日本臨床外科学会雑誌
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74 巻 , 11 号
選択された号の論文の56件中1~50を表示しています
第74回総会会長講演
原著
  • 松田 和広, 村上 雅彦, 青木 武士, 山田 宏輔, 古泉 友丈, 藤森 聡, 榎並 延太, 山崎 公靖, 田嶋 勇介, 渡辺 誠, 大塚 ...
    74 巻 (2013) 11 号 p. 2962-2967
    公開日: 2014/05/30
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    目的:胃癌肝転移に対する外科切除の適応については明確なエビデンスは得られていない.教室で経験した胃癌肝転移症例につき,肝切除の適応と有用性について検討した.方法:1995年1月より2007年1月までに胃癌肝転移に対し肝切除が施行された14例を対象とした.予後因子として,原発巣因子(腫瘍最大径,組織型,壁深達度,リンパ節転移,ly,v),転移巣因子(転移時期,個数,占拠部位,切除術式),術前CEA値,術後化学療法の有無について解析した.結果:全肝切除症例の5年生存率は36%であった.予後規定因子として,1)転移時期,2)局在,3)術後化学療法が有意な予後因子であった.特に,異時性かつ片葉に限局した6例においては5年生存率83%と良好な結果が得られていた.結論:胃癌肝転移においても,異時性,片葉に限局した症例では肝切除により長期生存が得られる可能性があり,肝切除を積極的に考慮すべきと思われた.
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臨床経験
  • 宇野 智子, 佐々木 賢一, 斎藤 慶太, 奥谷 浩一, 渋谷 均, 平田 公一
    74 巻 (2013) 11 号 p. 2968-2973
    公開日: 2014/05/30
    ジャーナル フリー
    根治的恥骨後前立腺摘除術(以下RRP)は鼠径ヘルニア(以下ヘルニア)の一因と考えられている.今回,当院におけるRRP後のヘルニアの特徴についてretrospectiveに検討した.成人男性初回ヘルニア手術症例314例(357鼠径)についてRRP既往の有無により,既往群24例(33鼠径),対照群290例(324鼠径)に分け比較解析したところ,既往群では両側発症が有意に多く(既往群37.5%,対照群11.7%),全例が外鼠径ヘルニアであった.それらに対する根治術式としてmesh-plug法が大部分を占めていた.RRP施行後からヘルニア発症までの月数中央値は11カ月であった.当院におけるRRP後ヘルニア発症率は23.0%であり,過去報告範囲内ではあるものの高率であることから,予防策が必要であると考えられた.
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症例
  • 佐藤 嘉紀, 小畑 真介, 竹内 一雄, 河田 尚子, 山口 明夫, 今村 好章
    74 巻 (2013) 11 号 p. 2974-2979
    公開日: 2014/05/30
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    症例は62歳,男性.2010年8月に上腹部痛および体重減少を主訴に当院へ紹介となった.胃内視鏡を施行したところ胃角部に3型進行胃癌を認め,生検では印環細胞癌が指摘された.各種検査にて骨・甲状腺への転移を疑われた.甲状腺の穿刺細胞診を行い,免疫組織染色にて検索したところ胃癌の甲状腺転移と診断した.治療を開始したが7カ月後に死亡した.胃癌の甲状腺転移は比較的稀であり,文献的考察を加え報告した.
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  • 吉田 直裕, 山口 美樹, 田中 眞紀, 磯邉 眞, 山口 倫
    74 巻 (2013) 11 号 p. 2980-2985
    公開日: 2014/05/30
    ジャーナル フリー
    症例は43歳女性で左乳房腫瘤を主訴に受診した.1カ月前の乳癌検診で異常はなかった.初診時,マンモグラフィと超音波検査で左乳房C領域に30×22mm大の腫瘤を認め,針生検で浸潤性乳癌と診断した.初診から手術までの1カ月で腫瘍は40×40mmに増大した.原発性乳癌の術前診断で,胸筋温存乳房切除 + センチネルリンパ節生検を施行した.術後病理組織検査,免疫組織染色所見で乳腺原発poorly differentiated/small cell carcinoma (P-SMCC)と診断した.術後は乳癌に準じてFEC-DTXの補助化学療法を各4コース行い,現在,術後21カ月で再発を認めていない.乳腺原発P-SMCCの報告例は本邦,海外ともに稀で予後不良とされる.本症例は1カ月で40×40mmと急速増大しており乳腺原発P-SMCCは急速に進行する可能性が示唆され,今後も厳重に経過観察する必要がある.
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  • 小笠原 和宏, 小林 清二, 河合 朋昭, 小林 篤寿, 小柳 要, 草野 満夫
    74 巻 (2013) 11 号 p. 2986-2991
    公開日: 2014/05/30
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    はじめに:血性乳頭分泌は,悪性疾患を原因とすることが多く,診断と治療に慎重な対応が求められる.術中インドシアニングリーン(indocyanine green:ICG)蛍光乳管造影により切除範囲を確定し乳管腺葉区域切除(DLS)を実施して治癒した乳管内乳頭腫による血性乳頭分泌の1例を経験したので報告する.症例:50歳,女性.左A領域に1.0×1.0×0.7cmの腫瘤を認めた.術前診断未確定ながら,家族歴による患者の強い希望で診断と治療を一期的に行うためDLSを実施した.術中乳管造影および染色のために,インジゴカルミンとICGの9:1混合液を用いた.ICG蛍光は皮膚を通じて明瞭に観察され,皮膚切開前に切除対象腺葉区域を特定できた.病理診断は乳管内乳頭腫で,術後血性乳頭分泌の再発はみられなかった.結論:悪性診断を確定できないか切除範囲を特定できない血性乳頭分泌症例の診断と治療にDLSを必要とする場合があり,その切除範囲決定にICG蛍光法が役立った.
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  • 石井 誠一郎, 杉浦 仁
    74 巻 (2013) 11 号 p. 2992-2996
    公開日: 2014/05/30
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    症例は27歳の未婚女性.10日前から左乳房の腫瘤を自覚して,当院を受診.左乳房内上部に8mm大の可動性良好な腫瘤を触知.マンモグラフィーではカテゴリー3の高濃度腫瘤陰影,超音波検査では,線維腺腫に矛盾しない所見であった.穿刺吸引細胞診でも良性と診断されたため,3カ月ごとの経過観察とした.6カ月後に腫瘤径は15mm大と明らかな増大傾向を認め,確定診断のために,腫瘍摘出術(Tm)を行った.組織学的所見では,腫瘍細胞は淡明な胞体を有しており,シート状・胞巣状に増殖していたが,明らかな浸潤像は認めなかった.胞体はPAS染色陽性で,ジアスターゼ処理で陰性化したので,GRCCと確定診断がえられた.切除断端に腫瘍の露出はなく,ER/PRとも陽性,HER2蛋白陰性であったので,術後LH-RH agonistおよびTamoxifenを投与して経過観察とした.
