日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
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76 巻 , 11 号
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原著
  • 野間 大督, 坂本 和裕, 五来 厚生, 益田 宗孝
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2623-2627
    公開日: 2016/05/31
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    背景:近年,ソラシックエッグ®(以下TE)を用いた外来気胸管理の有用性の報告が散見されるが,その適応を論じているものは少ない.方法:2005年8月~2014年3月に当科外来でTEを留置した150例を対象とし,有用性・安全性・適応基準について検討.結果:平均年齢31歳(14~81歳),初発:再発=99:51,軽度:中等度:高度=9:133:8.外来管理完遂率94.0%(141/150).TEで外来管理を行った延べ日数は600日で,TE外来管理率は82.1%(600/731).TE留置後の即日入院症例は9例で,肺虚脱進行:4例,両側気胸:1例,迷走神経反射:1例,その他:3例.結論:TEを用いた気胸管理により82.1%の日数が外来管理可能であった.安全面に十分な配慮があれば,高度気胸,高齢者にも用いることが可能であり,われわれが設定した適応基準は概ね有用である.
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  • 松村 卓樹, 蜂須賀 丈博, 柴田 雅央, 雫 真人, 末永 泰人, 坂田 和規, 倉田 信彦, 森 敏宏
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2628-2634
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    近年,腹壁瘢痕ヘルニアに対して再発率減少のため,人工物を用いたtension-free repairが主流となっている.人工物の留置部位として,腹腔内に留置する方法は腸管癒着や腸管損傷の可能性が危惧され,また,ヘルニア門が恥骨にかかる場合,十分な修復が困難になる.そのような理由から,当科では2005年4月より,meshを腹膜前腔に留置して修復するpreperitoneal mesh repair(以下,PMR法)を導入した.2005年4月から2014年4月までに施行した,PMR法60例について検討した.結果,手術時間は中央値100分,再発2例(3.3%),創感染を1例認めたが,mesh感染は認めなかった.その他合併症を7例に認めたが,いずれも保存的に軽快した.
    腹壁瘢痕ヘルニアに対するPMR法は有用な方法であり,腹壁瘢痕ヘルニア修復術の第一選択術になりうると考えられた.
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臨床経験
  • 藤原 一郎, 松崎 太郎, 菅野 兼史
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2635-2639
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    成人Nuck管水腫の多くは鼠径ヘルニアと診断され,鼠径部切開法による水腫摘出や鼠径ヘルニア手術が行われ腹腔鏡を用いた治療はこれまでほとんど報告されていない.われわれは,成人Nuck管水腫7例に対し腹腔鏡手術を行った.症例の平均年齢は46歳(24~83歳),患部は右側が4例,左側が3例,視触診上の鼠径患部の膨隆の大きさは平均3cm(2~5cm),画像検査での水腫の大きさは最大径の平均は2.4cm(1~3cm)であった.下腹部正中の3ポートによるtotal extraperitoneal laparoscopic hernia repair(TEP法)にて水腫の摘出とBARD Soft Mesh®によるヘルニア門の修復を行った.平均手術時間は97分(85~119分).水腫や腹膜の剥離は通常の鼠径ヘルニアと同様に比較的容易であった.この術式は有用であると考え,その手技を報告する.
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症例
  • 藤井 清香, 椎木 滋雄, 園尾 博司, 森谷 卓也
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2640-2644
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は35歳,女性.2週間前より右乳房腫瘤と疼痛を自覚し,前医を受診した.膿瘍形成を認め切開排膿を受けた.同時期に左足関節部の発赤,腫脹および疼痛が出現している.症状の改善はみられず,また下肢痛で歩行が困難になり当科を受診し,入院となった.入院後,抗菌薬治療を行ったが症状は改善しなかった.乳腺の針生検では肉芽腫性乳腺炎を考える所見であり,下肢の病変はそれに伴った脂肪織炎と考えた.プレドニゾロン30mg/日を内服開始すると,乳腺・下肢の症状は著明に減退した.経過中乳腺炎の再燃を認めたが,徐々にプレドニゾロンを減量し,治療開始後約1年8カ月で中止となった.その後,再燃なく経過している.
    肉芽腫性乳腺炎と脂肪織炎の同時発症はまれであり,文献的考察を加え報告する.
