日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
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71 巻 , 10 号
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原著
  • 野間 翠, 村上 茂, 片山 晃子, 梶谷 桂子, 大原 正裕, 尾崎 慎治, 春田 るみ, 岡田 守人, 片岡 健, 有広 光司
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2507-2514
    公開日: 2011/04/25
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    近年マンモグラフィ(MMG)微小石灰化のみを指摘される症例が増加しており,診断に苦慮することが多い.われわれは石灰化病変におけるMRI所見と診断について検討を行った.2006年7月~2009年3月にMMG石灰化を指摘され精査目的に受診した患者のうち,MRIを施行した124症例を対象とした.MRIで造影される病変の形態と造影動態をBIRADS-MRIを参考に分類し組織診の結果を照らし合わせた.
    MRIで異常濃染像が見られなかった病変は全て良性の結果であった.Massパターンでは80.0%と悪性の割合が高く,Non-mass like enhancement病変でも半数以上で悪性の結果であった.5mm以下の病変であるFocus/Fociパターンでも3割程度で悪性の結果がみられた.
    MRIは所見陽性例では良悪性の予測がある程度可能であり,所見陰性例ではST-MTBを省略しうる,非常に有用な検査であると考えられる.
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  • 市川 俊介, 吉田 弥生, 園原 史訓, 末岡 智, 小西 滋, 出口 智宙, 伊藤 浩明, 原田 明生
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2515-2521
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    血中プロカルシトニン(以下PCT)は細菌感染症のマーカーとして有用性が認められつつある.2008年3月から2009年2月に緊急手術を要した腹膜炎27症例について,術後のDICリスク評価におけるPCTの有用性を検討するため,血中PCT値を3+以下(低値群)と4+(高値群)に分け,PCTと血液培養結果,CRP,白血球数を比較した.結果,DICとCRPおよび白血球数には有意な相関を認めなかった.PCT高値群では,術直後にDICと診断されたもののみならず術後2日以上経過してDICと診断された症例を含めて14例中9例にDICを認めた.PCT高値をDICのリスクとした場合の感度は90%,特異度は64%であり,血液培養陽性のそれより優れていた.PCT測定は腹膜炎術後のDICリスク評価に有用であることが示唆され,特にPCT4+の症例では早期にDICに対する治療の導入を考慮する必要があると考えられた.
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症例
  • 安田 里司, 蜂須賀 崇, 頼木 領, 吉村 淳
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2522-2526
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は70歳代,男性.単純性術後イレウスのため入院し,排便とともに症状は軽快したが,その後,高熱,呼吸不全が出現し,ショックおよびmultiple organ failure(MOF)に陥った.血液培養で腸内細菌の一種であるCitrobacter freundiiが検出され,イレウスに伴うbacterial translocation(BT)から敗血症を発症したと考えた.広域性の抗生物質,早期の経腸栄養,集中治療を行い,症状は軽快,後遺症なく退院した.イレウス患者にBTを発症することは知られているが,絞扼や穿孔を伴わない単純性イレウスが,敗血症やMOFを起こすことは稀である.また保存的に治療し,症状が改善した後であってもBTを発症することがある.
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  • 大山 正人, 西原 政好, 島田 守, 権 五規, 李 喬遠, 岡 博史
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2527-2531
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    甲状腺乳頭癌はリンパ節転移をきたしやすい疾患であるが比較的予後良好であり,積極的な手術加療が必要である.今回われわれは腕頭静脈腫瘍塞栓をきたした甲状腺乳頭癌の1例を経験した.症例は74歳女性,頸部のしこりに気付き近医受診し,当院に紹介となった.core needle biopsyで甲状腺乳頭癌と診断された.術前の造影CTで左甲状腺腫瘍,頸部,上前縦隔リンパ節の著明な腫大,腕頭静脈腫瘍塞栓を認めた.血行動態や腫瘍塞栓の局在については,MD-CTによる3D画像が有用であった.手術は甲状腺全摘,頸部リンパ節郭清,胸骨切開を行った上で腕頭静脈切除,上前縦隔郭清を行った.術後は一過性に軽度の嗄声を認めたが良好に経過した.大血管への腫瘍塞栓をきたす甲状腺乳頭癌は比較的稀であり,文献的考察を加えて報告する.
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  • 西野 豪志, 谷木 利勝, 澁谷 祐一, 福井 康雄, 岡林 孝弘, 堀見 忠司
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2532-2538
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,男性.胸部食道癌の診断で開胸食道切除術,胸腹2領域リンパ節郭清を受けた.術前の心機能検査で十分な耐術能があると判断されていた.術後経過良好であったが,術後第2病日,急激な呼吸状態悪化を認め,心電図検査でV3~V6のST上昇,超音波検査では左室の広範な壁運動低下を認めた.左室体部は嚢状の拡張があり,対照的に心基部の過収縮を認め,たこつぼ型心筋症の特徴的な超音波像であると思われた.冠動脈造影検査にて虚血性心疾患を否定したのち,心不全治療を行い,厳重に経過観察を行ったところ,第7病日にはSTは正常化し,超音波検査でも心収縮能は正常化した.
    たこつぼ型心筋症の発症誘引として,消化器外科手術は重要であるが,食道癌術後に発症した報告は少ない.今回われわれは食道切除術後にたこつぼ型心筋症を発症した1例を経験したため報告する.
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  • 畑地 登志子, 今川 弘, 塩崎 隆博, 流郷 昌裕, 河内 寛治
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2539-2542
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は48歳,女性.小児期に数回の骨折歴があり,身長は143cmと低身長で,青色強膜を認め骨形成不全症と診断されていた.40歳の検診時に大動脈弁閉鎖不全症と診断されていた.血液・凝固系に明らかな異常はなかった.心臓超音波検査,心臓カテーテル検査ではIII度の逆流を認めた.大動脈弁置換術(On-X 25mm)を施行した.心房中隔欠損症で開胸手術歴があり,また骨形成不全症による組織の脆弱性があり,手術には注意を要した.大動脈弁は全体的に菲薄化した弁尖であった.病理学的所見では,弁尖および大動脈中膜にムコイドの沈着を認めた.術後経過は良好で,軽快し退院した.骨形成不全症に心血管疾患を合併することは類縁遺伝性結合織疾患に比べ稀であるが,報告によると手術死亡率が高く,遠隔期に心不全で死亡した例もあるため,今後も注意深い経過観察が必要である.
