日本臨床外科学会雑誌
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72 巻 , 5 号
選択された号の論文の47件中1~47を表示しています
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原著
  • 佐々木 欣郎, 依田 紀仁, 小野寺 真一, 大塚 吉郎, 百目木 泰, 志田 陽介, 伊藤 友一, 高橋 雅一, 金子 恵, 中島 政信, ...
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1091-1096
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    早期胃癌に対する腹腔鏡補助下幽門側胃切除術(LADG)は広く普及してきている.教室においてLADGが施行された早期胃癌100例を対象とし,同時期に行われた開腹幽門側胃切除術(ODG)76例と治療成績を比較検討した.また,術前のbody mass index(BMI)によりLADG症例を肥満群と標準群に分類して肥満の影響を解析した.ODGと比較してLADGは有意に出血量が少なく(P<0.0001),有意にイレウスの合併が少なかった(P=0.0113).胃癌の再発率には有意差はなかった.BMIがLADGに与える影響は,標準群に比較して肥満群で手術時間が有意に延長し(P=0.0319),出血量も有意に多かった(P=0.0009).LADGはODGと比較して安全性,腫瘍学的妥当性において遜色は認められず,早期胃癌に対する標準的治療として推奨され得る術式であることが示唆された.
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臨床経験
  • 亀山 仁史, 山崎 俊幸, 桑原 史郎, 大谷 哲也, 片柳 憲雄, 畠山 勝義
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1097-1100
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    左側結腸憩室症に対する腹腔鏡手術は安全で適切な手術であるとの報告が多いが,右側結腸では評価が定まっていない.そこで2003年9月から2010年2月までに腹腔鏡手術を行った右側結腸憩室症の連続20例を対象として,手術成績を評価した.全ての症例に同一の内視鏡外科学会技術認定医が携わった.手術適応は,出血が14例,憩室炎が7例であった(複数回答).手術時間は143分で出血量は25ml(中央値)であった.同時期の右側早期大腸癌58例の手術時間は158分(p=0.28),出血量は20ml(p=0.11)であり,有意差はなかった.憩室症例の在院日数は7日であった.術後の合併症は6例(30%)でみられた.開腹移行例や死亡,縫合不全はなかった.右側結腸憩室症に対する腹腔鏡手術は容認される術式である.
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  • 星野 敢, 福長 徹, 菅本 祐司, 武藤 頼彦, 丸山 哲郎, 松原 久裕
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1101-1105
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    目的:近年においては重症急性膵炎(severe acute pancreatitis:以下SAP)に対する外科治療は稀と考えられるが,一定の条件を満たす症例においてはその選択を余儀なくされる.今回,外科的治療を要したSAP症例についてその臨床的検討を行った.方法:2008年1月から2010年12月までにSAPと診断され開腹手術を要した7例につき検討を行った.
    結果:症例の平均年齢59歳,男性6例・女性1例,成因はアルコール3例,特発性2例,胆石,腹部外傷1例,前治療として5例に動注療法が施行されていた.手術までの期間が100日を越える症例が5例,術式は5例で膵体尾部切除が行われていた.1例が術後に播種性血管内凝固症候群をきたし死亡,6例は軽快退院となった.結論:現在,SAPに対する手術適応は非常に限られたものとなったが,保存的治療に対し改善が得られない症例を中心に手術の選択を余儀なくされる症例が依然存在するものと考えられた.
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症例
  • 今井 崇裕, 西川 徹, 櫻井 隆久
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1106-1111
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は45歳,男性.数週間前より継続する高熱と背部の腫脹のため緊急搬送された.受診時意識は混濁し,頸部から背部にかけて皮膚は発赤し腫脹していた.入院時の血液検査では高度の炎症所見と凝固系の異常を認め,CT検査で頸部から背部にかけてガス像を伴った皮下脂肪組織の濃度上昇,両側肺野に多発する結節性陰影,両側胸水貯留を認めた.敗血症性ショックに伴う急性呼吸不全を疑いICUに搬送した後,腫脹した皮膚を切開したところ,一部筋膜は壊死しており,淡黄色の膿が多量に排泄され,培養でMethicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)が検出された.早期から切開・排膿・デブリドマンと抗菌薬治療を行い入院93日目,退院となった.MRSA感染から発症した壊死性筋膜炎の症例は本邦10例目にあたり稀であり,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 竹井 陽, 森 一成, 木下 博之, 坂田 好史, 有井 一雄, 平井 一成
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1112-1115
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は82歳,女性.主訴は胸壁腫瘤.既往歴に結核の既往はない.現病歴は3カ月前から胸部腫瘤を自覚し,増大傾向あるため,近医より公立那賀病院紹介となる.右前胸部第11肋骨前腋窩線上に5cm大の弾性軟で発赤を伴う圧痛性の腫瘤を認めたが,入院時検査所見にて炎症反応,腫瘍マーカーの上昇を認めず,喀痰はガフキー0号であった.術前に行った針生検では壊死性肉芽腫の像を呈していた.胸壁腫瘤および肋骨合併切除を行った.摘出標本の病理検査結果からはTuberculoid granulomaを形成していた.培養検査もMycobacterium tuberclosis(1+)と結核菌陽性であるため,胸囲結核の確定診断に至った.術後抗結核化学療法を施行した.術後フォローアップとして,9カ月目,20カ月目にCT検査を施行し,再発なきことを確認している.
