日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
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74 巻 , 6 号
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臨床経験
  • 水上 陽, 太田 秀一, 原田 敦, 赤神 正敏, 井ノ本 琢也, 足立 幸人
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1423-1426
    公開日: 2013/12/25
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡下虫垂切除術(LA)は1983年Semmらの報告以来,開腹虫垂切除術(OA)と比較し術後疼痛の軽減や創感染の減少などの優位性が報告されている.今回,当院で2003年6月から2012年10月までに施行されたLA 737症例を検討した.平均手術時間69分,平均術後在院日数6.8日,創感染8例(1.1%),術後遺残膿瘍21例(2.8%),開腹移行21例(2.8%),術後イレウス6例(0.8%),術後肺塞栓による死亡例が1例(0.1%).いずれも壊疽性虫垂炎,または穿孔性虫垂炎での合併症であった.
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  • 竹中 芳治, 佐々木 貴浩, 福岡 麻子, 星野 博之, 佐々木 大祐, 宮島 伸宜
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1427-1431
    公開日: 2013/12/25
    ジャーナル フリー
    目的:腹腔鏡下大腸癌切除術(LAC)症例で術中開腹移行例を経験する.LAC開腹移行率の低下すなわち完遂率向上に必要な因子を検討した.
    方法:当センターで施行したLAC206例中の開腹移行症例を対象に開腹既往歴の有無,術中所見,開腹移行理由,最終的術式,術中術後経過,標本病理所見について検討した.
    結果:開腹移行例は,結腸癌5例と直腸癌4例の計9例(4.4%)で,結腸癌の4.0%,直腸癌の4.9%であり,無開腹既往歴149症例中4例(2.7%),有開腹既往歴57症例中5例(8.8%)であった.移行理由は,高度癒着や術中偶発症によるもの4例,他臓器浸潤疑診5例であった.
    結語:術前診断不能であった癌の他臓器浸潤による合併切除の必要性が,開腹移行の最重要因子であった.LACの開腹移行率低下のためには,他臓器浸潤のさらなる精密な術前評価が重要と思われる.
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症例
  • 下条 芳秀, 山本 徹, 西 健, 百留 亮治, 矢野 誠司, 田島 義証
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1432-1435
    公開日: 2013/12/25
    ジャーナル フリー
    再発大腸癌に対するFOLFIRI+cetuximab療法により高アンモニア血症をきたした症例を経験したので報告する.症例は79歳,男性.軽度の腎機能障害を認めていた.上行結腸癌に対する結腸右半切除術を施行後,補助化学療法としてUFT/LV療法を開始した.投与中に腹腔リンパ節,腹膜再発を認め,CapeOX+bevacizumab療法に変更した.しかし,肺転移が出現したためFOLFIRI+cetuximab療法に変更した.治療開始2日目,高アンモニア血症による不穏行動と意識障害を認め,補液,分岐鎖アミノ酸製剤投与にて改善した.高用量5-FUによる高アンモニア血症と判断し,5-FUの減量と分岐鎖アミノ酸製剤を併用しながらの治療継続を試みたが,意識障害の再発を認めた.腎機能障害を有する症例に高用量5-FUを使用する際には高アンモニア血症を念頭に置きながら治療に当たることが重要である.
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  • 山本 将輝, 吉満 政義, 向田 秀則, 平林 直樹, 多幾山 渉, 金子 真弓
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1436-1442
    公開日: 2013/12/25
    ジャーナル フリー
    今回,われわれは脳転移を契機に発見されたS状結腸癌に対し転移巣および原発巣切除を行い,長期生存を得た症例を経験したので報告する.症例は71歳,女性,左手と左顔面の痙攣を主訴に当院外来受診した.頭部CT上右運動野近傍に径18mmのring enhanced massおよび周囲浮腫が認められた.病状悪化したため開頭腫瘍摘出術を施行した.中分化型腺癌の像が認められ転移性病変と診断された.下部消化管内視鏡検査でS状結腸に半周性の2型腫瘍,生検にて中分化型腺癌の像を認め,S状結腸癌孤立性脳転移と診断した.外科にて腹腔鏡補助下S状結腸切除術を施行,最終診断はS/C,type 2,SI,ly1,v1,ow(-),aw(-),N2,P0,H0,M1,Stage IVであった.3カ月後,頭部MRIにて辺縁再発が疑われγナイフ施行した.術後92カ月間の経過で再発兆候を認めない.
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  • 波多 豪, 赤木 謙三, 堂野 恵三, 北田 昌之, 足立 史朗
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1443-1447
    公開日: 2013/12/25
    ジャーナル フリー
    乳腺原発神経内分泌癌はまれな疾患であるが,今回われわれは,その1亜型であるsolid neuroendocrine carcinomaの3例を経験したので報告する.症例1は85歳女性.左乳房C領域に30mm大の腫瘤を認め,T2N1M0 Stage IIBの左乳癌に対して胸筋温存乳房切除術,腋窩リンパ節郭清を施行した.症例2は76歳女性.右乳房A領域に20mm大の腫瘤を認め,T1N0M0 Stage Iの右乳癌に対して胸筋温存乳房切除術,センチネルリンパ節生検を施行した.症例3は74歳女性.左乳房C領域に20mm大の腫瘤を認め,T1N0M0 Stage Iの右乳癌に対して胸筋温存乳房切除術,センチネルリンパ節生検を施行した.3症例とも切除標本の病理組織検査で,H.E.染色,免疫染色によってsolid neuroendocrine carcinomaと診断した.
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  • 伊関 正彦, 望月 哲矢, 向井 正一朗, 徳永 真和, 嶋谷 邦彦, 立山 義朗
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1448-1453
    公開日: 2013/12/25
    ジャーナル フリー
    極めて稀な超高齢乳腺神経内分泌癌の1手術症例を経験したので報告する.症例は91歳,女性.2011年12月右乳房に腫瘤を自覚し当科受診.右E領域に85mm大の固い腫瘤を触知したたため,針生検施行.浸潤性乳管癌と診断された.胸部造影CTで明らかなリンパ節転移,遠隔転移は認めなかった.リンパ節転移を認めなかったことと年齢を考慮し,入院後全身+硬膜外麻酔下に単純乳房切除術を施行した.術後病理所見で腺管様構造,ロゼット様配列を認め,免疫染色でシナプトフィジンおよびNSEは100%陽性,クロモグラニンAは50%陽性で神経内分泌癌(>浸潤性乳管癌,ER score 3(>95%,陽性),PgR score 3(>30%,陽性),Hercep test score 0(0%))と診断された.術後4週目からレトロゾール内服のみを行っているが12カ月再発を認めていない.
