日本臨床外科学会雑誌
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71 巻 , 6 号
選択された号の論文の56件中1~50を表示しています
平成21年度学会賞受賞記念講演
  • 中山 隆市
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1393-1412
    公開日: 2010/12/25
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    消化管縫合・吻合法は12世紀末,原始的な蟻顎,木,鳥,動物の乾燥気管等による内腔splint,手縫いGlover法が試みられたが,19世紀半ば迄外科医達の格言は“Noli me tangere”触れてはならないであった.1881年Billrothの胃切除初成功後,1894年時世界の胃切除集計257例の手術死亡率は54.4%で主たる原因は縫合不全であった.20世紀初頭,1908年HültlのB型staplerの発表にて,器械吻合はその緒についたが食道の環状吻合は1958年峰式吻合器をもって嚆矢とする.1971年発売のソ連PKS-25吻合器にて筆者は'72,'74年腸及び胃全摘後の食道再建初例成功を報告したが,併行して'72年内腔打抜き円筒刃をディスポ化した弯曲型吻合器を作製し現在の吻合器に連った.ソ連特許買収後,'79年米EEA吻合器は本邦発売となり'90年以降,鏡下手術の普及に伴い器械吻合は必須手技となったが,未だ手縫法は重要であり保険医療の枠内での屈曲可能stapler吸収性staple等の開発・進歩に期待したい.
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原著
  • 小熊 信, 伊在井 淳子, 盛口 佳宏, 高津 有紀子, 阿南 陽二
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1413-1422
    公開日: 2010/12/25
    ジャーナル フリー
    目的:成人鼠径ヘルニアの日帰り手術時における麻酔法として,われわれが行っているプロポフォールを併用した超音波ガイド下区域麻酔変法の評価について検討した.方法:本法の麻酔下にKugel法で手術を施行した成人鼠径ヘルニア症例116例を対象として,その麻酔効果とアンケート調査による患者満足度について検討した.結果:全症例中,本法のみの麻酔にて手術が完遂できたのは,87.9%であったが,腹膜前腔での丁寧な剥離操作や,症例によっては同部への十分な量の局麻剤の追加散布を行うようになった後半期における麻酔完遂率は,95.5%まで改善させることが可能であった.一方,術後嘔気などの有害事象の発生は見られず,患者満足度も良好であった.結論:本法は,局所麻酔法の利点を継承しながら種々の煩雑な手技を軽減し,有害事象も少なく,Kugel法における日帰りヘルニア修復術の麻酔法として有用な方法であると考えられた.
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症例
  • 宮本 健志, 木村 正幸, 福長 徹, 菅本 祐司, 久保嶋 麻里, 今西 俊介
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1423-1428
    公開日: 2010/12/25
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    症例は69歳,女性.2006年9月より視野欠損が生じ,MRIにてトルコ鞍部の髄膜腫を強く疑う診断となった.当院脳外科にて開頭腫瘍摘出をした結果,23年前の乳癌のトルコ鞍部への転移であることが判明した.これが初回再発であり,他臓器への転移は認めなかった.追加治療としてアロマターゼ阻害薬の投与を行ったが,トルコ鞍への照射は実施しなかった.腫瘍は局所再発をきたし,症候性てんかんを招いた.2008年4月に誤嚥による窒息で死亡した.病理解剖の結果,転移はトルコ鞍部にほぼ限局し,播種性転移や骨転移からの波及でなく,髄膜への直接生着であった可能性が高いと診断された.乳癌の髄膜転移のうち,播種性でなく,孤立性に結節を形成したものの報告は些少で,晩期の再発であったことも診断を困難とさせる一因であった.文献的考察とともに報告する.
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  • 新宮 聖士, 千賀 脩, 平栗 学, 堀米 直人, 金子 源吾, 伊藤 信夫
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1429-1433
    公開日: 2010/12/25
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    患者は52歳,女性.マンモグラフィ検診で右乳房の腫瘤影を指摘され,当科外来受診した.右乳房に8cm大の硬い腫瘤を触知し,画像診断では線維腺腫,葉状腫瘍などが疑われた.悪性病変の可能性を否定できないため,腫瘤摘出術を施行した.腫瘤割面は正常乳腺と境界明瞭で,白色調,充実性であった.組織学的には,導管や小葉の萎縮・減少と硝子化膠原線維の増加した間質から成っており,fibrous tumorと診断された.術後経過は問題なく,乳房の整容性も保たれている.乳腺fibrous tumorはまれな疾患であり,「乳癌取扱い規約・第16版」に腫瘍様病変として,乳腺線維症(fibrous disease)が追加されたが,その中で腫瘤を形成するものがこれに該当すると思われる.本症例のように比較的大きな腫瘤を形成するfibrous tumorがあることも念頭に置く必要がある.
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  • 佐藤 公治, 鈴木 康弘, 山崎 成夫, 岡安 健至, 細川 正夫, 藤田 昌宏
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1434-1439
    公開日: 2010/12/25
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    症例は34歳,男性.右頸部に感染を繰り返す嚢胞を認め,ドレナージや抗生物質での改善が認められないため,精査目的に当院紹介となる.術前検査にて嚢胞と気管との瘻孔形成を伴う頸部気管支原性嚢胞が強く疑われた.手術・病理学的所見から気管支原性嚢胞と診断した.術後の経過も順調で,術後2年の現在のところ再発の所見を認めていない.頸部に発生し,気管と瘻孔を形成する気管支原性嚢胞は比較的稀であるので報告する.
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  • 岩崎 靖, 西山 勝彦, 出口 聡美, 川田 雅俊
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1440-1444
    公開日: 2010/12/25
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    症例は79歳,男性.労作時に動悸を認め,精査により自己免疫性溶血性貧血(Autoimmune hemolytic anemia:以下AIHAと略す)と診断されてステロイド治療を開始された.入院時の胸部X線,CTで右肺下葉に腫瘍を認め,AIHAの治療中に精査を行い,TBLBで扁平上皮癌と診断した.ステロイド治療で直接クームステストが陰性になり貧血が改善した後に,右肺下葉切除術を施行した.病理検査で,中分化扁平上皮癌,pT2b,N0,M0,stageIIAであった.術後,労作時に低酸素血症を認めたため在宅酸素療法を導入し退院.術後もAIHAのコントロールは良好でステロイドを減量中である.今回,肺癌とAIHAはほぼ同時に認められておりAIHAが肺癌の腫瘍随伴症候群として発症した可能性があり,また肺癌とAIHAの合併は稀であるので報告する.