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  • 高田 晃宏, 宮田 博志, 山崎 誠, 森 正樹, 土岐 祐一郎
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1116-1121
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,胸部下部食道癌の診断で術前化学療法施行後,食道亜全摘,2領域リンパ節郭清,後縦隔胃管再建を施行した.手術翌日より腹部正中創の発赤認めたため創を開放し,培養施行した.正中創の発赤は次第に増大し,次第に黒色の壊死を伴うようになった.急性循環不全,呼吸状態の悪化を認め,腹部CT,上部消化管内視鏡を施行した.CTでは正中創周囲の脂肪濃度の著明な上昇を認めた.上部消化管内視鏡所見では胃管粘膜面の色調異常を認め,胃管の壊死を疑い,壊死胃管の確認と除去のため同日緊急手術(胃管抜去,食道廔造設,正中創のdebridment)を施行した.正中創の起因菌がAeromonas hydrophilaであり同菌感染による感染性ショックと診断した.術後,集中治療管理を要したが改善し,初回手術後62病日に食道廔閉鎖,右結腸再建,創部の植皮術の施行し,初回手術後143病日軽快退院とした.手術を契機に発症したAeromonas hydrophila感染の報告はまれであるが,急激な経過をとることが多く注意すべき術後合併症と考えられた.
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  • 川村 秀樹, 谷岡 利朗, 舩越 徹, 石津 寛之, 岡田 邦明, 高橋 昌宏
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1122-1125
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    術前化学療法後に胃切除を施行し,乳糜腹水を発症した2例を経験した.症例1:66歳,男性.大動脈周囲リンパ節転移,右鎖骨上リンパ節転移を認めS-1+CDDPを2クール施行し画像上リンパ節転移は消失.幽門側胃切除,D2+化療効果判定のため16b2リンパ節を切除.術後1カ月から乳糜腹水が顕在化し,その後3カ月の保存的治療を行うも治癒せず手術を施行.術中,明らかな乳糜の漏出点は認めず,有効な外科治療は不能.その後2週間の保存的治療で軽快.症例2:64歳,男性.大動脈周囲リンパ節転移を認め術前化学療法としてS-1+CDDPを3クール施行し画像上リンパ節転移は消失.症例1と同様の手術を施行.術後1カ月から乳糜腹水を発症し2カ月の保存的治療で軽快.これまで大動脈周囲リンパ節転移陽性胃癌7例に術前化学療法を行ったが,その内2例に乳糜腹水が発症した.大動脈周囲リンパ節転移陽性胃癌に対する術前化学療法は術後乳糜腹水のリスクを高める可能性がある.
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  • 三上 城太, 川崎 健太郎, 中山 俊二, 金治 新悟, 藤野 泰宏, 富永 正寛
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1126-1131
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は70歳代女性,2年前にサルコイドーシスが疑われ経過観察されていた.健診の内視鏡検査にて胃癌を指摘され当院を紹介となった.透視検査では胃中下部に3型胃癌が,内視鏡検査では同部に潰瘍を伴った陥凹性病変を認め,生検結果は低分化腺癌の診断であった.CT検査にて広範囲にリンパ節腫大を認め,脾臓には低吸収域が多発しており,これらはPET検査でもFDG集積を認めた.2年前にサルコイドーシス精査のために施行されたCTでも同様であり,胃癌の転移よりはサルコイドーシスの可能性が高いと考えられた.胃癌,脾サルコイドーシスの診断にて手術となり,幽門側胃切除,リンパ節2群郭清,および脾臓の針生検を行った.脾臓針生検の病理組織学的検査は肉芽腫形成性の炎症所見を呈しており,既往歴から脾サルコイドーシスであると考えられた.胃癌の転移との鑑別を要した脾サルコイドーシスは非常にまれである.今回われわれの治療経験に考察を加え報告する.
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  • 橋本 直樹, 星野 和男, 仲村 匡也, 竹吉 泉
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1132-1136
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    無再発生存中の十二指腸乳頭部原発腺内分泌細胞癌の1例を報告する.症例は46歳の女性で,上腹部痛を主訴に入院した.十二指腸乳頭部に露出腫瘤型の腫瘍を認め,同部の生検で神経内分泌腫瘍と診断された.一方,擦過細胞診は腺癌の診断であった.十二指腸乳頭部癌の診断で幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的検査の結果,腺内分泌細胞癌と診断された.術後補助化学療法としてS-1内服を行い,術後39カ月経過した現在,再発所見なく経過中である.十二指腸乳頭部原発の腺内分泌細胞癌は稀であり,本邦報告例は自験例を含め14例であった.本疾患は悪性度が高く,予後は極めて不良であるが,本症例は無再発生存中である.本疾患の治療について確立されたものはないが,外科的治療と術後補助化学療法が有効であると考えられた.
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  • 阪井 守, 森山 宣, 清水 香, 松浦 裕史, 藤田 徹
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1137-1140
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は90歳,女性.鮭のハラスの摂取後2週間目に突然の上腹部痛にて近医より当科を紹介受診した.CTにて上腹部に膿瘍形成に認め,その内部に約2cmのhigh densityな線状陰影を認めたため,魚骨による腹腔内膿瘍の診断にて経過観察のため緊急入院した.入院翌日,腹膜炎症状が増悪したため緊急手術となった.近位空腸,その小腸間膜と大網に囲まれた部位に膿瘍が確認され,その内部に遊離した魚骨片を認めたが,空腸壁には穿孔部位を確認できず膿瘍ドレナージ術のみにて手術を終了した.術後経過は良好で術後15日目に退院した.今回われわれは,腹腔内膿瘍腔に遊離した魚骨片を認めながらも穿孔部位が術中確認できず侵襲的外科治療を行わずしてドレナージ術のみで治癒した魚骨による空腸穿孔の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 吉田 周平, 平能 康充, 加藤 秀明, 内田 恒之, 渡邊 透
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1141-1144
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は53歳,男性.右下腹部痛と発熱を認め当院を受診した.既往歴には大腸憩室炎,大腸憩室出血がある.身体所見では右下腹部に圧痛を認めたが,腹膜刺激症状はみられず.血液検査所見では炎症反応の上昇を認めた.腹部CT検査で腸間膜内のair bubble像とその近傍の終末回腸に憩室を認めたため終末回腸憩室穿孔と診断し手術を施行した.回盲部を脱転すると終末回腸の腸間膜付着側に径6mm大の穿孔と腸間膜脂肪織内に膿瘍形成認めたため回盲部切除術を施行した.切除標本では回盲部末端より口側約3cmの回腸に憩室認め腸間膜側に穿孔し膿瘍を形成していた.病理組織学的に憩室は,筋層を欠いており仮性憩室であった.回腸憩室穿孔はまれな疾患であるが,重篤な経過を辿ることもあるため,右下腹部痛の患者の診断・治療に際しては回腸憩室穿孔も念頭に置くことが重要と思われる.
