日本臨床外科学会雑誌
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69 巻 , 12 号
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第69回総会会長講演
原著
  • 住吉 一浩, 野原 丈裕, 岩本 充彦, 田中 覚, 木村 光誠, 高橋 優子, 辻 求, 谷川 允彦
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3028-3037
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    目的:乳腺診断において,非侵襲的な手技である穿刺吸引細胞診(fine needle aspiration biopsy cytology:以下FNAC)の役割は大きいが,良悪性の鑑別に難渋する症例にも遭遇する.FNACのピットフォールや有用性に関して検討した.対象:FNACを施行した506例(悪性463例,良性43例)を対象とし,FNACと永久組織標本を比較検討した.結果:悪性疾患463例中,FNACで「悪性」と診断しえたのは341例(73.7%)で,「悪性疑い」23例(5.0%)を含めると364例(78.7%)であった.「鑑別困難」が17例(3.7%),「良性」が39例(8.4%)で,「検体不適正」が43例(9.3%)であった.「検体不適正」症例は,非浸潤性乳管癌(37.5%)や非触知癌(26.3%)にて頻度が高く,腫瘍径が有意に小さく,grade1症例に多い傾向にあった.「鑑別困難」症例には,まれな疾患が含まれ核異型度grade3の症例が少なかった(6.7%).一方,良性疾患中「鑑別困難」症例には,乳頭状病変,葉状腫瘍が多く含まれていた.また,良性疾患に過大手術を行ったDuctal adenomaおよび肉芽腫性乳腺炎を1例ずつ経験した.結語:乳腺診断においてFNACは有用であるが,類推組織型を念頭におき,診断が困難な場合は積極的に組織診を行い,整合性を得ながら診断すべきである.
  • 尾崎 慎治, 福間 英祐, 戸崎 光宏, 阿部 聡子, 小川 朋子, 比嘉 国基, 坂本 尚美, 坂本 正明, 河野 奈央子, 山城 典恵, ...
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3038-3047
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    目的:微小乳癌に凍結療法を施行し,画像所見および病理組織学的所見から非切除凍結療法の可能性を検討した.
    方法:1cm以下の限局性乳癌7症例を対象とした.凍結機器はVisica Cryoablation System (Sanarus Medical, Pleasanton, USA)を用い,局所麻酔下で超音波ガイド下凍結療法を施行した.
    結果:凍結範囲はUS,MRIで特徴的な所見を示した.目的病変は全例で凍結範囲内に位置しており,残存病変は認めなかった.病理組織学的に凍結療法の抗腫瘍効果の検討を行った1症例では,凍結範囲の中心部(腫瘍存在部位)から採取した組織において,ヘモジンデリン沈着を伴う瘢痕様線維性組織を認め,腫瘍細胞は完全に消失していた.7症例の凍結療法後の平均観察期間は9.7カ月(3カ月~21カ月)であり,現在まで再発所見を認めていない.
    結論:限局性の微小乳癌病変に対して超音波ガイド下凍結療法は乳癌の局所療法の一つになりえる可能性がある.
  • 上原 忠司, 山里 將仁, 知念 順樹, 伊禮 聡子, 早坂 研, 松浦 文昭, 豊見山 健, 久志 一朗, 宮里 浩, 久高 学, 山城 ...
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3048-3052
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    漏斗胸に対するNuss手術の術後合併症であるバーの移動は,胸壁の再陥凹を引き起こし,再手術や再固定術が必要となる.われわれは,その合併症を防止する目的で2004年4月以降の症例では,両側胸部の2点でバーを固定する従来のNuss手術に加えて右前胸部で通過部の肋骨にバーを固定する3点固定法を行っている.今回,3点固定法を用いてNuss手術を行い,バー抜去術まで施行された25例を対象にその有用性を検討した.手術時の平均年齢は9歳(5-16歳).男17例,女8例.術前のHaller Indexは5.1(3.3-10.4).バーの使用数は1本24例,2本1例.平均手術時間は102分(75-172分).術後合併症は肺炎4例,血胸1例で,バーの移動を認めた症例はなく,全例,バー抜去術が施行され,満足の行く結果であった.Nuss手術における3点固定法は,術後のバーの移動を予防する方法として有用であると思われた.
  • 川村 秀樹, 小笠原 和宏, 片岡 昭彦, 武田 圭佐, 篠原 敏樹, 松久 忠史, 高橋 周作, 服部 優宏, 正村 裕紀, 相木 総良, ...
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3053-3060
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    クリティカルパスのバリアンスを利用した合併症の早期発見・予測の可能性を多施設で検討した.札幌厚生病院外科において術後合併症のなかった190例の胃切除例の毎日の鎮痛剤使用回数,最高体温,収縮期血圧最高値と最低値,脈拍最高値,尿量と術後酸素投与日数,食事摂取量をデータベース化し,各指標の90パーセンタイル値をバリアンスの基準値とした.北海道大学第1外科関連11施設に基準値を適合させた場合のバリアンス発生および術後合併症の発生状況について,各施設の連続した10例の胃切除例において調査を依頼した.バリアンスは52.7%(58/110)に発生し,そのうち合併症が発生したものは32.7%(19/58)であった.バリアンスの発生時期は合併症を認識した日より前が73.7%(14/19),同日が26.3%(5/19)であった.バリアンスの発生しなかった症例は47.3%(52/110)でそのうち合併症が発生した症例は5.8%(3/52)であったがいずれも軽微であった.このようなバリアンス基準値を用いることで他の多施設でも合併症の早期発見や予測が可能と思われた.
  • 正木 忠彦, 松岡 弘芳, 佐藤 和典, 武井 宏一, 植木 ひさよ, 小林 敬明, 小山 洋伸, 杉山 政則, 跡見 裕
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3061-3068
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    Crohn病に対するインフリキシマブ治療の臨床効果,患者満足度,医療経済評価を明らかにする目的で,自験例の後ろ向き解析と患者質問票調査ならびに直接・間接的費用調査を行った.臨床効果は「やや有効」以上が91%であり,導入後は手術回数が有意に減少した.患者質問票調査では,生活・就学・就業面で70%前後の患者が改善したと回答し,インフリキシマブ治療が改善に有意に関連したと考えていた.直接・間接的費用調査では,1人・年あたり463,000円~1,295,000円余分にかかったと算出された.インフリキシマブの反復維持投与が標準治療となりつつある現在,臨床効果がすぐれた本治療法が医療経済的にどこまで容認できるかについて,費用効用分析などの手法を用いた検討が今後必要になると考えられた.
