日本臨床外科学会雑誌
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72 巻 , 3 号
選択された号の論文の55件中1~50を表示しています
平成22年度学会賞受賞記念講演
  • 川村 功
    72 巻 (2011) 3 号 p. 537-549
    公開日: 2011/09/25
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    高度肥満症は死亡率を高める併存疾患群を有するために積極的な治療が必要だが,外科治療法が唯一信頼できる方法である.日本では,欧米などの諸外国と比べて対象となる患者が少なかったという幸運もあり,米国に遅れること30年を経た1982年初めての手術が行われた.主な手術術式として,胃バイパス術,胃形成術,胃バンディング術,スリーブ状胃切除術などが行われてきた.胃の容量を小さくしてカロリー摂取をおさえる狙いが中心であったが,近年はBMIの高い患者が増えてきたため,消化・吸収能抑制を併せた術式も多くなっている.また糖尿病治療に焦点を当てたmetabolic surgeryの概念がうちだされて,我が国にも急増していて,有効な治療法が求められる本疾患の外科治療法への歩みもはじめられた.手術は対象が超肥満のために煩わしかった開腹手術から,腹腔鏡下手術にてできる手術機器用具が開発され,手技の進歩で患者への福音となり,今後の大きな展開が期待されている.
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原著
  • 飯田 豊, 片桐 義文, 小久保 健太郎, 栃井 航也
    72 巻 (2011) 3 号 p. 550-554
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    急性胆嚢炎に対する早期腹腔鏡下胆嚢摘出術(laparoscopic cholecystectomy,LC)の手術成績に影響を及ぼす因子を検討した.発症から96時間以内に早期LCを施行した61例を対象とし,性別,年齢,発症から手術までの経過時間,術前WBC,CRP,重症度,胆嚢内結石の有無,胆嚢炎既往の有無が,手術時間,開腹移行,術後合併症発生に影響を及ぼすかを検討した.平均手術時間124.1分,開腹移行率18.0%,合併症発生率13.1%であった.多変量解析の結果,手術時間は,男性(p=0.0107),重症度が中等症以上(p=0.0371),胆嚢炎の既往を有する症例(p=0.0009)で有意に長かった.無石胆嚢炎症例(p=0.0345)で合併症の発生が有意に多かった.急性胆嚢炎に対し発症後96時間以内に早期LCを施行するにあたり,男性,重症度が中等症以上,胆嚢炎の既往を有する症例,無石胆嚢炎症例では注意を要する.
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臨床経験
  • 原田 道彦, 春日 好雄, 村松 沙織, 家里 明日美, 大場 崇旦, 上原 剛
    72 巻 (2011) 3 号 p. 555-559
    公開日: 2011/09/25
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    甲状腺濾胞癌の診断は組織学的に行われ,術前・術中に濾胞腺腫と鑑別することは困難なことが多い.また濾胞癌でも遠隔転移を生じない症例では生命予後は極めて良好で,治療に難渋し予後の悪い遠隔転移をきたしやすい症例を区別することができれば臨床的意義は大きい.今回の甲状腺濾胞癌手術症例12例の検討では術後血中サイログロブリン(Tg)値が50μg/ml未満となることは遠隔転移を認めない因子であった.また著明な血管侵襲は有意な危険因子の可能性があり,血管侵襲が著明になるほど遠隔転移の頻度が高くなった.術後血中Tg値が50μg/ml未満とならない症例や血管侵襲が著明な症例では定期的な経過観察が重要で,経過観察中に血中Tg値の上昇する症例に対しては骨シンチグラフィ検査やPET-CT検査等で遠隔転移の検索を行い,遠隔転移巣が発見された場合には残存甲状腺全摘および131I治療等を可能な限り行うことが予後の改善に対して重要と思われた.
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  • 別府 直仁, 柳 秀憲, 相原 司, 安井 智明, 山中 若樹
    72 巻 (2011) 3 号 p. 560-566
    公開日: 2011/09/25
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    目的:閉塞性大腸癌Hartmann術後症例に対して,人工肛門閉鎖および癌の再発評価目的にsecond-look operationを行い,その治療方針の妥当性について評価することを目的とした.対象と方法:閉塞性大腸癌Hartmann術後,化学療法を行い,6カ月目のsurveillanceにて再発を認めない11例についてsecond-look operationを行った.結果:全例で結腸人工肛門を閉塞したが,結腸肛門吻合を2例,回腸嚢肛門管吻合を1例に行い,空置的回腸人工肛門を4例に造設した.また4例に再発を認め,いずれも腹膜播種(P1)で切除可能であった.周術期合併症についても重篤なものは経験しておらず,またsecond-look operation後,全例無再発生存中である.結語:手術手技のポイト,second-look operationの適切な時期を明確にすることで,全例でのintestinal continuityを確保する見込みが立てられた.
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  • 駒屋 憲一, 西尾 秀樹, 小林 一郎, 松原 秀雄, 森浦 滋明
    72 巻 (2011) 3 号 p. 567-571
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    傍人工肛門ヘルニアの存在により,パウチの固定が不安定である,排便時に疼痛を認めるなどの有症状例を手術適応とし,1998年2月より2010年1月までにメッシュを使用した傍人工肛門ヘルニア根治術を10症例経験した.女性7名,男性3名,平均年齢は70歳であった.方法は,腹腔内より人工肛門につながる挙上腸管を全周性にメッシュで覆い,メッシュと腹壁を固定.ヘルニア門を閉鎖した.平均手術時間は167分(63-314分),平均出血量は149mL(15-361mL)であった.当初の6例ではポリプロピレン製のメッシュを使用していたが,そのうち1例でメッシュが原因と考えられる難治性の腸管皮膚瘻を形成した.このため,最近の4症例ではexpanded polytetrafluoroethylene(以下,ePTFE)面とポリプロピレン面からなる2層性のメッシュを使用し,特に合併症は起きていない.本法は根治性が高く,比較的低侵襲で,優れた術式である.
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症例
  • 黒川 貴則, 金井 基錫, 大久保 哲之, 金子 行宏, 高橋 弘, 本原 敏司
    72 巻 (2011) 3 号 p. 572-578
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,女性.半年前より高カルシウム血症を指摘されるも放置していた.悪心・全身倦怠感にて当院受診し,精査加療目的に入院となった.インタクトPTH値が高値を示し,CT,MIBIシンチの所見より原発性副甲状腺機能亢進症の診断で右下腺摘出術を施行した.術後第1病日の経口摂取開始後よりドレーンから乳糜の流出を認めた.頸部腫脹,呼吸困難も出現したため,乳糜流出周囲組織の縫合結紮および再ドレナージ術を施行した.14日間の絶食,完全静脈栄養にて乳糜の流出は減少したため,脂肪制限食が開始となった.経口摂取開始後より再度多量の乳糜流出を認めたため,酢酸オクトレオチドの間欠的皮下投与を行った.投与2日目より乳糜の流出は減少し,7日間の投与で治癒が得られた.今回頸部腫脹をきたした術後乳糜漏に対し,酢酸オクトレオチドが著効した1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.
