日本臨床外科学会雑誌
検索
OR
閲覧
検索
73 巻 , 7 号
選択された号の論文の48件中1~48を表示しています
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
第73回総会会長講演
原著
  • 佐藤 力弥, 川村 武, 佐々木 邦明, 野口 忠昭, 細野 知宏
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1616-1621
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    研究の目的:消化管バイパス手術は経口摂取を可能にするための緩和手術として広く行われているが,その有効性を評価した検討は非常に少ない.本研究の目的は,当院における消化管バイパス手術の有効性を客観的に検証することである.
    方法:2003年1月から2010年12月までに切除不能進行癌による消化管閉塞に対し,当院で消化管バイパス手術を施行した28例を対象とした.手術の有効率,経口摂取可能期間,生存期間,および臨床因子との関連性を検討した.
    結果:手術の有効率は75%,経口摂取可能期間の中央値は76日,50%生存期間は133日であった.術後化学療法を行えた群では経口摂取可能期間,生存期間ともに有意な延長を認めた.
    結論:消化管バイパス手術はquality of life向上のための緩和手術としてだけでなく,集学的治療においても有用である.一方で,術後に改善の得られない症例もあり,適切な症例を選択するための指標を確立することが急務である.
    抄録全体を表示
臨床経験
  • 大塚 新平, 磯谷 正敏, 原田 徹, 金岡 祐次, 亀井 桂太郎, 前田 敦行
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1622-1628
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    肝門部胆管癌の4例に対して肝切除兼肝十二指腸間膜一括切除(Hepatoligamentectomy)を施行したので,血行再建を中心とした手術手技を提示するとともに手術成績を報告する.
    門脈は6-0 polypropyleneによる1点支持連続縫合で右外腸骨静脈グラフト再建.肝動脈は吻合口をヘラ状に形成した後に7-0 polypropyleneによるパラシュート吻合(連続縫合)で施行した.門脈平均再建時間23分,肝動脈平均再建時間23分で平均手術時間8時間52分,平均出血量1,240mlであった.術後合併症は高ビリルビン血症(T-Bil 7.1mg/dl)を1例,再開腹を必要とする術後出血を1例に認めたが,全例元気に退院可能であった.予後は,2例は術後2年3カ月,2年1カ月で癌死,他の2例は術後4年4カ月,1年3カ月各生存中である.再建血管は全例で開存しており,本術式は安全に施行可能と考えられる.
    抄録全体を表示
症例
  • 北見 智恵, 河内 保之, 西村 淳, 牧野 成人, 川原 聖佳子, 新国 恵也
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1629-1633
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    胃癌術後に発症した肺炎球菌によるoverwhelming postsplenectomy infection(OPSI)の1例を報告する.症例は76歳女性.胃体上部進行胃癌に対し胃全摘術+脾摘術を施行した.術後10カ月,感冒様症状が出現した2日後,発熱,意識障害のために緊急入院した.血液検査で播種性血管内凝固症候群(DIC)を認め,抗生剤,DIC治療を開始した.DICは3日で離脱したものの白血球増多,CRP高値は持続した.血液培養から肺炎球菌が検出され,感受性をもとに抗生剤を変更,症状,検査値ともに改善した.脾摘術の既往,急激なDICへの進行からOPSIと診断した.OPSIは一旦発症すると急激な経過をたどることが多く,予防として肺炎球菌ワクチン接種が推奨されている.本例では発症前ワクチンは未投与で,本病態の認識不足を反省させられた.脾摘後は常にOPSIを念頭において診療にあたるべきである.
    抄録全体を表示
  • 中村 雅憲, 高島 勉, 川尻 成美, 小野田 尚佳, 石川 哲郎, 平川 弘聖
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1634-1637
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    78歳,女性.平成18年4月より左乳房腫瘤を触知し,6月に近医を受診した.左B領域に胸壁固定を伴う4.9×4.5cm大の腫瘤を認め,CT・MRI・US・MMGにて乳癌が疑われたが,2度の穿刺吸引細胞診で悪性細胞を認めなかったため,精査加療目的に当科紹介となった.左B領域に弾性硬,可動性不良な5cm大の腫瘤を触知し,腋窩リンパ節腫大は認めなかった.USにて左B領域に内部不均一で境界明瞭な不整形腫瘤を認めるものの,胸壁浸潤は認めず,悪性所見に乏しく,炎症性変化の可能性が示唆された.穿刺吸引液の結核菌検査にて,塗沫染色でガフキー6号の結果であり,培養も陽性のため,乳腺結核と診断した.同時に施行した喀痰結核菌培養は陰性で,胸部CTにて肺結核を疑う所見は認めなかった.肺結核に準じた治療を施行し,外来通院にて経過観察中である.肺結核を伴わない乳腺結核は極めてまれであり,若干の文献的考察を加えて報告する.
    抄録全体を表示
  • 杉本 斉, 中川 剛士, 佐藤 隆宣, 石場 俊之, 笠原 舞, 杉原 健一
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1638-1642
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    68歳,女性.22年前に眼・肺・皮膚のサルコイドーシスと診断されている.検診のマンモグラフィにて異常を指摘され,当科受診した.マンモグラフィでは局所的非対称性陰影(FAD)を認め,超音波検査では不整形の腫瘤を認めた.乳癌を疑い針生検を行ったところ乳腺サルコイドーシスと診断された.腫瘤が小さいため吸引式乳房組織生検装置(マンモトーム:MMT)にて切除生検を行った.切除後6カ月が経過したが再発を認めていない.乳腺サルコイドーシスというまれな疾患を経験したため文献的考察も加え報告する.
