日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
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75 巻 , 5 号
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原著
  • 田辺 裕, 高瀬 恒信, 小林 大悟, 長縄 郁絵, 富家 由美, 稲石 貴弘, 森本 大士, 野村 尚弘, 柴田 有宏, 三輪 高也, 矢 ...
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1153-1157
    公開日: 2014/11/29
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    目的:緊急手術適応であるclosed-loop型腸閉塞症のCT検査における鑑別の妥当性と,CTによる鑑別診断の臨床的意義を示すこと.
    対象および方法:2012年1月から2013年3月までに当科で小腸閉塞症の入院治療を行い,CTで閉塞機転を指摘できた62例のCT所見と臨床経過を後方視的に検討した.
    結果:Closed-loop型CT所見群:open-loop型CT所見群は15例:47例だった.Closed-loop型CT所見群の14例が手術を施行され,open-loop型CT所見群より手術施行頻度が有意に高率だった.絞扼性腸閉塞症とclosed-loop型腸閉塞症を緊急手術適応とすると,closed-loop型CT所見群の緊急手術適応に対する感度は80%,特異度は93.6%だった.
    結論:Closed-loop型CT所見の鑑別は緊急手術適応の決定に有用である.
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臨床経験
  • 城田 千代栄
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1158-1163
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    目的:予定手術の術前検査におけるAPTTスクリーニング値を35.1秒(当院基準値40.0秒)とし潜在する血友病を見逃さない工夫を試みた.
    方法:2011年4月1日から2013年11月30日までに,予定手術の術前検査を行った445人を対象とした.APTTが35.1秒以上の場合には詳細な問診を行い,凝固能異常が否定的な症例を除外した.残りの全例に,追加検査を行い血友病合併の有無を確認した.
    結果:445例のうちAPTTが35.1秒以上であったのは40例(9.0%)で,問診により10例を除外した.残りの30例の最終診断は,凝固能異常なし28例,経過観察中に正常化1例,血友病A1例であった.この患者に家族歴はなく,APTTは39.5秒であった.
    結語:血友病を術前検査で発見するためには,APTTを基準値よりも低い値でスクリーニングする必要がある.
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  • 釼持 明, 久倉 勝治, 寺島 秀夫, 明石 義正, 櫻井 英幸, 大河内 信弘
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1164-1168
    公開日: 2014/11/29
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    骨盤内や後腹膜の腫瘍への放射線治療は,消化管が近接し高線量照射が難しい.エックス線治療より線量集中性が良い陽子線治療においても,消化管への線量低減が図り難い.われわれは消化管近接腫瘍への陽子線治療に際し,スペーサーを腫瘍と消化管の間に挿入している.子宮頸癌2例・子宮体癌1例・子宮肉腫1例・S状結腸癌1例・直腸癌1例の計6例に対し,スペーサー挿入後に陽子線治療を施行した.うち1例は同部位への照射歴を有していた.術式は,大網で包んだゴアテックスを腫瘍と消化管の間に固定し,消化管との間にセーフティーマージンを確保するという方法である.1例は小腸を切除したため,腸間膜をスペーサーとして用いた.術後,CTで腫瘍と消化管の間のセーフティーマージンを確認し,消化管近接腫瘍に対する高線量照射を安全に行い得た.
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  • 中野 徹, 小澤 洋平, 直島 君成, 亀井 尚, 宮田 剛, 大内 憲明
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1169-1174
    公開日: 2014/11/29
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    食道癌肉腫は食道癌の中で比較的まれな組織型である.当院において,2000年から2013年の間に食道切除術が施行され,病理学的に癌肉腫と診断された7例について臨床病理学的検討を行った.全例男性,平均71歳.食道亜全摘術が5例に対して,食道亜全摘胃全摘術が2例に対して施行された.肉眼的形態は4例で0-Ip型を呈した.病理学的腫瘍深達度はT1bが3例,T2が2例,T3が2例であった.リンパ節転移を57.1%の症例に認めた.7例中2例に免疫染色でG-CSF陽性であった.1例は術後1年後に肺転移を生じ化学療法を施行している.1例は術後30病日に脳出血のため死亡した.7例中5例が無病生存中で,うち3例は5年以上生存している.深達度の浅い症例でもリンパ節転移の可能性があるので,治療には郭清を伴った食道切除術を中心とし,必要に応じて化学療法や放射線療法を加えることが妥当と考える.
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  • 亀井 文, 金平 永二, 谷田 孝, 中木 正文, 秀嶋 周
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1175-1179
    公開日: 2014/11/29
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    成人の鼠径ヘルニアに対して,メッシュを用いた腹腔鏡下修復術を2mm・5mm・2mmの創で6例の患者に施行したので,術式(TAPP-252と略記)と手術成績を報告する.対象は全例女性で,1-1型が1例2側,1-2型が5例であった.TAPP-252では,5種類の超細径器具(いずれも径2mmの硬性腹腔鏡・把持鉗子・電気メス・持針器・剪刃)を使用した.径2mmの腹腔鏡観察下では,5mmポートを有効に使用し,超音波凝固切開装置・タッカー・メッシュ・ガーゼ・縫合針の挿入が行えた.手術時間は平均53分(片側)で周術期の合併症は認めなかった.術後の整容性は全例で良好と考えられた.TAPP-252は最小の腹壁破壊で行うTAPP法であり,今後も適応を吟味しながら積極的に施行したい.
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症例
  • 大石 一行
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1180-1185
    公開日: 2014/11/29
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    症例は39歳男性で便潜血を契機に消化管ポリポーシスと診断され,顔面の疣贅状丘疹・歯肉の白色乳頭腫・甲状腺腫瘍を伴っていたため,Cowden病が疑われた.PTEN遺伝子解析でexon6 codon170にミスセンス変異を認め,Cowden病と診断した.Cowden病はPTEN遺伝子変異と過誤腫を特徴とする.悪性腫瘍を合併することから早期発見・早期治療が重要となるため,粘膜皮膚病変や消化管ポリポーシスに遭遇した際に本疾患を念頭に置くことが重要である.
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  • 新田 佳苗, 金木 昌弘, 清原 薫, 杉口 俊, 寺畑 信太郎
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1186-1192
    公開日: 2014/11/29
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    症例は46歳の閉経前女性.2010年7月頃より右乳房の腫瘤を自覚したが放置していた.2011年1月に同部位に疼痛を認め当科受診.視触診で右C領域に1.5cmの可動性良好な硬い腫瘤を触知し,マンモグラフィで同部位に非対称陰影を認めた.超音波検査で同部位に周辺組織の引き込みを伴う4mmと6mmの低エコー腫瘤を2個認めた.乳癌を疑い針生検を施行したが,病理検査で線維腫症を疑う所見であった.約1年の経過観察中に皮膚にえくぼ様所見や腫瘤の増大を認め,11月に乳房部分切除を施行した.病理結果は乳腺線維腫症であった.線維腫症は線維芽細胞の浸潤性増殖を伴う良性の腫瘍性疾患であり,触診や画像診断からは乳癌との鑑別が非常に困難である.治療は外科的切除が第一選択であるが,腫瘍切除後局所再発を起こすことがあるため,厳重な経過観察が必要である.非常に稀な乳腺線維腫症の1例を経験したので文献的考察を含め報告する.
