日本臨床外科学会雑誌
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72 巻 , 4 号
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平成22年度学会賞受賞記念講演
  • 石川 治
    72 巻 (2011) 4 号 p. 827-836
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    外科的切除は膵癌根治を得るための唯一の手段であるが,大半の症例が手術単独治療では救命不可能な病期に発見される.膵癌の切除成績を改善するためには,局所再発と肝転移の制御に有効な併用治療を開発する必要がある.これまで,局所制御を目指した拡大郭清,術前放射線治療,或いは術前化学放射線治療と,肝転移予防のための術後2チャンネル(肝潅流)化学療法などを次々と手術に組み合わせてきた.後2者を組み合わせた結果,膵外浸潤陽性膵癌切除後の5年生存率は50%を超えた.さらに今後は,過不足のない手術を可能にするため,術中迅速診断と個別化治療の充実を目指したい.
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原著
  • 玉川 洋, 渡辺 卓央, 三箇山 洋, 田村 周三, 山本 直人, 塩沢 学, 森永 聡一郎, 湯川 寛夫, 利野 靖, 益田 宗孝, 赤池 ...
    72 巻 (2011) 4 号 p. 837-845
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    方法:1990年から2007年までに治癒切除が行われた病理学的壁深達度A以深の下部直腸癌225例を対象とし,臨床病理学的因子と治療成績の関連について検討した.結果:対象の内訳は側方郭清群183例非郭清群42例であった.両群間の背景因子に差は認めなかった.側方リンパ節再発は郭清群が9.8%,非郭清群が14.3%であり,有意差を認めなかった.累積生存において多変量解析の結果,側方郭清を行わないことが独立した予後不良因子であった.側方リンパ節転移陽性例の術後再発率は70.7%と高く,血行性再発率も43.9%と有意に高かった.5年生存率も非陽性例の69.2%に対して29.0%と低率であり,累積生存率も有意に不良であった.考察:進行下部直腸癌に対する側方郭清は,非施行例と比較して予後を改善する可能性が示唆されたが,側方リンパ節転移陽性は術後再発が多く予後も著しく不良のため,治療成績改善のためには術後に放射線化学療法などを考慮した集学的治療の検討が必要と考える.
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症例
  • 上田 毅, 濵上 知宏, 福本 陽二, 中村 誠一, 澤田 隆, 清水 哲, 遠藤 昭博, 浅井 泰雅
    72 巻 (2011) 4 号 p. 846-850
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は62歳,男性.多発結腸癌および直腸癌に対しD3郭清を伴う直腸切断術が施行された.総合所見がf-StageIIIaであったことから補助化学療法としてカペシタビン単独療法を外来にて開始した.内服開始4日目,歩行困難,全身倦怠感,精神錯乱にて再来され,脳MRIにて白質脳症と診断された.薬剤の中断と対症療法により数日で症状は軽快しMRI所見でも白質脳症に伴う変化は消失した.薬剤性の白質脳症は様々な抗腫瘍薬で発症が報告されているが,カペシタビンによる白質脳症の本邦報告例は無い.自験例ならびに海外の報告からは,内服開始から発症までの期間が数日間と短い傾向があり,初回投与の際に十分な注意が必要と思われる.
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  • 溝口 資夫, 喜島 祐子, 平田 宗嗣, 柳 正和, 吉中 平次, 夏越 祥次
    72 巻 (2011) 4 号 p. 851-856
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は83歳,女性.2008年12月に左乳房腫瘤を自覚.近医での針生検で肉芽腫所見を認め,抗結核剤による治療目的で呼吸器内科へ紹介された.呼吸器内科医は,抗結核剤使用のために抗酸菌(結核菌)の同定が必要と判断し,喀痰,針生検組織,浸出液などについて種々の細菌学的検査を追加したが,いずれの検体からも陽性所見は得られず,腫瘤切除や組織生検を目的に当科へ紹介された.視触診で左乳房全体を占拠する6cm大の腫瘤が大胸筋や前鋸筋に固定して可動性不良.超音波検査で,不整形な低エコーの腫瘤が境界不明瞭に乳腺から大胸筋に広がっていた.結核性の場合での創傷治癒遅延を懸念し,切除やOpen Biopsyを避けて正常部分を介した針生検を行ったが,塗抹やPCRでも抗酸菌は証明されなかった.その過程で,喀痰の抗酸菌2カ月培養検査陽性との報告が届いた.INH/RFP/EBによる治療が開始され,9カ月後には腫瘤が著明に縮小し,可動性も良好となった.
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  • 佐藤 文彦, 岡崎 稔, 岡崎 亮, 渡部 芳樹, 成松 英明
    72 巻 (2011) 4 号 p. 857-862
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は50歳,女性.平成21年9月3日の検診マンモグラフィ(MMG)で,右乳房に5mm大の異常陰影を指摘され,前医を受診.再検MMGでは異常を認めず,超音波検査(US)で対側の左乳房C領域に1.4cm大の腫瘍が検出され,穿刺吸引細胞診(FNAC)で悪性の疑いとされた.精査・加療を目的として当院を受診した.
    当院受診時のFNACにて乳癌の確定診断を得たが,腋窩および鎖骨上に腫大したリンパ節を触知した.高度のリンパ節転移が疑われたがUS上の腫瘍径とリンパ節所見との間にやや乖離が感じられた.このため,腋窩リンパ節のFNACを行ったが転移確定には至らなかった.入院後,左乳房温存手術(lt-Bp+Ax)を施行した.病理組織診断でglycogen-rich clear cell carcinoma(GRCCC)との結果で,リンパ節はsubacute necrotizing lymphadenitisであり転移はなかった.
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  • 石綱 一央, 太田 大介, 福内 敦, 寺岡 恵, 藤井 晶子, 森 正也, 西 常博
    72 巻 (2011) 4 号 p. 863-868
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    乳癌術後25年以上を経て再発した2例を経験した.
