日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
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72 巻 , 11 号
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原著
  • 三浦 弘善, 伊藤 良則, 宮城 由美, 岩瀬 拓士, 堀井 理絵, 秋山 太, 齊藤 光江
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2759-2766
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    (目的)原発性乳癌術前化学療法施行例の治療開始前生検標本におけるバイオマーカー(組織型,ホルモンレセプター,HER2,核異型度)と,切除標本における組織学的効果との関連を検討する.(方法)対象は2005年3月から2007年7月までに当院で術前化学療法を施行後,手術を行った原発性乳癌254例.組織学的治療効果と年齢,腫瘍径,組織型,ホルモンレセプター(HR),HER2,核異型度等の関連を検討した.(結果)254例中Grade2以上の組織学的効果が85例(33.5%)で認められた.組織型別奏効率は,乳頭腺管癌19.2%,充実腺管癌42.2%,硬癌31.8%であった.HR陽性群では22.5%,陰性群では59.2%であり,陰性群で有意に高い奏効率が認められた.核異型度別奏効率はグレード1:23.0%,2:27.1%,3:58.0%と,核異型度が高度の症例で高い奏効率が認められた.(結論)乳頭腺管癌で術前化学療法の奏効率が低かった.HR陰性,HER2陽性,核異型度3の症例で高い組織学的効果が認められた.レジメン別奏効率では,アンスラサイクリン投与にタキサンを順次投与した群で有意に高かったが,HR陰性,HER2陽性症例では追加効果を認めなかった.
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  • 貞森 裕, 八木 孝仁, 松田 浩明, 篠浦 先, 楳田 祐三, 吉田 龍一, 佐藤 太祐, 信岡 大輔, 内海 方嗣, 吉田 一博, 藤原 ...
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2767-2775
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    背景:肝細胞癌(HCC)に対する肝切除後の合併症発生率は比較的高く,特に胆汁漏は依然として臨床的な問題である.
    方法:2001年から2010年におけるHCCに対する肝切除359症例を対象とし,術後胆汁漏発生の危険因子を解析した.さらに,胆汁漏に対する治療・成因および転帰を検討した.
    結果:系統的肝切除を296例(82.5%)に,再肝切除は59例(16.4%)に施行し,術後胆汁漏を46例(12.8%)に認めた.多変量解析にて手術時間300分以上が独立した胆汁漏発生の危険因子であった.経皮経肝的あるいは内視鏡的胆道ドレナージを要した難治性胆汁漏は8症例であり,その成因はHCC既治療症例における肝切除前には臨床的な症候を呈さず,肝切除後に胆汁漏を誘発した潜在的胆道狭窄や再肝切除症例での術中胆道損傷であった.
    結論:300分以上の手術時間を要した肝切除では術後胆汁漏発生のリスクが高く手術成績の改善を要する.難治性胆汁漏を軽減するためには再肝切除症例や潜在的胆道狭窄をきたす可能性があるHCC既治療症例での胆道系の術前画像チェックが重要と考える.
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臨床経験
  • 一本杉 聡, 崔 哲洵, 松木 康真, 大浜 寿博, 岡村 泰彦, 森谷 卓也
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2776-2781
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    肉芽腫性乳腺炎(granulomatous mastitis:GM)は稀な疾患であり,乳癌と似た臨床像により乳房切除された症例も報告されるため,良性乳腺疾患として広く認知する必要がある.われわれは8例のGMを経験したので,本邦の症例報告63例と併せて考察した.
    全例が乳房の片側性腫瘤で,病巣の皮膚発赤を22例(31%),疼痛・圧痛を46例(65%)に認めた.18例が臨床的に乳癌疑いとされ,7例に乳房切除が施行されていた.治療はドレナージ術,外科的切除,ステロイド治療の報告がみられ,prednisolone(PSL)投与19例中18例に病巣縮小が認められ,6例で治癒,4例がPSL減量後に悪化し摘出術を受けていた.ドレナージ術後の自然軽快が7例にみられ,その後に再発を認めていない.以上よりGMの確定診断後,治療に際し経過観察かドレナージ術をはじめに試み,増悪する場合にPSL療法を施行し,外科的治療を最後に選択することが推奨された.
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  • 松田 英祐, 岡部 和倫, 山本 寛斉, 平澤 克敏, 杉 和郎
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2782-2786
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    2009年1月から2010年12月までに当院で胸腔鏡下手術を行った急性膿胸症例12例について検討を行った.急性膿胸の病期分類は,滲出期,線維素膿性期,器質化期に分類した.男性10例,女性2例.年齢は52歳~79歳,平均64歳であった.右側8例,左側4例.症状出現から手術までの期間は7~67日,平均27日であった.術後ドレナージ期間は3~12日,平均5.5日であった.手術時期は線維素膿性期が10例,器質化期が2例であった.基礎疾患として,糖尿病を3例に,ステロイド内服中の関節リウマチを1例に認めた.1例が有瘻性膿胸であったため,後に開窓術および広背筋充填術を要したが,他11例は経過良好であった.器質化期の1例では肺の拡張が改善しなかったが,他11例では改善が得られた.
    急性膿胸に対する胸腔鏡下手術は線維素膿性期での実施が望ましいが,器質化期でも早期であれば有効である可能性がある.
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  • 北薗 巌, 菰方 輝夫, 福枝 幹雄, 海江田 衛, 島元 裕一, 井本 浩
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2787-2792
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    下大静脈(inferior vena cava;以下,IVC)へ浸潤または腫瘍栓を合併した腎・副腎癌は一般的に予後不良であるが,腫瘍栓による肺梗塞や心不全による突然死の回避目的や根治的切除による長期生存例の報告が散見される.今回われわれは,肝臓およびIVC浸潤またはIVC腫瘍栓を呈した腎細胞癌3例・副腎皮質癌2例の計5症例に対し,肝臓外科手技を応用した手術手技とその成績について検討した.結果,全肝血流遮断法を3例に行い,うち1例に大腿動静脈バイパスによる体外循環を併用した.肝直接浸潤の1症例に,後区域切除を行った.全症例で肉眼的根治術が可能であった.5例の平均生存期間は30.6カ月で,遠隔死亡は2例あった.従来手術困難とされた肝臓やIVCへの浸潤あるいはIVC腫瘍栓を合併した腎・副腎癌であっても,肝臓外科手技を応用し,心臓血管外科・泌尿器科共同による根治的切除で長期生存も期待しうると考えた.
