日本臨床外科学会雑誌
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74 巻 , 10 号
選択された号の論文の57件中1~50を表示しています
原著
  • 川口 米栄, 山田 純, 相馬 大介, 久保田 芳郎
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2657-2662
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    再発鼠径ヘルニアの治療法に関しては未だ一定の見解はない.当科で経験した再発鼠径ヘルニア64例を分析し治療法を検討した.
    従来法術後は34例で,再発形式は外鼠径型22例,内鼠径型12例であり,再発に対する術式はプラグ19例,ダイレクトクーゲル等のinlay法15例であった.メッシュ法術後は30例で,再発形式は外鼠径型3例,内鼠径型20例,大腿ヘルニア7例で,従来法術後再発とは違う傾向であった.再発に対する術式はプラグ25例,ダイレクトクーゲル4例で,1例は腸切除を併施し従来法で行った.術後平均7.8年を経過しているが再々発は経験していない.
    従来法術後は外鼠径型が多く,メッシュ法術後は内鼠径型と大腿ヘルニア発症が多くみられた.術式は,腹膜前腔を広く剥離できればinlay法が行われており,腹膜前腔が瘢痕化している場合は再発ヘルニア門にプラグ等を留置する術式が多く行われていた.
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臨床経験
  • 熊田 博之, 大西 啓祐, 岡崎 慎史, 二瓶 義博, 五十嵐 幸夫, 片桐 茂
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2663-2668
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    Petersen's herniaは胃切除Roux-en-Y再建後に挙上空腸と横行結腸間膜の間隙(Petersen's defect)をヘルニア門として起こる内ヘルニアである.当院で2008年1月~2011年12月の間に同疾患と診断した6例を検討した.全例腹腔鏡補助下幽門側胃切除Roux-en-Y再建(前結腸経路)術後であった.明らかな絞扼を疑わせる所見はなかった.全例腹部造影CTでwhirl signを認め緊急開腹術を施行したが,絞扼は緩徐で,陥入した小腸が壊死を呈し切除を要す症例はなかった.整復の後,必要に応じY脚を再建,間隙を縫縮し術後経過良好であった.腹腔鏡補助下胃切除Roux-en-Y再建術は癒着が少ないため小腸の移動が制限されにくく,術後イレウスに対してはPetersen's herniaも念頭に置いた対応が肝要と思われた.現在は再建時に予防的に間隙の縫縮を行っている.
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  • 中川 淳, 山本 道宏, 川村 純一郎, 原田 英樹, 山本 秀和, 財間 正純
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2669-2674
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    膵頭十二指腸切除後の膵瘻はしばしば見られる合併症であるが,まれに遅発性に仮性嚢胞として発症する膵瘻に遭遇することがある.われわれはこのような症例に対しては早期の再吻合術を行う方針としている.今回,過去6年間に経験した遅発性膵瘻に対し再吻合術を行った3例を対象として検討を行った.原疾患は各々,膵管内乳頭粘液腺腫・下部胆管癌・胆嚢癌であり,初回再建術式はいずれもChild変法で膵管チューブ留置する完全膵液外瘻法による膵空腸吻合を行い全例経過良好に退院した.術後158~427日目に吻合部近傍の仮性嚢胞所見を呈し穿刺にて膵液の流出と膵管の造影が確認されたため再吻合術を施行した.確定診断と再吻合術の間隔は6日・4日・3日であった.いずれの症例も経過良好で術後12・21・21日に退院し遠隔期において膵空腸吻合にかかわる合併症を呈することなく経過している.遅発性膵瘻に対する早期の再吻合術は安全で有効な治療法であると考えられる.
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  • 大原 みずほ, 城田 誠, 長尾 知哉, 斉藤 琢巳, 小谷 裕美
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2675-2678
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    閉鎖孔ヘルニアは痩せ型の高齢女性に好発する比較的稀な疾患である.開腹法による手術が一般的であったが,近年,鼠径法による手術症例の報告が増加している.当院でも鼠径法で手術を施行した11症例を経験したので報告する.患者の平均年齢は83.8歳,平均BMIは16.9,10例が女性であった.全例,腹部CTにより術前に閉鎖孔ヘルニアと診断された.手術は鼠径法で行い,腹膜前腔にDirect Kugel Patchを挿入した.平均手術時間は76分で,2例は小腸部分切除を行った.術後合併症として,肺炎1例,転倒による骨盤骨折1例を認め,術後平均在院日数は12.3日であった.鼠径法による閉鎖孔ヘルニア修復術は開腹法に比べ創が小さく低侵襲で,術後の回復も早い.また,同一の創から腸管切除・吻合も可能であり,汎発性腹膜炎併発症例を除けば標準術式となり得ると考えられた.
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症例
  • 森光 華澄, 二村 学, 名和 正人, 宮崎 崇, 吉田 和弘
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2679-2684
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    肉芽腫性乳腺炎(以下GM)は多核巨細胞や炎症細胞浸潤を特徴とする稀な疾患で近年Corynebacterium kroppenstedtii(以下C.kroppenstedtii)感染との関連が報告されている.今回,われわれは細胞診内容物の細菌培養にてC. kroppenstedtiiを同定しGMと診断しえた症例を経験したので報告する.症例は30代女性.乳腺炎の診断で抗生剤を投与されたが硬結が残存するため当科受診.細胞診にて少量の膿を採取し細菌培養にてC. kroppenstedtiiを同定,針生検にてGMと診断した.抗生剤投与と切開排膿にて治癒し1年経過した現在も再発は認めていない.C. kroppenstedtiiはGMの原因菌として注目されているが通常の培養条件では同定困難なことが多い.乳腺炎の診療においてC. kroppenstedtii感染を考慮し適切な検査を行うことも必要と考えられた.
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  • 吉川 拓磨, 神崎 正人, 井坂 珠子, 村杉 雅秀, 大貫 恭正
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2685-2689
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    Cowden病は,特徴的な皮膚粘膜病変と全身過誤腫性病変による多彩な臨床像を呈する稀な常染色体優性遺伝性疾患であり,中年期以降では高率に悪性腫瘍が合併することが知られている.今回われわれは,乳癌術後のCowden病患者に胸腺腫瘍,腺腫様甲状腺腫を合併し手術を施行した症例を経験したので報告する.症例は46歳女性.23歳時糖尿病治療中,顔面多発小丘疹,全身角化性丘疹を認めた.以前から消化管ポリープ,舌,咽頭乳頭腫症等を合併しており,38歳時鼻丘疹の切離標本と遺伝子解析により,Cowden病と診断された.45歳時左乳癌に対し乳房切除術を施行され,胸部CTで嚢胞性の前縦隔腫瘍および右肺結節影指摘された.PETで前縦隔に軽度集積あり,胸腺腫を疑い,同時に胸腺全摘+甲状腺全摘+肺部分切除術を施行した.病理組織診で多発胸腺嚢腫,腺腫様甲状腺腫,肺過誤腫と診断した.術後経過は良好で現在外来経過観察中である.