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  • 村上 崇, 上向 伸幸, 斎藤 健人, 平野 進, 佐藤 直夫, 長堀 優
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1445-1450
    公開日: 2010/12/25
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    症例は85歳,男性.某年,便秘,腹痛が出現し,当院受診した.腹部圧痛は認めなかったが,血液検査で軽度の炎症反応および逸脱酵素上昇,代謝性アシドーシスを認めた.腹部造影CT検査で萎縮した肝右葉背側から右胸腔内に小腸が脱出しており,脱出小腸壁の肥厚および造影効果減弱を認めたため,右横隔膜ヘルニア嵌頓,絞扼性イレウスの診断で緊急手術を行った.手術所見では横隔膜右背側に3cm大の楕円形のヘルニア門が確認され,同部に回腸が嵌頓しており,右側Bochdalek孔ヘルニアと診断した.回腸は45cm長に渡り壊死し周囲に多量の血性胸水を伴っていたが,穿孔は認めなかった.回腸部分切除,胸腔ドレナージ,ヘルニア門の縫合閉鎖を施行,術後12日目に軽快退院した.成人右側Bochdalek孔ヘルニアの報告はまれである.今回われわれは絞扼性イレウスで発症した高齢者の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
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  • 原田 敬介, 信岡 隆幸, 及能 大輔, 里見 蕗乃, 古畑 智久, 平田 公一
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1451-1456
    公開日: 2010/12/25
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    Bochdalek孔ヘルニアは,横隔膜ヘルニアの中で最も頻度の高い疾患であるが,新生児期に発症し治療されることが多く成人例は稀とされている.今回,成人Bochdalek孔ヘルニアに腹腔鏡下で複合メッシュを用いた修復をしえた1例を経験したので報告する.症例は74歳女性.左胸部痛,食欲不振を主訴に前医受診.胸部単純X線写真で左横隔膜の挙上と左肺野の胃内ガス像を,胸腹部CT検査で左胸腔内への胃,大網,脾臓の脱出と嵌頓を認め,成人Bochdalek孔ヘルニアの診断に到った.腹腔鏡下で脱出した臓器の腹腔内への還納とヘルニア門周囲の剥離及び複合メッシュを用いた修復術を行い,術後19日目に自宅退院した.術後8カ月経過し,再発などを認めず順調に軽快している.横隔膜ヘルニアに対する複合メッシュを用いた腹腔鏡下修復術は安全で,低侵襲な手技である.
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  • 椿原 秀明, 谷島 裕之, 辻本 武宏, 玉川 孝治, 石田 興一郎, 田伏 克惇
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1457-1461
    公開日: 2010/12/25
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    症例は43歳,女性.検診での胸部X線検査で異常陰影を指摘され当科を受診した.胸部単純X線検査では右横隔膜より上方にテント状に突出する陰影を認め,腹部CT,MRI検査では腫瘍は右横隔膜と肝表面に挟まれて存在し,内部は脂肪濃度を呈した.原発部位は横隔膜または肝で,脂肪成分を主とする腫瘍と考えられ,2年前から増大傾向にあり悪性を否定できないため腹腔鏡下に腫瘍切除術を施行した.術中所見および切除標本の病理組織学的所見から横隔膜原発の脂肪腫と診断した.横隔膜脂肪腫はきわめてまれで本邦では自験例を含めて12例の報告があるのみである.今回,われわれは横隔膜脂肪腫を腹腔鏡下に切除した1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
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  • 窪田 公一, 田中 知博, 纐纈 真一郎
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1462-1466
    公開日: 2010/12/25
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    アナフィラクトイド紫斑は,IgA抗体優位の免疫複合体の沈着が小血管に証明される血管炎で,主に小児の疾患である.成人の発症は少ないがときに重篤な腎障害をきたす.
    症例は75歳の女性.食道癌術後に腸閉塞手術を経て創部MRSA感染症を合併し,2日後に腹痛,発熱が出現した.創部処置にて腹痛,発熱は治まったが下腿に紫斑が出現した.臨床所見と免疫血清検査によりアナフィラクトイド紫斑と診断した.安静と止血剤で紫斑は一時改善したが,その後,再燃して紫斑病性腎炎からネフローゼ症候群を呈した.ステロイドによるパルス療法と内服の後療法を行い病態は安定した.
    成人でのアナフィラクトイド紫斑の発症はdermadromeとしての報告は散見する.しかし術後発症の報告はあまりみかけず,自験例は興味深い症例と思われた.発症誘因は悪性疾患や手術侵襲を背景とした全身状態下における創部MRSA感染症と考えられた.
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  • 國府島 健, 片岡 正文, 杭瀬 崇, 岡田 剛, 湯川 拓郎, 大原 利憲
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1467-1470
    公開日: 2010/12/25
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    症例は67歳,男性.2004年11月に胸部中部食道癌(Mt)および胃癌(U)にて,食道亜全摘,噴門側胃切除,2領域リンパ節郭清を行った.術後病理学的検査では食道癌は中分化型扁平上皮癌で深達度m3(MM),胃癌は高分化型腺癌で深達度m,リンパ節転移は縦隔,腹部ともに陰性であった.術後30カ月目,左腋窩リンパ節腫大が出現し,摘出生検にて低分化型扁平上皮癌が認められた.全身検索を行ったが明らかな原発巣は指摘できず,病変は左腋窩に限局していると考えて,左腋窩リンパ節郭清を施行した.術後は特に放射線療法や化学療法を施行せず経過をみているが,左腋窩リンパ節郭清から約30カ月(食道癌手術からは約60カ月)経過した現在も無再発生存中である.本症例は非常に稀ではあるが,早期食道癌の孤立性腋窩リンパ節転移の可能性が考えられた.
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  • 河口 賀彦, 河野 浩二, 三井 文彦, 藤井 秀樹
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1471-1476
    公開日: 2010/12/25
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    症例1は79歳,男性.CTで胃軸捻転症と診断し,減圧目的に胃管を挿入した.上部消化管内視鏡で胃粘膜の血流障害を認めたため,緊急手術を施行した.胃は腸間膜軸方向に捻転しており,胃全摘術を施行した.症例2は79歳の女性.CTで胃軸捻転症と診断し,減圧目的に胃管を挿入した.上部消化管内視鏡で胃粘膜の虚血性変化は認めなかったが,整復困難であったため,緊急手術を施行した.食道裂孔ヘルニア内に胃の前庭部が捻転を伴い,嵌頓していた.用手的に胃を還納し,捻転を解除した.一般に胃軸捻転症は,CT検査でその診断はほぼ可能である.治療は,胃管を挿入し減圧を図った後,上部消化管内視鏡を実施し,胃粘膜の観察と捻転の解除を試みる.捻転が解除できない場合や,粘膜の血流不全が認められる場合は緊急手術を施行する.胃軸捻転症は比較的まれな疾患であるが,上記の治療アルゴリズムにより,その診断,治療は適切に実施できると思われた.
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  • 藤城 健, 赤井 崇, 鍋谷 圭宏, 川平 洋, 林 秀樹, 松原 久裕
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1477-1482
    公開日: 2010/12/25
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    症例は75歳,女性.心窩部痛と体重減少を主訴に近医で上部消化管内視鏡検査を受けたところ著明な胃幽門部の狭窄所見を認め,生検でGroupIVの診断となり胃癌の疑いにて当科紹介となった.当科での諸検査においても悪性疾患の確定診断には至らなかったが,幽門部狭窄による臨床症状も強く開腹手術を施行した.術中迅速病理診断で胃癌腹膜播種が疑われたが,臨床症状の改善目的に幽門側胃切除+Roux-Y再建術を施行.術後病理診断は好酸球性胃炎で,播種性と思われた膵前面小結節は膵β細胞の過形成と診断された.好酸球性胃腸炎は全消化管に出現しうる原因不明の炎症性疾患であり,末梢血好酸球増多や消化管への好酸球浸潤などが臨床的特徴とされ,保存的治療にて軽快することも多い.一方,今回のわれわれの症例のように好酸球性胃腸炎の臨床的特徴に乏しく診断・治療に手術を要する症例もまれながら存在する.自験例は検索範囲内で本邦12例目の好酸球性胃炎の胃手術症例であった.
