日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
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72 巻 , 1 号
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巻頭言
原著
  • 長谷川 洋, 坂本 英至, 小松 俊一郎, 久留宮 康浩, 法水 信治, 高山 祐一, 西前 香寿, 廣瀬 友昭, 神谷 忠宏, 日高 渉
    72 巻 (2011) 1 号 p. 1-5
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    急性胆嚢炎の腹腔鏡手術(以下LC)における経皮経肝胆嚢ドレナージ(以下PTGBD),特に早期PTGBDの意義について検討した.PTGBDを先行した待機的LCは119例であった.治療成績は,開腹移行4.2%,平均手術時間111分,発症からPTGBD 4.4日,PTGBDから手術32.8日であった.手術時間に影響する因子は発症からPTGBDまでの期間で,4日以内,特に2日以内では有意に時間が短縮した.また,術前の難易度評価5点以下,CRP値が短期に改善した例では有意に時間が短縮した.PTGBDから手術までの期間,術前の白血球数,CRP値には有意差を認めなかった.中等症以上の急性胆嚢炎例に対して安全に待機的LCを行うためには,PTGBDが有用であり,特に発症4日以内にPTGBDを行うことが重要である.また,早期PTGBDが行われた場合には30日程度の待機期間をおいても安全にLCが施行できる.
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症例
  • 和久 利彦, 剣持 雅一, 神原 健, 佐藤 直広, 大多和 泰幸, 勝部 亮一
    72 巻 (2011) 1 号 p. 6-9
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は57歳,女性.咳嗽を主訴に当院受診.CTで甲状腺両葉に腫瘤を確認し,それぞれの腫瘤は乳頭癌であった.術前の血液検査では,APTT 47.5秒,出血時間10分以上,von Willebrand因子活性6%未満,von Willebrand抗原定量24%,血液凝固第VIII因子活性30%,VWFマルチマー解析では高分子量マルチマーが消失・中分子量マルチマーが減少し,リストセチン誘導血小板凝集検査では凝集低下を示したため,2A型von Willebrand病と診断した.手術は甲状腺全摘術を行ったが,手術前日,術直前と術後3日間に血液凝固第VIII因子/von Willebrand因子製剤を投与してvon Willebrand因子活性を良好に保ち,周術期に異常出血することはなかった.von Willebrand病患者に観血的処置を行う際には,von Willebrand因子を補充するなどして周術期の止血管理を行うことが重要であると考えられた.
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  • 玉田 修吾, 相良 安昭, 馬場 信一, 松山 義人, 雷 哲明, 大井 恭代
    72 巻 (2011) 1 号 p. 10-14
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    左乳房に腫瘤を形成,画像診断で乳癌を否定できず組織生検を施行,巨細胞性動脈炎Giant cell arteritis(GCA)の診断に至った症例を経験した.症例は74歳,女性.左乳房に圧痛を伴う腫瘤を触れ来院した.マンモグラフィはspiculaを伴う構築の乱れ,超音波では高輝度spotを伴う11×10mmの不整形低エコー病変として描出された.細胞診では細胞変性が強く検体不適正であった.乳癌を否定できず摘出生検を行った.病理組織所見では病変内動脈において内弾性板を中心に肉芽腫性炎症と著しい内膜肥厚を認めた.異物巨細胞が弾性線維を貪食する所見も認めGCAの診断となった.GCAは側頭動脈炎と呼ばれ側頭動脈以外の病変は少ない.さらに乳房内に病変を形成したGCAは稀であり,乳癌との鑑別が問題となることもある.一般に生命予後は良好であるが,全身疾患の部分症状である場合もあり,診療の際には注意が必要である.
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  • 日野 佑美, 久松 和史, 平林 直樹, 多幾山 渉, 坂谷 暁夫, 金子 真弓
    72 巻 (2011) 1 号 p. 15-18
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    嚢胞形成を伴った乳腺pseudoangiomatous stromal hyperplasia(以下PASH)の2例を経験したため報告する.症例1は41歳,女性.右乳房の3cm大の弾性硬な腫瘤を自覚し当科を受診した.画像検査上明らかな悪性を示唆する所見はなく,針生検でfibrocystic changeと診断された.以降半年おきに経過観察していたが,6年後に4cm大に腫瘤の増大を認め手術を施行した.症例2は41歳,女性.左乳房の腫瘤を主訴に受診した.画像検査上明らかな悪性を示唆する所見は認めなかったが,5cm大の腫瘤であり手術適応となった.手術は両者とも腫瘤摘出術を行った.HE染色で乳腺間質内にスリット状,血管腫様の間隙を認め,その間隙内面は,一層の紡錘形細胞に覆われていた.組織像から乳腺nodular PASHと診断した.また何れも嚢胞形成を伴っており,症例1では嚢胞内腔は一層の上皮細胞で覆われており,乳管の拡張によるものと考えられた.症例2の嚢胞は間質の変性によってできたと考えられた.今回,自験例に若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 野田 諭, 高島 勉, 川尻 成美, 小野田 尚佳, 石川 哲郎, 平川 弘聖
    72 巻 (2011) 1 号 p. 19-21
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は26歳,女性.増大傾向を示す左腋窩腫瘤を主訴に当科を受診した.乳腺超音波検査にて左腋窩に40×19mmの境界明瞭で内部エコーレベルは均一な腫瘤を認めた.また両側乳腺内に同様の腫瘤を多数認めた.増大傾向を示すことから,悪性病変も否定しえず,全身麻酔下に腫瘤摘出術を施行した.切除標本の病理組織学的検索では異所性乳腺より発生した良性葉状腫瘍と診断された.
