日本臨床外科学会雑誌
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75 巻 , 1 号
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巻頭言
臨床経験
  • 山田 博文, 黒田 徹, 松本 力雄, 桂田 純二郎
    75 巻 (2014) 1 号 p. 1-5
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    進行再発乳癌患者の点滴治療として,造影剤急速注入の可能な留置型ポート(以下パワーポート)を再発乳癌患者4例に留置して,良好な経過を経た症例を経験した.パワーポートを使用して造影CT検査や採血を行った.一般の留置型ポートは耐圧でないため,患者を取り違えにより事故が起こる可能性がある.パワーポートに対しての認知教育と使用マニュアルを作成した.結果としてパワーポートを使用して乳癌患者の造影CT検査で有害事象なく施行できた.抗がん剤使用時の毎回の採血を行ったが,留置10カ月後に1例の閉塞を認めたことの他の有害事象は認められなかった.対象患者のパワーポートの受け入れは良好で,全員が採血や造影に恐怖感を感ぜず治療を継続することができた.末梢血管確保困難進行乳癌症例に対してのパワーポートの導入は,患者の苦痛を緩和できる.一方,他のCVポートとの取り違えのリスクがあるため,十分な院内の周知とマニュアル化が必要である.
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  • 才川 大介, 奥芝 俊一, 北城 秀司, 川原田 陽, 鈴木 善法
    75 巻 (2014) 1 号 p. 6-11
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    2006年から2011年8月まで当院にて施行した開腹および鏡視下で施行された胃全摘術と幽門側胃切除術結腸前RY再建症例290例を対象に,当院にて施行した胃癌根治術RY再建後の内ヘルニア症例につきretrospectiveに検討した.全症例中8例(2.8%)に内ヘルニアを認め,開腹胃切除術後が2例(1.5%)で腹腔鏡下胃切除術後が6例(3.8%)であり統計学的な有意差は認めなかったが,腹腔鏡下胃切除術に多い傾向を認めた.胃全摘術に限定すると腹腔鏡下胃全摘術では77例中5例(6.5%)に内ヘルニア発症を認め開腹胃全摘術より有意に多かった.発症様式はPetersen's herniaを5例,残りの3例は空腸間膜隙での内ヘルニアであった.胃癌根治術後RY再建では鏡視下手術において内ヘルニアの危険性が高くなる傾向があり,特に胃全摘では明らかな有意差をもってリスクが増加した.
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  • 野村 肇, 細木 久裕, 遠藤 真一郎, 内田 茂樹, 坪野 充彦, 記井 英治
    75 巻 (2014) 1 号 p. 12-17
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    当院では2010年1月より腹腔鏡下幽門側胃切除術を導入した.本手術の有用性を検討するため,幽門側胃切除術における開腹手術と腹腔鏡手術の短期治療成績を比較した.対象は2008年4月から2013年7月までに胃癌に対して幽門側胃切除術を施行した165例であり,開腹群70例,腹腔鏡群95例であった.リンパ節郭清個数は開腹群25.1±15.3個に対して腹腔鏡群32.2±15.7個と多く(p=0.004),出血量は開腹群206.2±170.8mLに対して,腹腔鏡群110.0±385.9mLと少なかった(p=0.034).手術時間は腹腔鏡群322.1±84.1分と開腹群194.6±58.7分に対して延長していた(p<0.001).早期合併症は開腹群24/70例(約34%)に対して腹腔鏡群11/95例(約12%)と少なかった(p=0.005).術後在院期間は開腹群21.6±12.0日に対して腹腔鏡群15.2±11.4日と短かかった(p=0.001).われわれの腹腔鏡下幽門側胃切除術は開腹手術と比べ短期治療成績で優れており,有用性があると考えられた.
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  • 丹羽 英記, 小川 稔, 山口 拓也, 廣岡 紀文, 門脇 隆敏, 渡瀬 誠
    75 巻 (2014) 1 号 p. 18-23
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    後方アプローチであるKugel法はその解剖の理解が難しく,正しい腹膜前腔剥離層に到達することへの困難さのために,従来の前方アプローチに比べて普及しづらい一面がある.Kugel原法では下腹壁動静脈を腹膜前腔確認の第一指標にし,中央側から外側に向かって(外向き剥離)壁在化を施行している(以下,中央側アプローチ)が,われわれは下腹壁動静脈を意識することなく,腹膜前筋膜深葉と腹膜前脂肪を指標にすることに着目し,外側から中央側に向かって(内向き剥離)壁在化を行う(以下,外側アプローチ)ことで従来の方法より容易に正しい剥離層に到達することが可能になった.その結果,手術時間は中央側アプローチ43分から(n=1,093例),外側アプローチ33分(n=1,316例)と有意に短縮し,再発率は1.2%から0.2%に減少した.
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症例
  • 林 諭史, 北田 正博, 石橋 佳, 松田 佳也
    75 巻 (2014) 1 号 p. 24-28
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    乳癌との鑑別を要した,まれな乳腺平滑筋過誤腫の1例を経験した.症例は61歳女性で,1年前より左乳房腫瘤を自覚していた.腫瘤は40mm大で,弾性硬であった.細胞診は鑑別困難,針生検で乳管過形成を認めたが確定診断に至らず,excisional biopsyを施行した.病理所見で,腫瘍は腺成分と間質成分の増生からなり,間質にα-SMA陽性紡錘状細胞の増生を認めたことから,平滑筋過誤腫と診断した.術後1年を経過し再発は認めていない.乳腺平滑筋過誤腫はまれな疾患であるが,病理組織所見で紡錘状細胞を認めた場合,乳腺腫瘍性病変(線維腺腫・葉状腫瘍・平滑筋腫・良性神経鞘腫・腺筋上皮腫・線維腫症など)の鑑別診断の一つに含めるべきであると考える.
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  • 清水 哲朗, 三輪 武史, 湯口 卓, 坂東 正, 島多 勝夫
    75 巻 (2014) 1 号 p. 29-33
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    乳房温存手術10年後にPaget型再発をきたした症例を経験したので報告する.患者は,初回手術時51歳女性で,非浸潤性乳管癌と診断し,Bq+Axを施行後,温存乳房に放射線治療を行った.術後10年で,同側乳頭乳輪中心に紅斑が出現し,皮膚生検によりBowen病が疑われた.乳腺内には病変を認めず,皮下および乳腺を含めた局所切除術を行った.病理組織検査では,表皮内にPaget細胞に類似した腫瘍細胞が認められ,乳頭の乳管に沿って乳管内癌が認められた.免疫組織化学的に,CK7およびHER2陽性,CK20・ER・PgR・GCDFP15はいずれも陰性で,非浸潤性乳管癌温存治療後のPaget型乳房内再発と判定した.補助化学療法を行い,再発を認めていない.