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  • 松谷 毅, 野村 務, 萩原 信敏, 松田 明久, 下田 朋宏, 内田 英二
    74 巻 (2013) 11 号 p. 2997-3002
    公開日: 2014/05/30
    ジャーナル フリー
    症例は68歳の男性で,進行食道扁平上皮癌にて,胸腔鏡下食道切除・腹腔鏡補助下胃管作製・後縦隔経路で頸部食道胃管吻合術を施行した.術後第2病日に,咳嗽反射の減弱と喀痰排泄不良にて輪状甲状膜切開で小型気管内チューブを挿入した.第7病日に突然呼吸困難および皮下気種を認めた.胸部CT検査,上部消化管内視鏡および気管支ファイバーを施行し,気管膜様部損傷・気管再建胃管瘻と診断した.気管膜様部損傷部に小型気管内チューブが入り込んでいたため,術後気管粘膜の虚血性変化と小型気管内チューブによる気管壁への持続的刺激が原因と推測した.胸腔ドレーンを挿入後,呼吸・循環状態は改善したが,救命のためカバー付き気管・気管支メタリック・ステントを留置し,瘻孔を閉鎖した.経口摂取が可能となり軽快退院となった.
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  • 中野 順隆, 寺島 秀夫, 高橋 一広, 今村 史人, 堀口 尚, 神賀 正博
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3003-3010
    公開日: 2014/05/30
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    患者は69歳,男性.胸部痛・発熱を主訴に近医を受診し,精査にて下部食道から胃弓隆部にかけての全長約15cm,最大横径約8cm大,亜有茎性の腫瘍を認め,生検では間葉系腫瘍が疑われた.加えて,右肺尖部に原発性肺癌の存在が疑われ,加療目的に当院へ紹介となった.来院時,急速な発育に伴う腫瘍壊死によって弛張熱・貧血・重度栄養障害を合併していた.腫瘍摘出以外に,全身性消耗状態からの離脱は困難と判断し,食道亜全摘・高位胸腔内食道胃吻合,右肺上葉部分切除術が施行された.病理組織検査では,紡錘形の腫瘍細胞が不規則に交錯し増殖しており,免疫染色検査によって,平滑筋肉腫と確定診断された.発生母地は,食道固有筋層は残存しており,粘膜筋板と考えられた.右肺尖部腫瘍は腺癌の診断であった.粘膜筋板由来の巨大食道平滑筋腫に原発性肺癌が同時性に合併した極めて稀な症例を経験したので報告する.
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  • 御井 保彦, 有川 俊治, 阿部 紘一郎, 宗實 孝, 前田 裕巳, 黒田 大介
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3011-3015
    公開日: 2014/05/30
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    症例は80歳,女性.頻回の嘔吐を主訴に前医受診.胸部単純X線写真で右肺野異常陰影を指摘され,当院受診となる.CTでは横隔膜ヘルニアを認め,右胸腔内に胃幽門部と横行結腸,大網の脱出を認めた.Morgagni孔ヘルニアと診断し,腹腔鏡下に脱出臓器を腹腔内へ還納し,ヘルニア門にComposix mesh®を固定して手術を終了した.術後2年経過した現在も再発を認めていない.横隔膜ヘルニアに対する鏡視下手術が徐々に浸透しつつあるが,現在も術式の選択に関しては議論の余地がある.今回高齢発症のMorgagni孔ヘルニアに対し,Composix mesh®を用いて腹腔鏡下に修復しえた1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 野中 健一, 杉山 太郎, 天岡 望, 加藤 浩樹, 白子 隆志, 吉田 和弘
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3016-3021
    公開日: 2014/05/30
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    症例は86歳の女性で,呼吸苦と喘鳴を主訴に高山赤十字病院救急外来を受診した.血液検査では貧血と低栄養,CTでは縦隔内にほぼ全体が脱出した胃と両側の胸水を認めた.以上より,貧血・低栄養・両側胸水を伴う高齢者upside down stomach型食道裂孔ヘルニアと診断し,開腹術を施行した.ヘルニア門は径約8cmで横行結腸の一部と胃の全体が縦隔内に脱出していた.ヘルニア門の閉鎖,胃の腹腔内への固定,Nissenの逆流防止術を施行した.術後,胃潰瘍による幽門輪の狭窄を確認したため,2度バルーン拡張術を施行し,食事摂取は良好となった.全身状態の悪い症例に対しては,まず併存疾患の治療を行って状態を改善させることが重要である.続いてヘルニアを解除し,必要に応じて二期的に幽門形成術やバイパス等の処置を行うことが安全と考えられた.
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  • 家田 敬輔, 沖 彰, 中村 純一, 大曽根 勝也, 佐々木 滋, 桑野 博行
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3022-3027
    公開日: 2014/05/30
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    症例は33歳,女性.心窩部不快感を主訴に受診.造影CT検査・上部消化管内視鏡検査・超音波内視鏡検査などにより胸部下部食道に長径80mm大の食道粘膜下腫瘍を認めた.大きさ,有症状,悪性も否定できないことから手術方針となった.腹腔鏡補助下に経食道裂孔的アプローチで下部食道切除術を行い,腫瘍を摘出した.術後経過は良好で第14病日に軽快退院した.胸部下部食道良性腫瘍に対して腹腔鏡補助下のアプローチは有用な選択肢と考えられた.
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  • 首藤 潔彦, 山崎 将人, 幸田 圭史, 河野 世章, 阿久津 泰典, 松原 久裕
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3028-3033
    公開日: 2014/05/30
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    症例1は74歳,男性.食道癌Mt,cT1bN0M0,Stage Iの診断で,開胸食道亜全摘・後縦隔胃管再建・高位胸腔内吻合術を施行.術後右肺尖部から大網内に大きく広がる膿瘍腔が認められ縫合不全と診断された.症例2は54歳,男性.食道癌食道癌LtAe,cT3N1M0,Stage IIIの診断で,術前FP化学療法のち胸腔鏡補助下食道亜全摘・後縦隔胃管再建・高位胸腔内吻合術を施行.術後左房背側の大動脈周囲に大きく広がる膿瘍腔が認められ縫合不全と診断された.両症例に対し経鼻経食道的縦隔ドレナージ(NEED)を施行した.胃管減圧を併用しつつ経腸栄養管理に移行することで膿瘍腔は縮小し経口摂取可能で退院となった.
    経腸栄養を併施したNEED治療によりmajor leakageを発症した場合でも低侵襲的に完全治癒可能であることが示され本治療法は有用な選択肢と考えられた.
