日本臨床外科学会雑誌
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75 巻 , 4 号
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原著
  • 上田 貴威, 野口 剛, 内田 雄三, 北野 正剛, 白石 憲男
    75 巻 (2014) 4 号 p. 873-879
    公開日: 2014/11/01
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    近年,医学生の持つ外科医へのイメージの悪化より,医学生や若い医師の外科医志望者が減少しているとされる.よって,医学生が持つ外科医に対するイメージと外科医自身のイメージの相違点を明らかにするために,大分大学医学生と大分県の外科医に,アンケート調査を行った.質問項目は,(1)外科医へのイメージ,(2)外科キャリア形成と外科教育に対するイメージ,(3)「外科医の仕事のやりがい」に関するイメージについて,49項目からなる.有効回答者数は,医学生260名(回答率:91%),外科医213名(回答率:93%)であった.
    結果より,医学生は外科医に比べ,外科の将来性を感じてはいるものの,外科医の労働環境の悪さや外科医自身の満足感は低いというイメージを有していた.
    外科医の労働環境整備に加え,学生教育を通じて外科の面白さややりがいを医学生に伝えていくことが,外科医志望者増加につながると考えられる.
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臨床経験
  • 中川 剛士, 佐藤 隆宣, 佐藤 雄哉, 細矢 徳子, 杉原 健一
    75 巻 (2014) 4 号 p. 880-883
    公開日: 2014/11/01
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    進行再発乳癌の治療後半から終末期にかけて,胸膜転移/腹膜転移による癌性胸水/腹水はコントロールに難渋することが多い.癌性胸水/腹水に対してS-1+CPT-11併用療法(以下S-1+CPT-11)を施行した4症例を提示する.治療レジメはS-1:80mg/body/day(day1-14),CPT-11:80mg/body/day(day1,8),21日で1コースとした.1例は癌性胸水,3症例は癌性腹水であった.多量に貯留していた2例は,投与前にドレナージを行った.1例はGrade3の下痢,1例はGrade4の血小板減少を認めた.投与後の胸水/腹水のコントロールは良好であり,ドレナージを要する再貯留は認めなかった.いずれも化学療法後半での使用であったが,緩和医療に移行した後も著明な再貯留はなく,再穿刺ドレナージは必要なく,症状緩和に有効であった.
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  • 大内 晶, 浅野 昌彦, 青野 景也, 渡邊 哲也, 加藤 雄大
    75 巻 (2014) 4 号 p. 884-888
    公開日: 2014/11/01
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    単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術(以下TANKO-LC)では1本の鉗子のみで術野を展開することは容易ではない.われわれはCuestaらが報告した術式をもとにKirschner鋼線(以下K-wire)を用いたTANKO-LCを行っている.
    対象は急性胆嚢炎の兆候のない胆石症として,手術はE・Zアクセスと3本の5mmポートによるmulti-channel port法に加えて,右季肋部から刺入したK-wireで胆嚢を挙上して良好な視野を得ている.
    2012年9月から2013年8月の間にK-wireを用いたTANKO-LCを10例に行い9例で手術を完遂した.1例で術中胆汁漏出を認めたが術後経過に問題はなかった.われわれのこれまでのreduced port surgeryと手術時間,出血量は同等で在院日数は短かった.本術式は術者の動きを妨げずに整容性も損なわない,安全で安価な手術手技である.
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症例
  • 水本 紗千子, 小西 宗治, 箕畑 順也, 三木 宏文, 辻江 正樹, 矢野 浩司
    75 巻 (2014) 4 号 p. 889-894
    公開日: 2014/11/01
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    放射線照射により誘発された血管肉腫は特徴的な臨床所見・画像所見に乏しく,細胞診や針生検でも確定診断は困難とされている.確立された治療法はなく,外科的切除が基本であり,一般的に予後不良である.血管肉腫診断時,78歳女性.2007年に左乳癌に対し,左乳房部分切除術・センチネルリンパ節生検を施行した.術後温存乳房に対する放射線照射を施行後,内分泌療法中であった.2011年に左乳房皮膚腫瘍を認めたため前医にて皮膚生検が施行されたが診断に至らず,当院紹介となった.放射線照射により誘発された血管肉腫,または皮膚再発を考慮して左乳房切除術・腋窩リンパ節サンプリングを施行した.病理組織検査は血管肉腫の診断であった.また,腫瘍は完全切除されていた.臨床経過も考慮して,放射線照射により誘発された血管肉腫と診断した.無治療にて経過観察を行っていたが術後1年で右膝関節転移・胸膜播種を認め,1カ月後に永眠された.
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  • 松田 実, 鳥屋 洋一, 嘉和知 靖之, 遠藤 太嘉志, 瀧 和博
    75 巻 (2014) 4 号 p. 895-900
    公開日: 2014/11/01
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    乳癌のセンチネルリンパ節生検(SNB)には偽陰性が見られる.当科のSNBは,2010年4月からは放射性同位元素(RI)と色素の併用法で行い,2012年4月までに235例行った.その内,RI・色素陽性(hot & blue)のリンパ節(LN)には転移を認めず,両方陰性のLNに転移を認めた3例を経験した.3例はいずれもhot & blue LNに 転移はなく近傍のLNのみに転移が見られた.True false negative症例には,跳躍転移以外に癌に置換されたLN転移症例が含まれる.今回の症例も転移LNは癌に置換されており,そのような症例では真のセンチネルリンパ節(SN)は色素もRIも陰性になることがあるが,近傍のLNに色素とRIが見られることが示唆された.Macrometastasisの偽陰性は避けねばならない.現状の偽陰性率をさらに低下させることがより正しい診療に結びつくと思われた.
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  • 今村 一歩, 橋本 敏章, 山口 泉, 伊藤 裕司, 古井 純一郎
    75 巻 (2014) 4 号 p. 901-905
    公開日: 2014/11/01
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    症例は52歳,女性.2005年2月に右乳癌(B領域)で,乳房温存手術・腋窩リンパ節郭清を施行された.病理組織学的診断は乳管内進展を伴う浸潤性乳管癌であった.術後放射線療法は希望されなかった.術後補助化学療法・内分泌療法を施行され,外来で経過観察されていた.2013年4月,右乳頭・乳輪部にびらん出現.生検でPaget細胞を認めたため,乳房温存術後Paget病の術前診断で残存乳房切除を行った.病理組織学的検査では乳頭部表皮内にPaget細胞を認め,その直下からB領域へ区域性に連続する乳管内進展像を示した.その癌分布範囲から,切除断端より発症したPaget再発と診断した.乳房温存術後8年目に発症したPaget再発であった.再発形式としては非常にまれであるが,早期発見・治療のためにはPaget再発も念頭に置いた乳房温存術後の厳重な経過観察が必要である.
