日本臨床外科学会雑誌
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75 巻 , 9 号
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原著
  • 羽藤 慎二, 野崎 功雄, 落合 亮二, 小畠 誉也, 大田 耕司, 棚田 稔, 栗田 啓
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2367-2373
    公開日: 2015/03/31
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    目的:幽門狭窄を伴う切除不能胃癌において,胃腸バイパス術後のS-1ベース化学療法について認容性と有用性を検討した.
    方法:対象は,2006年から2010年にバイパス術を施行した狭窄を伴う切除不能胃癌連続39例.
    結果:化学療法を希望した33例中,32例に化学療法を施行した.S-1ベース化学療法は26例に施行され,治療成功期間は6.8カ月で根治切除術を施行した1例を除き25例が増悪(PD)まで継続できた.S-1ベース化学療法施行例における手術からの生存期間中央値は13.4カ月であった.
    結語:通過障害のある切除不能胃癌に対する胃腸バイパス術後のS-1ベース化学療法は,認容可能で有用な治療の一つであると考えられた.
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臨床経験
  • 古郡 茉里子, 山本 康弘, 岡村 幹郎, 重原 健吾, 八木 亜記
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2374-2381
    公開日: 2015/03/31
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    Bevacizumab(以下BVと略記)併用化学療法は,進行再発結腸直腸癌治療に大きな治療効果をもたらしている.一方,重篤な副作用もあり,瘻孔形成は0.33%と報告されている.当院でBV併用化学療法中に,3例の痔瘻合併を経験したので報告する.1例は上行結腸癌肝転移,2例は直腸癌肺転移の症例で,3症例とも原発巣切除後であり,いずれも痔瘻を発症,1例は直腸膣瘻も合併していた.瘻孔形成までは4週~10カ月,投与回数は2~17回と一定の傾向はなかった.全症例で,術後の排便障害や化学療法による下痢を認め,直腸肛門部の粘膜障害が存在した状態に,Bevacizumabの創傷治癒遅延,血管新生阻害などの作用が加わり,瘻孔を生じた可能性が考えられた.1例は治療中断により病勢が進行し,2例では人工肛門造設を要した.瘻孔は発症すると患者のQOLを低下させるため,BV併用化学療法の際には留意すべき合併症である.
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症例
  • 浦 勝郎, 三浦 巧, 小西 和哉, 竹本 法弘, 宮坂 祐司
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2382-2387
    公開日: 2015/03/31
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    症例は39歳,女性.近医でA型インフルエンザ感染症の治療後に腹痛と下痢およびCRPの異常高値を認め当院紹介.腹部膨満と腹膜刺激症状を認め,CTでは多量の腹水と左卵巣腫脹を認めた.汎発性腹膜炎の診断で試験開腹術を施行.多量の膿性腹水と左卵巣チョコレート嚢胞を認め,左付属器摘除と腹腔内洗浄ドレナージを施行.術後,SIRS・DIC・ARDS・急性腎不全を呈したため,CHDFとPMX-DHPを開始し循環動態は安定した.血液および腹水培養からA群溶連菌が検出されたため劇症型A群溶連菌感染症(Streptococcal Toxic Shock Syndrome:STSS)と診断しペニシリンを中心とした抗生剤治療で改善した.汎発性腹膜炎に至った原因は不明だがインフルエンザウイルスの先行感染がSTSSを誘導した可能性も考えられた.腹膜炎を伴うSTSSはまれであるが早期の外科的ドレナージと集学的治療が肝要である.
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  • 春木 朋広, 石黒 清介, 細谷 恵子, 城所 嘉輝, 若原 誠, 中村 廣繁
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2388-2393
    公開日: 2015/03/31
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    症例は59歳,女性.7年前に甲状腺癌で甲状腺全摘,頸部リンパ節郭清を施行され,病理診断は乳頭癌,pT1bN1bM0,stage IV Aであった.6年前に縦隔リンパ節に再発し,胸骨縦切開下縦隔リンパ節郭清を施行,術後内照射を行った.4年前のPET/CTで胸骨柄・胸骨体および縦隔リンパ節に転移を認め,増大,疼痛も出現し,根治的切除の適応と判断した.手術は頸部襟状切開と胸部正中切開下に,胸骨柄・胸骨体部分切除,両鎖骨・第I,II肋骨肋間筋合併切除,左腕頭静脈合併切除再建,縦隔リンパ節摘出を行い,切除部には左広背筋有茎筋弁を充填した.組織学的に胸骨転移巣には扁平上皮癌を認めた.甲状腺癌胸骨転移に対する拡大胸骨切除は治療選択肢の一つとして十分に考慮できる.
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  • 米山 公康, 小野田 登
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2394-2398
    公開日: 2015/03/31
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    症例は43歳,女性.左乳腺腫瘤と疼痛を主訴に来院した.触診では左乳房外側に5cm径の腫瘤を触知し,圧痛が高度であったが,皮膚の発赤はなく化膿性乳腺炎は否定的であった.抗生剤・鎮痛剤を投与し経過観察としたが症状は軽快せず,腫瘤もさらに増大したため入院加療とした.針生検を施行したが悪性所見はなく,著明なリンパ球浸潤を認める乳腺炎と診断されたためドレナージ術を施行した.発症から3週間後に両下肢に有痛性の紅班が出現.同部位の皮膚生検を施行したところ血管周囲性のリンパ球浸潤を認めた.以上より結節性紅斑を伴った肉芽腫性乳腺炎と診断し,プレドニゾロンの投与を開始した.紅班,疼痛をはじめとする症状は急速に軽快した.プレドニゾロンを漸減中止後も乳房ドレナージ部からの膿性排液が持続しており,乳腺腫瘤も縮小しないため腫瘤摘出術を施行した.術後経過は良好であり,再燃を認めず初診から6カ月後に終診となった.
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  • 芝 瑞穂, 吉留 克英, 多根井 智紀, 辻 洋美, 辻本 正彦
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2399-2403
    公開日: 2015/03/31
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    Pseudoangiomatous stromal hyperplasia (PASH)は乳房間質の良性増殖性病変で稀とされている.われわれは3例の乳腺PASHを経験したので報告する.症例1:31歳,女性.右乳房に100mm大の境界明瞭な腫瘤を触知した.穿刺吸引細胞診検査でclass IIであった.増大傾向があり手術を施行した.症例2:41歳,女性.左乳房に55mm大の境界明瞭な腫瘤を触知した.穿刺吸引細胞診検査ではclass IIIであった.増大傾向があり確定診断も兼ね手術を施行した.症例3:52歳,女性.左乳房に80mm大の境界一部不明瞭な腫瘤を触知した.針生検でPASH疑いと診断され手術を施行した.病理組織学的所見は,いずれも線維性被膜で覆われた境界明瞭な腫瘤で,乳腺間質に間隙を伴う膠原線維の増生が広範囲にみられ,散在する異型性のない乳腺組織を認めた.免疫組織学的染色の結果PASHと診断された.
