日本臨床外科学会雑誌
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75 巻 , 11 号
選択された号の論文の51件中1~50を表示しています
原著
  • 鈴木 俊之, 貞廣 莊太郎, 齋藤 剛太, 岡田 和丈, 田中 彰, 春木 康男
    75 巻 (2014) 11 号 p. 2955-2961
    公開日: 2015/05/29
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    はじめに:直腸の手術では術野感染が多いことが報告されているが,周術期の経静脈的予防的抗菌薬の投与期間は確立していない.直腸癌の待期手術において,機械的,化学的腸管前処置を行う条件下で,経静脈的抗菌薬の望ましい投与期間を検討する目的で,無作為割付比較試験を行った.方法:直腸癌前方切除の待期手術患者366例を対象とした.A群にはCMZを手術直前1回のみ,B群にはA群と同様に手術直前1回投与の後,術後は手術当日と術後3日まで1日2回経静脈的に投与した.主評価項目は術野感染とした.結果:A群177例,B群174例で検討した.A群では切開部SSI 9.6%,臓器/体腔SSI 10.2%,B群ではそれぞれ6.9%,9.2%で,いずれもA群のB群に対する非劣性が示された.結語:直腸癌の待期手術における周術期抗菌薬の使用は手術当日のみでよいことが示された.
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臨床経験
  • 岩崎 謙一, 片柳 創, 寿美 哲生, 土田 明彦, 河地 茂行, 島津 元秀
    75 巻 (2014) 11 号 p. 2962-2966
    公開日: 2015/05/29
    ジャーナル フリー
    はじめに:胃神経内分泌癌は胃悪性腫瘍の約0.6%と稀な疾患であり,病態・治療に関して確立されていない部分も多い.対象と方法:対象は2000年1月から2013年6月まで当センターで経験した胃神経内分泌癌6例とし,臨床病理学的諸因子について検討した.結果:年齢は56~78歳.6例が男性.局在はU領域2例,M領域3例,L領域1例.肉眼型は0-I 1例,2型 3例,3型 2例.病期はStage IA:1例,Stage IIA:1例,Stage IV:4例.手術は4例で施行.術後無再発生存は1例で,術後平均生存期間は213日.非切除例2例の化学療法開始後平均生存期間は389日.免疫学的染色では,シナプトフィジン,CD56が6例で陽性,クロモグラニンAは5例で陽性.6例のうち通常型腺癌との併存は3例で認められた.結語:胃神経内分泌癌6例は,切除例・非切除例ともに長期生存なくいずれも治療に難渋した.
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症例
  • 矢野 由希子, 今井 延年, 外浦 功, 加茂 知久, 石丸 神矢
    75 巻 (2014) 11 号 p. 2967-2970
    公開日: 2015/05/29
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    症例は70歳,女性.35年前に甲状腺癌の既往があり,現在はかかりつけの近医で甲状腺剤投与を受けていた.自宅で転倒し,翌日にふらつき,痙攣,全身の硬直を主訴に救急外来を受診した.頭部CTでは頭部外傷に伴う異常所見はなかった.血液検査で著名な低カルシウム血症を認めた.血清intact-PTH値は低値であり,甲状腺癌手術後の副甲状腺機能低下症と診断した.カルシウムおよび活性型ビタミンD製剤の補充を開始し,血清カルシウム値正常化に伴い,意識症状の改善,テタニー症状の改善があり,退院した.甲状腺手術に伴う副甲状腺機能低下症の合併症は一過性と永続性副甲状腺機能低下症を合わせると比較的頻度の高い合併症であるが,その出現時期は手術直後である.今回,甲状腺全摘手術後35年という術後長期間を経過してから発症した副甲状腺機能低下症に伴う低カルシウム血症の稀な症例を経験したのでこれを報告する.
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  • 鳩野 みなみ, 枝園 忠彦, 田中 健大, 土井原 博義
    75 巻 (2014) 11 号 p. 2971-2975
    公開日: 2015/05/29
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    症例は41歳,女性.左側頸部腫大を自覚し近医を受診,頸部エコーで左側頸部嚢胞を認めた.フォロー中に増大傾向を認め,当科紹介となった.頸部エコーで,甲状腺腺外に境界明瞭で内部無エコーの嚢胞性病変を認めた.原発不明の側頸部腫瘍として腫瘍摘出術を施行.腫瘍は,左内頸静脈外側に接するように存在し,容易に剥離できた.咽頭方向には索状物が連続していたが,甲状腺や迷走神経,頸神経ワナとの連続は認めなかった.摘出した嚢胞は5cm大で,表面平滑,暗赤色の液体内容を含んでおり,透光性良好であった.病理組織診断は,嚢胞壁内と壁在結節に異形成に乏しい甲状腺濾胞の集簇を認め,異所性腺腫様甲状腺腫であった.頸部腫瘍には正中・側頸嚢胞や異所性甲状腺,甲状腺乳頭癌のリンパ節転移などがある.治療方針を決める上で,悪性の可能性を十分検討することが重要であり,穿刺では再発することもあることから,外科的摘出が望ましいと考えられる.
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  • 安岡 利恵, 埴岡 啓介, 満尾 学
    75 巻 (2014) 11 号 p. 2976-2981
    公開日: 2015/05/29
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    症例は89歳,女性.2005年2月右乳癌に対して乳房温存術+腋窩リンパ節郭清施行(右AC領域 T2N0M0 stage IIA.invasive ductal carcinoma,papillotubular type).術後残存乳房に放射線治療を施行した.術後より右上肢および右乳房の浮腫が著明であった.2011年3月および2013年3月と残存乳腺に腫瘤が出現し,2011年当初は乳癌の乳腺内再発と診断されたが,2013年3月摘出標本で乳腺血管肉腫と診断がつき,見直しにて2011年の標本も血管肉腫と診断された.その後,皮内および皮下への転移・再発を繰り返し,現在Docetaxel(30mg/m21投1休)による化学療法にて加療中である.今回われわれは,乳癌に対する乳房温存術後に発生した乳腺血管肉腫の1例を経験したので報告をする.
