日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
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75 巻 , 2 号
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臨床経験
  • 鈴木 彰, 小出 直彦, 石曽根 聡, 和田 有子, 福井 大祐, 宮川 眞一
    75 巻 (2014) 2 号 p. 337-343
    公開日: 2014/08/29
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    緒言:上腸間膜動脈閉塞症(以下,SMAO)の治療成績について血管外科的処置の有無を含めて検討した.対象:手術を行ったSMAO 11例(血管治療付加群6例と非付加群5例)を対象とした.結果:術前検査では付加群にてbase excessが低値であった.ASA-PS,APACHE II,E-PASSとGlasgow prognostic scoreは両群に差を認めず,Prognostic nutritional indexは非付加群にて低値であった.付加群では発症から緊急手術までの時間が短かった.付加群の切除腸管は短く,残存小腸は長かった.手術関連死亡は重篤な心疾患に伴う多臓器不全による2例(18.2%)で,救命率は付加群83.3%,非付加群80.0%であった.まとめ:SMA起始部付近での閉塞に対して血管外科的治療を加えた症例では,腸管長をより長く温存でき,救命率が高かった.
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  • 竹内 大輔, 小出 直彦, 鈴木 彰, 荻原 裕明, 石曽根 聡, 宮川 眞一
    75 巻 (2014) 2 号 p. 344-352
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    緒言:肛門管癌における鼠径リンパ節郭清術の治療成績について検討した.対象:過去9年間に治癒切除された肛門管癌および下部直腸肛門管癌13例を対象とした.このうちの8例に組織学的に鼠径リンパ節転移を認め,同時性転移が4例,異時性転移が4例であった.鼠径リンパ節郭清術は転移陽性側のみに施行した.結果:8例中6例が術後再発をきたし,1例が腹膜播種,2例が骨盤内リンパ節再発,3例が遠隔臓器転移であった.鼠径部の局所再発は認められなかった.術後合併症では全例に患肢の浮腫が出現した.8例中7例に術後化学療法を施行した.3年以上の生存が7例に得られ,このうち無再発生存は2例であった.結語:肛門管癌の鼠径リンパ節転移に対する郭清術は術後患肢浮腫の発生頻度は高い.しかし,原発巣を含めた根治的な切除が可能な場合は,化学療法と併用することにより,長期生存が得られる可能性が示唆された.
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  • 大目 祐介, 宮下 正, 上田 翔, 橋田 和樹, 橋本 洋右, 前田 賢人
    75 巻 (2014) 2 号 p. 353-359
    公開日: 2014/08/29
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    はじめに:早期胆嚢癌を含めた胆嚢壁肥厚と隆起性病変に対して施行した腹腔鏡下胆嚢全層切除術・腹腔鏡下胆嚢床切除術について検討・報告する.対象:2010年4月から2013年3月までの間に,胆嚢壁肥厚と隆起性病変に対して施行した腹腔鏡下胆嚢全層切除術23例,胆嚢床切除術3例を対象とし,その短期成績について検討した.
    結果・考察:開腹移行例はなく,全層切除を行った非癌症例1例で術中胆嚢穿孔をきたした.全層切除と胆嚢床切除それぞれで,平均出血量9.5mlと73.3ml,術後平均在院日数2.6日と6.6日で,合併症は認めなかった.胆嚢癌を5例(19.2%)に認めたが,切除断端は全て陰性であった.1例他病死をきたしたが,他4例は無再発生存中である.胆嚢壁肥厚,隆起性病変や早期胆嚢癌に対する腹腔鏡下胆嚢全層切除術・胆嚢床切除術は安全性・低侵襲性・根治性を兼ね備えた妥当な術式と考えられた.
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症例
  • 宮原 栄治, 板垣 友子, 桑原 正樹, 亀田 彰, 宮田 義浩, 仙谷 和弘, 安井 弥
    75 巻 (2014) 2 号 p. 360-364
    公開日: 2014/08/29
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    化生性胸腺腫は多角細胞成分と紡錘形細胞成分が混在し二相性を示すまれな胸腺上皮性腫瘍である.今回,われわれは化生性胸腺腫の1手術症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は69歳,女性.検診の胸部X線で右第2弓の突出を指摘された.胸部CTにて前縦隔に80×69×36mmの不整形,内部は充実性・不均一な腫瘍を認めた.PET-CTではSUVmax10.2の高集積を認めた.胸腺腫瘍と診断し,胸骨正中切開にて周囲脂肪織とともに胸腺を摘出した.切除標本は8×6cmの被膜を有した腫瘍で割面は均一な黄白色充実性を呈していた.病理所見では多角細胞成分と紡錘形細胞成分が混在し,境界は明瞭であった.多角細胞からなる上皮性成分においては,AE1/AE3・E-cadherinが強陽性であり,紡錘形細胞成分においては,Vimentinが陽性であった.多角細胞と紡錘形細胞成分の二相性を示す化生性胸腺腫と診断された.
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  • 三澤 賢治, 三島 修, 小田切 範晃, 笹原 孝太郎, 岸本 浩史, 田内 克典
    75 巻 (2014) 2 号 p. 365-368
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    当院では,肺癌術前の検査としてCT angiography(CTA)にCT bronchography(CTB)を加えた3D-CT(3 dimension CT)を作成し,血管走行および気管支走行に異常や破格がないかを確認している.今回,右上葉S2から気管支背側を通り,上肺静脈根部および下肺静脈に還流する破格血管を認め,安全に胸腔鏡下右上葉切除術を行った2症例を経験した.術前に血管および気管支の走行を確認しておくことは,安全な手術を行う上で必要不可欠であり,CTAにCTBを加えた3D-CTを作成することで,血管や気管支走行の立体的な認識が容易になり,走行異常や破格を認識し易くなるものと考えた.
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  • 山本 洋太, 仁木 俊助, 古北 由仁, 丹黒 章
    75 巻 (2014) 2 号 p. 369-373
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は70歳台,男性.12年前食道癌で食道亜全摘,頸部食道胃管吻合術を施行された.7年前,吻合部近傍の頸部リンパ節再発に対して行われた化学放射線療法により,吻合部難治性瘢痕狭窄をきたした.8カ月前に再吻合術を行ったが,縫合不全から難治性食道皮膚瘻を形成した.全身状態から遊離空腸移植より大胸筋被覆充填術を選択した.瘻孔の縫合閉鎖は不可能であったため,左大腿から採取した腸脛靱帯を瘻孔に縫着し,有茎大胸筋弁で被覆充填した.術後は縫合不全や狭窄なく経過し,第38病日に他院転院した.難治性食道瘻に対する筋弁充填術においては,唾液漏出の阻止が充填組織の生着に重要である.瘻孔の直接縫合が不可能な場合は,皮島によるパッチ法があるが,手技が煩雑で植皮が必要となることも多い.腸脛靱帯を用いた遊離筋膜パッチは手技が容易であり,食道瘻閉鎖に非常に有用であった.