症例
  • 重松 英朗, 中村 吉昭, 古閑 知奈美, 森 恵美子, 大野 真司
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3069-3073
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    Corynebacterium kroppenstedtii感染により発症し乳癌との鑑別を要したgranulomatous mastitisの1例を経験したので報告する.症例は47歳,女性.1カ月前より右乳房腫瘤を自覚し当科受診.右乳房A領域に3cm大の腫瘤を認めた.理学的所見,画像所見より右乳癌が疑われたが針生検組織診で確定診断が得られなかったため外科的生検術を行った.病理組織所見では肉芽腫の形成と多核巨細胞を含む炎症細胞浸潤を認め悪性所見は認められなかった.細菌培養にてCorynebacterium kroppenstedtiiを認め,Corynebacterium kroppenstedtii感染により発症したgranulomatous mastitisと診断した.治療として排膿ドレナージ後,塩酸ミノサイクリン内服治療を3週間施行し治癒を認めた.Granulomatous mastitisの診療においてCorynebacterium kroppenstedtii感染の可能性を考慮することが必要と考えられた.
  • 諏訪 裕文, 安水 良知, 橘 強, 近藤 昌平, 今村 卓司, 大塩 学而
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3074-3078
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,女性.左乳房AC領域の7.5×6.5cm大の腫瘤を主訴に来院した.マンモグラフィでは,辺縁が微細鋸歯状で分葉状の高濃度腫瘤を示しカテゴリー4,乳房超音波検査では形状不整,境界やや不明瞭,内部不均一な低エコー腫瘤を示した.穿刺吸引細胞診にて乳管癌を合併したadenomyoepitheliomaと診断され,左乳房切除術および腋窩郭清を行った.病理組織標本では,腫瘍の中央部に乳腺adenomyoepitheliomaを,周辺に硬癌および非浸潤性乳管癌を認めたが連続性はなく,別々に発生して衝突したものと考えられた.乳腺adenomyoepitheliomaは腺上皮細胞と筋上皮細胞がともに増殖する乳腺腫瘍で,大部分が良性と考えられているため,浸潤性乳管癌を同側に合併した症例は極めて稀であり,本邦4例目である.術後2年まで転移・再発所見はなく経過観察中である.
  • 斉藤 光徳, 青野 哲也, 岡田 洋次郎, 松本 光司
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3079-3083
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    症例は53歳,女性.2005年1月頃に右乳房腫瘤に気づいたが放置していた.その後,急速に増大し,疼痛を伴うようになり,右乳房の変形をきたすほどの巨大な腫瘤となったため,2005年10月当科を受診した.腫瘍は最大径15cm大,弾性硬で皮膚は発赤していた.手術は右乳房切除術を施行した.術後の病理所見にて乳腺間質肉腫と診断した.リンパ節転移や脈管侵襲は認めなかった.合併症なく術後経過は良好で,術後第10病日に軽快退院となった.退院3週間後に呼吸苦を主訴に再診した.胸部X線検査にて右胸水を多量に認め,胸部CT検査では右前胸壁に3cm大の再発巣を認めた.胸水細胞診にて異型細胞を認め,胸膜播種による悪性胸水と診断した.再入院後,右胸腔ドレナージを施行した.その後も胸水の排液は持続,再発巣も急速に増大し,術後第67病日に死亡した.
  • 上田 大輔, 田中屋 宏爾, 荒田 尚, 金澤 卓, 竹内 仁司
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3084-3087
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,女性.乳癌骨転移に対し,ビスフォスフォネート製剤を投与されていた.投与開始後12カ月目より左下臼歯部の疼痛,周囲歯肉の腫脹,骨露出を自覚し,ビスフォスフォネート製剤の投与による顎骨壊死と診断された.未治療の歯科疾患が誘因となった可能性も考えられる.ビスフォスフォネート製剤は骨転移患者のQOL改善に優れた効果が立証されているが,一方では,顎骨壊死のリスクを考慮した投与が必要になると考えられる.
  • 青山 圭, 神尾 孝子, 大地 哲也, 山口 昌子, 亀岡 信悟
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3088-3091
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    症例は43歳,女性.不妊治療施行後から右乳房の張りを自覚した.3カ月経過し右乳房のしこりを自覚し,その後急速な増大と疼痛,皮膚の発赤が出現したために当院を受診した.来院時現症は右乳頭直下に約4cmの弾性・硬腫瘤を触知し,乳輪には軽度発赤を伴っていた.マンモグラフィ検査では不整形微細鋸歯状の腫瘤が右乳房全体を占めていた.乳房超音波検査では右乳頭直下に辺縁不整形,内部エコーは粗雑不均一な腫瘤を認めた.細胞診検査では鑑別困難,針組織生検では壊死組織が認められ悪性所見は認められなかった.腫瘤摘出術を施行し,手術中の迅速病理検査では良性/悪性の判定困難であり壊死組織とのことであった.正式な術後病理検査にて乳頭腺管癌との診断を得た.
    今回われわれは,梗塞壊死を起こした乳癌の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 阿部 徹, 小林 正史, 村上 恭紀, 井上 正行, 井上 慎吾, 藤井 秀樹, 山根 徹
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3092-3096
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,女性.左乳房腫瘤の精査を目的に受診した.触診で腫瘤は触知せず,マンモグラフィで辺縁が微細鋸歯状の高濃度腫瘤,乳腺超音波検査で楕円形で境界が一部不明瞭な低エコー腫瘤を認めた.穿刺吸引細胞診でClassIIであった.経過観察中の乳腺超音波検査で腫瘤の増大を認め,再度施行した穿刺吸引細胞診ではClassIIであったが,針生検で腺様嚢胞癌と診断された.乳房扇状部分切除術とセンチネルリンパ節生検を施行した.病理組織所見では,腫瘍は腺腔様構造を形成する部位と小型の細胞が充実性に増殖する部位からなり,腺上皮細胞と筋上皮細胞から構成されていた.腺様嚢胞癌は異型の弱い小型の細胞からなる篩状構造が特徴である.そのため,確定診断には細胞異型を診断する穿刺吸引細胞診ではなく,構造異型が診断可能な針生検が必要である.
  • 弥政 晋輔, 鈴木 和志, 東島 由一郎, 後藤 秀成, 大城 泰平, 松田 眞佐男
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3097-3100
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    子宮転移を契機に発見された乳腺浸潤性小葉癌の1例を報告する.症例は52歳,女性.下腹部膨満感を主訴に入院し,諸検査にて骨盤内腫瘤を指摘され,子宮筋腫の診断で子宮摘出術を施行された.術後の病理組織学的検索では,小細胞が一列に配列,増殖する“Indian files”様の形態を示し,転移性子宮癌と診断,さらには乳腺浸潤性小葉癌の存在が強く示唆された.引き続き行われた精査により初めて左乳癌が発見され,非定型的乳房切断術が施行された.転移巣の病理像から原発乳癌が発見されることは稀である.浸潤性小葉癌の病理学的特徴を念頭に置き,他臓器で同様の病理所見が得られた場合は速やかに乳腺の検索を行うことが重要である.