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  • 伊藤 美帆, 淀縄 聡, 伊藤 博道, 吉田 進, 小川 功
    72 巻 (2011) 1 号 p. 22-26
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は57歳,女性.右乳房の硬い腫瘤を主訴に当科を受診,線維腺腫の診断で腫瘤摘除術を施行した.病理組織学的検査で間質に好酸性物質の沈着を認め,ダイロン染色で赤橙色に染まり,乳腺アミロイド腫瘍と診断した.術後14カ月目に右乳房に前回と同様の腫瘤が出現した.臨床的にアミロイド腫瘍の局所再発を疑い,腫瘍摘除術を施行した.病理組織像は前回の切除標本と同様アミロイド腫瘍であった.乳腺に発生するアミロイド腫瘍はきわめてまれであり,現在まで20例の報告を認めるのみである.
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  • 島田 慎吾, 山本 貢, 細田 充主, 田口 和典, 高橋 弘昌, 藤堂 省
    72 巻 (2011) 1 号 p. 27-31
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    先天性表皮水疱症は,軽微な機械的刺激で皮膚や粘膜に容易に水疱を形成するまれな疾患であり,日常生活において皮膚・粘膜へのさまざまな刺激を避ける必要がある.特に麻酔・手術に際しては,気管内挿管による気管粘膜の障害に細心の注意を要する.今回,われわれは劣性栄養障害型表皮水疱症を合併した右乳癌に対して,気管内挿管による全身麻酔下で胸筋温存乳房切除術を施行しえた1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
    症例は55歳,女性.小児期より劣性栄養障害型表皮水疱症で当院皮膚科に通院していた.2010年6月に右乳房のしこりを自覚して,当科を受診した.精査にて右乳癌TisN0M0 Stage 0の診断で,気管内挿管での全身麻酔下で手術を施行した.術後は,呼吸障害など認めず経過良好にて第4病日に退院した.
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  • 小林 正史, 阿部 徹, 村上 恭紀, 日向 理, 山根 徹, 藤井 秀樹
    72 巻 (2011) 1 号 p. 32-36
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    近年segmental arterial mediolysis(SAM)に起因する腹部内臓動脈瘤破裂症例が注目されている.多くは破裂して診断されるが,今回非破裂で診断治療した症例を経験した.症例は35歳,女性.平成20年5月下旬に上腹部の腫瘤を自覚し,6月に当科を受診した.腹部打撲などの既往症はない.腹部超音波・CTで膵頭部に5cmと2cmの球状の連続した動脈瘤を認めた.膵アーケード部位で2カ所連続しているため塞栓術は困難と判断し手術を行った.5cmの動脈瘤は胃十二指腸動脈と右胃大網動脈分岐部,2cmの動脈瘤は5cmの動脈瘤に連続して前上膵十二指腸動脈に位置しており,これを切除した.病理組織学的に動脈瘤中膜に泡沫変性を認めSAMと診断された.SAMの成因は不明であるが,異時性に出現する報告もあり,今後も厳重な経過観察が必要と思われた.
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  • 岡田 尚也, 成田 吉明, 井上 陽介, 井上 玲, 加藤 弘明, 樫村 暢一, 篠原 敏也
    72 巻 (2011) 1 号 p. 37-42
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は15年前左腎細胞癌に対して左腎摘手術を受けた既往のある80歳女性.CT上左肺S8,S10に腫瘤性病変を認めた.S8の腫瘤は内部不均一な造影効果を伴い,S10の腫瘤は内部均一な高濃度領域を示した.FDG-PETを施行したところ,S8病変においてSUVmax=9.5であり,S10病変のSUVmax=1.5に比べより高い集積を認めた.S8病変を転移巣,S10病変を良性疾患と判断し,胸腔鏡下左肺部分切除にて両方の病変を摘出した.術後切除標本病理結果は,いずれの病変も腎細胞癌原発のClear cell carcinomaの遠隔転移であった.S10病変は微小血管がより多く存在しており,造影CTにおいて強い造影効果示していると考えられた.一方S8病変の細胞異型度は,Grade2からGrade3相当,MIB-1/Ki-67値は18.9%と高値を示しており,FDGの高い集積性を示していると考えた.
    本症例における画像・病理組織学的相違を,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 今野 隼人, 中川 拓, 佐々木 智彦, 大山 倫男, 上坂 佳敬, 斉藤 昌宏
    72 巻 (2011) 1 号 p. 43-48
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,男性.左肺S3を原発とする腫瘍を認め,癌性胸水,多発肺・肝・骨転移を伴っていた.胸水細胞診にてclassV(adenocarcinoma)の診断,cT4N2M1 stageIVであり,PS 3と不良であった.EGFR遺伝子変異陽性であったことから,インフォームドコンセントのうえゲフィチニブ投与を行った.投与9日目左肺虚脱を認めたが,腫瘍原発巣は縮小し,肺内転移巣も縮小を認めPRであった.気胸に対して保存的治療を行うも改善しないため,外科治療を行った.文献上,ゲフィチニブ投与中に発生した気胸に対する手術症例の報告はなく,病理組織学的に評価しえた貴重な症例と思われたため報告する.
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  • 山口 晃司, 森田 高行, 藤田 美芳, 市村 龍之助, 阿部 元輝, 福島 正之
    72 巻 (2011) 1 号 p. 49-53
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は42歳,女性.心窩部から左季肋部への疼痛を主訴に当院を受診した.CTにて左横隔膜にヘルニアを認め,胸腔内へ腸管の脱出が認められた.左後方の横隔膜欠損からBochdalek孔ヘルニアと診断された.手術は胸腔鏡下ヘルニア根治術を行ったが,術中に腹腔内への大網の還納が困難と判断し,腹腔鏡下手術を追加した.ヘルニア門の閉鎖は胸腔鏡下に直接縫合にて行った.胸腔鏡,腹腔鏡を併用することで開胸開腹移行をすることなく,根治手術を行うことができた.術後経過は良好であり,8日目に退院となった.術後1年を経過した現在,再発を認めていない.成人Bochdalek孔ヘルニアに対する胸腔鏡-腹腔鏡併用手術はより安全で確実な方法と考えられる.