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  • 岡野 高久, 藤原 克次, 増田 慎介, 伊東 正文
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2543-2546
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,男性.主訴は発熱,右腰背部痛,右下肢腫脹.入院時腹部CTで右外腸骨動脈周囲に血腫を認めたが血腫内に造影剤の漏出は認めなかった.入院後4日目の腹部CTで血腫内部に造影剤の貯留と右内腸骨動脈からの造影剤の漏出を認め,感染性内腸骨仮性動脈瘤と診断し緊急手術を施行した.手術は可及的感染巣デブリードマンと非解剖学的血行再建を施行した.まずFemoro-femoral cross-over bypass術を行い,ついで腹部正中切開アプローチで右総腸骨,右外腸骨,右内腸骨動脈を結紮閉鎖した.瘤は右内腸骨動脈の仮性動脈瘤であったが明らかな膿汁はなかった.術中採取した血腫および瘤壁からサルモネラ菌が検出された.本例のように不明熱などの非特異的な症状を呈し早期診断に難渋する症例では常に感染性動脈瘤の存在も念頭に置いて,経時的にCT検査を進めて可及的早期に診断を行うことが重要である.
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  • 坪島 顕司, 的場 保巳, 小林 巌, 大上 博章, 渡部 宜久, 大野 徹
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2547-2551
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    もともと膿胸を発症する症例はハイリスクであり,可能な限り手術は回避したいところである.今回,われわれは急性膿胸に対しウロキナーゼの胸腔内投与直後から奏効した2症例を経験したので報告する.症例1は61歳男性.糖尿病で加療中.発熱,右胸部痛を認め,胸水は混濁し,胸部CTにて多房化胸水を認め当科紹介.症例2は60歳男性.左視床出血後の繰り返す誤嚥性肺炎にて気管切開を施行.高熱があり,胸部CTで多房化胸水を認めた.試験穿刺では混濁しており当科紹介.いずれの症例も線維素膿性期の急性膿胸と診断し胸腔ドレーン留置したが,十分に排液できず,発症12日目,15日目にウロキナーゼを胸腔内投与した.投与直後より良好な排液を認め,膿胸腔は縮小しドレーン抜去できた.その後再発なく,有害事象も認めなかった.線維素膿性期の急性膿胸にウロキナーゼ胸腔内投与は低侵襲で早期に奏効する可能性がある検討すべき治療手段の1つと考えられた.
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  • 河野 洋三, 藤富 豊, 藤吉 健児, 田中 康一
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2552-2556
    公開日: 2011/04/25
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    症例は67歳,女性.17年前に乳癌で左乳房切除術の既往あり.5年前の検診CTで右肺S8微小結節指摘され定期通院していた.同部は著変なかったが左舌区に淡い結節出現,TBLBにて肺腺癌の確診が得られ手術となった.術前CTでは一部胸膜肥厚あるも病的意義なしと判断していた.胸腔内観察したところ胸腔内全体に播種と思われる多発粟粒結節あり,舌区腫瘍表面にも播種を認め舌区の部分切除のみ施行した.肺癌の播種は考えにくく,術中病理診においても胸膜病変は乳癌胸膜転移とされた.最終病理においても肺内病変はER,PgR陰性,TTF-1陽性で肺腺癌,胸膜病変はER,PgR陽性でTTF-1陰性であり,類似した組織像であるが乳癌の転移播種と診断した.乳癌晩期再発報告は散見されるが,常にその可能性を念頭に置き精査加療を行わなければならない.
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  • 宇戸 啓一, 別府 樹一郎, 島尾 義也, 前山 良, 田崎 哲, 大友 直樹, 上田 祐滋
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2557-2561
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は57歳,男性.胸部CT検診にて右肺上葉に腫瘤影を指摘され当科紹介となった.CT上,腫瘤径は1カ月間に2cmから3cmへ急速に増大し,境界明瞭で内部不均一な造影効果を認めた.原発性肺癌を疑い手術を施行,術中病理診断の結果,肺癌と診断され右上葉切除術を行った.割面は32×40mm,境界明瞭,灰白色調,充実性であり一部に出血壊死を認めた.病理学的に胎児肺に類似する上皮性成分と未熟で核の異型が強い細胞が増殖する間葉系性分を認め,肺芽腫(pT2N0M0:pStageIB)と診断した.術後補助化学療法(Paclitaxel+Carboplatin)を施行し,術後約1年6カ月経た現在も再発を認めていない.肺芽腫は稀な疾患であり術前診断が困難であることが多い.早期診断と切除が唯一の根治療法であることから,急速な増大傾向を示す肺腫瘤の場合,本疾患を念頭におき診療を行うべきと思われる.
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  • 阿部 友哉, 神賀 貴大, 高見 一弘, 高野 成尚, 富永 剛, 海野 倫明
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2562-2565
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    Larrey孔ヘルニアに横行結腸が嵌頓した症例に対し,腹腔鏡下修復術を行い良好な経過が得られた.症例は82歳,女性.便秘と腹痛を主訴に当院紹介受診となった.腹部CTにて横隔膜ヘルニアへの横行結腸嵌頓と診断し緊急手術を施行した.腹腔鏡下に観察したところ,肝鎌状間膜左側に約4×3cmのヘルニア門があり,横行結腸はすでに還納されていたが嵌頓の影響と思われる発赤を認めた.ヘルニア門を腹腔鏡下に直接縫合閉鎖し手術を終了した.術後経過は良好で,約1カ月後の腹部CTではヘルニアの再発は認めなかった.胸骨後ヘルニア修復術に際しては,安全で低侵襲な腹腔鏡下手術を第一選択とすべきと考えられた.
