日本臨床外科学会雑誌
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73 巻 , 8 号
選択された号の論文の57件中1~50を表示しています
原著
  • 柏木 伸一郎, 浅野 有香, 青松 直撥, 中村 雅憲, 川尻 成美, 荻澤 佳奈, 高島 勉, 小野田 尚佳, 西森 武雄, 石川 哲郎, ...
    73 巻 (2012) 8 号 p. 1855-1860
    公開日: 2013/02/25
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    目的:乳腺組織の質的な診断には,針生検(CNB)や穿刺吸引細胞診(ABC)が行われているが,感度・特異度ともに100%には至っていない.正診率を上げるために,CNB施行時に捺印細胞診を同時に行っている.CNBでは良性であるにもかかわらず捺印細胞診では悪性を疑い,Mammotome®などを追加することにより悪性の診断に至るケースもある.
    方法:乳腺腫瘤組織生検1,114症例を対象,CNBに併用した捺印細胞診の有用性を検討した.
    結果:1,114症例のうちCNB陽性549例,陰性565例であった.CNB陰性で捺印細胞診にて悪性が疑われた症例は20例であり,18例が実際に悪性であった.捺印細胞診とCNBの組み合わせにより100%の感度(567/567)と99.6%の特異度(545/547)を得た.
    結論:乳癌組織のCNBにおける捺印細胞診は,正確な治療前診断への寄与が期待できる.
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  • 内山 千恵子, 柄川 千代美, 沖代 格次, 高塚 雄一
    73 巻 (2012) 8 号 p. 1861-1868
    公開日: 2013/02/25
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    目的:乳癌におけるセンチネルリンパ節生検(SNB)の普及に伴い,微小転移が同定される症例が増加しているが,その取り扱いについてはcontroversialである.本稿では,当院における微小転移例を解析し,郭清省略の可能性について検討した.
    方法:2001年1月から2011年3月の間のSNB施行1,177例のうち,微小転移を認めた81例を対象とし,臨床病理学的背景因子,郭清の有無別に予後を検討した.
    結果:観察期間の中央値は5.6年で,郭清群(53例),非郭清群(28例)のいずれも腋窩再発はなかった.郭清群,非郭清群において5年無再発生存率は各々86.8%,82.8%(p=0.3466),全生存率は各々94.7%,100%(p=0.8948)で有意差を認めなかった.
    結論:本研究では両群間の長期予後に有意差は認めず,微小転移では症例を選択すれば腋窩郭清省略の可能性が示唆された.
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臨床経験
  • 池谷 哲郎, 池田 克実, 西口 幸雄, 福島 裕子, 井上 健, 小川 佳成
    73 巻 (2012) 8 号 p. 1869-1874
    公開日: 2013/02/25
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    乳癌の治療体制の変化と画像診断の進歩,および薬物療法の発展による予後の改善により両側乳癌は増加してきている.今回当科で1997年~2009年の期間に経験した乳癌手術例1,250例の中で両側乳癌症例32例(2.6%)を対象とし,retrospectiveに臨床病理学的因子を検討した.同時性が21例,異時性が11例であった.平均発症年齢は同時性乳癌が61歳,異時性第一癌が47.5歳で有意に異時性第一癌が若年であった.異時性第二癌ではHuman epidermal growth factor receptor type2(HER-2)の発現率が45.5%と比較的高率であった.両側乳癌においてはまだまだ不明な点も多い.さらなる症例の蓄積を行い,検討を重ねていくことが必要である.
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  • 島田 守, 門田 和之, 岡 博史, 李 喬遠, 権 五規, 平川 富夫
    73 巻 (2012) 8 号 p. 1875-1881
    公開日: 2013/02/25
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    当院では左側大腸癌イレウスに対して術前に金属ステント留置を行い,一期的な待機手術を行っているので報告する.対象:2006年7月より2011年10月までの49症例.年齢は51歳~86歳.性別は男性24例,女性25例.結果:ステント留置の契機はイレウス発症41例,内視鏡検査にて高度狭窄6例.部位は,横行結腸3例,下行結腸9例,S状結腸27例,直腸10例.ステント留置は,49例中45例(91.8%)に成功.成功例の内,ステントの位置不良,ステント留置後穿孔,ステントの閉塞により緊急手術となった症例が各1例あり,ステントが有効であったのは49例中42例(85.7%).ステント留置成功例では食事を開始.また,術前に狭窄部の口側の検索を注腸または内視鏡で施行.手術までの平均日数は,イレウス症例11.7日,高度狭窄例8.5日.癌の深達度はA/SS 26例,SE 14例,SI 9例.進行度は,Stage II 17例,Stage IIIa&b 13例.StageIV 19例.ステント減圧有効例では,42例中39例(92.9%)で一期的な待機的手術が可能.結論:金属ステント留置術は,減圧や留置後の患者のQOLが良好であった.
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症例
  • 石黒 友唯, 山本 貢, 細田 充主, 田口 和典, 高橋 弘昌
    73 巻 (2012) 8 号 p. 1882-1886
    公開日: 2013/02/25
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    原発性副甲状腺機能亢進症は2,500~5,000人に1人の割合で発見されうるが,妊娠に合併した症例は非常に稀である.今回,妊娠適例期に手術し,胎児に合併症なく出産を終えたので報告する.
    38歳,女性.2008年11月に微熱,体調不良にて近医を受診し,血清カルシウム値,intact-PTHの異常高値を認め,超音波検査,CTにて右および左下副甲状腺腫大による副甲状腺機能亢進症と診断された.本人の都合で経過観察をしていたが,妊娠を契機に当科紹介となり,2010年8月(妊娠24週4日目)に副甲状腺全摘術(一部筋肉内移植)を施行,同年12月に出産を迎え母児ともに合併症もなく経過している.
    妊娠に本症を合併した症例は流産,死産,未熟児,新生児テタニーなどの障害を高率に引き起こすとされる.妊娠中の高カルシウム血症や新生児テタニーを認めた場合には,本症の存在を念頭に置いて診断を進める必要がある.
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  • 丸野 要, 渡部 真人, 渋谷 健太郎, 杉山 保幸, 水口 國雄
    73 巻 (2012) 8 号 p. 1887-1895
    公開日: 2013/02/25
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    症例1は46歳,女性.1年以上前から右乳房腫瘤に気付いており,平成22年5月当科外来を受診した.右乳房のCAE領域に10×7.0cmの硬で表面不整境界明瞭な腫瘤を,右腋窩に径2.0cm大のリンパ節を触知した.針生検にてsolid-tubular carcinomaと診断した.NAC施行後,11月に右胸筋温存乳房切除術・右腋窩リンパ節郭清を施行した.症例2は67歳,女性.1年前から右乳房腫瘤に気付いており,平成22年6月当科外来を受診した.右乳房のA領域に1.8×1.7cmの硬で表面不整境界不明瞭な腫瘤を触知した.針生検にてsolid-tubular carcinomaと診断した.7月に右乳房温存手術・センチネルリンパ節生検を施行した.両症例とも,病理組織検査所見では充実性胞巣状構造を呈しロゼット様の細胞配列を示し,Grimelius染色にて好銀性顆粒を認めた.免疫組織化学ではchromogranin A,synaptophysin,CEAが陽性であり,電顕所見では高電子密度の分泌顆粒を多数認めた.核異型度が高くクロマチンが増量しており細胞配列が乱れていることより,非典型カルチノイドと診断した.乳腺原発のカルチノイドは,本邦では1982年のKanekoらの報告以来自験例を含めて33例が報告されている.その内非典型カルチノイドの組織型を呈する症例は自験例を含めて8例であった.乳腺原発の非典型カルチノイドの2例を経験したので報告する.