    抄録全体を表示
  • 江間 玲, 小坂 愉賢, 仙石 紀彦, 菊池 真理子, 蔵並 勝, 渡邊 昌彦
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1643-1648
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,女性.当院内科で右乳腺腫瘤を指摘され,当科を受診した.右乳房C領域に1.5×1.0cmの不整で硬い腫瘤を触知し,マンモグラフィではカテゴリー4,超音波検査では9.0×8.0×8.0mmの不整形腫瘤を認めた.針生検にて,浸潤性小葉癌と診断され,乳房扇状部分切除,センチネルリンパ節生検術を施行した.病理組織学的所見において,腫瘍径4.0×4.5×1.5cm,ER陽性,PgR陰性,HER2陰性,GCDFP-15陽性,E-cadherin陰性で,印環細胞が主体をなす小葉癌由来の乳腺原発印環細胞癌と診断した.また,センチネルリンパ節に微小転移を認めた.病理結果により補助化学療法,放射線療法施行後,現在ホルモン療法施行中である.乳腺原発印環細胞癌は比較的まれであり,文献的考察を加え報告する.
    抄録全体を表示
  • 高橋 祐輔, 三島 修, 三澤 賢治, 田内 克典, 樋口 佳代子
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1649-1653
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は39歳,男性.健診で施行した胸部CT検査にて,左肺上葉に石灰化を伴った結節影を指摘された.6カ月後のCT検査では大きさに変化がなく炎症性結節と判断した.健診から4年後のPET-CT検査にて,結節は増大していたため肺癌が疑われ当科へ紹介,手術の方針とした.胸腔鏡下肺部分切除を施行し病理検査に提出した.術中捺印細胞診では,リンパ球や好中球,組織球,気管支上皮細胞を認めたが悪性の所見はなかった.永久標本では,腫瘤には骨髄組織を伴う骨梁が形成され,肺胞や気管支の間質にそった発育を呈しており,Dendriform pulmonary ossification(以下,DPO)と診断した.術前から病変を確認でき,経時的に増大を認めた報告例はなく,若干の文献的考察を加えて報告する.
    抄録全体を表示
  • 玉木 一路, 里 輝幸, 玉置 信行, 秋山 真吾, 山本 栄司, 森本 泰介
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1654-1658
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    特発性食道破裂の2例に対して,胸腔鏡下洗浄ドレナージに加えてTチューブを用いた食道外瘻造設を施行した.Tチューブの留置には上部消化管内視鏡と胸腔鏡を併用した.瘻孔形成の後にTチューブを胸腔ドレーンに交換して徐々に抜去することで,腹腔内と同様に瘻孔を閉鎖をさせることができた.2例とも良好に経過し治癒退院した.この方法は手術に際して分離肺換気が不要で,大がかりな開胸,開腹を要せず低侵襲であり,また縫合閉鎖のような深部操作に比べて簡便であった.本法は,特発性食道破裂の治療に有用な選択肢であると考える.
    抄録全体を表示
  • 後藤 正和, 丹黒 章, 山本 洋太, 森本 雅美, 古北 由仁, 武知 浩和
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1659-1663
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    左胸郭成形術後の高齢者食道表在癌に対して縦隔鏡下に食道切除術を安全に施行し,術後順調に経過した1例を経験したので報告する.症例は84歳,男性.毎年近医で上部消化管内視鏡検査を受けており,本年3月の検査で食道に異常を指摘された.精査の結果,食道癌の診断を受け,粘膜下層までの進展が疑われたため,外科的加療目的に当科紹介となった.左胸郭は術後性の変形を認め,術前呼吸機能検査では拘束性障害を認めた.Mt cT1b(SM)N0M0 cStage I の術前診断のもと,縦隔鏡下食道切除,後縦隔経路胃管再建,頸部食道胃管吻合,空腸瘻造設術を施行した.胸郭成形術のため縦隔内は瘢痕狭小化しており,食道剥離に時間を要したが,安全に手術遂行可能であった.
    抄録全体を表示
  • 武野 慎祐, 諸鹿 俊彦, 明石 雄一, 山下 眞一, 川原 克信, 山下 裕一
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1664-1667
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    反復する胃穿孔症例を経験した.症例は57歳の女性で,腹痛を主訴に受診し,CT検査で腹腔内のfree airを指摘された.9カ月の経過中に3度の発症を繰り返し,絶食と抗菌薬投与による保存的治療により治癒し,入退院を繰り返していた.3度目の発症の際に,腹腔内膿瘍を認めたために開腹下に胃局所切除を施行した.術後経過は順調で,術後11日目に退院となった.切除標本において病理組織学的には特異的な穿孔の原因となる所見は同定されず,原因として出血性胃潰瘍の内視鏡治療後の慢性瘻孔化が考えられた.
    抄録全体を表示
  • 高原 秀典, 多代 尚広, 永吉 直樹, 横山 正, 實光 章
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1668-1673
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,女性.全身倦怠感,食欲不振に加え,2日前から発熱,咳が出現したため当院を受診.血液検査で高度の炎症反応を認めたため入院し,抗生剤を投与されたが炎症反応の改善はなく,体動時に腹痛を訴えるため当科を紹介された.触診上,上腹部正中に腫瘤を触知し,同部に圧痛を認めた.US,CTにて上腹部の胃壁に接して10×8cmの腹腔内膿瘍と膿瘍内に2.5cmの高吸収線状陰影を認めた.上部消化管内視鏡検査では胃内に大量の食物残渣を認めたが,異物,潰瘍,穿孔部ははっきりしなかった.開腹手術を行ったところ,胃と横行結腸に挟まれて大網に覆われた膿瘍を認めた.膿瘍は横行結腸とは剥離できたが胃壁と連続しており,胃前庭部大弯を一部合併切除し膿瘍を摘出した.摘出標本は11×10×6cmで標本内に魚骨および広範な膿瘍と膿汁を認めた.今回われわれは魚骨誤嚥により胃穿孔をきたし,腹腔内膿瘍を形成した症例を経験したので報告する.