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  • 村上 郁, 折田 創, 櫻田 睦, 前川 博, 森脇 稔, 佐藤 浩一
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2566-2569
    公開日: 2011/04/25
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    胸腹部打撲後5年目に発症した遅発性横隔膜ヘルニアの1例を報告する.症例は87歳,男性.2003年胸腹部打撲,左肺挫傷・左肋骨骨折を受傷したが,胸部X線写真では明らかな異常所見は認めなかった.2008年3月胸腹部痛にて近医受診し,横隔膜ヘルニアを疑われ当科を紹介された.胸部X線写真にて左胸腔内に腸管と思われるガス像を認めた.CTスキャンでは左胸腔内へ脱出する胃・結腸,左無気肺を認め,心臓は右側へ圧排されていた.上部消化管造影で胃の縦隔内への脱出を認め,造影剤は十二指腸に流出しなかった.以上の所見より,外傷性横隔膜ヘルニアと診断し,上部消化管内視鏡での整復を試みたが不可能であり,2008年4月ヘルニア修復術を施行した.術中所見では左横隔膜の背側寄りに手拳大の欠損部を認め,同部位より胃・脾臓・大腸が胸腔内へ逸脱していた.用手的に腹腔内へ還納し,胸腔鏡補助下に欠損部を縫合した.外傷性横隔膜ヘルニアは自験例のように術後数年の経過を経て発症する例もあり,腹部外傷後には遅発性横隔膜ヘルニアも念頭において慎重な経過観察が必要である.
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  • 坂井 寛, 水野 豊, 岡本 道孝, 長谷川 達郎, 大里 雅之, 成田 知宏
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2570-2575
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    経食道裂孔アプローチによる破裂部縫合閉鎖で救命した特発性食道破裂4例を経験したので報告する.年齢は64歳~89歳,男性3例,女性1例で全例嘔吐後の胸腹部痛で発症し破裂部位は下部食道左側であった.発症から手術開始時間は8時間から60時間であった.4例とも経食道裂孔アプローチで一期的縫合閉鎖を行い胸腔ドレーンを留置した.3例に腸瘻造設と大網被覆を行った.1例に縫合不全を認めたが4例とも治癒退院となり在院日数は31~53日だった.今回の4症例はいずれも好発部位である下部食道左側の破裂で開腹操作のみで十分に良好な視野が得られ縫合閉鎖することができた.破裂部が下部食道であれば経食道裂孔アプローチを選択することができると考えられた.
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  • 河野 文彰, 関屋 亮, 内野 広文, 和田 俊介, 水野 隆之, 鬼塚 敏男
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2576-2581
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,男性.検診で施行された上部消化管内視鏡検査で胸部中部食道に隆起性病変が指摘され当科に入院となった.内視鏡検査にて切歯より35cmの部位に立ち上がりの急峻な隆起性病変を認め,同部位からの生検にてgroup V,adenocarcinomaと診断された.中部食道腺癌の診断にて食道亜全摘術および2群リンパ節郭清が施行された.病理組織所見にて比較的均一な細胞が索状または敷石状に配列し,多くは大型の核と明瞭な核小体を有する腫瘍細胞が充実性発育を呈していた.また間質にはlymphoid stromaの形成も散見された.診断は食道未分化癌とされ,免疫染色にてchromograninA,NSEとも陰性であったため非小細胞型となった.食道原発未分化癌の中でも非小細胞型未分化癌は特にまれとされ,さらにlymphoid stromaを伴った症例であることも興味がもたれるところである.食道非小細胞型未分化癌の本邦報告例の臨床病理学的検討も加えて報告する.
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  • 丸山 哲郎, 上里 昌也, 中世古 知昭, 阿久津 泰典, 首藤 潔彦, 松原 久裕
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2582-2587
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    骨髄移植(bone marrow transplantation:BMT)の成績向上とともに,BMT後に発症する二次性固形腫瘍(secondary solid tumor:SST)が注目されている.SSTの内訳では,皮膚,口腔内といった扁平上皮から発生するものが多いが,食道癌の発症は稀である.今回われわれが経験した3症例では発症期間,リスクファクター,治療法など,BMT後に発症した食道癌以外のSSTの報告例と共通点が多かった.SSTはBMT後10年から20年で発症し,リスクファクターとしては移植片対宿主病の合併,免疫抑制剤の使用などが指摘されている.SSTの治療に関する報告は少ないが,一般的な原発癌と同様の治療を行った報告が多い.BMT後に発症した食道癌の3症例について,文献的な考察を含め報告する.
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  • 石田 直子, 石榑 清, 加藤 公一, 林 直美, 平井 敦, 福山 隆一
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2588-2591
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,男性.嘔吐,腹部膨満感を主訴に受診.画像検査で著明な胃拡張を認めた.経鼻胃管で減圧をはかったが,まもなく急激な腹痛を訴え腹膜刺激症状が出現した.再度の画像検査で多量の腹腔内遊離ガス像と腹水が認められ,上部消化管穿孔の診断の下緊急手術を施行した.胃体部に裂創を認め,腹腔内は食物残渣で広範に汚染されていた.裂創部を含む胃部分切除と腹腔洗浄ドレナージを行った.術後ショック状態に陥り集中治療を要した.胃の過膨張に伴い破裂が生じた本症例は,発症直後から腹腔内が広範に汚染され重篤な汎発性腹膜炎に陥ったが早期手術施行により救命することができた.
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  • 平出 貴乗, 寺田 博文, 斉藤 貴明, 中村 昌樹
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2592-2596
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は2005年に左乳癌に対し胸筋温存乳房切除術を施行後,外来通院中の74歳女性.定期検査にて施行した胸部単純CT検査にて胃壁から胃壁外と思われる部位に線状異物を認めるも,検査時には異物の存在を指摘できず,症状がなかったため帰宅した.10日後の定期受診時に異物の存在に気付き,再度CT検査を施行した.前回と同部位に線状異物を認めたため,上部消化管内視鏡検査を施行するも異物は確認できず,胃体下部小弯後壁に不良肉芽を認めるのみであった.CT検査と合わせて異物による消化管穿通と診断し手術を施行した.術中所見では胃体下部小弯から前庭部後壁にかけて一度胃角を貫いた状態で再度胃壁へ穿通している50mmの魚骨を確認した.胃壁外は肉芽組織に覆われており腹腔内への露出は認めなかった.本症例のように異物が胃内から腹腔内へ穿通後,再度胃へ穿通した症例報告は存在せず,きわめてまれであり文献的考察を加え報告する.