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  • 大場 崇旦, 原田 道彦, 春日 好雄, 家里 明日美, 小野 真由, 上原 剛
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1454-1457
    公開日: 2013/12/25
    ジャーナル フリー
    異所性乳癌の頻度は全乳癌の0.2~0.6%程度であり,発生部位は腋窩が最も多いとされている.前胸部に発生した異所性乳癌は本邦では10例の報告があるのみで,特に正中に発生した症例は極めて稀である.今回前胸部正中に発症した異所性乳癌と考えられた1例を経験したので報告する.症例は86歳,女性.2009年夏頃より前胸部正中の腫瘤を自覚し,徐々に増大してきたため,2010年秋,当院を受診した.前胸部正中,胸骨前面に4×4cm大の可動性不良な腫瘤を認め,MRI検査で胸骨前面に接する42mm大の腫瘤を認めた.針生検にて乳頭腺管癌,ER強陽性,PgR陰性,HER2陰性であったが,高齢であり手術を希望されなかったため,内分泌療法にて経過観察とした.約2年間,腫瘍は縮小したが,その後,増大傾向を認めたため局所麻酔下で腫瘍摘出術を施行した.病理組織学的に胸骨骨膜への浸潤も認め,放射線治療を施行し経過観察中である.
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  • 安田 尚美, 伊藤 寿朗, 川原田 修義, 萩原 敬之, 奈良岡 秀一, 樋上 哲哉
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1458-1461
    公開日: 2013/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は31歳,女性.妊娠31週目に胸痛および背部痛を自覚し,近医に緊急搬送された.造影CTにて急性A型大動脈解離と診断され,当院に手術目的に緊急搬送された.搬入時,患者の血行動態が安定していたため,帝王切開を先行させ,胎児を娩出後に人工血管置換術を一期的に行うこととした.また,人工血管置換術中の産科的出血を予防するために子宮全摘術を予定した.手術は帝王切開にて胎児を娩出し,引き続き産婦人科医により子宮全摘術を行った後,心臓血管外科医によって人工心肺を用いて上行大動脈人工血管置換術を施行した.術後経過は良好で出血などの合併症もなく,母子ともに術後24日目に自宅退院した.
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  • 唐橋 強, 吉水 信就, 関 みな子, 櫻井 孝志, 中島 顕一郎, 細田 洋一郎, 清水 健
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1462-1466
    公開日: 2013/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,男性.65歳時に右肺扁平上皮癌に対し右中下葉切除を施行した.術後1年目の検査で膵体部に腫瘤を認め,膵悪性腫瘍が疑われたためERCP下に擦過細胞診を施行し,Class V(腺扁平上皮癌)と診断された.原発性または転移性膵癌の術前診断で膵体尾部切除を施行した.膵病変は腺扁平上皮癌であり,11pリンパ節に転移がみられた.肺癌の病理学的所見と総合した結果,転移性膵癌と診断した.他臓器転移や局所再発の所見はなく,孤立性転移と考えられた.術後24カ月で原病死した.肺癌の膵転移はまれではないが多発他臓器転移の一部分症であることが多く,切除の対象になることは少ないと考えられ,切除例の報告は本邦で19例のみである.一方で,孤立性膵転移に対しては切除後長期予後が得られた症例も報告されており,症例を選べば積極的な外科的治療の対象になり得ると考えられた.
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  • 佐々木 量矢, 坂本 俊樹, 松井 聡, 斎藤 節
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1467-1472
    公開日: 2013/12/25
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    症例は97歳,男性.上腹部痛を主訴に当院救急外来を受診した.腹部単純CTにてMorgagni孔に嵌入する横行結腸と大網を認め,Morgagni孔ヘルニア嵌頓と診断した.疼痛は次第に増強し,ヘルニア内容の血流障害を否定できなかった.一方で超高齢,心筋梗塞・心不全の既往,抗血栓療法中などの高リスクから手術適応の判断に苦慮したが,御家族が手術を希望され緊急開腹となった.手術所見では嵌頓した横行結腸や大網は用手的に還納され,軽度の血流障害を認めるのみであり壊死や穿孔は認めなかった.ヘルニア門は3×3.5cmであり,ヘルニア嚢は処理せず縫合閉鎖のみを行い,短時間にて手術を終了した.術後肺炎を併発したが軽快し自宅退院となり,現在102歳にて存命である.
    1990年以降本邦で報告されている,超高齢者に発症したMorgagni孔ヘルニア症例において,自験例は13例目,最高齢,唯一の男性であった.
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  • 高橋 宏明, 市川 伸樹, 高橋 周作, 廣瀬 邦弘
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1473-1478
    公開日: 2013/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は67歳の男性で,嚥下障害を主訴に当院を受診した.上部消化管内視鏡検査で胸部下部食道に隆起性病変を認めた.生検で褐色顆粒の沈着を伴う腫瘍細胞が認められ,HMB45染色陽性の結果から悪性黒色腫と診断した.他に病変を認めず食道原発悪性黒色腫と診断し,右開胸開腹食道亜全摘術を施行した.病理組織学的検査所見では壁深達度粘膜下浸潤(以下T1b),リンパ節転移陽性の診断で,食道癌取扱い規約に従った進行度はpT1bN1M0,stage IIであった.術後合併症による体力低下のため,補助化学療法は施行しなかった.術後14カ月で肺・肝・後腹膜に再発を認め,化学療法を施行したが,その後,骨転移・脳転移をきたし術後20カ月で死亡した.T1b症例について本邦報告例で検討した結果,リンパ節転移の有無にかかわらずその予後は不良であった.予後改善のためには,より有効な免疫化学療法の確立が必要と考えられた.
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  • 若松 高太郎, 西田 正人, 松田 真輝, 谷澤 徹, 宮本 幸雄, 梅北 信孝
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1479-1482
    公開日: 2013/12/25
    ジャーナル フリー
    75歳男性,嚥下困難と心窩部痛で当院救急外来を受診した.上部内視鏡検査で腹部食道に進行食道癌を認め,病理組織検査で食道粘表皮癌の診断となる.術前化学療法として5-fluorouracil(5-FU),cisplatin(CDDP)併用療法(以下FP療法)を2コース実施後に右開胸開腹食道亜全摘,2領域リンパ節郭清,後縦隔経路胃管再建術を実施した.術後病理診断Ae,T2N0M0 Stage II,化学療法効果判定Grade 1bであった.順調に経過し,術後11日目に退院となった.食道粘表皮癌は非常に稀な特殊組織型で化学療法及び放射線療法に抵抗性があるとされ,予後が扁平上皮癌と比較し不良であるとされているが,われわれは術前化学療法で腫瘍縮小を確認し根治切除しえた食道粘表皮癌を経験したので若干の文献的考察とともに報告する.
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  • 若井 淳宏, 番場 竹生, 中川 悟, 藪崎 裕, 松木 淳, 梨本 篤, 川崎 隆
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1483-1487
    公開日: 2013/12/25
    ジャーナル フリー
    症例1は74歳,男性.1996年(62歳時)に左肺門部小細胞癌に対し線量45Gyの化学放射線療法(CRT)を施行し,以後再発はなかった.2008年に胸部上部食道に表在癌を認め,右開胸食道切除術を施行した.病理所見は扁平上皮癌,T1b(SM3)N0M0,Stage Iであった.術後3年6カ月無再発経過観察中である.症例2は61歳,男性.1990年(41歳時)に左肺門部小細胞癌に対し線量 60GyのCRTを施行し,再発はなかった.2010年に胸部上部食道に表在癌を認め,右開胸食道切除術を施行した.病理所見は扁平上皮癌,T1b(SM2)N0M0,Stage Iであった.術後2年無再発経過観察中である.本症例は肺癌に対するCRT後の放射線誘発食道癌である可能性が考えられた.CRT後の食道癌の治療選択は全身状態を十分考慮して行い,手術時は縦隔内の瘢痕化や周囲臓器の血流障害への配慮が必要である.