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  • 齋藤 心, 細谷 好則, 宇井 崇, 田中 亨, 佐田 尚宏, 安田 是和
    72 巻 (2011) 1 号 p. 54-57
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は60歳の女性で主訴は嚥下障害.内視鏡と食道造影は食道アカラシアに典型的所見であった.CTで脾臓内に複数の結節病変を認めたが確定診断にいたらなかった.腹腔鏡下にHeller-Dor手術と脾臓,噴門部リンパ節,食道の生検を行った.組織学的には脾臓および噴門リンパ節は乾酪壊死を伴わない肉芽腫を認め,食道壁には肉芽腫はなかった.稀ではあるが食道あるいは食道周囲リンパ節にサルコイドーシスがおよぶとpseudoachalasiaを呈することがある.噴門リンパ節サルコイドーシスとアカラシアの合併,ならびに腹腔鏡下の脾臓サルコイドーシス生検診断法は,いずれも本邦ではじめての報告となる.
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  • 細川 勇一, 大幸 宏幸
    72 巻 (2011) 1 号 p. 58-62
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    大胸筋皮弁で修復した食道癌救済手術後遅発性縫合不全の1例を経験したので報告する.症例は62歳の男性で,2004年に胸部食道癌に対する根治的化学放射線療法後の遺残に対し,右開胸開腹食道亜全摘出術施行.その後,2007年に吻合部狭窄に対し2度の内視鏡的バルーン拡張術を施行した.術後4年目の2008年,突然の発熱および左前胸部発赤を認め入院となった.精査にて腐食性骨髄炎を伴う食道胃管吻合部縫合不全と診断し,保存的に治療を行った.しかし改善傾向が認められないため,食道胃管吻合部縫合不全に対して大胸筋皮弁による修復術を施行した.術後,軽度の縫合不全を認めたが保存的に軽快し,術後43日目に退院となった.現在,嚥下時通過障害を認めず,良好なQOLが得られている.
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  • 平尾 隆文, 安座間 隆, 森本 修邦, 福崎 孝幸, 柴田 邦隆, 小林 哲郎
    72 巻 (2011) 1 号 p. 63-66
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    胃軸捻転症は比較的まれな良性疾患である.今回われわれは,小脳脊髄変性症を患った患者に特発性な胃軸捻転症を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例は69歳,男性.誤嚥性肺炎を発症した際に突然の腹部膨満が出現した.腹部X線写真,CTでは著明な胃拡張があったがそれ以外異常所見は指摘されなかった.胃管留置ができず,内視鏡下にて留置した.内視鏡下胃瘻を造設し,ここからの上部消化管造影,ならびに腹部3D-CTにて胃軸捻転と診断した.保存的加療では軽快しないため幽門側胃切除を施行した.術後は安定期もあったが小脳脊髄変性症の増悪にて第330病日に永眠された.
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  • 西野 豪志, 志摩 泰生, 寺石 文則, 福井 康雄, 谷木 利勝, 堀見 忠司
    72 巻 (2011) 1 号 p. 67-73
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,男性.発熱と全身倦怠感を主訴に当院を紹介受診した.上部消化管内視鏡検査で胃体上部にgastrointestinal stromal tumor(GIST)を疑う4cm大の粘膜下腫瘍を認めた.腹部CT,MRI検査で肝右葉に多発性嚢胞性腫瘍を認めた.臨床所見とCT,MRIからは肝膿瘍を疑ったが,腹部超音波検査では充実性腫瘍の所見であり,GISTの肝転移の可能性も否定できず,胃部分切除と肝拡大右葉切除を行った.病理検査の結果,胃粘膜下腫瘍は中リスクのGISTと診断された.肝腫瘍には悪性所見は認めず,肝膿瘍と診断された.膿瘍の原因菌は特定できなかった.術後経過は良好で,現在無再発生存中である.胃GISTに肝膿瘍を合併した報告は少なく,貴重な症例と考えられたため,文献的考察を加えて報告する.
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  • 西村 健志, 降籏 誠, 久保 淑幸, 住田 敏之, 谷 雅夫, 阿川 千一郎
    72 巻 (2011) 1 号 p. 74-78
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は80歳,女性.2010年3月に急激に増悪する上腹部圧迫感と呼吸苦を自覚し当院受診し,上腹部に巨大腫瘤を触知したことから緊急入院となった.入院時採血結果では,Hb値10.4g/dlと低値であった.腹部造影CT検査では,胃大弯側に接する嚢胞性成分と充実性成分を有する長径18.5cm大の巨大腫瘤が認められた.上部消化管内視鏡検査では,胃粘膜面は正常であり腫瘍性変化は認めず,十二指腸球部にA2潰瘍を認めた.腹部血管造影では,右胃大網動脈を栄養血管とする多結節状腫瘤であった.胃原発壁外発育型gastrointestinal stromal tumor(以下GIST)と診断し,潰瘍の治癒を待ち2010年4月に胃部分切除を伴う腫瘤摘出術を施行した.嚢胞内容液は血性であった.病理組織検査で,紡錘形細胞と類円形細胞の両方を認め,免疫染色ではKIT陽性であった.今回われわれは嚢胞性変化を呈した壁外性発育型巨大胃GISTに対し手術的に切除した症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 福島 英賢, 川井 廉之, 瓜園 泰之, 浅井 英樹, 畑 倫明, 奥地 一夫
    72 巻 (2011) 1 号 p. 79-83
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    大量下血や持続する下血を呈する小腸出血は診断に難渋することが多い.今回われわれは緊急腹部血管造影にて小腸出血を診断し,造影に用いたカテーテルを留置したまま開腹して術中に色素を動注し,出血部位を同定・切除した2症例(77歳男性;小腸リンパ腫,41歳男性;小腸動静脈奇形)を経験した.小腸出血は様々な検査を行っても,出血部位が同定できないことも多い.しかし,大量下血や持続する下血を呈する症例では速やかな止血と病変部切除が求められる.その様な症例には,腹部血管造影は診断のみならず一時的な止血も可能であることから,血管造影をまず行うべきであり,カテーテルを留置したまま開腹術へ移行した場合には,病変部が不明な場合でも色素動注にて速やかな出血部位の同定・切除が可能である.
