日本臨床外科学会雑誌
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71 巻 , 8 号
選択された号の論文の51件中1~50を表示しています
原著
  • 星野 伸晃, 長谷川 洋, 坂本 英至, 小松 俊一郎, 久留宮 康浩, 法水 信治, 高山 祐一
    71 巻 (2010) 8 号 p. 1951-1958
    公開日: 2011/02/25
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    目的:Multidetector-row CT(MDCT)を用いた虫垂炎診断において,単純・造影の診断能を比較しそれらの位置づけを検討した.方法:2008年3月から同年9月の間に当院を受診した全ての虫垂炎疑いの患者104例に単純・造影MDCTを施行し,Multi-planner reformation(MPR)画像を作成した.そのうち蜂窩織炎性,壊疽性または穿孔性虫垂炎と診断された75例の画像をretrospectiveに検討し,虫垂および虫垂壁の描出能,および虫垂周囲脂肪織濃度の上昇,腹水,小腸うっ滞の診断能を単純と造影で比較した.次に造影MDCTをルーチンに行った群(期間A)と最初に単純のみを施行し選択的に造影した群(期間B)でprospectiveに診断精度を比較した.結果:経静脈造影が有意に優れていたのは虫垂壁の描出能だけであり,その他の所見については読影方法により差を認めなかった.期間Aと期間Bで診断精度はほぼ同等であった.結語:MDCTの虫垂炎診断において,単純CTを評価した後に選択的に造影を行う方針が妥当であることが示唆された.
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症例
  • 江本 慎, 高橋 將人, 細田 充主, 高橋 弘昌, 藤堂 省
    71 巻 (2010) 8 号 p. 1959-1964
    公開日: 2011/02/25
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    右乳癌の術後乳糜漏は非常に稀である.今回われわれは保存的に加療しえた本症の1例を経験した.43歳女性.2009年1月乳癌検診にて右乳房に異常を指摘され来院.右乳房CD領域に腫瘤を認め,マンモトーム®生検にて浸潤性乳管癌と確定診断され,エストロゲン受容体およびプロゲステロン受容体ともに陽性,human epithelial growth factor recetptor type2は陰性であった.術前化学療法を施行し,8月に内視鏡下右胸筋温存乳房切除術+腋窩郭清(LevelI+II)を施行した.術後,乳糜漏を認めず,術後8日目(post operative day 8,POD8)に退院となった.POD13の初回外来にて皮弁下穿刺で乳糜を認め,POD20に入院.POD28にドレーンを再留置し,POD36に食事を再開.徐々に脂肪制限を緩和したところ,POD48にドレーン排液が再び乳糜となったため,絶食とした.POD62に排液量は著明に減少し,POD64にドレーンを抜去した.乳癌術後の乳糜漏で,ドレーン排液量が少量な場合,保存的加療が可能であると考えられた.
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  • 三角 みその, 竹内 英樹, 重川 崇, 大崎 昭彦, 佐伯 俊昭
    71 巻 (2010) 8 号 p. 1965-1969
    公開日: 2011/02/25
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    3D超音波は,産婦人科領域では胎児診断などで汎用され,また体内臓器の3次元的な描出により形状的な評価が行える.さらに,体表に存在する乳腺腫瘍の3次元的な画像構築も可能で,腫瘤などの体積も計算可能である.今回,3D超音波による腫瘍体積を求めて術前化学療法の効果判定が可能であった2症例について報告する.
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  • 高岸 智子, 大崎 敏弘, 小舘 満太郎, 長家 尚
    71 巻 (2010) 8 号 p. 1970-1975
    公開日: 2011/02/25
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    縦隔に発生した巨大な脂肪肉腫を経験したので報告する.症例は61歳,男性.労作性呼吸苦を1年半前より認めていた.胸部X線写真では両側心陰影とのシルエットサイン陽性の腫瘤陰影を認め,胸部CT,MRIでは前縦隔,心嚢前面から横隔膜上に進展する脂肪成分と軟部組織成分が混在する脂肪肉腫が疑われた.手術は胸骨正中切開で行い,胸腺を含めて腫瘍を摘出,両側縦隔胸膜,心嚢,左横隔神経への浸潤が疑われたため,これらを合併切除し腫瘍の完全切除を行った.腫瘍は大きさ19×15cm,重さ750g,病理組織学的には高分化型脂肪肉腫と診断された.術後補助療法は施行せず術後4カ月になるが再発は認めていない.縦隔に発生する脂肪肉腫は稀な腫瘍であり,今回,自験例を加えた本邦報告50例を集計し考察を加え報告する.
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  • 村岡 新, 恵木 康壮, 針谷 明房, 高澤 賢次, 三澤 吉雄
    71 巻 (2010) 8 号 p. 1976-1979
    公開日: 2011/02/25
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    症例は69歳,男性.発熱,胸痛を主訴に来院.胸部単純X線で肺炎と診断され緊急入院.喀痰,血液培養からStreptococcus pneumoniaeが検出された.入院時心臓超音波検査で少量の心嚢水を認めていたが,2日後に心嚢水が増加しており,心嚢ドレナージを行った.心嚢水は膿性で感染を疑われたが培養は陰性であった.入院8日目ごろより右心不全症状出現.心臓超音波検査で収縮性心膜炎と診断され,利尿剤の増量行うも改善傾向見られず,入院24日目に心膜剥離術および切除術を行った.心嚢内および胸腔内より膿性の浸出液を認めたため,ドレーンを心嚢内,両側胸腔内に合計6本留置し一期的に創を閉鎖し,術後生理食塩水による持続洗浄を5日間行った.術後経過は良好で34病日に退院となった.術後の閉鎖的持続洗浄は感染再燃の予防として有効な手段であると思われた.
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  • 下江 安司, 金香 充範, 安田 理
    71 巻 (2010) 8 号 p. 1980-1984
    公開日: 2011/02/25
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    腸骨動脈瘤に合併した腹腔動脈瘤と上腸間膜動脈瘤の症例を経験したので報告する.症例は51歳男性,検診のエコーで肝血管腫を指摘され,精査CTで最大径6cmの総腸骨動脈瘤と2.1cm大の腹腔動脈瘤と2cmから1.8cm大の3個の上腸間膜動脈瘤を認め紹介となった.手術は下腸間膜動脈分岐部より末梢の腹部大動脈からY型人工血管置換と,腹腔動脈瘤切除術,上腸間膜動脈瘤切除術,大伏在静脈を使用し,固有肝動脈へ1本と上腸間膜動脈の動脈瘤の末梢および動脈瘤から起始する中結腸動脈と2本の大きな空腸動脈への血行再建術を施行した.術後経過はS状結腸の虚血性腸炎による血便が数日認められたが,次第に軽快,術後30日目に退院となった.本症例のように多発腹部内臓動脈瘤の血行再建手術は稀であり,文献的考察を加えて報告する.
