日本臨床外科学会雑誌
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73 巻 , 1 号
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巻頭言
原著
  • 古角 祐司郎, 佐藤 弘, 坪佐 恭宏
    73 巻 (2012) 1 号 p. 1-6
    公開日: 2012/07/25
    ジャーナル フリー
    目的:胸部食道癌手術における機械的腸管前処置(mechanical bowel preparation;MBP)の意義について検討した.方法:当院で胸部食道癌手術を施行した59例を対象とし,ヒマシ油を用いたMBP施行群(n=32)とMBP非施行群(n=27)の2群に分類し,これらを比較することで術前MBPの有無が手術および術後経過に及ぼす影響について検討した.結果:両群において術当日体重は入院時体重に比べて有意に減少していた.またMBP施行群の体重減少は,MBP非施行群より有意に大きかった(MBP施行vs非施行:-1.1 vs -0.8kg,P=0.024).両群ともに術中便失禁は認めなかった.MBP非施行群の方が術後初回排便は有意に早かった(MBP施行vs非施行:6vs4病日,P=0.005).術後在院日数と術後合併症に有意差を認めなかった.結論:胸部食道癌患者に対する術前MBPのメリットは示されず,ルーチンのMBP施行は必要ないと思われた.
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  • 中 禎二, 佐原 稚基, 福永 裕充
    73 巻 (2012) 1 号 p. 7-12
    公開日: 2012/07/25
    ジャーナル フリー
    【目的】Surgical Apgar Score(SAS)を用いた75歳以上の高齢者大腸癌手術の術後合併症予測について検討した.【方法】1995年から2010年までの当院で手術を施行した大腸癌患者99例(75~99歳)を対象とした.【結果】根治度は根治術が88例(88.9%),非根治術が11例(11.1%)であった.術前併存症は32例(32.3%)に認め,循環器障害が最多であった.GradeIII・IVの合併症は18例(18.3%)であり,手術関連死亡例は4例(4.0%)認めた.SAS(低リスク群・中リスク群・高リスク群)は19例・76例・4例であり,各群でのGradeIII・IVの術後合併症発生率は低リスク群で5.3%中リスク群14.5%・高リスク群で50%であり,手術関連死亡率は低リスク群で0%・中リスク群3.9%・高リスク群で25%であった.ROC曲線での検討ではC統計量が0.732,漸近有意確率が0.002であり,SASが転帰と相関していた.多変量解析ではSASが術後合併症発生に関する独立危険因子であった.【考察】高齢者大腸癌の治療においてSASを用いた術後合併症のリスク評価は簡便で有用であった.
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  • 赤本 伸太郎, 石井 正之, 間 浩之, 富岡 寛行, 奥本 龍夫, 塩見 明生, 絹笠 祐介, 齊藤 修治, 山口 茂樹
    73 巻 (2012) 1 号 p. 13-18
    公開日: 2012/07/25
    ジャーナル フリー
    【目的】一時的回腸人工肛門に対して人工肛門閉鎖術を施行した患者における器械吻合と手縫い吻合との吻合方法により合併症発生率に違いがあるかを検討した.【対象と方法】2002年から2006年までに回腸人工肛門閉鎖が行われた129例を手縫い吻合(以下,手縫い群)57例,器械吻合(以下,器械群)72例に分け,手術時間,在院日数,創感染,イレウスに関して検討した.【結果】手術時間は両群に有意差を認めなかった(手縫い群:63.8±14.4分vs器械群:61.7±19.0分,p=0.225).器械群では有意に術後在院日数が減少した(手縫い群:10.0±6.1日vs器械群7.1±1.2日,p=0.00004).創感染は両群に有意差を認めなかった(p=1.000).イレウスは器械群で有意に減少した(手縫い群:14/57vs器械群:3/72,p=0.001).【結語】器械吻合によるストマ閉鎖術は術後イレウスを減少させると考えられた.
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臨床経験
  • 斎藤 健一郎, 宗本 義則, 高嶋 吉浩, 飯田 善郎, 天谷 奨, 三井 毅
    73 巻 (2012) 1 号 p. 19-23
    公開日: 2012/07/25
    ジャーナル フリー
    結腸癌手術において機能的端々吻合(functional end-to-end anastomosis;以下FEEA)は手術手技の簡便性と手術時間の短縮などの利点があり広く汎用されているが,普及に伴い吻合部再発の報告が増加している.今回,FEEA術後に吻合部再発をきたした症例について臨床的検討を行い,再発予防策について考察した.2000年4月から2010年3月までの当院での結腸癌手術症例のうち,FEEAは401例に行われ,5例(1.2%)で吻合部再発を認めた.再発例の臨床病理学的特徴は全て左側結腸癌の深達度ss,リンパ節転移陽性例で,再発時期は2年以内であった.吻合部再発の原因として重要なimplantationの可能性について考察すると,FEEAでは腸管内遊離癌細胞がstaple lineに噛み込まれる可能性と,癌細胞が生着可能なraw surfaceが生じるため,それらへのなんらかの予防的処置が必要であると考えられる.今後は直腸癌と同様に,結腸癌でも再発予防に向けた標準的手技の確立が求められる.