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  • 中田 琢巳, 森川 あけみ, 杉山 保幸, 山田 鉄也
    75 巻 (2014) 4 号 p. 906-910
    公開日: 2014/11/01
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    症例は91歳,男性.併存症として,閉塞性動脈硬化症・狭心症・2型糖尿病・高血圧症などがあり,当院内科での治療中に左乳頭下に3.5cmの腫瘤を自覚するようになり当科を受診した.男性乳癌と診断されたが初期治療としては合併症を考慮してレトロゾール内服による内分泌療法が選択された.投与開始後から腫瘍の縮小が認められ,約6カ月間で腫瘤は1.7cmまでの縮小を認め,自覚症状は著明に改善した.症例の少なさから女性乳癌に比して男性乳癌の治療に対するエビデンスは限られている.このため,治療は基本的に女性乳癌に準じた治療がすすめられる.しかし,現在のところ内分泌療法に関してはアロマターゼ阻害剤の男性乳癌に対しての有用性は不明とされる.われわれは約半年間と短い観察期間であったものの男性乳癌の手術困難症例に対してレトロゾール単剤投与により著明な腫瘍の縮小を認めた症例を経験したので報告する.
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  • 辻 敏克, 芝原 一繁, 羽田 匡宏, 竹原 朗, 野崎 善成, 佐々木 正寿, 前田 宣延
    75 巻 (2014) 4 号 p. 911-916
    公開日: 2014/11/01
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    症例は74歳の女性で,盲腸癌術後の定期受診日の数日前に右胸壁のしこりを自覚した.触診で右胸壁皮下に2cm大の可動性不良の腫瘤を触知した.超音波検査では,腫瘤は不整形低エコー像を呈し,皮下から筋層に一部食い込み,造影CT検査では造影効果を伴っていた.FDG-PETでは同部位のみにFDG異常集積を認めた.腫瘤切除を施行したところ腫瘍は皮下および筋層に浸潤しており,1.8×1.5×1.2cm大の境界明瞭の充実性腫瘤で乳白色~灰白色調を呈していた.病理組織診断では紡錘形細胞の増殖,炎症性細胞も混在し,免疫組織染色ではvimentin(+),α-smooth muscle actin(+),S-100(-),c-kit(-)であった.
    以上より,炎症性筋線維芽細胞性腫瘍と診断した.胸壁皮下発生の炎症性筋線維芽細胞性腫瘍の報告はなく,非常にまれな症例と考えられた.
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  • 荒木 修, 松村 輔二, 千田 雅之
    75 巻 (2014) 4 号 p. 917-921
    公開日: 2014/11/01
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    症例は75歳,男性.Stage I A肺癌に対し右下葉切除術+縦隔リンパ節郭清術(ND2a-2)を施行し,第1病日から疼痛管理としてloxoprofen 180mg/日を内服していた.第12病日に乾性咳嗽と労作時呼吸困難を自覚,低酸素血症を認め,背部で捻髪音を聴取した.経気管支肺生検にて肺胞隔壁への好酸球浸潤を確認した.薬剤誘発性リンパ球刺激試験ではloxoprofenが陽性であった.Loxoprofenによる薬剤性の好酸球性肺炎と診断しその服用を中止したところ,次第に症状は軽快した.Steroidは使用しなかった.術後に咳嗽,労作時呼吸困難,びまん性陰影の出現がみられた際には薬剤性好酸球性肺炎も鑑別にあげる必要がある.
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  • 中城 正夫, 阿南 健太郎, 亀井 美玲
    75 巻 (2014) 4 号 p. 922-927
    公開日: 2014/11/01
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    症例は67歳,男性.42歳時にIV期肺癌と診断され,化学放射線治療を受け,49歳時に左上葉切除を受けた.今回,息切れを主訴に当院を受診した.慢性閉塞性肺疾患による呼吸不全と診断した.この時のCTで左腋窩に4×3cm大の不整形腫瘤あり.FDG-PETでは同部に強い集積を認めた.生検でリンパ節への癌転移と診断され,既往の肺癌と同一組織像であり肺癌の左腋窩リンパ節転移と診断し,cisplatin+pemetrexed sodium hydrateによる化学療法を6course施行した.化学療法で腫瘤は軽度縮小し,PETでは集積を認めなくなった.画像上,他に再発を疑う病巣を認めないことから腫瘤摘出を施行した.切除標本に腫瘍細胞の残存を認めなかった.術後補助療法を行わずに経過観察した.再発の兆候はなかったが,基礎疾患の慢性呼吸不全が進行して肺性心をきたし,左腋窩転移リンパ節摘出後約2年で永眠された.
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  • 小林 成行, 目崎 久美, 中川 和彦, 福原 哲治, 小林 一泰, 花岡 俊仁
    75 巻 (2014) 4 号 p. 928-933
    公開日: 2014/11/01
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    症例は88歳,女性.約2年前より胃軸捻転症を伴うMorgagni孔ヘルニアによる嘔吐のため,入退院を繰り返していた.毎回,胃管の挿入により胃軸捻転は自然に整復され,早期に症状の改善が認められていた.しかし発症頻度が多くなってきたため,腹腔鏡手術を施行することとなった.腹腔内を観察すると,胸骨後面右側に約6×3cmのヘルニア門が認められた.ヘルニア門を腹壁外結紮法で縫合閉鎖した後に,補強目的でParitex Composite Mesh®を横隔膜に固定した.術後経過は良好で,術後9日目に退院となった.術後約1年経過した現在,再発は認められていない.本疾患に対する腹腔鏡下修復術は,安全に施行可能な有用な術式であり,標準術式の一つとなり得るものと思われた.ヘルニア門の閉鎖方法については,一定の見解は得られていないものの,再発のリスクを考慮すればメッシュの使用が望ましいと考えられた.
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  • 川守田 啓介, 新原 正大, 伊江 将史, 坪佐 恭宏, 徳永 正則, 寺島 雅典
    75 巻 (2014) 4 号 p. 934-940
    公開日: 2014/11/01
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    症例は73歳,女性.胸部下部食道癌に対し根治的化学放射線療法を施行し,効果判定にてCRの判断となった.
    初回治療後5年1カ月の腹部CTにて腹腔内リンパ節の腫大を指摘,PET-CTでも同部位にFDGの集積を認め食道癌転移と診断した.また,同時期の上部消化管内視鏡にて胸部上部食道に新規上皮内癌も認めたため,腹腔内転移リンパ節に対し腹腔鏡下リンパ節切除および食道新規病変に対し内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を同時施行した.
    食道癌再発病変の治療については議論の及ぶ所であり,本症例について若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 佐藤 優, 矢島 和人, 小林 和明, 臼井 賢司, 坂本 薫, 若井 俊文
    75 巻 (2014) 4 号 p. 941-945
    公開日: 2014/11/01
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    胃限局性若年性ポリポーシスに対し,腹腔鏡補助下胃全摘術を施行した.症例は28歳,女性.母方の祖父・母・兄に消化管ポリポーシスの家族歴を認めた.上部消化管内視鏡では胃体部から幽門部に浮腫状のポリポーシスを認めた.漏出性の貧血と低タンパク血症は内科的治療に抵抗性で手術の方針となった.5ポートに5cmの小開腹,気腹法で,腹腔鏡補助下胃全摘術,Roux-en Y法再建を施行した.総手術時間は257分,出血は少量であった.術後経過は順調で10病日に退院した.病理結果では若年性と過形成性ポリープの混在型で,遺伝子検索ではexon 11のSMAD4遺伝子に病的変異を認めた.本疾患は若年者に多く,美容性に優れた腹腔鏡手術のよい適応と考えられた.
