日本臨床外科学会雑誌
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68 巻 , 12 号
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原著
  • 小林 裕之, 宮原 勅治, 和田 道彦, 大嶋 野歩, 瓜生原 健嗣, 岡田 憲幸, 正井 良和, 細谷 亮
    2007 年 68 巻 12 号 p. 2925-2930
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    食道切除手術後の低栄養状態は, 合併症発生に重大な影響を及ぼすため, 早期の経腸栄養が望ましいが, 減圧用胃管と経管栄養チューブを同時に経鼻留置するのは困難である. そこでわれわれは, 経管栄養と胃管の減圧が同時に可能なdouble elementary diet tube (W-ED tube) を開発した. W-ED tubeは16Fr径, 150cm長の2重管構造で, 管腔の一方は栄養用にチューブの先端付近に開孔 (栄養孔) している. もう一方の管腔は, 60cm口側に胃管減圧用の数個の側孔 (ドレナージ孔) を持つ. これまでに食道切除後の30症例に試用したが, 早期から経管栄養が開始でき, 良好な経過であった. 術後縫合不全のため長期間中心静脈栄養されていた症例でも, 栄養状態の改善と減圧により, 速やかに瘻孔が閉鎖できた. 結語 : 食道切除後の早期経腸栄養と吻合部の減圧のためにW-ED tubeは有用であると考えられた.
  • 小林 隆, 照屋 正則, 田中 穂積, 小林 薫, 森田 恒治
    2007 年 68 巻 12 号 p. 2931-2939
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    目的 : 地域中核一般病院である当科のStage II・III期食道癌に対する術前化学放射線治療 (nCRT) +2領域郭清による手術成績を検討・解析した.
    方法 : 当科で根治手術を施行した臨床病期II, III期の食道扁平上皮癌患者を対象にnCRT後に根治的手術を受けた患者 (nCRT+S群) と手術単独群 (S群) において臨床病理学的因子と予後との関係や, 再発部位・術後合併症等をretrospectiveに検討・解析した.
    結果 : nCRT+S群34例とS群12例の計46例が対象となった. 46例全体での1, 3, 5年生存率は, それぞれ79.7%, 31.2%, 31.2% (nCRT+S群の5年生存率は34.8%, S群の5年生存率は16.9%, p=0.80) であった. 多変量解析ではpStageが独立した予後因子となった. 特に, nCRTを受けた34例のpStage 0+I+II群とpStage III+IVa群 (5年生存率65.2% vs 0%, p<0.0001) で, 臨床病期に差がなかったものの, 脈管浸襲 (v factor) および, 放射線治療ならびに化学療法の治療効果の病理組織学的判定において両群間で有意差を認め, pStage 0+I+II群で有意にdown stagingしていた. 両群とも在院死はなく術後合併症発生率はnCRT+S群で6例 (17.6%), S群で5例 (41.7%) に認めた.
    結論 : がん専門病院でない地域中核一般病院である当科のStage II・III期食道癌の標準的治療法である術前化学放射線治療+2領域郭清の手術成績は「根治性」および「安全性」の点から十分容認できるものと考える. しかし, nCRTを受けたにもかかわらずpStage III+IVa群の成績が悪いことから, 今後pStage III+IVa群に対する治療戦略をたてる必要がある.
  • 平林 直樹, 吉田 和弘, 山本 学, 栗栖 佳宏, 前田 佳之, 先本 秀人, 浜田 史洋, 竹内 仁司
    2007 年 68 巻 12 号 p. 2940-2946
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    根治手術不能胃癌の治療法に関して広島地区の消化器外科医を対象にアンケート調査を行った. 非治癒因子が腹膜播種の場合, 胃癌取扱い規約第12版で定義されているP1であれば, 病変が前庭部の場合97%の施設で胃切除が選択されるが, 噴門部の場合では84%が減量手術を行うと解答し, 同じ進行程度であっても占拠部位による治療法が少し異なっていた. P2の場合でも前庭部では56%が, 噴門部では40%が減量手術を行うと回答した. 反対にP2で緩和手術の場合 (原発巣による症状が有る場合), 病変が前庭部の場合, バイパス術を選択する割合が33%に認められたが, 出血であれば9割以上が胃切除をすると回答しており, 噴門部領域では狭窄, 出血にかかわらず約8割の施設で胃全摘を選択するとの回答であった. 肝転移やリンパ節転移の場合先ず化学療法を選択するとの回答はそれぞれ10%, 23%とかなり低い回答率であった.
  • 山本 純也, 渕野 泰秀, 大石 純, 張村 貴紀, 岩永 真一, 城崎 洋
    2007 年 68 巻 12 号 p. 2947-2952
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    1995年から2006年の12年間に術後癒着性イレウスで手術を行った90例について検討した. このうち20例は, 腹腔鏡での視野確保が難しく安全な手術が困難と判断され, 初めから開腹手術が行われた. 残りの70例中53例は腹腔鏡下あるいは腹腔鏡補助下にてイレウス解除が可能であった. 腹腔鏡下手術は手術時間, 術後経口開始時期, 術後在院期間ともに最短であった. 既往手術でみると, 手術創が大きく高難度な手術既往症例ほど癒着が強く開腹手術が必要であった. 腹腔鏡補助下や開腹手術への移行は, 剥離困難な腸管同士の癒着が主な要因であった. 術後癒着性イレウスに対して, 腹腔鏡下手術は侵襲が少ない術式であるが, 臓器損傷などの危険がある場合は腹腔鏡下手術に固執せず, 早期に開腹手術に移行すべきであると考えられた.