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  • 瀧川 拓人, 堀川 修一, 永安 忠則, 八坂 貴宏, 土川 貴裕, 小笠原 篤夫
    73 巻 (2012) 1 号 p. 24-28
    公開日: 2012/07/25
    ジャーナル フリー
    2008年から2011年にかけ施行された局所麻酔下成人鼠径ヘルニア手術20症例に関しわれわれの手技を報告する.合併症を有する高齢者を対象に開発した本手技はStep by spep法に工夫を重ねた局所麻酔下でのMesh plug法による修復術である.局所麻酔薬には1%Lidocaineおよび0.25%Bupivacaineまたは0.375%Ropivacaineを組み合わせて使用し,平均使用量は12.9mlであった.これはLidocaine単回投与極量のおよそ1/3とRopivacaine単回投与極量のおよそ1/7との混合で,極めて安全な投与量である.これまでのところ合併症,再発も経験していない.電気メスの通電性も保たれ,解剖学的理解にも有用であり,初級外科医が術者となる場合でも安全に施行しえた.
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症例
  • 柏木 伸一郎, 高島 勉, 川尻 成美, 小野田 尚佳, 石川 哲郎, 若狭 研一, 平川 弘聖
    73 巻 (2012) 1 号 p. 29-33
    公開日: 2012/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は41歳,女性.左乳房腫瘤を主訴に当院紹介受診.超音波検査にて左C領域に2.5cm大の腫瘤を認め,針生検でglycogen-rich clear cell carcinoma(GRCCC)の診断を得た.手術は乳房円状部分切除術および腋窩リンパ節郭清を行った.残存乳腺に50Gyの放射線治療の後,LH-RH agonist+Tamoxifenによる術後内分泌療法を開始した.病理組織診断では,H.E.染色,PAS染色の所見は典型的なGRCCCの像を示していた.免疫組織染色ではS-100蛋白が陽性であった.GRCCCは全乳癌の約0.9~3.0%と稀な乳腺腫瘍であり,腫瘍細胞全体の90%以上が胞体内に多量のグリコーゲンを含んだ淡明な細胞からなる腫瘍と定義され,診断にはPAS染色が有用であるとされている.
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  • 鈴木 伸作, 遠山 茂, 木村 純, 倉内 宣明, 原 豊, 笠島 浩行, 下山 則彦, 工藤 和洋
    73 巻 (2012) 1 号 p. 34-38
    公開日: 2012/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,女性.39歳時右乳癌のため右胸筋合併乳房切除術を施行し,45歳時には左乳癌のため左胸筋合併乳房切除を施行した.2008年3月,帯状疱疹にて近医通院中,徐々に下腿浮腫が進行してきたため,当院内科を紹介され受診した.心エコーで心嚢液貯留が認められ循環器科に紹介,心タンポナーデ,うっ血性心不全と診断され緊急入院となった.入院後,脈圧の減少がみられ,外科的心嚢ドレナージ術を施行された.排液の細胞診で腺癌と診断され,細胞像から乳癌の心嚢転移と考えられた.症状が著明に改善したため1週間でドレーンは抜去され,その後乳腺外科に紹介となった.前回の手術標本でホルモン感受性が陽性だったことより,レトロゾールによる内分泌治療を開始した.ドレナージ術後約3年経過しているが,心嚢液の再貯留はもとより多部位への再発も認めず元気に外来通院中である.
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  • 中島 弘樹, 助川 晋作, 岩城 孝和, 内藤 雅仁, 郡 隆之, 大野 順弘
    73 巻 (2012) 1 号 p. 39-42
    公開日: 2012/07/25
    ジャーナル フリー
    症例1は60歳,女性.乳癌にて手術(Bp+Ax)施行.病理組織学的には浸潤性小葉癌,高度リンパ節転移を伴っていた.術後補助化学療法(anthracycline+taxan)施行後は内分泌治療にて経過観察を行った.22カ月後胃転移を認めた.症例2は75歳,女性.乳癌にて手術(Bt+Ax)施行.病理組織学的には症例1と同様の所見であった.Capecitabine治療施行後,内分泌治療にて経過観察を行った.9カ月後に骨転移,31カ月後に胃および腹膜に転移を認めた.乳癌の胃転移は,浸潤性小葉癌からの転移が多く報告されている.またほとんどの症例において,診断の時点で多臓器転移を伴っており予後不良とされている.今回われわれは浸潤性小葉癌からの胃転移の2例を経験したので報告する.
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  • 前田 真一, 原口 優清, 久保 昌亮, 平原 徹志, 夏越 祥次
    73 巻 (2012) 1 号 p. 43-48
    公開日: 2012/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,男性.嚥下時のつかえ感を主訴に近医受診し,内視鏡検査で胸部食道に腫瘍を認めたため,当科へ紹介となった.生検による病理組織型は低分化型扁平上皮癌であり,白血球数は29,000,血清中granulocyte-colony stimulating factor(G-CSF)は167と上昇していた.外科的切除可能と判断し,2011年3月右開胸開腹胸部食道切除胃管再建術を施行した.pType2,11×8cm,pT3(AD),pN1,pStageIII,免疫染色で抗G-CSF抗体陽性であった.術後経過は順調で,白血球数およびG-CSFは正常範囲内となった.現在,術後補助化学療法を行っている.G-CSF産生の食道扁平上皮癌の報告例は自験例を含めて10例目であり,文献的考察を加え報告する.