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  • 池辺 孝, 西岡 孝芳, 真弓 勝志, 寺倉 政伸
    72 巻 (2011) 1 号 p. 84-87
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は43歳,女性.激しい性行為の後,腹痛を自覚し近医を受診した.イレウスを疑われたため当科に紹介,救急搬送された.腹部造影CT検査で腸間膜の引きつれ像(radial distribution)を伴うイレウス像と小腸の虚血像を認め,小腸軸捻転症による絞扼性イレウスと診断した.発症後約11時間で緊急開腹手術を行った.Treitz靱帯より約2m肛門側の小腸が時計回りに180度捻転し,約80cmにわたり壊死を認めた.解剖学的異常,腫瘍,異常策状物等なかったため,原発性小腸軸捻転症と診断した.壊死小腸を切除し,端々吻合した.術後15日目に軽快退院した.
    成人における原発性小腸軸捻転症はまれで,腹部CT検査でのwhirl signが特徴的とされるが,自験例のように,whirl signを呈さない場合もあることを念頭に置き,早期診断,治療を行うことが重要であると考えられた.また,激しい性行為後の発症という点でも自験例はまれな例と考えられた.
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  • 中竹 利知, 井上 健太郎, 大江 知里, 道浦 拓, 福井 淳一, 中根 恭司, 權 雅憲
    72 巻 (2011) 1 号 p. 88-92
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    近年ダブルバルーン式小腸内視鏡(double ballon enteroscopy;DBE)の開発により多様な小腸病変が診断されるようになった.また腹腔鏡補助下手術は,低侵襲性であり一般化されつつある.今回腹痛と嘔吐からDBEにて小腸狭窄認めたため腹腔鏡補助下にて切除し,病理組織学的にはコレステリン塞栓による虚血性小腸狭窄と診断された1例を経験したので報告する.
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  • 高橋 英幸, 栗栖 茂, 小山 隆司, 梅木 雅彦, 宮本 勝文, 大石 達郎, 堀口 英久
    72 巻 (2011) 1 号 p. 93-96
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    外傷性空腸壁内血腫は非常に稀な疾患である.
    症例は12歳,男児,自転車で転倒し,受傷後2日目に腹痛を主訴に救急外来を受診した.腹部超音波検査,CTで近位空腸の壁内血腫瘍を認めたため,本疾患と確定診断した.外傷性空腸壁内血腫の治療については,腸管穿孔や他臓器損傷が無い場合は保存的治療が主流になっており,平均10~14日で腸閉塞症状は血腫が吸収されることにより解除される.腹膜刺激症状を認めず,全身状態が落ち着いていたため,保存的加療を選択した.経過中,壁内血腫の感染をきたし,引き続き腸閉塞となったため,開腹術を行った.
    臨床症状,超音波検査,CT検査等の画像の変化を経時的に注意深く観察していく必要がある.病悩期間をいたずらに延ばすことなく手術時期,術式の決定が必要であると考えられた.
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  • 山田 大作, 小関 萬里, 富永 春海
    72 巻 (2011) 1 号 p. 97-102
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,男性.急激な腹痛を主訴に来院.胃潰瘍の既往があり.また,肺癌の病期IIIBにて放射線化学療法施行中であった.腹部は板状硬で反跳痛を認め,間欠的な腹痛を訴えていた.家族歴に特記すべきことなく,血液検査では,炎症所見を認め,HTLV-1抗体が陽性であった.CTでは遊離ガス像と胃壁の肥厚を認め,消化性潰瘍穿孔と診断した.小腸の部分的な壁肥厚も認められ,同部位の観察も考慮に入れて緊急手術を施行した.開腹したところ,胃には穿孔を認めず,小腸に多発びまん性に粘膜下腫瘍を認めたため,病歴より肺癌の小腸転移を疑った.穿孔部はTreitz靱帯より60cmの空腸に認められ,部分切除を施行した.病理組織所見・免疫組織化学所見と合わせ,HTLV-1キャリアーに発症した腸管型T型細胞性悪性リンパ腫と診断した.若干の文献的考察を含めて報告した.
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  • 三宅 邦智, 瀬下 明良, 松岡 あづさ, 木山 智, 桐田 孝史, 亀岡 信悟
    72 巻 (2011) 1 号 p. 103-106
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は42歳,女性.急性混合性白血病に対して寛解導入療法としてHDAraC(2g×2×6日)+MIT療法を行っていた.8日目,右下腹部痛,38.8℃の発熱を認めた.精査を行い,急性虫垂炎の診断にて緊急手術を施行した.本症例では敗血症のリスクを考慮し,感染源除去目的にて外科的治療を選択した.術後,手術による合併症(出血,腹腔内膿瘍など)は認めず,良好な経過を得た.本症例のように寛解導入後に早期発症の急性虫垂炎に対して外科的切除は有効な治療のひとつと考えられた.今回急性混合性白血病の化学療法による骨髄抑制期に発症した急性虫垂炎の1例に,手術を行い良好な経過を得た.今後も消化器外科医にとって白血球病加療中の急性腹症に遭遇した際には手術治療の判断はより重要であると考えられた.
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  • 井上 潔彦, 北野 義徳, 船井 貞往, 大和 宗久, 田中 晃
    72 巻 (2011) 1 号 p. 107-110
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,男性.健康診断で便潜血陽性を指摘された.近医で平成20年6月に下部消化管内視鏡検査を施行され,盲腸に直径約20mmの側方発育型腫瘍(以下LST)を認めたため,当院消化器内科に紹介となった.盲腸LSTに対して内視鏡的粘膜切除術(以下EMR)を試みたが,部分切除となった.残存部分は虫垂入口部の中まで連続しており,内視鏡的には切除不可能であると判断した.病理組織学的検査で腺腫内癌と診断され,残存病変に対する追加加療目的で当科に紹介となった.既往歴として20歳に虫垂炎のため虫垂切除術を施行されている.平成20年9月腹腔鏡補助下回盲部切除術(D2郭清)施行した.病理検査結果で粘膜下への浸潤を認めたため,SM癌であると診断した.腫瘍の最深部が遺残虫垂に存在していたため,遺残虫垂から発生した虫垂癌と診断した.