症例
  • 矢野 将嗣, 杉野 圭三, 西原 雅浩, 土肥 雪彦, 板本 敏行, 浅原 利正
    2007 年 68 巻 12 号 p. 2953-2956
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    反回神経麻痺をきたした二次性副甲状腺機能亢進症の1例を経験した. 61歳, 女性. 45歳時に、慢性腎不全のため, 血液透析を導入. 平成15年7月より, 誤嚥および嗄声あり. 喉頭ファイバー検査にて右反回神経麻痺を認めた. 頸部CT・エコー検査で, 甲状腺右葉の腫瘍性病変と左右の副甲状腺2腺の腫大を認めた. 術中所見では, 右反回神経は甲状腺右葉下極の腫大した副甲状腺被膜内に取り込まれていた. 右反回神経を鋭的剥離温存し, 甲状腺右葉切除, 副甲状腺摘出術を行った. 病理組織検査は, 甲状腺乳頭癌, 副甲状腺過形成であった. 術後は嗄声の改善を認め, 喉頭ファイバー検査でも, 声帯の可動性は著明に改善した. 文献的検索では, 副甲状腺腫瘤により反回神経麻痺を呈した症例は11例であり, その中で二次性副甲状腺機能亢進症は3例のみであった.
  • 藤井 秀則, 青竹 利治, 川上 義行, 田中 文恵, 広瀬 由紀, 松下 利雄
    2007 年 68 巻 12 号 p. 2957-2960
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は19歳, 男性. 2年前より成人女性乳房に近い著明な右乳房の腫大を認め, 右の片側女性化乳房と診断され他院でホルモン加療を受けたが軽快しなかった. 画像診断で腫瘤は認めず2年以上の経過を経ていることから手術適応と判断した. 仰臥位, 患側上肢はやや挙上した体位で, 乳房外側に11mmトロッカーを挿入し気嚢圧6mmHgでCO2送気し視野を確保した. カメラ挿入部の頭側と足側に5mmのポートを挿入し, 乳腺の背側で大胸筋との間を剥離し, ついで皮膚と乳腺の間を剥離した. 術後瘢痕変形を予防するため乳輪直下では約1cm幅程度で組織を残した. 術中術後ともに出血はほとんど無く術後4日目に退院した. 術後の形態は良好で術後1年目には乳房の左右差は無く, 術後2年目現在再発は認めていない. 創部は目立たず患者の満足が得られ有効な手術法と考えられた.
  • 谷口 正美, 住吉 健一, 松田 巌, 山崎 将典, 小路 毅, 米川 甫
    2007 年 68 巻 12 号 p. 2961-2968
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は78歳, 女性. 左乳房のしこりと乳頭の陥凹を主訴に近医を受診し乳癌を疑われ当院を紹介された. 左乳房C領域に9×9mmの表面比較的平滑な硬い腫瘤を認めDimpling signはなかったが陥没乳頭を認めた. マンモグラフィでは微細鋸歯状変化を伴う腫瘤影と乳頭の牽引所見がありカテゴリー5と診断し充実腺管癌を疑った. 超音波でも分葉形, 内部はほぼ均一な低エコー腫瘤で境界部高エコー像を認め通常型乳癌を疑った. 穿刺吸引細胞診は小型核小体を有する異型乳管上皮細胞集塊がみられたが二相性は保持されており鑑別困難であった. 画像診断による推定組織型と細胞診所見が一致しないため針生検を勧めたが, 本人希望にて乳腺部分切除術を行い乳管腺腫と最終診断した. 本症は臨床的にも病理学的にも最も癌と間違えやすい病変の一つであり生検を行わなければ確定診断は難しい. 癌と誤診しないためには本症の概念を知っていることに尽きると考える.
  • 石井 亘, 藤井 宏二, 飯塚 亮二, 下間 正隆, 泉 浩, 竹中 温
    2007 年 68 巻 12 号 p. 2969-2973
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は72歳, 女性. 左乳房のしこりを自覚. 初診時, 左乳房D領域にしこりを1個, 同側腋窩リンパ節腫大を認めた. CT上, 腫瘍本体の長径は34mm, 乳頭腫瘍間距離は30mmであった. 同側腋窩リンパ節の長径は, 25mmであった. informed-consentを行った結果, 経口抗癌剤併用療法を術前に3コース行い, CT上の腫瘍は長径8mmと著名な縮小を認め温存手術を可能にしえた. 以前より当院では, 乳癌患者の経口併用抗癌剤として, DMpC療法 (Doxifluridine+Cyclophosphamide+Medroxyprogesterone acetate) を行ってきた. TS-1がこれまでの経口フッ化ピリミジン系抗癌剤と比較して抗腫瘍効果が高く, 外来治療が可能であるため, DoxifluridineをTS-1に置き換えることによってより高い治療効果が期待される. 現在われわれは, 進行・再発乳癌に対する経口併用化学療法 (TS-1+Cyclophosphamide+Medroxyprogesterone acetate) の第I/II相臨床試験を進行中である.
  • 河野 恵美子, 奥野 敏隆, 長谷川 寛, 京極 高久, 高峰 義和, 林 雅造
    2007 年 68 巻 12 号 p. 2974-2978
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    乳癌術後13×8cmの皮膚欠損創に対し, ラップ療法で治癒した1例を経験したので報告する. 症例は55歳, 女性. 左乳房に15×25×5cm大のカリフラワー様の腫瘍を認め, 乳癌の診断で左乳房切除術を施行した. 第5肋骨の露出を伴う13×8cm大の皮膚欠損創となったが, 創感染のリスクが高いと判断し, 一期的遊離皮膚移植は行わず, 水道水による洗浄後, ポリ塩化ビニリデン製食品包装用ラップフィルムを用いた開放ドレッシング (ラップ療法) を続けた. 術後8日目に肉芽増生が開始し, 17日目には平坦化した. 上皮化は14日目に縦方向, 37日目に横方向が開始したが, 次第に停滞したため, 57日目よりステロイド外用剤を使用したところ, 翌週には, 潰瘍の辺縁に上皮化を認め, 以後1週間に1cmのスピードで上皮化が進み, 約2カ月でほぼ治癒となった. 以上より, ラップ療法は10cm以上の大きな皮膚欠損創でさえも治癒することができる優れた治療法であると考える.