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  • 藤井 清香, 椎木 滋雄, 園尾 博司, 鹿股 直樹, 森谷 卓也
    75 巻 (2014) 11 号 p. 2982-2985
    公開日: 2015/05/29
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    症例は80歳,女性.右乳房腫瘤を主訴に受診.右乳房A領域に4.0×3.0cm大の境界明瞭な腫瘤を触知した.マンモグラフィでは内部に粗大な石灰化を伴う境界明瞭な腫瘤であり,石灰化の形状は通常の線維腺腫の石灰化とは異なっていた.超音波検査では充実性部分と嚢胞性部分とが混合する境界明瞭な混合性腫瘤であった.粗大石灰化を伴う境界明瞭な腫瘤であり,良性腫瘍が考えられたこと,穿刺吸引細胞診で悪性所見を認めなかったことより経過観察としていたが,4カ月後の再診時に腫瘤の増大を認めたため,腫瘤摘出術を行った.病理組織学的には骨・軟骨成分と癌成分を伴う悪性葉状腫瘍と診断された.術後,追加切除および補助療法は行わず2年が経過したが,局所再発および遠隔転移を認めていない.
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  • 高木 健裕, 竹内 透, 竹内 新治, 大久保 雄一郎
    75 巻 (2014) 11 号 p. 2986-2991
    公開日: 2015/05/29
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    症例は41歳,女性.左乳房C領域に110×60mmと増大傾向にある大きな線維腺腫を認めこれを切除した.病理学的に間質と上皮の増殖を認める線維腺腫で核異型は乏しく悪性像は認めなかった.半年後に行った乳腺エコーで切除部に6×4mmの腫瘤が出現し,8カ月間サイズは不変であったが,その後3カ月で腫瘤は45×30mmに急速増大した.穿刺組織診を施行し,線維腺腫の再発と考えられ局所麻酔下に切除した.最終病理所見では非浸潤性乳管癌(DCIS)を含有した線維腺腫であった.乳管内を腫瘍細胞が充実性に増殖していたが,DCISは被膜を有する線維腺腫内に留まっていた.生検で取り切れたと判断し追加切除を行わず,術後はTamoxifen内服と乳房照射を施行した.今回われわれは,110mm大の大きな線維腺腫切除部分に発生し,被膜内にびまん性にDCISを有して急速増大した線維腺腫再発の1例を経験したので報告する.
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  • 江本 健太郎, 重田 匡利, 佐藤 陽子, 須藤 学拓, 南 佳秀, 植木 幸一
    75 巻 (2014) 11 号 p. 2992-2996
    公開日: 2015/05/29
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    乳癌胸骨転移再発に対し,胸腹壁再建に用いられるデュアルメッシュ®にて胸骨再建を施行し,良好な経過を得ている症例を経験したので報告する.
    症例は56歳の女性.2001年に右乳癌に対して胸筋温存乳房切除術施行後,内分泌療法を施行していたところ,2005年に右鎖骨上,縦隔のリンパ節および胸骨に転移が出現した.その後,内分泌療法を変更し,化学療法・放射線療法を追加したが,胸骨のみに腫瘍が残存した.同病変は増大傾向を示し,疼痛を伴うようになったため,2011年に胸骨体部切除術を施行した.再建にはデュアルメッシュ®を用いた.組織診断は乳癌の転移であり,切離断端は陰性であった.
    呼吸による胸郭変動はなく,疼痛も軽快した.現在のところ再発の兆候はない.
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  • 西山 勝彦, 井川 理, 鎌田 陽介, 竹中 温
    75 巻 (2014) 11 号 p. 2997-3001
    公開日: 2015/05/29
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    症例は既往に35年前,胆嚢摘出手術を受けた74歳の女性.慢性咳嗽と貧血を主訴に受診入院.胸部X線写真で右下肺野に巨大な腫瘤陰影を認めた.胸部CT・MRIで右下葉の腫瘤は内容物にガーゼを含有する肺膿瘍と診断された.術前検査で低肺機能があり肺葉切除が困難と判断され開窓術による異物除去と膿瘍内洗浄を行った.膿瘍腔内は有瘻性で治療に難渋したが,全身状態の改善を待って開窓術後3カ月目に二期的に大網充填術を行い軽快した.近年医療安全の推進により異物遺残の報告は減少してきたが,過去の開腹手術後のガーゼ遺残による手術や稀なガーゼの移動による症例の報告が散見されている.しかし,腹腔内に遺残したガーゼが横隔膜を越えて肺内で膿瘍を形成した報告は極めて珍しく調べられた報告では5例のみで,われわれの報告が6例目と考えられた.術後4年経過し再燃なく過ごしている.極めて珍しい症例を経験したので文献的考察を加え報告する.
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  • 片岡 瑛子, 元石 充, 澤井 聡
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3002-3005
    公開日: 2015/05/29
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,女性.下部胆管癌に対して膵頭十二指腸切除が施行された(tubular adenocarcinoma,moderately differentiated,pT2N2M0 Stage III).4年後に胸部CTで右肺下葉S8と左肺上葉S3,左肺下葉S9に腫瘤陰影を指摘された.他部位に腫瘤影は認められなかった.転移性肺腫瘍または原発性肺癌の可能性が疑われ,胸腔鏡下右肺部分切除が施行された.病理組織学的検査では粘液産生を示す腺癌がみられ,胆管癌手術時の標本の組織像と類似していることに加えて,免疫染色でSP-A,TTF-1,Napsin-Aすべて陰性であることから,胆管癌肺転移と診断に至った.右肺部分切除術2カ月後に左肺腫瘍2箇所に対しても切除術が行われ,同様の病理結果が得られた.肺転移術後2年経過しているが再発はみられていない.胆管癌肺転移に対する治療は確立されていないが,本症例は一般的な転移性肺腫瘍の手術適応と同様に考え,外科的切除は有用であったと考えられた.
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  • 金森 大輔, 篠原 寿彦, 藤田 明彦, 田中 雄二朗, 谷田部 沙織, 羽生 信義
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3006-3009
    公開日: 2015/05/29
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    Bochdalek孔ヘルニアに対する治療は,外科的治療が第一選択とされており,これまでに開腹,開胸,胸腔鏡,ならびに腹腔鏡下手術による修復例が報告されている.今回,人工気胸を併用した腹臥位胸腔鏡下手術にて修復しえたBochdalek孔ヘルニアを経験した.症例は49歳,女性.健診異常を主訴に当院を受診され,胸部CT検査にて左背側部に横隔膜ヘルニアを認め,Bochdalek孔ヘルニアと診断した.術中,人工気胸を用いることで分離肺換気が不要となり,また,腹腔内との圧較差を認めるため嵌入した臓器を容易に還納することが可能であった.また,腹臥位で行うことで血液や胸水,肺実質が腹側へ偏位するため,良好な視野および術野を確保することができた.術後経過は良好であり,術後4日目に退院された.人工気胸を併用した腹臥位胸腔鏡下手術はBochdalek孔ヘルニアの手術として低侵襲で利点の多い術式である.