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  • 三田 陽子, 金田 邦彦, 三浦 由紀子, 中山 俊二, 川口 勝徳
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1488-1494
    公開日: 2013/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,男性.胸部不快感を主訴に来院した.上部消化管内視鏡検査にて胸部中部食道に1/4周性の1型腫瘍を認め,生検にて扁平上皮癌と診断された.また十二腸下行脚に粘膜癌を認めた.胸腹部CTにて肝転移は認めなかったが,広範囲にリンパ節の腫大(No.7,No.106)が認められた.術前化学療法(FP療法)を1クール施行後,食道癌根治術および十二指腸局所切除術を行った.食道の病理組織学的所見はBasaloid-squamous carcinoma,十二指腸はcancer with adenomaであった.軽快退院後,補助化学療法(FP療法)を2クール行ったが,術後6カ月目のCTで肝S7に直径4cmの転移巣が認められた.他の部位には転移が認められなかったため,肝後区域切除術を行った.肝転移巣の病理組織所見は食道原発巣と類似の所見であった.肝切除後から2年半経過した現在,無再発生存中である.
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  • 水本 一生, 草竹 兼司
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1495-1498
    公開日: 2013/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,女性.交通事故により十二指腸・横行結腸穿孔,膵・右副腎・右腎損傷を受傷し,回腸人工肛門造設・横行結腸双孔式人工肛門造設術を施行される.腹壁縫合創離開部は胃幽門部が露出したまま上皮化せず経過し,同部の穿孔により難治性の胃皮膚瘻と周囲の皮膚炎を発症したため当科入院となった.ソマトスタチンアナログとプロトンポンプインヒビターの併用による保存的治療や内視鏡的瘻孔閉鎖術を試みるも,閉鎖できなかったため.ヒンジ皮弁による胃皮膚瘻閉鎖術を施行し,陰圧閉鎖療法(Negative Pressure Wound Therapy)で創傷管理することで,良好な結果を得たので報告する.
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  • 前田 好章, 篠原 敏樹, 濱口 純, 梅本 浩平, 二川 憲昭, 濱田 朋倫
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1499-1505
    公開日: 2013/12/25
    ジャーナル フリー
    胃癌手術Roux-en-Y再建後の内ヘルニアによるイレウスの5例を報告する.初回手術は胃全摘2例,幽門側胃切除2例,腹腔鏡補助下幽門側胃切除1例であった.全例で,CTにて腸管のcaliber changeおよび腸間膜血管の渦巻き所見(whirl sign)がみられ,Roux-en-Y吻合部の腸間膜間隙への内ヘルニアであった.緊急手術の3例は開腹で施行されたが,反復症状で待機手術となった2例は腹腔鏡下内ヘルニア整復術が施行可能であった.5例とも腸管整復後にヘルニア門の腸間膜間隙を縫合閉鎖し,再発を認めていない.当科において胃癌Roux-en-Y再建例の内ヘルニア発症率は1.6%(5/313)であり,発症例は全例腸間膜間隙の縫合閉鎖が施行されていなかった.胃癌手術においてRoux-en-Y再建を施行する場合は,Roux-en-Y吻合部の腸間膜間隙の縫合閉鎖は必須の手技とすべきである.
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  • 山田 圭一, 山本 雅由, 奥田 洋一, 森田 洋平, 永井 健太郎, 井上 和成
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1506-1510
    公開日: 2013/12/25
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    症例は50歳,女性.心窩部不快感を主訴に近医受診.上部消化管内視鏡検査で胃体中部小彎に0-IIc病変を認め,生検の結果は低分化型腺癌であった.手術目的に当院紹介受診となり,早期胃癌T1bN1M0 Stage IBの術前診断で,胃全摘術,D1+郭清を行った.病理学的診断では,低分化型腺癌,pT1a(M),2群リンパ節転移を含むpN3a(7/51)であった.術後17カ月,無再発生存中である.2群リンパ節転移を伴うN3の胃粘膜内癌症例はまれであり,文献的考察を加えて報告する.
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  • 椎名 裕樹, 永田 松夫, 鍋谷 圭宏, 滝口 伸浩, 趙 明浩, 山本 宏
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1511-1515
    公開日: 2013/12/25
    ジャーナル フリー
    54歳,男性.食道癌と胃癌にて同時切除術を行ってから5年後に定期的上部消化管内視鏡検査(GS)により早期胃管癌が発見され,内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を施行した.切除標本の病理所見は,tub1~tub2,pSM1以深,LM0,VM1であった.高度肺気腫が存在したため,追加の胃管全摘術は行わず,無治療経過観察した.ESD後2年2カ月後に,GSにより胃管癌の局所再発が認められた(生検でpor).呼吸機能低下のために,S-1による化学療法を行った.GSでは胃管癌の進行は明らかではなかったが,呼吸機能の急速な悪化により,化学療法開始後約6カ月で永眠した.病理解剖により,胃管癌全体に表層性に広がる低分化腺癌の伸展,粘膜下・漿膜下のリンパ管侵襲,両肺の高度な癌性リンパ管症,胸膜転移,心筋,骨髄など,広範な他臓器への転移が判明した.胃管癌の治療を行う上で問題を提起する1例であると考えられる.
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  • 稲本 道, 和田 康雄, 松下 貴和, 五味 隆, 大歳 雅洋, 三村 六郎
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1516-1522
    公開日: 2013/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は59歳の男性で,心窩部痛を主訴に近医を受診し内視鏡検査で胃前庭部の全周性腫瘍を認め,当科に紹介となった.Alpha-fetoprotein(以下AFPと略記)値が異常高値であり,CTでは肝左葉の巨大な腫瘍と門脈左枝から本幹に至る広汎な腫瘍栓を認めた.姑息術として幽門側胃切除術と肝生検を施行し,病理検査にてAFP産生胃癌と肝転移との診断を得た.また原発巣の一部に神経内分泌癌の胞巣の混在を認めた.術後よりCPT-11/CDDPを施行し,6回投与時点でAFP値は正常化し,10回投与時点で肝転移巣と門脈腫瘍栓は著明に縮小した.以降化学療法は施行せず胃切除術後3年10カ月現在,再発所見なく生存中である.門脈腫瘍栓を伴うAFP産生胃癌肝転移に対する全身化学療法単独での長期生存の報告は,検索しえた限り本邦初例で,神経内分泌癌の混在を認めた点でも示唆に富む症例であり,文献的考察を加え報告する.
