日本臨床外科学会雑誌
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74 巻 , 3 号
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原著
  • 飯田 豊
    74 巻 (2013) 3 号 p. 617-621
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    当科で経験したバセドウ病手術症例124例の手術成績を術式別に検討した.手術適応は,抗甲状腺薬治療に対する抵抗性が52%,抗甲状腺薬の副作用が33%,眼症合併が8%,腫瘤性病変合併が6%,患者の希望が1%であった.術式の内訳は亜全摘(ST)38例(30.6%),超亜全摘(SST)42例(33.9%),全摘(TT)44例(35.5%)であった.ST群,SST群,TT群の甲状腺摘出量(平均値)は,それぞれ109.4g,80.5g,88.9gであった.ST群,SST群,TT群間で手術時間,術後合併症(反回神経麻痺,術後出血,テタニー)の発生率に有意差を認めなかった.再発率はST群が10.5%,SST群4.8%であったが,有意差を認めなかった.TTの手術成績はST,SSTと比較して遜色がなかった.バセドウ病手術の基本術式として,再発の心配が全くないTTが妥当であると思われた.
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臨床経験
  • 三野 和宏, 田村 元, 正司 裕隆, 小丹枝 裕二, 片山 知也, 今 裕史
    74 巻 (2013) 3 号 p. 622-626
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    維持透析中に発症した乳癌の治療は,患側のvascular access,薬物療法という問題があるため慎重に行う必要がある.今回,維持透析中に発症した乳癌に対して治療を行った4症例の検討を行った.
    症例は50歳~75歳の女性で,1例は患側に内シャントがある症例であった.手術に関しては乳房は全摘と温存,腋窩リンパ節は郭清症例とセンチネル生検症例が含まれていた.手術時間は53分~143分で,出血量は全例少量であった.抗凝固剤は,術後初回のみメシル酸ナファモスタットを使用した.術後補助療法として全例に通常量のホルモン療法を行い,1例で通常量のtegafur/uracilを追加投与した.乳房温存症例に対しては通常量の放射線を照射した.術後1年1カ月~5年3カ月経過した時点で,いずれの症例も透析関連のトラブルはなく,無再発生存中である.
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  • 境澤 隆夫, 有村 隆明, 小沢 恵介, 西村 秀紀
    74 巻 (2013) 3 号 p. 627-631
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    乳癌術後転移性肺腫瘍に対し外科的切除,薬物療法のいずれを選択するかについては議論が多い.当院で外科的切除が行われた乳癌術後転移性肺腫瘍9症例についてその治療成績を検討した.孤立性結節が7例あり,術前診断として4例が原発性肺癌の可能性を疑われていた.乳癌切除から肺転移切除までのDFI(disease-free interval)は平均5.4年(1.1~12.6年),肺転移手術後の平均生存期間は61.6カ月,5年生存率は72.9%でありDFIの長い症例に長期生存例がみられた.薬物療法前後でレセプター発現に変化がみられた症例では適切な治療薬への変更が有効な症例も確認されており,再発,薬物耐性が疑われる際にはレセプターの再評価を目的とした外科的切除が有用と考えられる.
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  • 熊田 博之, 大西 啓祐, 村山 最二郎, 二瓶 義博, 五十嵐 幸夫, 片桐 茂
    74 巻 (2013) 3 号 p. 632-635
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    閉鎖孔ヘルニアは高齢の痩せ型女性に多いとされる.腸管の閉鎖孔への嵌頓により腸閉塞を呈すことが多く,血流障害をきたすことから緊急性が高く早期の診断を下すことが重要である.しかしながら閉鎖孔ヘルニアは体表からの所見に乏しく,比較的稀なため見落とされがちである.当院で過去3年間にイレウスの診断で施行された緊急手術全132件について,閉鎖孔ヘルニアが占める割合は12件(9.1%)であり,ある程度の割合を占めていることが分かった.全例とも症状や詳細な問診,腹部CT検査により診断可能であった.手術ではヘルニア門の修復に苦慮することが多いが,当院では下腹部正中の小切開・腹膜前腔アプローチの工夫により腸切除が必要な症例でもメッシュを使った修復を行っている.従来の鼠径部からのアプローチや,下腹部正中開腹法に比べ優れている点も多く合理的で有用な術式であると言える.
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症例
  • 大場 崇旦, 春日 好雄, 原田 道彦, 家里 明日美, 小野 真由, 江原 孝史
    74 巻 (2013) 3 号 p. 636-639
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    脳死肝移植後に発症した甲状腺乳頭癌症例を経験したので報告する.症例は49歳男性.12年前,家族性アミロイドポリニューロパチーのため,海外で脳死肝移植が施行され,その後,本邦で免疫抑制剤を投与され経過観察されていた.脳ドックでの頸動脈超音波検査で偶然甲状腺腫瘍を指摘された.精査の結果甲状腺乳頭癌と診断され,甲状腺左葉,峡部切除,左D2a郭清が施行された.臓器移植後に免疫抑制剤が使用された場合,悪性腫瘍発生頻度が高くなると言われており,今後さらなる臓器移植成績の改善による長期生存例の増加に伴い,移植後の悪性腫瘍例は増加していくものと考えられる.
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  • 戸塚 勝理, 堀口 淳, 佐藤 亜矢子, 時庭 英彰, 高他 大輔, 竹吉 泉
    74 巻 (2013) 3 号 p. 640-644
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は13歳,女性.1年6カ月前より乳房の左右差を自覚していた.左乳房の増大傾向を認め,近医を受診し,加療目的で当院紹介となった.左乳房に9cm大の弾性硬の腫瘤を触知した.針生検の所見と臨床所見から若年性線維腺腫が疑われ,手術を施行した.整容性を考え,inframammary foldの外下縁に皮膚切開をおいて腫瘍摘出術を行った.腫瘍は鈍的に剥離することができ,乳頭直下の乳腺を損傷することなく,境界明瞭で分葉状の腫瘤を摘出した.葉状腫瘍は本疾患の鑑別疾患として重要であるが,術後病理検査でも若年性線維腺腫の診断で葉状腫瘍を疑う所見はなかった.術後2年経過したが,明らかな再発も認められず,左乳房の変形や両側乳房の左右差も認められていない.若年性線維腺腫は特に思春期に急速に増大する疾患であるが,本症例は美容面の保持と乳頭の機能温存が可能となったので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 鈴村 雄治, 寺本 晃治, 野村 幸哉
    74 巻 (2013) 3 号 p. 645-649
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,女性.健診で胸部異常陰影を指摘され当科紹介となった.胸部CTで前縦隔に腫瘤影を認め,右肺,両側腕頭静脈,上大静脈への浸潤と胸膜播種が疑われた.CTガイド下生検で胸腺腫の診断を得たため手術を施行することを決定した.手術はまず仰臥位胸骨正中切開にて開始し,胸腺を可及的に剥離した後,両側腕頭静脈,上大静脈を人工血管で置換し閉創した.左側臥位に体位変換の後,前方腋窩切開第5肋間開胸で右肺上中葉切除を追加し,肺と胸腺および腫瘍を一塊として切除した.次いで胸膜播種巣を可及的に切除し閉胸,手術を終了した.現在術後6年,胸腺腫の再発は認めていない.IVa期胸腺腫に対しても,肉眼的完全切除を目指し手術を施行するのも一つの選択肢であると思われた.