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  • 番場 竹生, 中川 悟, 藪崎 裕, 會澤 雅樹, 松木 淳, 本間 慶一, 梨本 篤
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3010-3014
    公開日: 2015/05/29
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    症例は54歳,男性.検診目的の胸部X線で右下肺野の異常陰影を指摘され,胸部CTで食道に連続する14cm大の脂肪濃度の後縦隔腫瘍を認めた.CTガイド下針生検では明らかな悪性所見はなかったが,画像上悪性腫瘍と診断し,右開胸下腫瘍切除術を施行した.腫瘍は縦隔内に存在し周囲への浸潤はなかったが一部が食道壁に連続しており,食道筋層を部分切除して摘出した.標本は大きさ18×10×7cmの黄色調を主体とする充実性腫瘍で,組織学的には異型細胞を含む脂肪組織と疎な線維成分から構成され,免疫染色で異型細胞はS100(+,少量),CDK4(+),MDM2(+,一部),Ki-67(+)であることから高分化型脂肪肉腫と診断した.術後経過は良好であり,再発なく5カ月経過した.壁外性に発育した食道脂肪肉腫に対し,食道を温存して腫瘍切除を施行した.術後再発のリスクを考慮し継続的な経過観察が必要である.
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  • 伊江 将史, 坪佐 恭宏, 新原 正大, 川守田 啓介, 清原 祥夫, 草深 公秀
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3015-3019
    公開日: 2015/05/29
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    今回われわれは,食道原発悪性黒色腫に対して術前術後にDAV-Feron療法を施行し,長期無再発生存を得た2例を経験したので報告する.症例1は36歳,男性.胸焼け,嚥下違和感の精査内視鏡で胸部下部食道に20mm大の黒~灰色調の腫瘍を認め,生検で食道原発悪性黒色腫と診断された.術前診断cT2N0M0,cStage IIに対して術前術後にDAV-Feron療法と,右開胸開腹食道亜全摘術,3領域郭清を施行した.術後INF-β維持療法を施行しており45カ月間,無再発生存中である.症例2は64歳,男性.貧血精査の内視鏡で胸部下部食道に40mm大の黒色隆起病変を認め,生検で食道原発悪性黒色腫と診断された.cT3N0M0 cStage IIの診断で術前術後にDAV-Feron療法と,右開胸開腹食道亜全摘術,2領域郭清を施行した.術後INF-β維持療法を継続しており,49カ月間無再発生存中である.
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  • 宮北 寛士, 小澤 壯治, 小熊 潤也, 数野 暁人, 山崎 康, 岩崎 正之
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3020-3023
    公開日: 2015/05/29
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    症例は63歳,男性.つかえ感を主訴に近医を受診し,上部消化管内視鏡検査にて胸部食道癌と診断されたため当科を紹介受診した.術前診断はMtLt,T3N2M0 Stage IIIであり,術前補助化学療法2コース後,右開胸開腹食道亜全摘,胃管再建術を施行した.気管右側に憩室を認め,気管内挿管チューブ挿入や食道と気管の剥離操作,リンパ節郭清に工夫を要したが,順調に手術を終了した.気管憩室を併存した食道癌の本邦報告例はなく,食道癌手術を安全に施行するための有用な情報提供としての意義があると考え報告する.
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  • 鈴木 佳透, 松本 松圭, 清水 正幸, 山崎 元靖, 長島 敦
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3024-3029
    公開日: 2015/05/29
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    十二指腸憩室の穿孔は比較的稀な疾患であるが,その解剖学的特異性から治療選択に難渋する.今回われわれは,幽門閉鎖を加えることにより,良好な経過が得られたため,若干の文献的考察を加え報告する.
    症例は77歳女性.腹痛を主訴に当院救急外来を紹介受診した.血液検査上は炎症反応の上昇を認め,腹部CTで十二指腸周囲に膿瘍形成を認めた.十二指腸穿孔による後腹膜膿瘍と診断し,入院2日目に準緊急で手術を施行した.術中所見では,膿瘍は膵頭部から十二指腸後面まで広がっていた.穿孔部は十二指腸乳頭やや肛門側に認め,周囲の組織は壊死しており,大網充填を施行した.術後縫合不全のリスクが高いと考え,十二指腸減圧のため,pyloric exclusionを付加する方針とした.胃内腔より幽門を閉鎖し,胃空腸吻合術を追加し,総胆管にT-tubeを挿入している.十二指腸充填部縫合不全を認めたが経口摂取は可能で,術後11日に退院した.
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  • 原 仁司, 山崎 康, 鍋島 一仁, 中村 健司, 安田 聖栄
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3030-3033
    公開日: 2015/05/29
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    症例は57歳,女性.胃部不快感のため施行された上部消化管内視鏡検査にて胃体中部前壁小弯寄りに小隆起性病変を指摘され当院消化器内科へ紹介された.精査でIII型胃神経内分泌腫瘍と診断され,転移を示唆する所見を認めず,内視鏡的粘膜下層剥離術を施行された.腫瘍径は5×3mm,病理診断はNET G1,T1でリンパ管侵襲を認めたため当科へ手術依頼となった.手術はsentinel node navigation surgeryを併用しリンパ節転移なしと判断され腹腔鏡下胃局所切除術を施行した.切除標本に腫瘍の遺残はなく,最終診断はT1,N0,M0,Stage Iであった.術後約2年経過し,現在まで再発を認めていない.胃神経内分泌腫瘍に対しsentinel node navigation surgeryを併用し腹腔鏡下胃局所切除術を施行した1例を経験したので報告する.
