日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
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72 巻 , 12 号
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綜説
  • 児玉 ひとみ, 竹宮 孝子, 斎藤 加代子, 大澤 真木子, 岡本 高宏
    72 巻 (2011) 12 号 p. 2989-2994
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    近年,外科を選択する女性医師が増えつつある.女性外科医が妊娠・出産を望む時期と専門医取得を目指す時期はほぼ重なっている.育児と両立しながら臨床経験を積む為には,多くの問題を解決しなければならない.東京女子医科大学は日本で唯一の女子のみで構成された医科大学であり,女性医師を支援するシステムが多く存在する.今後全国的にこれら支援システムがたちあがり,ワークライフバランスの概念が浸透してゆけば,女性外科医は出産後も母親であると当時に一外科医として社会に貢献し続けることができる.
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原著
  • 大谷 彰一郎, 河内 麻里子, 伊藤 充矢, 高田 晋一, 松浦 博夫, 檜垣 健二
    72 巻 (2011) 12 号 p. 2995-3002
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    トリプルネガティブ(TN)乳癌は化学療法に奏効するが予後不良な乳癌と言われている.今回,われわれはTN乳癌に対する術前化学療法(NAC)の治療効果と予後の関係を明らかにするために,2002年から2010年までに当院で原発性乳癌に対してNAC施行した335例を,TN乳癌と非TN乳癌に分類し,比較検討した.病理学的完全奏効(pCR)割合は,TN乳癌は28.1%,非TN乳癌が18.9%とTN乳癌でpCRが得やすい傾向にあったが有意差は認めなかった.またNACでpCRを得た症例のTN乳癌と非TN乳癌の無再発性生存率(DFS),全生存率(OS)は有意差を認めず良好であった.一方,遺残癌を認める症例ではTN乳癌と非TN乳癌ではDFSでは差を認めないが,OSでは有意差を持ってTN乳癌が悪かった(p<0.01).TN乳癌のNACで癌の遺残を認めた症例は予後不良が予測され厳重な注意が必要である.
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症例
  • 西野 裕人, 仙田 典子, 松谷 泰男, 西村 理, 稲本 俊
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3003-3006
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    症例は69歳女性で既往歴に高血圧,狭心症,糖尿病があり抗血小板薬を内服中であった.三点式シートベルトを装着して乗用車を運転中に右折した車と衝突し,当院へ救急搬送された.搬送時,意識は清明で左乳房の腫脹と紫斑を認めたが心肺に異常はなかった.来院後,収縮期血圧50mmHgとなり意識レベルも低下し,Hb 9.2mg/dlであったので,直ちに補液を開始し血圧は一次回復した.超音波検査と造影CTで左乳房内に出血による血腫を認めたが,胸腔内や腹腔内に出血を認めなかった.乳房の圧迫止血を行い経過観察目的で入院した直後に収縮期血圧が再度70mmHg台に低下しHb 7.9g/dlであったため,濃厚赤血球2単位を輸血し全身状態の安定を得た.以降,保存的治療で回復し入院5日目に退院した.シートベルト外傷による乳房内出血でショック状態に至る報告は少ないが,3点式シートベルトの普及で増加が予想される.その対応にあたり急性期治療のみならず,乳房の変形,感染など晩期合併症や乳癌の合併への留意も要する.
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  • 二宮 卓之, 伊藤 充矢, 河内 麻里子, 大谷 彰一郎, 檜垣 健二
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3007-3010
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    葉状腫瘍は比較的まれな疾患で全乳腺腫瘍の1%未満を占める1).好発年齢は40歳代で思春期前から70歳代までの広範囲な年代に発症するといわれている.若年者での発症は極めてまれで,15歳未満に限ると本邦では報告例がない.
    今回われわれは13歳の小児に発症した極めてまれな乳腺葉状腫瘍の1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.3カ月の経過で増大する約5cmの左乳房腫瘤に対し切除術を施行した.病理組織学的検査では良性葉状腫瘍であった.
    若年者の乳腺腫瘍では線維腺腫の頻度が高く葉状腫瘍の頻度は極めて低い.しかし,急速な増大傾向を示すものは葉状腫瘍の可能性も考慮し診断・治療にあたる必要がある.また若年者の葉状腫瘍は良性腫瘍の占める頻度が高く,根治性と整容性のバランスがとれた術式を考慮すべきであると考えられた.
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  • 中尾 健次郎, 古川 克郎, 黨 和夫, 柴崎 信一, 内藤 愼二, 岡 忠之
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3011-3017
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    悪性線維性組織球腫(MFH)は四肢・躯幹・後腹膜を好発部位とする全身の間質組織に発生するまれな腫瘍である.今回,乳腺に発生したMFHの1例を経験したので報告する.症例は57歳の女性.右乳房の腫瘤を主訴に当科を受診した.右CD領域に4.0cmの圧痛を伴う辺縁平滑で可動性不良な硬い腫瘤を触知した.マンモグラフィーでは微細分葉状の高濃度腫瘤であり,超音波では2.0cmの境界明瞭な分葉状の低エコー像でった.造影MRI検査では動脈相から濃染し,後期相で信号が漸減する腫瘤影を認めた.穿刺吸引細胞診にてClassVの診断であった.乳癌の術前診断にて乳房切除術,腋窩リンパ節郭清を行った.病理組織診ではstriform patternを呈しながら錯綜,増殖する紡錘形の異型細胞からなる充実性腫瘍であった.免疫組織学的検査ではactin,S-100,EMA,Keratinが陰性であり,MFHと診断した.術後補助療法は行わず,術後1年10カ月経過したが再発は認めていない.