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  • 末岡 智志, 野間 翠, 松浦 一生, 板本 敏行, 西阪 隆, 秋本 悦志
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2645-2649
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,女性.3年前より左乳房痛を自覚し,徐々に増強したため当院受診した.左乳房AC領域に可動性良好な15mm大の腫瘤を触知し,腋窩リンパ節腫大は認めなかった.MMGにて左AC領域にカテゴリー4の境界不明瞭な腫瘤影を認めた.USにて左AC領域に14mm大の境界不明瞭,内部低~等エコーを示す腫瘤性病変を認めた.Halo(+),前方境界線断裂あり,カテゴリー5の診断で,乳頭腺管癌もしくは硬癌を疑った.ソナゾイド造影エコーで辺縁に強い不均一な造影効果を認めた.CNBで腺様嚢胞癌と診断され,左乳房温存術,センチネルリンパ節生検を施行した.病理所見は大小の胞巣の形成,索状の配列を示して浸潤性に増殖する腫瘍組織を認める腺様嚢胞癌との結果であった.また,腫瘍辺縁部に血管成分が多く,ソナゾイド造影エコーによる辺縁に強い造影効果は病理組織所見と一致した結果であった.
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  • 嶋田 昌彦, 石井 賢二郎, 関 博章, 安井 信隆, 坂田 道生, 松本 秀年
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2650-2653
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は57歳,女性.2008年2月,左乳癌(T1N1M0)のため乳房温存手術を施行し,術後補助療法としてtamoxifenを内服した.2年後,前胸部ならびに背部に皮下腫瘤を認め,生検により転移性腫瘍と診断した.その後,肝後区域に転移巣が出現し,さらに両側副腎転移を認めた.2014年7月,頻回の嘔吐と下痢を訴え緊急入院したが,保存的治療にて諸症状が軽快し4日目には軽快退院した.2014年9月,食欲不振,全身倦怠感が増悪し,著明な体重減少(2カ月で12.6kg)を認め,再び緊急入院となった.顔面・手背・口腔粘膜の著明な色素沈着からAddison病を疑い,hydrocortisone投与により諸症状は劇的に改善した.ACTHを負荷してもコルチゾールの上昇は認められなかった.副腎転移を伴う乳癌患者はしばしばみられるが,両側副腎転移を認める場合はAddison病を念頭に置いた鑑別が必要である.
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  • 橋本 一樹, 波々伯部 絵理, 木川 雄一郎, 松岡 亮介, 今井 幸弘
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2654-2659
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    炎症性乳癌と鑑別を要した肺癌乳房転移の稀な1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
    症例は64歳,女性.右肺腺癌(cT1aN3M1b)に対し化学療法中に右乳房全体の発赤と腫脹を認め当科受診となった.当科初診時の胸部造影CT検査で右腋窩リンパ節腫脹と右乳房皮膚,皮下軟部組織の腫脹を認めた.右乳腺内に明らかな腫瘤像は認めなかった.炎症性乳癌もしくは肺癌乳房転移を疑い右乳房皮膚生検を行った.病理検査所見は真皮,皮下組織内のリンパ管内に異型細胞を認め,一部で脂肪組織内に浸潤を認めた.免疫染色にてTTF-1陽性・ER陰性であり,肺癌乳房転移と診断した.
    化学療法を継続したが,肺癌診断から27カ月後に原病死された.医学中央雑誌にて,検索キーワード「転移性」「炎症性乳癌」にて検索したところ,本邦における炎症性乳癌様の乳房転移の報告例は14例のみで非常に稀であった.
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  • 武岡 奉均, 高見 康二, 大宮 英泰, 眞能 正幸, 小澤 健太郎, 関本 貢嗣
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2660-2664
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,女性.肝血管腫の経過観察中に施行したMRIで,前縦隔に異常影を認め当科へ紹介された.胸部造影CTで前縦隔の一部に造影効果を示す径16mmの腫瘤影を認め,MRIではT1WIで筋肉と等信号,T2WIでやや高信号,short T1 inversion recovery (STIR)では著明な高信号を示し血管腫が疑われた.さらに,顔面・頸部・体幹・四肢に皮膚血管腫を認め,青色ゴムまり様母斑症候群(blue rubber bleb nevus syndrome:BRBNS)の可能性が示唆された.前縦隔腫瘤影に対し,胸腺腫を念頭に診断的治療として手術の方針としたが,鑑別診断として血管腫も挙げられた.胸腺全摘術を施行し病理組織学的に胸腺内血管腫と判明した.さらに,消化管内視鏡検査および頭部MRIで食道および小脳にも血管腫を認め,BRBNSと診断した.胸腺内血管腫を合併したBRBNSはまれと考え報告する.
