日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
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71 巻 , 11 号
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原著
  • 内山 哲之, 兒玉 英謙, 村田 幸生, 大石 英和, 小田 聡, 北山 卓, 阿部 友哉, 伊勢 秀雄, 海野 倫明
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2773-2780
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    目的:縫合結紮糸変更を軸としたSSI対策の変遷とその総合的な効果を検討した.方法:2004年10月-2008年9月までの4年間に当院で施行した開腹消化器外科手術例957例を対象とし,主に絹糸使用の2005年9月までの前期群:227例,皮膚縫合を除き合成吸収糸使用の2005年10月-2007年9月までの中期群:485例,2007年10月以降の全面的に絹糸非使用の後期群:245例の3群に分類した.後期群では縫合糸以外のベストプラクティスの導入を併せて行った.結果:SSI発生部位の比較(前期群:中期群:後期群)では深部感染率(%)が(6.6:1.4:2.5)と中期以降有意に減じ,体腔感染率は(11.9:6.4:3.3)と皮膚縫合方法のみを変更した後期群においても低下傾向がみられた.全体のSSI発生率(%)は(27.8:17.9:12.2)と段階的低下し,術後平均在院日数は(30.2:24.0:20.0)と短縮した.考察:合成吸収糸の段階的導入を軸としたSSI対策により,周術期にかかわるスタッフへの意識付けが明確になり,後期群でスムーズにベストプラクティスの導入が可能となり,縫合結紮糸変更による直接的な効果だけでない総合的な効果が発揮されたものと考えられた.
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臨床経験
  • 小泉 大, 金丸 理人, 森 和亮, 関口 忠司
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2781-2784
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    目的:消毒液を使用しない創処置方法の導入前後でのSurgical site infection(SSI)の発生と医療材料費について検討し,本処置法の有用性を検証した.方法:2007年4月から2009年3月に手術を施行した315例を対象とした.創の消毒をしていた前半1年(前期)と消毒をしない後半1年(後期)の2群に分け,両群を比較検討した.器械吻合,閉創の縫合方法と皮下洗浄は両群で同様に行った.結果:前期は148症例,後期は167症例.術後SSI発生症例は,全例消化器手術で認め,前期9例(6.1%),後期5例(3.0%)で,発生率に有意差は認めなかった(P=0.185)が,減少傾向を認めた.1例の平均医療材料費は,前期1,370円,後期447円へと67.5%減少した.まとめ:消毒薬を使用しない創処置でも術後SSIの発生は増加せず,消毒薬の使用はSSIの予防に寄与しないことが検証された.本方法は,消毒薬・ガーゼなどのコスト削減と消毒に要する業務軽減に有用である.
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  • 林 伸泰, 市原 隆夫, 菅 和臣, 岡 義雄, 左近 賢人
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2785-2790
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    目的:胆石胆嚢炎による炎症を伴った胆嚢に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)における術式の工夫について検討した.対象と方法:急性胆石胆嚢炎の待機手術を施行した69症例を対象とした.胆嚢頸部から胆嚢管付近をテープで緩く仮結紮し,胆嚢底部より頸部へ剥離し,テープを様々な方向へ牽引しながら胆嚢周囲とCalot三角を剥離し最後に胆嚢管を切離する方法(テープ牽引法LC)を施行した.術後,胆嚢の病理検索により胆嚢炎を軽度,中等度,高度に分類し炎症の各段階で手術成績を検討した.結果:手術時間,出血量とも炎症が高度になるにつれて増加する傾向にあった.開腹移行例が中等度,高度の炎症症例で各1例みられた.術後の合併症は高度炎症症例の2例で創部感染が見られたがその他重篤な合併症はなかった.結論:テープ牽引法LCは炎症を伴った胆石症例に対して安全にできることが示唆された.
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症例
  • 岩本 明美, 岸 清志, 竹本 大樹, 西江 浩, 前田 迪郎
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2791-2794
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,男性.StageIIIa直腸癌と診断され,低位前方切除術を施行した.24病日に術後補助化学療法としてUFT/ユーゼルの内服を開始した.口内炎(Grade3)のため7日目に内服を中止.骨髄抑制が増悪し11日目に入院となった.汎血球減少が急速に増悪し,連日G-CSFと血小板輸血,抗生剤投与をおこなった.22日目より増加に転じ,36日目に退院となった.DPD活性は13mol/min/mg proteinと著しい低値でありDPD低活性と診断した.
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  • 相山 健, 松下 通明, 神山 俊哉, 中西 一彰, 横尾 英樹, 藤堂 省
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2795-2800
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,女性.1983年10月右顎下部の疼痛を主訴に近医を受診し,右顎下腺癌の診断で1984年3月右顎下腺摘出術を施行した.病理組織診断は腺様嚢胞癌であった.以後,再発なく経過したが,2006年2月左頭頂部に腫瘤を認めた.顎下腺癌骨転移が疑われ,脳神経外科専門病院にて転移巣を切除した.病理組織診断は顎下腺癌の頭頂骨転移であった.2008年4月18F-fluorodeoxy glucose-positron emission tomographyにて肝に複数の集積像を認め,5月当科を紹介受診した.右葉を中心とした顎下腺癌の両葉多発肝転移と診断し,Percutaneous transhepatic portal vein embolization後7月17日に拡大肝右葉切除+尾状葉切除+肝部分切除(S3),また,残肝深部にあったS2/3転移巣は超音波ガイド下Microwave coagulation therapyを施行し,すべての転移巣を処理した.病理組織診断は顎下腺腺様嚢胞癌の肝転移であった.20年以上の長期無再発経過の後,多発肝転移をきたした顎下腺癌の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
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  • 松永 伸郎, 小野田 尚佳, 柳川 憲一, 中川 泰生, 石川 哲郎, 平川 弘聖
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2801-2804
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は50歳,男性.20年前から尿路感染症を繰り返し,何度か抗生剤投与を受けたことがある.咳を主訴に当院受診した際,右前頸部腫瘤を触知し,超音波検査にて甲状腺右葉に24×16mmの一部嚢胞変性を伴う腫瘤と,4mmの石灰化腫瘤を認めた.甲状腺機能に異常なく,細胞診でも悪性所見は認められなかったが,3カ月後に再検したところ,長径32mmへと増大を認めたため,右葉切除を施行した.甲状腺正常部は全体に黒色を呈していたが,甲状腺以外の組織や腫瘍は着色されていなかった.病理組織検査では,ベルリン青染色陰性の色素沈着による黒色甲状腺内に発生した濾胞腺腫と診断された.術後経過は良好で機能異常は認めていない.黒色甲状腺は,ミノサイクリンの投与により甲状腺濾胞細胞や濾胞内にメラニン様の色素が沈着した状態と考えられているが,臨床症状や検査異常を示さず,手術により偶然に発見される病態である.文献的考察を加え,報告する.
