日本臨床外科学会雑誌
検索
OR
閲覧
検索
74 巻 , 7 号
選択された号の論文の57件中1~50を表示しています
原著
  • 座波 久光, 尾野村 麻以
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1741-1748
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    乳癌症例において乳房縮小術などを併用して新たな形態の乳房を形成するvolume displacement typeの oncoplastic breast-conserving surgery(d-OBCS)は,一般的に乳房サイズの小さい本邦では,未だ認知度は低い.今回,われわれは本邦における症例蓄積が少ないd-OBCSについて検討を行った.対象症例は2007年7月から2011年12月までに乳癌に対して手術を行ったd-OBCS 120例で,腫瘍径と切除重量の中央値はそれぞれ,25mmと71gであった.2mmでの断端陽性率は14.2%で,合併症発生率は13.3%であったが,いずれも軽症であった.観察期間の中央値26カ月で,局所再発症例は認めていない.d-OBCSは合併症や断端陽性率を増悪させることなく腫瘍径や切除重量を増加させることができ,日本人においても安全に乳癌に対する乳房温存療法の適応拡大に寄与することが示唆された.
    抄録全体を表示
臨床経験
  • 竹中 芳治, 佐々木 貴浩, 福岡 麻子, 星野 博之, 宮島 伸宜, 大坪 毅人
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1749-1753
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    目的:腹腔鏡下大腸切除術(LAC)後1年以内に発症したイレウス症例を検討した.
    方法:大腸癌の診断で2009年1月から2012年6月の間に施行したLAC220症例のうち術後1年以内に発生した,嘔吐・腹部膨満・腹痛の症状を有し早急な腸管減圧が必要と判断されたイレウス症例で発症,治療,経過,予後について検討した.
    結果:LAC後イレウス症例は全体の5%,11例.結腸癌7例,直腸癌4例.結腸癌で入院中発症4例,退院後発症3例,直腸癌で入院中発症1例,退院後発症2例,両方での発症1例であった.術後早期発症3例を含む4例で保存的治療が奏功せず,小腸切除術2例,癒着剥離術2例を施行した.
    結語:LAC後は腸管運動機能低下が速やかに回復するものの癒着に由来するイレウスが術後早期に発生し,手術を要する症例が少なからずあることが示された.
    抄録全体を表示
  • 杉本 卓哉, 三毛 牧夫, 高 賢樹, 草薙 洋, 山田 成寿, 加納 宣康
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1754-1759
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    はじめに:人工肛門閉鎖術は合併症発生率が高く,多くが創部感染である.人工肛門閉鎖術において環状皮膚縫合法の有用性について,従来の一次皮膚縫合法とretrospectiveに比較検討した.方法・対象:2001年1月から2012年7月の間で当院において施行した小腸ストーマと大腸ストーマを含む二孔性人工肛門の閉鎖術84例を,一次皮膚縫合施行群35例と環状皮膚縫合施行群49例に分け,臨床背景,周術期背景,創部感染発生率,術後在院日数に関して比較検討した.結果:小腸ストーマと大腸ストーマの比を含め,両群間で臨床背景や周術期背景に有意差は認めなかった.表層性の創部感染発生率および術後入院日数は環状皮膚縫合法施行群で有意に低かった.環状皮膚縫合法の創は約1カ月で小さな瘢痕となった.考察:人工肛門閉鎖術における環状皮膚縫合法は表層性の創部感染を減少させ,整容性も高く,優れた方法であると考えられた.
    抄録全体を表示
症例
  • 河合 朋昭, 小林 篤寿, 長佐古 良英, 小林 清二, 高橋 学, 小笠原 和宏
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1760-1764
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,男性.直腸癌(RSRa,circ,type 2,65×65mm)に対して直腸低位前方切除術を施行.病理組織診断は中分化腺癌でSS,N0,ly0,v1,Stage IIであった.術後補助化学療法は施行せずに経過観察中であった.半年経過時の胸腹部CT検査では転移再発所見を認めなかったが,術後7カ月頃より記銘力低下が出現.脳CTおよびMRI検査で右前頭葉に約3cm大の腫瘍を認めたため,孤立性脳転移の診断で直腸癌手術から9カ月後に脳腫瘍摘出術を施行した.病理組織学的に直腸癌の脳転移と診断された.術後放射線照射は施行せず,全身化学療法としてUFTを1年間内服したのち,経過観察中であるが脳腫瘍術後50カ月無再発生存中である.一般に大腸癌脳転移は他臓器転移合併例が多く,予後不良である.外科的切除後長期無再発生存が得られた稀な直腸癌術後孤立性脳転移症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
    抄録全体を表示
  • 畑地 登志子, 柴田 健一郎, 谷口 英樹
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1765-1769
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    左乳房部分切除,センチネルリンパ節生検術後に発生した乳房内乳糜漏を経験した.65歳,女性.左乳房腫瘤を主訴に受診.針生検で乳癌疑い,Lt. Bp+SN施行した.経過は問題なく術後2日目にドレーン抜去した.診断はSpindle cell carcinoma T2N0M0 ER(-),PgR(-),HER2(-)であった.術後9日目に創部の腫脹を主訴に受診し,白色液体を190ml穿刺吸引した.TG 819で乳糜漏と診断した.脂肪制限食と間歇的排液で軽快しないため,術後49日目にドレーン再留置した.乳房皮下(真皮の直下)に漏出部位を認め,結紮し閉鎖式ドレーンを留置,絶食・高カロリー輸液管理とした.ドレーン留置後12日目に排液なくなり食事開始,ドレーン留置後19日目に抜去した.センチネルリンパ節生検後の術後乳房内乳糜漏は報告がなく,漏出部位が皮下と特定された稀な症例と考えられた.
    抄録全体を表示
  • 黒田 徹, 山田 博文, 桂田 純二郎, 松本 力雄
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1770-1773
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は19歳,女性.右乳房に疼痛・発赤を伴う腫瘤が出現し近医受診,膿瘍形成を認め切開排膿を受けた.翌日から39℃の熱発,その後,両側下腿に結節性紅斑が出現した.症状軽快せず,また下肢痛で歩行も困難になり当院受診,入院とした.入院後抗生剤,消炎鎮痛剤を投与するも高熱が続いた.乳腺の針生検にて肉芽腫性乳腺炎を疑われ,プレドニゾロン20mg/日を内服投与すると速やかに解熱,下腿の発赤腫脹も著明に減退した.徐々にプレドニゾロン減量し,約4カ月で中止した.その後,再燃無く経過している.
    肉芽腫性乳腺炎は,片側性の乳房に孤立性の腫瘤を認める病因不明の比較的稀な疾患である.また,結節性紅斑は両側下腿伸側の皮下硬結を伴う有痛性の紅斑で,病因が不明なもの,感染症や,他の疾患に続発するものがある.
    肉芽腫性乳腺炎と結節性紅斑の合併は,非常に稀であり文献的考察を加えて報告する.