    抄録全体を表示
  • 久保 秀文, 西山 光郎, 多田 耕輔, 宮原 誠, 長谷川 博康, 山下 吉美
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1674-1678
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,男性.上腹部の腫瘤を自覚して受診した.上部消化管内視鏡検査で胃前庭部に中心に潰瘍を持った全周性腫瘍が存在し生検で中分化型管状腺癌と診断された.手術は幽門側胃切除および横行結腸部分切除を施行した.組織学的所見では中分化型管状腺癌の中に胞巣状にChromograninA,Synaptophysin陽性の胃内分泌細胞癌を認めた.術後TS-1による化学療法を行っているが,現在再発を認めていない.今回われわれは中分化型管状腺癌に胃内分泌細胞癌が併存したまれな1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
    抄録全体を表示
  • 塚原 哲夫, 森田 信司, 阪 眞, 深川 剛生, 松原 亜季子, 片井 均
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1679-1685
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は80歳,男性.貧血の精査目的で行われた上部消化管内視鏡検査で胃体上部と胃体中部に多発する隆起性腫瘍を指摘された.生検の結果,胃腺癌と診断され,胃全摘+脾摘術が施行された.術後病理組織学的検査で,体上部の病変は腺癌成分と肉腫成分の混在する癌肉腫,体中部の3病変は癌肉腫の肉腫成分による壁内転移と診断された.また右噴門リンパ節に腺癌成分の転移を認めた.術後に上腸間膜動脈閉塞症を合併し,広範小腸切除および空腸瘻造設術を施行したが,遺残腸管の虚血による消化管出血で第64病日に死亡した.病理解剖では下行大動脈の内膜に紡錘形腫瘍細胞の増殖を認め,胃癌肉腫の大動脈内膜転移と診断した.胃癌肉腫はまれな疾患であり,肉腫成分が壁内転移をきたし,さらに大動脈内膜への転移を伴った極めて珍しい症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
    抄録全体を表示
  • 村瀬 秀明, 円城寺 恩, 井ノ口 幹人, 小嶋 一幸, 河野 辰幸, 杉原 健一
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1686-1690
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は29歳,男性.主訴は胸部つかえ感.上部消化管内視鏡検査で胃体上部小弯に2型病変を認め,生検にて低分化腺癌と診断した.術前に白血球38,800/μlと高値を示したが発熱はなかった.血清G-CSF値は238pg/mlと高値を示したため,G-CSF産生胃癌を疑い,胃全摘摘術を施行した.病理組織学的診断はT4a(SE),N2,H0,P0,CY0,M0,Stage IIIBで,抗G-CSF抗体を用いた免疫組織染色にて陽性の所見が得られた.術後白血球数,血清G-CSFは正常化した.TS-1を投与するも術後3カ月目に肝転移,リンパ節転移再発をきたした.化学療法(一次治療:TS-1/ Docetaxel,二次治療:CDDP/CPT-11)も奏効せず,白血球数は148,800/μlまで上昇し,術後7カ月目に永眠した.
    抄録全体を表示
  • 角南 栄二, 黒崎 功, 畠山 勝義
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1691-1694
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は76歳男性で,1997年5月胃体下部の3型進行胃癌のため胃全摘術,脾臓合併切除術,2群リンパ節郭清を施行し,病理組織診断にて根治術と判定された.術後補助化学療法を施行したが,術後1年1カ月で左鎖骨上にリンパ節腫脹を認めた.ほかに再発所見がなかったことからリンパ節を2個切除した.病理組織診断では胃癌の転移であり,Virchowリンパ節転移と診断された.引き続き化学療法を行ったが,術後1年5カ月で同部位にリンパ節再発を認め,2個摘出し胃癌の転移であった.さらに術後2年10カ月に同様のリンパ節再発を認め,3回目の手術を行い3個のリンパ節を切除した.以後再発を認めず再発後12年8カ月を経て無再発生存中である.胃癌のVirchowリンパ節転移の中には,本症例のようにVirchowリンパ節転移単独再発例があり,手術を含めた集学的治療にて長期生存を得る可能性が示唆された.
    抄録全体を表示
  • 今川 敦夫, 小川 雅生, 市川 剛, 出村 公一, 川崎 誠康, 亀山 雅男
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1695-1699
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,女性.3日前からの心窩部痛を主訴に当院を受診した.腹部は板状硬で,腹部全体に反跳痛を認めた.血液生化学検査ではWBC 12,400/μL,CRP 0.40mg/dlと炎症反応の上昇を認め,腹部CT検査で腹腔内遊離ガスと腹水を認めた.上部消化管穿孔による汎発性腹膜炎を疑い,同日緊急手術を施行した.手術所見にて十二指腸球部前壁と後壁にそれぞれ約2cm大の穿孔を認め,十二指腸球部接吻潰瘍の同時穿孔と診断した.各々の穿孔部への大網充填を試みたが,後壁穿孔部に大網を固定することが困難であったため,前壁の穿孔部に充填した大網をはずし,大網を後壁穿孔部位から十二指腸内に充填し,さらにこの大網を前壁穿孔部より十二指腸外へ引き出した上で前壁と縫着した.充填した大網により通過障害をきたすことが危惧されたため,胃空腸吻合とBraun吻合を追加施行した.術後経過は良好で,第21病日に軽快退院した.
