日本臨床外科学会雑誌
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74 巻 , 5 号
選択された号の論文の57件中1~50を表示しています
原著
  • 大内 晶, 磯谷 正敏, 原田 徹, 金岡 祐次, 亀井 桂太郎, 前田 敦行, 高山 祐一
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1131-1137
    公開日: 2013/11/25
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    緒言:幽門輪の虚血が胃内容排出遅延(delayed gastric emptying;DGE)の原因の一つといわれており,当科では幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(pylorus-preserving pancreatoduodenectomy;PPPD)において虚血が生じないように心がけている.対象と方法:2000年1月から2011年4月までに当科で行ったPPPD168例と亜全胃温存幽門輪切除膵頭十二指腸切除術(subtotal stomach-preserving pancreatoduodenectomy;SSPPD)53例で比較検討した.結果:PPPD群で32例(19.0%),SSPPD群で12例(22.6%)にDGEを認めたが,2群間に差を認めなかった.結語:幽門輪周囲の血管処理を慎重に行い虚血や鬱血が生じないように心掛ければ,PPPDにおけるDGEの頻度は増加しない可能性がある.
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臨床経験
  • 前田 好章, 篠原 敏樹, 濱口 純, 梅本 浩平, 二川 憲昭, 濱田 朋倫
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1138-1144
    公開日: 2013/11/25
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    切除不能癌患者のQOL改善において症状緩和手術の役割は重要であるが,手術成績に関する報告は少ない.緩和手術165例について,手術死亡率,退院率を検討した.癌性イレウス例では食事摂取を症状緩和の指標とした.原因癌は,膵癌24例,卵巣癌23例,胃癌22例等の23種類が含まれ,手術理由はイレウス124例,癌性瘻孔22例,黄疸10例,出血6例,消化管穿孔3例であった.緩和手術後のMSTは4.5カ月であり,12.7%に手術直接死亡を認めたが,60.6%が退院した.緊急手術では待機手術に比べ手術死亡が高率であった(31%,P=0.007).癌性イレウス例では,74%が食事摂取可能となった.食事摂取率は,胃癌(45%,P=0.004),多発癌性狭窄例(63%,P=0.003)で不良であった.症状緩和手術は一定の効果が得られ,QOL改善に貢献するが,十分なインフォームドコンセントが重要である.
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  • 栗林 邦明, 本山 悟, 佐藤 雄亮, 吉野 敬, 佐々木 智彦, 脇田 晃行
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1145-1149
    公開日: 2013/11/25
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    目的:食道癌に対する根治的化学放射線療法(dCRT)において患者遺伝子多型から血液毒性の予測が可能かどうか検討した.
    方法:2004年から2009年までに当院で胸部食道癌に対しdCRT(5-FU/CDDP,60Gy)が行われた25例を対象とし,dCRT施行から終了後3週間までの血液毒性と遺伝子多型との関連をretrospectiveに検討した.
    結果:CCL2/MCP-1-2518 G/G genotypeではA/G+A/A genotypeと比べ,Grade 3以上の白血球減少が有意に多かった.IL-6-634 C/G genotypeではC/C genotypeと比べ,Grade 2以上の血小板減少が有意に多かった.
    考察:食道癌に対するdCRTの血液毒性は,造血に関与するCCL2/MCP-1-2518 A>G多型,IL-6-634 C>G多型より予測可能である可能性が示唆された.
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  • 川原田 修義, 伊藤 寿朗, 奈良岡 秀一, 萩原 敬之, 安田 尚美, 樋上 哲哉
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1150-1156
    公開日: 2013/11/25
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    目的:Crawford II型胸腹部大動脈瘤手術時の術後合併症および遠隔成績等について検討したので報告する.
    対象と方法:2006年1月から2011年12月までの6年間で施行した胸腹部大動脈瘤の待機手術40例においてCrawford II型胸腹部大動脈瘤手術15例を対象とした.
    結果:病院死亡は0例(0%)であったが,delayed neurologic deficitは2例存在した.術後72時間以上の人工呼吸器装着は4例(27%),術後血液透析が必要な腎不全4例(27%)であった.また5年生存率は83.3%であった.
    結語:当科で患者選択を行い施行したCrawford type IIの胸腹部大動脈瘤の手術成績および長期成績は現時点では満足できるものと考えており,現在のこの手術に対するstrategyやadjunctは妥当と考えている.
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  • 杉本 卓哉, 三毛 牧夫, 高 賢樹, 永田 洋士, 角田 明良, 加納 宣康
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1157-1161
    公開日: 2013/11/25
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    好中球減少症に合併した肛門周囲感染症9例について疾患背景や症状,所見さらに治療法について検討した.症例は18~75歳で男性8例,女性1例であった.基礎疾患は全例血液疾患であり,5例が骨髄移植,3例が化学療法,1例が基礎疾患のために好中球減少症を呈していた.全例発熱と肛門痛を認めたため精査を行い,好中球減少症に合併した肛門周囲感染症と診断した.7例で肛門の圧痛部位を切開,ドレナージした.4例で漿液性の排液を,3例で排膿を認めた.1例で肛門痛が再発し,圧痛部位を再切開し,再度漿液性の排液を認めた.再切開を行った1例を含め,術後肛門痛に対するペインスケールの改善と鎮痛薬の使用頻度が減少し,解熱を認めた.肛門の圧痛部位を積極的に切開,ドレナージを行うことで解熱および肛門痛の軽減を認め,感染の限局化を図ることができることが示唆された.
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症例
  • 清水 哲也, 関戸 仁, 松田 悟郎, 三宅 謙太郎, 土屋 伸広, 田 鍾寛
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1162-1167
    公開日: 2013/11/25
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    症例は72歳,男性.上行結腸癌S状結腸癌同時多発肝転移左肺転移腹膜播種転移に対し,S状結腸切除術,結腸右半切除術施行した.se,ssn3M1H2P3,stage IVの診断で,術後FOLFOX4 療法を3クール.その後,内服化学療法を施行するもCEA29.5ng/mlとなり,mFOLFOX6 療法を開始した.開始24時間後嘔気,投与終了1時間後意識消失JCS III-300となった.画像検査,腰椎穿刺では異常を認めず,血中アンモニア濃度は339μg/dlで意識障害の原因は高アンモニア血症によるものと診断した.肝不全用アミノ酸輸液,肝不全治療薬使用し,意識消失後21時間で意識状態は改善した.その1カ月後,FOLFOX4 療法を開始した.FOLFOX4 療法再開後は8クール施行したが高アンモニア血症認めることなく施行できた.今回臨床上まれである 5FUによる意識障害を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
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  • 田村 耕一, 白井 康嗣, 野口 浩平, 東郷 直希, 永井 祐吾, 岩橋 誠
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1168-1172
    公開日: 2013/11/25
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    胃癌術後に繰り返して発症した脾摘後重症感染症(OPSI:overwhelming postsplenectomy infection)の1救命例を報告する.症例は52歳女性.胃噴門部の進行胃癌に対し胃全摘,脾摘術を施行した.術後第6病日に40.1℃の発熱が出現し,播種性血管内凝固(DIC)を認めた.抗生剤と免疫グロブリン製剤などの投与にて一旦症状が改善した.術後第13病日に再度発熱が出現し,翌日DICと肺胞出血を認め,3次救急救命センターへ転院となり改善を得た.その後,外来通院中の術後9カ月目に40.2℃の発熱が出現した.多臓器不全とDICを認めたが,集中治療にて救命しえた.血液培養から有莢膜細菌が検出され,その病態からOPSIと診断した.OPSIは発症後急激な経過をとる致死率の高い病態であるが,本邦での認識や啓蒙は十分ではない.脾摘後はOPSIを念頭に置いた対応が肝要であると考えられた.