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  • 岩尾 敦彦, 古井 純一郎, 大野 毅, 橋本 敏章, 平原 正隆, 野中 文陽
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2597-2601
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は52歳,男性.2009年7月,人間ドックの胃透視検査で胃角部小弯に隆起性病変を指摘された.上部消化管内視鏡検査で,胃角部前壁に40mm×35mm大の粘膜下腫瘍を認めた.超音波内視鏡検査では第4層との連続性を認め,ボーリング生検を施行した.HE染色では異型性に乏しいやや楕円形の核を持つ紡錘形の細胞を認め,免疫組織化学検査ではS-100蛋白陽性でc-kitとα-SMAは陰性であった.以上より,胃神経鞘腫の術前診断で手術を施行した.全身麻酔下に開腹すると胃角部小弯前壁に胃内外型胃粘膜下腫瘍を認め,胃局所切除術を施行した.病理組織学的検査の結果は術前のボーリング生検の結果と同様で,さらに免疫組織化学検査ではVimentinが陽性,CD34とCD68は陰性であった.胃粘膜下腫瘍の術前診断において,ボーリング生検と免疫組織化学染色が有用であった.
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  • 阪井 守, 森山 宣, 松浦 裕史, 藤田 徹
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2602-2606
    公開日: 2011/04/25
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    症例は59歳,男性.2010年2月,前庭部進行胃癌に対し幽門側胃切除術,D2郭清を行った.術当日よりドレーンからやや白濁した排液を500ml/day前後認めた.第2病日には一時減少したが第5病日より経口摂取を開始したところ,第6病日よりドレーンから白濁した排液の増量を認め,ドレーンの性状より乳糜腹水と診断した.胃癌術後の乳糜漏と考え,第10病日よりオクトレオチド300μg/dayの皮下注射による投与を7日間行い,乳糜漏は一時改善したが,経口摂取再開後,再び乳糜漏が出現した.そのため.オクトレオチドを5日間追加皮下投与行ったところ,第28病日には経口摂取を開始後も乳糜漏の改善を認め第31病日にはドレーン抜去が可能となり退院可能となった.胃癌術後の乳糜漏は治療に難渋することがあるが,オクトレオチドの皮下投与が有効であると考えられた.
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  • 青松 直撥, 竹内 一浩, 内間 恭武, 西居 孝文, 木村 健二郎, 小坂 錦司
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2607-2610
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    Ball valve症候群をきたした1型進行胃癌の1例を経験した.症例は88歳,男性.平成21年8月,持続する食後の嘔吐を認め,精査加療目的に当院紹介となる.緊急上部内視鏡検査にて胃前庭部に十二指腸球部に嵌頓していた有茎性の5cm大の1型腫瘍を認めた.内視鏡操作にて嵌頓が解除できたが,昼食後,再度嘔吐を認め同日入院となった.内視鏡的粘膜下層剥離術を施行したが,腫瘍の茎部に強い筋層の牽引所見があり内視鏡的切除は断念した.準緊急にて幽門側胃切除術(D1+β),BillrothI法再建を施行した.切除標本では前庭部に45×50mmの有茎性の1型腫瘍を認めた.病理組織検査ではL,Post,type 1,50×45mm,tub2,pT2(MP),INFα,ly0,v0,pN0,pPM0,pDM0,pStageIBと診断された.術後経過は良好で術後23日目に退院となる.
    Ball valve症候群をきたした進行胃癌はまれであり,文献的考察を加えて報告する.
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  • 薮崎 紀充, 石山 聡治, 宇田 裕聡, 江坂 和大, 末永 雅也, 伊藤 不二男
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2611-2614
    公開日: 2011/04/25
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    症例は47歳,男性.糖尿病,慢性腎不全による透析歴があり,今回は肺化膿症のため当院内科入院中であった.腹痛・嘔吐の精査で腹腔内膿瘍による小腸イレウスと診断し,緊急手術を施行した.術中所見は回盲部・ダグラス窩に膿瘍を認め,回腸が強固に癒着していた.回腸にわずかな穿孔部を認め,小腸穿孔による腹腔内膿瘍と考えられた.病理組織検査では回腸粘膜上に横川吸虫を認め,周囲には広範な浅い潰瘍と高度の好酸球浸潤が見られた.以上の所見から横川吸虫症による腸炎が穿孔の主因と考えられた.横川吸虫症の多くは無症状であるが,寄生数が増えると腹痛・下痢などの症状を呈するとされる.しかし,われわれの調べ得た範囲では,本例のように小腸穿孔を発症した報告は本邦初であり,文献的考察を加えて報告する.
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  • 原田 知明, 田中 芳憲, 坂田 親治, 東野 正幸, 後藤 司, 中谷 守一
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2615-2619
    公開日: 2011/04/25
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    症例は86歳,男性.2009年1月23日右鼠径部腫瘤の主訴で当院受診.当初は嵌頓,腸閉塞症状等認めず,待機的手術予定であったが,2009年1月27日,上腹部痛の主訴のもと当科再診,腹部単純X線でNiveauを認め,腹部骨盤CT検査で右鼠径部に腸管の嵌頓,上腹部にWhirl signを認めた.右嵌頓鼠径ヘルニアによる続発性小腸軸捻転症を疑い,同日腹腔鏡補助下に緊急手術を施行した.腹腔内は全体に拡張した小腸を認め,回腸末端のRichter型右嵌頓鼠径ヘルニアを認めた.嵌頓した腸管を鉗子で腹腔内に整復,嵌頓部腸管の血流障害は認めなかった.さらに検索したところ,上腸間膜動静脈を軸とし,反時計方向に約720度の軸捻転を認めたため,腸管整復術を施行した.捻転部小腸の血流障害は認めず,腸管切除は不要であった.Mesh Plug法による右鼠径ヘルニア根治術を施行し,手術を終了した.術後経過は良好で,術後17日目に軽快退院した.