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  • 吉富 誠二, 辻 尚志, 賀島 肇, 宮原 一彰, 安部 優子, 大原 信哉
    75 巻 (2014) 1 号 p. 34-39
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,女性.右乳房腫瘤・咳嗽・呼吸苦を主訴に当科外来を受診した.右乳房に皮膚の発赤と浮腫を伴う不整形腫瘤を認めた.針生検では浸潤性乳管癌(硬癌),ER:90%以上,PgR:20%,HER2(1+),Ki-67:30%であった.血液生化学検査ではHb 8.7g/dl,PLT 5万/μlと貧血と血小板減少があった.CT検査では肋骨・椎体・骨盤に多発性骨転移,また両肺に多発性肺転移があった.骨髄生検では不整な核を有する細胞の集塊があり,乳癌の骨髄転移と考えた.Weekly paclitaxel投与を行い,骨髄抑制等の有害事象はなく治療可能であった.5クール後にはHb 11.8g/dl,PLT 31.0万/μlに回復し,CT検査では右乳腺腫瘤・右腋窩リンパ節転移・多発性肺転移は著明に縮小した.貧血と血小板減少をきたした乳癌骨髄転移に対してweekly paclitaxelが有効であった1例を経験したので報告する.
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  • 廣中 愛, 山口 正秀, 大陽 宏明, 谷 直樹, 野口 明則, 山根 哲郎, 川端 健二
    75 巻 (2014) 1 号 p. 40-44
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    再発乳癌の転移は骨,肺,あるいは肝臓に好発し,脾転移はまれである.臨床的に脾転移が指摘される場合,多臓器に転移が指摘される.われわれは,乳癌術後に孤立性脾腫瘍を発見し,診断治療目的に脾切除を行い,乳癌の脾転移と判明した1例を経験したので報告する.
    症例は68歳女性.2005年8月,左乳癌T1N0M0,Stage Iで左乳房部分切除術と腋窩リンパ節郭清術を施行した.術後5年4カ月の血液検査でCA15-3が基準値を超え始めたが,画像検査で積極的に再発を疑う病変を認めなかった.腫瘍マーカーは徐々に増加し,精査のFDG PET/CT検査で脾臓に異常集積を伴う充実性腫瘤が指摘された.孤立性脾腫瘍の原発性悪性腫瘍は非常にまれで,本症例では脾転移が疑われた.乳癌の孤立性脾転移は極めて珍しいため,診断治療目的に脾摘出術を施行した.脾転移の診断で化学療法を行ったが,術後7カ月で腹膜再発を認めた.
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  • 長瀬 勇人, 諸橋 一, 矢口 慎也, 小山 基, 村田 暁彦, 袴田 健一
    75 巻 (2014) 1 号 p. 45-49
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    症例は70歳台,男性.腹部大動脈瘤の診断となり,ステントグラフト内挿術(EVAR)を施行した.EVAR 4日後に腹痛・下血が認められ,画像所見上,腸管壊死・穿孔は明らかではなかったため,保存的加療を行った.EVAR 6日後に腹痛の急激な増悪が出現し,腹腔内遊離ガスが認められたため,緊急開腹手術となった.術中所見では空腸から回腸の腸管壁が非連続性に壊死し,一部が穿孔していたため,約300cmの広範囲小腸を切除した.病理組織学的検査では腸間膜動脈に血栓・塞栓は認められず,非閉塞性腸管虚血(NOMI)と考えられた.術後,肺炎・感染性大動脈瘤を発症し,術後第57病日に多臓器不全のため永眠された.EVARは従来の手術と比較して低侵襲であるが,それ故に高リスク症例に対しても施行される傾向にある.EVAR後に急激な腹痛を発症した際にはNOMIの発症を考慮し,迅速に治療方針を決定することが重要と考えられた.
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  • 小杉 郁子, 木内 竜太, 大竹 裕志
    75 巻 (2014) 1 号 p. 50-53
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    症例は,既往歴に高血圧・慢性腎不全を有する66歳男性.2009年5月から血液透析を要する状態となり,右内頸静脈に透析用ダブルルーメンカテーテルを留置して透析を導入し,並行して右前腕内シャント作成術を行った.2010年11月に甲状腺・頸動脈エコーを施行した際に右内頸静脈内に26×11×9mm大の腫瘤を指摘された.腫瘤は静脈壁と接しておらず,頭側に索状物で静脈壁に係留されているようであった.肺動脈血栓塞栓症予防を目的に,全身麻酔で右内頸静脈内腫瘤摘出術を施行した.腫瘤は頭側・尾側にそれぞれ静脈弁と思われる索状物で壁に係留されたラグビーボール形の血栓であった.上肢・頸・上大静脈の深部静脈血栓症に対する外科的治療は内科的治療が奏効しない場合とされるが,本症例は特異な形状の腫瘤様血栓であり,遊離した場合は高確率で肺血栓塞栓症を発症すると予想されたために血栓摘出術を施行した.
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  • 岡村 賢一, 森住 誠, 河田 光弘, 末松 義弘
    75 巻 (2014) 1 号 p. 54-59
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,女性.関節リウマチ,糖尿病,慢性腎障害,閉塞性動脈硬化症の既往あり.急性心筋梗塞・心不全の診断で前医緊急入院し,冠動脈造影検査にて3枝病変を認めた.ヘパリン投与後より血小板減少を認め,HIT抗体陽性にてヘパリン起因性血小板減少症(HIT) type IIと診断された.その経過中に腎障害増悪にて透析3回/週となり,静脈血栓症も発症した.手術目的で当院転院後,カルペリチドによる薬剤性血球減少も併発した.術中抗凝固にアルガトロバンを使用してOPCAB3枝を施行し,術中・術後に血栓症などの合併症なく経過,透析も離脱し軽快退院した.今回われわれは,HITを合併し,その他併存疾患多数のハイリスク症例に対してアルガトロバンを用いて心拍動下冠動脈バイパス術を施行した1例を経験したので報告する.
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  • 利府 数馬, 大木 伸一, 三澤 吉雄
    75 巻 (2014) 1 号 p. 60-63
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,男性.18年前に腹部大動脈瘤に対しY型人工血管置換術の既往があり,吐下血で近医へ救急搬送された.上下部内視鏡施行されるも出血源不明で,精査目的で当院へ転院となった.転院後の腹部造影CTで腹部大動脈十二指腸瘻と診断し,準緊急手術を施行した.まず,右腋窩-両側大腿動脈バイパス術を施行し,次に,腹部正中切開で開腹した.人工血管中枢側の吻合部瘤が空腸など周囲組織と強固に癒着していた.吻合部瘤の中枢側は腎動脈下大動脈で,末梢側は人工血管で血流を遮断し,瘤を切開し,瘻孔部位を内腔から確認した.瘻孔部を縫合閉鎖し,中枢側の大動脈を断端閉鎖した.移植されていた人工血管は脚末梢を除いて可及的に切除した.断端などの感染予防目的に大網を充填し手術終了とした.術後経過は良好で血管関連合併症はなく,術後約6年後に肺癌で死亡した.術後長期間経過した大動脈腸管瘻は比較的稀であり,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 米永 晃子, 三島 秀樹, 片山 康, 松永 裕樹, 石川 進
    75 巻 (2014) 1 号 p. 64-67
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    45歳,男性.未治療の高血圧あり.急性発症の背部痛で当院を受診し,CTでB型急性大動脈解離と診断された.解離は左腎動脈に達しており,左腎の2/3の領域は梗塞となっていた.腹腔動脈・上腸間膜動脈・右腎動脈はいずれも真腔灌流であった.臓器虚血所見はなく降圧,鎮痛療法を中心とした内科的治療を開始した.入院11病日より腎機能および下肢虚血症状の急速な悪化をきたした.偽腔の拡大により右腎動脈の真腔灌流が阻害された可能性が高いと判断し,第14病日に右Axyllo-Femoral bypass術を施行した.術後は腎機能および下肢血流の速やかな改善が得られた.臓器虚血を伴うB型大動脈解離に対しては,非解剖学的バイパス術や内膜開窓術で臓器灌流を早期に確保したうえで,その後必要な治療を検討するのが妥当と考えられた.
