日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
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74 巻 , 12 号
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原著
  • 沖野 秀宣, 三好 修, 金澤 昌満, 田上 和夫
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3247-3251
    公開日: 2014/07/01
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    はじめに:単孔式腹腔鏡下手術(以下TANKO)直後の創部への局所麻酔薬投与による鎮痛効果に関し無作為試験を行った.対象および方法:166例をropivacaine局注群(A群81例)と非局注群(B群85例)とに分けた.A群には創部に0.75% ropivacaine 10mlを局注した.術後の痛みをWong-Baker疼痛スケールおよび補助鎮痛剤投与回数でスコア化した.結果:疼痛スケール値は術当日A群3.2±1.7点,B群3.9±1.2点(p=0.00118),術後1日目A群2.1±1.2点,B群2.8±1.2点(p=0.00190)で有意差を認めた.術後補助鎮痛剤投与回数は両群間で有意差を認めなかった.結語:創部へのropivacaine局注は内臓痛や肩部痛に関しては無効であるが,創部の体性痛に限っては有意に痛みを軽減することが可能であることを示唆した.
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症例
  • 新田 吉陽, 喜島 祐子, 有馬 豪男, 中条 哲浩, 吉中 平次, 夏越 祥次
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3252-3257
    公開日: 2014/07/01
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    乳癌の甲状腺転移は稀である.今回,われわれは甲状腺乳頭癌との鑑別が困難であった浸潤性乳管癌の甲状腺転移症例を経験したので報告する.症例は62歳の女性.2009年7月に皮膚浸出液を伴う左乳房腫瘤が出現.CTで甲状腺腫瘤と頸部リンパ節腫脹も指摘され,針生検や細胞診から腋窩リンパ節転移や多発肺転移を伴う左乳癌と頸部リンパ節転移を伴う甲状腺癌の重複と診断.FEC60療法13クールを施行し,上記病変はいずれも縮小しPRであった.乳癌の局所制御と甲状腺癌根治切除目的で当科へ紹介され,2010年5月,腋窩リンパ節郭清を伴う左胸筋温存乳房切除術と頸部リンパ節郭清を伴う甲状腺全摘術を一期的に施行.病理組織学的に,乳腺腫瘍は原発性乳癌で,甲状腺腫瘍は免疫染色と組織像の特徴から,乳癌の転移と診断された.他臓器悪性腫瘍の既往や合併がある甲状腺腫瘍に対しては転移性腫瘍も考慮し,その診断と治療には慎重な対応が必要である.
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  • 羽田野 直人, 谷本 康信, 栗栖 佳宏, 赤木 真治, 林谷 康生, 田中 智子
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3258-3262
    公開日: 2014/07/01
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    症例は91歳の高齢女性.左乳房の腫瘤を自覚し当科を受診した.左乳腺C領域に30mm大の腫瘤を触れ,周囲には皮下出血を認めた.切除生検にて乳腺肉腫を疑われ,追加した各種免疫染色にて横紋筋肉腫と診断された.CTによる全身検索では他に異常を認めず,極めて稀な乳腺原発横紋筋肉腫と診断した.
    横紋筋肉腫は主に若年者に発症する稀な疾患で,乳腺原発の報告例はほとんどない.今回,高齢者に発症し,局所再発を繰り返した乳腺原発横紋筋肉腫の1例を経験したので報告する.
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  • 山崎 由紀子, 小谷 勝祥, 松山 孝昭, 宇野 雄祐, 鈴木 和志, 河原 健夫
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3263-3267
    公開日: 2014/07/01
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    症例は48歳,女性.主訴は上肢の脱力感と痺れであった.精査で左乳癌cT2N1M1(肝,髄膜)ER+PR+HER2-と診断した.約2週間で急速に症状は悪化し,全身の痛み,両上下肢筋力低下による歩行困難,左視力低下,左眼球内転障害,嚥下障害による誤嚥性肺炎を併発した.放射線治療は照射範囲が全脊髄に及ぶことより適応外と判断し,薬物療法を開始した.タモキシフェンLH-RH アナログの投与と大量メソトレキセート(MTX)静注により症状は徐々に改善し,1.5カ月の入院後車いすで退院した.計4クールの大量MTXと5クールのCMF療法(cyclophosphamide,methotrexate,5-FU)を施行後,自力歩行可能な状態となり,内分泌療法単独で経過観察となった.化学療法終了後4カ月で右下肢脱力の軽度の悪化を認めたためCMF療法を再開,発症後1年7カ月の現在,安定した状態で外来通院加療中である.
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  • 岸田 賢治, 吉田 正隆, 野村 幸哉
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3268-3272
    公開日: 2014/07/01
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    症例は68歳,男性.突然の胸部圧迫感に続く左胸背部痛を主訴に入院.胸部CTで縦隔血腫と左胸水を認めた.当初診断に難渋したが縦隔型気管支動脈瘤が疑われ,multi-detector row CT(MDCT)にて確定診断を行った.緊急にて気管支動脈塞栓術(bronchial artery embolization;BAE)を施行.術後は良好に経過し,2年後現在も再発は認めていない.縦隔型気管支動脈瘤破裂は21例しか報告がない非常に稀な疾患で,診断・治療が非常に困難とされている.気管支動脈瘤が疑われる場合には診断にMDCTが有用であり,治療にはBAEが有用な手段の1つであると考えられた.
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  • 山下 慶悟, 多林 伸起, 廣瀬 友亮, 米田 龍生, 吉田 克法, 谷口 繁樹
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3273-3276
    公開日: 2014/07/01
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    腎動脈瘤に対して,ex vivoで瘤切除,内腸骨動脈グラフトを用いた腎動脈再建を行った後,自家腎移植を施行し良好な結果を得た症例を経験したので報告する.症例は51歳女性.検診時の腹部超音波検査で右腎動脈瘤を疑われ当科紹介となった.造影CTで径26mmの右腎動脈瘤を認め手術を施行した.瘤は右腎動脈一次分岐部に存在したためtailoringは困難と判断し,ex vivoでの瘤修復の方針とした.手術はまず右腎を体外に摘出し,右腎動脈瘤を切除した.次に同側内腸骨動脈を採取し,これを用いて右腎動脈再建を行い,その後,右腸骨窩に自家腎移植を施行した.術後,腎機能悪化もなく造影CT で再建動静脈に狭窄なく良好な結果を得た.
