日本臨床外科学会雑誌
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74 巻 , 2 号
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原著
  • 野崎 功雄, 後藤田 直人, 藤谷 恒明, 福島 紀雅, 藤田 淳也, 伊藤 誠二, 大下 裕夫, 河村 進, 若尾 文彦, 栗田 啓
    74 巻 (2013) 2 号 p. 331-338
    公開日: 2013/08/25
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    多施設で安全に使用可能な胃がん手術クリニカルパスがあれば,胃がん外科治療の均てん化に大きく寄与する.本研究ではこのようなパスの作成とその安全性の検証を行った.まず幽門側胃切除用(経口摂取開始:術後3日目,退院日:術後8-14日目,以下幽切パス)と胃全摘用(同4日目,同9-16日目,以下全摘パス)のクリニカルパスを作成した.次に幽切パスを415例,全摘パスを163例に適用しバリアンス,術後入院期間,術後合併症について検討を行った.術後入院期間の中央値は幽切パス12日,全摘パス14日で,退院バリアンスは幽切パス14.5%,全摘パス25.8%に認めた.Clavien-Dindo分類でGrade III以上の重症合併症は幽切パス3.9%と全摘パス6.7%であった.これらの合併症発生率は過去の報告と比較して同程度であり,今回作成したクリニカルパスは多施設で安全に利用することができると思われた.
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  • 宗方 幸二, 清水 潤三, 三宅 正和, 畑 泰司, 川西 賢秀, 池田 公正, 藤田 淳也, 赤木 謙三, 岩澤 卓, 堂野 恵三, 北田 ...
    74 巻 (2013) 2 号 p. 339-345
    公開日: 2013/08/25
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    はじめに:単孔式手術が注目されているが,単孔式経臍腹腔鏡補助下虫垂切除術(transumbilical laparoscopic-assisted appendectomy(以下TULAA))に関するまとまった報告はない.当科におけるTULAAを検討したので報告する.対象および方法:2005年7月から2010年4月に虫垂炎にてTULAAを施行した212例を対象として完遂率,完遂困難因子を検討し,合併症は同時期に実施した開腹手術と後方視的に比較検討した.結果:完遂率は79.7%であった.また,21歳以上でBody Mass Index(以下BMI)が21以上の症例は完遂が困難であった.合併症発生率は1.4%であり,開腹手術の9.6%と比較して発生率は有意に低かった.考察:TULAAは症例を選択すれば,まず試みる術式として有用と考えられる.完遂困難因子は年齢およびBMIに関連を認めた.
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臨床経験
  • 佐藤 暢人, 岩井 和浩, 狭間 一明, 京極 典憲, 細井 勇人, 溝田 知子
    74 巻 (2013) 2 号 p. 346-351
    公開日: 2013/08/25
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    症例1は69歳の男性で交通外傷にて搬送され,腹腔内遊離ガスを認めたが,腹部症状を伴わず,経過観察を行った.入院後,発熱と炎症反応の亢進を認めた.症例2は40歳の女性で腹痛にて搬送され,腹腔内遊離ガスを認めた.症例3は90歳の男性で発熱と呼吸不全にて搬送され,精査目的の画像検査で腹腔内遊離ガスを認め,腹部に圧痛を伴った.症例4は86歳の男性で肺癌多発転移の疼痛管理目的に入院中,精査目的の画像検査で腹腔内遊離ガスを認め,腹部に圧痛を伴った.4症例とも,消化管穿孔を否定できず,手術を施行したが,術中所見で消化管穿孔を認めず,特発性気腹症と診断した.症例5は50歳の女性で肝血管腫の経過観察のCTで腹腔内遊離ガス像を認めた.腹部所見は軽度で炎症所見も認めず,特発性気腹症と診断して経過観察を行い,症状の増悪なく退院に至った.比較的まれな特発性気腹症の5例を経験したので検討を加えて報告する.
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  • 佐田友 藍, 鯉沼 広治, 宮倉 安幸, 堀江 久永, 藤井 博文, 安田 是和
    74 巻 (2013) 2 号 p. 352-356
    公開日: 2013/08/25
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    2007年9月から2012年5月にBevacizumab(以下BV)併用化学療法を施行した進行・再発大腸癌228例中,消化管穿孔は6例(2.6%)に認めた.症状出現から診断までは6-244時間(中央値85)で,軽度な腹部症状で発症し,全例独歩来院であった.全例手術治療を行い,5例は軽快退院,1例は腹膜炎の軽快後原疾患増悪にて21日目に死亡した.2例で創傷治癒遅延を認めたが,重篤な合併症は認めなかった.穿孔原因は憩室,多発潰瘍,播種細胞破綻等であった.原発巣の穿孔症例はなかった.今回の検討では,BV関連消化管穿孔は発症時の症状は軽微,かつ全身状態は比較的良好で,診断に至るまで長時間を要していた.全例手術を行い良好な結果が得られた.担癌,化学療法中であるが手術リスクが極めて高いとは言えず,外科的治療を迅速に行うべきと考えられた.
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症例
  • 榊原 堅式, 佐藤 陽子, 中前 勝視, 三井 章, 桑原 義之
    74 巻 (2013) 2 号 p. 357-361
    公開日: 2013/08/25
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    生下時より認められた,先天性頸部遺残軟骨の4例を経験したので報告する.4例とも男児で,生下時より,胸鎖乳突筋の前縁に硬い軟骨様の腫瘤を触知した.左側下方が2例,左側上方が1例,右側下方が1例であった.大きさは,1から1.5cm大で,硬く,1歳から2歳時に摘出術を施行した.いずれも,深部は胸鎖乳突筋内で摘出でき,病理組織の検査結果は,軟骨組織と診断された.1例に鼠径ヘルニアを認めた以外は,他の外表奇形は認めなかった.
    生下時より認められる前頸部の軟骨組織は,先天性頸部遺残軟骨,頸部軟骨母斑,頸部副耳,頸耳などとも呼ばれ,比較的まれな疾患である.本症はその発生を,第2鰓弓以下の由来とされる説もあり,胸鎖乳突筋の前縁にみられることが多く腫瘍はいずれもその基部が胸鎖乳突筋内にあり,摘出術の適応である.また,他の合併奇形を認めることもあり注意が必要である.
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  • 佐々木 寛, 小笠原 豊, 川崎 賢祐, 久保 孝文, 山川 俊紀, 間野 正平
    74 巻 (2013) 2 号 p. 362-366
    公開日: 2013/08/25
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    再発乳癌は骨・肺・肝などに好発するが,消化管転移はそれらに比べると著しく少ない.浸潤性小葉癌の術後に直陽転移・胃転移をきたした1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
    症例は58歳,女性.主訴は腹痛・下痢・下血.他院にて左浸潤性小葉癌にて胸筋温存乳房切除術を受けた.術後診断はT2N1M0 Stage IIB,ER(+),PgR(-)であり,術後内分泌療法,化学治療法が行われた.術後8年目より腰痛出現し多発性骨転移および多発性肝転移と診断.当院にて放射線治療,化学療法が行われたが腹痛・下痢・下血出現.大腸内視鏡にて直腸の全周性狭窄を指摘され転移性腫瘍が疑われた.胃内視鏡でも多発性の粘膜下隆起性病変を指摘され直腸病変と同様の生検結果を得た.内視鏡所見および臨床経過より乳癌の直腸転移・胃転移と診断.生検部の免疫染色・原発巣との病理学的な比較にても浸潤性小葉癌の直腸転移・胃転移と診断された.