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  • 深田 真宏, 丸山 修一郎, 奥本 龍夫, 藤井 徹也, 金谷 欣明, 横山 伸二
    75 巻 (2014) 1 号 p. 68-72
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    自然気胸に対しドレナージを施行後,hypovolemic shockを伴う再膨張性肺水腫(re-expansion pulmonary edema:RPE)を発症した1例を報告する.症例は43歳,男性.右自然気胸に対し発症10日目に胸腔ドレナージ施行.その後大量の泡沫状喀痰を排出し,呼吸循環動態が不安定となった.RPEと診断し,PEEPを付加した人工呼吸器管理を開始した.収縮期血圧60mmHg,心拍数120回/分とショック状態となり,輸液負荷と昇圧剤にて循環管理を行った.シベレスタットナトリウム,ステロイド投与を行い救命することができた.
    再膨張性肺水腫は気胸のドレナージ後などに起こる重篤な合併症である.呼吸不全に加えhypovolemic shockを伴うこともあり治療には慎重な呼吸循環管理が必要となる.
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  • 正村 裕紀, 大谷 嘉己, 船井 哲雄, 相山 健
    75 巻 (2014) 1 号 p. 73-76
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    原発性肺癌治癒切除後の再発は比較的早期に起こることが多く,術後5年を経過して再発するのは稀である.今回,肺癌治癒切除11年後に癌性腹膜炎で再発した症例を経験したので報告する.症例は71歳,男性.60歳で肺癌のため左上葉切除郭清術を施行し,術後9年間外来通院したが再発を認めず終診とした.術後11年目に腹部違和感を自覚した.症状が改善しないためCT検査を行ったところ,癌性腹膜炎が疑われた.穿刺腹水細胞診の結果は腺癌であり,免疫染色で肺癌の転移が疑われた.確定診断のため,開腹生検を行ったところ腹腔内に無数の結節を認め,小腸と左側結腸に腹膜播種による狭窄が多発していた.播種巣の病理所見も,11年前の肺癌の免疫染色結果と一致し,形態も酷似しているため肺癌の腹膜播種と診断した.再発の診断後8カ月で原病死した.
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  • 室谷 研, 大矢 敏裕, 家里 裕, 長谷川 剛, 竹吉 泉
    75 巻 (2014) 1 号 p. 77-81
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    症例は85歳,男性.嘔吐を主訴に来院した.上部消化管内視鏡検査で十二指腸球部の粘膜に小顆粒を伴う不整な糜爛を認め,その肛門側は狭窄し観察は不可能であった.同部位の生検結果で異型を有する腫瘍性腺管を認め,内視鏡所見より十二指腸癌と診断した.CT検査では十二指腸球部の壁肥厚を認めるものの,肝転移・腹膜播種・腹水はなかった.治癒切除可能と判断し,膵頭十二指腸切除術を施行した.腫瘍は6×5cmの肉眼型5型であった.病理組織検査では高分化型管状腺癌,SE,N1,ly1,v1であった.また,腫瘍の浸潤部の間質量が特に多い硬性型であった.今回,まれな硬性癌様浸潤を示した十二指腸分化型線癌の1例を経験したので報告する.
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  • 黒田 誠司, 塩谷 猛, 南部 弘太郎, 渡邉 善正, 和田 由大, 山田 太郎, 内間 久隆, 島田 裕司
    75 巻 (2014) 1 号 p. 82-86
    公開日: 2014/07/31
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    症例は33歳,女性.嘔気・嘔吐を主訴に来院.31歳時,他院で帝王切開の手術歴があった.腹部単純X線検査にて骨盤内にX線不透過性の糸の塊様陰影を認めた.また,CT検査では小腸の拡張と鏡面形成を認め,下腹部小腸内にX線不透過性の糸状のものを含む3.5cm大の腫瘤様所見を認めた.腸管内異物に関与した閉塞性イレウスと診断し,同日,手術を施行した.腹腔内は小腸が約20cmに渡って一塊となり強く屈曲していた.剥離すると同部位の小腸が穿孔しており,その口側腸管内に固形物を触知した.固形物を含めて一塊となった小腸を部分切除した.固形物はX線不透過糸入りガーゼであった.術後の腹腔内異物は人為的な合併症であり,まれに敗血症・イレウス・腸穿孔を起こすことがあるため注意を要する.本症例は過去の手術の際に腹腔内に遺残した医療用ガーゼが腸管内に迷入したものと考えられるが,文献的にも珍しく,また発生起序の観点からも興味深い症例といえる.
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  • 原 健太朗, 前澤 幸男, 沼田 正勝, 神 康之, 蓮尾 公篤, 利野 靖
    75 巻 (2014) 1 号 p. 87-90
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    症例は47歳,女性.平成24年4月,心窩部痛を主訴に受診した.既往歴は,平成17年に他院にて子宮筋腫で子宮全摘術を受けている.腹部単純X線および腹部造影CTの所見より,腸管内異物による腸閉塞と診断された.入院後イレウス管を挿入し減圧を図っていたが,経過中に腹膜炎症状を認め緊急開腹手術を施行した.手術所見では,回盲部から約50cm口側の回腸近傍に膿瘍形成を認め,膿瘍腔は回腸と穿通していた.その肛門側の回腸内に径10cmの腫瘤を触知した.腫瘤部の回腸を小切開して腫瘤を摘出すると,ガーゼを中心とした一塊の異物であり,子宮全摘術の際の遺残ガーゼが消化管内に迷入したと考えられた.術後の経過は良好であり術後17日目に退院となった.
    本邦における腹腔内遺残ガーゼ消化管迷入の報告は非常に稀であり,文献的考察を加え報告する.
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  • 山本 暢子, 重里 政信
    75 巻 (2014) 1 号 p. 91-95
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    はじめに:卵黄血管とは原始腸管を栄養している血管で,出生後も遺残したものを卵黄血管遺残と呼ぶ.われわれは,遺残卵黄血管による絞扼性イレウスの1例を経験したので報告する.
    症例:26歳男性で開腹歴はなかった.腹痛・嘔吐を主訴に来院,CTで小腸の著明な拡張・浮腫と一部絞扼が疑われ,絞扼性イレウスの診断で緊急手術となった.開腹後,腹壁から腸管に伸びる索状物に小腸が陥頓し絞扼性イレウスとなっていた.索状物は回盲部から口側約80cmの腸間膜から起始しており,根部を結紮・切離した.病理組織にて索状物内に充血を伴う管腔構造を認め,遺残卵黄血管と考えられた.