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  • 山村 謙介, 井上 耕太郎, 箕田 誠司, 金光 敬一郎
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3034-3039
    公開日: 2014/05/30
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    症例は79歳,女性.前夜からの上腹部痛と嘔吐のため当院へ救急搬送された.心窩部に強い圧痛があり,造影CTでは胃角部から幽門部にかけて全周性の著明な壁肥厚と壁内にガス像を認めた.胃壁自体の造影は良好であった.上部消化管内視鏡検査では胃前庭部大弯に3mm大の小潰瘍を認めた.胃壁内気腫症と診断したが,諸検査からは積極的に胃壊死を疑う所見がなかったため,保存的治療を行うこととした.経鼻胃管による減圧とPPI,抗生剤の投与により症状の改善が得られ,第14病日には前庭部の潰瘍が瘢痕化し,胃壁内気腫も消失した.食事を開始し第20病日に退院となった.胃壁内気腫は消化管壁内気腫の一つであり,その存在は胃壁壊死を疑わせる所見であるため,緊急手術を要すること考えられる.今回われわれは,保存的に治療しえた胃壁内気腫症の症例を経験したため,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 山村 明寛, 小野 文徳, 平賀 雅樹, 大村 範幸, 高野 成尚, 上坂 佳敬
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3040-3044
    公開日: 2014/05/30
    ジャーナル フリー
    症例は65歳の男性で,前日夜より急激な上腹部痛が出現し近医を受診した.待合室にてプレショック状態となり,当院へ救急搬送となった.腹部造影CTにて胃体下部大弯に血腫形成を伴った腫瘤像を認め,腹腔内に液体貯留を認めた.胃粘膜下腫瘍の破綻による腹腔内出血の診断にて緊急動脈塞栓術(TAE)を施行し,右胃大網動脈を塞栓して止血した.その2週間後,待機的に手術を施行した.病理組織所見では,紡錘形の腫瘍細胞が束状に増殖していたが,細胞異型は認めず核分裂像も認めなかった.免疫染色ではc-kit・CD34・S-100さらにDOG1が陰性で,α-SMA・ビメンチン・デスミンは陽性であり,胃平滑筋腫と診断した.胃平滑筋腫が腹腔内出血の形で発症することは非常にまれであり,また本症例では,消化管由来の腹腔内出血に対し,TAE施行後に待機的手術を行ったことは有益であったのでここに報告する.
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  • 松原 毅, 平原 典幸, 矢野 誠司, 田島 義証
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3045-3050
    公開日: 2014/05/30
    ジャーナル フリー
    症例は55歳,男性.検診精査で,食道胃接合部近傍に20mm大の管腔内発育型胃GISTを指摘された.ガイドラインに則り,手術適応と判断した.低侵襲性を考慮し,TANKO+1によるreduced port surgeryで腹腔鏡・内視鏡合同胃局所切除術(laparoscopic and endoscopic cooperative surgery: LECS)を施行した.胃壁欠損部の閉鎖は腹腔鏡下縫合技術を用いて閉鎖を行うことで胃壁の変形を最小限に出来た.手術時間は146分,出血は極少量であった.術後の上部消化管造影で変形・狭窄・逆流等はなく,第7病日に退院となった.LECSは,surgical marginを確保し,かつ切除範囲および術後の胃変形を最小限に留めることが可能であり,reduced port surgeryを併施することで機能面・整容面においても低侵襲に施行可能であった.
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  • 井上 英信, 石川 順英, 森岡 広嗣, 吉谷 新一郎, 廣瀬 哲朗, 西平 友彦
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3051-3056
    公開日: 2014/05/30
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    比較的まれな蛋白漏出性胃癌の1例を経験した.症例は78歳の女性で足のむくみを主訴に近医を受診し,低蛋白血症・貧血を指摘され紹介となった.血清総蛋白・アルブミン値(TP・Alb)3.5・2.1g/dlと低下し,内視鏡でカリフラワー状の隆起性胃癌が認められた.蛋白漏出シンチグラフィーで消化管内への蛋白漏出が確認でき蛋白漏出性胃癌と診断した.低蛋白血症・胸水など全身状態不良であったが,術前の蛋白補正なしで初診より17日目に幽門側胃切除術を施行した.大きさは10.7cmで,組織像で中分化腺癌が乳頭状増殖を呈した.pT2,pN1,M0,Stage IIであった.術直後にアルブミン補充療法を行い,TP・Albが上昇し,胸水も消失して術後経過は順調であった.術後30カ月現在,再発なく健存である.原発巣切除以外で全身状態が改善しないため,蛋白漏出性胃癌では診断後速やかに手術を行うことが重要と考えた.
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  • 垣内 慶彦, 新田 泰樹, 赤在 義浩, 大原 利憲
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3057-3062
    公開日: 2014/05/30
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    症例1:27歳,女性.腹痛を主訴に受診.Crohn病による下行結腸穿通・膿瘍形成と診断し抗菌薬にて加療を開始した.入院後,嘔吐・下痢を認め,偽膜性腸炎(pseudomembranous colitis:PMC)と診断し加療を行うも,ショック状態に移行したため,盲腸人工肛門造設を行った.術後は10日間にわたり人工肛門よりvancomycinを注入し改善を認めた.症例2:57歳,女性.副鼻腔炎の診断で抗菌薬内服.数日後より発熱・下痢を認め受診.PMCと診断し加療するも,DIC・ショック状態へと移行したため,大腸亜全摘・回腸人工肛門造設を行った.術後はほぼ順調に回復した.PMCはclostridium difficileの産生する毒素により発症する抗菌薬起因性腸炎の一つである.重症例の中で,腹膜炎症状・敗血症・ショック・巨大結腸症・多臓器不全・保存的加療抵抗性を呈するものは予後不良であり,緊急手術を行わなければ救命できない症例も存在する.
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  • 恩田 真二, 橋爪 良輔, 平林 剛, 岡本 友好, 矢永 勝彦
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3063-3067
    公開日: 2014/05/30
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    症例は39歳,男性.10日間続く下腹部痛・発熱・下痢・嘔気を主訴に来院し,腹部CT検査で腹腔内膿瘍を認め,穿孔性虫垂炎による膿瘍形成の診断で入院となった.入院時は症状が軽減しており,抗菌薬投与による保存的加療を行ったが,第7病日の腹部超音波検査で門脈本幹から右枝に血栓形成を認めた.虫垂炎に起因する門脈血栓症と診断し,ヘパリンの持続投与を開始した.その後,発熱・炎症反応の増悪を認め手術を検討したが,患者の手術の同意が得られず保存的加療を継続した.抗菌薬投与開始後約4週間で炎症反応の改善を認めた.第30病日の腹部超音波検査で門脈血栓は消失し,ヘパリン投与を中止し,第42病日に退院となった.その後,血栓の再発を認めていない.
    門脈血栓はまれな疾患であるが,膿瘍を伴うような重症な虫垂炎で併発する可能性があり注意が必要である.