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  • 小泉 範明, 小菅 敏幸, 足立 哲夫, 福島 正信, 大辻 英吾
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2620-2623
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,女性.虫垂切除と胆嚢摘出で2回の開腹歴を有している.数年前からイレウス症状を繰り返していたため癒着性イレウスの診断で開腹術を行ったところ,十二指腸球部から上部空腸にかけて大小の多発憩室を認めた.他にイレウスの原因となる異常は認めなかった.本患者は若年期に子宮脱および腟脱を発症しており,臓器脱や圧出性憩室の形成から組織脆弱性が示唆され,家族歴や身体所見から臨床的にEhlers-Danlos症候群(EDS)と診断した.EDSは結合組織成分の異常により全身に多彩な臨床症状を呈する稀な遺伝性疾患である.本症例のイレウス症状は,EDSに伴う腸管の運動障害に起因すると考えられた. EDSに対する特異的な治療法はないが,時に出血や穿孔などの致命的な合併症をきたすことがあるため,疾患の特徴を踏まえた過不足のない経過観察が重要である.
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  • 恩田 真二, 田辺 義明, 遠山 洋一, 柳澤 暁, 小林 進, 矢永 勝彦
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2624-2628
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,男性.1週間持続する軽度の腹痛を発症後に同部位の激痛および下血を生じ,当院に救急搬送された.腹膜刺激症状があり,腹部造影CT検査にて上腸間膜静脈・門脈に血栓を,また腸管の浮腫および腹水貯留を認め,上腸間膜静脈・門脈血栓症(superior mesenteric and portal vein thrombosis:SMVT/PVT)による小腸壊死の診断で,緊急手術を施行した.腹腔内には血性の腹水貯留がありTreitz靱帯より15cm肛門側の空腸が約65cmにわたり壊死していた.壊死腸管のみを切除し,一期的吻合を施行した.術後ヘパリン,ワーファリンにて抗凝固療法を行った.術後の血液凝固線溶系検査にてアンチトロンビンIII(antithrombin-III:AT-III)の低下を認め,AT-III欠乏症によるSMVT/PVTと診断した.
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  • 橋本 敏章, 野中 文陽, 岩尾 敦彦, 平原 正隆, 大野 毅, 伊藤 裕司, 古井 純一郎
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2629-2633
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は92歳,女性.2008年9月に上行結腸癌で右半結腸切除・2群リンパ節郭清術を施行した.病理組織所見は低分化型腺癌(pSI,ly1,v2,pPM0,pDM0,n0)であった.2009年3月,腹痛で当科受診した.腹部単純X線写真および腹部CT検査でイレウスの診断を得たため,保存的治療を行ったが軽快せず手術となった.原因はTreitz靱帯より約1mの部位の索状物による絞扼であった.その際,全小腸も検索したところ,絞扼部より約50cm遠位部に約2cm大の弾性硬の小腸腫瘍を認めた.手術は絞扼による狭窄部と腫瘍を含めた小腸部分切除術とした.腫瘍の病理組織所見は大部分を正常粘膜で覆われ,中心部に壊死を伴い小胞巣状に比較的充実性に増殖し,前回の結腸癌の病理像と同様のパターンであった.また,免疫染色ではともにcytokeratin (CK)7/CK20陽性/陽性であった.以上より両腫瘍の組織学的特徴と免疫組織化学的特徴が酷似しており上行結腸癌の小腸転移と診断した.術後明らかな再発の兆候は認めていない.
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  • 鈴村 和大, 王 孔志, 岡田 敏弘, 麻野 泰包, 中井 紀博, 西上 隆之, 藤元 治朗
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2634-2638
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,男性で,息切れを主訴に前医受診.貧血および肝腫瘍を指摘され精査加療目的にて当院入院.上部・下部消化管内視鏡検査では異常所見なく,ダブルバルーン小腸内視鏡にて上部空腸に3型腫瘍を認めた.小腸腫瘍,肝転移,リンパ節転移疑いにて手術施行.大動脈周囲リンパ節転移を伴っていたため根治的手術は困難と判断し,空腸部分切除を施行した.組織学的にはN/C比が高い異型細胞がシート状に配列する像を認め,免疫染色ではCD56が陽性であり神経内分泌細胞癌と診断した.術後にCDDP+CPT-11による化学療法を施行するも効果なく,術後約5カ月で死亡した.小腸原発の神経内分泌細胞癌はまれな疾患であり,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 後藤 順一, 水上 周二, 小沼 由治, 有山 悌三, 棟方 隆
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2639-2643
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    虫垂憩室炎は比較的まれな疾患であり腹腔鏡下手術の報告は少ない.今回われわれは腹腔鏡下虫垂切除術を施行した虫垂憩室炎6例を経験した.平均年齢は48.8歳,男女比は2:1.術前に虫垂憩室炎と確定診断できたのは1例(17%)で他は急性虫垂炎と診断し,手術を施行した.手術は腹腔鏡下虫垂切除術を施行し,開腹移行例は無かった.手術時に穿孔を3例(50%)に認めた.術後経過は順調で全例創感染などの合併は認めず,軽快退院した.虫垂憩室炎症例は膿瘍形成や穿孔例が多い.今回経験した虫垂憩室炎6症例に対し腹腔鏡下虫垂切除術を施行し,全例合併症なく退院できた.腹腔鏡下虫垂切除術は虫垂憩室炎に対して有効な術式であると考えられた.