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症例
  • 水上 泰, 金城 守人, 長嶺 直治, 奥濱 幸博, 砂川 一哉, 金城 隆夫
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2793-2796
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    mFOLFOX6施行中の副作用として,比較的稀な高アンモニア脳症をきたした2例を経験したので報告する.
    (症例1)52歳男性,腸閉塞,下行結腸癌,多発肝転移にて緊急手術施行.横行結腸人工肛門造設術を施行した後,mFOLFOX6を開始した.5コース目のDay3に意識障害を認め当センター搬送された.高アンモニア血症(403μg/dl)を認め,保存的治療を行い,2日後に軽快した.
    (症例2)75歳男性,直腸癌に対して低位前方切除術施行.StageIIIbにて術後補助化学療法としてmFOLFOX6を12コース施行した.終了6カ月後に肝転移を認め,mFOLFOX6+BV開始.Day3に意識障害が出現し,高アンモニア血症(352μg/dl)を認めたが,2日後に軽快した.
    mFOLFOX6施行後に意識障害をきたした場合には,高アンモニア脳症があることも念頭において診療すべきであると考えられた.
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  • 家里 明日美, 小山 洋, 伊藤 研一, 福島 万奈, 天野 純
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2797-2800
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    症例は11歳,男児.母親が左頸部腫瘤に気付き受診.初診時,左頸部に3cm大,弾性硬で可動性良好な腫瘤を触知した.甲状腺機能検査では,Tg 94.3ng/mlと軽度上昇していた.USでは,甲状腺左葉に3cm大,境界明瞭で内部に嚢胞変性を伴う低エコー腫瘤を認め,ドップラーで腫瘤内部に豊富な血流を認めた.CTでは腫瘤は造影早期に濃染され,後期に早くwash outされた.穿刺吸引細胞診では濾胞性腫瘍と腺腫様甲状腺腫の鑑別が困難と診断された.濾胞性腫瘍の可能性を考え,甲状腺左葉切除術および頸部リンパ節郭清を施行した.病理組織学的には核の腫大した細胞が濾胞構造をとって増殖し,明瞭な線維性被膜を有していたが一部に被膜外浸潤が認められ,微小浸潤型の濾胞癌と診断された.甲状腺濾胞癌は術前に確定診断を得ることが難しく,また小児例は非常に稀である.USで濾胞性腫瘍が疑われた場合には濾胞癌を念頭に置いて術式を選択することが重要と考えられる.
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  • 高浜 佑己子, 宮本 幸雄, 井上 暁, 梅北 信孝, 伊藤 淳, 蕨 雅大
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2801-2805
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    症例は57歳,女性.2000年に左乳房腫瘤を自覚したが放置していた.2006年7月に左乳房腫瘤の急激な増大,疼痛,出血が出現したため,当院を受診した.初診時左乳房全体を占める15cm大の潰瘍形成を伴う腫瘤を認めた.手術は単純左乳房切除術を施行し,病理所見にて乳腺間質肉腫と診断した.術後8カ月目に上腹部腫瘤を主訴に外来を受診し,乳腺間質肉腫右肺S10・腹腔内転移と診断し,開胸開腹肺部分切除・腹腔内腫瘍摘出術・幽門側胃合併切除術を施行した.初回手術より3年6カ月後に胸部CTで右肺S5に12mmの腫瘤が出現し,右中葉切除術を施行した.その後右肺S8/9に再び転移を認め,初回手術後4年6カ月後に右下葉切除術を施行した.現在初回手術後5年で,新たな再発なく生存中である.
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  • 清水 忠博, 小池 祥一郎, 中澤 功
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2806-2812
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    症例48歳閉経前女性.1995年9月に左乳房に腫瘤を自覚し1996年5月受診.左乳房AB領域に4.8×4.0cm,弾性硬,表面不正な腫瘤を触知.USでは境界不明瞭,内部不均一.MMGで境界微細鋸歯状,一部不明瞭な腫瘤を認めた.穿刺吸引細胞診では悪性.左乳癌T2N0M0 StageIIAの診断にて1996年6月に胸筋温存乳房切除術を施行した.病理組織診断は乳腺紡錘細胞癌,t;35mm,n1(+)(1/18),ly1,v0,ER-,PgR-,核グレード3,免疫組織染色ではCytokeratin,Vimentinが共に陽性.術後FEC療法を6サイクル施行した.1997年7月の胸部CTにて,左肺S3に径2.5cm,S9に径2cmの転移を疑う結節状陰影を認めた.左肺以外に病変無く当時の化学療法に抵抗していると判断し,診断および治療を目的として肺部分切除術を施行.病理組織診断は乳腺紡錘細胞癌の肺転移であった.術後ドキシフルリジン800mgを3年間服用.定期的に経過観察を行っているが肺部分切除術施行13年後の2010年6月施行のPET/CT検査では再発,転移の徴候は見られず経過は良好である.
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  • 和田 範子, 川崎 誠康, 小川 雅生, 今川 敦夫, 出村 公一, 亀山 雅男, 山内 道子
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2813-2816
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,男性.急速に増大する右腋窩腫瘤を主訴に当院を受診した.初診時,右腋窩に70mm大の腫瘤を認めた.穿刺細胞診では確定診断がつかず,診断目的で腫瘤摘出術を施行した.CK20による免疫染色にて陽性所見を認め,Merkel細胞癌と診断した.全身検索を行うも右腋窩以外に病変を認めなかったことから,右腋窩リンパ節原発Merkel細胞癌と考えた.リンパ節原発Merkel細胞癌は稀であり標準的な治療法は報告されていないものの,本症例は切除および術後放射線照射を施行し,現在術後3年3カ月経過するが再発なく長期生存を得ている.