    考察:卵黄腸管遺残であるMeckel憩室は約2%の頻度で発生し,うち卵黄血管遺残合併は1~6%と言われている.また,卵黄血管遺残の半数はMeckel憩室非合併例との報告もある.開腹歴のない絞扼性イレウスを経験し,原因として卵黄血管遺残が考えられた.
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  • 明石 諭, 山田 行重, 杉森 志穂, 島田 啓司, 吉川 高志
    75 巻 (2014) 1 号 p. 96-100
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    症例は40歳,男性.食後の強い心窩部痛にて入院となる.腹部MRI・CT検査で胆嚢結石と膀胱右側に膿瘍を認め,膀胱鏡検査で膿瘍の膀胱穿通を認めた.胆石発作による疼痛が強いため,患者の希望により腹腔鏡下胆嚢摘出術を先行した.その際の手術所見および尿細胞診にて悪性所見は認められず,炎症による腸膀胱瘻と診断し,腹腔鏡手術を行った.回腸末端部が膀胱に穿通しており,回盲部切除を行い,膀胱の瘻孔部は縫合閉鎖した.摘出標本および病理組織学的検査で回腸末端部腸間膜対側に1cm大の非特異性潰瘍を認めたが,炎症性および虚血性変化に乏しくこれらに起因する潰瘍とは考えにくく,またBehçet病の診断基準を満たさないことから,単純性潰瘍による回腸膀胱瘻と診断した.極めてまれである単純性潰瘍による回腸膀胱瘻に対して腹腔鏡下に手術を施行した1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 林 晃史, 萱島 理, 山方 伸茂, 柏木 孝仁
    75 巻 (2014) 1 号 p. 101-105
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,男性.2013年5月上旬に下腹部痛があり,翌日に当院救急外来を受診した.来院時状態は安定しており,臍部から下腹部に圧痛・反跳痛を認めたが,筋性防御はなかった.胃十二指腸潰瘍の既往はなかった.CTでは少量のfree airが上腹部から臍下部まで広範囲に認められたが,穿孔部位の特定は困難であった.部位不明ながら上部消化管穿孔を疑い腹腔鏡下に検索したところ,Treitz靱帯から約20cmの上部空腸に憩室穿孔を認めたため,空腸部分切除および腹腔内洗浄ドレナージを行った.病理組織所見では仮性憩室の穿孔であった.消化管穿孔の原因部位が特定できない場合には,腹腔鏡下に検索を行い原因に合わせて術式を選択することも有用であり,選択枝の一つと考えられる.また,空腸憩室穿孔はまれであり術前診断が困難であるが,消化管穿孔の原因の一つとして念頭に置く必要がある.
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  • 森本 大士, 三輪 高也, 田邊 裕, 野村 尚弘, 高瀬 恒信, 矢口 豊久
    75 巻 (2014) 1 号 p. 106-111
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    神経鞘腫はSchwann細胞に由来する腫瘍で,消化管に発生することは稀であり,中でも大腸に発生することは少ない.症例は64歳,女性.腹痛・下痢を主訴に近医受診したところ,触診にて腹部腫瘤を指摘され,当院に紹介された.腹部造影CTにて横行結腸に38mm×30mm大の腫瘤を認めた.大腸内視鏡検査では,横行結腸に粘膜下腫瘍を認めた.GISTを第一に疑い,腹腔鏡補助下結腸部分切除を施行した.病理組織学的には線維性被膜構造を有する境界明瞭腫瘍であり,紡錘形腫瘍細胞が疎密パターンを呈しながら,束状に不規則に増殖していた.免疫組織化学染色ではS-100蛋白びまん性に強陽性,CD34,c-kit,desminは陰性であり神経鞘腫と診断された.通常の神経鞘腫は,転移および悪性化することもないため,良性腫瘍であることを念頭に置いた治療,術後経過観察が妥当と思われる.
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  • 山口 拓也, 平賀 俊, 戸口 景介, 冨岡 百合子, 石田 ゆみ, 今井 稔, 木野 茂生
    75 巻 (2014) 1 号 p. 112-116
    公開日: 2014/07/31
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    症例は65歳,男性.下血を主訴に受診.CT(computed tomography)検査で上行結腸に造影剤のpoolingを認め,消化管出血が疑われた.上行結腸出血と診断し,interventional radiology (IVR)による止血を選択した.中結腸動脈の右枝に対して金属コイルによる動脈塞栓術(TAE)を施行.次に,右結腸動脈の末梢からコイルを挿入しようとしたが,挿入が困難であった.このため,ヒストアクリルとリピオドールを注入してTAEを施行し阻血を得た.塞栓後3日目に発熱と軽度の腹痛を認めた.造影CT検査で,結腸の一部には造影効果がみられず,腸管壊死と診断.腹腔鏡下右半結腸切除術を施行.病理結果から憩室出血と診断.下部消化管の出血性病変に対してIVRが選択される症例も多く,合併症に対する認識が重要である.また,このような腸管壊死に対しても腹腔鏡下手術は可能である.
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  • 岩松 清人, 堤 裕史, 橋本 直樹, 塚越 浩志, 須納瀬 豊, 竹吉 泉
    75 巻 (2014) 1 号 p. 117-120
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,男性.平成23年10月,検診で便潜血陽性のため近医にて下部内視鏡検査を施行したところ,S状結腸付近に全周性の2型腫瘍を認め,当科へ紹介となった.CTでは完全内臓逆位であり,SDjunctionに相当する右下腹部に結腸壁の全周性肥厚を認めた.下行結腸癌の診断で,腹腔鏡補助下に結腸切除術を施行した.術前の3D-CT所見から,腫瘍のmain feederや,血管の分岐形態・解剖学的位置を把握できていたため,合併症なく手術を完遂しえた.完全内臓逆位症に対する腹腔鏡下手術は,左右鏡面像となる解剖学的位置を十分に把握していれば,特殊な技術を必要とすることなく安全に施行できる術式と考える.
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  • 高橋 道長, 後藤 慎二, 上野 達也, 佐藤 俊, 前田 晋平, 内藤 広郎
    75 巻 (2014) 1 号 p. 121-127
    公開日: 2014/07/31
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    症例は64歳の男性.全身倦怠感と眩暈を主訴に近医を受診.低蛋白血症と胃体部大弯の隆起性病変を指摘され,当院紹介となった.初診時,著明な体幹の羸痩と四肢の浮腫がみられ,未消化下痢と口からの便臭を認めた.精査にて,胃結腸瘻を伴う横行結腸癌と同時性のRb領域の進行直腸癌と診断された.経腸栄養等で栄養状態の改善を図ったが効果なく,先ず左結腸切除+胃大弯側部分切除+脾摘出術によって腫瘤を切除し,横行結腸人工肛門と下行結腸粘液瘻を造設した.術後栄養状態の改善を待って,初回手術から49日後に直腸癌巣切除のためHartmann手術を行った.いずれの癌病巣もtub1,int,INFβ,ly0,v0で,二期手術では下腸間膜動脈周囲のリンパ節転移を認めた(4/12).二期手術の術前に判明していたS6の肝転移巣に対しては化学療法を施行.初回手術後5年4カ月で肝転移の増大と遠隔リンパ節転移のため死亡した.