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  • 稲垣 公太, 中山 裕史, 木下 満, 片岡 政人, 竹田 伸, 近藤 建
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3277-3280
    公開日: 2014/07/01
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    症例は73歳,男性.直腸癌にてHartmann手術を施行した.術後に吐血と急な血圧低下を認めたため,緊急上部内視鏡を施行したところ,食道中部に拍動性の動脈性出血部を確認した.内視鏡的止血術を試みるも止血困難であり,緊急血管造影検査を施行した.右気管支動脈食道枝より造影剤の漏出を認め,出血部と診断した.TAEを施行し止血を得,その後,経過良好にて退院となった.出血時の内視鏡所見では明らかな潰瘍形成は認めず,血管造影の所見から,仮性動脈瘤食道穿破と診断した.食道出血は大部分が静脈瘤による出血であり,動脈性出血の報告は稀であった.また,気管支動脈からの出血に伴う症状としては喀血をきたす場合が多く,本症例のように食道内への出血の原因となった報告は極めて稀であった.今回われわれは,稀な術後合併症に対しTAEにて救命しえた症例を経験したため若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 峯 由華, 須藤 隆一郎, 日高 匡章, 宮崎 健介, 善甫 宣哉
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3281-3285
    公開日: 2014/07/01
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    症例は61歳,女性.先天性表皮水疱症の診断を受けている.2012年9月頃より右下顎歯肉の痛みがあり当院口腔外科受診し,下顎歯肉癌と診断された.同年12月,腫瘍および下顎骨合併切除術施行時,胃管挿入不能であったため,術後に内視鏡検査を施行したが食道入口部から挿入できなかった.腸管栄養目的に造設した胃瘻からと,口腔からの内視鏡検査で閉塞部を観察したところ,食道入口部の膜様閉塞と判断できた.胃瘻側よりガイドワイヤーを逆行性に貫通させバルーン拡張術を施行した.直径18mmまで拡張を行い,再狭窄がないことを確認して治療を終了した.表皮水疱症は厚生労働省指定の難病で,生下時から全身に水疱がみられ,口腔食道粘膜にも水疱が発生し,瘢痕狭窄による嚥下障害を認めることがある.術中の機械的刺激と術後の長期絶食が原因と考えられる食道閉塞をきたした表皮水疱症に対し,内視鏡的治療が有効であったため,文献的考察を加え報告する.
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  • 濵崎 景子, 福岡 秀敏, 石川 啓, 角田 順久
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3286-3291
    公開日: 2014/07/01
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    症例は55歳,男性.精神発達遅滞にて施設入所中であった.2012年4月,発熱と嘔吐を認め近医受診.胸部単純写真にて食道内に義歯を認め,頸胸部CTにて頸部食道から胸部上部食道にかけて嵌頓した義歯と,食道周囲の縦隔気腫を認めた.食道異物による食道穿孔の診断にて,緊急手術を行った.まずは硬性食道鏡下異物除去を試み,頸部食道まで引き上げたが,鈎が食道粘膜に食い込み抜去困難であったため,頸部外切開による食道異物摘出術に移行した.食道切開部はGambee縫合で閉鎖した.左右縦隔内にドレーンを挿入し,腸瘻造設・気管切開を行った.
    義歯誤嚥の多くは自然排泄や内視鏡的摘出などが期待できるが,蟹爪状の鈎(クラスプ)を有したブリッジ状の大型有鈎義歯は,鈎が咽頭や食道などの消化管粘膜を損傷,刺入して停滞することもまれではない.また,その形状から内視鏡的摘出が困難な症例も見られる.
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  • 山本 穰司, 佐々木 健, 永井 基樹, 牧野 治文, 藤川 幸一, 寺澤 無我
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3292-3296
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    症例1は63歳,女性.中部食道癌根治手術・胸腔内胃管吻合後,誤嚥性肺炎に罹患.その後,吻合部縫合不全出現.保存的治療でも軽快せず,HANAROSTENT®留置した.症例2は68歳,男性.中部食道癌根治術・胸腔内胃管吻合後,ワーファリン内服後に胸腔内出血出現し,再手術.その後,縫合不全出現し,保存的治療に反応せず,HANAROSTENT®を留置した.
    食道癌術後胸腔内吻合の縫合不全は,他の吻合法よりもその発生頻度は少ないと言われているものの,一度発症すると全身状態は悪化し,再手術などはリスクが高く,治療に難渋することが多い.このような状況で,抜去可能な自己拡張性金属ステントであるHANAROSTENT®を用い,劇的な効果が得られた2症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
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  • 磯野 忠大, 中田 晴夏, 芦沢 直樹, 土屋 博紀, 上村 和康
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3297-3300
    公開日: 2014/07/01
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    症例は81歳,男性.幽門側胃切除術の既往と糖尿病の加療中であった.黒色便を認め当院消化器内科を受診し上部消化管内視鏡を行うが異常は指摘されなかった.その後,頻回の嘔吐を認め入院精査となった.CT検査でTreitz靱帯付近に表面平滑で含気性の6cmの腫瘤を認め,胃石の十二指腸水平脚嵌頓と診断され内視鏡治療が行われた.十二指腸深部のため操作が困難で可及的な破砕を行い経過観察となった.翌日のCT検査では胃石は骨盤内小腸へ移動し排ガス・排便もみられた.その後,胃石は停滞しイレウス症状が出現したためイレウス管を挿入した.心機能が悪く各科コンサルトし破砕後25日目に準緊急的に手術を行った.回盲部より60cmの回腸に胃石が嵌頓し,小腸壁は一部壊死していたため,小腸部分切除術を行った.術後心室頻拍などの重度の心合併症が見られたが迅速な対応で回復し,術後14病日に軽快退院となった.胃石の内視鏡治療にあたっては十分小さく破砕する必要がある.
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  • 若松 高太郎, 和田 郁雄, 真栄城 剛, 宮本 幸雄, 梅北 信孝
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3301-3304
    公開日: 2014/07/01
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    33歳,女性,韓国人.母国で病的肥満に対し約1年前に腹腔鏡下調節性胃バンディング術(laparoscopic adjustable gastric banding,LAGB)を実施.術後半年で腹腔鏡下胃バンド(gastric band,GB)摘出術を実施するも,GBが胃内腔へ迷入していたために摘出できず経過観察となっていた.腹痛で当院救急外来受診し,緊急造影CT検査で小腸拡張と腸管内異物を認めた.異物嵌頓による腸閉塞と診断し緊急開腹手術となった.異物摘出後,経過良好で術後4日目に退院.LAGBは手術手技の簡便性と短期的な手術合併症が少ないとされているが,長期的な手術合併症が報告されるようになっている.今回,われわれはGBが腸管内へ迷入するband migration後,腸閉塞を発症した症例を経験した.われわれが調べた限り,本邦報告例はなく本症例が初めての報告である.