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  • 飛永 修一, 七島 篤志, 阿保 貴章, 角田 順久, 林 徳真吉, 永安 武
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2817-2821
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,男性.14年前に気管腺様嚢胞癌に対し気管管状切除術を施行,術後局所再発予防目的に計60Gyの放射線治療が行われた.術後6年目,8年目に転移性肺腫瘍を認め肺部分切除術が施行された.初回手術より14年後に多発する転移性肝腫瘍が指摘され,肝拡大後区域切除術+ラジオ波焼灼術を施行,4年の無再発生存期間が得られた.現在新たに右腎転移を認めており切除を最優先として治療方針を検討中である.気管腺様嚢胞癌の遠隔転移に対する切除例の報告は少なく,なかでも肝転移切除症例の報告は1例のみときわめてまれである.気管腺様嚢胞癌は長い経過で遠隔転移をきたす特徴があるが,再発巣に対する積極的外科的切除により長期生存も可能であると思われ,今回報告した.
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  • 西脇 誠二, 佐伯 典之, 四方田 大介, 須郷 慶一, 北見 明彦, 中山 茂樹
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2822-2827
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,男性.直腸癌に対し腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術施行.手術数時間後より呼吸循環障害あり.胸腹部CTにて肝右葉,小腸が右胸腔内に脱出.脱出小腸は拡張,壁肥厚あり.右肺中下葉は圧排され無気肺となり,軽度気胸を伴っていた.以上の所見より,右横隔膜ヘルニア嵌頓と診断し緊急開胸手術施行.右横隔膜後外側にヘルニア門を認め,右側Bochdalek孔ヘルニアと診断.脱出小腸は拡張し軽度浮腫状ではあったが血流障害は認められず,切除再建を行わずに腹腔内へ還納.脱出していた肝右葉も腹腔内へ還納し,ポリプロピレンメッシュにて横隔膜欠損部を補填した.成人右側Bochdalek孔ヘルニアの報告例は非常に稀ではあるが,無症状で経過している症例が潜在的に数多く存在している可能性があるとも報告されている.本症例の発症契機は長時間の気腹操作であると考えられ,術後合併症の一つとして念頭に置くべき疾患であると思われた.
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  • 伊藤 朋子, 奥田 俊之, 尾山 佳永子, 太田 尚宏, 原 拓央, 増田 信二
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2828-2833
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,女性.下腹部膨隆,下腿浮腫を自覚し,当院を受診した.血液検査で重度の鉄欠乏性貧血と低蛋白血症を認めた.上部消化管内視鏡検査では,胃全体に発赤を伴う大小多彩な浮腫状のポリープが多発しており,胃前庭部前壁ではポリープが密集して大きな集合体を形成していた.胃体下部小彎のポリープは生検でGroupIVと判定された.消化管シンチグラフィーでは,胃からの蛋白漏出を確認した.胃限局性のポリポーシスと,それに伴う鉄欠乏性貧血,蛋白漏出性胃腸症と診断した.また,一部のポリープは癌が強く疑われており,低蛋白血症や貧血は保存的治療に抵抗性であったため,胃全摘術の適応と判断した.術後の経過は良好で,貧血や低蛋白血症は速やかな改善を認めた.切除胃の病理組織学的診断で胃過形成性ポリポーシス,早期胃癌と診断した.
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  • 大野 吏輝, 原田 雅光, 金村 普史, 大谷 広美, 河崎 秀樹, 前田 智治
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2834-2839
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    症例は42歳,女性.下腹部腫瘤を主訴に,当科を紹介された.既往歴,家族歴に特記事項はなく,来院時現症では,軽度の貧血と腹部に小児頭大の可動性腫瘤を認めた.各種画像検査と内視鏡検査より,消化管間葉系腫瘍(胃GIST)が疑われ手術を行った.手術所見では,胃体上部後壁大彎側から壁外性に巨大発育する多結節性黄白色調の充実性腫瘤がみられ,周囲組織への浸潤はなく,腫瘤を含めた胃部分切除術を行った.病理組織所見は,脱分化型脂肪肉腫と判明した.胃脂肪肉腫の報告は少なく,これまで26例の報告(2009年)があるのみである.われわれの症例は,徐々に自覚された無痛性可動性腹部腫瘤が主訴で,切除標本での最大径は22cm,重量は1,300gであり,これまでの報告例の中でも3番目に大きなものであった.胃原発の脂肪肉腫は極めて稀であるが,本疾患を念頭に入れ,画像診断および手術をすすめることが重要と考えられた.
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  • 鴇田 博美, 松山 貴俊, 菊池 章史, 西田 清孝, 近 範泰, 岡村 孝
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2840-2845
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,男性.幽門狭窄を伴う前庭部胃癌の診断で入院となった.生検の病理組織は低分化腺癌で,CTでリンパ節腫大および遠隔転移は認めなかった.手術目的に入院したところ,6日目に口腔内出血と下血が出現し,血液検査でDICと診断した.腫瘍マーカーとALPが急増しており骨転移による骨髄癌症を疑ったが,骨シンチグラフィで集積がなく,骨髄穿刺はdry tapのため診断困難であった.腰椎MRIを施行したところ,椎体にびまん性の転移を認め,骨髄癌症と診断した.5FU/MTX療法による化学療法を開始してDICから離脱し,その後S-1+PTXに変更して一時退院可能となるも,初診より約5カ月半で永眠された.剖検で広汎な骨髄転移を認めた.骨髄癌症では,骨シンチグラフィでsuper bone scanを呈することが多いが,本症例では集積を認めず,MRIが診断に有用であった.このような病態は骨梁間型の骨転移に認められ,骨反応を伴わない急速な骨髄浸潤が原因と考えられた.