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  • 岡田 晃穂, 牛嶋 良, 田枝 督教, 畠 雅弘, 大谷 紀子
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2690-2695
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は50歳,女性.2012年10月に右乳房腫瘤に気付いたが放置していた.急速に増大し,出血を繰り返すようになったため,2013年1月来院.右乳房AC領域に22cm大の弾性硬腫瘤を認め,皮膚潰瘍を伴い易出血性であった.針生検では上皮は確認されず,非定型的な間葉系腫瘍が示唆された.葉状腫瘍は否定的で,出血が頻回多量のため準緊急的に乳房全摘術と腋窩リンパ節郭清を行った.病理診断は乳腺原発骨肉腫であった.術前高値であったアルカリホスファターゼ(ALP),血管内皮細胞増殖因子(VEGF)は術後低下した.確立された化学療法のレジメンはなく,術後放射線治療を追加した.まれな疾患であり,文献的考察を加え報告する.
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  • 三成 善光, 芦村 龍一, 百留 美樹, 板倉 正幸, 山本 伸子, 丸山 理留敬, 田島 義証
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2696-2700
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    特異な形態を示した男性非浸潤性嚢胞内乳癌の1例を報告する.症例は74歳,男性.右乳頭直下の腫瘤を自覚し,当院を受診.右乳頭直下に径15mm大の境界明瞭で表面平滑,可動性良好な弾性硬の腫瘤を触診した.マンモグラフィーでは同部に15mm大の境界明瞭な高濃度の分葉状腫瘤を認めた.乳腺超音波検査では,腫瘤は多房性の嚢胞性病変で,充実性腫瘤影はなく,内部は無エコーであった.造影MRIでは17mm大の多房性嚢胞性病変として描出され,嚢胞壁の濃染が認められた.穿刺吸引細胞診では,嚢胞内容液は血性で,細胞診での良悪性の鑑別は困難であった.このため,診断と治療を兼ねた切除生検を施行した.病理組織学的に,拡張した乳腺腺管の内腔に低乳頭状構造を認め,非浸潤性乳管癌と診断した.嚢胞内乳癌は嚢胞内部に充実性腫瘤影もしくは結節影を認めることが特徴の一つであるが,本症例では多房性嚢胞で内部に腫瘤影を認めなかった.
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  • 山本 晋也, 千島 隆司, 原田 郁
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2701-2705
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    乳腺原発の腺様嚢胞癌は非常に稀で,頻度は全乳癌の0.1%以下とされている.本症例は以前に豊胸術を行っており,腫瘍の進展形式が特殊であった.症例は57歳女性で腫瘤自覚を主訴に受診.豊胸術の既往がある.精査の結果胸壁浸潤をきたし腋窩リンパ節転移を伴う乳癌と診断した.化学療法を施行したが,効果は乏しく,高度な疼痛を伴っており,疼痛コントロール目的で胸壁合併切除も視野に手術の方針とした.豊胸バック除去後の被膜が胸筋背側にポケットを形成するように存在し,これより背側への浸潤は認めなかった.胸筋合併定型的乳房切除を行い,一部肋間筋・肋骨骨膜を合併切除し,腫瘍が露出しないように根治切除を行った.術後病理診断はリンパ節転移陽性の腺様嚢胞癌であった.現在疼痛なく無治療経過観察中である.
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  • 沖本 将, 大原 正裕, 野間 翠, 香川 直樹, 板本 敏行
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2706-2709
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は56歳,女性.9年前に右乳癌に対して乳房部分切除(Bp)+センチネルリンパ節生検(SNB)が行われた.術後放射線療法の後,ホルモン療法が行われ,無再発にて経過観察中であった.定期受診の際のエコー検査で腫瘤を指摘され,精査の結果,同側温存乳房内再発(IBTR)と診断した.
    Bp+SNBの方針とし,SPECT/CTを用いてセンチネルリンパ節シンチグラフィーを行ったところ,同側鎖骨下小胸筋背側に集積を認めた.術中色素法も併用し,右鎖骨下静脈の尾側,小胸筋背側のセンチネルリンパ節(SN)を同定し摘出した.病理組織学的に「悪性所見なし」との診断であった.現在再手術後20カ月経過し,無再発生存中である.
    SPECT/CTは,正確な解剖学的位置関係の把握を可能にし,従来のシンチグラフィーに比べ,SNの同定において有用と考えられた.
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  • 足立 恵理, 藤田 崇史, 澤木 正孝, 近藤 直人, 堀尾 章代, 岩田 広治
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2710-2713
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    患者は54歳,女性.48歳時に左乳癌にて乳房部分切除術+センチネルリンパ節生検(SLNB)施行.術後6年目の定期外来で左乳房内再発を指摘された.術前超音波検査にて左胸骨傍リンパ節(PsLN)の腫大を認め左胸筋温存乳房切除術+左腋窩郭清+左胸骨傍リンパ節生検+SLNBを施行した.リンフォシンチグラフィにて対側腋窩リンパ節に集積を認め転移陽性であり郭清施行した.病理組織診断にてPsLN・対側腋窩リンパ節の転移を認めた.以前の手術により同側腋窩へのリンパ流が遮断され,PsLNがfirstドレナージリンパ節となりリンパ節を占拠する転移が発生した.そのため,左乳房内リンパ流はさらに変化して右腋窩にSLNが同定されたと推測された.乳房内再発症例では術前超音波検査にてPsLN腫大・対側リンパ節腫大の有無を確認することは重要である.また,再手術の際はリンフォシンチグラフィによるリンパ経路の十分な確認が必要である.
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  • 竹田 奈保子, 水野 嘉朗, 阿部 裕明, 井上 裕子, 佐藤 一彦
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2714-2717
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,女性(海外在住).15年前に右乳癌に対し乳房切除術施行し,術後補助化学療法および胸壁照射を行った.右胸水貯留を生じ適宜胸腔穿刺を行っていたが,当院での治療を希望し来日した.来院時は右胸膜転移と右胸水を認めた.胸腔穿刺にて920mlの胸水を吸引,細胞診はclass Vであった.原発巣に対する手術検体は不明で,免疫染色も行われていなかったため,胸水より採取した細胞を用いてセルブロック法にて免疫染色を施行した.採取した検体より,ER陽性・PR陽性・HER2陰性に相当すると判断し,アロマタ―ゼ阻害剤による治療を開始した.約12カ月経過した現在,病状は安定している.胸腔穿刺から得られた検体に対しセルブロック法を活用し免疫染色を行い,治療方針を決定しえた症例を経験したので報告する.
