日本臨床外科学会雑誌
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72 巻, 3 号
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症例
  • 川本 潤, 太枝 良夫, 吉岡 茂, 若月 一雄, 片岡 雅章, 外岡 亨
    2011 年 72 巻 3 号 p. 806-811
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    悪性線維性組織球腫(MFH)は主に成人の四肢軟部組織に好発する非上皮性悪性腫瘍である.通常,腹腔内実質臓器や後腹膜を原発とすることは稀であるが,小腸間膜を原発とする炎症性MFHの切除例を経験したので報告する.症例は61歳,男性.下腹部膨満感を主訴に近医受診.採血検査で炎症反応を認め,腹部単純CT検査で下腹部骨盤内に腫瘤性病変を認めた.後腹膜腫瘍の疑いで当科紹介入院.造影3D-CT検査で回結腸動脈より栄養を受ける小腸間膜腫瘍の診断となり,回腸部分切除術を施行した.病理組織検査で回腸腸間膜原発の炎症性MFHと診断された.術後経過は良好で,術後9日目に退院した.現在外来で経過観察中であり,術後約2年が経過するが明らかな再発所見は認めていない.文献的考察を含めて症例報告する.
  • 山村 和生, 石榑 清, 石田 直子, 林 直美, 黒田 博文, 福山 隆一
    2011 年 72 巻 3 号 p. 812-817
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,男性.腹痛を主訴に当院救急外来を受診した.左側腹部に圧痛と軽度の筋性防御を認め,血液検査上,炎症反応の上昇を認めた.腹部CT上,小腸壁の肥厚と腹腔内遊離ガス像を認め,小腸腫瘍の穿孔による腹膜炎を疑い,緊急開腹手術を施行した.Treitz靱帯から約30cmの空腸が約10cmにわたって著明に肥厚し,穿孔を伴っていた.空腸部分切除を行った.切除標本の病理組織像では全層性に中大型のリンパ球の浸潤を認め,免疫染色の結果,腸管症型T細胞リンパ腫と診断された.術後に化学療法と幹細胞移植を行い,完全寛解を得た.本症は予後不良であることで知られ,特に穿孔例の予後は不良であるが,早期の外科治療を含めた集学的治療により長期生存を期待しうるものと思われた.
  • 平本 明徳
    2011 年 72 巻 3 号 p. 818-821
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,男性.歩行時下肢痛と労作時胸痛にて当院受診となった.冠動脈CT,腰部MRI,CTアンギオグラフィーなどにて,冠動脈狭窄病変と右下肢閉塞性動脈硬化症を疑った.一期的なカテーテル治療が可能と判断し,冠動脈病変に対しステント留置術を行った.その後,右下肢動脈を造影したところ,動脈硬化性病変とは異なる所見が得られた.IVUSにて病変部位の詳細を調べたところ,膝窩動脈に外側より圧排する嚢腫性病変が見られた.血管内治療では十分な効果が得られないと考え,下肢病変に関しては後日改めて治療を行うこととした.退院後の下肢MRIでは,T2強調画像にて造影される境界明瞭な腫瘤病変が見られ,臨床所見,画像所見より,膝窩動脈外膜嚢腫を疑い腫瘤摘出術と血行再建術を行った.膝窩動脈外膜嚢腫は,血管内治療では再発性が指摘されており,IVUSによる術前診断は有用であると思われた.
  • 菅野 兼史, 前田 清, 野田 英児, 井上 透, 永原 央, 平川 弘聖
    2011 年 72 巻 3 号 p. 822-825
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は20歳,女性.精神遅滞の既往あり,自殺企図のため10日ほど前より裁縫用針を食事に混ぜて摂取していた.腹痛出現したため,当院に入院,腹部X線検査にて多数の針を認めた.腹膜刺激症状なく,腹部CTでもfree airを認めず,広範囲の消化管に多数の針を認めた.まず上部消化管内視鏡下に,胃より21本の針を回収した.その後,経過観察を行っていたが,6日目に熱発と右下腹部痛あり,また,盲腸,直腸,下行結腸に多数の針が遺残していたため手術を施行した.まず下部消化管内視鏡にて下行結腸~直腸の針を摘出し,残りは腹腔鏡補助下に摘出術を施行し31本の針を摘出した.手術前に排便とともに自然排泄された9本と合わせ,61本の針を回収したことになる.
編集後記
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