日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
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71 巻 , 5 号
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綜説
  • 川瀬 和美
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1121-1125
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    医師不足が問題とされる中,医学部に入学する女子学生および国家試験に合格する女性医師の割合は年々増加している.外科に占める女性の割合も増加し,性差医療の観点から女性外科医師のニーズも高まっているが,女性医師が働くにあたっての障壁は多々ある.女性医師の支援制度が現在数多くの大学病院において施行されている.これらの支援は近年の国の支援事業に基づき施行されたものが多い.本稿では大学病院における女性医師支援策の実態と,一例として東京慈恵会医科大学で設置された育児・介護支援ワーキンググループの活動内容を紹介する.今後も各大学病院において施設・制度の充実だけでなく,社会環境・考え方の改革も視野に置き女性医師が実践力として働き続けられるよう改善を進める必要があると思われる.
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原著
  • 梅邑 晃, 郷右近 祐司, 遠藤 義洋, 鈴木 雄, 梅邑 明子, 北村 道彦
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1126-1131
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    進行大腸癌に対して,緩和手術として人工肛門造設術が施行されるが,適応や成績,QOLへの寄与に関する報告はまれである.1999年から2007年までに人工肛門造設術を施行した切除不能進行大腸癌26例を対象に,患者背景因子,経口摂取期間,生存期間,予後因子(年齢,性別,BMI,PS,貧血,低栄養,腫瘍マーカー,腹膜播種,術後化学療法の有無)について検討した.平均年齢は72.9歳,男女比は19:7,切除不能因子はT因子が20例と最多であった.平均経口摂取開始日は4.9病日,50%経口摂取可能期間は160日,退院率は81%,術後在院のままでの死亡率は19%,50%生存期間は197日,最終入院時の平均入院期間は31.2日であった.術前PS低下と低栄養が有意な予後規定因子で,術後化学療法可能例は生存期間が長かった.切除不能進行大腸癌に対する人工肛門造設術は経口摂取と在宅療養の点でQOL向上に寄与していた.PS低下や低栄養を認める症例は適応を慎重に選ぶ必要がある.
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症例
  • 濱口 冴香, 長谷川 聡, 千島 隆司, 山中 正二, 市川 靖史, 遠藤 格
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1132-1136
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は52歳,女性.10年以上前から左乳房腫瘤を自覚していた.2カ月前から腫瘤が急速に増大し,歩行不可能となったため救急搬送された.診察所見では,左乳房から腹部にかけて下垂する巨大腫瘤を認めた.腫瘍表面の皮膚は菲薄化し,一部が壊死,自潰して多量の血液を混じた浸出液を分泌していた.血液所見では,血小板増加を伴う著明な炎症所見,貧血,低栄養を認めたため緊急入院した.CT所見では,胸壁への直接浸潤は認めず切除可能と判断した.出血および感染コントロールを目的に,腫瘍切除術と全層植皮を施行した,腫瘍は最大径50cm,重量12.7kg,内部は充実性で広範な壊死を伴っていた.組織所見では,魚骨様配列をとる紡錘型細胞の増殖を認め,50%以上の細胞がKi67染色陽性であったため悪性葉状腫瘍と診断した.本症例は本邦最大径の巨大乳腺葉状腫瘍の切除例であった.今後,慎重に経過観察を行う方針である.
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  • 高田 晃宏, 西 敏夫, 吉田 哲也, 向坂 英樹, 五福 淳二, 中野 博史
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1137-1143
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は50歳,女性.2007年5月ごろより左乳頭異常分泌を自覚し,2008年5月近医を受診した.MRI,細胞診,針生検などするも確定診断つかず,経過観察されていたが,当院での精査を希望し同年7月末に当科を受診した.マンモグラフィにて左乳頭から乳管洞にかけて,多形性石灰化を集簇して認めた.MRIでは乳頭内に索状高信号を認めた.また乳腺超音波検査にて右乳房に不整形の低エコー域があり,針生検にてDCISと診断した.右の病変に対して乳房温存手術+センチネルリンパ節生検,左は乳腺腺葉区分切除術を施行した.病理組織診断では,両側ともDCISであり,左側は乳頭部乳管に限局していた.乳頭部に発生した乳管癌はきわめてまれであるので,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 本多 正幸, 金丸 仁, 渡辺 貴洋, 前間 篤, 横山 日出太郎, 甲田 賢治, 五十嵐 達也
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1144-1148
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    74歳女性,両側性乳腺アポクリン癌の症例を経験した.右C領域に1.8cmの腫瘤を認め,穿刺吸引細胞診にて悪性であったため,右乳房円状部分切除術+センチネルリンパ節生検を施行した.病理所見は非浸潤性アポクリン癌で,リンパ節転移なし,ER(-)PgR(-),HER2:3+であった.右乳癌手術1年後の超音波検査にて左CA領域に低エコー腫瘤影を認め,針生検にてアポクリン癌と推定した.MRIにて乳管内進展像をみとめ,左単純乳房切除術+センチネルリンパ節生検を施行した.病理結果はアポクリン癌,リンパ節転移なし,ER(-)PgR(-),HER2:1+であった.術後9カ月経過するが再発は認めていない.乳腺アポクリン癌は比較的まれな疾患であるが,われわれの調べる限り両側性の報告は本症例が2例目であり,きわめて稀少なものと思われた.
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  • 内田 紗弥香, 茂原 淳, 高橋 徹, 内海 英貴, 野島 美久, 竹吉 泉
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1149-1153
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    先天性第X因子欠乏症に合併した腹部大動脈瘤に対して,凝固因子製剤の投与下で人工血管置換術を施行したので報告する.症例は84歳男性.平成7年4月に前立腺癌の疑いで前立腺針生検を予定されていたが,術前検査で凝固異常を認め,先天性第X因子欠乏症と診断された.平成19年1月,CTで瘤径60mmの腹部大動脈瘤を発見された.術前に複合型凝固因子製剤PPSB®-HTによる凝固因子の試験投与を行い,周術期の至適投与量を決定した.手術はPPSB®-HT投与下に人工血管置換術を施行した.第4病日までPPSB®-HTを補充し投与を終了したが,その後も異常出血はなかった.術前に凝固因子製剤を用いた試験投与を行い,周術期の至適投与量を決定することで,ヘパリン投与を必要とする心臓血管外科手術においても,周術期に異常出血等の合併なく手術を施行することができた.