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  • 丸野 要, 杉山 保幸, 江口 正信
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2805-2809
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は48歳,男性.左乳頭直下の腫瘤に気付き,平成21年12月当科外来を受診した.左乳房のEB領域に1.0×1.0cm,弾性硬,表面平滑,境界明瞭な腫瘤を触知し,USでは嚢胞とその内部に充実性腫瘤を認めた.マンモグラフィでは左の乳頭近傍に,楕円形の辺縁平滑な高濃度腫瘤陰影を認めた.穿刺吸引細胞診ではClass III(乳頭腫疑い)の診断で,平成22年1月に局麻下に腫瘤摘出術を施行した.病理組織学的検査所見では嚢胞とその内部に異型上皮細胞の乳頭状増生があり,間質浸潤はなく非浸潤性乳管癌と診断した.平成22年2月に左胸筋温存乳房切除術・センチネルリンパ節生検を施行した.癌の遺残はなく,tis,ly0,v0,n0,NG1,stage 0,ER(+),PgR(+),HER2(0)であった.男性に発生した嚢胞内非浸潤性乳管癌は本邦では1981年以来自験例を含めて13例が報告されている.男性に発生した嚢胞内非浸潤性乳管癌の1例を報告する.
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  • 杉浦 浩朗, 久保 章, 亀田 久仁郎, 長嶺 弘太郎, 遠藤 和伸, 藤井 一博, 竹川 義則
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2810-2815
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は22歳,女性.左乳房腫瘤を主訴に当科受診した.左乳房下方に可動性の乏しい約3cm大の硬い腫瘤を触知した.マンモグラフィではカテゴリー4であり,超音波所見では八頭状に発育する,境界不整で内部不均一な低エコー腫瘤として描出され,乳癌を強く疑った.針生検を施行したが,確定診断は得られず,局所麻酔下に腫瘍の部分生検術を施行した.病理検査にて結節性筋膜炎と診断されたが,患者が残存腫瘤の摘出を希望したため,全身麻酔下腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は大胸筋より発生していると思われ,一部は胸筋に固着していた.現在,術後約6カ月が経過しているが,再発の徴候は認めていない.
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  • 五来 厚生, 諸星 隆夫, 正津 晶子, 永島 琢也, 津浦 幸夫
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2816-2819
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,男性.高血圧にて近医経過観察中に心窩部不快感出現.超音波検査,胸部レントゲンにて右中~下肺野に超手拳大の腫瘤を指摘され当院紹介となった.CTにて右胸腔~縦隔右側にかけて160×110mmの腫瘤を認めた.腫瘤は上大静脈,右房を圧排し,心膜,横隔膜への浸潤も疑われた.CTガイド下生検施行しspindle cell sarcomaの診断で手術が施行された.左側臥位にて審査胸腔鏡施行後,摘除可能と判断し,仰臥位,胸骨正中切開にて摘出術施行した.術後経過は良好で,第15病日に退院となった.術後病理検査にて脂肪肉腫と診断された.今回比較的まれな縦隔発生の脂肪肉腫の1手術症例を経験したので報告する.
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  • 三好 麻衣子, 坂尾 寿彦, 岩川 和秀, 勝原 和博, 北條 禎久
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2820-2824
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,男性.2006年7月S状結腸癌に対し腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した.病理組織診断はtub1,pSM,pN0,ly0,v0,StageIであった.術前より両側内腸骨動脈瘤を指摘されていた.術後6カ月の腹部CT検査で,右内腸骨動脈瘤に接する骨盤腫瘤の拡大を指摘され,精査を行うも右内腸骨動脈瘤との関連がはっきりせず確定診断に至らなかった.経過中急速に拡大傾向を認めたため,既存の右内腸骨動脈瘤のsealed rupture(被覆穿孔)により発生した仮性動脈瘤と診断し手術を施行した.術中所見では仮性動脈瘤と診断し瘤縫縮術を施行した.病理組織診断では仮性瘤ではなく瘤の一部の拡大であった.孤立性腸骨動脈瘤は比較的稀で破裂の可能性が高く,また本症例では瘤が急速に拡大し非常に稀な仮性瘤も疑われ手術となった.CT血管造影で瘤は造影されず,S状結腸癌術後のリンパ節再発の可能性があり診断に苦慮した.
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  • 小此木 範之, 茂原 淳, 高橋 徹, 横濱 章彦, 野島 美久, 竹吉 泉
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2825-2829
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    骨髄異形成症候群を合併した開心術は出血や感染症のリスクが高く,また周術期治療の明確なガイドラインはない.われわれは周術期の蛋白同化ステロイド,活性型ビタミンD3,ビタミンK2の投与による薬物療法と,輸血による補助療法により,骨髄異形成症候群を合併した大動脈弁狭窄症に対し,大動脈弁置換術を安全に施行できた1例を経験した.
    症例は73歳,女性.骨髄異形成症候群(不応性貧血)の経過観察中に,胸痛の精査で大動脈-左室間圧較差140mmHg,大動脈弁口面積0.67cm2の重症大動脈弁狭窄症と診断された.術前から薬物療法を行い汎血球減少の改善を図った.周術期に血小板数が3.0×104/μl,好中球数が2,000/μlを維持するよう補助療法を行い,大動脈弁置換術を施行した.周術期に出血性の合併症や感染症は認めず,術後経過は良好であった.