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  • 川崎 由香里, 杉野 圭三, 西原 雅浩, 矢野 将嗣, 安達 智洋, 嶋本 文雄
    72 巻 (2011) 3 号 p. 579-583
    公開日: 2011/09/25
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    甲状腺に発生する血管腫は非常に稀で,本邦での報告例もわずかに13例を数えるのみである1)~11).今回当科では,画像所見などから甲状腺癌を疑った甲状腺血管腫の1例を経験したので報告する.
    症例は79歳,男性.嚥下障害を主訴に近医を受診した.頸部超音波検査で甲状腺右葉に腫瘤を指摘され,当科紹介となった.甲状腺右葉下極に30mm大の不整形腫瘍を認め,内部エコーは等~やや低エコーで不均一であった.穿刺吸引細胞診の結果はクラスIであったが,画像上悪性の可能性も否定できず,甲状腺右葉切除術を施行した.摘出腫瘤の割面は白色スポンジ様であり,病理組織検査で,甲状腺血管腫と診断された.
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  • 大石 一行, 澁谷 祐一, 西 正暁, 岡林 孝弘, 堀見 忠司, 沼本 敏
    72 巻 (2011) 3 号 p. 584-588
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は27歳,男性.若年時より尿管結石を繰り返しており,高Ca血症,低P血症,intact PTH高値の状態が続いていた.2009年11月に精査目的で当院を紹介され受診した.99mTc-MIBIシンチグラフィーで縦隔内に集積を認め,縦隔内異所性副甲状腺腺腫による原発性副甲状腺機能亢進症と診断し,2010年2月術前に99mTc-MIBIを静注して,ガンマプローブ併用下に胸腔鏡下縦隔内腫瘍摘出術を施行した.最終病理診断では副甲状腺腺腫と診断された.本症例においては99mTc-MIBIを用いたラジオガイド下胸腔鏡手術が有用であった.低侵襲な手術であり,術式の1つの選択肢になると思われた.
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  • 大場 崇旦, 春日 好雄, 原田 道彦, 上原 剛
    72 巻 (2011) 3 号 p. 589-593
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    甲状腺髄様癌は,全甲状腺癌の約1~2%の発生頻度とされ,比較的稀な腫瘍である.今回,原因不明の高CEA血症の精査中,FDG-PET検査にて偶然発見された甲状腺髄様癌の1例を報告する.症例は67歳女性.近医での健診で高CEA血症を指摘され,精査目的に行ったFDG-PET検査にて,甲状腺左葉に集積を認めた.診断,加療目的にて当科紹介となった.穿刺吸引細胞診検査では悪性疑いで,血液検査にて,血清CEA値,カルシトニン値は高値を示したため,甲状腺髄様癌が強く疑われ,外科的治療の適応となった.病理組織学的診断,免疫組織学的診断の結果,甲状腺髄様癌と診断された.
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  • 佐藤 耕一郎, 加藤 博孝, 伊藤 靖, 阿部 隆之, 山口 正明, 一迫 玲, 甘利 正和, 石田 孝宣
    72 巻 (2011) 3 号 p. 594-600
    公開日: 2011/09/25
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    左乳房に発生し,5カ月後には完全に自然消退したリンパ腫様丘疹症の1例を経験したので報告する.
    症例は,某病院で左乳腺炎の診断で切開を受けたが排膿なく,炎症性乳癌の疑いにて当科紹介された.現症では左乳房ACE領域に径約3cmの腫瘤が存在し,皮膚への浸潤が認められた.超音波検査では22.2×21.2×11.0mmの内部低エコーを示す腫瘤が存在し,局所進行乳癌が疑われたが,針生検を施行し,リンパ腫様丘疹症と診断された.
    この疾患の5年生存率は90%以上で,大部分が自然消退するため,通常化学療法の適応はない.ただ一部の症例は全身型未分化大細胞性リンパ腫の皮膚病変の可能性があり,その際は化学療法の適応となるため,Gaシンチ,CTを施行したが,全身のリンパ節腫脹を認めず,皮膚限局型と判断した.乳房の腫瘤は生検後,無治療で自然消退傾向を認め,5カ月後に肉眼,CT,US,MMG上,完全に消退した.
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  • 野上 智弘, 枝園 忠彦, 池田 宏国, 増田 紘子, 西山 慶子, 土井原 博義
    72 巻 (2011) 3 号 p. 601-603
    公開日: 2011/09/25
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    症例は42歳,女性.右腋窩腫瘤を自覚し,近医を受診した.右腋窩に3.8cm大,右乳房DC領に1.2×1.2cmの腫瘤を認めた.穿刺吸引細胞診にて,悪性の疑いと診断され,当科紹介受診となった.乳癌および腋窩リンパ節転移も否定できないため手術施行した.右腋窩腫瘤および右乳腺腫瘤を摘出し,それぞれ術中迅速病理に提出,その結果悪性所見は認めなかった.本症例のように腋窩腫瘤と同側の乳腺に腫瘤認める場合には,特に慎重に診療にあたり過剰診断・過剰手術にならないように注意するべきであると思われた.
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  • 小田 剛史, 佐藤 隆宣, 桑山 隆志, 中川 剛士, 河内 洋, 久保田 一徳, 杉原 健一
    72 巻 (2011) 3 号 p. 604-607
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は27歳,女性.右乳房腫瘤および疼痛を主訴に近医受診.針生検にて良性腫瘍と診断された.増大傾向を認めたため当院を受診した.受診時,触診では右AC領域に約5cmの弾性軟,可動性良好な腫瘤を触知した.超音波ガイド下に吸引式組織生検(マンモトーム®)にて乳腺血管性腫瘍と診断されたため,腫瘍摘出術を施行した.病理診断はintermediate gradeの原発性乳腺血管肉腫であった.病理学的断端陽性が疑われたため,残存乳房切除術および組織拡張器挿入による一期的乳房再建を施行した.術後補助療法として,weekly paclitaxelを12回施行し,現在経過観察中である.原発性乳腺血管肉腫は比較的まれな疾患であり,診断に難渋することが多い.また一期的乳房再建を施行した報告も少ない.若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 榊原 淳太, 山本 尚人, 中村 力也, 荒井 学, 大木 陽亮, 宮崎 勝
    72 巻 (2011) 3 号 p. 608-612
    公開日: 2011/09/25
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    症例は60歳,女性.2002年右乳癌に対し術前化学療法後,右乳房切除術を施行.2004年骨転移のため化学療法を開始.2005年左鎖骨下静脈より中心静脈ポート(以下CVポート)を留置.その後,同ポートに感染を認め抜去し2008年6月左上腕静脈に再留置.2009年5月左頸部の腫脹,疼痛が出現し精査にて左内頸静脈内に広範な血栓を認めた.CVポートによる血栓形成と考え同日緊急入院.肺塞栓予防目的でヘパリナイゼーション後,CVポートを抜去.その後ワルファリン内服開始し症状は軽快した.
    当院における2007年1月~2009年6月までのポート留置症例の血栓形成に関する合併症は6/276(2.1%)であった.担癌患者のCVポート留置症例に対しては血栓形成の有無を画像にて定期的に確認することが重要である.