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  • 本間 祐子, 熊野 秀俊, 室野井 智博, 田中 宏幸, 関口 忠司
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3068-3072
    公開日: 2014/05/30
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    上腸間膜静脈(SMV:superior mesenteric vein)血栓症は,急性虫垂炎など腹腔内感染が原因の一つとされ,非特異的な症状のため診断に難渋する症例がある.今回われわれは急性虫垂炎術後に敗血症を呈したSMV血栓症の1例を経験したので報告する.症例は62歳,男性.右下腹部痛を主訴に当院へ緊急搬送となり,膿瘍形成を伴う急性虫垂炎の診断で,同日緊急手術を施行した.術後9日目に退院となったが,術後14日目に悪寒戦慄を伴う発熱が出現し来院した.来院時,敗血症を認め,腹部造影CTでSMV~門脈内の血栓形成を認めた.腸管壊死を疑う所見は認めず,抗凝固療法と抗生剤投与を中心とした保存的治療で症状は速やかに改善した.急性虫垂炎後に発症したSMV血栓症に対する1治療例を経験したので報告する.
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  • 石原 博雅, 片岡 政人, 長谷川 和也, 中山 裕史, 竹田 伸, 近藤 建
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3073-3076
    公開日: 2014/05/30
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    症例は81歳,男性.25歳時に虫垂炎にて虫垂切除の既往がある.2010年12月頃より,下痢・便秘を繰り返していた.2011年3月,精査のため下部消化管内視鏡検査を施行したところ,中心部に粘液の貯留を認める隆起性病変を盲腸に認め,生検にて虫垂粘液嚢胞腺腫と診断された.術前検査にてリンパ節転移や腹腔内転移などの悪性所見は認めず,2011年4月に腹腔鏡下盲腸切除術を施行した.摘出標本の病理組織検査で虫垂粘液嚢胞腺腫と診断された.遺残虫垂に発生した虫垂粘液嚢胞腺腫は非常に稀である.今回,虫垂切除後56年を経過し,遺残虫垂から発生した虫垂粘液嚢胞腺腫の1例を経験したので報告する.
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  • 會田 直弘, 神宮 和彦, 植松 武史, 北林 宏之
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3077-3081
    公開日: 2014/05/30
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    症例は69歳,女性.46年前に急性虫垂炎で虫垂切除術を受けていた.3年前より虫垂炎術創近傍に腫瘤を自覚し増大するため当院受診.虫垂炎術創に接する14cm大の腫瘤を触知し,CTで腹壁に石灰化と造影効果を伴う嚢胞性病変を認めた.CEAとCA19-9が高値であったが腹壁腫瘤以外に病変指摘し得ず,遺残虫垂を認めたため虫垂粘液腫瘍を念頭に手術を施行した.遺残虫垂には異常なく,腹壁腫瘤との連続性もなく,それぞれ切除した.腫瘤内部はゼリー状物質で充満し,壁の所々に乳頭状の腫瘍を認め病理組織学的に粘液嚢胞腺癌と診断された.免疫染色でCK7陰性,CK20陽性にて虫垂原発と推定されたが,遺残虫垂に腫瘍は認められず,虫垂炎手術時に術創に粘膜のimplantationが起こり,長期間を経て癌化したものと推察された.本症例のように腹壁に発症した粘液嚢胞腺癌の報告はなく,興味深い症例であったため若干の文献的考察を加え報告した.
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  • 宇田 裕聡, 森 俊明, 鈴木 祐一
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3082-3086
    公開日: 2014/05/30
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    症例は77歳,女性.半年前より逆流性食道炎に対し,ランソプラゾール(以下PPI)を服用中であった.数日間持続する間欠的な腹痛と下血,受診直前に行った自己浣腸後の腹痛の増悪を主訴に当院を受診した.左下腹部に強い圧痛を認め,腹部CT検査にて腹腔内遊離ガスを認めたため,消化管穿孔汎発性腹膜炎の診断にて緊急手術を施行した.術中所見では,横行結腸と下行結腸にそれぞれ1カ所ずつ直径1cm程度の穿孔部を認めたが,穿孔原因は明らかなではなかった.結腸切除,腹腔ドレナージ術を施行した.病理組織学的検査では,切除腸管全域に表層上皮下の厚い膠原繊維帯の形成を認め,collagenous colitis(以下CC)と診断した.PPI内服後に発生したCCに消化管穿孔を合併した1例を経験したため文献的考察を加え報告する.
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  • 後藤 沙織, 水上 陽, 赤神 正敏, 太田 秀一, 井ノ本 琢也, 足立 幸人
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3087-3091
    公開日: 2014/05/30
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    結腸間膜原発平滑筋肉腫は比較的稀であり,下行結腸間膜に発生したものは本邦で自験例含め2例のみであり報告する.症例は46歳,女性.左側腹部痛を主訴に近医受診し腹部超音波検査にて6cm大の腫瘤を認めたため,当院紹介.各種画像検査では下行結腸内側に径6cm大の境界明瞭で内部不均一な腫瘤を認めた.後腹膜または下行結腸間膜由来の腫瘍と診断し腫瘍切除術を施行した.腫瘍は下行結腸間膜内に存在していた.後腹膜に癒着していたが,後腹膜下筋膜の層で剥離が可能であったため,結腸間膜原発と考えられた.病理学的には紡錘形細胞の増殖を認め,免疫染色でvimentin(+),α-SMA(+),calponin 1(+),caldesmon(+),c-kit(-)であり平滑筋肉腫と診断した.核異型は強く,MIB-1標識率は60%と増殖能の高い腫瘍であったが,術後9カ月現在再発を認めていない.
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  • 野口 岳春, 江口 礼紀, 吉利 賢治, 竹下 信啓, 近藤 泰之, 中川 了輔, 高橋 学
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3092-3097
    公開日: 2014/05/30
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    症例は65歳,女性.発熱および腹部膨満症状で近医受診,CT検査で直腸に腫瘍性病変を指摘され当院紹介受診となった.WBC/CRP=13,900/5.48と炎症反応の上昇を認め,下部内視鏡および注腸造影検査にて直腸の狭窄を認めた.子宮内避妊具(intrauterine contraceptive device,以下IUD)の使用歴より骨盤放線菌症を疑い抗菌薬投与を開始するとともにIUD抜去術を施行,その際の細胞診にて放線菌症の確診を得ることができた,6カ月間にわたる抗菌薬投与により症状および直腸狭窄の改善が得られ,その後16カ月間再発は認めていない.骨盤放線菌症は初期段階での手術治療は多臓器切除となる可能性が高く過大な侵襲となることがある.長期抗菌薬で治癒する可能性もあり,手術適応に関して慎重に検討する必要がある.