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  • 山口 絢音, 露木 茂, 川口 展子, 有本 明
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1193-1197
    公開日: 2014/11/29
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    葉状腫瘍は乳房腫瘍中の0.5%以下と稀で,25%が悪性である.われわれは急速増大し,術後短期間に再発・転移した悪性葉状腫瘍の1例を経験した.
    症例は38歳女性.1カ月前から急速増大する左乳房腫瘤を自覚,皮膚自壊部から出血し当院受診,緊急入院となった.針生検で葉状腫瘍が疑われ,左乳房切除・植皮術を施行.病理診断は悪性葉状腫瘍であった.術後1カ月で局所再発,多発肺転移出現.症状緩和目的に再発腫瘍切除術・植皮術を施行し術後経過良好であったが,術後10日目のCTで肺転移増大・胸壁再発・骨転移指摘された.初回手術3カ月後,下肢麻痺を主訴に受診,骨転移による脊髄圧迫を認めた.放射線照射およびステロイドパルスも効果なく,再発巣・転移巣ともに増大.初回手術から5カ月後に永眠された.
    根治手術後短期間に再発をきたした悪性葉状腫瘍の1例を経験したので報告する.
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  • 吉岡 達也, 齋藤 崇宏, 蔦保 暁生, 武藤 潤, 山村 喜之, 大野 耕一
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1198-1201
    公開日: 2014/11/29
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    症例は75歳,女性.左乳房のしこりを自覚し近医穿刺吸引細胞診にて悪性の診断で当科紹介.左C領域に最大径30mm大の腫瘤,C'領域に最大径10mm大の腫瘤を触知し,C領域には皮膚所見あり.C領域腫瘤に対し針生検を施行し,浸潤癌,ER0%,PgR0%,HER2-と診断された.遠隔転移・腋窩リンパ節転移を疑う所見なく,トリプルネガティブ乳癌にて術前化学療法の方針とした.術前にDocetaxel療法,FEC100療法を各々4コースずつ施行した.臨床的治療効果はC領域腫瘤・C'領域腫瘤ともにPRで,左乳房切除およびセンチネルリンパ節生検術を施行した.病理組織学的にC領域腫瘤は乳管内成分の残存を認めるのみで治療効果grade3と判定,C'領域腫瘤は基質産生癌と診断され,治療効果grade0であった.比較的まれな組織型である乳腺基質産生癌に術前化学療法を施行した症例を経験したので報告する.
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  • 大木 宇希, 杉谷 一宏, 吉田 裕, 高橋 泰
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1202-1207
    公開日: 2014/11/29
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    症例1は48歳の女性.20年前より,アトピー性皮膚炎のため漢方薬を服用.主訴は腹痛・嘔吐.腹部単純X線・CTで右結腸付近に樹枝状の石灰化を認めた.大腸内視鏡検査では全結腸の粘膜が青銅色・浮腫状を呈し,管腔狭小化と潰瘍形成を認めた.症例2は65歳の女性.15年前より,更年期障害のため漢方薬を服用.主訴は腹痛.腹部単純X線・CTで右結腸付近に樹枝状の石灰化を認めた.大腸内視鏡検査では右半結腸にわずかな青銅色の変化と浮腫状の粘膜を認めた.症例1・2とも,組織診で特発性腸間膜静脈硬化症と診断された.症例1は腸閉塞症状を繰り返すため,3カ月後に手術を施行した.症例2は軽度の腹痛以外に症状がないため,経過観察中である.特発性腸間膜静脈硬化症は稀な疾患で,原因は不明であるが,漢方薬の長期服用が原因の一つとの報告もある.本症例も漢方薬を服用しており,漢方薬の長期服用が発症原因の一つである可能性が示唆された.
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  • 菱田 光洋, 竹田 伸, 杉本 博行, 小林 昌義, 古森 公浩, 小寺 泰弘
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1208-1212
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    症例は35歳,女性.両下肢の浮腫にて近医受診.タンパク尿も認め,CT検査・エコー検査を施行した.肝・下大静脈へ進展する右副腎腫瘍にて当院紹介となった.精査により,肝右葉・肝部~肝下部下大静脈への浸潤を認める右副腎癌の診断にて,経皮経肝的門脈塞栓術を施行後,右開胸開腹下下大静脈合併右副腎肝右葉尾状葉切除術を施行した.下大静脈はGoreTex graft(リング付き,直径2cm,長さ約10cm)にて再建した.病理組織学的に,下大静脈内腔より発生・増殖しており,免疫組織染色にてS-100・CD34・CD56陰性,αSMA・カルデスモン陽性にて,下大静脈原発平滑筋肉腫と診断した.経過良好で,術後2年6カ月経過し再発は認めていない.下大静脈原発の平滑筋肉腫は比較的稀な疾患であり,今回手術を施行した1例を経験したので報告する.
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  • 筒井 信浩, 二川 康郎, 金子 健二郎, 柴 浩明, 大木 隆生, 矢永 勝彦
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1213-1217
    公開日: 2014/11/29
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    症例は72歳の女性.弓部大動脈瘤に対して開胸手術予定であったが,術前に閉塞性黄疸を発症し当院紹介.胸腹部CT検査では大動脈遠位弓部に50×40mmの嚢状瘤を認め,下部胆管に造影効果を示す壁肥厚を認めた.腹部MRI検査では軽度の肝内胆管拡張を認め,腹部CTで認めた下部胆管の壁肥厚部位は,Diffusion weighted imageで信号上昇を認めた.以上より,弓部大動脈瘤・下部胆管癌と診断.弓部大動脈瘤は50mmの嚢状瘤で,手術適応であったため,弓部大動脈瘤に対してステントグラフト内挿術を先行させた.術後7日目に下部胆管癌に対して膵頭十二指腸切除術を施行した.ステントグラフト内挿術術後に発熱を認めたが,抗菌薬投与により軽快した.また,膵頭十二指腸切除術の術後経過に特記すべきことなく術後23日目に退院となった.切除適応のある悪性腫瘍症例に治療を要する動脈瘤が併存する場合,動脈瘤に対する,ステントグラフト内挿術の先行が有用と考えられた.
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  • 小柳津 毅, 井上 尚, 荒木 修, 千田 雅之
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1218-1222
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    症例は,64歳男性.咳嗽を主訴として当院に紹介された.胸部X線写真で右肺門陰影の拡大があり,胸部CTで右肺門部に長径2.7cmの境界明瞭な腫瘤病変を認めた.気管支鏡検査で可視範囲に異常所見を認めず,右肺上葉分岐部の超音波気管支鏡ガイド下針生検で大細胞癌または腺癌と診断された.FDG-PETでは右肺門部にのみ集積を認める他に異常集積はなく,原発性肺癌(cT0N1M0),または,原発不明癌肺門リンパ節転移の診断で手術となった.腫瘍は,右肺上下葉間に,臓側胸膜に覆われた表面平滑な白色の腫瘤として存在し,右肺上葉管状切除および肺動脈形成と縦隔リンパ節郭清を行った.組織所見と免疫染色の結果から,原発不明肺門リンパ節未分化癌と診断された.郭清された他のリンパ節に転移を認めなかった.術後補助化学療法を行った後,2年間原発癌を疑わせる病変は出現せず,また再発所見もなく経過している.