  • 浦田 康久, 佐伯 宗弘, 浜崎 尚文
    2007 年 68 巻 12 号 p. 2979-2981
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は60歳, 女性. 自殺企図による頸部刺創で当院救急外来へ搬送された. 来院時, JCS : III-300, 収縮期血圧40mmHgのショック状態であり, 頸部に凝血塊が付着した7カ所の刺傷が存在した. 急速輸液でショックから離脱した途端, 創部から大量出血があり, 緊急手術を施行した. 創内を観察すると, 両側内頸静脈 (IJV) に損傷が見られた. 左IJVは損傷部を切除し, 周囲を剥離し引き伸ばすことにより, 縫合再建が可能であり, 7-0ポリプロピレン糸で端々吻合した. 右IJVは再建不可能であり, 結紮した. 左IJVを再建したことで術後脳合併症を起こすことなく, 3週間後に軽快退院した.
  • 丸野 誓子, 河内 利賢, 中里 陽子, 古屋敷 剛, 輿石 義彦, 呉屋 朝幸
    2007 年 68 巻 12 号 p. 2982-2986
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    経過中に腫瘤径が増大したため, 確定診断を外科的手技にて行い, 治療として胸膜剥皮術を施行した円形無気肺の3例を経験したので報告する. 症例1 : 71歳, 男性. 胃癌の術後経過観察中に胸部X線にて腫瘤影を指摘され, 1年間で明らかな増大を認めた. 胸腔鏡手術で円形無気肺と診断し, 胸膜剥皮術を施行した. 症例2 : 72歳, 男性. 検診で右横隔膜に接する腫瘤を指摘, 増大傾向を示したため胸腔鏡を施行した. 組織学的に円形無気肺と診断し, 胸膜剥皮術を行った. 症例3 : 73歳, 男性. 左下葉の円形無気肺に対し左下葉切除を施行後, 3年後右側にも円形無気肺が出現し, 胸膜剥皮術を施行した. 肺剥皮後の経過はいずれも良好で, 肺は拡張し, 無気肺の再発はみられていない. 円形無気肺は増大傾向を示すことがあり, 肺癌との鑑別が重要である. 治療法として胸膜剥皮術が有用である.
  • 松田 英祐, 岡部 和倫, 八木 隆治, 平澤 克敏, 東 俊孝, 杉 和郎
    2007 年 68 巻 12 号 p. 2987-2990
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は71歳, 男性. 2006年2月, 検診にて胸部異常影を指摘された. しばらく放置していたが2007年1月, 精査目的に当院を受診した. 肺癌であり, 手術を行った. 職業歴および胸膜プラークを認めたことからアスベスト肺癌を疑い, 患者救済の目的で肺内アスベスト小体濃度の計測を行った. 結果, 肺乾燥重量1gあたり27,086本のアスベスト小体を認め, 「石綿による健康被害の救済に関する法律」 (以下石綿新法) での救済が認められた. 中皮腫では診断が確定すれば労災か石綿新法で救済される. 肺癌ではアスベスト以外に喫煙などの危険因子もあり, アスベストによる肺癌と診断するには肺内アスベスト小体濃度の計測が必要な場合がある. 今回われわれは肺内アスベスト小体濃度を計測し, 石綿新法で救済された肺癌の1例を経験したので報告する.
  • 村上 正道, 江端 英隆, 小谷 裕美, 城田 誠, 斉藤 琢己, 紀野 修一
    2007 年 68 巻 12 号 p. 2991-2996
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は65歳の男性. 2004年12月, 当科にてHCCに対する胸腔鏡下ラジオ波焼灼術の既往あり. 2005年12月, 腹痛・嘔気を主訴に当院再受診しイレウスの診断により入院となる. 当初保存的に治療するも第3病日から急激にショック症状を呈し, 絞扼性イレウスの診断により緊急手術施行. ラジオ波による焼灼部直上の横隔膜に非生理的な裂孔が存在し, 小腸が嵌頓・壊死に陥っていた. 壊死小腸の切除および横隔膜裂孔の閉鎖を行ったが術後3日目に多臓器不全により死亡した. HCCに対する経横隔膜的ラジオ波焼灼術は近年その適応を拡げているが, 術後のフォローアップにあたっては横隔膜ヘルニアは念頭に置くべき合併症のひとつと考えられた.
  • 國末 充央, 今井 史郎, 山口 和盛, 守本 芳典, 伊藤 雅, 小笠原 敬三
    2007 年 68 巻 12 号 p. 2997-3000
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は61歳, 女性. 右乳癌T3N0に対して乳房切除術施行. 術前のCTにて肝S8横隔膜下に15mm大の腫瘤を指摘されていた. 生検困難な部位であったため, ホルモン療法を施行しつつ経過観察されたが, 約1年半の間, 大きさに変化を認めなかった. FDG-PETにて同部位に一致して高集積を認めたため, 乳癌肝転移の疑いと診断し開腹切除を施行. 横隔膜より突出し, 肝実質にのめり込むような形状の2cm大の腫瘤を認め, 病理組織学的検査にて良性神経鞘腫と診断した. 神経鞘腫は良性でもFDG-PETにて高集積がみられるとする報告はあるが, 病変の局在の特殊性と経過から, 肝転移との鑑別がFDG-PETを用いても困難な症例であった.
  • 山崎 泰源, 魚本 昌志, 蜂須賀 康巳, 上平 裕樹, 渡辺 良平, 大森 克介
    2007 年 68 巻 12 号 p. 3001-3005
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    治療に関して示唆に富んだ特発性食道破裂を2症例経験したので報告する. 1例目は53歳, 男性. 飲酒後に嘔吐, 直後より背部痛・呼吸困難が出現し当院に救急搬送, 造影CTにて左血胸・気胸とともに縦隔気腫を認め食道破裂を疑い, 発症後9時間にて右開胸下に食道破裂部一次閉鎖術施行した. 術前から高度の肝硬変・食道静脈瘤により, 出血コントロールに難渋し, 多臓器不全にて術後6時間で死亡した. 2例目は55歳, 男性. 同様に食道破裂を疑い発症後7時間にて右開胸下に食道破裂部一次閉鎖, 有茎肋間筋弁被覆術施行したが, 術後縫合不全, 左右膿胸を合併し治療に難渋した.