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  • 堀内 喜代美, 鈴木 留美, 川真田 明子, 飯原 雅季, 岡本 高宏
    72 巻 (2011) 3 号 p. 613-618
    公開日: 2011/09/25
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    乳癌温存術後に発症し,薬剤性肺炎との鑑別が難しいBOOPを2例経験したので報告する.症例1:42歳女性.(T1cN0M0 Stage I)乳癌温存手術を施行し残存乳房への放射線治療を終了後にタモキシフェンクエン酸塩(ノルバデックス)20mg/日の内服を開始.4カ月後,発熱と息苦しさが出現した.放射線照射によるBOOPと考えたがノルバデックスのDLSTが陽性であった.症例2:60歳女性.(T1cN0M0 Stage I)乳癌温存手術後に残存乳房への放射線照射とアナストロゾール(アリミデックス)1mg/日の内服を始めた.12日後に微熱と息苦しさが出現した.症例2はアリミデックスのDLSTが陽性であった.いずれの症例もプレドニゾロンが治療に有効であった.結論:BOOPを発症した補助療法中の乳癌患者には薬剤性肺炎も含まれている可能性がある.診断の一つとしてDLSTが有用と考える.
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  • 上村 卓嗣, 中野 徹, 星田 徹, 里見 進
    72 巻 (2011) 3 号 p. 619-623
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は53歳,男性.基礎疾患に2型糖尿病を持つ.咽頭炎から頸部膿瘍を併発し,前医で頸部ドレナージを施行されたが,降下性壊死性縦隔炎(descending necrotizing mediastinitis,以下DNM)を発症したため当科へ搬送された.受診時のCT検査で気管分岐部尾側の後縦隔まで進展する膿瘍を認め,同日,胸腔鏡下縦隔ドレナージ術を施行した.術後DNMは改善し,嚥下リハビリを経て68病日に退院した.DNMは,口腔咽頭領域の感染が縦隔へ波及することで発症し,急激に重症化するため診断の遅れは致命的となる.重症の口腔咽頭領域感染症例ではDNMを念頭に置き,診療する必要がある.治療は外科的ドレナージが必須であるが,最近は低侵襲の鏡視下縦隔ドレナージの報告も多く,従来の開胸術に代わる新たな選択肢となる.
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  • 片柳 智之, 藤井 毅郎, 小澤 司, 塩野 則次, 小山 信彌, 渡邉 善則
    72 巻 (2011) 3 号 p. 624-626
    公開日: 2011/09/25
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    症例は75歳,男性.約6カ月前から発熱を繰り返し改善認めないため,当院に紹介となった.心エコーにて大動脈弁に疣贅,僧帽弁前尖に肥厚を認め,血液培養にてEnterococcus faeciumが検出された.感染性心内膜炎の診断で化学療法施行し,炎症反応陰転化した後に手術を施行した.術前の経食道心超音波にてAortomitral continuityから僧帽弁前尖左室側に,膿瘍形成を疑わせるmass echoを認めた.手術は上行大動脈を切開し,大動脈弁を切除した.Aortomitral continuityから僧帽弁前尖左室側に膿瘍が自潰したと思われる10mm径の潰瘍形成を認めた.経大動脈的に自己心膜パッチにて潰瘍を閉鎖し,CE 21mmにて大動脈弁置換術を施行した.術後の経食道超音波にて僧帽弁左室側の潰瘍部分が良好に修復され,僧帽弁の動きに制限はなく術前同様の軽度の逆流を認めるのみであった.
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  • 原 真範, 藤井 毅郎, 塩野 則次, 益原 大志, 小山 信彌, 渡邉 善則
    72 巻 (2011) 3 号 p. 627-629
    公開日: 2011/09/25
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    食道癌に対する胸骨後胃管再建術の既往をもつ患者への心臓手術の報告は比較的まれである.胸骨の後方に再建された胃管があるため通常の胸骨正中切開は困難と考えられ,アプローチに苦慮する.今回われわれは上部小開腹を併用した正中アプローチで,大動脈弁閉鎖不全症に対する大動脈弁置換術(Aortic Valve Replacement,以下AVRと略記)を施行したので報告する.症例は56歳男性,51歳時に食道癌のため胃管による胸骨後再建術を施行している.感染性心内膜炎(起炎菌/Enterococcus faecalis)による大動脈弁閉鎖不全症と診断し手術を施行した.先に上部小開腹で胃管を同定,剣状突起下から胸骨裏面を慎重に剥離し胸骨正中切開した.切開した左半分の胸骨とともに胃管を左側に展開し良好な視野でAVR(SJM 23mm)が可能であった.術後,肺炎や肝障害が出現したが第38病日に独歩退院した.
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  • 末田 聖倫, 高見 康二, 大宮 英泰, 児玉 良典, 栗山 啓子, 辻仲 利政
    72 巻 (2011) 3 号 p. 630-635
    公開日: 2011/09/25
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    症例は58歳,男性.検診発見の左下葉原発性肺扁平上皮癌cT1aN0M0,stageIAに対して根治的左下葉切除術を施行した.本症例は左A8が左主肺動脈背側から単独で分岐し左主気管支後を走行してS8へ分布する稀な形態をとっていた.術前に胸部CT検査で左肺動脈の分岐異常が診断され,多断面再構築画像(Multiplanar-reconstruction images,以下MPR画像)から頭尾方向の左肺動脈の走行が把握でき,術中,左下葉気管支背側の脂肪内に左A8を同定し,安全に処理を行うことができた.左肺底区動脈が主肺動脈から分岐する変異は非常に稀であり,文献的考察を加えて報告する.
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  • 岡崎 敏昌, 塩野 知志, 安孫子 正美, 千葉 真人, 矢吹 皓, 佐藤 徹
    72 巻 (2011) 3 号 p. 636-639
    公開日: 2011/09/25
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    症例は81歳,男性.2002年5月に上行結腸癌で右半結腸切除術を施行された.病理病期はStageIIIAであった.術後化学療法としてドキシフルリジン800mg/日を2年間内服していた.2007年3月CTにて右肺S4に内部に石灰化を伴う腫瘤を指摘された.2007年4月右中葉切除術を施行した.病理組織学的所見は大腸癌肺転移であり,一部に骨形成を認めた.原発巣に骨形成を認めず,肺転移巣にのみ骨形成を認めた.このような例は非常にまれであり,文献的考察を加えて報告する.
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  • 藤本 崇聡, 高見 裕子, 和田 幸之, 才津 秀樹, 桃崎 征也
    72 巻 (2011) 3 号 p. 640-646
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,女性.2008年7月心窩部および前胸部圧迫感を主訴に近医を受診.腹部超音波検査,CTにて肝左葉に巨大肝腫瘤を認め,また胸部レントゲンにて心陰影の拡大あり,心タンポナーデをきたしていた.緊急的に心嚢穿刺し血性心嚢液800ccを吸引(細胞診classI).2008年8月当科紹介.各種画像診断にて肝左葉に10cm超の不整な腫瘤,また心嚢内にも3cm超の腫瘤が存在し,大量の貯留液を認めた.血流豊富な肝血管肉腫を疑い,feederである肝動脈外側区域枝および左右内胸動脈,左下横隔膜動脈の化学塞栓術施行.その約3週間後に心嚢の一部,左横隔膜約60%合併切除を伴う肝外側区域切除を施行した.
