性虫垂炎を経験したので報告する. 症例は56歳, 女性. 近医入院中に発熱, 腹痛, 食欲低下が出現. 症状改善しないため当院に紹介受診となった. 腹部CTにて, 右骨盤腔内に炎症および膿瘍を疑わせる所見を認め, 急性虫垂炎を強く疑い緊急手術を施行した. 右下腹部横切開下には小腸のみが認められ, 回盲部は同定できなかった. 検索の結果, 正中よりやや左側に, 反転した回盲部を確認し, この時点で腸回転異常症と診断しえた. 虫垂切除を行い, 膿瘍腔を形成していたため腹腔内洗浄の後, ドレーンを留置した. retrospectiveな検討では術前診断可能であったと考えられ, 稀ではあるが本疾患を念頭に置き, 注意深く画像を読影することが必要であると考えられた.
  • 湯川 寛夫, 利野 靖, 佐伯 博行, 荒井 宏雅, 大城 久, 益田 宗孝
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2804-2810
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    虫垂粘液嚢胞腺腫は稀な疾患である. 今回, われわれは高CEA血症を呈し術後正常化した虫垂粘液嚢胞腺腫の2例を経験したので報告する.
    症例1 : 58歳, 女性. 2005年3月近医にて右卵巣腫大を指摘され, 婦人科を受診しCTにて右卵巣腫瘍が疑われ12月当院婦人科を受診し入院. CEA=9.3と高値を示し, CT, MRI, USで右下腹部に嚢胞状腫瘤を認めた. 2006年2月当科で回盲部切除術施行. 術後CEA=1.8と正常化した.
    症例2 : 50歳, 女性. 2005年4月悪性リンパ腫の経過観察中のCTで回盲部に腫瘤を指摘された. 11月のCTで増大が認められ2006年3月入院となった. CEA=5.9と高値を示した. CT, USで右下腹部に嚢胞状腫瘤を認めた. 2006年3月盲腸部分切除術施行. 術後CEA=1.6と正常化した.
    いずれも病理検査で虫垂粘液嚢胞腺腫と診断され, 免疫染色ではCEA陽性であった.
    88年以降本邦で原著として報告されCEA高値を示す虫垂粘液嚢胞腺腫は自験例を含め40例であった.
  • 細瀧 喜代志, 田平 洋一, 島本 正人
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2811-2816
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は77歳, 女性. 関節リウマチ, 慢性腎不全で透析中に, 発熱と白血球増多, CRP上昇を認め精査目的で紹介となった. 入院時腹部X線とCT検査で腸管嚢腫様気腫症を認めたが, 腹部所見に乏しかったため保存的療法を行った. しかし入院6日目に突然の腹痛発作と腹膜刺激症状を呈し, 遊離ガスと腹水を認めたため緊急開腹術施行. 横行・下行結腸腸間膜に多数の嚢胞性気腫と, 便汁腹水, 下行結腸に穿孔を認め結腸部分切除術を施行した. 術後全身状態悪化し第5病日に多臓器不全で死亡した. 病理学的検索で結腸の消化管アミロイドーシスによる腸管壁損傷から腸管嚢腫様気腫症を併発し, さらに腸管穿孔をきたしたと診断された. 腸管嚢腫様気腫症は腸管壁内, 腸間膜に含気性多発嚢疱を形成する比較的稀な疾患である. その発生機序には諸説あるが, 本例は消化管アミロイドーシスから発症し, ついには結腸穿孔に至った興味深い例であり若干の考察を加え報告する.
  • 吉井 一博, 原田 佐智夫, 山本 芳樹, 佐藤 伸一
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2817-2821
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は心筋梗塞の既往がある75歳, 女性. 夕食後, 腹痛が出現し, 本院救急受診, 入院. 翌日, 身体所見および腹部CT検査所見で虚血性腸炎, 汎発性腹膜炎と診断し, 同日緊急手術施行. 開腹所見では盲腸からS状結腸に至る広範な結腸壊死を認め, 結腸亜全摘術 (一期的吻合) を施行. 術後経過は概ね良好だったが, 術後13病日腸閉塞症を併発. これは保存的に改善し, 術後34日目に退院した. しかし, 術後55日目に再び腸閉塞症を発症し, 本院入院. 内視鏡検査で残存結腸の虚血性腸炎による腸閉塞症と診断. 保存的に改善しないため, 狭窄部腸管切除手術を施行. 再手術後15日目に退院となった. 壊死型虚血性大腸炎の中でも全結腸型は非常に稀であり, 致死率も高く, 予後不良な疾患である. 造影腹部CT検査等により早期診断をはかり, 敗血症が進行していない早期に緊急手術を行うことが, 肝要である.