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  • 木村 尚哉, 在原 文夫, 堀 道大, 渡辺 繁, 澤田 傑, 白井 聡
    73 巻 (2012) 1 号 p. 49-54
    公開日: 2012/07/25
    ジャーナル フリー
    直腸癌と上行結腸癌の多発大腸癌が診断された60歳代の女性に,術前検査で上部消化管内視鏡を行い胃に直径5mmの粘膜下腫瘍を指摘した.胃粘膜下腫瘍については経過観察の方針として,多発大腸癌に対してのみ同時根治手術を行った.手術後1年の定期検査では胃粘膜下腫瘍は形態が分葉状を呈し,直径約15mmに増大していた.超音波内視鏡では,第2層と第3層由来の低エコー腫瘤として描出された.生検の免疫組織染色を含めた病理組織学的検査ではfollicular lymphomaが疑われた.腫瘍を中心として腹腔鏡下に胃部分切除を行った.10カ月を経過して再発の兆候は認めない.胃follicular lymphomaと消化管原発の癌との併存の報告は少ない.若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 廣瀬 友昭, 長谷川 洋, 坂本 英至, 小松 俊一郎, 久留宮 康浩, 法水 信治
    73 巻 (2012) 1 号 p. 55-58
    公開日: 2012/07/25
    ジャーナル フリー
    患者は71歳,女性.胃癌に対しD2郭清を伴う胃全摘術,脾摘出術を施行した.組織型はsignet ring cell carcinomaで,pT4a(SE),pN0,P0,CYX,M0,StageIIBであった.術後補助化学療法は行わなかった.初回手術4年2カ月後の注腸検査で下行結腸に全周性狭窄を認めた.組織生検では診断が得られなかったが,胃癌の腹膜播種による狭窄あるいは4型原発大腸癌と診断し,手術を施行した.術後病理組織学的検索にて,signet ring cell carcinomaと診断され,胃癌の血行性大腸転移と診断した.2回目手術後6年無再発生存しており,胃癌の孤立性血行性大腸転移は,切除により長期生存が期待できる可能性が示唆された.
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  • 自見 政一郎, 佛坂 正幸, 佐伯 祐一, 山縣 元, 堤 宣翁
    73 巻 (2012) 1 号 p. 59-63
    公開日: 2012/07/25
    ジャーナル フリー
    異食症(pica)とは少なくとも1カ月以上続く,栄養分のない物を繰り返し飲み込む行動様式と定義づけられている.Picaのために7回の開腹異物除去手術を受けた症例を経験した.症例は44歳,男性.既往歴は統合失調症.7回の開腹異物除去手術のうち6回は通過障害で,1回は穿孔で手術となった.異物を飲み込んだ場合は早期にCT,レントゲン,内視鏡検査を行い,異物の数,性状を確認し,必要に応じて内視鏡下異物除去を試みるのがよい.自然排出を期待して観察した場合は,画像検査にて異物が移動しなくなり炎症所見が上昇したときには開腹手術を検討すべきと考えられた.
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  • 村井 美知子, 亀山 眞一郎, 小網 博之, 伊志嶺 朝成, 松村 敏信, 伊佐 勉
    73 巻 (2012) 1 号 p. 64-68
    公開日: 2012/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,女性.2009年11月中旬,発熱を主訴に当院救急外来を受診した.血液検査で炎症反応と肝胆道系酵素の上昇を認めたため腹部エコー・腹部造影CTを行ったところ,腹部中央に造影効果のある4×3cm大の腫瘤を認め,肝外側区域に3cm大の低吸収域を認めた.消化器内科に入院となり,小腸内視鏡検査で前者は小腸GISTが疑われ,後者は血液検査および画像所見から肝膿瘍が疑われたが,GISTの肝転移も否定できなかった.手術目的で当科紹介となり,同年12月下旬に腹腔鏡補助下小腸部分切除術と肝外側区域の病変の針生検を行った.病理検査の結果,小腸の病変はGISTと診断され,肝外側区域の病変は肝膿瘍と診断された.術後1カ月目に外来で行ったCTでは,肝膿瘍は痕跡程度となっており,ほぼ消失していた.肝膿瘍を合併した小腸GISTの報告は少なく,貴重な症例と考えられたため文献的考察を加えて報告する.
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  • 豊川 貴弘, 金澤 景繁, 山本 篤, 清水 貞利, 山下 好人, 西口 幸雄
    73 巻 (2012) 1 号 p. 69-74
    公開日: 2012/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,女性.2000年1月に多発肝転移併存空腸gastrointestinal stromal tumor(以下,GISTと略記)に対して空腸部分切除術が施行され,残存肝転移に対して肝動脈化学塞栓療法,経皮的エタノール注入療法やラジオ波焼灼療法による治療を行っていた.2003年7月よりイマチニブ投与を開始したところ,5年以上SDを維持したが,2009年4月に肝S6に3cm大の新病変が出現した.4カ月後のCTで同部位のみ増大したため,2009年10月に肝部分切除術を施行した.退院後イマチニブの投与を再開し,初回手術より130カ月(肝切除より14カ月)無増悪生存中である.GISTの同時性肝転移は非常に予後が不良であるが,イマチニブの投与と肝切除を含めた集学的治療により長期にわたる病勢コントロールが可能となった.
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  • 和田 義人, 福森 大介, 渡辺 建詞, 松山 篤二
    73 巻 (2012) 1 号 p. 75-79
    公開日: 2012/07/25
    ジャーナル フリー
    回盲部原発のBurkittリンパ腫による成人腸重積症の1例を経験した.症例は76歳男性.上腹部痛を主訴に入院となった .その後,腹部エコーや腹部CTの結果,回盲部の腸重積症と診断し開腹手術を施行した.開腹すると,回腸が盲腸にはまり込んでおり,先進部に腫瘤を触知したため回盲部切除術,リンパ節郭清術を施行した.病理組織検査の結果,Burkittリンパ腫と診断し,化学療法を行い経過良好である.成人腸重積症はまれな疾患で,その約8割が腫瘍によるものである.その中では悪性リンパ腫の発生頻度は比較的高いが,Burkittリンパ腫はまれな疾患で,その予後は不良である.近年の化学療法の発展により寛解が望める疾患となりつつあるが,進行が極めて早く化学療法の早期導入が重要である.したがって,成人の腸重積症では早急に手術を含めた集学的治療を行う必要がある.