    特発性食道破裂は, 早期診断・治療が予後に影響するが, 2例とも早期の診断にも関わらず, 基礎疾患への対応の不備やアプローチ法の不適により治療に難渋する結果となった. 食道破裂に対する治療は標準化されつつあるが, 全身状態不良症例では, ドレナージを中心に低侵襲の治療を行うなどその症例に適した方法を選択することが重要である.
  • 駄場中 研, 秋森 豊一, 岡林 雄大, 岡本 健, 小林 道也, 花崎 和弘
    2007 年 68 巻 12 号 p. 3006-3009
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    食道メラノーシスは, 食道粘膜に点状, 帯状, 不正斑状などの形態を呈する黒色~褐色の色素が沈着する稀な病変であり, 食道の悪性黒色腫に関連して言及される以外, ほとんど検討されていない. 今回われわれは, 食道メラノーシスに合併した早期食道癌の極めて稀な症例を経験した. 症例は63歳, 女性. 2005年11月, 上部消化管内視鏡検査にて門歯列より30cmの食道に, 食道メラノーシスとヨード不染帯を認め, 生検にてsevere dysplagiaを認めた. 上部消化管内視鏡再検査の生検でsquamous cell carcinomaを認めたため, 内視鏡的食道粘膜下層剥離術を施行した. 術後病理組織学的検査でも, 腫瘍周囲の粘膜基底層にメラニンの増加を認め, 粘膜上皮下には少数ながらメラノファージを認めた. 食道メラノーシスに合併した早期食道癌は極めて稀であり, 文献的考察を加え報告する.
  • 畑 啓昭, 大谷 哲之, 小木曽 聡, 山口 高史, 坂井 義治, 小泉 欣也
    2007 年 68 巻 12 号 p. 3010-3014
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    われわれは, 巨大な粘膜下腫瘍 (以下, SMTと略記) 様の胃壁内転移をきたした食道表在癌の1例を経験した. 症例は62歳, 男性. 嚥下時の違和感を主訴に受診. 術前検査にて胸部下部食道癌と, 胃体上部小彎側に, 頂部にびらんを伴う約80mm大の巨大なSMT様病変を認めたため, 胸部食道亜全摘・胃全摘・Appleby・膵体尾部切除術, D2郭清を行った. 肉眼所見では食道に39×31mmの3型病変と胃体上~中部小彎側に85×75mmのSMTを認めた. 病理所見では食道表在癌とその胃壁内転移であった. 食道表在癌で巨大な胃壁内転移を伴う症例は本邦では15例の報告があるのみであり, 本例はAppleby手術にて切除しえた稀な1例であると考えられたため, 若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 星野 敏彦, 榎本 和夫, 岩崎 好太郎, 辻仲 康伸
    2007 年 68 巻 12 号 p. 3015-3018
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は61歳, 女性. 2005年9月下腹部痛, 腰痛を主訴に当院を受診した. 整形外科にて腰頸椎多発性骨転移の診断を受け, 当科で全身検索を施行, 腹部造影CTで多発性の肝転移, マンモグラフィーにて左C領域にスピキュラを伴うカテゴリー5の腫瘤像を認め, 同部の穿刺吸引細胞診にて乳癌 (浸潤癌) の診断となった. また胃内視鏡にて大彎中心に4型の腫瘍が認められた. 同部の生検組織の免疫組織学的染色所見などから乳癌胃肝転移の診断となった. タキソール80mg/m2 (Day1, 8, 15Every4Wks) を現在までに1クール施行した.
    乳癌胃転移は稀であり本邦で57例の報告がある. 予後は悪いが内分泌療法施行症例に長期生存例があり, 乳癌胃転移の診断は困難であるが, 乳癌術後はこれを念頭におき正確に診断することが重要である.
  • 稲葉 一樹, 古田 晋平, 礒垣 淳, 宇山 一朗, 浦野 誠, 黒田 誠
    2007 年 68 巻 12 号 p. 3019-3023
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    48歳, 女性. 胃体中部小彎の小細胞癌に対して, 胃全摘, 脾摘, D2リンパ節郭清手術を施行した. 免疫染色ではChromogranin A (++), CEA (+) であった. 術後2年5カ月目に肝転移, 大動脈周囲リンパ節転移を認め, TS-1 80mg/day (body) を21日間, 8日目にCDDP 35mg/m2のレジメで化学療法を5クール施行した. 肝S3転移病変は転移診断時点より75%縮小し, その他の肝転移巣は消失した. 大動脈周囲リンパ節転移巣は著変を認めなかった. 初回手術から4年8カ月, 転移診断から2年3カ月経過した現在, 外来通院中である.
    胃小細胞癌は比較的稀で通常の腺癌に比べて, 発育進展が早く, 転移も高率で起こり, 予後不良な疾患といわれている. また有効な治療手段が確立されていないが, 今回施行したTS-1/CDDP化学療法は今後選択肢の一つになりうると考え文献的考察を含めて報告する.
  • 杉浦 八十生, 中川 基人, 金井 歳雄, 松本 圭五, 小柳 和夫
    2007 年 68 巻 12 号 p. 3024-3029
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    基礎疾患を有する高齢者のLemmel症候群に対する治療経験を報告する. 82歳, 女性. 内服治療中の糖尿病あり. 2000年10月より, 自然軽快する38度台の発熱と右季肋部痛を自覚していた. 白血球数, CRP, 肝細胞逸脱酵素, 胆道系酵素の上昇はあったが総ビリルビンと膵酵素は正常であった. 画像検査で胆道系の拡張と十二指腸乳頭周囲の複数の憩室を認めた. Lemmel症候群と診断され保存的治療で改善したが, その後再燃を繰り返した. 2003年9月の19回目の再燃時に初めて閉塞性黄疸となり, 経皮経肝胆道ドレナージ後に手術を施行した. それまでの経過から傍乳頭憩室の膵管への影響は少ないと推察されたこと, 高齢や糖尿病などリスクが高いことより, 術式は複雑な憩室直達手術ではなく総胆管十二指腸吻合術を選択した. 術後2年10カ月の現在まで再燃は認めない. Lemmel症候群は良性疾患で手術適応の決定・術式の選択に関する明確なガイドラインはない. 症例ごとに適切な治療法を選択することが重要と考えられる.