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  • 石井 生, 中村 透, 高田 実, 中村 文隆, 樫村 暢一
    75 巻 (2014) 2 号 p. 374-378
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は84歳,女性.以前より食道裂孔ヘルニアを指摘されていた.貧血の精査で下部消化管内視鏡を予定し,前処置で経口腸管洗浄剤(ニフレックTM)を内服した数時間後に胸苦と吐血,急性呼吸不全が出現し,当院に救急搬送された.上部消化管内視鏡で食道裂孔ヘルニアおよび胸腔内脱出胃の穿孔を,造影CTで縦隔気腫を認め,緊急手術となった.左開胸開腹にて穿孔部を含む胃部分切除,ヘルニア修復,腸瘻造設術を施行した.術後経過は良好で,術後27病日に軽快転院.食道裂孔ヘルニアにおいて,胸腔内脱出胃の穿孔で緊急手術となった場合,致死率は高い.術式は洗浄ドレナージ,胃切除,ヘルニア修復に加え噴門形成術も考慮されるが,迅速な対応が極めて重要である.
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  • 新田 美穂, 島田 英雄, 西 隆之, 千野 修, 小澤 壯治, 幕内 博康
    75 巻 (2014) 2 号 p. 379-383
    公開日: 2014/08/29
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    特発性食道破裂は,迅速な診断と治療が予後に影響する緊急性の高い疾患である.今回われわれは,急性膿胸と診断され保存的治療が行われた後に手術を施行した特発性食道破裂の1例を経験した.症例は73歳,男性.自宅にて嘔吐後に,胸痛・呼吸困難が続いたため,当院へ救急搬送となった.胸部X線検査にて左気胸・胸水を認め,胸腔ドレーンを挿入した.急性膿胸の診断で胸腔洗浄を開始した際,食物残渣の混入を認めた.食道造影では胸部下部食道左壁より造影剤の漏出を認めた.内視鏡検査では破裂部位は胸腔内が観察し得る大きな裂創となっており,ドレナージ不良な大きな膿瘍腔が確認された.第13病日に左開胸食道破裂部縫合閉鎖・胃底部縫着術を施行,術後30日で軽快退院となった.特発性食道破裂は,保存的治療が困難と判断された際には発症から時間が経過していても手術を考慮する必要があり,縫合およびドレナージ法の工夫を要すと考えられた.
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  • 藤田 俊彦, 大原 利章, 田邊 俊介, 野間 和広, 白川 靖博, 藤原 俊義
    75 巻 (2014) 2 号 p. 384-387
    公開日: 2014/08/29
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    症例は62歳,男性.Atrial septal defect(ASD)によるpulmonary hypertension(PH)と診断され,同時に上部消化管内視鏡検査で進行食道癌を指摘された.ASDの根治術と術前化学療法を行う方針とし,心臓カテーテル検査のため抗血小板療法を開始したところ,2日後に食道癌からの出血でショック状態に陥った.ASD根治術に抗血小板療法は必須であるため,食道亜全摘術を先行した.術後循環動態は不安定であり,術後2日目に一時右心系圧が左心系を上回る状態になった.厳重な輸液管理とバソプレシンの使用により循環動態は安定したが,再燃も考えられAmplatzer septal occluderによる緊急ASD根治術を施行した.食道癌手術後であり経食道エコーを用いられなかったため,経静脈的に心腔内エコーを挿入しガイドとした.その後循環動態は落ち着き術後20日目に転院となった.
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  • 井上 聖也, 兼松 美幸, 藤原 晴夫
    75 巻 (2014) 2 号 p. 388-393
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    55歳,男性.胆石症の精査の際に上部消化管内視鏡で胃癌と診断され,胃全摘術・Roux-en-Y再建を当科で施行した.術後4日目に発熱・頻脈・呼吸苦が出現,術後5日目の胸部X線で両側胸水と縦隔内free airを認めた.両側胸腔内にトロッカーを挿入,排液は膿汁と腸液が混在していた.消化管造影では,食道空腸吻合部のmajor leakageを認め,造影剤の縦隔内・両側胸腔内への漏出を認めたが,腹腔内の漏出はなかった.胸腔ドレーンの持続吸引と胸腔内洗浄,人工呼吸管理を開始し,集学的治療を行った.術後30日目の消化管造影でリークは消失,術後35日目に人工呼吸器の離脱が可能となる.食事摂取を開始し,症状の再燃なく,術後120日目に退院となった.今回われわれは,胃全摘後の縫合不全で縦隔や胸腔にリークを起こし,縦隔炎と両側膿胸を発症した症例を経験した.同様の報告は少なく,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 村川 力彦, 斉藤 崇宏, 蔦保 暁生, 山村 喜之, 鯉沼 潤吉, 大野 耕一, 菊地 慶介
    75 巻 (2014) 2 号 p. 394-397
    公開日: 2014/08/29
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    症例は55歳,女性.検診の上部消化管造影検査にて異常を指摘され,当院内科受診となった.上部消化管造影検査では胃体上部小弯前壁になだらかな隆起性病変を認めた.上部消化管内視鏡検査では胃体上部小弯前壁に隆起性病変を認めたが,粘膜面に異常を認めなかった.EUSでは第IV層由来の粘膜下腫瘍と診断した.腹部CTでは胃体部前壁に約4cmの腫瘤を認めた.以上より胃GISTを疑い手術を施行した.手術は腹腔鏡内視鏡合同胃部分切除術(LECS)を施行した.病理組織学的所見ではリンパ球,形質細胞を主とする細胞浸潤と線維化を認め,形質細胞はIgG4/IgG比が50%程度であったため,IgG4関連硬化性疾患(準確診群)と診断した.胃粘膜下腫瘍として発症したIgG4関連硬化性疾患(準確診群)の報告は,今回が初めてであり報告する.
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  • 稲川 万里江, 戸塚 統, 吉成 大介, 小川 博臣, 須納瀬 豊, 竹吉 泉
    75 巻 (2014) 2 号 p. 398-402
    公開日: 2014/08/29
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    症例は81歳,女性.2008年10月より,多発肝転移を伴う胃穹窿部のGISTに対しイマチニブ内服を開始した.病勢を制御していたが,2011年2月のCTで原発巣と肝転移巣の増大,腹水の出現を認めた.スニチニブ内服へ変更したが,副作用で中止した.同年3月,強い腹痛が出現し来院した.著明な腹膜刺激徴候があり,CTで腹腔内にfree airを認めた.胃GISTの自壊による穿孔性腹膜炎と診断し,救命のために緊急手術を施行した.大量の漿液性腹水を認め,腫瘍は左横隔膜下で周囲組織を巻き込んで一塊となっていた.穿孔部の確認・修復は困難であったため,腹腔内洗浄後ドレーンを挿入し手術を終了した.9病日より経口摂取を開始し,32病日に退院した.イマチニブ内服を再開したが,2011年10月,原病死した.切除不能胃GISTの自壊による消化管穿孔例に対し,洗浄ドレナージを行うことで腹膜炎を制御でき,7カ月のQOLも保てた.
