日本臨床外科学会雑誌
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75 巻, 7 号
選択された号の論文の58件中51~58を表示しています
症例
  • 千田 貴志, 石川 文彦, 尾本 秀之, 新田 宙, 伊藤 博, 兼子 耕, 宮崎 勝
    2014 年 75 巻 7 号 p. 2032-2036
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/31
    ジャーナル フリー
    症例は45歳の女性で,検診にて腹腔内腫瘤を指摘され精査目的に入院となった.腹部超音波検査にて下行結腸内側に52mm大の腫瘤を認めた.腹部造影CTでは動脈相にて腫瘤全体が濃染し,血管造影にて右胃大網動脈の大網枝の拡張と腫瘤への血流を認め,大網腫瘍の診断にて腹腔鏡下腫瘍摘出術を施行した.術中所見では大網の左下部に拡張した栄養血管を有する腫瘍を認めたが,下行結腸や腹壁とは連続性を認めなかった.流入血管を処理し,臍部を小切開し腫瘍を摘出した.標本は5.5cm大,多結節性の灰白色な腫瘍であり,病理組織学的検査所見では短紡錘形細胞がpatternless patternをとりながら増殖していた.免疫組織学的染色ではCD34とbcl-2は陽性を示したが,c-kit・S100蛋白・desminは陰性であり,大網原発の孤立性線維性腫瘍と診断した.大網原発孤立性線維性腫瘍はまれであり,文献的考察を加えて報告する.
  • 竹田 充伸, 井出 義人, 徳岡 優佳, 佐々木 洋
    2014 年 75 巻 7 号 p. 2037-2042
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/31
    ジャーナル フリー
    症例は65歳の男性で,左臀部腫脹を自覚し,悪化を認めたため精査加療目的に当院外科を紹介受診された.腹部造影CTでは,直腸を右側に圧排する90mm大の巨大不整形腫瘤を認めた.周囲への浸潤や遠隔転移を疑う所見はなかった.画像診断よりGISTや肉腫を疑い,経皮的針生検を施行し,孤立性線維性腫瘍(solitary fibrous tumor;以下SFT)と診断し,骨盤内腫瘍摘出術(腹仙骨式)の方針となった.会陰側・腹側の両側から腫瘍を剥離,直腸などの他臓器損傷なく,腫瘍を摘出できた.腫瘍は灰白色充実性腫瘤で,組織学的には紡錘形細胞の増殖からなり,“patternless pattern”を認めた.免疫組織染色では,CD34・vimentin陽性であり,術前診断通り孤立性線維性腫瘍と診断した.術後14カ月経過の現在無再発生存中である.骨盤腔内原発のSFTは極めてまれで,1983~2012年の30年間での報告例は自験例を含めて27例であった.今回,われわれは骨盤内孤立性線維性腫瘍に対して腹仙骨式腫瘍摘出術を施行した1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 石岡 大輔, 齊藤 正昭, 遠山 信幸, 力山 敏樹
    2014 年 75 巻 7 号 p. 2043-2046
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/31
    ジャーナル フリー
    症例は併存疾患のない75歳,男性.2005年に近医で右鼠径ヘルニアに対してメッシュプラグを用いた鼠径ヘルニア根治術を施行された.2010年12月より創部の腫脹,排膿を認めるようになった.近医を受診し,メッシュ感染の診断で創部の切開排膿や抗菌薬投与が繰り返し行われたが,一時的に改善が認められるものの症状の再燃を認めるため,加療目的に2013年5月に当院紹介受診となった.プラグと皮膚との瘻孔形成を認めたため,2013年6月に感染組織,瘻孔とともにメッシュ除去術を施行した.メッシュは瘢痕化しており精管や精巣動静脈と癒着していたが,損傷することなく除去可能であった.術後経過は良好であり,第7病日に退院となった.現在術後7カ月経過しているが感染やヘルニア再発は認めていない.今回われわれは,術後5年目に発症した遅発性メッシュ感染に対し,メッシュ除去術が有用であった1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 磯田 竜太郎, 森田 一郎, 平林 葉子, 深澤 拓也, 猶本 良夫
    2014 年 75 巻 7 号 p. 2047-2050
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/31
    ジャーナル フリー
    症例は57歳,男性.作業中,草刈り機の先端の旋盤が石のようなものに当たった直後から右大腿部に疼痛,腫脹をきたしたため近医を受診した.症状が増悪したため当院に救急搬送された.来院時,受傷部位に銃創のような傷があり,右大腿は緊満感を伴っていた.大腿X線,造影CTを施行したところ,右大腿深動脈近傍のかなり深い部位に金属様異物が確認された.翌日,手術前に血管損傷を精査する目的で右大腿動脈造影を施行した.浅大腿動脈に小さな仮性瘤を認めたため,8mm×40mmのカバードステントを留置した.引き続き全身麻酔下で右大腿異物除去を施行した.右大腿内側にある異物挿入創を拡大し,透視下に異物が通過したルートに沿って創を拡げ,血腫除去・剥離を進めていき,長さ約3cm,直径約5mmの古い金属片を摘出した.術中出血はほとんどなく,術後経過は良好であった.
  • 中嶌 雅之, 永末 裕友, 田中 栄治, 林 亨治, 横溝 博, 平田 稔彦
    2014 年 75 巻 7 号 p. 2051-2056
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/31
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,男性.血尿を主訴に平成24年12月,当院泌尿器科を受診し,腹部CTで骨盤内左側,内腸骨静脈の背側に境界明瞭な4cm大の腫瘤を指摘された.腹部造影MRI検査では,T1強調画像で低信号,T2強調画像で辺縁と内部で信号強度の異なる高信号を呈していた.また,左S1の神経との連続を疑う所見を認めた.以上の所見より神経鞘腫を疑い,平成25年4月に,腹腔鏡下腫瘍摘出手術を施行した.病理検査の結果,良性神経鞘腫と診断した.術後,左下肢に軽度の痺れと痛みを訴えたが,消炎鎮痛剤投与で改善を認めた.術後9カ月が経過した現在,合併症・再発なく経過している.神経鞘腫の中でも骨盤内後腹膜,側方リンパ節領域に発生するものはまれである.今回,われわれは側方リンパ節領域に発生した神経鞘腫を腹腔鏡下に安全に切除することができたので,文献的考察を加えて報告する.
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編集後記
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