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  • 門脇 嘉彦, 大鶴 徹, 西村 健, 田村 竜二, 岡本 貴大, 石堂 展宏
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1173-1177
    公開日: 2013/11/25
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    近年,超高齢者の肝胆膵領域の悪性腫瘍も多々発見されるが,この領域の手術は侵襲も大きく,致命的合併症も多く,治療に悩まされることも少なくない.症例は84歳の女性.発熱および黄疸にて紹介となる.糖尿病,高血圧の既往があり,下部胆管癌の診断のもと亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行するも,術後より間欠熱が続き,術後11日目にして,中心静脈カテーテル挿入部位の右内頸静脈内血栓,敗血症性肺塞栓症(Septic Pulmonary Embolism:SPE)が明らかになった.その後,ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(Staphylococcal Scalded Skin Syndrome:SSSS)を併発したが,適切な抗菌薬の投与により軽快され,術後51日目に独歩退院となった.高齢者における高侵襲手術は,重症感染症を引き起こす可能性が常にあり,これらの疾患を念頭に置く必要があると思われた.
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  • 古元 克好, 小島 秀信, 森 友彦, 伊東 大輔, 小切 匡史
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1178-1182
    公開日: 2013/11/25
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    3本の脳室腹腔シャント(VPシャント)留置中の患者の右下腹部痛に対して保存的加療で軽快したものの,水頭症症状をきたし腹部チューブに対して開腹手術を行った症例を経験した.患者は29歳女性,水頭症に対しVPシャントがそれぞれ0歳時,12歳時,28歳時に留置された.10カ月後排尿時に右下腹部痛を自覚,腹部CTでシャントチューブの先端が回盲部に位置し,周囲に膿瘍を疑われた.保存的加療を行い軽快したが,約6週間後水頭症症状と他のチューブ周囲の腹腔内液体貯留のため開腹手術を依頼された.仮性嚢胞を解放しチューブの位置変更を行ったが嚢胞が再燃,再度位置変更を行っても再燃したため,脳室外ドレナージを経て脳室心房シャントに至った.複数のシャントチューブが29年間の長期にわたり留置された仮性嚢胞の報告はみられず,かつ各チューブがトラブルを起こした特異な症例であった.
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  • 柏木 伸一郎, 高島 勉, 野田 諭, 川尻 成美, 小野田 尚佳, 若狭 研一, 平川 弘聖
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1183-1186
    公開日: 2013/11/25
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    結節性筋膜炎は線維芽細胞の反応性増殖性病変であり,四肢,特に前腕に好発する疾患である.乳房および胸壁に発生する例は稀であるとされている.今回われわれは無治療で自然消退を認めた乳房内の結節性筋膜炎の1例を経験した.74歳の女性が左乳房腫瘤を自覚し当院を受診,左乳房の上外側域に約3cm大の腫瘤を触知した.超音波検査で左乳腺C領域に約3.6cm大の境界不明瞭な低エコー腫瘤を認め,同部位の針生検にて結節性筋膜炎が強く疑われた.しかしながら悪性腫瘍との鑑別が困難であり,確定診断目的にて摘出生検を要するものと考えられた.約1週間後の生検当日,腫瘍は消失しており自然消退が認められた.結節性筋膜炎の治療は診断的意義においても腫瘤摘出術が標準であるとされているが,自験例のように自然消退する症例も存在するため,手術適応には十分な配慮が必要であることが示唆された.
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  • 上江洌 一平, 小野 亮子, 宮国 孝男
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1187-1192
    公開日: 2013/11/25
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    12歳女児に発生した乳腺若年性線維腺腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.半年前に右乳房に腫瘤を自覚していたが,腫瘤が縮小しなかったため近医小児科を受診,精査のため当院外来を受診した.右乳房に7cm大の弾性硬,辺縁平滑,可動性のある腫瘤を触知した.乳房超音波検査では7×6cmの境界明瞭な内部不均一,低エコーの腫瘤を認めた.穿刺吸引細胞診では悪性像は認めず,乳管上皮細胞と間質成分を認めた.画像所見からは良性腫瘍が疑われ,大きな腫瘤であったため,腫瘤摘出術を施行した.病理組織学的検査では若年性線維腺腫であった.術後経過は良好であり,乳房の変形は軽度である.小児における若年性線維腺腫は稀であり,特に学童期(12歳以下)までの報告例は少ない.本症は良性疾患であり,乳房が発達段階にある小児においては,乳腺組織をできるだけ温存することが重要と考えられた.
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  • 緒方 秀昭, 金沢 真作, 斉藤 芙美, 久保田 伊哉, 密田 亜希, 金子 弘真
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1193-1197
    公開日: 2013/11/25
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    男性乳腺に発生した明細胞汗腺腫を経験したので報告する.症例は38歳男性.右乳腺の血性乳頭分泌と腫瘤を主訴に来院した.診察所見は右乳輪下に径1.5cm,境界明瞭かつ可動性良好な楕円形腫瘤を触知し,乳頭分泌は淡血性で単孔性であった.マンモグラフィー所見は境界明瞭な腫瘤性陰影として,超音波所見は拡張乳管内に存在する内部エコー不均一な腫瘤として描出された.針生検所見より皮膚付属器由来の新生物が示唆され,外科生検で乳腺発生の明細胞汗腺腫と診断した.検索しえた乳房発生の明細胞汗腺腫は,本邦および海外で30例.これら既報例からその臨床的特徴を検討すると,乳癌に比し男性発生頻度が高く,発症年齢に特異的分布はなく,乳輪近傍に好発する嚢胞性病変である傾向があった.
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  • 柴田 雅央, 宮内 正之, 蜂須賀 丈博, 森 敏宏, 篠原 正彦
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1198-1203
    公開日: 2013/11/25
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    乳腺原発の腺様嚢胞癌は稀な組織型で,遠隔転移は少なく,その予後は良好とされている.一方で,遠隔転移・再発をきたした症例の報告例も散見される.今回,術後比較的早期に転移再発をきたし予後不良な転帰をたどった腺様嚢胞癌の症例を経験したので報告する.