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  • 蔵下 要, 宮里 恵子, 村井 美知子
    73 巻 (2012) 8 号 p. 1896-1901
    公開日: 2013/02/25
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    症例は53歳の女性で左乳房腫瘤を主訴に来院した.
    マンモグラフィ,乳房超音波検査にて左C領域に15mm大の比較的境界明瞭な腫瘤陰影を認め,カラードップラー検査,造影CT,造影MRIでは腫瘍内に極めて豊富な血流の存在を示す所見を認めた.細胞診では血液成分主体で上皮成分に乏しく判定不可となった.以上より乳腺血管性腫瘍の可能性が高いと判断し乳腺腫瘍摘出術を行った.術後の病理で乳腺毛細血管腫と診断された.乳腺血管性腫瘍はマンモグラフィや超音波検査では特徴的な所見に乏しく,乳癌との鑑別には腫瘍内血流を判断できる検査が有用であると考えられる.また乳腺血管腫と血管肉腫の鑑別は経皮的針生検や部分生検での確定診断は困難であり,術前に画像診断で血管性腫瘍が疑われた場合には積極的に腫瘍摘出術を行い,腫瘍全体を詳細に検索することが重要であると考えられた.
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  • 深澤 敏男, 岡本 廣挙, 川島 健司, 若菜 弘幸, 石川 仁, 小林 純哉, 山根 徹
    73 巻 (2012) 8 号 p. 1902-1907
    公開日: 2013/02/25
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    原発性胸腺癌との鑑別を要し,治療に反応し長期寛解した乳癌術後巨大孤立性転移性縦隔腫瘍を経験した.症例は65歳女性.54歳時に左乳癌にて手術を施行されている.主訴は頸部の腫脹のみ.画像上頸部から中縦隔にかけての最大径9.8cm×長軸19.6cmの巨大な孤立性腫瘍を認めたが,周囲への浸潤・リンパ節転移はなく,反回・横隔神経麻痺や大血管・食道の狭窄症状を認めなかった.生検にてHER-2陽性の低分化な上皮性腫瘍であった.当初縦隔原発腫瘍を考えたが,後日乳癌組織との比較で転移性縦隔腫瘍と診断した.放射線治療後化学療法(ADOC)を施行し部分寛解(以後PR)となり,その後トラスツズマブに変更し,完全寛解(以後CR)となった.治療開始後3年となるが,CRを保っている.
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  • 徳毛 誠樹, 牧原 重喜
    73 巻 (2012) 8 号 p. 1908-1913
    公開日: 2013/02/25
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    症例は86歳,男性.非結核性抗酸菌症の治療歴があり,右緊張性気胸を発症して前医に緊急入院となった.胸腔ドレナージを施行されるも気漏が遷延するため,発症5日目に当院に転院となった.全身状態が不良であるため早期の手術は回避し,胸膜癒着術を4回施行したが気漏は停止しなかった.喀痰,胸水の培養検査いずれからもMycobacterium intracellulareが検出され,胸部CT検査では右中葉の非結核性抗酸菌症の病巣が胸膜を穿破していると推測された.そこで,肺瘻部は右中葉と予測し,入院30日目に全身麻酔下の手術を実施した.予測病巣近傍の小開胸創から胸腔鏡補助下に肺瘻を同定し,フィブリン糊とポリグリコール酸フェルトを用いて閉鎖した.非結核性抗酸菌症に続発した気胸は難治性とされるが,肺瘻部がある程度特定される場合には,耐術可能な範囲での手術療法が時期を逸せず考慮されるべきと考えられた.
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  • 有村 隆明, 境澤 隆夫, 小沢 恵介, 西村 秀紀
    73 巻 (2012) 8 号 p. 1914-1919
    公開日: 2013/02/25
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    症例は54歳,男性.職場検診の胸部X線写真で右下肺野に孤立性陰影を認めた.胸部CT検査は右S10に32×23mmの境界明瞭で辺縁整な腫瘤を認め,胸部MRI検査では腫瘤内部の嚢胞成分が確認された.FDG-PET検査はSUV値43と非常に高い集積を認めた.気管支鏡検査で診断に至らなかったが悪性腫瘍を疑い右下葉切除術を行った.腫瘍は非常に柔らかく嚢胞を形成していた.病理組織では炎症細胞浸潤を伴う線維芽細胞の増殖を認め,免疫組織化学的染色ではVimentine陽性,SMA陽性,keratine陰性であり炎症性筋線維芽細胞腫瘍と診断した.ALKは陰性であった.肺原発の炎症性筋線維芽細胞腫瘍はまれであり,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 金田 好和, 佐村 誠, 金山 靖代, 岡崎 充善, 野島 真治, 善甫 宣哉
    73 巻 (2012) 8 号 p. 1920-1923
    公開日: 2013/02/25
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    症例は78歳,女性.主訴は胸部X線写真上の異常陰影である.早期胃癌の術前精査目的で撮影された胸部X線写真にて左肺に異常陰影を指摘された.精密検査が施行され,左下葉肺腺癌(cT1bN0M0,stageIA)と診断されたため,完全胸腔鏡下左下葉切除術(ND2a-1)が施行された.術中所見にて上肺静脈と上葉気管支の間を走行し,下葉に流入する分岐異常を認めたため,これを二重結紮の後切離した.術後の画像検索にて肺底区動脈(A9)が左主肺動脈の第1枝として分岐していることを確認した.左肺底区動脈が左主肺動脈から分岐する変異は非常に稀で,われわれが検索したところ本症例は本邦で4例目である.
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  • 手島 仁, 亀井 尚, 三田村 篤, 中村 崇宣, 里見 進
    73 巻 (2012) 8 号 p. 1924-1928
    公開日: 2013/02/25
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    食道悪性腫瘍の中でも極めて稀な食道悪性末梢神経鞘腫を経験したので報告する.症例は64歳女性.胸部レントゲンで上行大動脈の拡大を指摘され精査加療を行った.CTにて後縦隔に80×75×40mm大の腫瘍を認め,EUS-FNAにて神経原性腫瘍が疑われた.手術は胸腔鏡下食道切除を行い,再建は後縦隔経路にて胃管による再建を行った.腫瘍細胞は紡錘形で索状に増生し,免疫組織化学染色でS-100蛋白陽性であったことから神経原性腫瘍であるschwannomaとMPNSTが鑑別診断として考えられたがKi-67標識率が8%を超える領域があったことから低悪性度のMPNSTと診断した.いずれのリンパ節には転移を認めなかった.術後2年間再発無く経過観察中であるが食道悪性末梢神経鞘腫の予後は不明であり,再発の可能性も考えられるため十分な経過観察が必要であると考えられる.