    抄録全体を表示
  • 正司 裕隆, 服部 優宏, 三野 和宏, 今 裕史, 小池 雅彦, 赤坂 嘉宣
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1700-1704
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    症例1は53歳男性で糖尿病性腎症のため血液透析施行中であった.夕食後より腹痛を認め,症状が増悪したため翌日未明に搬送となった.CTで門脈ガスを認め腸管壊死を疑い緊急手術を施行した.分節状の腸管壊死を認めたため小腸切除を行った.病理で血栓塞栓を認めず,nonocclusive mesenteric ischemia(NOMI)と診断した.症例2は58歳男性で慢性腎不全のため血液透析施行中であった.閉塞性動脈硬化症のため心臓血管外科に入院していたが,夜間より腹痛が出現しその後増悪したため当科紹介となった.CTで上腸間膜静脈分枝内ガスと腸管壁気腫像を認め腸管壊死を疑い緊急手術を施行した.分節状の腸管壊死を認め,小腸切除を行った.病理で血栓塞栓を認めず,NOMIと診断した.血液透析患者はNOMIの発症リスクが高く,腹痛を主訴とする透析患者の診察にはNOMIの可能性を考慮し慎重な対応が必要である.
    抄録全体を表示
  • 宮本 正之, 山本 康弘, 鈴木 和香子, 岡村 幹郎, 河野 透, 古川 博之
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1705-1709
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,女性.本年4月,全身倦怠感を主訴に当院内科を受診し,貧血と便潜血陽性を認めたため消化管精査目的に入院となった.入院後,腸閉塞症状が出現し,CTにて左下腹部に腫瘤像と口側小腸の拡張を認め,小腸腫瘍によるイレウスの診断で当科紹介となり手術を施行した.術中所見では,直径7×4cmの壁外性に発育する小腸腫瘍を認め小腸部分切除を行った.病理組織学的には小腸海綿状血管腫の診断で,粘膜下での血管腫の破綻による慢性的出血と血腫形成があり,それに対する肉芽反応と線維化が生じた病変と思われた.血管腫は全消化管腫瘍の0.05%,小腸良性腫瘍の7~11%を占めるまれな疾患で,消化管出血を主訴に発見されることが多く,腸閉塞に至った症例の報告はない.治療は外科的切除が第一選択とされている.今回われわれは貧血を主訴とし腸閉塞症状を呈した小腸血管腫の1例を経験したので報告する.
    抄録全体を表示
  • 小網 博之, 伊志嶺 朝成, 亀山 眞一郎, 松村 敏信, 伊佐 勉, 国島 睦意
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1716-1721
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は80歳,女性.臍下部痛と嘔吐を主訴に当院に搬送された.腹部は膨隆著明であったが腹膜刺激症状はなし.腹部CT検査では,大腸の拡張と腸管壁の造影増強不良,下行結腸に口径差を認めた.血液検査所見では,代謝性アシドーシスとCEA 559.1ng/mLと異常高値を示していた.広範大腸壊死を疑い緊急手術を行った.開腹すると上行結腸から下行結腸まで壊死しており,大腸亜全摘ならびに人工肛門造設術を行った.病理組織検査で壊死型虚血性大腸炎と診断された.免疫組織化学染色では,CEAは粘膜表層上皮や細胞質に染色性を認め,炎症性腸疾患と類似の発現形式と考えられた.第16病日にはCEA 2.4ng/mLと正常化し,第34病日に退院となった.高CEA血症の機序として粘膜上皮細胞内のCEAの排泄障害が示唆された.良性疾患でもCEAが上昇することを念頭におき高齢者の急性腹症においては本疾患も考慮すべきと思われた.
    抄録全体を表示
  • 山口 智之, 片岡 直己, 冨田 雅史, 坂本 一喜, 新保 雅也, 牧本 伸一郎
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1722-1726
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は55歳,女性.慢性関節リウマチに対しインフリキシマブの投与を受けていた.全身倦怠感と採血上の貧血の進行を認め,下部消化管内視鏡検査を受けたところ,回腸末端の潰瘍性病変を認め,生検の結果腸結核の診断となった.胸部CT検査では全肺野に小粒状陰影を認め粟粒結核と診断され,喀痰TB-PCR陽性,塗末で抗酸菌陽性であり,腸結核,粟粒結核の診断となり結核専門病院へ紹介入院となった.このころから腹痛と頻回の下痢を認めていた.結核専門病院を退院後,腹痛が増強したため受診し,CT検査上回盲部の狭窄像と回腸直腸瘻を認めたため外科紹介となった.回盲部切除術と直腸瘻孔部の縫合閉鎖を行った.術後は正常便となり特に合併症なく17日目に退院となった.インフリキシマブが結核発症の危険因子であるのは周知の事実であるが,腸瘻を形成する症例は極めて稀であるので文献的考察を加え報告する.
    抄録全体を表示
  • 河北 直也, 澁谷 祐一, 大石 一行, 福井 康雄, 谷木 利勝, 堀見 忠司
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1727-1732
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は57歳の男性で,2001年に食道GISTに対して,食道亜全摘術施行した.腫瘍はc-kit(+),CD34(+),α-SMA(+)で最大径5cm,核分裂像は50/50HPFでありFletcher分類高リスクであった.その後は無治療で経過観察していた.2009年末頃より右上腕骨の痛みを主訴に骨腫瘍が発見され,右上腕骨切除を施行した.組織はc-kit(+),CD34(+),α-SMA(-)でGISTの転移であった.2010年8月にCTにて骨盤内に約6cmの嚢胞性腫瘤を指摘され,手術施行したところTreitz靱帯より40cmの空腸に管外発育型の嚢胞性腫瘤を認め,小腸楔状切除を施行した.組織はc-kit(+),CD34(-),α-SMA(+),核分裂像は2/50HPFで中リスクであった.核分裂像,免疫染色の結果から食道および小腸GISTが異時性に発生し,上腕骨への転移は食道が原発と考えられた.