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  • 有村 俊寛, 高崎 隆志
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3018-3025
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    症例は55歳,女性.左乳房の緊満感と左乳頭からの分泌物を主訴に受診した.視触診にて左乳房「D」領域を中心に約6.0×5.5cmの腫瘤と単孔性血性漿液性分泌を認めた.マンモグラフィで約6.0×5.5cmの分葉状,一部境界不明瞭のやや高濃度の腫瘤陰影を認めた.超音波検査は分葉状の嚢胞性腫瘤像を示した.針生検にて,ductal adenoma疑いと診断し腫瘤を含めた乳管腺葉区域切除術を施行した.手術標本では,ductal adenomaの中に部分的に単調な細胞よりなる異型腺管の密な増殖が認められ,筋上皮細胞との二相性が消失していた.浸潤像はなく非浸潤性乳管癌と診断した.追加切除および左腋窩リンパ節郭清は行わず,左乳房への放射線照射50Gyを施行した.ductal adenomaは良性疾患であり,適切な切除で再発はしない.一般にcarcinomaへの素因には成らないと言われ,本症例は極めて稀で貴重な1例と思われた.
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  • 金山 靖代, 野島 真治, 佐村 誠, 岡崎 充善, 善甫 宣哉, 亀井 敏昭, 倉田 悟
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3026-3029
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,女性. 2006年2月に右乳房腫瘤を主訴に当科外来を受診.精査の結果,右乳癌(T4cN2aM0,stageIIIB)であった.術前に子宮体癌が発見されたため,同年6月に右乳房切除術および子宮付属器全摘術を施行した.術後化学療法を施行した後,定期的にfollowしていたが,術後1年目に甲状腺乳頭癌が出現し,甲状腺左葉切除術を施行した.さらに2009年7月に左乳房腫瘤を認め,精査の結果,左乳癌(T2N0M0,stageIIA)と診断し,乳房切除術および腋窩リンパ節郭清を施行した.患者は頭部が大きく,顔面・四肢・舌に特徴的な皮疹を認め,3年のうちに子宮・甲状腺・乳腺の悪性腫瘍を発症したことから,Cowden病を疑った.消化管の精査で食道アカントーシス,胃ポリポーシス,結腸の過形成性ポリープを認め,診断基準よりCowden病と診断した.その後,遺伝子検査を行いPTEN遺伝子の変異を確認した.
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  • 川井 廉之, 高橋 伸政, 池谷 朋彦, 村井 克己, 星 永進, 清水 禎彦
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3030-3033
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    症例は27歳,女性.検診にて縦隔腫瘍が疑われ,当センターに紹介された.胸部CTとMRIにて,上大静脈背側と気管右側に接する22mm大の多房性嚢胞状腫瘤を認めた.肺野には特に異常を認めなかった.上縦隔腫瘍を疑い,胸腔鏡下に摘出術を行った.病理組織診断にて,中心乾酪壊死を伴う類上皮細胞性肉芽腫と多核巨細胞を認めた.結核菌のPCR陽性から縦隔リンパ節結核と診断した.本症例のごとく,縦隔リンパ節結核が肺野病変や他部位の結核病変を伴わず嚢胞状腫瘤を呈した場合,他の縦隔嚢胞性腫瘍との鑑別が困難である.
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  • 宮内 善広, 松原 寛知, 奥脇 英人, 市原 智史, 内田 嚴, 松本 雅彦
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3034-3037
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    73歳,女性.2003年より検診の胸部レントゲンで胸部異常陰影を指摘され,脂肪腫の診断で経過観察されていた.2009年になり腋窩の腫瘤に気付き前医受診.精査加療目的に当科紹介となった.CTおよびMRIでは左第4肋間側方を貫通して胸腔内と胸壁外にまたがる砂時計型の腫瘍が認められた.脂肪肉腫が否定できず,切除施行となった.手術は肉腫の可能性もあるため分割切除を避けて肋骨合併切除を選択した.右側臥位で開始し,まず胸腔内を胸腔鏡で観察しながら切除範囲を決定し,体表側から約6cmの小切開を置いて,腫瘍および第4/5肋骨側方を含めて胸壁切除/再建を施行した.病理診断では成熟型の脂肪腫と診断された.先行した胸腔鏡観察が胸腔内側の切除範囲決定に有用であった.
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  • 和久 利彦, 勝部 亮一, 大多和 泰幸, 佐藤 直広, 神原 健, 剱持 雅一
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3038-3041
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    78歳,女性.1年7カ月前の検診で胸部異常陰影を指摘され当院受診.胸部CTで,左上葉の索状影がみられ,炎症後変化の診断で経過観察としたが放置されたままであった.再度検診にて胸部異常陰影を指摘され当院再受診し左上葉の結節の増大を認めた.気管支鏡検査での擦過細胞診はclassIIで,FDG-PET検査では左上葉の結節にのみ異常集積を認め肺癌が疑われた.胸腔鏡補助下に左上葉切除+リンパ節郭清を施行した.病理組織検査において,左肺実質内にみられる限局性病変では,線毛上皮が大小の嚢胞を形性し,その中に分泌物を入れていた.その周囲には,リンパ球~形質細胞の浸潤や線維化を伴って類上皮肉芽腫の形成や異物巨細胞などがみられた.気管支性肺嚢胞と診断したが,亜区域気管支レベルの閉鎖あるいは閉塞した結果の可能性があると考えられた.FDG-PET検査では,気管支性肺嚢胞に異常集積することがあり,結果の判断には注意が必要である.
