日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
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72 巻 , 6 号
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原著
  • 田畑 光紀, 宮田 完志, 湯浅 典博, 竹内 英司, 後藤 康友, 三宅 秀夫, 永井 英雅, 小林 陽一郎, 梶浦 大, 伊藤 雅文
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1347-1354
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    背景:Ki-67標識率(%)(以下MIB-1)は細胞増殖率の代表的な指標で,肺癌・乳癌・などでは多くの研究がされてきたが,食道癌では臨床病理学的因子・予後との関連には一定の結論がない.目的:食道扁平上皮癌の原発巣におけるMIB-1と臨床病理学的因子との関連を検討し,予後の指標になるかを明らかにする.方法:対象は2006年から2008年までに根治切除を施行した術前未治療の食道扁平上皮癌25例.切除標本原発巣のMIB-1を測定し,臨床病理学的因子,予後,術前FDG-PETにおける原発巣のmaxSUVとの関連を検討した.結果:MIB-1は平均42.3%(13.0~73.2%)で,リンパ節転移(P=0.002),病期(p=0.007)と有意な関連を認めた.MIB-1は40%をカットオフ値すると無再発生存率に有意差を認めた(p=0.035).またMIB-1はmaxSUVと相関のある傾向を認めた(p=0.051).結論:MIB-1はリンパ系進展や病期と関連し,予後の指標となる.MaxSUVは予後予測因子となる可能性がある.
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  • 矢口 義久, 辻本 広紀, 松本 佑介, 吉田 一路, 高畑 りさ, 熊野 勲, 藤野 啓一, 小野 聡, 市倉 隆, 山本 順司, 長谷 ...
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1355-1359
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    目的:高度進行胃癌に対して審査腹腔鏡を施行した症例を対象として,その診断能と臨床的意義に関して検討した.対象と方法:高度進行胃癌に対し審査腹腔鏡を施行した40例を対象とした.全身麻酔下に術前検査として施行し,腹膜播種の有無,肝転移の有無,原発巣の他臓器浸潤の有無を確認し,ダグラス窩より腹腔洗液を採取した.結果:審査腹腔鏡を行った40例中16例(40%)でP1あるいはCY1であった.手術に至った症例は30例(75%)で,R2手術が5例あった.審査腹腔鏡にて腹膜播種と診断できなかったものが2例,転移リンパ節局所浸潤高度にて根治切除不能2例,CY1で根治術を断念した症例が1例であった.結語:高度進行胃癌に対する審査腹腔鏡は,治療方針を決める上で有用であるが,一方で開腹時に審査腹腔鏡で診断し得なかった非根治因子を認めることがあり,その診断能をさらに高める工夫が必要であると思われた.
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臨床経験
  • 朝蔭 直樹, 松村 知憲, 岡田 慶吾, 中村 直和, 苅込 和裕, 諏訪 達志
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1360-1363
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    最近整容性を求めた単孔式腹腔鏡下手術が注目されており,われわれも吊り上げ法を応用したGas-less TANKO Appendectomyの工夫を試みている.臍部の切開創にラッププロテクター®ミニを装着,ケント リトラクター®で直接創部を牽引して吊り上げることで,比較的良好な視野の下に安全な虫垂切除が可能で,創部汚染なく回収も行える.またGas-lessのため,簡便に大量の洗浄吸引が行える等の利点がある.逆に作業空間が狭くトロッカーという支点がないため,より柔軟な鉗子操作が要求される面もあるが,臍部創の整容性は非常に良好であり,意義のある手術手技と考える.
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  • 松原 秀雄, 西尾 秀樹, 小林 一郎, 臼井 弘明, 駒屋 憲一, 森浦 滋明, 社本 幹博
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1364-1367
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    2009年7月までの4年間に単純性肝嚢胞に対し,腹腔鏡下嚢胞開窓除を行った7例を対象とした.術前検査で単純性嚢胞と診断し,何らかの自覚症状を伴う症例を適応とした.1例で術中静脈出血と胆汁ろうをみたが,腹腔鏡下に修復可能で,開腹移行例はなかった.全例で術後合併症を認めず,症状は消失し,現在まで症状の再発や嚢胞の増大は認めなかった.本邦報告例の検討でも,術後の長期成績は良好であったが,術中胆管損傷と術後の癌の発生が報告されていた.単純性肝嚢胞に対する腹腔鏡下嚢胞開窓術は安全で有用な方法であるが,綿密な術前診断と厳重な術後観察が必要である.
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  • 小高 明雄, 橋本 大定, 井上 成一朗
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1368-1373
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    Sliding-window法を利用した臍部開腹手術を小児26例(肥厚性幽門狭窄症13例,急性虫垂炎7例,卵巣嚢腫3例,卵巣奇形腫1例,大網嚢腫1例,脾腫+胆石症1例)に施行した.脾腫+胆石症で腹腔鏡補助を必要とした以外,全例直視下操作で手術可能であった.合併症は,肥厚性幽門狭窄症1例の創部感染のみであった.創部の状態については,この症例で右上腹部の皮膚に引きつれを,胆石症+脾腫の症例で臍部に円形状ケロイド瘢痕をそれぞれ発生した以外は,全例,臍と同化して目立たなくなった.本術式は,短径が約4cmを超える充実性腫瘤や実質臓器の摘出手術以外では,創部感染を予防すれば,整容性の面でも優れた結果が得られる.しかし,小児においては,臍部切開創から腹腔内全体の検索は難しい点,臍部に癒着を形成する危険性がある点,将来どんな手術を受けたのか推測が難しい点などを考慮して,適応を慎重に選ぶ必要があると思われた.
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症例
  • 岩出 珠幾, 住田 亙, 渡邉 芳夫
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1374-1377
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    中心静脈カテーテル:central venous catheter(CVC)を留置されている患者において,カテーテル関連血流感染症:Catheter-related blood stream infection(CRBSI)で,真菌感染を認めた場合にCVCの抜去を余儀なくされる.今回われわれはエタノールロック療法:Ethanol-lock therapy(ELT)を用いてCVCを抜去せず真菌感染がコントロールできた症例を経験した.患者は19歳,女性.生後1カ月時に慢性特発性偽性腸閉塞症と診断され,CVCでの高カロリー輸液を必要とし,これまでにMRSAやP. aeruginosaによるCRBSIを頻回に発症していた.某年8月に発熱で入院,CVCからの逆流血培養でCandida parapsilosis(C. parapsilosis)検出した.ELTおよびfluconazole(FLCZ)の経静脈投与にて治療し,CVCを抜去することなく感染コントロール可能であった.CRBSIに対するELTの有効性が海外および本邦で報告されており,それらの文献的考察も含めて報告する.