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  • 齋藤 徹, 野澤 聡志, 永井 啓之, 岩瀬 俊明, 鈴木 謙介, 郷地 英二
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1483-1486
    公開日: 2010/12/25
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    症例は67歳,女性.腹痛で救急外来を受診.腹部X線写真,CTでfree airと胃壁の著明な肥厚を認めた.上部消化管穿孔の診断で緊急手術を施行した.胃角から体下部小弯に10mm大の穿孔とその周囲の胃壁硬化を広範に認め,腫瘍の存在を疑い,幽門側胃切除術,Billroth-I法再建を施行した.腫瘍は径80mmで潰瘍を伴い,穿孔を認めた.病理組織診断では胃悪性リンパ腫diffuse large B-cell lymphomaであった.切除断端に悪性細胞はなく,リンパ節転移や腹膜播種も認めなかった.術後33病日に血液内科転科となり,化学療法としてR-CHOP療法を開始した.3クール終了時点で,再発は認めず経過良好である.胃悪性リンパ腫の自然穿孔例は比較的まれであり,術後の化学療法が必須である.術式として一期的でなく二期的手術とする報告もあり,その治療方針など,文献的考察を加え報告した.
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  • 猪狩 公宏, 西澤 真人, 藍原 有弘, 落合 高徳, 熊谷 洋一, 山崎 繁
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1487-1491
    公開日: 2010/12/25
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    症例は54歳,男性.上腹部不快感を主訴に施行した上部消化管内視鏡検査で胃体上部後壁に潰瘍性病変を認め,生検でT細胞性悪性リンパ腫と診断した.胃所属リンパ節以外に病巣を認めず,胃原発悪性リンパ腫と診断し手術を施行した.切除標本では佐野の分類の潰瘍型を呈する病変を認め,病理組織学的所見では免疫染色でT細胞型表面マーカが陽性を示し,peripheral T cell lymphoma,Lugano分類stageII1と診断した.術後はTHP-COP療法(pirarubicin hydrochloride,vincristine sulfate,cyclophosphamide,predonisolone)を施行し,術後6カ月が経過したが明らかな再発を認めない.胃原発悪性リンパ腫の報告はまれであり,さらにT細胞型はより頻度が低いことから治療法が確立しておらず,さらなる症例の集積が望まれる.
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  • 村上 弘城, 田中 千恵, 小寺 泰弘, 中尾 昭公
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1492-1495
    公開日: 2010/12/25
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    症例は72歳,男性.胃癌術後の化学療法継続中に,強い左側胸腹部痛を自覚し当院を受診した.左胸腹部に皮膚の浮腫様肥厚を認め,血液検査上炎症反応の上昇を認めた.vital signは安定していた.単純CT上は同部位の皮下脂肪組織の肥厚を認めた.軟部組織感染症の診断で入院,メロペネム水和物の投与を開始したが病変部の腫脹は急速に拡大した.同日のMRI検査ではCT所見と比べてさらに腫脹の範囲が拡大し,頸部から大胸筋,前鋸筋にまで炎症が波及していた.入院日に病変部から採取した細菌検査よりA群溶血性連鎖球菌が同定され,これによる壊死性筋膜炎と診断,速やかにデブリードマンを行うとともに感受性のある抗生剤の投与を含む全身管理を行ったところ徐々に改善した.壊死性筋膜炎は急速な経過をたどり致死率が高い疾患で高齢,担癌状態,糖尿病を有するなどの免疫能が低下した患者において外傷をきっかけに発症することが多い.高齢の担癌患者に対する治療機会が増加しているので,留意すべき疾患と考えられた.
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  • 森 甚一, 岩崎 善毅, 大橋 学, 布部 創也, 岩永 知大
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1496-1500
    公開日: 2010/12/25
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    症例は79歳,女性.胃癌U領域T2(MP)N1H0P0CYXM0stageIIに対して胃全摘術D1+β郭清胆嚢摘出術Roux-en-Y再建術を施行した.術後診断はT3(SE)N0H0P0CY1M0stageIVであった.術後7日目よりminor leakageを認めたが,禁食にて軽快し,術後28日目に軽快退院した.術後60日目の外来受診時血小板減少を指摘され,その後の精査で破砕赤血球を伴う溶血性貧血,腎機能障害,ADAMTS13(a disintegrin and metalloproteinase with a thrombospondin type 1 motif,member 13)活性の中等度の低下を認めたため血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura以下,TTP)と診断された.新鮮凍結血漿(以下,FFP)輸注により血小板減少,溶血性貧血の速やかな改善を認め,輸注開始後60日目にFFP輸注を終了した.以降12カ月経過した現在まで再燃を認めていない.術後TTPは心臓血管系手術後の発症例が多く,またほとんどの例で急性の予後不良な経過をたどるとされる.本例は胃全摘術後遅発性にTTPを発症し,緩徐に進行した稀な症例と考えられた.
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  • 高橋 正統, 肥田 圭介, 藤原 久貴, 千葉 丈広, 佐々木 章, 若林 剛
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1501-1506
    公開日: 2010/12/25
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    食道裂孔ヘルニアに発生する全胃脱出と軸捻転を伴うupside down stomachに胃癌を併存し根治切除を施行した極めて稀な症例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は73歳,女性.上腹部圧迫感にて前医受診し進行胃癌の診断で当科へ紹介入院となった.上部消化管造影で横隔膜上に全胃が脱出したいわゆるupside down stomach像を認めた.上部消化管内視鏡で幽門前庭部に3型の胃癌を認めた.以上から進行胃癌併存食道裂孔ヘルニアと診断し開腹胃全摘術,D2郭清と食道裂孔縫縮術を施行した.最終診断はType5,T2(MP),N1,H0,P0,M0,StageIIで根治度Aであった.術後は合併症認めず12病日目で退院した.現在は愁訴と再発なく外来通院中である.
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  • 久保 秀文, 来嶋 大樹, 多田 耕輔, 宮原 誠, 長谷川 博康
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1507-1512
    公開日: 2010/12/25
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    急性輸入脚症候群は胃切除後に見られる比較的まれな合併症である.今回われわれは胃全摘術後4年5カ月経過して急性輸入脚症候群を呈した再発胃癌の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例は85歳,男性で腹痛,嘔吐を主訴に来院した.4年5カ月前に進行胃癌で胃全摘術が施行されていた.US,CTで輸入脚の拡張,膵管および胆管の拡張,著明に腫脹した胆嚢などを認め,急性輸入脚症候群と診断した.内視鏡下に減圧処置を試みたが困難であり,緊急手術を施行した.開腹所見では胃全摘後のRoux en-Y再建がなされており,Treitz靱帯部より中枢側の輸入脚は著明に拡張していたが,それより末梢側の輸入脚および空腸-空腸吻合部には異常を認めなかった.循環動態不安定であったため,新しいRoux en-Y吻合のみを結腸後ルートで作成した.術後23日目に軽快退院した.急性輸入脚症候群は致死率の高い重篤な病態であり,早期診断および可及的速やかに適切な処置が必要である.