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  • 和城 光庸, 渡辺 善寛, 熊谷 信平, 市川 徹郎, 宮崎 勝
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3098-3102
    公開日: 2014/05/30
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    症例は65歳,女性.下腹部膨隆を自覚し当院受診.CT検査にて骨盤内巨大腫瘤を指摘された.造影CT上骨盤腔に境界明瞭で,内部不均一に造影される,11×9.0×8.0cmの巨大腫瘍あり.CF上,大腸粘膜には異常認めず,血管造影上,下腸間膜動脈よりfeederを受けていた.このため,直腸間膜原発の腫瘍と考え,低位前方切除術施行.術後経過良好で,術後第10病日に退院.病理結果は孤立性線維性腫瘍(solitary fibrous tumor:SFT)であった.現在までに結腸間膜原発のSFTの報告は1例のみと極めてまれであり,文献的考察を加え報告する.
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  • 前田 知世, 日高 英二, 内田 恒之, 大本 智勝, 石田 文生, 工藤 進英
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3103-3107
    公開日: 2014/05/30
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    症例は48歳男性で,便潜血反応陽性の精査にて下部消化管内視鏡検査を施行され,横行結腸癌が認められた.CT colonographyにて横行結腸に高度の壁変形像を認め,さらに,non-rotation typeの腸回転異常症を伴っていた.CT angiographyにて,腫瘍の支配血管は中結腸動脈(MCA)で,上腸間膜動脈(SMA)の左側から分岐し,上腸間膜静脈(SMV)背側を走行していた.以上より,腸回転異常症に併存した横行結腸癌と診断した.癒着が高度であり,開腹にて横行結腸部分切除術を施行した.郭清は,MCAがSMVの背側を走行していたためMCAの右枝で処理しD2とした.診断はtub2,pSS,pN0,ly0,v0,fStage IIだった.腸回転異常症に併存した右側結腸癌は,SMAとSMVの分枝の走行異常が多く,術前にCT angiographyにて血管走行を把握しておくことが重要である.
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  • 正木 裕児, 淵本 定儀
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3108-3112
    公開日: 2014/05/30
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    大腸癌術後MRSA脊椎炎を経験したので報告する.症例は70歳,男性.便秘,食欲低下で精査を受けS状結腸癌と診断された.3週間前に自宅庭で背部を打撲.整形外科で経過観察されていたが,受傷10日後のCT検査で第10胸椎陳旧性骨折と診断された.大腸癌手術が実施されたが術後4日目に病室でしりもちをつき背部痛が増悪,その後,下肢麻痺が出現した.化膿性脊椎炎と診断,随伴した脊椎膿瘍に対して経皮的ドレナージを実施した.膿からはMRSAが検出され膿胸や敗血症性ショックなどを併発したが,脊椎外科で経皮的胸椎後方固定術を実施しえた.しかし最終的には下肢の完全麻痺を残す結果となった.本例の感染源は不明であるが,大腸から癌病巣を介してbacterial translocationが起こり骨折部に脊椎炎を招いた可能性も指摘できよう.化膿性脊椎炎はまれではあるが,その後遺症は深刻であり早期診断と早期治療開始が重要である.
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  • 中川 裕, 豊見山 健, 永吉 盛司, 大嶺 靖, 佐々木 秀章, 知花 朝美
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3113-3116
    公開日: 2014/05/30
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    患者は70歳台,男性.受診当日の朝より腹痛と下痢があり,当院救急外来を受診した.腹部CT検査で,S状結腸軸捻が疑われたため,内視鏡的整復術を施行した.整復後,一旦は症状の改善を認めた.その後,次第に血圧が低下し腹痛の増強を認めた.再度施行したCT検査では門脈内と,腸管壁内の気腫を認め,腸管壊死が疑われた.緊急開腹術を施行したところ,小腸(160cm)と大腸(横行結腸~直腸)に壊死所見があり同部位を切除した.48時間後のplanned reoperationでは,新たな壊死腸管は認めず,小腸小腸吻合および横行結腸人工肛門造設を行った.本症例はS状結腸軸捻後の脱水が契機となって非閉塞性腸管虚血症(nonocculusive mesenteric ischemia:NOMI)を発症したものと考えられた.
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  • 須浪 毅, 田内 潤, 坂下 克也, 雪本 清隆, 澤田 隆吾, 阪本 一次
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3117-3122
    公開日: 2014/05/30
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    悪性腫瘍の臍転移はSister Mary Joseph's noduleと呼ばれ,予後不良な徴候として知られている.大腸癌臍転移症例は比較的まれで,これまでに24例が報告されている.今回,われわれはS状結腸癌術後の異時性臍転移に対して,切除術および化学療法にて比較的良好な経過をたどった1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.発症時期は同時性転移が21例,異時性転移が4例.孤立性臍転移症例は5例,20例に臍以外の遠隔転移を認め,生存期間中央値は8.5カ月であった.臍転移切除による予後への効果は不明であったが,臍転移による疼痛・出血などの有症状例ではQOL改善につながる可能性があり,考慮されるべきである.他臓器への転移を伴う場合は,化学療法が治療の中心となるが,新規抗癌剤や分子標的薬により,既存の抗癌剤に比し予後の改善傾向が認められ,今後の治療成績の向上が期待される.
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  • 加藤 礼, 村上 雅彦, 渡辺 誠, 広本 昌裕, 青木 武士, 加藤 貴史
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3123-3127
    公開日: 2014/05/30
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    症例は48歳女性で,下部消化管内視鏡検査でS状結腸に2型病変を認め,生検にて高分化腺癌と診断された.腹部CT検査で,多発肝転移・所属リンパ節腫大を認めた.S状結腸癌cMP,cN1,cH3,cPx,cStage IVと診断し,手術を施行した.手術所見は,所属リンパ節腫大と思われた腫瘤はS状結腸腸間膜にあり,小腸と癒着しており,S状結腸切除・小腸合併切除を施行した.術後経過は良好で軽快退院し,転院後CDDP+CPT-11療法施行した.S状結腸癌の組織型は高分化腺癌,深達度はSM>5,000μmの診断であった.腸間膜腫瘤・大網結節からは低分化腺癌と内分泌細胞の混在が認められた.S状結腸癌のリンパ節転移後の内分泌細胞癌への分化の可能性も完全には否定できないが,深達度を考慮すると,重複する原発不明癌の多発肝転移・腹膜播種と推察された.
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  • 廣田 昌紀, 長谷川 順一, 三方 彰喜, 清水 潤三, 金 浩敏, 根津 理一郎
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3128-3132
    公開日: 2014/05/30
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    症例は75歳,男性.直腸(Rb)前方右側に径30mm大の2型腫瘍を認め,直腸癌Rb,cMP,cN0,cH0,cP0,cM0,cStage Iと診断し直腸反転法を用いた腹腔鏡下低位前方切除術を施行した.術後14日目に発熱・頻尿・睾丸痛が出現し,保存的加療にて一時軽快するも再燃が認められた.術後36日目に腹部CT検査・ガストログラフィン注腸造影検査にて直腸精嚢瘻と診断し,術後42日目に小腸人工肛門造設術を施行した.術後10カ月目に人工肛門閉鎖し,以後,直腸精嚢瘻の再燃は認めていない.直腸癌術後合併症として直腸精嚢瘻の報告は少なく,文献的考察を加え報告する.