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  • 西 敏夫, 中野 芳明, 西前 綾香, 稲治 英生, 山崎 大
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2404-2407
    公開日: 2015/03/31
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    症例は32歳の男性で,主訴は痛みを伴う左乳房腫瘤.既往歴として5年前にvon Recklinghausen病と診断された.触診にて左乳頭直下に2cm大の硬い不整型の腫瘤を触知した.また,体幹を中心に全身の皮膚に色素斑と米粒大から拇指頭大の柔らかい腫瘤を多数認めた.マンモグラフィにて左乳頭下に境界不明瞭な腫瘤を認めた.乳腺エコーでは20×17mmの内部エコー不均一な腫瘤像であり,針生検にて悪性であった.胸筋温存乳房切除術+センチネルリンパ節生検を行った.術後病理検査では乳頭腺管癌でセンチネルリンパ節には転移は認めず,ER弱陽性(5-6%),PR弱陽性(5%),HER2-,Ki67 0.8%であった.術後薬物療法としてタモキシフェン投与を行った.von Recklinghausen病に合併した男性乳癌でことに若年者での報告は極めてまれであり,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 平尾 具子, 細井 孝純, 中尾 武, 青松 幸雄, 杉原 誠一, 堤 雅弘, 今川 敦史
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2408-2413
    公開日: 2015/03/31
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    乳腺腺様嚢胞癌は全乳癌の約0.1%と稀な疾患で,リンパ節転移や遠隔転移が少なくホルモンレセプター陰性であることが多い.今回温存乳房内再発をきたした症例と,ER陽性であった症例を経験したので報告する.症例1は59歳女性.2000年に左腺様嚢胞癌ステージI[T1N0(0/12)M0]で乳房温存術と術後放射線治療施行.6年後に同側乳房に局所再発をきたし,本人の希望で再度乳房温存術(Bp2.0cm)を施行.病理組織診断は腺様嚢胞癌,腫瘍径3.5cm,ER陰性,PR陰性,HER2陰性で,術後補助化学療法(EC)を行い,再々発は認めていない.症例2は76歳女性.通院中の内科で乳房腫瘤を指摘され紹介.乳癌と診断し乳房切除術とセンチネルリンパ節生検を行った.病理組織診断は腺様嚢胞癌ステージII B[T3(6cm)N0(0/6)M0],ER陽性,PR陰性,HER2陰性で,現在,術後10カ月で無再発生存中である.
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  • 吉岡 達也, 齋藤 崇宏, 蔦保 暁生, 武藤 潤, 山村 喜之, 大野 耕一
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2414-2417
    公開日: 2015/03/31
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    症例は66歳,女性.当院併設の検診センターでの乳癌検診にて触診およびマンモグラフィで腫瘤を指摘され当科初診.触診にて右乳房A領域に径25mm大の腫瘤を触知.マンモグラフィでは右M-Iに径20mm大の境界不明瞭腫瘤を認め,カテゴリー4の診断.超音波では右A領域に内部に充実性成分を伴う嚢胞内腫瘍を認めた.超音波ガイド下針生検施行し,化生癌,ER0%,PgR0%,HER2(-)と診断された.遠隔転移・腋窩リンパ節転移を疑う所見なく,左乳房切除およびセンチネルリンパ節生検術を施行した.病理組織学的に乳腺紡錘細胞癌と診断された.超音波にて嚢胞内腫瘍として描出された乳腺紡錘細胞癌の1例を経験したので報告する.
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  • 藤井 輝彦, 高橋 龍司, 中川 志乃, 井上 有香, 赤司 桃子, 喜島 祐子
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2418-2423
    公開日: 2015/03/31
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    乳癌に対する乳房温存術において,術後乳房の整容性を保つために内視鏡補助下乳房温存術と遊離真皮脂肪片移植による同時性乳房再建を施行した2例を経験したので報告する.症例1は35歳の女性で,右乳房のC領域に2cm大の腫瘤と腋窩リンパ節腫大を認めた.腋窩リンパ節郭清を施行した後,腋窩創より内視鏡を挿入し大胸筋前面を剥離した.乳輪切開を加え皮弁を作成し乳房部分切除を行った.右下腹部より遊離真皮脂肪片を採取し欠損部へ補填した.術後は化学放射線療法を行った.症例2は52歳の女性で,左乳房のC領域に1.8cm大の腫瘤を認めた.センチネルリンパ節生検を行い,症例1と同様の手術を施行し,術後は放射線治療とホルモン療法を行った.2例ともに良好な整容性が得られ,本術式は乳癌に対する乳房温存術後の整容性を向上させる新たな試みであると考えられた.
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  • 門馬 浩行, 三成 善光, 百留 美樹, 板倉 正幸, 田島 義証, 杉山 章
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2424-2428
    公開日: 2015/03/31
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    後腹膜転移により十二指腸狭窄をきたした乳腺浸潤性小葉癌の1例を経験した.症例は66歳の女性.主訴は腹部膨満,嘔吐.2004年8月,原発不明癌多発骨転移を指摘され放射線治療を受ける.2008年5月,乳房の再検索で乳腺浸潤性小葉癌と診断され,UFT・AIを内服中であった.2008年9月頃より,腹部膨満と嘔吐を認めるようになった.十二指腸水平脚に狭窄を認めたが,同部位に明らかな占拠性病変は指摘できなかった.同時に両側の水腎症を認めた.内視鏡で十二指腸水平脚に約5cmにわたる狭窄を認めたが,粘膜面は正常であった.胃空腸バイパス術を施行し,同時に行った十二指腸周囲後腹膜の生検結果は浸潤性小葉癌であった.
    乳癌の後腹膜転移は剖検例ではしばしば認められるが,臨床的に問題となる消化器狭窄が生前に診断されることは極めて稀である.乳腺浸潤性小葉癌は後腹膜転移を含めて特殊な転移を示すことを念頭に置く必要がある.
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  • 坂尾 寿彦, 石田 直樹, 梶原 伸介, 岡田 憲三, 清地 秀典, 中村 太郎
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2429-2432
    公開日: 2015/03/31
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    症例は68歳の女性.動悸息切れを認め近医より当院を紹介された.心電図で心房細動,胸部X線写真で左3弓の突出を認めた.冠動脈CTを施行し,巨大な左心耳瘤を認めた.経食道エコーで左心耳瘤内への血流低下を認めた.瘤内血栓や塞栓の可能性があり,人工心肺心停止下に瘤切除を施行した.瘤経は65×44mmであった.左心房と瘤の交通口の組織は強固で,2-0ポリプロピレン糸で2重に連続縫合し閉鎖した.術後経過は良好であった.左心耳瘤は先天性であると言われているが,成人になり発見されることが多い.治療法としては人工心肺心停止下の切除術が一般的であるが,最近心房細動治療の低侵襲手術として,様々な方法が報告されおり,本疾患にも応用可能であると思われる.