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  • 西原 悠樹, 石川 進, 片山 康, 三島 秀樹, 松永 裕樹, 大島 哲
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2665-2668
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    55歳,男性.他院にて腹部腫瘤の精査目的で単純CT検査を施行し,腹部大動脈瘤の診断で当院に紹介受診となった.来院時,症状は特になく左側腹部を中心に超手拳大の拍動性腫瘤を認めた.造影CTにて瘤径16cmの腹部大動脈瘤と左尿管圧迫に伴う左水腎症,左総腸骨~内腸骨動脈瘤を認めた.瘤径が大きく炎症反応の上昇,腎機能の悪化があったため,緊急に人工血管置換術を施行した.術中所見では瘤壁内に多量の陳旧性白色血栓があったが,破裂の所見はなかった.手術時間は2時間47分,出血量は166mlであった.術後は軽度の麻痺性イレウスをきたしたが,第25病日に退院となった.
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  • 下村 雅律, 石原 駿太, 藤原 郁也, 岡山 徳成, 永田 啓明, 多加喜 航
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2669-2673
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    68歳,女性.2011年5月に交通事故で当院を受診し,その際の胸部CTにて左肺S10領域に径7mmの小結節を認めた.徐々に増大傾向であり,気管支鏡および経皮的針生検を施行したが確定診断に至らなかった.2014年4月に手術目的で当科紹介となる.
    CTで径46mmの腫瘤性病変を左肺S10に認めた.FDG-PETでは同部位に一致した集積が見られた.原発性肺癌の可能性が否定できないため,胸腔鏡補助下左肺下葉切除術を行った.術中迅速診断では,形質細胞とリンパ球の高度の浸潤が見られたが悪性所見は認めなかった.病理組織診断により炎症性偽腫瘍と診断された.肺炎症性偽腫瘍は多くの場合術前診断が困難であり,外科的切除により初めて診断可能となることが少なくない.今回,3年間の経過観察により増大し,悪性腫瘍との鑑別が困難であった肺炎症性偽腫瘍の1切除例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
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  • 市原 智史, 長阪 智, 山道 尭, 横手 芙美, 内田 嚴, 喜納 五月
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2674-2678
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    後腹膜平滑筋肉腫はまれな軟部腫瘍で,切除後比較的早期に再発をきたす.今回,切除6年後に出現した後腹膜平滑筋肉腫肺転移の1例を経験した.症例は76歳,女性.当科紹介の7年前に径4.5cmの右後腹膜平滑筋肉腫に対して切除術を受け,経過観察されていた.術後6年目の胸部CTで右肺下葉に径4mmの結節影が出現し,増大し当科紹介となった.他に異常陰影は認めず,診断治療目的で外科的切除の方針とした.胸腔鏡下右肺部分切除術により径8mmの腫瘍を含む下葉一部を切除した.病理組織検査で,多形性平滑筋組織の増生を認め,免疫染色α-SMA・desminともに陽性で,後腹膜平滑筋肉腫肺転移と診断した.術後6カ月間新たな再発なく経過中である.後腹膜平滑筋肉腫の長期無再発期間を経てからの肺転移はまれである.平滑筋肉腫の臨床像は多様で新たな再発の可能性もあり,厳重な経過観察が必要である.
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  • 土屋 和彦, 永田 真知子, 芦谷 博史, 岡 成光, 藤井 美樹
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2679-2683
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,女性.主訴は右季肋部痛,15年前より糖尿病でインスリン治療を受けている.CT検査で肋骨の骨破壊像を認め,肋骨骨髄炎・肋骨周囲膿瘍と診断した.局所麻酔下ドレナージと洗浄を行うも改善せず,全身麻酔下に局所の肋骨と膿瘍腔切除を施行したが再発を繰り返した.最終的に病巣部を含めた胸腹壁と横隔膜の部分切除,腹直筋皮弁充填術を施行し良好な経過をたどった.