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  • 黒田 顕慈, 田中 浩明, 大平 雅一, 崎村 千恵, 六車 一哉, 桑江 優子, 平川 弘聖
    75 巻 (2014) 2 号 p. 403-408
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は65歳の男性.胸部不快感を認めたため,上部消化管内視鏡検査を施行したところ,胃前庭部前壁に3型の腫瘍を認めた.生検の結果,低分化腺癌と診断された.CTにて小弯側リンパ節の腫大を認め,cT4aN1M0,cStage IIIAと診断し,開腹下に幽門側胃切除術,D2郭清を施行した.手術所見では,小弯リンパ節の腫大および肝への直接浸潤を認めた.病理学的検査を行ったところ,原発巣では上皮性成分を認めず,c-kit陰性であったが,DOG-1陽性であり,GISTと考えられた.しかし,転移リンパ節において上皮性成分が認められ,免疫染色の結果,上皮系マーカーが陽性,その他のマーカーが陰性であったことから,最終的に,どの組織型にも属さない胃未分化癌と診断された.胃未分化癌は極めて稀な組織型であり,どの部分にも腺癌や扁平上皮癌などへの分化を示さないため,組織学的確定診断が困難であると考えられた.
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  • 大島 有希子, 手島 伸, 矢崎 伸樹, 齋藤 俊博, 武田 和憲, 鈴木 博義
    75 巻 (2014) 2 号 p. 409-414
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は36歳,女性.数日間持続する発熱,腹痛を自覚し,当院消化器内科を受診した.上部消化管内視鏡検査にて胃体下部大彎前壁に0-IIb病変を認め,印環細胞癌と診断された.腹部CTにて腹部大動脈周囲に多発する腫大リンパ節を認めたが,PET検査にて集積を認めず,早期胃癌sT1aN0M0,cStage IAと診断した.術中迅速診断で所属リンパ節に悪性所見なく,幽門温存胃切除,D1+8a,9リンパ節郭清を施行した.病理組織診断ではsig,pT1a(m),ly0,v0,pN0,pPM0,pDM0,cM0,Stage IAで,非病変部を含めた胃粘膜と所属リンパ節に類上皮細胞肉芽腫を認め,悪性腫瘍によるサルコイド反応と考えられた.サルコイド反応は一般に進行癌で認めることが多く,早期胃癌での報告は稀であり,文献的考察を加え報告する.
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  • 石井 泰, 大橋 学, 岩永 知大, 大日向 玲紀, 岩崎 善毅
    75 巻 (2014) 2 号 p. 415-419
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は60歳台,男性.2007年4月に他院でリンパ節転移を伴う早期胃癌に対し幽門側胃切除術が施行された.同年10月に腹部大動脈周囲リンパ節再発が認められ,S-1+CDDPによる化学療法後,2008年1月に同部位のリンパ節郭清術が行われた.以後,S-1・CPT-11+CDDP・ドセタキセルによる治療が行われたが,腹部大動脈周囲リンパ節・頸部リンパ節に再発が出現し,その後,4回の腹部大動脈周囲リンパ節郭清と,腹部大動脈周囲と頸部への放射線照射が行われた.5回目の手術後は1年間の無再発期間が得られたが,その後,腹膜転移をきたした.初回手術から5年4カ月,再発が確認されてから4年10カ月生存中である.本症例は,胃癌のリンパ節転移再発に対する繰り返す手術や放射線治療などの局所治療が,生存期間延長に寄与する可能性を示している.
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  • 田邉 和孝, 徳家 敦夫, 影山 詔一, 中村 公治郎, 尾崎 信弘
    75 巻 (2014) 2 号 p. 420-426
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は70歳の男性で,健診で胃の異常を指摘された.上部消化管内視鏡検査で胃体上部前壁に1型病変を認め,腹部造影CTでは小彎側に腫大したリンパ節腫大を認めた.血液検査ではAFP 15.7ng/mL,HCG 552mIU/mLと上昇を認めた.cStage IIの進行胃癌と診断し胃全摘・脾合併切除,Roux-en Y再建術を施行した.病理組織所見にて充実性構造の低分化型腺癌を認め,それを中心にHCG陽性の絨毛癌様部分,腫瘍細胞が索状配列をとるAFP陽性の肝癌様部分,敷石・シート状配列をとるPALP陽性の胚細胞腫様部分を認めた.現在,術後6年6カ月経過したが再発を認めていない.AFPとHCGが共に高値を示す胃癌はまれであるが,これらの癌関連抗原陽性の胃癌は進行例が多く予後不良とされている.今回,われわれは健診にて発見されたAFP・HCG産生胃癌の1長期生存例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 庾 賢, 岩崎 善毅, 矢島 和人, 大日向 玲紀, 高橋 慶一
    75 巻 (2014) 2 号 p. 427-431
    公開日: 2014/08/29
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    腹腔鏡下胃切除術中に確認しえた左門脈の1例を報告する.症例は38歳,女性.心窩部痛を主訴に発見された早期胃癌症例.上部消化管内視鏡検査では胃体部小弯に長径10mm大の0-IIc病変を認め,同部位からの生検は低分化腺癌であった.手術は腹腔鏡下幽門保存胃切除術,D1+郭清,胃胃吻合を行った.術中に左胃静脈が肝胃間膜内を通り肝外側区域へ流入する,いわゆる左門脈を認めた.小弯リンパ節の郭清範囲であったため,左門脈は肝外側区域流入部でクリップの後に切離した.術後経過は良好であり,肝酵素の上昇は最高値がAST:139U/l,ALT:124U/lと軽度であった.術後8日目に退院し,現在外来で経過観察中である.左門脈は非常にまれであり,腹腔鏡胃切除時に左門脈を確認した報告例はない.本症例では郭清に伴い切離したが,切離に起因する術後の肝障害などは認められなかった.
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  • 山口 真彦, 森園 剛樹, 頼木 領, 松野 成伸, 細井 則人, 住永 佳久
    75 巻 (2014) 2 号 p. 432-436
    公開日: 2014/08/29
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    64歳,女性.発熱にて当院に救急搬送され,補液を受け帰宅するも,発熱持続し,再受診したところ,炎症反応および肝胆道系酵素の上昇を認め,CTにて肝外側区に肝膿瘍が指摘され入院した.血液培養にてKlebsiella pneumoniaeが検出され,抗生剤投与を行った.胆道系疾患なく,侵入門戸検索目的に消化管精査を行ったところ,下部消化管には異常なく,上部消化管に多発する胃癌を認めた.肝膿瘍の軽快退院後26日目に胃切除を行った.病理診断は胃角部の2型進行胃癌とその周囲に広がるIIa病変,さらに前庭部のIIc病変を認め,リンパ節転移なくpStage Ibであった.胃癌と肝膿瘍の合併報告例は少なく,mucosal barrierの破壊が原因による経門脈性感染による膿瘍形成と推測されている.胆道系疾患のない肝膿瘍の診断・治療に際しては全消化管の精査は重要である.