    症例1:73歳,女性.47歳時に右乳癌に対してAuchincloss術を施行し再発なく経過していたが,術後26年目に前胸部の硬結に対して穿刺吸引細胞診を行ったところ悪性が疑われたため腫瘤摘出術を行い,局所再発と診断された.
    症例2:65歳,女性.40歳時に右乳癌に対してAuchincloss術を施行し再発なく経過していたが,65歳時に腰痛が出現し当科受診.CT,骨シンチグラムにて骨転移,胸膜転移,右胸水を認め,他臓器に異常所見がないことから術後25年目の再発と診断された.
    乳癌術後25年以上経過後の再発例は珍しく,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 福井 貴巳, 桑原 生秀, 小島 則昭, 日下部 光彦, 横井 豊治
    72 巻 (2011) 4 号 p. 869-875
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は53歳,男性.左側乳房腫瘤を自覚し当院外科受診.左乳房のCD領域に約3.0cm大で弾性硬の境界不明瞭な腫瘍を触知した.マンモグラフィでは,左CD領域に円形で境界不明瞭な腫瘍陰影を認めた.乳腺超音波検査では,左CD領域に径30.6×12mmのlow echoic lesionを認めた.core needle biopsyを施行したところ,顕著な壊死が認められ,一部にinvasive ductal carcinomaが強く疑われた.そのため,さらに免疫染色検査を施行したところ,異型腺管に二相性は見られず,invasive ductal carcinomaに相当する所見であった.男性乳癌の診断で左胸筋温存乳房切除術および左腋窩郭清を施行した.病理結果は,腫瘍の中心部に広範な壊死を認め,辺縁部にviableなinvasive ductal carcinomaを認めた.核グレードは1で,リンパ節転移は認めず,ER:陽性,PGR:陽性,HER2:0であった.術後経過は良好で第10病日に退院となった.退院後は当科外来に通院しているが,現在再発徴候は認めていない.
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  • 古堅 智則, 照屋 孝夫, 平安 恒男, 山城 聡, 國吉 幸男
    72 巻 (2011) 4 号 p. 876-879
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    20歳,男性.既往歴に特記すべきことなし.平成20年5月,安静時に突然の左胸痛を認め,当院救急外来を受診した.胸部単純写真で左肺の軽度の虚脱と心嚢気腫を認め,胸部CTで左肺尖部のブラと心膜欠損部を左肺門に認めた.左自然気胸を合併した心膜欠損症の術前診断で胸腔鏡補助下に手術を施行した.心膜欠損孔は左肺門部前上方に確認され,径約4×3cm大であった.また左横隔神経が心膜欠損部の前方を走行していた.本症例に対してブラ切除術を行ったが,心膜欠損部に対しては特別な処置は施行しなかった.術後経過は良好であり,現在外来通院中である.
    先天性心膜欠損症は稀な疾患であるが,自然気胸に心嚢,縦隔気腫を併発した場合は本疾患を念頭におく必要があると思われる.また治療に際して心ヘルニアの合併の可能性が高い場合には修復や補填などの処置も必要であるが,症状や欠損孔の程度によっては経過観察の選択肢もあると考える.
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  • 砥石 政幸, 近藤 竜一, 矢満田 健
    72 巻 (2011) 4 号 p. 880-883
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,男性.食道癌にて右開胸開腹胸部食道切除術および胃管を用いた胸骨後経路による再建の既往あり.2008年11月,呼吸困難を主訴に受診,両側気胸,縦隔気腫,皮下気腫と著明な気腹を認め入院となった.腹膜刺激症状はなく血液検査でも炎症所見はなかった.緊急手術の適応はないと判断,胸腔ドレナージ,抗生剤併用にて経過観察とした.肺の拡がりは良好で経口摂取も可としたが問題はなかった.しかし2週間を経過しても気瘻が持続,CTにて中葉にbullaを認めたため手術の方針とした.CT所見通りbullaを認め破裂孔も明らかであり切除した.横隔膜近傍には,胸膜に覆われず,周囲との癒着がない胃管を確認することができた.今回の所見は,右自然気胸により発生したairが胃管周囲を経由し,腹腔,縦隔,対側胸腔に至った結果であると考えられた.検索の範囲で,同様の本邦報告例は1例のみであった.考察を加えて報告する.
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  • 浦野 真一, 二宮 基樹, 西崎 正彦, 原野 雅生
    72 巻 (2011) 4 号 p. 884-888
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は50代,男性.糖尿病加療中であったが,体重減少を主訴に近医受診精査の結果,胃癌と診断され当院に紹介された.上部消化管内視鏡検査で食道浸潤を認めるType3胃癌を認め,CTにて大動脈周囲リンパ節の累々とした腫脹を認め転移が疑われた.胃全摘,食道および横隔膜部分切除,脾摘,胆摘,D3郭清を施行し,術後病理診断にて総摘出リンパ節個数91個のうち22個に転移を認め,うち大動脈周囲リンパ節36個中11個に転移を認めた.術後7年経過した現在,自覚症状を特に認めずCTと内視鏡で再発所見を認めていない.実質的には十分な術後補助化学療法も施行せず,11個もの多発大動脈周囲リンパ節転移を呈しながら,大動脈周囲リンパ節郭清を伴う根治術により7年生存した例は稀であり若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 谷 誓良, 山本 康弘, 鈴木 茂貴, 河野 透, 古川 博之
    72 巻 (2011) 4 号 p. 889-892
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は66歳男性で,2001年5月から気管支喘息の加療中であった.2008年9月から四肢のしびれ,筋力低下,食思不振が出現し,好酸球増多もあり,11月にChurg-Strauss症候群(以下,CSS)と診断され,ステロイドの維持療法を行っていた.2009年4月に腹痛出現,CT,X線写真でfree airを認め,消化管穿孔および汎発性腹膜炎の診断で緊急手術を施行した.回腸末端より90cmの部位に穿孔を認め,穿孔部を含め小腸部分切除術を行った.小腸穿孔をきたしたCSSの1例を経験したので報告する.