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  • 松永 理絵, 東 久登, 根岸 真人, 山形 誠一, 増田 幸蔵, 志田 晴彦, 井上 泰
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2846-2851
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    症例は28歳,男性.2010年5月腹痛を主訴に,救急外来を受診.上腹部は硬く,腹膜刺激症状および貧血を認めた.CTにて胃癌および転移リンパ節の破裂が疑われ入院.内視鏡検査で胃角部から胃前庭部後壁に2型胃癌を認め,生検にて低分化腺癌,免疫染色α-fetoprotein(AFP)陽性.血清AFPは133.7ng/ml.術前のCT再検にて,上腸間膜静脈に腫瘍栓を疑う欠損像を認めた.胃全摘術,D2郭清,門脈腫瘍栓摘出術施行.病理組織検査では原病巣は低分化腺癌に一部hepatoid patternを含みAFP陽性,腫瘍栓でも同様の所見を認めた.T2(MP)N3aM1(OTH)H0 P0,stageIVの診断.術後1カ月よりS-1にて補助化学療法を開始.現在術後1年経過するが再発徴候はない.転移リンパ節破裂を契機に診断された門脈腫瘍栓を伴うAFP産生胃癌に対し,根治的手術を行ったまれな症例を報告する.
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  • 飯塚 一郎, 遠藤 大昌, 青柳 信嘉
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2852-2856
    公開日: 2012/04/13
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    症例は63歳,男性.十二指腸潰瘍による上腹部痛のため受けた上部消化管内視鏡検査で,十二指腸の球部から下行脚のVater乳頭の2cm口側に至る平坦な広範全周性の絨毛状腫瘍が発見され,生検で腺菅絨毛腺腫と診断された.
    本例では浸潤癌の併存を疑わせる所見はなく,病変の拡がりにあわせ,Vater乳頭部直上までの十二指腸口側半を切除する膵頭温存十二指腸切除(永井Ia)を実施した.切除標本で病変は9.3×5.6cm大の非常に広範な腺管絨毛腺腫で癌の合併は見られなかった.
    十二指腸の腺腫としてまれにみる広範病変であったことと,本邦で膵頭温存十二指腸切除によるこのような病変の切除例の報告が見られないことから1例報告した.
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  • 阪本 卓也, 大島 聡, 加藤 健志, 飯島 正平, 黒川 英司, 吉川 宣輝
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2857-2861
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    症例は39歳,女性.家族性大腸腺腫症に伴う直腸癌(Ra,stageIII)に対して2003年8月に他院で大腸全摘術を施行された.術前から多数の十二指腸ポリープの存在を指摘されていた.2007年10月初旬に当院紹介となり,内視鏡下に十二指腸ポリープの生検を行ったところ,複数の病変が腺癌と診断され,多発十二指腸癌の診断となった.次いで小腸内視鏡検査を行い小腸内には病変がないことを確認,根治術が可能と判断し,膵頭十二指腸切除術を行った.病理検査の結果,癌はいずれも粘膜内に留まっており多発性十二指腸早期癌と診断された.術後23カ月の時点で無再発生存中である.家族性大腸腺腫症では大腸癌に次いで十二指腸癌の合併率が高いことが知られているが,多発性十二指腸早期癌を合併した報告例は少なく,家族性大腸腺腫症診断後の十二指腸のスクリーニングは適切な間隔のもと積極的に生検を含めて実施すべきである.
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  • 辻村 敏明, 和田 哲成
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2862-2865
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,男性.30年前に十二指腸潰瘍にて胃切除術の既往あり.腹痛の精査にて小腸に重積像を認め,手術を施行した.著明に開大したBraun吻合部に輸出脚の空腸が逆行性に輸入脚に重積していた.重積腸管を整復後,拡張したBraun吻合部を自動縫合器で切離し,Braun吻合部の空腸を正常径に形成した.再度,手縫い縫合にてBraun吻合を作成した.Braun吻合部の空腸重積はまれな疾患であるが,胃切除の既往がある患者の腹痛の鑑別診断として念頭におくことが必要である.
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  • 小林 ゆかり, 田上 修司, 村田 一平, 野口 芳一, 須田 耕一
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2866-2870
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    症例は16歳,男性.右下腹部から臍下部の腹痛を主訴に救急搬送された.他院で急性虫垂炎と診断され保存療法を施行され退院した翌日であった.腹部CTでtarget signを認め腸重積と診断した.短期間に症状を繰り返しているため,手術の方針とした.術中所見では盲腸が上行結腸に重積し,解除すると盲腸から上行結腸に軟らかい腫瘤を触知した.これが腸重積の原因と判断し回盲部切除術を施行した.切除標本では粘膜下に気腫性嚢胞を多数認め,腸管嚢胞様気腫症と診断した.病理組織学的には嚢胞壁内に異物巨細胞を認めた.腸重積を合併した腸管嚢胞様気腫症の本邦論文報告例は自験例を含め9例のみである.若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 武田 崇志, 大東 誠司, 塩崎 弘憲, 須藤 一起, 小野寺 久
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2871-2876
    公開日: 2012/04/13
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    症例は78歳,女性.大腸癌術後2週間目に腹部膨満を主訴として来院.腸閉塞を疑って施行した腹部CTで大腸の壁肥厚および脾彎曲から下行結腸にかけての著明な拡張を認め,中毒性巨大結腸症と診断.さらに大腸内視鏡で偽膜形成を認め,Clostridium difficile(CD)毒素陽性であったため劇症型CD腸炎が原因と判断した.全身状態も安定していたため初期には保存的加療を選択したが,入院後4日目にDICを併発し緊急で結腸全摘術および回腸瘻造設を施行した.術後経過は良好で特に合併症なく術後28日目に退院となった.劇症型CD腸炎は手術を考慮する必要があるが,下痢症状を伴わない場合は早期診断が困難な場合もある.今回は迅速に診断し救命しえた劇症型CD腸炎を経験したため文献的考察を含め報告する.