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  • 池田 純, 園田 寛道, 糸川 嘉樹, 小出 一真, 谷口 史洋, 塩飽 保博
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2644-2649
    公開日: 2011/04/25
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    腹腔鏡下大腸切除後に上腸間膜静脈・下腸間膜静脈・門脈に血栓症を合併した1例を経験したので報告する.症例は68歳女性の盲腸・S状結腸二重癌で腹腔鏡下に回盲部・S状結腸同時切除を行った.発熱と腹痛のため術後6日目に造影CT検査を施行したところ,上腸間膜静脈・下腸間膜静脈・門脈右枝に血栓形成を疑う所見を認めた.腸管うっ血の所見は認めなかった.絶食・抗生剤とヘパリン投与にて経過観察したところ軽快し,術後11日目に食事を再開した.14日目の再検CTにて血栓の増大を認めたが,無症状であるためワーファリン内服に変更し外来経過観察とした.術後78日目には検査上血栓は消失した.術後99日目のCT検査では上腸間膜静脈の空腸枝分岐部末梢と下腸間膜静脈が虚脱し,空調枝が代償性に拡張していた.明らかな原因は不明であったが,辺縁静脈を介した血行が良好であったため,うっ血や肝障害をきたさなかったものと考えられた.
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  • 秋田 眞吾, 小山 佳紀, 河西 秀, 久米田 茂喜, 下条 久志
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2650-2655
    公開日: 2011/04/25
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    症例は81歳,女性.既往歴に20歳時に虫垂炎,同年に腸閉塞による手術既往を認めた.数年前より,左腹部腫瘤を自覚するも放置.便秘・嘔気・腹痛が出現してきたため,精査目的に入院となった.精査により腹部腫瘤は糞石であり,横行結腸-S状結腸の側々吻合により形成されたblind loop内に存在するものと診断した.糞石に対して,内視鏡的治療は困難であったため開腹手術を施行した.blind loopに起因する病態はblind loop syndrome(BLS)と定義され,様々な消化器症状を惹起するが,blind loop内に生じた糞石の報告は認められず稀と思われた.本症例では術前精査により癌の存在を否定しえたが,文献検索上blind loop内の発癌の報告もなされていた.高齢患者の便通異常症例の診療においては,blind loopの既往の有無も念頭に置くことが必要であると思われた.
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  • 木戸 知紀, 飯合 恒夫, 川原 聖佳子, 丸山 聡, 谷 達夫, 畠山 勝義
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2656-2660
    公開日: 2011/04/25
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    症例は妊娠16週の32歳,女性.下腹部痛で近医を受診し切迫早産の診断で入院した.子宮収縮抑制剤で治療されたが軽快せず,発症7日目に腸閉塞を疑われ当院へ緊急搬送された.腹膜刺激症状を認め,腹部・骨盤部造影CT検査で直腸S状部から上部直腸での腹腔内への腸管内容物の漏出とその周囲の腹腔内遊離ガス像・腹水を認め,直腸穿孔による急性汎発性腹膜炎と診断し緊急手術を施行した.腫大した子宮で穿孔部位の同定は困難であり,ドレナージ・横行結腸人工肛門造設術を施行した.同日破水し自然流産したが,術後46病日に退院した.本症例は妊娠中の便秘が直腸穿孔の原因であったと考えられた.妊婦の直腸穿孔はまれであり,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 石川 真, 米田 高志, 中沢 哲也, 高屋敷 典生
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2661-2664
    公開日: 2011/04/25
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    症例は68歳,女性.平成16年7月頻回の下痢,腹痛と低栄養状態のため精査加療目的で入院した.大腸内視鏡で直腸からS状結腸にかけて炎症性ポリープの多発による通過障害を認めたためS状結腸切除術を施行した.病理の結果は炎症性ポリープであった.平成19年,20年と症状の再燃で再入院し,大腸内視鏡で吻合部を中心にポリープの再発を認めた.炎症性腸疾患を疑い,ステロイド注腸,Mesalazineの内服を行ったが改善しなかった.臨床的特徴と頂部に白色粘液が付着した内視鏡の特徴的所見よりCap polyposis(以下CP)を強く疑った.胃内視鏡にてHelicobacter pylori(以下HP)陽性であったため除菌療法を施行したところ,ポリープは消失し症状は劇的に改善した.CPの治療法は確立されたものはないがHPの除菌療法が著効した報告例が散見され文献的考察を加え報告する.
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  • 今井 敦, 田口 宏一, 菊地 弘展, 本間 友樹, 湊 正意
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2665-2671
    公開日: 2011/04/25
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    症例は79歳,男性.平成19年2月上旬より発熱があり,その後悪寒戦慄,意識状態の低下があり近医を受診.CRPの上昇を認め,腹部CTにて肝左葉に低吸収域を認めたため肝膿瘍の診断に入院.入院後抗生剤投与と膿瘍ドレナージにて軽快.肝膿瘍の原因検索として胆道系に異常を認めず,大腸内視鏡でRsに全周性の2型病変を認め,生検にて高分化型腺癌であった.3月に当科入院.CTにて肝膿瘍は消失しており他に肝腫瘍の所見は認めず.直腸癌の診断にて高位前方切除を施行.病理所見は高分化型腺癌,ss,ly1,v0,n0,stageIIであった.術後経過は良好で術後17日目に退院.現在術後3年経過するが直腸癌,肝膿瘍の再燃は認めていない.本症例の様に胆道系異常の認めない原因不明の肝膿瘍では大腸癌合併などを想定した消化管精査が必要と思われた.
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  • 米戸 敏彦, 藤井 祐三, 長谷部 浩亨, 高橋 睦長
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2672-2675
    公開日: 2011/04/25
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    症例は85歳,女性.平成20年6月に肛門部痛,下腹部痛を主訴に当科を紹介受診された.受診時には明らかなイレウス症状は認められなかったが,下部消化管内視鏡検査で肛門縁より5cmの位置に腸管内腔に突出するI型の隆起性病変を認め,一部表面不整を認めた.また骨盤部CT検査にて直腸内腔に重積腸管を示すmultiple concentric ring signを認めた.以上の所見より腸重積を合併した早期直腸癌の診断のもと手術を施行した.開腹後重積腸管のen-block切除を試みたが困難であり,用手的解除を施行した.解除時に一部直腸壁の損傷を認めたためHartmann手術を施行した.