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  • 萬羽 尚子, 青野 高志, 鈴木 晋, 長谷川 正樹
    72 巻 (2011) 4 号 p. 893-897
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    GISTの破裂による腹腔内出血性ショックの1例を経験したので報告する.症例は70歳,男性.突然の右下腹部痛を主訴に前医を受診し,ショック状態で当院に救急搬送された.CTで骨盤内腫瘤の破裂による大量腹腔内出血と診断し,緊急手術を施行した.開腹すると,大量の血性腹水およびTreitz靱帯から約120cmの空腸に10cm大の被膜破裂を伴う壁外性腫瘤を認め,小腸部分切除を施行した.病理組織検査で短紡錘形の腫瘍細胞が柵状に配列して増殖していた.mitotic index 39/50hpf,c-kitおよびCD34が陽性であった.以上よりhigh risk groupのGISTと診断した.術後9カ月まで再発なく健在である.
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  • 星野 伸晃, 吉原 基, 平松 和洋, 加藤 岳人
    72 巻 (2011) 4 号 p. 898-902
    公開日: 2011/10/25
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    症例は71歳,女性.2002年8月に左乳癌に対して乳房温存術+センチネルリンパ節生検を施行した(T2N0M0:stageIIA,浸潤性小葉癌,ER(+),PgR(+),HER2(-)).術後補助療法として残存乳房照射とAnastrozoleを5年間内服した.無再発通院中であったが,2009年9月に腹痛を主訴に当院を受診し,CT検査でイレウスと診断され入院となった.保存的治療では軽快せず,Multidetector-row CT(MDCT)検査で小腸に器質的狭窄を認めた.原発性小腸腫瘍または乳癌小腸転移を疑い,第10病日に待期的手術を施行した.術中所見はバウヒン弁から90cmの回腸の全周性狭窄と,その他に散在する小腸間膜結節を認め,小腸部分切除術を施行した.病理組織検査で乳癌小腸転移と診断した.術後経過は良好で第22病日に軽快退院し,現在,Letrozole内服治療中である.乳癌小腸転移という稀な症例を経験したため,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 湯川 寛夫, 利野 靖, 菅野 伸洋, 山田 六平, 佐藤 勉, 中山 崇, 益田 宗孝
    72 巻 (2011) 4 号 p. 903-910
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,男性.2003年9月直腸癌に対し腹腔鏡補助下低位前方切除術D3郭清(Rs,tub2,sm,ly0,vl,n0 stageI).2009年5月CEA上昇を認め,2009年9月CTで吻合部頭側の仙骨前面に腫瘤影が描出された.10月PETで淡い集積がみられ,2010年1月PET-CTでは20mmの結節となりFDGの著明な集積(SUVmax=10.7)を認めた.それより頭側の腸間膜にも集積が(SUVmax=5.0)見られ,CEAも16.1に上昇した.直腸癌術後骨盤内リンパ節再発として2010年2月より放射線化学療法を開始.有害事象のためUFT+ユーゼルは3日,放射線は37.8Gyで中止したが,CTで腫瘍の縮小を認めCEAも4.0まで低下した.他臓器に転移はなく4月手術を行った.回腸が骨盤底に癒着し再建直腸に接しており同部に腫瘍があり,回盲部切除術,ハルトマン手術を施行.病理検査では腺癌が回腸粘膜下層を中心に広がり,以前の直腸癌と類似しており直腸癌の小腸転移と診断した.術後経過は順調で再発なく外来通院中である.
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  • 渡邉 法之, 三宅 正和, 畑 泰司, 池田 公正, 北田 昌之, 島野 高志
    72 巻 (2011) 4 号 p. 911-915
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    症例1:77歳,女性.右下腹部痛にて受診され,膿瘍形成性虫垂炎との診断で,回盲部切除術を施行した.病理検査にて虫垂にgoblet cell carcinoidとadenocarcinomaの重複癌を認め,goblet cell carcinoidのリンパ節転移を認めた.症例2:59歳,女性.下腹部痛にて受診され,急性穿孔性虫垂炎の診断で,虫垂切除術を施行した.病理検査にて漿膜下層までいたるgoblet cell carcinoidを認めた.リンパ節郭清の目的で,右半結腸切除術・D3郭清を施行したが,リンパ節の転移は認めなかった.虫垂原発goblet cell carcinoidは稀な腫瘍であるが,多くが急性虫垂炎症状を呈する.2例の切除経験を,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 鳥口 寛, 遠藤 真一郎, 坪野 充彦
    72 巻 (2011) 4 号 p. 916-920
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    67歳,男性.2009年6月に右鼠径部の粘液腫を摘出された.病理学的には偽粘液腫もしくは中皮腫が疑われたが,確定診断にはいたらなかった.半年後に虫垂に粘液腫が出現し,虫垂切除を施行された.病理学的に虫垂粘液嚢胞腺腫と診断され先の鼠径管内粘液腫はこれに由来すると判断された.虫垂粘液嚢胞腺腫は術前の良悪性の判断が困難であり,また破裂によって腹膜偽粘液腫へ進展する可能性が高く,発見しだい早期に摘出するのが望ましい.鼠径管内粘液腫を契機に異時性に虫垂粘液嚢胞腺腫を発見した報告はなく,本症例は極めて稀な病態と考えた.
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  • 小島 秀信, 伊東 大輔, 藤 浩明, 森 友彦, 古元 克好, 小切 匡史, 門田 永治
    72 巻 (2011) 4 号 p. 921-925
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は62歳,男性.多発肺転移・大動脈周囲リンパ節転移を伴う上行結腸癌に対して原発巣切除後,化学療法を開始した.1次治療はFOLFOX4,2次治療はbevacizumab/FOLFIRIとした.病状の悪化を認めたためcetuximab/CPT-11にレジメンを変更し3次治療を行っていたが,bevacizumab投与中止後133日目に多発性結腸穿孔をきたし,残存結腸亜全摘術を施行した.切除標本における病理組織学的検索で細動脈系・細静脈系・毛細血管系と広範囲に血管炎,血栓症が認められ,bevacizumab投与に関連する消化管穿孔である可能性が強く示唆された.われわれの調べたかぎりbevacizumab投与中止後長期間経過して多発性結腸穿孔をきたした報告はなく,その成因について考察を加え報告する.