    症例は67歳女性.左乳房C領域のしこりを自覚し受診.針生検にて腺様嚢胞癌と診断した.胸筋温存乳房切除術と腋窩リンパ節郭清術を施行.最終病期はpT2pN1M0 stage IIBで,ER 0%,PgR 0%,HER2 0であった.術後補助化学療法を施行したものの,術後1年で多発骨転移をきたした.化学療法を施行したものの,さらには多発肝転移・脳転移をきたし,術後2年7カ月で死亡した.
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  • 渡邉 克隆, 久世 真悟, 京兼 隆典, 高木 健裕
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1204-1207
    公開日: 2013/11/25
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    症例は66歳の男性で,乳房腫瘤を左乳頭直下に触知したため来院した.弾性硬,境界明瞭な腫瘤を触知し,超音波検査では左乳腺のEA領域に径8mmの低エコー腫瘤を認めた.針生検を施行し,浸潤性乳管癌と診断された.手術は胸筋温存乳房切除術とセンチネルリンパ節生検を施行した.病理組織検査所見は浸潤性乳管癌(硬癌)であり,センチネルリンパ節には転移を認めなかった.エストロゲンレセプター陽性,プロゲステロンレセプター陽性,HER2スコアは0であった.術後補助療法としてタモキシフェンの内服を行った.術後6カ月経過したが,無再発生存中である.男性乳癌に対してセンチネルリンパ節生検を施行した症例は本邦では1983年以来自験例を含めて17例が報告されている.センチネルリンパ節生検を施行した男性乳癌の1例を報告する.
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  • 脇坂 和貴, 田口 和典, 細田 充主, 山本 貢, 武冨 紹信, 山下 啓子
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1208-1211
    公開日: 2013/11/25
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    エストロゲンレセプター(ER)陽性乳癌は術後5年以降の再発も稀ではなく,通常,晩期再発例ほど再発後の内分泌療法に奏効して長期生存が期待できる.われわれは,術後10年で多発骨転移,癌性髄膜炎で再発して急速な転帰を辿ったER陽性乳癌の1例を経験した.症例は65歳女性.55歳時に右乳癌(T1N0M0,Stage I)にて右乳房切除術,腋窩リンパ節郭清を施行した.病理診断はpT1 pN0,ER陽性(80-90%),プロゲステロンレセプター陰性,HER2陰性であった.アロマターゼ阻害剤を5年間内服したが,術後10年2カ月時に腰痛を認め,精査により多発骨転移,多発脳転移,癌性髄膜炎と診断された.内分泌療法と脳転移,骨転移に対する放射線療法を施行したが,癌性髄膜炎の増悪による全身状態の急速な悪化をきたして再発後3カ月で死亡した.本症例はER陽性乳癌で術後10年での晩期再発であったが,癌性髄膜炎を伴い,放射線療法,内分泌療法に奏効せずに急速な転帰を辿った稀な症例と考えられた.
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  • 天願 俊穂, 伊志嶺 徹, 中須 昭雄, 安元 浩, 本竹 秀光
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1212-1214
    公開日: 2013/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,男性.胸痛を主訴に当院救急センター受診した.心電図でII,III,aVf でST上昇と完全房室ブロックを認めた.右冠動脈領域のACS(Acute Coronary Syndrome)の診断で精査行ったところ,胸部CTと冠動脈造影検査にて右冠状動脈閉塞を伴う右Valsalva洞に限局した急性大動脈解離の所見があり緊急手術を施行した.手術は右Valsalva洞のパッチ形成術と大伏在静脈を用いた右冠動脈バイパス手術を施行した.術直後から洞調律に回復し,術後21日目に退院した.
    Valsalva洞に限局した大動脈解離の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 饗場 正宏, 木川 幾太郎, 安西 兼丈
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1215-1219
    公開日: 2013/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,女性.血栓閉塞型A型急性大動脈解離で腹腔動脈が解離していた.降圧治療中に腹痛と血中アミラーゼの上昇が生じ,CT検査では脾動脈が閉塞しており臓器虚血による急性膵炎を発症した.さらに膵の虚血が進行し体部と尾部は壊死性膵炎となったが集学的治療により回復した.発症2カ月後に上行大動脈の偽腔の拡大とULP形成が生じたため上行大動脈人工血管置換を行った.急性大動脈解離の腹部臓器虚血において急性膵炎発症の可能性を念頭に置き,腹腔および脾動脈が閉塞した症例では重症化が予想されることを認識する必要がある.
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  • 小柳津 毅, 葉山 牧夫, 千田 雅之
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1220-1223
    公開日: 2013/11/25
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    症例は13歳,女児.小学生の頃より運動時の胸痛を訴えることがあった.中学校入学後,部活動開始とともに,易疲労感と呼吸苦を自覚するようになったため,他院小児科を受診.胸部レントゲン写真とCTから,右巨大肺嚢胞症と診断され,当院紹介となった.右胸腔内の約1/2を占める嚢胞性病変が存在し,内腔に索状陰影は認めなかった.呼吸機能検査値は正常範囲内であったが,症状が続き,同学年者と同等の運動が不可能となったため,胸腔鏡補助下に嚢胞壁切除と縫縮術を行った.嚢胞底は広基性で,細気管支の開口部は確認されず,嚢胞壁開放後のリークテストで,肺実質から3カ所の気漏を認めた.チェックバルブ機構により嚢胞腔が拡大したと推測された.病理検査では,切除嚢胞壁はわずかに炎症反応を伴う線維組織からなり,内腔側に線毛上皮は存在しなかった.手術後7日目に退院となり,術後17カ月現在,症状なく外来経過観察中である.
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  • 原野 隆之, 河野 匡, 藤森 賢, 鈴木 聡一郎, 木村 宗芳, 荒岡 秀樹
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1224-1227
    公開日: 2013/11/25
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    ノカルジア感染症は日和見感染症として知られる感染症で局所感染だけでなく,血行感染により中枢神経をはじめとして全身に播種性に感染巣をつくる感染症である.症例は22歳男性.再発気胸に対し前医にて胸腔鏡下右上葉部分切除,胸膜被覆術を施行後,肺瘻が遷延し,その後膿胸に至った.急性膿胸の診断で胸腔鏡下膿胸腔掻爬術,右上葉部分切除術を施行し,胸腔内を掻爬し,被覆材を部分切除で切除した.術後経過は良好で術後7日目に胸腔ドレーンを遮断したのち,術後11日目に抜去した.手術検体よりノカルジア菌が検出されたため,ST合剤とCeftriaxoneの投与を開始し,外来で1年間ST合剤の内服を行い,ノカルジア感染症の再燃を認めていない.今回,若年成人に発症した再発気胸術後のノカルジア膿胸に対し手術を施行し,良好な結果をえた1例を経験したので報告する.