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  • 鷲尾 真理愛, 福永 正氣, 永仮 邦彦, 勝野 剛太郎, 橋爪 茜, 山本 聖一郎
    73 巻 (2012) 1 号 p. 80-86
    公開日: 2012/07/25
    ジャーナル フリー
    高齢者の腹痛,下痢,下血の原因としてしばしば遭遇する疾患として虚血性腸炎が挙げられる.われわれは類似の臨床症状を呈しつつ,静脈硬化症を主体とした比較的まれな静脈硬化性大腸炎の1切除例を経験したので報告する.症例は74歳の女性.前医で静脈硬化性大腸炎と診断され,約10年経過観察されていた.今回,下血による高度貧血および腹痛の悪化をきたし手術目的で当院紹介入院.下部消化管内視鏡検査では上行結腸から横行結腸肝彎曲部にかけて粘膜びらんを伴った狭窄を,腹部CT検査では上行結腸間膜内血管の石灰化を認めた.貧血の是正後,腹腔鏡下手術を施行した.術中,肝彎曲を中心に上行結腸,横行結腸にわたり広範囲に暗赤色調の病変を認めた.小開腹創から病変を確認.静脈硬化は中結腸動脈右枝領域まで続いていたため,右半結腸切除とした.術後は順調に経過し10日で退院.術後2年経過したが,腹部症状の再燃なく,残存腸管にも病変の出現は認めていない.
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  • 松尾 亮太, 福沢 淳也, 池田 治, 中野 順隆, 中山 健
    73 巻 (2012) 1 号 p. 87-90
    公開日: 2012/07/25
    ジャーナル フリー
    上部消化管バリウム検査後の結腸・直腸穿孔は非常に稀である.われわれは検診のバリウム検査後に直腸穿孔をきたし,バリウムによる腹膜炎で術後長期にわたり炎症反応や麻痺性腸閉塞が遷延し治療に難渋した症例を経験した.症例は47歳,女性.上部消化管バリウム検査後4日目に直腸穿孔による腹膜炎・敗血症を起こし,腹腔洗浄ドレナージおよび人工肛門造設術を行った.術後,炎症反応や麻痺性腸閉塞の遷延を認めた.このため術後1カ月の間,イレウス管による治療を余儀なくされた.その後症状は軽快したため退院し,初回手術から8カ月後には人工肛門閉鎖術を行い現在まで2年の間,腸閉塞など術後合併症なく経過している.本疾患は医原性であるが死亡率の高い重篤な病態であり注意を要する.若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 平川 富夫, 西原 政好, 島田 守, 権 五規, 李 喬遠, 岡 博史
    73 巻 (2012) 1 号 p. 91-96
    公開日: 2012/07/25
    ジャーナル フリー
    家族歴,既往歴のない54歳男性が便秘,腹部膨満感を主訴とし初診した.
    腹部単純CT検査にてS状結腸腫瘍に伴う腸閉塞と診断した.同日緊急下部消化管内視鏡にて経肛門的に金属ステントを留置した.留置後,ただちに排便がみられ腸管内容減圧が得られた.十分な前処置の後,注腸造影を施行したところ回盲部,横行結腸に径約4cmの腫瘍が造影された.内視鏡下にステントの口側観察を試みたが,挿入不可能であった.結腸多発腫瘍と術前診断し大腸亜全摘術を施行した.病理組織では,S状結腸狭窄部はpSSで,狭窄部口側結腸に6病変,術前EMRした直腸1病変を含め,合計8病変の同時多発癌が認められた.左側結腸閉塞に対する内視鏡下経肛門的ステント留置術は経肛門的イレウスチューブと比較し,挿入後の患者のQOL維持に有効で,また口側腸管の精査に非常に有用である.大腸癌イレウス症例では,多発性を考慮し術前検査として可能なかぎり口側腸管を精査する必要がある.
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  • 坂本 安見子, 岡村 茂樹, 齋藤 誠哉, 松下 弘雄, 西村 卓祐, 木村 正美
    73 巻 (2012) 1 号 p. 97-101
    公開日: 2012/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は53歳,男性.上腹部痛を契機に超音波検査とCT検査にて複数個の肝占拠病変が発見された.初診時好酸球増多と軽度の肝機能障害を認め,CEA軽度高値であったため転移性肝癌との鑑別の目的で肝占拠病変に対し針生検を行ったところ好酸球性膿瘍の所見であった.血清学的検査ではイヌ回虫抗体が高値であり,イヌ回虫による肝膿瘍が疑われた.標準治療薬であるアルベンダゾール内服により白血球数,肝エコー所見,肝機能の改善を認めた.本症例は普段より猪や鹿肉の生食を好み,これが感染源であったと推測された.