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  • 川端 俊太郎, 尾関 雄一, 田中 聖子, 服部 有俊, 前原 正明
    71 巻 (2010) 8 号 p. 1985-1989
    公開日: 2011/02/25
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    症例は52歳,女性.検診時の胸部X線写真で左下肺野に約1cm大の腫瘤影を指摘され近医を受診した.胸部CTで左肺舌区に境界明瞭な結節影を認め,肺動静脈瘻を疑われて当院を紹介された.3D-CTで左肺S4末梢に8mm大の結節影と結節に流入出する肺動静脈を認めたため肺動静脈瘻と診断し,胸腔鏡下に腫瘤を含めた左肺S4部分切除術を施行した.肺動静脈瘻は常染色体優性遺伝疾患であるRendu-Osler-Weber病の部分症状として認められることがあるが,本症例は遺伝性を認めず,単発性であり,口唇などの毛細血管拡張を認めなかった.
    孤立性肺動静脈瘻の術前評価に3D-CTが有用であった症例に対して胸腔鏡下肺部分切除術を施行し,良好な結果を得たので若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 福永 亮朗, 笹村 裕二, 武山 聡, 沼田 昭彦, 子野日 政昭, 高田 明生
    71 巻 (2010) 8 号 p. 1990-1994
    公開日: 2011/02/25
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    症例は66歳,女性.9年前より右肺の結節影を指摘され経過観察中であったが,腫瘤の増大傾向を認めたため診断治療目的で外科紹介となった.CT上は右S4に2cm大の腫瘤と両側多発性に5mm以下の結節影を認めた.悪性も否定できないため診断の目的で右S4の腫瘍に対し,胸腔鏡下中葉切除を行った.切除標本の病理組織検査にて肺類上皮血管内皮腫(pulmonary epithelioid hemangioendothelioma,以下PEH)の診断を得た.PEHは進行性で低悪性度の血管内皮細胞由来の腫瘍であり,稀な疾患である.手術後2年経過したが,胸部CT上残存する結節影の増大傾向を認めず無症状であるため,無治療で経過観察中である.
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  • 木村 亨, 竹内 幸康, 楠本 英則
    71 巻 (2010) 8 号 p. 1995-1999
    公開日: 2011/02/25
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    症例1は64歳,男性.呼吸困難で受診し胸部X線検査で右気胸と診断,当院紹介となった.入院時胸部CTで右肺S9に4cm大の腫瘤を認め,気管支鏡下擦過細胞診にて肺腺癌と診断,右肺下葉切除術(ND2a)と上葉ブラ切除を施行し腺癌p-T2N0M0,IB期であった.術後17カ月現在,無再発生存中.症例2は58歳,男性.咳嗽後の呼吸困難で受診し胸部X線検査で右気胸と診断,当科紹介となった.入院時胸部CTで右肺S1に4cm大の腫瘤を認め,気管支鏡下擦過細胞診にて肺癌と診断,右肺上葉切除術(ND2a)を施行し扁平上皮癌p-T4(pm1)N0M0,IIIB期であった.コントロール不良な糖尿病と脳梗塞の既往より術後補助化学療法は施行せず.術後23カ月現在,無再発生存中.
    気胸の診療においては,悪性腫瘍の合併を念頭に置く必要があると思われた.
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  • 西川 敏雄, 二宮 卓之, 藤原 俊哉, 片岡 和彦, 松浦 求樹
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2000-2004
    公開日: 2011/02/25
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    症例は66歳,男性.2002年11月呼吸困難,動悸にて近医を受診,精査にて胸水および心嚢水を指摘された.画像上右肺門部に腫瘤影と縦隔,頸部,鎖骨上リンパ節の腫大を認め,右肺尖部には炎症後と考えられる結節影を認めた.他臓器には異常を認めなかった.胸水および心嚢水の細胞診にて腺癌との診断であり,stageIIIBの肺癌と診断した.CBDCA+paclitaxelによる化学療法を4コース施行し,PRとなったため以後経過観察されていた.2009年5月右肺尖部に新たな結節影を認めた.肺門部の陰影に変化は認めなかった.PETでは肺尖部の新たな結節影にはFDGの集積を認めたが,肺門部,リンパ節および他臓器には集積を認めなかった.肺癌再発との術前診断にて手術を施行し腺癌との診断であった.本症例は,初回化学療法を施行した病変が原発不明肺門縦隔リンパ節癌でありその治癒後に新たに肺癌が発生したものと考えられた.
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  • 鈴木 研裕, 柵瀬 信太郎, 武田 崇志, 須藤 一起, 塩崎 弘憲, 小野寺 久
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2005-2010
    公開日: 2011/02/25
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    今回われわれは,比較的稀な成人発症の横隔膜ヘルニアに対して,腹腔側に接する部分がexpanded polytetrafluoroethylene(以下ePTFEと略す)から成る2層性の人工膜を用いて修復した3例を経験したので報告する.
    (症例1)45歳女性.健診で胸部異常陰影を指摘され来院.消化管造影にて腸回転異常症を伴うBockdalek孔ヘルニアと診断.開腹したところ欠損部は8×8cmでePTFE bonded meshにて修復した.(症例2)69歳女性.入院中排便時に腹痛・呼吸苦が出現.Bockdalek孔ヘルニア嵌頓の診断にて緊急開腹術を施行.欠損孔は7×5cmでePTFE bonded meshにて修復した.(症例3)36歳女性.繰り返す嘔吐の精査で見つかった食道裂孔滑脱ヘルニアに対し開腹術施行.ヘルニア門は10×6cmで,縫縮した後にePTFE bonded meshにて補綴した.横隔膜ヘルニアに対してはヘルニア門を単純縫合することが多いが,欠損孔が大きな場合にはePTFE製人工膜を用いた修復が有効であると考えられた.
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  • 入江 朋子, 木下 公史
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2011-2015
    公開日: 2011/02/25
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    内視鏡治療の普及とともに医原性消化管穿孔の報告も増えている.今回われわれはESD施行中に医原性食道穿孔をきたした症例を経験した.症例は62歳男性.検診で発見された中下部食道にある4cm大の食道癌をESDで切除した.施行直後から皮下気腫を認め,CTで縦隔気腫と両側気胸を認めた.外科紹介となり,緊急手術で両側縦隔・胸腔ドレナージを行った.8PODに食道造影で漏れがないことを確認した後に経口摂取を開始し,12PODにドレーン抜去,22PODに軽快退院された.食道穿孔の80%が医原性であるが,診断や治療の遅れで致命的な合併症になることもあり,保存的加療か手術かを判断するのは難しい.今回の症例について治療選択が適切であったかについて検討した.保存的および外科的治療それぞれの適応について熟知しておくことで過不足ない管理ができるよう心がけておく必要がある.