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  • 松井 俊大, 青柳 治彦, 吉田 剛, 兼子 順, 前島 顕太郎, 前島 静顕
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3305-3310
    公開日: 2014/07/01
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    症例は43歳,女性.便潜血陽性で当科を受診した.腹部CTで胃噴門部小彎に25mmの嚢胞性腫瘤を認めた.上部消化管内視鏡検査では噴門部小彎後壁よりの粘膜下腫瘍として認められ,腹部MRIでは T1WIで中等度信号,T2WIで高信号を示した.以上より胃粘膜下腫瘍と考え,腹腔鏡下胃局所切除を施行した.切除標本は25mm大の胃壁と連続した嚢胞であり,内容は黄色で粘調な液体であった.病理組織学的所見で胃原発気管支原性嚢胞と診断された.術後経過は良好で,術後第7病日に退院となった.胃原発気管支原性嚢胞は稀な疾患であり,本邦では過去に12例の報告を認めるのみである.悪性化の報告例もあるが,術前診断が困難なこともあり,治療法は確立されていない.今回,腹腔鏡下に切除しえた症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 安田 裕美, 大井 正貴, 石野 義人, 田中 光司, 毛利 靖彦, 楠 正人
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3311-3315
    公開日: 2014/07/01
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    症例は82歳,男性.頻回の嘔吐を主訴に前医を受診した.胃癌を指摘され加療目的に当院に紹介となった.上部消化管造影検査では食道胃接合部は横隔膜上に位置しており,さらに全胃は主として臓器軸方向に捻転し脱出したいわゆるupside down stomach像を呈していた.上部消化管内視鏡検査では,胃体部小彎前壁に3型病変を認めた.生検では低分化腺癌であった.腹部造影CTでは領域リンパ節に長径11mm大のリンパ節を2個認め転移が疑われたが遠隔転移は認めなかった.以上よりupside down stomachを合併した胃癌と診断し,腹腔鏡下に幽門側胃切除および食道裂孔縫縮術を施行した.術後経過は良好で術後19日目に退院となった.現在再発と愁訴もなく外来通院中である.Upside down stomachを合併した胃癌症例に対する腹腔鏡手術の報告は少なく,文献的考察を加えて報告する.
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  • 北川 浩, 中村 淳, 浦田 雅子, 池田 貯, 能城 浩和
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3316-3320
    公開日: 2014/07/01
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    患者は81歳の男性で体重減少を主訴に来院した.上部消化管内視鏡検査で幽門輪直上に胃粘膜下腫瘍を認め,その頂部には腺開口部を有しており,超音波内視鏡で胃粘膜下異所腺が疑われた.腺開口部からの生検で高分化型腺癌が検出され,胃粘膜下異所腺を発生母地とした胃癌と診断し,腹腔鏡下幽門側胃切除術を施行した.病理学的にも,胃粘膜下異所腺の癌化と診断された.リンパ節転移・脈管侵襲は認めなかった.胃粘膜下異所腺の癌化は比較的まれであり,今回,胃粘膜下異所腺の発生機序に着目し,癌化との関係,治療方針についての考察を加え報告する.
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  • 秋山 貴洋, 高橋 均, 榊原 淳太, 武藤 高明, 藤原 正親, 宮崎 勝
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3321-3328
    公開日: 2014/07/01
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    胃癌術後6年目に施行された直腸癌に対する手術の際に発見され,免疫染色が原発診断に有用であった胃癌小腸転移の1例を経験した.症例は73歳の男性で,6年前に胃癌に対して膵脾横隔膜合併胃全摘術を施行し,病理組織学的検査所見はtub1,T2N2H0P0 CY0M0であった.術後6年目に直腸癌を発症し,低位前方切除術を施行した.術中所見で臍近くの腹壁に癒着していた回腸末端から80cmの小腸に腫瘤を触知したため,小腸部分切除術を追加した.病理組織学的検査所見は(i)直腸;tub2>tub1,MPN0H0P0M0,(ii)小腸;粘膜下層から漿膜下層に及ぶ24mm大の腫瘍を認め腺癌であった.この小腸腫瘍は形態が胃癌と類似していることに加え,免疫染色により胃癌の小腸転移であると診断した.さらに,癌細胞の主座が粘膜下層にあり,漿膜面には癌細胞を認めないことから,脈管性転移であることが示唆された.
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  • 河毛 利顕, 布袋 裕士, 坂部 龍太郎, 長谷 諭, 田原 浩, 前田 佳之
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3329-3333
    公開日: 2014/07/01
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    症例は63歳,女性.突然の右季肋部痛と背部痛を主訴に当院救急部を受診した.造影CT検査にて,傍十二指腸乳頭憩室の頭背側で壁の造影効果の欠損があり,そこから連続して後腹膜腔への液体貯留を認め,傍十二指腸乳頭憩室の後腹膜穿通が疑われた.腹膜刺激症状は徐々に増悪しており,保存的治療は困難であると判断し,緊急手術となった.上腹部正中切開にて開腹し,十二指腸を授動すると憩室に穿孔を認めた.憩室を切開したところ,約2.0cm径の結石を認めた.憩室内結石の嵌頓による傍十二指腸乳頭憩室穿通と診断し,結石を摘出した.次いで,憩室を切除し縫合閉鎖した.胆道系減圧のためC-tubeを挿入し手術を終了した.術後は順調に経過し退院となった.憩室内結石による傍十二指腸乳頭憩室後腹膜穿通という稀な症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 松田 正裕
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3334-3338
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,男性.糖尿病を原疾患とした慢性腎不全にて45歳時より血液透析導入され,46歳時に父親をドナーとした生体腎移植を受けた.以後,当科にてフォローしていたが,今回,上部消化管内視鏡検査にて十二指腸乳頭部に腫瘍性病変を認めた.術前生検診断は腺腫であったが,腎移植後8年であり免疫抑制剤を長期内服していることから腺腫内癌の存在も否定できず,経十二指腸的乳頭切除術を施行した.術後病理診断は腺腫であった.術後経過は良好であり,移植腎の機能低下も認めなかった.十二指腸乳頭部腺腫は前癌病変と考えられ積極的な切除が必要であり,本術式は本症例のようなハイリスク症例に対しては有用な術式と考えられる.