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  • 館花 明彦, 河原 正樹, 浜口 洋平, 鈴木 信親, 國又 肇, 岡 輝明
    74 巻 (2013) 2 号 p. 367-370
    公開日: 2013/08/25
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    症例は67歳,女性.両側異時性乳癌(56歳で左,62歳で右,いずれも浸潤性乳管癌)にて乳房切除術の既往があり,術後化学療法を終了していた.両側ともホルモン受容体は陰性であった.定期的診察にて右大胸筋外縁腋窩部に腫瘤を指摘.乳癌局所再発と術前診断され手術施行したところ,切除標本の所見から副乳原発の神経内分泌癌と病理診断された.術後は右腋窩部を中心に放射線照射を行い,術後約5年を経過した現在まで転移・再発所見は認めず経過観察中である.
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  • 嶋田 和博, 千島 隆司, 石川 孝, 市川 靖史, 遠藤 格
    74 巻 (2013) 2 号 p. 371-375
    公開日: 2013/08/25
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    症例は65歳,女性.右乳房腫瘤を自覚しマンモグラフィ(MMG)で要精査となり当科紹介受診.触診で右C領域に2.5×2.0cmの境界明瞭で可動性良好の腫瘤を触知,MMGで同領域に多形性で不均一な石灰化の集簇を伴う直径2cmの高濃度腫瘤を認めた.乳房超音波検査(US)では,長径2cm大の内部に石灰化を伴う低エコー腫瘤を認めた.腫瘤の境界はMMGでほぼ境界明瞭だが乳頭側で一部鋸歯状を呈し,USでも腫瘤の乳頭側境界は不明瞭であった.針生検を施行したところ背景に乳腺線維腺腫を伴う浸潤性乳管癌の診断であった.術前診断T2N0M0にて右乳房全摘術,センチネルリンパ節生検術を行った.病理組織診断では2.2×1.6×1.1cm大の腫瘍結節を認め,組織学的には乳腺線維腺腫に併存した浸潤性乳管癌であった.今回われわれは,乳腺線維腺腫に併存した浸潤性管乳癌を経験したので文献的考察を加えて報告する.
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  • 宇野 耕平, 秋葉 直志, 丸島 秀樹, 柳澤 暁, 森川 利昭, 大木 隆生
    74 巻 (2013) 2 号 p. 376-379
    公開日: 2013/08/25
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    症例は72歳の女性.胆嚢ポリープの経過観察中の腹部CTおよび腹部超音波検査で,右胸水を指摘された.自覚症状はなく,経過観察を受けていたが,2年後の腹部CT検査で増大傾向を認めたため,胸部造影CT検査を施行した.異常陰影内に造影効果を伴う充実成分が疑われ,診断と治療を兼ねて胸腔鏡手術を施行した.胸腔内に右肺下葉から懸垂する腫瘤を認め切除した.病理診断はsolitary fibrous tumorであった.今回,横隔膜部に異常陰影を認めながら胸水として経過観察をしたsolitary fibrous tumorの1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告した.
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  • 三田 恭義, 星野 敢, 豊住 武司, 河野 世章, 阿久津 泰典, 松原 久裕
    74 巻 (2013) 2 号 p. 380-385
    公開日: 2013/08/25
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    症例は71歳,男性.Vogt-小柳-原田病の精査加療中,全身CTで食道壁肥厚を指摘され,当科紹介となった.上部消化管内視鏡検査でMtに2型腫瘤を認め,組織診の結果内分泌細胞癌の診断であった.PETおよびCTでは主病巣の他,3領域にわたり多数の転移リンパ節を認めた.遠隔転移は認めず,cT3 N2 M0 stage IIIと診断した.術前補助化学療法(NAC)としてCPT-11+CDDP投与を2コース施行し,腫瘍は著明に縮小.PRの判定となった.右開胸開腹食道切除+胃管再建+3領域リンパ節郭清術を施行し,NACの組織学的効果判定はGrade 2,郭清リンパ節123個にviableな腫瘍細胞を認めなかった.術後CPT-11+CDDPを1コース追加し,現在まで再発なく経過している.食道内分泌細胞癌は稀な疾患で治療法も確立されていないが,NACと手術による集学的治療が有効である可能性が示唆された.
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  • 栃木 透, 森 幹人, 夏目 俊之, 赤井 崇, 林 秀樹, 松原 久裕, 大出 貴士
    74 巻 (2013) 2 号 p. 386-390
    公開日: 2013/08/25
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    Glomus腫瘍は四肢末端の皮下や爪下に好発し,胃原発のGlomus腫瘍はまれである.症例は52歳,男性.平成22年8月,胃粘膜下腫瘍の診断にて当科紹介.入院後精査から前庭部大彎の大きさ25cmの胃carcinoidの診断となり手術施行.病理組織所見および免疫染色から胃原発のGlomus腫瘍の診断であった.現在,WHOによるGlomus腫瘍のCriteriaによれば,大きさ2cm以上の胃Glomus腫瘍は,転移性病巣を形成するリスクのある悪性病変と定義されている1)2).しかし,本邦報告例では転移再発例はなく,海外の報告例4例のみであった.胃Glomus腫瘍に関して若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 北 健吾, 矢吹 英彦, 稲葉 聡, 小原 啓, 庄中 達也, 渡邊 賢二
    74 巻 (2013) 2 号 p. 391-395
    公開日: 2013/08/25
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    症例は76歳男性で,54歳時に胃癌にて胃全摘(Roux-en-Y再建).75歳時突然の上腹部痛にて受診した.CTでは上腹部の拡張腸管内に同心円状層状構造の腫瘤像を認め,イレウス管造影ではY吻合部でカニ爪様の途絶を認めた.腸重積による腸閉塞を疑い開腹した.Y吻合部より肛門側の空腸が逆行性に重積していた.整復し空腸を一部切除した.先進部分に異常は認めなかった.1年後,同様に突然の上腹部痛にて受診した.CTより腸重積症の再発と診断し開腹した.Y吻合部の逆行性腸重積症であり,Y吻合部を含めて空腸を切除,再吻合した.以後再々発は認めていない.胃切除後の腸重積症は突然の上腹部痛,嘔吐で発症し,CTでは層状構造の腫瘤像が特徴的である.先進部腸管の異常を認めることはまれで,機械的因子や機能的因子が原因として推測される.胃切除後の腸重積症はまれではあるが,術後腸閉塞の原因疾患の一つとして念頭に置く必要がある.