  • 稲田 潔, 池田 庸子, 林 俊之
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3101-3106
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    segmental arterial mediolysis(SAM)の56集計例のうち多発動脈瘤を伴う20例(35.7%)の治療,予後について検討した.症例は平均年齢57.8歳,男14例,女6例で,18例は腹腔内出血,1例は腹膜炎で発症,1例は無症状であった.主病変(破裂瘤)は中結腸動脈9,胃大網動脈3が多く,副病変(非破裂瘤)は17動脈系と多岐に亘り,両者あわせて20個が最多であった.16例は緊急開腹術を受け,併存疾患による死亡1例を除き全例生存した.副病変は4例で処置され,11例では放置されたが予後は全て良好であった.手術されなかった3例は死亡し,無症状の1例は他因死した.本症の治療は血管造影を施行した際に経カテーテル的に処置するのが望ましく,それが困難なときは緊急開腹術を行うべきで,その成績は良好であった.
  • 村井 俊文, 宮内 正之, 佐藤 俊充, 蜂須賀 丈博, 森 敏宏, 篠原 正彦
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3107-3112
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    69歳,男性.平成17年12月,CT,MRIにて腎動脈下の腹部大動脈瘤(5.2×5.0cm),両大腿動脈瘤(右:9.0×7.5cm,左:4.3×4.0cm),右膝窩動脈瘤(3.5×2.5cm)を認めた.採血上,播種性血管内凝固症候群(以下DIC)を合併しており,このいずれかの動脈瘤によるDICと診断し,DICコントロール目的で入院となった.入院後2日目に脳梗塞を発症したため,出血性梗塞を危惧し,低分子ヘパリンによるDICコントロールを断念した.CTの所見にてDICの原因と考えられた右大腿動脈瘤の人工血管置換術を施行した.DICは改善し,術後11日目に退院となった.しかし,術後約3カ月目にDICを再発し緊急入院となった.低分子ヘパリンを使用し,入院後9日目にはDICは改善し,腹部大動脈瘤,左大腿動脈瘤の人工血管置換術を同時に施行した.術後経過は良好で術後11日目に退院した.DICを2度合併した多発動脈瘤を経験したので報告する.
  • 平安 恒男, 古堅 智則, 兼城 隆雄, 伊地 隆晴, 國吉 幸男, 上原 忠大
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3113-3118
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    症例は16歳,女性.学校検診時の胸部レントゲン検査にて左肺異常陰影を初めて指摘された.肺陰影の精査中に腹痛出現,胃内視鏡検査にて胃体部小彎側に粘膜下腫瘍を指摘された.FDG-PET検査にて,肺病変,胃病変共に有意なFDG集積所見を認めた.胃部分切除術と,左肺下葉切除術を施行した.胃粘膜下腫瘍はgastrointestinal stromal tumor(以下GIST),肺腫瘍は肺軟骨性過誤腫の診断となった.Carney等は,gastric leiomyosarcoma,functioning extra-adrenal paraganglioma,pulmonary chondromaの3病変のうち,2病変以上を合併する症例を1つの症候群(Carney's triad)として提唱した.最近では,胃病変はgastric leiomyosarcomaだけではなく,GISTを含めて報告されている.当症例は,副腎外傍神経節腫瘍を伴わない,いわゆる不完全型Carney's triadと考えられた.文献的考察を加えて報告する.
  • 松田 明久, 笹島 耕二, 丸山 弘, 松谷 毅, 田尻 孝
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3119-3122
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    皮下埋込型薬液注入システム(静注用)(以下CVポートと略す)留置後に化膿性胸鎖関節炎を発症した症例を経験したので報告する.症例は51歳,女性.進行大腸癌に対し右鎖骨下よりCVポートを留置し,mFOLFOX6療法を施行した.ポート周囲に発赤,疼痛を認めたためCVポートを抜去した.抜去後,右肩・頸部痛,右胸鎖関節部の腫脹,疼痛を認め,画像所見から化膿性胸鎖関節炎と診断した.抗菌薬投与を開始し,穿刺部に皮下膿瘍の形成を認めたため切開排膿処置を行い軽快した.化膿性胸鎖関節炎は比較的稀な疾患で,化学療法施行症例では免疫低下状態から本症を発症しやすく,重症化すると敗血症に至ることがある.CVポート関連感染症を疑った際には,早期の対応が重要であると思われた.
  • 別府 樹一郎, 上田 祐滋, 林 透, 豊田 清一
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3123-3127
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    胸腔内発育を呈した,高齢発症の稀な胸壁デスモイド腫瘍を経験したので報告する.症例は80歳,女性.平成17年12月に背部を打撲し近医を受診した.胸部CTで打撲部から離れた右胸腔内に腫瘤を指摘されたが経過観察されていた.平成19年5月の胸部CTにて腫瘤の増大を認め,平成19年7月精査・加療目的にて当科紹介となった.胸部CTにて胸壁に接した境界明瞭な胸腔内腫瘤を認め,内部に軽度の造影効果を伴い,腫瘤と接する右第7肋骨には骨皮質の不整像を認めた.MRIではT1強調像で骨格筋とほぼ等信号,T2強調像で高信号を示し,造影MRIでは造影効果を認めた.FDG-PETでは淡い集積を認めた(SUVmax=3.5).
    以上の所見から悪性腫瘍が疑われたため,平成19年7月,胸壁合併胸壁腫瘍切除術を施行した.病理検査にてデスモイド腫瘍と診断された.デスモイド腫瘍は局所浸潤性が強く術後局所再発率が高いため,今後厳重な経過観察が必要である.
  • 有村 隆明, 西村 秀紀, 濱中 一敏, 近藤 竜一, 吉田 和夫, 天野 純
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3128-3132
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    症例は20代,男性.2005年に絨毛癌と診断された.多発肝転移,多発肺転移,後腹膜リンパ節腫大を認めており化学療法施行となった.化学療法後に多発肝転移は消失,多発肺転移と後腹膜リンパ節腫大が残存しており2006年4月に肺部分切除術と胸膜癒着術・右肺瘻閉鎖術,2006年6月に後腹膜リンパ節郭清術を施行した.術後は無再発で経過観察されていたが,2008年2月胸部レントゲン・胸部CTで右胸壁腫瘍を指摘された.絨毛癌の転移性胸壁腫瘍を疑い2008年5月に腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は白色充実性の腫瘍で,組織学的検査では絨毛癌の転移所見は無く,胸壁デスモイド腫瘍と診断された.切除断端は一部陽性であった.デスモイド腫瘍の好発部位は腹部で胸壁発生は稀である.高率に局所再発を認める腫瘍であり,再発予防に放射線療法を予定している.