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  • 丸野 要, 藤野 昇三, 川本 雅司, 水口 國雄
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2718-2723
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は50歳の女性で,2カ月前に拇指頭大の右乳房腫瘤に気付き,その後,腫瘤が急速に増大したので,平成23年9月当科外来を受診した.右乳房のACE領域に8.5×7.0cmの弾性硬で表面整,境界明瞭な腫瘤を,右腋窩に径1.0cm大のリンパ節を2~3個触知した.針生検にて浸潤性小葉癌,ER,PgR,HER2はすべて陰性と診断した.NAC(FECとnanoparticle albumin bound paclitaxel)施行後,右乳房腫瘤も右腋窩リンパ節もほとんど触知出来ない程度まで縮小した.平成24年7月に右胸筋温存乳房切除術・右腋窩リンパ節郭清を施行した.摘出標本では主にACとA領域に腫瘤を認め,病理組織検査所見ではAC領域の腫瘍に浸潤性小葉癌と扁平上皮癌の混在を認めた.本症例は2007年のSentaniらの報告以来,乳腺の浸潤性小葉癌と扁平上皮癌が混在した症例としては2例目である.
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  • 岡田 剛, 片岡 正文, 大原 利憲, 能勢 聡一郎
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2724-2728
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は47歳,男性.右頸部腫瘤を自覚して当院を受診し,頸胸部CTで右頸部および右上縦隔リンパ節腫大を認めた.頸部リンパ節生検で腺癌の転移と診断されたが,全身精査で明らかな原発巣を認めず,原発不明頸部縦隔リンパ節癌と診断された.放射線化学療法でCRが得られ,以後無治療で経過観察されていたが,治療後6年3カ月で腫瘍マーカーの上昇と気管分岐下リンパ節腫大を認めた.診断的治療目的で縦隔リンパ節郭清を施行したところ,以前の頸部リンパ節の病理組織学的所見と同様の像を呈しており,転移再発と診断した.免疫染色では,CK7(+),CK20(-),TTF-1(+)であり,肺腺癌を否定できないパターンであった.術後1年経過し,新たな病巣の出現は認めていない.根治的放射線化学療法と再発病巣に対する完全切除により長期生存が得られた原発不明リンパ節癌として,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 下石 光一郎, 尾頭 厚, 奈良原 裕, 村田 升
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2729-2732
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,男性.2006年6月(59歳時)に完全房室ブロックに対してペースメーカー移植術を受けた.2012年9月頃より左前胸部のペースメーカージェネレーターが露出し周囲より排膿を認めたため抗生剤による保存的治療を開始したが軽快せず,前医入院にてジェネレーター周囲のデブリードマンとジェネレーター除去術を施行.その後も抗生剤による治療を継続するも敗血症は治まらず当科へ加療のために紹介となり転院.転院後の抗生剤治療中の心エコーで右心房内リード部分に付着する疣贅が確認され感染性心内膜炎と診断.保存的治療に抵抗性の敗血症に対し,人工心肺使用下に感染ペースメーカーシステムを安全に全摘除しえた1例を経験した.
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  • 谷島 義章, 尾頭 厚, 奈良原 裕, 下石 光一郎, 村田 升
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2733-2736
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は87歳,女性.意識障害を主訴に救急要請し当院へ救急搬送.来院時,意識レベルE1 V1 M1 GCS3点,収縮期血圧80mmHg,脈拍50回/分,洞調律,体温35.2度,呼吸回数>30回.胸腹部造影CTで,30mm大の腹部大動脈瘤と60mm大の左総腸骨動脈瘤を認めたが,明らかな破裂を疑わせる所見は認められなかった.造影剤の総腸骨静脈への流入を認め,左総腸骨動脈瘤が左総腸骨静脈に穿破した腸骨動静脈瘻と診断.腸骨動静脈瘻による急性心不全と診断し,緊急手術を施行.瘤空置と右外腸骨動脈から左外腸骨動脈へバイパスグラフトを置く下肢動脈血行再建術により良好な術後経過を得た.腹部大動脈瘤や腸骨動脈瘤の破裂では腹腔や後腹膜腔への破裂がほとんどだが,隣接する静脈に穿破する症例もまれに認められ,こうした症例には瘤内からの瘻孔閉鎖例の報告が多いが,症例によっては瘤空置+下肢動脈血行再建術も有効と考えられる.
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  • 木村 光一, 松本 拓也, 岩佐 憲臣, 福永 亮大, 久良木 亮一, 前原 喜彦
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2737-2740
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,男性.2011年1月,意識消失発作にて前医受診した.明らかな意識消失発作の原因は認めなかったが,CT検査にて胸部大動脈瘤,腹部大動脈瘤を認め,当科紹介受診となった.大動脈弓部に57mm大の嚢状の大動脈瘤を認め,手術適応と判断したが,高齢であり陳旧性心筋梗塞の既往もあることからステントグラフト内挿術を行った.左椎骨動脈が弓部大動脈から直接分岐する破格があったが,術前の頭頸部MRI検査にて頭蓋内および頸部の血流に問題がないことを確認した上で,胸部大動脈ステントグラフト内挿術を施行した.ステントグラフトは左総頸動脈分岐部直下より留置し,腋窩-腋窩動脈バイパス術を追加した.術後は脳虚血症状の出現なく良好な経過を得た.左椎骨動脈を閉塞させても,良好な経過を得ることができた症例を経験したため,文献的考察を含め,報告する.
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  • 川野 まどか, 和田 朋之, 穴井 博文, 嶋岡 徹, 岡本 啓太郎, 宮本 伸二
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2741-2744
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は46歳,男性.突然の胸痛を主訴に搬送され,急性大動脈解離(St. A型)と診断された.緊急手術を施行したが,術後低心拍出量症候群となり,術後2日目に東洋紡型補助人工心臓装着に至った.術後10日目より胸腔ドレーンから連日1,000ml以上の排液を認めた.保存的治療を行ったが,排液量が増加したため,術後26日目に胸腔鏡下胸管結紮術を施行した.胸水排液量は著明に減少したものの,完全には治癒せず,定期的な胸腔穿刺を必要とした.術後67日目よりソマトスタチンアナログ製剤(オクトレオチド)100μg×2回/日の皮下注射を行ったところ,投与4日目より300ml/日以下となり,その後の増加は見られなかった.今回,胸部大動脈術後の乳糜胸にオクトレオチドを使用し,重篤な副作用なく,最終的に治癒せしめたことから,全身状態不良の症例でも試みる価値は十分あると考える.