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  • 澤崎 翔, 森永 聡一郎, 五代 天偉, 野口 映, 益田 宗孝, 赤池 信
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3339-3343
    公開日: 2014/07/01
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    神経鞘腫は末梢神経のSchwann細胞に由来する腫瘍で,主に四肢および頭頸部に好発するが後腹膜にも発生することがまれにある.今回,われわれは解剖学的な位置関係のため術前診断が困難であった,上腸間膜動脈周囲神経叢に発生した神経鞘腫の1例を経験したので報告する.症例は54歳,男性.検診の腹部超音波検査で膵背側に腫瘤性病変を指摘され当科紹介受診となった.腹部CT検査では上腸間膜動脈の左側に境界明瞭な25mmの腫瘤像を認め,膵との境界は比較的明瞭であった.PET検査で異常集積を認めたが良悪性の鑑別は困難であり悪性の可能性を否定できず,GIMT(gastrointestinal mesenchymal tumor)の診断で手術を施行した.腫瘍は上腸間膜動脈周囲神経叢と連続しており,神経原性腫瘍を疑い摘出術を行った.病理組織学的検査でAntoni A型優位の神経鞘腫と診断された.
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  • 岡 洋右, 赤木 由人, 衣笠 哲史, 吉田 武史, 白水 和雄
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3344-3349
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は20歳,男性.上腹部痛と下痢・嘔吐認め受診した.CTにて上腸間膜静脈から門脈,右内外腸骨静脈から総腸骨静脈の血栓と,小腸の浮腫と拡張認めた.血液凝固線溶系検査にて先天性アンチトロンビンIII(以下,AT-III)欠損症と診断された.抗凝固療法とAT-III製剤投与にて血栓は消失し退院した.翌月,腹痛・嘔吐にて受診し,CTにて血栓の再発は認めなかったが,遅発性の空腸狭窄を認め,腹腔鏡補助下に小腸切除術を施行した.今回,先天性AT-III欠損症による上腸間膜静脈血栓に対し,遅発性の腸管狭窄を認め,腹腔鏡補助下に手術を施行した症例を経験したので文献的考察を含めて報告する.
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  • 間宮 俊太, 岩瀬 裕郷, 松原 久裕
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3350-3354
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,女性.C型慢性肝炎にて通院中,2003年7月の造影CT検査で30mm大の骨盤内腫瘍を指摘された.注腸造影検査にて全大腸に異常所見を認めなかった.また,経腟エコー検査にて婦人科疾患は否定的であった.経過観察としたが,撮影毎に位置が変化するも大きさは不変であった.血清AFP値は基準値内であったが,2010年5月に40.7ng/mlと急上昇した.同月,造影CT検査を行ったところ,肝腫瘍は認められなかったが,骨盤内腫瘍が50mm大へと増大していた.造影MRI検査で骨盤内腫瘍が小腸GISTと判断できたため,同年9月小腸部分切除術を施行した.切除標本病理検査は低悪性度GISTの診断であった.AFP免疫染色は繰り返し施行したが全て陰性であった.手術後血清AFP値は急低下し,2010年11月には基準値内となった.その後も血清AFP値は基準値内で推移し,術後3年2カ月無再発生存中である.
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  • 出崎 良輔, 武内 泰司郎, 野田 直哉, 伊藤 史人, 野田 雅敏
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3355-3358
    公開日: 2014/07/01
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    症例は53歳,男性.5年前に左腎細胞癌にて左腎摘出術を受けた.嘔吐・腹部膨満のため当院内科を受診し,腹部X線でniveauを伴う小腸ガス像がみられ,単純CTでは腸管拡張を認め,癒着性小腸閉塞と診断し経鼻胃管による保存的治療を開始した.一時的に症状は改善したが経口摂取を再開したところ再度腸閉塞状態となった.ロングチューブからの小腸造影で,腫瘤性病変によると思われる4cmにわたるapple core様の狭窄を認め,造影CTでは拡張した小腸の末端部に径4cmの造影効果を受ける腫瘤を認めた.腎癌の小腸転移を疑い小腸部分切除を施行した.摘出標本肉眼所見では3.5×4.5cmの全周性2型様腫瘍を認め,組織学的に腎癌の小腸転移と診断された.術後15カ月の現在も新たな再発・転移なく生存中である.肺転移を伴わない腎癌の小腸転移はまれであり報告した.
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  • 今泉 理枝, 網木 学, 松本 卓子, 河野 至明, 小池 太郎, 本田 宏
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3359-3364
    公開日: 2014/07/01
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    腸回転異常症は胎生期の腸管の回転・固定の過程における先天性奇形である.今回,われわれは腸回転異常症に穿孔性虫垂炎を合併した成人例を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例は77歳男性で,左側腹部痛,40℃の発熱が出現し近医入院.その後,腹部膨満も出現しイレウスの診断にて当院へ救急搬送となった.腹部CT上,腸回転異常症,穿孔性腹膜炎を伴った虫垂炎と診断し緊急手術を行った.開腹時左側に偏位した回盲部と穿孔した虫垂を確認し,虫垂切除・洗浄ドレナージを施行し,術後19日目に退院となった.腸回転異常症患者の虫垂炎は非典型的な腹部症状を呈するため,診断に苦慮することが多い.臨床の場で急性腹症に接した際,腸回転異常症等による腸管の位置異常の可能性も念頭に置き,慎重な姿勢で臨むべきであると考える.
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  • 山本 隆嗣, 倉島 夕紀子, 大畑 和則, 大河 昌人, 田中 肖吾, 上西 崇弘
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3365-3371
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は46歳男性で,42歳から盲腸炎を繰り返していたが確定診断がつかず,43歳から通院していなかった.二日前からの発熱と右下腹部痛で来院した.CT画像で右下腹部の腹壁と皮下に液体の貯留を認め,盲腸が変形していた.右下腹部皮膚を切開すると膿瘍と腸液が排出された.何らかの盲腸穿通と考え試験開腹術を行った.盲腸腸間膜対側に穿孔を認めたが他の小腸や大腸に異常は認めず,右半結腸切除術と腹壁皮下膿瘍ドレナージを施行した.摘出標本の菌培養で結核菌や特殊な菌は認めなかった.穿孔部の病理像は潰瘍に非特異的な炎症を認めるのみで,単純性潰瘍が進行した穿孔と診断された.術後2週間で退院,術20カ月後現在再燃を認めていない.盲腸穿孔の報告は左側大腸好発の特発性大腸穿孔と違い,単純性潰瘍やその他まれな原因でも穿孔をきたす.報告例はまれであるが壮年の盲腸穿孔は単純性潰瘍も念頭に置く必要があると考えられた.