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  • 國重 英之
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2830-2833
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,男性.自宅で転倒し右側胸部痛と呼吸苦で前医へ救急搬送.胸部CTにて大動脈基部異常を指摘され当院当科へコンサルトあり同日救急搬送.画像では大動脈解離,心嚢液貯留所見など認めず.大動脈基部Valsalva洞からの瘤状突出が左肺動脈領域を圧迫する所見を認めた.同日は降圧を行い翌日手術施行.手術所見では外傷による縦隔・心嚢内損傷なし.人工心肺下にステントレス生体弁による大動脈基部置換術を施行.
    Valsalva洞動脈瘤の初発症状は瘤が心腔内に破裂したときの心雑音や心不全症状であることが多い.これに対し非破裂Valsalva洞動脈瘤は無症状であることが多く偶然発見されるケースもしばしば認められる.
    本症例における手術は1)外傷性大動脈損傷のrule out,2)Valsalva洞動脈瘤の破裂予防,3)著明石灰化による可動不全大動脈弁の処置,4)肺動脈狭窄の解除,の4点を考慮し早急に手術治療を施行した.
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  • 武藤 哲史, 大石 明雄, 土屋 貴男, 鈴木 弘行, 後藤 満一
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2834-2839
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,男性.検診で胸部異常陰影を指摘され,当科を受診した.胸部X線検査では移動する境界明瞭な胸部腫瘤陰影を認めた.画像所見より胸腔内異物を疑い,診断的治療を目的に胸腔鏡下手術を施行した.胸腔内には癒着等なく,遊離する白色の結節を確認し採取した,病理検査にて胸腔内結石症と診断された.本邦の胸腔内結石症の報告は20例程度と非常に稀である.胸腔内結石症の診断においては移動する結節陰影が特徴的とされるが,術前診断は必ずしも容易でなく,確定診断のため,胸腔鏡下手術も考慮すべきであると考えられた.
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  • 松末 亮, 野村 明成, 升森 宏次, 川村 純一郎, 長山 聡, 坂井 義治
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2840-2845
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,男性.早期直腸癌の診断で2008年5月ESDを他院で受けた.SM massive,垂直断端陽性のため追加手術目的に当院に紹介され,腹腔鏡下直腸低位前方切除術を施行された.術後経過は良好であったが,15PODに発熱が出現した.注腸検査で微小縫合不全を認め,胸腹部CTで膿瘍形成はなかったが,両側肺炎像および胸水貯留を認めた.微小縫合不全,術後肺炎の診断で抗生剤投与したが発熱は持続した.22PODのCTで吻合部周囲に変化はなかったが,右内腸骨静脈血栓と両側肺野に陰影を認め,右内腸骨静脈血栓性静脈炎からの敗血症性塞栓による肺化膿症と診断した.抗生剤を増量し,抗凝固剤の投与を開始した.その後も発熱は遷延したが,CTでは増悪は認めず,嫌気性菌を考慮した抗生剤投与により54PODに漸く解熱し,71PODに退院した.これまでに直腸癌術後微小縫合不全から内腸骨静脈血栓性静脈炎,肺化膿症を併発した症例の報告はなく,文献的考察を加え報告する.
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  • 前田 祐三, 矢野 智紀, 森山 悟, 藤井 義敬, 高橋 智
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2846-2850
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    稀な肺原発primitive neuroectodermal tumor(PNET)の1例を経験したので報告する.症例は21歳女性,前医の生検でPNETが疑われ,治療目的に当院に紹介された.自覚症状はなかった.PETや骨シンチグラフィーでは肺腫瘍以外に異常所見は認めず,肺原発のPNETと診断した.左肺下葉切除および系統的リンパ節郭清術を施行し,病理診断,遺伝子解析の結果,pT2N0M0,stageIBのPNETと診断した.術後経過は良好で術後10日目で退院した.術後化学療法に関して同意が得られず,現在は外来にて経過観察中である.術後3年6カ月経過し,再発兆候なく経過良好である.
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  • 山崎 庸弘, 金子 公一, 石田 博徳, 坂口 浩三, 二反田 博之
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2851-2854
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は55歳,男性.胸部CT検診で異常陰影を指摘され,縦隔腫瘍が疑われ当科紹介受診となった.画像上,大動脈弓部直上の左鎖骨下動脈分岐部背側に接して29×29×31mmの境界明瞭な結節像を認めた.造影効果は明瞭でなく,腫瘤内に隔壁を認め,嚢胞変性のある縦隔腫瘍を疑い手術を行った.胸腔鏡で胸腔内を観察すると,大動脈弓上部に縦隔腫瘍はなく,左上葉S1+2の縦隔面に肺表面より半分程突出する硬い白色腫瘤認めた.腫瘤を含めて肺部分切除を施行した.組織学的に腫瘍は気管支上皮成分と軟骨成分より成り,肺過誤腫であった.まれではあるが,腫瘍の存在部位と隣接臓器との関係において,縦隔腫瘍と術前診断される肺腫瘍がある.
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  • 久島 昭浩, 高橋 雅哉, 高橋 克之, 蜂須賀 仁志, 布村 眞季
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2855-2859
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,男性.吸収不良症候群の状態で入院となり,糞便と尿検査から播種性糞線虫症と診断した.糞線虫症治療薬であるIvermectin(ストロメクトール®)を投与したが,小腸穿孔による腹膜炎を発症し緊急開腹手術を施行した.糞線虫は熱帯・亜熱帯地域に広く分布する寄生虫で,日本では九州南部,沖縄に保虫者が多く存在している.成虫は十二指腸および空腸粘膜に寄生し,自家感染により感染が何十年も持続する.過剰感染を起こすと腸管の固有筋層に虫体が浸潤し吸収不良症候群やイレウス,小腸壊死を引き起こすことがある.九州,沖縄に居住歴のある原因不明の腹膜炎や腸管壊死,イレウスの患者の診察に際しては糞線虫症を鑑別する必要がある.