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  • 石川 英樹, 山田 達也, 坂本 裕彦, 網倉 克己, 川島 吉之, 田中 洋一, 大庭 華子
    75 巻 (2014) 4 号 p. 946-951
    公開日: 2014/11/01
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    症例は59歳,女性.検診の胃透視で幽門前庭部大彎に隆起性病変を指摘された.内視鏡検査で胃粘膜下腫瘍を認め,当院紹介となった.超音波内視鏡では固有筋層に境界明瞭,内部モザイク状,血流豊富な粘膜下腫瘍を認めた.針生検で類円形·小型の核と淡好酸性の細胞質を持つ,比較的均一な腫瘍細胞が充実性に増殖し,免疫組織化学的にsynaptophysin,chromogranin Aが一部に陽性で,neuroendocrine tumorが疑われた.開腹下にリンパ節郭清を伴う幽門側胃切除術を施行した.組織学的には,比較的均一な円形核を有し,細胞境界明瞭な腫瘍細胞がシート状に増殖しており,α-SMA,laminin,IV型collagenが陽性で,cytokeratin・desmin・neuroendocrine markerが陰性であり,胃glomus腫瘍と診断した.
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  • 前田 光貴, 三田 孝行, 岩田 真, 加藤 憲治, 大澤 一郎, 春木 祐司
    75 巻 (2014) 4 号 p. 952-956
    公開日: 2014/11/01
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    症例は69歳,女性.約1カ月前からの右鼠径部膨隆を主訴に当科外来を受診した.右鼠径靱帯の足側に用手的に還納できない母指頭大の硬い膨隆を認め大腿ヘルニア嵌頓と診断し,翌日,大腿ヘルニア根治術を施行した.手術所見ではヘルニア内容は大網であったが一部で硬結を認めたため,切除して病理検査に提出した.病理組織学的検査の結果,印環細胞癌の大網転移が疑われた.原発巣検索の目的で施行した上部消化管内視鏡検査で胃前庭部に3型病変を認め,同部位の生検から大網の結節と同様の病理所見が得られたため,胃癌の大網転移と診断した.CTでは胃周囲の多発リンパ節腫大・多発腹膜播種病変を認め,胃癌cT4aN2M1 Stage IVと診断した.その後,S-1+CDDPによる化学療法を施行したが,病状は徐々に悪化し,手術から約5カ月後に死亡した.大腿ヘルニア嵌頓を契機に発見された胃癌腹膜播種のまれな1例を経験したので報告する.
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  • 宮田 隆司, 二宮 致, 牧野 勇, 藤村 隆, 松本 勲, 太田 哲生
    75 巻 (2014) 4 号 p. 957-962
    公開日: 2014/11/01
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    症例は62歳,男性.12年前に胸部食道癌に対し右開胸開腹食道切除・3領域郭清・後縦隔経路胃管再建・頸部吻合術が施行された.今回,検診内視鏡検査にて胃管上部後壁に2型胃癌(4.5×2.5cm tub2 cT2cN0cH0cP0cM0 cStage IB)を認めた.術前S-1 80 mg/m2 14日間投与により腫瘍縮小を確認後,手術を施行した.術前腫瘍周囲に装着したクリップを確認し腫瘍部の胃管を全層切除し縫合閉鎖した.ICG蛍光法を用い残存胃管の血流を確認し終了した.病理所見では癌細胞は消失し化学療法効果はGrade 3であった.粘膜下層から筋層に肉芽組織や線維化を認め,治療前の深達度はT2と考えられた.縫合不全や狭窄を認めず,術後3年1カ月無再発生存中である.
    今回,術前S-1化学療法が奏効し胃管が温存可能であった食道切除後縦隔胃管再建後の進行胃管癌を経験したので報告する.
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  • 塚尾 祐貴子, 小林 研二, 高地 耕, 青木 太郎, 上村 佳央
    75 巻 (2014) 4 号 p. 963-967
    公開日: 2014/11/01
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    66歳,男性.心窩部不快感精査にて胃大彎前壁から前庭部にかけて4型胃癌を認めた.2005年9月に胃癌に対して幽門側胃切除術(D2郭清R-Y再建)を施行した.術後診断はpT3N2M0CY0P0 stage IIIB(UICC第6版).胃癌術後16日目に右鼠径ヘルニアに対し,ヘルニア根治術Kugel法を施行した.胃癌術後32カ月目に右鼠径部の腫瘤と陰嚢水腫を自覚.40カ月目に胃癌転移と診断された.転移巣に対し放射線療法の後,化学療法を3rdラインまで施行したが,胃癌術後68カ月目に死亡した.病理解剖では,全身にリンパ行性転移を認める一方,肝転移・肺転移を含む血行性転移,腹膜播種を認めなかった.転移形式から,血行性転移の可能性は低く,リンパ行性転移が主であったと考えられた.胃癌の鼠径部転移は非常にまれであり,鼠径部の手術,もしくはメッシュの挿入が転移の原因となった可能性も否定できない.
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  • 村上 剛平, 高橋 剛, 瀧口 修司, 永野 浩昭, 森 正樹, 土岐 祐一郎
    75 巻 (2014) 4 号 p. 968-972
    公開日: 2014/11/01
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    症例は68歳,男性.慢性C型肝硬変・肝細胞癌に対して,2009年に米国で脳死肝移植を施行し,その後,本邦で免疫抑制剤を投与されていた.2011年にスクリーニングの腹部CTで胃壁肥厚を指摘され,上部内視鏡検査を施行したところ,胃角部小弯に2型進行胃癌を認めた.術前画像診断から移植肝血管は総肝動脈レベルでの吻合と考え,グラフト血管損傷に留意しながら幽門側胃切除(D1+)を施行した.術中に肝外側域に強固な癒着を認め,肝への直接浸潤と考え肝部分切除を行った.病理組織学的診断はpT3(SS),N1,Stage IIIA,肝浸潤は認めなかった.術後補助化学療法は副作用が強く中止となったが,胃癌術後2年経過した現在,無再発生存中である.移植後の免疫抑制剤の使用が悪性腫瘍の発生に関与していると考えられており,移植後の長期生存例の増加に伴い移植後悪性腫瘍の症例は増加していくと予想される.