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  • 境 雄大, 木村 大輔, 対馬 敬夫, 福田 幾夫, 畑中 亮, 山田 芳嗣, 鎌田 義正
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1154-1158
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    患者は78歳,男性.3~4年前から左前胸部腫瘤を自覚していたが,緩徐な増大と圧痛を認めたため,精査目的に当科を受診した.左前胸壁に約5cmの腫瘤を認め,可動性は不良であった.超音波検査では周囲との境界不明瞭な低エコー域の腫瘤であった.CTでは大胸筋表面に造影効果を示す扁平な腫瘤を認めた.PET-CTでは前胸壁腫瘤にSUVmax 2.4の集積を認めたが,その他の異常集積はなかった.穿刺吸引細胞診では確定診断が得られなかった.全身麻酔下に手術を行った.腫瘍は大胸筋内に存在し,腫瘍の切除断端を維持し,大胸筋の全層切除を行った.病理組織診断は脱分化型脂肪肉腫で,切除断端は陰性であった.術後に放射線治療を行った.術後5カ月を経過したが,無再発生存中である.胸壁発生の脂肪肉腫はまれである.脱分化型脂肪肉腫は予後不良とされる.自験例では完全切除後に放射線治療を行い,再発を認めていないが,今後も慎重な経過観察が必要である.
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  • 家里 明日美, 藏井 誠, 境澤 隆夫, 椎名 隆之, 近藤 竜一, 吉田 和夫, 佐野 健二
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1159-1164
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は79歳,女性.喫煙歴およびアスベスト曝露歴はない.
    2008年1月より労作時呼吸困難が出現し,胸部単純X線にて右上肺野に腫瘤影を指摘された.胸部CTおよびMRIでは,胸壁に広範に接する8cm大の腫瘤と右胸水貯留を認めた.腫瘤のCTガイド下生検にて悪性胸膜中皮腫と診断された.手術は胸腔鏡補助下で施行した.腫瘤は手拳大,表面平滑で,壁側胸膜と線維性に癒着していた.また右肺上葉臓側胸膜から腫瘤へ連続する索状物を認めた.腫瘤癒着部の壁側胸膜を含めた腫瘍摘出術を施行した.病理組織学的には腫瘍は核小体明瞭な核と好酸性胞体を持つ異型細胞の増殖を認め,免疫染色ではCK5/6,calretinin,D2-40陽性で上皮型悪性胸膜中皮腫と診断された.合併切除した壁側胸膜に腫瘍浸潤を認めず,臓側胸膜発生の限局性悪性胸膜中皮腫と診断した.限局性胸壁腫瘤を見た時には,本疾患を念頭に置くべきと考える.
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  • 末田 聖倫, 安井 昌義, 池永 雅一, 宮崎 道彦, 三嶋 秀行, 辻仲 利政
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1165-1169
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,男性.右上葉腫瘤とNSEおよびCEA高値にて気管支鏡生検を行い,肺小細胞癌(T4N3M1)と診断した.cisplatin+etoposideを4コース施行後の効果判定はPDで,5コース目に胸部放射線照射を併用した.5コース終了後の効果判定はPDであり,以後,2nd lineの化学療法を予定していたが,経過中に腹痛を訴え,当科紹介された.腹部に筋性防御と反跳痛を認め,血液検査にて炎症反応は高値であった.腹部CT検査にて小腸の壁肥厚と周囲のfree airを認めたため,消化管穿孔と診断し,緊急手術を施行した.手術所見は,腹腔内に膿性腹水を認め,回盲部から約35cm口側に小腸腫瘤および同部の穿孔を認め,小腸部分切除を施行した.切除標本は,粘膜面に潰瘍を認め,漿膜面に腫瘤とその中心に穿孔を認めた.組織学的には粘膜面に深い潰瘍を形成しており,裸核状の比較的小型の異型細胞が瀰慢性に増殖していた.免疫染色では,synaptophysin(+),CD56(+)であり,肺癌の小腸転移と診断した.術後経過は問題なく転科とした.
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  • 森嶋 計, 細谷 好則, 倉科 憲太郎, 佐田 尚宏, 田中 亨, 安田 是和
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1170-1174
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,男性.主訴は心窩部痛.内視鏡検査では前庭部に全周性2型病変を認めた.腹部造影CTにて胃壁の肥厚,周囲リンパ節の腫大,門脈腫瘍塞栓を認めたが,肝転移はなかった.腫瘍マーカーはCEA 17.9ng/ml,CA19-9 130U/mlと上昇を認めた.幽門側胃切除を施行し,術中所見では右胃大網静脈から上腸間膜静脈,門脈内に腫瘍塞栓を認めたため切除・再建した.組織学的には胃腫瘍は中分化管状腺癌で腫瘍塞栓も同様の所見であり,リンパ節転移も認めた.術後S-1による化学療法を施行し,術後5年7カ月の現在無再発生存中である.門脈塞栓を伴う胃癌は予後不良とされるものの,他の遠隔転移がない場合には切除による長期生存が期待できる.
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  • 岩本 博光, 川井 学, 谷 眞至, 廣野 誠子, 宮澤 基樹, 中村 靖司, 山上 裕機
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1175-1179
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    今回われわれは門脈浸潤合併膵管癌に対し幽門輪温存膵頭十二指腸切除術,門脈合併切除術を施行後,術後補助化学療法を施行し,単発性胃転移を認めた症例を経験した.浸潤性膵管癌の再発は肝転移,リンパ節転移,局所再発が多く,胃転移は極めて稀である.その治療に関する報告は手術例が1例しかなく,その予後に関する報告はない.症例は55歳男性,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を受けた3年後に胃転移を認めた.造影CT検査で胃壁に指摘された単発性腫瘤性病変は上部消化管内視鏡検査では粘膜下腫瘍として認めた.そして18F-フッ化デオキシグルコース陽電子排出X線断層撮影検査(FDG-PET)では,同部位に優位な集積を認めた.そこで同病変に対し,胃部分切除術を施行した.さらに術後ゲムシタビンによる補助化学療法を施行した.現在初回手術後5年3カ月生存している.文献的考察を加え,この症例について報告する.