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  • 古川 克郎, 柴崎 信一, 荒木 政人, 橋本 泰匡, 久永 真, 岡 忠之
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1228-1232
    公開日: 2013/11/25
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    副心臓枝は,まれな気管支異常であり,多くは他の胸腔内病変の精査中に偶然発見される.今回副心臓枝の合併切除を要する右下葉肺癌症例を経験したので報告する.症例75歳男性.2008年左上葉小細胞肺癌で左上葉切除術を施行された.2012年右下葉肺癌の診断がつき手術目的で当科へ入院となった.術前の気管支内視鏡検査やCTにより副心臓枝と思われる気管支の異常分岐が認められた.周囲の肺胞を伴う肺葉構造を呈しており,右下葉に接していたため右下葉切除時に合併切除した.副心臓枝はまれな形態異常であるが,術前画像評価にてその存在を認識していなければ術中の対応に苦慮することが予想され,術前評価でそのような異常分岐の存在の有無に気づき認識しておくことが必要である.
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  • 鈴木 彰, 小出 直彦, 奥村 征大, 竹内 大輔, 尾崎 一典, 宮川 眞一
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1233-1238
    公開日: 2013/11/25
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    症例は74歳,女性.労作時の呼吸困難を自覚し来院した.胸部X線検査では縦隔から左右両肺野に広がる腫瘤影を認め,内部に消化管ガス像が認められた.内視鏡検査では食道胃接合部は切歯より30cmに位置し,胃の長軸方向のねじれが存在した.胃体上部に線状びらんと胃潰瘍が認められた.胸腹部CT検査では食道裂孔ヘルニアにより縦隔に滑脱した胃を認め,ヘルニア嚢内には小腸と結腸も認められた.Cameron病変を合併した複合型(type IV)食道裂孔ヘルニアの診断にて腹腔鏡補助下手術を行った.食道裂孔には胃,大網,小腸,横行結腸の陥入を認め,大網,小腸,横行結腸を腹腔内に還納した.食道裂孔の大きさは11×9cmであった.食道裂孔の修復にはポリプロピレン/ポリテトラフルオロエチレンシートを用いた.術後には呼吸困難や喘息症状は消失し,またPPIの服用を中止しても内視鏡的にびらんや潰瘍病変を認めていない.
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  • 水谷 文俊, 河野 弘, 米山 文彦, 佐竹 立成, 氏平 伸子
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1239-1244
    公開日: 2013/11/25
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    症例は65歳の男性で,胸部のつかえ感を主訴に当院を受診した.上部消化管内視鏡検査で胸部中部食道癌と診断した.入院時の胸部単純X線検査で右側大動脈弓を認め,3D-CTで下行大動脈起始部のKommerell憩室から左鎖骨下動脈が分岐するEdwards IIIB型の右側大動脈弓と診断した.精査の結果,Mt,3型の食道癌cT3,cN0,cM0,cStage IIと診断し,左開胸開腹食道亜全摘術を施行した.左動脈管を切離することにより上縦隔の視野展開が良好となり,左動脈管を反回する左反回神経を確実に温存することが可能であった.食道癌が左気管支に浸潤しており根治性が得られない上に,頸部外傷の既往のため高度の瘢痕性癒着があり,頸部郭清は行わずに胸腔内胃管再建術を行った.右側大動脈弓を合併した食道癌症例では術前解剖学的検索,特に3D-CTによる異常血管の走行把握が,安全に手術を施行する上で重要であると考えられた.
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  • 横山 康行, 田中 洋一, 川島 吉之, 福田 俊, 岡 大嗣
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1245-1249
    公開日: 2013/11/25
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    食道癌術後の胃管気管瘻は難治性であり,治療法について十分な検討がなされていない.われわれは食道癌術後の胃管気管瘻に対し遊離前腕皮弁を用いた瘻孔閉鎖術を施行し治癒した症例を経験したので報告する.症例は55歳,男性.食道癌に対し胸腔鏡補助下胸腹部食道全摘,3領域リンパ節郭清,後縦隔経路胃管再建を行った.第8病日,発熱,痰の増量,頸部皮下気腫を認め,気管支鏡検査および造影CT検査にて縫合不全による胃管気管瘻と診断した.気管切開を行い,保存的治療を継続するも瘻孔は閉鎖せず.第114病日,頸部切開アプローチにて遊離前腕皮弁を用いた瘻孔閉鎖術を施行した.第143病日,瘻孔の閉鎖を確認した.経口摂取を開始し問題なく,気管カニューレを抜去,第169病日退院した.食道癌術後,頸胸境界部に生じた胃管気管瘻に対し,頸部アプローチで,胃管と気管の間に遊離前腕皮弁を介在させる治療法は安全かつ低侵襲であり,有用であった.
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  • 秋本 修志, 福田 三郎, 石崎 康代, 藤崎 成至, 先本 秀人, 江藤 高陽
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1250-1254
    公開日: 2013/11/25
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    症例は22歳,女性.自閉症で精神科通院中.平成22年6月中旬,腹痛にて当院の救急外来受診.腹部CTおよび上部消化管内視鏡にて毛髪塊を認めた.内視鏡的摘出を試みたが困難なため,後日,外科紹介予定とし,外来フォローとなった.その4日後,腹部膨満,発熱で救急外来を再診.腹部CTで小腸拡張の増悪を認め,イレウスの診断にて緊急開腹術となった.小腸内および胃内にある,合計800gの毛髪塊を摘出し,暗褐色で動きの悪い小腸は部分切除を行った.毛髪胃石と腸閉塞が同時に存在した症例は1984年~2012年までで自験例を含め22例が報告されている.全例が女性で,10代以下の若年者がほとんどであった.多量の毛髪胃石の自然排出は期待できず,内視鏡的に摘出が困難な場合は,早急に外科的摘出を考慮すべきと考えられた.また毛髪胃石の多くが精神的要因に起因し,海外では再発例もあり,精神科の継続的なフォローが必要である.
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  • 児玉 泰一, 山口 剛, 村田 聡, 山本 寛, 来見 良誠, 谷 徹
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1255-1260
    公開日: 2013/11/25
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    症例は73歳男性で1年前に胃癌に対しlaparoscopy-assisted total gastrectomy (LATG) R-Y再建術の既往がある.外来経過観察中に腹痛を主訴に受診.造影CTで上腸間膜静脈に血栓を認め,上腸間膜静脈血栓症(SMVT)と診断した.腹膜刺激症状なく,造影CT上も明らかな腸管虚血や穿孔の所見を認めなかったため,経上腸間膜動脈的血栓溶解療法を行った.しかし腹部造影CT冠状断で,R-Y再建により挙上した空腸の背側に小腸ループが内ヘルニア(Petersen's hernia)を起こしている所見があり,自然整復は見込めないと判断し全身麻酔下で開腹し内ヘルニアの解除を行った.解除前後に血栓溶解療法を施行したことで血栓による腸管虚血および腸管切除を回避し合併症なく救命しえた.LATG後にSMVTと内ヘルニアを生じた報告例はなく,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 濵田 聖暁, 伊藤 重彦, 木戸川 秀生, 井上 征雄, 山吉 隆友, 坂田 則行
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1261-1264
    公開日: 2013/11/25
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    症例は75歳の男性で21年前に早期胃癌に対して,幽門側胃切除術を施行し,Billroth-I法で再建した.このときの病理結果は印環細胞癌であった.今回上腹部痛と違和感を主訴として受診し,上部消化管内視鏡検査で胃十二指腸吻合部の口側胃粘膜に隆起性病変を認めた.生検にて低分化腺癌の診断となり,遠位側残胃切除術を施行し,Roux-en-Y法で再建した.切除標本の病理組織学的検索でH-E染色に加えて免疫組織染色検査を行い,診断は胃未分化癌で深達度smであった.胃未分化癌は非常にまれで,報告例のほとんどが進行癌である.われわれが検索した限りにおいて,残胃に発生した早期胃未分化癌の報告例はなく,極めてまれであると考えられた.