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  • 豊島 雄二郎, 篠原 敏樹, 前田 好章, 二川 憲昭, 濱田 朋倫, 鈴木 宏明
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3372-3376
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,男性.2011年12月,糖尿病・心房細動・慢性腎不全のため近医で加療中に左肺扁平上皮癌を発見され,放射線加療を行った.2012年4月頃から左下肢痛が出現し,左坐骨神経周囲軟部組織転移への転移を認めた.当院放射線科に入院し,麻薬およびNSAIDs等の鎮痛剤投与および同部位への放射線加療を行った.治療開始第24病日に40℃の発熱および腹部膨満が出現し,第28病日のCTで著明な腹腔内遊離ガスと腹水を認め当科紹介,腸穿孔による汎発性腹膜炎の診断で緊急手術を行った.開腹時,横行結腸中央部と肝弯曲寄りに穿孔部を認め,さらに多数の潰瘍を認めた.穿孔部位を含む横行結腸を切除し,口側断端を用いて人工肛門を造設した.病理結果では,非特異的大腸潰瘍の穿孔であり,NSAIDsが誘因と考えられた.術後は合併症なく経過し,術後第26病日に緩和ケア目的に転院した.
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  • 内藤 敦, 松山 仁, 竹田 雅司, 佐々木 洋
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3377-3380
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は40歳,女性.平成14年に左卵巣嚢腫破裂に対し左卵巣摘出術施行された.平成15年に左乳癌に対し左乳房温存術を受け,術後よりホルモン療法としてタモキシフェンを内服,平成20年8月に終了した.
    平成20年12月に下腹部から肛門周囲に至る強い疼痛を自覚し来院した.S状結腸とDouglas窩に腫瘤性病変を認め,腸管通過障害を呈していたため,開腹手術を行った.開腹所見ではS状結腸に全周性の腫瘤性病変を認め,Douglas窩に硬い結節を触れた.通過障害の原因と考えS状結腸部分切除を施行した.術中迅速組織診で子宮内膜症との診断に至り,Douglas窩病変は非切除とした.術後,GnRH agonist・ジェノゲスト療法を施行し病変は消失した.
    タモキシフェンは抗エストロゲン作用を有しており,本症例では,投薬を中止したことが子宮内膜症の症状発現に影響を与えたと考えられる.
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  • 永田 洋士, 角田 明良, 草薙 洋, 加納 宣康
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3381-3385
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は関節リウマチ・認知症のため施設入所中で全介助の75歳女性.5年前にS状結腸軸捻に対してHartmann手術を施行された既往がある.今回,前日からの腹部膨満と嘔吐を主訴に当院搬送となり,盲腸軸捻の診断で手術を行った.盲腸は上腸間膜動脈を軸として,胎生期の腸回転方向にさらに360°捻れた上で頭側へ反転しており,著明に拡張していたが血流障害はなく,結腸を温存するため右結腸を後腹膜へ縫合固定して手術を終了とした.S状結腸軸捻および盲腸軸捻に関する症例報告は散見されるが,その両方を呈した症例はまれであるため,文献的考察を含めて報告する.
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  • 古角 祐司郎, 石井 正之, 東山 洋, 三浦 晋, 上原 徹也, 山本 正之
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3386-3391
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は下血を主訴とする76歳男性.開腹歴や腹部外傷の既往なし.下部消化管内視鏡ではS状結腸に多量の凝血塊と多発憩室を認めた.下腸間膜動脈の血管造影では,S状結腸動脈の末梢に動静脈奇形を形成し,その部位より口側の辺縁静脈は拡張していた.下腸間膜静脈は描出されなかった.以上より,下腸間膜動脈領域の動静脈奇形により間膜内の静脈が拡張・瘤化し,憩室近傍の静脈圧が上昇し憩室出血を繰り返すという病態と考えられた.下血の持続と貧血の進行を認めたため,腹腔鏡下S状結腸切除を施行した.症状は改善し,術後4カ月のCT検査では腸間膜内のAVMや拡張した辺縁静脈は消失していた.下腸間膜動脈領域の動静脈奇形は稀であり,また,腸間膜動静脈奇形を合併した憩室出血の報告例はこれまでになく,文献的考察を加えて報告する.
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  • 加茂 仁美, 山本 淳, 菅瀬 隆信, 後藤 崇, 田中 智章, 古賀 和美
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3392-3397
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    患者は62歳の男性で,検診目的のFDG-PETで異常集積を指摘され,その精査で施行された大腸内視鏡検査で,横行結腸に3cm大の2型様の病変を認めた.生検でmalignant mesenchymal tumorの診断であり,当科へ紹介された.入院後,リンパ節郭清を伴う腹腔鏡補助下横行結腸部分切除術を施行し,病理組織学的検査所見でgastrointestinal stromal tumor(以下,GISTと略記),malignancyと診断され,リンパ節転移も陽性であった.まれとされるリンパ節転移を認めた横行結腸GISTを経験したので考察を加え報告する.
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  • 紙谷 直毅, 頼木 領, 大住 周司, 吉村 淳, 島田 啓司
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3398-3404
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,男性.8年前に胃癌に対し胃全摘術を施行,pT2(SS),pN1,H0,P0,CY0,Stage II,組織型は印環細胞癌を含む低分化腺癌であった.2010年9月より便秘を訴え,当科を受診した.注腸造影検査および下部消化管内視鏡検査で,横行結腸脾彎曲部への転移を認め,化学療法の後に手術を施行した.開腹所見では横行結腸脾彎曲部に腫瘍が存在し,浸潤があった空腸・脾臓・横隔膜を合併切除した.病理組織学的検査所見で結腸の粘膜下層から漿膜下組織を中心に低分化腺癌を認め,組織型が一致していることより,胃原発,linitis plastica型大腸転移と診断した.転移性大腸癌は通常のスクリーニング検査では診断できないことが多いが切除可能症例では長期予後が望めるという報告もある.自験例のような晩期転移再発を考慮に入れたフォローアップを行い,可能であれば積極的に手術を行う意義があると考えられる.
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  • 田内 潤, 永原 央, 澁谷 雅常, 野田 英児, 前田 清, 平川 弘聖
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3405-3409
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は44歳,女性.不正性器出血を契機に子宮頸癌IIb期,T2bN0M0と診断され,広汎子宮全摘術,両側卵巣吊り上げ術を施行された.術後7カ月頃から右側腹部痛を自覚し,CT検査所見にて右傍結腸溝に腹腔内膿瘍を認め,膿瘍腔造影では膿瘍腔と上行結腸の間に瘻孔を形成していた.膿瘍ドレナージを施行するも改善を認めず,右半結腸切除術,腹腔ドレナージ術を施行した.上行結腸に穿孔部位を認め,盲腸から上行結腸の外背側にかけて壁硬化像を認め,膿瘍腔を形成していた.病理診断にて穿孔部粘膜下層,漿膜側腫瘤付着部にsquamous cell carcinomaを認め,腫瘤には卵巣と卵管の組織が含まれていた.子宮頸癌上行結腸転移と診断された.悪性腫瘍の大腸転移は比較的稀な病態であり,今回われわれは子宮頸癌大腸転移の1例を経験したので若干の文献的考察をふまえて報告する.