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  • 武居 亮平, 尾山 勝信, 木下 淳, 伏田 幸夫, 藤村 隆, 太田 哲生
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2433-2437
    公開日: 2015/03/31
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    症例は72歳,男性.高度進行胃癌に対して,右上腕に末梢穿刺型中心静脈カテーテル(Peripherally inserted central catheter:以下PICC)を用いた中心静脈(Central venous:以下CV)ポート留置下に術前化学療法を行った.1コース終了後に右上腕の腫脹と疼痛を伴う発熱を認め,CVポート感染に伴う菌血症と血栓性静脈炎と診断.CVポート抜去,抗生剤投与,抗凝固療法を行った.炎症所見が遷延するため第18病日に行った胸腹部造影CTで感染性胸部大動脈炎を認め,治療継続にも関わらず同部位が瘤化し増大,切迫破裂に陥った.第45病日にようやく感染が沈静化し,第67病日のCTでは瘤の増大が停止した.第100病日に大動脈ステントグラフト内挿術を施行し,第130病日には胃癌の根治手術を行った.
    化学療法目的のCVポートによる重症感染性合併症症例を経験したので報告する.
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  • 石橋 雄次, 真崎 純一, 齋藤 洋之, 大森 敬太, 若林 和彦, 伊藤 豊
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2438-2441
    公開日: 2015/03/31
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    症例は66歳,女性.食事のつまり感を主訴に近医受診.胃癌の診断で当院紹介となった.上部内視鏡検査で食道浸潤を伴う噴門部から胃体上部に広がる腫瘍を認めた.腹部CT検査で噴門部から胃体上部に全周性の壁肥厚を認めた.また,下行大動脈に約2cmの壁在血栓を認めた.以上より食道浸潤胃癌,下行大動脈血栓症と診断した.胃癌は既に通過障害を認めており,血栓も約2cmと大きく塞栓症を起こす危険性が高いため,両疾患ともに早急に手術が必要な状態であった.左開胸開腹下部食道切除,胃全摘術と下行大動脈置換術を一期的に施行した.術後100病日に自宅退院となり,術後6カ月経過し癌の再発と血栓症の再発を認めていない.悪性腫瘍に血栓症が併発することは稀ではなく,本症例のように血栓症と悪性腫瘍の手術を同時に施行せざるを得ない状況がありうる.手術の侵襲と患者の全身状態,予後等を総合的に判断し治療方針を決定すべきである.
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  • 杉田 浩章, 原 祐郁, 宮崎 真奈美, 上野 洋資, 川瀬 裕志
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2442-2446
    公開日: 2015/03/31
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    Rendu-Osler-Weber病(ROW病)は出血性毛細血管拡張や臓器の血管異常性病変を主徴とする常染色体優性の遺伝性疾患であり,肺動静脈瘻はその合併症の一つである.今回,われわれはROW病に合併した肺動静脈瘻に対して外科的切除を施行し有効であった症例を経験したので報告する.症例は51歳,女性.以前より検診で胸部異常陰影を指摘され,約1年前に息切れと下腿浮腫が出現し当院内科を受診した.精査にて貧血と肺動静脈瘻を認め,最終的にROW病と診断された.外来経過観察となっていたが,息切れが徐々に著明となり,手術目的に当科へ紹介された.CTで左肺舌区に肺動脈・肺静脈と連なる42mm大の肺動静脈瘻を認めた.手術は流入出する拡張した肺動静脈を1本ずつ切離し,舌区域切除を施行した.術後経過良好で術前の低酸素血症は著明に改善した.ROW病に合併した肺動静脈瘻は稀であり,外科的切除が最も安全で効果的な治療である.
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  • 目崎 久美, 花岡 俊仁, 中川 和彦, 小林 成行, 福原 哲治, 小林 一泰, 白川 敦子
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2447-2451
    公開日: 2015/03/31
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    症例は80歳,男性.以前より軽度の肺炎を繰り返していた.今回,咳と痰の再燃を主訴に受診した.血液検査で炎症反応の上昇を認め,胸部CTでは右中葉の無気肺と,その中枢側に石灰化を伴う腫瘤影を認めた.閉塞性肺炎の診断で抗生剤による加療が行われた.肺炎は改善したが,腫瘤影が残存したため精査を行ったところ,悪性所見を認めなかった.今後も肺炎を反復する可能性があることと,腫瘍性病変が否定できないことから,右中葉切除術を行った.B4とB5の分岐部に腫瘤を触知し,切開すると粘液で満たされた嚢胞状の気管支拡張を認め,その近傍に黄白色の結石が存在していた.以前のCT所見も考えあわせると,限局した気管支拡張の内腔に粘液の石灰化による気管支結石が形成され,炎症による肉芽組織を伴って腫瘤となり,閉塞性肺炎を生じたと考えられた.気管支結石として稀な所見を示し,手術により診断された1例を経験したため,考察を加えて報告する.
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  • 松本 紘典, 尾田 一之
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2452-2456
    公開日: 2015/03/31
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    生来健康な39歳の男性が右中肺野の繰り返す肺炎に対する精査を目的に当科へ紹介があった.胸部MDCTでは上下葉区(S6)と底区域の間において,総肺底区気管支から分岐する区域枝レベルで途絶し拡張した気管支とその周囲の気腫状肺を認めた.本症例は右肺下葉気管支の分岐パターンは正常であったため,上枝下下葉枝(B*)が閉塞した先天性気管支拡張症と診断した.また,この症例はS*と底区域の間に,馬渡らがPosterior Pulmonary Lobe(PPL)と報告している深い異常分葉を伴っていた.この症例に対して胸腔鏡補助下にS6+S*区域切除術を施行した.今回われわれは,B*が閉鎖しさらに異常分葉を伴った非常に稀な先天性気管支閉鎖症を経験した.MDCTが診断とともに術式決定における詳細な解剖学的理解に有用であった.
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  • 増田 隆洋, 矢野 文章, 秋元 俊亮, 坪井 一人, 小村 伸朗, 矢永 勝彦
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2457-2461
    公開日: 2015/03/31
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    症例は24歳,男性.2012年10月初旬,自転車運転中に突然左胸痛が出現し,近医を受診した.胸部単純X線検査にて左横隔膜の挙上を認め,精査加療目的にて同日入院となった.胸腹部CTにて左横隔膜と胃の挙上を認め,横隔膜弛緩症の診断にて胸腔鏡下に修復術を試みられたが,胃・大網・横行結腸・脾が左胸腔内に脱出しており,特発性横隔膜破裂と診断された.胸腔鏡下での修復は困難と判断され,観察のみで手術を終了した.2012年10月下旬,手術目的で当院紹介となった.手術は腹腔鏡を用いて行った.腹腔内を検索すると,食道裂孔の左側に約8cm大の横隔膜の欠損を認め,同部位から胃・大網・横行結腸・空腸・脾が左胸腔内に脱出していた.脱出していた臓器を腹腔内に誘導し,欠損していた横隔膜を縫合閉鎖した.術後は問題なく経過し,術後第4病日に退院した.横隔膜破裂の原因はほとんどが外傷であり,特発性は非常に稀であるため報告した.