  • 加藤 響子, 近藤 竜一, 江口 隆, 椎名 隆之, 吉田 和夫, 天野 純
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3133-3139
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    患者は20歳代,男性.低血糖発作の精査でMEN1型と診断され同時に胸腺腫瘤も指摘された.インスリノーマの手術後,胸腺腫瘤の手術目的で当科紹介となった.血液検査では,上皮小体ホルモンの高値を認め,CTおよびMRIにて,前縦隔に辺縁平滑・内部均一な25mmの楕円形結節を認めた.MIBIシンチでは,甲状腺下極,左鎖骨上窩に淡い集積増加を認めた.上皮小体機能亢進症および胸腺カルチノイド疑いの診断で,拡大胸腺摘出術,上皮小体摘出術,縦隔・鎖骨上窩リンパ節郭清を施行した.病理組織診断では,胸腺腫瘤は非定型カルチノイドと診断された.術後経過は良好であった.胸腺カルチノイド症例では,鎖骨上窩を含めた十分なリンパ節郭清が必要である.MEN1型合併症例では,上皮小体機能亢進症に対する頸部手術を同時に行うことで,前胸部正中切開のみでは困難な鎖骨上窩へのアプローチが容易となり,十分な郭清が可能になると考えられた.
  • 那須 裕也, 西山 徹, 竹林 徹郎
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3140-3144
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,女性.平成10年頃より左上腹部に腫瘤を自覚していたが,放置していた.平成16年12月,心窩部痛と嘔気を自覚.近医にて精査を行ったところ,胆石と左上腹部に巨大な腫瘤を指摘され,当院消化器内科を受診.CTにて胆石および隔壁形成と石灰化のある造影効果の乏しい約10cm大の腫瘤を認め,当科紹介となった.
    手術は,まず腹腔鏡下にて胆嚢摘出術を施行.その後左側腹部を開腹し,肋骨・胸腹壁ならびに横隔膜の合併切除を行い,腫瘤を摘出した.横隔膜は直接縫合閉鎖を行い,胸腹壁欠損部はComposix Kugel Patch®(14cm×18cm)を使用して再建した.
    病理結果は,肋骨原発の軟骨肉腫であった.術後約3年経過した現在でも無再発生存中であり,Patchの感染も認めず,またPatch挿入部は,外見からはほとんどわからず,違和感無く過ごされている.
  • 北川 光一, 山本 雅一
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3145-3149
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    症例は90歳,女性.胃弓隆部から胃角部に至る4型胃癌(T4,N3,H0,P0,CY1,stageIV)に対してS-1投与にて加療中,体重減少と食欲低下が著明となったため,中心静脈栄養用カテーテルおよび皮下用ポート造設目的で入院した.造設後6日目から全身倦怠感,味覚異常が出現.血液生化学および尿検査にてNa112mEq/l,尿浸透圧525mOsm/kg,血漿浸透圧233mOsm/kg,尿Na濃度76mEq/l,脱水所見を認めず.診断基準からsyndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone(SIADH)と診断した.輸液制限およびNa補正を行った所,徐々に血清Naは基準値まで回復した.高齢の担癌患者においては抗癌剤投与や皮下用ポート造設術等のイベントがSIADH発症の契機となり得るため血清電解質検査を含めた経過観察が必要と考えられた.
  • 渡部 篤史, 三森 教雄, 篠原 寿彦, 柏木 秀幸, 矢永 勝彦
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3150-3154
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,男性.胃部不快感にて施行した上部消化管内視鏡検査で胃体中部後壁に2型の胃癌を認めた.術前の腹部CTや超音波検査ではリンパ節転移や他臓器転移は認めず,胆嚢の形態的異常も認めなかった.胃癌の診断で幽門側胃切除術と胆石・胆嚢炎の予防目的で胆嚢摘出術を施行した.手術所見はT2N0H0P0で,病理組織学的に胃癌は低分化型腺癌,深達度mp,脈管侵襲はly2,v2でNo.3にリンパ節転移を認めた.肉眼的には胆嚢の粘膜は正常であったが,漿膜下層のごく一部に癌巣を認めた.胃癌との連続性はなく胆嚢漿膜面からの浸潤や播種もないため胃癌からの血行性の転移性胆嚢癌と診断した.合併症なく経過したが,全身に骨転移を認め,術後43日で永眠された.胃癌の同時性胆嚢転移はきわめて稀で,予後不良である.急激な転帰をたどった胃癌の微少胆嚢転移を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
  • 古川 達也, 重松 恭祐, 鈴木 隆文, 桂川 秀雄, 阪井 守, 武井 美名
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3155-3159
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,男性.右季肋部痛を主訴に近医を受診し,腹部超音波にて膵腫瘍を指摘された.CT上,膵頭部に径7cm大の充実性成分を伴う嚢胞性腫瘍を認め,厚い被膜を有すること,大きさ5cmを超える腫瘍であることからmalignant potentialおよび膵粘液性嚢胞腫瘍等を考え手術を施行した.術中所見では腫瘍と膵実質の境界は不明瞭であり十二指腸乳頭まで病変は及んでいた.全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的には腫瘍は錯綜する紡錘形細胞ないし,卵円形細胞が主に索状配列,あるいはstoriform patternを主体としていた.腫瘍と膵臓との連続性は認めず,免疫染色でc-kit陽性,s-100陰性,CD34陽性,α-SMA陰性,CD117陽性で十二指腸GISTと診断した.術後1年経過し,再発を認めていない.
    十二指腸原発で大きさ7cm大のGISTは比較的稀であり,膵腫瘍との鑑別に難渋した十二指腸GISTの1例を経験したので若干の文献的考察を加えここに報告する.
  • 河野 修三, 別府 理智子, 酒井 憲見, 山下 裕一
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3160-3163
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,男性.腹痛,嘔吐にて救急外来を受診された.腹部CT画像で癒着性イレウスを考えイレウスチューブ留置にて保存的治療を開始した.しかし症状の改善なく,血清CKの上昇を認め,絞扼性イレウスも否定できず緊急開腹手術を施行した.回腸末端から約120cm部の小腸が20cmにわたり腸管壊死をきたしており同部を切除した.切除腸管内には長径約5cmの未消化の生姜3個が嵌頓しており食餌性イレウスと診断した.術後,エンドトキシンショックによる呼吸不全,腎不全,DICを併発したためエンドトキシン吸着療法も含めた集中治療を行い,経口摂取も可能なまでに改善を認めたが,肺炎を併発し術後36日目に死亡した.