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  • 岡田 明子, 新井 利幸, 佐伯 悟三, 岡田 禎人, 曾津 恵司, 早川 清順
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1513-1517
    公開日: 2010/12/25
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    症例は73歳,男性.1カ月前から黒色便を自覚し当院を紹介受診した.上部消化管内視鏡検査にて,胃体上部小彎と体中部後壁にそれぞれ1型腫瘍,前庭部に0-IIc病変を認め,生検でそれぞれadenocarcinomaと診断された.胃全摘,脾合併切除術,D2リンパ節郭清,Roux-en-Y再建を施行した.病理組織学的検査所見では,体中部後壁の腫瘍に低分化腺癌の部分と乳頭腺癌の部分を認めた.各々の組織型の間には形態の移行像がなく,明らかな境界を認めたことから衝突癌と考えられた.また,低分化腺癌の部分は高度なリンパ球浸潤を伴っていたため,Epstein-Barr virus encoded small RNA(EBER-1)に対するin situ hybridization法を追加したところ,低分化腺癌の部分はEBV陽性,乳頭腺癌の部分はEBV陰性であった.以上より,乳頭腺癌とEpstein-Barr virus関連胃癌の衝突癌と診断した.
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  • 黒田 武志, 福山 充俊, 井内 正裕, 福田 洋, 青木 克哲, 小笠原 邦夫
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1518-1523
    公開日: 2010/12/25
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    症例は70歳,男性.1週間前に鯛のあら煮を摂取し,2日前から上腹部痛を生じて来院した.圧痛は左上腹部に限局しており,腹部CTでは十二指腸水平脚付近に約10mmの線状の高吸収域とその周囲脂肪組織内に腸管外ガス像を認めた.上部消化管内視鏡を施行したが,腸管内腔側には異物を確認できなかったために摘出できなかった.保存的治療で腹痛や炎症所見が改善した後,異物の摘出を目的として開腹手術を施行した.Treitz靱帯付近を中心に約4cmにわたる小腸とその周囲脂肪組織が腫脹しており,この中に異物が存在していると考えられた.同部位を切除する方針で,Treitz靱帯周囲を剥離すると,空腸腸間膜内に約10mmの魚骨を認めた.十二指腸水平脚と空腸を部分切除し,端々吻合で再建した.本邦での魚骨による十二指腸穿孔・穿通の報告例は本症例を含めて26例であり,そのうち十二指腸水平脚に生じた例は8例であり,稀な1例と考えられた.
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  • 竹原 清人, 重安 邦俊, 荒田 尚, 田中屋 宏爾, 青木 秀樹, 竹内 仁司
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1524-1528
    公開日: 2010/12/25
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    症例は75歳,男性.経皮的冠動脈ステント留置術後2日目に心窩部違和感と下血を生じた.内視鏡検査で十二指腸下行脚に潰瘍を伴う亜有茎性の軟らかい粘膜下腫瘍を認め,出血源と考えられた.CTではfat densityを呈する腫瘍を認め,脂肪腫と術前診断した.抗凝固療法を要するため内視鏡的切除は出血のリスクが高いと判断し,開腹下に腫瘍切除術を施行した.腫瘍径は40×16×12mmで,病理組織学的に脂肪腫と診断された.出血性十二指腸脂肪腫はまれであるが,出血の高リスク例では外科的治療を積極的に選択すべきと考えられた.
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  • 高梨 秀一郎, 鈴木 一也, 諸原 浩二, 保田 尚邦, 神坂 幸次, 鈴木 豊
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1529-1533
    公開日: 2010/12/25
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    十二指腸副乳頭部に発生したカルチノイドの1例に対し根治手術を施行した.症例は42歳の男性で,主訴,既往なし.今回,ドックで十二指腸腫瘍を指摘された.腫瘍は十二指腸副乳頭部に粘膜下腫瘍様の形態を呈して存在し,生検からカルチノイドと診断された.他臓器への転移を認めず,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.腫瘍は18mm大で病理組織学的にはsynaptophysin(++),chromogranin(+)のカルチノイドであり,No.13a,No.17aリンパ節に転移を認めた.カルチノイドが副乳頭に発生する症例はまれとされる.比較的小さな腫瘍でもリンパ節転移が認められ,検査時の下行脚までの慎重な観察とリンパ節郭清を伴う手術が必要であると考えられた.
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  • 井上 賢之, 堀江 久永, 佐藤 政広, 安田 是和
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1534-1538
    公開日: 2010/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,男性.腹痛を主訴に近医受診,点滴・内服にて経過をみたが症状の改善が得られず当院へ紹介となった.炎症反応の上昇を認め,CTにて大腸憩室炎と診断し保存的に加療を行った.入院後8日目炎症反応が増悪し,再度施行したCTにて回盲部周囲・腹腔内に膿瘍形成が認められ,ドレナージが必要と判断され,翌日開腹手術を施行した.開腹するとS状結腸が回盲部に強固に癒着しており,S状結腸を剥離するとその直下に膿瘍腔を認めた.膿瘍腔は回盲部腸間膜・S状結腸・回腸に囲まれ形成されており,回盲部腸間膜内膿瘍へと続いていたため回盲部切除術を施行した.術後経過は良好で12病日目に退院.病理標本より回腸憩室炎・穿通による腸間膜内膿瘍形成,その穿破による腹腔内膿瘍形成と診断された.非特異的な所見を呈する急性腹症の鑑別として回腸憩室穿通も考慮すべきと考えられた.
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  • 加藤 恭郎, 垣本 佳士, 百武 威, 村上 修
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1539-1543
    公開日: 2010/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は82歳,女性.腹痛のため当院救急外来を受診した.発熱があり,右腹部に強い圧痛を認めた.血液検査では強い炎症を認めた.腹部CTで腹腔内にfree airと壁の肥厚した小腸を認めた.穿孔を伴う小腸腫瘍と判断し,同日緊急手術を行った.Treitz靱帯から約90cmの空腸に10cmにわたって壁肥厚がみられ,3箇所の小穿孔を伴っていた.空腸部分切除,端々吻合を行った.病理標本では,空腸壁には全層性に小~中型の異型リンパ球の浸潤がみられ,一部で壊死,穿孔をきたしていた.免疫染色ではCD3陽性のT細胞が大半を占めていた.術後経過は不良で,誤嚥性肺炎で術後80日目に死亡した.消化管悪性腫瘍のなかで悪性リンパ腫はまれであるが,原発性小腸腫瘍の中では悪性リンパ腫は比較的多い.B細胞に比べてT細胞はまれである.小腸腫瘍の中で穿孔を伴う率は悪性リンパ腫で最も高い.穿孔を伴う小腸腫瘍では悪性リンパ腫をまず念頭に置くべきだと考えられた.