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  • 関野 康, 佐近 雅宏, 沖田 浩一, 関 仁誌, 宗像 康博
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1180-1184
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    われわれが経験した十二指腸球部後壁のgastrointestinal stromal tumor(以下GIST)に対する十二指腸部分切除術の1例を報告する.症例は53歳,男性.黒色便の精査で施行された上部消化管内視鏡検査で十二指腸球部に20mm大の粘膜下腫瘍を認めた.超音波内視鏡検査および生検よりGISTが疑われた.腹部CT検査で原発巣は境界明瞭であり,浸潤および転移所見を認めなかった.以上より転移のない十二指腸GISTと診断し腹腔鏡下十二指腸部分切除術を施行した.腫瘍は球部の後壁に位置した.腹腔鏡下に全層を部分切除し,切除部を鏡視下に縫合閉鎖した.手術時間は229分,出血量はカウント外少量であった.術後合併症なく第9病日に退院となった.病理組織学的検査所見ではlow risk GISTと診断された.自動縫合器の使用できない後壁の腫瘍でも腹腔鏡下に切除可能であった.十二指腸GISTに対する腹腔鏡下十二指腸部分切除術は,腫瘍の大きさおよび局在によっては考慮すべき術式と考えられた.
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  • 古北 由仁, 谷田 信行, 大西 一久, 藤島 則明, 浜口 伸正, 開發 展之
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1185-1189
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は87歳,女性.嘔吐と腹痛を主訴に,前医で保存的治療を行うも改善なく,当院へ紹介された.諸検査の結果,腸管内異物もしくは小腸腫瘍によるイレウスと診断し,緊急開腹手術を施行した.腸管の癒着や壊死は認めず,腸石嵌頓による小腸イレウスであった.上部空腸の腸間膜側に憩室を2つ認め,一方は虚脱していたが,もう一方は同様の腸石を有していた.胆道系に異常はなく,腸石は空腸憩室内から落下したものと思われた.腸石はいずれも摘出し,空腸憩室は侵襲性を考え非切除とした.術後に施行した上部消化管造影検査で,十二指腸水平脚にも憩室を2つ認め,イレウスをきたした腸石は十二指腸憩室から落下した可能性も考えられた.十二指腸・空腸憩室に伴う落下腸石による腸閉塞は非常に稀であるが,イレウスの原因として鑑別に挙げる必要性があり,個々の症例に応じた治療法を選択する必要があると思われた.
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  • 日高 敦弘, 守永 暁生, 黒田 久志, 田中 将也, 爲廣 一仁, 島 弘志
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1190-1194
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    症例1は46歳,男性で下腹部痛を主訴に当院救急外来へ搬送された.来院時右下腹に圧痛と腹部全体の筋性防御を認めた.腹部造影CTでMeckel憩室穿孔による汎発性腹膜炎と診断され緊急手術を施行した.手術は憩室を含む回腸部分切除および小腸端々吻合を行った.症例2は50歳,男性で腹痛・嘔気を主訴に当院消化器内科を受診し,細菌性腸炎の診断で内服処方され帰宅したが,腹痛が増悪し再診された.再来時右下腹部に圧痛と反跳痛を認めた.腹部造影CTでMeckel憩室炎と診断され緊急手術を施行した.手術は腹腔鏡下で腫大したMeckel憩室を体外へ誘導し,憩室基部を全層に楔状切除し層々に吻合した.憩室基部に果物の種子と思われる異物の嵌頓とその末梢側の粘膜壊死を認めた.近年の画像診断の進歩に伴い,以前は描出困難であった病変の描出が可能となってきている.急性腹症の診断の際,Meckel憩室も鑑別にあげた腹部CTの慎重な読影が肝要であると考えられた.
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  • 高嶋 伸宏, 三井 敬盛, 西田 勉, 杉浦 弘典, 佐々木 信義
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1195-1199
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,男性.便秘を主訴に当院を受診した.下部消化管内視鏡検査で回腸終末部に粘膜下腫瘍様病変を認めた.生検の結果カルチノイドと診断し,腹腔鏡補助下回盲部切除術を施行した.切除標本では腫瘍径は7mm,病理組織検査では深達度は粘膜下層深部,回結腸動脈に沿うリンパ節に1個の転移を認めた.
    回腸カルチノイドは本邦では稀な疾患であるが,その転移率は高い.回腸カルチノイドでは腫瘍径に関わらずリンパ節転移の可能性を考え,リンパ節郭清を伴う腸管切除が必要であると考えている.腫瘍径が10mm以下の回腸カルチノイドに関して文献的考察を加え報告する.
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  • 勝部 乙大, 鯉沼 広治, 宮倉 安幸, 堀江 久永, 佐田 尚宏, 安田 是和
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1200-1205
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は56歳,女性.近医にて慢性腎不全による血液透析中,2009年8月発熱・咳嗽認め肺炎の診断にて同院に入院した.翌日より腹痛,血圧の低下を認め,腹部CT検査にて消化管穿孔が疑われ,精査加療目的に当科へ紹介となった.来院時ショック状態で,腹部全体に圧痛を認め,右下腹部に反跳痛・筋性防御を認めた.腹部CT検査にてfree airを認め,大腸の壁肥厚と拡張を認めたが,穿孔部位は特定できなかった.消化管穿孔の診断で緊急開腹手術を施行したところ,小腸から大腸にアミロイドの沈着を認めた.特に盲腸が著明に肥厚し拡張しており,同部に2カ所穿孔を認めた.回盲部切除後,単孔式回腸人工肛門を造設した.病理所見でも腸管壁にアミロイドの沈着を認め,これによる穿孔が示唆された.術後経過は良好であった.消化管アミロイドーシスによる大腸穿孔は稀とされているが,発症時には重篤化し致死率も高いため,早急な対応が必要である.
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  • 池田 直哉, 飯塚 育士, 市村 由佳子, 高垣 俊郎, 大河内 信弘
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1206-1210
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,男性.右下腹部痛,右大腿痛を主訴に来院した.右下腹部に腹膜刺激徴候を認め,採血検査で炎症所見上昇があり,急性虫垂炎を疑い腹部CTを施行し,腸腰筋膿瘍を伴った急性虫垂炎と診断された.後腹膜の腸腰筋膿瘍は比較的限局しており,腹腔鏡下虫垂切除術およびドレナージ術を施行した.虫垂は盲腸背側にあり,先端が後腹膜に穿破し膿瘍を形成していた.術後10日目のCTで遺残膿瘍はなく,術後25日目に退院した.本症例が鏡視下に治療を完遂できた要因は,膿瘍の限局性,有効な洗浄ドレナージ,そして,良好な抗生剤感受性と考えられた.本症例は,患者QOLを保ちつつ治療することができ,腹腔鏡手術の適応を広げていく上で興味ある症例と思われた.