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  • 藤川 幸一, 寺澤 無我, 佐々木 健, 牧野 治文, 山本 穰司, 中山 順今
    74 巻 (2013) 3 号 p. 650-653
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,男性.下腹部痛にて近医受診し虫垂炎の診断で当科へ紹介受診した.腹部造影CT検査にて51×39mmに緊満腫大した虫垂および72×72mmの紡錘型腹部大動脈瘤が発見された.腹部大動脈瘤と虫垂粘液嚢腫の合併と診断し両疾患とも破裂の危険性ありと考え一期的手術を選択した.まず腹部大動脈瘤に対し瘤切除術,Y型人工血管置換術を施行し残存瘤壁で人工血管を被覆し後腹膜を閉鎖した後,虫垂切除術を施行した.術後経過は良好で術後19病日目に退院された.
    従来,腹部大動脈瘤と腹部消化器外科疾患の合併例に対して,人工血管感染の危険性を考慮し二期的手術が行われてきた.近年では腹部大動脈瘤と様々な腹部消化器疾患の合併に対し一期的手術が行われるようになってきたが,まだ定まった見解は得られていない.今回,われわれは腹部大動脈瘤と虫垂粘液嚢腫に対し一期的手術を行った経験を得たので文献的考察を加え報告する.
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  • 水上 泰, 安達 大史, 有倉 潤, 近藤 啓史
    74 巻 (2013) 3 号 p. 654-657
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    大腸癌胸壁転移に対する切除例の報告は少ないが,切除手術を行い生存を得られている症例を経験したので報告する.症例は63歳の男性で,2001年に前医にて,S状結腸癌にてS状結腸切除術を施行し,病理はtub1,ly1,v0,SS,N1,H0,P0,M0,pStage IIIaであった.2004年6月に左右の肺転移が出現したため,化学療法を施行し,2007年10月に右肺,12月に左肺の胸腔鏡下部分切除術を行った.その後,2008年2月に胸部CTで右胸壁転移と右肺転移が出現したため,3月より放射線治療を施行した.右肺転移は消失したが,胸壁転移が残存するため,2009年8月に当科紹介・受診となった.同月,胸壁腫瘍摘出術を施行した.病理では大腸癌転移の所見であった.2010年9月に右肺転移再発を認め,肺部分切除術を行ったが,その後は再発所見を認めず,2012年9月時点で無再発生存中である.
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  • 高橋 裕代, 山下 芳典, 原田 洋明, 吉川 幸伸, 倉岡 和矢, 谷山 清己
    74 巻 (2013) 3 号 p. 658-662
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は17歳,女性.右前胸部に圧痛を伴いながら急速に増大する腫瘤を認め受診.胸部CTにて右第5,6肋骨の胸骨接合部付近から皮下へ突出する3cm大の腫瘤を認めた.組織生検にて軟骨肉腫と診断され,肋骨,胸骨含めた胸壁に加え横隔膜も一部合併切除した広範囲切除術を施行した.胸壁欠損部に対して人工材料および広背筋皮弁を使用することで強度・整容性を維持した再建が可能であった.切除標本の病理組織診断結果はGrade 1の軟骨肉腫であり,切除断端は陰性であった.現在術後33カ月経過するが,再発なく経過良好である.比較的若年期に発症した稀な胸壁軟骨肉腫と考えられたため文献的考察を含め報告する.
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  • 林 雅規, 折田 雅彦, 弘中 秀治, 守田 信義, 濱野 公一
    74 巻 (2013) 3 号 p. 663-667
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は85歳,女性.平成21年12月,交通外傷で右肋骨等の多発骨折を負い,他院で6カ月の保存的治療を受けた.平成23年5月,便秘と腹痛を主訴に近医より当院に紹介された.腹部CT検査では小腸が右横隔膜の欠損部を経由して胸腔内へ,さらに第9肋間から胸郭外へ脱出しており,外傷性の経横隔膜性肋間ヘルニア(transdiaphragmatic intercostal hernia;TIH)と診断した.手術はヘルニア嚢直上から経胸腔アプローチで行った.胸壁に癒着していた小腸と大網を腹腔内に還納し,横隔膜欠損孔は非吸収糸を用いて縫合閉鎖した.肋間ヘルニアは胸膜を閉鎖し,上下の肋骨を縫縮して手術を終了した.現在,無再発経過観察中である.TIHは稀な病態であり国内外で18例の報告しかない.今回われわれが選択したアプローチは横隔膜欠損孔を創の直下に収め,肋間と横隔膜の欠損孔を簡便に修復できる優れた方法であった.
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  • 猪子 和穂, 村川 力彦, 山村 喜之, 黒田 晶, 鯉沼 潤吉, 大野 耕一
    74 巻 (2013) 3 号 p. 668-671
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は62歳,女性.検診の胸部X線検査で縦隔陰影の異常を指摘され近医を受診.上部消化管造影検査では明らかな異常を認めなかったが,注腸造影検査,CT検査で食道裂孔を通じて横行結腸が嵌入している所見を認めた.横行結腸が嵌入した食道裂孔ヘルニアの診断で,当科に紹介となった.手術は腹腔鏡下に施行.術中所見では食道裂孔ヘルニアに横行結腸および大網が嵌入していたが,虚血・壊死所見は認めなかった.また食道胃接合部,胃底部の位置異常は認めなかった.ヘルニア門の縫縮は容易であり,Toupet噴門形成術を行った.術後は合併症なく経過し術後1年経過した現在,再発を認めていない.