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  • 池西 一海, 成清 道博, 志野 佳秀, 中谷 勝紀, 榎本 泰三, 榎本 泰久
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2860-2863
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    空腸憩室はまれな疾患で無症状に経過することが多い.今回空腸憩室穿孔症例を経験したので報告する.症例は93歳の女性で,3日前から腹痛,嘔気を認め近医を受診した.腹部造影CT所見で横隔膜下にfree airと腹水貯留を認め,上腹部の小腸背側にair fluid levelを伴った大きなcavityを形成しており,急性腹膜炎の診断で当科に紹介された.上腹部中心に腹膜刺激症状,筋性防御を認めた.上部消化管穿孔の疑いで緊急手術を施行した.手術所見で胃,十二指腸に穿孔部を認めずTreitz靱帯より15cm肛門側空腸に穿孔した憩室を認め,穿孔部は横行結腸間膜や他の小腸に囲まれ膿瘍腔を形成していた.病理組織学的検査で空腸仮性憩室の穿孔と診断した.空腸憩室穿孔は術前診断が困難であり高齢者が多いため,死亡率も高い.しかし術前のCT診断は有用であることもあり,空腸憩室穿孔症例で特徴的なCT所見も含めて文献的考察のうえ報告する.
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  • 上野 達也, 高橋 道長, 菅野 明弘, 内藤 広郎
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2864-2867
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    誤嚥性肺炎で入院中,腸重積を発症し,緊急手術を施行したところ,先進部が慢性の腸重積であった1例を経験したので報告する.症例:75歳,男性.既往歴:10年前胃癌のため胃全摘術を受けた.最近1カ月以内に2度誤嚥性肺炎で入院.現病歴:呼吸苦,発熱,嘔吐があり当院を受診.誤嚥性肺炎の診断で呼吸器科入院となり,抗生剤で改善した.入院9日目より食事を再開したが,12日目より腹痛・嘔吐出現.CTで腸重積を認めたため当科紹介,緊急手術を施行した.術中所見で,空腸に腸重積を認め,これを解除.先進部に柔らかい腫瘤を触知し確認したところ別の腸重積を認めた.漿膜面の状態から慢性の腸重積と考えられた.呼吸器科入院時のCTを再度確認したところ,術中認めた先進部腫瘤の部位に腸重積を認めたため,慢性腸重積が先進部となった重複腸重積と考えられた.腸管の虚血はなく,腸管切除は施行しなかった.以後2年間,誤嚥性肺炎は認めていない.
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  • 井上 悠介, 藤田 文彦, 宮崎 健介, 望月 聡之, 虎島 泰洋, 木下 直江, 兼松 隆之
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2868-2871
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    はじめに:abdominal cocoon(AC)とは,小腸をはじめとする腹腔内臓器が,繭状の繊維性の被膜に包まれる疾患である.今回,われわれはACが原因で絞扼性イレウスを生じた1例を経験した.症例:73歳,男性.HTLV-I(Human T-lymphotropic VirusI)関連脊髄症(HAM),腹腔鏡下胆嚢摘出術の既往あり.突然の腹痛により発症し,イレウスの診断で当院へ紹介となった.腹部造影CTで,小腸間膜の回転様の変化と小腸の血流障害を認め,内ヘルニアによる絞扼性イレウスの診断で,緊急手術となった.手術所見では,横行結腸間膜後葉から,下行結腸間膜,後腹膜,小腸間膜に連続する袋状となった腹状構造を形成しており,その中に小腸が嵌頓して血流障害を生じていた.手術では壊死を生じた小腸を部分切除し,さらに腹状構造物も開放させ,可及的に切除し手術を終了した.術後経過は良好であった.考察:ACは原因不明の比較的稀な疾患であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 古元 克好, 藤 浩明, 森 友彦, 伊東 大輔, 小切 匡史
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2872-2877
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,男性.耕運機と木の間に腹部を挟まれ腹痛のため搬入された.腹部造影CTで腸間膜出血と診断され開腹すると,回盲部より約50cm口側から,口側約70cmにわたる小腸間膜の断裂と動脈性の出血がみられ回腸を切除し器械による機能的端々吻合で再建した.術中血圧は100前後で安定していたが閉腹時心室細動となり蘇生術を要した.経口摂取に伴い発熱が持続し腹部CTで腸壁の壊死が疑われ改善しないため,術後43日目に再開腹すると吻合部縫合不全を認め腸管切除を行った.縫合不全部周囲の小腸は病理学的に虚血性腸炎と診断され,特に肛門側の腸壁は著明に肥厚し内腔がほとんどなかったため,縫合不全には吻合部の虚血のみならず肛門側腸管の狭窄による通過障害が関与したと考えられた.腹部外傷後遅発性小腸狭窄の報告は多いが小腸切除後に吻合部の虚血性狭窄を認めた報告はなく,初回手術時の心室細動が原因と推察され示唆に富む症例と考えられた.
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  • 清水 智治, 目片 英治, 山口 智弘, 山本 寛, 谷 徹
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2878-2885
    公開日: 2011/05/25
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    はじめに:原発性小腸癌は比較的まれであり,術後補助化学療法や進行・再発症例に対する化学療法は確立されていない.抗癌剤感受性検査Collagen gel droplet embedded drug sensitivity test(CD-DST)は抗癌剤選択の指標となる.原発性小腸癌進行・再発の症例にてCD-DSTに基づいて化学療法を施行した症例の検討を行った.
    症例1:63歳,女性.イレウスにて発症した回腸癌.回盲部切除D3郭清を施行,腹膜播種があった.CD-DSTで高感受性のEpirubicin投与にて腫瘍マーカーの上昇抑制が認められたが,感受性のない薬剤では病状は進行した.IrinotecanとUFTの併用でStable Diseaseを得た.
    症例2:71歳,女性.高CEA血症を認め,PET-CT,小腸内視鏡検査にて空腸癌を診断された.小腸広範胃切除術D2郭清施行.高感受性のS-1とIrinotecanで術後補助化学寮法を行い7カ月無再発であった.再発後は高感受性薬剤が見いだせず病状が進行したが,mFOLOFX6が有効でありStable Diseaseを得た.
    結語:進行・再発原発性小腸癌においてCD-DSTは抗癌剤選択の指標となり,原発性小腸癌に対してIrinotecanおよびOxaliplacinは有効性がある可能性が示唆された.