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  • 北 健吾, 小原 啓, 長谷川 公治, 千里 直之, 谷口 雅彦, 古川 博之
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3410-3415
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は61歳の女性で15年前にWegener肉芽腫症と診断された.治療により寛解したが,60歳時,Wegener肉芽腫症に関連した頸椎の脊髄症を発症した.ステロイドパルス療法,シクロホスファミドの投与を受け一時改善したが,再燃したため入院した.入院50病日に強い腹痛を発症し,消化管穿孔を疑い開腹したところ横行結腸に穿孔を認めた.結腸を部分切除し人工肛門を造設した.術後14日目に再度消化管穿孔を発症し開腹した.人工肛門口側の結腸に穿孔を認めたため,右側結腸を切除,回腸人工肛門を造設した.穿孔部位の病理所見はいずれも血栓を伴う非特異的な虚血性潰瘍であった.Wegener肉芽腫症に関連した消化管病変はまれであり,病理組織学的検査で特徴的な血管炎が証明されないことも多いが,文献的考察によると消化管病変は血管炎が原因であり,治療中は消化管病変の合併も念頭に置き治療経過を観察するべきである.
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  • 須浪 毅, 田内 潤, 坂下 克也, 雪本 清隆, 澤田 隆吾, 阪本 一次
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3416-3419
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    直腸癌術後の直腸膣瘻に対してエストリオール錠が有効であった症例を経験したので報告する.症例は58歳,女性.直腸癌に対し腹腔鏡補助下低位前方切除術を施行した.経口摂取を開始したところ,膣から便汁の排出を認めた.大腸内視鏡検査にて吻合部に3mm大の瘻孔を認め,ここから造影剤を注入すると膣が造影され,直腸膣瘻と診断.絶食,高カロリー輸液を行うとともに,エストリオール錠を処方した.20日目の瘻孔造影にて膣が描出されなくなり経口摂取を再開.5週間目には内視鏡所見上も瘻孔が閉鎖し,その後,再発を認めていない.
    エストリオールはエストロゲンの分泌不足による膣の自浄作用を回復させたり,膣周囲の血流を増加させることによって瘻孔の治癒を促進する可能性がある.閉経後の女性に発生した,小さな直腸膣瘻症例では,エストリオール製剤を併用することで,治療期間の短縮,手術の回避につながる可能性があると考えられた.
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  • 長瀬 勇人, 諸橋 一, 矢口 慎也, 坂本 義之, 村田 暁彦, 袴田 健一
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3420-3424
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,女性.排尿困難・下血を主訴に近医を受診した.入院時,画像検査で骨盤内に最大径約10cmの腫瘍性病変が認められた.入院後,大量の性器出血と下血を認め,出血性ショックとなった.持続する出血に対してtranscatheter arterial embolization(TAE)を行い,ショックを離脱した.後日,下部消化管内視鏡検査で下部直腸から肛門管にかけて粘膜下腫瘍が認められ,gastrointestinal stromal tumor(GIST)と診断された.メシル酸イマチニブを用いた術前補助化学療法を行い,腫瘍の縮小が認められ,根治切除が可能となった.直腸GISTは下血・性器出血を主訴に発見されることがあり,まれに出血性ショックとなる場合がある.出血性ショックをきたした直腸GISTに対してTAEを施行し,術前補助化学療法後に根治切除を行い得た症例を経験したため報告する.
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  • 中島 隆宏, 勝又 健次, 川本 雅司, 藤野 昇三, 竹之下 誠一
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3425-3429
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は79歳,男性.大腸癌術前検査の下部消化管内視鏡検査にて,下部直腸に隆起性直腸腫瘍を偶然発見された.大腸癌の根治術後,直腸腫瘍に対して内視鏡的粘膜下層切除術を施行した.病理学的所見では断端は陰性,粘膜筋板部を中心に粘膜・粘膜下層双方に広がる腫瘍で神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor;以下NET)に相当する成分と高分化型腺癌の成分とを認めた.腫瘍内での分布範囲として各々量的に30%以上を占められており,mixed adenoneuroendocrine carcinoma(以下MANEC)であると診断した.MIB-1 indexは神経内分泌分化を示す部分では1%未満でありNET G1に相当すると考えられた.しかし,MANECは一般的には悪性度の高い疾患と言われている.本症例は,低悪性度のNET G1が混在する非常に稀なMANECであったと考えられた.文献的考察を加え報告する.
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  • 姚 思遠, 橋田 裕毅, 貝原 聡, 細谷 亮, 今井 幸弘
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3430-3434
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,男性.6年前に直腸癌にて経肛門的切除術を施行されている.以後再発の所見は認めていなかったが,今回,肛門周囲の掻痒感と発赤を主訴に近医を受診し,皮膚生検にてPaget細胞を認めて当院に紹介となった.免疫組織化学染色にてPaget細胞は隣接臓器癌のPaget現象を示唆する所見であった.精査にて隣接臓器癌は証明できなかったが,免疫染色の結果と直腸癌の既往があることを踏まえて直腸肛門管原発癌に起因するPaget現象と診断し腹腔鏡下直腸切断術を施行した.しかし,切離標本内に明らかな癌病変を認めず病理学的診断は肛門周囲Paget病であった.肛門周囲Paget病とPaget現象の鑑別には免疫染色と隣接臓器癌の検索が必須であるが,十分な精査を行っても術前の確定診断が困難な場合があることを念頭に置き,加療を行う必要がある.
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  • 河本 真大, 平川 俊基, 中澤 一憲, 西村 重彦, 藤田 茂樹, 妙中 直之
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3435-3439
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は79歳,女性.C型肝炎で経過観察中に肝細胞癌を疑う腫瘍性病変を認め,肝前区域切除と横行結腸合併切除を行った.組織学的には,肝原発横紋筋肉腫と診断された.術後3カ月後のCT検査にて右横隔膜下に再発を疑う腫瘤を認め,右半結腸切除術・横隔膜合併切除術を行った.組織学的には横紋筋肉腫再発と診断された.その後,初回手術5カ月後のCT検査にて多発肝転移を認め,VAC療法(vincristine,actinomycin-D,cyclophosphamide併用療法)を行った.1コース施行後のCT検査では約15%の腫瘍の縮小を認めたものの,副作用が強く出現し1コースのみで化学療法を終了し,初回手術から9カ月後に死亡した.成人発症の横紋筋肉腫は稀である.さらに肝原発のものは非常に稀である.今回,肝原発横紋筋肉腫に対して2度の手術および化学療法を行った症例を経験したので文献的考察を加え報告する.