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  • 若杉 健弘, 川邉 泰一, 藤川 寛人, 佐藤 勉, 長 晴彦, 吉川 貴己
    75 巻 (2014) 2 号 p. 437-441
    公開日: 2014/08/29
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    Upside down stomachを呈する食道裂孔ヘルニア合併胃癌に対して,腹腔鏡下での胃切除術と食道裂孔ヘルニア修復術が有用であった,稀な1例を経験した.症例は73歳,女性.検診にて早期胃癌と診断され当院を紹介された.上部消化管造影検査では横隔膜上に全胃が脱出し軸変異を伴ったupside down stomachの状態で,上部消化管内視鏡検査にて胃前庭部大弯側に0-IIc型の胃癌を認めた.食道裂孔ヘルニアに併存した早期胃癌と診断した.亀背,創痛による離床遅延,狭い縦隔内での視野確保を考慮し,腹腔鏡下に幽門側胃切除術および食道裂孔縫縮術を施行した.術後経過は良好で11病日に退院となった.
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  • 向井 俊平, 春日井 尚, 木田 裕之, 出口 義雄, 工藤 進英, 尾松 睦子
    75 巻 (2014) 2 号 p. 442-447
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は54歳の女性で,嘔吐にて当センターに入院となった.精査の結果,十二指腸空腸曲に腫瘤を認め,狭窄の原因と判断した.GISTなどの非上皮性腫瘍が考えられ,外科的切除を行った.術中所見では十二指腸空腸曲の腫瘤が腸間膜,大網,横行結腸や左腎臓を巻き込んでおり,小腸部分切除・横行結腸壁楔状切除・左腎部分切除を施行した.病理検査で炎症性筋線維芽細胞性腫瘍(inflammatory myofibroblastic tumor,以下IMTと略記)と診断された.IMTは筋線維芽細胞の特徴を有する紡錘状細胞の増殖と炎症細胞の浸潤が特徴的な病変である.肺に発生することが最も多いが,腸間膜・大網・軟部組織・消化管などにも発生する.以前のCT所見や発育形態から,後腹膜原発のIMTと考えられた.十二指腸空腸曲近傍の後腹膜IMTが腸閉塞を発症し,画像的に短期間での増大を確認できたまれな1例を経験したので報告する.
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  • 佐藤 誠, 杉田 輝地, 久保田 光博, 佐藤 哲也, 井上 康一, 金谷 剛志
    75 巻 (2014) 2 号 p. 448-451
    公開日: 2014/08/29
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    症例は72歳,男性.義歯の安定材を誤飲し,咽頭痛にて当院耳鼻科を受診した.咽喉頭内に異物は認めず,経過観察となった.2週間後,臍周囲痛,発熱にて当院外科を受診となった.腹部CT上,明らかな異物等は認めなかったが,free airを認め,小腸穿孔の診断にて入院となった.
    入院後保存的治療を行っていたが,1週間後右上腹部痛が出現し,腹部CTにて穿孔部位が移動していたため,X線透過性の義歯安定材による消化管穿孔の診断にて緊急手術を施行した.穿孔部位に板上の硬い義歯裏装材(トクヤマリベースII®)を認め,摘出し,小腸部分切除術を施行した.術後経過は良好にて第19病日に退院となった.義歯による消化管穿孔等の報告は多数あるも,義歯裏装材による報告は非常に稀であり,またこれはX線透過性であることから診断に苦慮する.
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  • 藤城 健, 大平 学, 宮内 英聡, 当間 雄之, 河野 世章, 松原 久裕
    75 巻 (2014) 2 号 p. 452-456
    公開日: 2014/08/29
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    症例は38歳の女性で,2009年9月,当院婦人科にて子宮頸癌に対し広汎子宮全摘後,補助化学放射線療法を施行した.2011年3月に突然の下血と高度貧血を認め婦人科に緊急入院した.第2病日の下部消化管内視鏡では直腸~S状結腸にかけての放射線性腸炎の所見のみであった.第3病日に再び大量下血しショック状態に陥り,造影CTにて小腸内への造影剤漏出像を認め,緊急血管造影を施行した.左外腸骨動脈からの血管外漏出像を確認し,緊急開腹したところ左外腸骨動脈回腸瘻を形成しており,外腸骨動脈の瘻孔閉鎖術+回腸部分切除を施行した.第23病日に退院した.動脈腸管瘻は,心臓血管外科領域では人工血管置換術後の合併症として知られるが,一般外科領域においてその認知度は低い.人工血管置換術以外にも動脈瘤や放射線照射などを契機に発症する.動脈腸管瘻は診断に難渋し,かつ緊急性の高い腹部救急疾患であり,考察を交えて報告する.
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  • 渡辺 洋平, 小船戸 康英, 矢澤 貴, 石井 芳正, 竹之下 誠一
    75 巻 (2014) 2 号 p. 457-461
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は22歳,男性.約1カ月半前から持続する上腹部痛,吐き気の増悪を主訴に当院救急外来を受診した.触診にて右下腹部に小児頭大の腫瘤を触知し,腹部超音波検査・腹部CT検査では上行結腸から回盲部にかけての腫瘤およびイレウスを認めた.腫瘍によるイレウスの診断にて入院し,手術を施行した.手術所見では回盲部で回腸が盲腸に嵌入する腸重積を認めた.先進部に腫瘍を触知し,回盲部のリンパ節も腫脹しており,右半結腸切除術・リンパ節郭清術を施行した.摘出標本の病理検査でBurkittリンパ腫と診断された.手術後は血液内科に転科し化学療法等の治療が施行されたが,初診から11カ月の経過で死亡した.
    成人のBurkittリンパ腫はまれな疾患であり,さらに腸管原発で腸重積を合併した報告例は非常にまれである.進行が極めて早く予後不良な疾患であり,手術や化学療法を含めた早期の集学的治療が重要である.