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  • 松本 直基, 寺崎 正起, 岡本 好史, 鈴村 潔, 田中 顕一郎, 浅沼 修一郎, 星 昭二
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1145-1150
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は79歳,男性.6カ月前,総胆管結石による急性胆管炎にて,前医で内視鏡的総胆管結石摘出術に続き,内視鏡的逆行性胆道ドレナージ(ERBD)チューブ(7Fr-7cm,pigtail stent)が留置され経過観察中であった.今回,下腹部痛が出現し当院を受診.CT所見から,逸脱したERBDチューブによる小腸穿孔を疑い緊急手術を行った.開腹すると,回腸を中心に多発する憩室を認め,その一部がERBDチューブにより穿孔しており,小腸部分切除術を施行した.病理組織学的に穿孔部に潰瘍を認めたことから,憩室炎あるいはERBDチューブの長期接触により憩室壁の潰瘍が形成され,今回,蠕動運動などによってERBDチューブが菲薄化した憩室壁を穿孔させたと考えた.Pigtail typeのERBDチューブによる多発小腸憩室症の穿孔は非常にまれであり,その管理も含め,教訓的な症例であると思われた.
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  • 片山 外大, 中右 雅之, 加納 正人, 洲崎 聡, 柳橋 健
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1151-1155
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    慢性骨髄単球性白血病(CMML)に合併した小腸出血に対し術中内視鏡を併用して外科的止血術を行った1例を報告する.症例は80歳男性,CMMLに対する支持療法中に下血の出現を認めた.内視鏡検査や腹部CT検査,血管造影検査では出血点を同定しえなかったが,出血シンチグラフィにて小腸出血と診断した.開腹術を施行し,術中内視鏡にて小腸に多発潰瘍を認めたためそれらを含め盲腸までを切除した.病理組織学的に潰瘍底の粘膜下層に骨髄球・単球系細胞の浸潤を認め,粘膜の破綻にて生じた潰瘍からの出血と考えられた.CMMLは白血病の前癌病変とされ単球系の腫瘍細胞による臓器浸潤をきたし易いが,消化管における報告は少なく,比較的まれなものと考えられる.手術に際しては周術期合併症リスクに注意が必要であると考えられ,また出血点の同定と腸管切除範囲の決定に術中内視鏡は有用であった.
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  • 荒瀬 光一, 日暮 愛一郎, 山田 壮亮, 山口 幸二
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1156-1161
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,男性.腹痛・高度の貧血を主訴に当院入院.血液生化学検査で貧血・CRPの上昇を認め,腫瘍マーカー(CA19-9)の上昇を認めた.腹部CT・腹部MRIで小腸壁肥厚を伴う腫瘤像を認め,両側副腎に転移を疑う腫瘤性病変を認めた.小腸腫瘤性病変からの出血が貧血の原因と診断し,緊急手術を施行した.開腹所見ではTreitz靱帯から20cmの空腸に下行結腸浸潤を伴う腫瘤と腸間膜リンパ節転移を認めたため,小腸・下行結腸部分切除術を施行した.両側副腎腫瘍は遠隔転移と診断し,根治的切除は困難と考え切除しなかった.病理組織学的には異型性の強い細胞を認め,免疫染色では上皮系マーカーのCAM5.2・AE1/AE3,間葉系マーカーのvimentinのみが陽性で,原発性小腸未分化癌と診断した.原発性小腸未分化癌の報告は少なく極めて稀である.今回われわれは,両側副腎転移を伴った原発性小腸未分化癌の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
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  • 尾崎 邦博, 平城 守, 小野 博典, 森 直樹, 平川 雄介, 渡辺 次郎, 白水 和雄
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1162-1165
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    虫垂粘液嚢胞腺腫の術前診断は,画像診断の進歩により可能となる症例も増えている.しかしながら確定診断に至らない症例も多く見られる.そのため術式,切除範囲に関しては議論の分かれるところである.今回,術前虫垂粘液嚢胞腺腫を疑い,腹腔鏡下盲腸部分切除術を施行した症例を経験したため報告する.症例は76歳,女性.右下腹部の違和感にて近医を受診.下部消化管内視鏡検査にて虫垂入口部に粘膜下腫瘍様の所見を認め,当院紹介となった.来院時現症にて右下腹部の違和感と軽度の圧痛があるも,血液生化学検査に異常は認めなかった.腹部CTでは虫垂の嚢胞状腫大のみであり,悪性所見は認めなった.術前,虫垂粘液嚢胞腺腫を疑い,腹腔鏡下盲腸部分切除術を施行した.術中迅速病理では虫垂粘液嚢胞腺腫の診断であり,術後経過は良好であった.