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  • 間下 直樹, 横山 裕之, 谷口 健次, 越川 克己, 望月 能成, 末永 裕之
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2877-2881
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    症例は53歳,男性.便秘と下腹部不快感を主訴に受診,画像上骨盤内に92mmの腫瘍を認めた.精査の結果,前立腺に浸潤する直腸gastrointestinal stromal tumor(以下GIST)と診断された.当初,根治的切除として骨盤内臓全摘術を考慮したが,機能温存を図るためneoadjuvant therapyとしてメシル酸イマチニブを400mg/日で8カ月間投与し,腫瘍の縮小が得られた後に手術を施行した.腹会陰式直腸切断術に前立腺合併切除を付加し,尿道は再建することが可能であった.GISTに対するneoadjuvant therapyは,現在臨床試験中でその有用性は確立されていないものの,局所進行GISTに対する治療において,臓器機能を温存し,安全に根治的な外科的切除を可能にする有効な戦略であると考えられる.
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  • 高崎 淳, 片桐 聡, 小寺 由人, 有泉 俊一, 山本 雅一
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2882-2888
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    症例は51歳,男性.2009年8月,検診時に行った腹部超音波検査(以下US)で肝腫瘤を指摘された.既往にB型肝炎ウィルスキャリア.輸血歴なし.
    USではS2肝表に径10mmの境界不明瞭な低エコーの腫瘤を認め,造影CT早期相では周囲のみが造影され,後期相では等吸収であった.B型肝炎ウィルスキャリアであり,悪性の可能性否定できず,充分なInformed consentのもと全生検目的に腹腔鏡補助下肝外側区域切除術施行した.切除標本肉眼所見では,弾性硬,黄白色調の二こぶ状腫瘤を認め,病理組織学検査では,悪性細胞は認めず多数の好酸球の集簇を認めた.抗寄生虫抗体スクリーニング検査の結果,ブタ回虫に対する抗体が陽性で,内臓幼虫移行症による肝好酸性肉芽腫症と診断した.ブタ回虫による肝好酸性肉芽腫症は10mm前後の結節を形成し,CTで造影効果を認める症例もあり,肝悪性腫瘍との鑑別が難しい症例が存在する.
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  • 阿部 徹, 小林 正史, 日向 理, 藤井 秀樹
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2889-2893
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,女性.8日前からの発熱と右季肋部痛の精査加療目的に当院を受診し,同日入院となった.肝後下区域に12cmの肝膿瘍を認め経皮経肝膿瘍ドレナージ(PTAD)を施行し,ドレナージカテーテルを留置した.後日,3年前の健診で肝後区域に10cmの肝嚢胞を指摘されていることが判明し,感染性肝嚢胞と診断した.PTAD後に症状は速やかに軽快したが,ドレナージカテーテルから連日50~100mlの膿性排液が持続し治癒が得られなかった.PTAD後から20日目に肝後下区域切除を施行し,術後13日目に軽快退院となった.
    PTADは感染性肝嚢胞の感染制御には有効であるが治癒には至らないこともあり,自験例のように膿性排液の持続する症例には積極的な肝切除も有効な治療法の1つと考えられた.
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  • 浅沼 修一郎, 平松 和洋, 加藤 岳人, 柴田 佳久, 吉原 基, 山田 英貴
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2894-2898
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,男性.腹痛の精査目的のCTで,肝尾状葉に腫瘍を認めた.さらに検査を行ったが確定診断を得られず,2008年11月に診断目的を兼ねた手術を施行した.腫瘍の一部を採取して術中迅速病理診断に提出すると,リンパ球浸潤を伴う組織であり,癌ではないとの結果を得た.尾状葉部分切除を施行して提出すると,悪性リンパ腫との結果を得た.周囲への強固な浸潤があり,完全切除には下大静脈部分合併切除が必要である可能性が考えられた.腫瘍は残存していたが,完全切除は過大侵襲であり,化学療法による全身治療が妥当であると判断し,手術を終了した.術後経過は良好であり,血液内科へ転科となった.Malignant lymphoma,diffuse large cell type,B cell typeの診断でR-CHOPを8コース施行し,完全寛解を得た.術後24カ月の時点で,無再発生存中である.文献的考察を加え,本症例を報告する.
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  • 千堂 宏義, 押切 太郎, 前田 裕巳, 藤野 泰宏, 富永 正寛
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2899-2903
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,男性.2006年12月より肝細胞癌で開腹RFAおよび繰り返しTACEを施行された.2011年2月胆石胆嚢炎を発症したが,経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD)で保存的に軽快した.3月に肝細胞癌多発再発に対しTACEを施行し,5月の外来診察時に発熱および右季肋部手術創痕に腫脹を認め,同部に軽度の圧痛を伴う鶏卵大腫瘤を触知した.入院時に同部は発赤して自潰寸前であり,内視鏡的逆行性胆道ドレナージ(ERBD)チューブ入れ替え後に自潰,排膿した.瘻孔造影にて胆嚢皮膚瘻と診断し,保存的ドレナージで軽快した.胆嚢皮膚瘻は,胆石症や胆嚢癌などの胆道系疾患に起因して胆嚢と直接皮膚に胆汁瘻を形成する外胆嚢瘻で極めて稀な疾患である.治療法としては切開排膿ドレナージだけでは治癒せず難治性であり,外科手術が原則である.今回われわれは,保存的ドレナージで治癒した胆石症による胆嚢皮膚瘻の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 長崎 和仁, 山藤 和夫, 竹島 薫, 朝見 淳規, 窪地 淳, 赤塚 誠哉
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2904-2908
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    患者は70歳,男性.下血を主訴に当院を受診.下部内視鏡検査にて結腸肝彎曲部に巨大な隆起性腫瘍を認め,腹部造影CT検査では胆嚢から横行結腸に跨るように約12cm大の腫瘤性病変を認めた.精査中も腫瘍は急速に増大し右季肋部に突出するようになった.結腸浸潤を伴う胆嚢癌の疑診断で手術を施行した.拡大胆嚢摘出術と右半結腸切除術を施行した.腫瘍は胆嚢内腔に充満しており,結腸内腔へ突出するように分葉状に発育していた.病理組織学的検査にて,真の胆嚢癌肉腫と診断された.術後23日目に退院したが,程なく局所再発をきたし,術後56日目に永眠した.胆嚢癌肉腫は本邦で48例が報告されたにすぎない稀な疾患であり,その臨床的および病理学的特徴につき,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 藤崎 宗春, 二川 康郎, 島田 淳一, 松本 晶, 池内 健二, 矢永 勝彦
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2909-2913
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,女性.54歳時に他施設で腎癌にて右腎摘出を受けた.その後膀胱転移,左腎転移,膵転移,肺転移を認め当院泌尿器科にてフォローアップされていた.平成21年12月上旬に38℃台の発熱,右季肋部痛を主訴に当院受診した.腹部CT検査にて胆嚢壁の肥厚を認め胆嚢炎の診断にて入院加療となった.入院後抗菌剤による保存的治療を行うも胆嚢炎の再燃を認めたため第19病日にPTGBD挿入したが改善傾向なく第21病日に開腹胆嚢摘出術を施行した.病理検査にて胆嚢頸部付近に3.5×2.5×1.5cmのclear cell carcinomaを認め腎癌の胆嚢転移と診断した.腫瘤は頸部付近の内腔を占拠しており,これが胆嚢管を閉塞し胆嚢炎を起こしたと考えられた.腎細胞癌の胆嚢転移の中でも腫瘍を閉塞機転として急性胆嚢炎を発症した稀な症例であるため文献的考察を加えて報告する.