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  • 二宮 卓之, 青木 秀樹, 金谷 信彦, 森廣 俊昭, 田中屋 宏爾, 竹内 仁司
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3133-3139
    公開日: 2014/05/30
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    門脈血栓症は重篤で致命的となり得る合併症であるが,大腸癌術後に発症することは極めてまれである.今回われわれは,直腸癌に対する腹腔鏡下手術後に発症した門脈血栓症の1例を経験したので報告する.症例は72歳,男性.進行直腸癌に対し腹腔鏡補助下低位前方切除術を施行した.術後7日目に,発熱の精査で施行した腹部造影CT検査にて門脈に血栓を認めた.腸管うっ血や肝壊死の所見はなかった.速やかに抗凝固療法を開始したところ,術後14日目の造影CT検査では門脈血栓は消失していた.気腹や手術体位による門脈血流の低下,担癌状態による過凝固状態,周術期の脱水といった複数の要因が関与し本疾患が発症したと考えられた.
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  • 文 陽起, 吉富 秀幸, 宇野 秀彦, 大塚 将之, 清水 宏明, 宮崎 勝
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3140-3144
    公開日: 2014/05/30
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    症例は71歳,男性.近医にて多発肝嚢胞の経過観察中,肝胆道系酵素の上昇を認め,精査にて肝内胆管癌が疑われ,手術目的に当科紹介となった.腹部造影CT検査にて肝S4/5にかけて40mm大の辺縁に造影効果を伴う腫瘍性病変を認め,肝内胆管癌の診断となり,肝中央2区域切除・尾状葉切除・肝外胆管切除・胆管空腸吻合術を施行した.病理組織検査の結果,悪性末梢神経鞘腫(Malignant Peripheral Nerve Sheath Tumor:MPNST)の診断となった.術後胆汁漏を併発したが,保存的加療にて軽快し第72病日に退院となった.
    MPNSTはSchwann細胞由来の悪性腫瘍であり,軟部組織悪性腫瘍の約5%を占め,中でも予後の悪い疾患の一つである.肝原発のMPNSTは非常に稀な疾患であり,術前の鑑別を含め若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 小林 省吾, 和田 浩志, 江口 英利, 土岐 祐一郎, 森 正樹, 永野 浩昭
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3145-3150
    公開日: 2014/05/30
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    小開腹併用の腹腔鏡補助下肝切除術は,直視下に肝切除を施行可能な,安全性と整容性を兼ね備えた手術手技である.今回,胆道を圧排した8cmの肝血管腫に対して,同手術手技を応用した.術前画像では,胆道と門脈は腫瘍によって圧排され,胆道シンチで胆汁鬱滞が認められた.手術は8cmの小開腹を先行し,腫瘍と肝門部・肝静脈の解剖学的配置を確認後,腹腔鏡下に肝の授動を行った.肝門処理・脈管のテーピング・肝離断は小開腹創から直視下に行った.術後経過は良好であり,画像上の胆汁鬱滞の改善を確認しえた.肝門部を圧排するような腫瘍であっても,症例によっては,肝門部処理を小開腹併用で施行することで,安全に腹腔鏡下肝切除を施行しうると考えられた.
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  • 利府 数馬, 俵藤 正信, 林 浩史, 井上 康浩, 佐藤 寛丈, 岡田 真樹
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3151-3155
    公開日: 2014/05/30
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    症例は48歳,男性.肝障害で受診し,精査の結果Mirizzi症候群と診断した.MRCPでは3cm大の胆嚢管結石が総胆管を圧排し狭窄しており胆管瘻が疑われ,ENBDチューブ留置で肝障害は改善した.手術所見では胆嚢周囲の炎症は高度で,胆嚢頸部を中心に肝十二指腸間膜・十二指腸が一塊となっていた.結石を除去するとENBDが確認でき,胆管瘻は直径1cm,胆嚢・胆管周囲組織は炎症性に肥厚・硬化していて単純縫合閉鎖や胆嚢パッチは困難であった.肝円索を瘻孔部に被覆・縫合し閉鎖,術中ENBD造影で造影剤漏出・狭窄がないことを確認し手術を終了した.術後経過良好で退院し,長期経過も良好である.胆嚢・胆管周囲組織の炎症が高度な場合,胆管瘻に対する肝円索被覆は有用な方法であると思われる.
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  • 北島 知夫, 蒲原 行雄, 平山 昂仙, 野中 隆, 徳永 隆幸, 永田 康浩, 伊東 正博
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3156-3159
    公開日: 2014/05/30
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    症例は70歳台,女性.40代後半より混合性結合組織病(mixed connective tissue disease;MCTD)の診断でステロイド内服治療中であった.近医で,貧血と急性胆嚢炎の診断で輸血・抗生剤投与が行われた.胆嚢炎増悪のため胆嚢ドレナージも施行されたが,血性排液が持続し止血傾向がみられないため当院紹介となり,開腹手術を施行した.胆嚢は緊満し凝血塊が充満しており,腹腔内にも陳旧性血液貯留を認めた.摘出胆嚢の病理組織検査では,胆嚢壁内の出血・炎症性細胞浸潤を認め,壁内の中等大動脈の内膜肥厚と内腔狭小化がみられ血管炎の像を呈していた.全身性エリテマトーデスに合併する無石胆嚢炎の報告が散見されるが,本症例はMCTDに起因する膠原病性血管炎を背景に胆嚢炎・胆嚢内出血をきたしたものと考えられる.出血性胆嚢炎の場合は速やかに胆嚢摘出術を行うべきと考える.
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  • 小池 大助, 永井 元樹, 福元 健人, 野村 幸博, 田中 信孝
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3160-3163
    公開日: 2014/05/30
    ジャーナル フリー
    胆嚢結石症は妊婦に合併する消化器外科疾患において急性虫垂炎に次いで多いとされる.症例は27歳女性.糖尿病合併妊娠にて当院産科通院中であった.妊娠21週0日胆石発作のため当院救急外来受診となった.その後も数日おきに発作が頻発したため入院加療とした.食事で発作が誘発されるため経口摂取再開困難であった.中心静脈栄養による長期管理は子宮内胎児発育遅延のリスクがあるため,妊娠24週3日に手術施行した.臍からopen法により1stトロッカーを留置することで安全に気腹し,胆嚢摘出術を施行することができた.術中の気腹圧は8-10mmHgとして管理した.術後は良好に経過し妊娠40週0日2,824gの男児を経膣出産した.妊娠中期は比較的安全な手術が可能であるとされる.妊娠中の胆嚢結石症では症状の再燃率が高率であり,手術を第一選択とすることで胎児と妊婦に対するリスクを最小限にできる可能性がある.