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  • 的野 吾, 田中 寿明, 永野 剛志, 村田 一貴, 白水 和雄, 藤田 博正
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2016-2020
    公開日: 2011/02/25
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    食道癌に対する,根治的治療として化学放射線療法(definitive chemoradiotherapy:dCRT)が広く行われるようになった.そのため,遺残・再発に対するsalvage surgeryの機会が増えている.食道癌取扱い規約第10版には,salvage surgeryの中に,食道切除術だけでなく,リンパ節郭清術や内視鏡的治療も含まれている.
    私達は,StageIVa食道癌に対し,dCRTを施行し,完全奏効となった後,腹部リンパ節再発をきたしたため,salvage surgeryとして腹部リンパ節郭清術を施行した症例を2例経験した.1例は,術後2.2年で癌死したが,もう一例は,術後2.8年無再発生存中である.
    Salvage surgeryとしての腹部リンパ節郭清術は,有用な治療のひとつと考えられる.
    今後このような食道切除以外のsalvage surgeryの増加が予想される.
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  • 武藤 頼彦, 鍋谷 圭宏, 谷澤 豊, 林 秀樹, 谷澤 徹, 落合 武徳, 松原 久裕
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2021-2025
    公開日: 2011/02/25
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    症例は70歳代後半の男性.検診で胃癌が発見され,術前の上部消化管内視鏡検査にて体上部2カ所と幽門部の計3カ所に多発する分化型早期胃癌の診断となり,胃全摘術を施行した.病理組織学的検索にて,術前診断し得なかった2病変を含む5カ所の多発早期胃癌を認めた.全て分化型の粘膜癌で転移はなくfT1N0H0P0CY0M0のfStageIaであった.さらに,粘膜下層から漿膜下層に日本住血吸虫卵が散在し,癌周囲で虫卵数が多い傾向を認めた.一方,背景胃粘膜に萎縮や腸上皮化生変化は少なかったが,免疫染色の結果から腫瘍胃粘膜は腸型形質を有していた.術後3年健在で,再発の兆候を認めない.全て分化型の同時性多発胃粘膜癌は極めてまれである.本症例は腸上皮化生を背景とせず,日本住血吸虫卵の存在が発癌に関与した腸型の多発早期胃癌の可能性が考えられる.稀少性とともに胃発癌機序解明の点からも貴重な症例と思われ,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 芳澤 淳一, 石坂 克彦, 柴田 均, 中村 学
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2026-2032
    公開日: 2011/02/25
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    症例は82歳,男性.労作時の息切れを主訴に受診した.上部消化管内視鏡検査で胃前庭部大彎に3型病変を認め胃癌と診断された.また,胸部CTで右肺底部に不整形の分葉状結節陰影があり肺癌が疑われた.さらに入院時検査で血小板数の低下があり,特発性血小板減少性紫斑病(ITP)と診断された.ITPに対し術前に免疫グロブリン大量療法を行うも血小板の十分な増加は得られず,ステロイドを投与して手術を行った.手術では左胃動脈を温存した幽門側胃切除,D1+α郭清および脾摘を行った.ITP合併胃癌では個々の症例により脾摘の必要性を検討し,癌の部位と進行度等により適切なリンパ節郭清と胃の切除範囲を判断する必要がある.幽門側胃切除と脾摘を同時に行う際には,残胃への血行を保つ工夫を行うことで同時に安全に施行できると考えられる.本稿ではITP合併胃癌に対する術前管理,手術方針,これまでの報告につき文献を踏まえて考察する.
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  • 廣瀬 淳史, 伏田 幸夫, 木下 淳, 尾山 勝信, 藤村 隆, 太田 哲生
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2033-2037
    公開日: 2011/02/25
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    症例は71歳,男性.2001年に原発不明肝腫瘍にて肝外側区域切除施行,病理組織学的診断にてカルチノイドの診断となった.以降2005年3月までに肝転移再発で2回transcatheter hepatic arterial embolization(以下TAE)を施行.2005年3月に回腸末端腸間膜リンパ節の腫大を認め手術施行.腫大リンパ節近傍の小腸に腫瘍を認め切除.病理組織学的検査にてカルチノイドの診断となり,また免疫染色検査で肝臓と同様の所見を呈し小腸原発と判断.以降肝転移巣に対し2008年3月までに4回のTAEを施行.
    2008年3月に腸閉塞を発症,CTでカルチノイド腹膜播種再発に伴う腸閉塞の診断にてバイパス術を施行.術後外泊可能なまでに回復したが2008年5月に永眠された.小腸カルチノイドはまれな疾患であり,集学的治療にて6年半の長期生存を果たした例はごくわずかである.若干の考察を交え報告する.
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  • 木下 智成, 藤田 晃司, 森 克昭, 菊永 裕行, 三上 修治, 熊井 浩一郎
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2038-2042
    公開日: 2011/02/25
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    症例は68歳,女性.2006年にS状結腸癌に対しS状結腸切除術(D2)を施行した(fStageIIIb).2008年以降イレウスにて入院を繰り返したがすべて保存的治療にて軽快した.2009年6月イレウスのため再度入院し,腹部CT検査で回腸の壁肥厚を認めた.ロングチューブからの造影検査で回腸末端より口側20cmに腫瘤陰影を認め,小腸腫瘍によるイレウスと診断し同月に手術を施行した.回腸末端より20cmに径60mm大の全周性腫瘍を認め,回腸部分切除術を施行した.切除標本の病理組織学的検査では免疫組織学的染色,KRAS遺伝子変異も含めS状結腸癌と小腸腫瘍は酷似しており,小腸腫瘍はS状結腸癌の孤立性小腸転移と診断した.大腸癌による小腸転移の多くが播種性転移であり,血行性またはリンパ行性転移が考えられる本症例のような孤立性小腸転移は稀であると考えられた.