    病理組織診断は悪性中皮腫.肝と心膜に直接浸潤があるものの,病変の主座より横隔膜原発と考えた.術後pemetrexedとcisplatin(CDDP)による化学療法を6クール施行し,16カ月無再発生存中である.
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  • 池野 嘉信, 桑原 史郎, 横山 直行, 山崎 俊幸, 大谷 哲也, 片柳 憲雄
    72 巻 (2011) 3 号 p. 647-651
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は50歳,男性.高所より転落し頸椎を骨折.プレートによる頸椎前方固定術を施行.術後8年後よりプレートの転位とスクリューの脱落が生じ,精査にて頸部食道にプレートの露出を認め食道穿孔と診断した.このためプレート抜去および食道修復を施行した.手術は左前頸部斜切開にてアプローチし,食道内腔よりプレート抜去を行うも,食道周囲の癒着が激しく食道の剥離は困難であり,切開部にTチューブ留置,ドレナージ術を施行した.術後経過は良好であり,34病日に狭窄や瘻孔なく退院した.食道穿孔の治療は縦隔炎,瘻孔形成などにより難治性となることもあり種々の治療法が報告されている.また本症例のようなプレートによる不顕性,遅発性食道穿孔は極めて稀な合併症であり文献的考察を加え報告する.
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  • 秋田 眞吾, 小山 佳紀, 河西 秀, 久米田 茂喜, 岡村 卓磨, 下条 久志
    72 巻 (2011) 3 号 p. 652-657
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    食道扁平上皮癌の小腸転移により腸閉塞をきたした1例を経験したので報告する.
    症例は85歳男性.腹痛,腹部膨満を主訴として腸閉塞を発症し,胃切除後の影響による癒着性腸閉塞と診断し,先ず保存的治療を試みたが改善せず,開腹手術を施行した.術中所見では癒着は認められず,回腸に腫瘍が認められ,腸閉塞の原因病巣と診断した.術前より認められていた右側胸部の腫瘤に対し術中生検を施行し,小腸腫瘤に対しては小腸切除術を施行した.病理検査結果では右側胸部腫瘤,小腸腫瘤はいずれも高分化型扁平上皮癌であり,画像診断においても他に原発巣を認めないことより右側胸部腫瘤,小腸腫瘤はそれぞれ食道癌肋骨転移,小腸転移と診断した.食道癌の既往を有する患者の診療において腸閉塞などの消化器症状を認める場合には,病態として小腸転移も念頭に置くべきであると思われた.
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  • 松嶋 祐子, 山崎 誠, 瀧口 修司, 藤原 義之, 森 正樹, 土岐 祐一郎
    72 巻 (2011) 3 号 p. 658-662
    公開日: 2011/09/25
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    症例は80歳,男性.胃噴門部後壁の胃癌に対して,腹腔鏡補助下胃全摘術,D2郭清,Roux-en-Y再建術を施行した.術後第2病日の夜より呼吸困難が出現したため,翌朝に胸部X線検査,胸部CT検査を施行したところ,左胸腔内に拡張した腸管を認め,腹腔鏡補助下胃全摘術後の胸腔内ヘルニアと診断し,同日腹腔鏡下ヘルニア修復術を施行した.開大した食道裂孔の左側より,小腸と横行結腸の胸腔内への嵌頓が認められた.腸管の虚血を疑う所見はなく,脱出した腸管を腹腔内に返納し,左胸膜の修復および横隔膜脚背側の縫縮によりヘルニア門を閉鎖し,手術を終了した.術後の経過は順調であり,術後第12病日に退院となった.腹腔鏡補助下胃全摘術後に胸腔内ヘルニアをきたした報告はなく,まれな症例を経験したので,胸腔内ヘルニアの治療法を交え,文献的考察を加えて報告する.
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  • 小川 博臣, 竹吉 泉, 須納瀬 豊, 吉成 大介, 戸塚 統, 戸谷 裕之
    72 巻 (2011) 3 号 p. 663-669
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,男性.検診で左副腎の異常を指摘され,画像検査で左副腎腫瘍と診断し手術を施行した.腫瘍は脾臓および胃壁と一塊となっており合併切除を施行した.病理学的検索の結果,腫瘍は胃壁との連続性を認めるが副腎とは明らかに境界を認め,免疫組織学的検査でc-kitとCD34が共に陽性であり,胃原発GIST(gastrointestinal stromal tumor)と診断された.初回手術から2年2カ月目に多発肝転移を認め,肝外側区域切除とS6・S7部分切除術を施行した.その後も多発肝転移を認め,計3回radiofrequency ablationを施行した.再発までの期間が徐々に短くなったためイマチニブの投与を開始したところ,初回再発から6年7カ月経過した現時点まで再発は認めていない.GIST切除後の肝再発に対してはイマチニブ投与が原則であるが,特に初回治療から再発までの期間が長い症例では,切除可能病変には積極的な外科治療も考慮すべきである.
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  • 櫻庭 一馬, 根本 洋, 齋藤 充生, 岡田 一郎, 横溝 和晃, 日比 健志
    72 巻 (2011) 3 号 p. 670-674
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    蛋白漏出性胃腸症を合併した胃癌(以下,本症)の2例を経験した.症例1は69歳の男性で体重減少を主訴に当院を受診した.低蛋白血症(TP 5.8g/dl,Alb 2.9g/dl)と胃体部に巨大な1型腫瘍を認めた.99mTc-HSAシンチグラフィにて腫瘍からの蛋白漏出が確認され,本症と診断した.幽門側胃切除を施行し,低蛋白血症は改善した.症例2は57歳の男性で食事のつかえを主訴に当院を受診した.症例1と同様に低蛋白血症(TP 5.9g/dl,Alb 2.9g/dl)と前庭部に巨大な1型腫瘍を認め,99mTc-HSAシンチグラフィにて本症と診断した.術中,膵浸潤を認め幽門側胃切除,膵頭十二指腸切除,腸瘻造設を施行し,術後合併症もなく低蛋白血症は改善した.本症に伴う低蛋白血症は難治性で保存的加療はほぼ無効であり,早期の手術が重要である.しかし,本症では低栄養状態が必発であり,手術のハイリスク群であることを熟知しなければならない.
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  • 白鳥 史明, 木下 敬弘, 大城 崇司, 岡住 慎一, 加藤 良二, 亀田 典章
    72 巻 (2011) 3 号 p. 675-681
    公開日: 2011/09/25
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    症例は61歳,女性.2年前より潰瘍性大腸炎(以下UC)に対して内科的加療を受けていたが,再発・寛解を繰り返していた.今回再度,症状が悪化し重症UCの診断のもと入院とした.UCに対してステロイド(プレドニゾロン最大60mg/day)・シクロスポリン・顆粒球吸着療法を施行したが症状の改善は認められなかった.心窩部違和感に対する精査として上部消化管内視鏡検査を施行したところ前庭部に胃癌が発見され,cT2(MP)N0 M0 stageIbと診断された.UCは内科的治療抵抗性であったため手術適応と判断し,UCに対して大腸亜全摘/回腸ストマ,胃癌に対して幽門側切除術Roux-en-Y再建を腹腔鏡下で同時に施行した.術後経過は良好であり術後24日目に退院となった.UCに胃癌を合併した報告例は稀であり,また腹腔鏡下に同時手術を施行した報告は本例が初めてであった.