    抄録全体を表示
  • 曽我 真伍, 家接 健一, 田畑 敏, 吉田 貢一, 酒徳 光明, 清原 薫, 杉口 俊, 寺畑 信太郎
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1733-1737
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,男性.嘔吐と腹痛および腹部膨満感を主訴に近医にてイレウスと診断され入院となった.CTで下行結腸に限局した狭窄部位を認めた.大腸癌イレウスが疑われ,内視鏡検査を施行したが明らかな腫瘤を認めなかった.注腸検査で下行結腸からS状結腸にかけて腸管の伸展不良を認めた.保存的加療を行うも症状の改善はなく,手術を施行した.術中所見でS状結腸に痙性変化が強い部分を認め,S状結腸切除術を施行した.病理検査ではAuerbach神経叢およびMeissner神経叢の萎縮を認め,後天性のsegmental hypoganglionosisを誘因としたイレウスと診断した.術後の経過は良好であり,その後同様の症状を認めていない.成人における大腸hypoganglionosisの症例は稀であり,今回手術加療が奏効した1症例を経験したので報告する.
    抄録全体を表示
  • 腰野 蔵人, 井上 雄志, 大木 岳志, 上小鶴 弘孝, 金子 由香, 山本 雅一
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1738-1742
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は55歳,女性.上行結腸癌に対して2009年8月腹腔鏡下結腸右半切除術を施行.病理所見は高分化腺癌pSS,n0,ly1,v1,pPM0,pDM0 pstage II であり,術後補助療法としてUFT/Uzel(450mg,75mg/day)を6コース行った.2011年9月頃より腫瘍マーカーのCEAが5.9ng/mlと上昇を認め,PET-CTで左上腹部のport挿入部に一致して集積を認めた.Port site recurrence疑いで2011年12月腹壁腫瘍切除術を施行した.開腹時所見にて腹膜播種所見,遠隔転移所見は認められなかった.Surgical marginを確保し腫瘍を切除,腹壁をrepairし,手術を終了とした.経過良好にて退院となった.現在再発はなく外来にて経過観察中である.今回われわれは腹腔鏡下結腸右半切除後port siteのみに再発を認めた1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
    抄録全体を表示
  • 佐藤 嘉紀, 道傳 研司, 平能 康充, 服部 昌和, 橋爪 泰夫, 海崎 泰治
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1743-1747
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    今回メッシュを用いてヘルニア手術を施行3年後にメッシュ上に腹壁再発を認めた大腸癌症例を経験したので報告する.患者は74歳の男性,2006年12月にS状結腸癌に対してS状結腸切除が施行され,その8カ月後に腹壁瘢痕ヘルニアに対しメッシュを用いたヘルニア根治術を施行された.2010年12月に臍部痛のため腹部CTを施行し腹壁再発を疑われ,診断目的に腫瘤生検を行ったところ中分化型腺癌を認めた.FDG-PETでも同部位に集積を認め,S状結腸癌の転移と診断し,Bevacizumab+IRISを2コース施行したところ腫瘍は縮小傾向を認め,再度施行したPETでも新たな転移巣は認められなかった.2011年5月に腹壁腫瘍を摘出した.摘出標本では分化型腺癌がメッシュより体表側に広がり断端は陰性であった.大腸癌の腹壁再発がメッシュ上に発生した報告例は少なく,まれな症例であると考えられた.
    抄録全体を表示
  • 木村 裕司, 岩川 和秀, 西江 学, 大塚 眞哉, 稲垣 優, 岩垣 博巳
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1748-1752
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は57歳,女性.14年前に当院で直腸癌に対し腹会陰式直腸切断術を施行された.3年前より人工肛門部に隆起病変を自覚,徐々に増大したため,当科を受診した.人工肛門部に約4cm大の不整な隆起病変を認め,生検はgroup IVであった.人工肛門部周囲皮膚を含む結腸部分切除術を施行し,同部位に人工肛門を再造設した.術後経過は良好で,1年経過した現在再発は認めていない.
    人工肛門部に癌が発生することは非常に稀ではあるが,残存大腸の長期にわたる経過観察が必要であり,また人工肛門部癌手術に際しては個々の症例に応じた配慮が必要であると考えられた.
    抄録全体を表示
  • 住吉 宏樹, 横井 公良, 牧野 浩司, 金沢 義一, 山田 岳史, 内田 英二
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1753-1758
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は44歳,男性.発熱,右季肋部痛を主訴に当院受診.白血球,CRP高値およびCTにて上行結腸癌が疑われ,また多発肝腫瘍を認めたため精査目的で入院となった.CT等の諸検査にて感染性疾患は否定的であり,大腸内視鏡検査を施行し上行結腸癌と診断.右半結腸切除術,術中肝生検を施行し,病理学的検査にてG-CSF産生大腸癌,多発肝転移の診断となった.
    術後も発熱と炎症反応高値が持続.全身状態増悪傾向であったが,本人と家族の希望があり化学療法(mFOLFOX6)を開始し,3コース目よりBevacizumabを併用した.4コース後には全身状態良好となり退院,外来にて化学療法を継続した.その後,全身倦怠感を主訴に再入院し,入院後突然の意識消失出現し広範囲脳梗塞と診断.術後約4カ月で死亡となった.
    抄録全体を表示
  • 須藤 広誠, 赤本 伸太郎, 藤原 理朗, 萩池 昌信, 岡野 圭一, 鈴木 康之
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1759-1763
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    肛門管原発の平滑筋腫はまれな疾患であり,本邦では1例の報告を認めるのみである.また本来FDG-PETで陰性であるはずの消化管平滑筋腫で異常集積を呈した報告は1例のみである.今回われわれは極めてまれであるFDG-PETで異常集積像を認めた肛門管平滑筋腫の1例を経験したので報告する.