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  • 田島 ジェシー雄, 大下 裕夫, 波頭 経明, 山田 誠, 足立 尊仁, 松井 康司
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2745-2750
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    横隔膜ヘルニアは経皮的ラジオ波焼灼術(以下RFA)の遅発性合併症の1つであり,肝硬変の基礎疾患・嵌頓により重症化する例がある.今回,RFA施行19カ月後に横隔膜ヘルニアを発症した1例を経験し報告する.症例は86歳の男性.C型肝硬変にて当院通院中,肝S5/8に13mm大の肝細胞癌を認め,RFAを施行された.RFA施行19カ月後に右上腹部痛を主訴に当院救急外来を受診した.胸部X線写真にて右下肺野に腸管ガス像を,腹部CTにて右横隔膜に4~5cm大の欠損孔と横行結腸の右胸腔内への脱出を認め,横隔膜ヘルニアの診断で,緊急手術を施行した.RFA瘢痕部に隣接する右横隔膜に径5cmのヘルニア門を認め,横行結腸・大網が右胸腔内に嵌頓していた.嵌頓結腸に壊死所見は認めず,ヘルニア門の縫合閉鎖術を施行した.RFA施行後は長期的に経過観察し,横隔膜ヘルニア発見時は手術時期を逸さないよう早期治療が必要と思われた.
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  • 若林 正和, 河野 悟, 保刈 岳雄, 相崎 一雄, 高橋 知秀, 高野 靖悟
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2751-2754
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は48歳,女性.夕食に鯛のあら汁を飲んだ直後より咽頭部違和感が出現し受診した.Multi-detector raw computed tomography(以下MDCT)で頸部食道に高濃度の鋭利な陰影を認め,魚骨による食道異物と診断した.内視鏡的摘出を試みたが,魚骨の鋭利な部分が深く刺入嵌頓し動じず,摘出困難であった.魚骨の大きさや形状から二次的な食道損傷や偶発症をきたす可能性が高いと判断し,頸部切開による摘出へ移行した.頸部襟状切開にて頸部食道へ到達した.魚骨は食道壁外から確認できたが穿孔はしていなかった.食道壁を切開し魚骨を摘出した.術後第15病日に合併症なく軽快退院した.術後6年で遅発性の合併症を認めていない.内視鏡的摘出が困難であった食道魚骨異物に対し頸部食道切開を施行した1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 玉地 智英, 星野 敢, 河野 世章, 阿久津 泰典, 松原 久裕
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2755-2760
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,女性.嚥下時胸部不快感を主訴に近医を受診し,上部消化管内視鏡検査にて胸部中部食道後壁に0-IIa病変を認め,生検の結果扁平上皮癌と診断され当科を紹介受診した.胸部CTにて,右鎖骨下動脈起始異常(aberrant right subclavian artery ;ARSA)とKommerell憩室を認めた.cT1bN0M0 cStage Iの術前診断にて,右開胸開腹食道亜全摘,後縦隔経路胃管再建,および頸部郭清術を施行した.頸部操作でnon-recurrent inferior laryngeal nerve(NRILN)を確認し温存した.術後は嗄声や嚥下障害を認めず,第18病日に退院した.現在術後2年目で無再発生存中である.
    ARSAは比較的まれな先天奇形であるが,NRILNなど脈管の走行異常を伴い,術前にこれらの存在を推測し,安全に手術を施行する必要があると考えられた.
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  • 高橋 理彦, 星野 敢, 加野 将之, 阿久津 泰典, 河野 世章, 松原 久裕
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2761-2765
    公開日: 2014/04/25
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    症例は72歳,女性.2005年10月,胸部下部食道食道癌に対して右開胸開腹胸部食道亜全摘・胃管再建術を施行した.診断はmoderately differentiated squamous cell carcinoma,pT3N2M0,ly1,v1,pStage IIIであった.術後補助化学療法は行わなかった.再発兆候なく経過していたが,2011年2月に下腹部違和感を自覚し,CT検査により左卵巣に一部に充実成分を含む単房性嚢胞性腫瘍を認め,原発性卵巣癌を疑い他院婦人科へ紹介となった.手術予定となるも,卵巣腫瘍の浸潤によるS状結腸穿孔をきたし,緊急手術となった.根治切除は困難であり,部分切除された卵巣の組織像から食道癌の転移が疑われ,追加加療目的に当科転院となった.転院時既に,多発肝転移・腹膜播種をきたしており,転院後25日目に死亡した.食道癌の卵巣転移は極めてまれと考えられ,文献的考察を加え報告する.
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  • 清田 誠志, 伊藤 得路, 形部 憲, 酒部 克, 金沢 源一, 田中 宏
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2766-2770
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は80歳,女性.幽門側胃切除・Billroth II法再建の既往あり.67歳より癒着性腸閉塞に対して治療を繰り返していた.腹痛を主訴に当院受診となる.入院の上,保存的加療を施行したが,腹痛は増強し腹膜刺激症状が出現した.腹部CT検査において,残胃の著明な拡張と胃壁内ガス像を認めた.輸入脚・近位空腸の拡張と腹腔内遊離ガス像も認めた.消化管穿孔と診断し緊急開腹術を施行した.上腹部の癒着を剥離したところ,食物残渣の流出と残胃前壁の3cm大の破裂を認めた.近位空腸の拡張とその肛門側腸管の塊状癒着を認め,癒着性腸閉塞による残胃拡張から破裂に陥ったと診断した.胃破裂部周囲の菲薄化した胃壁を含む胃部分切除術を施行した.術後,集中治療を要したが,経口摂取可能となり術92日目にリハビリ目的に転院となった.癒着性腸閉塞が契機となった胃破裂の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
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  • 倉橋 康典, 太治 智愛, 中村 達郎
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2771-2775
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,男性.早期胃癌に対する腹腔鏡下幽門側胃切除(R-Y再建)を予定した.標本摘出後,Y脚を作成しようとしたところ,十二指腸がTreitz靱帯を形成せず右下腹部へ向かい,ここで回盲部を形成して結腸に移行,その後,結腸は小腸を取り囲むことなく上腹部~左腹部を走行していた.Ladd靱帯は認めず,non-rotation型の腸回転異常症と診断した.右側に偏在する小腸でのR-Y再建は困難と考え,小開腹にてB-I再建を行った.腸回転異常に対する処置は加えなかった.
    腸回転異常症は発生頻度が1万人に1人と言われており,多くが新生児期に発症するため成人での発症は稀である.今回,術中に偶然発見した腸回転異常症を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 伊関 雅裕, 安食 隆, 山内 淳一郎, 石山 秀一, 坂田 直昭, 海野 倫明
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2776-2781
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は56歳の女性で,時折みられる心窩部痛のため当院を受診した.上部消化管内視鏡検査で胃体下部および穹窿部にIIc病変が認められ,生検組織診により重複早期胃癌と診断とされた.腹部CT上,遠隔転移はみられなかったが多脾症・十二指腸前門脈が認められた.胃癌に対して腹腔鏡下胃全摘術が施行されたが,その際にTreitz靱帯の形成が認められないことと,十二指腸から上部空腸にかけての腸管が右方に偏位していることが判明し,腸回転異常症と診断された.予定通り定型的な腹腔鏡下胃全摘術・Roux-en-Y再建が行われた.術後経過は良好で再発・合併症は認められていない.
    成人の腸回転異常症は稀な疾患であり,特に胃癌を合併した症例報告は少ない.本症例に対し安全に手術を行うためには,術前診断が重要であり,さらに術式の検討が必要であると考え報告した.