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  • 成田 徹, 板橋 道朗, 小川 真平, 廣澤 知一郎, 橋本 拓造, 亀岡 信悟
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1166-1170
    公開日: 2011/11/25
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    症例は左頸部悪性リンパ節に対し化学療法中の60歳女性.腹痛,嘔吐を主訴に受診した.下腹部に軽度の張りと圧痛を認めたが,血液検査では炎症反応上昇は認めなかった.CTでは小腸から横行結腸まで拡張を認めた.腹部所見が軽度であり,絶食で経過観察とした.第14病日,右下腹部痛と発熱を認めた.CTで虫垂は肥大していたが回腸周囲の炎症が強く,炎症の主座は腸管と考え保存的治療とした.第25病日に撮影したCTでは,虫垂の肥厚が増しその周囲の回腸壁肥厚を認めた.虫垂腫瘍に伴う虫垂炎・回腸末端炎を疑い開腹手術を行った.虫垂は白色で硬く変性しており,虫垂切除術を行った.病理組織学的にはdiffuse large B cell lyphomaの再発と診断された.術後経過は良好で術後25日目より化学療法再開となった.悪性リンパ腫加療中の腹部症状を訴えた際,腹腔内病変の可能性を常に考える必要があると考えられた.
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  • 衛藤 謙, 阿南 匡, 大熊 誠尚, 藤田 哲二, 柏木 秀幸, 斎藤 彰一, 池上 雅博, 矢永 勝彦
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1171-1175
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,男性.大腸内視鏡検査で,虫垂開口部を中心とした粘膜下腫瘍様の隆起を認めた.生検組織検査を行ったところ,中等度異型を呈する腺腫性病変であった.悪性腫瘍を否定できないため,診断的治療のため2005年11月に腹腔鏡下虫垂切除術を行った.腫瘍は虫垂開口部から虫垂内腔に連続する,40×25mmの表面顆粒状の隆起性病変であった.術後病理組織診断は粘膜内に限局した高分化腺癌で,高度異型を呈する腺腫成分を伴っており,分類上colonic typeの虫垂癌だった.現在,術後5年2カ月が経過したが,再発および転移を認めていない.一般的に虫垂癌は予後が悪いと言われ,リンパ節郭清を含む回盲部切除術あるいは結腸右半切除術が推奨されている.しかし,colonic typeの虫垂癌に対しては,腫瘍細部の浸潤が粘膜内に留まれば,虫垂切除のみで十分に根治性を得られることが示唆された.
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  • 山崎 祐樹, 廣瀬 淳史, 竹下 雅樹, 吉本 勝博, 松木 伸夫
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1176-1180
    公開日: 2011/11/25
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    腸管気腫性嚢胞症(pneumatosis cystoides intestinalis;PCI)は腸管壁の粘膜下や漿膜下に多数の含気性小嚢胞を特徴とする比較的まれな疾患である.PCIは壊死を含めた腸管損傷に関与する徴候とされ,腸管壊死が疑われる場合は手術適応となる.今回われわれは2008年4月から2010年3月までの2年間で保存的治療によって軽快した4例のPCI症例を経験したので報告する.症例は57歳~90歳.男性1例,女性3例であった.全例に腸管気腫を認めたが,腹部所見は軽度で腹膜刺激症状は認めなかった.3例に腹腔内遊離ガスを認め,うち2例は腹水を伴っていた.2例に門脈ガス血症を認め,1例は後腹膜気腫も伴っていた.いずれの症例も保存的加療により軽快した.退院後1例に再発を認めたが,保存的加療により軽快した.PCIはそれだけでは手術適応とはならず,全身状態・腹部所見・各種検査所見を参考にして治療方針を決定するべきであると考えられた.
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  • 岩崎 靖士, 山田 暢, 小熊 潤也, 岡本 譲二, 清水 壮一, 高橋 伸
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1181-1185
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,男性.左下腹部痛を主訴に当院受診した.腹部超音波検査および腹部CTにて左下腹部直下にS状結腸に接する4cm大の腫瘤影を認め,腹膜垂炎の所見と診断した.保存的に経過を観察したが,疼痛が持続したために腹膜垂切除目的に入院し,腹腔鏡補助下にS状結腸腹膜垂切除術を施行した.手術所見では,S状結腸部の腹膜垂が腹壁と炎症性に癒着しており,鏡視下にこれを剥離し,小開腹創より体外に誘導すると,炎症性に腫大した2cm大の腹膜垂を認めた.同部を結紮切離し,腹膜垂を摘出した.病理組織学的所見にてうっ血,炎症細胞浸潤,脂肪壊死を認め,腹膜垂炎と診断した.腹膜垂炎はまれな疾患で,大腸憩室炎との鑑別が重要となるが,近年の画像診断技術の発達により,CTや超音波による腹膜垂炎に特徴的な所見がえられるようになってきた.今回,術前診断が可能で,腹腔鏡を用いて治療しえたS状結腸腹膜垂炎を経験したので報告する.
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  • 山口 俊介, 松田 健司, 瀧藤 克也, 堀田 司, 横山 省三, 山上 裕機
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1186-1189
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎(以下UC)は緩解期であれば,その病態は安定していることが多い.今回,妊娠・出産を契機に増悪化したUCの2例を経験したので報告する.
    症例1は29歳の女性.23歳時よりUCを指摘されていた.切迫早産にて自然分娩後,UCの増悪化による大量の下血を認め,大腸亜全摘術,回腸瘻造設術を施行した.翌日,残存直腸より大量の出血認め,残存直腸切除術を施行した.
    症例2は27歳の女性.11歳時よりUCを指摘され,10回のUCの増悪による入院歴があった.下血を繰り返し,UC増悪の診断で入院となった.入院後2日目,妊娠6週目の診断となった.その後,内科的治療にて止血できないため,腹腔鏡補助下大腸亜全摘術,回腸瘻造設術を施行した.同時に産科にて妊娠中絶術を施行した.
    妊娠・出産を契機に増悪化したUCについての本邦での報告例は少なく,文献的考察を加えて報告する.
