日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
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73 巻 , 12 号
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原著
  • 長嶋 健, 榊原 雅裕, 藤本 浩司, 鈴木 ティベリュウ浩志, 藤咲 薫, 椎名 伸充, 中谷 行雄, 宮崎 勝
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3021-3025
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    原発性乳癌1,043例を対象としてセンチネルリンパ節生検後の再発予後を解析することにより,センチネルリンパ節に潜在性転移を有する症例の臨床的意義および取り扱いについて検証した.センチネルリンパ節生検で転移を認めず腋窩郭清を省略した症例は875例であったが,術後の再検索で49例(5.6%)に潜在性転移を認め,術後補助療法を施行した後に経過観察を行った.観察期間中央値75カ月において潜在性転移群の5年無再発生存率は85.0%,腋窩郭清群では87.9%であった.潜在性転移群のリンパ節再発および遠隔再発は,ともに転移陰性群よりも高率に生じたが(p<0.001),腋窩郭清群との間には有意差はなく,また転移の大きさでも差を認めなかった.術後にセンチネルリンパ節の潜在性転移が判明した場合でも,転移陽性例に準じた補助治療を施行すれば生命予後に対する影響は少なく,腋窩郭清を省略することが可能と考えられた.
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  • 田中 史朗, 高槻 光寿, 曽山 明彦, 日高 匡章, 江口 晋
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3026-3030
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    生体肝移植術後は部分肝移植であるため腹水量が多く腹壁瘢痕ヘルニアをきたしやすいと言われるが,詳細な報告はない.2004年以降に当科で初回の生体肝移植術を行った成人94症例を対象に原疾患や性別,body mass index(BMI),model for end-stage liver disease(MELD)score,血液型組み合わせ,標準肝容積に対するグラフト占有率,腹水量,創感染,糖尿病の有無,急性拒絶の有無の因子別に瘢痕ヘルニア発生率を検討した.94例中の12例(12.8%)に瘢痕ヘルニアをきたし全例が男性で7例がBMI高値であった.また,創感染を認めた3例中2例で瘢痕ヘルニアをきたした.その他の因子での検討では瘢痕ヘルニア発生に有意差を認めなかった.肝移植術後の瘢痕ヘルニア発生は高率で男性やBMI高値,創感染が有意な危険因子である.
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臨床経験
  • 西村 秀紀, 境澤 隆夫, 有村 隆明, 小沢 恵介
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3031-3036
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    早期乳癌では乳房切除後の一期的乳房再建(IR)は推奨される治療であるが,進行例を含めたIRの腫瘍学的な治療成績の報告は少ない.1995年6月より2009年3月に行われたIR68例の治療成績を,64歳以下の乳房切除のみ(MA)192例と比較した.IR群の最高齢は64歳で,68例中63例に腹直筋皮弁,4例に広背筋皮弁,1例にインプラントが用いられた.平均観察期間は93カ月(19~144カ月)であった.5年全生存率はIR群93.5%,MA群90.3%,非浸潤癌を除いた5年無再発生存率はIR群82.5%,MA群80.8%,局所再発はIR群4.5%,MA群5.9%で有意差がなかった.リンパ節転移4コ以上でも,5年無再発生存率はIR群62.2%,MA群60.7%,局所再発はIR群8.3%,MA群15.9%で有意差がなかった.IRは予後に影響を与えず,進行例であっても患者の希望があれば実施して良い.
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  • 菅本 祐司, 古屋 武史, 金田 英秀, 細田 利史, 佐塚 哲太郎, 松原 久裕
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3037-3041
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    現在,さらなる整容性の追求から単孔式内視鏡手術が広まっており,手術手技や新規デバイスが研究・開発されている.専用の器具は高価であり,既存の吊り上げ器具は操作が煩雑で時間がかかったり広い視野が得られない欠点がある.今回筆者らは単孔式腹腔鏡下虫垂切除を簡便かつ安全に施行し得るリトラクター(NUMAZU SF4/SF6)を開発した.本開発品は扇型のリング構造であり,臍より挿入して体外の持ち上げ機構に取り付けて腹壁を持ち上げる原理である.
    2004年12月~2012年6月までに74例の単孔式虫垂切除術を施行.平均年齢15.2歳,男女比27:47,平均手術時間66分,術後在院日数1.3日,合併症2例(2.7%),医用器材費13,000円から20,666円.本法はセッティング操作が簡便で,広い視野が得られるため安全に手術が行え,コストが安い,など多くの利点を有する単孔式腹腔鏡下虫垂切除と考えられた.
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症例
  • 大場 崇旦, 春日 好雄, 原田 道彦, 家里 明日美, 伊藤 研一, 上原 剛
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3042-3047
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    甲状腺低分化癌は高分化乳頭癌ないし高分化濾胞癌と未分化癌との中間的な形態像および生物学的態度を示す濾胞上皮由来の悪性腫瘍として2005年9月に出版された甲状腺癌取扱い規約第6版より独立した組織型として取り上げられている.それ以後,当科で手術を行った甲状腺癌280例のうち,低分化癌であった4例(1.4%)の臨床的検討をしたので報告する.4例中2例は術前に穿刺吸引細胞診検査で低分化癌の診断が得られた.さらに亜急性甲状腺炎を疑わせる臨床像を示し,腫瘍の急速な増大傾向を認めた.そのうち1例は早期に局所再発をきたし,9カ月で原病死し,もう1例は完全切除できなった.穿刺吸引細胞診検査で低分化癌の診断が得られなかった2例は現在再発なく経過していた.低分化癌のなかには未分化癌とほぼ同様な性質をもつものから,緩徐に進行する高分化癌に近い性質を有するものまで幅広い生物学的性質を有するものが存在すると思われた.
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  • 後藤 航, 柏木 伸一郎, 小野田 尚佳, 亀谷 直樹, 長谷 一郎, 笠松 慶子, 平川 弘聖
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3048-3051
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    急性肺動脈塞栓症(PE)は,周術期の合併症として知られ,ガイドラインが整備され予防策も講じられているが,治療に用いられるヘパリンに起因する血小板減少症(HIT)が,最近注目されている.甲状腺癌術後に発症したPEの治療中にHITを併発した症例を経験した.76歳女性.甲状腺左葉切除,リンパ節郭清術を行った.術後3日目,突然の呼吸苦でPEを発症,ヘパリン投与により軽快傾向にあったため,7日目に投与を中断し,手術創部の血腫除去と乳糜漏に対する胸管結紮を行い,11日目に投与を再開したところ,血小板が3.5万/μlへ急激に減少しHIT II型と診断した.ヘパリンを中止し,アルガトロバンを開始したところ血小板は回復,PEも軽快し,ワーファリンを開始後,アルガトロバンを終了した.術後6カ月目,ワーファリンを内服中でPEは消失している.PE,HITの発症予防,早期治療の重要性を再認識した.