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  • 眞部 祥一, 桑原 史郎, 池野 嘉信, 登内 晶子, 須藤 翔, 堅田 朋大
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2782-2786
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,男性.下咽頭癌の診断で耳鼻咽喉科にて加療中であった.声門狭窄のため気管切開を施行,経口摂取困難となり,腸瘻造設術を施行した.術後1日目より,液体半消化態栄養剤による経腸栄養を開始し(400ml/日,33ml/hr),1日あたり400mlずつ増量した.術後4日目に下痢,および腸瘻チューブ刺入部から右下腹部にかけての圧痛を認め,腹部CTで,門脈ガス血症・腸管気腫・腹水貯留を認めた.身体所見・血液検査所見より,腸管壊死は否定的と判断し,直ちに経腸栄養を中止し,保存的治療の方針とした.翌日も腹痛が遷延,尿量の減少も認めたため,腸管壊死の除外目的に審査腹腔鏡検査を施行したところ,明らかな異常所見は認めなかった.術後12日目のCTで門脈ガス血症の消失を認めた.経腸栄養に伴う門脈ガス血症は稀な合併症であり,文献的考察を加え,報告する.
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  • 渡邊 真央, 野田 諭, 西村 重彦, 中澤 一憲, 阿古 英次, 妙中 直之
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2787-2791
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,男性.腹部膨満と水様性下痢を主訴に近医を受診し,多量の腹水貯留を指摘され精査加療目的に当院紹介された.腹水穿刺で乳糜腹水を採取し,腹水中の可溶性IL-2受容体とCA125が高値であった.腹部CTでは著明な腸間膜の短縮と石灰化を認めた.諸検査の結果のみでは原因疾患の確定診断には至らず,診断・治療目的に手術を施行した.開腹所見では多量の乳糜腹水を認め,腸間膜が肥厚し一塊となるような病変が多発していた.肥厚した腸間膜とともに回腸を約20cm切除した.病理組織診断で腸間膜脂肪織炎と診断され,ステロイドの内服治療を開始した.下痢は改善し,腹水も一時的に減少したが,しばらくして再貯留を認めた.術後5カ月目に空腸穿孔による汎発性腹膜炎を発症し,空腸空腸吻合術を施行した.以降,腹水は消失し血中CA125も正常化した.現在も外来で経過観察中であるが,下痢や腹水貯留などの症状の再燃なく経過している.
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  • 福島 正之, 鈴木 雅行, 伊藤 清高, 川村 武史, 矢野 智之
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2792-2795
    公開日: 2014/04/25
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    特発性腸間膜静脈硬化症(idiopathic mesenteric phlebosclerosis)は,1993年に岩下らにより提唱された疾患で日本人を中心としたアジア人に報告が多い.今回,われわれは脳室腹腔シャントを有する特発性腸間膜静脈硬化症に対して腹腔鏡下結腸亜全摘術を施行したので報告する.
    症例は63歳の女性,腹部膨満が持続するため精査目的に入院となった.腹部CT検査で盲腸から上行結腸の著明な壁肥厚あり,口側の小腸の拡張あり,腸閉塞を呈していた.また,右側結腸間膜内に線状の石灰化を多数認め,特発性腸間膜静脈硬化症が疑われた.大腸内視鏡検査では,下行結腸から口側に暗紫色調の粘膜を認め,横行結腸で内腔の狭窄化・硬化あり,口側への内視鏡挿入は困難であった.2カ月間保存的治療するも改善なく,腹腔鏡下結腸亜全摘術を施行した.病理所見で特発性腸間膜静脈硬化症と診断された.脳室腹腔シャントを有する特発性腸間膜静脈硬化症に外科的治療が必要であった症例を経験したので報告した.
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  • 川北 雄太, 石山 智敏, 神宮 彰, 松本 秀一, 竹下 明子, 鈴木 知信
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2796-2802
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    症例1は84歳,女性.単純性イレウスの保存的加療中に突然の高熱とショック症状を呈した.血液培養と便培養の両方から腸内細菌の一種であるKlebsiella oxytocaが検出され,bacterial translocation(以下,BT)による敗血症性ショックを発症したと考えられた.抗菌薬投与と全身管理によって状態は改善し,無事退院となった.症例2は35歳,女性.単純性イレウスに対するイレウス解除術の術後経過中に突然の高熱とショック症状を呈した.血液培養から症例1と同じくKlebsiella oxytocaを検出し,他に感染源が指摘できないことからBTによる敗血症性ショックと診断した.抗菌薬投与やエンドトキシン吸着療法などの集中治療によって状態は改善し,無事に退院となった.BT は様々な原因で発生し得るが,なかでもイレウスはBTの発生条件を満たす病態であることに留意する必要がある.
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  • 加藤 綾, 佐伯 博行, 藤澤 順, 松川 博史, 利野 靖, 益田 宗孝
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2803-2807
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は81歳男性で,腹痛を主訴に当院を受診した.開腹歴はなかった.腹部に圧痛と筋性防御を認め,腹部単純X線でイレウス像を認めた.CT検査でS状結腸の拡張とS状結腸間膜の血管の渦巻き像を認めた.S状結腸軸捻転を疑い下部消化管内視鏡検査を施行したところ,S状結腸の狭窄とその口側粘膜の壊死像を認めたため,緊急手術を行った.開腹所見では横行結腸間膜に8cmの異常裂孔を認め,そこにS状結腸が嵌入し壊死していた.S状結腸を切除し裂孔を閉鎖した後,人工肛門を造設した.腸間膜裂孔ヘルニアの多くは小腸間膜裂孔ヘルニアで,横行結腸間膜裂孔ヘルニアは比較的まれである.ヘルニア内容はほとんどが小腸で,S状結腸が嵌入することは極めてまれである.今回,われわれは横行結腸間膜裂孔ヘルニアによるS状結腸絞扼性イレウスの1例を経験したので報告する.
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  • 小村 俊博, 工藤 克昌, 大沼 忍, 内藤 剛, 柴田 近, 海野 倫明
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2808-2811
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    患者は25歳,男性.1年間続く上腹部痛を主訴に当院消化器内科を受診した.初診時の腹部CT検査で,十二指腸下行部の腹側に嚢胞性病変を認めたが,来院時には症状が改善していたため外来で経過観察となった.1年後のCT検査で同病変の増大傾向を認めたため,手術目的で当科紹介となった.横行結腸間膜嚢胞性腫瘤と診断し,腹腔鏡下に手術を施行した.腫瘤は横行結腸間膜内に存在し,流入血管を処理した後に超音波凝固切開装置を用いて病変のみを切除した.術後の病理組織学的検索で横行結腸重複腸管と診断された.成人における大腸重複腸管は比較的まれであり,腹腔鏡下手術が行われた本邦報告例は自験例を含めて2例のみであるため報告した.