    抄録全体を表示
  • 岩本 伸二, 水野 裕太, 駕田 修史, 富岡 淳, 山名 秀典, 原 章倫, 橋本 和明
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1774-1777
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は7歳,女児.左乳房腫瘤を自覚し来院した.左CE領域に大きさ4.0×3.0cm,弾性硬,辺縁は比較的明瞭で,表面は平滑であった.表在リンパ節は触知しなかった.マンモグラフィ:若年者であり,施行せず.超音波所見:内部エコーは比較的均一で,辺縁が軽度不整な類円形の腫瘤を認めた.線維腺腫を疑い,6カ月の経過観察とした.腫瘤の大きさに変化なく,家族の希望にて全身麻酔下に腫瘤摘出術を行った.腫瘤は被膜に被われ,割面は髄様,灰白色調を呈し,粗大結節状であった.病理組織学的所見:嚢胞状に拡張した管腔内に乳頭状増殖した腫瘍を認める.乳頭状増殖部では円柱状細胞と立方状ないし紡錘形細胞が2層性に配列し,間質は毛細血管を含む線維性結合織からなる.腫瘍細胞に異型性はなく,α-SMA染色においても筋上皮細胞が陽性であった.術後約10年を経過し,現在まで臨床的に再発はない.
    抄録全体を表示
  • 橋本 沙代子, 尾浦 正二, 太田 文典, 岡村 吉隆
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1778-1781
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    Needle tract seedingによる局所再発乳癌を2例経験したので報告する.
    症例1:46歳女性.2007年7月に早期乳癌に対し,乳房部分切除術とセンチネルリンパ節生検施行.術後補助療法として放射線療法と化学療法を行った.2008年6月に針生検部の皮膚再発を認めたため,切除術施行.その後カペシタビンの投与を行っていたが,2009年9月に掻痒を伴う局所再発が出現し,種々の化学療法を施行するも奏効せずPDとなった.症例2:52歳男性.2009年3月に乳房切除術とセンチネルリンパ節生検施行後,タモキシフェンの内服を行っていた.2010年9月に創部近傍に腫瘤出現し,針生検にて悪性であったため皮膚再発と診断.切除術を施行した.
    乳癌手術においては,needle tractを含めた切除の意義は看過できず,また針生検施行時には手術を想定した穿刺部位の決定が重要である.
    抄録全体を表示
  • 牧野 裕子, 大友 直樹, 酒井 朗子, 上田 祐滋, 島尾 義也, 林 透
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1782-1786
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    Histiocytoid breast carcinomaは1973年に眼瞼転移を伴う予後不良な乳癌としてHoodらにより最初に報告された稀な組織亜型であり1),診断基準や腫瘍の概念が確立されていない.浸潤性小葉癌の亜分類である多形型に含まれるとされる報告もあるが,その病理学的所見から近年ではアポクリンへの分化が注目されている.疾患の概念が広く認識されていないため,発生率や予後などの生物学的特徴については明らかでない.当院において,histiocytoid breast carcinomaと診断された症例を3例経験したため,その病理学的特性および臨床経過について若干の文献的考察を加えて報告する.
    抄録全体を表示
  • 高橋 保正, 関川 浩司, 後藤 学, 成田 和広, 太田 竜, 池田 博斉
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1787-1792
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    今回われわれはイレウスで発症した乳癌小腸転移1切除例を経験したので報告する.症例は70代,女性.9年前に右乳癌にて右乳房切除術を受けている.組織型は硬癌でStage IIB(T2N1)であった.今回はイレウス症状にて入院.小腸造影にて回腸の原因不明の狭窄を認め第7病日に腹腔鏡補助下手術を施行した.手術所見ではバウヒン弁より口側1mの回腸に小腸壁の全周性肥厚を認め切除した.摘出標本の病理所見では乳癌由来と考えられる核異型の強い腫瘍細胞が漿膜下組織を中心に増殖し粘膜面にまで達していた.免疫組織学的にはER陽性,PgR陰性,Her2/neu蛋白は陽性であり初回の切除標本の組織所見と一致したため,乳癌の小腸転移によるイレウスと最終診断した.術後経過は良好で術後17日目に軽快退院したが術後83日目に癌性悪液質にて死亡した.乳癌の小腸転移はその末期時期に生じる場合が多く,外科的治療の対象となることは少ない.
    抄録全体を表示
  • 深見 武史, 土屋 武弘
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1793-1796
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    生来健康の71歳,女性.左背部に鶏卵大の腫瘍を自覚し,当院整形外科受診.胸部MRI施行し,胸腔外から第8肋間を貫通し胸腔内に広がる45mm大の腫瘍を認めた.T1,T2強調画像とも高信号で脂肪抑制画像にて信号低下を示したため,脂肪腫と診断.脂肪肉腫は完全に否定は出来ず,完全切除のため,開胸左胸壁腫瘍切除(第8,9肋骨部分切除),胸壁再建術を施行.術後経過は順調.病理ではintramuscular lipoma infiltrating typeと診断された.砂時計型胸腔内脂肪腫は稀であるので文献的考察を加え報告する.
    抄録全体を表示
  • 中山 卓也, 須田 久雄
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1797-1801
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    感染性大動脈瘤は比較的稀な疾患であるが,破裂の危険性が高く,診断がつけば手術治療が原則である.今回われわれは,解剖学的人工血管置換および大網充填術を施行し良好な結果を得た1例を経験したので報告する.
    症例は71歳,男性.突然の腰背部痛,発熱で発症,感染性大動脈瘤切迫破裂と診断し緊急手術となった.術前CT検査で腎動脈分岐直下に嚢状動脈瘤,辺縁に炎症の波及を認めた.腹部正中切開にて経腹的アプローチし,動脈瘤壁,後腹膜を含め周囲組織を除去,人工血管にて解剖学的再建,大網充填術を施行した.動脈壁からサルモネラ菌が同定された.術後4週間抗菌剤を投与した.現在術後1年経過し,感染の再燃もなく外来通院中である.
    抄録全体を表示
  • 山本 知則, 井上 龍也, 尾花 正裕, 山崎 滋孝
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1802-1806
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は45歳,女性.腹部膨満,労作時呼吸困難を主訴に来院した.胸腹部造影CT検査で,腹水,子宮腫大と左卵巣静脈から下大静脈を介して右心系に伸展し,主肺動脈に達する陰影欠損が認められた.心エコー検査では右心房から右心室を通過し,収縮期に主肺動脈に嵌入する腫瘤陰影が発見された.手術は体外循環を用い経右心房的に行った.肺動脈から右心房まで腫瘤を摘出した後,循環停止下に下大静脈内の腫瘤を摘除したが,癒着のため部分摘除となった.併存した三尖弁閉鎖不全を修復し,手術を終了した.摘出標本は静脈内平滑筋腫と診断された.術後経過は順調であり,3カ月後に産婦人科で子宮摘出術,両側付属器切除術を行った.術後3年4カ月経過しても再発の兆候は認められない.