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  • 新井 洋紀, 松谷 毅, 吉田 寛, 笹島 耕二, 内田 英二
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1523-1528
    公開日: 2013/12/25
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    74歳,男性.既往歴は統合失調症,慢性C型肝炎.健診で貧血を指摘され紹介受診となった.上部消化管内視鏡にて,胃体上部大弯側に広範囲で境界不明瞭な潰瘍性病変を認めた.生検で中分化管状腺癌であったが,再検査では,びまん性異型リンパ球増殖を認め悪性リンパ腫が疑われた.所属リンパ節腫脹や遠隔転移はなく,胃悪性リンパ腫と胃癌の重複と診断し胃全摘術を施行した.切除標本の病理組織検査では,lympho-epithelial lesion形成とCentrocyte-like cellsよりmucosa associated lymphoid tissue (MALT)型リンパ腫と診断し,さらに中分化管状腺癌(T1aN0)が同一病変内で指摘されたため重複するものと診断したが,検鏡法ではHelicobacter Pylori陰性であった.本症例は胃MALTリンパ腫と早期胃癌が共存した極めてまれな症例であった.
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  • 平賀 雅樹, 小野 文徳, 大村 範幸, 佐藤 学, 山村 明寛, 佐藤 純
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1529-1532
    公開日: 2013/12/25
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    症例は79歳,女性.化膿性手関節炎の診断に難渋して長期間NSAIDとステロイドを内服中であった.手関節炎の術後に突然発症した上腹部痛が増悪したため当科紹介となった.腹部造影CTでfree airと腹水,空腸壁の浮腫を認め,消化管穿孔の診断で緊急手術を施行した.十二指腸水平部に穿孔を認め,憩室や異物は認められなかった.発症後2日経過していたことから単純縫合閉鎖ではなく空腸パッチ+大網被覆術を施行したが,術後縫合不全をきたした.状態が落ち着いてから十二指腸水平部までの上部内視鏡検査を施行したが,穿孔部以外には明らかな潰瘍の痕跡を認めなかった.非常にまれな憩室や異物を認めない十二指腸水平部穿孔の1手術例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
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  • 小久保 健太郎, 林 昌俊, 栃井 航也, 高橋 啓, 松本 光善
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1533-1537
    公開日: 2013/12/25
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    症例は16歳の男性で,日齢3に腸回転異常症に伴う中腸軸捻転症に対し,Ladd手術を施行されたが,腸管固定は行われなかった.術後16年目に突然,腹痛・嘔吐を認め近医を受診し,腸閉塞診断で当院を受診した.腹部CT検査で上腸間膜静脈が上腸間膜動脈の左側に位置し,上腸間膜動脈を中心に腸管および腸間膜動静脈が渦巻き状に取り囲む像を認めた.腸回転異常症による中腸軸捻転症と診断し,緊急手術を施行した.空腸・回腸が反時計回りに540度捻転しており,上行結腸・下行結腸は後腹膜に固定されていなかった.腸管の壊死は認めず,捻転を解除し,再発予防のため,上行結腸を右傍結腸窩腹膜へ固定し手術を終了した.術後再発認めず経過している.腸回転異常症術後の再捻転はまれであるがLadd手術時に腸管固定を行うことを考慮しても良いと思われる.
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  • 鷹合 真太郎, 森下 実, 松之木 愛香, 荒能 義彦, 飯田 茂穂, 湊 宏
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1538-1542
    公開日: 2013/12/25
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    症例は80歳,女性.腹痛を主訴に来院し,イレウスの診断で入院した.下部消化管内視鏡検査では,S状結腸に粘膜の浮腫と潰瘍性病変を認め,虚血性大腸炎と診断した.絶食輸液による保存的加療を継続したが,入院77日目に小腸イレウスを発症した.イレウス管挿入により軽快したが,再燃したため,入院98日目にイレウス解除のため手術を施行した.手術所見では,回腸の2カ所に索状狭窄を認めた.結腸では横行結腸からS状結腸に至るまで管状に細径であり,その肛門側が高度に狭窄していた.回腸の狭窄病変については,回盲部切除術を施行し,S状結腸の狭窄病変に対しては,結腸切除術は行わず,狭窄部口側の結腸に人工肛門を造設した.切除標本では,小腸狭窄部の壁肥厚と内腔の狭窄を認め,病理学的検査で虚血性小腸炎と診断された.虚血性大腸炎に併発した狭窄型虚血性小腸炎は報告例が少なく,極めて稀な症例と考えられた.
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  • 石井 雅之, 佐々木 一晃, 大野 敬祐, 柴田 稔人, 河野 剛, 平田 公一
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1543-1546
    公開日: 2013/12/25
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    消化管手術後の腸管皮膚瘻は手術後早期に発生することが多い.今回,手術から70年を経過して手術創に消化管皮膚瘻を発症した症例を経験したので報告する.症例は86歳,女性.70年前に急性虫垂炎とその後の腸閉塞に対し2回の開腹手術歴を有する.5カ月ほど前から下腹部正中創に皮膚炎を認め近医で治療されていたが,瘻孔が確認され以前の消化管手術との関係が疑われて当科紹介となった.瘻孔造影で小腸皮膚瘻と診断した.排液による皮膚症状が強くなり,瘻孔に対する根治治療のため手術を選択した.術前検査で炎症性腸疾患や悪性疾患の所見はなかった.瘻孔を中心に皮膚びらん部を含め,小腸と皮膚瘻関与組織を一塊として切除した.腹腔内に悪性所見や膿瘍の所見はなかった.病理組織学的検索では瘻孔部に炎症を認めたが,悪性所見や異物反応はなかった.70年前の手術創に癒着した腸管に生じた炎症により皮膚瘻を形成したと考えられるが原因は特定できなかった.
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  • 川崎 有亮, 寺嶋 宏明, 上田 修吾, 福永 明子, 八木田 正人
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1547-1551
    公開日: 2013/12/25
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    症例はtrisomy8陽性骨髄異形成症候群とSjögren症候群で当院加療中の32歳の女性.右下腹部痛と発熱を主訴に緊急入院し,絶食と抗生剤加療で症状は改善したが,入院9日目に腹痛が再燃,腹部CT検査で消化管穿孔に伴う汎発性腹膜炎と診断された.緊急開腹術で上行結腸および終末回腸の穿孔と判明し,結腸右半切除+回腸人工肛門造設術を施行した.回盲部病変は病理学的診断で非特異的潰瘍であり,口腔内アフタ性潰瘍・顔面の痤瘡様皮疹・手指関節炎の特徴的な臨床症状もふまえて,不全型Behçet病の回腸潰瘍穿孔の確定診断に至った.近年,本邦におけるtrisomy8陽性骨髄異形成症候群に腸管Behçet病を併発する報告が増えており,このような場合は穿孔のリスクを有する回盲部領域の潰瘍合併の可能性を念頭に置き,できるだけ早期の下部消化管検査を施行するべきである.
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  • 石川 順英, 森岡 広嗣, 西平 友彦, 山岡 竜也, 井上 英信, 廣瀬 哲朗
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1552-1556
    公開日: 2013/12/25
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    症例は53歳,女性.1年前に検診時に卵巣腫瘍を指摘されていたが,放置していた.腹痛を契機に近医で精査を受け卵巣腫瘍を疑われ,当院婦人科に紹介された.CT検査,経腟エコー検査で10cmを超える嚢胞性腫瘤を認め,右卵巣腫瘍と診断され手術となった.片側附属器切除予定で開腹したが,両側卵巣は正常で,回腸末端の小腸間膜に腫瘤がみられたため,癒着していた虫垂,回腸とともに切除した.術後病理検査では腸間膜血腫の診断で,腹部外傷,血液疾患,抗凝固薬内服などの既往はなく,特発性腸間膜血腫と診断した.発症から長期間経過しており,骨盤内に存在したため嚢胞性卵巣腫瘍との鑑別が困難であったと考えられた.特発性腸間膜血腫はまれではあるが骨盤内嚢胞性病変の鑑別診断の1つに含まれるべきであると思われた.