  • 永原 央, 小川 正文, 笠原 洋
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2822-2826
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は71歳, 男性. 糖尿病性慢性腎不全で血液透析維持中に下肢閉塞性動脈硬化症悪化で入院し, 突然の大量血便を生じた. 大腸ファイバースコピーで直腸に, 底部露出血管から拍動性出血持続の潰瘍病変を認め, 急性出血性直腸潰瘍 (acute hemorrhagic rectal ulcer, 以下AHRU) と思われた. 当初の出血はclippingで止血したが, 2日後に再出血し, 腰椎麻酔下, 経肛門的に病変周囲の刺通結紮止血術を行った. 以後も出血が反復し, 最終的には止むを得ず, 腹会陰式直腸切断術を施行した. 手術直後は順調な経過であったが, 術後5日目に肺梗塞を併発し, 翌日に永眠された. AHRUは比較的稀な疾患とされ, その発症には種々の基礎的因子が関与し, それらは手術侵襲へのリスクでもある. したがって, 同病変の止血には種々の局所的処置が主体とされているが, 今回, 止血がきわめて困難で直腸切断術を選択した1症例について報告した.
  • 古川 公之, 池田 宏国, 木川 雄一郎, 仲本 嘉彦, 小縣 正明, 山本 満雄
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2827-2830
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は腹痛と発熱を主訴として来院した73歳, 女性. 右下腹部に強い腹膜刺激症状を認め, 血液検査でCRP, WBCの上昇を認めた. 腹部単純X線写真で広範囲の小腸拡張像, CT検査で上行結腸に限局的な全周性壁肥厚とその中央に脂肪のdensityを示す部分を認めた. 大腸脂肪腫嵌頓による大腸癌腸閉塞および消化管穿孔併発を疑い緊急手術を行った. 開腹にて上行結腸癌による腸閉塞ならびに腹膜播種病変, 回腸末端の小穿孔を認め, 回腸穿孔部を含めた右結腸切除を施行した. 切除標本の検索では上行結腸癌による狭窄部に, その近傍に生じた大腸脂肪腫が嵌頓していた. 病理組織検査では上行結腸に漿膜浸潤を伴う高分化型腺癌とその近傍に併発した異型性のない粘膜下脂肪腫と診断された. 以上, 大腸脂肪腫嵌頓により発症した大腸癌腸閉塞の1例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 良元 和久, 遠山 洋一, 渡辺 一裕, 柏木 秀幸, 平井 勝也, 矢永 勝彦
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2831-2835
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は60歳の女性で, 平成9年6月便潜血陽性のため当科受診し, 直腸癌 (Rs) の診断のもと, 高位前方切除術施行. 病理診断はmoderately differentiated adenocarcinomaであった. 術後5年間UFTの内服によるadjuvant chemotherapy施行. 平成14年9月頃より右頸部腫脹が出現し, 甲状腺乳頭癌と診断. また胸写等で, 右肺下葉S6の腫瘤と気管傍リンパ節腫脹を発見. 平成14年12月甲状腺右葉切除術施行, その後pharmacokinetic modulating chemotherapy (PMC) を開始. 甲状腺腫瘍の病理診断はmetastatic adenocarcinomaであり, また肺腫瘍生検の結果も同様であり, 直腸癌の甲状腺および肺への転移と診断. CPT-11, 5-FUの化学療法施行中に右下顎部痛が出現, 歯肉の生検を行ったところ, 甲状腺, 肺と同様の組織型であり, 直腸癌の右下顎骨への転移と判明した. 術後5年無再発期間を経て甲状腺腫瘤で発見された直腸癌転移の1例を経験したので, 若干の文献的考察を加え報告する.