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  • 西口 由希子, 青松 幸雄, 平尾 具子, 中尾 武, 杉原 誠一, 今川 敦史
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3034-3038
    公開日: 2015/05/29
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    残胃胃石によるイレウスは比較的稀な疾患とされており,手術加療が必要となる場合も多い.今回われわれは胃癌術後の挙上空腸内に胃石が嵌頓しイレウスを発症した1例を経験したので報告する.症例は67歳の男性.63歳時に早期胃癌に対して幽門側胃切除術,Roux-en-Y再建を施行された既往がある.2012年11月に排便停止と嘔吐を主訴に当院を受診し,術後,イレウスの診断で入院となった.腹部CT,消化管造影検査で挙上空腸の通過障害を認め,イレウス症状の改善がみられないため手術加療を行った.胃空腸吻合部の肛門側に10cm大の結石を触知し,これによる通過障害と診断した.空腸を切開して結石を摘出した.結石成分は98%以上がタンニンであり,また,柿を常食していたことより柿胃石が挙上空腸に嵌頓したことによるイレウスと診断した.経過良好であり術後14日目に退院した.
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  • 三野 和宏, 後藤 順一, 土橋 誠一郎, 服部 優宏, 安本 篤史, 小野寺 一彦
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3039-3045
    公開日: 2015/05/29
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    先天性血小板機能異常症および血友病B上記疾患が併存した患者に発症した胃癌に対し,腹腔鏡下幽門側胃切除を施行した症例を経験したので報告する.
    症例は59歳の男性で,胃体下部の早期胃癌の診断で当科紹介となった.術前,活性化部分トロンボプラスチン時間が軽度延長していたことから,新鮮凍結血漿(FFP)投与下で手術を行った.術後,FFP投与に反応しない出血が持続したため再手術を行ったところ,腹腔内に多量の凝血塊を認め,凝血塊を除去する際に胃空腸吻合部に小さな拍動性出血を認めた.同部位は容易に止血できたものの,組織の易出血性所見を認めた.再手術前に評価していた血小板凝集能と血液凝固第IX因子活性の低下を認めたため,濃厚血小板と第IX因子製剤を併用することで,再手術後は出血傾向を認めることなく経過した.血小板機能障害をきたす基礎疾患,薬剤使用歴はなく,先天性血小板機能異常症・血友病Bの診断となった.
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  • 伊達 健治朗, 仲田 興平, 山田 大輔, 大内田 研宙, 永井 英司, 田中 雅夫
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3046-3050
    公開日: 2015/05/29
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    輸血後に発症した後天性血友病は極めてまれである.周術期発症例は致命的であることが多いが,治療に急を要する高度進行悪性腫瘍手術と出血のコントロールの両立は容易ではない.症例は65歳の男性で,高度貧血を伴う進行胃癌で紹介となった.初診時APTT値は正常であったが,輸血後徐々に延長した.血友病を念頭に鑑別診断を行ったが,出血を伴う進行胃癌と考えられ,手術を先行した.術後2日目に腹腔内出血を認め,また,同日に第VIII因子抑制因子陽性と判明し,後天性血友病と診断した.活性型第VII因子製剤を中心に治療を開始したが,術後7日目には吻合部出血を認め,内視鏡的に止血した.以降は出血傾向無く術後58日目に退院となった.本症例では手術時期の選択に関しては若干反省すべき点があるが,術前から本疾患を念頭に置き,専門医と治療に当たることで救命できた.本疾患に対する外科医の認識と,血液病専門医とともに治療を行うことが重要である.
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  • 紙谷 直毅, 渡辺 明彦, 向川 智英, 石川 博文, 高 済峯, 松阪 正訓
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3051-3055
    公開日: 2015/05/29
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    症例は66歳,男性.2013年3月に施行した上部消化管内視鏡検査で,体上部大彎後壁に3型腫瘍,体中部大彎に0-II a+II c型腫瘍を認めたため加療目的に当科に紹介となった.腹部CT検査で遠隔転移を認めず,多発胃癌の診断で同年4月に開腹胃全摘術,D2郭清を施行した.病理組織学的検査所見で3型腫瘍はchromogranin A,synaptophysin陽性より内分泌細胞癌と,0-II a+II c型腫瘍は中分化型管状腺癌(T3,N1,M0,P0,CY0,H0,cStage II B)と診断した.S-1による補助化学療法を施行するも,術後6カ月の画像検査で多発肝転移と胸椎転移を認めた.更なる化学療法を施行するが,奏効せず術後11カ月に原病死した.今回われわれは,極めてまれな内分泌細胞癌と腺癌の同時性多発胃癌症例を経験したため文献的考察を加え報告する.
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  • 小松原 利英, 鯉沼 広治, 佐田 尚宏, 安田 是和
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3056-3060
    公開日: 2015/05/29
    ジャーナル フリー
    症例は66歳の女性で,嘔吐と体重減少を主訴に当院を受診した.腹部CTにて十二指腸周囲,肝十二指腸間膜,小網に至る気腫像,胃十二指腸下行脚部の著明な拡張,水平脚部のcaliber changeを認めた.さらに,多量の腹腔内free airと十二指腸周囲の後腹膜ガス像も認めたため,上腸間膜動脈症候群による腸管気腫症および上部消化管穿孔の診断で緊急手術を施行した.術中所見では胃十二指腸の拡張,および十二指腸気腫を認めたが穿孔所見や腹水は認めなかった.経胃腸瘻造設のみ行い,術後経過は良好であった.腸管気腫症の原因は多岐にわたり,時にfree airを伴い消化管穿孔との鑑別が困難なことがある.患者の臨床所見と腸管気腫症の成因を詳細に検討し治療方針を決定することが重要で,審査腹腔鏡も選択肢の一つと考えられた.
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  • 笠井 明大, 山内 淳一郎, 安食 隆, 近藤 典子, 赤平 純一, 石山 秀一
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3061-3066
    公開日: 2015/05/29
    ジャーナル フリー
    症例は88歳,女性.下腹部痛を主訴に受診.腹部CTにて腸管気腫を伴う腸管壊死を疑い,開腹術を施行した.回腸の一部に虚血性変化を認め,小腸切除を施行した.病理検査では腸管壁の全層壊死を認め,壊死腸管の近傍に壁内気腫を認めた.退院後,再度の腹痛にて来院し,腹部CTでは腸間膜内に腹腔内遊離ガスを認め,再手術を施行した.回腸腸間膜内に気泡を認め,消化管穿孔を疑い,同部位を切除した.肉眼では穿孔を認めず,病理では腸管壁内に多数のgas cystを認め,腸管嚢腫様気腫症と診断した.術後難治性の下痢を認め,小腸内視鏡では空腸に半球性隆起性病変を認めた.第67病日目に腹痛が増悪し,腹部CTを行った.胃から横行結腸への広範な壁内気腫,門脈内ガス,肝造影不良域を認め,多臓器不全にて死亡した.剖検においても同様の所見を得た.腸管嚢腫様気腫症に多臓器梗塞を合併した報告は稀であり,文献的考察を加えて報告する.