    抄録全体を表示
  • 宮地 洋介, 谷口 直樹, 嵩下 英次郎, 山本 孝夫, 尾崎 信弘
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1807-1810
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    特発性両側同時気胸simultaneous bilateral spontaneous pneumothorax (以下SBSP)は若年男性に好発する稀な疾患であり,軽症例が多いとされる.今回われわれは,緊張性気胸で発症したSBSPの1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
    症例は18歳男性,急性発症の胸痛と呼吸困難を主訴に来院され,胸部エックス線にて両側気胸と診断された.緊張性気胸の状態であり,緊急で両側胸腔ドレナージを施行した.入院後の胸部CTで,両肺尖部にブラを認め,入院4日目に両側同時胸腔鏡下ブラ切除術施行した.患者は術後5日目に退院し,その後再発なく経過している.SBSPの中には本症例の様に重症化する例も稀にあり,診療にあたって注意を要する.治療に関しては,両側胸腔の交通などが証明されない限り,両側同時ブラ切除術を行うことが一般的と考える.
    抄録全体を表示
  • 木村 圭吾, 桒田 和也, 津村 眞, 渡辺 信之, 谷口 文崇, 中田 憲太郎
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1811-1814
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    転移性肺平滑筋腫は,良性疾患であるにも関わらず,子宮筋腫が肺に転移するまれな疾患で,通常は多発し,単発例は少ない.症例は46歳,女性.36歳時に近医で子宮筋腫に対し子宮全摘術を受けた.健診での胸部X線写真で右下肺野に腫瘤影を指摘され当院を受診した.CT検査では右胸腔内に横隔膜と接する約14cm大の巨大な腫瘤を認め,内部は不均一に造影された.悪性腫瘍を疑い,胸腔鏡補助下に右下葉切除術を施行した.病理組織学的検査では,既往の子宮筋腫と類似の組織像を呈し,免疫染色では ER陽性,desmin陽性であったため,転移性肺平滑筋腫瘍と診断した.術後経過は良好で,後療法は特に行わずに術後18カ月現在,再発なく経過中である.
    抄録全体を表示
  • 正司 政寿, 前多 力, 吉光 裕, 佐久間 寛
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1815-1820
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,男性.45歳時に職場検診の胸部単純写真で異常陰影を初めて指摘された.以後毎年検診を受診していたが,著変なく経過観察されていた.今回も同異常を指摘され,精査目的に胸部CTを施行された.左肺底部に胸腔内肺外腫瘤を指摘され,当院外科に紹介となった.PETでは腫瘤に集積像は認めなかった.術前に悪性度の低いsolitary fibrous tumorなどの胸膜腫瘍,横隔膜腫瘍,後縦隔腫瘍などを疑ったが,確定診断は困難であったため,診断と治療を兼ねて胸腔鏡下腫瘍摘出術を施行した.術中に大動脈から腫瘍に流入する異常血管を認めたため肺葉外肺分画症を疑い,これらを一括に自動吻合器で切離し腫瘍を摘出した.迅速術中病理では気管支嚢胞との鑑別が困難だったが,最終病理診断は肺分画症であった.画像的に鑑別診断が困難な胸腔内腫瘍の診断と治療には,胸腔鏡下手術が有用と考えられた.
    抄録全体を表示
  • 溝口 高弘, 黒田 博彦, 永井 聡, 渡部 裕志, 高橋 節, 栗栖 泰郎
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1821-1826
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,女性.脱水症と横紋筋融解症の加療目的で入院となっていた際に胸部立位X線検査で右横隔膜に連続する異常陰影を指摘され,CTにてBochdalek孔ヘルニアと診断された.頻回の咳や歩行時の呼吸困難など肺の圧迫症状があるため開腹手術を行った.脱出臓器は空腸から横行結腸までであった.上行結腸は全く固定されておらず,小腸から横行結腸まで総腸間膜症の状態であったが,完全に整復することができた.右横隔膜後外側に4.0cm×3.5cmのヘルニア門を認めポリプロピレンパッチで横隔膜欠損部を補填した.術後,咳と呼吸困難は消失した.本邦における成人右側Bochdalek孔ヘルニアの手術報告例は少なく,特に呼吸症状を伴うものは稀である.経腹的アプローチは腹腔臓器の観察を行うのに適したアプローチ法と思われる.
    抄録全体を表示
  • 中村 直彦, 川村 純一郎, 原田 英樹, 山本 秀和, 財間 正純, 田中 洋一
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1827-1831
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,男性.幽門側胃切除術後の胸部食道癌に対し,右開胸食道亜全摘術,後縦隔経路回結腸挙上,頸部食道挙上回腸端側吻合を施行した.術後呼吸不全が遷延し気管支内視鏡にて再建腸管と右主気管支との瘻孔が確認された.急速に増悪する呼吸不全に対し腸内容逆流防止目的で既往の胃空腸吻合部の離断術を施行したところ呼吸状態の著明な改善を得た.自然閉鎖を期待して保存的治療を行ったが軽快せず,再手術後176日目に右開胸・瘻孔閉鎖術を試みたが瘢痕化のため瘻孔部への到達は不可能であった.そこで48日後に胸壁前経路有茎空腸挙上頸部吻合術を施行し以後良好な経過を得た.食道癌術後の再建腸管気管支瘻は時に致死的となる合併症であるが,われわれは呼吸不全対策として消化管離断を緊急で施行し呼吸状態の改善を待って2期的再建を行い良好な経過を得た1例を経験したので報告する.
    抄録全体を表示
  • 柳川 雄大, 吉田 哲也, 木村 豊, 渡部 亜実, 門田 卓士, 今岡 真義
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1832-1837
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,女性.平成15年5月に右乳癌にてBt+Ax施行した.病理結果は乳頭腺管癌,ER71%,PgR33%,HER2(-),pT4bN1M0,Stage IIIBで,術後CMF療法・PMRTを施行した.平成17年5月に縦隔・頸部・腹部リンパ節転移を認め,ホルモン療法(ANA→LET→TAM)を開始したが,平成22年10月 胸部中部食道に2型腫瘍を認めた.生検結果はGroup V,ER(+),HER2(+)で乳癌の食道転移と診断した.trastuzumab+docetaxel→trastuzumab+vinorelbine→FECを施行したところ腫瘍部に食道気管支瘻を生じ,平成23年8月から肺炎を繰り返したため,食道カバードステントを留置した.その後,trastuzumab+S-1にてステント留置後2カ月目から肺炎発症はなく,その後,約8カ月間良好なQOLを保つことができた.