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  • 松本 倫, 矢野 文章, 坪井 一人, 石橋 由朗, 小村 伸朗, 矢永 勝彦
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1223-1229
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    症例は60歳台,女性.2007年8月,他院にて胃癌に対し幽門側胃切除+D2リンパ節郭清を施行されている.2012年3月頃より嚥下困難が出現し,アカラシアの疑いにて当院紹介となった.食道内圧検査で同期性収縮を認め,アカラシアの診断に矛盾しない所見であったが,食道造影検査にて通常の一次性食道アカラシアと比較して先細り像が長く,さらに胸部CT検査にて食道壁が肥厚しており,偽性アカラシアを強く疑った.そのため,開腹にて手術を施行した.横隔膜脚から下部食道にかけて瘢痕組織を認め,術中迅速病理診断にて低分化型腺癌が検出された.以上より,本症例は胃癌術後下部食道壁内転移により発症した偽性アカラシアと診断し,下部食道切除+残胃全摘を施行した.術後経過良好で第14病日に退院となった.術後10カ月が経過したが,嚥下困難は改善し,他院にて化学療法中である.
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  • 松井 俊大, 青柳 治彦, 長谷川 久美, 兼子 順, 前島 静顕
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1230-1237
    公開日: 2014/11/29
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    食道裂孔ヘルニアは頻度が高い疾患であるが,胃軸捻転を伴い縦隔内にほぼ全胃が脱出した,いわゆる“upside down stomach”(以下UDSと略記)はまれである.今回,開腹手術により慢性呼吸不全の改善を認めたUDSの1例を経験したので報告する.
    症例は65歳,男性.既往歴に慢性呼吸不全があり,在宅酸素を導入していた.吐血で当科緊急入院となった.胸腹部造影CTで縦隔内に軸捻転を伴う広範な胃の脱出を認めた.上部消化管内視鏡検査では巨大食道裂孔ヘルニアを認め,UDSと診断した.内視鏡的整復を試みたが整復できず,開腹手術を選択した.手術は胃の還納・食道裂孔の補強・噴門形成術を施行した.術後は呼吸機能が改善し,在宅酸素は不要となった.
    近年,UDSに対する報告が散見されるが,現在までの本邦報告例は32例とまれな疾患である.若干の文献的考察を加えて報告した.
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  • 豊川 貴弘, 六車 一哉, 田中 浩明, 久保 尚士, 大平 雅一, 平川 弘聖
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1238-1243
    公開日: 2014/11/29
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    症例は71歳の女性で,胃癌に対する開腹幽門側胃切除術,Roux-en-Y再建(Roux-en-Y脚は21mm径のCircular staplerを用いた端側吻合)の4カ月後に,腹痛・嘔気・食欲不振を主訴に来院した.腹部CTでRoux-Y脚吻合部のstaplerから十二指腸断端までの輸入脚が著明に拡張していたため,吻合部狭窄による輸入脚閉塞症と診断した.緊急の上部消化管内視鏡検査を施行したところ,門歯から60cmの空腸にpin holeの狭窄部位を認めた.バルーン拡張術を施行すると,輸入脚より大量の胆汁の流出を認めた.術後経過は良好で,術後第9病日に退院した.Roux-Y脚の吻合部狭窄による輸入脚閉塞症に対して,内視鏡的バルーン拡張術は非侵襲的で有用な治療法と考えられた.
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  • 湯浅 康弘, 沖津 宏, 蔵本 俊輔, 松本 大資, 富林 敦司, 後藤 正和
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1244-1249
    公開日: 2014/11/29
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    症例は71歳の女性で,2006年に不安定狭心症のため冠動脈バイパス術を行った.術前CTで胃小弯側に5cm大の充実性腫瘍を認め,外科紹介となった.消化管内視鏡,透視では胃の粘膜下腫瘍の診断でGISTを疑った.超音波内視鏡,血管撮影,MRI等は同意が得られなかった.腹腔鏡下に観察すると,小網内に浸潤傾向のない可動性良好な腫瘤を認め,肉眼上胃と明らかな連続性はないものの近接していた.播種を危惧し7cmの小開腹をおき胃を部分切除し腫瘍を切除した.病理組織検査でも腫瘍は胃との連続性はなく紡錘形細胞からなり,免疫組織染色でc-kit・CD34陽性,S-100,DesminおよびSMAは陰性であった.アルコール固定標本より直接シークエンスを行い,exon11の3塩基欠失によるcodon579の1アミノ酸が欠損した小網原発GISTと診断した.術後経過は良好で,72カ月以上無再発生存中である.
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  • 柚木 茂, 梅岡 達生, 木村 真士, 上平 裕樹, 河田 直海, 渡邊 良平
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1250-1254
    公開日: 2014/11/29
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    症例は59歳女性で,貧血を主訴に来院した.上腹部を中心に腫瘤を触知し,腹部造影CTで左上腹部に胃壁に連続する巨大な腫瘤を認めた.胃内視鏡で粘膜に著変はなく壁外からの圧迫を認めた.胃腸透視で消化管の通過障害は認めなかった.手術を施行すると,腫瘍は大網が炎症性に癒着し,胃壁と連続していた.胃部分切除により,腫瘍を摘出した.摘出した腫瘍は大きさが22×22×13cmで重量は3.6kgであった.病理組織の結果,高リスク群の巨大嚢胞を伴うgasrointestinal stromal tumor(以下GIST)と診断された.術後イマチニブの服用を勧めたが患者の同意は得られず,外来で経過観察しているが,5年11カ月後再発転移を認めていない.巨大嚢胞性GISTでイマチニブを投与せずに長期に再発・転移がない,興味深い症例と考え報告する.
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  • 蔵前 太郎, 三橋 洋介, 大内 知之, 木ノ下 義宏, 久須美 貴哉, 武内 利直, 西田 靖仙, 細川 正夫
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1255-1260
    公開日: 2014/11/29
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    74歳,男性.平成17年に当院で胃粘膜下腫瘍を指摘され経過観察していたが,増大傾向を認めた.平成21年9月に腹腔鏡下胃部分切除を施行した.組織学的検討では神経鞘腫の診断であった.切除断端は陰性であった.術後定期的に経過観察していたが,平成23年11月の上部消化管内視鏡にて前回部分切除部に約8cmの粘膜下腫瘍を認めた.腫瘍は膵体部・空腸・横行結腸間膜に浸潤しており,平成24年12月に胃全摘,膵体尾部・脾臓合併切除,空腸部分切除および横行結腸部分切除を施行した.免疫組織染色による検討によりデスモイド腫瘍と診断された.その後,外来で定期観察中であるが,現在まで再発を認めていない.デスモイド腫瘍は外傷や手術後に発生することがあり,良性の粘膜下腫瘍術後でも定期的な経過観察は必要性が示唆された.