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  • 杉本 卓哉, 草薙 洋, 阿部 大, 深澤 基児, 加納 宣康
    73 巻 (2012) 8 号 p. 1929-1932
    公開日: 2013/02/25
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    胃軸捻転症に対する腹腔鏡手術は低侵襲手術として報告例が増加している.今回われわれは,腹腔鏡手術において,より簡便な方法で胃固定術を施行した2例を経験したので報告する.1例目はるいそうの著しい高齢男性で,臓器軸性の胃軸捻転と診断した.腹壁が非常に薄かったため,腹壁の小切開創から腹腔内に糸針を通した.胃壁を通した後に同じ創から体外に糸針を通した.同様の操作を3カ所で行い,胃と腹壁を確認しながら体外結紮し,固定した.2例目は高齢女性で,腸間膜軸性の胃軸捻転と診断した.腹腔鏡下に胃壁を縫った後,糸断端を,EndocloseTMを用いて皮膚小切開を通して体外に導き出し,1例目と同様に体外で結紮した.この2通りの方法は,体外結紮することで手技が容易であり,胃と腹壁の関係を確認しながら固定ができる利点があると考えられた.
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  • 平賀 雅樹, 小野 文徳, 大村 範幸, 佐藤 学, 山村 明寛
    73 巻 (2012) 8 号 p. 1933-1937
    公開日: 2013/02/25
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    患者は79歳,男性.外傷による脳器質性精神障害,認知症として精神科で投薬を受けていた.突然の心窩部痛と腹部膨満を訴え血圧が低下したために当科紹介となった.腹部膨満が著明で,圧痛,反跳痛,筋性防御を腹部全体に認めた.CTでは著明なfree air,胃拡張,食物残渣貯留,胃前壁内のガス像を認めた.胃拡張に伴う胃穿孔による急性汎発性腹膜炎と診断し,緊急開腹手術を施行した.胃体部前壁大彎の広範囲に壊死を認め,その内部に大彎線に平行に約10cmの漿膜筋層損傷と直径約1cmの穿孔を認めた.この壊死部周囲の胃体部前壁は蒼白であったが,胃体部後壁,噴門部および幽門部には異常を認めなかった.胃内部には多量の食物残渣を認めた.胃全摘術を施行し,術後大きな合併症を認めず術後約2カ月で前医へ転院となった.急性胃拡張に伴う胃破裂は報告が少なく,文献的考察を加えて報告する.
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  • 白石 謙介, 輿石 直樹, 岡崎 護, 木嶋 泰興
    73 巻 (2012) 8 号 p. 1938-1944
    公開日: 2013/02/25
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    症例は61歳,男性.食欲不振を主訴に来院.著明な白血球増多54,300/ulを認め,精査のため入院となった.上部消化管内視鏡検査にて胃体上部後壁中心とした1型病変を認め,低分化腺癌と診断した.術前検査で血清G-CSF値229.0pg/mlと高値を示した.腫瘍からの出血が持続,止血困難なため,胃全摘術,膵体尾部脾合併切除術を施行した.術後3カ月で局所再発,多発肝転移,多発肺転移を認め,化学療法を施行するも術後177日目に死亡した.G-CSF産生胃癌は比較的まれとされており,本邦の報告例の文献的考察を加え報告する.
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  • 松下 明正, 藍澤 喜久雄, 家里 明日美, 熊木 俊成
    73 巻 (2012) 8 号 p. 1945-1949
    公開日: 2013/02/25
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    症例は83歳,男性.胃食道逆流症に対してプロトンポンプ阻害薬(PPI)を服用中に早期胃癌を発見され,腹腔鏡補助下幽門側胃切除術を受けた.術後15日目に嚥下困難をきたしたため,上部消化管内視鏡検査を行ったところ,下部食道に互いに癒合した白苔がみられ,粘膜には充血と潰瘍を伴うGrade III(Kodsiの分類)のカンジダ食道炎が認められた.ただちにMiconazoleの経口投与を開始したが,ショックを伴う発熱がみられ,血液培養ではカンジダが同定された.以後はFosfluconazoleの全身投与が14日間行われ,軽快退院となった.食道カンジダ症の発症には,細胞性免疫の低下,悪性腫瘍,糖尿病,抗生物質の投与などが関連しているが,胃酸分泌低下もその一因とされている.本症例の場合,長期投与されていたPPIと胃切除による胃酸分泌の低下と免疫低下が食道カンジダ症およびカンジダ敗血症の発症に関与した可能性が示唆された.
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  • 石垣 和彦, 道清 勉, 遠藤 俊治, 奥山 正樹, 福地 成晃, 西嶌 準一
    73 巻 (2012) 8 号 p. 1950-1953
    公開日: 2013/02/25
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    症例は65歳,男性.2010年10月初旬,胃癌に対して胃全摘術・Roux-Y(以下R-Yと略す)再建を施行した.11月下旬,朝食後右上腹部痛が出現し,来院,CTにて輸入脚の拡張を認め,R-Y吻合部狭窄による輸入脚症候群を疑い,再開腹術を施行した.挙上空腸と横行結腸が腹壁と強固に癒着し,蛇行を認めた為に癒着剥離を行い,術中,経口的内視鏡を術者が用手的にR-Y吻合部まで進め,R-Y吻合部膜様狭窄の内視鏡的バルーン拡張術を施行した.術後1年6カ月の現在まで再狭窄は認められていない.
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  • 遠藤 俊治, 吉川 幸伸, 畑中 信良, 小関 萬里, 阪尾 淳, 倉岡 和矢, 谷山 清己, 上池 渉
    73 巻 (2012) 8 号 p. 1954-1959
    公開日: 2013/02/25
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    症例は70歳,男性.貧血のため当院を紹介受診した.上部消化管内視鏡検査で胃幽門前庭部大弯前壁寄りに2型腫瘍を認め,生検で高分化管状腺癌ないし乳頭腺癌の診断を得た.腹部CTで他臓器転移を認めなかった.幽門側胃切除術D2リンパ節郭清を行った.病理組織学的検査では胃粘膜から固有筋層にかけて,大型,不整形胞巣を形成して浸潤する内分泌細胞癌を認めた.腺癌と共存し,移行像も見られた.3b番6番リンパ節に計5個の内分泌細胞癌の転移を認め,pT2 (MP) pN2 pM0 pStage IIB(胃癌取扱い規約第14版)と診断した.術後補助化学療法は行わず,再発なく経過していたが,術7年3カ月後に誤嚥性肺炎で死亡した.胃内分泌細胞癌はまれな疾患で,悪性度が極めて高く,早期より遠隔転移をきたし予後不良とされている.われわれは7年を超える長期生存が得られた1例を経験したので文献的考察を加え報告する.
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  • 原田 洋明, 山下 芳典, 竹中 千恵, 三隅 啓三, 畑中 信良, 倉岡 和矢, 谷山 清己
    73 巻 (2012) 8 号 p. 1960-1964
    公開日: 2013/02/25
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    症例は55歳,男性.噴門部胃癌に対して2004年に胃全摘術が施行された.2007年に孤立性肺結節を2カ所認め切除し,病理組織学的に胃癌の肺転移と診断された.さらに2008年に副腎腫瘍を切除し,やはり胃癌の転移と診断された.1年間のTS-1内服化学療法を行った後,経過観察中であったが,2010年に右肺S5と左肺S9に孤立性肺結節を認め,化学療法を再開し1年間経過観察した.いずれの結節も増大したが,他の部位に新たな病変の発生を認めなかったため切除術を施行し,いずれも胃癌の肺転移と診断された.胃癌術後の異時性多発肺転移および単発副腎転移を各々切除することにより長期生存を得た極めてまれな症例として報告する.