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  • 高須 香吏, 中山 中, 増尾 仁志, 唐澤 文寿, 窪田 晃治, 竹内 信道
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2684-2688
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は79歳,男性.歩行中に転倒し,左側腹部を強打した.翌日,近医にて左第12肋骨骨折と診断され,経過観察とされた.受傷6日後,突然の腹痛・嘔気のため救急搬送された.CTにて脾臓からの造影剤血管外漏出,腹腔内大量出血,左血胸が認められた.ショック状態で,急速輸液・輸血への反応は乏しく,遅発性脾破裂の診断で脾摘術を施行した.術中,大網をヘルニア内容とする外傷性横隔膜ヘルニアを認めた.胸腔内には血胸を認めたものの,肺損傷も胸壁損傷も認めず,横隔膜を縫合した.
    遅発性脾損傷は鈍的脾損傷の0.3~1.7%,外傷性横隔膜ヘルニアは鈍的外傷の約0.8~1.6%に生じる,比較的稀な疾患である.今回,われわれは遅発性脾破裂と外傷性横隔膜ヘルニアを併発した1例を経験した.速やかに手術を行い,良好な経過が得られた.
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  • 坂本 里紗, 高川 亮, 木村 準, 牧野 洋知, 國崎 主税, 遠藤 格
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2689-2694
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    65歳,女性.乳癌術後6年目の無再発経過観察中のPET-CTで,上部食道に異常集積を認め紹介となった.上部消化管内視鏡検査・上部消化管造影検査で,門歯より25cmの胸部上部食道前壁に35×15mmの粘膜下腫瘍を認めた.穿刺吸引細胞診でKIT陽性のため,gastrointestinal stromal tumor(GIST)の診断で切除の方針となった.手術は左側臥位で5portによる完全鏡視下で行った.腫瘍は壁外発育型であり,腫瘍周囲を剥離し摘出した.半腹臥位で欠損した食道外膜と筋層を縫合閉鎖し,術中内視鏡で狭窄のないことを確認した.術後第9病日に退院した.病理結果はKIT陽性,MIB-1 index 5%未満,Flecher分類低リスクのGISTであった.食道GISTは比較的稀であり,本邦で完全鏡視下で切除した報告は少ない.若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 藤枝 裕倫, 深谷 昌秀, 宮田 一志, 酒徳 弥生, 梛野 正人
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2695-2700
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    67歳,男性.胸部下部食道癌に対し,胸腔鏡補助下食道亜全摘術,胸骨後経路胃管再建を施行し,術後補助化学療法5-fluorouracil(5FU)・cisplatin(CDDP)併用療法(以下FP療法)を2コース施行した.術後1年3カ月で,縦隔リンパ節・腹腔内リンパ節再発あり,放射線化学療法(FP療法(5コース)+放射線60Gy)を行いCRとなった.術後2年10カ月で多発肺転移が出現し5FU/Nedaplatin(NDP)療法を7コース施行し,CRとなった.術後4年9カ月で,小腸間膜リンパ節再発あり,5FU/NDP療法を再開したが,視野狭窄・ふらつきがみられ,頭部CT検査を施行.左後頭葉に腫瘍性病変がみられ,開頭腫瘍摘出術,定位照射を施行.その後paclitaxel療法を行い,CRとなり化学療法を中断した.全治療終了より2年経過したが,CRを維持し,集学的治療により長期生存が得られている.
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  • 最所 公平, 末吉 晋, 津福 達二, 永松 佳憲, 光岡 正浩, 赤木 由人
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2701-2705
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は55歳,女性.呼吸困難を主訴に来院した.CTで胸部上部から中部食道に壁肥厚を認め,左気管支を著明に圧排していた.上部消化管内視鏡検査で切歯より20cmの食道に1/3周性の2型病変を認めた.進行食道癌cT4(気管支)N2M0 Stage IVaと診断した.左右気管支が狭窄し呼吸困難に陥っていたため,気管分岐部にシリコン性Y字型ステントを留置し,気道を確保した.呼吸状態の改善後,化学放射線療法を施行した.腫瘍は縮小したが,約2カ月後に食道気管瘻をきたしたため,カバー付き食道ステントを留置した.ダブルステントとなって1カ月程度は自宅で問題なく生活していたが,繰り返す肺炎や癌の進行のため,ダブルステント留置後228日目で永眠となった.ダブルステント留置後Performance Status(PS)が改善し,食事摂取が可能となった1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
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  • 吉屋 圭史, 中島 雄一郎, 大垣 吉平, 佐伯 浩司, 沖 英次, 前原 喜彦
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2706-2711
    公開日: 2016/05/31
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    症例は72歳,男性.喉のつかえを主訴に当院を受診し,胸部上部食道後壁を主体に2型腫瘍(生検:中分化型扁平上皮癌)と上縦隔リンパ節転移を認め,食道癌(cT3N1M0,cStage III)の診断となった.術前治療後に根治手術の方針となり,化学放射線療法(5-FU+シスプラチン,総線量41.5Gy)療法を施行し,原発巣とリンパ節転移巣の著明な縮小を確認した(ycT3N0M0,ycStage II).治療終了2週間後に発熱が出現し,CT検査にて十二指腸と後腹膜,腸管膜に広範な脂肪濃度の上昇や小結節影を認めた.審査腹腔鏡にて食道癌の腹膜播種を組織学的に確認し,胃空腸バイパス術を施行した.化学療法を希望されず,術後6週目に癌死した.胸部上部を主座とする食道扁平上皮癌が腹膜播種を単独できたすことは極めて稀であるが,腹膜播種の可能性を念頭に入れた全身検索の必要性が考えられた.