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  • 神 寛之, 池永 照史郎一期, 須藤 亜希子, 青木 計績, 橋爪 正, 遠藤 正章
    75 巻 (2014) 2 号 p. 462-466
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は82歳,女性.検診で便潜血陽性となり近医での下部消化管内視鏡検査で回腸末端の腫瘍を指摘され,精査のため当院消化器内科へ紹介.腹部CTで回腸腫瘍に加えて左側腹部にも腫瘤を認め検査入院となった.入院翌日に頻回の下血と貧血進行を認めたが,回腸腫瘍の出血が内視鏡的止血困難のため,手術目的に当科へ紹介となった.回腸末端と空腸に腫瘍を触知,近傍の腸間膜リンパ節は腫大していたため,多発性の悪性リンパ腫を疑い2箇所を小腸部分切除した.切除標本には空腸に6病変,回腸に1病変,計7病変の腫瘍が認められ,病理組織診断ではすべてが小腸カルチノイドと診断されたが,リンパ節転移は明らかではなかった.術後補助療法としてoctreotideを投与し3年間の無再発生存が得られている.本邦における多発小腸カルチノイドの症例は非常に稀であり若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 治田 賢, 田中 則光, 大橋 龍一郎
    75 巻 (2014) 2 号 p. 467-472
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は59歳の男性で,下痢を主訴に受診し,その精査中,腹部CT検査でTrietz靱帯近傍に8cm大の腫瘤を発見された.Fluorodeoxyglucose-positron emission tomography (FDG-PET)では同部位に不均一な淡いFDG集積がみられ,それ以外の異常集積を認めなかった.小腸造影X線検査,上部・下部消化管内視鏡検査においても,明らかな異常所見はみられなかった.空腸原発または原発不明の腹腔内間葉系腫瘍と診断し,開腹手術を施行した.腫瘍はTreitz靱帯近傍の空腸間膜内に存在し,周囲への癒着もなく,腫瘍を含めて空腸および空腸間膜の切除を行った.摘出標本で,腫瘍は空腸との連続を認めず,病理組織学的検査所見でカルチノイドと診断された.その他の部位にカルチノイドの病巣を認めないため,腸間膜が原発巣と診断した.腸間膜原発カルチノイドは非常に稀である.若干の文献的考察を加え,報告する.
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  • 河毛 利顕, 前田 佳之, 長谷 諭, 田原 浩, 布袋 裕士, 佐々木 なおみ
    75 巻 (2014) 2 号 p. 473-478
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    噴門側胃切除・空腸嚢間置再建術から13年を経て発生した空腸嚢癌の1例を経験したので報告する.症例は81歳,女性.13年前に噴門部癌に対し,噴門側胃切除・空腸嚢間置再建術の既往歴がある.貧血を主訴に,近医にて上部消化管内視鏡検査を施行したところ,空腸嚢内に腫瘍性病変を認めた.生検にて高分化管状腺癌と診断され,手術を目的に当院紹介となった.空腸嚢癌の診断にて残胃空腸嚢全摘,Roux-en Y再建術を施行した.摘出された空腸嚢には5.0×4.5cm大の隆起性腫瘍(大腸癌肉眼型分類5型)を認めた.組織学的検索では粘膜固有層から漿膜下層にかけて,乳頭腺癌・中分化管状腺癌・高分化管状腺癌・粘液癌が混在して増生しており,乳頭腺癌が優位であった.噴門側胃切除・空腸嚢間置再建術後に発生した空腸嚢癌という非常に稀な症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 古西 英央, 黒田 徹, 中田 浩二, 川村 雅彦, 吉田 和彦, 矢永 勝彦
    75 巻 (2014) 2 号 p. 479-483
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎(以下,UC)に合併した回腸癌の1例を経験したので報告する.症例は42歳,男性.18年前からUCに対して内科治療を受けていたが途中で治療を自己中断していた.突然の強い腹痛を主訴に当院救急受診.臍周囲を中心に筋性防御を認め消化管穿孔による腹膜炎の診断で緊急開腹術を施行した.術中回盲部より20cm口側に5cm大の小腸腫瘤と穿孔を認めたため,小腸切除術および回腸人工肛門造設術を行った.摘出標本の病理組織検査で回腸粘膜表層の炎症所見と腺癌を認めた.術後に行われた大腸内視鏡検査では全結腸型のUCを認めた.
    潰瘍性大腸炎に合併した回腸癌の報告はほとんどないが,全結腸型のUCでは回盲弁の機能不全により慢性の回腸炎“backwash ileitis”が生じることが知られている.このため,長期罹患のUC患者では大腸だけでなく回腸病変の可能性も念頭に置いた詳細なフォローアップが必要であると考えられた.
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  • 今村 一歩, 川下 雄丈, 古賀 直樹, 東 尚, 林 徳真吉, 江口 晋
    75 巻 (2014) 2 号 p. 484-488
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は81歳の女性.右下腹部痛を主訴に近医受診.急性虫垂炎疑いにて当科紹介となった.身体所見では右下腹部を中心に筋性防御を認めた.腹部CTで虫垂の腫大と回盲部脂肪織濃度の上昇・周囲の液体貯留を認め,穿孔性虫垂炎の術前診断で緊急手術を施行した.開腹すると腹腔内に混濁した膿性腹水を認めた.虫垂は高度に腫大しており,壁の一部が憩室様に膨隆し,その1箇所が穿孔していた.炎症は虫垂根部から盲腸壁に波及しており,自動縫合器にて盲腸部分切除を行い虫垂切除術を行った.術後の肉眼標本では三つの虫垂憩室を認め,近位部の1箇所が穿孔していた.病理組織標本では内腔先端にポリープ様の隆起性病変を認め,腺腫内癌と診断された.現在,追加切除・術後補助化学療法は行わず外来で経過観察中だが,再発の兆候はない.虫垂炎に起因した虫垂憩室穿孔と虫垂腺腫内癌併存の1例を経験したため,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 三代 雅明, 水島 恒和, 山田 萌, 山本 浩文, 土岐 祐一郎, 森 正樹
    75 巻 (2014) 2 号 p. 489-493
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,女性.貧血の精査目的で大腸内視鏡検査を施行し,上行結腸に狭窄を伴う進行癌を認めた.手術予定であったが,術前に汎血球減少が出現し,精査の結果再生不良性貧血と診断された.前医での手術は困難と判断され,当院紹介となった.入院時に白血球1,010/μl,Hb6.0g/dl,血小板8.0万/μlと著明な汎血球減少を認めたが,再生不良性貧血の治療には長期間を要し,その間に上行結腸癌による合併症を生じれば致死的となると考えられた.腹腔鏡下右半結腸切除術・回腸瘻造設術を施行し,術後は合併症を併発することなく血液内科へ転科した.再生不良性貧血の患者の手術では貧血・出血傾向・易感染性すべてが問題となるが,周術期管理についての報告はほとんどない.今回可能な限り感染リスクを減らすため手術は腹腔鏡下で行い,ポート創を利用して回腸瘻を造設するなどの工夫の結果,良好な結果を得たので文献的考察を含めて報告する.
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  • 藤井 一博, 亀田 久仁郎, 森 康一, 杉浦 浩朗, 長嶺 弘太郎, 久保 章, 竹川 義則
    75 巻 (2014) 2 号 p. 494-499
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,男性.便秘と下腹部膨満を主訴に当院を受診し,S状結腸癌イレウスの診断で緊急入院となった.同日,経肛門的にイレウス管を留置し,腸管内の減圧を行った.挿入後3日目に左下腹部痛が出現,腹部骨盤単純CTにて消化管穿孔の診断となり,同日,緊急手術を行った.術中所見にてイレウス管先端部による腸管穿孔と判明し,Hartmann手術を施行した.
    左側大腸癌による腸閉塞に対して経肛門的イレウス管による腸管内減圧は有効な手段ではあるが,合併症としてイレウス管を原因とした腸管穿孔に注意が必要である.文献的考察を含めて報告する.