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  • 宮崎 真一郎, 太田 学, 神谷 欣志, 馬場 聡, 今野 弘之
    73 巻 (2012) 8 号 p. 1965-1969
    公開日: 2013/02/25
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    症例は62歳,女性.1999年,52歳時にStage IIIAの胃癌に対し胃切除術を施行された.術後5年まで再発所見なく経過したが,2009年12月,右肩痛,紫斑,全身倦怠感が出現し,他院でALP高値および凝固異常を指摘され当科に入院した.血液検査でDICの所見,骨シンチでsuper bone scanを呈した.FDG-PETでは他部位に異常集積がなく,胃癌播種性骨髄癌症と診断した.MTX/5-FU療法を3回施行したがDICから離脱できず,急性硬膜下血腫を併発し入院後31日目に永眠された.剖検にて,胃癌骨髄転移の確定診断を得た.癌は骨髄以外の多臓器にもびまん性に認めた.播種性骨髄癌症は,固形癌が骨髄に転移をきたしDIC等種々の血液学的異常を引き起こす予後不良な病態である.術後長期経過し発症した症例で,剖検が得られた症例は稀少である.過去の剖検例をまとめ文献的考察を加えて報告する.
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  • 藤元 治朗, 鈴村 和大, 黒田 暢一, 飯室 勇二, 矢田 章人, 中正 恵二
    73 巻 (2012) 8 号 p. 1970-1973
    公開日: 2013/02/25
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    症例は74歳,男性.1年前に十二指腸ポリープの診断にて開腹下でポリープ切除術を近医にて施行.経過観察のための上部消化管内視鏡を施行したところ,十二指腸下行脚に不整な隆起性病変を認め,生検したところ高分化型腺癌であったため,加療目的に当科紹介入院となった.十二指腸癌の診断にて幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本では腫瘍は副乳頭部に存在しており,病理組織学的検査では高分化型腺癌であったため,副乳頭部癌と診断した.術後約3カ月の現在,無再発生存中である.十二指腸副乳頭部癌は極めてまれな疾患であり,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 天野 隆皓, 永岡 栄, 風間 義弘, 酒井 敬介
    73 巻 (2012) 8 号 p. 1974-1978
    公開日: 2013/02/25
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    症例は66歳,日本人女性.在住先のインドネシアで十二指腸球部異物を摘出.その後,イレウスを呈したが保存的加療で軽快.しかし,下腹部の鈍痛が改善せず,1カ月後に帰国し当院を受診した.右下腹部に軽度の圧痛を認め,可動性良好な腫瘤を触知した.異物誤飲歴を有しており,症状との関連が示唆されたため,直ちに単純CTを撮影した.右骨盤内の回腸内に約6cmのhigh densityな線状陰影を認め,先端は腸間膜へ達しており,周囲の脂肪織濃度上昇を伴っていた.異物による消化管穿孔・炎症性腫瘤と診断.局在と腫瘤形成状態から内視鏡的摘出は困難と判断し回腸部分切除を行った.腸管内異物は爪楊枝であった.異物による消化管穿孔の診断は,異物誤飲の可能性も念頭に置いて問診・診察しなければ確定診断に至ることは困難である.今回,異物誤飲を想起したことで早期診断しえた爪楊枝による消化管穿孔の1例を経験したので報告する.
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  • 今村 一歩, 金高 賢悟, 伊藤 信一郎, 平原 正隆, 黒木 保, 江口 晋
    73 巻 (2012) 8 号 p. 1979-1982
    公開日: 2013/02/25
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    症例は78歳,男性.入院時より嚥下機能低下から誤嚥性肺炎を繰り返しPerformance Status低下,高度低栄養の状態.肺癌,食道癌,進行胃癌疑いにて治療予定されるも全身状態改善を優先するため腸瘻造設術を施行.術後10日目の胸腹部単純CTにて腸瘻施行同部位にtarget signを認め腸重積が疑われた.透視下にて解除行うもその7日後に再重積をきたしたため開腹にて腸重積整復を施行.開腹所見では腸瘻刺入部から10cm肛門側の位置から20cmに渡り腸重積を認め腸切除を行うことなく徒手整復可能であった.経過良好にて術後29日目に退院.腸瘻造設術に関連した腸重積は非常に稀な合併症であるが,本症例は低栄養患者での菲薄化した腸管,腸瘻造設手技,短期間での複数回の開腹歴が要因となり2回に及ぶ腸重積をきたしたものと考えられた.腸瘻造設術に関連した稀な腸重積症の1例を経験したため文献的考察を加え報告する.
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  • 富塚 龍也
    73 巻 (2012) 8 号 p. 1983-1986
    公開日: 2013/02/25
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    症例は60歳,男性.突然の嘔吐腹痛出現.次第に増悪し当院受診.X線写真上著明な腸管拡張あり緊急入院.手術既往なくCT上,上腸間膜動脈中心にwhirl signを認めた.小腸軸捻を疑い緊急手術施行.開腹所見は漿液性の腹水を少量認め小腸は全体に拡張著明.上腸間膜動脈を中心として小腸間膜が反時計回りに270°回転し軸捻,虚血に陥っていた.壊死には至っておらず軸捻を解除し小腸を全検索すると回腸末端より約10cm口側に4×2cm大の腸管内異物があり,腸切開して摘出.海藻類が一塊となったものであった.食餌性イレウスを契機とした小腸軸捻と診断した.後日患者より2日前に昆布を使った料理を摂取したことを聴取した.小腸軸捻の報告は散見されるが食餌性イレウスを原因とした小腸軸捻の報告は自験例を措いて他になく非常に稀な症例と考える.文献的考察を加え報告する.
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  • 後藤 拓郎, 大西 啓祐, 佐藤 卓, 二瓶 義博, 五十嵐 幸夫, 片桐 茂
    73 巻 (2012) 8 号 p. 1987-1992
    公開日: 2013/02/25
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    症例は22歳,男性.突然の下腹部痛を主訴に来院.腹部・CT所見から下部消化管穿孔の診断で緊急手術を施行.S状結腸穿孔を認めHartmann手術を行った.家族歴はなかったが,幼少時より皮下出血や指関節過進展,皮膚の血管透過性などを認め,術中脆弱な組織を認めたことから血管型Ehlers-Danlos症候群(以下EDS)と考えられた.術後34日目に突然の腹痛をきたし,再穿孔と判断し緊急手術を施行した.ストーマ口側に穿孔部を認め,穿孔部切除・横行結腸ストーマを造設.術後,集中治療を要したが,保存的に軽快した.皮膚生検を行い遺伝子検索で確定診断を得た.
    EDSは結合組織の脆弱性をきたす遺伝性疾患で,血管型は動脈解離・破裂,消化管穿孔などを呈する最も重篤な型である.若年者の下部消化管穿孔では本疾患の可能性も考慮し,身体所見に着目すべきである.また,腸管吻合は再穿孔の可能性もあり行うべきではない.