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  • 井上 英美, 千島 隆司, 木村 万里子, 市川 靖史, 大城 久, 遠藤 格
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3052-3056
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    症例は41歳の女性,検診で右乳房腫瘤を指摘され当院を受診した.29歳と36歳時に右乳房E領域の乳腺多形腺腫に対して,他院で腫瘍摘出術を施行されている.身体所見では,右乳房EAB領域に境界不明瞭な2.3cmの腫瘤を触知し,針生検では,乳腺多形腺腫の再発が疑われた.病理学的に明らかな悪性所見は認めなかったため,整容性を考慮して乳頭温存乳房部分切除術を施行した.術後2年,明らかな局所再発は認めていない.多形腺腫は唾液腺に多く認める良性腫瘍であるが,乳腺原発の報告は少ない.不十分な切除に起因する局所再発や悪性転化が報告されているため,術前に乳腺多形腺腫と診断された場合は,十分な切除断端距離を確保し,腫瘍被膜を損傷しないように切除する必要がある.
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  • 田根 香織, 高尾 信太郎, 廣利 浩一, 佐久間 淑子, 大野 伯和, 石川 泰, 中村 毅
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3057-3063
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    53歳,女性.30cmの左乳房腫瘤を認め,乳腺悪性葉状腫瘍の診断にて前医で大胸筋合併乳房切除術を施行.初回術後4カ月,約20cmの上腹部巨大腫瘍,肺転移,局所再発を指摘され,当院受診.QOLの維持,腫瘍減量目的にて腹腔内腫瘍摘出術,左胸壁腫瘤切除術を施行.腫瘍の原発は脾門部,膵尾部後腹膜と考えられ,約2,400gの腫瘍を可及的に切除した.原発巣との比較から,乳腺悪性葉状腫瘍の腹腔内転移と診断.術後,high-dose Ifosfamideによる化学療法を4コース施行.肺転移,局所再発部は約5カ月間SDを維持していたが,上大静脈症候群をきたし,放射線療法を行うも初回手術より15カ月後に死亡した.
    乳腺悪性葉状腫瘍の遠隔転移に対して確立した治療法はない.本症例では,腹腔内転移に対する腫瘍減量手術とIfosfamideにより,QOLの改善がえられた.
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  • 宮坂 大介, 新関 浩人, 菊地 健司, 松永 明宏, 山口 晃司, 池田 淳一
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3064-3071
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    乳腺腺筋上皮腫はまれな乳腺腫瘍であり,基本的には良性腫瘍と考えられていたが,近年悪性例の報告も散見される.今回われわれは,浸潤性乳管癌を合併した乳腺腺筋上皮腫の1例を経験したので報告する.症例は85歳女性.左乳房外側上部に腫瘤を自覚し当科受診.超音波検査で1.4cm大の境界明瞭平滑で分葉形を呈する低エコー腫瘤を認め,針生検で浸潤性乳管癌と診断.病期Iの乳癌と診断し,左乳房円状部分切除術・左腋窩リンパ節郭清を施行した.病理組織学的所見では腺上皮が筋上皮とともに二相性を保って増生しており,免疫染色で腺上皮がEMA陽性,筋上皮がαSMA陽性で,乳腺腺筋上皮腫と診断されたほか,腫瘤辺縁のごく一部に2.3mm大の乳頭腺管癌を認めた.腺筋上皮腫細胞の異型性は軽度で,核分裂像も認めず,腺筋上皮腫との移行像も観察されなかったことから,別々に発生して衝突したものと考えられた.
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  • 濱口 純, 阿部 厚憲, 松澤 文彦, 水上 達三, 廣方 玄太郎, 及能 健一
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3072-3076
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    症例は48歳,女性.左乳房の腫瘤を自覚し当科受診した.マンモグラフィでは円形,辺縁微細鋸歯状の陰影を認め乳癌が疑われた.針生検にて乳癌と診断された.小型のhyperchromaticな腫瘍細胞がシート状に配列し,synaptophysin,chromogranin Aが陽性であることより組織型は小細胞癌が疑われた.術前化学療法として肺癌に準じてCBDCA(carboplatin)+VP16(etoposide)を4コース施行した.化学療法後の評価では腫瘍縮小効果を認め(Partial Response),引き続き乳房温存術を施行した.乳腺原発の小細胞癌は文献上まれであるが,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 野田 諭, 西村 重彦, 山片 重人, 中澤 一憲, 阿古 英次, 妙中 直之
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3077-3080
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    40歳台の双生児の姉は左乳房腫瘤にて受診し,左乳房AB領域の4cm大の乳癌と診断され,皮下乳腺全摘術,センチネルリンパ節生検,広背筋皮弁による乳房同時再建を施行した.病理学的検索の結果,粘液癌,核異型度2,ER陽性,PR陽性,HER2スコア0,センチネルリンパ節転移陰性と診断され,補助療法としてタモキシフェンを内服し,無再発生存中である.40歳台の双生児の妹も左乳房腫瘤にて受診し,左乳房AB領域の8mm大の乳癌と診断され,乳房円状部分切除,センチネルリンパ節生検を施行した.病理学的検査の結果,粘液癌,核異型度2,ER陽性,PR陽性,HER2スコア0,センチネルリンパ節転移陰性と診断され,温存乳房への放射線治療後に補助療法としてタモキシフェンを内服して無再発生存中である.
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  • 石橋 雄次, 伊藤 豊, 石黒 深幸, 真崎 純一, 大森 敬太, 若林 和彦
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3081-3085
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,女性.腹部腫瘤を自覚し近医受診.精査目的で当院紹介となった.腹部CT検査で右後腹膜腔に分葉状の比較的境界明瞭な15cm大の腫瘤を認め,後腹膜腫瘍の診断で手術を施行した.下大静脈に約4cmの腫瘍浸潤を認めたため下大静脈合併腫瘍切除術を施行した.病理診断は下大静脈原発平滑筋肉腫であった.術後17カ月の腹部CT検査で肝S2,5,6,8に肝再発巣を認め,肝部分切除を施行し完全切除しえた.再発巣切除後12カ月の胸腹部CT検査で多発肝転移,肺転移を認めた.その後緩和治療の方針とし初回手術から29カ月でホスピスへ転院となった.下大静脈原発平滑筋肉腫は再発率が高く,再発後の治療は困難なことが多い.過去の報告例で再発巣の完全切除が可能であった報告は本邦で5例のみとごく少数である.今回多発肝再発巣を完全切除しえた下大静脈原発平滑筋肉腫の1例を経験したので報告する.