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  • 伊藤 雅典, 朴 泰範, 河本 和幸, 伊藤 雅
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3440-3443
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は82歳,女性.持続する上腹部痛にて救急外来を受診した.血液検査でCRP・WBC高値と肝胆道系酵素ならびに膵酵素上昇を認めた.CTにて肝実質の不均一な早期濃染と膵頭部周囲脂肪織濃度上昇を伴い膵炎・胆管炎を示唆する所見であった.また,肝円索腫大と周囲脂肪織濃度上昇も認めた.胆管炎・膵炎を合併した肝円索膿瘍・壊疽を疑い同日緊急開腹術を施行した.術中所見では肝円索は40mm大に腫大しており一部膿瘍形成を認めた.腹水もなく,腹膜炎の所見は認められなかったため,肝円索切除のみで手術を終了した.術直後より膵炎・胆管炎は速やかに軽快し,良好な結果であった.肝円索膿瘍・壊疽は急性腹症の範疇に入る比較的稀な疾患である.文献的には胆石などの合併報告が多く,外科的切除が望まれるとされる.今回われわれは膵炎・胆管炎を合併した肝円索膿瘍の1例を経験したので報告した.
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  • 小西 孝宜, 高西 喜重郎, 森田 泰弘, 松本 潤, 宮崎 勝
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3444-3448
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    IV-A型先天性胆道拡張症の手術では肝臓側胆管の切除範囲に一定の見解はない.今回,anterior transhepatic approach併施による胆管切除例を経験したので報告する.症例は37歳男性.皮膚黄染と上腹部痛の精査のCTで総胆管から左右肝管に最大径8cmの嚢胞状拡張を認め,右後区域胆管起始部に狭窄と2cm径の拡張を認めた.肝門部胆管拡張は著しく,左中肝静脈根部付近まで到達していた.また,総肝管に相対的狭窄を認めた.IV-A型先天性胆道拡張症の診断で,anterior transhepatic approachを併施し,肝外胆管切除・胆嚢摘出・肝管空腸吻合を施行した.術後1年経過し,吻合部狭窄や肝内結石や遺残胆管癌などの晩期合併症はない.本症例はanterior transhepatic approachにより,肝門から困難だった拡張胆管の広範囲切除と肝内胆管狭窄の切除・形成をしえた.
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  • 林 雅規, 折田 雅彦, 原田 剛佑, 弘中 秀治, 守田 信義, 濱野 公一
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3449-3454
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は30歳の女性で,分娩前より腹痛と嘔吐を認めていた.分娩2日後に発熱と肝機能障害が出現し,当院に紹介となった.腹部CTで右上腹部に15cmの嚢胞性腫瘤を指摘され,胆嚢捻転症や後腹膜腫瘍等を疑い緊急手術を施行した.胆嚢は肉眼的に正常で,肝下面の巨大な腫瘤は総胆管であった.胆嚢摘出および胆道ドレナージ術のみ施行した.術後の胆道造影で膵胆管合流異常を伴う戸谷Ic型の先天性胆道拡張症と診断した.初回手術10日後に肝外胆管切除および左右肝管空腸吻合を行い,分流術後13日目に軽快退院した.
    周産期に発症した先天性胆道拡張症の本邦36報告例のうち,分娩後に症状が発現・増悪した症例は14例で,黄疸の合併頻度が高い傾向にあった.分娩後に黄疸を合併する機序として,分娩後の内臓下垂による総胆管の屈曲などが考えられた.治療は胆道ドレナージを行い,状態が安定したのちに分流手術を行うことが望ましいと思われた.
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  • 加藤 洋介, 尾山 佳永子, 吉田 周平, 奥田 俊之, 太田 尚宏, 原 拓央
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3455-3458
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    重複胆管は極めて稀な胆道系形成異常で,様々な胆管分岐形態をとり,半数に胆道結石を合併する.症例は69歳,男性.主訴は右季肋部痛.腹部USで胆嚢結石を指摘され,手術目的に紹介となった.術前MRCP・DIC-CTで総胆管結石を合併した重複胆管と診断した.ERCPを施行したが,膵胆管合流異常を合併し選択的カニュレーション不能であった.術後に重症膵炎を発症した.胆管径が4mmと細く,胆管切開と再建を回避することと,術中の重複胆管損傷回避のためにランデブー法を用いた切石術を計画した.膵炎発症8週間後に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行したが,膵炎による高度炎症のため開腹移行した.胆嚢摘出後に術中胆道造影を施行し,胆嚢管断端よりガイドワイヤーを十二指腸に誘導し,EPBDを施行して切石した.第9病日に合併症なく退院した.ランデブー法は,重複胆管症例において術中の胆道損傷を回避し得る有効な治療選択肢と考えられた.
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  • 砂原 正男, 倉内 宣明, 木村 純
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3459-3464
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は20歳,女性.19歳時より右側腹部痛を繰り返し認めたため近医を受診し,精査にて多隔壁胆嚢が疑われ当院紹介受診となった.血液生化学所見では炎症所見を認めず,肝胆道系酵素や腫瘍マーカー(CEA,CA19-9)も正常範囲内であった.画像検査にて胆嚢内部のほぼ全域に隔壁像を認め,多隔壁胆嚢と診断した.胆嚢内に結石,結節性病変,胆泥などを疑う所見は認めなかった.有症状であることから切除の適応と判断し,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.胆嚢はブドウの房状の形態を示しており,内腔に多数の隔壁を認めた.胆嚢隔壁は高円柱上皮で覆われており,隔壁に胆嚢壁の固有筋層が移行する像を認めた.なお,上皮に炎症性変化や細胞異型を認めなかった.多隔壁胆嚢は非常にまれな先天性疾患であり,本邦報告例とともに文献的報告を加えて報告する.