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  • 加藤 洋介, 尾山 佳永子, 吉田 周平, 奥田 俊之, 太田 尚宏, 原 拓央
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1265-1269
    公開日: 2013/11/25
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    症例は59歳,男性.黄疸を認め入院となった.血液検査でCEA 9.3ng/ml,CA19-9 75.2U/mlと軽度の上昇を認めた.腹部CTおよびMRIにて膵頭部後面に最大径6cmの腫瘤を認めた.側視鏡での観察時に潰瘍を認め,同部位の生検より十二指腸原発のgastrointestinal stromal tumor(以下GISTと略記)と診断し,膵頭十二指腸切除術(D1)を施行した.病理組織学的検査ではKIT陽性・CD34陽性,核分裂数10/50HPF以上で,高リスク群のGISTと診断された.イマチニブ400mg/日を用いた術後補助化学療法を行った.術後腫瘍マーカーは陰性化し,術後36カ月の時点で再発を認めていない.腫瘍マーカーが高値を示すGIST症例は非常にまれで,また過去の報告から悪性度が高い可能性があり,免疫染色の結果も併せて若干の文献的考察を含め報告する.
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  • 砂原 正男, 倉内 宣明, 鈴木 伸作, 木村 純, 工藤 和洋, 下山 則彦
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1270-1274
    公開日: 2013/11/25
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    症例は74歳,女性.発熱を主訴に近医を受診し,血液検査にて肝胆道系酵素の上昇を指摘され,当院紹介となった.精査にてリンパ節転移を伴う十二指腸乳頭部癌と診断され,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術D2を施行した.術中,リンパ節転移を介した門脈腫瘍栓を認めたため,門脈を切開して腫瘍栓を摘出した.病理組織検査では,十二指腸乳頭部腺内分泌細胞癌,pT4(pDu2,pPanc3),pN1,ly2,v3,pn2と診断された.また,門脈腫瘍栓および転移リンパ節は内分泌細胞癌成分が主体であった.UFTによる術後補助化学療法を施行していたが,術後5カ月に多発肝転移,腹腔内リンパ節転移,門脈腫瘍栓を認めた.CDDP+CPT-11による化学療法を開始したが,術後7カ月で転移巣増悪にて死亡した.十二指腸乳頭部腺内分泌癌は極めてまれであり,本邦報告例とともに文献的考察を加えて報告する.
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  • 安西 紘幸, 丸山 常彦, 青木 茂雄, 酒向 晃弘, 上田 和光, 入江 敏之
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1275-1280
    公開日: 2013/11/25
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    小腸出血は出血部位を内視鏡で確認することが困難であり,診断に難渋することが多い.消化管出血を確認する方法としては,消化管造影検査,内視鏡,造影CT,出血シンチグラフィ,選択的血管造影など多岐にわたる.大量下血を呈する症例では出血源の速やかな同定と止血処置が必要である.腹部血管造影は出血源が同定可能であれば,マイクロカテーテルを出血責任血管に挿入し,塞栓術を施行することで止血処置が可能であり,診断と治療を同時に行える.
    今回,われわれは小腸出血に対して緊急腹部血管造影を行い,術前にマイクロカテーテルを用いてマイクロコイルにより塞栓術を施行し,止血を確認後に開腹手術を施行し,出血部位診断が容易であった2例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
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  • 島 秀栄, 杉浦 浩朗, 清水 康博, 関澤 健太郎, 亀田 久仁郎, 久保 章
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1281-1285
    公開日: 2013/11/25
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    症例は64歳,男性.既往歴として25年前に胃癌の診断で幽門側胃切除術を施行されていた.平成24年4月,夕食後に突然の下腹部痛が出現し当院救急外来へ搬送された.触診で腹部全体に腹膜刺激徴候があり,腹部骨盤単純CTで拡張小腸とwhirl like signを認め,絞扼性イレウスの診断で緊急開腹手術を施行した.開腹時白色混濁した腹水を認め,小腸間膜にもリンパ管と思われる微細な白色線状の構造物を多数認めた.小腸は小腸間膜の上腸間膜動脈根部周囲の癒着を軸に360度捻転していたため,癒着を剥離し,捻転を解除した.捻転腸管に血流障害は認めなかった.腹水は乳白色で腹水中トリグリセリド値が363mg/dLと高値であったため乳糜腹水と診断した.術後経過は良好で,術後第7病日に退院となった.乳糜腹水を呈する絞扼性イレウスの報告は本邦で本症例を含めこれまで12例のみである.文献的考察を加え,これを報告する.
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  • 平崎 憲範, 福永 正氣, 菅野 雅彦, 吉川 征一郞, 大内 昌和, 東 大輔
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1286-1289
    公開日: 2013/11/25
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    われわれは結節形成によるMeckel憩室腸閉塞を経験したので報告する.症例は58歳の男性.4日前からの腹痛で当院を受診し,腸閉塞の診断で入院となった.しかし翌日も腹部所見改善なく,診断的腹腔鏡手術を施行したところ,茎の長いMeckel憩室が結節を形成して回腸を絞扼していた.絞扼腸管の虚血が高度であったためMeckel憩室を含めた前後回腸を切除した.術後経過は良好であった.結節形成によるMeckel憩室腸閉塞はきわめてまれである.それゆえ,術前の診断は困難である場合もあるが,原因不明の腸閉塞の鑑別疾患として十分に考慮すべきである.
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  • 佐藤 学, 小野 文徳, 平賀 雅樹, 大村 範幸, 山村 明寛
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1290-1294
    公開日: 2013/11/25
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    腸重積による閉塞症状で発症した小児小腸血管腫の症例を経験したので報告する.症例は9歳の女児.前医よりイレウスの診断で当院へ紹介となった.腹部CTにて小腸にtarget sign様の像を認め,小腸腸重積によるイレウスと診断し緊急手術を施行した.開腹所見にて小腸に血管腫と思われる腫瘤を認め,同部位が先進部と判断し小腸部分切除を施行した.術後経過は良好で,第9病日で退院となった.
    小腸血管腫は小腸腫瘍の中でもまれであり,その多くが消化管出血で発症し,腸重積による閉塞症状で発症することは極めてまれである.小腸腫瘍の確定診断には小腸内視鏡が有用であるが,特に小児に対して緊急で施行できる施設は限られている.
    腸重積症として発症した小児小腸血管腫としての報告例はなく,本症例は本邦初の報告と思われる.