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  • 長谷部 圭史, 平松 聖史, 佐伯 悟三, 岡田 禎人, 雨宮 剛, 新井 利幸
    73 巻 (2012) 8 号 p. 1993-1997
    公開日: 2013/02/25
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    今回われわれは,卵巣腫瘍と術前診断したが,手術所見では壁外に有茎性発育する小腸GISTであった症例を経験したので報告する.症例は65歳,女性.腹部膨満感を自覚し,近医を受診,精査目的にて,当院紹介となった.腹部超音波検査・骨盤MR検査にて,骨盤内に7.5cmの腫瘍性病変を認めた.子宮に近接していたので卵巣腫瘍と診断,手術を施行した.術中所見で,腫瘍は,卵巣由来ではなく,小腸由来であることが判明,壁外へ有茎性に発育していた.周囲への浸潤はなく,小腸部分切除術を施行した.病理組織学的にKIT陽性で小腸GISTと診断した.壁外性に有茎性発育する小腸GISTは極めてまれであり術前診断も困難であるが,骨盤内腫瘍性疾患の1つとして念頭に置くべきである.
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  • 山本 隆嗣, 倉島 夕紀子, 大畑 和則, 橋場 亮弥, 田中 肖吾, 上西 崇弘
    73 巻 (2012) 8 号 p. 1998-2001
    公開日: 2013/02/25
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    症例は半年前に盲腸結核の治療歴のある51歳男性で2カ月前に下部消化管内視鏡検査で盲腸部の瘢痕治癒が診断されていた.右下腹部痛で来院,WBC上昇と,CT・超音波検査で虫垂と盲腸に密着する径2cmの嚢胞性病変を盲腸に認めた.翌日,腹痛は消失しWBCは正常化した.盲腸壁外に発育する嚢胞性腫瘍で盲腸結核に関連する何らかの病態が疑われたが鑑別診断に至らず,患者のインフォームド・コンセント後,回盲部切除を施行した.病変は虫垂とBauhin弁間の盲腸壁が肥厚瘢痕化し,一部が輪状狭窄して盲腸壁が嚢胞様に変形したものであった.大腸結核は地図状潰瘍から生じる不規則な瘢痕や偽憩室などの変化をきたす症例がほとんどであるが,小腸に起こる様な輪状狭窄変化が盲腸に生じ,この様な変化をきたしたのではないかと考えられた.輪状狭窄は大腸結核では極めてまれな病態だが,念頭におくべき病態と考えられた.
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  • 松田 達雄, 大谷 すみれ, 柳 在勲, 早津 成夫, 石塚 裕人, 原 彰男
    73 巻 (2012) 8 号 p. 2002-2006
    公開日: 2013/02/25
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    症例は67歳,男性.腹痛を主訴に来院し,精査の結果S状結腸癌による大腸閉塞と診断した.経肛門イレウス管を挿入し腸管減圧後,S状結腸切除術を施行した.術後経過は良好であったが,第8病日より下血,腹腔内出血,筋肉内出血,皮下出血などが認められるようになった.各種凝固検査でPT正常,APTTの延長,第VIII因子活性の低下,第VIII因子インヒビターを認め後天性血友病Aと診断した.第VIII因子製剤とステロイド投与を開始し,他院血液内科に転院とした.その後ステロイド単独,サイクロスポリン単独無効でシクロフォスファミドとステロイドの併用療法で部分寛解し救命することができた.後天性血友病は極めてまれではあるが,死亡率が高く重篤な疾患である.悪性腫瘍との合併も報告されており,われわれ外科医も原因不明の出血傾向を認めた場合本症を念頭に置いた診療が必要と考える.S状結腸癌術後に後天性血友病Aを発症し,救命しえた1例を経験したので報告する.
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  • 中村 一郎, 清水 智治, 目片 英治, 遠藤 善裕, 園田 寛道, 谷 徹, 石田 光明
    73 巻 (2012) 8 号 p. 2007-2013
    公開日: 2013/02/25
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    症例は44歳,男性.肛門周囲膿瘍で3回切開排膿の既往がある.前医で肛門縁の左背側に約5×3cmの腫瘤と下血を認め肛門周囲膿瘍と診断され,下部消化管内視鏡検査でS状結腸癌を認めた.当院入院時には肛門部腫瘤は約4×2cmと縮小傾向であり,腫瘤を伴う痔瘻と診断した.S状結腸切除術D3郭清,肛門部病変にcoring outを行った.術後診断でS状結腸癌はStage IIIbと診断され,原発巣と肛門部病変から中分化型腺癌を認めた.原発巣から管腔内を移動した癌細胞が痔瘻内で生着増大した可能性が示唆された.術後補助化学療法と肛門部病変への放射線治療を行い,4年9カ月再発を認めていない.転移性痔瘻癌は比較的まれであり,国内外で33例が報告されている.硬結を伴う痔瘻では組織学的診断が必要となる可能性があることと痔瘻内に癌を認めた際,原発性痔瘻癌のみでなく転移性痔瘻癌の可能性も考慮する必要があることが示唆された.
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  • 佐藤 直哉, 北村 正敏, 菅野 博隆, 後藤 満一
    73 巻 (2012) 8 号 p. 2014-2020
    公開日: 2013/02/25
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    症例は75歳,男性.急性発症の発熱および上腹部痛を主訴に来院した.腹部全体が板状硬で腹膜刺激症状を呈し,腹部造影CTにてfree airおよび肝右葉後区域S6内部にガス像を含む3cmのlow density areaを認めた.ガス産生性肝膿瘍破裂による急性腹膜炎と診断し,緊急開腹ドレナージ術を施行した.腹水細菌培養検査にてClostridium perfringens(以下C. perfringensと略記)が同定された.術後経過は良好で,第27病日に軽快退院した.同菌によるガス産生性肝膿瘍はまれであるが,溶血を合併すると予後不良となり,特にガス産生性肝膿瘍を認める場合には注意が必要である.本症例は発症後比較的短時間で治療しえたため,救命できたものと考えられた.C. perfringensに起因する肝膿瘍の1例を経験したため,病態と治療法につき文献的考察を加えて報告する.
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  • 平田 建郎, 光辻 理顕, 音羽 泰則, 横山 邦雄, 島田 悦司, 藤田 昌幸
    73 巻 (2012) 8 号 p. 2021-2026
    公開日: 2013/02/25
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    症例は90歳,女性.平成23年9月に発熱,食欲不振にて他院を受診した.精査目的で施行したCTで,緊満する胆嚢と肝外性に発育する腫瘍を認め,当院を紹介された.腹部造影CT検査,腹部造影MRI検査では,肝内側下区域より肝外に懸垂状に発育する約6cmの腫瘍を認め,腫瘍により胆嚢,十二指腸は圧排されていた.肝外発育型の非B非C型肝細胞癌と診断し,肝臓の一部とともに腫瘍を切除した.病理組織診断は,単純結節型で,中分化の肝細胞癌であった.非癌部に肝硬変の所見は認めなかった.術後は,合併症なく,第18病日で独歩退院となった.超高齢者の肝切除手術の場合,手術による侵襲を十分考慮する必要がある.全身状態が良好な場合,適応を厳密に考慮すれば,超高齢であっても積極的に外科切除を選択して良いと考えられた.