  • 高瀬 恒信, 梶川 真樹, 都島 由希子, 猪川 祥邦, 中山 茂樹, 矢口 豊久
    2007 年 68 巻 12 号 p. 3030-3035
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    十二指腸乳頭部癌の大部分は腺癌であり腺扁平上皮癌は極めて稀である. われわれが検索しえた範囲では本邦で現在まで22例が報告されているのみである. 今回われわれは十二指腸乳頭部腺扁平上皮癌の1例を経験したので報告する.
    症例は75歳の女性. 発熱と全身倦怠感を主訴に当院を受診した. 精査にて十二指腸乳頭部癌と診断し, 幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した. 肝転移, 腹膜播種の所見はなく, 十二指腸乳頭部に27×15mm大の腫瘤潰瘍型の腫瘍を認めた. 病理組織学的検索で共通管近傍より発生した腫瘍の中心に高分化型管状腺癌, 腫瘍先進部に高分化型扁平上皮癌を認め乳頭部原発の腺扁平上皮癌と診断した.
    術後, 第48病日に軽快退院した. 術後9カ月が経過したが再発の徴候はない.
  • 新山 新, 加治 建, 田原 博幸, 池江 隆正, 鈴東 昌也, 高松 英夫
    2007 年 68 巻 12 号 p. 3036-3039
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    3歳11カ月, 男児. 8カ月時にマススクリーニングテスト発見後腹膜神経芽腫の摘出術を施行され, 3歳6カ月時に腸閉塞症に対し開腹手術を施行された. 3歳10カ月時腹痛, 嘔吐のため当科を受診した. 来院時腹部単純レントゲン写真上は鏡面像がなかったが, 入院翌日には鏡面像を認めイレウスチューブを挿入した. 症状改善せずアシドーシス増悪のため, 第3病日緊急開腹術を施行した. 回腸150cm, 結腸20cmの腸管の色調が悪く, second look手術の方針で閉腹した. 翌日再開腹したが十分な改善をみないため, 正常空腸に腸瘻を造設した. 約3週間後に腸管を切除することなく腸瘻を閉鎖することができた. 腸管大量切除に伴う短腸症候群を避けるために, 可能な限り腸管温存の方法を試みることが重要であると考えられた.
  • 市川 寛, 飯合 恒夫, 下山 雅朗, 丸山 聡, 谷 達夫, 畠山 勝義
    2007 年 68 巻 12 号 p. 3040-3043
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は62歳, 女性. 心房細動, 脳梗塞にてワーファリンカリウムの内服と, 抗凝固療法の補助を目的にブコロームの併用中であった. 1週間前より感冒症状があり, その後腹痛が出現し増悪したため当院を受診した. 精査にてイレウスと診断され, 腹膜刺激症状も認めたことから緊急開腹手術を行った. 終末回腸から盲腸にかけての虚血性変化を認め, 一部壊死を伴っていたため, 回盲部切除を行った. 切除した終末回腸には凝血塊が充満し, イレウスの原因と考えられた. 終末回腸の粘膜面には多発潰瘍を認め同部からの出血が疑われた. 原因としては, 基礎疾患や病理組織検査からは虚血性腸炎が疑われたが, 確定診断には至らなかった.
    抗凝固療法中の消化管出血は周知された合併症である. しかし, 凝血塊を形成しイレウスの原因となった症例は極めて稀であるため, 文献的考察を含めて報告する.
  • 中沼 伸一, 二宮 致, 中川原 寿俊, 藤村 隆, 西村 元一, 太田 哲生
    2007 年 68 巻 12 号 p. 3044-3048
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は57歳, 男性. 上腹部中心の筋性防御を伴う圧痛を認め, 汎発性腹膜炎を疑われて紹介された. 腹部X線では遊離ガス像および腹部全体に腸管壁の嚢腫状気腫を認め, 腹部CTでは遊離ガス像, 腹水および, 腸管拡張像と腸管壁に沿った多発性嚢腫状気腫を認めた. 上部消化管内視鏡検査にて胃体部後壁に胃潰瘍を認めたが多量の残渣にて穿孔部位を確認出来なかった. 腸管嚢腫様気腫症を合併した汎発性腹膜炎と判断し手術を施行した. 胃底部前壁に穿孔部を認め, 混濁した腹水を認めた. 小腸のTreitz靱帯より150cmから430cmにわたり漿膜下に多数の気腫性変化を認めたが同部位に穿孔部は認めなかった. 胃穿孔部に大網充填術を行い, 小腸の気腫部は温存した. 術後経過は良好でCTにて多発性嚢腫状気腫の消失を確認した. 消化管穿孔を合併した腸管嚢腫様気腫症は比較的稀で本邦7例目, 胃穿孔併発症例は2例目であったため, 文献的考察を加えて報告する.
  • 安岡 利恵, 藤木 博, 森田 修司, 満尾 学, 川端 健二, 門谷 洋一
    2007 年 68 巻 12 号 p. 3049-3054
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は62歳, 男性. 肺小細胞癌に対して化学療法および放射線療法を施行され, 当院内科で経過観察中であった. 発熱が続いたため, 内科を受診し, 肺炎と診断され, 抗生剤による入院加療を受けていた. 入院翌日より右下腹部痛が出現し腹部CTを施行したところ, 急性虫垂炎と診断し, 同日手術を施行した. 病理結果で虫垂中枢側に小細胞癌を認め, これにより内腔は閉塞していた. また末梢側は壊死・穿孔しており, 肺癌の転移による虫垂炎と診断した. 悪性腫瘍の虫垂転移は手術時に膿瘍形成や穿孔をしていることが多く, 炎症の進展が急速であるため, 迅速に手術の時期を決定することが必要であると考える.