  • 上道 治, 山本 諭, 仁禮 貴子, 佐々木 愼, 鈴木 宏幸, 石丸 正寛
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3164-3167
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    透析患者に発症した特発性小腸穿孔の1例を経験したので報告する.症例は64歳,女性.5日前から持続する腹痛を主訴に来院した.既往歴にネフローゼ症候群,慢性腎不全,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:以下SLEと略記)がある.腹部CT検査で腹腔内遊離ガス像と多量の腹水を認めたため,消化管穿孔による腹膜炎の診断で緊急手術を施行した.Treitz靱帯より200cm肛側の小腸に約5mm大の穿孔が認められ,小腸部分切除術を行った.病理組織学的所見では穿孔部で粘膜,筋層,漿膜が完全に断裂していたが,慢性炎症所見は認めなかった.穿孔の原因を特定する所見がなく特発性小腸穿孔と診断した.術後,縫合不全を合併し再手術を行ったが,その後軽快し初回手術後73日目に退院した.
  • 碓井 彰大, 坂田 治人, 阿久津 泰典, 西森 孝典, 加野 将之, 松原 久裕
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3168-3172
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    アレルギー性肉芽腫性血管炎(以下AGA)による小腸穿孔の1例を経験したので報告する.症例は66歳,男性.腹部違和感,両上下肢のしびれを自覚し,近医受診した.精査の結果AGAと診断され,ステロイドによる保存的治療を開始したが大量の下血が出現したため下部消化管内視鏡検査(以下CF)を施行した.小腸出血を認めたため,ステロイドパルス療法を施行し軽快した.CFを再検すると,回盲部から約20cmの回腸に潰瘍を認め,出血の原因と考えられた.軽快傾向であったが突然の下腹痛が出現し,腹部CTで消化管穿孔と診断されたため手術目的に当科転科し,緊急手術を施行した.腹腔内に膿性の腹水を認め,穿孔部は回腸潰瘍の部位と一致した.腹腔内を洗浄し,小腸部分切除術を施行した.術後経過は良好であった.AGAに対し,ステロイド療法で軽快傾向であったにも関わらず,小腸穿孔をきたした1例を経験したので文献的考察を加え報告する.
  • 林 直美, 石榑 清, 山村 和生, 藤岡 憲, 石田 直子, 加藤 公一
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3173-3176
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    症例は49歳,女性.再発盲腸癌に対し,Bevacizumab+mFOLFOX6療法が行われていた.最終投与日から30日目に腹痛を訴え当院を受診した.腹部単純CTでfree airを認め,消化管穿孔の診断で開腹手術を行った.開腹所見では,Treitz靱帯より50cmの空腸が小腸間膜のリンパ節再発の全層浸潤により穿孔をきたしていた.再発リンパ節を含め約50cmの空腸を部分切除し,一期的に吻合した.術後は合併症なく,第30病日退院となった.
  • 廣 純一郎, 川本 文, 大井 正貴, 井上 靖浩, 三木 誓雄, 楠 正人
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3177-3180
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡補助下結腸右半切除後の腸間膜欠損部へ小腸が嵌入し,腸閉塞を生じた1例を経験した.症例は71歳の女性で,上行結腸癌の診断で腹腔鏡補助下結腸右半切除術を施行した.術後7日目に突然の腹痛,嘔吐を認めた.腹部CT検査で,内ヘルニアによる腸閉塞と診断し,緊急手術を施行した.開腹所見では,回結腸吻合部近傍で,小腸をヘルニア内容とする絞扼性腸閉塞を認めた.閉塞を解除すると,腸間膜欠損部の大部分は後腹膜と癒着し,吻合部近傍に3cmのヘルニア門を認めた.嵌入小腸に血流障害は認めず,腸間膜欠損部の単純閉鎖を施行した.腹腔鏡補助下大腸切除時の腸間膜欠損部の閉鎖は不要とされている.しかしながら,本症は,発症率は低いものの外科的治療が必要となるため,腸間膜欠損部は可能な限り閉鎖するべきであると考えられた.
  • 竹内 正昭, 磯辺 眞, 田中 真紀, 白水 和雄
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3181-3184
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,男性.2006年8月頃より下痢,便秘を繰り返し,10月31日嘔吐,下腹部痛,下痢を認め当院内科受診,イレウスを疑われ入院となった.小腸造影検査で回腸に狭窄を認め,腹部CT検査でも回腸に腫瘤影を認めた.絶食で症状が改善し食事が再開され,当科にコンサルトされたが本人の退院希望が強く11月20日自宅退院となった.しかし,11月28日夕食後,腹痛が出現し当院受診,イレウスの診断で当科入院となった.絶飲食,S tube挿入,高カロリー輸液で経過観察,12月5日手術施行した.回腸末端から約80cm口側の回腸に数cm大の腫瘤を触知し,回腸部分切除術を施行した.病理結果は膿瘍形成を伴った単純性小腸潰瘍であった.イレウスを呈した膿瘍形成を伴った小腸潰瘍は極めて稀である.若干の文献的考察を加え報告する.
  • 森本 光昭, 調 憲, 梶山 潔, 播本 憲史, 長家 尚
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3185-3189
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    症例は2度の開腹歴のある73歳,女性.間欠的腹痛を主訴に当院外来を受診,腸閉塞の診断で入院した.入院後イレウス管による保存的治療で改善せず,入院後9日目に手術を行った.回盲部より220cmの小腸に径6.5cmの管外性に発育した腫瘤を認めた.回盲部とS状結腸間に形成された索状物が小腸の嵌頓,捻転の基点となり,腫瘍が捻転の先進部となっていた.小腸に壊死や癒着なく,索状物を切離後に容易に捻転を解除できた.小腸部分切除を行い,腫瘍を摘出した.病理組織検査にて小腸GISTと診断された.腫瘍径は6.5cmで,核分裂像は5/50HPF以下であったため中リスク群に分類した.小腸GISTが非還納性イレウスに関与したと思われる稀な症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
  • 別府 曜子, 弓場 健義, 籾山 卓哉, 森本 芳和, 赤丸 祐介, 山崎 芳郎
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3190-3194
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,女性.右腎癌,多発性肺転移に対して右腎摘出術施行.2週間後に胆汁性嘔吐,下血を認め,腹部CTにて小腸重積を指摘され,緊急手術施行した.Treitz靱帯より約10cmの位置に小腸重積,先進部に腫瘤を認め,腫瘤を中心に空腸を切除した.腫瘤は5cm大,有茎性であり,病理診断は転移性小腸腫瘍であった.腎癌小腸転移は稀であり,検索した限りでは本例を含め本邦で19例であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 小森 充嗣, 長田 真二, 宮 喜一, 浦野 正人, 山田 慎, 吉田 和弘
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3195-3199
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,女性.3日前から続く右下腹部痛を主訴に当院を受診した.身体所見では右下腹部に反兆痛を認め,同部に可動性のある手拳大の軟性腫瘤を触知した.血液検査上WBCは10,500/μl,CRPは10.72mg/dl,CEAは8.5ng/mlと上昇し,CT,MRIでは右骨盤内に50×80mm大の嚢胞性腫瘤を認めた.腫瘤は卵巣嚢腫と考え,高度な炎症所見および腹膜刺激症状を伴うことから嚢腫の感染ないし内出血を伴う茎捻転を疑い緊急手術を選択した.開腹すると右卵巣は正常で,虫垂遠位末端部に鶏卵大の嚢腫が虫垂を軸に720°時計方向に捻転していた.悪性所見はなく虫垂切除術を施行した.病理組織検査にて虫垂粘液嚢胞腺腫と診断された.術後の経過は良好で7病日に退院し,術後4年で再発は認めていない.軸捻転を伴った虫垂粘液嚢胞腺腫は自験例を含め僅か14例しかなく,術前画像所見のみで正確な術前診断に至った報告はない.軸捻転を伴った虫垂粘液嚢胞腺腫を臨床的特徴に関する文献的考察を加え報告する.