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  • 白井 順也, 井元 清隆, 内田 敬二, 南 智行, 安田 章沢, 益田 宗孝
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3086-3090
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    症例は81歳,男性.弓部大動脈瘤の手術予定であったが急性心不全で入院となった.経過中に連続性雑音を聴取するようになり,胸部造影CT検査にて弓部大動脈瘤の左肺動脈穿破と診断され当院転院となった.転院3日後に弓部置換および穿孔部閉鎖術,CABGを施行したが,人工心肺開始時,大動脈肺動脈瘻により循環の維持が困難であった.術後PCPSによる循環補助を要したが2日目に離脱し49日目に退院した.弓部大動脈瘤に伴う大動脈肺動脈瘻は稀な疾患であるが,破裂死のみならずシャント血流過多により致命的な右心不全をもきたし,救命のためには早期の手術が必要である.
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  • 齋藤 智明, 松下 尚之, 桜本 信一, 白川 博文, 平林 かおる, 清水 秀昭
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3091-3096
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    原発性横隔膜神経鞘腫を初めて腹腔鏡下に切除再建した症例を報告する.症例は71歳女性,右乳癌術後経過観察中にCTにて43mm大の腫瘤性病変を認め,胃壁外性GISTと診断され,鑑別疾患として横隔膜腫瘍が挙げられた.まず,審査腹腔鏡を施行し,横隔膜原発腫瘍と診断した.つづいて,腹腔鏡下に切除可能と判断し,腫瘍からマージンを確保し横隔膜を4×5cmの範囲で合併切除した.横隔膜欠損部はゴアテックス®シートにて修復した.病理組織学的検査にて横隔膜原発性神経鞘腫と診断された.横隔膜原発性神経鞘腫はまれな疾患である.横隔膜周囲に発生した腫瘍は隣接する肝臓,胃および食道などの臓器があるため,原発部位を特定することが困難な場合が多い.手術を行う場合,横隔膜腫瘍への開胸,開腹などの到達方法や,切除方法を適切に決定する必要がある.審査腹腔鏡を用いることで適切なアプローチおよび切除法が選択可能であった.
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  • 上田 有紀, 田畑 信輔, 大槻 忠良, 戸川 保, 恩地 英年, 石田 誠
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3097-3101
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    Upside down stomachを呈し,内視鏡的整復後にメッシュを使用して腹腔鏡下修復術を施行した症例を2例経験したため報告する.症例1は86歳女性で,頻回の嘔吐を主訴に受診した.CTで肺炎,upside down stomachと診断し,内視鏡的整復を施行後,全身状態の改善を待って腹腔鏡手術を施行した.症例2は88歳女性で,自宅で意識消失し救急搬送となった.CTでupside down stomachを認め,上部消化管内視鏡検査で多発胃潰瘍を認めた.内視鏡的整復後,内服加療を開始した.一時止血となるも,潰瘍出血の再発を認めたため,腹腔鏡手術を施行した.2例とも術後の再発やメッシュによる合併症の出現なく経過している.
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  • 手島 仁, 三田村 篤, 中村 崇宣, 佐藤 千晃, 岡本 宏史, 亀井 尚
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3102-3107
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    今回われわれは食道癌術後気管支膜様部壊死の救済手術に対して人工心肺を併用し救命しえた1例を経験したので報告する.症例は63歳男性.前医にて胸部食道癌に対して右開胸胸部食道切除,後縦隔経路胃管再建が行われた.第5病日から呼吸状態が悪化,第7病日に縫合不全,縦隔膿瘍,気管支膜様部壊死と診断され当院に搬送された.P/F 比 82の重症呼吸不全の状態で経皮的心肺補助装置(PCPS)を使用し手術を行い,右気管支膜様部の壊死部分に大網弁を被覆し食道胃管吻合は離断して頸部食道瘻を造設した.術後もPCPSを継続使用,第3病日に膜型人工肺(ECMO)に変更し第7病日まで使用した.気管支膜様部壊死部の肉芽化に伴い呼吸状態は安定し第77病日に人工呼吸器から離脱した.食道癌術後気管・気管支壊死は呼吸不全だけでなく縦隔炎などを併発し致命的となることが多いが,人工心肺の使用はその救済に有用な方法であると思われた.
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  • 渋谷 一陽, 川村 秀樹, 高橋 昌宏, 岡田 邦明, 石津 寛之, 市原 真
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3108-3111
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    症例は56歳,男性.2009年12月検診で胃体上部小弯に潰瘍を指摘され上部消化管内視鏡検査施行.胃体部に糜爛,潰瘍瘢痕の多発,胃全体に1~3mm大の発赤の多発を認めた.病理所見では粘膜固有層にchromogranin A(+),synaptophysin(+),CD56(+)の細胞よりなるendocrine cell micronestの増生が見られた.検査上高ガストリン血漿(1,900pg/ml)を認め,I型胃カルチノイドの診断となった.2010年3月ガストリン分泌を下げる目的でLADGを施行.血中ガストリン値は術翌日31pg/mlと正常化.術後6カ月目の内視鏡検査で残胃の病変は消失し,現在も病変は認められない.本疾患は比較的稀で,今回は治療としてLADG(laparoscopy assisted distal gastrectomy)を施行し良好な結果を得たので報告する.
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  • 大塚 眞哉, 磯田 健太, 木村 裕司, 濱野 亮輔, 宮宗 秀明, 岩川 和秀
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3112-3116
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    胃噴門部近傍の胃内発育型GISTに対して単孔式腹腔鏡下胃局所切除術を行った.症例は87歳,女性,貧血の精査ため紹介となった.胃内視鏡検査にて噴門部小彎前壁に4cmの粘膜下腫瘍を認め,超音波内視鏡下針生検にてGISTと診断された.腹腔鏡手術の適応と判断して手術を行った.臍部に小切開を加え,単孔式ポートを装着し,5mmトロッカーを3本挿入した.胃内視鏡にて確認しながら,腫瘍外縁の漿膜切開を半周程度行い,管外発育型様の形態に変化することを確認後,自動吻合器にて切除を行った.切除標本では必要かつ十分なサージカルマージンが確保され,胃GISTに対する腹腔鏡下手術の一つとして有用であると考えられた.
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  • 渡辺 博行, 世古口 英, 小林 聡, 深見 保之, 伊藤 哲
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3117-3122
    公開日: 2013/06/25
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    症例は75歳,男性.食思不振を訴えて受診.血液生化学検査では白血球23,900/μl,腹部造影CTで膵浸潤を伴う巨大胃腫瘍を認め,肺,肝に異常所見は認めなかった.上部消化管内視鏡では胃体上中部後壁に1型腫瘍を認め,生検結果は低分化腺癌であった.血清G-CSF値は259pg/ml(基準値18.1pg/ml以下)と高値であった.胃全摘術(D2),膵体尾部・横行結腸・左副腎合併切除術を施行した.胃癌取扱い規約第14版に準じた病理組織学的所見は充実型低分化腺癌(por1),T4b(SI),int,INFβ,ly3,v2,N2,H0,P0,CYX,M1(LYM),Stage IV,免疫組織染色では腫瘍細胞は抗Granulocyte Colony-stimulating Factor抗体陽性であった.術後白血球数は正常化したが,早期に膨大動脈リンパ節再発をきたし,84PODに原病死した.