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  • 濱田 哲宏, 谷口 英治, 太田 喜久子, 吉川 正人, 山上 裕子, 大橋 秀一
    74 巻 (2013) 2 号 p. 396-399
    公開日: 2013/08/25
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    術前診断された無症状の傍十二指腸ヘルニアに対して腹腔鏡下手術を行った.症例は50歳男性.左鼠径ヘルニアの診療の際に撮影された腹部CTで左型傍十二指腸ヘルニアと診断され,手術目的で当院に紹介となった.Multi-Detector CTでは小腸が下腸間膜静脈(IMV)背側を経て膵後面に嵌入しており,特徴的なSac-like appearanceも認められた.術中所見では,IMV,上腸間膜動脈ならびに後腹膜で形成されていたヘルニア門を介して小腸の大半が左側結腸間膜背側から膵背側に広がるヘルニア嚢に嵌入していた.小腸の整復後,ヘルニア門を縫合閉鎖した.鼠径ヘルニアに対しては経腹的腹膜前修復法(TAP法)を行った.医中誌による2002年から2011年までの傍十二指腸ヘルニア報告例76例を検討した.無症状で術前診断された症例は2例のみで,そのうち腹腔鏡下手術を施行した報告例は本例のみであった.
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  • 岩谷 慶照, 山口 俊昌, 伊藤 卓資, 五島 正裕
    74 巻 (2013) 2 号 p. 400-404
    公開日: 2013/08/25
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    症例は 61歳,男性.食思不振・体重減少を主訴に当院を受診した.上部消化管内視鏡検査で十二指腸球部に3型病変を認め,生検の結果はadenocarcinomaであった.腹部CT・MRI検査では,十二指腸・膵頭部に最大径約11cmの巨大な腫瘤像を認めた.膵・門脈浸潤をきたした進行十二指腸癌の診断で手術を施行した.開腹時所見では,腫瘤は膵頭部と一塊になって門脈と強固に癒着していたが,門脈合併切除を伴う膵頭十二指腸切除術で切除しえた.病理組織学的診断は乳頭腺癌で門脈浸潤陽性であった.術後に下痢を中心とする消化器症状が続いたことと十二指腸癌に対する化学療法は確立していないことから,術後補助化学療法は行わずに経過観察することとなった.術後2年2カ月が経過したが再発を認めていない.十二指腸癌の治療成績の向上のためには高度の進行癌であっても,可能な限り積極的な切除を目指す必要があるものと考える.
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  • 藤原 康博, 唐崎 秀則, 鈴木 茂貴, 松坂 俊, 今井 浩二, 古川 博之
    74 巻 (2013) 2 号 p. 405-410
    公開日: 2013/08/25
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    症例は75歳,男性.タール便を主訴に診断された十二指腸第2部から3部にかけての全周性十二指腸側方発育型腺腫を約6年間経過観察ののち切除した.半年に1回の内視鏡,低緊張性十二指腸造影を行い,最終的に生検で癌が検出され膵頭十二指腸切除(PD)を行ったが,切除時点ではリンパ節転移を伴う進行癌であった.十二指腸腺腫は前癌病変と考えられ切除が推奨される.本例は病変の大部分が腺腫であり,癌の局在はごく一部に限られていたため,生検での癌の検出が困難であった.さらに画像的にも大きな変化がなく経過したため経過中早期の癌の診断が困難であった.癌の確定診断がない状態で侵襲の大きいPDを受けることに患者が同意できなかったことが長期の経過観察となった要因と考えられた.本例は十二指腸腺腫の自然史と,長期にわたる経過観察の危険性を示す症例であると考えられた.
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  • 柏木 裕貴, 赤本 伸太郎, 藤原 理朗, 岡野 圭一, 臼杵 尚志, 鈴木 康之
    74 巻 (2013) 2 号 p. 411-414
    公開日: 2013/08/25
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    症例は37歳の男性で,好酸球増多症と気管支喘息の既往があった.右下腹部痛・発熱・嘔吐・下痢のため近医で加療されたが改善せず,白血球(好酸球)増多が継続したためプレドニゾロンの投与を開始された.プレドニゾロン開始後7日目に腹痛の増悪を認め,腹部CT検査で腹腔内遊離ガス像を認めたため当院に救急搬送され手術を施行した.回盲部より30cmほど口側で回腸同士が側々に穿通し,この穿通部位に穿孔を起こして腸内容が流出していた.他の小腸にも飛石状に潰瘍性病変を複数認め,小腸部分切除術と回腸ストマ造設術を施行した.摘出標本の粘膜面には,漿膜側が正常の箇所にも多発する潰瘍を認め,病理学的検査では中小血管の炎症性肉芽腫性変化による小腸の虚血性変化を認め,Churg-Strauss症候群として矛盾のない所見であった.術後当院内科でステロイドパルス・シクロフォスファミド併用療法を施行され,術後57日目に退院した.
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  • 松田 恭典, 李 栄柱, 岸田 哲, 大河 昌人, 西澤 聡, 大杉 治司
    74 巻 (2013) 2 号 p. 415-419
    公開日: 2013/08/25
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    小腸が線維性癒着によって腹腔内で切離された症例を報告する.症例は51歳男性.3日前より持続する腹部膨満感と嘔吐を主訴に外来を受診.腹部X線写真上,小腸の拡張と鏡面形成を認め,42歳時に胃全摘術の手術既往があることから術後癒着性イレウスの診断にて緊急入院となった.イレウス管を留置して保存的治療を行ったが,入院7日目に突然の高熱と炎症反応の増悪を認め,腹部CT検査で腹腔内に液体貯留が疑われたため消化管穿孔と判断し緊急手術を施行した.右上腹部の線維性癒着により,小腸が腸間膜を残して完全に切離されていた.切除標本を検討したところ,切離されていた部位の腸管粘膜や近傍の腸間膜には壊死像や虚血所見を認めず,絞扼壊死から穿孔に至ったのではなく,線維性癒着により物理的に直接切離されたものと考えられた.
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  • 赤羽 慎太郎, 河内 雅年, 福田 三郎, 先本 秀人, 江藤 高陽, 西田 俊博
    74 巻 (2013) 2 号 p. 420-425
    公開日: 2013/08/25
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    症例は48歳男性,心窩部痛を主訴に近医受診.CTにて小腸に腫瘍性病変を指摘され,当院紹介受診となる.身体所見では心窩部付近に筋性防御・反跳痛を認め,血液検査で炎症反応の上昇を認めた.造影CTではTreitz靱帯近傍の小腸もしくは腸間膜由来と思われる,約8×8cm大の充実性腫瘍を認め,痛みが著明であり緊急手術を施行した.腫瘍は超手拳大で小腸腸間膜内に存在しており,小腸を約80cm合併切除した.腫瘍の大きさは10×8×8cm大,周囲との境界はやや不明瞭な線維性腫瘤を形成しており,術後病理所見で小腸腸間膜原発のデスモイドと診断された.腫瘍の浸潤した小腸の微小穿孔も確認され,今回の疼痛の原因と考えられた.術後経過は良好で,術後18日目に軽快退院,術後9カ月で再発を認めていない.腫瘍内に引き込まれた小腸の微小穿孔により急性腹症を呈し,緊急手術を要した小腸腸間膜デスモイドの1例を経験したので報告する.