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  • 菊地 勝一, 光信 正夫, 飯田 洋也, 相原 司, 安井 智明, 覚野 綾子, 加古 泰一, 山中 若樹
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2886-2891
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例:50歳代,女性.3年前に右乳癌にて他院で手術を受けた.臨床病期進行度はstageIIA,組織診断は骨形成性乳癌,biologyはtriple negative,術後化学療法としてFEC6クール施行された.2年後肺転移にて,肺部分切除術を受けている.今回,1カ月前より食欲不振,嘔吐を繰り返すようになり,腸閉塞の診断にて入院となる.腹部CT検査およびイレウス管造影にて腸重積の診断,緊急手術となった.術中所見では,Treitz靱帯より20cmの空腸に10×5cm大の腫瘍を認めこれが先進部となって腸重積を起こしていた.組織診断は骨形成性乳癌の小腸転移であった.術後2カ月目に黄疸出現し治療施すも状態悪化,緊急手術術後3カ月目(初回乳癌手術後3年4カ月目)に死亡した.
    考察:骨形成性乳癌の本邦報告例は70例,乳癌小腸転移の報告は15例あるが,骨形成性乳癌の小腸転移例は極めてまれである.
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  • 石垣 和彦, 古元 克好, 藤 浩明, 森 友彦, 伊東 大輔, 小切 匡史
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2892-2895
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は80歳,男性.嘔吐を主訴に近医受診.腸閉塞の診断で当院消化器内科に紹介され入院となったが,保存的加療で軽快しないため入院3日目に腹部CT検査を施行した.肝表面・下腹部にfree airを認め,S状結腸のhigh densityな物体と,これを中心とした小腸・結腸の壁肥厚がみられた.家人が6カ月前に義歯がなくなっていることに気付いていたが放置しており,同部位での義歯誤飲による腸管穿孔の診断で緊急手術施行した.穿孔部位はS状結腸の腸間膜対側で,穿孔部を含めたS状結腸を切除し,機能的端々吻合で再建した.経過は良好で術後22日目に退院した.高齢化社会を迎えるにあたり,本症例のように自覚なしに誤飲し,穿孔しても症状をうまく伝えられない患者が増えると考えられる.義歯誤飲後長期間を経た後にも腸管穿孔の原因となり得ることに留意すべきである.
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  • 丸山 昌伸, 岡田 剛, 安井 和也, 三村 哲重
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2896-2901
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は80歳,男性.腹痛を主訴に受診した.腹部は著明に膨隆していた.腹部X線写真では,S状結腸の著明な拡張と多量の腸管ガス像を認め,胸部X線写真では縦隔にも気腫を認めた.胸腹部CT検査で,S状結腸の捻転と後腹膜気腫,縦隔気腫,皮下気腫が明らかになった.S状結腸捻転症による結腸穿孔の診断で緊急手術を施行した.捻転したS状結腸は虚血壊死をきたし腸間膜側で穿孔していた.S状結腸を切除し,人工肛門を造設した.術後46日に軽快退院した.本邦で縦隔気腫をともなう大腸穿孔は9例の報告があるのみである.広範な気腫を形成したS状結腸捻転穿孔症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 佐々木 寛文, 内野 基, 坂東 俊宏, 松岡 宏樹, 池内 浩基, 冨田 尚裕
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2902-2906
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は28歳,男性.18歳時下血で発症の潰瘍性大腸炎,再燃寛解型,全大腸炎型.ステロイド抵抗性,難治性のために,分割手術として大腸全摘,回腸嚢肛門吻合術,回腸人工肛門造設術を行った.初回手術後は良好に経過し,ステロイドを漸減していたが,術後第40病日に絞扼性イレウスを併発し,イレウス解除術を行った.術後第2病日より,正中創に急速に進行する壊疽性膿皮症,壊疽性筋膜炎を認め,ステロイド全身および局所投与を要し治療に難渋した.壊疽性膿皮症は腸管外合併症として知られ,大腸全摘により軽快することが多い.しかし自己免疫異常に関連し,術後にも出現することがある.診断,治療に難渋することがあり,文献的考察を加え報告する.
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  • 柴田 直史, 佐川 弘之, 宮前 拓, 中村 善則, 羽藤 誠記, 神谷 保廣
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2907-2910
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は56歳,男性.約1年前,左背部腫脹で当科入院し,腹壁膿瘍の診断で切開排膿を施行されていた.診察終了後も時折,切開部からの排膿を認めていたが放置していた.約1年後,切開痕からの多量の便汁様排膿を主訴に当院受診した.腹部CT検査,瘻孔造影,注腸造影などで下行結腸の憩室炎による結腸皮膚瘻の診断に至った.手術は,炎症所見が落ち着いてから一期的な下行結腸の腸切除吻合術を行い,皮膚瘻も合併切除した.術後経過は良好で,術後第23病日に軽快退院となった.腹部手術既往のない結腸憩室炎による結腸皮膚瘻は稀であるので考察を加えて報告する.
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  • 高取 寛之, 柳 政行, 川井田 浩一, 末永 豊邦
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2911-2916
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    機能的端々吻合(Functional end-to-end anastomosis;以下FEEA)は手術手技の簡便さと手術時間短縮のメリットのため現在広く普及している.特に腹腔鏡補助下大腸手術の普及とともにFEEAを行う機会は多い.今回われわれは腹腔鏡補助下右半結腸切除術6カ月後に吻合部再発をきたした症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.症例は74歳,女性.上行結腸癌に対し腹腔鏡補助下右半結腸切除術+D2郭清を施行した.吻合は体外でlinear staplerを2回用いたFEEAを行った.組織学的病期stageIであり術後化学療法は行わなかった.術後半年のCEA値が若干上昇していたため検査行った.その結果,前回吻合部に約5cm大の腫瘍を認め吻合部再発と診断した.開腹により前回吻合部を含めた腸管切除を行った.腸管内遊離癌細胞のimplantationが再発の原因と考えられた.若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 森本 守, 平井 孝, 金光 幸秀, 小森 康司, 伊藤 誠二, 清水 泰博
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2917-2921
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は60歳代,女性.持続する肛門周囲の発赤と掻痒感を訴え,精査の結果,肛門管癌のpagetoid spreadと診断された.腫瘍辺縁部皮膚生検(mapping biopsy)を施行し,肛門周囲皮膚の切除範囲を決定した後に,腹会陰式直腸切断術を施行した.病理組織学的検査では,肛門管の高分化型腺癌に由来する腺癌細胞が,肛門周囲皮膚へ表皮内浸潤しpaget細胞を伴っていた.術後7カ月経過したが,再発徴候なく外来通院中である.術前mapping biopsyにより肛門周囲皮膚の切除範囲を決定することが可能であり,本疾患には重要な検査であった.
    pagetoid spreadを伴う肛門管癌で,術前に切除範囲の正確な評価がされた症例は稀であり,若干の文献的考察を含め報告する.