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  • 萩原 信敏, 松谷 毅, 野村 務, 井上 達哉, 臼田 実男, 内田 英二
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2462-2466
    公開日: 2015/03/31
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    症例は65歳,男性.食道癌に対して胸腔鏡下食道切除,腹腔鏡補助下胃管作製,後縦隔経路で頸部食道胃管吻合術を施行.既往歴に気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患があった.術中に肺上葉と中葉に多発肺嚢胞を認めたが,手術操作での肺損傷はなかった.第1病日に突然喘息発作を呈し,胸部X線にて著明な皮下気腫,右気胸とエアーリークを認め胸腔ドレナージチューブを追加挿入した.保存的治療にて皮下気腫と右気胸は軽減したがエアーリークは残存した.胸部CTにて感染を伴った難治性気胸と診断,第31病日に気管支ファイバー下にシリコン製栓型気管支充填剤:Endobronchial Watanabe Spigot(EWS)を用いた気管支充填術施行した.EWS施後エアーリークは減弱,右肺の虚脱は消失した.胸腔ドレナージチューブ抜去,第58病日に軽快退院となった.食道癌術後の難治性気胸に対するEWS充填術は非常に有用であると考えられた.
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  • 赤羽 慎太郎, 福田 三郎, 藤崎 成至, 先本 秀人, 江藤 高陽, 西田 俊博
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2467-2471
    公開日: 2015/03/31
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    症例は73歳,女性.嘔吐を主訴に当院初診,午後に嘔吐と急激な心窩部痛をきたし,救急外来を受診した.胸腹部CTで下部食道破裂が疑われ,胃前庭部にmassを認めた.食道造影で造影剤の左胸腔内への流出を確認した.以上の所見から,(1)下部食道破裂の胸腔内穿破型,(2)胃癌に伴う幽門狭窄の疑いと診断し,発症4時間で緊急手術を施行した.術中所見で下部食道左側に2.5cm大の全層裂創を認め,単純縫合閉鎖・幽門側胃切除を行った.病理所見は,胃癌pT4aN3aM0 pStage IIICであった.左膿胸に対し第6病日に胸腔鏡下膿胸掻爬術を施行し,術後経過は良好で第56病日に軽快退院した.現在術後8カ月経過しているが再発の徴候は認めていない.胃癌の幽門狭窄病変が原因で食道破裂をきたした症例は,本邦で自験例を含めて8例あり,比較的稀な症例と考えられた.嘔吐を伴う幽門狭窄病変に対しては早期の治療が必要と考えられた.
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  • 天野 隆皓, 遠藤 健, 赤井 隆司, 豊島 明
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2472-2477
    公開日: 2015/03/31
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    バルーン付き経鼻経腸栄養チューブに起因した多発小腸潰瘍からの出血に対し3度の開腹を要した症例を経験した.症例は49歳の女性,頸椎手術後に両側反回神経麻痺を認め,10Fr経鼻経腸栄養チューブを挿入,注射用水15mlでバルーン固定し空腸へ留置した.10日後に出血性ショックを呈す下血があり,造影CTにて広範囲の小腸の集簇と小腸内に造影剤の漏出を認めた.筋性防御を認め腹膜炎と診断し緊急開腹したところ,潰瘍による小腸穿孔を認め,潰瘍部分を切除して縫合閉鎖した.同日深夜より再下血を認め血管撮影下でコイルにて塞栓・止血し,塞栓範囲の小腸を部分切除した.しかし3度目の下血を認めたため,超選択的に狭範囲で塞栓・止血し経過観察としたが,5日後に虚血壊死に陥り小腸部分切除を施行した.手術所見および切除検体からバルーンによりチューブが著しく先進し,小腸が集簇したことにより循環障害が発生し潰瘍形成されたと推察された.
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  • 沖元 達也, 木村 厚雄, 大成 亮次, 川崎 由香里, 奥道 恒夫, 浦岡 直礼, 安井 弥
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2478-2481
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は46歳,女性.突然の腹痛のため当院受診.US・CTにて腹水・拡張小腸を認め,絞扼性イレウスを疑われ緊急手術となった.腹腔内には血性腹水を認め,捻転した細い腸管様索状物下に回腸末端が入り込み絞扼性イレウスとなっていた.索状物はMeckel憩室が茎捻転して上行結腸に癒着しループを形成したもので,癒着部を切離したところ絞扼が解除された.絞扼されていた腸管は次第に血色が改善したが捻転していたMeckel憩室は基部回腸を含め血色が回復しなかったため回腸切除を行った.術後は良好に経過し第11日目に軽快退院した.今回,われわれは癒着し茎捻転したMeckel憩室によるループ下に小腸が陥頓し絞扼性イレウスとなった稀な病態を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 崔 玉仙, 大坪 義尚, 今中 信弘, 木村 真二郎
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2482-2488
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,女性.既往に虫垂炎手術,橋本病,2回の腸閉塞入院がある.腹痛・腹部膨満を主訴に当院内科受診,胸腹部単純X線写真・CTにて腹腔内遊離ガスを認めたため,消化管穿孔の疑いで外科へ紹介となった.しかし,腹膜刺激所見はなく全身状態は良好,採血にて炎症反応を認めなかった.CTにて腸管嚢腫様気腫症所見を認めたため,これに伴うフリーエアーと推測し,保存的治療を行ったところ症状は速やかに改善した.その後,精査にて偽性腸閉塞症の診断となり,さらに数カ月後,全身浮腫を主訴に中核病院総合内科を受診したところ強皮症の診断となった.強皮症に伴う腸管気腫症の報告は本邦で27例(会議録除く)ある.腸管気腫症は腹腔内遊離ガスを伴うことがあり,開腹の判断を問われる場合があるが,多くは穿孔や機械的閉塞機転を伴わないため,強皮症の有無などの既往歴のほかに臨床所見を考慮して慎重に決定する必要がある.
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  • 松野 裕旨, 浅岡 忠史, 宮本 敦史, 山下 公太郎, 中森 正二, 関本 貢嗣
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2489-2493
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は44歳の女性.右下腹部痛を主訴に救急外来を受診した.右下腹部に可動性の乏しい弾性・軟の手拳大腫瘤を触知し,同部位に限局する圧痛と反跳痛を認めた.腹部CT検査では虫垂は腫大し周囲脂肪組織濃度の上昇と回盲部の浮腫性変化を認めた.急性虫垂炎による限局性腹膜炎の診断で緊急手術を施行した.傍腹直筋切開で開腹を行い,回盲部に鶏卵大の腫瘤を認めた.虫垂は腫大し,腫瘤と一塊となっていた.周囲リンパ節の腫大も認めていたことから,悪性腫瘍の可能性も考慮して回盲部切除を施行した.術後病理所見では,虫垂壁には蜂窩織炎を認め急性虫垂炎の像を呈していた.また,虫垂根部から盲腸にかけて粘膜下を中心に径5cm大の充実性腫瘍を認め,形質細胞,リンパ球,好酸球などの炎症細胞浸潤を伴う紡錘形細胞の増殖が観察されたことから炎症性偽腫瘍と診断した.比較的稀な大腸の炎症性偽腫瘍を経験したので報告する.