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  • 米山 公康, 伊藤 精彦, 田原 秀晃
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2043-2046
    公開日: 2011/02/25
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    何らかの症状をきたし外科的切除される悪性黒色腫小腸転移例は稀である.今回われわれは穿孔性腹膜炎をきたし,手術を施行した1例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は59歳,男性.2年前に頭部皮膚悪性黒色腫の切除歴があり,多発リンパ節,肺,肝,小腸転移をきたしていた.免疫療法のため当科へ入院中,突如腹痛が出現し,腹部単純レントゲン写真上腹腔内遊離ガス像を認め,腹部CTスキャンにおいて小腸転移の穿孔と診断,緊急手術を行った.開腹すると約8cm大の穿孔した単発の腫瘤を認め,小腸部分切除を行った.術後経過は良好であったが,肺転移の急速な増悪のため術後2カ月に永眠された.悪性黒色腫転移例の予後は極めて不良である.予後が望めなくとも救命のために外科的手術を行わねばならない場合がある.化学療法,免疫療法を含めた集学的治療の発展,展開が望まれる.
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  • 土屋 智敬, 平松 聖史, 尾辻 英彦, 田中 寛, 木村 明春, 待木 雄一
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2047-2051
    公開日: 2011/02/25
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    症例は39歳,女性.食思不振を主訴に当院を受診,精査・加療目的に入院となった.既往として卵巣癌にて2008年3月子宮全摘術・両側付属器切除術を施行,病理診断は粘液嚢胞腺癌pT1cN0M0であった.術後10カ月の2009年1月,腹膜再発にて腫瘍摘出術を施行した.術後化学療法としてTC療法を5コース施行した.今回の入院時CTでは骨盤内の占居性病変を認め,注腸検査,大腸内視鏡検査では粘膜の変化を伴わない直腸狭窄像を認めた.卵巣癌の局所再発とそれに伴う直腸狭窄と診断し手術を施行した.手術所見では小腸に腫瘍性病変を認め,周囲への浸潤は認めなかった.回腸部分切除を施行し,術後経過は良好であった.病理組織学的では卵巣癌と同様の乳頭状に増殖する明細胞様の腺癌を回腸粘膜下層を主体に認め,血行性転移による卵巣癌異時性小腸転移が示唆された.
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  • 佐藤 梨枝, 下村 誠, 谷口 健太郎, 小倉 嘉文, 世古口 務
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2052-2056
    公開日: 2011/02/25
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    症例は19歳,女性.主訴は右側腹部痛である.腹部所見にて右側腹部が膨瘤し,同部に圧痛を伴う手拳大の弾性軟な腫瘤を触知した.腹部X線写真上は右側腹部に限局し,集簇する異常ガス像を認めた.腹部CTではmultiple concentric ring signを認め,先進部にはair densityを多く含む腸管を認めた.腸重積の診断にて第2病日,手術を施行.開腹すると回腸結腸型の腸重積を認めた.重積を解除すると盲腸から上行結腸に多発するソフトな腫瘤を触知した.術中大腸内視鏡検査にて上行結腸に内腔に突出する多発粘膜下腫瘍を認め,右半結腸切除術を施行した.切除標本では粘膜下に多発する気腫性嚢胞の像を認め,腸管嚢腫様気腫症と診断した.
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  • 松本 直基, 寺崎 正起, 岡本 好史, 鈴村 潔, 田中 顕一郎, 伊藤 貴明
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2057-2062
    公開日: 2011/02/25
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    症例は73歳,男性.既往に胆嚢摘出術,総腸骨動脈瘤に対してYグラフト置換術を施行されている.現在までに有機溶剤の暴露歴はない.3年前からイレウスを繰り返し,6カ月前,開腹手術を施行したが,明らかな閉塞部位を認めず,以後は特発性慢性偽性腸閉塞症の診断で経過観察していた.今回,強度の腹痛が出現し受診した.CTにて腸管嚢胞様気腫症を疑ったが,強い自発痛を認めたため緊急開腹術を施行するも腸管壊死は認めなかった.退院数日後に腹部膨隆で再入院した.CTにて高度な門脈ガス血症と腸管気腫を認めたが,腹膜刺激症状を認めず,前回にも類似エピソードを認めたことから厳重な経過観察を選択した.16時間後のCTでは,門脈ガスと腸管気腫は消失していた.最終的には,重度低栄養から肝障害が進行して死亡した.画像上腸管壊死が否定できない場合の保存的治療の可能性について,文献的考察を加え検討した.
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  • 今井 智大, 山本 明広, 江口 孝行
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2063-2065
    公開日: 2011/02/25
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    症例は72歳,女性.高血圧,鉄欠乏性貧血で当院内科通院中であった.両下腿浮腫で外来受診され,ネフローゼ症候群を指摘されていた.受診翌日に血便,腹痛を主訴に当院内科外来を再受診.右側腹部に腫瘤を触れ,腹部CTで上行結腸の腸重積とそれに伴う腸閉塞像を認めた.イレウス管による減圧によっても改善を認めず,手術を施行した.回結腸型の腸重積であった.用手的に整復を試みたが不可能であった.腫瘍による腸重積も考え,回盲部切除を行った.病理所見では重積部には腸管浮腫のみで,特発性腸重積症と考えられた.術後にステロイドパルス療法などを行い,現在ネフローゼ症候群は寛解状態にある.他疾患に併存した成人特発性腸重積症は本邦ではこれまで報告が無く極めて稀な症例であったと思われる.
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  • 上向 伸幸, 小島 博文, 長堀 優, 小尾 芳郎, 阿部 哲夫, 廣岡 信一, 中村 恭一
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2066-2071
    公開日: 2011/02/25
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    症例は82歳,男性.食欲不振,腹痛を主訴に当院消化器科受診.腹部CTにて横行結腸癌,これによる腸閉塞と診断され当科紹介となった.大腸内視鏡検査で内腔全体を占める1型腫瘍を認めた.緊急に人工肛門造設術を施行し,その1カ月後に根治術を行った.腫瘍は1カ月で急速に増大していた.病理組織学的検査所見にて内分泌細胞癌の所見は認めず,未分化癌と診断された.壁深達度はSSで,リンパ節転移は認めず,StageIIであった.術後約3カ月で局所再発,腹膜転移をきたし,術後109日で癌死した.大腸未分化癌はまれで,その報告例が散見されるに過ぎない.明確に内分泌細胞癌と区別された大腸未分化癌本邦誌上報告例からその臨床的特徴をまとめた.大腸未分化癌は急速に進行し,短期間での再発が多く予後不良であった.有効な治療法は手術以外に見当たらないが,根治術後の再発も多く,進行例では有効な集学的治療法の検討が必要である.