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  • 馬場 活嘉, 新上 浩司, 宇治 祥隆, 山口 方規, 高尾 貴史, 入江 康司
    73 巻 (2012) 8 号 p. 2027-2034
    公開日: 2013/02/25
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    症例は82歳,女性.慢性B型肝炎の経過観察中に肝外側区域より突出する肝外発育型肝細胞癌を認めた.診断当初は他臓器浸潤や脈管侵襲,肝内転移を認めなかったが,無症状であったため治療を希望されず経過観察となった.しかし,診断後5カ月ほどして徐々に倦怠感や食思不振が出現してきたため,手術を行う方針となった.術前のCTでは,尾状葉(Spiegel葉)への肝内転移を認め,腫瘍は直接脾臓へ浸潤し,門脈左枝には腫瘍栓を認めた.肝予備能はLiver damage Bと不良であったが,左葉の大部分を腫瘍が占拠していたことから耐術可能と判断し,拡大肝左葉切除と脾臓合併切除を行った.術後,肝動注補助化学療法を約1年間行い,術後約2年経過した現在も無再発生存中である.肝外発育型肝細胞癌の脾臓への直接浸潤に関する報告は検索しえた限りでは2例のみと極めて稀であり,文献的考察を加え報告する.
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  • 中山 健, 松尾 亮太, 池田 治, 奥田 洋一, 大河内 信弘
    73 巻 (2012) 8 号 p. 2035-2039
    公開日: 2013/02/25
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    症例は83歳,女性.心窩部痛を主訴に受診した.血液検査で炎症反応や肝胆道系酵素の上昇は認めなかった.腹部CT検査では,胆嚢は緊満し,胆嚢体部粘膜下に著明な浮腫を認めるとともに,頸部に組織が収束するような像を認めた.胆嚢捻転症と診断し,緊急腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.胆嚢はGross I型の遊走胆嚢で反時計回りに180度捻転していた.頸部およびCalot三角はほぼ正常であったため,手術は比較的容易に施行しうると判断し,右季肋部細径鉗子を用いた単孔式で手術を行った.手術時間は60分で,術後は良好に経過し第7病日に退院した.
    胆嚢捻転症は遊走胆嚢に発症し,かつ頸部の炎症は軽度であることが多いため腹腔鏡下胆嚢摘出術の良い適応であるとする報告が多い.今回われわれは発症早期の胆嚢捻転症に対し,単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術を安全に施行することができたため報告する.
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  • 柴崎 晋, 戸井 博史, 津田 一郎, 中村 貴久, 長谷 泰司
    73 巻 (2012) 8 号 p. 2040-2044
    公開日: 2013/02/25
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    中等度の急性胆嚢炎に対し経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD)を施行し,待機的腹腔鏡下胆嚢摘出術後PTGBD瘻孔部から胆汁瘻をきたした2例を経験したので報告する.症例1は75歳女性.当院通院中に右季肋部痛と黄疸,肝機能障害を認めた.CTで中等度急性胆嚢炎と診断し,PTGBDを施行した.炎症所見の改善を認め,18日後に待機的に手術を施行した.症例2は66歳女性.右下腹部痛を主訴に当院を受診.US/CTにて中等度急性胆嚢炎と診断し,PTGBDを施行した.症状や炎症所見は改善し9日後に待機的に手術を施行した.2例とも術翌日のドレーンから胆汁排出を認め,内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(ENBD)留置後の胆道造影にてB5末梢部より胆汁漏出を認めた.どちらも数日で胆汁流出が収まり,ドレーンを抜去後退院した.PTGBD施行例では刺入部の末梢胆管より胆汁瘻が起こる可能性があり,注意が必要と考えられた.
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  • 寺川 裕史, 中沼 伸一, 芳炭 哲也, 岩田 啓子, 経田 淳, 桐山 正人
    73 巻 (2012) 8 号 p. 2045-2049
    公開日: 2013/02/25
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    症例は79歳,男性.2009年10月,急性胆嚢炎に対し腹腔鏡下胆嚢摘出術が施行され,術後経過良好で第7病日に退院した.退院後は内科で糖尿病の治療を受けていた.2011年3月,右側腹部痛を認め当科を受診した.腹部CT検査で右側腹壁に径11cmの膿瘍を認め,膿瘍内に金属片を認めた.金属片は形状から,前回手術時の結紮クリップ(以下,クリップ)と考えられた.膿瘍は経皮的穿刺ドレナージで消失したがクリップによる膿瘍の再燃が危惧されたためクリップ摘出術を行うこととした.腹部超音波検査にてクリップの位置を確認しX線透視下に腹壁筋層内よりクリップを摘出した.クリップ遺残による腹腔内膿瘍形成の報告は稀に認めるが腹壁膿瘍形成の報告はこれまでに認めていない.腹腔鏡下手術時におけるクリップ遺残は膿瘍形成の原因となることがあり,不必要な落下クリップはすべて回収することが大切であると考えられた.
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  • 浜辺 太郎, 小林 慎二郎, 櫻井 丈, 小泉 哲, 朝倉 武士, 大坪 毅人
    73 巻 (2012) 8 号 p. 2050-2054
    公開日: 2013/02/25
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    症例は71歳,男性.上腹部痛を主訴に近医を受診,上部消化管内視鏡検査で胃体上部,中部,下部に3カ所の隆起性病変を指摘,全て高分化型腺癌と診断された.血液検査で軽度の貧血と低Alb血症を認めた.AFP,PIVKA-IIは正常であったが,CEAは11.1ng/ml,CA19-9は194.4ng/mlと上昇していた.精査の結果,造影CT検査で肝S4に径6cm大の腫瘤を認め,下大静脈,左および中肝静脈への浸潤が疑われた.早期胃癌と肝内胆管癌の重複と診断した.肝内胆管癌が予後因子と考えられ,まず肝切除を行う方針とし,拡大肝左葉切除+下大静脈部分切除術を施行した.病理組織所見で肝腫瘍は原発性腺扁平上皮癌と診断された.術後7カ月間再発を認めなかったので胃癌3病変に対し内視鏡的切除を行い根治を得た.その後横隔膜に播種性転移を認めたが再切除し,初回手術から30カ月経過した現在も生存中である.
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  • 渡辺 雄一郎, 中村 典明, 入江 工, 田中 真二, 鈴木 志保, 熊谷 二朗, 有井 滋樹
    73 巻 (2012) 8 号 p. 2055-2060
    公開日: 2013/02/25
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,男性.既往歴に胆嚢結石症手術,狭心症あり.2004年8月に背部痛を主訴に前医受診し閉塞性黄疸を認め,当科紹介受診した.中下部胆管癌の診断にて同年9月,膵頭十二指腸切除術を施行した.肝側胆管の追加切除を行うも,術中迅速病理検査では切除断端陰性は得られず.狭心症の既往もあり,過大侵襲を避けて肝切除は施行せず.術後病理診断においても肝側切除断端は上皮内進展陽性であった.術後,補助療法として胆管空腸吻合部近傍に計50Gyの放射線照射を行い,外来経過観察とした.その後,明らかな再発を認めなかった.しかし術後6年後,MRSA胆管炎による敗血症,肝不全を発症し死亡した.病理解剖にて胆管空腸吻合部に胆管浸潤癌を認めた.本例は術後6年間再発は明らかでなかったが病理解剖にて癌の遺残を認め,上皮内進展でも十分に注意する必要があると考えられた.