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  • 長崎 和仁, 大住 幸司, 朝見 淳規, 窪地 淳, 尾原 秀明, 北川 雄光
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1378-1382
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    患者は53歳,女性.上腹部痛,嘔吐および発熱を認め当院救急外来受診後,加療目的に入院となった.胸部・腹部造影CTを施行したところ,門脈,上腸間膜静脈,下大静脈,左内腸骨静脈,そして左肺動脈根部に血栓を認め,小腸壁は全周性に肥厚し,腹水も認められた.腸管の鬱血性壊死を疑い,IVCフィルターを留置後,緊急手術となった.約180cmにわたり空腸の鬱血性壊死が認められたため,壊死腸管を切除し,吻合は施行せずに腸瘻とした.血液凝固検査でAT-III欠乏症と診断されたため,術後より乾燥濃縮人AT-III製剤,ヘパリン,ウロキナーゼの投与を行い,一時肺血栓塞栓症の悪化を認めたが徐々に症状改善,血栓縮小を認めたため,術54病日に腸瘻閉鎖・腸管吻合術を施行した.術後はワーファリン投与に切り替え,現在術後8年になるが血栓症の再発を認めていない.
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  • 柴田 伸弘, 前原 直樹, 頼田 顕辞, 船ヶ山 まゆみ, 日高 秀樹, 片岡 寛章, 千々岩 一男
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1383-1387
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    今回われわれは極めて稀な男性副乳癌の1症例を経験したので報告する.症例は58歳,男性.2006年より右腋窩に母指頭大の腫瘤を自覚し,2008年初旬より増大傾向となった.同年9月に皮膚科を受診し,副乳癌が疑われ,当科に紹介された.CTでは右腋窩に内部が一部不均一に造影される5.5×3.5×4.0cmの腫瘍を認めた.FDG-PET/CTでも腫瘍のみに異常集積を認め,他部位からの悪性腫瘍のリンパ節・遠隔転移は否定的であった.生検ではER,PgR陽性の腺癌の像を認めた.手術は腋窩郭清を伴う腫瘤切除術を施行し,遺残なく切除可能で,周囲のリンパ節への転移は認めなかった.摘出標本では腫瘍周囲に固有乳腺と連続しない乳腺組織の存在を確認し,免疫組織化学染色ではER,PgR,gross cystic disease fluid protein-15(GCDFP-15)陽性,CK7,CK20,CEA,p63は陰性であり,副乳癌と診断した.術後補助療法としてTamoxifenを継続し,術後28カ月の現在,無再発生存中である.
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  • 村木 愛, 堀 明洋, 森岡 淳, 岡本 哲也, 芥川 篤史, 浅羽 雄太郎
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1388-1393
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は41歳,女性.2007年10月の検診マンモグラフィ(MMG)で左乳房の局所的非対称性陰影を指摘されたが,2008年1月の精査では異常を認めず,2008年9月のMMGも異常はなかった.しかし2009年7月右乳房腫瘤を触知し当院を受診した.触診では右乳頭直下に弾性硬腫瘤を認め,MMGでは右M領域に辺縁微細鋸歯状,高濃度腫瘤を認めカテゴリー4であった.超音波検査では辺縁不整,内部不均一な30×23mmの腫瘤を認めカテゴリー4であった.造影CTでは腫瘤辺縁がリング状に造影された.針生検を施行し,基質産生癌と診断した.ER,PgR,HER2は全て陰性であった.胸筋温存乳房切除術,腋窩リンパ節郭清を施行した.病理診断は基質産生癌で,腋窩リンパ節転移(1/19)を認めた.術後補助化学療法を施行し,現在無再発生存中である.基質産生癌は頻度が低く,本邦報告例の検討と文献的考察を加え報告する.
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  • 沖田 充司, 藤村 昌樹, 千野 佳秀, 田畑 智丈, 熊野 公束, 向所 賢一
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1394-1399
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,女性.検診マンモグラフィ(MMG)異常で当院を受診した.左乳房AE領域に約1cmの腫瘤を触知した.超音波検査では1.1cmの分葉状,内部不均一,境界比較的明瞭な低エコー充実性腫瘍を認めカテゴリー4,MMGで卵円形,やや高濃度の辺縁微細鋸歯状腫瘤を認め,カテゴリー4と診断した.細胞診陰性で切除生検を行い腺様嚢胞癌と診断した.胸筋温存乳房切除術と腋窩リンパ節郭清(レベルI)を施行した.最終病期はT1bN0M0 stageIで,ホルモン受容体はER境界域,PgR陰性,HER2スコア0であった.術後1カ月目からアナストロゾールを服用し,11カ月経過した現在再発を認めていない.まれなエストロゲン受容体が境界域を示した乳腺腺様嚢胞癌の1例を経験したので報告する.
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  • 下代 玲奈, 玄 東吉, 岡本 浩之, 宇田川 勝, 谷畑 英一, 稲留 征典
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1400-1404
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    Osler-Rendu-Weber病(遺伝性出血性末梢血管拡張症)は常染色体優性遺伝による稀な遺伝性疾患で,鼻出血,毛細血管拡張,内臓病変,遺伝性を疑わせる家族歴のうち3項目が存在する場合に確定診断される.癌との関連は示唆されてはいないが症例報告が散見される.
    今回われわれは珍しい病態であるOsler病と特発性血小板減少性紫斑病(ITP)を合併した乳癌患者で,喘息と心房細動(Af)と肥満も合併した貴重な症例を経験したので報告する.
    症例は73歳,女性.右乳房のしこりを主訴に外科紹介受診した.ITPを合併しており,ピロリ菌の除菌治療中であった.Osler病で喘息と肥満,Afを合併していた.右乳癌の診断で全身麻酔下で右乳房切除術施行した.併存疾患で手術困難と思われたが術後経過良好で,現在も外来通院中である.
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  • 鈴木 知志, 黒田 大介, 松田 佳子, 安田 貴志, 山下 公大, 今西 達也
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1405-1408
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は82歳,男性.頸部食道の魚骨(鯛)を摘出後に緩徐に発症した降下性壊死性縦隔炎で,CT検査で食道背側に頸部から気管分岐部まで連続する膿瘍形成を認めた.頸部経路で縦隔鏡による直視下にドレナージ術を行い,術後に生理食塩水での洗浄を続けて第15病日に縦隔ドレーンを抜去した.本法は低侵襲で,従来の頸部アプローチ法や胸腔鏡下手術を含めた胸腔アプローチ法に比べて安全でかつ正確なドレナージが可能であるため,降下性壊死性縦隔炎に対して有効な術式であると考えられた.