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  • 藤 浩明, 門川 佳央, 待本 貴文, 浅生 義人, 古山 裕章, 吉村 玄浩
    75 巻 (2014) 1 号 p. 128-133
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,女性.下行結腸癌に対して腹腔鏡補助下左半結腸切除を施行後1年目にCT・MRI検査で10mm大の肝転移病変および25mm大の脾転移病変を指摘された.その他に転移巣を認めず切除の方針としたが,肝転移と思われた病巣は横隔膜内に存在していたため,横隔膜の部分切除と脾摘出を併せて行った.病理検査の結果いずれも大腸癌の転移として矛盾しなかった.結腸・直腸癌の横隔膜転移切除報告例はわれわれが検索しえた限り9例と非常に稀であった.また,脾転移を合併していた報告は認めなかった.脾転移に関しては血行性転移と類推されているものが多い.一方,横隔膜転移の機序としてはこれまで横隔膜小孔を介した転移用式が考えられているが,われわれの考察では,むしろ血行性転移の可能性が高いと考えた.今回われわれはいずれも転移様式として稀である大腸癌横隔膜転移と脾転移を合併した症例を経験したため,その転移形式につき考察を加え報告する.
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  • 豊島 雄二郎, 中野 詩朗, 赤羽 弘充, 稲垣 光裕, 栁田 尚之, 正村 裕紀, 櫻井 宏冶
    75 巻 (2014) 1 号 p. 134-139
    公開日: 2014/07/31
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    S状結腸癌術後に孤立性脾転移をきたし脾摘術を施行した1例を経験した.症例は79歳男性で,S状結腸癌に対し腹腔鏡補助下S状結腸切除D3郭清を施行した.病理所見は中分化腺癌tub2,pSS,ly1,v0,pN1,pStage IIIaで,術後補助化学療法としてFOLFOXを12クール施行した.術後1年7カ月後に,血清CEA値が7.9ng/mlに上昇し,腹部CT検査で脾臓に径18mm大の低吸収域を認め,FDG-PETで同部位にFDGの高集積を認めた.脾臓以外には高集積は認めず,S状結腸癌の脾転移を疑い脾摘術を行った.病理所見および免疫染色の所見からS状結腸癌の脾転移と診断した.術後血清CEA値は正常域まで低下した.大腸癌術後の脾転移は非常に稀であり,今後,手術および化学療法を含めた集学的治療についての検討が必要と考えられる.
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  • 大谷 剛, 石村 健, 若林 久男
    75 巻 (2014) 1 号 p. 140-143
    公開日: 2014/07/31
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    症例は47歳,女性.腹痛の精査でS状結腸癌と診断された.術前CT・3D-CTで,S状結腸に径55×40mmの腫瘤と周囲のリンパ節の腫脹を認めた.また馬蹄腎を認め,右腎盂の拡張と右総腸骨動脈から腎峡部への過剰腎動脈を認めた.また腎静脈にも破格を認め,左腎下極からの腎静脈は上腸間膜動脈の近傍を走行していた.cSS,cN1,cM0 cStage III aと術前診断し,腹腔鏡下S状結腸切除術(LCA温存D3郭清)を施行した.術中所見では腎動静脈の破格を認識することはなかったが,左腰内臓神経が馬蹄腎の前面を走行している所見を認めた.馬蹄腎においても腎臓は後腹膜臓器であり,通常の結腸切除では操作の及ぶ構造物ではないが,左右の腎門部は腹側を向いており,動静脈の破格,尿管,性腺動静脈,腰内臓神経の走行の変位に留意し,副損傷をきたさないような丁寧な剥離操作を要する.安全な手術手技について文献的考察を加えて報告する.
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  • 木村 英世, 真鍋 達也, 阿部 篤, 山田 大輔, 植木 隆, 田中 雅夫
    75 巻 (2014) 1 号 p. 144-149
    公開日: 2014/07/31
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    患者は71歳の女性で,29年前に子宮癌に対して子宮摘出術および放射線治療を受けた.左臀部痛・左下肢痛を主訴に当院を受診し,精査で左腸骨部の放射線誘発多形性肉腫と診断された.同時に盲腸・S状結腸に1型進行癌が判明したため当科紹介となり,それぞれ結腸部分切除術を行った.病理組織学的検査所見では,結腸非癌部の動脈壁に放射線性腸炎の組織像と思われる泡沫細胞や硝子化と非癌部粘膜に異型上皮を認め,結腸癌は共に放射線誘発癌と考えられた.その後,左腸骨部肉腫に対して放射線治療を行い,術後2カ月目に緩和ケア目的に転院した.術後1年が経過し,結腸癌の再発は認めず,疼痛コントロールを行いながら生存中である.放射線誘発悪性腫瘍は放射線照射の晩期合併症の一つで,発見時に進行しているものが多く,早期発見治療のためには患者や医療従事者への啓蒙と適切な経過観察が必要と思われた.
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  • 千代延 記道, 高松 督, 長野 裕人, 大司 俊郎, 嘉和知 靖之, 丸山 洋
    75 巻 (2014) 1 号 p. 150-153
    公開日: 2014/07/31
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    症例は51歳の男性.腹部造影CTにて直腸壁の肥厚と約10cm大の多結節性肝腫瘍を指摘され,外科紹介となった.精査の結果,直腸癌および肝外側区域の膿瘍化した同時性肝転移と診断された.膿瘍化した肝転移を経皮的にドレナージしたところ,十二指腸との間に瘻孔を形成していることが判明した.治療は原発である直腸癌に対して低位前方切除術を施行し,その後に全身化学療法を8コース行い,二期的に肝外側区域切除術および幽門前庭部から十二指腸球部の切除を施行した.切除標本の病理検索の結果,肝転移からの浸潤は胃十二指腸の漿膜までであったが,瘻孔部でのみ十二指腸粘膜直下まで及んでいたことから,同時性肝転移が膿瘍化し,炎症が十二指腸に波及した結果,瘻孔を形成したと考えられた.初診時に膿瘍化し,かつ,十二指腸との間に瘻孔を形成していた非常にまれな直腸癌の同時性肝転移の切除例について報告した.
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  • 須藤 隆之, 藤田 倫寛, 御供 真吾, 梅邑 晃, 石田 馨, 眞壁 健二
    75 巻 (2014) 1 号 p. 154-157
    公開日: 2014/07/31
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    症例は73歳の女性で,2010年6月より,腹部膨満・下痢・体重減少を認め近医受診し,当院紹介となった.精査にて直腸癌・多発性肝・肺転移と診断された.10月,人工肛門造設・皮下埋込型中心静脈ポート挿入した.外来にてべバシズマブ+mFOLFOX6療法を14クール,ベバシズマブ+FOLFIRI療法を7クール,mFOLFOX6療法を9クール施行した.2012年7月末より排便無く,腹部膨満を主訴に来院し,腹壁転移による人工肛門狭窄に伴う腸閉塞と診断した.人工肛門より自己拡張型金属ステント挿入した.挿入直後より多量の排便を認め,翌日より経口摂取開始となった.術後28病日全身状態増悪し死亡退院となった.緩和医療を必要とする全身状態不良症例に対して,人工肛門を造設することは精神的・肉体的負担が大きくQOLの低下を招くことになる.本法は,低侵襲で経口摂取可能となることより患者のQOL向上に有用であると思われた.