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  • 松永 壮人, 仲田 興平, 永井 英司, 山田 大輔, 大内田 研宙, 田中 雅夫
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1261-1264
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    症例は88歳の男性で,5年前の進行胃癌に対する開腹胃全摘術後の外来経過観察中,2012年6月に腹痛にて救急搬送となった.来院時腹膜刺激症状を伴い,CTで腹水貯留・小腸全体の拡張・closed loop signを認め,エコーガイド下の腹水穿刺で乳糜腹水を認めた.絞扼性イレウスの診断で,緊急開腹術を施行した.開腹所見では,乳白色の腹水を認め,Y脚腸間膜欠損部にほぼ全小腸が入り込む内ヘルニアであり,腸間膜は捻転していた.小腸は開腹時暗赤色であったが,捻転解除後,次第に色調が回復,蠕動も認められたため,腸管切除を行わず,手術を終了した.術後経過は良好であった.本邦における成人の乳糜腹水を伴った術後の絞扼性イレウスは医中誌で検索しえた限り本症例を含め8例の報告とまれである.いずれの症例でも腸管切除は免れており,乳糜腹水を認める症例では早期の手術が望まれるが,腸管は温存できる可能性が高いと考えられる.
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  • 小南 裕明, 川崎 健太郎, 上野 公彦, 中村 吉貴, 佐溝 政広, 山本 正博
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1265-1270
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    症例は81歳の女性で,上部消化管出血による出血性ショックから多臓器不全を発症し集中治療を受けた.全身状態が改善した後に施行された上部消化管内視鏡検査で幽門部に隆起性病変の存在が確認され,生検でgroupVが検出された.各種画像検査で胃の軸捻転と胸腔内への逸脱が確認されたためにupside down stomachに併発した早期胃癌と診断され,腹腔鏡下に幽門側胃切除術を行った.術後に逆流性食道炎の発症が懸念されたため再建はRoux-en-Y法が選択された.最終病理組織診断はtype0-IIc+IIa pT1apN0M0,ly0,v0,Stage IAだった.Upside down stomachを伴う早期胃癌に対しても腹腔鏡下手術は有用な選択肢の一つであると考えられた.
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  • 大内 晶, 浅野 昌彦, 青野 景也, 渡邊 哲也, 加藤 雄大
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1271-1275
    公開日: 2014/11/29
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    症例は69歳の男性.7年前に胃癌に対して噴門側胃切除・空腸間置再建施行後,採血で貧血を認めたため上部消化管造影を行ったところ残胃前壁に2cmの辺縁が滑らかな隆起性病変を認めた.上部消化管内視鏡では同部位に中心陥凹を伴う粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認め,陥凹部および辺縁からの生検はGroup 1であった.胃局所切除術を施行したところ病理組織学的検査所見は高分化腺癌であり,粘膜深部から粘膜下層にかけて粘膜筋板の陥凹と断裂を伴う内反性増殖を認めた.粘膜下腫瘍様の形態を呈する胃癌の多くはリンパ球浸潤性髄様癌・充実性増殖癌・限局繊維化癌・異所性胃腺癌・粘液癌などであり,内反性増殖から粘膜下腫瘍様の形態を呈した症例はまれである.本症例のように非上皮性腫瘍との鑑別が問題となる胃癌も存在するため,精査が困難な胃の粘膜下腫瘍様病変に対しては外科的切除による確定診断も考慮すべきである.
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  • 小丹枝 裕二, 皆川 のぞみ, 本間 重紀, 中西 一彰, 数井 啓蔵, 服部 淳夫
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1276-1281
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    胃重複症は稀な先天性疾患であり,重複胃に発生した胃癌に関する報告はさらに稀である.今回,直腸癌術後に発見された胃壁の嚢胞性腫瘤が重複胃であり,内部に胃癌を伴っていた1例を経験した.症例は63歳の女性.2年前に他院で直腸癌に対して低位前方切除術を施行.病理結果はSI(膀胱),N2,M0,Stage IIIbであったが,術後補助化学療法は施行せずに経過観察していた.術後1年目の検査で胃体上部大弯に嚢胞性腫瘤を認め,セカンドオピニオン目的で当科受診.GIST・神経原生腫瘍・直腸癌の転移などを鑑別診断とし,胃部分切除術を施行した.病理検査にて重複胃に発生した胃癌Stage IBと診断された.重複胃に発生した胃癌の報告は本症例以外では13例のみであり,非常に稀である.当科で経験した重複胃に発生した胃癌の1例を,文献的考察を交えて報告した.
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  • 久保 秀正, 下村 克己, 池田 純, 糸川 嘉樹, 谷口 史洋, 塩飽 保博
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1282-1286
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    症例:69歳,男性.30歳時に十二指腸潰瘍に対し広範胃切除,Billroth I法(以下B-I)再建の既往がある.咽頭部違和感を主訴に近医受診し,上部消化管内視鏡で胃十二指腸吻合部の肛門側に8mm大の潰瘍性病変を認めた.生検で癌を否定できないという結果であった.確定診断に至らなかったが,十分なインフォームドコンセントを得た上で外科的切除を行う方針とした.深達度予測は粘膜内であり局所切除で十分と考えた.手術:吻合部を含む胃十二指腸部分切除を施行し,Roux-en-Y(以下R-Y)再建を行った.病理検査結果は深達度m,高分化型管状腺癌であり早期十二指腸癌と診断した.考察:十二指腸癌は稀な腫瘍であり,治療方針は確立されていない.また,胃切除後の十二指腸癌切除例の報告はさらに少ない.今回,胃切除・B-I再建後に十二指腸癌を早期発見し局所切除で根治切除しえた症例を経験したので文献的考察を加え報告する.
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  • 新宅谷 隆太, 坂部 龍太郎, 長谷 諭, 田原 浩, 布袋 裕士, 前田 佳之
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1287-1291
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    腸結核が穿孔することはまれであり,高齢者の場合緊急手術を施行しても,全身状態の悪化から救命は困難といわれている.救命しえた高齢者の腸結核穿孔の1例を経験したので報告する.症例は86歳女性.腹痛と発熱を主訴に来院し,腹膜刺激症状を認めた.CT検査では腹水と腹腔内遊離ガス像を認め,穿孔性腹膜炎と診断した.また,両肺の粒状影を認めた.同日,緊急手術を施行した.開腹するとTreitz靱帯から290cm・320cmの回腸の2箇所に穿孔を認め,腹膜炎の状態であった.回腸部分切除,端々吻合,経腸栄養目的の空腸瘻造設,腹腔ドレナージを行い手術を終了した.切除標本では2箇所の穿孔部の他に1箇所の潰瘍形成を認め,病理組織学的検査で腸結核による腸管穿孔および潰瘍形成と診断された.術翌日に活動性肺結核と診断され抗結核治療を開始した.全身状態不良であったが,抗結核治療・栄養コントロールにより救命しえた.