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  • 萩尾 浩太郎, 上村 和康, 磯野 忠大, 小林 敏樹, 橘 充弘, 木村 貴彦
    74 巻 (2013) 2 号 p. 426-430
    公開日: 2013/08/25
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    症例は80歳,女性.2008年7月不眠症にて近医通院中,スクリーニングにて腹部超音波検査施行され,骨盤内に10cm大の腫瘤を認め,当科紹介となった.腹部CT検査にて,右下腹部骨盤内に長径10cm大の内部不均一な充実性成分と脂肪濃度を含む腫瘤を認め,この背側に長径が15cm大のほとんどが脂肪濃度である腫瘤を認めた.骨盤内脂肪肉腫が疑われ,手術を施行した.回腸末端から30cmと55cmの回腸に,それぞれ12×10cm,18×13cmの弾性軟,黄色調,表面平滑な腫瘤を認め,腫瘍はほぼ腸間膜対側に位置し,回腸との境界は不明瞭であった.回腸腸管壁原発であると考えられ,回腸部分切除術を施行した.病理組織学的診断は脱分化型脂肪肉腫と診断された.腸管原発の脱分化型脂肪肉腫は非常に稀であり,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 大山 正人, 田中 賢一, 金治 新悟, 押切 太郎, 藤野 泰宏, 富永 正寛
    74 巻 (2013) 2 号 p. 431-435
    公開日: 2013/08/25
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    症例は37歳,女性.既往歴に子宮内膜症,月経随伴性気胸にて手術歴があった.血便を主訴に前医を受診し,下部内視鏡検査で盲腸腫瘍を指摘され精査加療目的に当院へ紹介となった.注腸検査,腹部CT検査で上行結腸内腔へ突出する腫瘤を認め,Fink分類V型の虫垂重積症と診断し,腹腔鏡下回盲部切除術を施行した.病理組織検査で虫垂重積部に子宮内膜症が散在しており,子宮内膜症が原因で生じた虫垂重積症と診断した.完全型虫垂重積症をきたした虫垂子宮内膜症は稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 鈴木 崇之, 柳澤 真司, 新村 兼康, 土屋 俊一, 海保 隆, 宮崎 勝
    74 巻 (2013) 2 号 p. 436-441
    公開日: 2013/08/25
    ジャーナル フリー
    症例は80歳,女性.60年前に虫垂切除,その30年後に遺残膿瘍の手術を受けていた.3年前より時々右下腹部痛を認め,最近になり発熱と腹痛の増悪,右下腹部腫瘤を触知するようになったため来院した.腹部CT上,回盲部に接し後腹膜に及ぶ膿瘍を認めたため経皮的にドレーンを挿入し入院となった.大腸内視鏡では腫瘍性病変は認めないものの盲腸粘膜の浮腫,発赤と盲腸憩室を認めた.当初は盲腸憩室後腹膜穿通による膿瘍と診断していたが,腫瘍マーカーの上昇もあり腫瘍性病変の可能性も考え手術を行った.開腹すると膿瘍と考えられていた部分は約10cmの巨大な腫瘤であり,回盲部切除およびドレーン刺入部の瘻孔切除を行った.病理組織学的に腫瘤内には遺残虫垂組織を認め多量の粘液・壊死組織が充満,腫瘤壁には高分化腺癌の浸潤を認めた.以上より遺残虫垂より発生した粘液嚢胞腺癌と考えられた.
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  • 大谷 弘樹, 牧原 重喜
    74 巻 (2013) 2 号 p. 442-446
    公開日: 2013/08/25
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    症例は79歳,女性.約8カ月前に間質性肺炎と診断され,ステロイド剤と免疫抑制剤により長期治療中であった.数時間前より右下腹部痛と腹部膨満が出現して腹部CT検査を施行したところ,回盲部から下行結腸にかけて腸管壁周囲に気腫性変化を認め,後腹膜気腫や腹腔内遊離ガス像の出現もみられた.消化管穿孔を否定できず緊急手術を施行した.開腹時,腹腔内に腹水を少量認めたが便汁や食物残渣などによる汚染腹水は認めなかった.全消化管を検索したが明らかな穿孔部位は認められず,腹腔内遊離ガス像の原因は大腸腸管壁の気腫性変化によるものと判断し腹腔内ドレナージ術を施行して閉腹した.
    今回,われわれは間質性肺炎に対してステロイド剤や免疫抑制剤による治療中に腸管嚢腫様気腫(pneumatosis cystoides intestinalis:PCI)を発症した1例を経験したので文献的考察を含めて報告する.
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  • 笠原 康平, 長嶺 弘太郎, 亀田 久仁郎, 島 秀栄, 藤井 一博, 久保 章, 竹川 義則
    74 巻 (2013) 2 号 p. 447-452
    公開日: 2013/08/25
    ジャーナル フリー
    症例は67歳の女性で,54歳時に全身性強皮症を指摘された.65歳時に強皮症に伴う大腸偽閉塞症と診断され保存的治療で軽快していたが,発症7カ月後の再発時は軽快せず双口式横行結腸人工肛門造設術が施行された.手術の1年4カ月後に腹痛を主訴に当院を受診した.下部消化管造影や下部内視鏡,腹部CTで結腸捻転や狭窄を含む腸管通過障害が疑われ手術を施行した.開腹すると盲腸から上行結腸は後腹膜に固定性されておらず,人工肛門を軸に180度時計回りに捻転し閉塞機転となっていた.さらに脾彎曲結腸は口側,肛門側ともに盲端で,後天性大腸閉鎖症と診断し,結腸亜全摘,回腸人工肛門造設術を施行した.在宅中心静脈栄養療法を併用し退院となったが,徐々に経口摂取量の増加がみられている.後天性大腸閉鎖症は成人では極めてまれな疾患で,本例では結腸捻転により虚血性腸管壊死をきたし,修復機転で腸管閉鎖が生じたと考えられた.
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  • 三浦 恵美, 佐々木 愼, 中山 洋, 渡辺 俊之, 坂本 穆彦
    74 巻 (2013) 2 号 p. 453-458
    公開日: 2013/08/25
    ジャーナル フリー
    症例は81歳,女性.27歳で腸の手術を受けたが詳細不明である.80歳で抗アクアポリン4抗体陽性視神経脊髄炎に対してステロイドパルス療法を受け,以後PSL 15mg/日で維持されていた.今回腹痛と嘔吐を主訴に入院し保存的治療を受けた.第3病日に腹痛の増悪とCRP 32.91mg/dl,WBC 10,000/μlと著明な炎症反応を認め,造影CTにて右上腹部の膿瘍腔と膿瘍腔内部のエアーを認めた.消化管穿孔性腹膜炎の診断で緊急開腹術を施行した.穿孔部位は確認できなかったが,責任病変と思われる過去の手術の吻合部を切除した.切除した吻合部は小腸大腸の側側吻合で,大腸側の盲端部分でプラスチック製袋状容器の切れ端が穿孔していた.本来穿孔を形成しそうもない柔らかい異物であるが,ステロイドおよび腸管の吻合様式によっての異物滞留から,最終的に穿孔を引き起こしたものと考えられた.