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  • 西澤 聡, 枝川 永二郎, 山本 訓史, 真弓 勝志, 西川 正博, 徳原 太豪
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1409-1412
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は45歳,男性.平成21年3月上腹部痛を主訴に受診した.腹部ダイナミックCT像上,左横隔膜脚部に接する後縦隔に濃染されない径5cmの腫瘤を認めた.神経原性腫瘍やリンパ嚢胞を疑い同年6月開腹下に摘出術を行った.摘出の際一部開胸となったが,腫瘍と肺との交通はみられなかった.腫瘍は黄白色の粘液を伴う嚢胞であった.病理組織上,嚢胞内面には多列線毛円柱上皮が被覆し,壁には平滑筋や気管支腺と思われる腺組織や軟骨組織がみられ,気管支嚢胞と診断された.気管支嚢胞は先天性の気管,気管支の異常分枝により生じ,肺内や中縦隔に発生することが多い.気管支との交通がある場合には感染症状を呈することもあるが,多くは無症状で経過することが多い.本症例は発生部位より気管支嚢胞との術前診断が困難で,大きさより悪性腫瘍も否定できず,摘出術の適応であったと考えられる.
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  • 坪島 顕司, 的場 保巳, 小林 巌, 大上 博章, 渡部 宜久, 大野 徹
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1413-1416
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    乳び胸の発症原因は胸部外科手術後,外傷,胸部悪性腫瘍などが知られているが,腸間膜腫瘍に合併するものは,これまで報告されていない.今回,われわれは腸間膜腫瘍手術後に乳び胸が消失した興味深い病態を経験したので報告する.症例は78歳,女性.平成16年4月に左側腹部痛が出現し,この時の腹部CTで,腸間膜に石灰化を伴う腫瘤を指摘.外来経過観察されていたが,平成19年9月より増大傾向を示し,平成21年10月のCTでは小腸の浮腫,腹水出現のほか,下痢,栄養状態悪化も認めるため,当科入院となった.入院時に右胸水貯留があり胸腔穿刺を行ったところ乳び胸水であった.腫瘍切除を試みたが,上腸間膜動静脈を巻き込み,周囲との強い癒着があったため生検に止め,浮腫をきたした部分のみ小腸切除した.術後に胸水の貯留はなく,下痢,栄養状態も改善し良好な経過であった.乳び胸の発生に腹腔内腫瘍の関与が推察され,念頭に置くべきと考えられた.
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  • 西田 保則, 沖 一匡, 三澤 賢治, 三島 修, 田内 克典, 小口 和浩
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1417-1421
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,男性.突然の背部痛を自覚した後,意識消失したため,当院へ搬送された.胸部CTで右血性胸水貯留と,右第10肋間の傍脊椎付近に不整な血管構造を認め,その部位からの出血が疑われた.来院後,ショック状態となり,診断,治療目的に血管造影を施行した.右第10肋間動脈瘤破裂による血胸の診断で,transcatheter arterial embolization(TAE)を施行し,止血が得られた.神経線維腫症1型(NF1)は血管病変を合併することがあり,動脈瘤破裂により血胸をきたす症例が報告されている.簡単な問診や視診により診断が可能であり,原因不明の血胸に対しては,NF1による動脈瘤破裂も念頭に置く必要がある.
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  • 齋藤 学, 境澤 隆夫, 有村 隆明, 西村 秀紀, 保坂 典子
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1422-1426
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    意識障害を契機に発見されたPTHrP産生肺癌の1例を経験したので報告する.
    症例は76歳,男性.2007年4月下旬頃より,呼びかけに対する応答が鈍くなったと意識障害を主訴に,同年6月に通院中の近医を受診した.心臓,脳の精査を施行したが,これらに異常は認められなかった.高カルシウム血症と胸部X線検査にて異常を指摘され,当院に紹介となった.諸検査にてPTHrP産生肺癌による高カルシウム血症と診断し,同年8月左下葉切除術および縦隔リンパ節郭清(Node Dissectoin 2a-1:以下ND2a-1)を施行した.術直後に一過性の低カルシウム血症を認めたが,意識レベルや腎機能障害も改善し,術後10日目に退院となった.術後1カ月後の血清カルシウム値,PTHrPは正常化し,intactPTHは改善傾向であった.現在術後3年5カ月経過しているが,再発なく経過している.
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  • 松田 英祐, 岡部 和倫, 山本 寛斉, 平澤 克敏, 杉 和郎
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1427-1430
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,男性.他院にて膿胸と診断され加療していたが,発熱等の炎症反応が軽快しないため当院へ紹介となった.左胸水と白血球増加を認めた.膿胸に対する治療に反応しておらず,血清中の顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)が高値であったため胸腔鏡手術を行った.胸腔内には壊死物質が貯留しており,これを除去した後,壁側胸膜の生検を行った.病理組織所見では肺原発巨細胞癌であった.化学療法を行ったが,初診から8カ月で原病死した.一般に胸膜播腫を伴う肺癌の診断はさほど困難ではない.しかし自験例では肺内の腫瘤は明らかでなく,膿胸との鑑別が必要であった.胸水貯留症例で治療効果が不十分な場合には速やかに胸腔鏡手術を行う必要がある.
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  • 砥石 政幸, 近藤 竜一, 矢満田 健
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1431-1439
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    原発性肺癌のうち薄壁空洞を形成する例は稀とされている.当院にて経験した3例について報告する.症例1は80歳,女性.左S1+2に2cm大の薄壁空洞を認めた.PETではSUV max 1.65の集積,約6カ月の経過で壁の一部が結節状に肥厚,原発性肺癌を疑い左上葉切除術+ND1bを施行した.乳頭型腺癌,pT1aN0M0 stage IAであった.症例2は56歳,男性.右S6に4cm大の薄壁空洞を認めた.気管支鏡にて低分化癌の診断,右下葉切除術+ND2a-2を施行した.腺扁平上皮癌,pT2aN0M0 stage IBであった.症例3は61歳,男性.右S3に1.5cm大の薄壁空洞を認めた.気管支鏡にて扁平上皮癌の診断,右上葉切除術+ND2a-2を施行した.pT1aN0M0 stage IAであった.薄壁空洞を認めた場合,原発性肺癌も念頭に置き精査を行うこと,また,診断を兼ねた外科的処置を積極的に考慮することが肝要と思われた.