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  • 林 昌俊, 栃井 航也, 小久保 健太郎, 高橋 啓, 松本 光善
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1292-1295
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    症例は85歳,女性.平成24年6月,大腿ヘルニア嵌頓に対し,腹腔鏡補助下に嵌頓小腸を観察しつつ,大腿法でmesh plugを用い修復した.嵌頓小腸は整復時暗赤色調であったが,色調は改善傾向にあり腸管切除は行わなかった.合併症なく第11病日に退院したが,術後32病日に腹痛と嘔吐で当院救急外来に受診,イレウスと診断し入院した.絶食にて一旦イレウス症状は改善したが,経口摂取開始後再度イレウスとなった.イレウス管を挿入し造影すると回腸で完全閉塞していた.術後の癒着,または嵌頓部の遅発性狭窄を疑い鏡視下に手術を施行した.前回手術時に嵌頓していたと考えられる小腸が肥厚し狭窄していた.肥厚した小腸を体外で切除し端々吻合した.摘出標本では小腸に2cmの全周性肥厚を認めた.病理検査では粘膜の脱落,線維性肥厚を認めた.整復後は虚血性小腸狭窄を念頭に置き,少なくとも数カ月間は経過観察が必要と考えられた.
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  • 山口 龍志郎, 中川 裕司, 佐藤 宗勝, 小野 陸
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1296-1300
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    症例は47歳,男性.前立腺肥大の経過観察中,偶発的に発見された小腸腫瘍に対して小腸切除術を施行.病理組織学的所見にてGISTと診断された.術後5年5カ月に肝S8に腫瘍を認め肝部分切除術施行.病理組織学的所見にてGISTの肝転移と診断.術後6年4カ月で肝S5に残肝再発を認め,経皮的ラジオ波焼灼術施行.その後補助化学療法としてimatinib400mg投与を開始し2年の無再発期間を得たが,肺炎を併発し中止.術後10年0カ月で肝床部に腹腔内再発を認め,腫瘍切除術施行した.再度術後補助化学療法としてimatinib300mg投与を開始し2年内服したが肺炎となり中止.術後12年6カ月で肝転移,腹膜播種性転移を認めimatinib400mgを開始したが転移巣の増大を認め7カ月で中止しsunitinib療法を開始した.現在初回手術より13年8カ月が経過したが治療継続中である.
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  • 田上 創一, 町田 水穂, 佐近 雅宏, 関 仁誌, 林 賢, 宗像 康博
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1301-1307
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    患者は手術歴のない69歳,男性.半年前から続く上腹部痛・背部痛と嘔吐を主訴に受診した.腹部CT検査でイレウスと診断,イレウス管留置して減圧を行った.内ヘルニアの可能性も示唆されたため,準緊急で腹腔鏡下手術を行った.索状物や内ヘルニアは認めず,Treitz靱帯から30cmの空腸に漿膜面に露出した腫瘍病変を認めた.周囲の腸間膜を含めた空腸部分切除を行った.病理診断では高分化腺癌で,深達度ss,n0,組織学的病期はStage IIであった.原発性小腸癌は稀な疾患である.初発症状は様々で非特異的なうえ,診断方法や治療法に一定の見解がない.イレウスで発症した小腸癌に対して,診断および治療に腹腔鏡が有用であったので報告する.
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  • 河毛 利顕, 田原 浩, 前田 佳之, 長谷 諭, 布袋 裕士, 佐々木 なおみ
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1308-1315
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    空腸穿孔をきたしたII型腸管症関連T細胞リンパ腫の2例を経験した.症例1は71歳,男性.腹痛を主訴に当院救急部を受診した.当科転科後の諸検査の結果,上部消化管穿孔の診断で緊急手術を施行した.空腸に穿孔を認め,同部を含め10cm程度切除した.症例2は84歳,男性.下腹部痛のため,近医受診後急性腹症の疑いで当科に紹介された.諸検査の結果,上部消化管穿孔の診断で緊急手術を施行した.空腸に穿孔を認め,同部を含め切除した.病理組織所見は2症例ともに病変部では粘膜上皮は脱落し,粘膜固有層から漿膜下層に中型のリンパ腫細胞がびまん性に増生していた.免疫染色では腫瘍細胞はCD3・CD8・CD56・TIA-1・granzyme Bが陽性であり,II型腸管症関連T細胞リンパ腫と診断された.Ki-67LIは90%以上と高率であった.なお,症例1ではCD20が腫瘍細胞に弱陽性であった.若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 瀬尾 雄樹, 尾之内 誠基, 藤崎 眞人
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1316-1319
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    症例は23歳,女性.統合失調症のため当院精神神経科に入院中,夜間に突然の腹痛・発熱を認め,翌朝外科依頼となった.腹部全体に圧痛および腹膜刺激症状を認めた.腹部CTで腹水と腸間膜内のfree airおよび小腸に線状の高吸収域を認め,異物による消化管穿孔に伴う腹膜炎と診断し,緊急手術を施行した.開腹所見で混濁した腹水を中等量認めた.回腸末端より約40cm口側の回腸に硬い異物を触れ,腸間膜側に穿孔を認め,穿孔部腸管の切除吻合,腹腔洗浄ドレナージを施行した.切除腸管内の異物は5cm大のプラスチック製ふりかけ袋が4つ折りに折られたもので,袋の角が腸管粘膜に刺入し潰瘍を形成していた.消化管穿孔の原因となる異物として魚骨や義歯などの報告が多いが,ふりかけ袋による穿孔は過去に報告例が見当たらなかった.精神疾患患者の急性腹症の診察には異物による消化管穿孔を念頭に置く必要があり,診断にはCTが有用である.
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  • 三枝 晋, 大井 正貴, 今岡 裕基, 志村 匡信, 井上 靖浩, 楠 正人
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1320-1323
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    症例は50歳,男性.貧血精査のため,カプセル内視鏡(CE)目的に当院紹介となった.CEの回盲部への到達は確認出来なかったが,観察範囲に多発小腸潰瘍を認めた.5カ月後,貧血の再発を認めたため,再紹介となった.再診時,腹部症状は認めなかった.腹部X線写真・単純CT上,骨盤腔内小腸にCE滞留を認めた.1週間後の腹部X線写真においても,同部位でのCE滞留を認めたため,腹腔鏡下手術を施行した.CEおよび病変部位は,腹腔鏡下に容易に同定可能であった.回腸末端より約50cmの回腸にCEおよびfat wrapping signを伴う狭窄を認めた.その他の小腸に異常は認めなかった.狭窄部を含む約30cmの小腸を切除し,機能的端々吻合を行った.病理学的所見は,非特異性単純潰瘍であった.術後経過は良好であり,貧血の進行を認めていない.回腸狭窄によるCE滞留例に対し,腹腔鏡下手術を施行したので報告する.