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  • 兼松 美幸, 井上 聖也, 山本 洋太, 古北 由仁, 藤原 晴夫, 丹黒 章
    74 巻 (2013) 3 号 p. 672-677
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    頸部食道癌,特に表在癌に対する治療法においては,QOLを考慮した喉頭温存と根治性の点で,切除手術かCRTかの選択に難渋する.今回われわれは広範囲食道表在癌に対して,術前化学療法が奏効し喉頭温存術が可能となった1例を経験したので報告する.症例は60歳台,男性.食道入口部から胸部下部食道にかけての広範な食道表在癌と診断された(Ce-Lt,sq,cT1b(SM2)N0M0 Stage I).喉頭温存と口側断端確保を狙い,術前化学療法(DTX/5-FU/CDDP)を行った結果,粘膜面の生検は陰性であったが,PETで集積が残存し手術を追加した.術中迅速診断では口側断端陰性が確認でき,高位での胃管吻合および根治手術が可能となった.また摘出標本はpCRであった.長期生存が期待できる食道癌に対しては手術,化学療法,放射線療法をうまく組み合わせることでQOLを確保した治療が可能である.
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  • 西原 佑一, 石 志紘, 徳山 丞, 浦上 秀次郎, 島田 敦, 磯部 陽, 前島 新史
    74 巻 (2013) 3 号 p. 678-682
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,男性.進行下咽頭癌に対する治療目的に当院耳鼻咽喉科へ入院.その際,胸部中部食道に0-Is病変を指摘,生検にて類基底細胞癌と診断した.同時性2重複癌であったが,予後規定因子が進行下咽頭癌であり患者の手術希望もなかったことから,進行下咽頭癌の治療を先行させた.化学放射線療法 (CRT)を施行し下咽頭癌,食道癌ともに完全奏効を得た.経過観察中,1年後に食道癌の局所再発を認め,CRT後の食道癌再発と診断しsalvage手術を行った.病理組織学的診断はStage Iであった.術後約4年10カ月を経過(全経過7年)したが,現在無再発生存中である.食道に対してsalvage手術を施行した報告は本例が初例であり,今後も症例を蓄積して検討していく必要があると考えられるが,Stage Iの類基底細胞癌に対するCRTは根治性に乏しく,手術も含めた集学的治療が必要である可能性が示唆された.
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  • 澤野 武行, 川崎 仁司, 宮本 慶一, 中井 款, 和田 龍一, 袴田 健一
    74 巻 (2013) 3 号 p. 683-687
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    胃gastrointestinal stromal tumor(GIST)における石灰化病巣は稀である.今回,Imatinib治療中に石灰化が出現し,経過とともに増大した胃GISTの症例を経験した.症例は60代女性で,胃噴門部に5cm大の粘膜下腫瘍を認め,生検によりGISTと診断された.開腹したところ腹腔内に多数の播種結節を認め,結節の一部を摘出し手術を終了した.病理学的にGISTの診断がなされ遺伝子解析ではKIT遺伝子のexon 11に点突然変異を認めた.Imatinib(400mg/日)内服を開始したところ,15カ月後に腫瘍内に石灰化が出現し次第に増大した.服薬開始後68カ月経過し腫瘍増大は抑制されていたが,石灰化巣は腫瘍断面の15.4%を占めるに至った.石灰化は治療に伴う腫瘍の変性に伴う変化と考えられ,Imatinibの治療効果を反映している可能性が考えられた.
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  • 堤 伸二, 稲葉 行男, 滝口 純, 佐藤 清, 林 健一, 菊地 惇
    74 巻 (2013) 3 号 p. 688-692
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は86歳,男性.67歳時に胃癌にて胃切除術を施行.腹部膨満,腹痛,嘔吐を主訴に前医に入院.腹部単純X線検査にて腸管拡張像を認め,下部消化管内視鏡検査にてS状結腸軸捻転が疑われたが,内視鏡下に解除不可能であったため当院へ紹介.腹部CTにて腹水,遊離ガス像を認めたため汎発性腹膜炎の診断にて緊急手術を施行.術中所見では,過長な横行結腸の中央部が左上腹部に落ち込んで前回手術創と癒着しており,横行結腸の屈曲により形成された間隙に内ヘルニアの状態で小腸が腹側に脱出,嵌頓していた.間隙を形成していた横行結腸のloopの基部が脱出した小腸の摩擦力により反時計回りに180度捻転しており,loopを形成している横行結腸は壊死していた.捻転を解除した後,壊死部の横行結腸を切除し,人工肛門を造設した.胃切除後の内ヘルニアに合併した横行結腸軸捻転の報告は自験例以外にはみられず,極めてまれな病態といえる.
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  • 森田 洋平, 山田 圭一, 奥田 洋一, 永井 健太郎, 山本 雅由
    74 巻 (2013) 3 号 p. 693-698
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,男性.検診の上部消化管造影検査を施行し異常を指摘され,当科紹介受診した.精査したところ,上部消化管造影検査では3胃癌病変を指摘された.上部消化管内視鏡検査では他に1病変を指摘され,計4病変を指摘された.CT所見では小彎リンパ節腫大を認めた.術前診断では同時性4病変多発胃癌と診断し,胃全摘術D2郭清を行った.摘出標本の肉眼所見では他に2病変を認め,6病変が観察できた.さらに,全割所見では新たに1病変を認めた.結果的に同時性7病変多発胃癌であった.組織学的には高分化から低分化,印環細胞癌まで含む多彩な組織型を呈していた.術後経過観察では再発所見なく経過している.胃癌の診断技術の向上にもかかわらず,多発胃癌の術前正診率は低いと言われている.本症例も検査を進めていくにつれ病巣数の増加を認めた.比較的稀な病巣数の多い多発胃癌を経験したので文献的考察を加えて報告する.
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  • 久保田 竜生, 山口 賢治, 外山 栄一郎, 大原 千年
    74 巻 (2013) 3 号 p. 699-702
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は85歳,男性.下腹部痛と発熱を主訴に救急搬送となる.炎症所見は軽度であったが,腸閉塞症状と持続する腹痛を認めた.腹部造影CTでは骨盤内小腸周囲脂肪織の濃度上昇を認め,絞扼性イレウスも否定できないため,緊急手術を行った.腹腔鏡下で観察するに,回腸末端より約40cm口側に壊疽性変化をきたしたMeckel憩室を認めた.穿孔はなく,小腸切除術を行い手術を終了した.術後経過は良好であった.