  • 遠藤 出, 三角 俊毅
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3200-3203
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,女性.平成19年2月初旬,腹痛,嘔吐を主訴に来院.腹部CT所見上,横行結腸に嚢胞性腫瘤を先進部とする腸重積を疑う所見を認めた.ガストログラフィンを用いた注腸造影では腸重積の診断にいたるも整復は不可能であったが,引き続き施行した下部消化管内視鏡検査では容易に整復された.内視鏡所見は盲腸に存在する粘膜下腫瘤様の形態を示す腫瘍であった.これらの所見より虫垂粘液嚢腫による腸重積と診断し,手術を施行した.虫垂は40×30mm大に腫大し,さらに盲腸内には50mm大の腫瘤を触知した.悪性疾患も否定できず,D2郭清による回盲部切除術を施行した.病理組織学所見では多量の粘液を伴って増殖する腫瘍細胞を認め,虫垂粘液嚢胞腺癌と診断した.本疾患の治療に際しては,虫垂粘液嚢胞腺癌の合併症である腹膜偽粘液腫の発症を予防するため愛護的な手術操作が重要である.
  • 張 文誠, 飯野 弥, 宮坂 芳明, 藤井 秀樹
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3204-3208
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    虫垂切除後の遺残虫垂より発生したと考えられた粘液嚢胞腺癌の1例を経験したので報告する.症例は76歳,男性.30年前に虫垂切除術の既往あり.右下腹部痛が出現し,虫垂切除を行った際の手術創から膿性の浸出がみられるようになった.腹部CT検査上,盲腸付近で腹壁の瘻孔に連続する内部不均一な腫瘤性病変が認められ,難治性の腸管皮膚瘻,腹腔内膿瘍と診断し,手術を施行した.開腹所見では回盲部に約6cmの腫瘤が存在し,その近傍の腹膜には小結節性病変を認め,手術は回盲部付近の腫瘤を含め回盲部切除と腹膜結節性病変の切除を行った.病理組織学的に,腫瘍細胞は粘液産生に富み,遺残虫垂の末端部に相当すると思われる正常粘膜と連続しており,遺残虫垂から発生した粘液嚢胞腺癌と診断した.
  • 藤川 幸一, 高森 繁, 渡辺 英二郎, 鈴木 隆, 清水 義明
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3209-3213
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    症例は右下腹部痛を主訴に来院した71歳の男性で,腹部造影CT検査で回腸末端の拡張および盲腸部の強く造影される壁肥厚および同部にfat densityの腫瘤がはまり込んでいるのが観察された.ガストログラフィンによる注腸検査では上行結腸下部より口側は造影されず蟹爪様欠損像を認めた.大腸内視鏡検査により上行結腸に長径5cm程度の表面平滑な黄色腫瘍が重積しているのが観察された.内視鏡による送気で重積は解除されたが,重積していた結腸粘膜にびらんが散在していたため虚血性の変化を疑い,盲腸脂肪腫による腸重積の術前診断で手術を施行した.病理診断は4型盲腸癌および回盲弁のlipohyperplasiaであった.今回,われわれは4型盲腸癌に回盲弁のlipohyperplasiaが重積し術前診断に苦慮した1例を経験したので報告する.
  • 田中 征洋, 弥政 晋輔, 澤崎 直規, 東島 由一郎, 後藤 秀成, 松田 眞佐男
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3214-3218
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,女性.当院内科で糖尿病を経過観察中に貧血を指摘され,便潜血陽性であったため消化管精査を施行した.注腸造影検査ではS状結腸に径30mmの隆起性病変を認め,大腸内視鏡検査では同部位に粘膜が粗造であるI型腫瘍を認めた.生検の結果はGroupIIIであったが,悪性腫瘍の可能性が否定できず手術となった.術中所見では肉眼的に進行癌と判断し,D3郭清を伴うS状結腸切除術を施行した.病理組織学的には,粘膜下層に,紡錘状細胞が束状に,一部錯綜するように増生しており,疎に配列する成分の混在も認めた.分裂像はほとんど認めなった.免疫組織学的検索ではS-100陽性,CD34陰性,c-kit陰性,α-SMA陰性で,良性神経鞘腫と診断された.大腸原発の神経鞘腫は稀である.今回,S状結腸神経鞘腫の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
  • 高原 善博, 大塚 恭寛, 小笠原 猛, 高橋 誠, 宮崎 勝
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3219-3222
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    症例は47歳,女性.1994年10月に上行結腸癌に対し結腸右半切除術施し,病理組織学的検査はtub2,SE,ly3,v1,PM0,DM0,RM0,N1,H0,P0,Stage IIIaであった.術後経門脈的に5FU(750mg)を6回投与し,外来にてUFTを2年間内服.1999年6月,CEA,CA19-9の上昇を認めるもはっきりとした再発巣を確定できなかった.2002年6月画像上腫大を認めた両側卵巣に対し子宮卵巣切除術施行し,両側卵巣転移の診断となりCEAおよびCA19-9はともに正常化した.2003年7月大動脈周囲リンパ節再発を認め外科的に摘出.術後5FU-アイソボリンを2コース,TS-1内服を4週投与2週休薬で4コース施行.最後の手術から5年以上経過した現在再発兆候無く外来通院中である.大腸癌転移巣に対しては完全切除可能であれば,PSが許す限り積極的な外科切除および補助化学療法で予後の延長が期待できると考えられる.