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  • 熊谷 健太, 柏木 宏之, 門間 英二, 野末 睦
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2812-2816
    公開日: 2014/04/25
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    症例は84歳の女性で,食欲低下と便通異常,体重減少を訴えて当院受診した.腹部CTで回盲部に不整な壁肥厚病変と口側回腸の拡張を認め,盲腸癌による腸閉塞が疑われた.下部消化管内視鏡では盲腸腸管内腔に突出する腫瘍を認め,生検結果で低分化型腺癌と診断し,腹腔鏡下右結腸切除術を行った.肉眼的病理所見で盲腸を主病変とする45×50mm大の5型腫瘍を認め,消化管内腔が狭窄していた.病理組織所見で分化傾向を示さない類円形で小型な細胞の充実性増殖を認め,免疫組織染色で神経内分泌傾向を示さなかったため,大腸未分化癌と診断された.術後32カ月経過した現在でも再発を認めていない.
    大腸未分化癌は極めてまれな疾患で,悪性度が高く,長期生存例はほとんど報告されていない.今回われわれは,比較的早期に診断され,根治切除可能であった症例を経験したため若干の考察を加えて報告する.
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  • 河毛 利顕, 前田 佳之, 長谷 諭, 田原 浩, 布袋 裕士, 佐々木 なおみ
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2817-2823
    公開日: 2014/04/25
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    直腸癌と術前診断し手術を施行したが,小腸間膜リンパ節にIgG4関連リンパ節症を併存していた1例を経験したので報告する.症例は69歳,女性.下血を主訴に近医を受診し,精査にて直腸癌の診断で当院紹介となった.血液検査では,軽度の炎症反応,IgEの上昇,腫瘍マーカーの上昇(CEA 7.1ng/ml,CA19-9 69U/ml)を認めた.CT検査で小腸間膜に数個の結節を認め,腹膜播種の可能性も考え,試験開腹し小腸間膜の結節を迅速病理に提出したところ,IgG4関連リンパ節症の診断であった.低位前方切除術と小腸間膜リンパ節切除術を施行した.術後採血で血清IgG4の上昇(146mg/dl)を認めた.小腸間膜リンパ節の病理組織学的所見では,直腸癌を併存したIgG4関連リンパ節症が最も考えられた.術後はステロイド内服を開始し経過良好である.若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 呉林 秀崇, 森川 充洋, 上田 有紀, 澤井 利次, 五井 孝憲, 山口 明夫
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2824-2828
    公開日: 2014/04/25
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    今回われわれは同時性孤立性脳転移を契機に発見された直腸癌に対し,転移巣および原発巣切除を行い,長期生存を得た症例を経験したために報告する.症例は49歳の男性で,2008年4月に頭痛を主訴に前医受診し,頭部CTにて右後頭葉に3cm大の腫瘤性病変を指摘され,当院を受診した.精査にて直腸癌による転移性脳腫瘍と診断した.右後頭下開頭脳腫瘍摘出術を施行し,術後25日目に直腸低位前方切除術を施行した.最終診断はRa-Rb,type2,5.3×4.2cm,pSS-A,ly2,v1,pN2,sH0,sP0,pM1(大脳),Stage IVであった.術後15日目から全脳照射を施行し,術後補助化学療法としてmFOLFOX6療法を6kur,tegafur-uracil (UFT) + leucovorinを12カ月,UFT単独を3カ月施行した.現在60カ月の無病再発期間を得ている.
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  • 藤井 一博, 亀田 久仁郎, 清水 康博, 島 秀栄, 関澤 健太郎, 久保 章, 竹川 義則
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2829-2833
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は70歳の男性.平成23年11月に直腸癌に対して低位前方切除術を施行した(高分化管状腺癌,SE,N2,H0,P0,M0,fStage IIIb).術後1年の定期検査にてCEA値の上昇を認めたため,全身精査を施行した.肝S7に約3cmの結節影を認め,転移性肝腫瘍と診断した.平成24年11月に手術を施行した.術中所見にて腫瘍は右横隔膜より発生しており,肝に異常を認めなかったため,横隔膜腫瘍と診断し,右横隔膜部分切除術を施行した.病理組織学的には前回の直腸癌切除標本と非常に類似した組織像であり,各種検査・術中所見にて腹腔内に播種巣を認めず,また,肺や肝臓に転移を認めないことから,直腸癌の孤立性横隔膜転移と診断した.横隔膜腫瘍は稀な疾患であり,その中でも結腸・直腸癌からの転移性腫瘍の報告は少なく,検索しえた限りでは自験例を含め8例の報告があるのみであった.
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  • 武藤 亮, 佐藤 耕一郎, 阿部 隆之, 赤田 徹弥, 福島 大造, 加藤 博孝
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2834-2840
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は66歳女性で,食欲不振・下痢・体重減少・口臭を主訴に来院.血液生化学検査で貧血と高度の低栄養を認めた.上下部内視鏡検査・注腸造影検査・CT検査を行い,十二指腸瘻を形成した吻合部癌,腹壁・肝・十二指腸・小腸浸潤の診断で,低栄養を改善後,回結腸吻合部切除・膵頭十二指腸切除・回腸部分切除・肝部分切除を施行した.病理組織所見は,mucinous adenocarcinoma(SI(十二指腸,膵臓,空腸),Stage II)であった.術後1年4カ月目に腹膜播種で再発したが,化学療法の効果もあり,術後3年8カ月の生存期間を得られた.十二指腸瘻を形成した進行結腸癌症例は全身状態が不良であることが多いが,経腸栄養を中心とした周術期栄養管理により,膵頭十二指腸切除を含めた拡大合併切除も比較的安全に施行可能である.また,積極的な拡大切除を行うことで治癒切除となり,予後やQOLの改善を期待できると考える.
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  • 村木 愛, 堀 明洋, 森岡 淳, 河合 清貴, 諸藤 教彰, 松葉 秀基
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2841-2845
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,男性.家族性大腸腺腫症のため大腸全摘術,永久回腸人工肛門造設術を受けている.術後27年目に人工肛門部の腫瘤を自覚し当院を受診した.回腸人工肛門部癌の診断で,腹壁を含めた腫瘍部回腸切除術と回腸による人工肛門再造設術を行った.回腸人工肛門部における癌の発生は家族性大腸腺腫症や炎症性腸疾患に対して大腸全摘術を施行した後にみられるまれな疾患であり,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 田 鍾寛, 山岸 茂, 佐藤 渉, 石部 敦士, 仲野 明
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2846-2851
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,男性.10年前に胃癌に対し胃亜全摘術を施行された.2010年6月,腹痛を主訴に受診した.腹部正中手術痕に一致して圧痛を伴う発赤,腫脹を認めた.CT検査で腹壁膿瘍と診断し,切開排膿後ドレーンを留置した.ドレーンから便汁が流出し,造影で横行結腸が描出され,下部消化管内視鏡検査で横行結腸に全周性2型進行癌を認めたため横行結腸癌の穿通による腹壁膿瘍と診断し,開腹結腸部分切除術(横行結腸),腹壁合併切除を施行した.病理組織検査では皮膚から腫瘍に瘻孔を認め,腫瘍側に瘻孔に沿って腫瘍の浸潤を認めた.病理ではtub2,pSI(腹壁,小腸間膜),pN0,pPM(-),pDM(-),Stage IIであった.術後2年経過した現在,無再発生存中である.腹壁膿瘍を合併した大腸癌に対し,保存的治療を先行させ膿瘍を縮小させた後に手術を行うことで,より低侵襲で安全に治癒切除を期待できると考えられた.