    高齢者におけるMeckel憩室炎は比較的稀とされており,術前診断は困難な場合が多い.今回われわれは高齢者に発症した壊疽性Meckel憩室炎と遭遇し,腹腔鏡下にこれを診断,治療しえた.若干の考察を加え報告する.
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  • 小網 博之, 松村 敏信, 亀山 眞一郎, 伊志嶺 朝成, 伊佐 勉
    74 巻 (2013) 3 号 p. 703-708
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,男性.来院3日前からの持続する右側腹部痛で当院受診した.腹部造影CT検査にて回盲部に膿瘍形成と腸管外ガス像を認めたため,汎発性腹膜炎と診断し緊急開腹手術を行った.腹腔内は膿性腹水が貯留し,回腸末端から上行結腸に膿瘍形成を認めたため回盲部切除を行った.さらにTreitz靱帯より10cmから70cmの空腸に9個の巨大憩室を認めたが,感染徴候はなくそのまま経過観察とした.摘出標本を確認すると,憩室は回腸末端部のみに多数存在し,そのうちの1つが穿通し回腸腸間膜側に膿瘍形成していた.病理組織検査で真性憩室穿通による腸間膜膿瘍と診断した.術後の経過は良好であり術後13日目に退院となった.
    回腸憩室穿通/穿孔は,回腸末端に多いとする報告が散見されるが,自験例も含めて診断に難渋することが多い.しかし穿孔例は重篤な転帰となる報告もあるため,疑わしい症例は早期より手術も肝要と考えられた.
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  • 正司 裕隆, 今 裕史, 小丹枝 裕二, 三野 和宏, 片山 知也, 小池 雅彦
    74 巻 (2013) 3 号 p. 709-713
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,男性.経皮的冠動脈形成術,冠動脈バイパス術と大動脈弁置換術の治療歴を有し,胃癌に対して腹腔鏡補助下胃全摘術施行後であった.食後より腹痛が出現し,当院を受診.腹膜刺激症状を認め,CTで遊離ガスと腹水を認めたため消化管穿孔と診断し手術を行った.小腸に穿孔を認め,病理組織所見でコレステロール結晶塞栓症(cholesterol crystal embolization:CCE)による小腸穿孔と診断した.術後は良好に経過し,退院するも退院後7日目に再度腹痛が出現し再入院となり消化管穿孔のため再手術を行った.小腸再穿孔を認めたため小腸切除を行ったが,術後再穿孔もしくは縫合不全をきたし再手術後28日目に死亡した.病理所見で前回同様CCEを認めた.CCEは血管内粥腫の破綻,飛散により多臓器障害をきたす予後不良な疾患であり,急性腹症の診療の際は本症の可能性も考慮する必要があると考えられた.
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  • 関 匡彦, 瓜園 泰之, 川井 廉之, 福島 英賢, 畑 倫明, 奥地 一夫
    74 巻 (2013) 3 号 p. 714-718
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,女性.転倒による大腿骨骨折で近医の整形外科に入院加療中であった.入院翌日より腹痛が出現し,入院5日目の腹部CT検査で腹腔内に遊離ガス像を認めたため,消化管穿孔と診断され当院へ転院となった.来院時はショック状態であり,緊急手術を施行した.Treitz靱帯より200cmの回腸に穿孔部を認め,小腸部分切除を施行した.穿孔部のやや肛側の粘膜に2カ所の輪状潰瘍を認め,病理組織学的検査で,全層性に高度な炎症細胞の浸潤とともに,Langhans巨細胞と乾酪壊死を伴う肉芽腫を認めたため,腸結核による小腸穿孔と診断した.近年,結核菌感染症は増加傾向にあるため,高齢者の小腸穿孔の原因として腸結核も鑑別すべき疾患の一つとして考える必要があると思われた.
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  • 戸口 景介, 平林 邦昭, 山口 拓也, 吉川 健治, 外山 和隆, 吉村 昌記, 木野 茂生
    74 巻 (2013) 3 号 p. 719-723
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    患者は73歳,男性.腹痛を主訴に来院.腹部手術歴なし.腹部CT検査にてイレウスの診断で入院となる.イレウス管を挿入し腸管減圧を施行した.イレウス管造影を行うと回腸に腫瘍による閉塞を疑う所見を認め手術適応と判断した.腹腔鏡にて腹腔内を観察すると,回腸に腫瘍による閉塞を認め腫瘍は漿膜側に露出し横行結腸に浸潤していた.腹腔内全体に腹膜播種を疑う白色小結節を認めた.開腹に移行し回腸および横行結腸部分切除術を施行した.白色結節は一部摘出生検を施行し提出した.病理学的検査では,腫瘍および白色結節は多量の粘液の中に腺癌が浮遊している像を認め回腸原発粘液癌se,n0,H0,P3,M0 stage 4と診断した.合併症なく退院し外来にて大腸癌に準じて化学療法を施行している.開腹歴のない小腸イレウスの場合,稀ではあるが原発性小腸癌によるイレウスを考慮しイレウス管による減圧および精査が必要と考えられた.
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  • 今神 透, 高橋 広城, 宮井 博隆, 佐藤 幹則, 小林 勝正, 竹山 廣光
    74 巻 (2013) 3 号 p. 724-728
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は86歳,女性.2012年2月に嘔吐を主訴に近医受診.CTで右横隔膜下から右下腹部にかけて後腹膜に進展する巨大な嚢胞性病変を認め,巨大腎嚢胞が疑われて当院泌尿器科を紹介受診した.当院のCTでは嚢胞性病変は盲腸から連続して右腎と境界を保ちつつ,その背側を通り右横隔膜下までに至ることが判明し,一部で壁の造影効果が認められた.また虫垂は同定できなかった.採血では腫瘍マーカーの上昇を認めた.以上から虫垂もしくは後腹膜由来の粘液嚢胞腺腫または腺癌が疑われ手術目的に当科紹介となった.手術は悪性の可能性を考慮して回盲部切除,D3郭清とした.嚢胞壁には厚みがあり破ることなく盲腸,上行結腸と一塊にして摘出できた.標本の大きさは25×9×8cm,病理診断は虫垂粘液嚢胞腺腫であった.退院後は近医に通院中であるが,腫瘍マーカーは正常化し,術後5カ月が経過するが再発兆候を認めていない.