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  • 山本 敏雄, 宇奈手 一司, 牧野 正人, 林 英一
    73 巻 (2012) 1 号 p. 102-107
    公開日: 2012/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は80歳,女性.他院で左肝内胆管の拡張と軽度肝障害を指摘され,当院へ紹介入院となった.腹部超音波検査とCTで肝内側区域に腫瘍像を認めたが,AFP,PIVKAII,CEAおよびCA19-9などの腫瘍マーカーは正常で,肝炎ウイルスも陰性であった.胆管細胞癌と診断し肝左葉切除行った.腫瘍には被膜があり境界明瞭で,内部は黄白色充実性であった.病理診断で高分化管状腺癌と肉腫様紡錘形細胞の混在する所見があったが,両腫瘍細胞の間に移行像はなかった.免疫染色で高分化管状腺癌の部分はCytokeratin7およびCytokeratin19が陽性でVimentinおよびsmooth muscle actin(SMA)は陰性であった.紡錘形細胞の部分はVimentinおよびSMAが陽性でCytokeratin7およびCytokeratin19は陰性であり,肝癌肉腫と診断した.肝癌肉腫は非常にまれな疾患であり,本邦症例を中心に文献的考察を加えて報告する.
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  • 南野 佳英, 中村 文隆, 中村 透, 鈴木 温, 安保 義恭, 樫村 暢一
    73 巻 (2012) 1 号 p. 108-111
    公開日: 2012/07/25
    ジャーナル フリー
    単孔式腹腔鏡下に解除しえた胆石イレウスの症例を経験したので報告する.症例は統合失調症を有する手術歴のない56歳女性で,保存加療で改善しないイレウスの加療目的に当院紹介となった.腹部単純X線写真で小腸の拡張像に加え,下腹部正中に3cm大の石灰化陰影と,pneumobiliaを認め,胆石イレウスの診断で緊急手術を施行した.単孔式腹腔鏡にて観察すると胆嚢周囲の癒着は著しく,拡張した回腸の先端に嵌頓した結石を疑う腫瘤を触知した.単孔式ポート挿入部から結石嵌頓部位の小腸を腹腔外に導出し,小腸壁に2cmの切開を加えて胆石を摘出した.胆石イレウスの手術治療は,侵襲度を考慮し,腹腔鏡補助下手術の有用性が報告されている.単孔式腹腔鏡補助下手術では,さらに最小限の創で低侵襲かつ安全に手術が可能であった.
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  • 塩谷 猛, 豊田 哲鎬, 渋谷 哲男, 渡邉 善正, 南部 弘太郎, 内間 久隆
    73 巻 (2012) 1 号 p. 112-115
    公開日: 2012/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,女性.2カ月前に右側腹部痛を自覚し,近医で鎮痛剤の処方を受けた.その後腹痛が増強し,当院を受診した.初診時,右季肋部は発赤し,圧痛を伴っていた.腹部CTでは胆嚢底部が腹壁に癒着して腹壁に膿瘍を形成し,胆嚢壁は肥厚し胆嚢結石を認めた.胆石症,胆嚢炎による腹壁膿瘍と診断し,入院後抗菌薬で膿瘍の治療を行ったが,改善せず,開腹手術を施行した.胆嚢が腹壁に穿通して膿瘍を形成しており,腹壁膿瘍部の掻爬と,胆嚢摘出術を行った.病理組織で,胆嚢に悪性所見はなかった.腹壁膿瘍で発見されたまれな胆嚢炎の1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.
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  • 亀山 眞一郎, 伊佐 勉, 本成 永, 谷口 春樹, 小網 博之, 斉尾 征直
    73 巻 (2012) 1 号 p. 116-120
    公開日: 2012/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,男性.悪寒戦慄を伴う発熱を主訴に当院救急センターを受診した.胆管炎の診断で消化器内科に入院となり,ENBDによる減黄と抗菌剤投与を行った.ENBD造影およびMRCPでは,B2・B3・B4の狭窄と末梢側の肝内胆管拡張を認めたが,明らかな腫瘤は認めなかった.胆汁細胞診より5回中2回class III bが検出されたため,胆管浸潤型肝内胆管癌と診断され手術目的で当科紹介となった.胆汁中から糞線虫も検出されたため,イベルメクチン経口投与による駆虫を行ったのち,肝左葉切除術を施行した.病理組織検査では,肝内胆管に表層拡大進展した上皮内癌を認めたが,胆管狭窄をきたすような浸潤癌は認めなかった.また,一部ではBilIN-1~2に相当する異型上皮を認めた.
    今回,糞線虫による慢性胆道感染を伴い,浸潤癌様の狭窄所見を呈した上皮内肝内胆管癌を経験した.慢性胆道疾患とBilIN,発癌との関連を考える上で非常に興味深い症例と考えられた.
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  • 林谷 康生, 村上 義昭, 上村 健一郎, 首藤 毅, 末田 泰二郎
    73 巻 (2012) 1 号 p. 121-125
    公開日: 2012/07/25
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    症例は56歳,男性.心窩部痛を主訴に来院し,腹部造影CTで胆嚢内に15mm大の腫瘤を認め精査加療目的で入院となった.超音波内視鏡検査で胆嚢粘膜の肥厚と最大12mmの隆起性病変を3個認め,内視鏡的逆行性胆道膵管造影で膵・胆管合流異常はないが副膵管造影で主膵管に流入した造影剤の胆管内への逆流を認め,胆嚢内から採取した胆汁中のアミラーゼ値は111,400IU/L,細胞診はClassIIIであった.膵・胆管合流異常のない膵液胆道逆流を合併した胆嚢ポリープと診断して胆嚢摘出術を施行,病理組織学的所見は高度異型性を伴う過形成性ポリープであった.膵液胆道逆流は胆汁中のアミラーゼ測定やセクレチン負荷MRCPで診断されるが本症例では副膵管造影も有力な診断根拠となった.膵・胆管合流異常のない膵液胆道逆流は胆嚢癌の高危険群であり,予防的な胆嚢摘出術と術後の胆道癌発生を念頭に置いた経過観察が必要である.