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  • 池原 貴志子, 遠藤 俊吾, 日高 英二, 石田 文生, 田中 淳一, 工藤 進英
    72 巻 (2011) 4 号 p. 926-930
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,男性.2年前に左腎癌の診断で左腎摘出術を施行されている.下血とふらつきを主訴に受診し,消化管出血による貧血の診断で入院となった.CTでは上行結腸に内腔に突出し,造影効果を伴う腫瘤性病変を認めた.下部消化管内視鏡検査では上行結腸に約半周性の柔らかい隆起性病変を認めた.生検ではnecrotic tissueのみで確定診断はえられなかった.しかし,輸血を必要とする下血が続くため,腹腔鏡補助下結腸右半切除術を施行した.術後の病理組織学的診断により腎癌の結腸転移と診断された.結腸切除術の約4カ月後に多発肺転移,右副腎,膵尾部への転移が明らかとなり,インターフェロンαおよび,スニチニブなどの分子生物学的治療により約4年6カ月を経過した現在も生存中である.腎癌の結腸転移はまれであり,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 野間 大督, 長谷川 慎一, 吉田 達也, 米山 克也, 笠原 彰夫, 山本 裕司
    72 巻 (2011) 4 号 p. 931-935
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は19歳,男性.臍周囲痛,嘔気を主訴に当院内科受診.右下腹部に圧痛を伴う5cm大の腫瘤を触知した.腹部CTで上行結腸の肥厚・狭窄を認め,また腹部超音波でTarget sign様の所見を認めたため腸重積症と判断し緊急手術を施行したが,手術所見では腸重積の所見はなく硬く隆起した所見から上行結腸癌を疑い,右結腸切除術+D3リンパ郭清を行った.病理診断はsig.腫瘍径40×60mm,SS N1H0P0M0,stageIIIa.補助化学療法としてUFT/LV療法を施行した.術後10カ月目にリンパ節転移にて再発した.
    大腸印環細胞癌は非常に稀で発症頻度は全大腸癌の0.7%とされている.さらに若年発症では本邦では未だ報告が少ないのが現状である.高度進行例の多い若年者の大腸印環細胞癌にあっては,予後の向上を目指した集学的治療の確立が待たれる.
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  • 山田 卓司, 谷口 清章, 武市 智志, 笹川 剛, 喜多村 陽一, 山本 雅一
    72 巻 (2011) 4 号 p. 936-939
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,女性.定期検査で施行した大腸内視鏡でS状結腸癌を指摘され手術目的に当科入院.生検結果は高から中分化型腺癌であった.局所のsm浸潤が強く疑われたため腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した.術直後の血液検査で血清アミラーゼ824mg/dl,血清リパーゼ2179mg/dlと高値を示したが,背部痛なく腹部CT検査上も膵およびその周囲に異常所見なく膵炎は否定的であった.蛋白分解酵素阻害剤を投与し保存的治療を行ったところ,術後2病日目には血清アミラーゼ,リパーゼともに正常化した.病理組織所見では高~中分化型腺癌,深達度sm2,ly1,v0,pN0で,病変部のアミラーゼ染色結果が陽性でありアミラーゼ産生腫瘍と診断された.本邦では肺腫瘍に随伴するアミラーゼ産生腫瘍の報告例は散見されるが,結腸癌での報告はない.非常に稀なアミラーゼ産生S状結腸癌の1切除例につき報告する.
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  • 和田 英雄, 伊藤 重彦, 山吉 隆友, 井上 征雄, 木戸川 秀生, 田口 尚
    72 巻 (2011) 4 号 p. 940-944
    公開日: 2011/10/25
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    大腸癌イレウスに消化管穿孔を続発し,急速な経過を辿った大腸未分化癌の1例を報告する.症例は90歳の女性.腹痛と嘔吐を認め近医を受診し,消化管穿孔が疑われ当科紹介となった.腹部CTにて多量の腹腔内遊離ガスと上行結腸に腫瘍性病変を認めた.緊急手術を施行したところ上行結腸に硬い腫瘤を触知し,同部より口側腸管はイレウスを呈していた.またTreitz靱帯から120cmの部位より回腸末端まで血流障害をきたしており,腫瘍より口側5cmの盲腸に径1cmの穿孔を認めた.血流障害をきたした小腸を含む右半結腸切除と洗浄ドレナージを行った.切除標本では上行結腸に4×6cm大,4型の全周性腫瘍を認め,病理所見では異型の強い腫瘍細胞が充実胞巣状に認められ,一部漿膜に露出し脈管侵襲が著明だった.組織学的には,腺管形成や粘液産生を認めず大腸未分化癌の像を示した.術後汎発性腹膜炎,敗血症を併発し多臓器不全にて死亡した.大腸未分化癌は極めて稀であり,文献的考察を加え報告する.
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  • 吉岡 茂, 若月 一雄, 片岡 雅章, 外岡 亨, 宮澤 康太郎, 太枝 良夫
    72 巻 (2011) 4 号 p. 945-949
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,男性.2002年9月便潜血陽性のため施行した大腸内視鏡検査にてS状結腸に13mm大のI sp型病変認め,EMRを施行した.病理組織学的所見は低分化腺癌,SM2,ly1,v1,VM1で大腸癌の遺残が疑われた.また腹部CTにて肝S5に1.6cm大,S7に4.0cm大の腫瘤性病変を認め,経皮的肝生検を施行した.肝生検結果は壊死を伴う中分化腺癌で大腸癌よりの肝転移と診断した.S状結腸切除術(D3郭清),肝後区域,S5部分切除術を施行した.切除標本の病理組織学的所見では原発巣のEMR部には癌の遺残は認めなかったが,リンパ節転移が認められた(N1).また肝腫瘍は中分化腺癌であった.術後化学療法は施行せず,術後97カ月たった現在無再発生存中である.大腸SM癌の同時性肝転移報告例は少なく,文献的考察を加えて報告する.