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  • 菅沼 泰, 野口 明則, 山根 哲郎
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2922-2925
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    直腸S状部癌術後,肛門縁に再発し,局所切除後,鼠径リンパ節転移をきたした症例に対し,化学放射線療法および,補助化学療法を施行,長期生存を得たので報告する.症例は34歳,男性.直腸S状部癌に対し高位前方切除術施行.原発巣切除後441日目肛門縁に転移を認め,局所切除術施行.追加治療として5-FUとX照射による化学放射線療法を施行した.原発巣切除後1235日左鼠径リンパ節転移に対し,リンパ節を摘除した.5-FUとLeucovorinによる補助化学療法を行った.鼠径リンパ節摘出後1700日目まで局所,遠隔共に再発を認めていない.局所切除に化学放射線療法を追加して局所再発を認めていないこと,鼠径リンパ節転移摘出後の化学療法で再発が無いことから,直腸癌の肛門への転移に対する治療として,最小切除に補助療法を加えることにより,肛門機能温存低侵襲手術で根治の可能性があることが示唆された.
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  • 深瀬 正彦, 岩本 一亜, 手島 伸, 島村 弘宗, 斎藤 俊博, 武田 和憲, 鈴木 博義
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2926-2931
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,男性.13年前より痔瘻の治療を受け炎症を繰り返していたが,約1カ月前から肛門周囲に硬結を触知し,切開排膿後も疼痛が持続しムチン様の排液を伴っていた.画像上,腸管に他の原発病巣は認めず,MRIのT2強調画像で直腸左側に顆粒状の高信号を呈する病巣が確認され,肛門陰窩に開口していた.また,生検による組織診では粘液中に印環細胞様の腫瘍細胞を少数認めたが,癌の確定診断には至らなかった.しかし,臨床所見等から痔瘻癌と診断し,直腸切断術を施行した.組織診断はmucinous adenocarcinoma,AI,ly0,v0,int,INFβであった.
    痔瘻癌は肛門管近傍に発生する癌で術前に確定診断するのが困難な疾患である.今回,われわれは病理組織診でGroup4と診断されたが,臨床所見および特徴的なMRI画像所見から痔瘻癌と術前診断した1例を経験したので報告する.
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  • 名波 竜規, 渡邊 正志, 大嶋 陽幸, 野崎 達夫, 金子 弘真
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2932-2937
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    Hepatic peribiliary cystsは比較的太い胆管に沿って嚢胞が集簇する疾患で,良性の疾患である.嚢胞性状や周辺環境の変化により多彩な画像所見を呈する.症例1は,左グリソン鞘に沿って微細な嚢胞の集簇と線維化が認められ,他に胆嚢腺筋腫症,総胆管の拡張が併存し,術前診断が確定しないまま手術にのぞんだ.術中所見でも肝内胆管癌を疑い,肝左葉切除を行った.症例2においては,肝内胆管癌に定型的な画像所見を有するhepatic peribiliary cystsが併存していた.症例1の経験もあり診断は容易であった.胆管癌が比較的近い位置に存在していたが,相互の関係はないものと思われた.HPBCには胆管癌との鑑別に難渋する胆管狭窄例もあるため,手術が必要となる場合も存在する.胆管狭窄の鑑別疾患として考慮されるべきと考えられた.
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  • 大内 晶, 磯谷 正敏, 原田 徹, 金岡 祐次, 前田 敦行, 高橋 祐
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2938-2942
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は35歳,女性.2005年11月に当院産婦人科で子宮頸部非定型的カルチノイド多発肝転移に対して広汎子宮全摘,両側付属器切除を施行後,2006年4月に初回肝切除を施行後2007年10月まで計5回の肝切除を施行した.2008年2月に多発肝転移再発を認めたためサンドスタチン®の投与を行っていたが,同年10月に左大腿骨転移を認めたため,左大腿骨近位部人工骨頭置換術を施行した.以後リザーバーを用いた肝動注療法を開始し,2009年5月のMRIでは個数,腫瘍径の減少を認め,患者は原発巣切除後4年2カ月が経過した現在も外来通院中である.子宮頸部非定型的カルチノイド肝転移に対する肝切除例の報告はわれわれが検索しえた限り自験例が本邦初であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 加藤 順子, 長田 真二, 徳山 泰治, 高橋 孝夫, 山口 和也, 吉田 和弘
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2943-2947
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は11歳,男児.突然上腹部痛と嘔吐が出現し,翌日になっても症状の改善がみられず,近医より当院小児科に紹介.来院時所見では右季肋部に圧痛を認めるも腹膜刺激症状なく,血液検査では軽度の炎症反応を認めるのみであった.腹部CTで胆嚢は腫大し内腔に不均一な高吸収域がみられたが壁肥厚はみられなかった.翌日の腹部造影CTの再検では,胆嚢内腔の高吸収域は拡大しており壁肥厚を伴っていた.造影MRIでは粘膜の造影効果なく,頸部での腫瘤様陰影はねじれを描出していたことから胆嚢捻転症との診断に至り,緊急開腹手術を施行した.胆嚢は黒色調に腫大し,反時計方向に360度回転していた.胆嚢摘出術を行い,第5病日に退院となった.小児発症の胆嚢捻転症はまれな疾患であり,一般的に術前診断は困難である.術前検査所見などに関する文献的考察を加え報告する.