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  • 柴崎 泰, 坂口 孝宣, 稲葉 圭介, 鈴木 昌八, 馬場 聡, 今野 弘之
    73 巻 (2012) 8 号 p. 2061-2067
    公開日: 2013/02/25
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    症例は61歳,男性.糖尿病の増悪を機に施行された腹部USで膵腫瘍を認めた.腹部CT,MRIで膵全域におよぶ膵管拡張と膵実質の菲薄化を指摘され,ERCPで著明に拡張した主膵管内に充満する腫瘍が疑われた.特異な膵管内進展を伴う膵全体癌と診断し膵全摘術を施行した.腫瘍は病理学的に乳頭状・管状発育形態を併せ持つ腺癌で,T3N0M0 stage IIIであった.免疫組織学的にmucin core protein(MUC)-1,cytokeratin-7陽性であったが,MUC-2,MUC-5AC,chromogranin A,synaptophysin,trypsinが陰性であり,最終的にintraductal tubulopapillary neoplasm(ITPN)と診断した.ITPNは比較的新しい疾患概念であり,これまで報告されてきた膵管内腫瘍との関係性を含め考察を加え報告する.
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  • 皆川 幸洋, 下沖 収, 遠野 千尋, 高橋 正統, 馬場 誠朗, 阿部 正, 鈴木 正通
    73 巻 (2012) 8 号 p. 2068-2071
    公開日: 2013/02/25
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    性器外悪性腫瘍が子宮に転移することは稀であり,本邦においては胃癌からの転移が多いとされている.今回われわれは膵臓癌の子宮転移を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.症例は68歳女性,検診にて子宮内膜細胞診にてclass Vと判定され,婦人科にて子宮摘出予定であったが,採血上CA19-9の高値を認めたため消化器科紹介となった.腹部CTにて膵尾部に約3cm大の低吸収域の腫瘤と骨盤部MRI(矢状断)にて子宮体部の筋層にT2強調画像で約3cm大の低信号域腫瘤が認められた.膵臓癌および子宮癌疑いで膵体尾部切除,脾,横行結腸,左副腎合併切除および子宮全摘術を施行した.病理組織診にて膵腫瘍は浸潤性膵管癌(中分化型管状腺癌)であり,神経浸潤を認めた.子宮腫瘍は膵臓癌と同様の病変を呈し管状腺癌が子宮内膜から漿膜面まで広範に浸潤している像であり,膵臓癌の子宮転移との回答であった.術後補助化学療法としてgemcitabin注施行したが第259病日癌性リンパ管症にて永眠された.
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  • 鈴村 和大, 飯室 勇二, 黒田 暢一, 平野 公通, 岡田 敏弘, 鳥井 郁子, 藤元 治朗
    73 巻 (2012) 8 号 p. 2072-2077
    公開日: 2013/02/25
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    症例は72歳,女性.腹部膨満感を主訴に近医を受診し,脾腫大および肝腫瘍を指摘され当科入院となった.腹部CTでは脾臓の内部は不均一に造影され,また肝内には多数の周囲が造影効果を受ける腫瘍性病変を認めた.FDG-PETでは脾臓および肝腫瘍部に一致してFDGの集積を認めた.肝転移を伴う脾原発の悪性腫瘍と診断し,脾臓摘出術および肝生検を施行した.病理組織学的検査にて血管肉腫と診断した.術後は多発肝転移巣に対して肝動脈塞栓療法(TAE)を施行することで,QOLを保ちながら約1年間の生存期間を得ることができた.脾臓原発の血管肉腫は予後不良なまれな疾患であり,本疾患に対する治療法はいまだ確立されていない.本疾患の肝転移巣に対してのTAEは,予後を改善させる可能性があると考えられた.
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  • 高須 直樹, 神宮 彰, 武山 大輔, 松本 秀一, 石山 智敏, 鈴木 知信
    73 巻 (2012) 8 号 p. 2078-2082
    公開日: 2013/02/25
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    症例は30歳,男性.1カ月前に転倒し左側胸部から側腹部を強打したが,病院を受診しなかった.左上腹部痛と左肩への放散痛があり,当院に救急搬送された.CTで腹部全体に腹水を認めたため,超音波下に腹腔穿刺をしたところ,血性腹水であった.CTでは出血源は同定できなかった.腹痛はほぼ消失しており,バイタルサインも落ち着いていたが,経過観察のため入院とした.
    入院翌日のCTでは出血は増加していなかった.第二病日になり,腹部全体に圧痛が広がっていたため,貧血の進行は認めなかったが,手術の方針とした.
    腹腔鏡で脾臓付近から出血を認め,上腹部正中切開で開腹した.脾下極付近に実質損傷を認め,脾臓摘出術を行った.病理所見はうっ血と浮腫のみで,血液所見でも白血病や悪性リンパ腫を疑う所見は認めず,遅発性の外傷性脾破裂と診断した.
    腹腔鏡による検索が診断に有用であった遅発性外傷性脾破裂の1例を経験した.
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  • 末廣 修治, 山下 眞一, 亀井 美玲, 川原 克信, 駄阿 勉, 加島 健司
    73 巻 (2012) 8 号 p. 2083-2086
    公開日: 2013/02/25
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    症例は46歳,女性.進行卵巣癌の術後化学療法中,胸部CTで左乳房に結節を指摘され,当科紹介受診となった.触診上明らかな腫瘤は触知されず,超音波検査で10×7mmの境界微細鋸歯状,内部不均一な低エコー腫瘤が認められた.穿刺吸引細胞診で,ductal carcinomaと診断されたため,乳房部分切除,センチネルリンパ節生検が施行され,組織学的に腋窩リンパ節,腫瘤ともに卵巣癌の転移であることが判った.
    今回われわれは極めてまれな卵巣癌の乳腺転移を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 渡邊 貴洋, 大端 考, 佐藤 真輔, 高木 正和, 伊関 丈治, 室 博之
    73 巻 (2012) 8 号 p. 2087-2092
    公開日: 2013/02/25
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    症例は16歳,男性.平成18年頃から腹部膨満感を自覚しており,平成23年6月腹痛にて近医を受診し,腹部エコー検査で腹腔内腫瘤を認め当科へ紹介受診された.造影CT検査で腹腔内正中に最大径13cm大の造影効果のない多房性嚢胞性腫瘤を認め,一部低濃度成分と高濃度成分がfluid-fluid-levelを形成していた.また,腹部MRIではT1・T2強調像でともに低~高信号域が混在していた.以上から出血を反復した腸間膜リンパ管腫と診断し開腹手術を施行した.術中所見では,Treitz靱帯近傍の空腸間膜に10cm大の腫瘍を認め,近接した空腸の部分切除を伴う小腸間膜腫瘍切除術を施行した.術後病理組織学的に腸間膜リンパ管腫の診断を得た.小腸間膜リンパ管腫は比較的稀な疾患であり,自験例を含めた本邦報告30例について文献的検討を加え報告する.
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  • 田口 和浩, 中原 雅浩, 住谷 大輔, 濵岡 道則, 高橋 元, 米原 修治
    73 巻 (2012) 8 号 p. 2093-2098
    公開日: 2013/02/25
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    症例は57歳,男性.2010年8月より排尿時違和感を認め前医受診.腹部造影CT検査にて骨盤内に径10cm大の腫瘤影を認め,当院紹介受診.超音波内視鏡検査,注腸検査から直腸壁外の血流豊富な巨大腫瘍と判断し,切除術を行った.病理組織学的検査により後腹膜由来の悪性血管周皮腫と診断した.悪性血管周皮腫は,高頻度に再発するため厳重な長期間の経過観察が必要である.