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  • 荒木 政人, 角田 順久, 飛永 修一, 國崎 真己, 岩崎 啓介, 石川 啓
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1190-1194
    公開日: 2011/11/25
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    症例は43歳,女性.1型糖尿病にて治療中.便秘と腹痛を主訴に前医受診し,左下腹部に強い圧痛を認めたため消化管穿孔が疑われ当院紹介.腹部CTにてfree airは認めず,S状結腸を先端として糞便塊を大量に含んだ著明な結腸の拡張を認めた.内科的治療に奏効せず,大腸内視鏡施行し粘土状の糞便を洗浄や鉗子にて破砕を試みると,周囲の腸管が全周性に深い潰瘍を形成していた.また,腹満による呼吸苦が出現したため緊急手術を施行した.開腹すると拡張したS状結腸は一部白苔を伴い,肛門側は虚脱していた.内視鏡にて潰瘍部を確認し,その肛門側にて腸管を切離.約1.6kgの便塊を押し出し,潰瘍形成した腸管を切除後,ハルトマン手術とした.術後経過は良好で,術後4カ月目に再入院し人工肛門閉鎖術を施行した.糞便性イレウスは透析患者や糖尿病を有する患者に発症しやすいが,穿孔が無く手術に至る例は少ない.文献的考察とともに報告する.
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  • 西野 豪志, 片山 和久, 高橋 裕兒, 田中 隆
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1195-1201
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は79歳,女性.腹部膨満,嘔吐を主訴に当院を受診し,腸閉塞の診断で入院した.臍ヘルニアの膨隆を認めるが,腹部所見は乏しかった.各種検査にても腸閉塞の原因は特定できなかった.臍ヘルニア修復手術を施行したが,術後も腸閉塞が遷延するため,イレウスチューブで小腸減圧後,注腸透視検査を行ったところ,上行結腸肝彎曲部に腫瘤陰影を認め,右半結腸切除術を施行.高分化型腺癌と診断された.術後経過は良好であったが,手術から1年後,下腹部に有痛性の腫瘤を触知.CT検査で,腹直筋腫瘤と横行結腸間膜腫瘤を指摘された.上行結腸癌の腹直筋転移,腹膜播種の疑いで,腹直筋腫瘤切除,腹壁再建,横行結腸間膜腫瘤切除を行い,病理検査の結果,大腸癌の転移と診断された.術後,化学療法を行うも,全身への転移を認め,現在緩和ケア治療を継続中である.
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  • 石尾 哲也, 太田 正之, 北野 正剛
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1202-1206
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,男性.左季肋部痛を主訴に当院受診.精査の結果,腹壁膿瘍および空腸結腸瘻を伴う横行結腸癌の診断を得た.膿瘍ドレナージを行い炎症所見が落ち着いた後に開腹手術を施行した.腹水,腹膜播種,肝転移は認めず,腹壁,空腸合併切除を伴う横行結腸切除術を施行した.切除標本では,横行結腸に60×50mm大の2型の腫瘍が存在し,空腸との瘻孔を認めた.病理組織検査では,中分化型腺癌で,空腸への直接浸潤を認めた.進行度は,SI(空腸),N0,H0,P0,M0,StageIIであった.術後経過は良好で,術後3年の現在も再発を認めていない.
    腹壁膿瘍および空腸結腸瘻を伴う結腸癌は極めて稀であるが,積極的な合併切除により予後は期待できるものと思われた.
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  • 成島 道樹, 太田 義人, 岡上 能斗竜, 浦野 誠
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1207-1212
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,女性.2000年に大腸癌にて手術を施行され,その後3回の肺転移切除を受けている.経過観察中,術後8年目に腫瘍マーカーの上昇が認められたため再発巣の検索を行ったところ,大腸癌膵転移と診断され2008年3月に手術施行.病変は膵体部に限局しており膵体尾部切除を施行された.膵腫瘤は既往の大腸癌と組織学的に類似し,免疫染色によるCK7陰性/CK20陽性の結果から大腸癌膵転移と診断.大腸癌膵転移の切除症例は稀であり,本邦報告例は自験例を含み36例である.若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 磯崎 由佳, 星野 敢, 福長 徹, 木村 正幸, 松原 久裕
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1213-1217
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は29歳,女性.2009年1月から軽度の右下腹部痛を自覚していたが,増強したため同年7月当院内科を受診した.腹部超音波検査,造影CT検査上,上行結腸内に血管ごと嵌入する回盲部に連続する腫瘤影を認め,大腸癌等の大腸腫瘍に伴う腸重積と考えられた.大腸内視鏡検査および注腸検査では,回盲部から上行結腸にかけて内腔を占める1型腫瘍を認め,同腫瘍が先進部となって順行性に重積しているのを確認し,生検結果では高分化型腺癌と診断された.以上より,大腸癌による腸重積と診断し,準緊急的に結腸右半切除術D3郭清を施行した.腫瘍は盲腸に存在し,最終診断はpSE,pN2,H0,P0,M0,CY0,fStageIIIBであった.術後補助化学療法を施行し,現在術後1年で無再発生存中である.腸重積にて発見された若年性大腸癌は極めて稀であり,若干の考察を加え,報告する.
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  • 大西 顕司, 宗本 義則, 高嶋 吉浩, 三井 毅, 小林 弘明, 飯田 善郎
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1218-1223
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は56歳女性.40歳時に左側結腸型潰瘍性大腸炎と診断された.再燃寛解型の経過であったが,最近は慢性持続型であった.毎年のサーベイランス中,下部消化管内視鏡でS状結腸にファイバー通過不能の狭窄所見あり.同部位の生検でGroup5であった.拡大内視鏡ではpit patternはVI-VNであり,EUSでも第4層以深への浸潤の所見を認めた.注腸造影では直腸から脾彎曲部までハウストラの消失し鉛管像を呈しS状結腸に狭窄を認めた.colitic cancerと診断し,大腸全摘術+回腸嚢肛門吻合術+カバリングイレオストミーを施行した.組織学的には周囲にdysplasia散見を伴う45×38mm,muc>tub2,se,n(-)の進行大腸癌であった.慢性持続型潰瘍性大腸炎は,持続する炎症によって背景粘膜にもpitの破壊と修復が繰り返されており,非癌部位でも異常なpit patternを呈することがあり早期発見が難しい.