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  • 宮国 泰己, 山崎 慎太郎, 西田 茂, 絹川 典子, 高山 忠利
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2914-2918
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    48歳男性,アルコール性慢性膵炎の経過中,背部痛が出現し来院した.胆石症で胆嚢摘出術の既往歴あり.血液生化学検査で,血清アミラーゼおよびCRPの上昇を認めた.腹部CT検査上,慢性膵炎の急性増悪と診断され入院した.保存的治療で軽快せず,内視鏡下に膵管ステント留置術施行され症状軽快したため一時退院した.しかし再度症状悪化し,膵頭部の膿瘍形成とステント留置部より尾側の膵管の拡張を認め再入院した.繰り返す膵炎と膵頭部の膿瘍形成のため,外科治療を選択し膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織検査では主膵管は途絶し膵頭部に広範な壊死と周囲には線維性の被膜組織を認めた.術後経過は良好で術後25日に退院され,術後24カ月現在,耐糖能異常を認めず経過している.本症例は良性疾患に対する外科治療の適応を考察する示唆に富む症例であるため報告する.
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  • 恩田 真二, 兼平 卓, 藤岡 秀一, 岡本 友好, 矢永 勝彦
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2919-2925
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    近年の画像診断能の向上にもかかわらず,膵癌の早期診断,手術は依然少ないのが現状である.今回stageI膵癌の3切除例を経験したので報告する.症例は3例とも女性で,年齢は68,70,71歳であった.いずれも無症状であり,偶然にUSで膵腫瘍を指摘された.造影CTでは3例とも腫瘍の造影効果を認めた.2例は膵癌の診断で膵体尾部切除を施行したが,症例1は膵内分泌腫瘍の診断で膵中央切除術を施行した.病理診断は3例とも管状腺管癌,stageIであった.3例ともゲムシタビンによる補助化学療法を行い,現在まで無再発生存中である.3例とも造影CTにて腫瘍の造影効果を認めていたため,同検査が膵癌の早期診断に有用である可能性が示唆された.
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  • 原 隆志, 高梨 節二, 川原 洋一郎
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2926-2930
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    局所進行膵癌術後の癌性腹膜炎に伴う消化管閉塞に2度のバイパス術とTS-1による化学療法が有効であった症例を経験した.67歳男性.2007年5月腹痛出現,腹部CTにて腹腔動脈,脾動脈浸潤を伴う膵体部癌と診断,北海道大学腫瘍外科にて腹腔動脈合併膵体尾部切除+門脈合併切除が施行された.術後Gemcitabine(GEM)を開始,2008年7月腹水貯留を伴う癌性腹膜炎によるイレウスを発症,経口摂取とTS-1開始を目標に回腸回腸バイパス術を施行.術後TS-1開始後腹水は急速に減少し退院.2009年5月十二指腸狭窄発症,本人の希望強く胃空腸吻合を施行し再度経口摂取可能となり,その2カ月後原病死となった.膵癌による癌性腹膜炎は腹水や消化管閉塞などQOLを著しく損なうが,患者さんの希望を十分に汲んだ上での積極的な消化管バイパス術と抗癌剤治療は症状緩和,延命に寄与する場合もあり,外科医として最後まで力を尽くすことが大切である.
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  • 橋本 敏章, 古井 純一郎, 伊藤 裕司, 北島 正親, 井上 諭
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2931-2935
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    症例は48歳,男性.腎不全にて通院中,偶然膵尾部に27mm大の嚢胞性病変を指摘された.腹部CT検査では膵尾部に三日月状の充実成分を有する単房性の嚢胞を認め,内部に隆起性病変は認めなかった.MRCP検査で膵管と嚢胞に交通を認めなかった.2年後に施行した腹部CT検査で38mm大に増大傾向を示し悪性疾患を否定し得なかったため,腹腔鏡補助下に膵尾部・脾合併切除術を施行した.病理検査で膵内副脾に発生したepidermoid cystと診断された.膵尾部嚢胞性疾患において,本症はまれで診断には苦慮するが,鑑別診断として常に念頭に置くべきであると考えられた.
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  • 伊藤 貴洋, 河埜 道夫, 近藤 昭信, 田中 穣, 長沼 達史, 伊佐地 秀司
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2936-2940
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    幽門側胃切除後に生じた脾腫瘍に対し脾部分切除を施行した1例を経験したので報告する.症例は74歳女性,2006年胃癌にて腹腔鏡補助下幽門側胃切除術,D1+β郭清を施行,病理結果は低分化管状腺癌pTsm N1 M0 stage Ibであった.2008年CTにて脾上極に5mm大のLow density areaを認め経過観察していたが2010年になり13mmから22mmと急速に増大傾向を示した.腹部USでは辺縁明瞭なhyperechoicな腫瘤であった.MRIではT1強調画像にて低信号,T2強調画像にて高信号の辺縁明瞭な腫瘤であった.FDG-PETは同部を含め全身に異常集積は認めなかった.画像上は血管腫が疑われたが,急速な増大傾向を認め,悪性の可能性も否定できず手術適応と判断した.術前のCT Angiographyでは後胃動脈ははっきり同定できず,脾摘出を施行すると,残胃壊死になる可能性が考えられ,脾部分切除を施行した.InLine®にて切離線を前凝固したのち脾実質の切離を施行した.病理組織所見に悪性所見はなく,脾血管腫と診断した.