    抄録全体を表示
  • 谷島 聡, 尾作 忠知, 鏡 哲, 大嶋 陽幸, 池田 憲, 根本 哲生, 島田 英昭, 金子 弘真
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1838-1841
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    食道癌の術後,喀痰の喀出困難や嚥下障害,筋力低下が進行したため初めて神経筋疾患を疑い,筋緊張性ジストロフィー症(MyD)の診断に至った症例を経験した.本症例は,肺癌の手術歴や漏斗胸,5-fluorouracil(5-FU)によって誘発される高アンモニア血症,周術期における呼吸機能障害や嚥下障害など多彩な臨床像を呈した.術後16カ月で,進行する筋委縮が原因と考えられる肺炎で永眠された.MyDでは種々の良性・悪性腫瘍が合併することは知られているが,MyD患者における食道癌の手術報告は少ない.
    抄録全体を表示
  • 永田 仁, 坪佐 恭宏, 新原 正大
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1842-1849
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    57歳,男性.食事のつかえ感が主訴であった.上部消化管内視鏡にて胸部中部食道に全周性狭窄があったが粘膜上皮は保たれていた.生検にて扁平上皮癌を認め,4型びまん浸潤性食道扁平上皮癌の診断となった.切除可能な臨床病期III期の診断で術前化学療法後根治切除の方針とした.術前化学療法にてStable Diseaseの診断で手術施行したが,奇静脈,気管,大動脈への浸潤があり,切除不可能として試験開胸術となった.術後早期から水腎症を生じ,術後2カ月で死亡した.4型食道扁平上皮癌は稀で,特徴的な進展形式として食道周囲組織への広範なリンパ管浸潤,節外浸潤が指摘されており,今症例は後腹膜まで進展し,水腎症を呈した最初の報告例と思われた.術前化学療法前後の精査では後腹膜への進展を指摘することは困難であった.4型食道扁平上皮癌において,根治手術の適否の評価は画像診断のみでは不十分な可能性がある.
    抄録全体を表示
  • 寺川 裕史, 天谷 公司, 山本 精一, 加治 正英, 前田 基一, 清水 康一
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1850-1855
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    61歳,女性.13年前に胃癌に対し幽門側胃切除術を施行した(tub2>por2,se,INFγ,ly0,v0,n2,cy1).術後5-FU/MTX,UFTによる化学療法を施行し,5年間の外来通院の後,近医にて経過観察されていた.初回手術から13年後,下腹部痛を自覚し精査にて小腸の通過障害が認められた.原発性小腸癌が疑われ手術を施行した.右卵巣にも腫瘤を認めたため,右卵巣腫瘍摘出術も同時に施行した.病理組織学的に小腸,右卵巣とも13年前の胃癌の晩期再発と診断された.術後経過は良好であり現在化学療法を継続している.胃癌の術後再発の多くは5年以内にみられ,10年以上の経過で再発する例はまれである.今回,初回手術から13年後に再発をきたした1例を経験したので報告する.
    抄録全体を表示
  • 奥山 桂一郎, 田中 聡也, 田中 雅之, 廣橋 喜美, 佐藤 清治
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1856-1860
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    52歳,男性.主訴は腹部膨満感.近医でイレウスを疑われ,当院紹介となった.腹部CT検査で左傍十二指腸ヘルニアと診断し,緊急手術を施行した.腹腔鏡下に整復を試みたが,脱出腸管が多量で拡張も強かったため,開腹操作に移行した.脱出腸管を整復後,ヘルニア門を閉鎖し手術を終了した.術後,一過性の腸管狭窄を認めたが,保存的に軽快した.術後25日目より食事を開始し退院となった.過去の傍十二指腸ヘルニア報告例を解析した結果,画像診断の発達に従い1990年代には22%であった術前正診率が2000年以降69%と向上を認めた.また,左傍十二指腸ヘルニアでは待機的に腹腔鏡下手術を選択する症例が多くみられたのに対し,右傍十二指腸ヘルニアでは緊急開腹手術が多数を占めていた.しかし,両群共に腸管壊死による腸管切除を施行した症例は少数であるため,本ヘルニアに対しては腹腔鏡下整復術を第1選択にできる可能性が示唆された.
    抄録全体を表示
  • 宮本 好晴, 西口 完二
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1861-1865
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は45歳男性で,食後の腹痛を主訴に近医受診した.腹部超音波検査にて門脈系の異常を指摘され,精査目的にて当院内科紹介となった.腹部造影CTにて,SMVがSMAの左側を走行するSMV rotation signおよびwhirl-like patternを認めた.上部消化管造影にて十二指腸空腸移行部の狭窄像を認め,注腸検査にて回盲部の正中側やや上方への変位を認めた.以上より,腸回転異常不完全回転型に伴う中腸軸捻転と十二指腸狭窄症の診断のもと,腹腔鏡下にてLadd手術および予防的虫垂切除術を行ったが,器質的な狭窄部を認めたため,小開腹を追加し小腸部分切除を追加した.術後経過は良好で第7病日に退院となった.
    抄録全体を表示
  • 杉浦 謙典, 藤田 昌久, 神谷 潤一郎, 登内 昭彦, 中川 宏治, 宮崎 勝
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1866-1871
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は52歳,男性.検診にて施行した上部消化管造影検査にて十二指腸乳頭部の腫大を指摘され,精査加療目的に当院へ紹介された.上部消化管内視鏡検査および超音波内視鏡検査にて乳頭に異常は認めなかったが,十二指腸水平部に10mm大の扁平な隆起性病変を認め,同部からの生検結果は腺癌であった.以上より十二指腸癌の診断で,当科紹介となった.低緊張性十二指腸造影検査では,十二指腸水平部に10mm大の隆起性病変を認め,腹部CT検査ではリンパ節転移,遠隔転移を認めず,原発性十二指腸水平部癌と診断し,十二指腸部分切除術を施行した.病理組織学的診断は17×14mm大のIIa+IIc病変であり,中分化型を主体とする腺癌で,壁深達度はMP,リンパ節転移は認めなかった.原発性十二指腸水平部癌の壁深達度MPの報告例はなく,手術術式,リンパ節郭清範囲の統一された見解がない状況であり,今後の症例の集積と過去の報告例の追跡が必要である.
    抄録全体を表示
  • 勝田 美和子, 山下 直行, 萩原 信敏, 進士 誠一, 秋丸 琥甫, 内田 英二
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1872-1875
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,男性.ソフトボールの試合中,ダイビング・キャッチした直後より左鼠径部を中心に下腹部痛が出現した.腹痛が続くため受傷後4日目に近医を受診し,イレウスが疑われ外科紹介となった.腹部は膨隆し全体に圧痛を認めたが,反跳痛,筋性防御はなかった.左鼠径ヘルニアを認めたが嵌頓はしていなかった.腹部X線検査にてfree airを認めなかったが,CT検査にて腹水と小腸に穿孔部を認め,汎発性腹膜炎の診断にて同日緊急手術を施行した.腹腔内には混濁した腹水があり,小腸は全体に発赤と腫脹が著明で,回腸の腸間膜対側に1cm大の穿孔部を認めた.機序としては,腹部打撲によって急激に腹圧が上昇し,小腸がヘルニア嚢内で破裂したと考えられた.小腸穿孔は腹膜刺激症状やfree airが出現しにくいこともあり,診断が困難な場合が多いが,本症例はCTにて腸管壁の断裂をとらえることができ,確診しえた稀少な症例であった.