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  • 浅川 真巳, 鈴木 哲也, 角田 元, 近藤 哲夫
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3123-3128
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,男性.黒色便を主訴に当科を受診.内視鏡検査で胃体上部から幽門部小弯に連なる1型病変と3型病変を認め,CTにてリンパ節と造影効果に乏しい後区域単発肝転移の所見を伴っていた.生検にて低分化型腺癌と診断し胃全摘術,D2郭清,肝部分切除術を施行.術後,胃内分泌細胞癌とα-fetoprotein(AFP)産生胃癌である胎児消化管上皮類似癌の併存と診断され,肝転移とリンパ節転移は全て内分泌細胞癌だった.CPT-11+CDDPを2クール施行したが継続できず切除後6カ月で単発性肝転移再発を認めた.ダイナミックCTにて肝細胞癌に類似した造影パターンであったが肝部分切除施行し内分泌細胞癌であった.CPT-11を4クール施行し初回手術から22カ月現在再発を認めていない.胃内分泌細胞癌とAFP産生胃癌である胎児消化管上皮類似癌が併存した極めてまれな1切除例を経験したので報告する.
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  • 小南 裕明, 川崎 健太郎, 田中 賢一, 金治 新悟, 藤野 泰宏, 富永 正寛
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3129-3134
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    症例は87歳女性で食欲不振,全身倦怠感を主訴に近医を受診し胃癌を強く疑われた.胸部X線写真で心陰影に一致して胃泡が確認され,上部消化管透視検査で噴門から幽門まで胃全体が後縦隔に逸脱しupside down stomachを呈していた.上部消化管内視鏡検査では胃角から前庭部にかけて潰瘍性病変が認められ,生検で低分化型腺癌が検出された.Upside down stomachに併発した進行胃癌の診断で開腹幽門側胃切除+食道裂孔ヘルニア嚢切除術を行った.再建はRoux-en-Y法で行われ,残胃を横隔膜脚に縫合固定して胃の胸腔内への再嵌頓を予防した.最終病理組織診断はpT4apN3aM0,INFb,ly3,v2,Stage IIICだった.術後経過は良好で,逆流症状は認められていない.Upside down stomachを伴う胃癌に対しては症例ごとに再建方法や逆流防止手技の適応を検討する必要があると考えられた.
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  • 土田 智一, 足立 武則, 原 信寿, 鹿島 康薫, 早乙女 勇, 廣田 紀男
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3135-3140
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    症例は82歳,男性.食欲不振と下痢を主訴に来院.上部消化管内視鏡検査にて胃体上部大彎に深堀れ潰瘍を伴った粘膜下腫瘍様の2型腫瘍を認め,生検では高分化型腺癌であった.下部消化管内視鏡検査では横行結腸に瘻孔開口部を認め,生検では中分化型腺癌であった.胃横行結腸瘻は腹部CTおよび上部消化管造影にて確認された.内視鏡観察による肉眼形態と大腸からの生検組織で表層病変が確認できないことから胃外発育型胃癌による胃結腸瘻形成と考え,胃全摘術,左半結腸切除術,膵尾部,脾臓合併切除術を行った.リンパ節転移,多臓器転移,播種はなく根治手術が行われた.術後補助化学療法を行ったが8カ月後に再発死された.胃結腸瘻を伴う悪性腫瘍はしばしば原発同定に苦慮することがあるが,胃原発癌と結腸原発癌ではリンパ節郭清を含む術式,予後が異なるため術前診断が重要となる.原発診断には消化管内視鏡による肉眼所見が有用であると考えられた.
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  • 平賀 雅樹, 大村 範幸, 佐藤 学, 山村 明寛, 小野 文徳
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3141-3144
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    症例は62歳,男性.検診で胃の異常を指摘され当院を受診した.上部消化管内視鏡で胃体上部小彎にIIc病変を認め,生検の結果中分化型管状腺癌の診断となった.CTで12個に分節した脾,膵に高度な脂肪浸潤および尾部欠損を認め,nonrotation型の腸回転異常症も認めた.心奇形,肝・胆嚢に位置・形態異常を認めず,十二指腸前門脈も認めなかった.内視鏡所見,生検結果などから壁深達度SMの胃体上部癌と診断し胃全摘術を施行した.膵の高度な脂肪浸潤のため,膵実質と周囲の脂肪組織やリンパ節との区別が不明瞭であり,リンパ節郭清に難渋した.腸回転異常症に対しては予防的虫垂切除術のみを施行した.術後は膵液漏などの合併症を起こすことなく経過良好であり,術後24カ月を経過した現在も再発や腸軸捻転の発症を認めていない.非常にまれな,多脾症,膵低形成,腸回転異常症を全て合併する胃癌の手術例を経験したので報告する.
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  • 高田 英志, 松田 明久, 松本 智司, 上田 純志, 横井 公良, 内田 英二
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3145-3149
    公開日: 2013/06/25
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    症例は79歳,男性.胸部大動脈瘤に対するステントグラフト挿入3日後から感染性腸炎による腹痛,下痢を認めていた.13日目に腹部膨満,嘔吐が出現し,著明な炎症反応およびCTにてイレウス,腸管気腫,門脈ガス血症を認めた.腹部所見が軽度で,発熱認めず,腸管気腫も限局していたため,イレウス管による腸管減圧を行った.しかし,その8時間後,突然ショック状態に陥った.腹部造影CTにて小腸壁の造影不良領域を認め,腸管壊死を疑い緊急開腹術を施行した.十二指腸から右側結腸にかけて広範な腸管虚血・壊死を呈しており,壊死腸管の切除を行った.その後ショック状態から離脱できず,術後11日目に多臓器不全のため永眠された.病理組織学的検査で腸間膜動静脈内に血栓や塞栓を認めず,非閉塞性腸管虚血症(NOMI)と診断した.十二指腸まで虚血が及んだ広範囲NOMI症例の報告は本症例を含め4例あり,腸管壊死を伴うと予後不良であることが予想される.
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  • 本田 晴康, 津澤 豊一, 川田 崇雄, 熊谷 嘉隆
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3150-3155
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    症例は48歳,男性.15年前に出血性十二指腸腫瘍で緊急手術の既往あり.腫瘍は十二指腸第3部に位置し,30×28mm大であった.当時の病理診断は平滑筋腫だったが,再検査によりc-kit陽性で,GISTと診断変更された.今回他疾患治療中に偶然,横行結腸間膜に9×6cm大の嚢胞様腫瘤を指摘された.消化管との連続性なく,リンパ節腫大や腹水も認められなかった.横行結腸間膜腫瘍の診断で手術を施行.摘出標本は単房性嚢胞性腫瘍で,c-kit陽性で,類上皮型GISTと診断された.術後経過良好.術後補助療法としてイマチニブを1年間内服.術後1年4カ月現在,再発は認められていない.15年前に十二指腸GISTの手術歴があり,今回の腫瘍の部位と近接しており,横行結腸間膜への再発と診断した.GISTは術後晩期再発を生じる症例があり,自験例のように初発病巣が低リスク分類であっても長期followが必要である.