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  • 清田 誠志, 大河 昌人, 奥田 豊一, 塚崎 高志, 久保 正二
    72 巻 (2011) 3 号 p. 682-685
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,男性.幽門側胃切除術,BillrothII法再建の既往歴あり.心窩部痛を主訴に近医を受診.保存的加療を施行されるも症状が悪化したため,当院紹介となる.来院時,右上腹部に著明な圧痛と筋性防御を認めた.腹部CT検査において,膵頭十二指腸部周囲後腹膜腔の気腫像と液体貯留像を認めた.十二指腸穿孔の術前診断のもと緊急開腹術を施行した.膵頭部周囲後腹膜腔に膿瘍を認め,十二指腸下行脚内側の膵後筋膜を切開したところ褐色泥状物の貯留と穿孔した2cm大の憩室を認めた.十二指腸傍乳頭部憩室穿孔と診断し,憩室切除術・胆道ドレナージ術・十二指腸外瘻術を施行した.術後,憩室切除術部の縫合不全をきたしたが,保存的に軽快した.幽門側胃切除術・BillrothII法再建後の十二指腸傍乳頭部憩室穿孔の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
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  • 川上 行奎, 仁木 俊助
    72 巻 (2011) 3 号 p. 686-691
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は50歳台女性.検診の胃透視で異常を指摘され胃内視鏡検査を行ったところ,前庭部にIIc病変が認められた.早期胃癌の診断で幽門側胃切除術施行.再建は自動縫合器によるRoux-Y法を行った.第4病日の夜に嘔吐があり,翌日の腹部レントゲンで残胃の著明な拡張が見られたため胃管を挿入.第6病日に透視検査を行ったが造影剤は残胃に停滞し吻合部を通過しなかった.吻合部狭窄と判断し胃管留置にて経過をみたが連日多量の排液が続いた.第12病日に再度透視検査を行ったところ,吻合部で腸重積と思われる所見を認め,第14病日に再手術施行.吻合部の空腸盲端が残胃内に入り込んでいた.周囲の胃および小腸壁は炎症性に硬化しており,腸重積は全く解除できなかったため,吻合部全体を切除の上,再建をやり直した.胃切除後の腸重積は非常に稀であり,これまでの報告例とともに考察を加えて報告する.
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  • 富永 哲郎, 黨 和夫, 生田 安司, 柴崎 信一, 内藤 愼二, 岡 忠之
    72 巻 (2011) 3 号 p. 692-697
    公開日: 2011/09/25
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    症例は40歳,女性.嘔吐と右下腹部痛が出現し,急性虫垂炎の疑いで当院に紹介入院となった.来院時WBC 14,800/μl,CRP 0.1mg/dlと炎症所見を認めるものの,腹部CTでは,明らかに腫大した虫垂は指摘できず,抗生剤による保存的治療を開始した.しかし,翌日,筋性防御が出現したため,腹部造影CTを施行し,右下腹部に腫瘍形成と腹水貯留を認めたため,緊急手術を施行した.開腹すると,回盲部は後腹膜に固定されておらず,虫垂も正常大であった.小腸は腹部右側に偏移していた.回盲弁より60cm口側にMeckel憩室を認め,腫瘍形成により右壁側腹膜に癒着していた.以上より,腸回転異常症を伴ったMeckel憩室炎と診断し,小腸切除術および予防的虫垂切除術を施行した.病理組織学的に,Meckel憩室部には,著明な循環障害による粘膜の剥離脱落と広範な腫瘍形成が認められ,わずかに残存する小腸粘膜の一部に胃粘膜から成る小領域が観察された.虫垂に著変は認められなかった.術後経過は良好で,術後18日目に退院した.
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  • 鈴木 紳祐, 杉田 光隆, 茂垣 雅俊, 福島 忠男, 舛井 秀宣, 長堀 薫
    72 巻 (2011) 3 号 p. 698-704
    公開日: 2011/09/25
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    小腸憩室はまれな疾患である.Meckel憩室を除くと,その多くは腸間膜側に発生するため,穿通をきたした際には腸間膜膿瘍を形成することが多い.今回われわれは,腸間膜膿瘍を術前にCT検査で診断し手術を施行した回腸憩室穿通の2例を経験したので報告する.症例1:79歳男性.右下腹部痛を主訴に紹介受診した.CT検査で回盲部腸間膜側の膿瘍と上行結腸憩室を認めたため,上行結腸憩室炎の穿通による腸間膜膿瘍と診断し,回盲部切除術を施行した.症例2:63歳男性.近医で大腸内視鏡検査を施行した後,発熱・腹部膨満感が出現したため当院紹介受診となった.CT検査で小腸間膜内に膿瘍形成を認め,小腸穿通による腸間膜膿瘍の診断で小腸切除術を施行した.共に病理組織検査で,回腸憩室穿通による腸間膜膿瘍と診断した.回腸憩室の存在を術前に診断することは困難であるが,CT検査で腸間膜膿瘍を認めた際には本疾患を念頭に置く必要がある.
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  • 村上 隆啓, 伊志嶺 徹, 伊江 将史, 嵩下 英次郎, 上田 真, ぐし宮城 正典
    72 巻 (2011) 3 号 p. 705-709
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,男性.6年前に頸部リンパ節腫脹精査で成人T細胞性白血病(ATL)lymphoma typeと診断され,化学療法で一時寛解していた.3カ月前に多発リンパ節再発を指摘されたが,本人の希望により積極的な化学療法は行わず,低用量エトポシド療法のみ施行し経過観察としていた.今回は,上腹部痛にて受診し,消化管穿孔と診断され,緊急開腹術を施行.術中所見で,空腸に白色多発病変と約5mmの穿孔を認め,小腸部分切除を行った.術後7日目に病理組織検査所見よりサイトメガロウイルス(CMV)感染による小腸穿孔と判明し,ガンシクロビル投与を開始した.しかし術後8日目に創部感染,創し開から腸管脱出が生じ,再度閉腹術を施行したが急速に全身状態が悪化.術後9日目に多臓器不全で死亡された.ATL患者の消化管穿孔症例においては,CMV感染症も念頭に置き,早期の診断治療が必要になると考えられた.
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  • 庄子 渉, 高橋 道長, 内藤 広郎
    72 巻 (2011) 3 号 p. 710-715
    公開日: 2011/09/25
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    症例は75歳,女性.腹痛主訴に当院受診.腹部CTでTreitz靱帯近傍の肛門側空腸に小児頭大腫瘤と腹腔内遊離ガスを認め,小腸腫瘍穿孔と診断し緊急手術施行.開腹時,空腸起始部の腫瘤前面に穿孔部があり,口側は肉眼的に十二指腸水平部,肛門側はTreitz靱帯より約30cmまで連続的に腫瘍が浸潤.腫瘍の完全切除は困難と判断し自動吻合器にてTreitz靱帯付近から約30cm肛門側で小腸部分切除術施行.次いで肛門側断端を挙上し十二指腸空腸側側吻合を施行.術後,遺残腫瘍は急速に増大,56PODに全身状態悪化し死亡退院した.切除腫瘍の免疫組織学的検査ではCD3(+),CD8(+),CD56(+)であり小腸原発T細胞性悪性リンパ腫(以下ITL)と診断.ITLは消化管穿孔を伴うと予後不良で,予後を改善させるには何らかの腹部症状のある段階でCT,PET,小腸透視等により小腸腫瘍を穿孔前に診断することが重要であると考えられた.