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  • 荒木 一兵太, 田島 隆行, 坂本 いづみ, 大谷 剛正, 細田 桂, 渡邊 昌彦
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2712-2716
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は82歳の男性で,腹痛のため5年前から計3回の入院精査が行われたが原因不明であった.今回同様の腹痛が出現し,近医での腹部単純X線検査で大量の腹腔内遊離ガスが認められ,当院に搬送された.消化管穿孔の診断で試験開腹術を施行したところ,胃体上部小弯に微小な穿孔部を認め,胃局所切除術を施行した.切除標本から微小な胃潰瘍性病変が原因と考えられるvalvular pneumoperitoneumと診断した.
    Valvular pneumoperitoneumとは,微小な消化管穿孔部からガスが腹腔内に流出し,その周囲組織が弁の働きをしてガスの流出が止まり,気腹症になる状態である.診断がつかないまま再発を繰り返している例もあると考えられ,本症例のように開腹術により確定診断に至る例もあるため,原因不明の腹腔内遊離ガスを繰り返す症例には外科的治療が有用であると考えられた.
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  • 山口 直哉, 鶴岡 琢也, 東島 由一郎, 谷村 葉子, 澤崎 直規
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2717-2723
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は腹腔鏡補助下幽門保存胃切除の既往を持つ53歳の女性.腹痛を主訴に来院し癒着性サブイレウスと診断された.消化管造影検査では,小腸に狭窄や閉塞所見を認めず速やかに結腸への造影剤流出を認めた.しかし,食事開始後に腹痛再燃し絶食で腹痛改善というエピソードを繰り返した.再検したCTで腸管内にスポンジ様に含気した低濃度腫瘤様所見を認め,初回CTの再検討でも同様の所見を認めていたことが判明したため食餌性イレウスと診断し手術を行った.手術は腹腔鏡補助下で行い,小腸に切開を加え閉塞物を摘出した.5.5×4×4cmの柿胃石によるイレウスと診断した.幽門保存胃切除術後は胃石の発生率が高いものの,幽門が残存するため本例のような胃石によるイレウスはまれであり,どちらも腹腔鏡手術を施行した報告例は本邦初と思われる.
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  • 植田 吉宣, 進藤 廣成, 安達 登, 山根 貴夫, 齋藤 元伸, 亀岡 信悟
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2724-2728
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は13歳,女児.急性の心窩部痛・吐血から意識障害をきたし,ショックの状態で当院へ救急搬送された.腹部CTでは大量の腹水およびfree airを認め,消化管穿孔による汎発性腹膜炎と診断し救命処置を行ったが救命できなかった.剖検したところ,胃底部前壁に約1.5×1.3cmおよび1.3×1.0cmと2箇所の破裂部位を認めた.破裂原因は不明であり,特発性胃破裂による汎発性腹膜炎およびショックによる死亡と診断した.本症例は胃底部の特発性胃破裂と考えられる病態による急激な転帰で死亡に至った例であり,非常に稀な症例と思われるため若干の文献的考察を踏まえ報告する.