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  • 木下 茂喜, 江原 和男
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3156-3161
    公開日: 2013/06/25
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    症例は75歳,男性.胆管炎症状にて発症.内視鏡にて十二指腸乳頭部に径1.5cm大の不整な隆起性病変を認め,中心陥凹を伴っていた.生検にて腺癌と診断された.幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を行った.病理組織にて粘膜表層に腺癌が増殖し,浸潤部では内分泌細胞癌が増殖していた.移行帯もみられ,腺内分泌細胞癌と診断された.pT2(pPanc0,pDu1),pN1,M(-) fStage IIIであった.術後腹膜転移にて再発したもののS-1内服による化学療法を行い,術後51カ月経過した現在,生存中である.
    十二指腸乳頭部原発の腺内分泌細胞癌はまれな疾患で,本邦報告例は自験例を含め18例である.悪性度が高く予後は不良である.再発形式は肝転移が多いが,腹膜転移は自験例が初めてであった.本邦報告例とともに文献的考察を加え報告する.
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  • 崔 玉仙, 今中 信弘, 平野 純子, 大坪 義尚, 木村 真二郎
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3162-3166
    公開日: 2013/06/25
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    80歳女性,主訴は腹痛,嘔吐.腸閉塞の診断で当院へ紹介.入院時臍下左側に圧痛を認め,CTでは小腸の拡張および小腸内に高吸収異物を認めpress through package(PTP)が疑われたが,フリーエアーは認めなかった.イレウス管を挿入し臨床症状の改善がみられた.しかし10日目に腹痛が再燃,再度CTを施行したところ,異物による消化管穿孔が疑われ緊急開腹手術を施行した.診断はPTPによる小腸穿孔で小腸部分切除,洗浄ドレナージ術を行い,術後25日目に退院となった.本症例は小腸屈曲部にPTPが停滞したために腸閉塞症状を呈し,保存的治療で一旦軽快するも,PTPが同部位に停留したため穿孔に至ったと考えられた.腹腔内の癒着が強固であったため腹膜炎は限局的であった.下部消化管に達したPTPについての治療法・緊急処置については未だ統一した見解はないが,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 平間 公昭, 山谷 信, 神 寛之, 鳴海 俊治
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3167-3171
    公開日: 2013/06/25
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    76歳の男性のRS-S大腸癌に対し,diverting ileostomyを伴う低位前方切除術を施行した.術後8日目に著しいストーマ狭窄でイレウス状態となり,19日目に再手術を施行したが,摘出標本で漿膜下層および腸間膜に骨形成を認め,Heterotopic Mesenteric Ossification(以下,HMOと略記)が疑われた.HMOは腹部臓器に骨組織を形成し狭窄や腫瘤を生じる極めてまれな疾患で,過去に本邦の2例を含む46例(27編)が報告されている.ほぼ全例で手術が施行されているが,手術の難渋による死亡例や再発によるpolysurgery例も散見される.異所性骨化の予防に放射線照射,diphosphonates,NSAIDsなどが有効とする論文や,cimetidineをはじめとするH2-blockerが石灰化病変を消失させた報告があり,本症における有効性の評価が望まれる.
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  • 山田 大輔, 二村 聡, 渡邉 雄介, 小林 毅一郎, 笠 普一朗
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3172-3176
    公開日: 2013/06/25
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    症例は28歳の女性で,発熱と食後の腹痛を主訴に近医を受診したところ,腹部超音波検査で腹腔内に多嚢胞性腫瘤を指摘され,精査加療目的で当院紹介となった.受診時の理学所見に異常を認めず,血液検査所見にてCRP値に軽度増加を認めるのみであったが,腹部造影CTにて多嚢胞性腫瘤を先進部とした小腸―小腸型の腸重積症と判明したため,手術加療方針となった.手術は臍に2.5cmの皮膚切開を置き,単孔式腹腔鏡下手術を選択した.腹腔内で重積腸管を整復し,体外で小腸部分切除および再建術を行った.術後経過は良好であった.病理組織学的検査所見で先進部腫瘤は分離腫と診断された.小腸の腸重積症に対し単孔式手術を施行した報告は少なく,小腸の分離腫で異所性胃粘膜や異所性膵組織が否定された腫瘤はこれまで報告がないことから,極めてまれな症例と考え文献的考察を加え,本症例を報告する.
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  • 林 達也, 川本 潤, 三浦 世樹
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3177-3181
    公開日: 2013/06/25
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    症例は83歳,女性.Press through package(PTP)を誤飲し近医受診.腹痛がないために経過観察となった.患者は関節リウマチに対し抗TNF-α抗体(インフリキシマブ)による治療中であり,PTP誤飲の翌日,インフリキシマブを投与.2日後にはメトトレキサート(MTX)を投与された.誤飲から3日後に腹痛が出現し当科外来を受診した.腹部CTで回腸にPTPを認め,腸管周囲には腹水貯留を認めた.血液検査上炎症反応も上昇しており,同日緊急手術を施行した.開腹すると,混濁腹水を中等量認め回腸にPTPを触知.その近傍の回腸に白苔が付着しており微小穿孔性腹膜炎と診断し,所見を認める回腸を切除した.術後は感染等の合併症は無く経過良好で,独歩退院した.今回はインフリキシマブ投与中の周術期管理および経過,PTP誤飲について若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 鈴木 敏之, 若山 昌彦, 松本 裕史, 神谷 誠
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3182-3186
    公開日: 2013/06/25
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    症例は72歳,女性.某年1月より右鼠径部の膨隆を自覚して,4月初旬に当院を受診した.右鼠径ヘルニアと診断して手術予定となった.5月某日の午後4時頃から右鼠径部の膨隆を認めて,午後7時頃当院を受診した.右鼠径ヘルニア嵌頓と診断して徒手整復を施行して還納した.その後腹部膨満感継続して腹部CTを施行して,鼠径ヘルニア嵌頓整復後の消化管穿孔を疑って同日緊急手術を施行した.術中所見ではMeckel憩室の穿孔を認めて,Meckel憩室のみ切除を施行した.
    鼠径ヘルニアにMeckel憩室嵌頓例は比較的稀な疾患であり,整復直後のMeckel憩室穿孔例も稀であった.Meckel憩室が鼠径ヘルニアに嵌頓した場合,整復後に穿孔を起こす可能性があるので整復後は十分な経過観察が必要と考えられた.今回,Meckel憩室が鼠径ヘルニアに嵌頓して整復後にMeckel憩室が穿孔をきたした症例を経験したので,文献的考察を加え報告する.