    早期直腸癌に起因する腸重積症は稀であり,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 田口 昌延, 宮倉 安幸, 熊野 秀俊, 堀江 久永, 冨樫 一智, 安田 是和, 山口 岳彦
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2676-2681
    公開日: 2011/04/25
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    症例は69歳,男性.血便を主訴に近医を受診,直腸癌を疑われ当院紹介となった.下部消化管内視鏡検査では直腸Rasbに環周率90%の2型腫瘍を認め生検結果は高分化管状腺癌であった.CT・MRIで膀胱,精嚢への浸潤を認め,直腸傍・右側方リンパ節転移を疑った.他臓器浸潤直腸癌Rasb,2型,cSI,cN3,cH0,cP0,cM0,cStageIIIbと診断した.経過中に大腸イレウスを発症したため人工肛門を造設した.側方リンパ節転移と周囲臓器への高度な浸潤を認めていたため化学療法を先行した.mFOLFOX6を4コース施行し,その内bevacizumabを2回併用した.その後,原発巣は著明に縮小し部分奏効を得たため根治術を行った.手術では腫瘍は膀胱,精嚢,前立腺と一塊に存在し,腫瘍の残存を疑いこれらの臓器を含めた骨盤内臓全摘術を施行した.病理組織学的検査では,癌細胞は認めず組織学的完全奏効と判定した.
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  • 指山 浩志, 浜畑 幸弘, 堤 修, 星野 敏彦, 辻仲 康伸
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2682-2686
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,男性.排便時出血,肛門痛を主訴に来院,肛門部に2型腫瘍を認めた.腰椎麻酔下の腫瘍生検にて,小細胞癌(内分泌細胞癌)の診断となり,腹会陰式直腸切断術を施行した.病理組織学的所見では絨毛状高分化型腺癌に加えて,充実胞巣状に増殖する円形の腫瘍細胞を認め,CD56,chromogranin A,synaptophysinが陽性であり,内分泌細胞癌と診断された.術後補助化学療法としてFOLFOX4を6クール施行し,その後外来観察としたが,術後12カ月目にCTにて肺,肝転移が出現したため,mFOLFOX6を開始して現在経過観察中である.肛門管内分泌細胞癌は非常にまれであるが,極めて予後不良であり,手術単独では根治が難しく集学的治療が必要であると思われた.
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  • 中山 雄介, 田村 淳, 北口 和彦, 土井 隆一郎, 馬場 信雄, 小林 久人
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2687-2691
    公開日: 2011/04/25
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    外傷性肝血管腫破裂に対しTAEにて止血後に切除した1例を経験したので報告する.患者は64歳,女性.2mの高さから転落して腰部を打撲し,当院に救急搬送された.来院時,血圧の低下を認めたが輸液により回復した.腹部CTで,右側腹部に血性腹水の貯留と肝外側区域に表面に突出する4cm大の血管腫を認め,その部位から造影剤の血管外漏出像が確認された.外傷性肝血管腫破裂と診断し,同日TAEを施行し止血を行った.TAE施行26日後に肝外側区域切除術を行い,血管腫を切除した.術後経過は良好で第13病日に退院した.肝血管腫破裂は死亡率が高く,TAEによる止血が成功した場合でも,再出血の危険性がある.またTAEの長期的な止血効果は不明である.肝血管腫破裂では,TAEにより血行動態を安定化させた後に,待機的な切除手術を考慮するという治療方針は合理的であると考えられた.
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  • 三輪 高也, 山村 義孝, 福岡 伴樹, 村井 俊文, 間下 直樹, 稲岡 健一, 西尾 知子
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2692-2695
    公開日: 2011/04/25
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    60歳,男性.上腹部痛を主訴に緊急入院した.左上腹部に圧痛を伴った小児頭大の腫瘤を触れ,精査で肝外側区域に接して造影効果の乏しい約20cmの腫瘤と肝S6に3cmの腫瘤,胆石・総胆管結石を認めた.既往に14年前の胃癌による胃切除術とアルコール性肝炎があった.巨大腫瘤は癒着のため横行結腸合併切除を加えて切離し,肝S6部分切除術,胆嚢摘出術,総胆管結石切石術を行った.術後病理では,外側区域の巨大腫瘤は縫合糸を含んだ異物性肉芽腫で,肝S6腫瘍は肝細胞癌と診断された.胃癌手術時に肝生検を行い,12カ月後のComputed tomography(CT)で肝に4cmの腫瘤が指摘されていたことが今回の手術後に判明した.肝生検に使用した縫合糸が原因で巨大な異物性肉芽腫を形成したものと思われた.
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  • 川合 亮佑, 平松 和洋, 加藤 岳人, 鈴木 正臣, 柴田 佳久, 吉原 基
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2696-2700
    公開日: 2011/04/25
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    症例は70歳,男性.C型慢性肝炎に肝細胞癌(以下HCC)を発症.初回手術で肝S4核出術を施行された.その7カ月後に限局性の腹膜播腫再発を認め,再度摘出術が施行された.その後,外来経過観察中CT上肝右葉表面ドーム直下に直径3cmの単発播種結節と横隔膜静脈を経由し,下大静脈内に腫瘍栓(長径2cm)を認めた.胸骨縦切開開胸開腹による播種巣切除+腫瘍栓摘出術を施行.術後経過良好にて,第14病日に退院した.その後肝両葉に門脈腫瘍栓を形成し,最終手術より8カ月で肝不全死するまで,腫瘍栓による肺塞栓などの頓死を免れ,Quality of Lifeを維持できた.HCCの腹膜播種,下大静脈腫瘍栓,という2つの重大な転移に対する外科的治療の適応には議論があるが,有効な内科的治療はなく,症例によっては予後を改善する可能性がある.文献的考察を加え報告する.
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  • 山岡 竜也, 西平 友彦, 西村 充孝, 井上 英信, 石川 順英, 廣瀬 哲朗
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2701-2704
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,男性.10年前に胆嚢摘出術を受けた.4年前に発熱と黄疸を発症し胆管狭窄による胆管炎の診断で内視鏡的逆行性胆管チューブステント留置術が施行され,その後チューブ交換により管理されていた.半年前より胆管炎が頻発し手術目的で紹介となった.胆管造影で上部胆管の狭窄像を認めた.手術所見では胆管狭窄部に一致して硬結認め,また胆管壁の脆弱化と周囲組織の高度の炎症性変化がみられた.胆管切除を行い胆管空腸吻合で再建した.硬結の大きさは17×10mmで,組織像で大小の末梢神経束の増生を伴う線維性肥厚を呈し断端神経腫と診断した.術後2年現在,胆管炎の再燃なく最近の画像診断でも胆管像に異常を認めていない.良性胆道狭窄では非手術的治療でコントロールが不良となった場合,時機を逸することなく手術を考慮するのが重要であると考えられた.