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  • 高津 有紀子, 佐野 武, 小菅 敏幸, 布部 創也, 大橋 学, 比企 直樹
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3067-3071
    公開日: 2015/05/29
    ジャーナル フリー
    症例は79歳の男性で,胃癌に対して幽門側胃切除術・Roux-en-Y (R-Y)再建術を施行した(R0手術:pT4aN3M0 Stage IIIC).術後1年10カ月目に急な腹痛を主訴に来院し,イレウスの診断で緊急入院した.腹部造影CTでは,輸入脚およびY吻合部空腸の拡張と壁の造影不良を認めた.Y吻合部近傍の腹膜播種再発による絞扼性イレウスを疑い,緊急手術を施行した.開腹所見時,胃癌の再発所見を認めず,Y吻合部より肛門側の空腸が逆蠕動性に重積し30cmが壊死に至っていたため,Y吻合部を含む小腸を切除し再度Y吻合を作成した.R-Y再建後のY吻合部への腸重積は極めてまれだが,本疾患を念頭に置いていれば特徴的な画像所見から術前診断が可能であったと考えられ,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 小郷 桃子, 西川 勝則, 湯田 匡美, 松本 晶, 小村 伸朗, 矢永 勝彦
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3072-3076
    公開日: 2015/05/29
    ジャーナル フリー
    成人腸重積症は稀な疾患で約90%に器質的原因が存在するとされている.頸部食道癌・遊離空腸再建後に発症した腸重積症を経験したので報告する.症例は78歳の男性.早期胃癌・食道癌内視鏡的粘膜剥離術後の経過観察中に頸部食道癌が発見され咽頭喉頭食道切除・遊離空腸再建+胃瘻造設術を施行した.術後3日目に嘔吐,胃瘻より減圧を行ったが排液が続いた.術後15日目の内視鏡で空腸吻合部に器質的狭窄は認めなかったが,術後19日目の上部消化管造影で吻合部近傍に通過障害を認め,CTにて同部位にカニ爪様陰影が確認された.腸重積症と診断し術後28日目に手術を施行した.空腸吻合部を先進部として口側腸管が肛門側に重積していた.再発を危惧し吻合部を切除・再吻合を行った.通過障害は改善し再手術後26日目に軽快退院した.遊離空腸採取後の腸重積症は低頻度であるが,術後早期の吻合部通過障害を認めた場合,腸重積症も念頭に置く必要がある.
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  • 西村 潤也, 寺岡 均, 北山 紀州, 埜村 真也, 野田 英児, 西野 裕二
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3077-3082
    公開日: 2015/05/29
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,男性.突然の腹痛,嘔吐を主訴に来院した.腹部CTにて小腸の拡張および小腸内腔に造影効果を受ける腫瘤を認め,小腸腫瘍に伴うイレウスと診断し手術を施行した.術中所見では,Bauhin弁より約1m口側の回腸に閉塞部位を認め,それより口側小腸の拡張を認めた.また,後腹膜腔に鶏卵大の腫瘤を触知し,リンパ節転移が疑われた.狭窄部を含む50cmの小腸部分切除術を施行した.摘出標本を確認したところ,最大径1.5cmの腫瘍を含む,白色調の隆起性病変を多数認めた.リンパ節転移を疑う後腹膜腔の腫瘤は周囲組織と強固に癒着しており,摘出は困難であった.病理組織学検査にて隆起性病変はすべてカルチノイドと診断された.今回われわれは,イレウスを契機に発見された,多発小腸カルチノイドの稀な1例を経験したため,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 石岡 興平, 高 済峯, 西和田 敏, 向川 智英, 石川 博文, 渡辺 明彦
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3083-3087
    公開日: 2015/05/29
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,男性.ガラスで左前腕を受傷し,当院を受診した.局所麻酔下に約8cmの創部を縫合した.縫合後に迷走神経反射による血圧低下をきたしたため,輸液を行いながら経過観察していたが,約7時間後に下血と腹膜刺激症状を伴う腹痛とともにショック状態となった.循環管理を行い,原因精査のため腹部造影CTを施行したところ,血管閉塞のない腸管血流不全を認めたため,非閉塞性腸間膜虚血症を疑い,緊急手術を行った.回腸末端より口側50cmの回腸から横行結腸中央部までの腸管は壊死していたが,虫垂は正常で腸間膜動脈の拍動は良好であったため,非閉塞性腸間膜虚血症と診断した.結腸右半切除術を施行し,一期的吻合は避け,両断端腸管による双孔式人工肛門を造設した.術後経過は良好で,後日,回結腸吻合を施行した.局所麻酔下の外傷創処置による迷走神経反射が誘因と考えられる非閉塞性腸間膜虚血症は極めて稀な病態であると考えられた.
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  • 水本 一生
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3088-3093
    公開日: 2015/05/29
    ジャーナル フリー
    症例は83歳,男性.便秘・腹痛・嘔吐を主訴に来院し,宿便による腸閉塞の診断で入院となった.翌日,腹痛と腹部膨満感が増悪し,Dynamic CTで結腸の拡張と腹水を認め,急性大腸偽性閉塞の診断で緊急手術を施行し,上行結腸から下行結腸にかけて腸管虚血・壊死を認めたため広範囲の結腸を切除し,回腸・S状結腸吻合術を施行した.術中所見および病理組織学的所見より非閉塞性腸管虚血症(non-occlusive mesenteric ischemia; NOMI)と診断した.術後はsecond look operationは施行しなかったが経過良好で,第28病日に退院となった.NOMIには特異的な身体所見や症状がなく,進行も緩徐で,そのためにしばしば重篤な印象を与えないことがあるが,実は致死的な病態である.急性腹症の診療ではNOMIを念頭に置くことが重要である.