  • 平塚 孝宏, 安田 一弘, 猪股 雅史, 白石 憲男, 膳所 憲二, 北野 正剛
    2007 年 68 巻 12 号 p. 3055-3059
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は90歳の女性. 3週間前から下痢が持続し, 時々下血を伴うため, かかりつけ医を受診. 右下腹部に小児手拳大の腫瘤を指摘され, 加療目的で当科紹介入院となった. 腹部CT検査と腹部超音波検査で右下腹部にtarget signを認め, 注腸検査では盲腸から上行結腸にかけて蟹爪様の陰影欠損を認めた. 大腸内視鏡検査では上行結腸に管腔内全体を占める, 発赤調の粘膜で覆われた腸重積の先進部を認め, 生検の結果はGroup 1であった. 術前診断にて盲腸腫瘍による, 回腸から上行結腸に及ぶ腸重積症と判断し, 回盲部切除術を施行した. 重積腸管の先進部は表面が顆粒状で粘液に覆われた38×33mmの絨毛腫瘍であり, 病理組織診断は絨毛腺腫を伴う高分化腺癌で固有筋層浸潤を伴っていた. 絨毛腫瘍が原因となった腸重積症は稀であり, 本邦報告の21例をまとめ, 特徴について考察した.
  • 石田 直子, 石榑 清, 藤岡 憲, 渡邉 卓哉, 堀場 隆雄, 平井 敦
    2007 年 68 巻 12 号 p. 3060-3062
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は20歳, 男性. 間欠的右下腹部痛を主訴に来院した. 腹部CT検査で回盲部に同心円状構造を認め, 上行結腸の腸重積の診断で手術を施行した. Hutchinson手技で重積を整復したのち, 回盲部切除を施行した. 重積の先進部となるような器質的病変は認められず, 特発性腸重積と考えられた. ほとんどが器質的疾患に起因する成人腸重積の中で特発性腸重積は稀な1例であり, 文献的考察を加えて報告する.
  • 佐々木 貴浩, 須田 直史, 牧角 良二, 月川 賢, 宮島 伸宜, 大坪 毅人
    2007 年 68 巻 12 号 p. 3063-3067
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    上行結腸憩室炎穿通による腹腔内膿瘍に対して透視下大腸内視鏡を行い術前に確定診断し, 膿瘍が, 消化管にドレナージされていることを確認した後に腹腔鏡下に内側アプローチで右半結腸切除術を施行し, 良好な結果を得た. 憩室炎による膿瘍形成でも内側アプローチ腹腔鏡下手術で安全に手術は可能である. 若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 細井 勇人, 森田 高行, 藤田 美芳, 押切 太郎, 山口 晃司, 道免 寛充
    2007 年 68 巻 12 号 p. 3068-3071
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    Crohn病 (CD) に合併した大腸癌は比較的稀といわれているが, われわれは肛門管癌を合併した症例を経験したので報告する. 症例は74歳, 男性. 61歳時, 難治性腸瘻のため回盲部切除, S状結腸部分切除を施行された際に, 小腸大腸型CDと診断された. 平成17年10月, 下血を認め大腸内視鏡検査を施行. 肛門管に発赤隆起を認め, 生検で高分化腺癌と診断された. 肛門管癌の診断で腹会陰式直腸切断術を施行した. 病理組織学的所見は, P, 1型, 30×25mm, tub1, MP, N0, ly1, v0, H0, P0, M0, Stage Iであった. 直腸粘膜には少数の炎症細胞浸潤がみられたが, CDに特徴的な類上皮肉芽形成や, 全層性炎症症状はみられなかった. 経過は良好で, 術後26日目に退院となった.
    CD発症後の長期経過例で大腸に病変を有するものは, 潰瘍性大腸炎 (UC) と同様に, 通常と比べて癌の発生率は高い. そのためCDの長期経過例に対しては, UCと同様のサーベイランスが必要である.
  • 森 俊治, 磯部 潔, 中山 隆盛, 白石 好, 新谷 恒弘, 嶋田 俊之
    2007 年 68 巻 12 号 p. 3072-3076
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    嚢胞内出血を伴う肝嚢胞は稀である. 症例は50歳, 女性. 腹部膨満感を主訴に来院した. 腹部超音波検査で肝内側区域に, 内部に高エコーの乳頭状隆起性病変を伴う巨大な嚢胞性腫瘤がみられた. MDCTでは腫瘤内部はlow densityで, 7mm大の壁在結節を認めた. MRIでは高信号でやや不均一であった. 血液検査では血小板減少 (10.8×104/μl), 肝機能障害およびCA19-9の高値 (107U/ml) を認めた. 肝嚢胞腺癌の診断で肝左葉切除術を行った. 嚢胞性腫瘤の最大径は12cmで, 内面は平滑で内腔は血腫で充満していた. 病理学的に悪性所見はなく, 出血を伴う肝嚢胞と診断された.