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  • 本山 悟, 丸山 起誉幸, 佐藤 雄亮, 宇佐美 修悦, 中津 敏允, 小川 純一
    73 巻 (2012) 1 号 p. 126-129
    公開日: 2012/07/25
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    60代の男性,胸部食道癌(Mt,pT3N0M0)手術から2年9カ月後に急性腹症で救急外来を受診した.精査にて食道癌手術時に併設した空腸瘻に起因した腸閉塞,これに伴う十二指腸拡張および急性膵炎と診断した.血清アミラーゼ値は4,630IU/lと上昇していた.緊急手術で開腹し,空腸瘻を解除,空腸の瘻孔を縫合閉鎖し,膵周囲にドレーンを留置した.術後は順調に軽快し,第20病日に退院した.食道癌手術時の栄養瘻併設による栄養学的効果は明らかであるが,空腸瘻を造設した場合,術後長期間にわたって腸閉塞のリスクを持ち続けることになる.実際,当院では過去11年間で約3%の患者が空腸瘻造設に起因する腸閉塞で再手術を受けていた.食道癌手術時の栄養瘻併設の適応と方法を再検討させられた症例であり,文献的考察を加えて報告する.
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  • 橘高 弘忠, 高橋 秀典, 大東 弘明, 石川 治, 冨田 裕彦, 矢野 雅彦
    73 巻 (2012) 1 号 p. 130-134
    公開日: 2012/07/25
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    45歳,女性.貧血の原因精査中に脾静脈腫瘍栓を伴う膵尾部腫瘍,多発肝腫瘍を指摘された.肝腫瘍生検はwell differentiated endocrine carcinomaの結果であり,膵内分泌癌多発肝転移の診断で紹介された.肝転移巣はhypervascular tumorであることから肝動脈塞栓化学療法を施行した.経過観察のCTにて肝転移巣に対する良好な局所制御効果が確認されたため,原発巣に対する切除術を施行した.主腫瘍は膵尾部に主座を置き,脾静脈内,胃脾間膜内の静脈内に腫瘍栓を形成しつつ進展しており,これらの腫瘍栓を含めen blocに膵体尾部切除を施行した.病理組織免疫染色ではtrypsin(+,90% of tumor cells),chromogranin A(+,40-50%),synaptophysin(+,20-30%)でありmixed acinar-endocrine carcinomaと診断された.術後2年を経過し肝転移巣も良好に制御されており,新たな病巣は認めていない.
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  • 鈴木 俊亮, 小川 匡市, 大熊 誠尚, 衛藤 謙, 柏木 秀幸, 矢永 勝彦
    73 巻 (2012) 1 号 p. 135-138
    公開日: 2012/07/25
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    今回,われわれは結腸癌肝転移切除時に右精索転移性腫瘍を認め,切除した1例を経験したので報告する.症例は68歳,男性.66歳時に結腸癌(盲腸癌)および転移性肝癌に対し,右半結腸切除術+肝亜区域切除術施行.術後,肝転移再発に対し再肝切除術,再々発に対しラジオ波焼灼治療(RFA)施行.術後29カ月目,CEA 62.9ng/mlと上昇,PET-CTにて肝再発および右外腸骨リンパ節領域に集積像を認め,手術となった.術中所見として,右外腸骨リンパ節は腫大しておりサンプリングし,さらに鼠径部に精索と癒着した腫瘍を認め,右精索腫瘍摘出(精管合併切除)を施行した.病理組織学的所見は,右外腸骨リンパ節は陰性であったが,精索腫瘍は66歳時の盲腸癌と同様,中分化型腺癌であった.術後4カ月,経過は良好であり,精査上,再発兆候を認めていない.本症例は結腸癌肝転移に精索転移を合併した非常に稀な症例であった.
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  • 渡邉 元己, 中野 昌彦, 守永 暁生, 日高 敦弘, 黒田 久志, 田中 将也, 檜垣 浩一
    73 巻 (2012) 1 号 p. 139-142
    公開日: 2012/07/25
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    症例は82歳,男性.10年前に腎細胞癌(stageIII)に対して右腎摘出術を施行した.今回は小腸腫瘍によるイレウスから消化管穿孔を起こし,緊急手術となった.病理結果から小腸腫瘍は10年前の腎細胞癌の小腸転移であることが判明した.術後は一時的にICU管理を必要とするも,次第に改善し,術後32日目に転院となった.小腸転移を伴った腎細胞癌は,検索した範囲で本邦では40例が報告されている.血行性に転移するため肺転移を伴うことが多いが,本症例のように肺転移が無いものはまれである.腎細胞癌は異時性に転移を起こすことがあり,腎摘出後も長期間の経過観察が必要である.消化管転移例は,一般的に予後不良だが,生存期間の延長・QOL改善のために手術も考慮すべきである.
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  • 碓井 麻美, 一瀬 雅典, 嶋尾 仁, 竹田 明彦, 深澤 公朗, 松原 久裕
    73 巻 (2012) 1 号 p. 143-147
    公開日: 2012/07/25
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    今回われわれは,大網裂孔ヘルニアによるイレウスの1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例は40歳,男性.2010年6月に腹痛と嘔吐で当院受診.造影CT検査では腸管拡張および胃の背側に嵌り込んでいるような腸管を認め,腸閉塞の診断でイレウス管を挿入した.保存療法では改善が認められず手術を施行したところ,小腸が大網の裂孔より網嚢に入り込み,ゴルフボール大に嵌頓している状態であった.嵌頓部分を含めて小腸を部分切除し,裂孔部を広く切開して網嚢腔を大きく開放した.大網裂孔ヘルニアは比較的まれな疾患であるが,手術歴のない腸閉塞の際には本症も念頭に置く必要があると思われた.