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  • 米森 敦也, 近江 亮, 二瓶 和喜, 真木 健裕, 金古 裕之, 三栖 賢次郎
    74 巻 (2013) 3 号 p. 729-734
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,男性.腹痛,発熱にて救急搬送.急性虫垂炎による回盲部膿瘍の診断で当科入院.保存的加療で経過観察としたが,膿瘍が増大したため,13病日に膿瘍穿刺ドレナージ施行し,28病日に退院となった.その後の大腸内視鏡検査にて,虫垂開口部に突出する腫瘍が認められた.生検で管状腺腫の診断となり,腹腔鏡下回盲部切除術を施行した.虫垂内に15×10mmの有茎性腫瘍を認め,病理組織検査にて虫垂管状腺腫と診断された.術後に臍部創感染と後腹膜気腫がみられたが,保存的加療で軽快し,術後30日目に退院となった.虫垂原発の良性腺腫は非常にまれな疾患であるが,術前診断できれば腹腔鏡下手術の良い適応である.
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  • 大畑 多嘉宣, 長佐古 良英, 砂原 正男, 小笠原 和宏, 草野 満夫
    74 巻 (2013) 3 号 p. 735-738
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は81歳,女性.横行結腸癌,直腸癌に対して当科で腹腔鏡補助下低位前方切除術および横行結腸部分切除術を施行した.病理組織学的検査にて,直腸病変はtub1-2,Type 0-IIa,pSM,int,INFb,ly0,v0,pN0,pPM,pDM0,pRM0,pStage Iの直腸癌であった.また,直腸病変の粘膜下層には石灰化を伴った日本住血吸虫卵を認めた.非流行地での日本住血吸虫卵を伴った直腸癌の報告は非常に稀であり,文献的考察を加え報告する.
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  • 吉田 亮介, 山下 和城, 脇 直久, 木下 茂喜, 西 英行, 石崎 雅浩
    74 巻 (2013) 3 号 p. 739-744
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,女性.2012年6月に上腹部痛を主訴に受診し,単純CT検査,下部消化管内視鏡検査にて下行結腸癌と診断した.翌日の造影CT検査にて動静脈多発血栓症と上腸間膜動脈血栓塞栓症を認め,緊急手術を施行した.術後抗凝固治療を行い,状態の安定化を得たのち待機的に左半結腸切除術を施行した.担癌患者が過凝固状態となり静脈血栓を伴いやすいことはTrousseau症候群として古くから知られているが,癌に対する治療前に動脈血栓を伴い,さらに上腸間膜動脈血栓塞栓症を発症した症例は極めて稀であると考えられたため,文献的考察を加えて報告する.
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  • 千田 貴志, 尾形 章, 吉村 光太郎, 芝崎 暎仁, 福田 啓之, 宮崎 勝
    74 巻 (2013) 3 号 p. 745-749
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,女性.S状結腸癌に対しS状結腸切除術を施行した(S,type 2,40×30mm,pSE,ly3,v2,pN3,sH0,pP1,pCY1,cM0,Stage IV,D3,Cur B).外来にて術後補助化学療法を約1年間施行し,以後明らかな再発,転移の兆候なく経過していた.術後3年10カ月後に食思不振,嘔気を主訴に受診し,上部消化管内視鏡検査にて十二指腸水平部に全周性狭窄を伴う2型腫瘍を認め,病理組織検査にて中分化型腺癌の診断であった.十二指腸癌もしくはS状結腸癌の十二指腸転移による腸閉塞の診断にて,十二指腸部分切除術を施行した.病理組織検査にて,腫瘍の組織型はS状結腸癌との類似性を示し,深部病変でより陳旧性病巣を示唆する所見を認めたため,腫瘍は漿膜から全層性に進展したものと判断され,S状結腸癌の十二指腸転移の診断となった.大腸癌の再発形式として十二指腸への孤立性腹膜播種転移はまれなものであり,文献的考察を踏まえて報告する.
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  • 宮崎 貴寛, 田村 孝史, 榎本 剛史, 久倉 勝治, 稲川 智, 大河内 信弘
    74 巻 (2013) 3 号 p. 750-755
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    大腸癌と腸骨動脈瘤の併存はしばしば経験するが,いずれも早急な治療を要する場合,どちらの治療を優先するかという判断に苦慮することが多い.今回われわれは破裂の危険が高い内腸骨動脈瘤を合併した高度狭窄を伴うS状結腸癌に対して,ステントグラフト内挿術後にS状結腸切除術を施行した1例を経験したので報告する.症例は81歳,男性.下部消化管内視鏡検査で高度狭窄を伴うS状結腸癌と診断された.さらに術前精査の腹部CTで60mmの右内腸骨動脈瘤の合併が判明した.どちらも早急な治療が必要であったが,内腸骨動脈瘤破裂の危険性が高いと判断し,ステントグラフト内挿術を先行し,術後22日目にS状結腸切除術を施行した.経過良好で術後19日目に退院となった.大腸癌と腸骨動脈瘤の合併症例に対し,ステントグラフト内挿術を先行し,その後大腸癌の手術を行うことは,侵襲,治療期間短縮,安全性において有用であると考えられた.
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  • 吉田 直裕, 緒方 俊郎, 奥田 康司, 安永 昌史, 中島 収, 木下 壽文
    74 巻 (2013) 3 号 p. 756-762
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は38歳でBMI 40の高度肥満女性で,腹部CT,MRI検査で肝右葉に下大静脈を圧排する13×8cmの腫瘍を認め,肝S3に肝内転移を伴った.肝腫瘍生検にて高分化型神経内分泌腫瘍と診断した.肝外病変は指摘できず,各種ホルモン検査も正常であり,術前診断は非機能性肝原発神経内分泌腫瘍(Grade 2)とした.主腫瘍は巨大で肝内転移を伴ったが,肝腫瘍生検はKi 67指数:4.3%で高分化型であり比較的悪性度が低いと判断し,治療は肝右三区域切除,及び肝S3転移巣に対してradiofrequency ablationを施行した.術後経過良好にて術後37日目に退院した.現在,術後2年無再発生存中である.肝原発神経内分泌腫瘍は,Ki 67指数低値で高分化型であれば,肝内転移を伴う症例であっても肝切除治療を第一選択に考慮することが望ましいと考えた.