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  • 谷口 文崇, 赤在 義浩
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2072-2075
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,女性.2001年10月,上行結腸癌に対し回盲部切除,D3郭清を施行した.組織学的には粘液癌SE N0 Stage IIであった.2002年8月,腹部CTにて右腎下部およびS状結腸近傍に再発を指摘され,小腸部分切除,S状結腸切除,横行結腸切除および右卵巣切除を行った.さらに2003年1月,臍右側に腹壁に浸潤する腫瘤および胃幽門輪近傍に胃壁に浸潤する腫瘤を認め,腫瘤摘出および幽門側胃切除,Billroth I法再建を行った.その際腹腔内に小結節散見し,2カ所術中迅速病理検査に提出したところ播種と診断されたため,肉眼的に確認できる小結節を可及的に切除した.組織学的には,同様に粘液癌で播種病変と考えられたが,小結節に関しては,術中迅速検査に提出した検体以外は炎症性の結節であった.術後化学療法はいずれも副作用出現し中断した.その後,最終手術より7年経過した現在でも無再発生存中である.
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  • 杉本 貴昭, 王 孔志, 岡田 敏弘, 佐竹 真, 岡本 共弘, 藤元 治朗
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2076-2080
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    先端巨大症は下垂体腺腫より成長ホルモンが過剰分泌される比較的稀な疾患である.大腸や乳腺,前立腺などの悪性腫瘍を合併することが近年報告されている.症例は71歳の女性で,12年前に先端巨大症,下垂体腺腫に対してHardyの手術を施行された.術後通院は自己にて中断していた.排便時出血を認めたため,近医受診.痔疾を指摘され加療を受けたが,症状が続くため消化管を精査されたところ,S状結腸に1型腫瘍を認め,加療目的にて当科紹介となった.全身精査にてびまん性甲状腺腫大を認めるのみで転移所見はなかった.S状結腸切除を行い,良好に経過した.内分泌機能検査では成長ホルモンおよびIGF-1が高値であり,下垂体腺腫切除後,成長ホルモン過剰分泌抑制が不十分であった先端巨大症に合併したS状結腸癌と考えられた.ブリモクリプチンの投与を開始し,外来にて経過観察を行っている.
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  • 今川 敦夫, 市川 剛, 川崎 誠康, 福長 洋介, 藤尾 長久, 亀山 雅男
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2081-2085
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    症例は83歳,男性.直腸肛門管癌(RbP,2型,60×80mm,tub2,pA,ly1,vo,pN3(腸管傍リンパ節と左側方リンパ節陽性),M1(左鼠径リンパ節),pStageIV)に対して腹会陰式直腸切断術と左側方・左鼠径リンパ節郭清を施行した.4カ月後右側方リンパ節再発に対して外科的切除と術後化学療法,さらに4カ月後右鼠径リンパ節転移に対して外科的切除と術後放射線療法を行った.今回は,初回手術から1年9カ月後に骨盤外骨盤底筋周囲に局所再発をきたしたため,外科的切除と術後化学放射線療法を行った.現在3度目の再発切除後より1年以上経過するが無再発生存中である.本症は直腸肛門管癌術後再発としては稀な骨盤外骨盤底筋周囲局所再発をきたしたが,術後化学放射線療法を加えた外科的切除が有用であった.
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  • 長尾 祐一, 日暮 愛一郎, 矢原 勝哉, 山口 幸二
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2086-2089
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    今回,術前温熱放射線化学療法が奏効し,根治術を施行することができた肛門管癌症例を経験したので報告する.症例は63歳,男性.肛門部腫瘤と疼痛にて来院した.受診時,肛門から臀部にかけて径5.5×7cm大の自壊を伴った腫瘍性病変を認めた,精査にて高分化型肛門管腺癌と診断された.ストーマ造設の上,術前温熱放射線化学療法を施行したところ,腫瘍は著明に縮小し,腹陰式直腸切断術と鼠径部リンパ節を含むリンパ節郭清術を施行し,大腿筋皮弁術および植皮術にて再建した.現在,肛門管癌に対する放射線化学療法は広く普及されている補助療法であるが,温熱療法を併用することにより腫瘍縮小効果はさらに高まると考えられた.肛門管外に巨大発育した肛門管癌に対する手術では会陰部切除が広範囲となり,術前の腫瘍縮小は再建においても非常に重要であると思われる.副作用の少ない温熱療法は術前補助療法として期待される治療法であると考えられた.
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  • 清水 誠一, 福田 三郎, 有田 道典, 先本 秀人, 江藤 高陽, 高橋 信, 西田 俊博
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2090-2095
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    腎癌術後に肝転移再発と鑑別困難であった,肝副葉の1例を経験した.
    症例は59歳,男性.平成16年,右腎癌に対して手術施行されたが,術前のComputed tomography(CT)では肝腫瘤は認めていなかった.腎癌術後6カ月のCTで肝左葉に1cm大の腫瘤を認め,その後増大傾向を認めた.Dynamic CTでも造影効果を認めたため,転移性肝腫瘍を疑った.手術を施行したところ,肝外側区域から被膜を介して肝外に伸びる母指頭大の腫瘤を認め,切除した.
    摘出標本では,被膜内に門脈,動脈,胆管を認め,腫瘤は正常肝組織であり肝副葉と診断された.
    肝副葉は手術時などに偶然発見されることが多いが,本症例は術前に転移性肝腫瘍と鑑別困難な症例であったため,文献的考察を加えて報告した.
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  • 藤原 謙次, 中村 雅史, 田中 雅夫
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2096-2099
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    肝嚢胞は日常診療においてよく遭遇する病変で,通常無症状に経過し臨床的に問題となることは少ない.今回,われわれは幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(PpPD)後に,肝嚢胞に感染を生じた2例を経験した.1例目は77歳男性で,膵頭部癌に対する術後1年3カ月に発熱および腹痛が出現し,CT所見によって感染性肝嚢胞と診断,2例目は75歳女性で膵管内乳頭粘液性腺腫に対するPpPD術後2カ月で肝嚢胞感染を発症した.いずれの症例も抗生剤投与および経皮経肝膿瘍ドレナージで治癒した.肝嚢胞を有する症例で胆道再建を行った際は,胆管炎のみならず嚢胞感染を生ずる可能性を念頭において経過観察する必要があることが示唆された.
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  • 富沢 賢治, 佐々木 一成, 松田 正道, 橋本 雅司, 宇田川 晴司, 澤田 寿仁
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2100-2104
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    症例は36歳,男性.母がB型肝炎ウイルスキャリアであり,26歳時に慢性肝炎と診断され,以降lamivudine内服にて経過観察されていた.2009年4月の超音波で肝S3に腫瘤影を認め,精査施行したところ単純CTで低吸収域,造影CTにて乏血性,MRIのT1強調で低信号,T2強調で軽度の高信号域を認めた.背景に慢性B型肝炎が存在し,肝細胞癌を完全に否定できず,肝S3部分切除術を施行した.病理にて悪性リンパ腫diffuse large B cell lymphomaと診断された.肝原発悪性リンパ腫は非常に稀な疾患で,このうちHBV陽性例の報告は9例目で,切除例は7例目となる.過去の報告例とともに文献的考察を加えて報告する.