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  • 高木 健裕, 京兼 隆典, 渡邉 克隆, 久世 真悟
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2494-2498
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は82歳の女性.下行結腸癌に対してD3郭清を伴う左半結腸切除術を施行した.病理組織学的には中分化型腺癌でss,ly1,v0,n0,stage IIであった.術後29カ月後に腫瘍マーカーが上昇し,CTおよびPET検査で骨盤内に腫瘤を認め,腹膜播種再発と考えFOLFIRIを施行した.43カ月後のCTでPDとなりFOLFOX6へ変更した.55カ月後に腫瘍の増大傾向がみられたが,新たな病変の出現は無く骨盤内2箇所で限局していた.MRIで骨盤内再発部位は右卵巣と子宮頸部と考えられ,経腟的生検で大腸癌子宮頸部転移と診断した.子宮頸部および右卵巣転移再発に対して,子宮全摘および両付属器切除術を施行した.術後13カ月後に肺転移と腹膜播種再発を認めたが,現在初回手術より79カ月,子宮全摘より20カ月経過し担癌生存中である.大腸癌の子宮転移は非常に稀であり,過去報告例の臨床病理学的特徴について検討を行った.
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  • 橋場 亮弥, 山本 隆嗣, 倉島 夕紀子, 藤原 有史, 上西 崇弘, 大野 耕一
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2499-2503
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は86歳の女性で,85歳時に神経因性膀胱による膀胱破裂に対し当科で破裂部の縫合術を施行し,術後は経尿道的な膀胱内バルーンカテーテルの留置による減圧治療で経過観察中であった.
    経過観察中に尿に便が混じるようになったため,泌尿器科から外科紹介となった.注腸造影で膀胱とS状結腸内に存在する膀胱内留置バルーンカテーテルが造影されたことでカテーテルによる膀胱結腸瘻と診断された.手術は瘻孔部S状結腸部分切除と,膀胱部瘻孔の縫合閉鎖を行い,今後の管理に配慮し,腹壁正中に膀胱外瘻を作成した.術後経過良好で軽快退院した.
    膀胱内バルーンカテーテルの長期留置が原因で膀胱S状結腸瘻を形成した報告はまれであるが,長期の膀胱内バルーンカテーテルの留置は自験例のような合併症を起こしうることを泌尿器科医・外科医は十分認識し,カテーテルの選択・間欠的導尿なども考慮すべきであると思われた.
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  • 亀田 久仁郎, 久保 章, 長嶺 弘太郎, 杉浦 浩朗, 藤井 一博, 宮本 洋, 竹川 義則
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2504-2508
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,男性.右腎癌術後フォローアップの腹部CTにて異常を指摘され,大腸内視鏡検査にてS状結腸に全周性腫瘍を認めた.2008年5月にS状結腸切除術を施行した.病理では内分泌細胞癌,T3N0M0,fStage IIであった.2012年1月の腹部CTおよびPETにて左副腎および左鎖骨下リンパ節転移が認められたが,本人の希望により経過観察としていた.2013年1月の胸部CTにて心臓右室内に腫瘍形成を認めた.心臓超音波検査でも確認され心臓転移が疑われたが,特に症状は認めず経過観察とした.2014年2月に突然の意識消失を認め心肺停止状態となったが,AEDにて心拍が再開し,当院救急外来へ搬送され入院となった.入院後,心室粗動発作を繰り返し,入院翌日不可逆性の不整脈にて死亡した.病理解剖の結果,心臓腫瘍はS状結腸癌の転移と診断された.大腸癌の心臓転移の報告は非常に稀である.文献的考察を加えてこれを報告する.
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  • 岩本 一亜, 荒木 靖三, 野明 俊裕, 鍋山 健太郎, 的野 敬子, 小篠 洋之
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2509-2513
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は68歳の男性で排便時出血を主訴に来院し,早期直腸癌と診断された.根治手術を施行し,高分化腺癌,深達度SMでT1b,n0,ly0,v2,Stage Iと診断された.術後2年10カ月で側方領域の壁外非連続性癌進展病巣によると考えられる再発病巣を摘出した.再手術3カ月後に腰椎・仙骨転移,多発肝転移が確認され,化学放射線治療によって,腫瘍マーカーは正常化しPET-CTで転移巣は消失した.初回根治手術後に側方領域の局所再発をきたし,その切除後に急速に骨・肝再発を合併したSM直腸癌症例を経験した.
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  • 井上 悠介, 藤田 文彦, 虎島 泰洋, 黒木 保, 中山 敏幸, 江口 晋
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2514-2518
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は82歳,女性.半年前に肛門部の腫瘤と排便時出血を主訴に前医を受診.内痔核と肛門周囲の母斑を指摘された.数カ月後,肛門周囲の症状が持続するため生検を行いPaget病の診断となった.再度,直腸の精査を行い,歯状線上に直腸癌を認め当科へ紹介となった.(術式)腹腔鏡下直腸切断術,人工肛門造設術,両側側方リンパ節郭清術.(病理)Poorly differentiated adenocarcinoma,pStage III a.4IH:CEA(+),CK7(+),CK20(+),GCDFP15(-),CAM5.2(+).以上より,Paget現象を伴った直腸癌の診断となった.外陰部や肛門周囲に発生した乳房外Paget病患者に対しては,積極的な隣接臓器の精査が重要である.
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  • 草野 智一, 石原 明, 北島 徹也, 加藤 礼, 青木 武士, 村上 雅彦
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2519-2523
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    われわれは,呼吸困難・腹部膨満感・下肢浮腫を主訴に来院し,肝十二指腸間膜および下大静脈を著明に圧排・伸展させた尾状葉発生の巨大な肝嚢胞に対し,腹腔鏡下に天蓋切除術を施行した1例を経験したため,文献的考察を含め報告する.
    症例は70歳の女性.16年前に検診にて指摘された単純性肝嚢胞が増大し,自覚症状をきたすようになり,手術目的に入院となった.手術は,嚢胞表面を走行する脈管を剥離の後,嚢胞内容液を吸引し,天蓋切除術を施行した.自覚症状は著明に改善し,再発所見なく,外来にて経過観察中である.
    単純性肝嚢胞にする腹腔鏡下手術は安全かつ低侵襲であり,患者のquality of lifeの視点からも有用な治療法と思われた.