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  • 中村 友哉, 楊 知明, 東山 元臣, 加藤 達史, 中山 裕行, 堤 雅弘, 岡村 隆仁
    72 巻 (2011) 1 号 p. 111-115
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,男性.C型肝硬変・肝細胞癌にて当院内科にて加療中であった.消化管出血の精査のため大腸内視鏡検査が行われ盲腸から上行結腸に3つのポリープを認めたため生検が行われた.帰宅後より右下腹部痛が出現,翌日よりショック状態となり当院救急搬送される.腹部CTにて盲腸から上行結腸の著明な浮腫像を認め緊急手術を行った.盲腸を中心に腸管は著明に浮腫状に腫大し暗赤色の色調変化をきたしており,同部位を切除するように回盲部切除術を行った.病理組織所見では腸管粘膜下層に著明な好中球浸潤を認め蜂窩織炎性大腸炎と診断された.集中治療により患者は術後順調に回復し術後18日目に退院となった.
    本疾患はまれな疾患であり,さらに報告の多くが剖検例や死亡例であり救命しえた報告例は少ない.今回緊急手術により救命しえた症例を経験したので報告する.
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  • 今野 愛, 渋谷 均, 佐々木 賢一, 久木田 和磨, 河野 剛, 平田 公一
    72 巻 (2011) 1 号 p. 116-120
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は83歳,男性.転倒による骨折を契機に入院し骨接合術を施行,リハビリテーション中であったが2週後に高熱と下血をきたした.絶食と抗生剤の投与を施行したが症状が改善せず,内視鏡検査でS状結腸に限局した全周性の浮腫,充血を認め,また生検で核内封入体が認められたためサイトメガロウイルス(以下CMV)腸炎と診断された.ガンシクロビルが投与されたが,下血が続き病変部の狭窄が進行したために当科で同部位の切除を行った.切除標本では明らかな虚血の所見はなく,粘膜下に核内封入体を認めた.術前血中のCMV antigenemiaは陽性だったが術後は陰性化した.元来健康な高齢者ではあったが一時的な免疫能低下によってCMV腸炎をきたしたものと考えられた.
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  • 神宮 彰, 鈴木 知信, 石山 智敏, 松本 秀一, 山本 隆, 長谷川 和住
    72 巻 (2011) 1 号 p. 121-125
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    ミトコンドリアの機能異常により発症する神経筋疾患をミトコンドリア脳筋症(MELAS)とよぶが,その機能不全は骨格筋と中枢神経症状だけでなく,内分泌,腎,心,消化器症状などがみられる.われわれはS状結腸粘膜壊死を伴ったミトコンドリア脳筋症を経験したので報告する.症例は以前にMELASと診断されていた53歳の女性.腹痛および吐き気で発症し,大腸ファイバー上,広範なS状結腸粘膜壊死が認められ,左半結腸切除術を施行した.本症例での虚血性変化以外の形態学的異常として,i)固有筋層の外縦層の萎縮,ii)筋層間神経叢におけるガングリオン細胞の変性や脱落・減少,iii)血管壁の厚さに異常が認められた.i)およびii)は,文献的にもMELASによる変化として報告されており,本症例もMELASによって虚血性変化が起こったと考えられる.MELASの治療法がない以上,今後も厳重なfollowが必要と思われた.
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  • 和城 光庸, 片倉 達, 熊谷 信平, 市川 徹郎, 宮崎 勝
    72 巻 (2011) 1 号 p. 126-129
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    腸間膜海綿状血管腫を合併した結腸静脈型血管腫の1例を経験したので報告する.症例は58歳,男性.脳性麻痺.便潜血陽性のため施行した大腸内視鏡にて,下行結腸に血管腫を認めた.このため下行結腸部分切除術予定にて開腹術施行.腹腔内精査にて小腸腸間膜にも血管腫認めたため,下行結腸部分切除および腸間膜部分切除施行した.術後経過は良好で,第16病日に退院.病理組織診にて下行結腸血管腫は静脈型血管腫,腸間膜血管腫は海綿状血管腫と診断された.現在までに結腸の静脈型血管腫の報告は1例のみと極めて稀であり,文献的考察を加え報告する.
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  • 溝口 資夫, 北薗 正樹, 馬場 研二, 石神 純也, 上野 真一, 夏越 祥次
    72 巻 (2011) 1 号 p. 130-135
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    Pagetoid phenomenonを伴った肛門管癌の2例を報告する.症例1は72歳,女性.肛門周囲のびらんと違和感を主訴に来院され,pagetoid phenomenonを伴う肛門管癌と診断された.肛門周囲の皮膚浸潤と左鼠径部リンパ節腫大があり,直腸切断術と左鼠径リンパ節郭清を行った.免疫組織学的検査で,GCDFP-15弱陽性,CK-20陽性,CK-7陰性であった.術後9カ月現在,再発なく外来で経過観察中である.症例2は65歳,男性.肛門痛と排便時出血が主訴で,pagetoid phenomenonを伴う肛門管癌と診断された.術前より両側鼠径リンパ節への転移が判明しており,直腸切断術と両側リンパ節郭清を行った.免疫組織学的検査で,GCDFP-15陰性,CK-20陰性,CK-7陽性であった.術後5カ月目に腸閉塞で,緊急手術を行った際に腹膜播種が判明し,抗癌剤治療を行ったが初回手術後9カ月目に死亡した.