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  • 加藤 久仁之, 藤澤 健太郎, 玉澤 佳之, 御供 真吾, 佐瀬 正博, 若林 剛
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1557-1562
    公開日: 2013/12/25
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    症例は74歳,女性.浣腸を施行後,腹部膨満が生じ近医を受診した.腹部X線写真にてフリーエアを認めたため,当院へ搬送された.CT検査にてフリーエアと門脈ガス,小腸の気腫性変化を認めた.しかし腹水は認めず腸管血流が保たれていたこと,腹痛および腹膜刺激症状も認めなかったため,経過観察とした.第2病日のCT検査ではフリーエアおよび門脈ガスの消失を認めた.消化管穿孔を否定するために上下部消化管内視鏡検査を行ったが異常所見は認めなかった.糖尿病に対しα-グルコシダーゼ阻害薬を内服していたため休薬とした.その後,腸管気腫像は改善した.近年,糖尿病治療薬であるα-グルコシダーゼ阻害薬による腸管気腫症の報告が散見されるようになった.自験例はα-グルコシダーゼ阻害薬が原因となって腸管気腫を発症したと考える.浣腸による急激な腸管内圧上昇が気腫の破裂,ガスの血管内移行を惹起し,フリーエアと門脈ガスを生じたと考える.
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  • 谷岡 利朗, 川村 秀樹, 田原 宗徳, 高橋 昌宏
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1563-1567
    公開日: 2013/12/25
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    若年女性に発生した多発小腸血管腫に対して,整容性を考慮し腹腔鏡下に切除した1例を経験した.症例は16歳の女性で,2007年に頭痛を主訴に近医を受診し貧血を指摘された.貧血を繰り返すも原因を特定できず,2011年3月に当院を紹介された.同年12月に再度の貧血と便潜血陽性のため,上部,下部消化管内視鏡を行うも出血は認めなかったが,小腸造影検査で腫瘍性病変が確認された.ダブルバルーン小腸内視鏡検査により,小腸血管腫の診断となった.2012年3月に腹腔鏡下小腸切除術を施行した.腹腔鏡による観察で4個の血管腫が小腸壁を通して瘤状に確認できた.臍のポート創を延長し,小腸を体外に引き出した後に腫瘍を切除した.多発血管腫に対しても,腹腔鏡下手術は非常に有用であった.
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  • 原 修, 露久保 辰夫, 土屋 隆
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1568-1572
    公開日: 2013/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は70歳男性,主訴は腹部膨満感,近医より紹介され受診.来院時の腹部CTにて左上腹部に最大径約18cmの巨大腫瘤を認めた.空腸から発生した悪性リンパ腫が最も疑われ,膵,左尿管,下行結腸などへの浸潤も疑われた.上部消化管内視鏡にてTreitz靱帯近傍の空腸より肛門側に向かい全周性の不整形潰瘍を認め,内腔は嚢状に拡張していた.生検組織診にてT細胞リンパ腫の診断となる.小腸造影では空腸に巨大な動脈瘤型の腫瘍認めたが,単発性であると判断され,FDG-PETでも他臓器への転移は認められなかった.以上より,空腸に発生した巨大な悪性リンパ腫の診断にて手術施行した.周囲への浸潤著しく,小腸切除術に膵体尾・脾・左腎尿管・下行結腸などの合併切除を加え摘出した.切除標本の病理組織学的検索では,びまん性の悪性リンパ腫で,免疫染色にてCD3,CD56に強陽性を示し,NK/T細胞リンパ腫と診断された.
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  • 坂口 正純, 姜 貴嗣, 坪野 充彦, 記井 英治, 足立 靖
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1573-1578
    公開日: 2013/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は79歳,女性.腹痛,嘔吐を主訴に救急外来を受診した.CTで回腸に壁肥厚とそれより口側小腸の拡張を認め,回腸腫瘍とそれによる腸閉塞が疑われた.各種検査を行ったが,確定診断には至らなかった.腫瘍は腸閉塞の原因と考えられ,また確定診断を行うため,腹腔鏡下手術を選択した.回腸腫瘍部と近傍の腸間膜リンパ節腫大以外に異常所見は認めず,腫大した腸間膜リンパ節を含めて回腸を部分切除した.術前検査,術中所見と病理組織検査の結果より,回腸が原発の腸管型T細胞リンパ腫と診断した.周囲の腸間膜リンパ節に転移は認めず,治癒切除が得られたと考え,術後化学療法は施行せずに再発兆候無く経過している.極めてまれな消化管原発のT細胞リンパ腫に対して腹腔鏡下手術を施行し良好な経過を得た1例を経験したので報告する.
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  • 濱田 聖暁, 岡 忠之, 柴崎 信一, 荒木 政人, 古川 克郎, 武岡 陽介
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1579-1582
    公開日: 2013/12/25
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    症例は13歳,男児.幼少時より嘔気,腹痛,便秘を繰り返していた.腹痛,嘔気の症状が持続するため当院救急外来を受診.腹部造影CTでSMV rotation signとwhirlpool signを認めた.一部造影不良な腸管を認め,腸軸捻転による絞扼性イレウスの診断で緊急手術を施行した.上行結腸と横行結腸の腸間膜が癒着し,180度時計方向に回転して軸捻転症を生じていた.捻転を整復したところ,Treitz靱帯は形成されていたが上行結腸から横行結腸肝弯部までの腸管は後腹膜に固定されておらず,incomplete fixation型の腸回転異常症と診断した.腸間膜の癒着を剥離して,上行結腸を右側後腹膜に固定し,虫垂切除術を追加した.腸回転異常症は若年期以降にも散見され,反復性の嘔吐や腹痛等の持続症状を有する症例では本症も念頭に置くべきと考えられる.
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  • 鈴木 敏之, 若山 昌彦, 松本 裕史, 神谷 誠
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1583-1589
    公開日: 2013/12/25
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    症例1は69歳,女性.交通事故で受傷し当院に搬送された.腹部CTで左結腸間膜に造影剤の漏出を認め,腸間膜損傷による腹腔内出血と診断,他院へ転送した.他院で血管造影を施行,術中に血管孿縮を生じ自然止血し,状態は安定した.その後,受傷6日目に当院に転院したが,直後から下腹部痛が出現,腹部CTで下行結腸S状結腸移行部に血腫と気腫を認めた.保存的療法で自覚症状は改善するも,受傷37日目のCFで大腸狭窄と診断した.受傷63日目 結腸切除術を施行,術後15日目に退院した.
    症例2は29歳,男性.腹部打撲で当院受診,臓器損傷の所見は認めず腹部打撲と診断.保存的に症状は改善し受傷4日目に退院した.その後,受傷16日目に腹痛を自覚し,再度外来受診した.精査の結果,大腸狭窄と診断,受傷34日目に手術を施行した.