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  • 塩田 広宣, 安川 朋久, 畑 敦, 山本 高義, 平井 文子, 由佐 俊和, 尾崎 大介
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3042-3045
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,男性.2003年頃より左側胸部の膨隆を自覚していた.2009年5月,他病にて当院を受診し,その際に左側胸部の腫瘤の精査目的に当科に紹介された.左前胸部の皮下に約10cm大の骨様に固い腫瘤を認め,胸部CTでは左第7肋骨に連続し,内部が石灰化した腫瘤を認めた.骨シンチでは腫瘤に一致したhot spotを認めた.胸壁原発の骨腫瘍の疑いにて2009年6月,手術(腫瘍摘出術,胸壁合併切除・再建術)を施行した.腫瘍は第7肋骨の腹側が腫大したものであり,周囲へ圧排性に発育しており境界は明瞭であった.病理診断は,軟骨肉腫であった.術後,追加治療は施行せず,経過観察中である.肋骨原発の悪性腫瘍はまれであるが,本疾患も念頭に加え診断・治療を進めることが重要と考えられた.
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  • 加藤 嘉一郎, 伊藤 祥隆, 石井 浩統, 滝沢 昌也, 小林 弘明, 天谷 奨
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3046-3049
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,男性.軽自動車を運転中に側溝に落ち受傷し,当院に救急搬送された.CTで左胸腔内に脱出した胃,結腸を認め,外傷性左横隔膜ヘルニアと診断,同日緊急手術を行った.右半側臥位とし,第VII肋間前側方から開胸した.左横隔膜に裂創を認め,胃および横行結腸の左胸腔内への脱出を認めた.横隔膜損傷が縦隔まで及んでいたため,左肋弓下斜切開の開腹を追加した.脱出臓器を腹腔へ還納し横隔膜を観察すると,正中付近では横隔膜・心膜移行部まで損傷が及んでおり,心臓も一部露出した状態であった.胸腔側からは心膜損傷部を可視できなかったために,腹腔側からPTFEシートを用いパッチ形成した.今回われわれは経胸的には確認し得ない心膜損傷を伴う外傷性横隔膜ヘルニアを経験し,経胸的に手術を行う際には,経腹アプローチが可能な体位で手術に臨むことが重要であると考えた.
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  • 野村 裕紀, 中島 太, 荒谷 純, 吉川 智道, 平田 公一
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3050-3055
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,男性.平成19年にペースメーカー移植術施行され,その際にサルコイドーシスの可能性を指摘されていた.平成20年5月突然の大量吐血を認め,諸検査の結果胃GIST,多発性肝転移と診断した.イマチニブ治療を行ったところ胃および肝への高度FDG集積は消失し,縦隔および腹腔リンパ節のFDG集積は増強していた.リンパ節の集積はサルコイドーシスによるものと考え,厳重に経過観察した.平成22年PET/CTで胃に異常集積を認めたが,肝への集積は認めなかった.胃病変のイマチニブ耐性が考えられたため胃全摘術を施行した.その後のPET/CTで肝に再発を認め,現在スニチニブを内服して経過観察中である.サルコイドーシスは悪性腫瘍を合併することが知られているが,GIST合併例は極めててまれである.
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  • 若林 秀幸, 松谷 毅, 吉田 寛, 笹島 耕二, 内田 英二
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3056-3060
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,女性.上腹部痛を主訴に来院.上部消化管内視鏡検査を施行し,幽門前庭部後壁に1型腫瘍と胃体下部後壁に浅い陥凹性病変を認めた.腹部CT検査では,所属リンパ節の腫大を認めたが,遠隔転移や肝胆膵疾患は認めなかった.血清CA19-9値は,初診時245U/ml,入院時849U/ml,術直前に1,036U/mlと高値であった.多発胃癌の診断にて,両病変を含む腹腔鏡補助下幽門側胃切除を施行した.術直後CA19-9値は73.7U/mlと減少し,術後3カ月後には正常化した.摘出標本で両腫瘍は高分化管状腺癌であったが,幽門前庭部腫瘍はCA19-9染色陽性であったのに対し,胃体部病変は陰性であった.CA19-9産生胃癌と非産生胃癌が重複したという報告はこれまでなく,文献的考察を加え報告する.
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  • 濵崎 景子, 中崎 隆行, 佐藤 綾子, 田中 研次, 進藤 久和, 谷口 英樹, 重松 和人
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3061-3064
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,女性.2008年6月に胃癌にて胃全摘術施行.病理組織学的診断はpor2,pT2(MP),pN0でpStage IBであった.その後近医にてフォローされていたが,2010年1月よりCEAの上昇を認め,2月に施行された腹部CT検査にて左腎,脾,膵に浸潤する7cm大の腫瘤を認めたため,テガフール・ウラシルの内服を開始し,3月に当科紹介,入院となった.同月,腫瘍切除術施行.腫瘍は硬く,大きさは73×50mmで,膵,腎,脾に浸潤は認めず剥離可能であった.病理組織学的診断では左副腎を巻き込んだ腫瘍で,免疫組織学的染色ではCK7(-),CK20(+)であり,前回の胃癌と同様の形質を示したことから左副腎転移と診断した.術後1年4カ月経過し,現在無再発生存中である.副腎は悪性腫瘍の血行性転移の好発部位であるが,多くは全身転移の一部として発見されることが多い.胃癌の孤立性副腎転移は報告例も少なく稀である.