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  • 東 久登, 師尾 典子, 根岸 真人, 山形 誠一, 増田 幸蔵, 志田 晴彦
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1440-1443
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は88歳,女性.嚥下困難を主訴に来院した.上部消化管内視鏡では,胃上部の圧排像と幽門前庭部小彎に早期胃癌を認めた.上部消化管造影では,食道裂孔ヘルニアにより胃が縦隔内に挙上されており,縦隔内に腫瘤影が見られた.CTにて,縦隔内の胃壁から突出する14×10cm大の腫瘤を認め,食道裂孔ヘルニアにより縦隔内に挙上した胃壁から発生した粘膜下腫瘍と診断した.開腹して食道裂孔を開き,腫瘍と胃を腹腔内に引き戻し,胃全摘術を施行した.病理所見により幽門前庭部に早期胃癌を合併した胃原発GIST(gastrointestinal stromal tumor)と診断した.術後経過は良好であったが,術後11カ月で肝・縦隔・左胸腔内にGISTの再発を見たため,imatinibによる治療を開始した.食道裂孔ヘルニアを伴う縦隔腫瘍の診断においては,縦隔に移動した胃壁から発生したGISTの可能性も考慮すべきと考えられた.
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  • 薮崎 紀充, 森 俊明, 石山 聡治, 横井 一樹, 鈴木 祐一, 伊藤 不二男
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1444-1447
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,男性.1カ月前からの右眼瞼下垂を主訴に内科を受診し,精査で右眼窩腫瘍を認めた.悪性腫瘍を疑われ,全身検索を施行したところ残胃吻合部に2型腫瘍を認め,生検で低分化型腺癌の診断であった.胸腹部に転移所見は無く,残胃全摘術の後に眼窩腫瘍の生検を行ったところ,眼窩腫瘍にも低分化型腺癌の所見を認め,胃癌の孤立性眼窩転移と診断した.現在は眼窩腫瘍への放射線照射+化学療法(TS-1)を行っている.転移性眼窩腫瘍は稀であり,予後不良の疾患であるが,放射線や化学療法による集学的治療によって予後は改善しつつあるとされる.その中でも胃癌の孤立性眼窩転移の症例は少なく,文献的考察を加えて報告する.
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  • 佐藤 毅, 森脇 稔, 加茂 知久, 高山 忠利
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1448-1452
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    患者は黄疸と瘰痩および腹部腫瘤を主訴に来院し,精査の結果,胃角部を中心に1/3周を占める長径15cmの3型の腫瘤で,生検ではadenocarcinomaであった.腹部CTではNo3,5,8および肝十二指腸間膜内リンパ節は一塊となり,胆嚢は緊満腫大し肝内胆管も拡張していた.腹水の細胞診はclassVであった.以上よりcP1 cH0 cT3 cN2 cM0 c-stageIVと診断し抗癌化学療法としてTS-1+CDDP併用療法を4クール施行した.腫瘍は縮小し黄疸も消失,肝十二指腸間膜周辺も明瞭になったため治療効果はCRと判断し,4/5胃切除術を施行した.病理組織所見では原発巣はmリンパ節転移所見は陰性であるが,No3に石灰化を伴う肉芽組織があり化学療法後の評価として転移陽性と判定された.以上より進行胃癌に対する化学療法としてTS-1+CDDP併用療法は非常に有効と思われた.術後2年3カ月を経過し再発なく生存中である.
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  • 福田 進太郎, 宮下 薫, 中塚 英樹, 森岡 伸浩
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1453-1456
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,女性.2006年2月に当院内科にて上部消化管内視鏡検査を施行された際に十二指腸2nd portionに陥凹病変を指摘された.生検にて異型細胞を認め,免疫染色にてparagangliomaとの診断を得た.しかし,再検では腫瘍細胞を認めず,また,3カ月,6カ月,1年,1年半後にそれぞれ上部消化管内視鏡検査を施行したが,肉眼的に変化を認めず生検でも腫瘍細胞を認めなかった.このため,経過観察となっていた.しかし,2年後の上部消化管内視鏡検査で肉眼的に変化は認めなかったものの,生検にて再び腫瘍細胞を認めたため,2008年5月十二指腸局所切除術を施行した.病理標本では十二指腸特に固有筋層内に3mm大のparagangliomaを認めた.十二指腸原発のparagangliomaは非常に稀な疾患で,さらに今回は2年の経過をたどり,その後手術を施行した貴重な症例であるので文献的考察を加えて報告する.
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  • 住田 亙, 渡辺 芳夫
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1457-1460
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は10歳,男児.乗用車同乗中に交通事故に遭い,シートベルトで腹部を強く圧迫した.受傷12日後から,嘔吐が出現し,受傷40日後に当院を受診した.MRIシネグラフィーにて腸管の狭窄像とその部位での腸内容のto-and-froを認めたため,腸管の通過障害と診断して腹腔鏡下に手術を施行した.Treitz靱帯から約40cm肛門側の部位の空腸に狭窄と大網の癒着を認めた.全小腸を観察し,他の部位に異常を認めなかったので,この部位を通過障害の原因と考えて切除吻合した.術後経過は良好である.消化管損傷は受傷直後に緊急手術を要することが多いが,受傷後長期間経過してから腸閉塞の症状を呈することがまれにある.手術歴のない原因不明の腸閉塞での受診となる可能性があり,本症を念頭に置いた病歴聴取が重要である.
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  • 森山 秀樹, 大竹 由美子, 橋爪 泰夫
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1461-1464
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は82歳,女性.慢性関節リウマチに対して2006年からメトトレキサートを内服していた.2009年2月,急激な腹痛を認めて救急車で来院した.腹部全体に圧痛および反跳痛を認めた.腹部CT検査で腹腔内遊離ガスおよび腹水を認め,消化管穿孔による汎発性腹膜炎の診断で緊急手術を施行した.腹腔内には混濁した腹水を認め,終末回腸に径2mmの穿孔部を認めた.また,小腸間膜には多数の腫大したリンパ節を認めた.回盲部切除術を施行した.切除標本内に回腸潰瘍を認め,潰瘍底が穿孔していた.病理組織検査でEpstein-Barr virus陽性B細胞性リンパ腫と診断した.メトトレキサート治療中に発症したリンパ腫による消化管穿孔の本邦報告は4例とまれである.本疾患について若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 田島 陽介, 飯合 恒夫, 野上 仁, 亀山 仁史, 島田 能史, 畠山 勝義
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1465-1469
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,女性.検診で便潜血陽性を指摘されて近医を受診し,精査・加療目的に当院を受診した.上部・下部消化管内視鏡で異常を認めず,カプセル内視鏡およびダブルバルーン内視鏡で終末回腸に表面型腫瘍を認め,生検では高分化腺癌であった.CTでは明らかなリンパ節転移や遠隔転移を認めなかった.以上より原発性小腸癌と診断し,単孔式腹腔鏡下小腸部分切除術を施行した.病理組織学検査ではwell differentiated adenocarcinoma,pM,ly0,v0,pN0,pStage 0であった.近年の小腸内視鏡の普及により,早期に発見される原発性小腸癌が増えている.本症例のように広範囲のリンパ節郭清が必要でない小さな小腸病変に対しては,単孔式腹腔鏡下手術は非常に良い適応と思われた.