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  • 石川 健, 堀田 欣一, 植松 大, 中村 二郎, 大井 悦弥
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1211-1215
    公開日: 2010/11/25
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    症例は55歳,女性.検診で便潜血反応陽性を指摘され当院を受診した.全大腸内視鏡検査で上行結腸憩室内に径12mmの緊満感を有する発赤調隆起性病変を認め,クリスタルバイオレット染色後の拡大観察でVN型pit patternを呈し,粘膜下層以深の癌の露出と判断した.超音波内視鏡で腫瘍本体は漿膜外の腹腔内に主座を有することが判明し,生検診断はGroup5(tub1)であった.腹骨盤部CTで虫垂癌の上行結腸浸潤と診断の上,右半結腸切除+D3郭清術を施行した.最終診断は,appendiceal carcinoma(V,pType5,45×23mm,pSI,ly1,v0,pN0,sH0,sP0,sM0,pStageII)であった.術後2年11カ月経過した現在,無再発生存中である.
    本症例は,虫垂癌が上行結腸憩室内に浸潤して,限局性に腫瘍が結腸内腔に露出し,特異的な内視鏡像を呈したと考えられた.
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  • 根上 直樹, 佐藤 雅彦, 渡部 英, 齋藤 徹也, 石戸 保典, 山田 正樹
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1216-1221
    公開日: 2010/11/25
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    症例は60歳,女性.下行結腸癌の診断で腹腔鏡下下行結腸部分切除術施行後,近医で経過観察されていた.大腸内視鏡検査の下剤を服用後,腹痛と嘔吐が出現し,当院救急外来を受診.腹部単純CTで機能的端々吻合部に直径約7cm大の便塊が描出され,糞便イレウスを呈していた.ガストログラフィンによる注腸造影で吻合部肛門側腸管での便塊の嵌頓を解除したのち,大腸内視鏡下で便塊を破砕すると,硬便が自然排便されて軽快した.憩室様になった機能的端々吻合部で形成された便塊が,吻合部肛門側腸管に嵌頓したため,糞便イレウスを呈したものと思われた.結腸─結腸間で機能的端々吻合を施行する際は,吻合部の極端な憩室様変化を避けるために,肛門側腸管径に対して,非生理的に大きな吻合径にならないよう留意しなければならないと反省させられた1例であった.
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  • 小出 史彦, 菅原 元, 森岡 淳, 佐々木 英二, 太平 周作, 久保田 仁
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1222-1226
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,男性.胆管癌に対し幽門温存膵頭十二指腸切除術術後1年6カ月,下腹部痛を訴え,気尿も認めたために,当科入院した.CT検査で,膀胱内に膵胃吻合部に留置した膵管ロストチューブの迷入,および注腸検査でS状結腸膀胱瘻を認め,経尿道的に膵管ロストチューブを除去した.しかし,その後気尿が再燃したために,開腹S状結腸膀胱瘻閉鎖術を施行した.本症例はS状結腸憩室症を合併しており,憩室を経由してロストチューブが膀胱に穿通したものと推測された.一般にロストチューブは自然脱落したあと経肛門的に排出されるが,本症例のように腸管外に迷入する可能性もあることを念頭に置き,経過観察すべきと思われた.
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  • 三宅 祐一朗, 吉田 陽一郎, 長谷川 順一, 根津 理一郎, 玉川 浩司, 吉川 澄
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1227-1231
    公開日: 2010/11/25
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    症例は58歳,男性.下血を主訴に近医受診しS状結腸癌の診断にて開腹術施行するも広範な膀胱浸潤を認め根治術は困難と判断され試験開腹となった.その後,当院外科へ紹介となり泌尿器科による膀胱浸潤の評価では膀胱全摘が必要と診断された.術前化学療法としてmFOLFOX6を計6サイクル施行したところ,CT検査にて腫瘍径は33%の縮小が認められ,また膀胱鏡検査では粘膜面は正常化していた.S状結腸癌(SI:膀胱)の術前診断にてS状結腸切除術を施行し,膀胱筋層までを可及的に切除した.摘出標本の病理組織学的診断では膀胱壁に悪性細胞を認めず,tub2,pSS,pN0,cH0,cP0,cM0,StageIIであった.膀胱浸潤を認める原発巣に対する術前化学療法により膀胱温存術が可能となり患者のQOLの低下を防止できた.
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  • 矢内 勢司, 中川 宏之, 權 雅憲
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1232-1235
    公開日: 2010/11/25
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    症例は,62歳,男性.後頭部打撲および擦過創の診断で入院.翌日,義歯を誤嚥したため,腹部X線で確認したところ義歯に鋭的な金属部分が認められない点から腸管粘膜損傷の可能性は低いと考えられたため経過観察とした.義歯の自然排泄を期待したが,第7病日より嘔気,嘔吐出現し,第8病日,腹部X線,腹部CT施行にて義歯による腸閉塞と診断し,緊急開腹術を施行した.開腹所見にて,肝彎曲部の上行結腸に腫瘤が触知され,その口側に通過不能となった義歯を触知したため,大腸癌の根治術とともに腸閉塞解除術を施行した.
    切除標本では,大腸癌は深達度がSEで,リンパ節転移はなかったが,軽度のリンパ管侵襲を認めた.今回,われわれは,義歯による腸閉塞の診断で開腹し,大腸癌を発見したまれな1例を経験したので,報告する.
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  • 所 忠男, 奥野 清隆, 肥田 仁一, 石丸 英三郎, 上田 和毅, 吉藤 竹仁
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1236-1240
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は70歳代の男性で,体重減少を主訴に近医を受診した.貧血と便潜血反応陽性のため,大腸内視鏡検査が施行された.上部直腸に2型の腫瘍が認められ,生検結果はGroupV,中分化腺癌であった.また腹部エコー検査では左腎腫瘍が認められた.理学的に体表リンパ節は触知せず,腹部~骨盤CT検査では腫瘍のある左腎と直腸の所属リンパ節が腫大していた.2008年10月,腸閉塞症状を伴う直腸癌の診断で手術と腎生検を施行した.切除標本および病理組織学的所見から直腸腫瘍は悪性リンパ腫と中分化腺癌との衝突腫瘍で,左腎腫瘍は直腸と同様の所見を呈する悪性リンパ腫であった.今回,直腸の悪性リンパ腫と中分化腺癌のまれな衝突腫瘍を経験したので文献的考察を加えて報告する.