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  • 津村 亜矢子, 瀧藤 克也, 堀田 司, 尾島 敏康, 渡邊 高士, 山上 裕機
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2729-2734
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,男性.腹部膨満,食欲不振,嘔吐を認め受診した.腹部エックス線検査で小腸の拡張を認めたが水分の摂取は可能であった.経腸栄養など保存的加療を行ったが症状の改善を認めなかった.小腸腫瘍を疑い小腸切除を予定した.手術では拡張と発赤を伴う菲薄化した小腸を140cmにわたり認め,同部位の小腸を切除した.切除小腸では粘膜面に多数の潰瘍病変と粘膜下血腫を認めた.病理組織診断でAL型アミロイドの腸管壁沈着を認め,アミロイドーシスの診断に至った.骨髄検査で本態性M蛋白血症(MGUS)の診断に至った.AL型アミロイドーシスでは化学療法が勧められるが,本症例では手術により症状改善を認めたこと,致死的病変を認めないこと,化学療法による副作用を考慮して,経過観察を行っている.術後3年が経過したが消化管症状の増悪はない.
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  • 佐藤 悠太, 黒木 嘉人, 工藤 浩, 林 弘賢
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2735-2739
    公開日: 2016/05/31
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    Blind loop syndromeは腸管吻合術後の合併症で,側々吻合部に多く発生する.今回,S状結腸切除術後の機能的端々吻合部にblind loop syndromeが発生した症例を経験した.66歳の女性が他院で腹腔鏡補助下S状結腸切除術を受けた.再建は機能的端々吻合(semi-closed法)で行われた.術後4年4カ月で左側腹部の腫瘤,腹痛,便秘を主訴に当院を受診した.吻合部腸管が嚢状に拡張し,内部に巨大な便塊の嵌頓を認めた.機能的端々吻合部に発生したblind loop syndromeと診断し,吻合部を含めて腸管切除を行い,手縫いによる端々吻合で再建を行った.Blind loop syndromeは腹腔鏡下手術後の機能的端々吻合部に発生し得るため,術後患者が便通異常を訴える場合は本疾患も考慮すべきである.
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  • 小野 賀功, 大原 守貴, 菊池 剛史, 康 祐大, 君塚 圭, 三宅 洋
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2740-2744
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    重症偽膜性腸炎に対しては早期の外科手術が推奨されているものの,手術例の死亡率は24-80%とその予後は不良である.大腸全摘もしくは亜全摘が推奨されているが,術式は十分に確立されていないのが現状である.今回,結腸左半切除で右側結腸を温存し救命しえた1例を経験した.症例は82歳の男性.市中肺炎の治療に抗菌薬を使用した後に下痢が出現した.近医を受診し偽膜性腸炎の診断でmetronidazoleによる治療を開始したが,腹痛と腹部膨満が出現したため当院を受診した.内科入院後に下血が見られ,白血球数が著増,画像検査で巨大結腸の所見を認め,さらにSIRSも呈したため外科へ紹介.重症偽膜性腸炎と診断し緊急手術を行った.右側結腸には異常所見を認めなかったため結腸左半切除術を行い,横行結腸を単孔式人工肛門とした.術後,septic shockとDICを呈したが幸い治療に反応し救命できた.
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  • 岐部 晋, 前山 良, 仲田 興平, 本下 潤一, 許斐 裕之, 大城戸 政行, 一宮 仁
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2745-2748
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,稀な特発性腸間膜血腫の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.症例は56歳,男性.2014年11月に突然の腹痛と嘔吐を主訴に当院を受診した.視触診で腹部膨満と下腹部全体の圧痛を認めた.腹部造影CT検査ではS状結腸間膜に約10cmの血腫を認め,造影剤の血管外漏出像を認めた.血管造影検査ではS状結腸の直動脈から造影剤の血管外漏出像を認めた.コイルによる血管塞栓を試みたが困難であり,手術を施行した.腹腔鏡下で観察を行うと,腹腔内には多量の血液が貯留し,S状結腸間膜は血腫のため著明に腫大していた.腹腔鏡下では出血点の確認が困難であり,開腹術に移行した.腸間膜内の血腫を除去すると,直動脈から活動性の出血を認めたために結紮止血した.腸管壁は菲薄化し虚血に陥っていたためS状結腸を部分切除し,Hartmann手術を施行した.病理組織検査で血管病変や悪性所見を認めず,特発性腸間膜血腫と診断した.