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  • 山野 武寿, 池田 義博, 仁科 拓也, 中山 文夫, 松本 剛昌, 飽浦 良和
    73 巻 (2012) 8 号 p. 2099-2103
    公開日: 2013/02/25
    ジャーナル フリー
    症例は28歳,女性.2011年9月頃増大傾向のある左鼠径部腫瘤を主訴とし,当院を受診した.CT/MRI検査にて円靱帯と並走する,骨盤内から左鼠径管内に広がる嚢胞性腫瘤(2.6×1.3×8.0cm)を認め,左Nuck管水腫と診断した.腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(TEPP法)にて円靱帯と共にNuck管水腫を完全切除した.内鼠径輪の開大(ヘルニア分類I-2)を認めたので,メッシュにて補強した.Nuck管水腫の成人発症例は自然治癒が期待できないため手術が必要となる.Nuck管水腫が内鼠径輪よりも腹腔側に広がっている場合,腹膜外腔からの確認と切除が容易なTEPP法が有用であった.
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  • 窪田 公一, 田中 知博, 纐纈 真一郎
    73 巻 (2012) 8 号 p. 2104-2108
    公開日: 2013/02/25
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,男性.右下腹部痛と著明な腹部膨隆を認め入院した.CT,MRIで巨大な腹腔内腫瘍を指摘された.術中所見では腫瘍は腹腔内全てを占拠し,虫垂と回腸の一部に強固に癒着していた.手術は腫瘍摘出と癒着腸管の合併切除を行った.腫瘍は33cm大であった.病理組織学的には腫瘍は間葉系腫瘍で,合併切除した腸管の漿膜からわずかに漿膜下層に浸潤していた.免疫組織学的には腫瘍はKIT蛋白陽性,CD-34蛋白陽性で消化管間質腫瘍(GIST)と判断された.しかし,病理組織学的には腫瘍の原発部位として腹膜が最も考えられたので,消化管外間質腫瘍(EGIST)と診断された.腫瘍は巨大であり核分裂像も多く観察され,極めて悪性度が高いと推察された.本症例のEGISTはGIST診療ガイドラインを参考にすればClinically Malignantに相当すると考えられた.
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  • 筒井 りな, 浦上 秀次郎, 金 史英, 落合 大樹, 磯部 陽, 松本 純夫
    73 巻 (2012) 8 号 p. 2109-2114
    公開日: 2013/02/25
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,男性.2007年1月に腹痛を主訴に受診し,造影CT検査で左上腹部に15cm大の出血を伴う多房性巨大腫瘤を認め,緊急開腹腫瘍摘出術を施行した.術中所見より後腹膜腫瘍が疑われ,術後病理組織診断および遺伝子検査で後腹膜滑膜肉腫と診断された.術後3カ月の造影CT検査で残存腫瘍の増大を認め,化学療法を施行した.その後も腫瘍は徐々に増大傾向を認め,これに伴い腹部膨満・腹痛・貧血症状が増悪した.計4回の腫瘍減量手術を施行したが2008年9月には再発病巣が急激に増大し,全身状態不良のため死亡した.
    後腹膜滑膜肉腫の治療は,手術療法が第一選択だが,その再発率は非常に高く,予後不良の疾患とされている.治療法の選択に難渋した症例を経験したので文献的考察を含め報告する.
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  • 河岡 徹, 長島 淳, 松隈 聰, 原田 俊夫, 平木 桜夫, 福田 進太郎
    73 巻 (2012) 8 号 p. 2115-2120
    公開日: 2013/02/25
    ジャーナル フリー
    症例は85歳,男性.主訴は右鼠径部膨隆・疼痛.5年前から右鼠径ヘルニアを認めていたが,自己還納していた.今回も脱出時に自己還納したが,その後,右鼠径部の疼痛が強くなり,当院を受診した.来院時,右鼠径部に圧痛を伴う膨隆を認めた.CTで右鼠径部近傍の腹腔内に球状に限局された小腸と腹水の貯留を認めた.絞扼性イレウスを疑い,緊急手術を行ったところ,腹膜前腔がすでに拡がっており,腹膜右側が自然に剥離された状態であった.同部で球状のヘルニア嚢が腹膜前腔に突出しており,壊死小腸と血性腹水がヘルニア内容であった.ヘルニア嚢の末梢は内鼠径輪へ連続しており,外鼠径ヘルニア偽還納と診断した.嵌頓を解除し,壊死小腸切除,McVay法による補強を行った.ヘルニア偽還納は本邦で20例の報告しかなく稀な疾患であるが,早期診断・治療が必須である.ヘルニア罹患歴が長く,自己還納を繰り返すような症例では本症を疑う必要がある.
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  • 木村 裕司, 岩川 和秀, 西江 学, 常光 洋輔, 稲垣 優, 岩垣 博巳
    73 巻 (2012) 8 号 p. 2121-2126
    公開日: 2013/02/25
    ジャーナル フリー
    内ヘルニアは,腹腔内に存在する陥凹や嚢,または間膜などの裂孔に腹腔内臓器が嵌入する状態で,稀な疾患であるが,絞扼性イレウスで発症することも多く,迅速な判断が求められる.当院で2005年から2011年に6例の内ヘルニア手術症例を経験したので報告する.6例の内訳は盲腸周囲ヘルニアが2例,大網裂孔ヘルニア,S状結腸間膜窩ヘルニア,子宮広間膜裂孔ヘルニア,傍十二指腸ヘルニアがそれぞれ1例であった.主訴は腹痛や嘔吐,腹部膨満で,全例に腹部CTが施行された.術前に内ヘルニアの診断ができたものは3例であった.5例が緊急手術で行われたが,発症後早期に診断できた1例は,緊急でも腹腔鏡手術が施行しえた.内ヘルニアは,術前診断が困難とされているが,手術時期を逸しないためにも腹部CTの詳細な読影が求められ,また,早期に診断することで,腹腔鏡手術や腸管温存といった低侵襲な治療が可能であると思われた.
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  • 中村 知己, 伊東 英輔, 田中 洋一, 武智 晶彦, 葉梨 智子, 近藤 泰理
    73 巻 (2012) 8 号 p. 2127-2132
    公開日: 2013/02/25
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,男性.出血性胃潰瘍にて内科で保存的治療中,左鼠径部腫脹と疼痛,歩行困難,高熱を認めたため外科依頼された.採血上炎症反応を認め,CT検査にて陰嚢内に腸管の存在と両側腸腰筋膿瘍を認め,腸腰筋膿瘍を併発した左鼠径ヘルニア嵌頓と診断した.腸管穿孔を危惧しガストログラフィン注腸を施行したところ,ヘルニア内容は回盲部を含む上行結腸であった.激しい疼痛のため用手還納は不可能であった.ヘルニア根治術と開腹腸腰筋膿瘍洗浄ドレナージ術の一期的手術を考慮したが,膿瘍の腹腔内散布による二次的腹腔内汚染を危惧し,二期的手術を選択した.鼠径ヘルニア根治術を先行して行い,Direct Kugel Patchを用いて後壁補強を行った.ヘルニア根治術後に腸腰筋膿瘍に対しCTガイド下穿刺・吸引術を施行し,穿刺直後より解熱した.その後の経過は順調で現在ヘルニアと腸腰筋膿瘍の再発は認めていない.
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