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  • 中村 典明, 光法 雄介, 有井 滋樹
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1224-1230
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は34歳,男性.原発性アルドステロン症に対する左副腎摘出時,偶然肝外側区域の腫瘤を指摘され当科を受診.血液検査上,肝炎ウィルスマーカーは陰性,肝機能にも異常を認めなかった.腹部画像所見では,肝外側区域の腫瘤は約6cm大であり,S3のグリソンが腫瘤内を貫通し,それにより腹側部と背側部,2つの領域に分けられる雪だるま状の形態を呈していた.MRI上両者の造影パターンは異なり,腹側部は中心性瘢痕がみられFNHと診断したが,背側部は腹側に比べ,血管造影CT上早期濃染が強く,悪性疾患も考慮され質的診断には至らなかった.手術は肝外側区域切除を行った.切除標本の割面では,腹側部は中心性瘢痕を伴う黄白色調の病変であり組織学的にFNHと診断した.背側部は黄緑色調であり,組織学的には,一層の肝細胞索と拡張した類洞が認められFNHの亜型である血管拡張型FNHと診断した.両者が線維性被膜を介して接するように併存する非常に稀な病変であった.
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  • 久保田 竜生, 横溝 博, 北田 英貴, 福田 精二, 平田 稔彦, 山根 隆明
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1231-1236
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は46歳,男性.上腹部痛を主訴に当院消化器科を受診した.画像検査上膵頭部に4cm大の内部が不均一でhypovascularな腫瘤が存在し肝内にはいくつかの小結節性病変を認めた.膵腫瘤,肝内の多発結節はサイズが徐々に増大し,入院後10日,膵頭部腫瘤が破裂出血したため,緊急に止血ドレナージ術を行った.術後6日には肝内多発結節のサイズが増大,S3のものが破裂出血しており,一時的な止血救命を目的にTAEを行った.術後10日(入院後22日)肝不全のため死亡.剖検病理所見では肝血管肉腫と診断された.診断に苦慮し,膵頭部腫瘤を契機に発見されるという非常に稀な肝血管肉腫を経験した.若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 中村 秀俊, 東野 健, 中野 芳明, 山本 守敏, 江島 栄, 門田 卓士, 今岡 真義
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1237-1241
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    膵胆管合流異常症術後の遺残胆管炎で再手術した1例を経験したので報告する.症例は36歳の男性で,14歳時に拡張型膵胆管合流異常症に対し,胆摘・総胆管切石・肝外胆管部分切除・胆管空腸吻合術を施行された.術後より腹痛を時々認めていたが,平成21年6月腹痛が長時間持続したため当院受診し,精査の結果,膵胆管合流異常症術後の膵内遺残胆管炎と診断し,平成21年12月手術を施行した.膵内遺残胆管を同定し,膵実質との剥離を進めて膵管合流部まで到り,その直前で結紮して膵内遺残胆管を全て摘出した.病理組織学的にはほぼ正常な胆管粘膜上皮の像であり,悪性所見は認めなかった.本疾患術後の膵内遺残胆管での発癌例が報告されており,大部分が予後不良である.従って,膵胆管合流異常症の手術にあたっては肝外胆管の完全切除が重要である.また,遺残胆管症例を認めた場合は再手術にて完全摘出を行うのが妥当であると思われた.
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  • 奥田 耕司, 坂東 敬介, 岡田 昌生, 大島 隆宏, 三澤 一仁
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1242-1245
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    膵頭部と十二指腸の合併損傷に対して,二期的再建術を施行し,良好な経過を得た症例を経験したので報告する.症例は60歳の男性で,4mの高さから墜落して上腹部を打撲した.緊急開腹したところ,膵頭部と十二指腸球部が完全に断裂していた.十二指腸断端の遠位側は閉鎖して,幽門側胃切除を行いBillroth-II法で再建した.膵断裂に対しては,膵管チューブと腹腔内ドレーンによる膵液ドレナージのみ施行した.遅発性の総胆管閉塞に対して,術後に経皮的胆道ドレナージが必要となった.受傷後3カ月目に,Child変法による二期的再建術を行い,術後経過は良好であった.主膵管損傷を伴う膵頭部損傷では,遠位側の膵を温存する術式が望ましいが,一期的な再建はリスクが高い.初回手術は必要最小限の処置に止め,晩期に二期的再建術を施行するという治療戦略も有用と考えられた.
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  • 松本 元, 藤原 澄夫, 山下 修一, 菅野 渉平
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1246-1251
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    膵リンパ管腫は比較的稀な疾患で,一般的には多嚢胞状の形態をとるため嚢胞性腫瘍が鑑別に挙がることがほとんどである.今回われわれは,膵体尾部に造影効果を受ける充実性の腫瘤性病変を認め手術を施行したところ,病理検査にて海綿状リンパ管腫と診断された稀な症例を経験した.症例は66歳男性で糖尿病にて通院中であったが,右季肋部痛が出現したため精査したところ,CTで膵体尾部に径2.5cm大の造影効果を受ける腫瘤を認めた.画像所見および血液検査の結果,非機能性膵内分泌腫瘍と診断し,膵体尾部切除術を施行した.切除標本で,腫瘍は暗褐色を呈した充実性腫瘤であり,病理検査で海綿状リンパ管腫と診断された.これまでに報告された膵海綿状リンパ管腫の症例は嚢胞性部分を有する腫瘤とされていたが,われわれの症例のように腫瘍が小さい段階で発見されると,嚢胞性腫瘍以外にも膵充実性腫瘍と診断されることがあり,注意を要すると思われた.