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  • 中田 泰幸, 高屋敷 吏, 清水 宏明, 大塚 将之, 加藤 厚, 宮崎 勝
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2524-2530
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,男性.発熱と腹痛を症状とした胆管炎を繰り返し,多発性嚢胞腎による慢性腎不全にて透析療法を受けていた前医の腹部単純CTにて肝内胆管の拡張を指摘されたため当科紹介となった.精査にて左肝内胆管周囲に集簇する多発嚢胞とその末梢胆管の軽度拡張を認め,hepatic peribiliary cyst(HPBC)およびその胆管への圧排による随伴性胆管炎と診断した.諸検査にて悪性を示唆する所見を認めないため経過観察も検討したが,有症状胆管炎症例であり,背景疾患から今後胆管炎を繰り返した場合に感染制御困難になり得ることも考慮して,左肝切除術を施行した.これまでのHPBC手術報告例は術前診断困難例,特に肝内胆管癌の疑診症例がそのほとんどであるが,本症例は術前診断されるも胆管炎制御目的に肝切除を施行した稀な症例であり,HPBCに対する手術適応という観点から若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 遠藤 裕一, 松本 敏文, 内田 博喜, 吉河 康二, 北野 正剛
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2531-2536
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,男性.黄疸を主訴に当院受診した.腹部CTとERCPにて左肝管起始部から総肝管にかけて約3cmの陰影欠損・腫瘤像を認め,肝門部胆管癌と診断し,肝左葉+尾状葉切除,肝外胆管切除・再建術を行った.切除標本では左肝内胆管起始部から総肝管にかけて32×7mmの境界明瞭で柔らかい腫瘍病変を認め,病理組織結果は中分化型肝細胞癌であった.腫瘍は胆管壁と2箇所において交通し,その周辺肝実質内に術前同定できなかった大きさ5mmの被膜を有する小肝細胞癌を2個認めた.しかし,胆管腫瘍と小肝細胞癌との間に連続性は確認できず,原発病巣が不明な胆管腫瘍栓を伴った肝細胞癌と診断した.胆管腫瘍栓に特徴的な画像所見を認め,胆管癌が疑わしい場合,胆管腫瘍栓に対する術前の積極的な診断は,より低侵襲な術式を選択できる可能性があり,有用であると考えられた.
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  • 北原 知晃, 大城 崇司, 大城 充, 蛭田 啓之, 岡住 慎一, 加藤 良二
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2537-2543
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は29歳,男性.発熱と腹痛を主訴に他院を受診し,急性胆嚢炎の診断にて当院受診となった.血液検査所見では肝胆道系酵素の上昇と好酸球数の高値があり(36,900/μl),腹部超音波やCTで無石性胆嚢炎を認めた.喘息の既往や血管炎症状からChurg-Strauss症候群(以下CSS)およびCSSに伴う胆嚢炎と診断し,ステロイドの静脈投与が開始された.治療開始後好酸球数は一時的に減少したが,ステロイドの漸減に伴い再増加を認めた.また,胆嚢炎は抗生剤による保存的治療ではコントロールがつかず,CSSに対する治療切り替えに先行して腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.術後のステロイドパルス療法にて好酸球数は速やかに正常化し,その後もCSSの再燃なく経過している.CSSは,アレルギー性疾患が先行した後に血管炎症状と好酸球浸潤による臓器障害で発症する.CSSに胆嚢炎を伴う症例の報告は少なく,文献的考察を加え報告する.
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  • 東原 琢, 高屋敷 吏, 吉富 秀幸, 清水 宏明, 加藤 厚, 宮崎 勝
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2544-2548
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は51歳の女性で,全身性エリテマトーデスに対するステロイド治療中に直腸癌同時性肝転移と診断された.直腸切除,肝切除後に交通型胆汁漏をきたすも保存的に軽快退院した.術後2年目に腹腔内膿瘍を認め,膿瘍穿刺にて胆管との交通を再び認め,術後胆汁漏の再燃と診断した.胆汁漏発症部位下流の総胆管の良性胆道狭窄が原因と判断し,経皮経肝胆道ドレナージで狭窄部を内外瘻化することで胆道減圧を行い治癒を得た.一般に肝切除後胆汁漏は術後1カ月以内に診断されることが多く,年単位経過後の再燃例は稀である.本症例の胆汁漏発症原因として術後長期を経て徐々に形成された良性胆道狭窄による胆道内圧上昇,および長期ステロイド治療による創傷治癒不全の関与が考えられ,術後胆汁漏としては稀な病態と考えられた.
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  • 本明 慈彦, 伊禮 俊充, 清水 洋祐, 種村 匡弘, 富永 春海, 畑中 信良
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2549-2554
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は19歳,女性.右下腹部痛を主訴に当院紹介となった.腹部CTで上行結腸内側に径34mmの嚢胞性病変を認め,上行結腸憩室炎の診断で保存的加療を行い軽快した.しかし同様の症状による入退院を繰り返したため,虫垂病変に伴う膿瘍形成を疑い,腹腔鏡下虫垂切除術を施行したが,その後も2カ月毎に症状の増悪と軽快を繰り返した.経過中,症状増悪時には嚢胞性病変の増大と炎症所見を認め,軽快時には病変は縮小していた.繰り返す腹痛の原因を上行結腸間膜内の嚢胞性病変と断定し,初診から2年6カ月後,根治治療目的に腹腔鏡下回盲部切除を施行した.病理組織学的検査で,嚢胞性病変は拡張した導管であり,その周囲に膵腺房細胞を認め,Heinrich II型異所性膵と診断した.上行結腸間膜内に発生した異所性膵の本邦での報告は本例を除き1例のみであり,繰り返す腹痛の原因となった上行結腸間膜内異所性膵について,文献的考察を加え報告する.
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  • 薄葉 輝之, 飯田 智憲, 羽生 信義
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2555-2558
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は69歳の女性と84歳の女性で,ともに腹痛を主訴に精査したところ,膵尾部に腫瘍を認め,膵臓癌の診断で手術となった.術前画像診断で左腎臓と横行結腸への浸潤を認め,手術は膵体尾部切除・脾臓摘出・左腎臓摘出・横行結腸部分切除術を行った.両症例とも合併症なく軽快退院されたが,術後早期に再発を認め,ともに術後11カ月で永眠された.左腎臓合併膵切除の報告は稀であり,文献的考察を加え報告する.
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  • 澤崎 翔, 森永 聡一郎, 五代 天偉, 沼田 幸司, 鷲見 公太, 益田 宗孝, 赤池 信
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2559-2563
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    膵腫瘍は症状が出にくく,早期発見は困難だが破裂することはまれである.今回,われわれは腫瘍破裂により緊急手術を施行した膵未分化癌の1例を経験したので報告する.症例は66歳の男性.上腹部の腹満感および背部痛があり,腹部CTで膵尾部に9cm大の腫瘍を認めた.膵GISTの疑いで手術予定となったが,就寝中に激しい左上腹部痛が出現し緊急受診.左上腹部に限局した圧痛があり,CTで肝表面,Morrison窩,Douglas窩に液体貯留を認めた.腫瘍破裂に伴う腹腔内出血の診断で緊急手術を施行し,膵尾部腫瘍の破裂と破裂部からの出血を確認した.腫瘍は小腸および横行結腸に浸潤しており膵体尾部脾合併切除,小腸・横行結腸合併切除,D2リンパ節郭清を行った.Grade B(ISGPF)の膵液瘻を認めたが術後27日目に軽快退院となった.S-1内服による補助化学療法を半年間行い,術後1年無再発生存中である.