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  • 村田 年弘, 久保田 暢人, 上塚 大一, 宇田 征史, 川真田 修, 中井 肇
    72 巻 (2011) 1 号 p. 136-141
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,男性.膵臓癌にて膵頭十二指腸切除術後経過観察中にCTで肝腫瘤を指摘,増大傾向を認めたため精査加療目的に入院となった.理学所見上,心窩部に鶏卵大の腫瘤を触知し,同部に圧痛を認めた.血液検査ではCRPの上昇を認めた.腹部USでは境界不明瞭な腫瘤として描出され,内部は不均一であった.腹部CTで肝左葉に境界不明瞭な不整形の腫瘤を認め,3カ月間で大きさは4cmから8cmへ増大した.造影すると辺縁が優位に不均一に造影された.MRIではT1強調像で低信号,T2強調像で腫瘍の周囲が高信号を呈していた.また,腹壁に浸潤している像を示していた.以上より,炎症性腫瘍を考えたが,悪性疾患を否定できず開腹手術を施行した.腫瘍の生検を施行したところ好中球浸潤を伴う肉芽組織を認め,一部に菌塊を伴っていた.細菌培養検査でActinomycesの発育を認め,肝放線菌症と診断した.肝原発の放線菌症はまれであり,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 中田 泰幸, 吉富 秀幸, 大塚 将之, 三浦 世樹, 木村 文夫, 宮崎 勝
    72 巻 (2011) 1 号 p. 142-148
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    肝限局性結節性過形成(以下,FNH)は,過形成変化による非腫瘍性病変であるが,悪性腫瘍との鑑別が難しいことがある.今回,原発性肝癌との鑑別が困難であった巨大FNHの1切除例を経験したので報告する.症例は31歳,女性.上腹部痛,全身倦怠感を主訴に前医受診,肝の巨大腫瘤を指摘され当科紹介.右肋弓下に1横指,肝を触知.血液検査では,感染症認めず,PIVKAIIが66mAU/mlと軽度上昇を認めた.Dynamic CTでは動脈相で内部に放射状の低吸収域を持つ,肝内側,前区域を占める強く造影される15cm大の境界明瞭な腫瘤を認めた.血管造影検査では,同領域にA4/A8から血流を受ける濃染像を認めた.以上より,FNHを疑ったが,腫瘤部にはSPIO-MRIでのSPIOの取り込み,肝シンチグラフィ(Tc-99m)でのTcの取り込みを共に認めなかったため,原発性肝癌を否定できず,肝中央2区域切除術を施行した.病理検査では,腫瘤は索状構造の乱れのみを認める正常肝細胞で占められており,内部に筋性血管の介在を伴う繊維性の中心瘢痕を認め,FNHと診断した.FNHは局所的な血流増加に対する非特異的な過形成反応であり,診断がつけば経過観察でよいとされるが,巨大なものでは診断が困難な場合があり,今回の症例のように悪性を否定できないもの,上腹部痛などの有症状のあるものには外科切除が適応になると考えられた.
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  • 北口 博士, 中居 卓也, 石川 原, 竹山 宜典
    72 巻 (2011) 1 号 p. 149-152
    公開日: 2011/07/25
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    症例は69歳,女性.心窩部痛を主訴に近医受診し,肝右葉に長径12cmの肝嚢胞が認められた.肝嚢胞にエタノール注入療法が行われたが,6カ月後に縮小した肝嚢胞に感染が生じ,膿瘍ドレナージ術が実施され肝嚢胞は消失した.しかし,その後発熱や腹痛を伴う胆管炎を繰り返すため当院紹介となった.MRCPとERCPで肝内胆管の拡張と左肝管および下部胆管の狭窄が認められた.胆管狭窄に対して胆道ステント治療を行ったが効果なく,肝外胆管を含む肝左葉を切除し,右肝管空腸吻合で胆道再建術を行った.病理組織学的所見では胆管狭窄部は著明な線維化と炎症細胞浸潤が認められていた.現在は胆管炎の再燃なく経過良好である.肝嚢胞に対する穿刺,エタノール注入は簡便な方法ではあるが重篤な副作用も認められ,その選択には細心の注意が必要である.
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  • 山近 大輔, 堂脇 昌一, 矢澤 直樹, 今泉 俊秀, 幕内 博康
    72 巻 (2011) 1 号 p. 153-157
    公開日: 2011/07/25
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    症例は38歳,男性.突然の心窩部痛を主訴に当院を受診した.腹部超音波検査で胆嚢は腫大し,正中側へ偏位していた.腹部CT検査では正中腹壁直下に胆嚢を認め,MRCPでは総胆管の左側に胆嚢を認め,胆嚢捻転症の診断で緊急手術を予定した.術前に再度超音波検査を施行したところ,胆嚢は正中側より胆嚢床に戻り,腹痛も消失した.CT検査,MRCPを再検すると胆嚢は正常位に戻っていた.胆嚢壊死を示唆する所見を認めず,第4病日に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.術中所見で胆嚢は一部に壊死を認め,胆嚢床付着部は僅かであった.術後経過は良好で第8病日に退院した.捻転が解除された場合でも胆嚢壊死を念頭に置き,速やかに手術を施行する必要があると考えられた.
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  • 仁平 芳人, 大塚 紳, 齋藤 弘司
    72 巻 (2011) 1 号 p. 158-162
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,女性.1999年12月他院にて右乳癌に対して非定型乳房切除術を施行,2005年から当院外来に通院している.2010年1月,腹部超音波検査で胆嚢底部に壁構造を断裂する低エコー隆起性病変を認めた.胆嚢癌が否定できず,3月拡大胆嚢摘出術を施行した.病理組織学的検査では粘膜下層にリンパ濾胞,リンパ球,形質細胞の浸潤と膿瘍の形成を認め,慢性胆嚢炎と診断された.胆嚢癌の手術はその解剖学的な位置から比較的侵襲の大きな手術になることも多いが,未だに診断に有効な定型的な画像所見が確立されていない.術中迅速組織診断が困難な場合は良性であっても悪性に準じた手術や,二期的手術が必要になる可能性を患者とその家族が十分に理解したうえで,手術を行うことが大切であると考えられた.