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  • 野北 英史, 久下 亨, 石川 博人, 堀内 彦之, 木下 壽文, 白水 和雄
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1252-1255
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,女性.2009年12月食欲不振,嘔吐を認め2010年1月近医受診された.精査にて十二指腸下行脚に腫瘤性病変を認め精査加療目的にて2010年2月初旬当院紹介となった.上部消化管造影検査では十二指腸下行脚は完全閉塞し上部消化管内視鏡検査にて十二指腸狭窄部粘膜に上皮性変化は認めず,その際の生検では悪性所見は認めなかった.腹部CTではgroove領域に遅延性に造影効果を有する約22×24mm大の低吸収域を認めgroove pancreatic carcinomaが疑われた.3月初旬に膵頭十二指腸切除術を施行し,病理組織検査にて主座は副膵管領域で高分化管状腺癌が認められ,主膵管と総胆管は保たれていた.免疫染色にてCytokeratins7陽性,Cytokeratins20陰性であり,膵由来のものであった.今回,groove pancreatic carcinomaの1症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 古川 健太, 辻江 正徳, 宮本 敦史, 中森 正二, 辻仲 利政
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1256-1260
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,女性.高血圧および糖尿病にて当院内科通過中であった.2010年3月頃より臍のしこりを自覚し,5月に当院形成外科を受診した.生検を施行されるも確定診断には至らなかった.その後CT等にて精査を行い,20mm大の臍部腫瘤と,50mm大の膵体部腫瘍を認めたため,臍転移をきたした膵体部癌,いわゆるSister Mary Joseph's noduleと診断した.臍以外に明らかな転移を認めなかったため,手術目的に当科紹介となり,7月に膵体尾部切除・臍腫瘍摘出術を施行した.臍の悪性腫瘍は多くは転移性で,予後不良の兆候とされる.今回われわれは膵体部癌から臍転移をきたした1例を経験したので報告する.
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  • 佐藤 彰記, 森田 高行, 藤田 美芳, 岡村 圭祐, 市村 龍之助, 山口 晃司
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1261-1265
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,男性.検診でCA19-9高値を指摘され当院を受診し,2003年6月膵体尾部癌の診断で膵体尾部切除を施行した.病理診断は高分化型膵管癌T2N1M0StageIII.術後Fluorouracil(以下5-FU)動注・門注療法を施行した.2006年5月CA19-9上昇,PETで残膵に集積を認めた.その他の検査では異常を認めなかったがPET所見から残膵再発と診断し残存膵全摘,門脈合併切除を施行した.病理診断は中分化型膵管癌T4N1M0StageIVa.術後5-FU動注・門注,その後Gemcitabine(以下GEM)投与を行った.2008年1月嚥下時違和感が出現し,精査で縦隔リンパ節転移,肺転移を認めた.TS-1,放射線療法を施行し縦隔リンパ節は縮小し症状は軽快した.8月便秘あり,精査にて腹膜転移,ダグラス窩転移を認め,放射線療法施行した.その後TS-1/GEM療法を施行したが,2009年1月初回治療より5年7カ月後に死亡した.初回手術より2年11カ月後に残膵再発し残膵全摘を施行し,長期生存が得られた浸潤性膵管癌症例を経験したので報告した.
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  • 横井 圭悟, 織畑 道宏, 塚田 健次, 國井 康弘, 原口 美明, 小林 滋, 山崎 滋孝
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1266-1271
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は49歳,男性.1カ月前から心窩部痛,半月前から尿の黄染に気づき来院した.腹部CT検査で膵頭部に不均一な造影効果を持つ腫瘤を認め,腫瘤の頭側に嚢胞性病変を認めた.MRCP検査では,総胆管と主膵管が嚢胞と腫瘍により圧排され拡張していた.血管造影検査では明らかな血管侵襲を認めず,膵頭部の腫瘤は不均一な造影効果を認めた.膵頭部癌と術前診断し,膵頭十二指腸切除術を施行した.術後,病理組織検査で4.3cm×4.2cm大の高分化型非機能性膵内分泌癌と診断された.主膵管は腫瘍によって破壊され,腫瘍の頭側に貯留嚢胞を認めた.総胆管は腫瘍により圧排され十二指腸乳頭近くで閉塞していた.術後経過は良好で退院した.
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  • 飛永 修一, 角田 順久, 荒木 政人, 國崎 真己, 岩崎 啓介, 石川 啓
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1272-1276
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は84歳,男性.心窩部痛を主訴に受診.腹部CT検査では膵全体に多発する嚢胞が指摘され,また膵体部に3cm大の嚢胞に隣接した3cm大の低濃度腫瘍を認めた.内視鏡的逆行性膵管造影検査では膵体部での主膵管の著明な狭窄と尾側膵管の数珠状の拡張を呈していた.超音波内視鏡検査では嚢胞内の結節から膵実質の不整な腫瘍への連続性を認め,膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)に由来した膵癌が疑われた.膵体尾部切除術を施行し病理組織学的検査で膵IPMNに由来した膵腺扁平上皮癌の診断を得た.術後経過は良好で術後23カ月無再発生存中である.膵IPMNに由来した膵腺扁平上皮癌の報告はまれであり若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 鈴村 和大, 岡田 敏弘, 吉田 康彦, 近藤 祐一, 飯室 勇二, 藤元 治朗
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1277-1282
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は62歳,女性.2003年3月に卵巣癌にて当院産婦人科で手術および化学療法を施行.その後外来経過観察中,血清CA125の上昇を認めたためFDG-PET検査を施行したところ,脾臓に異常集積像を認めた.腹部CTにて脾臓内に腫瘍性病変を認め,卵巣癌の脾転移を第一に疑ったが,原発性脾腫瘍の可能性も否定できず,診断目的にて2010年4月に腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した.病理組織学的検査にて卵巣癌原発巣の組織像と類似する腺癌であったため,卵巣癌の脾転移と診断した.術後経過は良好で術後第6病日に退院となった.退院後は当院産婦人科にて化学療法を行い,術後4カ月の現在,無再発生存中である.卵巣癌術後の孤立性脾転移の報告はまれであり,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 小出 紀正, 久納 孝夫, 尾上 重巳, 吉田 克嗣, 安藤 徹, 加藤 健司
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1283-1286
    公開日: 2011/11/25
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    症例は66歳,女性.既往歴で子宮癌に対し子宮全摘術,術後放射線治療があり,神経因性膀胱を指摘されていた.2008年1月下旬,朝より腹痛が出現し,夕方に救急外来を受診し,入院した.絶食にて腹痛は改善し,入院3日目から経口摂取を開始した.入院7日目に急に腹痛が再燃した.腹部CTで多量の腹水を認め,腹水穿刺で腹水は淡黄色で少し混濁していた.膀胱破裂による腹膜炎を疑い,腹腔ドレーンと膀胱カテーテルを留置し,保存的治療を行った.膀胱造影で造影剤の腹腔内への漏出を認め,膀胱破裂と診断した.その後症状は改善し,膀胱カテーテルは本人の希望で留置したまま退院した.その後再発なく,泌尿器科外来を通院中である.