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  • 木村 憲央, 村田 暁彦, 小山 基, 坂本 義之, 諸橋 一, 袴田 健一
    73 巻 (2012) 1 号 p. 148-154
    公開日: 2012/07/25
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    症例は58歳の男性で,統合失調症の加療中に腹部膨満を認め当科へ紹介された.腹部CTでは腹腔内に嚢胞性成分と充実性成分の混在する25.0×23.4×12.4cmの巨大腫瘍を認め,胃大弯と接し小腸を腫瘍の背側に圧排していた.血管造影では右胃大網動脈から腫瘍に分岐する大網枝の拡張があり,栄養血管と考えられた.以上より大網原発の腫瘍が疑われ,腫瘍摘出術を施行した.腹腔内のほぼ全体を占める巨大な腫瘍を認め,胃との連続性はなく大網原発腫瘍が考えられた.切除標本は35×30×18cm,重量は4.2kg,嚢胞性成分と充実性成分が混在し暗赤褐色で漿液性の内容液を含んでいた.免疫染色にてc-kitが陽性であり大網原発GISTと診断された.大網原発の巨大GISTの1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 近藤 優, 宮本 康二, 内村 正史, 大久保 雄一郎, 多羅尾 信
    73 巻 (2012) 1 号 p. 155-159
    公開日: 2012/07/25
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    症例は86歳,女性.開腹手術歴無し.吐気・腹痛が出現したため近医受診し腹部単純レントゲン写真でイレウスと診断,精査加療目的で当院紹介となった.腹部単純CTでは腹水を伴った小腸拡張を認めたが明らかな閉塞機転は指摘できず,腹部膨隆はあるが軟らかく反跳痛は認めなかったため消化器内科へ入院,イレウス管を挿入し間欠持続吸引にて保存的治療を試みた.しかし入院後イレウス管による改善は乏しく,第3病日にCTを施行したが小腸拡張像は変化無く腹水が増加し保存的治療での改善は難しいと考え緊急手術を行った.開腹所見ではTreitz靱帯右側の横行結腸間膜に約3cmの裂孔を認め,ここから網嚢内へTreitz靱帯から約80cmの空腸が約40cm嵌入していた.小腸の腸管壊死は認めなかったため,整復後は裂孔部を縫合閉鎖し手術終了した.術後経過は良好だった.術後CTを見直すとヘルニア門は確認できたため,CTにて術前診断し得る症例と考えられた.
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  • 石野 義人, 問山 裕二, 井上 靖浩, 田中 光司, 毛利 靖彦, 楠 正人
    73 巻 (2012) 1 号 p. 160-165
    公開日: 2012/07/25
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    症例1は26歳,女性.家族性大腸腺腫症(FAP)で大腸全摘術後11カ月目に腹壁に約5cm大,J型回腸嚢の腸間膜に約3cm大のデスモイド(DT)を認めた.外科治療では永久人工肛門となるため,内分泌化学療法を施行した.数種のレジメンを施行したが増悪認め,Methotrexate(MTX)+Vinblastine(VBL)に変更して約1年継続し,DTは著明に縮小した.現在は内分泌療法のみ継続しているがDTはほぼ消失している.症例2は25歳,女性.FAPで大腸全摘術後13カ月目に右側腹直筋に約5cm大,左側腹直筋に2cm大および回腸腸間膜に約4cm大のDTを認めた.内分泌療法を施行したが急速に増悪.MTX+VBLに変更して約1年継続し,partial responseの状況である.外科治療では術後QOLの低下が予想される腸間膜DTに対してMTX+VBL療法は有用であることが示唆された.
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  • 濵崎 景子, 中崎 隆行, 佐藤 綾子, 田中 研次, 進藤 久和, 谷口 英樹, 重松 和人
    73 巻 (2012) 1 号 p. 166-169
    公開日: 2012/07/25
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    症例は43歳,男性.2006年9月に頭痛のため近医受診し,血液検査にてCRPの軽度高値を認めた.11月の再検にてCRP 2.0mg/dlと高値が続くため,腹部CT検査を施行したところ胃幽門部大弯側に接して40mm大の充実性腫瘍を認めた.同月,精査目的に当院内科紹介となった.上部消化管内視鏡検査,上部消化管X線検査を施行したが胃内に腫瘍は認めず,幽門大弯側に壁外性の圧排を示唆する隆起を認めた.大網や胃漿膜下原発の腹腔内腫瘍を疑い,手術目的に12月当科入院となった.開腹所見では,腫瘍は横行結腸間膜より発生しており,横行結腸切除術を施行.病理組織学的検査では内部に多くの胚中心を伴うリンパ濾胞の形成と形質細胞の浸潤を認めた.周囲のリンパ節には病変を認めず,限局型,plasma cell typeのCastleman病と診断した.