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  • 戸井 博史, 森田 恒彦, 中村 貴久, 村永 誠一, 長谷 泰司
    72 巻 (2011) 1 号 p. 163-167
    公開日: 2011/07/25
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    陶器様胆嚢には胆嚢癌が合併する報告がされているが,胆嚢癌自体に石灰化がある石灰化癌の報告は稀である.症例は80歳,女性.認知症で近医の精神科病床に入院中に背部痛の訴えがあり当院紹介された.腹部超音波検査で胆嚢底部に内部に高エコー点を伴う限局性壁肥厚と胆嚢内に結石を認めた.単純CTで壁肥厚部内部に高濃度域を認め,造影CTで壁肥厚部には造影効果が認められた.腹部MRI検査ではT1強調画像・T2強調画像ともに低信号を呈していた.悪性腫瘍も疑われたが認知症状が強いため腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.病理組織学的には漿膜下層浸潤を伴う腺癌を認め,低分化から中分化型管状腺癌優位で一部乳頭腺癌・高分化管状腺癌を認めた.腫瘍腺管内に多数の壊死がみられ,壊死部の一部に石灰化が認められた.癌のない胆嚢壁には石灰化は認められなかった.術後1年経過し再発なく経過している.
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  • 黄 泰平, 安政 啓吾, 藤川 正博
    72 巻 (2011) 1 号 p. 168-171
    公開日: 2011/07/25
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    Fournier壊疽は皮膚,尿道,直腸肛門周囲から起因菌が陰嚢皮下に達し,陰部動脈の閉塞性動脈炎を起こし,急速な壊疽をもたらす予後不良の感染症である.今回,低位前方切除術々後縫合不全から鼠径管を介しFournier壊疽を発症したが,救命しえた1例を経験した.症例:60歳,男性,手術歴:左陰嚢水腫.進行直腸癌に対して2008年6月に低位前方切除術施行.術後ドレーン排液の汚染は認めず,術後7日目に陰嚢の腫脹,疼痛を認めた.翌日には陰嚢皮膚の壊疽を認め,CTにて陰嚢内および左鼠径部から側腹部に気腫像を伴いFournier壊疽と診断した.緊急広範デブリドレナージ,両側精巣摘除,横行結腸人工肛門造設術を施行した.術後6日目に人工呼吸器離脱.術後52日目に植皮術を行い,治癒し退院した.本症例はドレーンが有効でなく,縫合不全の膿汁が完全には癒合していない腹膜鞘状突起から左鼠径管に入り,Fournier壊疽に至ったと考えられた.
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  • 甲賀 淳史, 岩崎 靖士, 村田 健, 岡本 譲二, 清水 壮一, 高橋 伸
    72 巻 (2011) 1 号 p. 172-175
    公開日: 2011/07/25
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    症例は39歳,男性.腹痛を主訴に入院した.保存的に軽快せず,翌日のCTにてS状結腸間膜内ヘルニアと診断し,腹腔鏡下に緊急手術を行った.手術所見ではS状結腸間膜左葉に径約3cmの間膜欠損部が存在して回腸が嵌頓する型のS状結腸間膜内ヘルニアで,嵌入した回腸を引き出し嵌頓を解除した.腸管は虚血に陥っておらず切除不要で,ヘルニア門を縫合閉鎖し手術を終了した.術後経過良好にて術後6日目に退院した.本邦ではこれまでに自験例を含め58例のS状結腸間膜内ヘルニアが報告されている.術前診断された報告は本例を含め5例,腸切除を必要とした症例は5例,腹腔鏡下に加療した報告は本例を含め9例であった.CTによる正確な術前診断により腹腔鏡下手術が可能であったS状結腸間膜内ヘルニアを経験したので報告する.
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  • 佐藤 文哉, 佐伯 悟三, 岡田 禎人, 雨宮 剛, 會津 恵司, 新井 利幸
    72 巻 (2011) 1 号 p. 176-180
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    症例1は70歳,男性.回盲部切除術後7日目に腸閉塞発症.右腹部に硬い腫瘤を触れ,腹部CTでは腸間膜の肥厚と脂肪織の濃度上昇を認めた.イレウス管にて軽快しなかったため,術後30日目よりデキサメタゾン8mg/day投与を開始したところ著効を認め術後40日目に退院となった.
    症例2は72歳,男性.下行結腸切除術後7日目に腸閉塞発症.上部消化管造影検査にて小腸の蠕動不良と造影剤の通過不良を認めた.腹部正中に硬い腫瘤を触れ,腹部CTで腸間膜脂肪織の濃度上昇を認めた.胃管留置のみで徐々に症状軽快,術後37日目より経口摂取再開となり術後47日目に退院となった.
    術後の腸間膜脂肪織炎は術後早期の腸閉塞の原因となりうる疾患で,感染兆候がないこと,腹部に硬い腫瘤を触知することが特徴である.文献的には,男性の大腸癌手術後に多いが,その原因は不明である.術後早期の腸閉塞の原因として念頭に置くことで不要な手術を回避できる可能性がある.
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  • 又木 雄弘, 實 操二, 衣裴 勝彦, 有上 貴明, 北薗 正樹, 夏越 祥次
    72 巻 (2011) 1 号 p. 181-185
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,男性.直腸内にIsポリープを認め,内視鏡的粘膜切除術を施行し,高分化型腺癌かつ深達度smであり,追加切除として腹腔鏡補助下低位前方切除術を行った.術後1年目に便秘が出現し,仙骨前面に径5cm大の球形の腫瘍を認めた.リンパ節転移や腹膜播種を疑い,開腹手術を行った.腫瘍は広範に小腸に浸潤しており広範小腸切除および腫瘍切除を行った.最終病理診断で,腹腔内デスモイド腫瘍の診断であった.術後補助療法としてホルモン製剤の投与を行い,腫瘍制御は良好であったが,大量小腸切除による栄養不良の状態となり,敗血症のため,術後3年5カ月で死亡した.