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  • 釜田 茂幸, 山田 千寿, 新田 宙, 石川 文彦, 尾本 秀之, 伊藤 博
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2852-2856
    公開日: 2014/04/25
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    肝両葉に多発する肝膿瘍を契機に発見されたS状結腸癌の1例を経験したので報告する.症例は46歳,男性.発熱,右季肋部痛,高度の炎症所見を指摘され,当院を紹介された.腹部エコー・CTにて肝両葉に低吸収域を認め,多発肝膿瘍の診断で入院した.原因検索の下部消化管精査でS状結腸癌を指摘され,外科紹介となった.抗菌薬投与のみで炎症の改善と肝膿瘍の縮小を認めたため,S状結腸切除術を施行した.経過は良好で,術後14日目に退院した.病理結果ではtub1,ss,ly2,v1,n2,Stage IIIbとの診断で,肝膿瘍の軽快の後に補助化学療法を施行し,術後1年以上経過した現在,再発転移はなく外来フォロー中である.肝膿瘍の原因としては,大腸癌からの経門脈的感染が推測されたが,肝両葉に多発した機序は不明であった.肝膿瘍の診断・治療においては,原因疾患として大腸癌の可能性も念頭に置いた消化管精査を行う必要があると考えられる.
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  • 砂原 正男, 神山 俊哉, 佐藤 直樹, 倉内 宣明, 鈴木 伸作, 木村 純
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2857-2862
    公開日: 2014/04/25
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    症例は52歳,女性.右上腹部痛を主訴に近医を受診し,CT検査にて肝右葉に石灰化を伴う13cm大の低濃度陰影を指摘され,当院紹介となった.精査にて腹膜播種を伴う多包性肝エキノコックス症と診断し,肝拡大右葉切除術を施行した.なお,術前CTにて指摘されていた2.7cm大の白色調の腹膜結節を摘出し,他にも5mm大までの腹膜結節を多数認め,うち3個を摘出し,いずれも病理検査にてエキノコックスの腹膜播種巣の診断を得た.外来にてアルベンダゾールによる術後補助療法を開始し,術後27カ月経過したが,転移や再発を認めていない.多包性肝エキノコックス症の予後は肝病巣の程度に依存するため,腹膜播種があっても肝病巣の切除後にアルベンダゾールを長期にわたり内服することで良好な予後が期待できる.腹膜播種を伴う多包性肝エキノコックス症の報告例はまれであり,文献的考察を加えて報告する.
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  • 片山 雄介, 森永 聡一郎, 沼田 正勝, 五代 天偉, 益田 宗孝, 赤池 信
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2863-2868
    公開日: 2014/04/25
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    症例は74歳,男性で各種ウィルスマーカーは陰性.腹部の重苦しさを主訴に近医を受診,腹部超音波で肝右葉に腫瘤を指摘され,当院紹介受診した.MRIで肝S6/5に8cm大の腫瘤性病変を認め,ダイナミック造影で腫瘤内部に動脈相で造影効果があり,門脈相でwash outされる所見を認めた.肝細胞癌の診断で肝S6亜区域切除+S5部分切除を施行した.腫瘤は境界明瞭な被膜を有し内部には壊死物質が認められた.病理組織学的所見では被膜内の細胞は広範に壊死し,viableな腫瘍細胞は認められなかった.腫瘍内部に類洞様の支持組織を認め,肝細胞癌が完全に自然壊死に陥ったものと考えられた.また,背景肝に異常所見はなかった.今回われわれは正常肝より発生した肝細胞癌が完全に自然壊死した極めてまれな症例を経験したので報告する.
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  • 嘉山 貴文, 鈴木 昌八, 落合 秀人, 稲葉 圭介, 福本 和彦, 神藤 修
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2869-2874
    公開日: 2014/04/25
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    症例は47歳,男性.20年前にB型肝炎と診断.3年前に肝機能障害を指摘された.ゴルフ練習後に上腹部痛を自覚し,肝細胞癌破裂による腹腔内出血として肝動脈塞栓術が施行された.その後に切除目的に当科外来紹介受診した.腹部CT・MRIでは,横隔膜直下のS7に血腫を伴う径7.5cmの肝細胞癌と肝右葉の広範囲に及ぶ被膜下血腫を認めた.発症から1カ月後に手術を行った.開腹時に腹水を認めず,肝右葉被膜下は血性貯留物で緊満し,腫瘍は横隔膜と強固に癒着していた.腫瘍細胞の散布を防ぐため,肝右葉切除に横隔膜合併切除を併用し,血腫と共に横隔膜と強固に癒着していた肝細胞癌を摘除した.組織学的には中分化型肝細胞癌を認め,腫瘍は破裂して被膜下血腫を形成していたが,横隔膜浸潤は認めなかった.術後第19病日に退院し,33カ月経過した現在,無再発生存中である.比較的まれな被膜下血腫に留まった破裂肝細胞癌につき文献的考察を含めて報告する.
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  • 南 貴人, 石井 隆道, 波多野 悦朗, 海道 利実, 南口 早智子, 上本 伸二
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2875-2878
    公開日: 2014/04/25
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    80歳台,男性.肝右葉の15cm大の肝細胞癌(非B非C型)に対して肝右葉切除術施行後約7年間無再発で経過していたが,フォローアップ中に右心室心筋内腫瘍・右肺底部腫瘍を指摘された.右肺底部病変は生検にて肝細胞癌肺転移と診断された.また,Gadolinium ethoxybenzyl diethylenetriaminepentaacetic acid (Gd-EOB-DTPA) MRIで右室心筋内腫瘍にGd-EOB-DTPAの取り込みを認め,肝細胞癌の心転移と考えられた.肝への再発は認めなかった.ソラフェニブ800mg/body/dayで治療を開始したが皮膚有害事象が出現したため中止し緩和医療へと移行した.肝細胞癌の右心室への転移は稀である.特に肝細胞癌術後に肝再発を認めない状態での右心室転移症例は極めて少ないため,文献的考察を加えて報告する.