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  • 梅枝 覚, 山本 隆行, 松本 好市, 中山 茂樹, 湯沢 浩之, 肥満 智紀
    75 巻 (2014) 1 号 p. 158-163
    公開日: 2014/07/31
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    Crohn病発病22年後,肛門狭窄に合併した肛門管癌の1例を経験したので報告する.症例は60歳男性.昭和55年,27歳時に小腸大腸Crohn病を発生.平成2年に回腸に炎症性腫瘤を形成し,右半結腸切除術を施行.平成14年4月(Crohn病発病後22年後)に肛門痛および腸閉塞で入院,精査で回腸横行結腸吻合部小腸瘻を認めた.肛門診察時に肛門狭窄を認め,肛門痛と肛門の一部に硬結を認め,肛門の硬結部を脊椎麻酔下で生検.生検で高分化型腺癌と診断され,平成14年5月に腹会陰式直腸切断術・S状結腸人工肛門造設術・小腸横行結腸吻合部切除術・小腸狭窄部拡張形成術を施行した.平成16年4月に人工肛門周囲皮下膿瘍を形成し,同年11月に残存大腸切除,回腸人工肛門造設術を施行した.現在再発なく,経過観察中.Crohn病の肛門狭窄患者においては,定期的な肛門診察と肛門管癌に対する精査が必要と思われた.
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  • 井原 司, 冨崎 真一, 佐藤 寿洋, 井関 充及
    75 巻 (2014) 1 号 p. 164-168
    公開日: 2014/07/31
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    症例は71歳,男性.平成24年7月,尾骨部の疼痛と腫脹で近医を受診した.尾骨部嚢胞と診断され切開されゼリー状の排液が流出した.嚢胞壁の生検より腺癌と診断され,手術目的に当院に紹介された.臀部は尾骨と肛門の間,皮膚から皮下にかけ硬い結節を伴う4cm大の腫瘤を認めた.CT・MRIでは尾骨先端,肛門後隙皮下に4cm大の充実部と嚢胞部が混在した腫瘤を認めた.手術は全身麻酔下にjack knife体位にて経仙骨的に,皮膚浸潤部を含め腫瘤摘出を行った.病理診断で嚢胞壁はtailgut cyst に相当する像で,肥厚した嚢胞壁にadenosquamous carcinomaを認めた.術後4カ月目に臀部に局所再発をきたし,6カ月目に多発肺転移を認めた.
    Tailgut cystの悪性化は極めてまれであり,これまで本邦でも3例の報告をみるのみである.今回,われわれはtailgut cystより発生した腺扁平上皮癌の1例を経験したので,若干の文献的考察とともに報告する.
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  • 清水 康博, 長嶺 弘太郎, 亀田 久仁郎, 藤井 一博, 久保 章, 竹川 義則
    75 巻 (2014) 1 号 p. 169-174
    公開日: 2014/07/31
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    症例は75歳の女性で,持続する血便と肛門周囲結節を主訴に来院し,精査でpagetoid spreadを伴う肛門管癌と診断された.狭窄症状が強く周囲組織への浸潤が疑われたため,一時的双孔式横行結腸人工肛門造設術を行った後,放射線照射(1.8Gy×17回 計30.6Gy)を施行した.その後,腫瘍辺縁部肛門皮膚のmapping biopsyを施行し,肛門皮膚の切除範囲を決定後,腹会陰式直腸切断術施行した.病理組織学的検査で,原発巣では癌細胞は消失し,リンパ節を含め根治切除を行うことが可能であった.術後1年5カ月現在,再発を認めていない.
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  • 寺川 裕史, 中川原 寿俊, 宮下 知治, 高村 博之, 北川 裕久, 太田 哲生
    75 巻 (2014) 1 号 p. 175-178
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    33歳,女性.心窩部痛を自覚し,近医を受診した.精査にて胆嚢結石を指摘され,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.術中,腹腔内を観察したところ,胆嚢の腹側に付着する10mm大の肝組織を認めた.主肝との連続性は認められなかった.Ectopic liverと判断し,胆嚢と同時に切除した.胆嚢に付着した肝組織は完全な肝小葉構造を有しており,病理組織学的にもectopic liverと診断された.Ectopic liverは,まれな肝の形態異常である.自覚症状はほとんどなく,手術や剖検時に偶然発見される例がほとんどである.Ectopic liverに肝細胞癌を合併した症例や,さらにその肝細胞癌が破裂した症例が報告されている.今回,腹腔鏡下胆嚢摘出術時に偶然発見されたectopic liverの1例を経験したので報告する.
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  • 松浦 正徒, 波多野 悦朗, 石井 隆道, 藤本 康弘, 水本 雅己, 上本 伸二
    75 巻 (2014) 1 号 p. 179-183
    公開日: 2014/07/31
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    症例は49歳,女性.急性骨髄性白血病に対する化学療法後に発熱と炎症反応の上昇を認め,PET/CTで多発肝膿瘍と診断された.超音波下経皮的肝生検では起炎菌同定に至らず,臨床経過から真菌性肝膿瘍と診断し,抗真菌剤治療を行ったがCRPは陰性化しなかった.PET/CTで肝膿瘍の増悪を認めたため,起炎菌同定,感受性確認目的で腹腔鏡下肝部分切除術を施行した.肝表面に白色瘢痕を数箇所認め,3箇所を肝部分切除した.
    病理組織学的検査で乾酪壊死を伴った類上皮細胞肉芽腫を認め,Ziehl-Neelsen染色で抗酸菌を検出した.クォンティフェロンTB検査が陰性であり他の培養検査で菌種の同定ができず,非定型抗酸菌症と診断し4剤併用療法で治療した.炎症所見は軽快し,術後4カ月で同種末梢血幹細胞移植を施行し,経過良好である.
    超音波下経皮的肝生検による起炎菌の同定は容易ではなく,確定診断に至らない場合,腹腔鏡下肝部分切除による病因診断が有用である.
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  • 竹原 雄介, 春日井 尚, 木田 裕之, 出口 義雄, 田中 淳一, 工藤 進英, 尾松 睦子, 国村 利明
    75 巻 (2014) 1 号 p. 184-189
    公開日: 2014/07/31
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    Solitary fibrous tumor(以下SFTと略記)の多くは胸腔内に発生し,肝臓原発のSFTの報告は非常にまれである.今回,われわれは肝原発SFTの1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例は73歳,男性で,前医で肝腫瘍を指摘され,精査・加療目的に当院紹介となった.造影CTで肝S6に早期濃染を伴う30mm大の腫瘍を認め,肝細胞癌の診断で肝後区域切除を行った.肉眼的には,白色の境界明瞭な腫瘍であった.病理組織学的検査では,紡錘形細胞が錯綜・増生しており,免疫染色でCK・c-kit・dog1が陰性,CD34・bcl-2・CD99が陽性であったことから肝原発SFTと診断した.肝原発SFTはまれな腫瘍であるが,多血性肝腫瘍を認めた際には鑑別疾患として考慮すべきと思われた.また,再発の報告もあることから今後も慎重な経過観察が必要と考えられた.