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  • 坂田 宏樹, 小山 広人, 豊田 宏之, 白木 孝之, 高橋 里奈, 中沢 祥子
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3187-3191
    公開日: 2013/06/25
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    症例は57歳,男性.平成15年に他院にてメッシュプラグ法による右鼠径ヘルニア手術を施行された.術後7年が経過した平成22年4月中旬より右鼠径部の発赤と腫脹が出現し,数日後に自壊・排膿した.前医にて3カ月間にわたり創処置を継続されたが治癒しないため,同年8月当科受診.CTでは腹壁内に膿瘍を認め,回盲部腸管との交通も疑われた.手術所見では,右内鼠径輪付近の腹壁から腹腔内に突出したプラグが回盲部腸管に強固に癒着しており,盲腸壁への穿通が認められた.プラグの除去とともに回盲部切除を施行し,オンレイ・メッシュの除去も行った.術後は創部感染を認めたものの,第8病日に軽快退院した.鼠径ヘルニア術後には,プラグと消化管との癒着による消化管障害が合併する可能性も考慮する必要がある.
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  • 菅生 貴仁, 道清 勉, 中原 裕次郎, 小西 健, 奥山 正樹, 西嶌 準一
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3192-3196
    公開日: 2013/06/25
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    症例は69歳,男性.主訴は黒色便.画像検査で,直腸癌と多発性肝・肺転移,並びに腹膜播種を認めた.下部消化管内視鏡検査で直腸癌からの出血はなく,上部消化管内視鏡検査でも出血は認められなかった.播種性病変の小腸浸潤が黒色便の原因と診断し,出血のコントロールが困難なため,手術を施行した.術中所見では,腹膜播種は認められず,小腸に腹腔内出血を伴う腫瘍性病変を3カ所認め,各々を小腸部分切除した.直腸癌は,高位前方切除術を施行した.小腸病変は,病理組織学的検査にてsyncytiotrophoblast様の多核巨細胞が散在し,免疫組織化学染色でHCG陽性であり,絨毛癌と診断された.術後経過は,再度消化管出血を認め,肝転移を含む全ての転移巣が急速に増大し,術後18日目に死亡された.
    今回われわれは,緩和手術を施行したが,急速に病状が悪化し,死亡に至った原発巣不明の転移性小腸絨毛癌の1例を経験したので報告する.
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  • 小久保 健太郎, 林 昌俊, 飯田 豊, 栃井 航也, 荒川 友希, 高田 英里
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3197-3202
    公開日: 2013/06/25
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    症例は23歳の男性で,4年前より潰瘍性大腸炎を発症し近医にて内服治療を受けていた.早朝に突然の腹痛が出現し当院を受診した.初診時,右季肋部は緊満しており,同部位に圧痛を認めたが反跳痛は認めなかった.腹部CT検査で腸重積,腸管壁内に球状のガス像,後腹膜に腸管外ガス像を認めた.以上より腸管嚢腫様気腫症による腸重積と診断し,緊急手術を施行した.腸管は回盲部を先進部として横行結腸まで至る腸重積で,Hutchinson手技にて整復した.腸管壁は気腫性変化が著明であり,内腔は多発するポリープ状のものを触知した.明らかな腸管の血流障害を認めず腸切除は行わなかった.術後徐々に腸管気腫が改善し,第9病日に下部消化管内視鏡検査施行し横行結腸より口側に多発する粘膜の膨隆を認めた.術後8カ月経過し再発は認めていない.潰瘍性大腸炎の患者に腸管嚢腫様気腫症が発症し腸重積症が引き起こされたきわめてまれな症例を経験した.
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  • 岡田 晃斉, 青竹 利治, 土居 幸司, 田中 文恵, 藤井 秀則, 広瀬 由紀
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3203-3206
    公開日: 2013/06/25
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    集団検診時の上部消化管透視検査のバリウム製剤により,イレウス,結腸穿孔を起こした症例を経験したので報告する.
    症例は46歳女性.上部消化管透視2日後に腹痛を主訴に受診.腹部単純写真によりバリウム製剤による便秘,亜イレウスの診断で入院となる.入院2日目に症状の改善無く,結腸穿孔が疑われたため,緊急手術となった.術中,バリウム糞塊による結腸穿孔が認められた.術後は重篤な合併症無く経過した.
    バリウム製剤によるイレウス,消化管穿孔はまれな合併症であるが,診断した場合は外科治療も十分考慮し治療する必要があると考えられた.
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  • 長谷川 圭, 渡辺 英二郎, 久保 浩一郎, 小林 亮介, 濱田 眞彰, 高濱 龍彦
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3207-3211
    公開日: 2013/06/25
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    症例は60歳の閉経後女性で,57歳時にS状結腸癌に対してS状結腸切除術,膀胱部分切除術を施行した.組織型は高分化型腺癌で,粘液癌成分を伴うものであった.術後2年9カ月に下腹部に30cmに及ぶ多房性嚢胞状腫瘤が出現し,両側付属器切除を行った.巨大腫瘤は右卵巣であり,平滑な白色被膜と内部に充満する大量の褐色粘液で構成されていた.粘液結節の腹膜播種も認めた.病理組織学的には卵巣粘液性嚢胞腺癌と類似する組織像であったが,CK7/CK20染色にて既往のS状結腸癌と同様の染色性を示し,H.E. 染色を含めS状結腸癌の両側卵巣転移と診断した.形態的に正常であった左卵巣にも同様の病変を認めた.大腸原発の粘液癌はまれであり,さらにその卵巣転移は少数の報告を見るのみである.大腸癌卵巣転移は予後不良であるが,外科的切除による長期生存例の報告もあるので,積極的治療による予後延長が期待できる病態である.
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  • 國府島 健, 松本 祐介, 渡邉 佑介, 渡邉 貴紀, 甲斐 恭平, 佐藤 四三
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3212-3218
    公開日: 2013/06/25
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    症例1は56歳,女性.進行直腸癌に対して低位前方切除術施行.病理所見にてmicropapillary carcinoma(以下MPC)成分を含んだ中分化型腺癌と診断された.リンパ管侵襲が著明で多発リンパ節転移を認め,MPC成分の水平方向の広がりも著しく断端まで浸潤を認めた.また術中の腹水細胞診でadenocarcinomaを認めた.術後は化学療法で経過観察中である.症例2は78歳,女性.上行結腸癌にて腹腔鏡補助下結腸右半切除術施行.MPC成分を含んだ中分化型~高分化型腺癌と診断された.深達度MPでリンパ節転移は陰性だったが術後5カ月で肝再発した.MPCは乳癌などの臓器でリンパ節転移,遠隔転移をきたしやすい悪性度の高い腫瘍と報告されている.大腸MPCも同様に悪性度の高い腫瘍であると考えられるが症例数はまだ少ない.今回われわれはMPC成分を含んだ大腸癌の2例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
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  • 沼賀 有紀, 石川 仁, 小林 純哉, 本田 勇二, 須納瀬 豊, 竹吉 泉
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3219-3225
    公開日: 2013/06/25
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    症例は70歳,男性.平成14年10月,水様性下痢を主訴に近医を受診した.注腸造影で直腸の狭窄を指摘され当科を受診し,精査加療目的に入院した.腫瘍マーカーを含め血液検査では異常なし.注腸造影検査で直腸Rbに全周性の狭窄像を認めた.下部消化管内視鏡検査では肛門縁より約5cmに全周性の病変を認めた.CT検査では直腸に全周性の腫瘍性病変を認めたが,明らかなリンパ節転移・遠隔転移はなかった.生検では悪性組織は得られなかったが,臨床的に直腸癌と診断し,11月に低位前方切除郭清術を施行した.腫瘍はRaRbを占拠する3型腫瘍で,粘膜病変の大きさに比べ深層への進展が顕著であった.病理学的にはsignet ring cell carcinoma,INF γ,se+a2,ly3,v2,n2(+)であった.補助療法を行ったが,術後2年目に癌性腹膜炎によるイレウスを発症し,術後約3年で死亡した.