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  • 清島 亮, 永瀬 剛司, 中川 基人, 隈元 雄介, 今井 俊, 金井 歳雄
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1544-1549
    公開日: 2010/12/25
    ジャーナル フリー
    小腸未分化癌は極めて稀な疾患である.今回,われわれは多発小腸壁内転移,膵頭部リンパ節転移を伴った小腸未分化癌の症例を経験したので文献的考察を含め報告する.症例は53歳,男性.平成20年2月,体重減少,口渇,腹痛を主訴に当院を受診.血液検査上,白血球数19,400/μl,CRP 14.8ng/mlと著明な炎症反応高値を認め,Hb 8.4g/dlと貧血も認めた.腫瘍マーカーのCEA,CA19-9は正常範囲内であったが,可溶性IL-2レセプターが2,400IU/Lと高値であった.腹部CT検査にて腹腔内に4cm大までの多数の腫瘤を認め,悪性リンパ腫を疑った.腹部症状が増悪するため手術適応と判断し平成20年3月,手術を施行した.術中所見では小腸壁,腸間膜に最大径8cmの腫瘤が散在し,膵頭部にも同様の腫瘤が認めらた.膵頭部の腫瘤摘出は患者の全身状態を考慮するとリスクが高いと判断し,小腸部分切除のみ施行した.病理組織学的検査では特定の分化を示さない異型性の強い細胞が多く,免疫染色で上皮系マーカーのみが陽性であり,小腸未分化癌と診断された.術後,急速に全身状態が悪化し術後第27病日に永眠された.
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  • 武藤 満完, 高橋 道長, 大沼 勝, 上野 達也, 内藤 広郎
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1550-1554
    公開日: 2010/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,男性.腹痛,発熱を主訴に前医受診.保存的治療にて経過みるも改善せず当院紹介受診.腹部CTにて虫垂炎穿孔による虫垂周囲膿瘍と回盲部が十二指腸下行脚の腹側に位置する腸回転異常症が疑われた.炎症所見が軽度でありあることから保存的治療を開始したが,炎症所見の増悪とともに上部消化管造影所見で十二指腸の通過障害が出現してきたため,入院後3日目に手術を施行した.急性虫垂炎と周囲膿瘍の炎症波及による十二指腸の狭窄が強かったため,虫垂切除術,膿瘍ドレナージおよびに十二指腸空腸側々吻合術を施行した.腸回転異常を伴った急性虫垂炎では,腸管の位置異常から炎症の波及により十二指腸狭窄を起こす可能性もあり,注意深い画像の読影と適切な手術適応の判断が必要であると考えられた.
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  • 常俊 雄介, 菊地 弘展, 蔵貫 勝志, 安原 満夫, 阿部 厚憲, 及能 健一
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1555-1559
    公開日: 2010/12/25
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    症例は65歳,男性.上行結腸癌に対し平成18年8月回盲部切除を施行.術後4日目に注腸造影にて縫合不全を確認し,吻合部切除・再吻合術を施行した.初回手術後16日目にCTで腹腔内膿瘍を認めたため,洗浄・ドレナージ術を施行した.再々手術後5日目にドレーン・創部より腸液の漏出を認め,ドレーン造影にて縫合不全を確認した.絶食・TPN・洗浄を4週間続けたが瘻孔は閉鎖せず,血液凝固第XIII因子製剤の投与並びに経ドレーン的フィブリン糊注入を計3回施行したが,瘻孔の完全閉鎖には至らなかった.次に経内視鏡的ヒストアクリル注入を施行したところ,瘻孔の閉鎖を認めた.以後の造影検査・下部消化管内視鏡でも造影剤の漏出を認めず,経口摂取が可能となった.注入後1年4カ月経過したが,瘻孔再発を認めていない.本法は低侵襲で簡便かつ確実なため難治性瘻孔に対して有用な方法と考えられた.
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  • 右近 圭
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1560-1565
    公開日: 2010/12/25
    ジャーナル フリー
    大腸穿孔はバリウム胃透視の稀な合併症である.憩室炎や癌など既存の大腸疾患が関与する場合が多く,バリウム停滞のみによる穿孔例の報告は少ない.本疾患を3例経験し,文献的考察を加えて報告した.症例1:71歳,男性.胃透視の2日後に初回便があり,その後腹痛を自覚.大腸穿孔と診断しハルトマン手術を施行.直腸Ra前壁の穿孔であった.症例2:70歳,女性.透視翌日から間欠的な腹痛あり.2日後に腹痛の増悪にて受診.バリウムによるS状結腸緊満を認め,処置にて中等量のバリウム便あり.翌日さらに増悪し,大腸穿孔と診断,ハルトマン手術を施行.S状結腸間膜側の穿孔であった.症例3:73歳,女性.透視後に排便が少量しかなく,3日後に腹痛を自覚.大腸穿孔と診断しハルトマン手術を施行.S状結腸前壁の穿孔であった.透視後の大腸穿孔は稀だが医原性であり,時に不幸な転帰に至る.本疾患に留意し,検査後の排便状況の把握が重要である.
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  • 福島 剛, 佐野 秀一, 菊地 一公, 和田 雅孝, 大川 由美, 武田 圭佐
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1566-1570
    公開日: 2010/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,女性.AL型アミロイドーシスによる腎不全のため透析中,2007年左乳癌に対しBtを施行した.補助化学療法としてPaclitaxel初回投与後11日目に腹痛出現,CTにてfree airを認め穿孔性腹膜炎との診断で緊急手術を施行した.開腹すると横行結腸左側に穿孔を認め,結腸左半を切除し肛門側断端は閉鎖,横行結腸を挙上しストーマを造設した.病理組織検査で炎症や腫瘍性病変は認めず,粘膜下層の小型血管から漿膜の中型動静脈において血管壁に好酸性の沈着物を認めCongo red染色において陽性所見を認めた.以上よりアミロイド沈着またはPaclitaxelによる血管の破綻,出血,循環不全などが穿孔の原因と考えられた.術後腹腔内に留置したドレーンより排膿を認め,造影したところ小腸が描出され消化管の再穿孔が示唆されたが,保存的治療で穿孔部は自然閉鎖し術後36日目に退院となった.
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  • 友利 賢太, 河原 秀次郎, 渡辺 一裕, 牛込 琢郎, 小林 進, 矢永 勝彦
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1571-1574
    公開日: 2010/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,男性.腹部不快感を主訴に他院を受診,注腸検査で横行結腸に約6cmの腫瘍性病変がみられたため当科に紹介された.糖尿病のコントロールが不良であったため,術前2週間の糖尿病教育入院の後に手術を予定した.手術前日は水分のみ摂取可とし,昼よりニフレック2,000mlを内服させた.手術4日前のCT検査では横行結腸に腫瘍による腸重積様の像が認められたが,開腹時腹腔内を検索すると横行結腸には腫瘍がみられず,術中大腸鏡検査で術前腫瘍が位置していた部位に潰瘍性病変を確認した.それ以外に粗大病変がみられなかったため,潰瘍性病変を含む腸管を約10cm切除してD2郭清を施行した.手術切除標本には癌の遺残はなくリンパ節転移もみられなかった.有茎性大腸ポリープの自然脱落はまれであるが,巨大ポリープの場合,手術前処置が脱落を誘発する可能性があるので注意を要すると考えられた.