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  • 垣本 佳士, 松岡 信子, 牛丸 裕貴, 鈴木 大聡, 遠藤 幸丈, 加藤 恭郎
    74 巻 (2013) 2 号 p. 459-462
    公開日: 2013/08/25
    ジャーナル フリー
    症例は57歳女性で癒着性イレウスにて入院となった.腹部CTにてS状結腸に腫瘍性病変を認め,同時に肝に腫瘤陰影を認めたため癒着剥離術およびS状結腸切除術を施行した.術後病理診断にてS状結腸癌と診断し化学療法を施行した.治療は奏効し肝転移は消失したため化学療法を中止したが,術後1年で腫瘍マーカーの上昇を認めた.CTにても病変は認めなかったためPET/CTを施行し,腹部大動脈周囲リンパ節に異常集積を認めS状結腸癌術後再発と診断した.化学療法を再開しPET/CTを再検したところ異常集積は減弱しており,同部以外には異常集積を認めなかったため根治切除術を施行した.術中所見では異常集積部に一致したところに腫瘤を認めたため切除した.術後病理診断にてforeign body granuloma(以下FBG)と診断された.悪性腫瘍術後の場合FBGと再発との鑑別は困難なことも多く,文献的考察を加えて報告する.
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  • 前田 和成, 清水 良一, 衛藤 隆一, 小佐々 博明
    74 巻 (2013) 2 号 p. 463-466
    公開日: 2013/08/25
    ジャーナル フリー
    症例は79歳,男性.2009年10月に直腸S状部癌と盲腸癌の大腸多発癌に対して,低位前方切除術ならびに回盲部切除術が施行された.病理組織診断は直腸S状部が粘液癌,盲腸が高分化管状腺癌であった.粘液癌の悪性度を考慮し,術後補助化学療法としてUFT+LVの内服を行っていた.術後10カ月目のCTで右下腹部の回腸結腸吻合部に嚢胞状の病変を認め,転移性腫瘍もしくは粘液腫を考慮し,2011年2月に前回の吻合部を含めた結腸部分切除術を施行した.病変は結腸内腔とは非連続性で,病理組織診断で粘液癌の転移性病変と診断されたことより,ドレナージチューブ留置部への播種性転移が示唆された.粘液癌は漿膜方向への浸潤傾向が強く,局所再発や腹膜播種が多いとされ,術中操作に細心の注意を要し,再発形式からみた経過観察の計画が必要である.また,積極的な局所コントロールが予後改善につながると思われた.
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  • 松田 真輝, 志田 大, 真栄城 剛, 宮本 幸雄, 井上 暁, 梅北 信孝
    74 巻 (2013) 2 号 p. 467-472
    公開日: 2013/08/25
    ジャーナル フリー
    大腸癌の進展様式として腸間膜静脈内に腫瘍塞栓を形成することはまれである.今回,下腸間膜静脈(IMV)内に腫瘍塞栓を形成した左側多発大腸癌を経験したので報告する.症例は64歳男性.頻回の下痢による低K性ミオパチー,横紋筋融解症をきたし当院入院.下部内視鏡検査で上部直腸癌と診断した.CTでは,S状結腸から直腸にかけて著明な腸管浮腫像あり,またTreitz靱帯付近までIMVの閉塞を認めた.以上よりIMV腫瘍塞栓を伴う直腸癌との術前診断で,低位前方切除術を行った.開腹所見では,S状結腸から直腸はNeck Pillow状に硬化・固定されていた.切除標本では上部直腸およびS状結腸にそれぞれ4型病変があり,SE(Ra)およびSS(S/C),N2 (7/30)で,fStage IIIbであった.IMVは約15cmにわたり腫瘍栓を認め,一部静脈壁に癌が浸潤していた.術後3年4カ月の現在,無再発生存中である.
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  • 八幡 和憲, 種村 廣巳, 大下 裕夫, 足立 尊仁, 山田 誠, 波頭 経明
    74 巻 (2013) 2 号 p. 473-477
    公開日: 2013/08/25
    ジャーナル フリー
    症例は74歳女性,海外渡航歴無し.腹痛,便秘にて前医受診し,下部消化管内視鏡検査にて上行結腸に全周性2型の腫瘍を認め,生検にて中分化型腺癌と診断された.この検査時,腫瘍より口側の上行結腸内に白色扁平な紐状物を発見し,条虫と思われた.手術目的に当科に紹介受診,術前に条虫を駆除する必要があると判断し,透視下にガストログラフィン300mlを十二指腸内に注入して約3m長の虫体を生きたまま排泄・駆除した.頭節まで完全に排泄されていることを確認し,頭節や虫卵の形態等から日本海裂頭条虫と思われた.その後,結腸右半切除,D3リンパ節郭清術を施行した.術後最終診断はtub2,SS,N3,H0,P0,M0,stage IIIbだった.経過は良好で,術後14日目に退院した.消化器手術の術前に腸管条虫症を認めた際は確実な駆虫後に手術を施行することが重要であると思われた.
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  • 戸口 景介, 山口 拓也, 外山 和隆, 吉川 健治, 吉村 昌記, 平林 邦昭
    74 巻 (2013) 2 号 p. 478-482
    公開日: 2013/08/25
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    患者は47歳,男性.便潜血反応陽性のため大腸内視鏡検査を施行.上部直腸前壁に1/ 2周2型腫瘍を認め,生検で低分化腺癌の診断となった.術前診断は,SE,N1,H0,M0,cStage IIIaであった.また,術前検査にて左骨盤腎の併存を認めた.腹腔鏡による拡大視効果を期待し腹腔鏡下直腸低位前方切除術D3を施行した.術中に微小な多発肝転移を認めた.術後病理学的診断はpor,Ra,2型,40×40mm,pSS,pN2,sH3,sP0,ly3,v1,pPM(-),pDM(-),Stage IVであった.骨盤腎を併存した直腸癌の場合,術野確保が非常に困難であることが予想されるが,腹腔鏡手術は拡大視効果により狭小化した骨盤腔内においても手術可能であり有効な術式と思われる.
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  • 森田 道, 曽山 明彦, 高槻 光寿, 黒木 保, 安倍 邦子, 林 徳真吉, 兼松 隆之, 江口 晋
    74 巻 (2013) 2 号 p. 483-487
    公開日: 2013/08/25
    ジャーナル フリー
    59歳,女性.主訴はなし.検診目的の腹部超音波検査で肝腫瘤を指摘され当科紹介となった.腹部造影CTでは肝外側区域から肝外に突出する造影効果に乏しい腫瘤を認めた.肝腫瘍の他,肝胃間膜内発生の悪性リンパ腫や胃GIST,炎症性腫瘤との鑑別が困難であり,診断的意義も含め腹腔鏡下腫瘤摘出術を施行した.
    術中所見では腫瘤は肝胃間膜内に肝外側区域背側に接するように存在していた.腫瘤と接する肝外側区域を一部合併切除し腫瘤を摘出した.病理組織所見は変性壊死を中心とした好酸球性肉芽腫で,内部にアニサキス虫体を認め消化管外アニサキス症と診断した.アニサキス症の多くは消化管に発生し激烈な腹痛を特徴とするが,初回感染では本症例のように無症状で消化管壁を穿通し消化管外アニサキス症として発見される例の報告もある.発見契機としては,絞扼性イレウス,膵腫瘤などの報告があるが,肝腫瘤として発見された例は国内では5例と稀である.