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  • 山口 圭三, 緒方 裕, 村上 直孝, 山口 倫, 松本 敦, 白水 和雄
    73 巻 (2012) 1 号 p. 170-176
    公開日: 2012/07/25
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    症例は73歳,女性.2002年10月,乳癌(T1 N1 stageII)の診断にて乳房切除術を受けた.外来経過観察中,2005年3月の腹部CT検査で偶然腹腔内腫瘤を指摘された.腫瘤は40×30mm大で内部は比較的均一だが一部に線状の造影効果を認め,CT所見からはmalignant lymphomaやGISTなどが疑われた.ガリウムシンチでは腫瘤への集積はなかった.2カ月後のCTでは腫瘤は38×20mm大と縮小しており,経過と画像所見から悪性疾患は否定的であったが,本人と家族の希望があり同年5月に開腹腫瘤摘出術を施行した.横行結腸間膜由来の腫瘤で,周囲との癒着を認めたが腸管切除を行わずに腫瘤摘出が可能であった.病理組織所見で腫瘤はリンパ節構造を有し,周囲の硝子化した結合織とリンパ濾胞の著明な過形成像を示し,部分的に胚中心と周囲マントル帯を貫くように硝子化した血管が存在した.hyaline-vascular typeのCastleman病と診断された.術後6年を経過して再発を認めていない.
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  • 工藤 岳秋, 中野 詩朗, 稲垣 光裕, 赤羽 弘充, 柳田 尚之, 正村 裕紀
    73 巻 (2012) 1 号 p. 177-181
    公開日: 2012/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は70歳代男性.主訴は無く,他院で腎嚢胞の経過観察中に撮影した腹部CTで,5カ月前には存在しなかった小腸間膜の腫瘤性病変を指摘された.血液検査所見では炎症反応などの明らかな異常を認めず,Fluorine-18-fluorodeoxyglucose and positron emission tomographyで高集積を認めたため,悪性腫瘍を疑い小腸部分切除術を施行した.病理組織学的検査では腸間膜原発のinflammatory myofibroblastic tumor(以下,IMTと略記)と診断された.IMTは肺原発が良く知られているが,腹腔内に発生した場合は腹部腫瘤,腹痛,発熱など何らかの症状から精査が開始されることが多い.腸間膜IMTが無症候で発見されることは極めて稀で,他疾患の経過観察目的の経時的CT検査が発見に有用であった幸運な1例と考えられた.
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  • 木村 俊久, 西野 拓磨, 小畑 真介, 藤島 由佳, 竹内 一雄, 山口 明夫
    73 巻 (2012) 1 号 p. 182-186
    公開日: 2012/07/25
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    症例は56歳,女性.子宮頸部腺癌IIIb期,傍大動脈リンパ節転移の診断で当院の婦人科外来で,放射線化学療法を施行されていた.2011年7月下旬に,突然の腹痛と発熱を主訴に婦人科を受診した.体温は38.4℃で,腹部全体に圧痛と反跳痛を認めた.血液検査では炎症所見と貧血を認めた.腹部骨盤CT検査で腹腔内遊離ガスを認めたため,消化管穿孔による汎発性腹膜炎と診断し,外科にて緊急開腹手術を施行した.開腹所見で子宮留膿症穿孔と診断した.切除不能の子宮頸部腺癌であることを考慮して,穿孔部を縫合閉鎖し,大網で被覆した.またDouglas窩および子宮内にドレーンを留置した.術後経過は良好であった.高齢でない女性の子宮留膿腫穿孔は珍しいが,子宮悪性腫瘍の治療中に起こりうることに留意すべきである.
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  • 水本 明良, 平野 正満, 高尾 信行, 松田 高幸, 一瀬 真澄, 米村 豊
    73 巻 (2012) 1 号 p. 187-193
    公開日: 2012/07/25
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    妊娠を継続しながら治療した腹膜偽粘液腫(pseudomyxoma peritonei:以下,PMPと略記)の2例を経験した.
    症例1:37歳初産婦.不妊治療中に卵巣の腫大を認め,腹腔鏡検査にてPMPと診断された.1年後に顕微授精にて妊娠し,妊娠19週で当院に紹介となった.妊娠35週で帝王切開にて出産し,出産7カ月後にPMPに対して肉眼的完全切除を行った.術後22カ月を経過して再発を認めていない.
    症例2:34歳初産婦.原因不明の腹水に対する腹腔鏡検査にて虫垂原発のPMPと診断された.その後,顕微授精にて妊娠し,妊娠10週で当院に紹介となった.妊娠37週で帝王切開にて出産し,出産3カ月後にPMPに対して肉眼的完全切除を行った.術後20カ月を経過し,画像上腹水の貯留を認め経過観察中である.
    考察:妊娠に関連したPMPはきわめてまれで,妊娠の継続や出産ならびにその後の治療など,この疾患に関した十分な知識と理解が必要である.
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  • 中尾 圭介, 神代 祐至, 深原 俊明, 加藤 修志, 兼信 正明, 加藤 奨一
    73 巻 (2012) 1 号 p. 194-197
    公開日: 2012/07/25
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    症例は75歳,女性.左鼠径部の膨隆,疼痛を主訴に当院を受診し,左鼠径ヘルニア嵌頓の診断で同日入院となった.左鼠径部に約20cm大の用手的還納が困難な腫瘤を認めた.CT上,内部に便塊を伴った管腔構造を認め,腸管の嵌頓と診断し同日緊急手術を施行した.鼠径管およびヘルニア嚢を解放すると淡血性の腹水および回盲部を認めた.ヘルニア内容の還納は困難であり,盲腸前壁に漿膜欠損を認めたためこの部を全層切除し,減圧後に2層で縫合閉鎖し還納した.虫垂切除は行わなかった.鼠径部はBassini法にて後壁補強を行った.回盲部が嵌頓した鼠径ヘルニアは稀であり,さらに左側,女性での報告は極めて稀と考えられる.後日施行した注腸検査で腸管固定異常を認め,回盲部は左側に偏位していた.左鼠径ヘルニア嵌頓でも腸管固定異常を念頭に入れ,本症を疑う必要があると考えられる.
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会報
平成23年度本学会概要
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