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  • 北川 尚史, 津田 昇一, 坪井 香保里, 八木 健, 山本 彰, 北村 龍彦, 円山 英昭, 戸井 慎
    75 巻 (2014) 1 号 p. 190-196
    公開日: 2014/07/31
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    25歳,女性.急性腸炎で近医を受診,超音波検査で肝腫瘍を指摘された.既往歴では輸血,経口避妊薬,ステロイドの使用歴なし.11歳時に卵巣嚢腫摘出術歴あり,第1子出産後1年であった.血液生化学検査では肝炎ウイルスマーカー陰性で肝機能異常は認めず.AFPは正常値であったが,PIVKA-IIは329 mAU/mlと高値であった.CT検査で肝外側区域に造影効果をもつ直径3.2cmの腫瘍像を認め,超音波検査では腫瘍の内部は高エコー,辺縁部は低エコーであった.肝生検では高分化型肝細胞癌が疑われた.肝部分切除を施行し,術後経過は良好であった.病理組織検査では背景肝に線維化なく,腫瘍部は細胞異型が軽度で肝腺腫との鑑別診断が困難であったが,細胞密度の増加,類洞内皮の毛細血管化(CD34陽性)および間質への浸潤像を認め,高分化型肝細胞癌と診断した.
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  • 渡辺 雄一郎, 中村 典明, 野口 典男, 田中 真二, 有井 滋樹, 田邉 稔, 阿部 志保, 北川 昌伸
    75 巻 (2014) 1 号 p. 197-201
    公開日: 2014/07/31
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    症例は55歳男性で,45歳時に髄膜の血管周皮腫hemangiopericytoma(HPC)に対する切除を行った既往がある.2009年5月に施行された腹部造影CT検査にて,肝S6およびS4に造影早期で内部が不均一に早期濃染され,後期相で一部wash outされる多血性腫瘍を認め,肝細胞癌(HCC)の診断にて,肝後区域切除術,肝S4a部分切除術を施行した.しかし,摘出標本の病理検査所見は,紡錘形細胞が血管周囲を取り巻くように増殖しており,免疫染色を追加した結果,HPCと診断された.また,本腫瘍は10年前に摘出されたHPCの病理組織と類似しており,10年後の肝転移再発と診断した.術後4年無再発生存中である.HPCの肝転移に対して肝切除術を施行しえた例は非常にまれである.また,HPCの肝転移巣は多血性であることがあるため,HCCとの鑑別が重要である.
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  • 砂原 正男, 倉内 宣明, 木村 純, 工藤 和洋, 下山 則彦
    75 巻 (2014) 1 号 p. 202-207
    公開日: 2014/07/31
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    症例は71歳,男性.T2N0M0,Stage IIの膵頭部癌の診断にて手術を施行したところ,開腹時に肝S4/5に1cm大の円形白色結節を認めた.肝部分切除を施行し術中迅速病理診断に提出し,高~中分化型腺癌であった.診療ガイドライン上は遠隔転移のある膵癌では手術の適応はなく,化学療法やbest supportive careの適応であるが,術前画像診断では肝転移を疑われておらず,原発巣の進行度からは肝転移の可能性が高いとは言えず,原発巣は癌を遺残せず切除できる可能性が高いと判断し,膵頭十二指腸切除術D2郭清を施行した.切除した肝腫瘍は,永久標本では肝内胆管腺腫と診断された.肝内胆管腺腫はまれな良性肝腫瘍で,外科手術時に偶然発見されることが多く,肉眼上は転移性肝癌に似ているため,悪性腫瘍に併存した場合には注意が必要である.今回,膵頭部癌に併存した肝内胆管腺腫の1例を経験したので報告する.
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  • 阿南 陽二, 小熊 信, 佐澤 由郎, 伊在井 淳子, 盛口 佳宏, 高津 有紀子
    75 巻 (2014) 1 号 p. 208-211
    公開日: 2014/07/31
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    症例は30歳台女性で,上腹部痛を主訴に来院した.胆嚢結石と胆管炎の診断で入院したが,胆管造影で結石は明らかでなかった.腹腔鏡下胆嚢摘出術を行ったが,翌日から胆汁漏が出現した.ERC(endoscopic retrograde cholangiography)で胆嚢管断端から胆汁漏を認め,ENBD(endoscopic nasobiliary drainage)を開始した.再検ERCで胆管結石が明らかとなり,EST(endoscopic sphincterotomy)を行った.胆汁漏は軽快し,術後10日目に退院した.本例は術後落下結石による胆管内圧上昇に伴い,胆嚢管断端に破綻をきたして胆汁漏を生じたものと診断したが,落下結石による胆汁漏の発生はまれである.術後胆汁漏に対する内視鏡的治療の報告が増えている.病態に応じてENBDや胆管ステント,ESTの併用が必要と考えられた.
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  • 厚井 志郎, 田村 利尚, 秋山 泰樹, 皆川 紀剛, 日暮 愛一郎, 山口 幸二
    75 巻 (2014) 1 号 p. 212-218
    公開日: 2014/07/31
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    症例は43歳,男性.2010年12月,右腎細胞癌・肺転移に対し右腎摘出術を施行,術後IFN投与にて経過観察中であった.2011年11月のfollow-up CTで胆嚢腫瘍を認め当科紹介.腹部USで胆嚢底部に26mm大の腫瘍を認め,腹部造影CTで造影効果の伴う20mm大の充実性腫瘍を認めた.MRIでは胆嚢内にT1WIで高信号,T2WIで低信号の腫瘍を認めた.以上より,腎細胞癌の胆嚢転移や胆嚢癌を疑い拡大胆嚢摘出術を施行した.摘出標本で胆嚢底部に30mm×15mmの有茎性腫瘤を認め,組織学的には淡明細胞型の腫瘍細胞で,免疫組織化学ではvimentinとEMAが陽性,CEAとCK-7が陰性で,腎細胞癌の胆嚢転移と診断した.腎細胞癌は,肺・肝・骨などへの転移が多いとされ,胆嚢転移は非常に稀である.今回われわれは,典型的な肉眼所見を呈した腎細胞癌胆嚢転移の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
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  • 鈴木 文武, 伊藤 隆介, 藤岡 秀一, 岡本 友好, 矢永 勝彦, 福永 眞治
    75 巻 (2014) 1 号 p. 219-222
    公開日: 2014/07/31
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    症例は75歳,男性.2013年1月上旬より黄疸を自覚され近医受診したところ,肝機能障害を認めたため当院紹介受診となった.腹部CT検査にて下部胆管から両側肝内胆管の拡張と下部胆管内に軟部濃度域を認めた.腹部MRI検査では下部胆管にT1WI軽度低信号,T2WI等信号,DWI高信号を呈する腫瘍性病変を認めた.ERCPでは,下部胆管に約52mm長の表面不整な狭窄像を認めた.この際に施行された腫瘍生検でgroup3であった.下部胆管癌の診断にて,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.最終病理組織診断は,下部胆管腺扁平上皮癌pT4(Panc2)N0M0 fstage IV a,D2,根治度Aであった.術後4カ月目のCT検査にて,肺および肝に多発する転移巣を認め,現在加療中である.胆管原発の腺扁平上皮癌は,胆管癌の組織型としてはまれであり,早期に転移をきたすことからその悪性度の高さが指摘されている.化学療法を含めた集学的治療の開発が急務であると考えられた.