  • 野村 尚弘, 竹田 伸, 野本 周嗣, 金住 直人, 杉本 博行, 中尾 昭公
    2007 年 68 巻 12 号 p. 3077-3082
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は61歳, 男性. 平成18年7月中旬より食思不振, 嘔吐が出現し近医を受診. 上部消化管内視鏡にて十二指腸下行脚の狭窄を認め, 腹部CTでは胃・十二指腸球部の著明な拡張と十二指腸下行脚を全周性に取り囲む腫大した膵頭部を認めた. 輪状膵による十二指腸狭窄と診断され治療目的に当院へ紹介となった. さらにMRCPにて膵胆管合流異常が疑われた. 以上より膵胆管合流異常を伴った輪状膵の診断で9月中旬に手術を施行した. 開腹すると, 十二指腸下行脚に約1cmの幅で非常に固い膵実質が全周性に取り巻き下行脚が狭窄していた. 術中胆道造影にて膵胆管の共通管が約1.5cmあり, 膵胆管合流異常と診断した. 総胆管は非拡張型だったため分流手術は施行せず, 胆嚢摘出術および十二指腸十二指腸吻合を施行した. 輪状膵は他の先天性奇形を伴うことが多いが, 膵胆管合流異常の併存は稀であり, 若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 和城 光庸, 草塩 公彦, 安富 淳, 松本 正成, 鈴木 秀, 宮崎 勝
    2007 年 68 巻 12 号 p. 3083-3086
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は56歳, 男性. 急激な腹痛にて来院. 来院時腹部は板状硬で, 血液検査上RBC 286万, Hb 9.4と貧血認め, その他, Amy 195, γ-GTP 176と軽度の異常を示し, 腹部CTにて多量の血性腹水および膵体尾部の腫大を認めた. 徐々に血圧の低下を示しため, 緊急開腹術を施行した. 術中所見上, 膵体尾部は腫大し, 膵周囲後腹膜から腹腔内に連続する血腫が形成されていたため, 膵体尾部切除および脾摘術を施行した. 病理組織検査上, 膵周囲脂肪組織壊死, 膵周囲組織の出血性変化, 膵実質および膵管内出血を呈し, 急性膵炎による膵周囲血管の破綻を原因とする腹腔内出血と診断された.
  • 深見 保之, 長谷川 洋, 坂本 英至, 小松 俊一郎, 都築 豊徳
    2007 年 68 巻 12 号 p. 3087-3090
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    若年発症した巨大な膵腺房細胞癌の1例を経験した. 症例は22歳の男性で, 発熱を主訴に受診した. 左上腹部に10cm大の弾性硬な腫瘤を触知し, 腹部CTで膵尾部に接して充実成分と液体成分の混在する巨大な腫瘍を認めた. 血液生化学検査ではエラスターゼIが高値を示し, CEA, CA19-9は正常範囲内であった. また, 上部・下部消化管内視鏡検査で胃, 大腸に多発ポリープを認めた. 膵悪性腫瘍と診断し膵体尾部切除, 脾臓・横行結腸合併切除を施行した. 病理組織学的診断は膵腺房細胞癌であった. 術後4年経過した現在, 再発は認めていない.
  • 杉森 順二, 泉 俊昌, 森川 充洋, 林 泰生, 田口 誠一, 河原 栄, 山口 明夫
    2007 年 68 巻 12 号 p. 3091-3095
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は72歳, 女性. 腎嚢胞の経過観察のため施行した腹部CT検査で, 脾臓に腫瘤を指摘され, 精査目的に当院紹介受診となった. 自覚症状はなく, 血液検査では, 軽度の炎症反応を認めるのみであった. 腹部US, CTおよびMRI検査にて, 脾臓に7cmの腫瘤を認めた. 腫瘤の内部は不均一で, 一部cysticな部分を認めた. 脾臓原発の血管腫もしくは血管肉腫を疑い手術を施行し, 病理学的検索にて脾血管肉腫と診断された. 術後3カ月目に肝転移を認め, パクリタキセルによる化学療法を施行したが, 効果なく術後172日目に死亡した. 脾臓原発の血管肉腫は予後不良な疾患であり, 頻度も少ないことから, いまだ治療法が確立していない. 今後, 有効な化学療法, 免疫療法の確立が望まれる.
  • 森脇 義弘, 豊田 洋, 小菅 宇之, 山本 俊郎, 杉山 貢
    2007 年 68 巻 12 号 p. 3096-3099
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は56歳, 男性. 前医の単純X線とCT検査で腹腔内遊離ガス像を認め, 発症後2日経過した消化管穿孔腹膜炎の診断で転送されてきた. BUN, クレアチニンの上昇があったが腎機能障害の合併と考えていた. 手術時に腹腔内膀胱遊離破裂と判明した. 術後情報を再確認し, 前医で単純X線撮影前に膀胱留置カテーテルから空気を注入したこと, 患者は発症当日大量飲酒後に下腹部を打撲していたことが判明し, 膀胱充満状態での下腹部強打による膀胱腹腔内遊離破裂, 偽腎不全, 医原性腹腔内遊離ガスという典型的病態であったことが判明した. 適切な手術の準備などのためにも, 病院間高次転送時には, 正確な情報伝達と情報確認に努め, 情報に対する先入観や思いこみを排除し, 前医からの情報のみに基づく緊急手術の適応だけの判断で手術を行うのではなく, 症例の緊急性に応じて自施設でも責任を持って術前診断を確実に行うことが重要と思われた.
  • 祝迫 惠子, 有本 明, 加茂 直子, 瀬尾 智, 浮草 実
    2007 年 68 巻 12 号 p. 3100-3105
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は27歳, 女性. 左側腹部の手挙大のしこりを主訴に受診した. 腹部超音波検査で, 腹腔内に6.5×5×5cm大, 境界明瞭, 内部ほぼ均一な低輝度の腫瘤がみられた. 腹部造影CT検査では, 均一に造影された. 腹部MRI検査では, T1強調画像で筋肉と同等の低信号, T2強調画像でやや高い信号を示し, 均一に強く造影された. リンパ腫, 平滑筋腫またはGISTが疑われ, 腹腔鏡下腫瘤摘出術を施行した. 腫瘤は, 横行結腸間膜内に存在し, 6.5×6.0×4.0cm充実性, 病理組織検査でunicentric Castleman's disease, hyaline vascular typeと診断された. 術後7日目に退院, 4年後の現在, 再発の兆候はない.
    腹腔内, 特に腸間膜に発生するCastleman病は, 非常に稀とされている. 今回, われわれは, 横行結腸間膜の腫瘤を腹腔鏡下に摘出し, Castleman病と診断された1例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告した.