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  • 加藤 久仁之, 大山 健一, 西成 悠, 境 雄大, 若林 剛
    75 巻 (2014) 4 号 p. 973-977
    公開日: 2014/11/01
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    症例は63歳,男性.上咽頭癌右鎖骨上リンパ節再発に対し,セツキシマブ+放射線療法を2コース施行した.効果判定にて施行したCT検査にてフリーエアと小腸の気腫性変化を認めた.しかし,腹水は認めず腸管血流が保たれていたこと,腹痛および腹膜刺激症状も認めなかったため,経過観察とした.消化管穿孔を否定するために上下部消化管内視鏡検査を行ったが異常所見は認めなかった.第7病日のCT検査ではフリーエアおよび腸管気腫像の消失を認めた.その後,セツキシマブの投与を中止し放射線療法を再開したが,腸管気腫の再燃は認めなかった.近年,ヒト上皮成長因子受容体抗体であるセツキシマブによる腸管気腫症が少数例報告されている.自験例はセツキシマブ投与により腸管粘膜の脆弱化および透過性の亢進が生じ,便秘症による腸管内圧の亢進により腸管気腫を発症,その破裂によりフリーエアを生じたと考える.
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  • 竹山 治, 韓 秀炫, 田中 満
    75 巻 (2014) 4 号 p. 978-981
    公開日: 2014/11/01
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    症例は76歳,男性.腹痛・血便のため近医を受診し当院に紹介された.入院時の腹部CTにて腸重積症の所見を認めた.腫瘍性病変による腸重積症の疑いで開腹手術を施行した.開腹時腸重積は自然整復されていたが上行結腸内に可動性のある腫瘍を認め,上行結腸癌の疑いで回盲部切除術,D3リンパ節郭清を施行した.摘出標本で上行結腸内に長さ10cmの表面不正な腫瘍を認め,これは上行結腸内に完全重積した虫垂表面に腫瘍性病変を生じ,この腫瘍を先進部とする腸重積症を生じていたことが判明した.病理診断は早期虫垂癌であった.完全型虫垂重積症をきたした早期虫垂癌は稀であり,さらに結腸重積症を合併した極めて稀な症例を経験した.
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  • 川村 崇文, 小路 毅, 東 幸宏, 片橋 一人, 丸尾 啓敏
    75 巻 (2014) 4 号 p. 982-986
    公開日: 2014/11/01
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    症例は85歳,女性.Parkinson病にてほぼ寝たきりの状態であった.2011年12月,誤嚥に伴う呼吸不全にて当院救急外来受診.CTにてS状結腸軸捻によるイレウスと診断,大腸内視鏡によりS状結腸壊死を疑い,緊急手術を施行.腸回転異常は認めずS状結腸切除術を施行した.術後経過は大きな問題なく軽快退院となった.2012年6月,腹痛・呼吸不全にて再度当院受診.盲腸軸捻と診断し再手術,右結腸切除術を施行した.術後は人工呼吸器管理などを行ったが軽快退院となった.結腸軸捻の基礎疾患として神経性疾患の合併は報告されているが,腸回転異常がなく,異なる部位で軸捻を繰り返した報告はほとんど見られない.短期間での異時性のS状結腸および盲腸軸捻を経験したので文献的考察を加え報告する.
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  • 遠藤 千穂, 南 裕太, 渡邉 純, 盛田 知幸, 茂垣 雅俊, 舛井 秀宣
    75 巻 (2014) 4 号 p. 987-991
    公開日: 2014/11/01
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    高齢化社会に伴い90歳以上の超高齢者に対する手術件数も増加している.超高齢者の汎発性腹膜炎に対し緊急手術で救命しえた1例を報告する.
    症例は99歳女性,術前performance statusは1であった.2011年8月,突然の腹痛を主訴に救急搬送された.腹部全体に圧痛を認めたが,血液生化学所見では炎症反応は陰性であった.腹部CTでS状結腸より腹腔内へ脱出した便塊・free airを認め,S状結腸穿孔の診断に対しHartmann手術を施行した.腹腔内には便汁とS状結腸穿孔部を認めた.術後はエンドトキシン吸着療法を施行し,人工呼吸管理を行い,術後5日目で抜管となった.術後,せん妄の他に合併症はなく,第47病日に退院となった.高齢者の腹膜炎は所見に乏しく時に診断に難渋するが,今回の症例では発症早期の診断・治療が救命に結び付いたと考えた.
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  • 山口 真彦, 松下 公治, 頼木 領, 天野 正弘, 住永 佳久, 天野 与稔
    75 巻 (2014) 4 号 p. 992-997
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,男性.腹痛・下痢・血便にて当院救急外来を受診した.高血糖以外に異常な検査所見はなく,CTでは門脈内ガスがみられ,上行結腸・横行結腸の造影不良な壁肥厚とともに静脈内ガスがみられた.結腸壊死の疑いにて入院し,翌日CTで結腸壁の浮腫状変化は強まり,腹水が出現したため腸管穿孔を危惧し,緊急手術を行った.腹水とともに上行結腸の浮腫状変化を認め,右半結腸切除を行った.病理診断は気腫を伴った虚血性大腸炎であった.経過良好で術後12日目に退院した.退院後2週間目に下痢・腹痛にて再来院し,CTにて門脈内ガスが再出現,横行結腸の壁は造影効果が乏しく一部菲薄化し,その腹側大網内にガスの貯留を認め,結腸穿孔を疑われ再入院した.保存的治療にて改善を認め17日目に退院した.門脈ガス血症は予後不良な病態とされるが,ある種の腸管虚血に起因する場合,慎重な保存的治療で治癒可能な病態であると考えられる.
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  • 増田 剛, 澤田 鉄二, 奥野 倫久, 城月 順子, 村橋 邦康, 西野 光一
    75 巻 (2014) 4 号 p. 998-1004
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,男性.心房細動にて外来通院中,血液検査にて白血球数の著名な上昇を認めたため,精査目的で腹部超音波検査を施行したところ,S状結腸に壁肥厚を認めS状結腸癌が疑われた.下部消化管内視鏡検査にてS状結腸に全周性のtype2進行大腸癌を認め,生検結果は高分化型腺癌であった.腫瘍による閉塞の危険があり,その他全身状態は問題なかったため,S状結腸癌に対しS状結腸切除術+D3郭清を施行した.病理組織学的にはtub2,type2,pSS,ly1,v1,pN1でfStage IIIa,腫瘍部のG-CSFに対する免疫染色は陽性であった.術後,白血球数は正常化した.著明な白血球数の上昇,腫瘍切除による白血球の減少と腫瘍部の免疫染色にてG-CSF抗体陽性であったことより,G-CSF産生S状結腸癌と診断した.G-CSF産生大腸癌はまれな疾患であり,文献的考察を加え報告する.