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  • 山下 公大, 中村 哲, 今西 達也, 角 泰雄, 鈴木 知志, 榎木 英介, 黒田 大介
    72 巻 (2011) 4 号 p. 950-954
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は53歳,男性.神経線維腫症1型と診断されている.今回,血便を自覚し,他院にて直腸カルチノイドと診断された.精査加療目的で当院に紹介され,入院となった.下部消化管内視鏡検査で,歯状線より約3cmの部位に11mm大の粘膜下腫瘍形態の腫瘤を認めた.腹部CT検査では,直腸前壁に壁肥厚を認めたが,明らかな遠隔転移は認めなかった.直腸カルチノイドの診断で,腹腔鏡補助下直腸低位前方切除術を施行した.病理組織学的には粘膜下層に浸潤した直腸カルチノイドで,リンパ節転移は認めなかった.神経線維腫症1型には,一般的にカルチノイドは併発しやすいとされているが,十二指腸乳頭部領域に多く,直腸カルチノイドの合併は極めて稀である.今回,神経線維腫症1型に伴う直腸カルチノイドに対し,腹腔鏡補助下直腸低位前方切除術を施行した症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 若月 一雄, 吉岡 茂, 片岡 雅章, 外岡 亨, 太枝 良夫
    72 巻 (2011) 4 号 p. 955-959
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は42歳,男性.歯状線より1.5cmの下部直腸に30mm大の2型腫瘍を認め,生検にて高分化腺癌であった.内肛門括約筋切除術(以下ISR),3群リンパ節郭清,transverse coloplasty,横行結腸人工肛門造設術を施行.病理組織検査では,高分化腺癌,固有筋層までの浸潤でリンパ節転移を認めなかった.術後21日目に退院し,1カ月目に注腸造影を施行しtransverse coloplasty部より骨盤内に造影剤の漏出を認めた.保存的に経過をみるも術後11カ月でも瘻孔の治癒を認めず術後15カ月目に大殿筋膜皮弁充填術を施行.この手術後12カ月目に注腸造影にて瘻孔閉鎖を確認し,人工肛門閉鎖術を施行した.現在人工肛門閉鎖後4年4カ月経過し,再発を認めず,排便機能も良好である.これまでにISR後の骨盤内瘻孔に対して大殿筋膜皮弁充填術を施行し治癒した報告例はなかった.大殿筋膜皮弁充填術は有用な術式であると考えられた.
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  • 山崎 慎太郎, 高山 忠利, 岩間 敦子, 吉田 直, 渡邊 慶史, 桧垣 時夫, 杉谷 雅彦
    72 巻 (2011) 4 号 p. 960-964
    公開日: 2011/10/25
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    71歳の女性,C型慢性肝炎の経過観察中に腹部超音波検査で肝S5に23×25mmの低エコー腫瘤を指摘された.既往に悪性リンパ腫があり化学療法施行で寛解されていた.AFPとPIVKA-IIの上昇は認めず,軽度の肝機能異常と可溶性IL-2レセプターの軽度上昇(753U/ml)を認めた.腫瘍は腹部単純CTで低吸収で造影早期に淡い濃染,後期相で低濃度を示し,肝動脈造影でも同様で術前は肝細胞癌と診断し肝S5亜区域切除術を施行した.手術検体の肉眼像は腫瘍は黄色で背景肝との境界は明瞭,皮膜形成の無いほぼ均一の組織であった.術後の病理組織診断で肝Reactive lymphoid hyperplasiaと診断された.本症例は術後4年再発なく経過中である.本疾患はまれで,肝癌と診断され切除されることが多く術前に鑑別を要する症例として文献的考察を加え報告する.
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  • 三上 城太, 富永 正寛, 千堂 宏義, 前田 裕巳, 藤野 泰宏, 狛 雄一朗, 大林 千穂
    72 巻 (2011) 4 号 p. 965-971
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,女性.高血圧にて近医に通院中,腹部エコーにて肝腫瘍を指摘され当院に紹介となった.腹部エコーにて肝S2に17mm大の境界明瞭で内部均質な低エコー腫瘤を認めた.造影CTでは,動脈相で辺縁部がリング状に濃染され,平衡相で内部が不均一に造影された.EOB-MRIではT1強調像にて低信号,脂肪抑制T2強調像で高信号を呈していた.また造影動脈相では辺縁に輪状の,内部には点状の信号増強を示していた.FDG-PETでは明らかな異常集積を認めなかった.悪性腫瘍を否定できず肝外側区域切除を施行した.術中所見では,肝S2に辺縁不整,比較的軟らかい灰白色の腫瘍を認めた.病理組織学的検査では硬化性の小血管周囲に,硝子化を伴う膠原組織や弾性線維が著明に増生しており,硬化性血管腫と診断された.肝癌類似病変に関して,今回われわれの治療経験に考察を加え報告する.
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  • 小木曾 聡, 猪飼 伊和夫, 村上 隆英, 奥知 慶久, 西川 元, 畑 啓昭
    72 巻 (2011) 4 号 p. 972-977
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は84歳,女性.既往歴は慢性C型肝炎である.82歳時に肝後区域の肝細胞癌にラジオ波焼灼術(RFA)を施行され,その後2度の再発に対しRFAで治療された.4カ月前,肝後区域に肝細胞癌再発を指摘されたが本人希望により経過観察された.今回,再発肝細胞癌からの胆管腫瘍栓進展に伴い閉塞性胆管炎を繰り返すため,手術の方針となった.腹部造影CTにて,肝後区域に7cm大の腫瘍と後区域枝胆管内腫瘍栓,外側区域表面に1cm大の腫瘍,右側肝円索と門脈・肝動脈・胆管の分岐異常を認め,肝後区域切除,胆管腫瘍栓摘出,外側区域部分切除術を行った.右側肝円索は,門脈右枝に臍部が存在してそれに肝円索が連なり,胆嚢が肝円索の左側に位置する稀な変異で,頻度は0.1~1.2%と報告されている.右側肝円索には脈管の分岐異常を伴うことが多く,脈管侵襲肝細胞癌の外科的治療に際しては,術前の詳細な画像検索と慎重な手術計画が重要である.