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  • 廣吉 淳子, 皆川 正己, 冨樫 順一, 和久井 紀貴, 長瀬 雅則, 竹田 泰
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1324-1329
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    感染性腸炎として治療されていた腸回転異常症を伴う虫垂炎の1例を報告する.症例は45歳男性.臍周囲の腹痛で2度の入院歴があり,今回も同様の腹痛で入院となった.腹部CT検査で上腸間膜動脈(SMA)と上腸間膜静脈(SMV)の位置が逆転しており,SMAの背側に十二指腸を認めず,腸回転異常症と診断した.また,骨盤内に腫大した虫垂を認め,急性虫垂炎と診断し,下腹部正中小切開で虫垂切除術を施行した.過去の腹部CT検査では腸回転異常症と診断されず,感染性腸炎と診断されて治療を受けた経緯がある.腹痛の診断を行う際には,腸回転異常も念頭に置く必要があると考えられた.
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  • 藤井 圭, 大薗 慶吾, 小原井 朋成, 成富 元, 廣田 伊千夫, 江口 徹
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1330-1334
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    虫垂炎を契機とし,鼠径ヘルニアを介して陰嚢膿瘍を併発した極めて稀な症例を経験したので報告する.症例は31歳の男性で右陰嚢膨隆・陰嚢痛を主訴とし,当院泌尿器科を受診した.右陰嚢は小児頭大に腫大し,発赤・圧痛・局所熱感を伴っていた.腹部CTでは回盲部付近に15mmの石灰化物と膿瘍形成を指摘,さらに右鼠径ヘルニアと陰嚢膿瘍を認め,穿孔性虫垂炎による腹腔内炎症が右鼠径ヘルニアを介して陰嚢に波及した状態と診断し緊急手術を行った.回盲部には膿瘍が形成され,回腸末端と右側横行結腸が強固に癒着していた.手術は同部の腸管を一括切除,吻合し,十分に洗浄した.右鼠径ヘルニアに対しては鼠径管を開放し大網を腹腔内に還納後,ヘルニア嚢を高位結紮しiliopubic tract repairを行った.陰嚢膿瘍に対しては膿瘍壁を切開・開放しドレーンを留置した.術後経過は良好であり第25病日に軽快退院となった.
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  • 中本 健太郎, 金 友英, 荻澤 佳奈, 櫻井 康弘, 西森 武雄
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1335-1340
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    虫垂原発の良性腺腫は非常にまれな疾患であり,術前に診断可能であった報告は少ない.今回,われわれは大腸内視鏡検査・生検にて術前診断可能であった虫垂管状腺腫の1例を経験したため,若干の文献的考察を加え報告する.症例は61歳,男性.当院消化器内科にて大腸ポリープ切除後のフォローアップのため定期的に大腸内視鏡検査を受けていた.今回,大腸内視鏡検査にて虫垂に隆起性病変を認め,生検を行ったところ管状腺腫と診断されたため,当科で腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.虫垂内に7×5mm大の亜有茎性腫瘍を認め,病理組織学的検査にて虫垂管状腺腫と診断された.術後経過は良好で術後7日目に退院となった.近年は虫垂切除術における腹腔鏡下手術の報告例が増加しており,虫垂原発の良性腺腫はまれな疾患であるが,術前に診断可能な症例においては腹腔鏡下手術の良い適応になると考えられる.
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  • 高橋 遼, 山崎 俊幸, 岩谷 昭, 登内 晶子, 大谷 哲也, 片柳 憲雄
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1341-1345
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    症例は70歳台,男性.左下腹部痛を自覚し当院受診となった.腹部エコー検査にて下腹部正中に腫瘤を認め,CT検査にて虫垂先端に連続する90mm大の嚢胞性腫瘤を認めた.血液検査上CEA 28.9ng/dlと上昇しており虫垂粘液嚢腫を疑い開腹手術を施行した.術中所見では膀胱上に手拳大の腫瘤と一部粘液の漏出を認めた.S状結腸と強く癒着し浸潤も疑われたことから,虫垂粘液嚢胞腺癌を疑い回盲部切除・D3郭清およびS状結腸部分切除を併施し腫瘍を摘出した.病理結果は虫垂粘液嚢胞腺腫,S状結腸との癒着は漏出した粘液による炎症性の癒着であった.術後経過異常なくCEAも4.8と正常化を認めた.他臓器との癒着を伴い合併切除が必要とされた良性の虫垂粘液嚢腫は本邦において過去30年間に5例のみの報告であることから,まれな病態と考えられ若干の文献的考察を加え報告した.
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  • 江原 千東, 山崎 慎太郎, 三原 良明, 舟田 知也, 東風 貢, 高山 忠利
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1346-1350
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    移動盲腸は,胎生期に盲腸が後腹膜に固定せず高度の移動性を保つ発生異常である.便通異常が多いが,固定部を起点とした閉塞や捻転による絞扼の報告を散見する.しかし,器質的疾患のない腸管の重積の報告は稀である.
    27歳男性,下血を主訴に受診,右下腹部に有圧痛の腫瘤を触知,腹部超音波検査上,腫瘤はtarget signを呈し腸重積症の診断で入院.造影CT検査上,上行結腸肝弯曲部まで嵌入した腸管と高度に拡張する口側小腸を認めた.回盲部の軟部腫瘍を先進部とする腸重積症と診断し緊急手術施行.重積部は自然整復され,嵌入腸管の鬱血と発赤を認めた.回盲部から上行結腸肝弯曲部まで後腹膜に固定されず,高度の移動性を認めた.腸管に腫瘤性病変を認めず,血流が保たれていたため,虫垂切除と遊離部の後腹膜固定術を施行した.経過良好で第11病日に退院以降再燃を認めず.移動盲腸は成人特発性腸重積症のうち,鑑別を要する疾患である.
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  • 高橋 玄, 河合 雅也, 杉本 起一, 小島 豊, 奥澤 淳司, 坂本 一博
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1351-1354
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    症例は53歳,女性.便潜血検査で陽性となり大腸内視鏡検査を施行し,上行結腸癌の診断となった.術前の注腸造影検査では上行結腸にapple core signを認め,また,腸管は全体に腹腔内左側に偏位していた.腹部造影CT検査では,上行結腸は正中に位置しており,SMAがSMVの右側に存在する,いわゆるSMV rotation signを示していた.以上より,腸回転異常症を伴った上行結腸癌の診断で腹腔鏡下手術を施行した.手術所見では,上行結腸は後腹膜に固定されておらず,右尿管や右卵巣動静脈が露出していた.小開腹創から腸管を引き出し,反時計回りに180°回転させたところ,捻れは解消され,右結腸切除術(D3)を施行した.腸回転異常症を伴った大腸癌に対する腹腔鏡手術の報告は比較的まれであり,文献的考察を含め報告する.