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  • 舘野 佑樹
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3094-3097
    公開日: 2015/05/29
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    胃透視後結腸穿孔によるバリウム腹膜炎は稀ではあるが,重篤な合併症である.バリウム遺残による術後炎症反応遷延がその一因とされる.今回われわれは,発症早期の手術と術早期からのステロイドパルスにより良好な転帰をたどった症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例は44歳の女性で,バリウムによる胃透視検査後3日目にS状結腸穿孔,バリウム腹膜炎を発症し緊急手術を施行した.汎発性バリウム性腹膜炎を呈しており,手術は大量の温生食による腹腔内洗浄と人工肛門造設を行った.遺残バリウムに起因する炎症反応上昇・遷延を予防するため,術当日よりステロイドパルスを施行した.術後経過は良好で,退院後も合併症なく経過している.
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  • 高橋 宏幸, 東 大二郎, 池田 裕一, 平野 由紀子, 二見 喜太郎, 前川 隆文, 太田 敦子, 岩下 明憲
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3098-3101
    公開日: 2015/05/29
    ジャーナル フリー
    特発性気腹症を呈した大腸癌イレウスの1例を経験したので報告する.症例は73歳,女性.腹痛と腹腔内遊離ガスの画像所見で近医より紹介となり,緊急手術を施行した.術前は横行結腸癌による閉塞性イレウス,さらに同部位の穿孔を考えていた.しかし,術中所見では横行結腸癌イレウスを呈してはいたが,腸管穿孔や腹膜炎の所見は認めなかった.拡大右半結腸切除術および一期的腸管吻合を行い,術後27日目に軽快退院した.大腸癌イレウスを原因とした特発性気腹症症例は,これまで本邦では報告例を認めていない.
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  • 酒井 欣男, 栗原 雄司, 有田 淳, 石川 由起雄
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3102-3107
    公開日: 2015/05/29
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,女性.2006年10月,下部消化管穿孔の診断下,同日緊急手術を施行.S状結腸に2型進行癌の穿孔を認めS状結腸切除,人工肛門造設術および洗浄ドレナージを行った.病理診断は高分化型腺癌,se,ly1,v1,n1,stage IIIa.術後第43病日に創部哆開のため再閉鎖行った.その後1年間S-1を内服し,2008年1月に人工肛門閉鎖および再吻合術を行った.術中に回腸末端より約20cm口側回腸に粘膜下腫瘍を認め切除した.他に腹水,腹膜転移等は認められなかった.粘膜下腫瘍の病理組織所見は粘膜筋板が保たれ,初回手術の病理所見と極めて類似しており,S状結腸癌の異時性小腸転移と診断した.転移形式は高分化型腺癌が粘膜下層から漿膜下層に認められ,粘膜面および漿膜面には認められなかったことより血行性もしくはリンパ行性転移と考えられた.
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  • 高橋 大五郎, 夏目 誠治, 加藤 岳人, 平松 和洋, 柴田 佳久, 吉原 基
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3108-3114
    公開日: 2015/05/29
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,局所再発大腸癌に対し膵頭十二指腸切除術にて根治切除を施行した3例を経験した.再発時期としては,それぞれ術後10年・4年・半年であった.すべての症例においてR0手術を施行できた.術後合併症として1例で術後膵液瘻を認めたがドレナージにて軽快退院した.予後としては,2例は無再発生存中,1例で術後1年目に腹膜播種再発を認めたが,外来にて通院化学療法中である.
    膵頭十二指腸切除術は侵襲の大きい術式であるが,現在では比較的安全に行える術式である.大腸癌の再発に対しては手術による完全切除により治癒が見込めるため,患者の状態を考慮し症例を選択し手術を行うことで予後改善が見込める可能性がある.
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  • 松浦 裕司, 水野 伸一, 日比野 正幸, 徳丸 勝悟, 平田 明裕, 玉内 登志雄
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3115-3119
    公開日: 2015/05/29
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    症例は62歳,女性.精神発達遅滞があり,15年前に下行結腸癌の手術歴がある.今回,排便時の下血を主訴に当院内科を受診した.下部消化管内視鏡検査で直腸Rbに易出血性の白苔を伴う隆起性病変を認め,直腸癌が考えられた.腹部CTでは壁外浸潤を伴う腫瘍が直腸にあり,所属リンパ節および左内腸骨動脈領域のリンパ節腫大が見られた.生検組織の病理ではH.E.染色で低~未分化の悪性腫瘍が疑われ,免疫染色で悪性黒色腫と診断した.腹会陰式直腸切断術+D3リンパ節郭清を施行し,病理組織診断はmalignant melanoma,pT4a,pN3(21/38),M0 pStage III cであった.直腸肛門部の悪性黒色腫は同部位の悪性腫瘍の0.38%と比較的まれな疾患とされている.本例は内視鏡所見では腫瘍に黒色調の部位がみられず,組織標本上わずかにメラニン色素を認めるのみで,免疫染色で確定診断がついた症例で,若干の文献的考察を踏まえて報告する.
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  • 大陽 宏明, 谷 直樹, 荒木 康伸, 清水 健, 野口 明則, 山根 哲郎
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3120-3124
    公開日: 2015/05/29
    ジャーナル フリー
    症例は46歳の男性.幼少期の鼻出血に伴う出血傾向からvon Willebrand病(vWD)と診断されている.下痢と血便を主訴に当院消化器科を受診.精査の結果,直腸粘膜下腫瘍と早期直腸癌の診断となり外科を紹介受診.血液検査にてvWDは2A型と診断し,activated partial thromboplastin time(APTT)は39.6秒と軽度延長していた.第VIII凝固因子/ von Willebrand因子濃縮製剤を投与しAPTTを指標に止血管理を行い,直腸局所切除術・直腸ESDを施行し直腸GIST・早期直腸癌と診断した.直腸癌の追加切除として腹腔鏡下低位前方切除術を同様の止血管理で施行した.術中は止血困難を認めず,出血量50mlにて手術を終えた.vWDの患者にも十分に止血管理されていれば腹腔鏡手術は安全に施行できるものと考えられた.本症例に関して文献的考察を加えて報告する.
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  • 石原 陽介, 園山 輝久, 若狭 基見, 北出 貴嗣, 山崎 茂樹
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3125-3128
    公開日: 2015/05/29
    ジャーナル フリー
    患者は58歳の男性で全身倦怠感,発熱を主訴に受診した.右下腹部に腫瘤を触知し腹膜刺激症状を認めた.血液検査結果で高度の炎症反応と肝機能障害を併発していた.腹部造影CTにて隔壁様構造を伴う腫大した虫垂および肝S5に長径70mmの肝膿瘍を認め緊急手術を施行した.壊疽性虫垂を切除後,エコーガイドで経皮経肝的に肝膿瘍にドレナージチューブを留置した.膿瘍穿刺液の培養検査で菌体は検出されなかったが,術前の血液培養ではFusobacterium sp.を認めた.術後,抗生剤および免疫グロブリン製剤を投与し術後32日目に軽快退院となった.本邦において急性虫垂炎が契機と考えられる化膿性肝膿瘍の症例報告は自験例を含め12例であった.若干の文献的考察を加えこれを報告する.