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  • 高橋 大五郎, 加藤 岳人, 平松 和洋, 柴田 佳久, 吉原 基
    74 巻 (2013) 3 号 p. 763-770
    公開日: 2013/09/25
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    症例は85歳の男性で,1週間続く右側腹部痛を主訴に近医を受診した.血液検査で肝胆道系酵素の上昇と黄疸を認め,急性胆嚢炎の疑いで当院へ紹介された.腹部CTでは胆嚢の腫大と壁肥厚を認め,MRCPでは腫大した胆嚢内部は血腫と思われる低信号を示した.十二指腸内視鏡検査ではファーター乳頭部より血液の流出を認め,胆道造影では胆管内に透亮像を認めた.腹部血管造影検査では胆嚢底部に造影剤の血管外漏出像を認めた.出血性胆嚢炎および胆道出血による閉塞性黄疸と診断し,緊急開腹手術を行った.術中ドップラー超音波で胆嚢底部に出血源を認め,胆嚢摘出術を施行した.病理学的には壊疽性胆嚢炎の所見であり,胆嚢底部の潰瘍性病変部分に露出血管の破綻を認めた.
    出血性胆嚢炎は比較的まれな疾患であるが,胆道出血が病態を急速に悪化させる場合があり,早期に治療を施行することが重要である.
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  • 文 宣貴, 杉本 武巳, 上坂 邦夫
    74 巻 (2013) 3 号 p. 771-775
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    69歳男性,以前より気管支喘息に対しprednisoloneを5mg服用中.2007年10月に胆嚢癌の診断で手術を施行した.術後に発熱,心窩部痛,嘔吐,白血球増多,肝機能障害を発症したので術後胆管炎を考えた.症状は数時間から半日で軽快したが同様の症状は約1カ月に1回の頻度で繰り返し発生,顔面紅潮,全身の膨隆疹を伴うことがあった.発作の頻度,症状が増悪,末梢血の好酸球分画が58%と高度に増加,IgE値の上昇,CT,USで胃壁の著明な浮腫,胃生検で好酸球を多数認めた.以上よりEosinophilic gastroenteritisと診断した.術前の主訴は心窩部痛であり,精査中に胆嚢癌が認められたこと,また,術前末梢血中の好酸球上昇も認めており,術前から好酸球性胃腸炎が存在していたと考える.Prednisoloneを増量したところ症状改善し,現在prednisoloneを減量し再燃していない.
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  • 漆原 正一, 渡邉 淨司, 畑田 智子, 谷口 健次郎, 奈賀 卓司, 池口 正英
    74 巻 (2013) 3 号 p. 776-779
    公開日: 2013/09/25
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    われわれは腹腔鏡下胆嚢摘出後の遺残胆嚢管癌の1例を経験したので報告する.症例は70代,男性.18年前に慢性胆嚢炎に対し腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行された.5年前に当院呼吸器外科にて肺癌の手術を施行され,外来経過観察中にCEAの上昇を指摘された.PET-CTで肝門部近傍にFDGの集積を認めたため,当院消化器内科に紹介された.ERCPでは中部胆管に狭窄を認め,遺残胆嚢管は合流部より約1cmの部位で途絶していた.腹部CT検査では,胆嚢摘出時のクリップ直下の遺残胆嚢管に約2cm大の早期濃染を伴う腫瘤を認め,胆管内腔は比較的連続性が保たれていた.遺残胆嚢管癌と診断され,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病変はクリップ直下の遺残胆嚢管に全周性の狭窄を伴う3cm大の不正な腫瘍で,総肝管,膵頭部,十二指腸への浸潤,リンパ節転移を認めた.術後9カ月で肝門部リンパ節再発をきたし,術後1年10カ月で死亡した.
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  • 佐伯 隆人, 松野 剛, 宮本 章仁, 石井 龍宏, 井口 利仁, 藤澤 憲司
    74 巻 (2013) 3 号 p. 780-784
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    胆道の内分泌細胞癌の発生頻度は低く,特に胆嚢管原発の報告は自験例が4例目であり非常にまれである.症例は58歳の女性で,中部胆管に3cm大の境界明瞭で表面が平滑なポリープ状の隆起性病変を認めたため,胆管癌を疑い胆管切除術およびD2リンパ節郭清術を施行した.腫瘍は黄色調で表面平滑な有茎性ポリープ状の形態を呈し胆嚢管から発生していた.総胆管内に脱出していたために画像検査では胆管腫瘍のように観察されたものと考えられた.N/C比が高くクロマチンに富んだ小型円形の腫瘍細胞が胞巣状に増殖しており,クロモグラニンA,シナプトフィジンが陽性であった.核分裂像が多く,Ki-67陽性率が50%であり内分泌細胞癌と診断した.胆道原発の内分泌細胞癌は早期に血行性転移,特に肝転移をきたし予後不良であるが,定まった化学療法がなく奏効例もまれである.術後補助化学療法としてIP療法を行い19カ月間再発なく経過している.
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  • 木村 裕司, 稲垣 優, 北田 浩二, 徳永 尚之, 岩川 和秀, 岩垣 博巳
    74 巻 (2013) 3 号 p. 785-790
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は59歳の女性で,発熱,全身倦怠感があり近医を受診し,胆道感染症の疑いで当院に紹介となった.画像検査で下部胆管に内腔を狭窄する腫瘍を認め,内視鏡的逆行性胆管造影時の胆管擦過細胞診で小細胞癌を強く疑うとの結果であった.下部胆管原発小細胞癌の診断で,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術およびリンパ節郭清を行った.病理組織学的検査および免疫組織学的検査により,腺癌成分の混在のないpure typeの小細胞癌と診断した.術後,補助化学療法として肺小細胞癌化学療法レジメンに基づきシスプラチン/エトポシド療法を4コース施行し,術後23カ月が経過し,無再発生存中である.胆管原発小細胞癌はまれな疾患で,手術で治癒切除された症例であっても早期に転移・再発をきたしやすく予後不良であるが,根治術後に肺小細胞癌化学療法レジメンに準じた術後化学療法を施行し良好な成績を得た1例を経験したので報告する.