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  • 北川 光一, 石塚 直樹, 龍 雅峰, 小松 永二, 山本 雅一
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3164-3169
    公開日: 2014/05/30
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    胆管癌胆道再建術後の挙上空腸内結石はまれな疾患である.われわれは胆管癌術後20年目に約4.5cm の結石が挙上空腸内に嵌頓し胆管炎を繰り返した症例に対して外科的摘出術が奏効した1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は92歳男性.20年前胆管癌にて肝右葉切除肝外胆管切除胆道再建術を施行(詳細不明).2日前から発熱・肝機能障害認め当院受診した.CT・drip infusion cholecystocholangiography (DIC)-CTにて挙上空腸内巨大結石を認めた.胆道再建後挙上空腸内結石による胆管炎と診断し,保存的治療にて発熱,肝機能改善したが,その後も2回胆管炎を繰り返したため,手術施行した.挙上空腸を切開し,約4.5cmの結石を摘出した.切開部挙上空腸は直接縫合し,右側腹部へドレーンを留置した.術後経過は順調であった.
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  • 網倉 克己, 小倉 俊郎, 坂本 裕彦, 田中 洋一, 黒住 昌史
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3170-3175
    公開日: 2014/05/30
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    症例は57歳,男性.他院で胆嚢総胆管結石症の診断で内視鏡的乳頭切開+砕石後,腹腔鏡下胆嚢摘出術(以下LC)施行.3年7カ月後の臍下部腫瘤生検で腺癌の結果,転移性腹壁腫瘍として当科紹介.8×8cm腹壁腫瘍に対して腹壁全層切除施行,左大腿筋膜長筋皮弁で再建.肝門部腫瘍や腹膜播種を認めなかった.病理所見で高分化型管状腺癌,CK7(+),CK20(-),CEA(+),CA19-9(+)であった.胆嚢標本の再切り出し病理でも悪性所見を認めなかったが,LC後創膿瘍の経過,腹壁腫瘍所見から早期胆嚢癌のポート部再発(以下PSR)と診断した.3年7カ月後に腹直筋断端再発し,以後2回の腹壁切除を施行したが,腹膜播種・恥骨転移をきたし永眠された.LCから11年,初回腹壁切除から7年2カ月後であった.PSRの多くは予後不良だが,腹膜播種が併発していない症例では腹壁切除により長期生存の可能性がある.
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  • 宮田 隆司, 中沼 伸一, 佐藤 就厚, 安居 利晃, 喜多 一郎
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3176-3181
    公開日: 2014/05/30
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    症例は67歳,男性.心窩部痛を認め,加療目的に当科受診となった.画像検査で肝内胆管・総胆管の拡張と胆嚢管の壁肥厚を認め,ERCPにて乳頭より多量のゼリー状緑色粘液の排出が確認された.さらに,経口胆道内視鏡にて胆嚢管口に緑色粘液を認め,胆汁細胞診はClass V (adenocarcinoma)であった.胆管の粘膜表面には明らかな異常所見を認めなかった.以上より粘液産生胆嚢管癌と診断し,肝床部分切除を伴う胆嚢摘出術・肝外胆管切除・D2リンパ節郭清・胆管空腸吻合術を施行した.胆嚢管に全周性の境界不明瞭で表面乳頭状の璧肥厚所見を認め,胆嚢内は粘稠な緑色ゼリー状粘液で充満していた.組織学的には深達度はssの高分化型腺癌であり,リンパ節転移は認めず,stage IIであった.
    今回,われわれは粘液産生胆嚢管癌を,経口胆道内視鏡にて術前診断しえた1例を経験したので,報告する.
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  • 有元 淳記, 長谷川 洋, 坂本 英至, 小松 俊一郎, 法水 信治, 都築 豊徳
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3182-3186
    公開日: 2014/05/30
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    症例は61歳,男性.腹痛にて受診し急性膵炎の診断で入院.精査にて膵頭部に腫瘤を認め,膵頭部膵管内乳頭粘液性腫瘍主膵管型の診断で膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本肉眼所見では膵頭部主膵管内に充満する0.5×0.3×4 cm大の腫瘤を認め,病理組織検査では,膵管および腫瘤の表面を被覆する癌細胞と,間質では単核~多核の異型細胞が増殖し破骨型多核巨細胞を認め,類骨を伴い骨肉腫の成分が認められ,癌肉腫と診断した.術後5年以上にわたり無再発生存中である.膵由来の癌肉腫は極めてまれで,またそのほとんどは予後不良であり長期生存している報告はこれまでになく,若干の考察を加え報告する.
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  • 奈良 昌樹, 大石 晋, 室谷 隆裕, 野崎 剛, 吉原 秀一, 舘岡 博
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3187-3190
    公開日: 2014/05/30
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    膵癌術後,腹腔内再発,肺転移にて化学療法施行中に視力低下を訴え精査の結果,脈絡膜転移の診断を得た症例を経験したので報告する.症例は59歳男性で,閉塞性黄疸の精査にて膵頭部癌と診断され,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行された.術後gemcitabineによる補助化学療法を施行されていたが,6カ月後に多発肺転移・腹腔内局所再発を認め,gemcitabine+S-1に変更した.さらに8カ月後に,右視力低下を訴え生検にてadenocarcinomaの診断を得,右脈絡膜転移と判断した.化学療法を継続し眼症状の増悪はなかったが癌性腹膜炎のため,膵癌術後2年9カ月,眼転移発症後1年6カ月で死亡した.転移性眼腫瘍に関しては,肺・乳腺を原発とする報告が多く,消化器癌による症例はまれであり報告する.
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  • 石橋 雄次, 若林 和彦, 大森 敬太, 伊藤 豊
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3191-3194
    公開日: 2014/05/30
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    症例は52歳,女性.心窩部痛を主訴に近医受診.血液検査にて,白血球の増加・血小板の減少を認めたため,精査目的で入院となった.入院後第8病日に強い左上腹部痛を認め,血圧の低下を認めた.腹部CT検査で著明な脾腫と脾臓周囲から胃背側に多量の腹水貯留を認め,脾破裂による腹腔内出血と診断し,同日緊急手術を施行した.開腹時,多量の血液貯留を認め,脾臓は腫大し,表面不整であった.膵尾側切除を施行した.脾臓はほぼ腫瘍で置き換わっており,腫瘍細胞は胞巣状,あるいは類洞様構造を認めた.免疫組織染色では第8因子関連抗原,CD31が陽性であり,脾臓原発血管肉腫と診断した.術後4カ月で脳転移・肝転移・肺転移で死亡した.脾臓原発血管肉腫は稀な疾患であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 北東 大督, 野見 武男, 山戸 一郎, 尾原 伸作, 庄 雅之, 中島 祥介
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3195-3200
    公開日: 2014/05/30
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    症例は52歳女性で,検診にて脾臓に5cm大の境界明瞭な腫瘤を指摘された.単純CTで低濃度,造影CTでは腫瘍周囲にのみ淡い造影効果を示した.MRIではT1・T2とも低信号で,腹部超音波検査では豊富な血流信号を伴う低濃度腫瘤でペルフルブタンによる造影では腫瘍辺縁部に造影効果を認め,後期相では腫瘤へのペルフルブタンの取り込みを認めた.炎症性偽腫瘍または炎症性筋線維芽細胞腫瘍の術前診断のもと,腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した.腫瘤は病理組織学的にsclerosing angiomatoid nodular transformation (SANT)と診断された.SANTは脾の血管腫類似病変で,本邦では会議録を除き7症例が報告されているまれな疾患で症例の集積が必要と考えられ,本邦報告例の検討とともに報告する.