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  • 矢澤 武史, 川添 准矢, 原田 英樹, 山本 秀和, 財間 正純, 武内 英二
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3129-3134
    公開日: 2015/05/29
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    症例は58歳の男性で近医で施行した腹部エコーで肝腫瘍を指摘され当院に紹介された.CT検査で肝S6に早期濃染を示す腫瘍を認め肝原発の悪性腫瘍の診断で肝S6亜区域切除術を行った.腫瘍は26mmの充実性腫瘍で病理学的に卵円形細胞がいわゆるhemangiopericytoma-like patternに増殖しており,免疫染色でCD34,vimentin陽性であったことから,肝原発solitary fibrous tumor (SFT)と診断した.術後1年の現在,再発を認めていない.本症例は病理学的に悪性所見を認めており,慎重な経過観察が必要と考えられた.SFTは多くは胸膜から発生し,肝原発のSFTは極めて稀であり,文献的考察を含めて報告する.
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  • 大目 祐介, 加藤 祐一郎, 後藤田 直人, 高橋 進一郎, 小西 大
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3135-3140
    公開日: 2015/05/29
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,女性.黄疸を主訴に前医を受診した.肝門部胆管癌が疑われ当科紹介となり,肝拡大右葉尾状葉切除・肝外胆管切除・門脈合併切除術を施行した.術後病理診断にてWHO分類の神経内分泌細胞癌(neuroendocrine cell carcinoma:NEC)G3と診断した.上下部消化管内視鏡検査・CT・MRI・術中所見などで他部位に病変を認めず,肝原発NECと考えられた.術後4カ月後に残肝再発をきたし,化学療法中である.神経内分泌腫瘍(neuroendocrine cell tumor:NET)は,消化管や膵などに多く,肝原発のものは非常に稀である.肝原発NECについて文献的考察を加え,報告する.
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  • 赤羽 慎太郎, 福田 三郎, 藤崎 成至, 築家 恵美, 先本 秀人, 江藤 高陽
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3141-3146
    公開日: 2015/05/29
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    症例は29歳,男性.自動車の単独事故で救急搬送された.血液生化学で膵酵素の上昇を認め,腹部造影CTで膵頭部損傷が疑われた.バイタルは安定しており保存的治療を開始したが,第3病日に腹部症状が悪化し,内視鏡的逆行性膵管造影(ERP)を施行した.膵頭部で主膵管外への造影剤漏出を認め,内視鏡的経鼻膵管ドレナージ(ENPD)を留置した.次いで,腹腔ドレナージ目的に緊急手術を施行した.第32病日にENPDを抜去し,造影で主膵管狭窄を認め,内視鏡的逆行性膵管ドレナージ(ERPD)を挿入した.その後,ERPDは留置した状態で第65病日に退院した.第149病日のERPで主膵管狭窄は残存していたが尾側膵管の拡張を認めず,ERPDを抜去した.IIIb型膵損傷は一般に手術適応とされるが,膵管ステントおよび腹腔ドレナージを行い,膵切除が回避できたIIIb型膵損傷の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
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  • 石井 生, 高田 実, 野口 寛子, 三橋 智子, 中村 文隆, 樫村 暢一
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3147-3151
    公開日: 2015/05/29
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,男性.スクリーニングCTにて胃体上部後壁に41mm大の腫瘤を認めた.上部消化管内視鏡では胃体上部後壁に壁外性腫瘤を認め,MRIで腫瘤はT2強調像で充実性/嚢胞性成分が混在しDWIで強い拡散低下を示した.胃壁原発の腫瘤としてGISTが鑑別に考えられ,腹腔鏡下腫瘍摘出術を施行した.腫瘤は胃と剥離可能な膵上縁の病変であり,病理所見では異型紡錘形細胞が小型リンパ球の混在を伴い増殖し,S-100・CD21・CD23・CD35・FDCが陽性,サイトケラチン・c-kit・CD34・SMAが陰性であったことから,膵周囲リンパ節に生じたfollicular dendritic cell sarcoma (FDCS)と診断した.FDCSは全体として中等度の悪性度を示す腫瘍であることが近年示され,切除可能であっても再発率が約半数に認められることから,術後の経過観察が重要な疾患である.
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  • 福冨 章悟, 鈴木 稔, 赤須 玄, 真栄城 兼誉, 篠崎 広嗣, 田口 順, 迫田 順, 島 一郎
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3152-3157
    公開日: 2015/05/29
    ジャーナル フリー
    82歳,男性.25年前に腎細胞癌にて左腎摘出術の既往がある.その後,腹部大動脈瘤にて当院血管外科にて経過観察されていた.経過観察中に撮影したCTにて膵体部に早期相から造影される腫瘤を指摘された.自覚症状はなく,内分泌系検査の異常値はなかった.EUS-FNAを施行しclass Vと診断した.腺房細胞癌,非機能性神経内分泌腫瘍などが鑑別に挙がったが,既往歴から腎細胞癌の膵転移を最も疑い,その他の臓器に転移を認めないことから膵体尾部切除+脾合併切除を施行した.術後病理検査にて淡明細胞型腎細胞癌の膵転移と確定診断した.腎細胞癌は遅発性に遠隔転移をきたす例もあり,長期的な経過観察が重要であると思われた.
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  • 上平 大輔, 丸山 祥司, 村形 綾乃, 田波 秀朗, 佐藤 栄吾, 松本 潤, 迫間 隆昭
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3158-3163
    公開日: 2015/05/29
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    症例は73歳,女性.交通外傷後に健忘を発症し精査目的で入院となった.入院時の血液検査所見でWBC 23,690/μl,CRP 21.6と高値であった.造影CT検査にて多発性脾膿瘍と診断された.保存的治療では炎症所見は軽快せず脾摘出術を施行した.術後炎症反応は軽快したが,イレウスを発症し,開腹術を施行した.回腸終末に硬化と狭窄を認めイレウスの原因病巣と判断し,回盲部切除を施行した.切除標本では全周性の単純性潰瘍であった.ステロイドの長期投与による免疫機能が低下した状態に,小腸潰瘍から菌血症を発症し,脾臓に多発性膿瘍を形成したと考えられた.遷延する炎症症状に対し,脾摘出術が有効であった.