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  • 堀尾 卓矢, 神藤 英二, 矢口 義久, 坂本 直子, 前原 正明, 長谷 和生
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1470-1473
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    盲腸軸捻転症の1例を経験した.症例は65歳,女性.腹痛を主訴に近医を受診し急性腹症の診断で当科紹介となった.multi detector-row CT(MDCT)のmultiplanar reformation(MPR)像により腸管の軸捻転による絞扼性イレウスと診断し,緊急手術を施行した.開腹所見では,回盲部が腸間膜を軸として反時計回りに180度捻転していた.用手的に捻転を解除したが,虚血性変化が著明であったため,回盲部切除を行った.
    本症は特徴的所見がなく,術前診断が困難なことが多いが,病態は絞扼性イレウスであり,診断が遅れると穿孔から死に至る危険性がある.MDCTは非侵襲的でかつ短時間で行うことができるため,本症の診断に際し有用であると考えられた.
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  • 冨田 眞人, 亀山 哲章, 三橋 宏章, 松本 伸明, 大渕 徹, 香月 優亮
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1474-1478
    公開日: 2011/12/25
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    症例は85歳,女性.腹痛,嘔吐を主訴に救急外来受診,腸閉塞の診断のもと入院となる.イレウスチューブ挿入にて症状は改善,チューブの先端は横行結腸に達するが,一時的に回腸末端に停滞する傾向があった.術前確定診断には至らなかったが,腹腔鏡手術を施行した.手術所見では盲腸は後腹膜に固定されておらず,イレウスチューブ通過により正常な位置にあったが,盲腸漿膜には瘢痕化した部分が存在し,腸間膜と一部癒着しており容易に180度回転する状態であった.手術診断は盲腸捻転,術式は腹腔鏡補助下回盲部切除術を施行し,軽快退院となった.
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  • 楊 知明, 岡村 隆仁, 東山 元臣, 中村 友哉, 加藤 達史, 中山 裕行
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1479-1483
    公開日: 2011/12/25
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    症例は37歳,妊娠38週で当院通院中の妊婦.3日前より続く右下腹部痛を主訴に当院を受診した.身体所見では右下腹部に反跳痛を認めた.血液検査では白血球13,000/μl,CRPは17.69mg/dl,CEAは0.76ng/ml,CA 19-9は37ng/mlであった.腹部超音波検査で虫垂と思われる部位に9×3×3cm大の嚢胞性病変を認めた.またカラードップラーでは病変への血流は確認できなかった.虫垂軸捻転と診断し,緊急手術と帝王切開を同時に施行した.開腹すると直径3cmに緊満した虫垂が根部を軸に反時計方向に720°捻転していた.腹腔内に悪性所見は認められず,児を娩出の後,虫垂切除術を施行した.病理組織検査では虫垂粘液嚢胞腺腫と診断された.術後経過は良好で術後10日で退院となった.虫垂軸捻転はまれな疾患で,さらにその原因が粘液嚢腫であるものは自験例を含めて19例しか報告されていない.加えて妊娠中に発症した例は本邦初である.今回,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 前田 健晴
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1484-1487
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    急性虫垂炎を契機に虫垂低分化腺癌と診断され,術後8カ月で肝転移,腹膜播種にて再発した症例を経験したので報告する.症例は86歳,男性.右下腹部痛にて近医受診した.CTにて虫垂の腫大を認め急性虫垂炎と診断された.当院紹介となり,手術を施行した.虫垂根部の炎症が強かったため回盲部切除術を施行した.切除標本の病理組織検査では虫垂全体に強い好中球浸潤,壊死を認めた.また虫垂根部に腺管形成の不明瞭な低分化腺癌が浸潤しており,虫垂低分化腺癌と診断した.深達度seであったためリンパ節郭清を伴う追加切除を勧めたがご本人が手術を拒否され,また化学療法も拒否されたため経過観察のみを行った.しかし術後8カ月目にPET/CTにて肝転移と腹膜播種を認め,虫垂癌の再発と診断した.虫垂低分化腺癌はまれであり,また術後早期に再発した症例の報告例もほとんどないため文献的考察を加え報告する.
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  • 稲田 健太郎, 志田 大, 松田 真輝, 井上 暁, 梅北 信孝
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1488-1492
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,男性.2010年7月に腹痛と嘔気を主訴に当院を受診した.腹部単純エックス線検査で大腸イレウスと判断,腹部造影CT検査でS状結腸に造影効果を伴う壁肥厚像およびその口側に2cm大の異物を認めた.種子嵌頓による大腸癌イレウスを疑い,緊急下部消化管内視鏡検査を行った.S状結腸に2型病変による全周性の狭窄を認め,経肛門的イレウス管を挿入して口側腸管を減圧した.入院6日後にリンパ節郭清を伴うS状結腸切除術を行った.切除標本では腫瘍口側に梅の種子が確認できた.総合診断SSN1H0P0M0,fstageIIIa.術後は合併症なく経過し,術後7病日で退院.植物種子は大きさや形状から通常イレウスの原因となりにくく,植物種子によるイレウスを疑った際は,器質的疾患,特に大腸イレウスに関しては大腸癌を念頭においた治療方針を検討する必要があると考えられた.
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  • 川村 紘三, 片桐 義文, 飯田 豊, 栃井 航也, 小久保 健太郎
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1493-1498
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,女性.食欲不振を主訴に受診した.38.1℃の発熱,CRP 20.11mg/dL,WBC 10,700/μLと反応の上昇を認めた.腹部造影CTにて肝S5~8に周囲に造影効果を伴う76×46×45mm大の多房性嚢胞性腫瘤を認め,肝膿瘍と診断した.抗生剤投与および経皮経肝膿瘍ドレナージ術を施行し,炎症反応の低下を認めCTにて肝膿瘍の縮小を確認した.肝膿瘍の原因検索のためMRCP,ERCP,GIF,CFを施行した.CFにて上行結腸に1/3周性の2型腫瘍を認め生検でGroup5と診断された.画像上は転移を疑う所見は認めなかった.全身麻酔下に,上行結腸癌に対して結腸右半切除+リンパ節郭清術(D3)を施行し,病理診断はtub2,ss,ly0,v0,N0,StageIIで上行結腸癌周囲に微小膿瘍形成を認めた.肝膿瘍を合併した上行結腸癌において腫瘍周囲に微小膿瘍の形成を認めた1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 廣吉 淳子, 石沢 武彰, 進藤 潤一, 金子 順一, 長谷川 潔, 國土 典宏
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1499-1502
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    右側肝円索を伴う胆石胆嚢炎に対し,蛍光胆道造影を用いて胆管解剖を確認しながら,単孔式腹腔鏡下胆摘術を施行した1例を報告する.症例は43歳女性.術前CTで右側肝円索と診断されていた.麻酔導入直後にindocyanine green(2.5mg)を静注,臍部のトロッカーから赤外観察用の硬性鏡を挿入し,任意のタイミングでカラー像を蛍光像に切り替えて蛍光胆道造影を行った.胆嚢を把持・挙上した段階では胆嚢管と総肝管が腹背方向に重なり識別困難であったが,蛍光像を見ながらCalot三角を適切な方向に展開することにより,胆嚢管を確実に同定し剥離を進めることができた.