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  • 藤田 俊広, 曽我 直弘
    75 巻 (2014) 4 号 p. 1005-1009
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
    症例は40歳台,女性.腹痛を主訴に当科受診しCTにてS状結腸癌の穿孔および左卵巣浸潤・後腹膜浸潤による水腎症が疑われた.緊急手術施行したが後腹膜への浸潤が強く根治切除は困難と判断し,双孔式横行結腸人工肛門造設施行した.術後に腫瘍の縮小を狙い,FOLFOX4療法を6コース施行した.化学療法後のCTでは病変の縮小を得られ,PRの効果判定であった.根治切除の方針とし,S状結腸切除・左付属器切除施行した.病理組織学的検査で化学療法の効果判定はGrade1bであった.si(ov),ly3,v0,n0,P0,H0,fStage IIであった.術後カペシタビンで補助療法を施行し,現在術後4年経過したが再発兆候を認めていない.穿孔性腹膜炎で発症した局所進行S状結腸癌に対し姑息手術を行った後に化学療法で縮小を得ることで二期的に治癒切除することが可能であった症例を経験したため文献学的考察を加え報告する.
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  • 岡 洋右, 赤木 由人, 谷川 雅彦, 衣笠 哲史, 吉田 武史, 白水 和雄
    75 巻 (2014) 4 号 p. 1010-1015
    公開日: 2014/11/01
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    症例は74歳,男性.平成24年7月初め,意識障害のため,頭部CTにて脳腫瘍を指摘された.当院脳外科で脳腫瘍摘出術が施行され,病理組織診断は消化管からの転移と診断された.精査で直腸S状部に3cm大の癌を認めた.全脳照射を追加後,当科にて低位前方切除を施行した.Performance status 2であったことや本人の希望で術後補助化学療法は施行しなかった.術後4カ月と7カ月に脳転移再発を認めたが,γナイフ療法が施行され,現在までの13カ月間,他の臓器に再発は認めていない.大腸癌に脳転移を認めた場合,他の遠隔転移も伴う場合が多いため予後は不良である.本症例がγナイフによる治療で,良好なQOLを保ていることから,γナイフは脳転移の治療として有用と思われる.
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  • 藤 浩明, 門川 佳央, 西内 綾, 西野 裕人, 加藤 滋, 浅生 義人
    75 巻 (2014) 4 号 p. 1016-1021
    公開日: 2014/11/01
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    術前pagetoid spread(以下PS)を伴った肛門管癌と診断し,腹腔鏡下直腸切断術を行った2例を報告する.症例1は76歳男性.皮膚生検でPaget細胞が検出され,免疫組織学的検査でGCDFP-15陰性・CK20陽性・CK7陰性であった.症例2は62歳女性.皮膚生検でPaget細胞が検出され,GCDFP-15陰性・CK20陽性・CK7陽性であった.両者ともPSを伴う肛門管癌と診断し腹腔鏡下直腸切断術を行った.病理結果は症例1が肛門管癌,症例2は肛門周囲Paget病であった.PSを伴う肛門管癌と原発性Paget病とは治療方針や予後が異なり両疾患の鑑別は重要であるが,直腸肛門内に明らかな腫瘍性病変を認めない場合は鑑別が困難である.また,比較的稀な病態であるPSを伴う肛門管癌に対して根治性を損なわず腹腔鏡下切除ができたため報告する.
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  • 加藤 憲治, 玉置 久雄, 三田 孝行, 岩田 真, 春木 祐司, 前田 光貴
    75 巻 (2014) 4 号 p. 1022-1025
    公開日: 2014/11/01
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    症例は45歳,男性.大酒家.入院3日前,立ち上がった際,腹部が引っ張られるような痛みがあった.その後,腹部膨満感,さらに立ちくらみも出現したため受診した.CTでは肝は肝硬変を呈し血性腹水を認め,傍臍静脈の拡張と上行結腸周囲に門脈圧亢進症に伴うと思われる側副血行路を認めた.入院翌日,背部痛と気分不良,冷汗が出現した.CTではMorrison窩中心に活動性の出血を認めた.上行結腸周囲の異所性静脈瘤破裂による腹腔内出血と診断し緊急開腹術を施行した.開腹するに上行結腸から後腹膜にかけて数珠状に拡張した静脈を認め,その一部静脈瘤が破裂し出血しており破裂部を結紮し摘出した.門脈圧亢進症による異所性静脈瘤が破裂し腹腔内出血をきたすことはまれであり,手術に至らず死亡する症例も多く予後は不良とされている.肝硬変症例の腹腔内出血に際しては異所性静脈瘤破裂も考慮し,早期診断・治療が必要である.
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  • 山田 千寿, 新田 宙, 石川 文彦, 釜田 茂幸, 兼子 耕, 伊藤 博
    75 巻 (2014) 4 号 p. 1026-1030
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,男性.心窩部痛と上腹部腫瘤の精査目的に当科紹介となった.腹部CTにて,内出血を伴う径11cmの肝腫瘍と腹水の貯留を認めた.肝細胞癌切迫破裂の疑いで開腹すると,多量の血性腹水の貯留と,肝左葉に破裂を伴い胃に浸潤した肝腫瘍を認めた.腫瘍は表面に小破裂を伴っており,肝S3亜区域切除と胃部分切除術を施行した.組織学的には異型核を有し,一部巨細胞化した紡錘形細胞の増殖を認め,肝未分化肉腫と診断された.術後1カ月目に肝左葉から胃幽門前庭部にかけての局所再発および腹腔内に散在する播種巣の急速増大を認め,第94病日に永眠された.肝未分化肉腫は小児に好発する非常に予後不良な間葉系腫瘍で,成人発症は極めてまれであり,文献的考察を加えて報告する.
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  • 鈴木 崇史, 濱口 純, 阿部 厚憲, 松澤 文彦, 廣方 玄太郎, 及能 健一
    75 巻 (2014) 4 号 p. 1031-1037
    公開日: 2014/11/01
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    症例は80歳,女性.主訴は上腹部痛.患者は6年前に胆嚢結石症に対し腹腔鏡下胆嚢摘出術(以下LC)施行された.1年前から上腹部痛を自覚するようになり,平成24年に肝機能障害が出現したため当科にて精査を行った.CT・ERCPでは総胆管内に金属を中心とした結石形成を認めた.また,CTで初回LC時には肝門部に6個存在した金属クリップが,同部位に5個しか確認できなかった.以上から,総胆管内へ迷入した金属クリップを核とした総胆管結石症と診断された.膵胆管合流異常症の合併が見られるため内視鏡的除去は困難であり,総胆管切開切石術が施行された.摘出された迷入クリップは,そのサイズから胆嚢管閉鎖時に用いたものと推測された.LCは胆嚢結石症に対する標準術式として普及しているが,近年,長期合併症の一つとして迷入クリップによる総胆管結石症の報告が散見される.本邦報告例23例に自験例を加えて報告する.
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  • 柏舘 俊明, 阿部 隆之, 佐藤 耕一郎, 加藤 博孝
    75 巻 (2014) 4 号 p. 1038-1042
    公開日: 2014/11/01
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    今回われわれは,腸回転異常症を背景に,腹腔鏡下胆嚢摘出術後の胆嚢摘出部に小腸の癒着性イレウスを発症した1例を経験したので報告する.