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  • 林 俊治, 高田 譲二, 蔵谷 大輔, 喜納 政哉, 舩越 徹, 浜田 弘巳
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3465-3471
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,女性.自覚症状は特になく,肝血管腫・胆石症で経過観察中に膵頭部腫瘤を指摘された.腹部USでは境界は明瞭・内部不均一低エコー腫瘤で,CTは内部不均一で辺縁が強く造影され,MRIはT1WI low T2WI high intensityを呈した.ERCP上膵管に異常なく,血液検査では腫瘍マーカー・ホルモン値は正常で非機能性膵神経内分泌腫瘍の診断で幽門輪温存膵十二指腸切除術を施行した.手術所見は膵頭部に小指頭大の腫瘤を触知したが膵表面に腫瘍の露出は認めなかった.摘出標本では20×18×12mmの境界明瞭で割面は赤褐色を呈した.組織学的にZellballen様構築で膵原発非機能性傍神経節腫と診断された.非機能性膵神経内分泌腫瘍の診断は困難なことが多く,膵原発傍神経節腫は極めて稀である.組織像のみでは悪性度の決定は困難であり今後の経過観察が必要である.
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  • 工藤 雅史, 山形 誠一, 東 久登, 根岸 真人, 増田 幸蔵, 志田 晴彦, 井上 泰
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3472-3478
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    症例1:70歳,女性.糖尿病で通院中,高アミラーゼ血症を指摘され当院を受診.CTにて膵頭部に壁在結節を伴った膵管拡張を認めた.MRCPでは背側膵管に壁在結節を示す低信号を認めた.ERCPでは主乳頭からは胆管のみが描出,副乳頭からは背側膵管のみが造影された.膵管癒合不全を伴った主膵管型膵管内乳頭粘液性腫瘍と診断し手術施行.病理組織学的検査では膵管内乳頭粘液性腺腫であった.症例2:70歳,女性.肝機能障害にて通院中,腹部超音波検査で異常を指摘され当院を受診.CTにて膵頭部に嚢胞性腫瘤を認め,膵管の拡張を伴っていた.ERCPでは主乳頭からは腹側膵管のみが造影され背側膵管は同定できなかった.MRCPで背側膵管は副乳頭側では拡張がなく,尾側で拡張していた.膵管癒合不全を伴った混合型膵管内乳頭粘液性腫瘍と診断し手術施行.病理組織検査検査ではmacrocystic typeの漿液性嚢胞腺腫であった.
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  • 水谷 文俊, 河野 弘, 米山 文彦, 佐竹 立成, 氏平 伸子
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3479-3485
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は38歳の男性で,腹痛で当院救急外来を受診した際に撮影された単純CTで径3cm大の脾腫瘤を指摘されて,当院消化器科を紹介された.造影CTで脾血管腫と診断し経過観察していたが,増大傾向を認めたため,悪性疾患の可能性も否定できず診断的治療目的で当科に紹介となった.腹腔鏡下脾摘術を施行し,免疫組織化学検査所見でsclerosing angiomatoid nodular transformationと診断した.本疾患は非常にまれな脾腫瘤形成性良性疾患と考えられ,本邦報告例は6例のみであった.本症例を加えた7例の臨床病理学的特徴を検討し文献的考察を加えて報告する.
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  • 西村 健, 門脇 嘉彦, 湯浅 壮司, 田村 竜二, 岡本 貴大, 石堂 展宏
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3486-3490
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は46歳,女性.生来健康であったが検診で腹部腫瘤を指摘され当院受診.CT検査にて十二指腸水平脚と下大静脈,右腎に囲まれる領域に腫瘤を認めた.造影CT検査にて後期相で腫瘤の濃染像は認めるが質的診断には至らず,診断的加療を考慮し切除術を施行した.腫瘍は十二指腸背側で5cmほどの大きさがあり肉眼的に血管腫を疑わせた.腫瘍の栄養血管は右卵巣動脈の分岐と思われ,腫瘍を貫通していた血管を合併切除し腫瘍を摘出した.病理組織学的検査にて腫瘍は海綿状血管腫であり,血管内に器質化した血栓を認める所見であった.後腹膜の海綿状血管腫は他の部位のものと異なり乏血性を反映した所見を呈することが多く,またその頻度の少なさから診断に苦慮することが多い.本邦でもほとんどの症例で術前診断が確定しないまま手術を施行していた.血流に乏しい後腹膜腫瘍の鑑別には海綿状血管腫も考慮すべきであると考えられ,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 水野 智哉, 川辺 昭浩, 奥村 拓也, 山下 公裕, 礒垣 淳, 鈴木 憲次
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3491-3494
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は56歳,女性.徐々に増大する左肋骨弓下腫瘤を自覚し来院した.左上腹部に径34mm大の比較的境界明瞭で可動性不良,弾性硬な腫瘤を触知した.精査の結果デスモイド腫瘍を疑い,腫瘤摘出術を施行した.腫瘍は腹直筋に存在し,切除標本で腫瘍割面は灰白色調であり一部境界不明瞭であった.組織学的には胞体内に粗大好酸性顆粒を持ち,軽度大小不同を示す類円形核を持つ細胞が小胞巣状に増殖しており,一部腹直筋に浸潤を認めた.異型細胞はS-100蛋白染色陽性であり左側方断端陽性であった.腹直筋に発生した顆粒細胞腫と診断し後日,腹直筋および腹直筋前後鞘追加切除術を施行した.顆粒細胞腫は皮膚・口腔・消化器領域が好発部位とされており,骨格筋内からの発生は比較的まれである.術前診断に特異的なものは無く,術式・術後予後判定も画一されていない.今後慎重な経過観察が必要と考える.
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  • 富永 哲郎, 竹下 浩明, 日高 重和, 七島 篤志, 木下 直江, 澤井 照光, 永安 武
    74 巻 (2013) 12 号 p. 3495-3500
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は84歳男性で,7年前に肺大細胞神経内分泌癌(large cell neuroendocrine carcinoma: LCNEC)で左上葉切除の既往がある.食欲不振と体重減少を主訴に当院を受診した.腹部CT検査でS状結腸に約8cmにわたる腸管の壁肥厚を認めた.大腸内視鏡検査ではS状結腸に亜全周性の隆起性病変を認め,生検で神経内分泌細胞癌と診断された.開腹するとS状結腸の腫瘍は一部膀胱に浸潤しており膀胱合併S状結腸切除を行った.病理組織診断では,肺LCNECとの鑑別が困難であったが,肺癌ではみられなかった腺癌成分を認めたこと,および免疫染色のパターンが異なっていたことから,最終的に大腸原発の異時性重複神経内分泌細胞癌と診断した.術後はADL・年齢を考慮し,無治療経過観察の方針とし3年2カ月後に原病死した.今回,極めてまれな神経内分泌癌の異時性重複症例を経験したため,文献的考察を加え報告する.
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