    症例は36歳,女性.2年前より肛門部の腫瘤を自覚していた.3カ月前より腫瘤の増大を認め,頻便,便失禁を認めたため近医を受診し,精査加療目的で当院紹介受診となった.
    直腸指診で正常肛門管粘膜を介して3cmの弾性硬の腫瘍性病変を触知し,FDG-PETで腫瘍部位に一致して異常集積を認めた.手術は内肛門括約筋を一部合併切除し,3.5×2.5cmの弾性硬の腫瘍を摘出した.病理組織学的検査より内肛門括約筋から発生した平滑筋腫と診断した.術後経過は良好で,肛門機能の改善,排便障害の消失を認めた.
    抄録全体を表示
  • 早津 成夫, 津和野 伸一, 柳 在勲, 吉竹 公子, 石塚 裕人, 原 彰男
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1764-1769
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,男性.胃癌術後の経過観察中であった.定期検査の腹部CT検査にて,肝S7に8mm大の低吸収域を指摘されたが,質的診断困難で経過観察された.半年後,同部位は25mm大に増大,悪性疾患を疑い肝S7部分切除を施行した.術後病理診断で血管肉腫と診断された.腫瘍が断端陽性であったため3週間後に肝右葉切除を行った.術後2カ月で,残肝に再発をきたし,5カ月で小転移巣がびまん性に出現した.Recombinant interleukin-2(rIL-2)の持続動注療法を施行し一時的に奏効を得たが,すぐに再燃をきたし,以後経過観察とした.腫瘍は緩徐に増大を示したが長期間,全身状態は良好に保たれた.術後1年9カ月頃より腫瘍の急速な増大をきたし,肝機能障害が出現.発見から2年8カ月目に肝不全を呈し死亡した.比較的早期に切除し得たが再発死亡をきたし,肝血管肉腫の悪性度の高さが類推された.
    抄録全体を表示
  • 代市 拓也, 大塚 将之, 木村 文夫, 清水 宏明, 吉留 博之, 宮崎 勝
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1770-1773
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    乳糜腹水は生体肝移植ではまれな合併症であるが,一度発症すると長期に及び,重大な合併症を引き起こし得る.今回われわれは,生体肝移植後に乳糜腹水を合併した2例を経験した.症例1は55歳女性.原発生胆汁性肝硬変に対して生体肝移植を施行.術直後より3,000ml前後のドレーン排液を認めた.術後4週目より腹水に乳糜様の白濁を認めたため,絶食+total parenteral nutrition (TPN)管理となった.その後は絶食+TPN管理のみで徐々に軽快したが約9週間を要した.症例2は43歳男性.B型肝硬変に対して生体肝移植を施行.術直後のドレーン排液量は1,800ml程度であった.術後9日目より腹水に乳糜様の白濁を認めたため,絶食+TPN管理となった.その後,オクトレオチドの投与を開始したところ,約4週間で軽快した.オクトレオチドは生体肝移植後の乳糜腹水に対しても有効な治療手段であると考えられた.
    抄録全体を表示
  • 三浦 健太郎, 袖山 治嗣, 中田 伸司, 西尾 秋人, 町田 泰一
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1774-1778
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,女性.前医にて胆石症,急性胆嚢炎の診断で入院加療後,軽快し退院となった.胆嚢摘出術目的で当院初診となった.術前に施行した腹部造影CT,MRI検査で,胆石が胆嚢頸部に嵌頓しており,胆管後区域枝を圧迫する所見を認めた.血液検査上,肝胆道系酵素の上昇を認めていたため,Mirizzi症候群と診断した.精査のためERCPを施行したところ,胆嚢と胆管後区域枝に瘻孔を形成していた.術前にENBDチューブ挿入することで瘻孔を目視でき安全に手術を施行できた.瘻孔は胆嚢壁の一部を用いて縫合閉鎖したが,術後感染徴候などなく順調に経過した.Mirizzi症候群の術前には胆道造影検査が必須であり,また,胆嚢と胆管後区域枝の瘻孔形成は医学中央雑誌を検索した限りでは報告例はなく,瘻孔の閉鎖には胆嚢壁を利用して縫合閉鎖するという工夫が必要であった.
    抄録全体を表示
  • 猪川 祥邦, 谷口 健次, 望月 能成, 横山 裕之, 桒原 恭子, 末永 裕之
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1779-1785
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    症例1は77歳,女性.上腹部痛の精査にて肝左葉外側区域胆管後枝(B2)の胆管内に発生した胆管内発育型の胆管細胞癌と診断し,尾状葉温存肝左葉切除を施行した.切除標本では,割面で35mm大の淡黄色,軟な腫瘤を胆管内に認めた.病理所見によりintraductal papillary neoplasm of the bile duct(以下IPNB)と診断された.一部に上皮内癌を認めた.症例2は65歳,女性.発熱精査にて肝左葉外側区域胆管前枝(B3)内の粘液産性胆管癌を疑い,尾状葉温存肝左葉切除を施行した.拡張したB3内に淡黄色粘液の貯留を認めた.病理所見によりIPNBと診断された.近年,膵臓における膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)のcounterpartとしてIPNBが認識されつつある.われわれはB2およびB3に発生したIPNBの2切除例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
    抄録全体を表示
  • 石川 順英, 山岡 竜也, 西平 友彦, 西村 充孝, 井上 英信, 廣瀬 哲朗
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1786-1790
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    嚢胞状でFDG-PETで高集積を示した膵神経鞘腫の1例を経験した.症例は79歳の男性で肉眼的血尿精査目的に受診した.CTで造影効果が不均一な低吸収域を示す膵頭部腫瘍が指摘された.超音波検査では5×5cm,境界平滑,充実性と嚢胞性部分の混在する腫瘤を認め,MRIT1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号・低信号が混在して描出された.FDG-PETで膵頭部にリング状の集積を認めた.亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行し,同時に左腎盂癌とS状結腸癌の根治手術を施行した.肉眼所見は大きさ5×4.5×3cm,黄褐色で3分の2が膵実質に覆われ,内部に出血壊死や嚢胞形成を認めた.組織像は紡錘形細胞が束状に配列する領域と細胞成分が乏しく拡張した血管が多数みられる領域が混在し,免疫染色でS100陽性で神経鞘腫と診断した.まれであるが膵原発神経鞘腫は膵嚢胞性腫瘍の鑑別診断の1つに含まれるべきであると思われた.