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  • 前田 知香, 金子 源吾, 堀米 直人, 平栗 学, 秋田 倫幸, 伊藤 信夫
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1575-1578
    公開日: 2010/12/25
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    症例は69歳,男性.胃癌術後の経過観察中に排便後の腫瘤の脱出を訴え受診となった.腫瘤は肉眼的に有茎性,淡灰色,胡桃大で弾性硬,分葉状であった.下部消化管内視鏡検査を施行したところ肛門管に基部がある長い茎を有するポリープ状腫瘤であった.還納は容易であったが,脱出が頻回であったため,経肛門的腫瘤摘出術を施行した.術後経過は良好で第7病日退院.術後1年が経過した現在まで再発はみられていない.摘出した腫瘤の病理組織検査および免疫組織学的検査の結果より,表在性血管粘液腫(superficial angiomyxoma)と診断した.表在性血管粘液腫のほとんどは体幹に発生するが本症例のように肛門管に発生することは極めて稀である.治療は外科的切除であるが,不完全な切除による局所再発が多く,茎を含めて完全切除を行う必要がある.本症例では現在まで再発はみられていないが今後も注意深い経過観察を要する.
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  • 飯野 弥, 森 義之, 須藤 誠, 日向 理, 小林 敏樹, 藤井 秀樹
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1579-1583
    公開日: 2010/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は32歳,女性.妊娠22週の定期検診で右卵巣腫瘤を指摘されたため当院産婦人科に入院し,右卵巣切除術が行われた.精査の結果,妊娠28週の時点でS状結腸癌,右卵巣転移と診断された.外科,産婦人科の協同手術のもとに妊娠29週でS状結腸切除,人工肛門造設術を行った.胎児は子宮内に温存した.術中,術後経過は良好であった.妊娠32週で帝王切開にて分娩後,S状結腸癌3群リンパ節追加郭清術,人工肛門閉鎖術,左卵巣および子宮切除術を行った.母児ともに経過良好で退院した.妊娠中に大腸癌を合併することはきわめてまれであるが,進行した症例が多く母児ともに予後不良であることが多いと報告されている.自験例では関連する診療科が協力し迅速に対応することで母体の根治性と胎児両方の生存の可能性を追求した治療が可能であった.
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  • 奥村 英雄, 山下 和城, 岡 保夫, 松本 英男, 浦上 淳, 平井 敏弘
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1584-1588
    公開日: 2010/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は53歳,男性.幼少時から完全内臓逆位症と診断されていた.肛門痛を主訴に近医を受診し大腸内視鏡にて直腸にI sp型ポリープを指摘された.内科にてEndoscopic Submucosal Dissection(以下,ESD)が施行され,深達度smの直腸癌,脈管侵襲陽性と病理診断された.このため追加手術目的で外科に紹介された.患者のQOLを重視し,より低侵襲である腹腔鏡下直腸前方切除術を計画した.術前シミュレーションとして,正常解剖例の腹腔鏡下直腸前方切除術の手術動画を左右反転で再生,視聴し,イメージトレーニングを行った.ポート,術者の立ち位置等は通常の逆の位置にした.手術は予定通り腹腔鏡下直腸低位前方切除を行い,特に大きな問題もなく終了した.内臓逆位例でも術前のシミュレーションをし,慎重に解剖の同定を行えば腹腔鏡下手術も安全に施行できると思われた.
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  • 江本 慎, 蒲池 浩文, 田原 宗徳, 神山 俊哉, 松下 通明, 西田 睦, 藤堂 省
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1589-1595
    公開日: 2010/12/25
    ジャーナル フリー
    背景:胆嚢の隆起性病変はしばしば診断に難渋する.今回われわれは胆嚢腺筋症(adenomyomatosis:ADM)に合併した胆嚢隆起性病変の質的診断に造影超音波検査が有効であった症例を経験したので報告する.症例:58歳,男性.2009年2月,職場の健診で腹部超音波にて胆嚢腫瘍を指摘され当科紹介となった.血液検査ではCEAが8.3ng/mlと上昇していた.体外式ultrasonography(US)では乳頭状隆起性病変を指摘でき,肝床部浸潤を疑う所見であったが,CT,MRIでは隆起性病変の良悪性の鑑別は困難であった.Positron emission CT(PET-CT)では隆起性病変に異常集積を認めなかった.腹部造影超音波検査では乳頭状隆起性病変に強くdiffuseな造影効果を認め,ADMに合併した胆嚢癌と考えられた.悪性を否定できず,同年3月に開腹拡大胆嚢切除術を施行した.肉眼所見では分節型ADMと乳頭状の胆嚢癌を認めた.病理診断ではtub1>pap. s(-),ss,pHinf0,pBilf0,pPV0,pA0,pN0,pBM0,pHM0,pEM0,int,INFβ,pn0,ly1,v0,pT2,pN0,fStageIIであった.結語:胆嚢の隆起性病変の診断に造影超音波検査は有用な検査となりうる.治療に際し検査所見から総合的に判断することが重要と考えられる.
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  • 伊志嶺 朝成, 亀山 眞一郎, 伊佐 勉, 古波倉 史子, 小網 博之, 長嶺 義哲
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1596-1602
    公開日: 2010/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,女性.腹部不快感を主訴に来院.黄疸,肝機能障害,腫瘍マーカーの上昇CA19-9 119.34(正常<37)を認めた.内視鏡検査にて,十二指腸乳頭部に隆起性病変を認め,腹部超音波検査,CT,MRI検査では,下部胆管に32×23mmの腫瘤を認め,強く造影される腫瘤であった.約1カ月で腫瘍の増大傾向を認めたため,十二指腸乳頭部癌の疑いにて,膵頭十二指腸切除術を施行した.膵頭部から十二指腸乳頭部粘膜下に約50×30×20mm,割面が白色の硬い腫瘤を認めた.上皮性異型細胞と紡錘状細胞,破骨細胞様の多核巨細胞が認められ,anaplastic carcinomaと診断した.免疫組織化学的染色では,癌腫成分はkeratin陽性,肉腫様成分はvimentin,SMA陽性であった.術後経過は良好にて,術後36日目に退院となった.本症例は,肺炎,腎不全にて術後2年5カ月目に死亡した.
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  • 筒井 麻衣, 野呂 拓史, 有田 宗史, 大平 寛典, 川崎 成郎, 鈴木 裕
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1603-1609
    公開日: 2010/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は49歳,男性.門脈浸潤を伴う膵頭部癌に対し,亜全胃温存十二指腸切除術+門脈合併切除を施行した.術後2日目より飲水,経腸栄養,6日目に食事開始したが,10日目より膵背側の留置ドレーンから3,500ml/day以上の乳糜腹水を認めるようになった.無~低脂肪の食事,絶食で経過観察するも明らかな腹水の減少は認められなかった.術後30日目より酢酸オクトレオチド300μg/day皮下注を開始したところ,翌日より排液量が著明に減少し,40日目に排液が0mlとなった.40日目に投与を中止し,41日目より食事を再開,42日目にドレーン抜去後,45日目に退院となった.術後乳糜腹水の発生には乳糜槽付近のリンパ節郭清や血管の合併切除,再建が深く関連していると言われる.全身状態の悪化を防ぐためにも,難治性術後乳糜腹水に酢酸オクトレオチド投与は効果的であると考えられる.