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  • 林 泰成, 渋谷 俊介, 鈴木 雄, 郷右近 祐司
    72 巻 (2011) 3 号 p. 716-721
    公開日: 2011/09/25
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    症例は88歳,女性.前医入院中,下腹部痛が増悪し,下腹部発赤,握雪感を伴う膨隆を認めたため,精査加療目的に当院紹介となった.血液検査で著明な炎症反応と,腹部CT検査で下腹部皮下組織内に多量のガス像を認めたため,直ちに切開排膿を行い,抗生剤投与を開始した.翌日,症状が改善しないため,壊死性筋膜炎を疑い,脊椎麻酔下にデブリドマンを行った.下腹部の脂肪組織,腹直筋前鞘に広汎な壊死を認め,臨床的に壊死性筋膜炎と診断した.この際,右下腹部腹壁に瘻孔の開口部を疑わせる陥凹を認めたが,腹腔内との交通は明らかでなかった.後日,瘻孔造影を行い,腸管との交通が明らかになったところで,開腹手術を行った.虫垂先端が右下腹部腹壁と癒着し,腹壁と瘻孔を形成していたため,虫垂切除と瘻孔の縫合閉鎖を行った.急性虫垂炎から壊死性筋膜炎を発症した報告例は本邦で6例と少なく,貴重な症例と考え報告する.
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  • 澤田 雄, 三浦 靖彦, 石部 敦士, 高橋 利通, 渡會 伸治, 国村 利明
    72 巻 (2011) 3 号 p. 722-726
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は60歳代,女性.平成19年夏頃より,約半年毎に右下腹部痛を繰り返し,近医にて虫垂炎と診断され保存的加療で軽快していた.平成21年7月,右下腹部痛出現.近医を受診し血液検査ではWBC 7,700/μl,CRP 1.5mg/dlと炎症所見は軽度であったが,腹部CT検査で虫垂の腫大を認め,当科紹介受診となった.臨床症状は軽快していたが,繰り返す右下腹部痛の既往があり,虫垂炎の術前診断で待機的に虫垂切除術を施行した.虫垂は赤黒色に腫大していたが,粘膜面に肉眼上隆起性病変は認めなかった.病理組織検査では虫垂原発印環細胞癌,切除断端陽性と診断されたため,初回手術後,22日後に開腹下に回盲部切除術(D2)を施行した.術後病理組織診断はsignet-ring cell carcinoma,mp,n0,stageIで現在外来で経過観察中である.虫垂原発印環細胞癌の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
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  • 玉木 一路, 間中 大, 馬場 慎司
    72 巻 (2011) 3 号 p. 727-731
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    アメーバ赤痢は,アメーバ原虫の経口感染により下痢,腹痛,血便などを生じる疾患で,消化管穿孔を生じて致死的となることがある.保菌者の免疫機能低下が発症,重症化と関連することが知られている.今回われわれは肺癌に対する全身化学療法の開始を契機として直腸の巨大潰瘍で発症したアメーバ赤痢を経験した.潰瘍の重症化により直腸膀胱瘻を形成し,また多発肝膿瘍の合併により高度の炎症反応を認めた.アメーバ赤痢に対して抗アメーバ療法を行った後,直腸膀胱瘻に対する二期的手術を施行した.これにより,患者のQOLを保ちながら肺癌に対する化学療法を再開することができた.化学療法を誘引とするアメーバ赤痢では,迅速な診断と抗アメーバ療法の開始がその後の原疾患の治療に大きく影響する.全身化学療法中の患者では本症の発生も念頭に置く必要がある.
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  • 中原 千尋, 巣山 久実, 岩下 俊光, 豊島 里志
    72 巻 (2011) 3 号 p. 732-736
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    症例1:74歳女性,上行結腸癌に対し右半結腸切除術を施行し,術後14カ月目に下部消化管内視鏡検査で吻合部再発を認めた.症例2:71歳女性,下行結腸癌に対し左半結腸切除術を施行し,術後42カ月目に下部消化管内視鏡検査で吻合部再発を認めた.共に進行癌で,吻合部を含めた腸管切除術を施行し,いまだ再発を認めていない.開腹し再建を手縫い吻合で行っているが,同吻合が主である当科における過去10年間の結腸癌吻合部再発は当2例であり,再発率は0.92%で文献的統計と差はない.近年器械吻合の機会が増え,吻合部再発の報告が増えている.当科では吻合前腸管洗浄や吻合部へのポビドンヨード塗布は行っていなかったが,implantationが原因である可能性が高いことから,一般的な予防法の確立が望まれる.
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  • 嶋田 仁, 櫻井 丈, 片桐 秀元, 牧角 良二, 月川 賢, 大坪 毅人
    72 巻 (2011) 3 号 p. 737-741
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    はじめに:結腸膀胱瘻の原因は憩室炎が最も多いが,大腸癌,膀胱瘻によるものもあり,術式決定には注意を要する.症例:77歳,男性.頻尿を主訴に受診し,難治性膀胱炎であったため精査を行うと,CTではS状結腸と膀胱に浸潤する腫瘤影があり,膀胱内に含気を認めた.注腸ではS状結腸に全周性狭窄があり,その口側に多発する憩室とS状結腸膀胱瘻を認めた.下部消化管内視鏡・膀胱鏡では病変の観察が困難で,術前に癌の診断はつかなかった.治療・診断:S状結腸切除+膀胱部分切除を施行し,病理で壁外発育型大腸癌,結腸膀胱瘻の診断となった.考察:内瘻形成性大腸癌は局所進行癌であるがリンパ節転移陽性率は他臓器浸潤癌に比べ低く,生物学的悪性度に差があると考えられる.今回,壁外発育型S状結腸癌が膀胱瘻を形成した1例を経験したため,文献的考察を加え報告する.