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  • 宮城 良浩, 堤 綾乃, 堤 真吾, 赤松 道成, 比嘉 宇郎, 照屋 淳
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2749-2753
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は56歳,女性.幼少時から完全内臓逆位症を指摘されていた.検診で便潜血陽性のため近医で大腸内視鏡検査を施行したところ,上行結腸に径4cm大の側方発育型腫瘍(laterally spreading tumor;以下LST)を指摘され,根治手術目的に当科紹介となった.3D-CT画像で脈管系に逆位以外の変異がないことを確認したうえで,腹腔鏡補助下結腸切除術を施行した.術後経過は良好であり,術後11日目に退院となった.病理組織検査で腫瘍は高分化腺癌,fTis(M),fN0,fH0,fM0,fP0,fStage 0の診断であった.3D-CTは血管奇形の有無やvariation,消化管の位置・支配血管を事前に把握でき,内臓逆位症のような患者で腹腔鏡下手術を施行する際には非常に有用であると考えられた.
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  • 中平 啓子, 植木 秀功
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2754-2759
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,女性.右側腹部痛を主訴に初診.CTで肝下面-右腎-上行結腸間に嚢胞状の腫瘤があり,当初は肝嚢胞の出血と判断された.その後の精査で上行結腸壁に腫瘤を伴う横行結腸癌と判明し,結腸右半切除術を施行した.切除標本では横行結腸の癌は33×30mm大,4型の腫瘍でpT4a(SE),主に低分化腺癌像を呈していた.上行結腸壁の腫瘤は線維化を伴う35mm大の漿膜下血腫で,血腫線維組織内に癌の転移巣を認めた.本症例は結腸癌の結腸への転移巣における血腫形成を契機に発見された稀な症例であり,若干の文献的考察を加え報告した.
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  • 鳥谷 建一郎, 渡辺 一輝, 奈良 智之, 野家 環, 古嶋 薫, 針原 康
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2760-2763
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,女性.食欲低下と嘔気の精査で下部内視鏡検査を施行したところ,S状結腸に半周性の周堤を有する2型病変を認め,S状結腸癌と診断した.術前3Dimension-CT angiography(以下3D-CTA)で馬蹄腎があり,左総腸骨動脈から左腎,右総腸骨動脈から右腎,大動脈の下腸間膜動脈の分岐部3cm下から腎峡部の3本の過剰腎動脈を認めた.大腸癌 S,Circ,2型,cT3(SS),cN0,cH0,cP0,cM0,cStage IIの術前診断で,腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した.手術前の血管撮影像を参考にすることで安全に手術が可能であった.術中の誤認を防ぐためには術前に3D-CTAを施行し,これら過剰腎動脈と下腸間膜動脈,腎臓の正確な位置関係を把握する必要がある.
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  • 井川 理, 山口 明浩, 柿原 直樹, 藤井 宏二, 谷口 弘毅, 竹中 温, 桂 奏
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2764-2768
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,女性.2年前に直腸S状部癌に対して腹腔鏡下高位前方切除を施行されていた.2年後の定期フォローアップ検査の腹部超音波検査と単純CTで,左下腹部のポートサイト創部直下に腹腔内腫瘤を認めた.FDG-PET/CTではSUV値1.4と軽度の集積を認め,ポートサイト腹膜転移と診断した.他の部位の再発所見を認めないため,開腹による切除術を施行した.病理組織所見では好中球浸潤を伴う壊死組織内にアニサキスの虫体を認めた.腸管外アニサキス症では無症状で経過する例があり,頻度は低いが腹部超音波やPET-CTで偶然見つかった腹腔内腫瘤では念頭に置くべきと考えられた.
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  • 高橋 啓, 林 昌俊, 栃井 航也, 小久保 健太郎, 丹羽 真佐夫
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2769-2773
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,男性.排便時の出血を主訴に当院を受診した.下部消化管内視鏡検査で直腸Rbに3/4周性2型病変を認め,生検で低分化腺癌と診断した.腹部CTでは傍大動脈リンパ節の腫大と左尿管狭窄を認めた.Stage IV直腸癌と診断したが,腸閉塞回避のため双孔式人工肛門造設術を施行した.手術中にサンプリングした傍大動脈リンパ節には低分化腺癌の転移を認めた.術前より白血球15,500/μlと上昇を認めていたが,術後に白血球の漸増を認め,術後10日目で白血球53,600/μlとなった.血中G-CSF濃度は280pg/mlと高値で,転移リンパ節の免疫組織化学染色でG-CSFが弱陽性であり,G-CSF産生直腸癌と診断した.FOLFOX6・Bevacizumab併用療法を2コース施行したが,多発肝転移・多発リンパ節転移が出現し,術後2カ月で癌死した.G-CSF産生直腸癌は予後不良であり,文献的考察を加えて報告する.