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  • 高橋 裕季, 渡邊 透, 栃本 昌孝, 川口 雅彦, 加藤 秀明
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2564-2568
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は45歳,女性.左上腹部痛を主訴に当院来院.来院時の血液検査では貧血を認めた.腹部超音波検査・腹部造影CT検査で脾内に類円形の内部不均一な腫瘤を認め,周囲に血腫を認めた.脾腫瘍の破裂と診断し,緊急で脾摘出術を施行した.腫瘍は病理組織学的に血管腫と診断された.術後は経過良好で第8病日退院となった.脾血管腫の非外傷性破裂と診断され,脾摘出術を施行した1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 貴島 孝, 白尾 一定, 桑畑 太作, 秦 洋一, 田中 弘之, 牛谷 義秀, 夏越 祥次
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2569-2573
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は63歳の女性.既往歴に9カ月前交通外傷にて頸椎捻挫症,腰痛症となり入院歴がある.腹痛を主訴に前医受診,腹部腫瘤性病変を認め腹膜炎疑いにて当科紹介受診となる.腹部CTにて横行結腸頭側脂肪織内に約3.8cmの腫瘤を認め,炎症性腫瘤の診断にて入院,抗菌薬治療となった.抗菌薬投与1週間後の腹部CTでは炎症性腫瘤に変化なく手術を施行した.横行結腸頭側に膿瘍が存在し,結腸,胃大弯側に巻き込んでいたため,膿瘍を含めた横行結腸・胃部分切除術を施行.術後経過は良好で第15病日に退院となった.病理組織検査では大網内に菌塊を認め,放線菌症と診断された.腹部放線菌症は稀な疾患であり大網原発例は僅かである.また,交通外傷時のシートベルトによる打撲の部位と大体一致して大網放線菌症による腸管狭窄をきたしていたことから,シートベルト損傷と腸管損傷,大網放線菌症の関係が示唆された.
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  • 竹原 寛樹, 田邊 和照, 藤國 宣明, 徳本 憲昭, 大段 秀樹
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2574-2579
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は74歳の胃切除後の男性.上腹部痛と腹部手術痕周囲の発赤を主訴に来院した.腹部所見は上腹部に圧痛,反跳痛を認め限局性腹膜炎の所見であった.腹部X線検査では明らかなfree airを認めなかったが,腹部CTで腹壁直下の挙上空腸付近の脂肪織濃度上昇と,約20mmの高濃度の線状異物陰影を認めた.問診からメバルを摂取したことが判明し,魚骨の空腸穿通による限局性腹膜炎と診断し緊急上部消化管内視鏡検査を施行した.挙上空腸のY脚吻合部より約15cm肛門側に魚骨を認めたため摘除した.今回,1983年から2013年までの30年間の胃切除後の魚骨による穿孔・穿通例16例を検討した.本症例以外では手術治療が選択されているが,われわれは内視鏡的摘除により保存的加療が可能であった.
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  • 入江 彰一, 南村 圭亮, 園田 洋史, 平田 泰, 小林 隆, 森 正也
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2580-2583
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は48歳の男性.生来健康であったが,健診で腹部腫瘤を指摘された.CT検査にて,腹腔内に腸間膜から連続するようにみえる充実性腫瘤(125×83×114mm)を認めた.経過観察中,7カ月で(193×83×181mm)と増大傾向を認め,悪性腫瘍の可能性を考え,切除術を施行した.S状結腸間膜から連続する表面平滑,弾性硬な巨大腫瘤を認めた.辺縁動脈を巻き込んでいたため腫瘤摘出およびS状結腸部分切除を行った.病理組織所見で繊維形成性繊維芽腫と診断した.繊維形成性繊維芽腫は,主に深部皮下組織・筋膜・腱膜・骨格筋より発生する稀な線維性腫瘍であり,腹腔内では胃原発の報告があるのみで,腸間膜から発生した報告例は本邦では認められなかった.今回,われわれは極めて稀な腸間膜由来の繊維形成性繊維芽腫を経験したため,若干の文献的考察も含め報告する.
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  • 冨岡 英則, 右田 隆之, 国松 範行, 佐藤 幸宏, 脇屋 緑
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2584-2590
    公開日: 2015/03/31
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    症例は46歳,女性.便潜血反応陽性,内視鏡精査目的で来院した.腹部触診にて腫瘤を疑いCTスキャンを撮影,右後腹膜腔に巨大腫瘤を認め,十二指腸由来のGISTが疑われた.内視鏡検査では異常を認めず,後腹膜腫瘍の摘出手術を行なった.腫瘍は135×127×55mm大で被膜を有し,十二指腸との関連は認めなかった.病理組織所見は紡錘形細胞~上皮様細胞の密な増生から成り,KIT(++),CD34(-),SMA(+)よりGISTが疑われた.再検にてDOG1(-),HMB45(++)でありGISTを除外,周辺のリンパ節内にリンパ脈管筋腫症(lymphangioleiomyomatosis;LAM)を認め,同時に高分解能胸部CTにて肺LAMに相当する所見を認めた.後腹膜腫瘍はLAMと異なり,出血や壊死などの悪性傾向よりperivascular epithelioid cell tumorと診断した.
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  • 前澤 幸男, 蓮尾 公篤, 神 康之, 原 健太朗, 利野 靖, 益田 宗孝
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2591-2596
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,男性.腹痛と便秘を主訴に受診し,腸閉塞の診断で入院.職業歴でアスベスト曝露歴,既往歴で虫垂炎手術.その後2度,腸閉塞とイレウス解除術.腹部造影CTでは直腸,S状結腸,小腸の集簇,腸管の通過障害と血流障害が疑われた.腹痛と腹部膨満の増悪を認め,術後癒着性イレウス再発の診断で手術の方針となった.腹腔内は強固に癒着し,特に回盲部近くの小腸同士が強固に癒着しており,膀胱直腸窩は癒着で閉鎖していた.小腸部分切除と回盲部切除を行い,人工肛門造設を追加した.病理組織診断で上皮型悪性腹膜中皮腫と診断されたが,誤嚥性肺炎などの合併症により全身状態が改善せず,化学療法の導入を行えぬまま,入院第121日目に死亡退院された.悪性腹膜中皮腫は稀な疾患であり,確立した治療法は存在しないが,腸閉塞を契機として診断された症例の予後は著しく不良である.早期診断,治療法の更なる検討が必要であると考えられる.