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  • 藤原 康博, 唐崎 秀則, 鈴木 茂貴, 松坂 俊, 古川 博之
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1295-1299
    公開日: 2013/11/25
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    症例は34歳,女性.腹痛で当科を紹介受診し絞扼性イレウスの診断で同日緊急手術を施行した.空腸間膜に8cm大の黄白色の柔らかい多房性腫瘤を認め,これを中心に空腸が捻転していた.腫瘤を含めて約30cmの空腸を切除した.嚢胞内溶液は漿液性で,病理検査にてリンパ管腫と診断した.腸管膜嚢腫は比較的まれな疾患で,病理学的にはリンパ管腫が最多である.腸管軸捻を併発した腸間膜リンパ管腫症例は,自験例を加えて過去に本邦で7例報告されている.治療には完全切除が必要だが,急性腹症で発症した場合には,緊急手術となることが多く,併存する炎症や不良な全身状態のため,病変の完全切除に悪影響を及ぼした症例も報告されている.腸管軸捻を契機として治療を受けた症例の多くにも腹痛などの先行症状を認めていることから,本疾患を認知し,的確な術前診断の元,急性腹症を発症する前に切除することが必要であると考えられた.
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  • 吉村 昌記, 硲野 孝治, 外山 和隆, 戸口 景介, 吉川 健治, 山口 拓也
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1300-1306
    公開日: 2013/11/25
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    症例は80歳,男性.気管支喘息にてプレドニゾロンを長期内服していた.腹痛を主訴に受診し,腹部CTにて腸管の壁内気腫,散在する結腸憩室,小腸間膜気腫を認めたが,腹腔内遊離ガスと門脈内ガスは認めなかった.結腸憩室の腸間膜穿通と診断し,開腹手術を施行した.拡張し著明に蛇行した回腸を認め,同部の腸間膜に握雪感も認めたため回腸部分切除術を施行した.病理所見より腸管嚢腫様気腫症(pneumatosis cystoides intestinalis;PCI,以下PCI)による腸間膜気腫と診断された.PCIは消化管穿孔がない腹腔内遊離ガスをきたすことがある.しかし腸間膜への穿通と鑑別が困難であったPCIの報告は稀有である.腸間膜気腫を認め消化管の小腸間膜穿通を疑った際には回腸憩室や異物誤嚥,悪性腫瘍などが鑑別診断として挙がるが,今回の腸間膜気腫の成因はPCIであり,極めてまれな病態であった.
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  • 大西 桜, 久留宮 康浩, 水野 敬輔, 世古口 英, 小林 聡, 深見 保之
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1307-1311
    公開日: 2013/11/25
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    症例は61歳の女性で,水溶性下痢を主訴に2008年11月当院を受診し,腹部CTで下行結腸を腹側から圧排する65mm×37mmの腹腔内膿瘍を認めた.大腸内視鏡検査では下行結腸に瘻孔開口部を認め,注腸検査では同部位から膿瘍腔を介して造影剤の小腸への流出を認めた.空腸下行結腸瘻,腹腔内膿瘍の診断で開腹手術を施行した.空腸・下行結腸部分切除を施行し,横行結腸で双孔式の人工肛門を造設した.病理組織学的検査所見では,穿孔部周辺の空腸および下行結腸壁全層に中型リンパ球のびまん性増殖を認めた.免疫染色ではCD3 (+),CD7(+),CD8(-),CD56(+)を示し,腸管型T細胞リンパ腫type IIと診断した.術後CHOP療法を2回施行したが,消化管穿孔性腹膜炎を起こしたことにより術後4カ月で死亡した.
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  • 栃木 透, 当間 雄之, 大平 学, 鈴木 一史, 宮内 英聡, 松原 久裕
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1312-1316
    公開日: 2013/11/25
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    60歳台,男性.2010年右鼻腔悪性黒色腫で重粒子線照射および化学療法を施行.その後局所再発で腫瘍摘出術施行.2011年12月下血が出現.上部・大腸内視鏡で出血源は同定されず造影CTで小腸腫瘍が疑われた.経肛門的ダブルバルーン小腸内視鏡にて空腸に潰瘍を伴う隆起性病変を認めた.生検は壊死組織であったが悪性腫瘍が疑われ当科紹介.臍部と左右下腹部の3ポートで,腹腔鏡補助下に手術を行った.遠隔転移や腹膜播種は認めず,臍部創を延長し体外で小腸の切除・再建を行った.術後経過良好にて第11病日に軽快退院.切除標本は7×6cm大の白色調の亜全周性2型腫瘍で,組織学的に悪性黒色腫小腸転移と診断された.悪性黒色腫の遠隔転移例は予後不良であるが,単発で根治的切除が可能な場合には,その転移巣の切除により患者の生存期間が延長する可能性があり腹腔鏡による低侵襲な手術が有用であると考えられた.
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  • 菅原 宏文, 福岡 健吾, 成田 知宏, 大里 雅之, 水野 豊, 岡本 道孝
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1317-1320
    公開日: 2013/11/25
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    S状結腸腹膜垂が原因となり腸閉塞を発症したまれな1例を経験したので報告する.症例は41歳男性で,特記すべき既往歴や開腹歴はない.急性発症の腹痛,嘔吐を主訴に来院した.左下腹部に圧痛と反跳痛あり,腹部CTにて小腸の拡張とclosed loopを認めたため,絞扼性イレウスと診断し,緊急開腹手術を施行した.術中所見では長いS状結腸腹膜垂が後腹膜に癒着してヘルニア門を形成し,そこに小腸が30cmにわたり嵌頓していた.腹膜垂を切離し,嵌頓を解除した.腸管に壊死所見を認めなかったため小腸切除は施行しなかった.このような腹膜垂が原因となった腸閉塞例はまれではあるが,開腹歴のない原因不明の腸閉塞の原因のひとつとして,本疾患も念頭に置く必要があると考えられた.
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  • 渋谷 雅常, 前田 清, 永原 央, 野田 英児, 大谷 博, 大澤 政彦, 平川 弘聖
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1321-1325
    公開日: 2013/11/25
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    症例は69歳,男性.左下腹部痛を主訴に近医を受診し,腹部CTにてS状結腸に壁外発育型の腫瘍を認めたため,精査加療目的に当院へ紹介となった.内視鏡検査時の生検では診断が得られなかったが,画像所見よりGISTなどの悪性腫瘍を疑い手術を施行した.病理組織学的検査の結果,内分泌細胞癌の所見は認めず,S状結腸未分化癌と診断された.se,n0,H0,P0,M0,stage IIであった.術後約1カ月で癌性腹膜炎による全身状態の悪化を認め近医へ入院.化学療法を導入することなく,術後2カ月で癌死した.
    大腸における未分化癌は非常に稀で,その予後は極めて不良とする報告が多い.また,大腸癌のうち壁外発育するものは比較的稀で,初期には腸管内腔が保たれるため症状を呈しにくく増大してから発見されることが多い.根治手術後2カ月で死亡という急な経過をとった壁外発育型S状結腸未分化癌の1例を経験したので報告する.