  • 貝田 佐知子, 塩見 尚礼, 仲 成幸, 遠藤 善裕, 来見 良誠, 石田 光明, 谷 徹
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2836-2841
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    大腸癌に合併した陳旧性肝内血腫の1例を経験したので報告する. 症例は71歳, 女性. 検診での血液検査にて貧血を指摘され, 近医にて精査の結果, 上行結腸に亜全周性2型腫瘍と, 肝S7に腫瘤性病変を認めたため当院紹介となった. 転移性肝癌の可能性を否定できず, 開腹手術を施行した. 術式は結腸右半切除術, D3郭清, 肝部分切除術を施行した. 肝腫瘤の組織型は陳旧性肝内血腫であった. 陳旧性肝内血腫の文献報告例は本邦でも12例あるが, 悪性腫瘍との合併例は稀であり, 若干の文献的考察を加え, 報告する.
  • 馬場 慎司, 中山 昇, 高橋 亮, 片岡 佳樹, 鷲田 昌信, 梶原 建熈
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2842-2845
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    われわれは診断から18年という長い経過を呈したガストリノーマの肝転移の1例を経験したので報告する. 症例は65歳, 男性. 40年前より心窩部痛が出現. 1987年に膵頭部ガストリノーマおよび多発性肝転移と診断. 原発巣は徐々に不明瞭となるも肝腫瘍は増加, 増大するため2005年8月に肝切除術を施行した. 肝転移を認めるガストリノーマは予後不良とされているが, 積極的な切除が予後を改善すると考えられた.
  • 中沼 伸一, 上田 順彦, 岡本 浩一, 安居 利晃, 中野 達夫
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2846-2852
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は56歳, 男性. 腹部CTにて肝S6に5.5cm大の腫瘤を指摘され, 肝生検にて低分化型腺癌と診断され近医より紹介となった. CTAにて腫瘤の辺縁部は早期相より造影遷延し, 内部は早期相では濃染されないが後期相にて一部濃染した. CTAPでは低吸収域を呈した. 混合型肝癌または細胆管細胞癌の診断にて肝右葉切除術, 肝門部リンパ節郭清を施行した. 腫瘍の大部分はMUC1染色陽性の胆管細胞癌成分で, HepParI陽性の肝細胞癌成分も一部に認め, 両成分は1つの腫瘍内で互いに移行, 混在し, combined typeの混合型肝癌と診断された. リンパ節転移は認めなかった. 術後6カ月目, リンパ節転移, 骨転移の出現を認め, CDDP+5-FUによる静注化学療法を施行した. AFP, PIVKA IIの低下, 転移リンパ節の縮小も認めたが, 造影効果の低い肝内転移および肺転移の出現を認め, 術後15カ月目肝不全にて原病死した.
  • 新井 政男, 古谷 政一, 清水 康仁, 沖野 哲也, 横室 茂樹, 田尻 孝
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2853-2857
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は79歳, 男性で上腹部痛, 悪心を主訴に近医受診し, 胆石症の診断で当科紹介. 腹部US, CTにて胆嚢炎, 胆嚢結石, 総胆管結石の診断となる. EST施行し総胆管結石載石した際, 総肝管狭窄を認めた. CA19-9は245.9U/mlと高値を示しており, 総肝管狭窄は胆嚢癌による胆管浸潤も否定できなかったが, 胆嚢炎症状を繰り返していたため, 開腹胆嚢摘出術を施行. 術中, 高度な胆嚢周囲の炎症, 癒着を認めたが, 肉眼的に悪性を疑わせる所見はなく, 切除標本の病理学的検査所見は黄色肉芽腫性胆嚢炎であった. 術後総肝管狭窄部は改善していた.