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  • 甲斐沼 孟, 山本 隆嗣, 渡辺 千絵, 田中 肖吾, 石原 寛治, 大野 耕一
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1610-1614
    公開日: 2010/12/25
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    症例は35歳,女性.健診の超音波検査で膵上縁に動脈瘤を指摘された.腹部血管造影検査で脾動脈起始部に径2cmの嚢状の動脈瘤を認め,破裂予防のためinterventional radiological treatment(IVR)を検討したが,瘤が大きく,流出入脾動脈の屈曲が強く,患者・家族へのinformed consentで小切開開腹となった.術前の動脈造影で瘤直前後の結紮で膵脾への側副血行による血流の温存が予想できた.動脈瘤への流入流出部で脾動脈をクランプし動脈瘤遠位側の膵脾への動脈血流維持を確認した後,脾動脈を結紮した.術後経過に問題なく,退院後の腹部dynamic CTでも瘤への血流はなく膵脾への動脈血流は保持されていた.脾動脈瘤はしばしば遭遇する疾患であるが,破裂する危険性があるため,瘤が発見された場合は何らかの治療が必要となる.多くはIVRが選択されるが,自験例のように瘤の形態や大きさ,存在部位などでIVRが困難である場合,開腹結紮術は一考されるべき治療である.
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  • 佃 和憲, 浅野 博昭, 内藤 稔, 村岡 孝幸, 伊野 英男
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1615-1618
    公開日: 2010/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は57歳,女性.子宮体癌術後1年の時,孤立性脾腫瘍を発見された.合併していたサルコイドーシスの病変と考えられ経過観察されていた.徐々に増大するためCTガイド下生検を行われ,子宮体癌脾臓転移と診断された.他臓器への転移は認めなかったため,脾臓摘出術を施行した.肉眼的な腹膜播種は認めなかったが,腹水細胞診がclass Vであったため,術後に化学療法を再開した.孤立性の転移性脾腫瘍はきわめて珍しく,若干の文献を含め報告する.
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  • 高柳 大輔, 間崎 武郎, 間遠 一成, 大亀 浩久, 石井 敬基, 増田 英樹
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1619-1623
    公開日: 2010/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は62歳,女性.2008年7月突然の腹痛,嘔気,嘔吐を認め,当院救急外来受診.腹部単純X線像と腹部CTで小腸ガス像と鏡面形成を認め,イレウスの診断にて入院した.第2病日にイレウス管を挿入するもX線像上改善なし.イレウス管造影を施行し,小腸に全周性の狭窄を認めたため,第13病日に手術を施行した.小腸がTreitz靱帯より100cmのところでS状結腸間膜の右葉欠損部に嵌入し,S状結腸間膜内ヘルニアとなっていた.小腸に血流障害は認めず,用手的に整復し,ヘルニアは解除した.右葉欠損部は単純縫合閉鎖した.術後順調で,第18病日退院した.
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  • 岡田 晃穂, 横田 憲一, 板倉 裕子, 大友 浩志, 横山 成邦, 遠藤 渉
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1624-1627
    公開日: 2010/12/25
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    症例は51歳,男性.下腹部痛を主訴に近医受診し,便秘による症状を疑われ内服薬処方されるも改善せず,発症より3日目に当院紹介された.開腹手術の既往はなし.腹部レントゲン上niveau像を認め,腸閉塞の診断で入院.腹膜刺激症状無く,保存的治療を行っていたが,入院後4日目,注腸造影検査後のCTで伸展したS状結腸背側に位置する拡張小腸を認め,S状結腸間膜に関連する内ヘルニアを疑い同日手術となった.開腹するとS状結腸間膜窩にBauhin弁の口側110cmの回腸が10cmにわたり嵌頓しており穿孔も見られた.嵌頓を解除し穿孔部を縫合閉鎖した.またヘルニア門も縫合閉鎖した.術後経過は良好であった.
    S状結腸間膜ヘルニアは内ヘルニアの5%程度と,比較的稀な疾患である.その術前診断は困難であるとされるが,今回注腸造影検査後の腹部CTで特徴的な所見を認めた1例を経験したので文献的考察を加え報告する.
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  • 梅邑 晃, 郷右近 祐司, 遠藤 義洋, 鈴木 雄, 梅邑 明子, 北村 道彦
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1628-1633
    公開日: 2010/12/25
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    症例は76歳,男性.肝細胞癌と慢性肺気腫にて通院中であったところ,腹痛と嘔吐が出現したため受診した.腹部の膨満と左上腹部に筋性防御を認め,腹部造影CTで左側結腸の壁肥厚と浮腫,腹水を認めたため,汎発性腹膜炎と診断して緊急手術を施行した.壊死した左側結腸を切除し,口側結腸にて人工肛門造設術を行った.術後,人工呼吸器管理を要したが,第39病日に退院した.病理組織学的検査で,粘膜下層の小血管にCongo-red染色陽性を示すアミロイド蛋白の沈着を認め,免疫染色検査にてAAアミロイド蛋白と判明し,続発性アミロイドーシスと診断した.慢性関節リウマチや長期透析治療を背景に持たない消化管アミロイドーシスによる緊急手術例の報告は少なく,本症例は肝細胞癌か慢性閉塞性肺疾患がその原因になりうると考えられたが断定には至らなかった.
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  • 兼松 昌子, 國枝 克行, 河合 雅彦, 長尾 成敏, 田中 千弘, 松橋 延壽
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1634-1638
    公開日: 2010/12/25
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    症例は89歳,女性.腹痛を主訴に通院中の近医を受診し,腹部CT検査にて遊離ガス像を認めた.以前から血便とCEA高値を指摘されており,下部消化管悪性腫瘍による消化管穿孔が疑われ当院救急センターに紹介された.来院後のCT検査で腹腔内遊離ガス像と腹水を認め,穿孔性腹膜炎と診断されたがショック状態のため全身麻酔・開腹手術が不可能と判断され,保存的治療の目的で入院した.集中治療にて徐々に患者の全身状態は回復した.第18病日の腹部CT検査にて子宮留膿腫が発見され,経膣的ドレナージが施行された.第42病日に行った下部消化管内視鏡にてS状結腸癌と判明し,第64病日にHartmann手術を施行したが,S状結腸癌の周囲に穿孔部位は認めず,子宮底部に穿孔部が存在したため子宮全摘術も施行した.子宮留膿腫穿孔は消化管穿孔と誤られることが多く,高齢女性の穿孔性腹膜炎の原因疾患鑑別に本症も念頭に置くことが重要と思われた.
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  • 寒川 玲, 木村 雄, 中島 晋, 福田 賢一郎, 藤山 准真, 増山 守
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1639-1642
    公開日: 2010/12/25
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    魚骨を含めた消化管異物のほとんどは自然に排泄されるが,稀に消化管穿孔といった重篤な病状をきたすことがある.本疾患については,保存的に治療しえたものから,消化管切除に至った症例など様々な症例が報告されている.今回われわれは魚骨穿孔による後腹膜膿瘍に対してドレナージ術のみで治療しえた1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.症例は83歳,男性.左下腹部痛を主訴に受診され,精査にて魚骨穿通による後腹膜膿瘍の診断に至った.手術は全身麻酔下に傍腹直筋切開によるアプローチで後腹膜に進入し,膿瘍のドレナージ術のみ施行し治療せしめた.この疾患は術前の画像検査を含め,十分な検討を行った上で,適切な治療方針を決定する必要があるものと考えられた.