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  • 國土 貴嗣, 志田 大, 佐藤 公太, 稲田 健太郎, 井上 暁, 荒井 邦佳
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1241-1246
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,女性.主訴は手関節痛,呼吸困難感.Gottron徴候,ヘリオトロープ疹,爪囲紅斑を認め,筋力低下,筋原性酵素の高値により皮膚筋炎と診断した.また高度の拘束性障害を伴う間質性肺炎を認めた.同時に行った悪性腫瘍の検索で直腸S状部癌が発見された.まず副腎皮質ステロイド薬投与にて皮膚筋炎と,それに合併した間質性肺炎に対する治療を行い,耐術可能と判断した段階で,直腸低位前方切除術(D3)・一時的回腸人工肛門造設術を施行した.病理組織学的検査の結果は中分化腺癌SS,N1,H0,P0,M0;StageIIIaであった.術後CPKは正常化し,皮膚筋炎・間質性肺炎ともに速やかに軽快した.術後7カ月目異時性肝転移を切除する際に人工肛門を閉鎖した.皮膚筋炎合併悪性腫瘍の場合,皮膚筋炎がparaneoplastic eventである可能性を十分に考慮し,ステロイド高容量使用例でも全身状態が許せば積極的に手術することが重要と考えられた.
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  • 長谷川 毅, 妙中 直之, 日月 亜紀子, 阿古 英次, 金原 功, 西村 重彦, 中塚 伸一
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1247-1251
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は50歳代,男性.昭和61年に潰瘍性大腸炎(全結腸型)を指摘されていたが放置していた.平成11年に下血にて大腸内視鏡検査を施行,S状結腸癌と診断され同年11月に潰瘍性大腸炎に合併したS状結腸癌として結腸亜全摘術,J型回腸嚢直腸吻合術を施行した(高分化型腺癌,mp,ly2,v1,n0,stageI).平成20年1月に腫瘍マーカーの上昇(CEA,CA19-9)を認めたため大腸内視鏡検査を施行,残存直腸に粘膜不整像を認め,生検にて低分化腺癌と診断された.平成20年3月腹会陰式直腸切断術を施行した.病理組織検査にて直腸内分泌細胞癌と診断された.術後経過は良好で術後第25病日よりmFOLFOX6を開始し,術後10カ月現在,再発の所見は認められていない.直腸内分泌細胞癌はまれな疾患で,1984年以降で自験例が本邦60例目であり,潰瘍性大腸炎の残存直腸に発生したのは本邦初である.
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  • 入江 朋子, 西田 修, 藤田 葉子
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1252-1257
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,女性.2006年11月,検診腹部USで肝S5に5mm大の低エコー領域を指摘され血管腫を疑い,経過観察とされていた.2007年7月のUSで20×40mmと増大した.造影USでは早期相で腫瘤辺縁に造影効果がある約2cmの腫瘤が描出され,後期相で染影は持続した.腹部造影CTでは早期相では類円形領域辺縁に濃染を認め,後期相では造影はやや薄まった.FDG-PET検査ではS5腫瘤に一致して集積が認められ,SUV(standardized uptake value)値は4.8であった.術後経皮的穿刺針生検を行ったが,染色状態不良でfactorVIII陽性細胞とまでは言い難く,肝類上皮血管内皮腫(以下EHE)の確定診断には至らなかった.
    EHEだけでなく転移性肝癌や胆管細胞癌の可能性も考え,同年11月に肝S5亜区域切除術を施行した.病理組織学的にはFacterVIII・vimentinなど免疫染色が陽性でありEHEと診断した.
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  • 江本 慎, 神山 俊哉, 中西 一彰, 横尾 英樹, 松下 通明, 藤堂 省
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1258-1263
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    胆管内腫瘍栓を伴う肝細胞癌(hepatocellular carcinoma:HCC)は,その頻度が3.4%と稀な疾患である.今回閉塞性黄疸にて発症した胆管内腫瘍栓を伴うHCCの2例を経験した.症例1は75歳,男性.HCV陽性.AFPの上昇を認め,精査したところ,S7にHCCを認めた.閉塞性黄疸に対しendoscopic nasal biliary drainage(ENBD)を施行し,減黄した.残肝容積の確保のため,percuteneous transhepatic portal embolization(PTPE)を施行したのちに肝右葉切除術・胆管内腫瘍栓摘出術を行った.症例2は71歳,男性.近医にて黄疸を指摘され,受診した.閉塞性黄疸を伴うS7のHCCと診断された.ENBDにて減黄し,PTPEにて残肝容積の確保を行った後,肝右葉切除術・胆管内腫瘍栓摘出術を行った.いずれの症例もENBDによる減黄,PTPEによる残肝容積の確保を行い,安全に切除することができた.腫瘍栓は胆管断端より摘出しえた.
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  • 迫川 賢士, 大枝 守, 大田垣 純, 高永甲 文男
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1264-1268
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,男性.2006年6月に3型進行胃癌に対し幽門側胃切除術,D2リンパ節郭清を施行した.術後病理学的診断は,tub1,pT3,INFβ,ly2,v1,pN1,f-Stage IIIAで根治度Bの手術であった.術後補助療法としてUFT内服を2007年1月まで行いその後経過観察していたが,2007年7月のCT検査にて肝S6に2cm大の転移巣が出現した.本人の希望によりRFAを施行する方針となり,2007年9月に1回目のRFAを施行した.以後,2009年12月までに肝S4,S1,S8にそれぞれ異時性に3cm以下の転移巣が出現し,焼灼病変の再燃も含め,初回のRFAからおよそ2年3カ月の間に計6回のRFAを施行した.この間,他の遠隔転移再発は認めなかった.
    自験例はshort intervalに異時性多発肝転移を認めたが,1度の転移個数は少なくかつすべて3cm以下であったことから,RFAのみで一定の治療効果が得られたものと思われる.適応によっては胃癌肝転移の局所療法として,RFAは有効な治療法の一つとなり得る可能性がある.
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  • 金子 奉暁, 中崎 晴弘, 種村 宏之, 竹山 照明, 横井 正秀, 中崎 久雄
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1269-1275
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    胆石が十二指腸球部に嵌頓し起こる胃の排泄障害はBouveret症候群とよばれ,まれな疾患である.われわれは,Bouveret症候群の1例を経験したので報告する.症例は89歳,女性.嘔吐を主訴に来院した.腹部CT検査でpneumobiliaと十二指腸球部に存在する結石を認め,上部消化管内視鏡で,同部に嵌頓した結石を認めた.Bouveret症候群の診断で,手術を施行した.高齢で全身状態不良,胆嚢周囲の強固な癒着を認めたため,手術は胃前庭部切開による載石術のみを行った.術後経過は良好で,1カ月で退院した.6カ月後のCTおよび上部消化管内視鏡で瘻孔の閉鎖が確認された.当疾患の治療に関しては,瘻孔の処置の有無が問題になる.本邦報告例の検討では,処置しなかった瘻孔はいずれも1年以内に自然閉鎖しており,必ずしも瘻孔を閉鎖する必要はないと思われる.全身状態および局所の状態から,手術方法は決めるのが妥当と考える.