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  • 徳永 尚之, 稲垣 優, 木村 裕司, 岩垣 博巳, 園部 宏
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3226-3230
    公開日: 2013/06/25
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    症例は68歳,男性.他院にて上行結腸癌に対し右半結腸切除術を施行された後3年間の化学療法を経て経過観察となっていた.術後4年6カ月が経過し,右季肋部痛を主訴に当院紹介となった.腹部CTにて肝内側区域(S4)に径4cm大の腫瘤性病変が認められ左肝管内に腫瘍浸潤が確認された.肝左葉内にlow densityな小結節の散在も認められた.肝内胆管癌が強く疑われ胆管切除を伴う肝拡大左葉切除術が施行された.病理組織検査では腫瘍は中分化型腺癌で,肝左葉内の多発小結節は強い炎症細胞浸潤と線維化の結果とされた.腫瘍はCytokeratin(以下CKと略記)による免疫染色の結果,CK7陰性・CK20陽性と腸型の特徴を示したことから最終的に大腸癌肝転移と診断された.胆管浸潤や脈管浸潤は肝内胆管癌に特徴的とされているが大腸癌肝転移にも時に認められることがあり両者の鑑別には注意が必要である.
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  • 山崎 哲資, 保谷 芳行, 古川 良幸, 佐々木 達海, 矢永 勝彦
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3231-3234
    公開日: 2013/06/25
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    症例は35歳,男性.便秘による腹部膨満を主訴に近医を受診したが,腹部膨満が強く精査加療目的で当院紹介となる.来院時,身体所見で眼球結膜黄染,腹部膨満を認めた.既往歴は特になし.入院後の精査で膵頭部癌と診断し,膵頭十二指腸切除術を施行し,Child変法で再建した.
    病理所見はpoorly differentiated tubular adenocarcinomaで一部紡錐形細胞を認めた.病期はT4N1M0でstage IVaと診断した.
    術後1日目に血液生化学検査で,AST 1,303IU/l ALT 2,110IU/lと著明な上昇を認めた.造影CT検査を施行し,動脈相より門脈相でlow density areaが確認できることより肝梗塞と診断した.原因はリトラクターやテーピングによる血流障害が考えられ,PGE1製剤・蛋白分解酵素阻害剤・抗生剤投与を行い軽快退院した.
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  • 長井 美奈子, 高 済峯, 小林 豊樹, 中村 卓, 榎本 泰典, 中島 祥介
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3235-3238
    公開日: 2013/06/25
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    症例は68歳,女性.2001年5月に左乳癌に対しBp+Ax施行.術後放射線療法後,CMF療法を行ったが,乳癌切除2年後に肝右葉に再発を認め,他院で2002年7月に肝右葉切除術を施行.HER2陽性であったため2002年8月よりTrastumab+Paclitaxel療法とAnastrozoleを開始.その後,Trastumab単独投与を行うが2005年6月に残肝再発を認めた.レジメンを変更し化学療法を行うも,肝転移巣は徐々に増大傾向となった.長期にわたる化学療法の副作用による苦痛のため化学療法の継続を患者が拒否されたこと,また全経過中,肝外には再発巣を認めなかったことより2007年12月,肝切除後の残肝転移に対して再肝切除術を施行.その後は無治療で経過中であるが,再肝切除後3年を経過した現在再発を認めていない.乳癌肝転移切除後残肝再発に対し,再肝切除が有効であった貴重な症例と思われ報告する.
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  • 福山 啓太, 石川 順英, 上田 祐也, 荻野 哲朗, 西平 友彦
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3239-3243
    公開日: 2013/06/25
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    胆嚢炎などの先行病変がなく胆嚢穿孔をきたす特発性胆嚢穿孔は比較的まれである.症例は57歳女性で急性発症の腹痛のため当院に搬送された.画像診断で消化管穿孔,腹膜炎と診断し緊急手術を施行,開腹所見で胆汁性腹膜炎と診断した.胆嚢を穿刺し色素を注入すると胆嚢体部からの色素の漏出を認めた.胆石や胆嚢炎などの所見を認めず特発性胆嚢穿孔と診断し胆嚢摘出術を実施した.標本の肉眼像で体部粘膜に5mmの潰瘍を認め,病理組織学的に同部の粘膜,筋層の途絶を認めた.潰瘍部の壁内小血管に炎症細胞浸潤とfibrinoid壊死が認められ血管炎の関与が示唆された.腹水中アミラーゼ値は31,800IU/Lと高値であった.画像上急性膵炎や胆管膵管合流異常を認めず胆管膵液逆流により穿孔した胆嚢内に高濃度のアミラーゼが存在したと考えられた.腹水中アミラーゼ値が高値を呈する急性腹症において胆嚢穿孔も鑑別診断に含まれるべきと思われた.
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  • 藤澤 健太郎, 杉村 好彦, 川村 英伸, 畠山 元
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3244-3248
    公開日: 2013/06/25
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    症例は46歳,女性.2008年11月,人間ドックにて胆嚢の異常を指摘され,当院受診.腹部CTで胆嚢周囲に広範な脂肪増生を認めた.腹部MRIでは脂肪と同等の信号強度の一部不均一な内部に隔壁構造を持つ高信号領域が胆嚢周囲を取り囲んでおり,脂肪を含む腫瘤形成が考えられた.またCA19-9が高値を示していた.胆嚢脂肪腫症と診断したが,脂肪肉腫などの悪性疾患も否定できなかったため,2009年3月胆嚢摘出術および肝床切除術を施行した.術後病理診断で胆嚢脂肪腫症と診断した.報告例が非常に少ない疾患であるが,特徴的な画像を示す疾患であり,術前診断には本症の存在を念頭に入れておくことが重要である.