    黄色肉芽腫性胆嚢炎は胆嚢壁の著明な肥厚を伴い術前に胆嚢癌との鑑別がきわめて困難な疾患であり, Mirizzi症候群をきたした症例は自験例も含め4例しか報告されていない. われわれは, 黄色肉芽腫性胆嚢炎よりMirizzi症候群をきたした稀な症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
  • 村川 力彦, 山本 和幸, 芦立 嘉智, 村上 慶洋, 北上 英彦, 池田 淳一
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2858-2861
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は77歳, 女性. 右季肋部痛を主訴に受診, 胆嚢炎の診断で入院となった. CTにて胆嚢腫大, 壁肥厚および胆石を認めた. MRCPでは総胆管結石を認めず, 右後区域枝が中部胆管より分岐し, そこから胆嚢管が分岐していた. 腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行. 順行性に胆嚢を剥離したのち, 胆嚢管をクリップにて切離した. 術後3日目より腹痛出現. CT, ERCにて乳頭部への胆石落石嵌頓による胆石膵炎および胆汁漏と診断し, 内視鏡的経鼻胆管ドレナージ (ENBD) にて保存的に治療を行った. 処置後5日目, 胆汁漏の改善が認められたため, その翌日ENBDチューブ抜去, 術後20日目に退院となった. 本症例は, 総胆管への落石, 嵌頓により胆嚢管閉鎖部が開放され, 胆汁漏を認めたものと考えられ, これらを十分考慮した慎重な術中操作を行うことが重要と考えられた. 以上, 腹腔鏡下胆嚢摘出術後, 落下結石嵌頓により引き起こされた胆汁漏の1例を経験したので報告する.
  • 高橋 保正, 太田 竜, 河原 祐一, 北村 雅也, 後藤 学, 関川 浩司
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2862-2865
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    ERBD (Endoscopic Retrograde Biliary Drainage) 留置により治癒しえた胆嚢摘出術後胆汁瘻の1例を経験したので報告する. 症例は62歳, 男性. 前医にて胆石胆嚢炎の診断にて開腹胆嚢摘出術を施行した. 術後1日目に総ビリルビン2.7mg/dlまで上昇し, 右季肋部痛を強く訴えた. 術後2日目に痛みの消失とともに, 肝床部ドレーンから胆汁の流出を認めたため, 治療目的に当院へ転院となった. 精査にて胆汁の腹腔内流出の原因は総胆管内遺残結石の嵌頓により胆道内圧の上昇をきたし切離胆嚢管から胆汁漏出が生じたためと判断, ERBD (内視鏡下胆管ドレナージ) を留置し胆管の減圧を行う方針とした. ERBD留置後5日目にドレーンからの胆汁流出は消失した. ERBD留置後16日目に再度ERCPを行い, ESTおよび総胆管内の遺残結石の採石を施行し18日目に退院となった. 胆嚢摘出術後の胆汁瘻の報告は多くみられるが, 術直後に総胆管結石嵌頓により胆道内圧が高まり胆嚢管結紮部の破裂とともに胆汁瘻発症を経験することは稀である. また胆汁瘻の治療として, 本症例に施行したERBDは経鼻ドレナージ (ENBD) と比較して患者の苦痛も少なく, 患者のQOLを維持しながら治療することが可能であり, 今後は本症に対する治療法の第一義として選択を考慮すべきである.
  • 前田 一也, 吉田 貢一, 菅原 浩之, 佐々木 正寿, 松井 一裕, 棚田 安子
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2866-2871
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    胆嚢未分化癌は比較的稀で, 極めて予後不良とされている. 今回われわれは胆嚢未分化癌の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する. 症例は61歳の男性で, 腹部腫瘤と微熱を主訴に当院に入院した. 画像上, 右腹部に約20cm大の腫瘤を認め, 転移と思われる多発肝腫瘍を伴っていた. 入院後, 腹部腫瘤による症状の著明な増悪を認めたため, 症状の緩和を目的として腫瘍切除, 肝部分切除, 膵頭十二指腸切除, 横行結腸切除を行った. 摘出標本重量は3,700gであった. 胆嚢の未分化癌は巨大発育することが多く原発臓器の診断に苦慮することが予想されるが, 本症例では摘出標本の肉眼所見, 病理組織学的検索などから胆嚢原発の未分化癌との診断に至った.