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  • 田上 聖徳, 前村 公成, 益満 幸一郎, 池江 隆正, 上野 真一, 夏越 祥次
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2105-2109
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    術前に指摘できなかった副交通胆管枝(communicating accessory bile duct,以下CABD)を有する胆嚢・総胆管結石症を腹腔鏡下に切除しえた1例を経験したので報告する.症例は45歳女性.主訴は腹痛で,造影CT,腹部超音波検査で胆嚢・総胆管結石症と診断され,緊急入院となった.胆嚢摘出に先行し,内視鏡的総胆管結石排石術を施行した.ERCPとDIC-CTでは胆管異常は指摘できなかった.腹腔鏡下胆嚢摘出術所見では結石が充満した胆嚢頸部の一部が肝門部方向へ連続しており,一部切開と結石除去後に胆汁漏出を認めた.術中造影で右後区枝根部付近より分枝したCABDと診断した.CABDを根部で結紮し,腹腔鏡下手術を完遂した.本症例はCABD内に結石が充満しており,術前の画像診断が困難であった.このような症例ではCABDの存在を念頭に入れた胆嚢の処理と術中造影による確認が必須と思われた.
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  • 山内 靖, 加藤 大祐, 佐々木 隆光, 新屋 智志, 星野 誠一郎, 山下 裕一
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2110-2114
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    54歳女性.検診で肝機能異常を指摘され当科紹介となった.腹部超音波および腹部CT検査で胆嚢内結石と肝内胆管の拡張を認めた.Mirizzi症候群または上部胆管腫瘍が疑われ経皮経肝胆道鏡(PTCS)を施行したところ,左右肝管合流部直下に嵌頓した結石を認めた.
    PTCS下砕石後の胆管造影およびPTCSで,総肝管は本来の位置に存在せず,後区域胆管枝を除く肝内胆管が異常な胆管交通枝(cystohepatic duct)を介して胆嚢管に合流する胆道奇形の存在が明らかとなった.後区域胆管枝は,cystohepatic ductを介さずに単独で総胆管に合流していた.この所見より,本例は胆石がcystohepatic ductと胆嚢管の合流部に嵌頓したために,Mirizzi症候群様の所見を呈したものと考えられた.胆嚢摘出のみ施行し経過観察を行っているが,現在までに結石の再発や胆汁鬱帯所見は認めていない.
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  • 山本 篤, 小島 隆司, 妙中 直之, 松村 雅方, 西村 重彦
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2115-2118
    公開日: 2011/02/25
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    われわれは,高齢者の胆石イレウスに対して腹腔鏡補助下にイレウス解除術を行った症例を経験したので報告する.症例はアルツハイマー型認知症を合併する83歳男性で,腹痛・嘔吐を主訴とし脱水・腎機能障害がみられた.腹部CT検査にて小腸・大腸は拡張し,回腸末端に24×23mm大の石灰化した結石を認めた.肝に胆道内ガス像を認めるも,胆嚢は同定できなかった.イレウス管造影検査にて回腸に嵌頓結石を認め,以上より胆石イレウスと診断し,保存的加療困難と考えて,緊急手術を施行した.腹腔鏡にて観察すると胆嚢周囲の癒着が著しく,全身状態を考慮して小開腹創より結石嵌頓部分の小腸部分切除のみを行った.胆石イレウスに対する手術治療に関しては,胆道系操作とイレウス解除術を1期的にするか2期的に行うかを年齢や合併症および全身状態,胆道系の状態を考慮して選択する必要があり,腹腔鏡下での観察や処置の低侵襲性は有用と思われた.
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  • 伊藤 貴洋, 磯谷 正敏, 原田 徹, 金岡 祐次, 亀井 桂太郎, 前田 敦行
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2119-2123
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    症例は80歳,男性.発熱と右季肋部痛を主訴に近医を受診し肝胆道系酵素の上昇,炎症反応高値を認め精査加療目的に当院に紹介となった.腹部CTにて胆嚢壁のびまん性肥厚と壁内に嚢胞状の低吸収領域,近接する肝床肝門部の不整な低吸収領域,さらに門脈右枝の閉塞と右葉胆管枝の軽度拡張を認めた.黄色肉芽腫性胆嚢炎と胆嚢癌の鑑別が困難なため最終的に拡大肝右葉切除,右尾状葉切除,肝外胆管切除再建を施行した.摘出標本の組織学的検索の結果,悪性所見は認めず胆嚢から肝,肝外胆管へと広がる広範囲な炎症性肉芽反応を認め,泡沫状に腫大した組織球が目立ち黄色肉芽腫性胆嚢炎と診断した.門脈右枝は肉芽組織による閉塞であった.門脈閉塞を合併した病態はまれであるため,文献的考察を加えて報告する.
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  • 和泉 秀樹, 早津 成夫, 吉竹 公子, 石塚 裕人, 原 彰男, 牛島 康榮
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2124-2128
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    64歳,男性.上腹部痛を主訴に来院した.WBC 11,390/μl,CRP 5.85mg/dlであり,腹部CT検査にて胆嚢の軽度腫大および胆嚢壁の軽度肥厚を認めた.胆石は認めず,気腫性変化も認めなかった.急性胆嚢炎と診断し,保存的治療を開始した.翌日になり症状増悪したため,再度腹部CT検査を施行したところ,胆嚢周囲および胆嚢内に気腫性変化を認めた.気腫性胆嚢炎の診断で腹腔鏡下胆嚢摘出術を試みたが,癒着が強固であり,開腹移行となった.第13病日に退院となった.
    気腫性胆嚢炎は,壊死・穿孔の確率が高く重症化しやすい疾患であり,早急に治療を開始する必要がある.しかし,ガス産生するまで24時間以上要するため,発症直後には診断が困難な場合がある.症状増悪時には本症を念頭に置いた再検査が重要であると思われた.また,積極的に腹腔鏡下手術を行い,癒着が強固な場合は,躊躇なく開腹手術に移行すべきと思われた.