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  • 猪子 和穂, 真名瀬 博人, 安孫子 剛大, 松村 祥幸, 平 康二
    75 巻 (2014) 2 号 p. 500-505
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は16歳,女性.14歳時に肛門管原発横紋筋肉腫(胞巣型)と診断され初診時に骨髄転移を認めた.胞巣型の進行例であり手術は施行せず,化学放射線療法および同胞間骨髄移植併用大量化学療法を施行した.その後 ,完全寛解を維持していたが骨髄移植から約2年3カ月経過した頃,右乳房にしこりを自覚し増大傾向を認めたため当科に紹介となった.右乳房C領域に弾性・硬,4.0×3.5cmの腫瘤を触知し,同部位に対して針生検を施行.免疫組織染色で腫瘍細胞はdesmin陽性,myogenin陽性を示し,横紋筋肉腫の乳腺転移と診断した.画像・骨髄検査で他部位に再発・転移を認めず,右乳房切除術,腋窩リンパ節郭清を施行した.
    横紋筋肉腫の乳腺転移は稀な病態であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 門脇 晋, 井上 昭彦, 尾形 敏郎, 五十嵐 清美, 野田 大地, 池田 憲政
    75 巻 (2014) 2 号 p. 506-509
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,男性.膵頭部の分枝型IPMNによる繰り返す膵炎のため膵頭十二指腸切除術を施行.術後66日目に発熱のため当科受診.胆管炎が疑われ再入院した.術前より指摘されていたS2の肝嚢胞径が直径33mmから36mmに増大しており,腹部超音波では内部echoの軽度増強,dynamic CTの動脈相で嚢胞周囲の肝実質が区域性に濃染していた.繰り返す胆管炎による肝嚢胞への感染を考え,超音波ガイド下に嚢胞を穿刺したところ膿汁が引け,感染源と考えられた.培養でE.coliが検出された.嚢胞造影では胆管は描出されなかった.嚢胞内に無水エタノールを数回注入し,嚢胞は消失した.術後18カ月現在嚢胞の再出現は認めず,胆管炎も発症することなく経過している.肝嚢胞を有する症例で胆道再建を行った際は,胆管炎のみならず肝嚢胞感染を生じる可能性を念頭に置いて経過観察する必要があると考えられる.
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  • 小林 裕幸, 野嵜 英樹, 清水 稔, 榊原 巧, 岡田 学, 原田 智子
    75 巻 (2014) 2 号 p. 510-515
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,女性.黄疸を主訴に近医より紹介され当院消化器科に入院した.血液検査にて総ビリルビンと肝・胆道系酵素の上昇を認めた.腫瘍マーカーでは,CEA,CA19-9,SCC,CYFRA21-1の上昇を認めた.腹部CT検査にて肝右葉に境界不明瞭な7cm大の低吸収域を認め,造影では腫瘍周辺が濃染された.MRCPにて肝内胆管の拡張と肝門部での胆管閉塞を認めた.経皮経肝的胆管ドレナージ術を施行した.胆汁細胞診にて扁平上皮癌を認めた.肝臓原発の腺扁平上皮癌を疑って手術を施行した.肝右葉に腫瘍を認め,胆管に沿って肝門部へ浸潤していた.拡大肝右葉切除,肝外胆管切除,門脈合併切除術を施行した.病理組織検査では一部には腺癌への分化も見られたが,扁平上皮癌が腫瘍の大部分を占めていた.肝原発の腺扁平上皮癌と診断した.術後経過は良好であったが,術後17カ月目に多発肝転移にて死亡した.
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  • 奥村 全史, 森 光生, 三鬼 慶太, 石川 真
    75 巻 (2014) 2 号 p. 516-520
    公開日: 2014/08/29
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    気腫性胆嚢炎は通常,胆嚢内腔のガス像から診断されることが多い.胆嚢内腔にガスを認めず,腹腔内遊離ガスを伴った気腫性胆嚢炎の1例を経験したので報告する.症例は88歳女性で,腹痛を主訴として来院した.腹腔内遊離ガスを認めたため消化管穿孔を強く疑い緊急手術を施行した.消化管穿孔はなく,壊疽性胆嚢炎による汎発性腹膜炎と診断し胆嚢摘除,術中胆道造影を施行した.胆嚢,胆管内には結石を認めず無石胆嚢炎であった.CTにて胆嚢内腔にはガス像を認めなかったが,胆嚢壁内に小泡状ガス像を認めたため気腫性胆嚢炎と診断した.気腫性胆嚢炎の本邦報告例の中では,胆嚢内腔にガス像を認めない例は最近15年間に5例と稀である.一般に腹腔内遊離ガスを伴う急性腹症は消化管穿孔によるものが多いが,気腫性胆嚢炎も鑑別に挙げるべきであり,その際,胆嚢内腔を除いたガス分布像になりうることも念頭に置く必要があると思われた.
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  • 藏本 俊輔, 湯浅 康弘, 松本 大資, 沖津 宏, 山下 理子, 藤井 義幸
    75 巻 (2014) 2 号 p. 521-524
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は86歳,男性.心窩部痛を訴え来院した.腹部CT検査では胆嚢内,肝内胆道内にガス像を認めた.内視鏡的逆行性胆管造影では胆嚢は描出不良であり瘻孔所見は認めなかったが,便臭伴う胆汁が吸引され,胆嚢結腸瘻が強く疑われた.総胆管ステント留置行い,精査の後に待機的な腹腔鏡下手術を施行した.横行結腸との瘻孔形成を認めた.癒着剥離行い,胆嚢管を処理した.肝床部から剥離し,瘻孔部は切離せず胆嚢および横行結腸を一塊として授動した後,小開腹を加え横行結腸部分切除術を行った.術後は合併症なく経過し,術後13日目に転院した.胆嚢結腸瘻に対しても腹腔鏡下手術にてより低侵襲に治療することが可能であると考えられた.
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  • 砂原 正男, 倉内 宣明, 常俊 雄介, 工藤 和洋, 下山 則彦, 木村 純
    75 巻 (2014) 2 号 p. 525-531
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,男性.45歳時に胆嚢結石症にて開腹胆嚢摘出術を施行されている.慢性腎不全の悪化にてCTを施行したところ,肝下面(S5~S6)に接する5.2cm大の腹腔内腫瘤を指摘された.腫瘤には石灰化を伴う厚い被膜があり,肝との境界は保たれており,肝原発の腫瘍を完全には否定できなかったが腸間膜腫瘍を第一に疑い,手術を施行した.腫瘤は肝および上行結腸と一塊になっており,上行結腸の漿膜筋層を一部切除する形で腹腔鏡補助下肝部分切除を施行した.病理では腫瘍細胞は認めず,内部は変性した血腫が主体で,血腫内および被膜内部に新生血管と新鮮な赤血球を認め,chronic expanding hematomaと診断した.術後経過は良好で血液透析は施行しておらず,再発の兆候もみられない.今回,まれな腹腔内chronic expanding hematomaに対し,腹腔鏡補助下切除を施行したので報告する.