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  • 小林 裕幸, 野嵜 英樹, 清水 稔, 榊原 巧, 奥村 徳夫, 岡田 学
    75 巻 (2014) 1 号 p. 223-228
    公開日: 2014/07/31
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    胆嚢原発の腺内分泌細胞癌は稀な疾患であり,予後不良とされている.われわれは,胆嚢癌の診断にて手術を施行し,術後の病理検査にて胆嚢腺内分泌細胞癌と診断された症例を経験したので報告する.症例は77歳の男性で超音波検査にて胆嚢に3×2.5cm大の腫瘍を認めた.腹部CT検査などにて胆嚢癌と診断し手術を施行した.胆嚢体部に腫瘍を認め,肝床1cmを切除する拡大胆嚢摘出術,D2リンパ節郭清を施行した.病理組織検査ではN/C比の高い大小の腫瘍細胞が胞巣状に増殖し固有筋層内へ浸潤していた.周辺の粘膜には高分化腺癌が相接していた.免疫組織化学検査ではsynaptophysin・chromogranin Aが陽性であり,Ki-67指数は80%であった.胆嚢原発腺内分泌細胞癌と診断した.術後補助化学療法として,シスプラチン・イリノテカン併用療法を施行した.
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  • 鈴木 敏之, 若山 昌彦, 松本 裕史, 神谷 誠
    75 巻 (2014) 1 号 p. 229-233
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    症例は49歳,女性.健診で腹腔内腫瘤を指摘され,他医院で副腎腫瘍としてフォローされていた.その後,転居に伴い当院紹介受診となり,精査のための腹部造影CTと腹部エコーで3cm大の大網腫瘍疑いと診断された.患者の希望により半年後に再検査を実施し,同様の所見であったが,診断目的も兼ねた開腹手術を施行し,切除標本の病理結果から限局型のCastleman病(hyaline vascular type)と診断した.
    腹腔内腫瘤は術前確定診断が困難な例が多く,切除標本によって診断的治療とするケースが多い.中でも,本症例のような大網発生のCastleman病は非常に稀な疾患だが,鑑別診断の一つに挙げる必要があると考える.また,限局型のCastleman病は摘出することで予後は良好であるが,悪性リンパ腫の合併や再発することもあるので経過観察が必要と思われる.
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  • 山中 秀高, 日高 渉, 松永 宏之, 神谷 里明, 松崎 安孝, 溝口 良順
    75 巻 (2014) 1 号 p. 234-239
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    症例は56歳,男性.肛門痛で入院した.下腹部に腫瘤を触知し,腹部造影CTおよびMRIにて右梨状筋前面の骨盤内後腹膜原発間葉系腫瘍と診断し手術を施行した.周囲臓器浸潤なく腫瘍切除術を施行した.摘出標本で径100×90×80mm.組織でpatternless patternを,免疫染色でCD34(+),vimentin(+),c-kit(-),SMA(-),S-100(-)を認め,分裂指数3/10HPF,p53陽性率1%,MIB-1陽性率3%でありsolitary fibrous tumor(以下,SFTと略記),低悪性度と診断された.術後5年経過し無再発生存中である.SFTは胸膜原発が多く,胸膜外SFTは区別されている.自験例を含めた本邦報告骨盤内後腹膜原発SFTの検討では,組織学的に悪性が多いが生物学的には悪性度が低い可能性があり,完全切除と経過観察の重要性が示唆された.
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  • 秋本 修志, 福田 三郎, 石崎 康代, 藤崎 成至, 先本 秀人, 江藤 高陽
    75 巻 (2014) 1 号 p. 240-244
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    われわれは嵌頓した閉鎖孔ヘルニアの自然還納を画像で確認し,待機的に腰椎麻酔下に腹膜外到達法にてメッシュを使用し修復術を行った3例を経験したので報告する.症例1は88歳,女性.右鼠径部痛にて当院受診.CTにて閉鎖孔ヘルニアの嵌頓を認めたが,短時間で症状の改善を認めた.CT再検にて自然還納を認めたため,後日,Kugel法にて修復術を行った.症例2は84歳,女性.左下腹部痛が出現したため近医受診.CTにて閉鎖孔ヘルニア嵌頓と診断され,同日当院に紹介された.病院到着時には症状は軽快し,CT再検で自然還納が確認されたため,後日,修復術を行った.症例3は79歳,女性で右大腿部痛と腹痛にて救急外来受診.CTにて閉鎖孔ヘルニア嵌頓と診断し緊急手術を予定していたが,症状の改善を認めた.CT再検にて自然還納が確認されたため,後日,修復術を行った.閉鎖孔ヘルニアには嵌頓と自然還納を繰り返す症例があることを認識しておく必要がある.
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  • 古屋 一茂, 鷹野 敦史, 須貝 英光, 羽田 真朗, 宮坂 芳明, 中込 博
    75 巻 (2014) 1 号 p. 245-249
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    症例は82歳,男性.20年前より左鼠径部膨隆を自覚していた.食事摂取不良となってから3日後,嘔吐と腹痛を主訴に当院受診.左下腹部に圧痛と筋性防御を認め,左鼠径部から陰嚢にかけて発赤・圧痛・腫脹が著明であった.腹部CTで腹腔内の遊離ガス像と陰嚢内に糞便貯留とS状結腸の嵌入所見を認め,左鼠径ヘルニア嵌頓による陰嚢内S状結腸穿孔性腹膜炎と診断し,緊急手術を施行した.左陰嚢に及ぶ左外鼠径ヘルニア嚢内でのS状結腸穿孔と,腹腔内への腸管内容物の流出による腹膜炎の所見であった.Hartmann手術およびヘルニア嚢切除を行い,術後29日目に退院した.鼠径ヘルニア嵌頓による器質的疾患のないS状結腸穿孔は極めて稀である.若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 細井 愛, 黒崎 功, 高野 可赴, 皆川 昌広, 岩渕 三哉, 若井 俊文
    75 巻 (2014) 1 号 p. 250-254
    公開日: 2014/07/31
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    低栄養かつperformance status(以下,PSと略記)の低い患者に対し低侵襲手術を行った稀な症例を報告する.症例は胃癌に対して胃全摘術,多発結腸癌に対して右半結腸切除術,肺放線菌症に対して左肺下葉切除術の既往があった.術後定期観察中に内視鏡検査で十二指腸多発早期癌と診断された.初診時の全身状態が悪く,在宅栄養療法を2カ月間行った後,低侵襲を目的として膵温存十二指腸切除術を行った.胆嚢摘出時に偶発的にリンパ節転移を伴う胆嚢癌が発見されたが,リンパ節郭清や膵頭十二指腸切除術は追加しなかった.術後27日目に退院した.多重消化器癌手術後でPSの低い患者に対し,適切な栄養管理および低侵襲の術式は有用であろうと思われた.
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