    抄録全体を表示
  • 服部 優宏, 三野 和宏, 今 裕史, 小池 雅彦, 赤坂 嘉宣, 鈴木 昭
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1791-1796
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,男性.黄疸と心窩部不快感を主訴に受診した.CTとMRIにて,十二指腸下行脚に内腔へ突出する隆起性病変と肝内外胆管の拡張を認めた.上部消化管内視鏡では十二指腸副乳頭部に隆起性病変を認めた.ERCPで副膵管の途絶像と総胆管の圧排像を認めた.生検で低-中分化型腺癌との診断を得,十二指腸副乳頭部癌の診断で膵頭十二指腸切除術施行した.病理所見は十二指腸の副膵管領域に3.3cm大の腫瘤を形成した管状腺癌で膵,十二指腸粘膜下,下部胆管に浸潤し,脈管浸襲と神経周囲浸潤が著明でリンパ節転移も見られた.十二指腸副乳頭部に腫瘤を形成する腫瘍はカルチノイド,腺癌,神経内分泌腫瘍などの報告例が見られるがいずれも少数である.中でも副膵管領域から発生する膵管癌の報告例は少ない.副乳頭は主乳頭部とは生理的環境が異なるため,病変の発生母地と組織型を注意深く検討して治療に当たる必要がある.
    抄録全体を表示
  • 出口 幸一, 出口 貴司, 岩瀬 和裕, 玉川 浩司, 松田 宙, 島津 宏樹, 伏見 博彰, 長谷川 順一
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1797-1802
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,女性.2006年3月に直腸癌に対し低位前方切除術を施行していた.その後,2007年6月に肺転移で肺葉切除を施行した.肺切除後の補助化学療法は行われていなかったが,2011年6月にCT上膵尾部腫大を指摘され,FDG-PET検査陽性であった.膵尾部癌との診断で2011年7月に膵体尾部・脾合併切除術を施行した.病理所見では大腸腺癌の特徴を有し,膵癌で認められる神経周囲侵襲像が目立たなかったことから直腸癌術後異時性膵転移と診断した.切除対象となる大腸癌膵転移症例は原発巣切除後5年以上経過して発見されることも多く,大腸癌術後には長期にわたる経過観察が必要と考えられた.
    抄録全体を表示
  • 田中 亮, 小山 俊太郎, 塚原 明弘, 田中 典生, 下田 聡
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1803-1807
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,女性.乳癌検診精査目的のCTにて50mm大の孤立性脾腫瘤を指摘された.各種画像診断では異常所見を認めず,他臓器悪性疾患の脾転移の可能性は否定的であった.脾悪性リンパ腫を疑い,診断確定のために腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した.病理組織診断では非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認めサルコイドーシスを考えるべき所見であったが,その他の臨床所見・検査所見から診断基準は満たさなかった.しかし,今後肺病変や心病変といった他臓器に同様病変が出現することでサルコイドーシスの診断基準を満たす可能性もあり,脾サルコイドーシスと類似した病態であると考えた.サルコイドーシスは全身性疾患で,脾のみに病変を認めることは稀であり報告する.
    抄録全体を表示
  • 石野 信一郎, 砂川 宏樹, 大城 直人
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1808-1812
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    Parasitic leiomyoma とは,子宮平滑筋腫が子宮から分離し他臓器に生着するまれな疾患であり,多くは有茎性子宮漿膜下筋腫の茎が分離して発生するとされる.今回われわれは,小腸に生着し合併切除を行った parasitic leiomyoma の1例を経験したので報告する.症例は51歳女性.特に既往歴はなし.下腹部痛と腹部膨満感にて近医を受診し,腹腔内腫瘤を疑われ当院紹介となった.CTおよびMRI検査で子宮左上方に腫瘤性病変を認め,子宮筋腫や左卵巣腫瘍を疑われ手術となった.開腹すると充実性軟の褐色腫瘍が回腸と腸間膜に癒着していた.子宮や卵巣とは連続性を認めず,小腸腫瘍も否定できなかったため小腸合併切除を行った.子宮には複数の筋腫を認めた.術後病理検査でparasitic leiomyomaと診断された.
    抄録全体を表示
  • 三宅 美穂, 衣笠 章一, 足立 確郎, 吉田 優子, 殿元 康仁, 常見 幸三, 田代 敬
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1813-1816
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    回盲部腸間膜デスモイドの1例を経験したので報告する.症例は63歳男性.入院半月前から下痢が持続し,3日前から生じた右側腹部痛が増強したため当院を受診し腹部CT検査にて回盲部に膿瘍形成を指摘された.身体所見から右下腹部に限局する腹膜炎と診断し急開腹手術となり,術中所見から回盲部切除術を施行した.病理組織診断ではvimentin,β-catenin共に陽性でありデスモイド腫瘍と診断された.患者は第14病日に退院し術後23カ月経過した現在も再発を認めていない.自験例では病理検査にて切除断端陰性を確認しているが,デスモイド腫瘍は局所再発を繰り返しやすいため今後も慎重なフォローが必要である.