  • 新川 寛二, はい 正寛, 田中 宏, 竹村 茂一, 大場 一輝, 久保 正二
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2872-2876
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は70歳, 男性. 近医で行われた超音波検査で偶然肝内占拠性病変を指摘されたため当科を紹介された. 超音波検査上, 門脈前後枝分岐部に径4.5cm大の嚢胞性病変が認められた. CT像上, 病変は内部不均一な低吸収域として描出され, 動脈相では辺縁部と乳頭状突出部が造影された. MRCP像上, 後区域胆管枝の拡張を認めるも, 胆管との交通は明らかでなかった. 以上より, 肝内胆管癌もしくは嚢胞腺癌の術前診断のもとに肝右葉切除術を施行した. 術中胆道造影では後枝は描出されず, 胆管と腫瘍の交通は明らかでなかった. 切除標本では嚢胞性病変の内腔に乳頭状に増殖した腫瘍と粘液の貯留が認められ, 病理組織学的に周囲胆管上皮への進展像を伴う胆管嚢胞腺癌と診断された. 卵巣様間質は認められなかった. 術後10カ月目の現在無再発生存中である. 胆管嚢胞腺癌は稀な疾患であり, 若干の文献的考察を加えて報告した.
  • 菱田 光洋, 河合 庸仁, 阪井 満, 奥村 徳夫, 吉田 滋, 仲田 和彦, 森 良雄
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2877-2880
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は79歳, 男性. 高血圧症にて当院内科通院治療中, 皮膚黄染を契機に十二指腸乳頭部腫瘍または下部胆管腫瘍と診断され手術目的にて外科転科となった. 術前画像診断では, 下部胆管に造影効果を伴う壁肥厚を認めた. また, 3D CT angiographyでは, 総肝動脈が蛇行しながら膵下縁を横走した後, 膵頭部において腹側に立ち上がり, 膵前面を上行する走行変異を認めた. また, 胃十二指腸動脈は欠損していた. われわれはこの総肝動脈を注意深く温存しつつ, 幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した. 膵頭部手術において, 肝動脈走行の正確な把握は重要であり, 術中に重要血管を損傷すると致命的な合併症を起こしうる. その為にも, 術前の画像診断および術中の的確な血管走行の確認が重要であると考えられた.
  • 渡邉 純, 高橋 正純, 望月 康久, 杉田 昭, 嶋田 紘
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2881-2884
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は74歳, 男性で, 心窩部痛, 嘔吐を主訴に当院受診. 開腹手術, 外傷の既往はなし. 心窩部に強い圧痛, 反跳痛を認めた. 腹部単純X線ではニボーを伴う小腸ガスを認めた. 腹部CT検査では, 上行結腸の上腹側に浮腫状の小腸壁の肥厚, 腹水を認めた. Multiplanar reformation冠状断では, ヘルニア門, 腸間膜の収束像, ヘルニア門より脱出し絞扼した回腸が描出された. 以上より, 大網裂孔ヘルニアなどの内ヘルニアによる絞扼性イレウスの診断で緊急開腹手術を施行した. 開腹所見では, 血性腹水を認め, 約50cmにわたり回腸が大網裂孔をヘルニア門として脱出し, 嵌頓, 絞扼していたため小腸部分切除術施行した. 大網裂孔ヘルニアは内ヘルニアのなかでも比較的頻度が低くまれな疾患とされ, 術前診断が困難なことが多い. 今回われわれは術前診断にCTが有用であった大網裂孔ヘルニアの1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
  • 島田 謙, 高橋 毅, 板橋 浩一, 古田 一徳, 渡邊 昌彦
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2885-2889
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    54歳, 女性. 消化管通過障害で発症した. 後腹膜腫瘍の右腎・十二指腸・膵頭部浸潤の診断で膵頭十二指腸切除術を行った. 後腹膜に板状の瘢痕組織がみられ右腎門部・十二指腸・膵頭部に連続していた. 病理学的には下部胆道系が原発の腺扁平上皮癌と診断された. 術後の経過は良好であったが, 約1年後に再発死した. 剖検では肝門部から連続する強い線維化により腹腔内臓器は一塊となっていた. 左卵巣の軽度腫大がみられ, 病理学的には腫瘍細胞に置き換わっていた. HE染色・免疫染色・電顕所見では悪性Brenner腫瘍に矛盾しない所見であった. 臨床的にも進行の速さから悪性度の高い悪性Brenner腫瘍と考えられた. 本症例は経過中に腹痛の訴えや腹部腫瘤が指摘されることはなく, 左卵巣から後腹膜を上行性に右側へと交差し肝門部方向に浸潤したと考えられた.