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  • 高岸 智子, 仲井 理, 小出 正樹, 梶原 正章, 金児 潔, 増田 道彦
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1503-1507
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    歯肉原発のdesmoplastic melanoma(DM)の肝転移に対して手術を施行した症例を経験したので報告する.症例は57歳,女性.前院にて難治性歯肉潰瘍に対して切除生検し,悪性黒色腫と診断された.全身検査にて肝転移を指摘され化学療法を施行したが改善を認めなかったため当院紹介となった.精査にて歯肉および肝臓以外には病変を認めなかったため肝拡大左葉切除を施行した.摘出標本では最大径90mmの白黄色の多発肝転移を認め,病理組織検査で線維化を伴う紡錘形細胞腫瘍でDMと診断された.術後社会復帰したが,8カ月より食欲低下が出現し全身転移を認め術後13カ月で永眠された.悪性黒色腫の遠隔転移症例は予後が極めて不良であり,その中でDMは悪性黒色腫の中でも診断がもっとも難しい一つであるが,今回術後13カ月の生存期間を得られたため文献的考察を加えて報告する.
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  • 甲斐 敬太, 三好 篤, 北原 賢二, 神谷 尚彦, 徳永 藏, 能城 浩和
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1508-1515
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    非硬変肝に多中心性に発生したNASH由来肝細胞癌の2例を経験したので報告する.症例1は69歳,女性.初回病変は肝後区域4cmの低分化肝細胞癌で,背景肝はBrunt分類Stage 1の線維化が軽度なNASHであった.術後8カ月で肝S3に径2cmの再発結節を認め,肝部分切除を施行した.病理学的には比較的早期の高分化肝細胞癌で,背景肝は体重減少に伴い脂肪化がほぼ完全に消失し,炎症と線維化のみが残存していた.症例2は,65歳,男性.肝S8に同時性に2個の早期肝癌が発生し,うち一つは細胆管細胞癌様のコンポーネントを有していた.背景肝はStage 1のNASHであった.一般的にNASH由来の肝細胞癌は硬変肝を背景に発生すると考えられているが,肝硬変に至らなくとも,あるいは肝の脂肪化が改善しても肝癌を発生する例が存在する.したがって,NASH例では線維化や脂肪肝の程度に関わらず,腹部超音波検査などによる定期的なフォローアップが重要と考えられた.
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  • 原 貴信, 江口 晋, 高槻 光寿, 曽山 明彦, 日高 匡章, 兼松 隆之
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1516-1520
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,男性.1976年(23歳時)にB型慢性肝炎と診断された.1985年にS8の肝細胞癌(hepatocellular carcinoma;HCCと略記)に対し,肝動脈塞栓療法(transcatheter arterial embolization;TAEと略記)後に肝亜区域切除術を施行.以後24年間に他部位再発を繰り返し,肝切除2回,TAE2回,経皮的エタノール注入療法(percutaneous ethanol injection therapy;PEITと略記)4回,経皮的ラジオ波凝固(radiofrequency ablation;RFAと略記)3回を施行された.2008年,S4に17mm,S8に27mmのHCC再発(7回目)を指摘.動脈の狭小化,度重なる開腹・RFAに伴う肝周囲への腸管の癒着から,局所療法による腫瘍制御は困難となった.肝移植を希望され当科受診.再発を繰り返す治療抵抗性のHCCであるがミラノ基準内であり,肝移植による根治が期待できると判断.27歳の長女をドナーとして右葉グラフトによる生体肝移植を施行した.組織学的には肝硬変であった.現在,移植後29カ月で無再発生存中である.本症例では各時代に可能な限りの腫瘍制御,肝機能温存を行ったことが,長期にわたる治療に結びついたと考えられた.
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  • 中村 友哉, 信藤 由成, 東山 元臣, 加藤 達史, 中山 裕行, 岡村 隆仁
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1521-1525
    公開日: 2011/12/25
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    症例は9歳,男児.生後半年より肝機能異常を指摘されており,1歳時に施行された腹部超音波検査にて胆嚢内に1~2mmの小結石を数個認めた.各種肝炎ウイルス感染症や溶血性疾患などの基礎疾患はなかった.その後も肝機能異常を繰り返し,胆石症による肝機能障害と診断され当科紹介となる.整容性を考慮し,本人・家族の同意の上,単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.手術時間は98分,出血量はごく少量であり,術中・術後合併症なく術後3日目に退院となった.
    小児に対する単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術は本邦で論文報告がなく,小児に対しても安全に施行でき整容性も優れていると考えられたため報告する.
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  • 卸川 智文, 砂川 宏樹, 間山 泰晃, 稲嶺 進, 大城 直人, 武島 正則
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1526-1530
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は29歳,男性.検診の腹部超音波で胆嚢内部に隔壁様所見を認めた.CTでは胆嚢内に多発する嚢胞様構造を認めた.MRIでは胆嚢は萎縮し,小嚢胞状構造の集簇を認めた.EUSで胆嚢内腔に隔壁構造を認めるが,結節や腫瘤はなく,胆嚢壁の肥厚も認めなかった.これらより多隔壁胆嚢を第一に考え,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.摘出標本では胆嚢内腔は薄い隔壁で境され,交通を認めた.病理組織診断では嚢胞壁の内面は高円柱上皮で被覆され,隔壁には平滑筋成分も多く分布していた.多隔壁胆嚢は非常にまれな先天奇形で,胆嚢内腔がブドウの房状に多数の部分に分けられている形態異常である.今回,われわれはEUSによってより診断が確実となり,腹腔鏡下手術を施行した多隔壁胆嚢の1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.
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  • 中馬 正志, 味木 徹夫, 上野 公彦, 松本 逸平, 福本 巧, 具 英成
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1531-1535
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,女性,先天性胆道拡張症に対し,総胆管嚢腫切除,胆嚢切除,胆道再建術を施行,偶発早期胆嚢癌を認めたが,術後再発なく経過していた.術後7年目に肝内結石を指摘,術後10年目に胆管炎を合併,保存的加療中に画像上左肝管内に腫瘤影を認めた.術後12年目の経皮経肝胆道鏡による生検で腺癌と診断され,当科へ紹介となった.肝門部から左肝管に及ぶ肝門部胆管癌,T1N0M(-) StageIの術前診断にて,拡大肝左葉切除,胆道再々建術を行った.術後病理検査で,中分化型腺癌,pT1pN0M(-) fStageIであった.先天性胆道拡張症は高率に胆道癌が合併するが,肝外胆管切除,胆道再建の分流手術後に,異時性に発生する遺残胆管癌が問題となる.今回,総胆管嚢腫切除12年目に発生,切除しえた肝門部胆管癌の1例を経験したので報告する.