    症例は81歳の男性.1999年に脳梗塞を発症し長期臥床中.2005年10月に慢性胆嚢炎に対し腹腔鏡下胆嚢摘出術施行した.2008年3月にイレウスの診断にて近医より紹介され受診した.CT上,肝下面に小腸のcaliber changeを認め,closed loopの形成も疑われたため,同日,緊急手術を施行した.ポートサイトには全く癒着を認めず,肝下面の胆嚢摘出部に小腸の癒着を認め,同部でcaliber changeが起きていた.癒着剥離後,小腸を全長にわたって検索すると,十二指腸前面に結腸はなく,Treitz靱帯を認めず,そのまま空腸に移行した.右側に上行結腸を認めず,ここで腸回転異常であることが判明した.肝床への小腸癒着は右上腹部に結腸がないことによって生じたと考えられた.
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  • 岡田 健司郎, 坂下 吉弘, 中井 志郎, 藤本 三喜夫, 宮本 勝也, 嶋本 文雄
    75 巻 (2014) 4 号 p. 1043-1049
    公開日: 2014/11/01
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    症例は60歳,男性.右季肋部痛を主訴に近医受診され,腹部超音波検査にて胆嚢腫瘍の疑いにて当院紹介となった.腹部超音波検査・腹部造影CT検査・腹部MRI検査にて,胆嚢に不整型腫瘤と肝S4への浸潤を認め,胆嚢癌の診断で,肝中央2区域(S4+5+8)切除・胆嚢摘出・肝外胆管切除・2群リンパ節郭清を施行した.病理組織検査にて胆嚢粘膜に腺癌成分を認めたが,大部分は扁平上皮癌成分であった.また,一部の腺癌成分から移行する形で紡錘形細胞を主体とする肉腫様成分が混在しており,免疫組織学的に上皮性マーカーであるAE1/AE3が陽性であり,いわゆる癌肉腫と診断した.肉腫様変化を伴った胆嚢腺扁平上皮癌は,予後は極めて不良とされるが,術後補助化学療法としてS-1療法を選択し,現在術後7カ月無再発生存中である.
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  • 濱田 賢司, 松崎 晋平, 野口 大介, 早崎 碧泉, 金児 博司, 田岡 大樹
    75 巻 (2014) 4 号 p. 1050-1055
    公開日: 2014/11/01
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    61歳,男性.上腹部痛を主訴に当院受診.精査にて胆嚢・総胆管結石による急性胆管炎の診断で入院.入院後ESTを施行し総胆管結石を採石し,内視鏡的経鼻胆管ドレナージにて症状は軽快した.胆嚢結石に対して胆嚢摘出術を予定したが,術前画像でB5胆管が胆嚢体部に合流する胆嚢肝管(cholecytohepatic duct:CHD)を認め,合流部より胆嚢管側で結石が嵌頓しB5胆管が限局性に拡張していた.開腹するとB5胆管が胆嚢体部に合流しており,B5を合流部にて切離した後に胆嚢管に嵌頓した結石の中枢側で胆嚢管を切離した.胆嚢管が比較的長くB5胆管と端々吻合が可能であったため,ステントチューブを留置してB5胆管と胆嚢管を吻合して胆道再建.術後経過は良好で術後1年目の血液検査では異常所見なく画像上もB5胆管の狭窄は認めていない.われわれの検索した範囲では胆嚢肝管に対して亜区域胆管枝と遺残胆嚢管吻合による再建法は本例が初と思われた.
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  • 住吉 宏樹, 中村 慶春, 松下 晃, 吉岡 正人, 清水 哲也, 内田 英二
    75 巻 (2014) 4 号 p. 1056-1060
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,女性.膵体部のIPMN(分枝型,腫瘍径34mm)の診断で腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行した.術後第3病日に膵断端部ドレーン排液アミラーゼ値が213,000IU/lと高値であったが,排液量は15ml/日であり感染徴候もないため,翌日にドレーンを抜去した.しかし,第9病日の腹部CTにて膵液瘻に伴う膵仮性嚢胞と微小な門脈血栓を認めたため,ヘパリンを投与し保存的に経過観察していたが,第14病日のCTにて門脈血栓の著しい増大を認めた.膵仮性嚢胞に対しCTガイド下経皮的ドレナージを施行し,同部から造影したところ門脈との瘻孔形成を認めた.また,腹部血管造影では門脈内に充満する血栓が描出された.ドレナージ後に症状は著明に改善し,門脈血栓も消失した.本症例は,膵液瘻の病勢と共に門脈血栓は劇的に変化し,さらに膵液瘻と門脈が交通する極めてまれな病態を呈していた.若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 中山 啓, 田島 秀浩, 北川 裕久, 中川原 寿俊, 宮下 知治, 太田 哲生
    75 巻 (2014) 4 号 p. 1061-1066
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
    症例は67歳男性,健診で高血糖を指摘され前医を受診,膵体部癌を疑われ当科紹介となった.腹部CTで膵体部に漸増性に濃染する20mm大の境界明瞭な結節を認め,超音波内視鏡で膵体部に23mm大の辺縁平滑な卵円形低エコー腫瘤を認め,針生検では悪性所見を認めなかった.画像所見から線維化に富んだ神経内分泌腫瘍が鑑別に挙げられ,膵体尾部切除術を施行した.切除標本では18mm大の境界明瞭な灰白色充実性腫瘤を認め,病理組織所見では導管細胞と胆管細胞が悪性所見のない紡錘形細胞に包埋されていた.Langerhans島は不明瞭であり,免疫染色で紡錘形細胞がCD34・bcl-2陽性であることと併せて,solid type pancreatic hamartomaと診断した.Pancreatic hamartomaは報告例が25例と稀な疾患であり,各種画像所見と切除標本の病理学的検討に文献的考察を加えて報告する.
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  • 山梨 恵次, 鍛 利幸, 宮内 雄也, 伊東 大輔, 古元 克好, 小切 匡史
    75 巻 (2014) 4 号 p. 1067-1070
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,女性.膵体部癌・腹膜転移による頻回の嘔吐のため当院紹介となった.CT検査では,膵癌の十二指腸への浸潤と多発腹膜転移を認め,上部消化管造影検査では,造影剤の十二指腸通過を全く認めなかった.胃空腸バイパスによって症状改善の可能性があると考えられたが,十二指腸以遠の腸管閉塞の有無を術前に確認することができなかった.Indocyanine green(ICG)を手術2日前に静脈注射し,術中に蛍光観察を行った.下行結腸内腔に蛍光シグナルを認め,十二指腸から下行結腸まで腸管が開存していることが確認できたので,胃空腸吻合を行った.術後,胃空腸バイパスは良好に機能し,術後42日目に転院するまで経口摂取可能な状態が維持できた.