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  • 清田 誠志, 大畑 和則, 浦田 順久, 諸冨 嘉樹, 久保 正二
    72 巻 (2011) 4 号 p. 978-982
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は48歳,女性.心窩部痛を主訴とし近医受診.先天性胆道拡張症を疑われ当院を紹介された.MRI検査において,左右肝管から膵内胆管までの拡張を認めた.左右肝管は嚢胞状に拡張し,総肝管に相対的狭窄像を認めた.拡張胆管・胆嚢内に多数の結石像と肝S6末梢胆管内に結石像を認めた.肝内外胆管結石および胆嚢結石を伴う戸谷IV-A型先天性胆道拡張症と診断し,肝外胆管切除・胆管結石切石術・左右肝管空腸Roux-Y吻合術・空腸瘻造設術を施行した.結石分析では,肝内・肝外・胆嚢内結石は全てコレステロール98%以上含有したコレステロール結石であった.肝内外胆管内および胆嚢内に多数のコレステロール結石を伴った戸谷IV-A型先天性胆道拡張症の1例を経験したので報告した.
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  • 大石 賢玄, 辻 勝成, 尾崎 岳, 北出 浩章, 高田 秀穂, 權 雅憲
    72 巻 (2011) 4 号 p. 983-989
    公開日: 2011/10/25
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    症例は64歳,男性.アルコール性肝障害の診断目的に経皮的肝針生検を受けた7日後に右上腹痛をきたした.発症当日のCTでは腫大した胆嚢と胆嚢内の直径3cmの高吸収腫瘤影を認めた.肝生検後10日目のMRIでは腫大した胆嚢,胆嚢内の不均一な腫瘤影と胆嚢に圧排された総胆管の狭窄所見を認めた.急性胆嚢炎およびMirizzi症候群との診断で胆嚢摘出術を施行した.胆嚢内に充満する凝血塊を認めたものの胆嚢頸部や胆嚢管に炎症所見や結石は認めず,胆嚢内血腫と診断した.
    胆嚢内血腫は肝生検などを契機として発生する緩徐な胆道出血が原因で形成されるとされているものの詳細な形成機序はいまだ不明である.本症例では胆嚢内血腫の形成過程を詳細に観察することができ,胆嚢内血腫の報告例としては初になるMirizzi症候群を疑う所見を得た.これらは肝生検後の胆嚢内血腫の形成機序や治療計画を考慮するうえで示唆に富む症例であり文献的考察を加えて報告する.
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  • 石田 伸樹, 高橋 忠照, 豊田 和広, 池田 昌博, 中谷 玉樹, 中野 亮介
    72 巻 (2011) 4 号 p. 990-997
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,男性.約18年前より重複胆嚢を指摘されていたが,経過観察されていた.約1年前より心窩部痛が徐々に増悪してきたため,当院で精査となった.CTでは肝門部にくいこむように内腔に胆泥様の成分を含んだ副胆嚢が認められ,ERCPでは副胆嚢管は左肝管との連続性を認めた.重複胆嚢に対して,開腹下での胆嚢摘出を行った.主胆嚢を摘出後,副胆嚢を観察すると副胆嚢は右肝管と左肝管の間に存在し,両側の肝管との癒着が強く剥離困難であった.そのため副胆嚢壁を切開し,胆嚢壁を可及的に切除した.副胆嚢壁の一部に結節病変を認め,迅速病理検査で高分化管状腺癌と診断された.両側の肝管から総胆管まで壁の硬化を認め,副胆嚢壁から直接癌が浸潤していると考えられた.
    重複胆嚢の発生頻度は4,000人に1人とされており,胆嚢癌を合併した症例は大変稀である.若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 宮崎 真一郎, 坂口 孝宣, 稲葉 圭介, 山本 尚人, 森田 剛文, 今野 弘之
    72 巻 (2011) 4 号 p. 998-1002
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,女性.両下腿の腫脹と疼痛を主訴に近医を受診した.下腿腫脹,疼痛の原因は深部静脈血栓症であった.血液生化学検査にて胆道系酵素の上昇を認め,CTで肝左葉に9cm大の腫瘍を認め当科に紹介された.胸部造影CTで肺塞栓も認められ,入院後からヘパリンによる抗凝固療法を開始した.肝腫瘍は肝内胆管の拡張を伴う分葉状腫瘍で,肝内胆管癌と診断した.肝内および他臓器転移はなく,リンパ節郭清を含めた拡大肝左葉切除術を施行した.周術期は一時的下大静脈フィルター留置した.術後に血栓の増悪はなく経過は良好で,第18病日に退院した.静脈血栓塞栓症を合併した肝内胆管癌の切除例の報告は少ない.周術期管理法を含めて文献的考察を加えて報告する.
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  • 春日井 尚, 和田 陽子, 竹原 雄介, 出口 義雄, 田中 淳一, 工藤 進英, 塩川 章
    72 巻 (2011) 4 号 p. 1003-1007
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,女性.右季肋部痛を主訴に当院救急外来受診,急性胆嚢炎の診断で入院となった.保存的治療で改善しないため,経皮経肝的胆嚢ドレナージ(以下,PTGBD)を施行し,4日後に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.摘出胆嚢の病理組織診断で底体部を中心とした平坦型の高分化型管状腺癌を認めた.切除断端陰性の粘膜癌であったが,PTGBD瘻孔内への転移やカテーテルが貫通した肝床部での癌遺残の可能性を否定できないため,初回手術の40日後に開腹下に肝床切除+PTGBD瘻孔切除術を施行した.肉眼的には明らかな癌の遺残は認めなかったが,病理診断の結果腹壁筋層内に径1mm大の微小転移巣を認めた.術後6年経過した現在も無再発で経過観察中である.術前癌を疑えない潜在胆嚢癌にPTGBDを施行した場合,早期癌で短期間の留置であっても瘻孔転移を生じる可能性があり,速やかにPTGBD瘻孔も含めた追加切除を施行すべきと考えられた.