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  • 平宇 健治, 橋本 正治, 平野 裕, 佐々木 晋一, 中村 征勝, 中津 敏允
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1326-1330
    公開日: 2013/11/25
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    腸管子宮内膜症は,子宮内膜組織が腸管壁内で異所性に増殖して様々な臨床症状をきたす良性疾患である.しかし,腫瘍的性格を有し,前癌病変となる可能性がある.今回われわれは,所属リンパ節にも内膜組織を認めた直腸子宮内膜症の1切除例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は44歳の女性で,腹部膨満感・腹痛を主訴に当院を受診.S状結腸内視鏡で,直腸S状部に内腔狭窄をきたす乳頭状ポリープの集簇を認めた.生検では再生性変化と考えられ,悪性所見は認めなかった.CTでは,直腸S状部に全周性壁肥厚を認め,口側腸管の著明な拡張を認めた.以上より,診断未確定ではあるが,直腸腫瘍による腸閉塞が強く疑われたため,リンパ節郭清を伴う低位前方切除術を行った.病理組織学的に,粘膜下層や固有筋層,漿膜下組織に増殖期子宮内膜腺に類似した腺管を認め,腸管子宮内膜症と診断した.また,病変周囲リンパ節にも腺管構造を認めた.
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  • 内藤 善久, 上野 秀樹, 神藤 英二, 識名 敦, 山本 順司, 長谷 和生, 島崎 英幸
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1331-1335
    公開日: 2013/11/25
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    症例は68歳,男性.検診で便潜血陽性指摘後,早期下部直腸癌と診断され,腹腔鏡補助下直腸低位前方切除術を受けた.摘出標本上,主病巣の口側に粘膜下腫瘤様の小病巣を2箇所に認めた.これらの小病巣(それぞれ3.5mm大,3mm大)は共に病理組織学的に神経内分泌腫瘍であり,3.5mm大の病巣には軽度の脈管侵襲が認められた.深達度は粘膜下層にとどまり,mitotic countは高倍10視野で2個未満Ki67標識率は2%未満であり,2010年版WHO分類1)に基づいてgastrointestinal neuroendocrine tumor(GI NET)のG1と診断された.腸管傍リンパ節にGI NETの多発転移を認めた.直腸腺癌にリンパ節転移は認めなかった.微小な直腸神経内分泌腫瘍でNET G1と診断された場合も,脈管侵襲等の悪性指標に基づき,追加切除や厳重な経過観察を考慮することが必要と考えられた.
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  • 三島 壯太, 藤田 文彦, 岡田 怜美, 林 徳真吉, 黒木 保, 江口 晋
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1336-1340
    公開日: 2013/11/25
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    転移性大腸癌は比較的稀であり,なかでも結腸癌の直腸転移報告例は極めて少ない.今回われわれは横行結腸癌術後に孤立性直腸転移を認めた症例を経験したので報告する.症例は65歳男性.横行結腸の全周性2型進行癌に対して横行結腸切除術施行(R0).病理所見は高~中分化腺癌,SS,N1,M0,H0,P0,ly1,v1,stage IIIaであった.術後1年4カ月で転移性肝癌に対して肝部分切除術施行,初回術後2年7カ月よりCEAの上昇を認め,精査の結果直腸転移の診断で腹腔鏡下低位前方切除術施行した.以後無再発生存中である.病変は粘膜下腫瘍の形態であり,粘膜下層から筋層を主座とする原発巣と類似した腺癌であったため横行結腸癌からの転移として矛盾しないと診断された.結腸癌の直腸転移は稀であるが,その可能性を念頭に置いたサーベイランスが肝要であり,本症例においてはPET/CT検査の有用性が示唆された.
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  • 荻野 美里, 富澤 直樹, 安東 立正, 荒川 和久, 須納瀬 豊, 竹吉 泉
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1341-1347
    公開日: 2013/11/25
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    神経内分泌腫瘍は肺,消化管,膵などで報告されているが肝原発は稀である.今回,肝原発神経内分泌癌を経験したので報告する.65歳男性で,平成18年に他院で食道癌切除術を受けた.病理は扁平上皮癌,pT1b(sm)N0M0 Stage Iであった.患者の希望で当院に通院していた.平成19年10月,繰り返す腸閉塞のため解除術を施行した.術前の画像診断では再発や重複癌はなかった.翌年2月,肝両葉に多数の腫瘍が出現.経皮的肝腫瘍生検では未分化癌と診断された.食道癌に準じた化学療法を行ったが,肝不全で死亡した.剖検では肝臓のほぼ全体が白色の充実性腫瘍で置換されており,chromogranin A,CD56が陽性で,MIB-1が45.8%と高値なため,肝原発神経内分泌癌と診断した.本症例では食道癌の既往があり針生検でも確定診断がつかなかったため,食道癌化学療法に準じた治療を行ったが,奏効しなかった.
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  • 夏目 誠治, 平松 和洋, 加藤 岳人, 柴田 佳久, 吉原 基, 青葉 太郎
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1348-1353
    公開日: 2013/11/25
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    癌肉腫は同一腫瘍内に上皮由来の癌と間葉系細胞由来の肉腫が混在する腫瘍であり,中でも「いわゆる癌肉腫」は癌腫の一部が肉腫様に変化したものとされる.一般的に,その上皮性腫瘍成分は腺癌であることが多く,扁平上皮癌であることは稀である.今回われわれは,胆嚢に発生し上皮性腫瘍成分が扁平上皮癌であった「いわゆる癌肉腫」の1例を経験したので報告する.症例は68歳の女性.嘔吐と食欲不振を主訴に受診し,十二指腸球部浸潤を伴う進行胆嚢頸部癌の診断で,拡大胆嚢摘出,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的に扁平上皮癌と紡錘形細胞腫瘍の混在を認め両者の間に移行像を認めた.紡錘形細胞腫瘍は上皮系マーカーであるkeratinによる免疫染色において陽性であり,「いわゆる癌肉腫」と診断した.術後3カ月で肝転移と腹膜再発により死亡した.
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  • 山本 基, 寺澤 宏, 那須 亨, 小林 康人, 坪田 ゆかり, 原 猛
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1354-1360
    公開日: 2013/11/25
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    症例は67歳,男性,右季肋部痛と発熱を主訴に来院した.腹部MRIで肝前区域を中心とする腫瘍を認め,肝亜区域切除・胆嚢摘出・十二指腸部分切除・横行結腸部分切除を施行,H.E.染色では低分化型胆管細胞癌であった.術後30病日ごろから口渇・多飲・多尿・全身倦怠感および見当識の低下を認めた.高血糖や骨転移は認めず,Ca と PTHrP の上昇(14.6mg/ml,7.0pmol/l)を認めた.ただちにcalcitoninおよびzoredronateを投与し,症状緩和は得られたが,まもなく播種性の再発が生じ,術後64病日に死亡した.免疫組織学的検討では,CEA,cytokeratin(CK)-7,CK-8,CK-19,PTHrPが陽性,AFP,hepatocyte specific antigen(HSA),CK-20,PTHが陰性であったことから,最終的にPTHrP産生胆管細胞癌と診断した.