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  • 腰野 蔵人, 須田 竜一郎, 伊藤 和幸, 徳原 真, 斉藤 幸夫, 清水 利夫
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1536-1540
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は47歳,男性.約1カ月前からの腹痛,嘔吐を主訴に近医受診.上部消化管内視鏡検査で十二指腸水平脚の狭窄を指摘.腹部CT・MRIにて後腹膜血腫による十二指腸通過障害と診断され,精査目的に当院受診となった.腹部血管造影検査では,前下膵十二指腸動脈領域に多発嚢状動脈瘤を認め,segmental arterial mediolysis(以下SAM)が疑われた.後腹膜血腫は,SAMに伴う動脈瘤が原因と考え,同動脈瘤に動脈塞栓術(以下TAE)を行った.検査結果により,血管炎は否定,SAMによる動脈瘤の破裂と診断された.今回われわれは後腹膜血腫による十二指腸狭窄という比較的稀な発症様式を呈し,TAEで治療可能なSAMの1例を経験したので,文献的考察を交えて報告する.
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  • 佐藤 雄哉, 野田 和雅, 井上 暁, 梅北 信孝, 蕨 雅大
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1541-1546
    公開日: 2011/12/25
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    患者は69歳,男性.2006年9月肝細胞癌に対し肝右葉切除術を施行した.2007年10月のCTにて残肝S2に結節影を認め,肝細胞癌の再発と考え手術予定とした.また,この時のCTで膵尾部の周囲に嚢胞状腫瘤を認めた.2007年12月突然心窩部痛が出現した.CTにて嚢胞状腫瘤の急激な増大を認めた.経皮的に腫瘍を穿刺したところ,内容物は血性であった.進行するDICも認めたため,急速に進行する膵原発の悪性腫瘍と考え,緊急で膵体尾部切除術を施行した.また,肝外側区域の結節に対し,肝部分切除術を施行した.膵尾部の腫瘍は病理組織所見にて退形成性膵管癌(多形細胞癌)と診断され,肝腫瘍は退形成膵管癌の転移と診断された.術後の経過は良好で退院したが,術後71日目再発を認めた.その後全身状態が急激に悪化し,術後92日目に死亡した.
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  • 中村 誠昌, 金井 俊平, 杉山 朋大, 長門 優, 谷口 正展, 下松谷 匠
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1547-1551
    公開日: 2011/12/25
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    近年慢性透析患者は増加傾向にある.わが国では歴史的に透析療法の大部分を人工血液透析が占めていたが,残存腎機能の維持に有用な腹膜透析療法が増えてきている.しかし腹膜透析を行うにあたり腹部手術は大きな影響を与える.一般的には開腹手術が必要な腹膜透析患者では,術後人工血液透析に移行することが多い.今回左副腎の大きな褐色細胞腫を合併した腹膜透析患者に対し,開腹術を避け経後腹膜腔側方アプローチで腫瘍摘出を行ったので報告する.症例:80代 女性.4年前より腹膜透析中.以前より左副腎腫瘍を指摘されていたが,経過観察されていた.最近腫瘍が大きくなり血圧も上昇してきたため手術を行った.腫瘍は57mmであったが,視野は十分確保でき問題なかった.術後除水能が一時的に低下し透析スケジュールを変更するなどの工夫が必要であったが,手術翌日より腹膜透析を行うことができた.
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  • 西田 智喜, 高坂 佳宏, 村山 弘之, 渡部 和巨, 篠崎 伸明, 前川 貢一
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1552-1556
    公開日: 2011/12/25
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    症例は47歳,男性.発熱の精査目的に入院し,腹部造影CTにて右副腎に感染源として疑わしい巨大な嚢胞性腫瘤を認めた.穿刺ドレナージを施行後,改善が見られたが,嚢胞壁内に血腫を生じてしまった.その後は発熱なく排液も少量となったためドレナージチューブを抜去した.しかし壁内血腫の拡大と残存する嚢胞腔内への再発と思われるspike feverも認められたため,外科的に嚢胞摘出術を施行した.病理学的所見からは感染性副腎偽嚢胞と考えられた.副腎偽嚢胞は偶然に画像診断で発見されることが多いが,本症例のように感染を契機に発症した報告は本邦でまだ11例しかなく,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 平田 啓一郎, 小野田 尚佳, 石川 哲郎, 高島 勉, 川尻 成美, 田原 英樹, 若狭 研一, 平川 弘聖
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1557-1560
    公開日: 2011/12/25
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    症例55歳,女性.腹痛を主訴に他院受診し,腹部超音波検査,CTにて左副腎腫瘍を指摘され,精査加療目的に当科紹介となった.画像診断では左副腎に境界明瞭な2.5cmの嚢胞性腫瘍を認め,シンチグラフィーでは異常な集積は認めなかったが,尿中カテコラミンの軽度上昇を認めた.嚢胞変性をきたした褐色細胞腫を最も疑い,腹腔鏡下左副腎摘除術を施行した.病理組織学的には副腎リンパ管腫と診断された.副腎リンパ管腫は稀な非症候性良性疾患であり,本邦での報告は29例にとどまり,近年では副腎偶発腫瘍として発見されることが多い.画像診断では特徴的な所見はなく,症候性副腎腫瘍,悪性腫瘍との鑑別が困難な場合,腹腔鏡下副腎摘除術は有用な選択であると考えられた.
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  • 福留 惟行, 小林 道也, 駄場中 研, 倉本 秋, 川村 明廣, 花崎 和弘
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1561-1564
    公開日: 2011/12/25
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    より整容性に優れた手術を行う目的で,最近では腹部単一創から腹腔鏡・複数の鉗子を挿入して行う単孔式腹腔鏡手術が注目されており,その適応も徐々に拡大している.今回,単孔式腹腔鏡手術で腹腔内異物を摘出した症例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は57歳,女性.第一腰椎圧迫骨折で近医整形外科通院中に腰椎X線検査で異常陰影を指摘された.腹部X線検査・腹部CT検査で腹腔内異物が強く疑われた.単孔式腹腔鏡下異物摘出術を施行し,3cmの金属性の異物を摘出した.腹腔鏡手術が普及した現在,腹腔内異物に対する腹腔鏡下異物摘出術は,整容性・術後癒着といった観点から手術方針として異論ないと思われる.低侵襲性については今後の検討を要するが,整容性の観点から単孔式腹腔鏡下異物摘出術は今後も考慮すべき手術方法の一つと考える.