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  • 村田 幸生, 内山 哲之, 大石 英和, 小田 聡, 阿部 友哉, 伊勢 秀雄
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1276-1280
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は87歳,女性.アルツハイマー型認知症にて施設入所中で,糖尿病も治療中であった.腹痛・嘔吐にて当科紹介となった.右季肋部の圧痛のみで腹膜刺激症状はなく,炎症反応も軽度であった.CT撮影の結果,胆嚢内のガス像を認め急性気腫性胆嚢炎を疑った.しかし,年齢・基礎疾患・比較的症状が緩和であることを考慮して消炎後の手術方針とし,即日経皮経肝胆嚢ドレナージ(percutaneous trans-hepatic gall bladder drainage:以下PTGBD)を施行した.胆汁培養では起炎菌は同定されなかった.胆嚢には穿孔を認め胆嚢周囲膿瘍を伴っていたが,入院8日目に腹腔鏡下胆嚢摘出術が可能であった.粘膜全体が壊死脱落し,急性壊死性胆嚢炎の所見であった.術後経過は良好で術後7日目に退院となった.ガイドライン上,急性気腫性胆嚢炎は重症急性胆嚢炎で緊急手術の適応となっている.しかし,全身状態なども考慮して適応を決めれば,待機的な腹腔鏡下手術も可能であると考えられた.
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  • 松本 直基, 寺崎 正起, 岡本 好史, 鈴村 潔, 田中 顕一郎, 伊藤 貴明, 星 昭二
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1281-1286
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は41歳,女性.13年前に副甲状腺摘出術を受けている.繰り返す腎結石の経過観察中に,超音波検査にて偶然膵腫瘍を指摘され当科紹介.膵体部に11mmの腫瘍を認め,dynamic CTでは,造影早期よりenhanceされる単発性腫瘍であった.遠隔転移やリンパ節転移を疑う所見はなかった.随時血糖,ガストリン,グルカゴンは正常であり,非機能性膵内分泌腫瘍の診断で手術を施行した.術中超音波検査にて,腫瘍と主膵管は離れていたため,腫瘍核出術を施行した.病理学的には悪性所見を認めず,免疫染色ではインスリンのみ陽性であり,非機能性膵内分泌腫瘍と診断した.副甲状腺腫瘍も存在し,MEN-1型であることが確認された.非機能性膵内分泌腫瘍は圧迫症状を起こすような大きな腫瘍で見つかることが多く,自験例のように微小な段階で偶然発見される症例は稀であり,文献的考察を加え報告する.
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  • 信太 昭子, 柳原 正智, 芦澤 敏, 鈴木 敬二, 高橋 毅, 桑尾 定仁
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1287-1293
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    腹部外傷が原因と考えられる膵外病変のために悪性度診断に苦慮した非機能性膵内分泌腫瘍の1例について報告する.症例は42歳,女性.学童期に2度の腹部外傷歴がある.健診を機に膵尾部の石灰化腫瘤を指摘された.精査の結果,尾側主膵管の途絶,腹腔内結節性病変,胃浸潤を疑う所見,脾静脈閉塞などの所見が得られたため,腹膜播種を伴う膵悪性腫瘍を疑って脾合併膵体尾部切除兼胃壁部分切除を行った.病理組織学的検査では,結節性病変は腫瘍からの散布病変であり,腫瘍は非機能性膵内分泌腫瘍で,膨張性発育を示し,核分裂像はみられず,胃浸潤やリンパ節転移もないことから,WHO分類の境界病変群・高分化型腫瘍に該当すると診断された.結節性病変が播種であれば内分泌細胞癌の診断となるが,本症例では外傷による膵外散布病変の可能性が高いと考えられた.
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  • 岡屋 智久, 山森 秀夫, 山本 和夫, 林 伸一, 鈴木 弘文, 菅野 勇
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1294-1298
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,男性.平成15年2月,膵頭部の膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の診断で幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.術中迅速病理診断で膵離断面に異型は認めなかった.永久標本での病理診断はIPMN非浸潤癌で,膵離断面は主膵管に異型はなかったが分枝膵管に中等度異型を認めた.平成20年4月,血清CEA,CA19-9値が初めて高値を呈し,同年6月に血清CA19-9値はさらに上昇した.同年7月腹部CTで膵空腸吻合部から膵体部に腫瘍を認めた.残膵癌と診断し同年8月,手術を施行,膵空腸吻合部から膵体部に周囲への浸潤を伴う腫瘍を認め胃全摘併施残膵全摘,横行結腸間膜部分切除術を施行した.術後病理診断はIPMNおよび浸潤癌であった.IPMNの膵離断線決定には離断面の術中迅速病理診断は重要であるが困難例もあり注意を要する.離断面のIPMN遺残症例では癌再発の危険があり長期の厳重な経過観察が肝要である.
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  • 諸橋 一, 豊木 嘉一, 諸橋 聡子, 脇屋 太一, 鳴海 俊治, 袴田 健一
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1299-1304
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は慢性膵炎と糖尿病を既往に持つ48歳男性.平成21年7月下旬に目眩と腹痛を主訴に近医を受診し,CTで大量の血性腹水の貯留と脾破裂の所見が認められたため,脾破裂による腹腔内出血と診断された.当科に入院後,緊急開腹手術が行われた.開腹時,腹腔内に多量の血性腹水と凝血塊が認められた.膵は肉眼的に慢性膵炎の状態であり,外傷の既往がなかったことからも慢性膵炎が急性増悪し脾臓への炎症の波及により生じた脾破裂と診断され,膵体尾部切除が施行された.病理組織学的にはBerlin blue染色において静脈の壁外にヘモジデリン沈着が認められたことから陳旧性の出血が示唆された.術後経過は良好で術後12日目に紹介医へ転院となった.脾破裂は外傷性と特発性(非外傷性)に大別され,後者は比較的まれである.今回われわれは脾摘術により救命しえた特発性脾破裂の症例を経験したので報告する.