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  • 向井 俊平, 遠藤 俊吾, 日高 英二, 石田 文生, 田中 淳一, 工藤 進英
    72 巻 (2011) 3 号 p. 742-745
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は30歳,女性.Down症にて知的障害者施設に入所中であった.血便と下痢,腹痛のため施設医の診察を受け,腸炎の診断で整腸剤を処方された.しかし,症状が改善しないために近医を受診し,注腸造影検査でS状結腸癌と診断され,治療目的に当センターへ紹介となった.精査後にD3郭清を伴うS状結腸切除術を施行した.術後に麻痺性イレウスとなったが保存的に軽快し,第25病日に退院となった.術後30カ月を経過した現在,再発を認めず外来通院中である.Down症患者には白血病の発生が多いとされるが,それ以外の悪性腫瘍の報告は少ない.今回,われわれはDown症患者に発症したS状結腸癌を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 谷岡 利朗, 岡田 邦明, 益子 博幸, 山上 英樹, 石津 寛之, 高橋 昌宏
    72 巻 (2011) 3 号 p. 746-750
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,男性.2年前に直腸癌(Ra)で低位前方切除,膀胱部分切除術を施行した.病理組織学的にはtub2,pSI(膀胱),ly1,v1,pN0,P0,H0,M0,pStageIIであった.退院後UFTを内服し経過観察としていたが,術後2年目のCTで膵尾部に腫瘤を認め精査となった.腫瘍は5cm大で造影効果を認めなかった.腫瘍により脾静脈は閉塞しており,周囲への浸潤を認め,典型的な膵癌の像を呈していた.HbA1c 12.4%と耐糖能の悪化を認め,CEAは6.5ng/mlと上昇していた.膵尾部癌cT4(PV(+)),cN0,cM0,cStage IVaの術前診断で膵体尾部切除術を施行した.病理組織学的には,免疫染色でCK7(-),CK20(+),cdx2(+)であり直腸癌膵転移と診断された.術後は化学療法を導入し,外来経過観察中である.大腸癌の膵転移例は少なく,その中でも外科的切除が可能であったのは稀であり,本邦での報告例は自験例を含めて34例であった.
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  • 佐々木 隆光, 新屋 智志, 加藤 大祐, 松岡 信秀, 山下 裕一
    72 巻 (2011) 3 号 p. 751-756
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,女性.上腹部痛と尿の黄染を自覚し近医を受診した.肝機能障害を認めたため,精査加療目的で当院紹介受診となった.画像検査で総胆管内に流入した石灰乳胆汁による閉塞性黄疸と診断した.内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)を施行し,胆嚢および総胆管の石灰化像が消失し黄疸が改善した.その後,経過観察を行っていたが,10カ月後に胆嚢内に石灰化像が再発したため,腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った.胆嚢内部に認めたクリーム色のペースト状物質を結石分析すると炭酸カルシウム98%以上という結果であった.ESTにて胆嚢および総胆管の石灰化像が消失し,その後の胆嚢内に再発する石灰乳胆汁を経時的に観察できた貴重な症例と考えられた.
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  • 近藤 昭宏, 橋本 希, 諸口 明人, 岡田 節雄, 香月 奈穂美
    72 巻 (2011) 3 号 p. 757-762
    公開日: 2011/09/25
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    多発性骨髄腫の治療中に無石胆嚢炎で発症した胆嚢アミロイドーシスの1例を経験したので報告する.症例は66歳,女性.前医で多発性骨髄腫,腎アミロイドーシスと診断され,治療目的に当院へ転院となった.化学療法施行中に右季肋部痛と発熱を認め,胆嚢炎として抗生剤投与,経皮的胆嚢ドレナージ等を施行した.しかし,再燃を繰り返すため開腹下に胆嚢摘出術を施行した.摘出標本の病理組織診から胆嚢アミロイドーシスと診断された.術後より急速に腎不全が悪化,呼吸不全,心不全となり術後28日目に死亡退院となった.胆嚢アミロイドーシスの治療については多発性骨髄腫とアミロイドーシスの病状を考慮することが重要である.とくに,アミロイドーシスにより腎臓を初めとする臓器障害がある場合,胆嚢炎については保存的治療を行い多発性骨髄腫とアミロイドーシスの治療を優先すべきであると考えられた.
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  • 藍原 有弘, 熊谷 洋一, 落合 高徳, 飯田 道夫, 山崎 繁, 小田島 肇
    72 巻 (2011) 3 号 p. 763-766
    公開日: 2011/09/25
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    根治切除により長期予後が得られた胆嚢腺扁平上皮癌の1例を経験した.症例は69歳男性,発熱を主訴に当院救急外来を受診し,急性胆嚢炎,肝膿瘍の診断で入院した.入院後,画像診断にて胆嚢癌を疑い,手術目的に当科転科となった.胆嚢炎,肝膿瘍を伴う胆嚢癌であることから胆嚢腺扁平上皮癌も疑われ,術前腫瘍マーカーでSCCの軽度高値を認めた.手術所見では,胆嚢床より肝浸潤を認め,胆嚢摘出,総胆管,肝S4a+S5合併切除,胆道再建を施行した.病理診断は胆嚢腺扁平上皮癌でありHinf3と高度の肝浸潤を認めるものの,リンパ節転移は12cに1個認めるのみであり,癌の遺残なく手術が施行された.術後補助療法は行っていないが,術後69カ月経過した現在も無再発生存中である.
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  • 今井 敦, 中川 智徳, 小池 能宣, 伊藤 美夫, 宇根 良衛
    72 巻 (2011) 3 号 p. 767-773
    公開日: 2011/09/25
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    症例は68歳,男性.黄疸を主訴に受診し総ビリルビン13.6mg/dlと高値,腹部CTにて総胆管,肝内胆管の拡張を認めた.閉塞性黄疸の診断にて経皮経肝胆道ドレナージを施行し下部胆管に閉塞所見を認めた.胆汁細胞診ではclassIであり,CEA,CA19-9,DUPAN-IIは正常範囲内であった.しかし,画像所見上,下部胆管癌が強く疑われ,幽門輪温存膵頭十二指腸切除を施行した.切除標本のHE染色では癌様の腺腔構造と紡錘形で充実束状を示すものがあり,両者は移行を示しており,免疫染色ではケラチン,サイトケラチンは両者に陽性,ビメンチンは肉腫部分で陽性であり,いわゆる癌肉腫の所見であった.組織学的にはBi,circ,乳頭浸潤型,2.2×1.5cm,t2,panclb,hinf0,ginf0,du0,pv0,a0,s0,ly1,v0,hm0,dm0,em0,n1,stage2,curBであった.術後4カ月目に肝転移を認め術後8カ月で死亡した.胆嚢を除く肝外胆管原発の癌肉腫の報告例はきわめてまれであり本邦では19例の報告をみるのみで,まれな症例を経験したので文献的考察を含め報告した.
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  • 間山 泰晃, 砂川 宏樹, 矢田 圭吾, 卸川 智文, 大城 直人, 末松 直美
    72 巻 (2011) 3 号 p. 774-777
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,男性.腹痛を主訴に近医受診.腹部超音波検査で膵体尾部に多房性嚢胞性腫瘤を認め,当院紹介となった.腹部造影CT検査では,膵体尾部に厚い被膜を持つ7cm大の多房性嚢胞性腫瘤を認めた.隔壁には不整な肥厚像を認めた.膵管造影では,膵尾部で膵管の途絶を認めたが,ガイドワイヤーが嚢胞内腔に進入する像を認めた.PET-CT検査では壁の肥厚部分に一致した異常集積像を認めた.以上より粘液産生嚢胞性腫瘍・特殊型膵癌の術前診断で,膵体尾部切除を施行した.術後標本では腫瘍の出血,壊死性変化が著明で多房性となり,嚢胞壁内に腫瘍が僅かに残存している状態であった.組織学的検査では破骨細胞類似の巨細胞を認め,退形成性膵管癌破骨細胞型と診断した.破骨細胞型巨細胞癌の本邦報告例は25例と比較的まれな腫瘍であり,本邦報告例の集計と文献的考察を加えて報告する.