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  • 岸本 拓磨, 岡田 禎人, 林 英司, 井上 昌也, 小倉 淳司
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1361-1365
    公開日: 2013/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は47歳,男性.基礎疾患として高血圧,糖尿病,洞性頻脈を指摘されていた.当院泌尿器科で尿路結石の精査目的に腹部造影CT施行したところ,膵頭部前面に造影される6.0×5.5cmの腫瘤を指摘された.悪性リンパ腫を疑い,当科にて腫瘍摘出術を施行した.切除標本の病理組織学的検索および免疫染色の結果では,NSE+,chromogranin A+であり,Extraadrenal intraabdominal paragangliomaと診断した.術後経過は良好で,術後約10カ月の現在,再発は認めていない.膵頭部前面に発生したparagangliomaは稀であり,文献的考察を加えて報告する.
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  • 須藤 広誠, 岡野 圭一, 山本 尚樹, 赤本 伸太郎, 藤原 理朗, 井町 仁美, 鈴木 康之
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1366-1371
    公開日: 2013/11/25
    ジャーナル フリー
    von Hippel-Lindau病(以下,VHL病と略記)は遺伝性多発腫瘍性症候群で,膵病変も高率に合併する.VHL病に合併した膵病変に対し,膵頭十二指腸切除術と膵尾部切除術を同時に施行した2例を経験した.
    症例1は33歳,男性.膵鉤部,膵尾部ならびに両側副腎に腫瘍性病変を認め,膵頭十二指腸切除術,膵尾部切除術ならびに両側副腎摘出術を施行した.膵鉤部病変は神経内分泌腫瘍,膵尾部病変は漿液性嚢胞であった.遺伝子検査でVHL病と診断された.術後に膵瘻(ISGPF Grade B)を認めた.
    症例2は60歳,女性.症例1の母親.膵頭部と膵尾部に腫瘍性病変を指摘された.VHL病と診断され,膵頭十二指腸切除術ならびに膵尾部切除術を施行した.膵鉤部病変は神経内分泌腫瘍,膵鉤部病変は漿液性嚢胞腺腫であった.術後に膵瘻(ISGPF Grade B)を認めた.
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  • 水野 智哉, 降籏 誠, 久保 淑幸, 谷 雅夫
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1372-1374
    公開日: 2013/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は43歳,男性.腹満・臍周囲痛を主訴に来院した.来院時,腹部に軽度の圧痛を認めるのみで,外傷痕は認めなかった.血液生化学検査上,BUN/Crの軽度上昇を認めた.既往に約2年前S状結腸癌に対しS状結腸切除・膀胱部分切除術を施行した経緯もあり,保存的治療を開始した.同日夜,腹痛の増強,乏尿を認め,精査の結果,腎機能障害の悪化,アシドーシス,腹水の貯留を認めた.翌朝,さらなる症状増悪を認め,汎発性腹膜炎の診断で緊急手術を施行した.術前導尿カテーテルは挿入困難であった.開腹所見で,骨盤内回腸と膀胱に癒着を認め,その背側の膀胱に孔を認めた.前回治療の際に施行した膀胱部分切除部位近傍に発生した膀胱破裂に伴う汎発性腹膜炎と診断,穿孔部を縫合閉鎖,恥骨上膀胱瘻造設術を施行し手術を終了した.今回われわれはS状結腸癌に対する膀胱合併部分切除術後の膀胱破裂の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 平岡 和也, 長岡 眞希夫, 山邉 和生, 藤田 繁雄, 道浦 俊哉
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1375-1381
    公開日: 2013/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は57歳,女性.34歳時に子宮筋腫に対し子宮全摘術を受けた.今回,軽い腹痛のため当院を紹介受診した.腫瘍マーカーは正常で,造影CT検査,MRIで腸間膜,腹膜に境界明瞭で円形の1~4cm大の大小多数の腫瘤を認め,腫瘤内部の濃度はいずれも筋肉と同等で,造影で均一に強い造影効果が見られた.リンパ節腫大を認めず,他臓器に悪性を疑わせる所見や腹水を認めなかった.子宮筋腫様の腹腔内多発腫瘍に対し診断,治療目的で試験開腹および腫瘍減量手術を施行した.病理組織学的には良性の平滑筋腫で,子宮平滑筋細胞由来の腹膜播種性平滑筋腫症(leiomyomatosis peritonealis disseminata)と診断され,経過観察の方針とした.術後4年が経過するが腫瘍の増大を認めていない.
    本疾患の頻度は極めて低く世界で約100例が報告されているに過ぎず,今回われわれはその1例を経験したので文献的考察を加え報告する.
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  • 若杉 健弘, 高橋 広城, 木村 昌弘, 佐藤 幹則, 竹山 廣光
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1382-1387
    公開日: 2013/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は57歳,女性.急性腹症にて手術施行,十二指腸憩室による穿孔性腹膜炎であったが,Cushing症候群を併存し,全身状態も不良のため,分流手術を施行した.術後(1→3)-β-D-グルカン高値となり,腹腔内からCandidaも検出されたため,真菌性腹膜炎に対して抗真菌薬投与を開始した.臨床症状は改善したが(1→3)-β-D-グルカン高値は遷延し,抗真菌薬の投与中止の判断に難渋した.
    (1→3)-β-D-グルカンは迅速に結果が得られ,深在性真菌症の診断には非常に有用である.一方,(1→3)-β-D-グルカンは必ずしも深在性真菌症の病勢と一致しない場合もあるため,抗真菌薬の継続や中止の判断には,培養結果や臨床症状などを,総合的にBundleとして判断する必要がある.
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  • 村上 英嗣, 緒方 裕, 内田 信治, 石橋 生哉, 亀井 英樹, 山口 倫, 白水 和雄
    74 巻 (2013) 5 号 p. 1388-1391
    公開日: 2013/11/25
    ジャーナル フリー
    症例は20歳,女性.約1カ月ほど前から右鼠径部膨隆を自覚するようになり当科を受診した.右鼠径部に約4cm大の境界明瞭・弾性硬の腫瘤を触知し,超音波検査および腹部造影CT検査にて右鼠径部に内部均一な嚢腫様腫瘤を認めた.大網や腸管,卵巣などの脱出は認めず,右Nuck管水腫と診断し手術を施行した.腫瘤は一部子宮円索と強固に癒着しており,この癒着部にて腫瘤は閉鎖しており腹腔内との交通は認めなかった.子宮円索とともに高位結紮切離した後,Marcy法にて内鼠径輪の縫縮を加えた.摘出した腫瘤の内容物は暗赤色の液体で,大きさ6.3cm×2.6cmの薄い皮膜に覆われた単房性の腫瘤であった.病理組織学的検査で子宮内膜上皮成分が認められたことから,子宮内膜症を伴ったNuck管水腫と診断された.成人のNuck管水腫は比較的稀な疾患であるが,鼠径部腫瘤の鑑別として念頭に置く必要がある.
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