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  • 川畑 方博, 井原 司, 赤司 昌謙, 冨崎 真一, 松永 章, 野々下 政昭, 井関 充及
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1643-1648
    公開日: 2010/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は43歳,男性.検診時の腹部超音波検査にて右副腎腫瘍と診断され,近医より精査加療目的にて当科紹介となり手術施行.術中診断にて,後腹膜由来の腫瘍で腫瘍摘出術を施行した.病理組織学的診断にて,Hormer-Wright rosettesを認め,免疫染色にてMIC2陽性にて末梢性未分化神経外胚葉性腫瘍(peripheral primitive neuroectodermal tumor以下PNETと略す)と診断.術後に化学療法施行したが,術後約2年7カ月で腫瘍死した.PNETは中枢神経系外に発生し組織学的,免疫学的,超微形態学的に神経上皮への分化を認める小円形細胞腫瘍である.その原発部位としては,四肢,胸壁発生が多く,腹部領域の発生はまれである.今回後腹膜由来と思われるPNETを経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 佐藤 正幸, 椎葉 健一, 藤谷 恒明, 山並 秀章, 菊川 利奈
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1649-1653
    公開日: 2010/12/25
    ジャーナル フリー
    76歳,男性.頻尿,下腹部膨満,下肢の浮腫にて当院受診.恥骨上縁に弾性軟の小児頭大の腫瘤を触知した.下部内視鏡検査では圧排のみであった.腹部CT,MRI検査では骨盤全体を占める腫瘍で充実成分と嚢胞成分が混在していた.血液検査では血糖値(38mg/dl)とインスリンとIGF-Iは低く,IGF-IIは高値であった.以上よりNonislet-cell tumor hypoglycemiaを併発した骨盤内腫瘍と診断し手術を施行した.腫瘍は骨盤後腹膜に存在,膀胱と前立腺に強い癒着を認めたので浸潤を疑い合併切除した.摘出標本は15×13×8cm,670gで割面は出血と嚢胞を伴う淡黄白色の充実性腫瘍であった.病理学的検査では紡錘形細胞がpatternless patternを呈し膀胱と前立腺浸潤は認めなかった.免疫組織化学染色検査でCD34,vimentin,bcl-2,CD99が陽性でsolitary fibrous tumor (SFT)と診断した.術後は血糖値,IGF-II値も正常化し,リンパ静脈環流は改善し下肢の浮腫は消失した.術後10カ月現在,無再発生存中である.
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  • 神原 淳, 神原 浩, 日野 浩司, 金田 象顯, 原田 良昭, 荒木 京二郎
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1654-1658
    公開日: 2010/12/25
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    脊椎骨,椎弓破壊,嚢胞を伴って後腹膜方向に大きく発育進展した巨大なL-1神経根原発の神経鞘腫の手術治療例を報告する.
    症例は55歳,男性で,1年ほどの間に次第に進行する背部痛,右下半身の知覚鈍麻,痛覚鈍麻,跛行があった.単純レントゲン,CT,MRI,血管造影で第1腰椎神経根原発で,椎体椎弓根を侵蝕し,右後腹膜腔に大きな嚢胞を伴って発育した径22cm大の砂時計型腫瘤であった.腫瘤の後腹膜部分は肝臓を頭側に,腎臓を足方に,下大静脈を左方に強く圧排していた.
    脊椎側と腹腔側アプローチの二期的な手術で,全摘出が可能であった.
    組織はシート状,束状に増殖する紡錘形の細胞で,ビメンチン(+),アクチン(+),α1-ACT(+),S100蛋白(+),c-kit(-),MIB-1陽性細胞は7%で,良性神経鞘腫と診断された.Antoni A型とAntoni B型が混在し,大きな嚢胞を形成していた.運動障害などの症状は腫瘍摘出後,速やかに消失した.
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  • 奥村 徳夫, 阪井 満, 吉田 滋, 仲田 和彦, 河合 庸仁, 森 良雄
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1659-1662
    公開日: 2010/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は79歳,女性.下腹部痛,両下肢大腿部痛を主訴に当院受診.CTにて両側閉鎖孔ヘルニアを認め,緊急手術を施行した.左閉鎖孔に嵌頓した小腸が穿孔しており,小腸部分切除・ヘルニア門単純閉鎖術を施行した.術後第9病日に左大腿部痛を訴えられ精査したところ,閉鎖孔内に遺残膿瘍が認められた.エコーガイド下に経皮的ドレナージ術を施行し軽快した.閉鎖孔ヘルニアはCT等の画像診断の発達により,近年報告例が多い疾患となったが,その手術方法はまだ完全には確立されていない.今後,遺残膿瘍を考慮した術式の選択が必要であると考えられた.
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  • 柳田 正志, 島田 順一, 鴻巣 寛, 沢辺 保範, 富田 晴久, 得居 将文
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1663-1666
    公開日: 2010/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は79歳,男性.胸腺カルチノイドの手術歴があり,外来通院中であった.胸腺カルチノイドの再発,遠隔転移の精査目的でFDG-PET検査を行ったところ,右鼠径部に集積を認めた.局所麻酔下に右鼠径部腫瘤の試験切除を行った.腫瘤から索状物が尾側に向かってつながっていたため,可及的に末梢側まで露出し,結紮後に切離し摘出した.病理結果は平滑筋肉腫であり,術前のCTを確認すると索状物は右大伏在静脈と連続していた.索状物は血管平滑筋肉腫の遺残と判断し,二期的に大伏在静脈とともに腫瘍を摘出した.血管平滑筋肉腫の大半は下大静脈発生で,大伏在脈発生はまれであるので報告する.
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  • 佐野 文, 白子 隆志, 加藤 浩樹, 天岡 望, 芳野 圭介, 杉山 太郎
    71 巻 (2010) 6 号 p. 1667-1672
    公開日: 2010/12/25
    ジャーナル フリー
    われわれは7年間に3度にわたり針誤飲した統合失調症の1例を経験した.1回目は63歳時,8本の裁縫針を飲み腹痛にて来院した.CT,X線写真にて十二指腸2nd portionから後腹膜に針を認め同日緊急開腹手術を施行した.針は十二指腸壁を貫通し腸腰筋に埋没しており針を摘出した.2回目は64歳時,2本の針を誤飲し腹痛にて来院した.CT,X線写真にて左腹壁に針を認め局所麻酔下に皮膚切開し針を除去した.3回目は69歳時,腹痛にて受診した.CT,X線写真にて骨盤腔内に針を2本認めた.開腹手術にて1本はTreitz靱帯より約200cm肛門側の小腸より腸管外に抜け,さらに110cm肛門側の小腸間膜に刺さっていた.2本目は仙骨前面のS状結腸間膜に認められ,小腸から腹腔内に貫通したものと思われた.今後も誤飲の可能性あり,注意深い経過観察が必要である.
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