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  • 佐々木 貴浩, 小林 慎二郎, 小泉 哲, 朝倉 武士, 中野 浩, 大坪 毅人, 小池 淳樹, 土居 正知
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2129-2133
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    胆嚢癌の組織型は腺癌が主であり,小細胞癌の報告は稀である.今回,われわれは胆嚢原発小細胞癌の1例を経験したので報告する.患者は66歳,男性.腹痛で他院受診,当初は胆嚢炎と診断され胆嚢ドレナージを施行された.しかし,その後胆嚢癌が疑われたため,当院に紹介受診となった.来院時血液検査では炎症反応は認めず,CA125が40.2U/mlと上昇していた.CTで胆嚢底部に45×39mmの充実性腫瘍を認め,一部漿膜側に突出していたが周囲リンパ節の腫大は認めなかった.多臓器転移も認めなかったので手術を施行した.腹腔鏡で明らかな腹膜播種のないことを確認した後,開腹した.腫瘍の明らかな漿膜面への露出はなく,周囲リンパ節腫大も認めなかった.胆嚢床切除術を施行した.病理診断はSmall cell carcinoma,SS,INFβ,ly1,v1,pn0,pHinf0,pBM0,pEM0であった.経過は良好で術後2年6カ月現在も外来通院中である.
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  • 福本 将人, 小泉 和也, 村林 亮, 三田 一仁, 林 剛, 伊藤 英人
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2134-2138
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,男性.2007年5月上腹部痛にて当院を受診した.上腹部内視鏡検査にて十二指腸下行脚に粘膜下腫瘍様の隆起を認め,生検を施行した.病理結果は炎症のみであった.2008年5月経過観察目的の内視鏡検査にて同部位にびらんを認め生検を施行した.
    serrated adenoma with severe atypiaとの病理結果であった.腹部造影CT検査では十二指腸管腔内へ突出する隆起性病変を認めた.リンパ節転移や肝転移を示唆する所見は認めなかった.7月十二指腸楔状切除術予定で開腹したが十二指腸の腫瘍は膵頭部と一塊となっており楔状切除は不可能であった.
    3日後,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.経過良好で術後29日目軽快退院となった.病理検査では副膵管領域原発膵癌との診断を得た.今回われわれはまれな疾患である副膵管領域原発膵癌を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 横井 繁周, 飯田 敦, 本多 桂, 五井 孝憲, 片山 寛次, 山口 明夫
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2139-2144
    公開日: 2011/02/25
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    症例は14歳,女性.2008年1月頃より持続する左季肋部痛を自覚し,脾臓に腫瘍性病変を指摘された.症状は増悪し,腫瘍径の増大も認められたため当院へ紹介された.腹部超音波検査で脾臓の上極寄りに境界不明瞭で内部不均一な腫瘍を認めた.腹部CTでは脾臓から突出する径約5cmの境界明瞭な腫瘍を認め,単純で低吸収,動脈相から平衡相まで続く造影効果を示した.血管構築像でも血管に富んだ球状の腫瘍が描出された.MRIではT1強調で同~低信号,T2強調では高信号を示した.以上より,脾血管腫疑い,切迫破裂と診断し,準緊急で腹腔鏡下脾摘出術を施行した.標本は被膜下に突出する充実した腫瘍を認め,病理診断で,髄索毛細血管腫に亜分類される赤脾髄型脾過誤腫と診断された.切迫破裂をきたしたと考えられる症例は本邦報告14例と稀であったが,腹腔鏡下脾摘術は安全に施行でき,よい適応と考えられた.
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  • 伊藤 元博, 土屋 十次, 立花 進, 熊澤 伊和生, 西尾 公利, 森川 あけみ, 三上 芳喜
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2145-2149
    公開日: 2011/02/25
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    症例は59歳,女性.14年前に左卵巣癌(粘液性嚢胞腺癌)にて両側付属器切除術,子宮全摘術を施行されていた(stageIa).右鼠径部膨隆を自覚し,当科を受診した.右鼠径部に3cm大の腫瘤を触知し,体位変換を行っても大きさは変化せず,用手還納も不能であった.USにて内部が均一な低エコー像を認め,CTにて右鼠径部に内部が均一で水と同等のCT値を持つ低吸収域を認めた.以上よりNuck管水腫の診断にて手術を施行した.腫瘤は鼠径管内に存在し,子宮円索と癒着していた.内鼠径輪の部位において腫瘤は硬い充実性組織で形成されていた.腫瘤摘出後,Mesh-plug法を施行した.病理組織学的検査では水腫内に類内膜腺癌を認め,免疫組織染色にてcytokeratin7(+),CA125(+),CEA(-),cytokeratin20(-)であった.Nuck管水腫内に発生した腺癌の報告例は自験例を含めて世界で3例しかない.
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  • 榎本 浩士, 高山 智燮, 松本 壮平, 田仲 徹行, 吉田 克法, 中島 祥介
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2150-2154
    公開日: 2011/02/25
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    症例は39歳,男性.2009年4月に生体腎移植を受け43日目に退院.退院後5日目の夜に突然激しい腹痛を認め当院受診.右下腹部の激しい痛みを訴えた.腹部エコー,CTにて胆石や胆泥は認めないが腫大した胆嚢と胆嚢周囲,モリソン窩,右横隔膜下に腹水の貯留を認めた.以前の画像に比べて胆嚢の腫大が縮小傾向で胆嚢穿孔が疑われ外科紹介となった.触診上,右季肋部を中心に著明な圧痛と反跳痛,筋性防御を認めた.炎症反応も高値を示し,胆嚢穿孔の疑いで同日緊急手術を行った.開腹所見は,腹腔内全体に胆汁混じりの腹水の貯留を認めた.特にモリソン窩において濃い胆汁の貯留を認めた.胆嚢の穿孔は認めず,消化管の穿孔も認められなかった.このため胆嚢摘出術と腹腔内洗浄を行った.術後経過は良好で術後9日目に退院.病理学的には,胆嚢の大部分で粘膜上皮は消失し,ほぼ全層性に変性・壊死に陥っていた.漏出性胆汁性腹膜炎は,胆嚢に明らかな穿孔を認めず胆汁漏出によって生じた腹膜炎であり,比較的まれな疾患である.胆嚢内胆汁鬱滞により血管・リンパ管の閉塞が生じ,胆嚢壁が阻血壊死に陥って胆嚢壁から胆汁の漏出を招いたものと考えられた.