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  • 渡辺 徹, 寺田 逸郎, 天谷 公司, 山本 精一, 加治 正英, 清水 康一
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2597-2601
    公開日: 2015/03/31
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    症例は82歳,男性.42歳時に直腸潰瘍にて直腸切除術,77歳時にストーマ脱にて人工肛門形成術の既往がある.2012年9月に腹痛と嘔吐を主訴に当院へ救急搬送され,癒着性イレウス・傍ストーマヘルニアの診断にて緊急入院となった.保存的加療にてイレウス軽快後,腹腔鏡下癒着剥離術並びにParietexTM Composite Parastomal Mesh(Covidien社)を用いた腹腔鏡下Sugarbaker法での傍ストーマヘルニア修復術を施行した.術後経過は良好であり第6病日に退院となった.
    傍ストーマヘルニアはストーマ造設晩期合併症の一つであり,従来の筋膜縫合閉鎖では根治性が低く,治療に難渋することが多い.メッシュを留置するテンションフリー手術でその再発率を低下させることが可能であり,より効果的に留置するためのアプローチとして腹腔鏡を用いた本法が有用と考えられた.
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  • 西原 実, 澤岻 安勝, 奥島 憲彦, 嵩原 裕夫
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2602-2605
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    妊娠週数が25週6日で出生体重が840gの超低出生体重児が左陰嚢ヘルニアで生後241日目に経鼠径管アプローチによる従来法で高位結紮と内鼠径輪縫縮術を受けた.その2カ月後に再発し,1歳8カ月時に再手術を行った.再発形式は,縫縮した内鼠径輪が開大し腹膜鞘状突起そのものをヘルニア嚢とする間接ヘルニアであった.従来のLPEC法に鼠径管後壁を補強するiliopubic tract repairを追加するAdvanced LPEC法を行い良好に経過している症例を経験したので報告した.Advanced LPEC法は,低出生体重児にみられる腹壁筋組織の発育が未熟で内鼠径輪が開大した鼠径ヘルニアでは再発防止の低侵襲性のハイクオリティな術式であることを述べた.
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  • 齋藤 敬弘, 大谷 聡, 佐藤 佳宏, 土屋 貴男, 伊東 藤男, 三浦 純一
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2606-2612
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    大腿ヘルニアは,しばしば嵌頓を起こすが,虫垂嵌頓は極めて稀である.大腿ヘルニア虫垂嵌頓を術前に診断し,腹腔鏡下に虫垂切除および大腿へルニア修復術を施行した1例を経験したので文献的考察を加え報告する.
    症例は77歳の女性.右大腿部の膨隆,痛みを主訴に来院.CTにて右大腿輪を通る腫瘤を認めた.冠状断にて索状物が盲腸から鼠径部の腫瘤へ連続していた.右大腿ヘルニア虫垂嵌頓と診断し手術を施行した.
    腹腔鏡にて右大腿輪へ虫垂嵌頓を確認した.腹膜外アプローチにて大腿輪へ到達.裂孔靱帯を切開し,ヘルニア嚢周囲を剥離し虫垂嵌頓を解除した.その際,発赤した虫垂が腹膜外腔に露出した.感染を危惧し,Mesh修復を見合わせ,大腿輪縫縮に留めた.次いで,腹腔鏡下に虫垂を切除した.
    4カ月後,二期的に腹腔鏡下大腿ヘルニア修復術を施行した.腹膜前腔を剥離しMeshを挿入した.術後の経過は良好であった.
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  • 佐藤 智仁, 鈴木 正彦, 浅羽 雄太郎, 三宅 隆史, 宇治 誠人, 水上 泰延
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2613-2616
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は38歳の女性.新生児腹壁破裂の既往があり,妊娠30週頃より上腹部正中の膨隆を自覚し当科へ紹介された.腹壁瘢痕ヘルニアと診断したが,症状を認めないため経過観察の方針とした.出産後,膨隆の増悪と圧痛のため当科を受診した.腹部造影CT検査にて正中創上端の皮下に,約2cm大の脂肪織の嵌頓とわずかな膿瘍形成を認めた.大網の嵌頓による膿瘍形成と考え,外来にて切開排膿・抗菌剤投与を行った.炎症が消退した時点で全身麻酔下に腹壁瘢痕ヘルニア根治術を施行した.手術所見にてヘルニア門に索状物の脱出を認め,炎症を伴った虫垂であることが判明した.以上より腸回転異常に伴う虫垂が,上腹部正中創のヘルニア門に嵌頓し随伴性炎症を合併したものと診断した.上腹部正中創腹壁瘢痕ヘルニアへの虫垂嵌頓症例は稀であり,本症例のように腸回転異常症を伴う場合には,脱出臓器の検索を含め慎重な術前評価が必要と思われた.
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  • 山寺 勝人, 神藤 英二, 上野 秀樹, 梶原 由規, 島崎 英幸, 山本 順司, 長谷 和生
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2617-2621
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は42歳,男性.肛門部痛を主訴とした骨盤内腫瘍にて当科へ紹介となった.直腸診では,肛門縁から5cmを下縁とする左後壁主体の壁外性腫瘤を触知した.骨盤造影CT検査では,仙骨前面やや左側に最大径5.5cmの境界明瞭,内部不均一で一部石灰化を伴う腫瘍を認めた.骨盤MRI検査で腫瘍は,T1で信号低下,T2で多彩な信号像を呈した.奇形腫または神経原性腫瘍が疑われたが悪性腫瘍も否定できず,経仙骨的腫瘍摘出術を施行した.切除された腫瘍は,58×48×41mm大で,多発する嚢胞性変化と,凝血塊を認めた.病理組織学的には,骨化を伴う良性神経鞘腫と診断された.骨盤内発生の神経鞘腫は頻度が低く,なかでも骨化を伴う神経鞘腫は極めて稀とされる.
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  • 若林 俊樹, 佐藤 勤, 大内 慎一郎, 小棚木 均
    75 巻 (2014) 9 号 p. 2622-2627
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は神経線維症1型(以下NF-1)の55歳,女性.健診で肝腫瘍を発見され当院に紹介された.腹部CT検査で,横隔膜・腎臓を圧排し,肝との境界が不明瞭な22×20cmの多房性嚢胞性腫瘍を認めた.また,十二指腸に直径3cmの多血性腫瘍を認めた.上部消化管内視鏡検査で,十二指腸第2部前壁に粘膜下腫瘍を認め,GISTと診断され,CT上での多血性腫瘍と部位は一致していた.CT上,十二指腸と嚢胞性腫瘍の位置関係から,嚢胞性腫瘍は後腹膜腫瘍であることが示唆された.術前に確定診断はできなかったが性状の違いからGISTの肝転移は否定的であった.手術所見で,後腹膜腫瘍は肝右葉に広範に癒着しており,肝後区域切除を併施した.十二指腸GISTに対しては十二指腸部分切除術を行った.病理学的に後腹膜腫瘍は褐色細胞腫と診断された.NF-1に褐色細胞腫とGISTを合併した報告は少なく,文献的考察を加え報告する.
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