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  • 大野 陽介, 蒲池 浩文, 敦賀 陽介, 横尾 英樹, 神山 俊哉, 武冨 紹信
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2879-2884
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    門脈ステント留置術は,悪性腫瘍による門脈狭窄に対して,安全に門脈圧を低下させるための有効な手技であると報告されているが汎用されている手技ではない.われわれは,肝門部胆管癌術後,肝門部再発により高度な門脈狭窄を呈し,それに随伴する門脈血流の低下が原因と考えられる遷延する黄疸に対し経皮経肝的門脈ステント留置を施行し門脈血流の改善,肝機能の改善を得られた症例を経験した.門脈ステント留置は,狭窄部位や範囲,門脈圧亢進による側副路の存在などを評価した上で,早期に施行することで門脈圧亢進症状の出現を予防し,QOLの向上が得られるのではないかと考えられる.
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  • 大場 崇旦, 関野 康, 中田 岳成, 松下 明正, 熊木 俊成, 藍澤 喜久雄
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2885-2889
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    胆嚢穿孔の主な原因は胆石を伴う急性胆嚢炎であるが,腹腔内遊離ガスを伴うことは稀である.今回,著明な腹腔内遊離ガス像を認めた胆嚢穿孔の1例を経験したので報告する.症例は70歳,男性.脳梗塞後遺症・高血圧症・糖尿病にて他院入院中に腹痛を発症し,加療目的に当院に救急搬送された.上腹部全体に圧痛・反跳痛・筋性防御を認め,腹部単純X線検査および腹部CT検査では腹腔内遊離ガス像が著明であった.CT画像では胆嚢頸部に結石が認められたが,胆嚢壁肥厚,気腫性変化はなく,消化管穿孔と診断し,緊急手術を施行した.開腹所見では腹腔内には多量の胆汁様腹水が認められた.上部・下部消化管に穿孔所見はなく,胆嚢頸部に3mm大の穿孔を認め,胆嚢穿孔による腹膜炎と判断し胆嚢摘出術を行った.腹腔内遊離ガス像を認めた腹膜炎の緊急手術において,消化管穿孔部位が特定できなかった場合,胆嚢穿孔も鑑別診断として検索すべきであると思われた.
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  • 川越 勝也, 河野 文彰, 水野 隆之, 池ノ上 実, 中村 都英
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2890-2895
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    患者は46歳,女性.7歳時にEbstein奇形と診断され,小児科および循環器内科で経過観察されていた.46歳時に脳膿瘍を発症し,膿瘍ドレナージ術を施行された.経過中に2度の胆石発作を発症し,高度のチアノーゼを有するEbstein奇形合併症例であったため,当科紹介となった.心臓カテーテル検査,経食道心エコー等による循環器精査により,心房中隔欠損を介した右左短絡を有することが確認された.気腹による腹腔鏡下胆嚢摘出術は困難であると判断し,吊り上げ式腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.術中は安定した麻酔管理が行えた.
    先天性心疾患を有する患者に対して吊り上げ式腹腔鏡下手術を施行された報告はなく,臨床的に重要であると思われた.
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  • 湯澤 浩之, 肥満 智紀, 梅枝 覚
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2896-2900
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    患者は71歳,男性.心窩部痛で当院受診し画像検査で膵体尾部に多発嚢胞性病変を認めた.尾部の多房性嚢胞性病変は20mm大で,内部に造影増強効果を有する不整形の充実成分を伴っていたため,悪性病変も否定できなかった.確定診断を兼ねて腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行した.術後経過は良好で第14病日に退院した.病理検索で膵尾部の病変は嚢胞変性したwell-differentiated endocrine tumor(benign behavior)で,体部の嚢胞は多房性の単純嚢胞であった.完全腹腔鏡下の脾摘を伴う膵体尾部切除術は,本症例のような膵体尾部の良悪性境界病変に対する選択枝の一つになり得ると考える.
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  • 渋谷 雅常, 前田 清, 大谷 博, 永原 央, 野田 英児, 坂部 真奈美, 大澤 政彦, 平川 弘聖
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2901-2905
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    症例は81歳,男性.主訴はタール便.精査にて両側副腎転移や大動脈周囲リンパ節転移を伴う小腸未分化癌が疑われたが出血コントロール目的に小腸部分切除術を施行した.術翌日にショック状態となり低血糖や高K血症などから急性副腎不全を疑った.ステロイド投与にて全身状態は速やかに改善した.摘出標本の病理組織学的検査や免疫染色の結果から小腸未分化癌と診断された.ステロイド投与により一時は全身状態の改善を認めたが原疾患の増悪に伴い術後2週間で永眠された.
    小腸未分化癌は非常にまれな疾患でその予後は極めて不良とされる.また,癌の副腎転移はしばしば経験するが副腎不全を発症することはまれである.今回われわれは小腸未分化癌の両側副腎転移により術後急性副腎不全を発症した1例を経験した.
    副腎転移を認める癌患者において内分泌学的検索を行うことは重要で,副腎不全の可能性を念頭に置くことが必要であると考えられた.
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  • 柏木 伸一郎, 小野田 尚佳, 石川 哲郎, 黒田 顕慈, 野田 諭, 若狭 研一, 平川 弘聖
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2906-2911
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    69歳,女性.検診で発見された胃ポリープ精査中,CTにて左副腎部に約2cm大の腫瘤が認められ,約半年の経過観察を経て約5cmまで増大を示し当院紹介となった.血液・尿検査にて異常は認められず,内分泌活性はなかった.MRIでは約5cm大の左副腎腫瘤を認め,T1強調像では腫瘤は不均一低信号,T2強調像では高信号と低信号が混在していた.悪性の可能性を考慮し腹腔鏡下左副腎摘除術を施行した.最終診断は,左副腎皮質癌pT2N0M0 stage IIとした.副腎皮質癌はまれな疾患であり,内分泌活性を示すものが多く,非機能性のものは少ない.一方で,臨床症状を伴わない副腎偶発腫瘍が発見される機会が増加している.内分泌活性を有するものや悪性が疑われるものは手術適応とされる.今回,われわれは増大傾向のある副腎偶発腫瘍に対して腹腔鏡下に手術を行い,非機能性副腎皮質癌との診断に至った1例を経験したので報告する.
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  • 藤原 有史, 高塚 聡, 貝崎 亮二, 新川 寛二
    74 巻 (2013) 10 号 p. 2912-2916
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    尿膜管遺残症である尿膜管臍瘻に対して,腹腔鏡下に膀胱部分切除を含む尿膜管全摘除を行った2例を経験したので報告する.症例は32歳女性および27歳男性で,いずれも臍炎を主訴に来院された.初診時に腹部CT検査を行い,尿膜管臍瘻と診断した.ドレナージを行い炎症が消退した後,腹腔鏡下に膀胱頂部の全層切除を含めた尿膜管全摘除術を行った.病理組織学的検査では,2例ともに膀胱頂部に尿膜管の遺残(いわゆる膀胱憩室)を示す管腔組織を認めた.尿膜管摘除における膀胱側の摘除範囲については統一された見解はないが,尿膜管臍瘻においても膀胱頂部の全層合併切除が望ましいと考えられた.
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