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  • 中川原 英和, 増田 稔郎, 池上 徹, 調 憲, 池田 哲夫, 前原 喜彦
    74 巻 (2013) 2 号 p. 488-492
    公開日: 2013/08/25
    ジャーナル フリー
    症例は86歳,男性.Stage IIIAの盲腸癌およびStage IのS状結腸癌に対する回盲部切除およびS状結腸切除術より7カ月後,肝S5に10mm大の異時性肝転移を指摘された.高齢で,抗癌剤や分子標的薬の長期継続は難しいと考えられ,腫瘍は肝S5表面の単発性であったため,完全腹腔鏡下肝S5部分切除術を施行した.初回肝切除より10カ月後,肝S6に20mmの肝転移を,さらに4カ月後,肝S3およびS8にそれぞれ10mm大,16mm大の肝転移を認め,合計3回の完全腹腔鏡下肝部分切除術を施行した.原発巣手術より2年2カ月を経過した現在,無病生存中で,外来にて経過観察中である.
    腹腔鏡下肝切除術は根治的かつ低侵襲な治療で,さらに複数回施行することが可能であり,高齢患者に対する治療の第一選択となりうると考えられた.
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  • 松清 大, 渡邉 学, 浅井 浩司, 齋藤 智明, 児玉 肇, 大原関 利章, 草地 信也
    74 巻 (2013) 2 号 p. 493-497
    公開日: 2013/08/25
    ジャーナル フリー
    進行大腸癌の肝転移は20~30%にみられ,大腸癌の重要な予後因子である.大腸癌の肝転移は腫瘤形成性に発育することが多く,胆管内に浸潤性に発育することは少ない.
    症例は72歳男性,2年前に直腸癌Stage IIに対して低位前方切除を施行された.近医にてCEAの上昇を指摘され,当科にて精査施行したところ,肝S4に肝腫瘍を認めた.術前に胆管内進展をきたした肝内胆管癌と診断し,肝切除を施行したが,病理組織学的検査で直腸癌肝転移と診断された症例を経験したので報告する.
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  • 道躰 幸二朗, 渡邉 学, 浅井 浩司, 松清 大, 大沢 晃弘, 草地 信也
    74 巻 (2013) 2 号 p. 498-502
    公開日: 2013/08/25
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    症例は74歳の男性.胆嚢結石,総胆管結石,急性胆管炎にて当院入院となった.総胆管結石に対し,経内視鏡的乳頭括約筋切開術を施行後,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.術中腹腔内落下結石を認めたが鉗子にて回収した.術後より発熱,腹痛が持続し,術後第3病日に施行した腹部CTにて大量のfree airと十二指腸の炎症性肥厚を認めた.術中操作による消化管穿孔を疑い,同日緊急開腹手術を施行した.手術所見では胆嚢床部を中心に膿性腹水と炎症性変化を認めたが,明らかな消化管穿孔部は認めず,洗浄ドレナージ術のみ施行した.術後炎症反応が遷延し,腹部CTにて肝下面に結石像と膿瘍形成を認めたが,保存的加療により軽快し,術後第43病日に退院となった.退院後外来経過観察していたが,初回手術より約4カ月後に右背部腫瘤が出現した.腹部CT上,肝下面から連続する腹壁膿瘍を認め,皮下に結石と思われる高信号が確認された.同日切開排膿を行い,創部より経5mm大の結石を計4個排石した.その後の腹部CTにて結石は認めず,経過良好にて退院となった.
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  • 谷口 正展, 金井 俊平, 北村 美奈, 中村 一郎, 中村 誠昌, 下松谷 匠
    74 巻 (2013) 2 号 p. 503-507
    公開日: 2013/08/25
    ジャーナル フリー
    急性胆嚢炎は日常診療で比較的多く遭遇する疾患であるが,胆嚢出血を合併することはまれである.今回,急性胆嚢炎に胆嚢出血を合併し,さらに腹腔内出血を伴った症例を経験したため,若干の文献的考察を加え報告する.症例は48歳男性で以前よりアルコール性肝硬変,慢性腎不全にて近医に通院され透析治療を受けていた.今回,右季肋部痛を認めたため近医受診した.急性胆嚢炎の診断にて保存的治療を行うも軽快せず当科紹介となった.腹水穿刺にて腹腔内出血を確認したため壊疽性胆嚢炎が疑われ緊急手術を施行した.腹腔内を観察したところ胆嚢は緊満しており穿刺にて鮮血の貯留を認めた.また胆嚢の漿膜が一部剥離し,同部位より出血を認めていた.このため胆嚢出血および胆嚢壁の損傷による腹腔内出血と診断し胆嚢摘出術を施行した.術後は良好に経過した.本症例のように基礎疾患をもつ胆嚢炎症例には胆嚢出血の発症も念頭に置く必要があると考えられた.
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  • 宮坂 大介, 山口 晃司, 菊地 健司, 松永 明宏, 新関 浩人, 池田 淳一
    74 巻 (2013) 2 号 p. 508-515
    公開日: 2013/08/25
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,女性.糖尿病,高血圧症,肝硬変および頸動脈硬化症に対し抗血小板薬を内服していた.10日前より右季肋部痛を認め3日前に他医受診.急性胆嚢炎に対し保存的治療が行われたが奏効せず当院紹介.来院時,中等症急性胆嚢炎,敗血症,DICの状態で,PTGBDを考慮したが腹水貯留のため適応外とされ,ETGBDも不成功に終わったため,審査腹腔鏡を施行.発症から10日経過していたこと,抗血小板薬内服中であったこと,肝硬変症例であったことより,合併症のリスクを考量し腹腔鏡併用下にPTGBDを施行,術中出血のないことを確認し,右横隔膜下に情報ドレーンを留置し終了した.術後人工呼吸管理を要したが2日目に抜管,経過良好で25日目にPTGBD留置のまま退院,3カ月目に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.腹腔鏡併用PTGBDは,急性胆嚢炎に対するドレナージ法の選択肢の一つと考えられたので報告する.
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  • 高木 健司, 塩見 正哉, 世古口 英, 小林 聡, 伊藤 哲, 大西 桜
    74 巻 (2013) 2 号 p. 516-521
    公開日: 2013/08/25
    ジャーナル フリー
    症例は43歳の男性で,繰り返す膵炎とCTにて限局的な尾側膵の腫大と膵管の拡張を認めたため当院紹介となった.保存的加療で急性膵炎が軽快した後,原因精査を行った.膵炎軽快後のCTでも尾側膵管の拡張は残存していたが,腫瘤像は認めず,EUSでも明らかな腫瘤像は認めなかった.PET-CTでも膵にFDGの有意な取り込みは認めなかった.ERCPでは膵尾部主膵管に狭窄像とその尾側膵管の拡張が認められた.膵管擦過細胞診ではclass II,膵液細胞診では疑陽性の結果を得た.小膵癌を否定できず膵体尾部・脾合併切除を施行した.病理組織学的検査所見では,膵尾部の膵管内に管腔状,一部乳頭状に発育する立方状膵管上皮を認め,PAS染色にて一部陽性であり膵漿液性嚢胞腺腫と診断した.今回,われわれは繰り返す膵炎で発症し術前画像診断では捉えられなかった主膵管内の2mm大の膵漿液性嚢胞腺腫の1例を経験したので報告する.