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  • 竹原 清人, 荒田 尚, 重安 邦俊, 金澤 卓, 田中屋 宏爾, 竹内 仁司
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2155-2159
    公開日: 2011/02/25
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    症例は40歳代の女性.左側腹部痛と意識消失発作にて発症し,当院に救急搬送された.血管造影にて左卵巣動脈瘤破裂と考えられ,塞栓術を施行した.塞栓術後1カ月目のCTにて後腹膜血腫の増大を認め,外科的なドレナージが必要と考えられたため,後腹膜アプローチにて血腫除去術および止血術を施行し軽快した.卵巣動脈瘤破裂はきわめてまれな疾患であるが,女性の後腹膜血腫をみた場合,本疾患の可能性も念頭に置いて検査を進める必要がある.また塞栓術後に血腫の吸収が遷延する場合には外科的な血腫除去および止血術を積極的に考慮すべきと考えられた.
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  • 石多 猛志, 佐藤 裕二, 服部 正一, 村田 祐二郎, 坂東 道哉, 森 正樹
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2160-2164
    公開日: 2011/02/25
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    患者は48歳,女性.腹痛・嘔吐で翌日近医受診.イレウスの診断で当院紹介となった.既往にうつ病・拒食症がありBMI(Body mass index)12.9kg/m2と「やせ」が強かった.単純X線写真で拡張した小腸ガスとniveau像を認め,腹部CT所見では右閉鎖孔より大腿内側に逸脱した小腸を認めたが,壁の造影効果は保たれていた.以上より,右閉鎖孔ヘルニアと診断し開腹した.嵌頓は自然整復されていたが,回盲部から20cm口側の小腸約5cmにわたり発赤とその両端に圧痕を認めた.陥入したヘルニア嚢を切離し,メッシュシートで閉鎖孔を被覆した.術後経過良好で第10病日に退院し,術後18カ月現在再発を認めていない.2008年まで過去10年間で年齢の判明した569例中54歳以下は11例(1.9%)であった.BMIは11例中8例に記載され日本肥満学会基準で7例が「やせ」であった.比較的若年女性の閉鎖孔ヘルニアは,より「やせ」が著しいことが示唆された.
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  • 島田 和生, 轟木 秀一, 豊福 篤志, 横山 庫一郎, 渡辺 次郎, 久岡 正典
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2165-2168
    公開日: 2011/02/25
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    症例は33歳,女性.線維腺腫として経過観察中の右乳房の腫瘤が増大し,左乳房にも新たに腫瘤を触知したため受診した.諸検査の結果,葉状腫瘍が疑われたためwide excisionを行った.最終病理診断は胞巣状軟部肉腫の乳腺転移で,これは特有のASPL-TFE3融合遺伝子産物の発現からも確認された.以前からあった右大腿の腫瘍が原発巣と考えられたが,乳腺腫瘍摘出後に腫瘍が増大し疼痛が出現したため腫瘍切除を施行した.術後は,多発肺転移,脳転移,甲状腺転移,膵転移,左乳房皮下転移などをきたした.胞巣状軟部肉腫は主に大腿に後発する稀な腫瘍で,若年成人に多く,高率に転移をきたすが発育は比較的遅い腫瘍である.本症例のように乳腺良性腫瘍の診断でも急速増大するような場合は,原発と転移も含めて肉腫系の腫瘍の可能性も鑑別に挙げる必要があると思われた.
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  • 猪狩 公宏, 八木 雅幸, 藍原 有弘, 落合 高徳, 熊谷 洋一, 山崎 繁
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2169-2172
    公開日: 2011/02/25
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    腹部大動脈瘤と消化器悪性疾患の併存は時に経験することがある.その際に同時手術を施行するのか,二期的に手術を施行するのか,二期的手術ならばどちらの手術を優先するのか判断に苦慮することが多い.今回われわれは両疾患の合併例に対し同時手術を施行し,良好な経過を得られたので報告する.
    症例は85歳,男性.便秘を主訴に施行した大腸内視鏡検査で直腸癌を指摘された.術前精査目的の腹部CT検査で,65mmの腹部大動脈瘤が発見された.瘤径より破裂の危険性が高く,さらに腸閉塞症状もきたしていることより同時手術を選択した.まず腹部大動脈瘤に対して,瘤切除術,Y型人工血管置換術を施行した.後腹膜を完全に閉鎖した後,直腸癌に対しハルトマン手術を施行した.術後経過は良好であった.両疾患の併存例では症例によっては同時手術を選択した方がよいと考えた.
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  • 高橋 和裕, 黒木 則光, 文園 豊, 寺岡 恵
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2173-2178
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    膵頭部癌,上行結腸癌の同時性重複癌に対し,一期的に両病変とも切除できたので報告する.症例は66歳女性.腹痛,嘔吐を主訴に緊急入院した.大腸内視鏡にて上行結腸に2型の腫瘤を認め,生検にて中分化型腺癌と診断された.上部消化管内視鏡にて十二指腸に壁外性腫瘍浸潤を疑う病変あり.生検から中分化型腺癌を認めた.腹部CTでは上行結腸および膵頭部に非連続性の腫瘤病変をそれぞれ認めた.ERCPでは総胆管に圧排像を認めるも総胆管や主膵管に明らかな狭窄病変は認めなかった.CEA 42.8ng/ml,CA19-9 670U/ml,Span-1 132.5U/mlと上昇を認めた.上行結腸癌,膵頭部癌の診断にて,結腸右半切除術,膵頭十二指腸切除術を施行した.両病変にはCK7に対する免疫組織染色性に差を認め,上行結腸癌,膵頭部癌の同時性重複癌であると診断した.
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  • 朝倉 武士, 星野 博之, 小林 慎二郎, 小泉 哲, 中野 浩, 大坪 毅人, 前田 一郎, 高木 正之
    71 巻 (2010) 8 号 p. 2179-2184
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    症例68歳・男性.14年前肝機能障害,6年前右腎盂尿管癌.経過観察時に,腹部USで肝腫瘍指摘され入院.腹部画像検査で,肝S8に径3cm強の境界明瞭な腫瘍を認め,さらに膵鉤部には分葉状の3cm大の嚢胞性病変が描出した.肝腫瘍は,肝細胞癌・単発3cm以上.膵嚢胞性腫瘍は,膵管内乳頭粘液腫瘍(IPMN)分枝型・3cm以上・MPD軽度拡張があることより両病変とも手術適応と判断.肝障害度A,ICG15分補正値11%,背景肝が慢性肝炎状態であり,同時手術は避け肝前区域切除先行し,7カ月後に幽門輪温存膵頭十二指腸切除術施行.肝組織は,肝細胞癌単結節周囲増殖型.膵組織は,膵管内乳頭粘液性腺癌(IPMC)微小浸潤の混合型病変であった.IPMNは多臓器悪性腫瘍の合併が多く報告されている.今回,3重複癌である腎盂尿管癌術後の同時性肝細胞癌合併IPMCを報告する.
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