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  • 岡田 有史, 小笠原 仁, 小林 完, 中井 款, 大石 晋, 舘岡 博
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2705-2709
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は82歳,女性.2日前より特に誘因なく左背部痛が出現し,外来受診するも腹部超音波検査では特に異常を認めず経過観察となった.その後嘔気,食欲不振も出現し,腹部CT検査にて脾破裂が疑われ,外科へ紹介となり,緊急手術となった.開腹したところ約1,000mlの血性腹水を認めた.脾臓は20×11×5cmと腫大し,被膜断裂,被膜下血腫を認め,脾破裂による腹腔内出血の診断となり,脾臓摘出術を施行した.また,近医での血液検査の結果より,血液疾患の存在が疑われ,骨髄検査にて慢性骨髄増殖性疾患(Chronic Myeloproliferative Diseases:以下CMPD)の診断となった(フィラデルフィア染色体は陰性).特発性脾破裂の報告は散見されるが,CMPDに発症した脾破裂は本邦5例目であり,非常に稀であるため,文献的考察を加えて報告する.
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  • 加藤 恭郎, 前田 哲生, 垣本 佳士, 百武 威, 遠藤 幸丈, 村上 修
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2710-2715
    公開日: 2011/04/25
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    脾臓の炎症性偽腫瘍(inflammatory pseudotumor,以下IPT)はまれな疾患である.特徴的な画像所見がなく,術前診断は困難である.診断的治療として脾臓摘出術が行われることが多い.今回,偶然発見された脾腫瘍に対して腹腔鏡下脾臓摘出術を行い.脾原発IPTと診断した1例を経験したので報告する.症例は48歳,男性.左腎盂尿管移行部狭窄症,尿路結石の診断で当院の泌尿器科に通院中であった.今回,左腎盂尿管移行部狭窄症の精査目的で撮影された造影CTで,脾臓に2cm大の腫瘍を指摘され当科を紹介された.腹腔鏡下脾臓摘出術の適応と考え,手術を行った.悪性疾患も否定できないため,脾臓の皮膜を破らぬよう注意しつつ脾臓摘出術を行った.術後の病理組織診断で脾のIPTと診断した.術中術後経過は極めて良好で,術後6日目に通院した.本邦で腹腔鏡下脾臓摘出術を行ったIPTの報告は本例を含めて19例であった.文献的考察を加えて報告する.
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  • 柴田 孝弥, 全並 秀司, 伊藤 由加志, 遠藤 友美, 黒野 格久, 田中 宏紀
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2716-2721
    公開日: 2011/04/25
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    患者は66歳,男性.26年前に腹部外傷にて手術を受けた既往あり.入院時に左上腹部に巨大な腫瘤を認め,精査を開始した.腹部USでは低エコーの腫瘤内部に不整形の高エコーを認めた.腹部CTでは左上腹部に内部に液体が貯留した腫瘤があり,胃や横行結腸を圧排していた.腹部MRIでは腫瘤内部にfolded fabric appearanceと呼ばれる所見を認めた.以上の所見より膿瘍を伴うガーゼオーマと診断し,手術を施行した.腫瘤は周囲臓器と強固に癒着していて切除不能であり,壁の一部を切除してガーゼの摘出と腫瘤内の膿のドレナージのみに留めた.感染などの術後合併症は起きなかった.腫瘤の壁を病理組織学検査に提出したところ,ガーゼの線維や炎症細胞の浸潤,異物巨細胞などを伴う炎症性肉芽腫と診断された.本症例では,US,MRIがガーゼオーマの術前診断において非常に有用であった.画像診断に関する若干の文献学的考察を加えて報告する.
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  • 井上 雅史, 安宅 正幸, 山根 祥晃, 角 賢一
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2722-2727
    公開日: 2011/04/25
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    PET/CTが診断の一助になったデスモイド腫瘍の2例を経験した.症例1は64歳,男性.腹部しこりを自覚され当院紹介となった.CT検査で腹腔内に計3個の辺縁明瞭な腫瘤を認めた.PET/CTでFDGの集積は弱くMRIにて線維成分を有する腫瘍と考えデスモイドを第一に診断し小腸部分切除術を行い摘出した.病理組織診断でデスモイドと診断した.症例2は71歳,男性.膵頭十二指腸切除後の経過中に腹部腫瘤を認め当院紹介となった.CT検査で8cm大の右尿管を巻き込む辺縁明瞭な腫瘤を認めた.PET/CTでFDGの集積は弱く転移や再発の可能性は考えにくく針生検を行った.病理組織診断でデスモイドと診断した.鑑別診断の多い腹腔内腫瘍に対してPET/CTを撮影することは悪性度の把握につながり有用なツールとなり得る.
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  • 西尾 康平, 小山 剛, 張 翔, 延原 泰行, 松村 雅方
    71 巻 (2010) 10 号 p. 2728-2732
    公開日: 2011/04/25
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    症例は90歳,男性.4年前に肺血栓塞栓症を発症し,先天性アンチトロンビン欠乏症と診断されていた.以後ワーファリンを処方され,当院内科通院中であった.貧血,便潜血陽性を認めた為,上下部消化管内視鏡検査を施行したところ,胃癌,上行結腸癌と診断された.AT-III活性42%と低値であり,手術4日前より術後4日目までAT-III製剤の投与を行い,手術3日前から術前までヘパリン化を行った.手術は幽門側胃切除術,右半結腸切除術を行った.術後3日目からヘパリン化を,術後7日目よりワーファリンを再開した.術中,術後共に血栓症の合併も無く,退院となった.本症を合併した手術において,血栓症予防のためAT-III製剤とヘパリンを投与し,良好な経過をたどった1症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
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