    抄録全体を表示
  • 濱口 純, 阿部 厚憲, 松澤 文彦, 水上 達三, 廣方 玄太郎, 及能 健一
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1876-1881
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は47歳,女性.昆布を摂食した翌日より腹痛を訴え前医を受診した.イレウスの診断にて保存的加療を行うも改善せず当院転院後,手術を施行した.Treitz靱帯より180cmの空腸内に堅い内容物が詰まっており,イレウスの原因となっていた.空腸を切開し摘出すると摂食した昆布であった.内容物の摘出後,切開創を縫合し腸管を切除せず終了した.術後イレウスの再燃はなかった.食餌性イレウスは時々見られる疾患であるが,昆布が原因となっている症例は本邦に特有であり比較的まれである.今回われわれは昆布により発症した食餌性イレウスの1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
    抄録全体を表示
  • 橘高 弘忠, 田代 圭太郎, 秋元 寛
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1882-1885
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,男性.穿孔性胃潰瘍とイレウスで頻回の開腹歴がある.某日トイレ用酸性洗剤(サンポールTM)約20mlを誤って服用し当センター搬入となった.上腹部を最強点とした強い圧痛と反跳痛を認めたが,単純CT検査でfree airを認めず,保存的加療となった.腹痛は徐々に改善したが,第15病日より嘔吐が出現したため消化管造影検査を行うと,十二指腸水平脚から空腸起始部に狭窄を認め,第21病日に内視鏡下バルーン拡張術を行った.その後,再狭窄が出現したため2回目のバルーン拡張術を行ったが,腸管穿孔をきたし同日緊急開腹術となった.開腹すると,Treitz靱帯から5cm肛門側空腸に5mm長の穿孔を認め,同部の単純縫合閉鎖と胃空腸吻合術によるバイパスを行った.術後9日目に吻合部縫合不全を認め,開腹術を行い縫合修復と大網被覆術を行った.再度リークを認め長期ドレナージを要したが,第90病日に軽快転院となった.
    抄録全体を表示
  • 北川 光一, 石塚 直樹, 龍 雅峰, 小松 永二, 山本 雅一
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1886-1890
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は81歳,男性.既往に認知症・高血圧・脳梗塞後遺症・閉塞性動脈硬化症による左大腿切断術がある.2012年8月血便・嘔吐を主訴に当科受診した.腹部圧迫にて全体的に苦痛様表情を認めたが,明らかな腹膜刺激症状は認めなかった.腹部造影CTでは,広範な小腸腸管壁の気腫性変化,腹腔内遊離ガス,門脈ガスを認めた.腹腔内遊離ガス,門脈ガスを伴った腸管嚢腫様気腫症と診断した.腹部所見が軽微なこと,門脈ガスは少量であること,腸管気腫が小腸に限局していたことなどから,絶食・酸素投与・抗菌薬による保存的治療を行った.臨床症状,血液検査データは数日で軽快した.加療後14日目の造影CTでは腸管気腫・腹腔内遊離ガス・門脈ガスともに消失した.門脈ガス,腹腔内遊離ガスを伴った腸管嚢腫様気腫症では消化管壊死・穿孔の疑いから緊急手術も考慮されるが,小腸腸管嚢腫様気腫症の場合,その適応は慎重な判断を要することが示唆された.
    抄録全体を表示
  • 松浦 玲, 藤井 眞, 弓場 健義, 森本 芳和, 赤丸 祐介, 山崎 芳郎
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1891-1894
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    Noonan症候群は先天性心疾患に低身長,眼間乖離などの外表奇形を伴う先天奇形症候群である.Noonan症候群の経過観察中に消化管重複症による腸閉塞を発症した1症例を経験した.症例は13歳,男児.腹痛,嘔吐を主訴に近医を受診し腸閉塞の診断で当院を紹介受診した.腹部は膨隆し,腸雑音は減弱しており,腹部X線・CT検査にて小腸の鏡面像を認めた.腸閉塞と診断しイレウス管を留置,保存的加療を施行するも,腹部所見が増悪傾向を示したため緊急手術を施行した.回盲弁より60cmの回腸に嚢状の重複腸管を認め,同部位にTreitz靱帯から210cmの小腸と腸間膜が高度に癒着していた.重複腸管による炎症性癒着が閉塞の原因と判断し,重複腸管を切除した.Noonan症候群に伴う消化管奇形の報告例は少なく,若干の文献的考察を加え報告する.
    抄録全体を表示
  • 松山 貴俊, 小林 宏寿, 石川 敏昭, 杉原 健一
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1895-1898
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は47歳の男性で繰り返す臍周囲痛にて当院を紹介受診した.CTにてMeckel憩室炎を疑い,小腸精査目的にてダブルバルーン小腸内視鏡検査施行した.ダブルバルーン小腸内視鏡検査と,同時に施行した小腸造影検査にて,Bauhin弁より70cmの回腸腸間膜付着側に腸管の分岐を認め,腸管重複症と診断した.待機的に腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行した.病理組織学的検査では回腸と連続した粘膜および筋層構造を認め,盲端には潰瘍瘢痕を認めた.成人の消化管重複症は比較的まれな消化管奇形であり,術前診断は困難なことが多い.今回われわれはダブルバルーン小腸内視鏡検査にて術前診断し,腹腔鏡補助下に切除しえた回腸腸管重複症の1例を経験した.確定診断の得られない繰り返す腹痛の鑑別診断にはこの病変も念頭に置くことが必要である.また,小腸内視鏡検査が術前診断に有用であると考えられた.
    抄録全体を表示
  • 酒井 望, 石川 文彦, 関 雅史, 伊藤 博, 諏訪 敏一, 宮崎 勝
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1899-1903
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は56歳,女性.上腹部痛の精査にて腹腔内腫瘤を指摘された.腹部CTでは腹部大動脈左側,椎体腹側に径3.2cmの辺縁整で内部が不均一に造影される腫瘍を認めた.腹部MRIではCTと同部位に41.4×31.6×25.8mmの辺縁整な腫瘤を認めた.T1強調画像では低信号,T2強調画像,STIR像では均一な等信号で,内部は軽度濃染していた.間葉系腫瘍を疑い手術を施行したところ腫瘍はTreitz靱帯より約2cm肛側の空腸間膜に認められた.腸管,腸間膜血管との連続性はなく腫瘍を摘出した.H.E.染色では,小型類円核を有する腫瘍細胞が地図状,シート状もしくはロゼット状に増殖しており,線維血管性の間質により分画されていた.免疫組織染色では,神経内分泌マーカーはいずれも陽性で,MIB-1標識率は1%以下であった.以上より,NET G1と診断された.腸間膜原発の神経内分泌腫瘍は極めてまれであり,報告する.