  • 井上 靖浩, 森本 雄貴, 三木 誓雄, 楠 正人, 仙波 祐子, 伊藤 芳幸
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3223-3227
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,男性.疼痛を伴う肛門周囲糜爛を主訴に来院した.直腸肛門管に明らかな腫瘍性病変を認めなかったが,皮膚生検による免疫組織染色にてcytokeratin 20(CK20)陽性,gross cystic disease fluid protein 15(GCDFP15)陰性を示し,肛門管癌によるPagetoid spreadが強く疑われた.明らかな肛門管癌を認めないことから,total biopsyと根治手術を兼ねて経肛門的スリーブ切除による広範切除とV-Y皮弁による再建術を施行した.最終病理診断は肛門管癌(tub1,pMl,ly0,v0)によるPagetoid spreadで,自然肛門温存の根治手術となりえた.本症例の如く,肛門周囲Paget病においてCK20陽性/GCDFP15陰性で術前に直腸肛門管癌が確認しえなかった場合,肛門管粘膜のスリーブ切除による広範切除は妥当な選択のひとつと考えられた.
  • 藍澤 哲也, 岡村 一樹, 内田 雄三, 野口 剛
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3228-3233
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    症例は57歳,男性.腹痛および食欲不振を主訴に当院外来受診した.肝右葉に12.6×11.7cm大の膿瘍性病変を認め,一部腹腔内穿破をきたしていた.血液検査にて炎症反応の亢進と赤痢アメーバIgG抗体を認め,アメーバ肝膿瘍の腹腔内穿破裂による汎発性腹膜炎と診断した.HTLV-1および梅毒陽性であった.治療は経皮経肝膿瘍ドレナージ術と2週間のメトロニダゾール投与を行い,膿瘍径の著明な縮小および炎症所見の改善を認めた.
  • 仁田 豊生, 酒井 良博, 水谷 知央, 清水 朋宏, 宮原 利行, 尾関 豊
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3234-3239
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    限局性の肝内胆管拡張を呈し肝内結石を合併した胆管内乳頭状腫瘍(intraductal papillary neoplasm:以下胆管IPN)を経験したので報告する.症例は67歳,女性.HBキャリアーで経過観察中に,定期の腹部USで肝左葉外側区域の肝内胆管拡張を指摘され当科に紹介された.腹部USで外側区域肝管B3(以下B3)に限局した高度の胆管拡張を認めたが,腫瘤は同定不能であった.閉塞部のやや頭側に音響陰影を伴わない径5mmのstrong echoを認めた.腹部単純CTで肝内に石灰化は認めず,CTA,CTAPでも腫瘤は同定できなかった.MRCP,ERCPで外側区域肝管B2(以下B2)B3合流部でのB3閉塞を認めた.胆管癌を否定できず肝左葉切除術を施行した.術中USでも腫瘤は同定できず,B3閉塞部のやや上流側分枝内に肝内結石を認めた.B3内胆汁細胞診はClassVであった.病理組織診断は,肝内胆管癌で胆管内に乳頭状に発育する異形円柱上皮を認めた.B3分枝内に肝内結石があり,これに関連して発生した胆管IPNと考えられた.
  • 市川 伸樹, 高橋 周作, 広瀬 邦弘, 高橋 宏明, 神山 俊哉, 佐治 裕
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3240-3245
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    52歳,男性.平成17年2月直腸癌の診断で,前医にて腹会陰式直腸切断術施行し,Ra-Rb,2型,50×70mm,well differentiated adenocarcinoma,pSS,ly1,v2,pN0,sH0,sP0,cM0,fStageIIの診断となった.術後はUFT+LV内服を半年間施行.その後当院紹介.平成18年6月のCTでは肝転移を認めなかったが,平成19年2月,肝機能障害指摘され,精査にて肝左葉全体を占める肝転移,門脈左枝の腫瘍塞栓を認めた.平成19年4月肝左葉切除施行.術後はFOLFIRI療法を半年間行い,術後10カ月現在,再発の兆候なく経過している.大腸癌肝転移が肉眼的な門脈腫瘍栓を伴う症例は,大腸癌肝転移のうち0.6-3.5%と少ない.手術非施行例の平均生存期間は3.8カ月とも言われ予後は悪いが,外科的切除が予後を改善した報告例もある.今回われわれは,大腸癌肝転移門脈腫瘍栓の1例を経験し,外科的切除によって良好な経過が得られているので文献的考察を踏まえ報告した.
  • 作山 隆二, 高橋 豊, 片桐 聡, 小寺 由人, 有泉 俊一, 山本 雅一
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3246-3251
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    症例は17歳,男性.2006年3月に発熱,右季肋部痛を主訴に近医を受診.腹部CTで肝腫瘍の診断で,抗菌薬による治療を受けるも症状の改善を認めず,当院へ入院となった.腹部エコーで肝S6に最大径7cmの辺縁が分葉状の腫瘤を認め,内部は不均一な高エコーで約U1cmの石灰化を伴った索状の高エコーを認めた.腹部CTでは一部石灰化を伴い,早期相では腹側に造影効果を伴い,平衡相ではwash outされた.MRIではT1強調像で低信号,T2強調像で高信号を示し,中心性瘢痕の低信号域を認めた.SPIO-MRI T2強調では腫瘍部は低信号域であった.
    以上よりfibrolameller hepatocellular carcinoma(FLC)と診断し肝S5/6切除した.病理組織学的所見でlamellar patternの線維性結合組織が層状に配列し,FLCの診断に至った.
  • 根津 賢司, 澤田 貴裕, 畑地 豪, 佐川 庸, 河崎 秀樹, 前田 智治
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3252-3256
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,男性.56歳時に左腎癌にて左腎摘.血痰を主訴に当院内科を受診し,CTにて左肺S8肺門部に径3.5×2.2cm大の腫瘤影を認め,気管支鏡検査にて左下葉気管支B8入口部に充満した腫瘤を認め,TBLBにてclass3,腺癌疑いの診断であった.またCTにて同時に左横隔膜下脾臓外側に径5.5cm大の境界明瞭な2こぶ状腫瘤を認め,FDG-PET検査では腹部腫瘤と肺腫瘤へのFDGの集積,SUVmaxもほぼ同様であった.二期的手術の方針となり,まず左肺下葉切除を施行し,病理診断にて腎癌肺転移と診断された.その時点で腹腔内腫瘤も腎癌転移巣と判断し,肺切除後約2カ月目に第9肋間側方開胸開腹下に手術を施行した.腫瘤は左横隔膜と癒着し,浸潤が疑われ周囲横隔膜を含めた腫瘤切除を施行した.肉眼的に腫瘤と肝左葉の連続性は認めなかった.病理では中分化型肝細胞癌であり,腫瘍内は完全に肝細胞癌で占拠され,非腫瘍部は認められなかった.AFP免疫染色にて陽性細胞を多数認めた.肝左葉と連続する結合織,血管,胆管の存在は認めず,肝外発育型肝癌(異所性肝細胞癌)と診断した.本症例は腫瘍の局在,発育形態,病理診断などから異所性肝から発生したHCCと診断した.腎癌との異時性重複癌であり,非常に珍しい経過を認めたため,文献的考察も含め報告する.