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  • 佐藤 嘉紀, 小畑 真介, 木村 俊久, 竹内 一雄, 山口 明夫, 今村 好章
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3065-3069
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    今回,われわれは内視鏡治療後に再発した十二指腸血管腫の1切除例を経験したので報告する.症例は72歳女性で平成19年7月頃より貧血症状出現し,他院で上部消化管内視鏡検査で十二指腸腫瘍を指摘され内視鏡治療(エタノール局注や粘膜切除術)が施行され病理結果は十二指腸血管腫であった.以降 外来通院中であったが,平成20年3月ごろより通院中断していた.平成20年6月 労作時呼吸苦を訴え前医受診し,高度貧血を指摘され,当院内科に紹介された.当院で各種検査を行ったところ,十二指腸下行脚に出血性腫瘍を認めたが,腫瘍サイズも大きく内視鏡的切除は困難と判断し手術目的に外科転科となった.手術は術中内視鏡を施行しつつ,十二指腸局所切除術を施行した.十二指腸の周囲組織は前回のエタノール局注の影響のためか高度瘢痕化を認め,切除後の十二指腸腫瘍の病理診断は血管腫であった.十二指腸血管腫の報告例は非常に少なく,さらに切除後の再発報告もないため貴重な症例であると考えられた.
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  • 佐々木 勉, 長谷川 傑, 吉村 玄浩
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3070-3074
    公開日: 2012/07/24
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    症例は64歳,男性.異所性胃粘膜に発生した十二指腸癌の治療中に下十二指腸曲に増大傾向のある粘膜下腫瘍を指摘され消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor;以下,GISTと略記)が疑われた.BMIが31.7と高値であり開腹手術では術野確保の困難さと大きな開腹創の必要性が予想された.そこで腹腔鏡下に右側結腸および十二指腸下行脚を十分に脱転しておいてから十二指腸が腹壁直下に拳上される場所で小開腹をおき,直視下に十二指腸部分切除を行った.手術時間は286分,出血量はカウント外の少量であった.Fletcher分類では中等度リスク,Miettinen分類では高リスクに分類される,KIT陽性GISTと診断された.術後経過は良好で術後第12病日に軽快退院した.手技の実際と術式の妥当性につき報告する.
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  • 大西 直, 加納 寿之, 團野 克樹, 江島 栄, 門田 卓士, 今岡 真義
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3075-3079
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    症例は62歳,女性.超音波検査で偶然骨盤腫瘍を発見され当院を紹介された.MRI,PET-CT検査では類円型,内部均一でFDGの強い集積を伴う腫瘍を認めた.小開腹手術で回盲弁から80cmの回腸に生じる直径6cmの腫瘍を切除した.病理組織検査により腫瘍は回腸憩室の筋層より生じておりKIT陽性であることからMeckel憩室に生じたgastrointestinal stromal tumor(GIST)と診断された.Meckel憩室由来のGISTは非常にまれで術前診断は困難であるが骨盤腫瘍の鑑別診断のリストに挙げられるべきである.複数の画像検査による診断と外科的完全切除が診療上重要である.
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  • 石井 亘, 飯塚 亮二, 檜垣 聡, 柿原 直樹, 谷口 弘毅, 竹中 温
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3080-3083
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,男性.前日朝より鮮血を含んだ血便を認め当院受診したが経過観察となった.翌日になり3回の下血を認め,意識消失も一回認めたため再度他院受診し,他院血液検査にてHb 8.1g/dlと低値であり当院救命救急センターに紹介搬入となった.入院後輸液管理にて保存加療していたが,再度下血,また血圧低下を認めた.腹部解離性動脈瘤を保存加療されている既往があり血管造影検査は困難であったため,緊急開腹手術を施行した.手術所見は,回腸末端の回腸憩室に出血点と同部位の腸間膜に出血の影響と考えられる間膜出血を認めたため,下血の原因となる出血点として回盲部切除を施行した.その他の腸管に血液の貯留等は認めなかった.術後は新たな消化管出血も認めず,経過良好にて退院となった.消化管出血の原因として小腸からの出血の頻度は少ない.今回,出血性小腸憩室に対して回盲部切除を施行した1例を経験したので文献的考察を含めて報告する.
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  • 鈴木 知志, 黒田 大介, 松田 佳子, 安田 貴志, 今西 達也, 武部 敦志
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3084-3088
    公開日: 2012/07/24
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    回盲部切除の既往を有する小腸・大腸型Crohn病の回腸・S状結腸瘻に対して腹腔鏡下に瘻孔切除を伴う回腸結腸切除術を施行した.回腸の遠位部は狭窄や瘻孔形成と複雑な病態を呈していたが,消化管3D-CTにより病変範囲および狭窄と瘻孔の位置関係を3次元的に把握することで,術前シミュレーションと術中ナビゲーションが可能となり,安全で確実に腹腔鏡手術を施行できた.Crohn病の複雑な病態の把握と手術戦略を立てるうえで消化管3D-CTは腹腔鏡手術の支援になりうると考えられた.