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  • 細川 勇, 竹内 男, 大塚 将之, 吉富 秀幸, 岸本 充, 宮崎 勝
    72 巻 (2011) 4 号 p. 1008-1014
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    膵神経内分泌腫瘍(pancreatic neuroendocrine tumor;PNET)は稀な疾患と考えられてきたが近年増加傾向にある.PNETは典型例では多血性で内部均一な充実性腫瘍であるが,非典型的な画像所見を呈した非機能性PNETの1切除例を経験した.症例は40歳,男性.検診の腹部超音波検査で30mm大の膵腫瘍を指摘された.腫瘍は乏血性で嚢胞成分や石灰化を伴い,FDG-PETにて集積を認め,solid-pseudopapillary neoplasm(SPN)もしくは非機能性PNETの診断で,脾温存膵体尾部切除術を施行した.病理組織学的に非機能性PNETの診断で,腫瘍が乏血性を呈した原因は不明であったが,嚢胞に関しては腫瘍内の出血によるものと考えられた.
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  • 赤堀 浩也, 塩見 尚礼, 前平 博充, 仲 成幸, 来見 良誠, 谷 徹
    72 巻 (2011) 4 号 p. 1015-1021
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    膵リンパ上皮嚢胞は,術前に確定診断がつけば絶対的手術適応はないが,悪性疾患との鑑別が困難なため切除されることの多い非腫瘍性嚢胞性疾患である.膵では比較的稀だが,脂腺成分を伴う症例はさらに少ない.症例1は,膵体尾部に境界明瞭な嚢胞性腫瘤を認め,術前正診がつかず膵体尾部切除を行った.症例2は,膵尾部に境界明瞭で内部に充実成分を伴う嚢胞性腫瘤を認め,症例1の経験から術中に確定診断を得て,核出術で手術を終了した.病理組織学的に,嚢胞内壁が重層扁平上皮で覆われさらにリンパ組織の形成と脂腺成分を認め,脂腺成分を伴う膵リンパ上皮嚢胞と診断した.
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  • 乾野 幸子, 青木 貴徳, 谷 誓良, 大黒 聖二, 下國 達志, 浜田 弘巳
    72 巻 (2011) 4 号 p. 1022-1027
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    膵癌の初発症状は腹痛,黄疸,背部痛の順に多く,腫瘍栓に伴う症状で発症することは極めて稀である.今回,上腸間膜静脈腫瘍栓により発症した膵癌を経験した.症例は77歳,男性.腹痛,下血を主訴に救急外来受診.強い心窩部痛と心電図上心房細動を認めたため上腸間膜動脈血栓症を疑い,動脈相中心の腹部造影computed tomography(以下CT)を施行.CTでは原因の特定に至らなかったが,症状が強いため試験開腹術を施行した.開腹所見では血性腹水,小腸と腸間膜の黒赤色変化,腸間膜静脈の血栓を認め,小腸切除,血栓除去,人工肛門造設を行った.術中採取した静脈壁の内部に腫瘍所見ありとの病理診断を得た.原発巣の検索を行い,膵頭体移行部に腫瘍を認め膵管細胞診でadenocarcinomaとの結果より,膵癌に伴う上腸間膜静脈腫瘍栓・血栓と診断した.自験例のように上腸間膜静脈腫瘍栓・血栓を初発症状とした膵癌の報告例は検索した限りではなく,極めて稀な症例と思われ報告する.
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  • 渡邊 将広, 長谷川 洋, 坂本 英至, 小松 俊一郎, 久留宮 康浩, 法水 信治
    72 巻 (2011) 4 号 p. 1028-1032
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    汎血球減少を合併した脾過誤腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は52歳,男性.2008年2月,人間ドックで血小板減少と脾腫を指摘され,2009年8月当院を受診した.血小板数の減少と白血球数・ヘモグロビン値の軽度低下を認め,Computed Tomography(CT)・Magnetic Resonance Image(MRI)では脾内に内部変性・壊死を伴う140×120mmの腫瘍を認めた.血小板減少を呈しており,腫瘍が比較的大きく悪性の可能性を否定できないことから,2009年11月に開腹脾臓摘出術を施行した.摘出標本は200×160×110mm,重量1,466gで,大部分が腫瘍で占められていた.病理診断は赤脾髄型脾過誤腫であった.手術後汎血球減少は改善が見られた.本例は報告例の中では最大級の脾過誤腫であった.
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  • 長谷川 智行, 袖山 治嗣, 町田 泰一, 草間 啓, 西尾 秋人, 中田 伸司
    72 巻 (2011) 4 号 p. 1033-1037
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は38歳,男性.既往歴として生後まもなくHirschsprung病にて二期的手術を受けていた.小学生時には右停留精巣にて右精巣摘除術を受けたと説明されていた.入院約1カ月前より下腹部痛を自覚.近医を受診し,下腹部腫瘤を指摘され当院消化器科紹介受診した.精査にてβ-HCG高値,3D-CT-angiograpyで腫瘍の栄養血管が右精巣動脈である可能性が示唆され,腹部右精巣腫瘍も疑われたが,病歴より否定的と判断.オリジン不明の腹腔内腫瘍摘出目的に当科入院した.術中所見では腫瘍は後腹膜に覆われた巨大な精巣様の形態であり,肉眼的に精索,精巣上体,精巣導帯などが確認された.腫瘍摘出術を施行した.病理検査結果は単一型のセミノーマであった.術後12カ月目の現在,明らかな再発を認めていない.成人の腹部セミノーマ国内報告例は本症例を加えて10症例と少なく,停留精巣術後の報告は本症例のみであった.文献的考察を加え報告する.