    稀ではあるが,腹部鈍的外傷後に遅発性大腸狭窄をきたす可能性があり,長期的な経過観察が必要である.
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  • 水上 周二, 棟方 隆, 後藤 順一, 小沼 由治, 有山 悌三
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1590-1595
    公開日: 2013/12/25
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    症例は69歳の女性.腹痛を主訴に近医受診.症状悪化したため翌日当院に救急搬送された.腹部は著明に膨満し圧痛を認めた.腹部造影CTでは下行結腸から直腸に糞便が充満しショック状態で代謝性アシドーシスを認めることから腸管壊死を疑い緊急手術を行った.手術所見では拡張腸管の粘膜壊死像が透見され,広範囲壊死を疑い結腸亜全摘,回腸瘻およびS状結腸粘液瘻造設を施行した.術後第8病日にドレーンより腸液の漏出を認め再手術を施行した.回腸瘻から口側10cmから70cmにわたり多発穿孔を認め,同部位を切除し回腸瘻を再造設した.術後は状態安定し術後109病日目に退院となった.閉塞性大腸炎では大腸壊死とともに術後の残存腸管壊死の可能性を常に考慮し,術後も不安定な循環動態が遷延する症例では腸管壊死の徴候が見られた場合は再開腹をためらうべきではないと考えられた.
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  • 新田 智之, 谷脇 智, 高山 成吉, 宗 宏伸, 佐藤 英博, 今村 鉄男, 森光 洋介
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1596-1601
    公開日: 2013/12/25
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    虫垂憩室と虫垂杯細胞カルチノイドは各々まれな疾患であり,両者が併存した1症例を経験したため若干の文献的考察を加え報告する.症例は70歳の女性,右下腹部痛を主訴に当院を受診.虫垂穿孔による膿瘍形成の診断にて直ちに虫垂切除術とドレナージ術を施行した.病理組織検査にて虫垂の近位側に杯細胞カルチノイド,遠位側に多発する仮性憩室のうち1つで穿孔を認めたが両者は距離があり偶発であると判断した.切離断端は腫瘍が陰性であり追加切除や補助化学療法は行わずに経過している.杯細胞性カルチノイドはカルチノイド腫瘍の一亜型とされているが,悪性度が高く予後不良とされている.過去の報告例と自験例を合わせると105例で,治療法や予後に対する一定の見解は定まっていない現状で,切除標本も全割切片でないと発見されないため潜在性の症例も多いと思われる.診断には入念な組織検索が必要であり,追跡予後調査も重要であると考える.
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  • 石塚 純平, 小林 芳生, 馬越 通信, 進藤 吉明, 齋藤 由理, 田中 雄一
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1602-1605
    公開日: 2013/12/25
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    症例1は25歳男性.2011年7月,心窩部痛を主訴に来院した.腹部CT検査にて,上行結腸へ嵌入する直径2cm大の腫瘤を認め,腸重積と診断し,緊急手術を施行した.虫垂が腫大し,根部を先進部に上行結腸へ嵌入していた.回盲部切除術を施行し,病理診断は虫垂粘液腺癌であった.症例2は21歳女性.2011年8月,右下腹部痛を主訴に来院した.腹部CT検査にて,左下腹部の嚢胞性腫瘤と周囲の腸間膜の捻転像を認め,緊急手術を施行した.肝弯曲部に上行結腸に重積した病変を認めた.重積が解除されると,病変は虫垂根部に位置しており,虫垂粘液嚢腫による腸重積と診断した.回盲部切除術を施行し,病理診断は虫垂粘液腺腫であった.成人の虫垂粘液嚢腫による腸重積を2例経験したので報告する.
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  • 大谷 裕, 倉吉 和夫, 梶谷 真司, 河野 菊弘, 吉岡 宏, 金山 博友
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1606-1610
    公開日: 2013/12/25
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    症例は78歳,男性.再発性肺癌に対する化学療法施行中に間質性肺炎を合併し,ステロイドパルス療法が開始された.治療中に突然頻回の下痢と腹部痛が出現した.腹部全体に激しい反跳痛と筋性防御を伴い,腹部CT検査で下部消化管穿孔を疑い緊急手術を施行した.腹腔内所見からS状結腸穿孔と診断し,Hartmann手術を施行した.切除標本は,病理組織学的に偽膜性腸炎と,S状結腸憩室穿孔と診断された.術後直ちにメトロニダゾールによる治療を開始し,一時的に症状は改善したが,約1カ月後に死亡した.一般にC. difficile感染はC. difficile関連性下痢(CDAD)を契機に認識され,その原因の大部分が抗菌薬治療だが,ステロイドパルス療法のように免疫能が抑制される状況下では,抗菌薬の関与無しに腸内floraが乱される可能性があり,同様の治療が施行される際の合併症として注意すべき病態の一つであると考えられた.
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  • 山川 俊紀, 山本 久美子, 大越 祐介, 治田 賢, 久保 孝文, 鈴鹿 伊智雄
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1611-1615
    公開日: 2013/12/25
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    消化管に発生する神経鞘腫は少なく,特に大腸原発は極めてまれである.今回,上行結腸に発生した神経鞘腫に対して双孔式腹腔鏡下結腸右半切除術を施行した1例を経験したので報告する.症例は57歳女性.検診の腹部超音波検査で虫垂付近の直径30mmの腫瘤を指摘され当科に紹介された.腹部超音波検査,腹部造影CT検査,下部内視鏡検査所見から腸間膜リンパ節転移を伴う上行結腸カルチノイドと診断,双孔式腹腔鏡下結腸右半切除術およびD3リンパ節郭清を施行した.病理組織学的には,長紡錘形細胞が束を形成し,錯綜増殖していたが細胞分裂像は認めなかった.免疫組織化学的染色でS-100蛋白陽性,c-kit,CD34,α-SMAは陰性であり,上行結腸に発生した神経鞘腫と診断した.画像上腸間膜リンパ節は腫脹していたものの,転移は認めなかった.
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  • 深田 忠臣, 大森 敏生, 姫野 雄司
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1616-1621
    公開日: 2013/12/25
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    症例は53歳,男性.2週間ほど続く腹痛を主訴に来院.腹部CTにて右側横行結腸の肛門側へ陥入したsausage-shaped patternを認め横行結腸腸重積と診断した.下部消化管内視鏡にて横行結腸肝弯曲部に3cm大の1型腫瘍を認め,送気により重積は解除された.生検では線維化および炎症性変化を認めるのみであったが悪性所見は否定できず,待機的にリンパ節郭清を伴う結腸右半切除術を施行した.病理組織学的検索にて核分裂,核異型を伴う紡錘形細胞の結節性増殖を筋層から粘膜下層に認め,免疫組織化学染色にてc-kit,CD34陰性,desminおよびα-SMA陽性にて最終的に平滑筋肉腫と診断された.2001年以降に免疫組織化学染色にて診断された大腸平滑筋肉腫は本邦9例であり,腸重積を伴った報告はなく本症例は稀な疾患と考えられた.