    家族性大腸腺腫症を伴わない腹腔内手術後の腹腔内デスモイド腫瘍の報告はこれまでに21例の報告と少なく,腹腔鏡術後発生も2例目と非常に稀であり,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 橋本 敏章, 永吉 茂樹, 向井 憲重, 古井 純一郎
    72 巻 (2011) 1 号 p. 186-189
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は7歳,男児.グリセリン浣腸施行後,右下腹部痛を主訴に当院受診となった.腹部単純X線写真および腹部CT検査で腹腔内遊離ガス像を認めた.腹部超音波検査にて虫垂の腫大は認めなかったが,臍右下側の最大圧痛点に一致した部位に短冊状の構造が同定されMeckel憩室の存在が疑われた.汎発性腹膜炎の術前診断にて緊急手術を行った.血性腹水を認めたが,虫垂は正常であった.回腸を検索すると回腸末端から約50cm口側に拇指頭大の憩室を認め,基部に2mm大の穿孔を生じていた.手術は回腸部分切除術を施行した.肉眼所見では憩室内壁は襞状を呈しており,これが腹部超音波検査にて短冊状の構造として描出されたものと思われた.病理学的には異所性胃粘膜を有するMeckel憩室であった.本症に特有の所見はなく術前診断は困難であるが,腹部超音波検査が診断の一助となる場合もあり積極的に行うべき検査と思われた.
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  • 嶋田 徳光, 中井 志郎, 藤本 三喜夫, 宮本 勝也, 横山 雄二郎, 坂下 吉弘
    72 巻 (2011) 1 号 p. 190-193
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は47歳の女性であった.当院婦人科での子宮筋腫に対する子宮全摘術の際に偶然みつかったダグラス窩腫瘤の精査のため,術後に当科へ紹介となった.腫瘤の術中組織生検により明細胞腺癌が疑われた.内視鏡で直腸に粘膜面の潰瘍を伴う粘膜下腫瘍として認め,MRIでは直腸浸潤を伴う限局性腫瘤として検出された.腹膜原発悪性腫瘍の診断のもと開腹したところ,周囲への浸潤が高度で内腸骨リンパ節腫脹を認めたので,膣部分切除,両側卵巣切除および両側側方郭清を含む低位前方切除術を施行した.免疫染色による検討の結果,腹膜悪性中皮腫と確定診断された.本症が粘膜下腫瘍像を呈することは稀である.さらに,本症例の如く腺癌との鑑別が問題となることがあり,留意されるべきである.
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  • 中村 誠昌, 北村 直美, 谷口 正展, 岡内 博, 下松谷 匠
    72 巻 (2011) 1 号 p. 194-197
    公開日: 2011/07/25
    ジャーナル フリー
    鼠径ヘルニアを有する慢性腎不全患者は一般的に腹膜透析療法を選択されない.一方,腎不全患者の高齢化に伴い,鼠径ヘルニアを合併することが多くなっている.われわれは,Kugel法によるヘルニア修復を行った後,腹膜透析を行った経験を報告する.Kugel法は腹膜前腔にパッチを挿入して,1枚のパッチで内鼠径輪・外鼠径輪・大腿輪を同時にカバーし,鼠径部の全てのタイプのヘルニアに同時に対応する方法である.従来のMesh plug法に比べ理論上強度が強く,本法を行うことで鼠径ヘルニア修復と安全な腹膜透析が同時に可能と考えられる.
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  • 塩田 哲也, 花房 徹兒, 中島 康夫, 新宅 雅幸
    72 巻 (2011) 1 号 p. 198-202
    公開日: 2011/07/25
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    骨盤部から右会陰部にかけて10cm大の侵襲性血管粘液腫を認めた32歳の女性に対し,1996年2月腹会陰式腫瘤摘出術を施行した.術後3カ月目のCTにて坐骨直腸窩・直腸右側に軟部陰影を認めた.術後性変化との鑑別は困難であったが,徐々に増大したため2004年局所再発と診断,2007年には20cmに達した.手術時の摘出標本の免疫染色にて,エストロゲン・プロゲステロン受容体が共に陽性(90%以上)であることを確認し,2007年9月よりleuprorelinとtamoxifenの投与を開始した.2008年2月のMRIでは縮小傾向(腫瘍最大径18cm)を示したが,顔面のほてり・足掌の痺れを認めたため同年11月よりtamoxifenを中止し,以後leuprorelin単剤にて外来加療を継続している.PRには達していないが,2009年11月のMRIでは15%の縮小(腫瘍最大径17cm)を認めた.侵襲性血管粘液腫に対するホルモン療法は本邦3例目であり,若干の文献的考察を加えて報告した.
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  • 音羽 泰則, 味木 徹夫, 平田 建郎, 上野 公彦, 福本 巧, 具 英成, 神澤 真紀, 伊藤 智雄
    72 巻 (2011) 1 号 p. 203-208
    公開日: 2011/07/25
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    79歳,男性.心窩部痛を主訴に近医を受診し,上部消化管内視鏡検査にて前庭部胃癌と十二指腸乳頭部癌を認め当院に紹介された.術前生検ではいずれも腺癌と診断され,標準膵頭十二指腸切除術により両者を一期的に切除した.病理組織学的検索では胃は腺癌(por2>tub2,pT2(MP),pN1,fStage II)で,十二指腸乳頭部病変は免疫組織学的検索にてsynaptophysin,chromogranin A陽性の内分泌細胞癌(pT3,pN1,fStage III)と診断された.また,複数のリンパ節に内分泌細胞癌および腺癌の起源の異なる転移を認めた.術後6カ月目で内分泌細胞癌が肝転移再発をきたし,13カ月目に癌死した.
    十二指腸乳頭部内分泌細胞癌の報告は複数あるが,胃癌との重複例はこれまで皆無であった.また,自験例は膵頭十二指腸切除術により両者の切除が一期的に可能であった興味ある症例と考え報告する.
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会報
平成22年度本学会概要
編集後記
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