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  • 高橋 佳史, 大森 浩志, 小池 誠, 佐藤 仁俊, 北角 泰人, 田窪 健二
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3089-3093
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,女性.8年前に悪性リンパ腫と診断され,化学療法と末梢血幹細胞移植施行後に再発したが,長期間のプレドニゾロン内服による治療で寛解状態にあった.2週間前からの食欲不振を主訴に当院を受診.腹部CTで小骨盤内の直腸周囲に腸管外ガスを認め,直腸穿孔の診断で緊急手術施行した.穿孔の原因は病理検査によってサイトメガロウイルス(CMV)腸炎と確定診断した.すでにガンシクロビル内服中であったため,同薬を増量したが,CMVアンチゲネミアの陰性化は得られなかった.2カ月後に症状が再燃したが,全身状態が不良であったため保存的治療を行い,手術加療は回避できた.以後の治療は再燃を防止するため,ガンシクロビル内服維持療法とし,在宅療養へ移行した.免疫抑制患者の消化管穿孔では同疾患を積極的に疑い,早期の抗ウイルス剤投与が望まれる.
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  • 石橋 雄次, 若林 和彦, 渡邊 慶史, 大森 敬太, 伊藤 豊
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3094-3097
    公開日: 2012/07/24
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    患者は59歳,男性.腹痛,嘔吐を主訴に来院した.腹部造影CT検査でS状結腸の壁肥厚,同部位での完全閉塞を認めた.また左水腎症を認めた.注腸検査では上部直腸からS状結腸にかけて約5cmの狭窄を認めた.画像検査から尿管を含め後腹膜に浸潤を伴うS状結腸癌と診断し手術を施行した.開腹時S状結腸から上部直腸は著明な浮腫を認め,膀胱,後腹膜に癒着し一塊となっていた.左尿管はS状結腸に強固に癒着していたが剥離可能であり,低位前方切除術を施行した.切除標本の粘膜面に腫瘍は存在せず,憩室を認めた.病理検査では粘膜下への炎症細胞浸潤を伴う浮腫性変化と線維化を認め,憩室炎と診断した.今回われわれは水腎症と腸閉塞を合併し,悪性腫瘍との鑑別が非常に困難であったS状結腸憩室炎の1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 稲守 宏治, 宇野 彰晋, 深澤 貴子, 落合 秀人, 鈴木 昌八, 北村 宏
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3098-3102
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    症例は80歳,女性.食欲低下,腹部膨満,嘔吐を主訴に近医を受診し,イレウスの診断で当院に紹介された.来院時38.7℃の発熱,腹部膨満,下腹部の圧痛と腹膜刺激症状を認めた.炎症反応は高値であり,腹部造影CT検査およびMRI検査で,骨盤腔内に卵巣奇形腫を疑う腫瘍を認めた.腫瘍の内部にはガス像があり,S状結腸との交通が示唆された.保存的加療を行いながら全身精査した後,手術を施行した.左卵巣腫瘍はS状結腸に穿通し,強固に癒着していたため,左卵巣とS状結腸を一塊にして切除した.病理組織学的に腫瘍は卵巣皮様嚢腫より悪性転化をきたした扁平上皮癌と診断された.術後15カ月の現在,再発はみられていない.悪性転化を伴う卵巣皮様嚢腫に関する文献的考察を加えて報告する.
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  • 鬼塚 幸治, 北原 光太郎, 平田 敬治
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3103-3107
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,男性.2009年4月,便潜血検査陽性のため近医で施行された大腸内視鏡検査でS-D junctionに隆起性病変を指摘され当科紹介受診.病変の一部に対してEMRを行い,組織学的にS状結腸原発MALTリンパ腫と診断した.H. pylori陽性だったため,6月より1次治療として除菌療法を施行し,8月の尿素呼気テストで除菌されたことを確認した.10月に大腸内視鏡検査で病変を観察したが腫瘍の縮小は認めず,11月より2次治療として局所放射線治療を施行した.2010年1月以降経時的に主病変の縮小,周囲病変の扁平化,白色瘢痕化を認め,2011年3月現在病変の再増大を認めていない.胃MALTリンパ腫治療の第一選択はH. pylori除菌となっているが,大腸原発に対する治療方針はまだ確立されていない.本症例は除菌無効で,局所放射線療法が有効であったが,今後局所再燃や腸管多発病変の出現に注意した経過観察が必要と思われる.
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  • 小南 裕明, 川崎 健太郎, 田中 賢一, 藤田 敏忠, 藤野 泰宏, 富永 正寛
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3108-3112
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,男性.多発肝転移を伴うRa直腸癌に対して低位前方切除を施行した.術後経過は問題なく1カ月目から肝転移に対してmFOLFOX6を開始した.3クール終了時点で効果判定のために施行した腹部CTで仙骨前面の軟部陰影内に吻合部から連続する気泡が指摘された.下部消化管透視および内視鏡検査で直腸吻合線上に瘻孔の形成が認められたことから遅発性縫合不全と診断された.絶食,中心静脈点滴栄養管理を1週間行うことで瘻孔は閉鎖し気泡が消失したために1カ月の休薬期間を挟んで化学療法を再開した.
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  • 矢吹 皓, 櫻井 直樹, 盛 直生, 山本 久仁治, 飯澤 肇, 刑部 光正, 田村 元
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3113-3119
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    症例は28歳,男性.2010年6月末に心窩部痛を訴え当科紹介になった.CTで上腹部に約5cmの腫瘤を認めたため,精査を行った.上部消化管内視鏡では十二指腸球部前壁に粘膜下腫瘍様の隆起を認めた.MRIではT1強調で低信号,T2強調で不均一な高信号を示す腫瘤で,内部は不均一に造影された.