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  • 小倉 俊郎, 西村 洋治, 網倉 克己, 坂本 裕彦, 黒住 昌史, 田中 洋一
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1622-1626
    公開日: 2013/12/25
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    症例は63歳の女性で右下腹部痛を主訴に前医を受診,盲腸癌および多発肝転移の診断で2000年6月に当科紹介となった.経過中に不正性器出血を認め,婦人科診察にて膣に腫瘤を指摘,生検で腟腺癌と診断された.同年7月,右半結腸切除術および腟部分切除術,同年8月,肝右葉切除術および肝S2部分切除術を施行した.病理組織学的診断にて腟腫瘍は盲腸癌腟転移と診断された.2001年8月,肝S2に再発を認め,肝S2部分切除術を施行した.2002年3月,計5個の両側肺転移(右3個,左2個)に対し,両側肺部分切除術を施行した.最終術後10年経過し無再発生存中である.大腸癌腟転移は非常にまれであり,治療法も明確には定まっていない.腟転移報告例の文献上,他に切除不能病変を認めない場合,積極的な外科的切除で長期生存が期待でき,有効な治療であると考えられた.
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  • 池田 篤, 滝口 伸浩, 早田 浩明, 永田 松夫, 山本 宏, 杉山 孝弘
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1627-1631
    公開日: 2013/12/25
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    61歳,男性.検診で横行結腸に2型の隆起性病変を認め当科紹介となる.当院での大腸内視鏡検査では病変は0-IIa+IIc様に変化していた.生検結果はGroup1のため,再検査を施行したところ病変はさらに0-IIc様に変化していた.再検査時の生検結果もGroup1のため経過観察となった.約10カ月後の内視鏡検査にて,同部に1型腫瘍を認め,生検にてGroup5であったため手術を施行した.摘出標本の病理組織学的検査では,carcinoma with lymphoid stromaの所見を示す低分化腺癌,MPN2H0P0M0 stage IIIbと診断された.carcinoma with lymphoid stromaは胃癌で知られているが,大腸癌では自験例を含めて本邦報告例は8例のみだった.約1年の経過中に縮小,増大と形態変化をきたしたlymphoid stromaを伴う横行結腸癌の1例を報告する.
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  • 坂口 聡, 庄野 嘉治, 前田 恒宏, 谷島 裕之, 辻本 武宏, 堀内 哲也
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1632-1637
    公開日: 2013/12/25
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    症例は75歳,男性.両側鼠径ヘルニアを認め,左陰嚢内にはS状結腸が脱出し陰嚢内に硬い腫瘍を触知した.還納は困難であったが脱出による疼痛はなく,CTでの造影効果も良好で血流障害はないと診断し,待機にて腹腔鏡根治術を施行した.腹腔鏡下にリンパ節郭清,結腸間膜の処理,口側・肛門側の腸管の離断を行い,鼠径部に皮膚切開を行い,ヘルニア嚢に包んだ状態でS状結腸の摘出を行った.術後経過は良好で術後11日目に退院した.今回経験した症例はヘルニア嚢内腫瘍と分類され,S状結腸癌では左側に,盲腸癌では右側に多く報告されている.今回,術前にS状結腸癌によるヘルニア嚢内腫瘍と診断し,腹腔鏡下根治術を施行した症例を経験したので報告する.
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  • 戸井 博史, 森田 恒彦, 柴崎 晋, 津田 一郎, 中村 貴久, 長谷 泰司
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1638-1642
    公開日: 2013/12/25
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    S状結腸癌が孤立性副腎転移で再発し切除した1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は75歳の男性.イレウスをきたしたS状結腸癌に対し,S状結腸切除・人工肛門造設術を施行した.病理所見ではリンパ節転移を伴う高分化管状腺癌であった.補助療法としてCapecitabine療法を6カ月施行した後に,人工肛門閉鎖術を施行した.原発巣切除から1年6カ月に施行したCTで右副腎腫瘤を認めた.FDG-PETを含む精査の結果,孤立性再発と診断し,右副腎切除術を施行した.切除標本の病理所見は管状腺癌の転移であった.補助療法として5FU/LV療法を6カ月施行し,副腎切除後1年6カ月経過し再々発を認めていない.本邦における大腸癌の副腎転移切除の報告は46例であり,なかでも副腎にのみ転移が認められた孤立性副腎転移は21例と稀であった.
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  • 西和田 敏, 向川 智英, 高 済峯, 石川 博文, 稲次 直樹, 渡辺 明彦
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1643-1649
    公開日: 2013/12/25
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    症例は68歳の男性で,10年以上前より痔瘻を自覚し,近医で加療されていた.陰嚢膿瘍のために当院を紹介受診した際には,肛門周囲に多数の二次口を認め,尿道狭窄と膿尿がみられた.痔瘻癌と前立腺部尿道,尿道海綿体球部への瘻孔形成が疑われたが,再三の細胞診,内視鏡的病理検査で悪性細胞を認めなかった.炎症の鎮静化のためシートン法を施行し,その際の生検で腺癌と診断した.横行結腸人工肛門を造設し,手術までの待機期間にmFOLFOX6+panitumumabを4クール行った後,骨盤内臓器全摘,外性器合併切除,左薄筋皮弁再建を施行した.病理検査ではmucinous adenocarcinoma,ai,n0であった.術後補助化学療法としてmFOLFOX6を8クール行い,術後15カ月無再発生存中である.局所進行痔瘻癌においては確実な切除断端陰性を得ることが重要であり,集学的治療による過不足ない手術が必要である.
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  • 阿部 俊也, 福山 時彦, 三浦 哲史, 鬼塚 幸治, 北原 光太郎, 中村 賢二, 槇原 康亮, 清澤 恵理子
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1650-1654
    公開日: 2013/12/25
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    症例は52歳,男性.突然の腹痛を主訴に救急搬送された.外傷の既往はなく,搬送時全身状態は安定していた.腹部造影CT検査で肝左葉外側区域に7cm大の高吸収域な腫瘤性病変と,造影剤の血管外漏出,血腫形成を認め,肝血管腫の破裂による腹腔内出血と診断した.腹部血管造影を施行し左肝動脈,左胃動脈分枝より血管外漏出を認めたため,transcatheter arterial embolization (TAE)を施行し止血を行った.貧血が進行すること,再破裂・膿瘍形成の可能性も考慮し入院後21病日に肝外側区域切除術を施行した.病理学的検査で海綿状血管腫の破綻出血に矛盾しない所見であった.術後経過良好で術後13病日に退院となった.肝血管腫の破裂は極めてまれであるが,破裂後の死亡率は3%と報告されている.破裂症例に対してはTAEによって可及的に止血を得た後に,肝切除を行うなどの治療が適切だと考えられる.