  • 山中 秀高, 神谷 里明, 鬼頭 靖, 松永 宏之, 川井 覚, 石坂 貴彦
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3257-3260
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    石灰乳胆汁は胆嚢内に炭酸カルシウムを主成分とする物質の貯留をきたす疾患で,コレステロール結石による胆嚢管閉塞を伴うことが多い.しかし,今回われわれは(1)胆石溶解療法後であること,(2)黒色石によることの2点で稀であった1例を経験したので報告した.症例は53歳,女性.30年前に胆石溶解療法の既往がある.現病歴は検診で右上腹部の石灰化陰影を指摘され受診した.腹部単純X線写真,USおよびCTで胆嚢に一致した径40mm大の石灰化を認めた.MRCPで胆嚢は描出されなかった.胆嚢結石または石灰乳胆汁と診断し,術中胆嚢損傷による胆汁漏出や胆嚢癌の合併を考慮し,開腹胆嚢摘出術を施行した.術中迅速病理で悪性所見はなかった.摘出標本で胆嚢管内の結石を数個,胆嚢内を充満する練歯磨様物質を認めた.成分赤外線分析で結石は99%ビリルビンカルシウム,練歯磨様物質は炭酸カルシウム,ビリルビンカルシウム,その他が各々80%,10%,10%と判明した.
  • 益子 一樹, 丸山 常彦, 高垣 俊郎, 大河内 信弘
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3261-3265
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    81歳,男性.上腹部痛,腹部膨満,嘔気を主訴に当院救急外来受診した.急性胆嚢炎を疑われ,同日緊急入院となった.腹部超音波にて,胆嚢は臍の左側まで著明に腫大し,壁肥厚を伴っていたが,ドップラーにて動脈血流を認めた.造影CTでは胆嚢壁の造影効果は乏しく,所見の乖離を認めた.MRCPでは胆嚢管欠損像などから胆嚢捻転症が疑われ,同日緊急手術を施行した.小切開法にて臍下創から胆嚢を穿刺,胆汁を吸引し,緊満解除後に型通り気腹し,軸捻転していた胆嚢を解除後,胆嚢を摘出した.胆嚢捻転症は,遊走胆嚢に発生することがほとんどであるため,緊満を解除すれば胆嚢床の剥離は比較的容易であり,腹腔鏡下手術のよい適応である.血流障害の診断に造影CT,超音波ドップラーは有用ではあるが,静脈閉塞による欝血を認めても,動脈血流が残っている症例があることを念頭におく必要があると考えられた.
  • 川口 耕, 藤 信明, 伊藤 剛, 中村 憲司, 谷口 弘毅, 内藤 和世
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3266-3271
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    黄色肉芽腫性胆嚢炎(xanthogranulomatous cholecystitis;XGC)は胆嚢炎の一亜型であるが,多彩な画像所見を呈する為に確定診断が困難なことがある.今回胆嚢癌との鑑別が困難であったXGCの1例を経験した.症例は73歳の男性で,近医で施行された腹部超音波検査で胆嚢腫瘤を指摘され紹介となった.造影CTおよびMRI検査で胆嚢体部から底部にかけて,肝床との境界が不明瞭な不整な壁肥厚を認めた.FDG-PETでは同部位にSUV最大値8.1の異常な高集積を認めた.以上から肝床浸潤を伴う進行胆嚢癌と診断し肝床切除・肝外胆管切除・胆道再建術を施行した.術後病理組織学的検査でXGCと診断された.XGCは良性疾患であるが胆嚢癌合併の可能性もあり正確な術前診断が重要である.画像診断とそれに基づいた治療戦略について,自験例を踏まえて文献的考察を加えて報告する.
  • 原田 勝久, 野口 琢矢, 久保 宣博, 野口 剛
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3272-3275
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,男性,気分不良で前医を受診し,腹部CT検査にて脾臓破裂,腹腔内出血,出血性ショックの診断にて当院に搬送された.腹部造影CT検査,緊急血管造影を行い,脾動脈塞栓術を施行した.全身状態の改善後にMRI検査を行い,脾血管肉腫が疑われ,脾臓摘出術を施行した.摘出標本は大きさ16×15×8cm,重量800g,病理学的,免疫組織学的所見より,脾原発血管肉腫と診断した.術後早期に肝転移が出現し,術後3カ月でDIC,癌性腹膜炎にて死亡した.本症は,予後不良な疾患であり,有効な集学的治療も確立されていないため,脾腫および脾腫瘍の鑑別診断の際には,稀ではあるが血管肉腫を念頭に置くべきであると考えられた.
  • 武藤 泰彦, 山田 義直
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3276-3280
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    鼠径部に発生する子宮内膜症は稀である.今回右鼠径部腫瘤を主訴とし,ヌック水瘤の診断で切除術を行ったところ水瘤内に子宮内膜症を認めた症例を経験したので報告する.症例は36歳未妊娠・未経産女性.右鼠径部に無痛性の腫瘤があるのに気づき来院.触診でヌック水瘤と診断し切除術を行った.右鼠径管内に長径3cm直径2cm大の卵型腫瘤を認めた.内鼠径輪から伸びる嚢状の腹膜組織と連続していたが内腔の交通は認めなかった.術中診断もヌック水瘤でありこれを切除した.腹膜鞘状突起腹膜側断端はメッシュプラグ法で修復した.病理組織検査でヌック水瘤内に子宮内膜と血液貯留を認め,ヌック水瘤内子宮内膜症と診断した.鼠径部の子宮内膜症は稀である.月経時の増大と疼痛を伴う腫瘤が特徴とされ,90%は右側に生じる.外科医・婦人科医はこれを念頭に外科的切除と腹腔内子宮内膜症の検索を行うことが望まれる.
  • 工藤 大輔, 鈴木 伸作, 神 寛之, 笠島 浩行, 原 豊, 遠山 茂
    2008 年 69 巻 12 号 p. 3281-3284
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/06/11
    ジャーナル フリー
    症例は57歳,女性.虫垂切除術と子宮筋腫による子宮全摘術の既往がある.術後腸閉塞の既往はなかった.来院2週間前より上腹部痛と嘔吐が出現し,消化器内科入院の上,精査を施行したところ,小腸造影で右上腹部に空腸の屈曲と狭細化を認め,保存的治療では治癒困難と考え,手術を施行した.当初,腹腔鏡下に手術を開始したが,下腹部への大網癒着が激しく,小腸を十分に検索出来なかったため開腹術へ移行した.Treitz靱帯より約70cmの空腸が,中結腸動静脈の右側の横行結腸間膜内に存在する3cm大の異常裂孔へRichter型に嵌入していた.ヘルニア解除,横行結腸間膜裂孔閉鎖,空腸部分切除術を行った.術後経過は順調であった.横行結腸間膜裂孔ヘルニアは非常に稀であるので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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