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  • 柴田 雅央, 日比 八束, 小川 貴美雄, 清水 佳美, 香川 力, 岩瀬 克己
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3201-3205
    公開日: 2014/05/30
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    腺腫様腫瘍(adenomatoid tumor,以下AT)は,子宮・卵管・精巣上体・精索といった生殖器系臓器に生じることが多い中皮細胞由来の良性腫瘍であり,副腎原発は稀である.今回,副腎原発のATの1例を経験した.文献的考察を加えて報告する.
    症例は67歳,女性.腹部CTにて2.4cm大の左副腎腫瘍を指摘され経過観察されていた.6年後に4.0cm大へ増大を認めたため当院受診となった.血液・尿・画像検査より非機能性腫瘍と判断し,腹腔鏡下左副腎摘出術を施行した.術後,免疫組織化学検査を含めた病理検査によりATと診断した.
    副腎原発のATについては,海外と本邦を合わせてこれまで34例報告されており,うち33例は男性例であり,女性での発症は本例が2例目である.ATは良性腫瘍でこれまで再発や転移の報告はみられないが,局所浸潤性に増殖する症例も報告されており,悪性腫瘍との鑑別を要することがある.稀ではあるが,副腎偶発腫瘍の鑑別の1つとして考えるべき組織型である.
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  • 久保田 哲史, 井谷 史嗣, 大村 泰之, 室 雅彦, 浅海 信也, 高倉 範尚
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3206-3209
    公開日: 2014/05/30
    ジャーナル フリー
    結石を伴った尿膜管遺残症に対して腹腔鏡下に摘出したので報告する.症例は20代男性.気管支喘息の既往あり.2011年5月より臍周囲の痛みを自覚し,排膿を伴うようになったため近医を受診し,臍炎の診断で当院紹介となった.当院受診時,臍周囲の発赤と圧痛があり,臍奥に開口部を認めた.CTにて臍直下に1.7cm径の石灰化を伴う軟部陰影と周囲の炎症所見を認めた.また,同軟部陰影は尾側で索状物を介して膀胱前壁へ連続しており,尿膜管遺残症と診断した.腹腔鏡下遺残尿膜管切除術を行い,尿膜管遺残組織を含む正中臍靱帯を摘出し,9mmの円形の結石を回収した.病理組織検査では,円柱上皮からなる尿膜管と考えられる管腔構造を認めた.腹腔鏡下切除を施行した結石を伴う尿膜管遺残症はまれであり,報告する.
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  • 川守田 啓介, 佐藤 真輔, 大端 考, 渡辺 昌也, 大場 範行, 高木 正和
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3210-3214
    公開日: 2014/05/30
    ジャーナル フリー
    症例は21歳,男性.下腹部痛を主訴に近医受診.腹部超音波検査にて腹腔内に多房性嚢胞病変を認め,精査加療目的に当院紹介受診となった.腹部造影CT検査上.大網リンパ管嚢腫が疑われ,流入血管茎の捻転所見を認めていた.これにより腹部症状が出現しているものと考えられ,腹腔鏡下に切除を施行した.切除標本は11×10cmの多房性嚢胞性腫瘤であった.病理組織学検査にて,病変は内腔を異型のない1層のリンパ管内皮細胞で覆われた腫瘤であり,リンパ管嚢腫と診断された.
    今回われわれは成人発見例が比較的稀とされる大網リンパ管嚢腫を術前診断し,腹腔鏡下に切除しえた1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 柴田 耕治, 塩見 正哉, 世古口 英, 高木 健司
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3215-3219
    公開日: 2014/05/30
    ジャーナル フリー
    遅発性に十二指腸狭窄をきたした特発性後腹膜血腫の1例を報告する.症例は55歳の女性.突然の腹痛と眩暈を主訴に受診した.腹部CTで後腹膜に不整形領域を認め,後腹膜血腫と診断した.腹部血管造影検査で出血源は特定できなかった.外傷歴はなく,他に原因となりうる基礎疾患がなかったため,特発性後腹膜血腫と診断した.保存的治療により腹痛の改善および血腫の縮小を認めたが,第11病日に嘔吐症状が出現した.上部消化管内視鏡検査を施行したところ,十二指腸下行脚に高度の狭窄所見を認めた.保存的治療を3週間以上にわたり行い,最終的に通過障害は改善した.以後,腸管の狭窄症状は認めなかった.発症4カ月後の腹部CTでは血腫は消失していた.
    後腹膜血腫は全身状態に問題がなければ保存的に治療可能であるが,膵頭十二指腸領域に血腫が存在する場合には遅発性十二指腸狭窄の出現に十分注意する必要がある.
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  • 大熊 誠尚, 阿南 匡, 衛藤 謙, 小川 匡市, 小村 伸朗, 矢永 勝彦
    74 巻 (2013) 11 号 p. 3220-3224
    公開日: 2014/05/30
    ジャーナル フリー
    症例は60歳台,女性.間欠的腹痛と嘔吐を主訴に来院となった.下腹部に軽度の圧痛を認めるも,腹膜刺激症状等認めなかった.帝王切開の既往があり,腹部CTにて小腸の拡張を認めたため,癒着性イレウスと診断し入院とした.入院後,約3時間より腹痛増悪し,筋性防御が出現したため絞扼性イレウスの可能性を考え,緊急手術とした.開腹したところ,下行結腸間膜に左結腸動脈と下腸間膜動脈が辺縁を形成する異常窩が存在し,同部がヘルニア門となって小腸が腎前傍腔に脱出・嵌頓していた.嵌頓を愛護的に解除し,左結腸動脈を切離してヘルニアサックを大きく開放した.嵌頓した小腸は全体的にうっ血・拡張していたが,壊死を疑わせる所見は認めなかったため,腸管の切除は行わなかった.術後経過は良好で第14病日に退院となった.
    結腸間膜ヘルニアは成人では手術の合併症として発症する裂孔ヘルニアの形態をとることが多く,手術に関連しない下行結腸間膜窩ヘルニアの報告は極めて稀である.若干の文献的考察を加えて報告する.
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