    抄録全体を表示
  • 井原 健, 冨松 裕明, 亀岡 信悟
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1904-1908
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,男性.左下腹部に30mm大の腫瘤を自覚して当院を受診した.造影CTで造影効果のある,MRIでT1,T2とも低信号の小腸間膜内充実性腫瘤を認め,小腸との連続性なく,GISTまたは悪性リンパ腫瘍と診断した手術を施行した.腫瘤は小腸間膜内リンパ節転移と考え,全小腸の検索で腫瘍近傍の小腸に4つの小病変を触知したため,小腸切除とリンパ節郭清を行った.病理結果はリンパ節転移を伴う4つの多発性小腸カルチノイド(neuroendcrine tumor:NET)であった.
    小腸NETは本邦では珍しく,術前診断が難しいが,本症例のように転移リンパ節が大きいことで発見された症例が過去にも報告されている.小腸NETは多発することがあり,術前・術中に十分に小腸病変の検索を行うことが望ましい.
    抄録全体を表示
  • 平野 康介, 菅又 嘉剛, 久保田 和, 吉羽 秀麿, 多賀谷 信美, 今井 康雄, 大矢 雅敏
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1909-1913
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    悪性腫瘍に伴う血液凝固能亢進状態により脳卒中をきたす病態はTrousseau症候群として知られている.今回,われわれは脳梗塞を契機に原発性小腸癌を診断し治療を行い,本症候群を診断した1例を経験したので報告する.症例は47歳,女性.左上肢の痺れを自覚し,多発性脳梗塞と診断し,加療を開始した.血液検査で軽度の貧血が認められ,腹部CT検査を施行し小腸の全周性肥厚と腸間膜リンパ節腫大を認めた.カプセル内視鏡検査および小腸内視鏡検査で上部空腸に全周性の3型腫瘍を認め,生検で腺癌と診断され開腹手術を行った.Treitz靱帯から約30cm空腸に右半結腸と腸間膜リンパ節が一塊となる腫瘍が存在しており,小腸部分切除と右半結腸合併切除,腫大した腸間膜リンパ節の郭清を行った.病理所見では管状腺癌,pSI(横行結腸),N2,Stage IIIbであった.経過は良好で麻痺症状はほぼ消失し,術後第12病日退院となった.
    抄録全体を表示
  • 渡邉 淨司, 山本 学, 徳安 成郎, 前田 佳彦, 蘆田 啓吾, 池口 正英
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1914-1919
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    40歳,男性.1997年12月空腸癌にて空腸部分切除術が施行された(well>mod,pSE,pN0,fStage II,CurA).術中cisplatinが腹腔内投与され,術後2年間 tegafur-uracilが投与されたが,再発所見なく2005年3月以降は加療終了となっていた.
    2010年12月食後の上腹部痛にて当院を受診し,腹部CTにて空腸癌再発とリンパ節転移が疑われた.2011年2月空腸部分切除術が施行され,前回吻合部近傍のリンパ節転移が空腸腫瘍まで連続しており,空腸癌再発と診断された.術後補助化学療法を行っているが,2012年6月より肺などに多発転移をきたしている.
    小腸癌は比較的まれな疾患で,予後は不良である.本症例は,治癒切除後13年間無再発生存であったが再発した.小腸癌においては術後再発に十分留意して長期間経過観察する必要があると思われ,文献的考察を加え報告する.
    抄録全体を表示
  • 前田 知世, 遠藤 俊吾, 日高 英二, 石田 文生, 田中 淳一, 工藤 進英
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1920-1923
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    虫垂切除後の縫合糸による異物性肉芽腫の1例を経験した.症例は38歳,男性.前医で急性虫垂炎の診断で開腹虫垂切除術を受けた.術後10カ月目に血便が出現し,下部消化管内視鏡検査で盲腸に粘膜下腫瘍を指摘され,当院を紹介された.当院の内視鏡検査では盲腸に15mm大の粘膜下腫瘤を認めた.生検では中等度の炎症性変化のみで,炎症性腫瘤の診断で経過観察とした.6カ月後に再検すると,腫瘤は18mmに増大し,分葉状を呈していた.このため,腫瘍性病変と診断し,腹腔鏡補助下回盲部切除術を施行した.切除標本では盲腸に20×15mmの隆起性病変を認めたが,病理組織学的には虫垂断端の縫合糸周囲に発生した異物性肉芽腫であった.なお,前医の手術記録から虫垂根部は絹糸で結紮し,断端を埋没したことを確認した.盲腸の粘膜下腫瘍の鑑別診断として虫垂切除術の既往がある場合は異物性肉芽腫も考慮に入れるべきと考える.
    抄録全体を表示
  • 高屋 快, 井上 宰, 臼田 昌広, 星田 徹, 望月 泉
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1924-1927
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,男性.突然の腹痛発症にて救急車で当院に搬送された.来院時ショック状態であり,採血にて貧血を認め,またPT-INRが大幅に延長していたため腹腔内出血を疑い腹部CTを施行したところ腹腔内に大量の液体の貯留を認め,上腸間膜動脈からの分枝にある動脈瘤破裂で出血が起きたと考えられた.血管造影にて中結腸動脈に動脈瘤を認めたため,責任血管をコイルにて塞栓し,そのまま緊急手術にて結腸右半切除術を施行した.開腹所見上中結腸動脈の動脈瘤からの出血は止まっており,安全に手術が完遂しえた.腹部内臓動脈瘤は比較的まれな疾患で,そのうち約半数が脾動脈瘤であり結腸動脈瘤は非常にまれであるとされている.本症例は血管造影にて出血部位を同定し止血を行ってから安全に手術が施行できており,手術前の血管造影・塞栓術が有効であったと考えられる.
    抄録全体を表示
  • 左雨 元樹, 佐原 力三郎, 飯原 久仁子
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1928-1932
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    アミロイドーシスはアミロイド蛋白が全身臓器の細胞外に沈着し,組織や臓器の障害を引き起す疾患である.今回われわれは直腸に限局した原発性アミロイドーシスの1例を経験したので報告する.症例は53歳の男性.5年ほど前から痔核の脱出を自覚していた.直腸肛門診にて3度の内外痔核の他,直腸にSMT様の硬い腫瘤を認めた.MRI上直腸Rbに20mm大の腫瘤性病変として描出され,下部消化管内視鏡では,肛門管内に不整形の隆起性病変を認めた.腰椎麻酔下に腫瘍切除術を施行したところ,病理組織診断にて上皮成分には異型性を認めず,アミロイド沈着による腫瘤と診断された.アミロイドーシスにおいて,消化管はアミロイド沈着の好発部位とされているが,直腸に限局したアミロイド沈着による腫瘤形成を認めた報告は稀であり,文献的考察を加えて報告する.