    FDG(18F-fluoro-2-deoxy-D-glucose)-PET(positron emission tomography)では腫瘤に一致してmax SUV 7.4/10.6と集積の亢進を認めた.確定診断をつけるため施行したEUS(endoscopic ultrasound)-FNAB(guided fine-needle aspiration biopsy)では紡錘形の細胞の増殖および広範囲の壊死を認め,免疫染色でS-100が陽性であったことから悪性末梢神経鞘腫瘍が否定できなかった.手術は腫瘍摘出術を施行した.摘出標本での病理組織診断では壊死は虚血性と考えらえ,MIB-1 indexも約1%であり,神経鞘腫と診断した.腹腔内に発生する神経鞘腫の報告は散見されるが,本症例のように肝門部に発生した神経鞘腫は比較的稀であり,文献的考察を加えて報告する.
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  • 北見 智恵, 河内 保之, 西村 淳, 牧野 成人, 川原 聖佳子, 新国 恵也
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3120-3124
    公開日: 2012/07/24
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    肝硬化性血管腫は肝血管腫が線維化,硝子化変性したもので,比較的まれな疾患である.今回われわれは肝内に海綿状血管腫が多発した肝硬化性血管腫の1例を経験したので報告する.症例は72歳女性.他疾患で撮影されたCTで肝腫瘤を指摘された.CTでは単純で低吸収域,動脈相で辺縁がわずかに造影され,門脈相でも辺縁が造影された.肝右葉に多発していた海綿状血管腫とは造影パターンが異なっていた.MRIではT1強調画像で低信号,T2強調画像で淡い高信号,造影ではCT同様辺縁が造影された.以上から胆管細胞癌を疑い,肝左葉切除を行った.腫瘤は5.5cm大の白色充実性腫瘤で,病理組織学的所見は硝子様,線維間質を有し,硬化性血管腫と診断された.線維成分に富む肝腫瘍を認めた場合,鑑別診断のひとつとして本症を念頭におく必要があると考えられた.
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  • 深田 忠臣, 川本 潤, 三浦 世樹, 宮崎 勝
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3125-3129
    公開日: 2012/07/24
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    症例は73歳,男性.70歳時よりC型肝硬変,肝細胞癌に対しtranscatheter arterial chemoembolization(TACE),radiofrequency ablation(RFA)を中心とした加療を継続していた.熱発,および腰部から右大腿部に及ぶ疼痛を主訴に入院となり,CTにて右腸腰筋膿瘍と診断された.Child-Pugh分類Cという肝機能から全身麻酔を伴う手術加療は高リスクと判断し,局所麻酔下での後腹膜アプローチによる膿瘍ドレナージを選択した.膿瘍培養にて大腸菌を認め,術後の注腸所見では右半結腸憩室および盲腸瘻を認めたことから,盲腸憩室炎の後腹膜穿通による続発性腸腰筋膿瘍と最終的に診断した.肝硬変を伴う腸腰筋膿瘍の本邦報告例は9例と少なく,全身状態不良例に対しては,低侵襲な治療を選択することで,QOLを維持向上しえたと考えられた.
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  • 橋本 敏章, 古井 純一郎, 北島 正親, 井上 諭, 井上 悠介
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3130-3134
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,男性.主訴は上腹部痛.既往歴:糖尿病でαグルコシダーゼ阻害剤内服中.現病歴:2011年1月初旬より上腹部痛が出現したため当院受診.血液検査でWBC 19,900/μl,CRP 28mg/dlと著明な炎症所見を認め,CTでは腹腔内気腹と小腸型の腸管嚢腫様気腫および急性胆嚢炎の所見を認めた.急性胆嚢炎で緊急手術(胆嚢摘出術)を施行した.気腹の原因となるような消化管穿孔部位は特定できなかったが,横行結腸壁外に散在性のgas bubble状気腫の付着を認めた.脆弱で容易に破裂するため,このgas bubbleが気腹の原因と考えられた.CT画像を再検討すると,横行結腸壁外に胞巣状透瞭像を認めていた.術後,αグルコシダーゼ阻害剤の内服中止で気腫は速やかに消失したため,自験例の発症に関与していると思われた.気腹の所見を認めた場合,腸管壁内外のガス像を見極める画像診断が重要であり,本症も念頭に置き診療にあたることが肝要である.
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  • 龍 知記, 高見 裕子, 和田 幸之, 才津 秀樹
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3135-3139
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,女性.腹部超音波検査にて総胆管および肝内胆管の拡張を認め紹介となった.腹部症状および黄疸は認めず,上部消化管内視鏡検査で十二指腸乳頭部は腫大し,不整な陥凹を伴う隆起性病変を認めた.腹部造影CTでは十二指腸乳頭部から下部胆管にかけて造影効果を有する腫瘤を認めた.胆管浸潤を伴う十二指腸乳頭部癌と診断し膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的検査では,下部胆管と十二指腸乳頭部にそれぞれ腫瘤を認め,いずれも中分化型管状腺癌であったが,組織学的に両者の間に連続性は認めなかった.免疫染色においてCEA染色にて両者の間に明らかな染色性の違いを認め,十二指腸乳頭部癌と下部胆管癌の同時性重複癌と診断された.胆道系重複癌の報告例は少なく,またそのほとんどは胆管癌と胆嚢癌の重複例であり,胆管癌と十二指腸乳頭部癌の重複癌はきわめてまれである.若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 末吉 孝一郎, 梶川 昌二, 島田 宏, 三原 基弘, 矢澤 和虎, 代田 廣志
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3140-3144
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    患者は47歳,男性.糖尿病・B型慢性肝炎・肝硬変にて加療中であった.上腹部痛を主訴に前医受診.膵嚢胞内出血と診断され保存的加療が行われたが,出血がコントロールできず,当院へ転院搬送となった.来院時,プレショックの状態であり,腹部CTでは大量の腹水と膵頭部に径約4cmの単房性嚢胞を認め,膵嚢胞内出血腹腔内穿破と診断した.全身状態は極めて不良であり,保存的治療では救命困難と判断し緊急手術を行った.膵頭部周囲には炎症による高度癒着を認め手術に難渋したが,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(以下PPPD)を完遂しえた.術後経過良好にて第40病日に独歩退院となった.病理組織検査では膵貯留嚢胞の診断であり,その報告は極めて稀である.全身状態不良例に対する手術は躊躇されるが,保存的治療が奏効しない場合には唯一の救命手段であり,積極的に外科的治療を考慮すべきであると考えられた.