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  • 伊藤 英太郎, 渡邊 常太, 羽田野 雅英, 串畑 史樹, 高田 泰次
    74 巻 (2013) 3 号 p. 791-796
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    胆管IPN(IPNB:intraductal papillary neoplasm of bile duct)は乳頭状発育を示す胆道腫瘍であり,病理学的な相同性から膵IPMNのカウンターパートと考えられている.症例は76歳の女性で,肝門部原発胆管腫瘍の診断のもと肝左葉切除術,尾状葉切除術,肝外胆管切除術を施行した.腫瘍は組織学的に非浸潤性乳頭腺癌であり,腫瘍の表層拡大や胆管断端浸潤は認めなかった.術後4年目に腹部CTで遺残膵内胆管に再発を認め,膵頭十二指腸切除術を施行した.現在のところ再発を認めていない.本症例のように,胆管IPNは治癒切除後もしばし遺残胆管に再発することを念頭に置き,CT等の画像検査を含めた長期フォローが必要である.
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  • 山口 貴之, 長谷川 洋, 坂本 英至, 小松 俊一郎, 法水 信治, 新宮 優二
    74 巻 (2013) 3 号 p. 797-800
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    今回われわれはIIIb型膵損傷に対して膵管ステントと腹腔ドレナージを施行し膵の切除を回避しえた症例を経験したので報告する.症例は19歳,女性.2012年3月階段で転倒して上腹部を打撲し当院に搬送された.腹部CTにて膵損傷と上腸間膜静脈周囲の液体貯留を認め,緊急逆行性内視鏡的膵管造影(Endoscopic Retrograde Pancreatography:以下ERP)を施行したところ主膵管損傷を認めたため内視鏡的経鼻胆道ドレナージチューブ(Endoscopic Nasobiliary Drainage:以下ENBD)を挿入した.同日緊急手術を施行し腹腔ドレナージを行った.術後経過は良好で第22病日に内視鏡的膵管ステントチューブ(Endoscopic Pancreatic Stenting:以下EPS)に交換し第39病日に軽快退院した.
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  • 久保 秀文, 中須賀 千代, 多田 耕輔, 宮原 誠, 長谷川 博康, 山下 吉美
    74 巻 (2013) 3 号 p. 801-805
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は40歳女性で上腹部痛にて受診した.腹部USでは膵体部に径8cmの内部エコーが不均一なパターンを呈する腫瘤を認めた.腹部CTでは腫瘤は境界明瞭であり中心部は低吸収で辺縁部はやや高吸収を示したが,dynamic CTではほとんど造影されなかった.血液検査所見および腫瘍マーカーには明らかな異常所見は認めなかった.術前の画像診断では確定診断に至らず悪性も否定はできなかったため手術を施行した.腫瘤は膵体部前面に存在し境界明瞭・弾性軟の楕円球体であり.表面の被膜を開排すると大量の血腫が流出してきた.これらの血液塊および可及的にすべての被膜を含めた腫瘤を背面の膵実質を損傷しないように摘出した.病理組織学的に海綿状膵血管腫であった.術後経過良好にて第12病日目に軽快退院した.
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  • 久保 孝文, 櫻井 淳, 井原 弘貴, 津村 朋子, 鈴鹿 伊智雄
    74 巻 (2013) 3 号 p. 806-811
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は49歳,女性.膵頭部癌に対し,幽門輪温存膵頭十二指腸切除,D2郭清,IIA-1再建術施行後,約1年8カ月後に激しい下血,貧血にて当科緊急受診した.腹部ダイナミックCT検査にて,膵癌局所再発を疑わせる腸間膜腫瘤による門脈の圧排狭窄と,胆管空腸吻合部周囲に拳上空腸静脈瘤を認めた.また上部消化管内視鏡検査で胆管空腸吻合部の空腸側粘膜に易出血性の露出血管を認めた.門脈狭窄により求肝性側副血行路として発達した胆管空腸吻合部静脈瘤からの破綻出血と診断し,開腹経回結腸静脈門脈ステント挿入術を施行した.ステント挿入後,門脈造影にて求肝性側副血行路は消失し,消化管出血も消失した.術後抗凝固療法を開始し,数日で当科退院となった.膵頭十二指腸切除後,膵癌再発の門脈狭窄による胆管空腸吻合部静脈瘤出血に対し門脈ステント挿入が有効であった1例を経験したため報告する.
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  • 早津 成夫, 宇田 周司, 津和野 伸一, 柳 在勲, 石塚 裕人, 原 彰男
    74 巻 (2013) 3 号 p. 812-818
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    退形成性膵管癌は,膵癌の中でも比較的まれで予後も非常に不良とされている.今回われわれは,極めてまれな退形成性膵癌を含む3重複癌を経験した.症例は71歳,男性.膵頭部付近の腫瘍と多発肝腫瘍を主訴に当院内科に紹介受診.精査の結果,膵頭部背側の2cm大嚢胞状腫瘤,多発肝血管腫,左尿管癌,右原発性肺癌と診断された.泌尿器科手術1カ月後に右肺上葉切除予定であったが,膵頭部背側腫瘤の急速な増大による閉塞性黄疸をきたした.急な変化から悪性腫瘍を強く疑い亜全胃温存膵頭十二指腸切除を行った.腫瘍は膵鈎部の膨張性に発育する出血壊死を伴う結節型腫瘍で,病理学的検査で多形細胞型退形成性膵管癌と診断された.外科手術から2カ月後に多発肝転移が出現,全身化学療法を行ったが病勢進行し術後1年3カ月で死亡した.非典型的な膵腫瘍の臨床において,本疾患を念頭に置いた診断治療が必要と考えられた.
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  • 鈴木 俊裕, 岡田 禎人, 林 英司, 井上 昌也
    74 巻 (2013) 3 号 p. 819-823
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    Crohn病による瘻孔形成は合併症の一つであるが,自然臍腸瘻の報告はまれである.症例は37歳男性で,下腹部痛と頻尿を主訴に近医を受診し,膀胱鏡で異常を指摘され当院紹介となった.腹部CT検査で尿膜管膿瘍と診断し臍を切開し膿瘍ドレナージを施行した.ドレーンより腸液の排出を認め,瘻孔造影では尿膜管から回腸への穿通を認めた.保存的治療では瘻孔が閉鎖せず,ドレナージ後37日目に手術を施行した.開腹すると回腸とS状結腸が尿膜管に癒着しており回腸,S状結腸,膀胱を部分切除し尿膜管とともに一塊に切除した.摘出標本では回腸に縦走潰瘍や狭窄を認め,病理組織学的に潰瘍とリンパ濾胞の形成を認めた.患者は術後11日目に軽快退院したが,11カ月後,頻回の下痢を主訴に来院した.大腸内視鏡検査を施行しCrohn病と診断した.Crohn病による自然臍腸瘻に対し,ドレナージ後に外科的治療を行った1例を経験したので報告する.