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  • 津田 一郎, 森田 恒彦, 柴崎 晋, 戸井 博史, 中村 貴久, 長谷 泰司
    74 巻 (2013) 2 号 p. 522-528
    公開日: 2013/08/25
    ジャーナル フリー
    膵神経内分泌腫瘍(pancreatic neuroendocrine tumor,pNET)はまれな疾患であるが近年の検診制度の向上により症例が増加し,注目を集めている.非機能性pNETは無症状のまま経過することが多いが,腹腔内出血として発症した症例を経験した.症例は62歳女性.突然の心窩部痛を主訴に来院した.左上腹部に筋性防御と血液検査所見でHb 12.5g/dlと貧血を認め,腹部造影CTで膵尾部に強く造影される80mm大の腫瘤と血性腹水を認め入院した.ホルモン過剰症状を示さない非機能性pNETによる腹腔内出血と診断し,待機的に膵体尾部脾合併切除を施行した.摘出標本の割面には出血巣が散在していた.病理組織検査でwell differentiated neuroendocrine tumor,G2と診断された.術後5カ月に多発肝転移の出現を認めたが,自然経過を観察し術後48カ月で腫瘍死した.
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  • 坂元 克考, 間中 大, 吉野 健史, 小西 小百合, 濱洲 晋哉, 西躰 隆太
    74 巻 (2013) 2 号 p. 529-532
    公開日: 2013/08/25
    ジャーナル フリー
    症例は80歳の女性で,2005年3月に十二指腸癌に対して幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.術後胆管空腸吻合部狭窄あり,PTCD留置歴があった.PTCD抜去後も絶食および抗生剤治療のみで軽快する胆管炎を1回/年程度の頻度で起こしていた.2011年9月頃(術後6.5年頃)から頻度が急増し,反復するようになった.MRCPでは肝内胆管の拡張はなく,経口造影剤の胆管内への逆流が認められた.内視鏡的胆道造影においても吻合部狭窄はなく,胆管空腸吻合部より肛門側の空腸が屈曲し,造影剤の停滞が認められた.以上より,食物残渣による逆行性胆管炎を反復している状態と判断し,2012年1月に消化管経路変更術を施行した.術後経過良好で,以後入院を要する胆管炎は認めていない.膵頭十二指腸切除術後反復性胆管炎は比較的まれであるが,保存的・内視鏡的治療が無効であれば,外科的治療を考慮すべきである.
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  • 馬越 健介, 西山 隆, 相引 眞幸
    74 巻 (2013) 2 号 p. 533-536
    公開日: 2013/08/25
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    30歳台,男性.既往歴なし.突然の左季肋部痛を主訴に近医を受診し,腹部CTで腹腔内出血を指摘され,当院紹介となった.来院時,意識清明で血行動態は安定していた.腹部造影CTで腹腔内出血,脾上極の裂創と造影剤の血管外漏出像を認め,ただちに経カテーテル的動脈塞栓術を施行した.入院後,貧血の進行を認めず,感染症や血液検査異常を認めなかった.初診時より心拡大,心機能低下を認め,拡張型心筋症と診断された.非外傷性脾破裂は感染症,血液疾患,代謝性疾患,悪性腫瘍などの疾患が背景に存在することがあるため,脾温存に迷う場合もある.本症例では,まず経カテーテル的動脈塞栓術で止血したのちに精査を行い,自然脾破裂と診断し脾臓を温存することが可能となり経過良好であった.
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  • 岩瀬 まどか, 宮田 完志, 湯浅 典博, 竹内 英司, 三宅 秀夫, 小林 陽一郎, 伊藤 茂樹
    74 巻 (2013) 2 号 p. 537-543
    公開日: 2013/08/25
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    症例は84歳,男性.高血圧,脳梗塞,認知症のために介護施設に入所中であった.嘔吐,下血を主訴に当院を受診し,発熱,頻脈と血液検査で炎症反応上昇を認め,CTで門脈ガス,右下腹部腸管の壁肥厚,腹水を認めた.腸管壊死を疑ったが,高齢,多数の併存症をもつことから耐術困難と考え保存的治療を行った.全身状態は徐々に改善し,第9病日から経口摂取を開始し,第55病日に介護施設に転院した.発症13時間後と第8病日の3D-CT angiographyから,非閉塞性腸管虚血(non-occlusive mesenteric ischemia;NOMI)に伴う門脈ガス血症が保存的治療で改善したと考えた.保存的治療が奏効した門脈ガス血症を伴うNOMIの本邦報告は自験例を含め5例であった.門脈ガス血症を伴うNOMIであっても,初療の後に全身状態・腹部所見・画像所見の改善がみられれば,保存的治療が奏効する可能性がある.
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  • 奥山 桂一郎, 田中 聡也, 田中 雅之, 廣橋 喜美, 森 大輔, 佐藤 清治
    74 巻 (2013) 2 号 p. 544-550
    公開日: 2013/08/25
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    61歳,女性.健診での腹部診察時に気分不良があり,心電図上,狭心症が疑われ救急搬送となった.胸腹部CTにて右乳癌と腹部大動脈左側に腫瘤を認め,腸間膜由来GISTの診断で右乳癌とともに一期的切除の方針となった.右胸筋温存乳房切除術後,開腹し,腫瘍切除操作を開始したところ著明な血圧上昇とVTの出現を認めた.一旦切除を断念した.追加検査により副腎外paragangliomaの診断を得た.後日,再手術を施行した.腹部大動脈左側の後腹膜に長径70mmの腫瘍を認めた.腫瘍に直接触れぬ様に栄養血管を結紮・切離し完全摘出した.術中,明らかな血圧上昇や不整脈の出現を認めなかった.病理組織診断はparagangliomaであった.Paragangliomaにおいて術中に診断されるのは2%程度である.術前にparagangliomaを念頭に置くべきであったと反省される点もあった.さらに術前未診断の術死率は36%との報告もあり,術前にα遮断薬を投与することが極めて重要であり,教訓的な症例として呈示する.
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  • 中山 厳馬, 長尾 厚樹, 針原 康, 堀内 啓, 小西 敏郎
    74 巻 (2013) 2 号 p. 551-556
    公開日: 2013/08/25
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    腸間膜線維腫症は比較的稀な疾患で,Gardner症候群の家族歴や腹部手術,外傷歴を有さない孤発例の報告はさらに少ないとされる.われわれは腸間膜線維腫症の孤発例を2例経験したので,文献的考察を交えて報告する.
    症例1は48歳女性.左腹部腫瘤を主訴に来院.CT検査で左腎下極付近に9cm大の腫瘤を指摘され,開腹術にて腫瘤摘出術を施行.腫瘍は空腸腸間膜に認められた.症例2は24歳女性.左下腹部腫瘤を主訴に来院.CTおよびMRI検査で左下腹部に6cm大の腫瘤を認めた.手術にて腫瘤はS状結腸間膜に存在し,回腸間膜と癒着していたためS状結腸とともに回腸の一部を合併切除した.いずれも病理診断にて腸間膜線維腫症と診断した.症例1は切除後6年,症例2は1年4カ月が経過し,無再発で経過観察中である.
