日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
71 巻, 9 号
選択された号の論文の60件中51~60を表示しています
症例
  • 服部 俊昭, 藤村 匠, 橋本 健夫, 阿部 定範, 田村 明彦, 勝又 貴夫
    2010 年 71 巻 9 号 p. 2473-2476
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/01
    ジャーナル フリー
    偽還納は鼠径ヘルニア嵌頓に伴う合併症として知られている.われわれは鼠径ヘルニア嵌頓症例において偽還納を経験したので報告する.症例は81歳,女性.2009年4月下旬からの腹痛を主訴に当院紹介となる.腹部CTにて鼠径ヘルニア嵌頓と診断した.用手還納後に手術施行.直接ヘルニアと診断したがヘルニア嚢は確認できなかった.Prolene Hernia Systemを用い根治術を施行した.術後もイレウスの改善がみられなかったため腹部CT施行し偽還納を疑った.腹腔鏡下に検索し偽還納であると診断した.イレウス解除術施行し,術後経過良好であった.鼠径ヘルニア根治術後のイレウスには偽還納を考慮する必要がある.イレウス解除を行う際,状況によっては腹腔鏡を用いることが有用であると思われた.
  • 近藤 禎晃, 中室 誠, 竹田 幹, 前田 庄平
    2010 年 71 巻 9 号 p. 2477-2480
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/01
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,男性.2009年10月自転車で走行中に車と衝突.下腹部打撲にて当院へ救急搬送された.バイタルサインは安定しており腹部CTでも臓器損傷は認めず,腹部打撲と診断し自宅での安静を指示した.しかし2日後に腹痛,嘔吐にて再受診.臍下部正中に膨隆を認め,同部に著明な圧痛を訴えた.腹部CTで皮下組織内に小腸が脱出しており,さらに口側腸管の拡張を伴い,外傷性腹壁ヘルニア嵌頓と診断し緊急手術を施行した.手術所見では白線部において筋膜から腹膜まで断裂しており,嵌頓小腸は壊死していた.他の腹腔内臓器には損傷は認めず小腸切除を行い,ヘルニアの修復は直接縫合閉鎖を行った.術後に創部感染を生じたが経過は良好であり,第39病日に退院した.
  • 猪狩 公宏, 藍原 有弘, 落合 高徳, 熊谷 洋一, 山崎 繁
    2010 年 71 巻 9 号 p. 2481-2485
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/01
    ジャーナル フリー
    症例は79歳,女性.77歳時に腹痛を主訴に当院を受診し,CT検査で右閉鎖孔ヘルニアを認め,下腹部正中切開による緊急手術を施行した.嵌頓した回腸は一部壊死していたため部分切除を行い,ヘルニア嚢は切除し,閉鎖孔にplugを,腹膜前腔にはpolypropylene meshをそれぞれ挿入し,mesh plug法にて修復した.その16カ月後に同様の腹痛を主訴に当科を受診し,CT検査で左閉鎖孔ヘルニアと診断した.用手的に還納できたため,待機的に鼠径法にてアプローチし,ヘルニア根治術を施行した.
    閉鎖孔ヘルニアは比較的まれな疾患であり,また術前診断は困難である.自験例ではいずれもCT検査で術前に閉鎖孔ヘルニアと診断し,治療することができた.また閉鎖孔ヘルニアは潜在的に両側性であることが示唆されており,対側の閉鎖孔ヘルニアの可能性を念頭に置いた診断,治療も必要であると考える.
  • 岩田 英之, 畑中 正行, 鈴木 哲郎, 堀 義城, 須佐 真由子, 鈴木 淳一
    2010 年 71 巻 9 号 p. 2486-2489
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/01
    ジャーナル フリー
    腰部における解剖学的抵抗減弱部位として上腰三角,下腰三角が知られており,まれに同部位にヘルニアが発生することがある.今回われわれはProlene Hernia System®を用いて修復した特発性上腰ヘルニアの1例を経験したので報告する.
    症例は71歳,男性.右腰背部腫瘤を主訴に受診した.右腰背部に,約7cm大の弾性軟な無痛性の腫瘤を認めた.CTにて右第12肋骨下縁より皮下に突出する後腹膜脂肪織を認めたため,上腰ヘルニアと診断し手術を施行した.手術所見では,ヘルニア嚢をもたない7cm×6cmの後腹膜脂肪織の脱出を認め,ヘルニア門は1.5cm大であった.脱出した脂肪織は用手的剥離により容易に還納でき,PHSを用いてヘルニア門を修復した.術後第3病日に退院し,1年4カ月を経過した現在,再発を認めていない.
  • 鈴村 和大, 黒田 暢一, 飯室 勇二, 吉田 康彦, 王 孔志, 藤元 治朗
    2010 年 71 巻 9 号 p. 2490-2494
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/01
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,男性.約30年前にS状結腸癌の治療歴あり.吐下血にて近医受診.上部消化管内視鏡検査にて十二指腸球部に2型腫瘍を認めた.また腹部CTにて膵尾部に腫瘍性病変を認め,精査加療目的にて当院入院.十二指腸癌および膵尾部腫瘍の診断にて膵全摘術を施行.術後は問題なく経過.病理組織学的検査では,十二指腸癌はmoderately differentiated adenocarcinomaであり,膵尾部腫瘍はpoorly differentiated adenocarcinomaであり,両者には病理組織学的に連続性は認めなかった.MUC1による免疫染色にて,十二指腸癌は陰性であり,膵尾部癌は陽性であった.以上の所見より,両腫瘍はそれぞれ独立して発生したものと考えられた.術後は5カ月で原因不明であるが,自宅にて死亡した.十二指腸癌と膵癌の同時性重複癌および結腸癌を含む3重複癌を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
支部・集談会記事
編集後記
feedback
Top