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  • 中尾 寿宏, 篠原 永光, 豊田 剛, 木下 貴史, 吉田 禎宏, 斉藤 恒雄
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3145-3148
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    膵未分化癌は,稀な組織型であり,その予後は不良である.われわれは,根治切除および補助化学療法を行い,術後5年以上生存中の膵未分化癌の1例を経験した.症例は74歳男性.2005年8月,左季肋部痛を主訴に当科を受診し,精査目的で入院となった.腹部CTで膵尾部に7cm大の内部低濃度で辺縁に造影効果を伴う腫瘍を認め,MRCPで尾部膵管の途絶を認めた.膵尾部癌と診断し,膵尾部切除術を施行した.胃,脾,横行結腸,左腎皮膜への浸潤を認め,合併切除を施行した.病理所見では,層構造をとる異型細胞に,一部,扁平上皮への分化をうかがわせる所見を認め,免疫染色では,CEA,CA19-9,Cytokeratin19,Vimentin陽性,Cytokaratin7,8陰性を認め,膵未分化癌と診断された.術後1年間Gemcitabine,S-1併用療法を施行し,術後5年11カ月後現在,無再発生存中である.
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  • 斉藤 良太, 三澤 健之, 伊藤 隆介, 坂本 太郎, 柴 浩明, 矢永 勝彦
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3149-3153
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    腹腔動脈起始部狭窄を合併した膵頭部癌の1例を経験した.症例は54歳男性.PSA高値のため泌尿器科を受診した.腹部超音波検査で主膵管拡張,膵頭部腫瘤を認め当科紹介となった.上腸間膜造影検査で下膵十二指腸動脈より拡張した膵アーケードを介して肝動脈が造影され,腹腔動脈の根部に狭窄を認めた.造影CTでも腹腔動脈根部に狭窄を認め,正中弓状靱帯圧迫による腹腔動脈起始部狭窄を伴う膵頭部癌と診断した.手術は膵頭十二指腸切除術および正中弓状靱帯切離を施行した.術中超音波ドプラー検査での肝動脈血流量では,正中弓状靱帯切離前は17.5cm/s,切離後は28.8cm/sと改善を認め胃十二指腸動脈は通常通りに処理可能であった.腹腔動脈起始部狭窄を伴う症例の膵頭部切除術では,術中超音波ドップラー検査による肝動脈血流のモニタリングが有用であると考えられた.
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  • 武内 慎太郎, 真名瀬 博人, 平 康二, 小山 基弘, 上山 圭史, 大滝 憲二
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3154-3159
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    開腹手術下に上腸間膜動脈塞栓除去術を施行し,救命しえた3例を経験した.いずれも,血管造影下の塞栓溶解が無効であった症例で,3例とも腸管壊死所見を呈していなかった.手術終了直後に血管造影を行うことで,症例1では塞栓の残存,症例2では縫合部出血を,症例3では良好な血流を確認しえた.開腹手術における塞栓除去術は術中に触診,doppler血流計で血流を確認するものの,上腸間膜動脈全体の血流の評価は難しい.開腹下に塞栓血栓摘除を施行した症例においては,手術直後に血管造影による上腸間膜動脈血流の評価,確認を行うことが有用である.
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  • 高田 厚, 河原 正樹, 石橋 至, 小林 洋明, 塩入 利一, 児玉 俊
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3160-3165
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    特発性上腸間膜動脈解離に対し,抗凝固療法および血栓溶解療法を併用し軽快した2例を経験した.症例1:55歳,男性.臍周囲部痛にて発症,腹部造影CTおよび腹部血管造影にて上腸間膜動脈起始部より1cm遠位の解離と診断.動脈内留置カテーテルからのウロキナーゼ持続動注とヘパリンの全身投与を開始.6病日に血管造影を再検し,偽腔内血栓の消失を確認.外来にて経過観察中であるが,症状の再燃,再発を認めず.症例2:49歳,男性.心窩部痛にて発症.腹部造影CTにて上腸間膜動脈起始部からの解離と偽腔内への血栓の充満を確認.血管造影下に血栓吸引を行った後,ウロキナーゼ持続動注を開始.14病日に軽快退院した.画像診断の進歩は,上腸間膜動脈解離の早期診断,早期治療を可能ならしめた.軽症例に対しては,抗凝固療法および血栓溶解療法の併用は有効な治療のひとつとなり得る.