    抄録全体を表示
  • 谷口 文崇, 國土 泰孝, 小林 正彦, 木村 圭吾, 村岡 篤, 津村 眞
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1933-1936
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    68歳,女性.前年より排便により改善する腹痛を繰り返していたが経過観察していた.今年5月,急激な腹痛が出現し当院受診.左下腹部に圧痛と反跳痛を認め,腹部CT検査でS状結腸~下行結腸の壁肥厚および腸間膜内に腸管外ガス像を認め結腸穿孔の診断で,緊急手術を施行した.開腹すると下行結腸・S状結腸移行部に腸管の発赤と腸間膜内の小気泡を認めたが,明らかな穿孔部は認めなかった.手術は下行結腸部分切除および人工肛門造設術を行った.切除標本では腸間膜側の粘膜に全長にわたる縦走潰瘍を認めた.病理組織検査で表皮下にcollagen bandの肥厚,縦走潰瘍を認めることからcollagenous colitisと診断された.近医にてlansoprazoleを処方され継続内服していたことが判明し,術後lansoprazole内服を中止したが,症状の再燃を認めたためmesalazine内服を行い,再燃を認めていない.
    抄録全体を表示
  • 良永 康雄, 吉田 卓義, 李 俊容, 米神 裕介, 長谷川 俊二, 小西 文雄
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1937-1940
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    開腹歴のない,S状結腸腹膜垂を原因とする稀な腸閉塞に対し,腹腔鏡下手術を行ったので報告する.症例は開腹歴のない49歳男性で急性発症の腹痛を主訴に来院した.腹部所見と腹部造影CTから絞扼性腸閉塞が疑われたが,絞扼の原因はCT所見から明らかにできなかった.原因精査を兼ね緊急腹腔鏡下手術を行った.術中所見では,S状結腸腹膜垂が左外側臍襞へ癒着してできた孔へ小腸がループ状に入り込んでいた.癒着部を切離し腸閉塞を解除した.小腸には虚血を示す色調変化を認めたが術中に改善を確認したため小腸切除は行わなかった.術後経過は良好で4日目に退院した.S状結腸腹膜垂による腸閉塞は会議録を除き本邦で11例報告があるが,完全腹腔鏡下に治療を終えたのは自験例のみであった.
    抄録全体を表示
  • 中川 了輔, 江口 礼紀, 太田 岳洋, 吉利 賢治, 竹下 信啓, 野口 岳春
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1941-1945
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    転移性陰茎癌は主に前立腺・膀胱・直腸など近接する臓器からの転移の報告例があるが結腸癌からの転移は稀である.症例は75歳の男性.盲腸癌同時性肝転移・肺転移で回盲部切除術(Tub2,se,n1,stege IV)施行.術後10カ月の化学療法施行中に陰茎の痛みを自覚し触診上約2cm大の弾性硬な可動性に乏しい腫瘤を触れた.造影MRI検査にて陰茎海綿体に直径2cm大のリング状に増強効果示す腫瘍性病変を認めた.生検の結果,腺癌であり,免疫染色にてCK7陰性,CK20陽性を認め,盲腸癌からの転移と診断された.患者本人は化学療法を継続する意思はなく,疼痛緩和目的でオキシコドン内服,放射線療法,クモ膜下サドルフェノールブロックを行い一時症状の軽快を見るも陰茎転移の診断後4カ月後永眠された.本邦における結腸癌陰茎転移は1963年から2012年の間に自験例を含め6例のみの報告であったため,貴重な症例と思われ報告した.
    抄録全体を表示
  • 長谷川 聡, 杉政 奈津子, 窪田 徹, 原田 浩, 中山 崇, 池 秀之
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1946-1949
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は73歳の男性で2007年6月上行結腸癌のため結腸右半切除術を施行した.病理組織学的診断はpor,si(後腹膜),ly0,v0 n1(1/33),Stage IIIaであった.術後補助化学療法として5FU/l-LVを施行中,2007年10月左腋窩腫瘤を自覚した.胸部CTでは左腋窩に大きさ3.5cmの腫瘤が存在し,FDP-PETでも集積を認めた.針生検で転移性低分化腺癌と診断され,左腋窩リンパ節郭清を施行した.病理組織学検査では低分化腺癌を認め,上行結腸癌腋窩リンパ節転移と診断した.術後mFOLFOX6を6コース行ったが,手のしびれが出現しため終了したが,術後4年6カ月現在無再発生存中である.大腸癌からの腋窩リンパ節転移はまれである.上行結腸癌切除後孤立性左腋窩リンパ節転移に対して手術・化学療法後,長期無再発生存を得られた1例を経験したので文献的考察を加え報告した.
    抄録全体を表示
  • 鍋山 健太郎, 荒木 靖三, 野明 俊裕, 岩本 一亜, 岩谷 泰江, 小篠 洋之
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1950-1955
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は23年前に直腸癌のため腹会陰式直腸切断術を受けた86歳の女性.人工肛門からの出血と上腹部痛にて当院受診.人工肛門に2型の腫瘍を認め腺癌の所見であった.腹部CT検査では,腹直筋に浸潤した腫瘍と左鼠径部に2.0cm大のリンパ節腫大を認めた.以上より腹直筋浸潤を伴った人工肛門部大腸癌,左鼠径リンパ節転移と診断した.腹直筋の一部を合併切除し,人工肛門を含めた結腸部分切除術と左鼠径リンパ節切除術を行った.人工肛門部の癌は4.0cm大で腫瘍の肛門側に隆起性病変を認めた.病理組織学的所見では,組織型は中分化腺癌で鼠径リンパ節転移を認めた.鼠径リンパ節転移をきたす消化器癌の多くは下部直腸癌や肛門管癌で,結腸癌ではまれである.本邦で報告された人工肛門部異時性多発大腸癌症例の臨床像ならびに鼠径リンパ節転移経路について文献的考察をふまえて報告する.
    抄録全体を表示
  • 堤 伸二, 稲葉 行男, 滝口 純, 佐藤 清, 林 健一, 菊地 惇
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1956-1961
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,男性.腹部腫瘤,敗血症疑いとして当院紹介となった.腹部CT検査では回盲部付近に腹腔内腫瘤を認め,前腹壁と連続し皮下には巨大な膿瘍を形成していた.入院後に皮下膿瘍を切開ドレナージし,抗生剤を開始.下部消化管内視鏡検査にてS状結腸に1型腫瘍を認めた.皮下膿瘍が軽快した後も,発熱,消耗状態が続き,腹腔内腫瘤は増大傾向を示すため,切除術を施行した.回盲部およびS状結腸が腫瘤と癒着しており浸潤が疑われたため同部を合併切除した.盲腸およびS状結腸の内腔には類似した1型腫瘍を認めた.病理組織学的所見では盲腸およびS状結腸の腫瘍は高分化腺癌であり,腹腔内腫瘤もそれらと連続して同様の組織像を呈していた.S状結腸に粘膜病変が認められたことから,S状結腸癌が壁外性発育を示し,腹腔内腫瘤を形成して盲腸に浸潤したものと考えられた.壁外性発育を示す大腸癌が皮下膿瘍を形成した極めてまれな症例であった.