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  • 西村 充孝, 赤本 伸太郎, 山本 尚樹, 藤原 理朗, 岡野 圭一, 鈴木 康之
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1355-1359
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    患者は56歳,男性.左上下肢の筋力低下を自覚し近医受診.右側頭葉に腫瘍を指摘され当院脳外科に入院となった.入院後,症状が増悪し緊急開頭腫瘍摘出術が施行された.腫瘍は全摘出され,病理診断で転移性脳腫瘍と診断された.原発巣を検索すると,横行結腸癌が確認され,PETで胸腰椎転移も疑われたためIRIS療法を開始した.しかし,患者自己判断により5カ月で中止された.1年6カ月後,原発巣増大による消化管狭窄症状を認め,腹腔鏡補助下結腸部分切除術を施行した.病理結果は,低分化型腺癌,SI(大網),ly1,v2,N0の所見であった.術後化学療法はS-1内服以外の同意が得られず,S-1内服を1年間継続した.以後,初診から7年2カ月を経た現在も無再発生存中である.大腸癌の脳転移は肝・肺など他臓器転移を合併していることが多く予後は不良である.今回,脳転移で発見され長期生存中の横行結腸癌の1例を経験したので報告する.
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  • 向山 順子, 多田羅 敬, 西沢 祐輔, 大村 典子, 辰巳 嘉章, 橘 史朗
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1360-1364
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    症例は32歳,女性.妊娠歴に特記すべき異常はない.妊娠20週頃より時折腹痛を自覚.妊娠25週5日に10日間排便がなく,腹痛が増強したために当院救急外来を受診.腹部X線写真でS状結腸はガス貯留により著明に拡張し,coffe bean signを認めた.S状結腸軸捻の診断にて経肛門的にイレウス管を挿入し,翌日には結腸内ガスの減少と腹部膨満感の改善認めた.しかし,以降食事を再開すると軸捻が再燃し,計6回の経肛門的イレウス管挿入を必要とした.正期出産まで保存的加療を続けるのは困難であり,胎児の発育を待ち,妊娠31週3日に帝王切開術とS状結腸切除術を施行した.術後経過は母児ともに良好である.
    妊娠中のS状結腸軸捻の合併は比較的稀であるが,診断が遅れると母児ともに生命の危険が生じる病態である.妊娠中の本症に遭遇した時は母児ともに安全を確保した適切な治療選択が求められる.
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  • 小山 良太, 河島 秀昭, 吉田 信, 高梨 節二, 石後岡 正弘, 松毛 真一
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1365-1369
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,男性.2カ月前より黒色便あり.2日前より嘔吐・下痢を認めたため前医受診し,血液検査で急性腎不全と炎症反応亢進を認め,同日当院に搬送となった.来院時貧血と高K血症,これに伴う心電図異常あり,緊急で血液透析を施行され入院となった.入院時より左鼠径部に巨大なヘルニアを認めていたが,第7病日に腹痛増悪と同部位に圧痛出現したためCT施行したところヘルニア嚢内での結腸穿孔の所見を認めた.術中所見で嵌頓腸管にS状結腸癌および口側の結腸穿孔を認め,鼠径部切開によるヘルニア根治術と下腹部正中切開の追加によるHartmann手術を施行した.ヘルニア嚢内で穿孔をきたした結腸癌の症例は特異な病態であり,本邦では過去に報告例がない.若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 岡野 美々, 宮崎 正二郎, 向後 正幸, 杉木 孝章, 大塚 亮, 糟谷 忍
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1370-1375
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,女性.下腹部痛および排便時下血を主訴に当院を受診.大腸内視鏡検査にてS状結腸癌と診断され,S状結腸切除術を施行した.病理組織診断では明瞭な微小乳頭状形態を呈するmicropapillary carcinoma成分が腫瘍全体の約8割を占め,残りの約2割が中分化型腺癌であり,軽度のリンパ管侵襲を認めた.他臓器由来の癌と同様に大腸のmicropapillary carcinomaは予後不良であると報告されている.その頻度は少なく,文献的考察を含めて報告する.
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  • 鍋谷 雅史
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1376-1380
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    症例は86歳,女性.以前より有茎性胃腫瘍を指摘されていた.腹痛・嘔吐にて近医を受診し,上部消化管内視鏡検査にてball valve syndrome(以下BVS)を認め,内視鏡的に整復された.しかし,再度同じ状態となり内視鏡的整復が困難であったため,手術目的で当院に紹介となり入院.入院4日目に突然の腹痛が出現し,ショック状態となったため緊急開腹手術を行った.腹腔内は胆汁で黄染しており,胆嚢底部に径7mmほどの穿孔を認めたが胆石は認めなかった.また,十二指腸に脱出した胃腫瘍は用手的に胃内に還納した後,胃を切開し,腫瘍切除術を行った.術後,徐々に腎機能障害が進行したため血液透析目的で転院し,転院先にて術後58日目に永眠された.BVSに対する手術待機中に胆嚢穿孔をきたした稀な症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
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  • 河内 雅年, 福田 三郎, 石崎 康代, 先本 秀人, 江藤 高陽
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1381-1385
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    症例は43歳,男性,交通事故で腹部を強打し当院救急外来に搬送された.造影CTで肝実質への造影剤漏出像を認め,活動性の出血を確認した.その他の腹腔内臓器に損傷や,胸腔内に異常所見は認めなかった.外傷性肝損傷(IIIb型)と診断し,輸液でバイタルサインが安定していたことから,肝動脈塞栓術を施行.これより,出血はコントロールされ状態は安定していた.しかし,経口摂取開始後より,腹水の増加による腹部膨満,炎症反応の悪化を認めた.腹水穿刺にて胆汁混じりの混濁した腹水を認め,遅発性の胆汁性腹膜炎と考えられた.塞栓術後47日目に肝切除,腹腔ドレナージを行った.術後経過は良好で,術後34日目退院となった.IVRの進歩に伴って外傷性肝損傷に対して肝動脈塞栓術を行う機会が多くなったが,急性期出血に対する止血により救命しえても,胆管損傷による遅発性の胆汁性腹膜炎の存在も留意すべきと考えられた.
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  • 宗岡 悠介, 谷 達夫, 内藤 哲也, 皆川 昌広, 長谷川 潤, 島影 尚弘
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1386-1391
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    胆嚢・総胆管・拡張胆管内結石症を契機に発見された,膵内胆管の憩室型胆道拡張症に対して,手術を施行した1例を報告する.
    症例は68歳,男性.全身倦怠感・右季肋部痛を自覚し,血液検査で肝胆道系酵素値の上昇を指摘され,精査の結果,胆嚢・総胆管・拡張胆管内結石症を伴った膵内胆管の憩室型(戸谷分類II型)胆道拡張症と診断し,憩室を含めた拡張胆管切除術・胆嚢摘出術を施行した.術後経過は良好で,これまでに術後発癌や胆道再建に伴う合併症を認めていない.
    憩室型胆道拡張症は非常に稀な疾患で,治療法として憩室を含む胆管切除が推奨されているが,膵内憩室切除の報告例は極めて少ない.今回われわれは,バイポーラ・フォーセプスを用いた繊細な膵内胆管剥離に加え,拡張胆管を開放し内腔を確認することで,膵内胆管を膵管合流部まで確実に剥離同定することが可能となり,膵内憩室を安全に切除しえた.