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  • 神谷 潤一郎, 藤田 昌久, 杉浦 謙典, 登内 昭彦, 中川 宏治, 東海林 琢男, 安達 章子, 宮崎 勝
    74 巻 (2013) 3 号 p. 824-828
    公開日: 2013/09/25
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    症例は58歳,女性.半年前より当院婦人科にて卵巣癌に対し化学療法を行っていた.1週間前より発熱,下腹部痛出現し,経過をみていたが改善せず,外来を受診した.レントゲンにてfree airを認め,消化管穿孔の疑いにて当科紹介となった.CTでは腫瘍内に便塊とガスの貯留を認め,S状結腸との境界が不明瞭となっており,S状結腸卵巣腫瘍内穿通を疑い緊急手術を施行した.腹腔内への便汁の流出は認めなかったが,腫瘍内に便汁の貯留を認め,右側卵巣癌とS状結腸が瘻孔を形成しており,両側卵巣腫瘍摘出,S状結腸切除,人工肛門造設術を施行した.病理組織学的検査では異型核を有する多角形細胞から成る胞巣,角化像を認め,卵巣扁平上皮癌と診断した.瘻孔部にはviableな腫瘍細胞は認めなかった.卵巣癌にて化学療法施行中に消化管と瘻孔形成を伴うことは非常に稀であるが,重篤な炎症所見を伴うこともあり,早急に診断し,治療を行う必要がある.
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  • 櫻井 直樹, 山本 久仁治, 飯澤 肇, 柳川 直樹, 田村 元
    74 巻 (2013) 3 号 p. 829-832
    公開日: 2013/09/25
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    症例は57歳,女性.13年前に子宮筋腫の手術中に腹腔内腫瘤を複数認め,一部切除した病理組織結果より播種性平滑筋腫症の診断が得られていた.2011年5月に腹部膨満感と腫瘤の触知を主訴に当院婦人科を受診した.下腹部から骨盤部に10cm超の腫瘤を2個認め,播種性平滑筋腫症の再燃と診断された.腸管を巻き込み,膀胱を圧排していたため,手術目的に外科へ紹介された.同年8月手術を施行した.創直下に,大網から栄養を受けて垂れ下がるように存在する腫瘤と,骨盤底に,S状結腸および同間膜,複数の小腸を巻き込んだ形で存在する腫瘤の2個を同定した.可及的に剥離を行った上で,大網の一部および回腸部分切除を併施した腫瘤摘出術を施行した.切除標本の病理所見では,紡錘形細胞の増生を認め,壊死や細胞異型はほとんどなく,各種免疫染色の結果より播種性平滑筋腫症の再燃と診断した.
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  • 陶山 雅子, 安野 正道, 高橋 英徳, 若山 達郎
    74 巻 (2013) 3 号 p. 833-837
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は89歳,女性.嘔吐,右下腹部痛を主訴に当科紹介受診となった.受診時,右下腹部に高度の圧痛を認めた.腹部手術の既往歴なし.腹部CTにおいて,右下腹部にループ状に拡張した回腸を認めた.その拡張した回腸により上行結腸は内側に圧排され狭窄していた.盲腸周囲ヘルニアを疑い,緊急手術を施行した.開腹すると,右傍結腸溝から盲腸外側への回腸の陥入を認めた.嵌入した回腸は拡張して,盲腸から上行結腸を内側へ圧排していた.外側型盲腸周囲ヘルニアと診断した.本例にみられた盲腸周囲ヘルニアは,本邦でよく引用される分類法の,上回盲窩,下回盲窩,虫垂後窩,盲腸後窩型の4つのいずれにも分類されない外側型であったが,腹部CTにおいて,盲腸と陥入腸管の外側型の特徴的な位置関係が把握され,外側型との術前診断が可能であった.
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  • 三浦 恵美, 佐々木 愼, 中山 洋, 渡辺 俊之
    74 巻 (2013) 3 号 p. 838-843
    公開日: 2013/09/25
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    症例1は34歳,女性.左下腹部痛と嘔吐を主訴に来院,手術の既往はなかった.入院にて保存的に加療を行ったが,第3病日に腹痛増強し,腹部CT検査にて絞扼性イレウスと診断し手術を施行した.症例2は36歳,男性.左下腹部痛を主訴に来院した.20年前,十二指腸穿孔にて腹腔鏡下手術の既往がある.腹部CT検査で絞扼性イレウスを疑い,緊急手術を行った.症例3は81歳,女性.下腹部痛と嘔吐を主訴に入院し保存的治療を行ったが腹痛が持続し,第3病日のCT検査にて絞扼性イレウスを疑い緊急手術となった.いずれの症例も術前診断は絞扼性イレウスであり,開腹すると,S状結腸間膜窩をヘルニア門とするS状結腸間膜窩ヘルニアであり,腸切除は施行しなかった.本疾患は比較的稀な疾患であり,文献的考察を含めて報告する.
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  • 大町 貴弘, 畑 太悟, 鈴木 衛, 水崎 馨
    74 巻 (2013) 3 号 p. 844-847
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    症例は80歳,男性.数日前から出現した右鼠径部腫瘤と同部の圧痛,食思不振を主訴に来院.右鼠径部に腫脹があり,著明な圧痛が認められた.下腹部に腹膜刺激徴候は認められなかったが,CTにて右鼠径ヘルニアおよびヘルニア嚢内の液体貯留,軽度腫大した虫垂と回盲部の壁肥厚が認められた.WBC,CRPともに高値を示していたため,腸管もしくは大網壊死または虫垂炎を伴う鼠径ヘルニア嵌頓と診断し,緊急手術を施行した.手術所見は外鼠径ヘルニアで,ヘルニア嚢内に膿瘍形成が認められた.膿瘍の原因として虫垂炎が疑われたため,創を頭側に延長し虫垂切除を行った.ヘルニア嚢内に虫垂が逸脱するAmyand's herniaやRichter herniaは散見されるが,本症例のようにヘルニア嚢内に膿瘍形成をきたし発症した虫垂炎の報告は過去になく,非常にまれな病態と考えられたため,多少の文献的考察を加えて報告した.
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