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  • 高嶌 寛年, 佐々木 明, 佐々木 薫
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2948-2953
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,男性.胃癌にて幽門側胃切除術,BillrothI法再建を行った.術後1カ月目に急性胆管炎,閉塞性黄疸が出現し,精査の結果,良性の総胆管の狭窄と診断し経皮経肝胆道ドレナージ(PTCD)を行い減黄をはかるとともに経皮経肝的バルン拡張術等試みるが成功せず,黄疸出現後2カ月目にexpandable metallic stent(EMS)を留置した.これにより症状は劇的に改善しEMS留置1カ月後に外瘻チューブも抜去し軽快退院した.しかし,EMS留置から2年9カ月後に閉塞性黄疸をきたし入院した.総胆管内に結石が充満しており,閉塞性黄疸に対しPTCDを行い胆管洗浄を行いつつ経皮経肝胆道内視鏡(PTCS)を行った.ステントに付着した結石を認めたため,生検鉗子等で結石を破砕しては洗浄吸引する操作を繰り返し一部ステントがほつれてきたところ把持鉗子にてwireを1本ずつ引き抜きEMSを抜去した.以後,総胆管の再狭窄は生じず外瘻チューブを抜去し軽快退院した.
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  • 和田 博雄, 塩澤 学, 森永 聡一郎, 赤池 信, 亀田 陽一, 益田 宗孝
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2954-2959
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は37歳,男性.健診の腹部超音波検査で胆嚢腫瘤を指摘され,当院へ紹介された.術前検査では,USで胆嚢底部に大きさ約4cmの腫瘤を認め,造影CTで,同部に造影効果をともなう有茎性の腫瘤を認めた.周囲への浸潤や転移は認めず,胆嚢腫瘍の診断で胆嚢摘出術を施行した.病理組織学的には,腫瘍は非上皮性細胞が主体で,小型の暗い核をもつ細胞と比較的明るい大型核を持つ紡錘細胞に識別できた.免疫染色で,前者はCD31とCD34が陽性,後者はデスミン陰性だがSMAが強く広範囲に陽性で,平滑筋への分化を示しており,MIB1 indexが10%以上であるため,胆嚢平滑筋肉腫と診断した.術後24カ月の現在,無再発生存中である.胆嚢平滑筋肉腫は稀な疾患であり,無症状で健診により発見された症例の報告はない.若干の文献的考察と本邦報告34例の集計を加え報告する.
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  • 成本 壮一, 谷澤 豊, 坂東 悦郎, 川村 泰一, 寺島 雅典
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2960-2964
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,女性.心窩部通を主訴に近医受診し,腹部超音波で腹腔内の嚢胞性腫瘤を指摘された.CTおよびMRI検査では膵周囲の多房性嚢胞性腫瘤として認められた.腹膜偽粘液腫などの悪性疾患と良性嚢胞性疾患との鑑別が困難であったため,診断目的に腫瘤切除術を施行した.腫瘤は膵被膜に覆われ,膵に連続していたが,膵実質とは剥離可能で,腫瘤切除術のみを施行した.組織では内皮に裏打ちされ拡張した脈管が集簇しており,間質には平滑筋線維とリンパ球を認めた.内皮細胞はCD31,D2-40陽性であった.以上より膵リンパ管腫と診断された.膵リンパ管腫は,一般的には膵嚢胞性疾患との鑑別が問題になるが,本例では,腫瘤が膵外性に発育していたため,腹膜偽粘液腫との鑑別が困難であった.術後28カ月現在無再発で経過している.貴重な症例と考え若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 田村 達郎, 西原 承浩, 神藤 理, 水山 陽子, 中河 宏治, 大野 良興
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2965-2969
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は29歳,女性.胸部痛を主訴に来院.腹部CTにて膵尾部に23mm大の嚢胞性病変を指摘された.MRIではT1強調像で低吸収域,T2強調像,拡散強調画像で高吸収域病変を認め,膵悪性疾患を否定できないため膵尾部切除,脾合併切除を行った.切除標本は辺縁に充実性部分を有する単胞性嚢胞であり,病理検査にて膵内副脾に発生したepidermoid cystと診断された.
    副脾は比較的多くみられるが,膵内副脾に嚢胞が発生することは稀である.今回われわれは,膵内副脾に発生したepidermoid cystの1例を経験したので報告する.
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  • 土屋 伸広, 福島 忠男, 杉田 光隆, 舛井 秀宣, 茂垣 雅俊, 長堀 薫
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2970-2973
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は36歳,女性.既往歴に慢性特発性大腸偽性腸閉塞症(CICP)あり.平成21年3月某日より排便・排ガスが停止.2日後深夜に突然の下腹部痛が出現したため救急外来受診しイレウスの診断で入院となった.入院後保存的治療で軽快せず,大腸内視鏡でS状結腸部までの減圧を行った.一時症状は改善したものの,入院5日目から右側腹部痛,38℃台の発熱が出現した.腹部造影CT施行したところ,腹部正中に腫大した脾臓(18×6cm)があり,脾茎捻転と診断し開腹術を行った.術中所見では脾臓は20×13cm大に腫大しており脾門部にて反時計方向に3回捻転していたため,捻転を解除した後,脾摘術を施行した.これまでに遊走脾による脾捻転としてはその誘因となった事象について言及されたものは数例あり,その多くは外因的事象による.自験例は遊走脾からCICPにより腸管ガスが大量に増加したため,左上腹部に停滞し脾臓が移動,捻転をきたした内因的事象による可能性が示唆された.
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  • 松田 啓, 河野 哲夫, 田中 暢之
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2974-2979
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は26歳,男性.既往歴,家族歴に特記事項なし.腹痛のため近医に入院し腹腔内腫瘤の診断で腹腔鏡検査を受けた.胃大弯側に白色腫瘤を指摘されたが,切開生検でも確定診断は得られなかった.退院後,当院での精査,治療を希望し受診した.腫瘤は,CTで12×3cmの大きさで不均一な造影効果を示し,MRIではT1強調画像で筋より軽度低信号,T2強調画像で低信号を呈した.FDG-PET/CTでは不均一な軽度の集積を認めたが周囲に存在した小結節には集積しなかった.以上より線維成分に富んだ分裂能の低い腫瘍が疑われ,デスモイド腫瘍を第一に考え手術を施行した.腫瘍は大網に限局して存在していたため大網切除術により完全切除された.病理組織検査でデスモイド腫瘍と診断された.既往歴,家族歴に特記事項なく,大網に限局して発生したデスモイド腫瘍は稀であり,文献的考察を加えて報告する.