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  • 岡本 経子, 渡邉 純, 望月 康久, 小金井 一隆, 杉田 昭, 林 宏行
    72 巻 (2011) 4 号 p. 1038-1041
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,女性.約1年半前に心窩部痛が出現.MRIで骨盤内にT1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号の多房性嚢胞性病変が認められた.卵巣嚢腫が疑われたが質的診断は困難であり,開腹術が勧められた.しかし,患者の同意を得られず,経過観察していた.今回腹痛・嘔吐を主訴に当院救急外来受診.CT検査で嚢胞性病変に接して小腸の狭窄を認め,骨盤内腫瘍に起因する腸閉塞を疑い,緊急手術を施行した.開腹すると回腸間膜に多胞性の暗赤色,表面平滑,弾性軟の嚢胞性腫瘍を認め,嚢胞を横断するように回腸が走行し狭窄していた.回腸の部分切除を含む嚢腫摘出術を施行した.腫瘍は病理組織学的にリンパ管腫と診断した.成人腸間膜リンパ管腫は比較的まれな疾患であり,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 渋谷 雅常, 寺岡 均, 中尾 重富, 坂下 克也, 金原 功, 新田 敦範, 筑後 孝章
    72 巻 (2011) 4 号 p. 1042-1045
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,女性.突然の下腹部痛を主訴に当院へ救急搬送された.来院時,左下腹部に限局した腹膜刺激症状を認めた.画像検査にて痛みの部位に一致して9cm大の腫瘤像を,左横隔膜下には腹水の貯留を認めた.腹水を穿刺したところ血性であり腹腔内出血と診断した.来院直後より血圧の低下を認め,S状結腸間膜内の動脈破綻による出血性ショックと考え同日緊急手術を施行した.S状結腸間膜内に巨大な血腫を認め,これを除去したところS状結腸間膜内の動脈より拍動性の出血が認められた.同部の腸間膜を含めてS状結腸切除術を施行した.病理組織学的検査の結果,嚢胞性中膜壊死と診断された.術後経過は良好で術後13日目に退院,約1年経過した現在も再発を認めていない.
    嚢胞性中膜壊死は通常大血管に見られ,腹腔内の中小動脈に発生することはまれである.今回われわれは嚢胞性中膜壊死がS状結腸動脈に生じ腹腔内出血をきたした1例を経験したので報告する.
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  • 森本 大樹, 河村 史朗, 安田 貴志, 吉川 卓郎, 藤田 昌幸, 島田 悦司
    72 巻 (2011) 4 号 p. 1046-1050
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,女性.当院婦人科定期受診中,CEA高値を認め精査にて右腎背側に腫瘍を指摘されたため,外科紹介受診となった.腹部超音波,CT,MRI検査で後腹膜腫瘍と診断し,FDG-PETで腫瘍に一致して集積亢進(SUVmax:4.9)を認め,悪性腫瘍の可能性を否定できないため,腫瘍摘出術を施行した.腫瘍の大きさは8.0×4.5×4.5cmで,病理組織学的にはAntoni A,B混合型を呈する神経鞘腫であった.近年,FDG-PETは様々な腫瘍において,良悪性診断や転移検索の目的に利用される機会が増加している.後腹膜神経鞘腫は,FDG-PETの集積亢進を示すことが多い良性腫瘍の1つであり,後腹膜腫瘍ではFDG-PETによる悪性腫瘍の鑑別診断として念頭に置く必要があると思われた.
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  • 田中 亮, 鈴木 晋, 岡田 貴幸, 青野 高志, 長谷川 正樹
    72 巻 (2011) 4 号 p. 1051-1054
    公開日: 2011/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は84歳,女性.1カ月前より徐々に増悪する右臀部から大腿部背側の痛みと歩行困難を主訴に当院受診.CTで大坐骨孔を通じて臀部にいたる骨盤内膿瘍を認めた.6カ月前のCTを遡ると,糞石を伴った虫垂の坐骨孔から臀部への脱出を認めた.坐骨孔より脱出していた虫垂の穿孔による骨盤内膿瘍と診断し,緊急手術を施行した.下腹部正中切開でアプローチすると,膿瘍腔は大坐骨孔を介して臀部まで広がっていた.メッシュ等によるヘルニア門の閉鎖は行わず,大坐骨孔にドレナージチューブを留置した.歩行可能となり第66病日に退院し,術後6カ月現在,再発は認めない.坐骨ヘルニアは稀な疾患であり報告例も少ない.中でも脱出臓器が虫垂であった症例は検索しえた限りでは認められなかったので,文献的考察を加え報告する.
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  • 坪井 賢治, 川瀬 義久, 大河内 治, 服部 正嗣, 高見 悠子, 武田 重臣
    72 巻 (2011) 4 号 p. 1055-1059
    公開日: 2011/10/25
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    傍ストーマヘルニアは人工肛門造設後に見られる合併症の一つである.しかし,その治療法はいまだ確立していない.今回,われわれはデュアルメッシュ®を用いた傍ストーマヘルニア修復術の2例を経験したので報告する.
    症例1:67歳,女性.直腸癌にて腹会陰式直腸切断術,腹膜外経路S状結腸人工肛門造設術を施行した.傍ストーマヘルニアを合併したため手術を施行した.挙上結腸が腹壁を貫通する頭側にヘルニア門を認めた.ヘルニア門を縫縮し挙上結腸全体を覆うようにデュアルメッシュ®を腹膜に縫合した.
    症例2:67歳,女性.直腸膣瘻に対しハルトマン手術・腹腔内経路S状結腸人工肛門造設術を施行した.傍ストーマヘルニアを合併したため手術を施行した.挙上結腸の頭側にヘルニア門を認めた.症例1と同様の方法で修復した.
    デュアルメッシュ®を用いたヘルニア修復術は簡便であり現在再発無く有用と思われる.
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支部・集談会記事
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