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  • 小林 完, 大石 晋, 吉原 秀一, 奈良 昌樹, 矢越 雄太, 舘岡 博
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3166-3170
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    症例は40歳,女性.近医にて妊娠5週で流産した際,経膣超音波で右卵巣腫大を疑われ当院婦人科紹介となった.腹部MRIで右卵巣付近に6cm大の嚢胞性腫瘤を認めた.右卵巣嚢腫の術前診断のもと,腹腔鏡下右卵巣摘出術予定で手術開始となった.術中所見では卵巣は両側とも正常であった.嚢胞性腫瘍は虫垂の背側に隣接していた.悪性腫瘍の可能性も否定できないため回盲部切除術施行した.病理診断で虫垂間膜原発粘液性嚢胞腺腫(境界悪性)の診断を得た.一般的に腹腔内で発生する粘液性嚢胞腺腫は卵巣や膵臓に好発するが,虫垂間膜のような腸間膜原発の粘液性嚢胞腺腫は報告例が少なく極めて稀な疾患と言える.若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 有吉 要輔, 松尾 久敬, 中島 晋, 福田 賢一郎, 藤山 准真, 増山 守
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3171-3174
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    魚骨などの消化管内異物はそのほとんどが自然に排泄されるが,比較的稀に消化管穿孔・穿通や膿瘍・炎症性肉芽腫形成などを引き起こす.今回われわれは魚骨穿通による後腹膜膿瘍に対してドレナージ術を施行し治療しえた2例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は73歳と83歳の男性で,精査にてそれぞれ右腎外側および下行結腸背側に内部に魚骨を伴う後腹膜膿瘍を認めた.両症例とも回復せずに後腹膜腔へアプローチし,膿瘍の切開・排膿および内部の魚骨の摘除を施行し,ドレーンを留置して手術を終了した.術後経過は両症例とも良好であった.本疾患では,術前に正確な診断を行い,確実に魚骨を除去することが重要であり,個々の症例に合わせて十分な検討の上,適切な術式を選択する必要があると考えられた.
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  • 小根山 正貴, 関川 浩司, 後藤 学, 北村 雅也, 太田 竜, 高橋 保正
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3175-3179
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    今回われわれはS状結腸腹膜垂がループ状にヘルニア門を形成し内ヘルニアと診断しえた1例を経験したのでその臨床的特徴像について報告する.
    症例は73歳の女性で嘔気・腹痛を主訴に来院され,腸閉塞の診断でイレウス管を挿入したが翌日,症状は改善せず緊急手術となった.腹腔鏡補助下にて手術を施行し約40cmの小腸がS状結腸内側の腹膜垂でできたヘルニア門にループ状に嵌頓していた.
    腹膜垂が原因となった腸閉塞の本邦報告はわれわれが調べ得た限りでは本症例を含め24例であった.そのうち20例が腹膜垂同士あるいは腹膜垂と腸間膜でできた異常裂孔に小腸が陥入した症例で内ヘルニアの1亜型と判断できるものであった.非常に稀な症例を経験したとともに手術既往がなく原因不明の腸閉塞で左下腹部に最強点の痛みを有する場合には本症を念頭におき対応を考慮すべきである.
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  • 小久保 健太郎, 林 昌俊, 飯田 豊, 栃井 航也, 井本 盛允, 片桐 義文
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3180-3183
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    今回われわれは腹腔鏡手術が有用であったDouglas窩に生じた内ヘルニアの1例を経験したので報告する.症例は24歳,女性.2日前より続く下腹部痛を主訴に来院した.腹部骨盤部造影 CT検査にて拡張した腸管および骨盤底に回腸の嵌頓が疑われる所見を認め,内ヘルニアを疑った.腹腔鏡下に手術を施行したところ,回腸がDouglas窩に嵌頓していた.ヘルニア門の腹膜を切開し,嵌頓腸管を愛護的に引き出し,鏡視下に腹膜欠損部を縫合閉鎖した.嵌頓腸管に血流障害はなく腸管切除を施行することなく手術を終了した.術後第1病日より食事開始し,第5病日に退院した.内ヘルニアの発生部位として大網裂孔,腸間膜裂孔,子宮広間膜裂孔などが知られているが,Douglas窩に生じた内ヘルニアは報告例も少なく,まれな症例であると考えられた.
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  • 井口 利仁, 宮本 章仁, 石井 龍宏, 佐伯 隆人, 藤澤 憲司, 松野 剛
    72 巻 (2011) 12 号 p. 3184-3189
    公開日: 2012/07/24
    ジャーナル フリー
    症例は62歳,男性.肛門管癌で腹会陰式直腸切断術を施行した.最終病期はpT2,pN0,H0,P0,M0,pTNM分類でII期であった.合併症なく経過し,術後19日目に退院した.術後2カ月経過時,会陰部が膨隆し,長時間歩行や座位が困難になったため腹部CTを撮影したところ,骨盤底部から会陰皮下に脱出する小腸を認め,続発性会陰ヘルニアと診断した.経腹式にDUALMESH®による骨盤底形成術を行った.経過は良好で術後1年経過現在,ヘルニアの再発は認めていない.続発性会陰ヘルニアは腹会陰式直腸切断術後などにみられるまれな合併症であり,本邦では会議録を含めて21例の報告を検索しえた.自験例を加えて本邦報告例を集計し,臨床的な特徴について若干の文献的考察を加え報告する.
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支部・集談会記事
編集後記
第73回 日本臨床外科学会 総会 演題:取下げ,訂正,変更,追加
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