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  • 小森 和幸, 村山 道典, 小川 均, 宇都宮 勝之, 冨松 聡一, 井上 公俊, 佐藤 仁哉, 松熊 晋
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3249-3254
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,女性.2006年12月,胆管非拡張型の膵胆管合流異常症を合併する早期胆嚢癌に対し,胆嚢摘出術を施行した.病理組織学的には乳頭腺癌であり,進展度はm-RAS-ss,pHinf0,pBinf0,pN0,PV0,A0,M(-) fStage Iであった.2010年4月,閉塞性黄疸の診断で入院となった.中下部胆管癌の診断で,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的には乳頭腺癌であり,進展度はsx,pHinf0,pPanc2,pN0,PV0,A0,M(-) fStage IVaであった.胆管非拡張型膵胆管合流異常症に対して,胆嚢摘出術に加えて胆管切除や分流手術を併施するかについて意見が分かれている.本例では,癌細胞が進展していた合流部より末梢の共通管部分にも異型上皮がみられ,初回手術で肝外胆管切除を併施しても胆管癌の発生母地が残存した可能性が考えられた.
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  • 小林 清二, 長佐古 良英, 高橋 学, 小笠原 和宏, 草野 満夫, 高橋 達郎
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3255-3259
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    症例は59歳の男性で食欲不振,黄疸を主訴に受診した.精査の結果,中部胆管癌と診断され膵頭十二指腸切除術の方針となった.開腹時,肝表面に灰白色調で数mm大の小結節を4個認め,肝転移を疑い生検した.迅速病理組織検査で悪性が疑われたため切除を中止した.しかし永久標本での病理組織検査では胆管性微小過誤腫(von Meyenburg complex)が疑われたため,後日改めて膵頭十二指腸切除術を施行した.胆管癌はStage IIIの中分化管状腺癌であり,その組織像は肝の結節性病変とは異なっていた.術後補助化学療法としてTS-1を約1年間内服した.手術2年後にCA19-9が上昇したため再発を疑いTS-1を再開した.CA19-9は一旦低下したものの手術3年後に再上昇した.腹部CT検査ではリンパ節または局所再発が疑われたが肝再発は認めなかった.胆管性微小過誤腫はまれな疾患であり肝転移との鑑別が問題となる.
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  • 成島 陽一, 遠藤 文庫, 原田 昭彦, 島村 弘宗, 武田 和憲, 鈴木 博義
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3260-3265
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,男性.腹部超音波検査にて肝S8に腫瘍を指摘され来院.CTでは腫瘍は径6.5cm大,造影早期に辺縁部が強く濃染され後期相ではwash outされるが内部は造影が遷延した.混合型肝癌,肝内胆管癌の疑いにて肝右葉切除を施行した.腫瘍割面は白色で明らかな被膜形成は伴わず膨張性に発育していた.病理組織所見では淡明で大型の細胞質と腫大した不整形核を有する異型細胞が腺管構造と不規則に融合する胞巣を形成して増殖.細胞質はPAS染色で弱く染色されグリコーゲンの存在が考えられた.免疫組織染色ではCD10,Vimentin,AFP,HepPar1,CK7,CK20はいずれも陰性であった.以上の特徴から淡明細胞肝内胆管癌(intrahepatic clear cell cholangiocarcinoma)と診断した.淡明細胞肝内胆管癌の文献報告は9例のみで極めてまれな腫瘍であるため報告する.
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  • 小林 真一郎, 高橋 祐, 江畑 智希, 横山 幸浩, 伊神 剛, 梛野 正人
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3266-3271
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    症例は82歳の女性で,肝門部胆管癌に対して肝右葉尾状葉切除,肝外胆管切除再建術を施行した.術中迅速病理組織診断で肝側胆管断端は陰性であったが,十二指腸側胆管断端は浸潤癌陽性であった.2cm追加切除を行ったが癌陰性にはできず,膵頭十二指腸切除術を追加した.術後合併症は,膵液漏と胸水貯留を認めたが術後46日目に軽快退院した.病理組織学的検査所見では,高分化管状腺癌でリンパ節転移は認めなかった.現在まで,術後5年6カ月無再発で外来経過観察中である.80歳台の高齢者肝門部胆管癌に対する肝膵十二指腸切除後,5年間無再発生存の報告は少なく,文献的考察を加えて報告した.
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  • 西山 和孝, 安池 純士, 加藤 昇
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3272-3276
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    症例は32歳女性で,自ら心窩部を刺して受傷し当センターへ搬送された.来院時全身状態は安定していたが,腹部CTにて肝損傷,膵損傷が疑われたため緊急開腹術を施行し,肝貫通創と膵体部に切創を認めた.開腹時に主膵管損傷は明らかではなく,術後,内視鏡的に精査および必要に応じてステントを留置する方針として膵縫合術とドレナージ術のみ施行した.内視鏡的逆行性膵管造影を施行したところ主膵管損傷を認めたため,内視鏡的にステントを留置した.第10病日にステントは自然落下したが,術後経過は良好で,膵液瘻は認めず第44日目に転院となった.主膵管損傷を伴う鋭的膵損傷に対して,膵縫合術と内視鏡的ステント留置術の併用による治療戦略が奏効した.
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  • 吉田 枝里, 吉原 秀一, 大石 晋, 奈良 昌樹, 舘岡 博, 袴田 健一, 諸橋 聡子
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3277-3281
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    症例は54歳男性で平成22年7月無石胆嚢炎として腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行.その際,肝の腫大と脆弱性を指摘され,摘出された胆嚢にはアミロイドの沈着が認められた.術後出血を認め,CTでは肝の腫大と脾臓の被膜下出血を疑われたが症状なく,経過観察とした.同年9月突然の腹痛,貧血認め受診.脾臓破裂による出血にて緊急手術を施行した.開腹時,腹腔内に出血と腫大した脾臓を認め,さらに脾臓の被膜の一部は破綻し実質内の出血も認められた.肝は黄色調で硬く触れた.術後の病理検査にて肝,脾にアミロイドの沈着が認められた.当症例は術後急速にアミロイドーシスの進行が疑われ,さらに肉眼的所見にてアミロイドーシスの進行を考察することのできた1例であったため若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 石黒 深幸, 石橋 雄次, 伊藤 豊, 真崎 純一, 大森 敬太, 若林 和彦
    73 巻 (2012) 12 号 p. 3282-3286
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,男性.上腹部膨満感を主訴に近医受診し,腹部CTにて巨大脾動脈瘤を認めたため手術目的に当院入院となった.脾動脈瘤は直径19cmと非常に巨大であり,血管構造は破壊されていたため,血管内治療を選択せず外科的治療を選択した.手術は膵尾側切除を施行した.術後は膵液漏を認めたが改善し術後80病日に退院となった.脾動脈瘤は内臓動脈瘤の中では最多であり成因も様々であるが多くは2cm程度であり,5cm以上の脾動脈瘤の報告は17例と稀である.また本症例は検索した報告例の中では最大の脾動脈瘤であった.脾動脈瘤についての若干の文献的考察を加えて報告する.
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