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  • 福田 三郎, 平田 文宏, 大石 幸一, 先本 秀人, 江藤 高陽, 西田 俊博
    75 巻 (2014) 2 号 p. 532-538
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,男性.B型慢性肝炎に対して,腹部エコーならびにCTで定期的にフォローされていた.2003年12月の腹部CTで,肝S4に嚢胞性病変を認めた.2005年11月,肝嚢胞は増大傾向を認めた.2006年3月,嚢胞内部に充実性成分の出現を認め,肝内胆管の拡張も認めた.2007年1月,嚢胞内部の充実性成分はさらに増大し,肝内胆管拡張の増悪を認めた.充実性成分は造影効果を認め,肝内胆管の拡張を伴うことから胆管嚢胞腺癌が強く疑われ,肝左葉切除術を施行した.病理組織学的検査にて嚢胞内に腺腫成分と腺癌成分の混在を認め,胆管嚢胞腺癌と診断された.卵巣様間質は認めなかった.肝嚢胞性病変から胆管嚢胞腺癌への変化が画像で追えた珍しい症例と考えられた.
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  • 岩谷 慶照, 河村 貴, 生田 肇
    75 巻 (2014) 2 号 p. 539-543
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,女性.突然の右季肋部痛を主訴に当院を受診した.血液検査,腹部超音波検査および腹部CT検査から総胆管結石による胆管閉塞を疑い,緊急内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査を施行した.総胆管内に凝血塊を認め胆道出血による胆管閉塞と診断したが,胆管膵管造影所見では膵・胆管の合流異常が認められ胆嚢内には陰影欠損を認めた.膵・胆管合流異常に合併した胆嚢癌および腫瘍からの出血による胆管閉塞の診断で胆嚢床切除術を施行した.病理組織学的診断は乳頭腺癌であった.術後は特に問題なく経過し術後14日目に退院となったが,最終的に術後4年目に多発肺・脳・リンパ節転移で永眠された.胆嚢癌が胆道出血の原因となり,引き続いて胆管閉塞を引き起こす病態は極めて稀な現象であり,かつ膵胆管合流異常の存在が確認できているものは渉猟しえた限りでは自験例のみであったため,文献的考察を加えて報告する.
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  • 山本 健人, 小林 裕之, 阪本 裕亮, 今井 幸弘, 貝原 聡, 細谷 亮
    75 巻 (2014) 2 号 p. 544-548
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    脾臓原発血管肉腫は稀な疾患であり,頻度は全肉腫の1%以下とされる.われわれは,脾破裂による腹腔内出血で発症した,脾臓原発血管肉腫の1例を経験したため報告する.症例は42歳男性で,突然の腹痛を主訴に救急外来を受診した.血液検査では軽度の貧血を認めた.腹部造影CTでは,脾臓に不整な低濃度域を認め,その周囲に血性腹水を認めた.また,肝周囲・骨盤内にも血性腹水があり,脾腫瘍破裂による腹腔内出血の診断で,緊急手術を行った.脾臓に腫瘍は触知できなかったが,脾被膜が裂けて出血しており,脾臓摘出術を施行した.病理組織検査では,血腫様の腫瘍部分に,腫大した核と,辺縁不整の核小体が目立つ,クロマチンが荒い顆粒状の紡錘形細胞の集簇を認めた.これらの細胞は免疫染色でCD31およびCD34陽性で,脾臓原発血管肉腫と診断した.術後6カ月間の術後補助化学療法を行い,術後18カ月の現在,無再発で生存している.
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  • 城田 千代栄
    75 巻 (2014) 2 号 p. 549-552
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は12歳男性で,転落した際にCTで脾腫瘍を偶然発見され,リンパ腫の疑いで当院に紹介となった.MRIでは脾門部に5×4.5×4.5cmのT1低信号・T2高信号の円形腫瘤を認めた.造影MRIで早期からほぼ均一に強く造影され造影効果は遷延していた.以上より,血管腫または血管系腫瘍と術前診断し,開腹脾部分切除術を施行した.ドップラーエコーで腫瘍部と正常部の血流を確認しながら,脾動脈末梢枝を順にクランプして腫瘍へ流入する血管を同定した.腫瘍の栄養血管からインジゴカルミンを注入して切離ラインを決定することで出血を最小限に抑えて部分切除を行った.残存脾の捻転を予防するため大網に固定した.術後経過は良好で術後5日目に退院した.病理診断はcord capillary hemangiomaであった.
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  • 其田 和也, 板東 登志雄, 有田 毅
    75 巻 (2014) 2 号 p. 553-557
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    脾mesothelial cystに対して腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した1例を経験した.症例は40歳台の女性.左上腹部痛を主訴に来院され,精査により脾に約7cmの嚢胞性病変を認めた.経過観察としたが,症状の持続と嚢胞性病変の増大を認めたため,腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した.病理診断にて脾mesothelial cystと診断した.術後も順調に経過している.
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  • 児玉 ひとみ, 坂本 信之, 中村 靖, 堤 謙二, 岡本 高宏
    75 巻 (2014) 2 号 p. 558-562
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    副腎海綿状血管腫は比較的まれな腫瘍であり,本邦では63例の報告があるが,腫瘍内出血を契機に著明な胸水貯留をきたし,摘出術が必要となった症例は報告がない.症例は38歳,男性.3日前から出現した背部痛により体動困難となり,救急要請となる.CT・MRIにて右腎の頭側に肝臓を圧排するように8.5cm大の腫瘤性病変を認め,多量の胸水貯留を伴っていた.右副腎腫瘍の腫瘍内出血が疑われ入院となった.保存的治療で炎症性胸水は軽快し,20病日目に右肋骨弓下切開にて右副腎腫瘍摘除術を行った.摘出標本は最大径8cmで,一部石灰化した被膜を有し,割面は暗褐色から淡茶色で,出血を伴う脆い腫瘍であり,病理組織診断は副腎海綿状血管腫であった.副腎血管腫はほとんどが非機能性の良性腫瘍であるが,悪性の報告も2例認められた.サイズの大きい症例は副腎癌との鑑別が必要であり,出血や破裂の危険もあるため摘出が望ましい.