    骨盤内放射線治療後や神経因性膀胱などが既往にある急性腹症では膀胱破裂も念頭に診断治療する必要があると考えられた.
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  • 網倉 克己, 坂本 裕彦, 田中 洋一, 金子 安比古, 西田 一典
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1287-1292
    公開日: 2011/11/25
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    症例は49歳,女性.前医で子宮筋腫の診断で開腹.回腸間膜原発10cm径の充実性腫瘍で回腸間膜を含めて80cmの回腸切除術を施行.病理診断はc-kit(+~-),CD34(-),SMA(+),S-100(-),MIBI 10%で未分化多形肉腫(多形型MFH)と診断された.3度目の腹膜再発後に紹介され回盲部切除+S状結腸切除+腹膜移転巣9個切除し,残存空腸70cmであった.7カ月後腹膜再発したが,短腸症候群のため切除術ではなく化学療法の適応とした.IF0+VP16,CDDP+DXR 4クール後CRとなったがCR 14カ月継続後に腹膜再発した.腎機能低下のためプロトコールを変更し化学療法を継続したが,17カ月後に腸閉塞症状を発症し,在宅中心静脈栄養で全身管理後に全身状態悪化し永眠された.初回手術から6年後であった.腹部軟部悪性腫瘍は稀な疾患であり,手術に加えて化学療法を含めた集学的治療が必要であるが,整形外科,腫瘍内科医などと連携しつつ有効な治療法の検討が必要である.
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  • 杉本 舞子, 杉本 琢哉, 水谷 憲威, 飯田 辰美
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1293-1296
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は88歳,女性.既往歴として27年前下腹部の腹壁腫瘍を切除されている.約5年前から下腹部腹壁に小腫瘤を自覚していたが,半年前から急速に増大してきたため当科を受診した.腹部CT,MRIで右下腹部に25×20cmの造影効果を伴う腫瘍が認められた.腫瘍は右腹直筋などと一塊となっていたが,遠隔転移や腹腔内への明らかな浸潤所見は認められなかった.切除可能と判断し,腫瘍切除術を施行した.切除標本は最大径23cm,重量1,300gの充実性腫瘍で,病理組織学的検査では滑膜肉腫と診断された.術後5カ月で再発し,再切除を行ったが腫瘍死した.高齢者における腹壁原発滑膜肉腫は極めてまれであり,文献的考察を加えて報告する.
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  • 奥村 直樹, 徳山 泰治, 山口 和也, 長田 真二, 岩田 尚, 広瀬 善信, 吉田 和弘
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1297-1301
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    von Recklinghausen病(vR病)は,カフェ・オ・レ斑,神経線維腫を主徴とし,腫瘍性病変の合併が多いことで知られている.症例は69歳,男性.検診で異常を指摘され,平成20年8月に当院消化器内科を受診し,A型慢性胃炎に伴う胃カルチノイドと診断され,造影CTにて十二指腸,空腸に多発する腫瘤を指摘された.平成21年3月に胃カルチノイドに対して内視鏡的粘膜下層剥離術を施行したが,静脈浸潤陽性であったため,同年6月に胃亜全摘除術と十二指腸および上部空腸部分切除を施行した.病理検査にて十二指腸壁在結節は胃カルチノイドのリンパ節転移,空腸結節はgastrointestinal stromal tumor(GIST)と診断された.術前CTにて原発性肺癌も診断されており平成22年5月に胸腔鏡下肺上区域切除術を施行した.vR病に胃カルチノイド,小腸GIST,肺癌を併発した1例を経験した.
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  • 齋藤 徹, 野澤 聡志, 永井 啓之, 吉田 充彦, 郷地 英二
    72 巻 (2011) 5 号 p. 1302-1307
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,男性.既往はアルツハイマー型痴呆.右下腹部痛を自覚し当院紹介受診.腹部造影CTにて,盲腸腫瘍,右慢性高度水腎症を認め,手術目的で当科入院.下部消化管内視鏡検査で盲腸癌と25mm大の直腸ポリープを認めた.後者に対し内視鏡的粘膜切除術(Endoscopic mucosal resection;以下,EMRと略記)を施行し高分化型腺癌の診断.上部消化管内視鏡検査では胃体上部後壁に腺癌を認めた.年齢と既往を考慮し,1期目で右結腸切除と右腎臓摘出,2期目に胃全摘術を施行した.術後合併症なく,経過良好であった.いずれもstageII以下であり,術後補助化学療法を要せずに1年11カ月が経過し,無再発生存中である.既往を考慮し,手術は2期的としたが,安全かつ根治性が得られた.消化管同時性3重複癌は比較的まれであり,文献的考察を含め報告する.
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支部・集談会記事
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