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  • 西村 充孝, 西平 友彦, 山岡 竜也, 井上 英信, 石川 順英, 廣瀬 哲朗
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2941-2945
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,女性.胆石術後の腹部エコーで腫瘍を指摘された.CTで胃背側に腫瘍を認め,MRI T1強調像で低信号,T2強調像で高信号を呈した.手術時,網嚢腔背側の左前腎傍腔に8cm大の腫瘍が存在した.組織上,紡錘形の核を有する腫瘍細胞が束状配列し,免疫染色でCD117陽性であった.核分裂頻度は4/50HPFで中等度再発リスクの消化管外gastrointestinal stromal tumor(GIST)と診断した.術後2年7カ月現在無再発健存である.GISTは消化管に発生するが,消化管外の発生例も報告されており,extragastrointestinal stromal tumor(EGIST)と呼称される.EGISTの多くは大網,腸間膜など腹腔内の発生例が多く,後腹膜の発生は稀である.PubMedで検索した範囲では後腹膜発生の報告例は3例であった.後腹膜である前腎傍腔に発生した消化管外GISTの1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.
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  • 池谷 哲郎, 井上 透, 山本 篤, 山下 好人, 池原 照幸, 西口 幸雄
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2946-2950
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,女性.他院にて上行結腸のポリープに対し,大腸内視鏡下ポリープ切除術を施行された.当日夕より腹痛と嘔吐を認めた.間欠的な腹痛の増悪を認めるため,翌日朝に当院救急外来を受診した.来院時の腹部CT検査では明らかなイレウス像を認めなかったが,嘔気と腹痛が持続していたため,経過観察目的にて入院となった.同日夕に腹痛の増悪を認めたため,入院時CT検査より10時間後に腹部CT検査を再度施行した.骨盤内に小腸のループ形成を認め,腹水の貯留も認めたため,内ヘルニアによる絞扼性イレウスの診断にて同日緊急手術を施行した.左子宮広間膜の異常裂孔に小腸が迷入し,終末回腸近傍の小腸が嵌頓しており,虚血性変化をきたしていた.子宮広間膜裂孔を開放し,回盲部切除を行った.大腸内視鏡を契機として発症したと考えられるまれな子宮広間膜ヘルニアの1例を経験したので,若干の文献的考察を交えて報告する.
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  • 星川 竜彦, 和泉 秀樹, 福光 寛, 飛田 浩輔, 向井 正哉, 幕内 博康
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2951-2955
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    術後の乳糜腹水に対してソマトスタチンアナログ(オクトレオチド)を使用し有効であった3例について報告する.症例1は61歳女性で悪性リンパ腫の疑いで腹腔鏡下傍大動脈リンパ節生検を施行した.術後第6病日よりドレーン排液が乳白色となり,排液の中性脂肪(以下TG)値は3,295mg/dlであった.乳糜漏の診断で,オクトレオチド300μg/日を開始したところ,2日後には排液量も減少し,TG値は218mg/dlまで改善した.症例2は83歳女性で食道胃接合部の穿孔による腹膜炎で緊急手術を行った.術後第6病日から乳糜腹水が出現し,TG値は399mg/dlであった.オクトレオチド200μ/日を開始したところ,TG値は72mg/dlまで改善した.症例3は53歳男性で膵頭部癌に対して全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を行った.術後第6病日に乳糜漏を認め,排液のTG値は399mg/dlでオクトレオチド開始後には72mg/dlに改善した.術後乳糜漏に対する早期のオクトレオチド使用は有効であると考えられた.
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  • 中村 謙一, 早川 哲史, 北上 英彦, 山本 稔, 清水 保延, 田中 守嗣
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2956-2959
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    症例は27歳,男性.10日間以上続く下腹部痛と嘔吐があり,増強するため当院を受診した.CTで骨盤腔に長径約10cm大の多房性腫瘤を認めた.その頭側でwhirl pool signを認め口側小腸の拡張を認めた.小腸捻転による腸閉塞と診断し緊急手術を行った.開腹すると骨盤腔内に小腸間膜から発生した10cm大の多房性腫瘤が陥入しており,小腸間膜の捻転を生じていた.腫瘍を含む小腸の部分切除を施行した.病理組織学検査では腸間膜リンパ管腫と診断された.小腸間膜リンパ管腫は比較的稀な疾患で,そのほとんどは小児例であり,成人での報告例は少ない.今回成人の小腸間膜にリンパ管腫を認め,さらに小腸捻転によるイレウスで発症した極めて稀な1症例を経験したので報告する.
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  • 山崎 哲資, 保谷 芳行, 佐々木 達海, 山崎 望人, 矢永 勝彦
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2960-2963
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,男性.平成21年1月に左上腹部を肉牛の角で突かれ受傷した.同日近医を受診したが腹部打撲と診断され帰宅し,疼痛続くため翌日当院を受診した.来院時,左上腹部に12×10cm大の皮下出血を伴う膨隆を認めた.腹部CT検査にて腹直筋の損傷部から小腸の腹腔外への脱出を認め,外傷性腹壁ヘルニアの診断で同日入院・緊急手術となった.手術は正中切開にて開腹し,左上腹部の皮下出血の直下に約5cmの腹壁欠損があり,上部空腸の嵌頓を認めた.腹水・腹腔内出血はなかった.小腸腸間膜に絞扼による血腫を認めたが,壊死の所見はなく,小腸を切除することなく用手的に腹腔内へ還納した.腹膜・腹横筋・腹直筋をそれぞれ縫合し,閉腹して手術を終了した.術後経過は良好で15日目に軽快退院した.