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  • 栃井 航也, 片桐 義文, 飯田 豊, 小久保 健太郎, 川村 紘三
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1565-1568
    公開日: 2011/12/25
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    症例は27歳,男性.数日前から上腹部痛を認め,平成22年8月当院救急外来を受診した.右上腹部に限局した腹膜刺激症状を認めた.CTで胃前庭部の大網脂肪濃度上昇を認め,大網梗塞が疑われた.当院内科に入院し,保存的治療を行ったが,痛みが増強し,入院2日後に当科紹介となった.CTで大網脂肪濃度上昇は増悪し,腹水を認めた.大網梗塞の疑い,限局性腹膜炎の診断で緊急手術となった.腹腔鏡下に手術を開始した.胃前庭部大網に小児手拳大の暗赤色の腫瘤を認めた.出血,捻転の所見は認めず,大網梗塞と診断した.腫瘤直上で8cmの小開腹を行い,腫瘤を可及的に切除した.病理組織学的所見では大網脂肪組織にびまん性炎症細胞浸潤を伴い,広範囲にうっ血,壊死を認め,大網梗塞と診断された.急性腹症を呈する稀な疾患である大網梗塞の1例を経験した.
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  • 尾崎 邦博, 平城 守, 小野 博典, 森 直樹, 田中 夏樹, 渡辺 次郎, 白水 和雄
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1569-1572
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は37歳,男性.下腹部痛で近医を受診.骨盤内腫瘍の診断で当院紹介となった.CTにて小腸腸間膜嚢胞が疑われたが,患者さんの強い希望で,2カ月後の手術となった.2カ月後腹痛は改善しており,腹部CTでも腫瘍は縮小していた.治療は診断を兼ねて腹腔鏡補助下に回腸合併切除を伴う腫瘍摘出術を施行した.摘出標本にて腸管への穿通を認め,病理組織学的にはリンパ管腫の診断となった.成人の小腸腸間膜リンパ管腫は稀な疾患であり,腫瘍の穿通,縮小,腹腔鏡下手術の報告は少ないため,文献的考察を加え報告する.
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  • 藤永 和寿, 楠田 司, 宮原 成樹, 高橋 幸二, 松本 英一, 村林 紘二
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1573-1578
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,女性.糖尿病にてフォロー中,USにて膵体部近傍に多房性嚢胞性腫瘤を指摘された.腹部CTで上縁は肝,下縁は胃前庭部から膵上縁,右側は十二指腸周囲に不整形で約95×45mm大の低吸収域の腫瘤病変を認めた.腹部MRIではT1強調像で低信号,T2強調像で高信号であり嚢胞性腫瘤を示唆する所見であった.EUSにて多房性嚢胞性腫瘤認めたが,膵外病変・胃壁外病変で,嚢胞内部に結節は認めなかった.肝十二指腸間膜から網嚢での嚢胞性疾患・リンパ管腫を疑い,診断的意味も含め外科的切除を施行した.腫瘤は小網を中心に見られ,半透明黄色・軟で多房性であった.腫瘤の一部の迅速診断にてリンパ管腫の診断を得,可及的に腫瘤と胆嚢を一塊として摘出した.病理組織診でもリンパ管腫の診断であった.本例の如く小網に発生したリンパ管腫は稀であるため,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 市原 明子, 近藤 泰理, 田中 洋一, 武智 晶彦, 葉梨 智子
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1579-1583
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,男性.腹部CTで上行結腸を外側より圧排する境界明瞭,分葉状の6cm大充実性腫瘍を認めた.病理組織学的診断は炎症性筋線維芽細胞性腫瘍(Inflammatory myofibroblastic tumor;IMT)で,密な膠原線維の間に筋線維芽細胞様紡錘型細胞と大型の胞状核を有する神経節細胞様細胞が存在し,慢性炎症細胞の浸潤を伴っていた.12年前に回盲部合併切除術を施行したIMTの再発であり,後腹膜剥離面での腫瘍の遺残が原因と考えられた.免疫組織化学ではactin-SM陽性,ALK-1は陰性であった.IMTは従来,炎症性偽腫瘍と総称されていたが,明らかに腫瘍的性質を示す良悪性中間型の腫瘍として新たに位置付けられた疾患単位である.今回,再発をきたしたIMTの切除例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 安田 貴志, 河村 史朗, 島田 悦司, 鈴木 知志, 黒田 大介
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1584-1588
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,男性.右上腹部痛を主訴に当院受診し精査加療目的で入院.入院後胆汁性嘔吐あり.右上腹部に比較的限局した反跳痛を認めた.腹部単純CT検査で,上腸間膜動静脈腹側で口側かつ肛門側を絞扼されて円弧状の境界を持ちながら嚢状に拡張した小腸を十二指腸水平脚腹側の右側腹部に認めた.傍十二指腸ヘルニアによるイレウスと診断し緊急手術を施行した.Treitz靱帯の右側の横行結腸間膜根部に入口径2cm大のヘルニア門が存在し,ここにTreitz靱帯から70cm-100cmの空腸が上行結腸後方に右向きに嵌入しており,このヘルニア門は下結腸間膜窩と考えられた.嵌入していた腸管を用手的に整復してヘルニア門を縫合閉鎖した.極めて稀な下結腸間膜窩に発生した右傍十二指腸ヘルニアの1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 御供 真吾, 大塚 幸喜, 板橋 哲也, 箱崎 将規, 加藤 久仁之, 若林 剛
    72 巻 (2011) 6 号 p. 1589-1594
    公開日: 2011/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,女性.以前より便秘傾向があった.2009年10月下旬,腹痛が出現し,当院救急外来を受診.便秘の診断にて一旦帰宅するも症状の改善なく,発熱も認めたため翌日再度当院を受診した.再来時のX線写真,CTにてイレウスの診断となり消化器内科入院となった.保存的加療の方針となりイレウス管を留置し経過をみていたが,改善困難と判断され当科転科となり手術を施行した.腹腔鏡下に手術を開始したが,腫瘍性病変も否定できず,また十二指腸とのオリエンテーションがつかなかったため開腹へ移行した.横行結腸間膜に3cmの欠損を認め,Treitz靱帯から約230cmの回腸が約15cm嵌頓しており,横行結腸間膜裂孔ヘルニアと診断した.回腸部分切除,横行結腸間膜裂孔閉鎖を施行した.本症はまれな疾患であるが,開腹既往のないイレウスの原因の一つとして念頭に置くべき疾患の一つであると考えられた.
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