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  • 岸本 一郎, 河本 健, 竹本 安宏, 木庭 雄至, 大村 孝志, 佐藤 光史, 桑尾 定仁, 原澤 有美
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2980-2985
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,女性.2009年7月5日急性腹症にて当院救急外来受診.胃潰瘍穿孔,汎発性腹膜炎の診断にて緊急手術施行.開腹所見で胃前庭部小彎側の胃穿孔を認め,広範胃切除術を実施.また大網,小網,結腸間膜に多発する腫瘍を認めた.一部は横行結腸に浸潤しており,根治切除は不可能と判断し,大網の腫瘍を可及的に切除した.病理組織診断の結果は大網原発漿液性乳頭状腺癌であった.胃潰瘍穿孔部分の組織所見では漿膜面から潰瘍底に向かい腫瘍細胞の進展を認め,漿液性乳頭状腺癌の胃壁浸潤による胃穿孔と診断された.大網原発漿液性乳頭状腺癌は本邦に於いて90例弱の症例が報告されているが,消化管穿孔による腹膜炎を初発症状とする報告は初めてである.
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  • 武田 真, 砂山 健一, 唐國 公男, 小里 俊幸
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2986-2991
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,女性.下腹部痛を主訴に入院.腹部造影CT検査で回腸末端から上行結腸の壁肥厚と回盲部腸間膜に造影効果を伴う腫瘤性病変を認め,大腸内視鏡検査で上行結腸粘膜に浮腫を認めた.腸間膜腫瘍の疑いで,確定診断と治療を目的に開腹手術を行った.回腸腸間膜に超手拳大の腫瘍を認め,右半結腸切除術を施行.病理組織検査でanaplastic lymphoma kinase(ALK)陰性anaplastic large cell lymphoma(ALCL)と診断された.術後早期に両側胸水,腹膜播種,腹壁転移が出現し化学療法を施行したが,術後192日目に死亡した.腸間膜腫瘍の術前診断は困難なことが多く,外科的切除後に診断に至る例が多い.腸間膜悪性リンパ腫では外科的切除,診断後に化学療法を行う治療が中心とされるが,ALK陰性ALCLは化学療法の効果が乏しく極めて予後不良である.大量化学療法と造血幹細胞移植による長期生存例が散見され,今後の治療方法の確立が必要と考えられた.
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  • 田崎 健太郎, 大島 郁也, 岡崎 靖史
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2992-2996
    公開日: 2011/05/25
    ジャーナル フリー
    症例は79歳,男性.胃癌に対して腹腔鏡下胃全摘術施行.すべて12mmサイズを用いた5ポートとし,小開腹創は上腹部に6cmとし臓器摘出および消化管再健を行った.小開腹創および臍下部ポートサイトは腹膜筋膜縫合およびskin staplerで閉創し,それ以外のポートサイトは筋膜前鞘縫合およびskin staplerで閉創した.第7病日にイレウス発症したが,CTにて紋扼性を示唆する所見を認めなかったことよりイレウス管挿入して保存的加療を行い軽快退院した.退院後臍下創からの浸出液流出および創周囲の疼痛を認めた.CT上,臍下ポートサイトの皮下まで小腸の脱出を認めた.また瘻孔造影では小腸が造影され,その口側肛門側ともに造影された.小腸瘻を伴うポートサイトRichter型ヘルニアの診断にて,初回手術後第47病日に開腹術施行した.臍下ポート刺入部創直下で嵌入した小腸を認め,小腸瘻のため小腸部分切除を行った.
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  • 小松 英明, 長嵜 寿矢, 柴田 良仁, 山口 広之
    71 巻 (2010) 11 号 p. 2997-3001
    公開日: 2011/05/25
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    症例は40歳,女性.左下腹部痛,嘔吐あり当院受診.腹部CTにて子宮の右側圧排,骨盤内の小腸ループを認め左子宮広間膜裂孔ヘルニアに伴うイレウスの診断となった.イレウス管による腸管減圧も十分で全身状態もおちついており腹腔鏡下に手術施行.左子宮広間膜に生じた3×3cm大の裂孔に約10cmの小腸が陥入していた.陥入小腸の血流は良好で切除は必要としなかった.陥入小腸を還納し,裂孔を吸収糸にて縫合閉鎖した.術後経過良好で術後8日目退院となった.診断には本疾患の認識とともに特徴的な画像所見を見逃さないことが大切である.また本症のような腹部内ヘルニア症例には腹腔鏡手術は有用と考えられる.
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  • 三浦 孝之, 荒木 孝明, 元井 冬彦, 田邊 淳, 蝦名 宣男, 海野 倫明
    71 巻 (2010) 11 号 p. 3002-3006
    公開日: 2011/05/25
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    症例は58歳,男性.平成20年夏頃より立位にて膨隆する左鼠径ヘルニアを認めていた.平成21年8月下旬,鼠径部の膨瘤が起床時より増大し,数十分ほどで軽快したものの腹痛が持続するため当院受診,経過観察のため入院となった.翌日の腹部レントゲン写真にて小腸に鏡面像を認めたため,イレウス管による減圧を開始し腹部症状,炎症所見は改善したが小腸の拡張所見は変わらなかった.開腹歴もあり癒着性イレウスも否定できず第7病日に手術を施行した.開腹所見では左内鼠径輪より内翻したヘルニア嚢が小腸間膜と炎症性に癒着しバンドを形成して小腸が嵌入,絞扼されていた.絞扼を解除すると回腸の循環障害はなく蠕動も良好であり,腸管は切除せずヘルニア嚢を切除,クーゲルパッチを鼠径部腹膜前腔に留置して手術を終了した.経過は良好で術後13病日で退院となった.本邦での報告例はなく極めて稀な症例であると考え報告する.
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