  • 前田 和成, 足立 淳, 橋本 憲輝, 高野 尚史, 内山 哲史
    2007 年 68 巻 12 号 p. 3106-3109
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は47歳, 男性. 2005年11月, 直腸癌に対し低位前方切除術, D3リンパ節郭清を施行した. 2006年11月のCTで下腹部正中創部に径18mmの腫瘍を認めた. FDG-PETを施行したところ, CTで指摘された部位と, 腹腔内腹壁近傍に集積を認めた. 腫瘍マーカーはCEA, CA19-9ともに基準値内であった. 直腸癌の転移性腫瘍を疑ったため, 2006年12月, 腫瘍摘出術を施行した. 1つは腹壁内から膀胱に接する位置に, 1つは大網に包まれていた. 病理組織検査にて, Schloffer腫瘤およびBraun腫瘤と診断され, 悪性所見は認めなかった. FDG-PETにて集積を認める腫瘍の場合, 転移性腫瘍との鑑別としてSchloffer腫瘤およびBraun腫瘤も考慮に入れる必要があると思われた.
  • 藤原 立樹, 倉持 純一, 星野 直明, 小野 千尋, 西岡 良薫, 西村 久嗣
    2007 年 68 巻 12 号 p. 3110-3114
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は70歳, 男性. 心窩部痛, 嘔気を主訴として来院. 腹部単純撮影で右上腹部に鏡面像を認め, 腸閉塞が疑われ, 同日入院となった. イレウス管を挿入し造影したところ, 右上部小腸にcoffee bean signを認めた. 腹部CT検査では, 横行結腸の腹側に拡張した小腸係蹄を認めた. 画像所見より大網裂孔ヘルニアと診断した. 保存的治療では難しいと判断し, 手術を施行した. 開腹すると, 大網に約4cmの裂孔を認め, Treitz靱帯より150cmの小腸が約30cmに渡って同部位に嵌入していた. 嵌入腸管は軽度の血流障害を認めたのみであったため, 腸切除は施行せず, 嵌入腸管を解剖学的位置に戻し, 裂孔を縫合閉鎖した. 術後経過は良好で, 術後12日目に退院となった.
  • 黒田 晶, 高田 実, 大野 耕一, 藤森 勝, 関下 芳明
    2007 年 68 巻 12 号 p. 3115-3120
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    von Recklinghausen病 (VRD) に小腸GISTおよび褐色細胞腫を合併した症例を経験した. 症例は30歳時にVRDと診断された33歳, 女性. 顔色不良および腹痛を訴え産婦人科受診. CT上, 骨盤内に石灰化を伴う13cm大の腫瘍, 左副腎に3cm大の腫瘍を認めた. 精査にて骨盤内腫瘍はGISTの疑い, 左副腎腫瘍は褐色細胞腫と診断され, 当科へ転科後手術が施行された. 骨盤内の腫瘍は空腸が起始部であり, 小腸部分切除, さらに左副腎摘出術を施行した. 小腸腫瘍は病理学的に悪性GISTの診断, また副腎の褐色細胞腫にも悪性を示唆する所見を認めた. 術後1年現在再発を認めていない. VRDに合併した複数の悪性腫瘍の報告が散見され, 予後に関与する可能性があるため, 早期発見のための全身検索が重要であると考える.
  • 吉村 文博, 的野 吾, 岸本 幸也, 福光 賞真, 堀内 彦之, 白水 和雄
    2007 年 68 巻 12 号 p. 3121-3125
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は87歳, 男性. 血便, 肛門痛を主訴に当院受診となった. 32歳時に痔瘻を指摘され切開の既往があった. 3時, 9時方向に痔瘻の手術瘢痕と2次口を認め, 直腸指診では肛門管の6時方向に母指頭大の疼痛伴う弾性硬な腫瘤を触知した. また肛門縁より約4cmの直腸左側壁より前壁にかけて可動性のない硬結伴う腫瘤を触知した. 瘻孔からの排膿は認めなかった. 精査の結果, 直腸Rb腫瘍の生検で中分化型腺癌の診断を得た. 痔瘻部結節からの生検では悪性所見は認めなかった. 痔瘻を伴う直腸癌の診断で腹会陰式直腸切断術, D2郭清を施行した. 病理組織診断で直腸癌は中分化型腺癌2型, 40×45mm, pA, pN1 (1/7), sH0, cP0, cM0, fStage, IIIa, であった. 痔瘻部には粘液癌を認め, 直腸癌と痔瘻癌は組織学的にも連続性は認められなかった. 今回, 直腸と痔瘻部の重複癌の1例を経験した. 直腸癌と痔瘻癌の重複は稀であり文献的考察を加え報告する.
  • 小澤 悟, 堀田 司, 岩橋 誠, 東口 崇, 山上 裕機
    2007 年 68 巻 12 号 p. 3126-3129
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/08/08
    ジャーナル フリー
    症例は61歳, 女性. 下腹部痛, 発熱を主訴に当院を受診した. S状結腸憩室炎による腹腔内膿瘍の診断のもとに緊急開腹術を施行した. 手術開始15分後より, 突然血圧およびSO2が低下し, 全身に発赤を認めた. アナフィラキシーショックと診断し, 加療により1時間程度で全身状態は回復した. 術中使用した麻酔薬や抗生物質の薬剤アレルギーを疑い検査を施行したがいずれも陰性であった. 問診より患者は天然ゴム手袋による痒みを自覚したことがあった. また, ラテックスに対する特異抗体価が0.56UA/mlと上昇しており, 結果として術者手袋に含まれるラテックスが原因のアナフィラキシーショックであることが示唆された. 天然ゴム製品を排除して根治術を行ったところ, アナフィラキシーショックは起こらなかった. 詳細な問診によりラテックスアレルギーの既往やハイリスク患者を割り出し, ラテックス除去環境での手術を行う必要があると考えた.
編集後記
第69回日本臨床外科学会総会 発表取り下げ演題,発表者変更演題,追加演題
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