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  • 村岡 孝幸, 原田 昌明, 浅野 博昭, 佃 和憲, 内藤 稔, 三好 新一郎
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1305-1308
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    腹腔内動脈性出血の緊急止血には大動脈閉鎖バルーン(以下IABO)が有効である.一方でIABOは非出血部を含めた広範囲の血流を遮断するため,安易に長時間の阻血を行うべきではない.今回われわれは開腹直前にIABOを利用することが有効であった症例を経験した.症例は72歳,女性.自転車乗車時に溝へ転落し,左側腹部を強打した.前医で肋骨骨折と脾破裂を指摘され,当院に紹介された.来院時に出血性ショック状態であり,FASTにてダグラス窩,モリソン窩,脾周囲に液体の貯留を認めた.救急処置室で右鼠径部からIABOを挿入し,大動脈血流の迅速な遮断が可能な状態でCTを施行した.脾損傷III型と診断し,開腹脾摘術を行った.皮膚切開後開腹直前にIABOにて大動脈血流を遮断した.一時止血を得て,良好な視野下に脾摘が可能であった.大動脈血流遮断時間は19分間で,術後合併症を認めなかった.開腹直前の大動脈遮断により疎血時間の短縮化が可能であった.
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  • 金治 新悟, 川崎 健太郎, 中村 毅, 中山 俊二, 藤田 敏忠, 富永 正寛, 大林 千穂
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1309-1313
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は57歳,女性.乳癌術後の経過観察中に脾腫瘍を指摘された.画像にて悪性腫瘍を否定し得なかったため,腹腔鏡下脾臓摘出術を行った.体位は右半側臥位で,左肋骨弓下に4本のポートを留置して行った.鏡視下に脾門部の処理を行った後,標本病理検索のため,6cmの小開腹創をおいて脾臓(100×90×45mm)を摘出した.腫瘤は35×40×45mm大,白色充実性で褐色結節を多数認めた.組織学的にはsclerosing angiomatoid nodular transformation(SANT)に相当すると診断された.
    SANTは2004年に報告された炎症性偽腫瘍に類似するが独立性のある新しい概念である.本疾患報告例は未だ少なく,腹腔鏡下に摘出した貴重な症例と考えられたので報告する.
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  • 小泉 大, 佐田 尚宏, 佐久間 康成, 清水 敦, 俵藤 正信, 安田 是和
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1314-1318
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,男性.便秘で近医を受診し,腹部超音波検査(US)で左上腹部腫瘍を指摘された.腹部外傷歴(-).腫瘍は左肋骨弓下8横指,直径20cmで,呼吸性に移動した.US,CT,MRIで左上腹部に左腎,膵,脾を周囲に圧排する20cmの中心壊死を伴う造影効果の乏しい腫瘍を認めた.血管造影で左副腎動脈,左下横隔膜動脈,脾動脈からの流入血管を認めた.MIBGシンチではcoldで,副腎ホルモン,腫瘍マーカーはすべて正常範囲内であった.神経原性腫瘍と診断し,手術施行した.腫瘍は周囲臓器への浸潤はなく,剥離可能だった.標本重量4,700g.術後経過良好で第11病日に退院.病理学的には,腫瘍成分は認めず,出血と様々に器質化した血腫であった.明らかな出血の誘因はなく,特発性副腎血腫と診断した.本疾患は稀な病態で,正確に術前診断することは難しいが,血腫の可能性を考慮することで手術を避けられる可能性がある.
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  • 長嵜 寿矢, 小松 英明, 劉 中誠, 柴田 良仁, 村岡 昌司, 山口 広之
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1319-1323
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    大網血管腫により絞扼性イレウスをきたした稀な症例を経験した.症例は17歳女性,急性腹症にて当院搬送.腹部造影CTで,原因不明5cm大の紡錘状構造物を認め,これに近接して小腸の絞扼性イレウスを認めた.Meckel憩室による絞扼性イレウスを疑い,緊急開腹手術を行った.大網内に縦径約5cm,紡錘状の腫瘤があり,これが索状物を介して回盲部から約110cm口側の回腸と連続していた.この索状物によって小腸が絞扼されており,大網内腫瘤を切除摘出して絞扼を解除した.摘出された腫瘤は,病理組織学的には静脈性血管腫の診断で,索状物内には血管構造を認めず,異所性胃粘膜等のMeckel憩室に特異的な所見は認められなかった.大網血管腫の本邦報告例は本症例を含めても17例と稀であり,文献的考察を加えて報告する.
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  • 尾曲 健司, 尾原 秀明, 才川 義朗, 小野 滋司, 松本 賢治, 北川 雄光
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1324-1327
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    58歳,男性.CT検査にて胃穹隆部に約5cm大の腫瘤を指摘された.上部消化管内視鏡上,胃粘膜下腫瘍の診断にて,2008年4月当院紹介となった.同年9月腹腔鏡下胃局所切除術を施行した.術後経過良好であったが,第7病日に背部痛と炎症反応の上昇を認めた.CT検査にて,脾静脈に血栓形成を認めたが,保存的加療にて症状軽快したため,第13病日に退院となった.第18病日に突然の上腹部痛を認め,緊急CT検査を施行したところ,上腸間膜静脈から肝内門脈に至る著明な血栓形成と小腸のうっ血性壊死が疑われたため,緊急手術を施行した.うっ血性壊死部を含めた約140cm長の空腸を切除し,門脈本幹の血栓摘除を試みたが,再開通は得られなかった.術後経過良好で第28病日に退院となった.手術前に採取した血中protein S活性値は低下しており,本症例はprotein S欠乏症に伴う上腸間膜静脈・門脈血栓症と考えられたので,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 松田 佳子, 森末 正博, 飯島 崇史
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1328-1332
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    急激なダイエット後に腸閉塞症状が出現した上腸間膜動脈症候群の1例を経験したので報告する.始めに腹部CT検査にて胃の著明な拡張と十二指腸水平脚での狭窄を認めた.入院後胃の減圧,絶食などを施行の上,精査を行い,上腸間膜動脈症候群と診断し,3日間の保存的加療後に腹腔鏡下手術を行った.術中所見は上腸間膜動脈が十二指腸水平脚を圧迫していたため,上腸間膜動脈と腹部大動脈間に大網を充填し十二指腸水平脚への圧迫を解除した.術後3日目より,経口摂取開始し経過は良好である.よって上腸間膜動脈症候群に対して腹腔鏡下大網充填術は有効な治療手段の1つであると考えられた.