  • 遠藤 和彦, 吉田 節朗, 木村 愛彦, 下山 雅朗, 小川 洋, 岡村 拓磨
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2890-2894
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は16歳, 男性. 2006年12月, 39度台の発熱と右下腹部痛が出現し近医を受診, 急性虫垂炎を疑われ抗生剤の投与を受けたが症状改善せず, 当院消化器科紹介となった. 腹部超音波検査, CTおよびMRI検査で, 腹腔内に130×63mmの嚢胞性腫瘍を認めたが腹部症状が改善したため経過をみていた. 2007年3月の腹部超音波検査およびCT検査で増大傾向と右腎盂の拡張がみられ, 外科紹介となった. 後腹膜から発生したリンパ管嚢腫を疑い, 2007年4月, 腫瘍切除術を行った. 嚢胞壁の一部は右精巣血管と下十二指腸曲に強固に癒着しており, 嚢胞に流入する太さ約1cmのリンパ管を認めた. 術中採取した嚢胞の内容液は暗褐色のやや混濁した漿液で, 術中迅速細胞診では主に赤血球とリンパ球を含有するが悪性細胞はみられなかった. 術後病理組織学的検査でリンパ管嚢腫の診断であった. 稀な後腹膜原発の巨大リンパ管嚢腫の1例を経験したので報告する.
  • 花本 尊之, 井上 行信, 砂原 正男, 高橋 雅俊
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2895-2899
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    内腔が中皮細胞で覆われた後腹膜漿液性嚢胞の1例を経験したので報告する. 症例は, 虫垂切除と帝王切開の既往がある54歳, 女性. 自覚症状は無かったが, 検診で右後腹膜嚢胞を指摘され, 当科受診となった. 嚢胞穿刺で, 約500mlの漿液性の内溶液が吸引され, 後腹膜漿液性嚢胞の診断となった. 内容液の細胞診はclass Iであったが, CA125が1,000U/ml以上と高値であった. 2カ月後の腹部CT上, 嚢胞の残存を認めたため, 嚢胞摘出術を施行した. 嚢胞は右卵巣動静脈の背側にあり, 周囲からの剥離は容易であった. 病理所見上, 嚢胞内腔は1~2層の中皮細胞で覆われていて, 免疫染色でERおよびPgRは陰性であった. 手術所見および病理所見から, 当症例は後腹膜に発症したunilocular peritoneal inclusion cystであると考えられた.
  • 久保 秀文, 兼清 信介, 多田 耕輔, 長谷川 博康
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2900-2904
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は無治療の糖尿病を有する56歳の男性で, 2007年4月に腰痛に対して背部に鍼治療を受け, その2週間後, 発熱を伴い, 背部痛が出現したため当院受診した. 疼痛のため歩行困難であり, 精査目的にて入院した. CT, MRIで背部の皮下から筋間に及ぶ膿瘍, 両側膿胸を認め, 入院2日目に背部皮下の切開排膿, 洗浄処置および両側胸腔ドレーン挿入術を施行した. その後も左側の膿胸は残存し両下肢の脱力感, 麻痺が出現し, 進行した. MRIで脊椎炎および硬膜外膿瘍の増悪を認めたため, 入院18日目に左開胸下に胸腔内膿瘍の切開および掻爬を行い, 整形外科的に傍脊椎膿瘍のドレナージ処置を行った. その後炎症所見は消退し, 現在リハビリ治療継続中である. 文献的な考察を加えて報告する.
  • 永原 誠, 鳥屋 洋一, 中川 剛士, 佐藤 隆宣, 有井 滋樹, 杉原 健一
    2007 年 68 巻 11 号 p. 2905-2908
    発行日: 2007/11/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は66歳, 女性. 2年前C型肝炎に合併した肝細胞癌に対し生体肝移植を受けた. 術後6カ月目に肺癌と診断され, 右下葉切除術を施行した. 肺癌術後1年6カ月目にPET-CTにて左乳腺腫瘤および腋窩リンパ節腫大を指摘された. 当院乳腺外科で針生検施行し, 乳癌と診断された. 本人の希望もあり, 温存療法を施行した.
    近年, 免疫抑制剤の進歩により臓器移植が積極的に行われるようになったが, 移植後高頻度に悪性腫瘍が発症することが懸念される. また抗癌剤と免疫抑制剤の使用方法などが問題となっている.
編集後記
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