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  • 宇野 耕平, 山本 真司, 楠山 明, 矢永 勝彦
    75 巻 (2014) 2 号 p. 563-568
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は85歳,女性.市民検診で便潜血反応陽性を指摘され,消化管の精査を行ったところ上行結腸癌を指摘された.術前精査で左卵巣腫瘍と胸腹水の貯留を指摘され,腹水細胞診を施行したがClass IIであった.腹腔穿刺にて連日排液を行ったが,腹水は難治性であった.臨床所見からは癌性腹膜炎が疑われたが,上行結腸癌にpseudo-Meigs症候群を合併した可能性も疑い,回盲部切除(D3郭清)および左付属器切除を施行した.病理組織検査で,上行結腸癌は高分化型腺癌,卵巣腫瘍は卵巣甲状腺腫と診断された.術後に胸腹水は消失し,上行結腸癌にpseudo-Meigs症候群を呈する卵巣甲状腺腫が合併していたと診断した.消化管腫瘍にpseudo-Meigs症候群を呈する卵巣甲状腺腫を合併することは非常に稀なため,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 三宅 隆史, 鈴木 正彦, 浅羽 雄太郎, 宇治 誠人, 佐藤 智仁, 水上 泰延
    75 巻 (2014) 2 号 p. 569-572
    公開日: 2014/08/29
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    患者は78歳,男性.前立腺肥大で通院中,画像検査で膀胱腹側に50mm大の腫瘤を認めた.平滑筋腫や腹腔内遊離体等が疑われたが確定診断には至らず,診断および治療のため腹腔鏡下に摘出術を施行した.骨盤腔内を観察すると,周囲から完全に遊離した白色卵形腫瘤を認め,腹腔内遊離体と判断した.組織学的には,壊死脂肪織を核として同心円状に硝子様物質が層構造を形成していた.遊離して器質化した壊死腹膜垂が原因と推測された.腹腔内遊離体は中心に脂肪や石灰化を認め,その周囲に線維組織を反映する特徴的な画像を呈することが多い.術前に腹腔内遊離体の存在を考慮して腹腔鏡下手術を選択できれば非常に有用と考えられた.
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  • 鈴村 和大, 近藤 祐一, 岡田 敏弘, 飯室 勇二, 黒田 暢一, 鳥井 郁子, 藤元 治朗
    75 巻 (2014) 2 号 p. 573-578
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は70歳の男性で,約2年前に胃癌(T1,N1,M0,Stage IB)に対して幽門側胃切除術を施行した.その後経過観察中にCEAの上昇を認めたため精査したところ,大腸内視鏡・CT検査において横行結腸に粘膜下腫瘍様形態を呈する3cm大の腫瘤を認めた.Fluorodeoxyglucose positron emission tomography (FDG-PET)では腫瘤へのFDGの集積(standard uptake value:SUV max 早期像5.7,後期像7.0)を認めた.術前診断として,胃癌術後リンパ節転移再発・大腸癌・GISTなどを考え手術治療を施行した.腫瘤は肝弯曲部付近で結腸壁に密着して存在し,白色調の弾性硬であり,悪性腫瘍の可能性が否定できないことから,結腸右半切除を行った.病理組織学的診断はデスモイド腫瘍であった.現在,明らかな再発は認めていない.
    今回,FDG-PETにて高集積を呈した横行結腸に密接した腹腔内デスモイド腫瘍の1例を経験したので報告する.
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  • 山岸 大介, 山野 智基, 小林 政義, 濱中 美衣, 松原 長秀, 冨田 尚裕
    75 巻 (2014) 2 号 p. 579-585
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は62歳,女性.主訴は右下腹部腫瘤.初診時CTにて後腹膜腔に8cm大のガス貯留像を認めたため消化管との交通を疑い造影検査などを行ったが明らかな瘻孔形成などは認めなかった.腹痛などの症状もなく血液検査上も異常値を認めなかったため経過観察を行っていたが,6カ月後にガス陰影が増大し腹部圧迫感が出現したため試験開腹術を行った.右後腹膜腔に被膜に覆われた15cm大の境界明瞭な腫瘤を認めドレナージを行った.腫瘤内に液体成分はなく気体成分の貯留のみであった.腹腔内を検索したが消化管との交通を疑う所見はなかった.術後同部位に再発を認めたためCTガイド下ドレナージ術を行ったが,現在まで15カ月間再発は認めていない.発熱や炎症を伴わない後腹膜気腫症に対し経皮的ドレナージ術は有用な治療法の一つであると考えられた.臨床経過・画像所見ともに非典型的で原因不明な後腹膜気腫症を経験したので若干の文献的考察を加えて報告した.
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  • 福島 健太郎, 横山 隆秀, 清水 明, 小林 聡, 宮川 眞一
    75 巻 (2014) 2 号 p. 586-589
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,女性.慢性関節リウマチにてステロイド内服中.消化管穿孔に対する小腸部分切除術後,創感染・創離開を合併,単純閉鎖術が行われたが再度創離開をきたし,加療目的に当科紹介となった.皮膚欠損(13×9cm)を伴った腹壁瘢痕ヘルニア(20×9cm)を認め,皮膚欠損部の瘢痕組織から小腸の蠕動が透見された.ステロイド内服中であったことから創感染のリスクが高いと判断し,components separation法(以下,CS法)を第一選択とし,CS法が困難な場合には有茎大腿筋膜張筋移植による修復を行う方針とした.術中,両側の外腹斜筋腱膜切離を行い,緊張なく腹壁再建が可能であったことから,最終的にCS法による修復を選択した.術後21カ月の経過にて再発を認めていない.
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  • 牛込 創, 早川 哲史, 北上 英彦, 中村 謙一, 野澤 雅之, 田中 守嗣
    75 巻 (2014) 2 号 p. 590-593
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は既往の無い56歳,女性.右鼠径部膨隆,腹痛を主訴に来院された.右大腿ヘルニア嵌頓の診断で腹腔鏡下ヘルニア修復術を行った.大腿輪に小腸が嵌頓していたため内視鏡下にこれを整復した.還納腸管に色調不良を認めたが,経時的に改善したため腸切除不要と判断し,そのままメッシュ修復を施行した.術後に麻痺性と思われるイレウスを認めたが保存的に改善し10日目に退院した.術後27日目に突然の強い腹痛で来院した.ショック状態で腹部CTでは気腹を認めた.消化管穿孔の診断で緊急手術を行った.回腸に全周性の線維性狭窄部位を認め,その口側約30cmの部位に1cm大の穿孔部位を認めた.ヘルニア嵌頓部の小腸が虚血性の小腸狭窄となり腸閉塞を発症し,その口側腸管で穿孔をきたしたと思われた.鼠径ヘルニア嵌頓整復後の遅発性の腸管狭窄は報告をまれに認めるが,さらに穿孔に至った症例は極めてまれである.文献的考察を加え報告する.
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  • 村上 剛平, 宮田 博志, 山崎 誠, 森 正樹, 土岐 祐一郎
    75 巻 (2014) 2 号 p. 594-599
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は62歳,男性.食事のつかえ感を主訴に前医を受診した.食道癌を指摘され,治療目的に平成23年10月に当科に紹介受診となった.CT検査にて前縦隔腫瘤を認めたため精査を行った.精査の結果,食道癌と胸腺神経内分泌癌(neuroendocrine carcinoma)の同時性重複癌と診断した.術前化学療法として食道癌のレジメンであるDCF療法(5-fluorouracil+Docetaxel+Cisplatin)にて化学療法を施行したところ,両腫瘍の著明な縮小を認めた.手術は食道亜全摘術と胸腺摘出術,肺部分切除術を一期的に行い,根治切除を得ることができた.術後追加治療は施行せず,現在1年6カ月無再発生存中である.食道癌と胸腺内分泌癌の同時性重複癌の報告は極めて稀であり,若干の文献的考察を加え報告する.
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