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  • 四倉 正也, 鈴木 慶一, 金田 宗久, 大作 昌義, 浅沼 史樹, 山田 好則, 森永 正二郎
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1655-1660
    公開日: 2013/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,男性.生活歴,既往歴に特記事項はない.他科で施行された血液検査で肝胆道系酵素の異常値を指摘され当科を受診した.白血球数上昇や好酸球増多は認められなかった.腹部超音波検査で肝S2に13mm大の低エコー腫瘤が認められた.同部位は単純CTで低吸収域となり,造影の動脈相から平衡相にかけて不均一な造影効果を呈した.肝内胆管癌を第一に疑い,肝外側区域切除術を施行した.病理組織診断では同病変は類上皮肉芽腫であり,その内部に寄生虫虫体と考えられる構造が認められ,内臓幼虫移行症と診断された.本症はしばしば他の肝腫瘤性疾患との鑑別が困難であり,白血球数上昇や好酸球増多,および肝外病変の存在が本症を疑う手がかりとなることが多い.自験例は術前検査では寄生虫感染を積極的に疑うことが困難であったが,極めて稀であるとされる虫体成分が切除病変から検出されたため,内臓幼虫移行症と診断することが可能であった.
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  • 廣方 玄太郎, 神山 俊哉, 中西 一彰, 蒲池 浩文, 横尾 英樹, 武冨 紹信
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1661-1665
    公開日: 2013/12/25
    ジャーナル フリー
    背景:門脈圧亢進症を発症した肝内動門脈短絡に対する治療の第一は経カテーテル的治療であるが,再発を繰り返す症例もある.今回,塞栓術後に再発を繰り返した肝内動門脈短絡に対し肝切除が奏効した1例を経験した.症例:64歳女性.60歳時に肝右葉の巨大な動門脈短絡を指摘され,右肝動脈塞栓術施行したが,三回に渡り再開通した.4回目に塞栓を試みた際に後腹膜からの流入血管を認めたため,経カテーテル的治療は困難と考え経過観察を行っていた.その後,腹水が出現し,門脈圧亢進症が増悪したため手術施行した.開腹時,著明な腹水と萎縮した肝右葉を認めた.門脈圧は36mmHgと高値を示した.動門脈短絡に対する後腹膜からの流入血管を遮断し肝右葉切除を施行した.切除後,門脈圧は減少し,門脈圧亢進症の軽快を認めた.結語:経カテーテル的治療抵抗性の肝内動門脈短絡に対して肝切除を行うことで門脈圧亢進症が軽快した1例を経験した.
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  • 松永 浩子, 中村 典明, 入江 工, 田中 真二, 有井 滋樹
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1666-1670
    公開日: 2013/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は19歳,男性.右季肋部痛と膨隆を主訴に前医を受診,肝右葉に巨大腫瘤を認め当院紹介受診となった.検査所見,腫瘍マーカーは正常範囲内であった.病変は肝右葉に造影CTで早期濃染を示し,中心に低吸収領域を伴う境界明瞭な径約15cm大の巨大腫瘍として描出された.また,EOB-MRIの肝細胞相で病変部に取り込みを認めた.以上より第一に限局性結節性過形成(以下FNH)を疑った.本症は若年であること巨大腫瘍で症状を伴うことから手術を施行した.切除標本は中心部に放射状の瘢痕形成を伴う淡褐色調の腫瘍で,組織学的にはほぼ背景肝と同様の肝細胞からなり,異常血管が多く見られ結節周囲部に細胆管が増生する部分がありFNHと診断された.右季肋部痛を契機に診断された巨大FNHの1切除症例を経験したため報告する.
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  • 金井 俊平, 下松谷 匠, 北村 美奈, 長門 優, 谷口 正展, 中村 誠昌
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1671-1675
    公開日: 2013/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,男性.心窩部痛を主訴に当院救急外来を受診し,血液検査所見で炎症反応と血清および尿中アミラーゼの上昇を認め,急性膵炎と診断し緊急入院となった.初診時の腹部CTでは主膵管と下部胆管が拡張し,膵尾部に低吸収域を認めた.入院後に腹膜刺激症状が出現し再度施行した腹部CTで腹腔内に液体貯留を認め,胆嚢穿孔による胆汁性腹膜炎と診断し経皮経肝胆嚢ドレナージおよび腹腔内ドレナージを施行した.各検査所見から膵管内乳頭粘液性腫瘍と術前診断し,全身状態の回復後に胆嚢摘出術,膵体尾部・脾摘術を施行した.膵腫瘍は24mm×20mm大,病理診断は膵尾部主膵管および分枝膵管を主座とする混合型膵管内乳頭粘液性腺腫であった.膵管内乳頭粘液性腫瘍に胆嚢穿孔が合併した報告はないが,本症例においては腫瘍産生粘液により膵・胆道系の内圧が上昇し,胆汁のうっ滞および膵液の胆道内逆流が発生したことが原因であると考えられる.
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  • 三木 明寛, 石川 順英, 森岡 広嗣, 吉谷 新一郎, 廣瀬 哲朗, 西平 友彦
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1676-1679
    公開日: 2013/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は96歳,女性.上腹部痛,発熱で来院した.体重36kgで亀背が著明であった.CTで腫大し壁肥厚を伴う胆嚢の足側への下垂を認めた.横断・冠状断・矢状断面ともに胆嚢は肝下面とは離れていた.胆嚢壁の造影効果は減弱していた.血管の渦巻き像と胆嚢頸部に鳥嘴状の狭小像を認めた.胆嚢捻転と診断し緊急手術を行った.開腹所見ではGross II型の浮遊胆嚢で壊疽性胆嚢炎の所見を呈していた.先端が胆嚢近傍に癒着する大網に連続したループ状の索状物が胆嚢を入れ頸部を強く絞扼していた.大網裂孔ヘルニアへの胆嚢の嵌頓と診断し,捻転が180度であったため絞扼による血流障害が主と考えた.胆嚢摘出術を施行し術後経過は順調であった.浮遊胆嚢と炎症による大網の癒着に加齢やるいそうなどの身体的要因が加わったことで大網裂孔ヘルニアへの胆嚢嵌頓につながったと思われた.現在まで,同様の症例報告はなくまれと考え報告した.
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  • 加藤 洋介, 尾山 佳永子, 吉田 周平, 奥田 俊之, 太田 尚宏, 原 拓央
    74 巻 (2013) 6 号 p. 1680-1683
    公開日: 2013/12/25
    ジャーナル フリー
    症例は37歳,女性,妊娠28週.心窩部痛を主訴に発症20時間後に受診.WBC 11,300/ul,CRP 1.01mg/dl.腹部USで胆嚢腫大,壁肥厚を認め,内部に結石が充満.緊急腹部MRIを施行し,胆嚢頸部に結石陥頓疑い.急性胆嚢炎の診断で入院.同日経皮経肝胆嚢穿刺吸引を施行.処置後も腹痛が軽快せず,腹膜炎を併発.陣痛誘発を認めた.入院6時間後に緊急で腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行.術前より塩酸リトドリンの持続点滴を開始し,全身麻酔後にUSで子宮底の位置を確認.臍上2横指の位置で開腹し,4トロカー法で胆嚢を摘出した.合併症なく第6病日婦人科に転科,第20病日に退院.妊娠第39週に正常分娩で出産.妊婦に対する腹腔鏡手術は過去10年内に様々な症例報告がなされ,妊娠2期,3期の初期は比較的安全に手術が可能とされる.妊娠中であっても,十分な全身管理のもと早期腹腔鏡下胆嚢摘出術は治療の選択肢になり得る.
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