    今回われわれは,CT検査が診断に有用であった牛角による外傷性腹壁ヘルニアの1例を経験したので報告する.
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  • 大谷 剛, 石村 健, 若林 久男
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2964-2967
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    症例は86歳,女性.上行結腸癌に対し腹腔鏡下右結腸切除術を施行した.術後5mmポート孔より挿入していた8mmドレーンを抜去したが,同日夕方よりドレーン抜去部周囲皮膚の膨隆と圧痛を認めた.ポートサイトへルニアを疑い,腹部CT検査を施行し,皮下へ腸管脱出を認めたため,緊急手術を施行した.ドレーン孔を切開すると,暗赤色の脱出腸管を認めた.筋膜を切開し絞扼を解除することで腸管切除は行わず手術を終了した.高齢であり腹壁が脆弱であったことや,術中にポートが脱落し,内套を挿入せず再挿入したため筋膜損傷を起こしていた可能性,5mmポート孔より8mmドレーンを挿入したため筋膜損傷部を拡張していた可能性の3点が原因として考えられた.診断・加療が遅れると腸管壊死や腸切除が必要となる可能性も高く,5mmポート孔にもヘルニアが起こりうることを念頭に置き,診察することが肝要である.
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  • 三上 千絵, 島田 光生, 栗田 信浩, 岩田 貴, 西岡 将規, 森本 慎也
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2968-2972
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    症例は70歳代の女性で,直腸癌で腹腔鏡下低位前方切除術を施行された(Ra,3.3×3.0cm,2型,SS,N0,H0,P0,M0,StageII).術後adjuvant chemotherapyとしてUFT+PSKを投与しながら外来でfollow up中であった.術後6カ月目の腹部CT検査で,腸間膜に約16mm大までの小結節が数個出現したが腫瘍マーカーは正常範囲内で経過観察とした.術後1年目の腹部CT検査では腸管膜小結節の増大を認めた.腫瘍マーカー,炎症所見は正常範囲内であったが,diffusion MRIでもhigh intensity lesionとして認めたため,腹膜播種の可能性が高いと考え,腸管膜に病変が限局していることから外科的切除を行った.病理診断では慢性炎症細胞浸潤を伴った線維芽細胞の増殖でmesenteric panniculitis(sclerosing mesenteritis)の像であった.
    直腸癌術後に発症した腹膜播種と鑑別が困難であった炎症性腫瘤を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 大久保 博世, 小坂 愉賢, 高橋 禎人, 信太 昭子, 中村 隆俊, 渡邊 昌彦
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2973-2977
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,男性.2年前より腹部膨満感が出現したが放置していた.咳嗽を主訴に当院を受診した.CT,MRIで,35cm大の腹腔内巨大腫瘤を認め,後腹膜脂肪肉腫が疑われた.腫瘍は腹腔内を広範囲に占拠し,両側尿管,腹部大動脈,下大静脈,左総腸骨動静脈を右側に圧排していた.腹部血管造影検査では,腹部大動脈と左総腸骨動脈は右側への圧排を認め,左外腸骨動脈と左内腸骨動脈分枝からの栄養血管を認めた.両側尿管ステントを留置し,手術に臨んだ.開腹所見で,腫瘍は左総腸骨動静脈から左外腸骨動静脈を腹側に圧排し癒着していたが,剥離可能であった.腫瘍径は40×40×27cmで,重量は20.5kgであった.腫瘍の発生部位は,術中所見より左外腸骨動脈周囲の脂肪由来と考えられた.病理組織診断では,高分化型脂肪肉腫であった.20kgを超える後腹膜脂肪肉腫切除の報告例は少なく,貴重な症例と考えられたので報告する.
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  • 三浦 宏平, 鈴木 聡, 二瓶 幸栄, 大滝 雅博, 池田 義之, 三科 武
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2978-2982
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    骨肉腫の消化管への転移は稀でありさらに十二指腸への転移は極めて稀である.今回われわれは出血および十二指腸への通過障害を呈した転移性十二指腸腫瘍に対し,放射線療法および胃空腸吻合術(バイパス)を施行し症状の改善を得た1例を経験したので報告する.症例は36歳男性.大腿骨骨肉腫に対し術前化学療法を施行後に広範切除を施行し,その後肺転移巣に対し肺部分切除および放射線療法を行った.手術から6年後に6cm大の出血性転移性十二指腸腫瘍が判明し,高度の貧血と腫瘍増大による狭窄症状を呈した.出血コントロールおよび腫瘍縮小効果を期待して転移巣への計30Gyの照射ならびに胃空腸バイパス術を施行した結果,出血が制御され経口摂取も可能となったばかりかCT上45%の腫瘍縮小効果を認めた.稀有な症例ではあるが,患者のQOLを向上させるための緩和ケアを含めた集学的治療の重要性を認識できた.
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  • 門馬 智之, 菅野 浩樹, 山寺 彩, 星野 正美, 内海 康文, 竹之下 誠一
    72 巻 (2011) 11 号 p. 2983-2987
    公開日: 2012/04/13
    ジャーナル フリー
    神経線維腫症1型(以下;NF1)は常染色体優性遺伝性の疾患で,悪性腫瘍との合併がしばしばみられるが,多くが非上皮性腫瘍で上皮性腫瘍との合併は比較的少ない.今回われわれは,NF1に乳癌と副腎褐色細胞腫を合併したまれな症例を経験した.症例は48歳の女性で,左乳房の痛みを主訴に当科外来を受診された.左乳房D領域に2.1cm大の腫瘤を認め,全身にカフェ・オ・レ斑と,柔らかい皮膚の小結節を認めた.穿刺吸引細胞診で左乳癌と診断した.術前精査のために行った腹部CTで左副腎に腫瘤陰影を認め,内分泌学的検査および131-I-MIBGシンチグラフィで副腎褐色細胞腫の診断となった.乳癌の手術に先立ち,腹腔鏡下左副腎摘出術を行い,3週後に左乳房全摘,腋窩郭清を施行した.これまでの本邦報告例2例を含め,文献的考察を加えて報告する.
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編集後記
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