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  • 谷 博樹, 渕野 泰秀, 富安 孝成, 岩永 真一, 城崎 洋
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1392-1401
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,女性.主訴は心窩部痛と発熱で,肝機能障害と炎症反応がみられ,内視鏡で乳頭部腫瘍による急性胆道炎と診断した.造影CTを行うと肝内に造影早期相で辺縁がリング状増強を示す低吸収性腫瘤が多発性に認められた.これら肝腫瘤は,USでは辺縁低エコー帯を伴う低エコー性腫瘤として,造影MRIは早期相で辺縁がリング状増強を示し,肝細胞相で低信号となり,転移性腫瘍の可能性が高いと考えた.FDG-PETは肝腫瘤に集積がなく,経過観察して肝腫瘤が消失したため,肝膿瘍と判断した.開腹所見も肝転移はなく治癒切除に至り,術後2年を経過し再発徴候はない.乳頭部癌は他の胆道癌よりも肝膿瘍を伴う頻度が高く,転移性腫瘍との鑑別診断において特に注意を要する.FDG-PETは転移と膿瘍の鑑別に有用であった.診断が困難な場合は,慎重な経過観察を行い短期間で再検することが重要と考えた.
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  • 阪本 卓也, 富丸 慶人, 小林 省吾, 土岐 祐一郎, 森 正樹, 永野 浩昭
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1402-1406
    公開日: 2014/11/29
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    症例は64歳,女性.2000年に先天性胆道拡張症に対して総胆管嚢腫切除,胆嚢摘出,胆道再建術(Roux-en Y再建)を施行された.術後は年に1回の画像検査を行っていたが,2013年1月のMRI検査で肝門部腫瘤を指摘され,当院を紹介された.腹部造影CT検査で肝門部に長径55mm大の腫瘍を認めた.左葉側は左肝管まで,右葉側は前後区域枝の分岐部まで腫瘍進展を認め,肝門部胆管癌(T2N0M(-) Stage II)と診断し,同年4月に肝右葉切除・胆道再々建術を施行した.術中超音波検査で腫瘍は肝門部から右肝管にかけて存在したため,胆管は左肝管の末梢側で切離可能で,術中迅速病理検査による胆管断端は陰性であった.術後病理診断では,pT2N0M(-) pStage IIであった.しばしば,先天性胆道拡張症では分流手術後の胆管癌の発生が問題となるため,胆道癌発生に留意した長期間の経過観察が重要であると考えられた.
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  • 佐藤 護, 山本 宏, 貝沼 修, 趙 明浩, 柳橋 浩男, 池部 大, 伊丹 真紀子
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1407-1411
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    近年,早期乳頭部癌を含めた乳頭部腫瘍に対して縮小手術が行われている.今回,乳頭部癌に対して経十二指腸乳頭部切除術を施行,十二指腸切開部に着床性再発(以下,implantation)を疑わせる再発をきたし,膵頭十二指腸切除術を施行した1例を経験したので報告する.
    症例は65歳の女性,腹部不快感を主訴に来院.精査の結果,異型乳頭腺腫のため経十二指腸乳頭部切除術を施行し,病理組織学的診断は乳頭部癌であった.術後3年半の経過観察中,上部消化管内視鏡検査で乳頭部対側に20mm大のSMT様病変を認め生検の結果,乳頭状腺癌であった.前回手術時の着床性転移による再発を疑い,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的診断はmucinous adenocarcinomaであり,稀ではあるが,初回手術によるimplantationによる再発が強く疑われたため報告する.
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  • 松井 俊樹, 加藤 弘幸, 湯浅 浩行, 林 昭伸
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1412-1417
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    症例は26歳,男性.平成25年9月下旬,入院前夜より間欠的な上腹部痛が出現し,症状が増強したため,翌朝当院救急外来を受診した.腹部全体に筋性防御を認め,腹部CTでは大量の腹水および脾臓と連続する12×12cm大の緊満感のない不整形の嚢胞を認めた.エコー下に腹水穿刺を行ったが,その生化学的性状から消化管穿孔は否定的と考えられ,巨大脾嚢胞の自然破裂と診断した.入院後に左下腹部から腹腔内ドレナージを行い,4,600mlの茶色褐・混濁した排液の流出を認め,翌日には腹痛はほぼ改善した.全身状態の改善を図った後,入院10日目に腹腔鏡下天蓋切除術を施行した.術後経過は良好で術後11日目に退院となった.現在術後4カ月経過しているが再発を認めていない.脾嚢胞の破裂に関しては,現在までに14例の報告があるが,ドレナージで対処した後に待機的に腹腔鏡下天蓋切除術を行った報告は未だ無く,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 矢口 貴一郎, 五明 良仁, 斉藤 拓康, 池野 龍雄, 坂口 博美, 宮本 英雄
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1418-1422
    公開日: 2014/11/29
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    症例は75歳,男性.PSA高値を認め,前立腺癌の疑いで当院泌尿器科に紹介受診となり,膀胱前上方に接する嚢胞性腫瘤が認められたため手術目的で外科紹介となった.術前精査の結果,転移性腫瘍の可能性は低かった.また,腫瘤の良悪性の診断がつかなかったため,確定診断の目的で摘出手術を施行した.腹膜前腔内で膀胱頂部に接する6cm大の腫瘤を認めた.腫瘤の腹腔内への露出はなかった.膀胱とは剥離困難であったため,膀胱壁の一部を合併切除した.摘出標本の病理像では,境界悪性粘液性嚢胞腺腫の特徴を有していた.術中,尿膜管を確認できなかったため,尿膜管由来と断定はできなかったが,画像所見・腫瘍存在部位・病理所見を総合して,尿膜管由来の境界悪性粘液性嚢胞腺腫と診断した.本疾患は,非常に稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 高橋 英幸, 金田 邦彦, 酒井 哲也, 原田 直樹, 堀井 進一, 岡村 明治, 土師 守
    75 巻 (2014) 5 号 p. 1423-1427
    公開日: 2014/11/29
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    症例は68歳,男性.平成24年12月に骨盤内を占める大きな腫瘍(φ90mm×140mm×100mm)に対し,腫瘍摘出術を施行.病理組織学的にperivascular epithelioid cell tumor (以下PEComa)でS状結腸に癒着があったため,一部S状結腸も合併切除した.粘膜面は正常であり,病理学的にS状結腸間膜から発生したものと診断した.核分裂像は1/10HPF以下であったが,腫瘍径は5cm以上で,腫瘍の中心部は広汎な壊死に陥っていたことより,悪性のポテンシャルを持った腫瘍の可能性を否定できないと考え,定期的に当院外来にて経過観察を行っていた.平成25年10月に約1年ぶりのfollow upの腹部CTで,下腹部に約55mm大の腫瘤を認めた.また,骨盤腔内右前部の腫瘍に一致してFDGの集積を認めた.(SUVmax 5.828)以上より,PEComaの腹膜再発と考え,摘出術を施行した.病理学的にも基本的に前回と同様の所見を認めた.術後の経過は良好であり,第7病日に軽快退院した.再々発の危険性があるため,今後,3~4カ月ごとの腹部PET-CT検査を予定している.
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