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  • 隈本 力, 富沢 賢治, 花岡 裕, 戸田 重夫, 的場 周一郎, 黒柳 洋弥
    75 巻 (2014) 4 号 p. 1071-1075
    公開日: 2014/11/01
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    症例は44歳の男性で,下部消化管内視鏡検査で下部直腸に粘膜下腫瘍を認め,内視鏡的粘膜切除が施行された.病理検査で,Carcinoid,pSM,垂直断端陽性であり,追加切除目的で当院紹介となった.術前画像検査では異常は認めなかった.術中所見で膀胱直腸窩腹膜に限局的な黄白色の小結節の集簇を認め,術中迅速病理検査で,高分化型乳頭状中皮腫(well-differentiated papillary mesothelioma: 以下WDPM)疑いと診断された.小結節は限局していたため,膀胱直腸窩の腹膜を一括切除し,その後,予定通りに腹腔鏡下低位前方切除術を施行した.永久病理検査では,腹膜切除検体はWDPMの診断であり,直腸検体は切除断端陰性であった.WDPMはまれな低悪性度の腫瘍とされ,多くは術中に偶然発見される.本邦での報告は少なく,限局したWDPMに対して腹腔鏡下に完全切除しえた報告はない.
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  • 網木 学, 小池 太郎, 今泉 理枝, 松本 卓子, 本田 宏
    75 巻 (2014) 4 号 p. 1076-1079
    公開日: 2014/11/01
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    症例は55歳,男性,胸部打撲の際のCTで偶然,腹部腫瘤を発見された.造影CTでは,右上腹部に径4cm,分葉状,早期相で強く濃染される腫瘤を認めた.Carcinoid・castleman's disease・paragangliomaなどを疑い,診断と治療を兼ねて腹腔鏡下手術を行った.腫瘍は肝鎌状間膜内に存在しており,周囲臓器への浸潤は認めなかった.切除標本は径4cm,白色充実性で多結節性の腫瘤であった.病理組織学的検査でsolitary fibrous tumorと診断された.核異型や核分裂像は目立たず,壊死や出血は認めなかった.術後1年が経過した現在,無再発生存中である.SFTは胸腔内からの発生の報告が多いが,全身に発生しうる.近年,腹腔内の症例に対し,腹腔鏡下手術の報告が散見される.文献的考察を加えて報告する.
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  • 堀井 伸利, 清水 哲也, 関戸 仁, 松田 悟郎
    75 巻 (2014) 4 号 p. 1080-1084
    公開日: 2014/11/01
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    子宮内膜間質肉腫は子宮悪性腫瘍の0.2~2%を占める稀な腫瘍である.今回,横行結腸に転移し発見された低悪性度子宮内膜間質肉腫を経験したので報告する.症例は44歳の女性.既往歴,特記事項なし.右側腹部痛の持続を主訴に当院を受診した.上腹部正中に圧痛および腫瘤を触知し,反跳痛を認めた.血液検査ではWBC 24,200/μl,CRP 10.9mg/lと炎症反応の上昇を認め,腹部造影CT検査でDouglas窩に腹水の貯留,横行結腸に不均一な造影効果を伴う8cm大の腫瘤性病変を認め横行結腸癌穿孔と診断し,開腹結腸部分切除術を施行した.腫瘍は3cm×2cmで中心部に瘻孔があり腸間膜内に膿瘍腔を形成していた.術後経過は良好で術後14日目に退院した.病理所見では短紡錘状細胞の錯綜と増殖を認め,核異型度は軽度から中等度で経度の核分裂像を認めた.免疫染色でCD10陽性・EgR陽性・PgR陽性であり,低悪性度子宮内膜間質肉腫と診断し,後に子宮両側付属器切除術を施行し,子宮内に原発巣を認めた.
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  • 渡邉 佑介, 國府島 健, 松本 祐介, 甲斐 恭平, 佐藤 四三, 内野 かおり
    75 巻 (2014) 4 号 p. 1085-1088
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
    腸管子宮内膜症の癌化は極めて稀であり,本邦では自験例を含めて8例の報告をみるのみである.今回,われわれは直腸子宮内膜症癌化の1例を経験したので報告する.症例は48歳女性,主訴は便潜血陽性であり,下部消化管内視鏡にて上部直腸に粘膜異常を伴う扁平隆起を認めた.CT・MRIにて上部直腸に5cmにわたる壁肥厚と左卵巣嚢腫,巨大子宮筋腫を認め,生検所見と合わせて腸管子宮内膜症から発生した悪性腫瘍と診断した.開腹所見は巨大子宮筋腫・左卵巣嚢腫が一塊となりDouglas窩が子宮内膜症による高度癒着で閉鎖されていた為,子宮両側付属器摘出・低位前方切除術を施行した.病理組織検査では固有筋層から粘膜下層を主体とした異所性子宮内膜から発生した類内膜腺癌と診断.術後補助化学療法としてTC療法を施行し,現在18カ月無再発生存中である.
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  • 石川 亘, 石田 康彦, 山野 武寿, 立花 光夫, 三村 太亮, 宗友 良憲
    75 巻 (2014) 4 号 p. 1089-1092
    公開日: 2014/11/01
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    症例は50歳の女性.既往歴として,約1カ月前に子宮頸がんに対して広汎子宮全摘術が施行された.嘔吐と腹痛を主訴に救急外来を受診した.腹部は軽度膨隆し圧痛軽度,間欠的な蠕動痛があり,腸蠕動音は亢進していた.癒着性イレウスと診断し保存的に加療していたが,第3病日に腹部造影CTにて絞扼性イレウスと診断し緊急手術を施行した.回腸がループを形成し限局的に拡張しており,左尿管と左総から内腸骨動静脈の間隙に陥頓し絞扼されていた.回腸を用手的に整復後,再発防止策として露出した尿管と腸骨血管を被覆する目的で,S状結腸と回盲部を仙骨前面にそれぞれ縫着した.術後経過は良好で術後7日目に退院した.広汎子宮全摘術後に尿管が原因で生じたイレウスの本邦における報告は,今回渉猟しえた範囲では見当たらず,文献的考察を加えて報告する.
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  • 榊原 堅式, 佐藤 陽子, 桑原 義之, 中前 勝視, 三井 章, 田中 宏紀
    75 巻 (2014) 4 号 p. 1093-1097
    公開日: 2014/11/01
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    症例は女児.生下時より会陰部に腫瘤あり.染色体異常もあり小児科で経過観察されていた.肛門部のびらんを伴うため,7カ月時に小児外科紹介となった.初診時,肛門の左側に4cm大の基部がやや細い球状の柔らかい腫瘤あり.腫瘤は左の大陰唇にくびれを伴ってつながり大陰唇に連続した腫瘤を認めた.CT・MRIでは脂肪濃度の腫瘤で,直腸や尿路,脊椎に異常所見を認めず.腫瘤は脂肪腫と考えられ,生後10カ月時に摘出術を施行.腫瘤基部の皮膚と外陰唇につながった腫瘤を一塊に摘出した.腫瘤部の脂肪組織は正常脂肪組織と境界が不明瞭であった.組織学的には脂肪腫と診断され,発生部位や形状から,accessory labioscrotal foldを合併した会陰部脂肪腫と診断した.Accessory labioscrotal foldは男児の副陰嚢として報告され会陰部脂肪腫を合併することが多いが,女児に生じることはまれである.