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  • 長谷 諭, 片山 晃子, 田原 浩, 布袋 裕士, 前田 佳之, 三好 信和
    72 巻 (2011) 3 号 p. 778-781
    公開日: 2011/09/25
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    症例は59歳,男性.約10年前から左鼠径部に膨隆を自覚していた.平成21年11月,自分で還納した後に腹痛と嘔吐が出現し,近医にて腸閉塞を指摘され当院紹介となった.CTにて膀胱前面に拡張した小腸ループを認め,膀胱壁を外方から内方へ圧排していた.内ヘルニアによる絞扼性イレウスと診断して緊急手術を施行した.下腹部正中切開にて開腹すると,小腸が膀胱頂部の左側で内側臍ひだの内側の膀胱上窩に嵌頓しており,壊死小腸を切除した.ヘルニア嚢を確認すると左膀胱上窩から皮下を経由して左鼠径部に到った.感染の危険性を考慮して,手術はヘルニア門の縫合閉鎖のみとした.術後の経過は良好だった.外膀胱上窩ヘルニアも内膀胱上窩ヘルニアもまれな疾患であるが,自験例は左鼠径部に膨隆を認めていた外膀胱上窩ヘルニアの所見と,膀胱前面にて内ヘルニアをきたした内膀胱上窩ヘルニアの所見を両方認めた症例だった.
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  • 竹林 克士, 河合 泰博, 田儀 知之, 松村 雅方, 清水 謙司, 佐藤 眞杉
    72 巻 (2011) 3 号 p. 782-785
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,女性.糖尿病と慢性排尿障害の既往があった.平成22年8月,腰部脊柱管狭窄症,脊髄空洞症にて当院整形外科に入院していた.同月,入院中に心窩部痛をきたし,精査したところ,腹部CT検査にて腹水と遊離ガスを認めた.また,膀胱壁にガス像を認め,気腫性膀胱炎も認めた.気腫性膀胱炎,消化管穿孔の疑いにて開腹術を行った.しかし,膀胱にやや握雪感は認めるも穿孔は認めず,消化管をはじめ,腹腔内に穿孔部位は認めなかった.腹腔内洗浄とドレナージのみを行い,手術を終了した.術後経過は良好で術後のCT検査では術前の所見は改善していた.
    気腫性膀胱炎は本邦で60例の報告があるが,腹膜炎をきたしたものは3例であった.しかし,自験例のように膀胱の穿孔,破裂を伴わない腹膜炎の報告はない.病態としてはきわめて稀であると考えられるので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 濱田 哲宏, 谷口 英治, 吉川 正人, 太田 喜久子, 森山 裕煕, 大橋 秀一
    72 巻 (2011) 3 号 p. 786-790
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    手術後合併症として創部感染により腹壁全層離開が発生すると,早急な腹壁閉鎖が望まれるが,腹壁や脱出腸管の浮腫などのために一期的縫合閉鎖は困難である.今回,われわれは一期的縫合閉鎖不能な感染性腹壁全層離開症例に対し,シリコンディスク®を人工被覆材として用い,救命できた1例を経験した.症例は35歳男性で,左腎摘術を受け,術後創部MRSA感染により腹壁全層離開と腸管脱出および腸閉塞を起こしていた.シリコンディスク®を用いて腹壁仮閉鎖を行い,炎症の消退を待って二期的に腹壁縫合閉鎖を行った.シリコンディスク®とは,シリコンゴム膜周囲にフレキシブルリングを接着した構造で,腹腔鏡下手術時に術野の確保目的で開発された器材である.腹圧に耐えうる剛性を持つため,腹圧抑制処置が不要で,早期離床や経口摂取も可能であった.また,組織反応が少なく,第2期手術でこれを摘出することが極めて容易であり,優れた治療法であると考えられた.
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  • 重安 邦俊, 青木 秀樹, 金澤 卓, 中川 仁志, 田中屋 宏爾, 竹内 仁司
    72 巻 (2011) 3 号 p. 791-795
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,腹部鈍的外傷に伴う腸間膜出血が原因の出血性ショックに対し,動脈塞栓術で止血し完治した症例を経験したので報告する.症例は73歳,男性.トラック運転中の追突事故で当院に救急搬送された.来院時は収縮期血圧175mmHgだったが,その後80mmHg台にまで低下,急速輸液2000mlにて100mmHgを回復した.腹部造影CTで回腸末端付近の腸間膜に造影剤の漏出を認めた.腸管穿孔や実質臓器損傷はなかった.その後再度血圧が低下したため輸血を行い,循環動態は回復した.transient responderのショックと判断し,緊急開腹術の準備も整えた上で,透視下に回結腸動脈末梢の出血部位を動脈塞栓術で止血しショックを離脱,開腹手術を回避できた.その後は順調に回復し,入院後9日目で食事を開始,14日目で退院となった.transient responderの腸間膜出血でも,腸管穿孔や実質臓器の損傷がなければ,動脈塞栓術を行うことで完治できる可能性が示唆された.
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  • 古川 健太, 森口 聡, 野中 亮児, 野呂 浩史, 吉川 浩之, 中場 寛行, 北山 聡明, 有馬 良一
    72 巻 (2011) 3 号 p. 796-800
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は44歳,男性.腹痛にて発症し,急性腹症として救急搬送された.腹部造影CTにて上腸間膜静脈血栓症と小腸の著明な浮腫状変化を認め,限局性腹膜炎の診断に緊急開腹術を行い,約30cmの壊死部分を含む小腸部分切除術を行った.術翌日から,ヘパリンによる抗凝固療法を施行したところ,DIC徴候等認めないにも関わらず術後11日より血小板数4.4万/μlと突然の血小板減少を認め,ヘパリン起因性血小板減少症と診断した.直ちにヘパリン投与を中止し,アルガトロバン投与を開始した.同時に抗ヘパリン-PF4複合体抗体も検出された.血小板数回復後,ワルファリンによる抗凝固療法へと移行し術後30日に軽快退院となった.
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  • 久保 慎一郎, 井谷 史嗣, 浅海 信也, 室 雅彦, 金 仁洙, 高倉 範尚, 重西 邦浩
    72 巻 (2011) 3 号 p. 801-805
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は60歳代,男性.2カ月前より腹部膨満感,食欲不振あり,初診となった.来院時,腹部膨満が認められるも,腹痛,発熱は認められず,CRPが軽度高値を示すのみであった.CT上,著明な腹水の貯留,胸水,膵体部付近から小腸間膜にひろがる炎症所見および膵下部の不整な腫瘤像が認められ,SMAを取り囲むように広がっていた.腹水穿刺にて腹水は乳糜,Sudan染色陽性,細菌培養陰性で,細胞診でも悪性所見は認められなかった.腹水中のCA125は異常高値であった.診断困難であり,確定診断および良悪性の鑑別のため,全麻下に小腸間膜腫瘤の切除生検を行った.腹水は乳糜で,癒着,易出血性が認められ,病理にてリンパ球浸潤のある線維性結合組織,肉芽,脂肪織炎が認められたが,悪性所見はなかった.大量乳糜腹水を伴う腸間膜脂肪織炎と診断し,ステロイド投与を行い,腹水の減量,炎症性腫瘤の縮小等,著明な治療効果が認められた.
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