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  • 前田 文, 荒井 邦佳, 安藤 昌之, 長浜 雄志, 福田 晃, 鴈野 秀明, 鄭 子文
    74 巻 (2013) 2 号 p. 557-563
    公開日: 2013/08/25
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    胃大網動脈瘤は極めて稀な疾患であるが,なかでも左胃大網動脈瘤は本邦でこれまで6例の報告があるのみである.今回,2週間で左胃大網動脈瘤が形成され破裂に至るという,極めて特異な経過をたどった左胃大網動脈瘤の1症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.患者:77歳,女性.主訴:嘔吐,吐血.入院時の腹部CT検査等の所見から食道裂孔ヘルニア,逆流性食道炎,急性胆嚢炎と診断した.入院時の検査所見上,左胃動脈には明らかな動脈瘤の所見はなかった.入院後10日目と17日目に貧血と血圧低下を認めたため腹部造影CT検査およびDynamic CT検査を施行し,左胃大網動脈大網枝の動脈瘤破裂を疑い緊急手術となった.手術は瘤切除と血腫除去,脾臓摘出術,胆摘術を施行した.病理組織学的所見および臨床所見からこれまで報告されている原因にあてはまらず原因不明と考えられた.内臓動脈瘤の原因を究明するために,今後更なる症例の集積が必要である.
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  • 村上 克宏, 高西 喜重郎, 森田 泰弘, 宮木 陽, 松本 潤
    74 巻 (2013) 2 号 p. 564-567
    公開日: 2013/08/25
    ジャーナル フリー
    今回,われわれは完全内臓逆位を伴う後腹膜腫瘍に対し腹腔鏡下腫瘍摘出術を施行した1例を経験したので報告する.症例は完全内臓逆位を伴った40歳男性.腹部CT検査で腹部大動脈と下大静脈の間に25mmの後腹膜腫瘍を認め,外科的切除の方針となった.術者は患者右側に立ち,5ポートで手術を施行した.完全内臓逆位であったが解剖の同定は容易であり,手術は問題なく完遂できた.摘出した腫瘍の病理診断は紡錘形細胞が柵状に配列し,S-100蛋白陽性であったため神経鞘腫と診断した.われわれが調べ得た限りでは,内臓逆位を伴う後腹膜腫瘍に対して腹腔鏡下腫瘍摘出術を施行した例は本邦では初であった.
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  • 黄 泰平, 藤川 正博, 森田 哲史, 吉良 俊彦
    74 巻 (2013) 2 号 p. 568-571
    公開日: 2013/08/25
    ジャーナル フリー
    32歳女性,3年前から子宮内膜症にてホルモン療法.月経時の右鼠径部の違和感,圧痛を認め,子宮内膜症を合併したNuck管水腫疑いで2010年3月手術施行.右子宮円靱帯を通常どおりテーピング.ヘルニア嚢は内腔が腹腔内と交通しており,右外鼠径ヘルニアと診断.ヘルニア嚢内にヘモジデリンの沈着を認め,子宮内膜症の所見と考え,高位結紮,子宮円靱帯と伴にヘルニア嚢を切除した.術翌日,腹痛および貧血を認めた.CTにて腹腔内出血と診断,緊急腹腔鏡下止血術を施行した.骨盤に子宮内膜症による炎症,癒着を認めた.右子宮円靱帯が断裂し,出血源であった.バイポーラ電気メスおよびクリップで止血した.子宮円靱帯のテーピング牽引操作で,子宮内膜症の炎症により脆弱になった腹腔内の右子宮円靱帯が断裂,出血したと考えられた.子宮内膜症の患者では,鼠径ヘルニア手術の際,子宮円靱帯のテーピング牽引操作は愛護的に行う必要がある.
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  • 原田 真悠水, 佐々木 愼, 米山 さとみ, 中山 洋, 渡邊 俊之
    74 巻 (2013) 2 号 p. 572-575
    公開日: 2013/08/25
    ジャーナル フリー
    大網裂孔ヘルニアは稀な疾患であるが,絞扼性イレウスの原因となり得る.今回われわれは大網裂孔ヘルニアの中でも極めて稀な山口分類B型の嵌頓により緊急手術となった1例を経験した.症例は39歳女性.開腹歴なし.2006年にイレウスを発症し,保存的に軽快した既往がある.2009年3月に上腹部痛が出現し,一旦軽快したが,4月に再度症状が出現し,イレウスの診断で当科紹介となった.腹部CT検査にて小腸の著明な拡張と壁浮腫および多量の腹水を認め,絞扼の可能性を考え緊急手術を施行した.大網は著明に菲薄化し,裂孔が多数存在しており,一部に小腸が嵌頓していた.絞扼を解除し,脆弱な大網を切除した.小腸切除は施行しなかった.術後経過は良好で,術後12日目に軽快退院となった.本症例の大網裂孔ヘルニア陥入様式は山口分類B型であり1983年以降では邦文による本邦初の報告と考える.絞扼性イレウスの原因の一つとして大網裂孔ヘルニア嵌頓を念頭に置く必要がある.
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  • 阿尾 理一, 冨松 聡一, 宇都宮 勝之, 村山 道典, 井上 公俊
    74 巻 (2013) 2 号 p. 576-579
    公開日: 2013/08/25
    ジャーナル フリー
    症例は82歳,女性.2年前より時々右股関節から大腿内側にかけての疼痛発作を生じ,その都度精査を実施したが原因不明であった.肺アスペルギルス症で当院内科入院中,同部位に激痛が出現したため当科にコンサルトとなった.身体所見上,右大腿内側に約1cm大の硬結を触知し,同部位に強い圧痛を認め,Howship-Romberg徴候陽性であった.腹部CT検査では,右外閉鎖筋恥骨筋間隙に12mm大の石灰化病変を認め,2年前の同検査では骨盤内仙骨前面に約8mm大の同様の石灰化病変を認めており,腹腔内遊離体が閉鎖孔ヘルニアへ嵌入して痛みの原因になったと考えられた.鼠径法による閉鎖孔内異物除去と閉鎖孔ヘルニア修復術を施行し,その後は疼痛発作は消失した.閉鎖孔ヘルニアへの腹腔内遊離体嵌入が原因で大腿内側部痛を惹起した症例を経験したので文献的考察を加え報告する.
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  • 山本 海介, 森嶋 友一, 小林 純, 豊田 康義, 里見 大介
    74 巻 (2013) 2 号 p. 580-583
    公開日: 2013/08/25
    ジャーナル フリー
    肝硬変による腹水を伴った成人臍ヘルニアは,高率に嵌頓を合併し緊急手術となる可能性が高い.嵌頓を回避するためには,安全に待機手術を行うことが望まれる.今回われわれは,肝硬変症による大量腹水を伴った臍ヘルニア4例を経験したので報告する.内訳は,症例1:49歳女性,症例2:42歳男性,症例3:73歳男性,症例4:47歳女性であり,症例3のみがC型肝硬変症,他の3例はアルコール性肝硬変症であった.手術方法は,局所麻酔下に臍を中心として円状に皮膚切開を行った後,ヘルニア嚢の切除を行いヘルニア門にVentralex Hernia Patch®(以下VHP)を挿入し展開,固定した.合併症は,1例に創部から腹水の漏出を認めたが,重篤なものはなかった.術後1年経過後も全例で再発はなかった.以上より大量腹水を伴う肝硬変症に併発した症例に対しても,局所麻酔下にVHPを使用することで安全に待機的な手術が可能であった.
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