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  • 中村 友哉, 晋山 直樹, 東山 元臣, 加藤 達史, 中山 裕行, 岡村 隆仁
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1333-1336
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は80歳,女性.高血圧にて内服加療を受けていた.左乳癌の術前腹部超音波検査にて右腎下極腹側に直径約2cmの腹腔内腫瘤を指摘され,腹部造影CTでは嚢胞変性を来たした多血性腫瘤を認めた.血中カテコラミン値は正常範囲内であった.術前確定診断には至らなかったが,腹腔鏡下に手術を施行,腫瘍は横行結腸間膜に存在し,腫瘍を腹腔鏡下に遺残なく摘出しえた.病理組織学的検査にてparagangliomaと診断された.横行結腸間膜に発生したparagangliomaは極めて稀であり,また本邦では腹腔鏡下に摘出した症例報告はなく,文献的考察を加え報告する.
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  • 田村 利尚, 八谷 泰孝, 水内 祐介, 佐古 達彦, 福山 時彦, 平野 豊
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1337-1342
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,男性.左側腹部不快感と鈍痛を自覚し,近医を受診した.腹部超音波検査で後腹膜に嚢胞性病変を認め,当院紹介となった.CT,MRI検査で石灰化や脂肪成分を有さない,不均一に造影される腫瘤性病変を認めた.後腹膜腫瘍の診断で,悪性の可能性も否定できないため手術を施行した.左総腸骨動脈左側,左腸腰筋腹側に,周囲組織と強固に癒着する暗赤色の腫瘤を認め,これを摘出した.摘出標本は,4cm大で割面が暗赤色・粘液腫状を呈する腫瘍であった.病理組織学的検索で後腹膜原発の混合型血管奇形と診断した.
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  • 今村 史人, 丸森 健司, 神賀 正博, 間瀬 憲多朗, 岡崎 雅也
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1343-1346
    公開日: 2010/11/25
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    60歳,男性.心房細動などで当院通院中であった.貧血と便潜血陽性にて大腸内視鏡検査を施行し,横行結腸癌と多発大腸ポリープを認めた.PT,APTT,出血時間は正常であった.まず内視鏡的ポリープ切除術を施行したが,術後出血にて内視鏡的止血術を要した.止血を確認後,横行結腸切除術を施行した.術後15日目に嘔吐し,腹部CTで腹腔内血腫と,その圧迫による大腸イレウスと診断した.イレウス管造影では,CT所見と同様に吻合部付近の狭窄を認めた.術後22日目のCTで血腫の縮小とイレウスの改善を認めた.その後の血液検査で,第VIII因子活性が50%と低下しており,血友病Aと診断された.臨床的に出血傾向を認めた場合,本症も念頭におくべきであると考えられた.
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  • 橘高 弘忠, 加藤 雅也, 喜多村 泰博, 秋元 寛
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1347-1350
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    墜落外傷でみられた特発性気腹症の1例を経験したので報告する.症例は35歳,女性.高所からの墜落により受傷し,当センターへ搬入となった.搬入時軽度の意識障害を認めたが,呼吸・循環は安定していた.腹部造影CTの結果,骨盤骨折による後腹膜出血および肝表面・肝下面に腹腔内遊離ガスを認めた.腹部理学的所見上腹膜刺激症状はなかったが,消化管穿孔を疑い,後腹膜出血に対する経カテーテル動脈塞栓術の後,緊急開腹術を施行した.しかし,後腹膜血腫を認めるのみで消化管損傷は認めなかったため,特発性気腹症と診断した.
    本症例において腹腔内遊離ガスが生じた原因としては,墜落時に経膣経卵管的経路で腹腔内にガスが迷入した,あるいは着地時の瞬間的胸腔内圧上昇により経縦隔的経路でガスが腹腔内に入ったことが推測された.
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  • 鳥口 寛, 坪野 充彦, 遠藤 真一郎, 中島 研郎
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1351-1354
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    31歳,女性.2008年4月,妊娠中に仙骨前面に70mm大の嚢胞性病変を指摘され,出産時に経膣的嚢胞穿刺にて内容物を排泄させた.その後再び嚢胞の増大傾向あり,9カ月後のMRIにて60mm大となり,直腸圧迫を認めた.腫瘍の場所や画像所見から発育性腫瘍(developmental tumor)の可能性が高く,経仙骨的腫瘍摘出術を施行.薄い被膜に包まれた隔壁のない単房性腫瘍で内容は粘土状の固形成分のみであった.病理では重層扁平上皮,皮脂腺,角化物を含んだdermoid cystと診断された.仙骨前面は,内・中・外胚葉が全て関与し先天性腫瘍の好発部位である.仙骨前面dermoid cystの報告は自験例が本邦19例目である(1983~2009).悪性化や感染の可能性があり,被膜を含めたtotal resectionが求められる.術前診断,手術適応,手術法について自験例を基に若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 桒田 亜希, 中光 篤志, 今村 祐司, 香山 茂平, 上神 慎之介, 垰越 宏幸
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1355-1359
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    患者は82歳,女性.憩室穿孔術後の腹壁瘢痕ヘルニアに対し,Composix Kugel patchを用いた修復術施行.その2年3カ月後に発熱を伴う腹痛のため来院した.CT上腹壁に膿瘍を指摘された.本人の希望と全身状態を鑑み,保存的治療を選択した.約2カ月間保存的治療を行うも難治性であり,メッシュの摘除術を行った.術中所見ではメッシュに腸管が癒着しており,microperforationを生じたためメッシュ感染を引き起こしたものと思われた.メッシュ含め癒着した腸管も切除した.術後経過は良好で術後12日目に退院した.術後約2年経過も感染徴候及びヘルニア再発を認めていない.
    腹壁瘢痕ヘルニアの術後2年を経過してメッシュ感染を発症した1例を経験したので文献的考察を加え報告する.
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  • 杉浦 浩朗, 久保 章, 亀田 久仁郎, 長嶺 弘太郎, 遠藤 和伸, 藤井 一博
    71 巻 (2010) 5 号 p. 1360-1363
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,男性.直腸癌の診断にて腹会陰式直腸切断術を施行され,特に術後経過は問題なく術後19日目に退院となった.退院後比較的早期より会陰部の膨隆と,強い違和感が出現し,会陰ヘルニアと診断された.術後2カ月目に会陰アプローチによるヘルニア修復術を施行した.現在術後1年が経過しているが,再発の徴候を認めていない.
    直腸切断術,骨盤内臓全摘術などの稀な合併症として会陰ヘルニアがある.今回われわれは腹会陰式直腸切断術後に発生した会陰ヘルニアに対して,Composix mesh®を用いた修復術を行い良好な結果が得られた.会陰アプローチによるメッシュを用いた修復術は,手術侵襲も少なく簡便であり,直腸切断術後の会陰ヘルニアに対して有用であると思われた.
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