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  • 岡本 健, 小林 道也, 前田 広道, 福留 惟行, 駄場中 研, 花崎 和弘
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3164-3168
    公開日: 2015/05/29
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    骨盤内に発生する平滑筋腫は子宮筋腫の頻度が最も高く,その他の組織から発生することは稀である.今回,われわれはDouglas窩の腹膜から発生したと考えられる平滑筋腫の中でも稀な脂肪平滑筋腫の1例を経験したので報告する.症例は59歳の女性.子宮筋腫の経過観察中に新たな腫瘤を認め紹介となった.CTでは約9×4cm大の境界明瞭な腫瘤を子宮背側に認め,腫瘤内部は低吸収で造影効果に乏しく周囲臓器への浸潤を疑わせる所見を認めなかった.手術所見では,Douglas窩に薄い被膜に包まれた柔らかい腫瘍を認め,腫瘍は子宮頸部に連なる血管と膜を有していたが,子宮および周囲組織との直接的な連続性は認めなかった.病理組織では大半を脂肪細胞が占め,間質の紡錘形細胞はh-caldesmonとERが陽性,PgRやMDM-2,HBME1は陰性であった.以上よりDouglas窩の腹膜に生じた脂肪平滑筋腫と診断した.
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  • 三宅 隆史, 鈴木 正彦, 浅羽 雄太郎, 鶴岡 琢也, 松山 温子, 水上 泰延
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3169-3174
    公開日: 2015/05/29
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    症例は72歳,男性.健診で異常を指摘されてCTを施行.膵体部を取り囲む嚢胞性病変を認めた.質的診断には至らず経過観察されたが,増大傾向を認めたため膵嚢胞性腫瘍を第一に疑い脾温存膵体尾部切除を施行した.腫瘍は多房性の嚢胞性病変で一部は被膜が肥厚して硬く,その近傍の膵実質には炎症を認めた.術後経過は良好で第16病日に退院となった.病理組織学的所見は後腹膜海綿状血管腫で,膵との連続性は認めなかった.後腹膜の海綿状血管腫は他の部位のものとは異なり乏血性であることが多く,稀な疾患のため診断に苦慮することが多い.さらに,本症例では膵近傍に発育したため膵嚢胞性腫瘍との鑑別が困難であった.これまでに報告された後腹膜海綿状血管腫もその多くは術前診断がつかないまま手術されているため,血流に乏しい嚢胞性病変の鑑別には後腹膜海綿状血管腫の存在も考慮すべきであると考える.
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  • 佐藤 智仁, 渡辺 昌也, 佐藤 真輔, 大端 考, 大場 範行, 高木 正和
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3175-3179
    公開日: 2015/05/29
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    症例は65歳,男性.臀部腫瘤と疼痛を主訴に受診した.骨盤部造影CT検査で,前仙骨部に長径13cmの嚢胞性腫瘤を認め,腫瘤内部に早期から濃染する2cm大の結節を認めた.PET/CT検査では同部位にSUVmax:1.5の集積を認めた.必ずしも悪性を否定できない所見であったが,前仙骨部嚢胞性腫瘍の診断で経仙骨的に腫瘤摘出術を施行した.摘出標本は13×10cmの嚢胞で白色粥状の内容で満たされ,壁の一部に2.0×1.0cmの壁在結節を伴っていた.病理組織学的所見では,嚢胞壁は異型のない重層扁平上皮であり,壁在結節からは高分化扁平上皮癌を認め,扁平上皮癌を合併したepidermoid cystと診断した.成人の前仙骨部epidermoid cystの悪性化は極めて稀であるが,前仙骨部腫瘍性病変に対しては,その可能性を念頭に,診断後は速やかな完全摘出を行うべきと考えた.
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  • 渡部 通章, 中林 幸夫, 大塚 正彦
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3180-3184
    公開日: 2015/05/29
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    症例は73歳,男性.直腸癌に対し術前放射線化学療法(45Gy + UFT 400mg/day)施行後,腹会陰式直腸切断術を施行した.最終病期はstage IIIaであった.術後合併症はなく退院した.術後3カ月目より会陰部の膨隆を訴え,術後続発性会陰ヘルニアと診断された.脱出による疼痛を認めたため手術的治療が施行された.開腹アプローチで開始したが骨盤腔は狭く前方に屈曲が強く,直視下に骨盤腔前壁(精嚢・前立腺表面)やヘルニア腔深部は確認できなかった.開腹下に腹腔鏡を併用して深部を確認しC-QUR EdgeTM Coating Meshによる骨盤底形成術を行った.経過は順調で術後1年を経過してヘルニアの再発は認めていない.腹会陰式直腸切断術後の続発性会陰ヘルニアはまれな合併症であり,その治療法は確立されていない.若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 田口 泰郎, 伊佐治 孝洋, 坂本 英至, 小松 俊一郎, 法水 信治, 新宮 優二
    75 巻 (2014) 11 号 p. 3185-3189
    公開日: 2015/05/29
    ジャーナル フリー
    症例は84歳,女性.右臀部から右下肢の痛みと右下腹部痛を主訴に当院を受診.CTにて右梨状筋下孔への嵌頓を伴う径8cm大の右卵巣嚢腫を認めた.右卵巣嚢腫嵌頓右坐骨ヘルニアと診断し,待期的に腹腔鏡手術を施行した.右卵巣嚢腫を牽引することで坐骨孔への嵌頓は解除し,右卵巣嚢腫と右付属器摘出を行った.右大坐骨孔に径1.5cm大のヘルニア門およびヘルニア嚢を確認し,これを子宮広間膜で被覆するように縫合して閉鎖した.術後経過は良好で,6日目に退院し,現在まで再発は認めていない.
    坐骨ヘルニアは,腹壁ヘルニアの中でも頻度が低く,大坐骨孔もしくは小坐骨孔をヘルニア門としたヘルニアである.非常に稀な疾患で,腹腔鏡手術による修復の報告例は少なく,文献的考察を加えて自験例を報告する.
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