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  • 秋森 豊一, 上岡 教人, 上村 直, 金川 俊哉, 沖 豊和
    75 巻 (2014) 4 号 p. 1098-1103
    公開日: 2014/11/01
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    症例1は64歳,男性.小腸部分切除術を施行後,腸閉塞症をきたし再手術を行った.吻合部を中心に腸間膜が肥厚,一塊となっており,腸間膜脂肪織炎との診断の下に小腸部分切除術を施行した.術後再び,手術操作部に腸閉塞症をきたしたため,腸間膜脂肪織炎の再発と考え,ステロイド治療を行った.プレドニンを50mg/日より開始し,漸減していった.13日目にイレウス管を抜去,以後順調に経過した.症例2は57歳,男性.右半結腸切除術を施行後,手術操作部位に腸閉塞症状が出現した.CT所見より腸間膜脂肪織炎による腸閉塞症と診断し,プレドニンを開始,以後著明に改善した.以上より,腹部術後早期の腸閉塞症は腸間膜脂肪織炎である可能性にも留意し,CT検査を行った上で本症を疑う所見があれば,ステロイド投与など保存的治療を優先すべきと考えられた.術後早期に発症した腸間膜脂肪織炎の報告例は比較的まれであり,文献的考察を加え報告をする.
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  • 田上 創一, 成本 壮一, 佐近 雅宏, 関 仁誌, 林 賢, 宗像 康博
    75 巻 (2014) 4 号 p. 1104-1109
    公開日: 2014/11/01
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    当院では,1995年7月の開院以来,900側以上の腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術を施行している.非常に稀であるステイプルに関連した難治性疼痛を経験し,ステイプル除去のみで改善したので報告する.患者は46歳,男性.右鼠径ヘルニアの診断で腹腔鏡下ヘルニア根治術(totally extraperitoneal repair:以下,TEP法)を施行し,合併症なく術後3日目に退院した.しかし,術後2週間目より右鼠径部痛が出現し,鎮痛剤を内服したが改善しなかった.疼痛部位は限局していたため,トリガーポイント注射による短時間の疼痛管理は可能となった.長時間の疼痛管理は困難なため,初回手術より5カ月後にステイプル除去術を行った.除去後,疼痛は改善し再燃を認めなかった.現在,当院では吸収性ステイプルを使用しているが,ステイプル関連痛は認めていない.今後の症例の蓄積に期待したい.
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  • 藤川 幸一, 寺澤 無我, 佐々木 健, 牧野 治文, 永井 基樹, 山本 穰司
    75 巻 (2014) 4 号 p. 1110-1114
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
    症例は44歳,女性.2009年に臍ヘルニア嵌頓にて手術を施行されて以来,3度のヘルニア再発をきたし手術が施行されていた.最後の手術では感染したデュアルメッシュ®を除去され皮膚のみ縫合されていた.筋膜に12×10cmの欠損を伴う巨大腹壁瘢痕ヘルニアを認め待機的に手術を施行した.筋膜の単純縫合は不可能であったため,components separation(CS)法による筋膜の閉鎖に加え,onlay meshおよびintraperitoneal meshを使用した.
    術後は特に問題なく軽快退院された.術後約1年経過され再発の兆候は認めていない.CS法に2層のメッシュを加えた術式が再発を繰り返した腹壁瘢痕ヘルニアに対し有用であった1例を経験したので文献的考察を加え報告する.
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  • 原 聖佳, 山口 茂樹, 田代 浄, 石井 利昌, 近藤 宏佳, 鈴木 麻未
    75 巻 (2014) 4 号 p. 1115-1119
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
    Components separation法は正中型腹壁瘢痕ヘルニアに対する再建術式の一つである.われわれはS状結腸癌腹壁浸潤に対しcomponents separation法を用い腹壁再建を行った症例を経験したので報告する.
    症例は64歳,男性.下腹部に15cm大の腫瘤を触知,臍部より排膿を認めた.下部消化管内視鏡検査でS状結腸に全周性狭窄を伴う2型病変を認め,生検で高分化型腺癌であった.腹部CT検査でS状結腸の広範な壁肥厚と小腸・膀胱・腹直筋に直接浸潤を認めた.手術はS状結腸切除,小腸部分切除,膀胱前立腺全摘および新膀胱造設,腹壁合併切除・再建を施行した.腹壁は10×10cmの欠損となり,components separation法で再建を行い,腹直筋欠損部はonlay meshで補強した.術後合併症なく,30病日に退院,術後2年無再発生存中である.
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  • 柳 舜仁, 諏訪 勝仁, 佐々木 優至, 小村 伸朗, 矢永 勝彦
    75 巻 (2014) 4 号 p. 1120-1123
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
    60歳台男性,胆管膵管合流異常のため近医にて経過観察されている以外に特記すべき既往歴はない.3カ月前からの左鼠径部膨隆のため当院を受診した.身体所見上,鼠径靱帯頭側に還納可能なゴルフボール大の膨隆を認め,左鼠径ヘルニアの術前診断で手術を施行した.手術は前方アプローチにて行った.鼠径管後壁はびまん性に膨隆しており,日本ヘルニア学会(JHS)分類II-3型と診断した.精索内検索では,JHS I-2型のヘルニアを合併していた.腹膜前腔の剥離を行うと,大腿輪に腹膜前脂肪層から連続する脱出を認め,示指頭大のヘルニア嚢と確認された.手術診断はJHS IV型(II-3+I-2+III)であった.ダイレクトクーゲル法にてヘルニア修復術を施行した.医中誌,PubMedを検索した限り,同側の内外鼠径ヘルニア,大腿ヘルニアを合併した症例報告は4例のみであり,非常に稀であると考えられた.
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  • 中田 晴夏, 磯野 忠大, 芦沢 直樹, 植田 猛, 木村 貴彦, 上村 和康
    75 巻 (2014) 4 号 p. 1124-1128
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,男性.胃癌(T1b(SM),N0,M0,H0,P0,cStage IA)に対し,腹腔鏡下胃全摘術を施行した.既往に慢性蕁麻疹,バリウムとニフレックによるアナフィラキシーがあった.術前の血清ラテックス抗原特異的IgE抗体は陰性だった.術中,標本摘出と再建のため小開腹を行うと,血圧の急激な低下と顔面紅潮を認めた.ラテックスによるアナフィラキシーショックを疑い,直ちに抗ショック療法と手袋の変更を行い患者の状態は改善した.手術は無事終了し,術後経過は良好だった.術後血清ラテックス抗原特異的IgE抗体は陽性となった.本病態の発症を未然に予想することは非常に困難であり,発症した際には本疾患を鑑別に挙げ,適切な対応をすることで,生命にかかわる事態は避けられると考えられた.
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