    抄録全体を表示
  • 西上 耕平, 多羅尾 光, 山口 智仁, 山口 聖隆, 川見 弘之, 田中 卓
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1962-1967
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,男性.下痢,腹痛で近医受診.大腸内視鏡検査にて全周性の直腸癌,ileus状態と診断され,腹部CTにて左後腹膜膿瘍を認め精査加療目的にて当科紹介入院.手術所見にて左骨盤,膀胱に広範な浸潤を認めた.ileus状態,後腹膜膿瘍のため全身状態不良であったことも考慮して横行結腸で双孔式人工肛門のみ造設し,放射線化学療法後に2期的に切除の方針とした.IMRTを用いた放射線化学療法(IMRT 40Grey UFT 300mg+UZEL 75mg/日 28日)施行後,効果判定検査にて著明な腫瘍の縮小を認め,高位前方切除+膀胱部分切除術施行した.切除標本上は,直腸壁肥厚ならびに潰瘍瘢痕を認めたが病理組織学的検査にてGrade 3,pathologic complete response (pCR)と評価された.
    抄録全体を表示
  • 岡 洋右, 赤木 由人, 衣笠 哲史, 白水 和雄
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1968-1972
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,男性.約20年前より血友病Bと診断され,膝関節出血等認め,約5年前より第IX因子の補充療法をされていた.血便認め精査にて直腸Ra前壁に約3cm大の2型病変認めた.1-2週に1回の間隔で第IX因子製剤(ノバクトM)1Vを自己注射していたが,手術前日に4V点滴し,低位前方切除術+3郡リンパ節郭清+回腸人工肛門造設術を施行した.術後は3日間2V,その後APTT30-40秒で管理し,延長した時1Vずつ投与した.術後出血や合併症等認めず経過良好であった.術後約6カ月に人工肛門閉鎖となったが,遺伝子組み換え血液凝固第IX因子製剤のノナコグアルファを前回同様に投与し,経過良好であった.近年では定期補充療法の確立に伴い,血友病患者の長期生存が得られるようになり,今後血友病患者の手術が増加することが予想され,消化器外科医も補充療法について十分理解した上で周術期管理を行うことが必要であると思われた.
    抄録全体を表示
  • 衛藤 英一, 伊藤 康博, 三原 康紀, 江川 智久, 林 忍, 長島 敦
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1973-1978
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    肝動脈瘤は内臓動脈瘤の約20%を占め,比較的稀な疾患である.今回われわれは異なる治療を行った3例の肝動脈瘤を経験したため,文献的考察を加えて報告する.1例目は腹腔動脈起始部狭窄あり,腹腔動脈から総肝動脈,脾動脈まで紡錘状に瘤化していた.腹腔動脈,左胃動脈を結紮し,瘤切除ののち,総肝動脈と脾動脈を吻合した.2例目は左肝動脈瘤破裂に対し,経カテーテル的コイル塞栓術(transcatheter arterial embolization:TAE)を行った.瘤の近位と遠位をコイリングし血流消失させた(isolation).3例目は右肝動脈瘤に対しTAEを行い,瘤内コイリングし血流を消失させた(packing).3例とも術後経過は良好であった.肝動脈瘤に対する治療として,それぞれ解剖学的な局在を考慮し,外科的治療,血管内治療を適切に選択することが,良好な結果につながると考える.
    抄録全体を表示
  • 上杉 尚正, 八木 雄史, 神保 充孝, 斎藤 聰, 高橋 剛, 郷良 秀典
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1979-1983
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    胆嚢摘出術後肝膿瘍を併発し,17年間の病悩期間を有した1例を経験した.症例は63歳,女性.45歳時に胆嚢炎の診断で胆嚢摘出術を施行.術後腹腔内膿瘍を併発し,頻回のドレナージ手術を要した.完治には至らず,肝膿瘍,皮膚瘻を併発した.2011年9月,膿胸に起因する喀血を認め,気管支動脈塞栓術を施行した.慢性炎症の制御には肝膿瘍切除術が必須と判断し,2012年5月,肝切除術を施行した.摘出標本は不整形膿瘍で線維性結合組織に被包されていた.病理組織学的に膿瘍周囲に類上皮肉芽腫を伴っていた.術後急速に症状の改善がえられた.細菌培養の結果,Alcaligenes xylosoxidansが分離同定された.本菌による肝膿瘍の報告は,検索しえた限りでは8例の報告がある.全例,胆嚢摘出術を契機に発症している.長期の病悩期間を有し,予後は不良であった.本症はまれな病態と考えられ,若干の文献的考察を加え報告する.
    抄録全体を表示
  • 佐藤 純, 小野 文徳, 平賀 雅樹, 大村 範幸, 佐藤 学, 山村 明寛
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1984-1987
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    患者は67歳,男性.全身倦怠感と左下肢脱力感で当院へ救急搬送され,精査にて胆石性の胆嚢胆管炎と診断された.腹部CTでnonrotation typeの腸回転異常症の合併を認め,十二指腸の著明な拡張から内視鏡的治療が困難なため,当科にて胆嚢摘出術と総胆管切石術およびT-チューブドレナージ術を施行するとともに,十二指腸空腸移行部の腹膜靱帯を切離して狭窄を解除した.術後経過は良好で,術後第26病日に退院した.検索した限り,胆嚢胆管炎を契機に発見された成人腸回転異常症は報告がなく,文献的考察を加えて報告する.
    抄録全体を表示
  • 大坪 出, 味木 徹夫, 岡崎 太郎, 松本 逸平, 福本 巧, 原 重雄, 具 英成
    74 巻 (2013) 7 号 p. 1988-1992
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    胆嚢腺筋腫症は日常的に遭遇することの多い疾患であり,癌との鑑別や癌の併存が問題となる.今回胆嚢癌と鑑別が困難であった,著明な粘液産生を伴う胆嚢腺筋腫症の1例を経験したので報告する.症例は59歳男性.健診エコーで胆嚢壁肥厚を指摘され,CTで胆嚢底部に隆起性病変と隔壁様構造を認めた.MRIでは底部内腔は不整に描出され,T2強調像で強いhigh intensityを示した.EUSで底部を占拠する腫瘤と内部に高エコー領域を認め,腫瘍内出血が疑われた.肝床浸潤を伴う胆嚢癌の術前診断で,肝床切除術・D2郭清を施行した.摘出胆嚢の底部内腔には黄色透明のゼリー状粘液塊が充満し,底部には著明な壁肥厚がみられた.病理組織学的には高度の平滑筋増生と異型性の無い腺管増生を伴う底部限局型胆嚢腺筋腫症と診断された.胆嚢隆起性病変の鑑別では,充満した粘液がある場合,各種画像診断が困難となることがあると考えられた.
    抄録全体を表示
feedback
Top