    抄録全体を表示
  • 青笹 季文, 森田 大作, 岡 淳夫, 帖地 憲太郎
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1817-1821
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    まれな漏出性胆汁性腹膜炎の1例を経験したので報告する.症例は59歳の男性で,突然の上腹部痛を主訴に救急搬送された.上部消化管穿孔による汎発性腹膜炎の診断で緊急開腹手術を施行した.胆嚢に結石や炎症所見はなく,胆嚢に明らかな穿孔を認めないものの,底部の菲薄化した部分から胆汁の漏出を認めた.肝臓,総胆管,上部消化管にも異常を認めず漏出性胆汁性腹膜炎と診断し,胆嚢摘出術を施行した.胆汁性腹水培養検査は陰性であり,病理組織学的検査では胆嚢底部付近の胆嚢壁の一部は菲薄化しているのみで,胆嚢に穿孔部位は同定されず,漏出性胆汁性腹膜炎に矛盾しない所見であった.本疾患は,われわれが検索したかぎりでは本邦では18例しか報告されておらず,文献的考察を加えて報告する.
    抄録全体を表示
  • 三谷 泰之, 小林 康人, 辻 毅, 落合 実, 山本 基, 那須 亨, 坪田 ゆかり
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1822-1825
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    デスモイドは腫瘍の発生および増大にエストロゲンが関与していることが報告されている.今回われわれは,産褥期に発見された腹直筋原発のデスモイドを経験したので文献的考察を加え報告する.症例は,32歳女性.出産後の1カ月検診で左鼠径部に圧痛を伴う8cm大の弾性硬の腫瘤を認め,当科紹介となった.CT検査および超音波検査で,血流に富む8×5cm大の左腹直筋と境界が不明瞭な腫瘍を認め,悪性腫瘍を疑い手術を施行した.腫瘍は左腹直筋より発生し,恥骨に癒着していた.腫瘍を含む左腹直筋とその前鞘を切除し,腹直筋欠損部はメッシュを用いて修復した.病理診断はデスモイドで,エストロゲンレセプターが陽性であった.術後経過良好で,1年の時点で明らかな再発は認めていない.
    抄録全体を表示
  • 坂元 一郎, 富沢 直樹, 清水 尚, 須納瀬 豊, 小川 哲史, 竹吉 泉
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1826-1830
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は36歳,女性,10年前に帝王切開の既往があり,その際に8cm大の子宮筋腫を指摘された.2008年9月頃から右臀部の違和感と下肢のしびれが出現し,2009年4月に当科を紹介された.CTでは,仙骨前面に13cm大の境界明瞭な腫瘤を認め,尾骨は約2/3周を取り囲まれていた.尾骨横から腫瘍生検を行い,神経節細胞腫の診断を得た.病理学的に良性腫瘍であったが,増大傾向にあり症状が出現したこと,生検所見のみでは悪性を否定できないこと,神経節細胞腫が悪性化した報告もあることから,2009年8月に手術を行った.腫瘍前面は周囲臓器との癒着は疎で,腸管の温存は可能であった.腫瘍背面は硬く,浸潤が疑われたため,第4仙骨以下を合併切除した.摘出標本は,被膜に覆われた13×9×7.5cmの充実性腫瘤で,病理組織検査では,成熟型の神経節細胞腫であったが,部分的に骨皮質の消失,骨髄への進展がみられた.
    抄録全体を表示
  • 良永 康雄, 吉田 卓義, 細井 則人, 首藤 介伸, 天野 正弘, 住永 佳久
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1831-1834
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,男性.嘔吐について近医を受診し,精査加療目的に当院紹介となった.来院時,腹部全体に軽度の膨隆と右鼠径部から陰嚢にかけて約10cmの膨隆を認めた.腹部CT上,腸管を内容とする右鼠径ヘルニアとそれを閉塞起点とする腸閉塞を認めた.右鼠径ヘルニア嵌頓による腸閉塞の診断で外来で用手整復を行った.整復後に経過観察入院としたが,3時間後に再発した.用手整復できず緊急手術を行った.外鼠径ヘルニアであり,ヘルニア内容は回腸末端,盲腸,虫垂,上行結腸の一部に及んだ.腸管に壊死所見はなく,腸切除は行わずULTRAPRO Hernia System(UHS)で修復した.術後経過は良好で術後6日目に退院した.回盲部を内容とする鼠径ヘルニアの嵌頓の本邦報告例は自験例を含めて17例であり,比較的稀な症例と考えられ文献的考察を加えて報告する.
    抄録全体を表示
  • 木下 茂喜, 江原 和男, 出石 邦彦, 佐野 貴範
    73 巻 (2012) 7 号 p. 1835-1840
    公開日: 2013/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,女性.胃癌にて近医より紹介された.
    転移検索目的の胸腹部造影CTにて,横行結腸壁肥厚,左肺尖異常陰影,右乳腺腫瘤を指摘された.胃癌と大腸癌は生検にて,乳癌は穿刺吸引細胞診にて確定診断した.肺病変はCTにて肺線癌と診断されたが,本人希望により経過観察することとなった.平成20年11月胃癌・大腸癌に対し幽門側胃切除・横行結腸切除施行.平成21年3月右乳癌に対し右乳房切除・腋窩リンパ節郭清施行.肺病変は約1年半で増大し,平成22年5月に左肺上葉切除施行.病理組織は胃:高分化環状腺癌,大腸:高分化環状腺癌,乳癌:硬癌,肺癌:混合型腺癌で,いずれも原発巣と診断され,治癒切除できた同時性4重複癌症例であった.初回手術より約3年経過したが,再発の兆候はない.
    抄録全体を表示
支部・集談会記事
編集後記
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
feedback
Top