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  • 吉田 純, 二又 泰彦, 岡部 正之, 野口 純也, 永田 淳
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2774-2781
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,男性.2010年8月から心窩部痛を認め,近医を受診し,急性胆嚢炎を疑われ,同月に当科紹介受診された.採血にて,肝機能や胆道系酵素の上昇は認めないものの炎症所見を認めた.MRCP検査と腹部造影CT検査で,肝内胆管の軽度拡張と総肝管の狭窄を認めたが,明らかな腫瘤影は認めなかった.ERCP施行したが,胆嚢は描出されず,総肝管の狭窄部は壁外性の圧排が示唆された.MD-CTとDIC-CTによる3D統合画像で確認したところ,胆嚢動脈が総肝管を背側へ圧排していた.胆嚢炎が完全に悪性も否定出来なかったため,同年9月,開腹胆嚢摘出術を施行した.術中所見は3D統合画像と同様であった.病理組織診断は,慢性胆嚢炎であった.本症例のように,胆嚢動脈による肝外胆管狭窄は極めて稀で,術前の3D-CTで診断しえたという報告例は認めなかったので若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 武居 亮平, 中沼 伸一, 林 泰寛, 田島 秀浩, 高村 博之, 太田 哲生
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2782-2787
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,女性.C型肝硬変を背景とした肝S6の肝細胞癌に対して外科治療目的に当科に紹介された.解離性胸腹部大動脈瘤の偽腔開存に伴う線溶亢進型の播種性血管内凝固症候群(Disseminated Intravascular Coagulation;以下DIC)の状態であった.出血時間の延長も認めたため,DICに対して術前にメシル酸ナファモスタット投与による抗線溶療法を開始した.治療により凝固異常の改善を認めたため手術可能と判断し,抗線溶療法継続下に開腹下肝部分切除術を施行した.術後も抗線溶療法を継続し,周術期を通して出血性合併症や血栓性合併症を認めず,経過良好で退院した.凝固系マーカーをモニターしながら抗線溶療法を施行することで,安全な外科手術が可能であった.
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  • 高橋 大二郎, 小泉 大, 松本 志郎, 木口 英子
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2788-2793
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は55歳,女性.受診前日に腹部を蹴られ,腹痛が出現した.翌日になっても改善しないため当院救急外来を受診した.腹部CT検査で胆嚢内に造影剤の漏出を認め,外傷性の胆嚢出血と診断した.胆嚢穿孔や他臓器損傷を認めなかったため,保存的治療を選択した.しかし,遅発性の胆嚢炎を発症し,入院後第6病日に開腹胆嚢摘出術を施行した.術後経過は良好で術後第6病日に退院した.腹部鈍的外傷による穿孔のない胆嚢出血は稀な病態であり報告例は稀である.報告例では,治療は多くの症例で手術が行われていたが,最近では保存的治療の報告も散見される.しかし,本症例のように血腫による遅発性胆嚢炎や胆道閉塞をきたす可能性があり,常に手術治療に移行できる準備をして経過観察することが必要である.胆嚢穿孔を伴わない鈍的外傷性胆嚢出血の1例を経験したので報告する.
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  • 川添 准矢, 山本 秀和, 矢澤 武史, 原田 英樹, 財間 正純, 武内 英二
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2794-2799
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,男性.急性閉塞性化膿性胆管炎の診断で緊急入院となり,内視鏡的ドレナージ不成功であったため経皮経肝胆道ドレナージを施行した.胆道造影では遠位胆管狭窄を認め,胆汁細胞診が陽性であったことから遠位胆管癌を疑い,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的には胆管狭窄の原因は胆管上皮過形成によるものであったが,その一部に上皮内癌の所見を認めた.胆管における上皮過形成の癌化については,本邦ではこれまでにほとんど報告がなかった.本症例は,胆管上皮過形成から胆管癌が発生するプロセスを示唆する貴重な症例と考えられる.
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  • 小林 祐太, 竹村 信行, 河合 隆治, 隈本 力, 三木 健司
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2800-2805
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    患者は87歳,男性.8年前のCTで膵体部前面に分枝型IPMN(intraductal papillary mucinous neoplasm)と思われる2cm大の嚢胞性病変を認めていた.今回,突然の上腹部痛を発症し,著明な白血球・CRPの上昇を認めた.造影CTで膵体部前面に多房性の嚢胞と,嚢胞周囲の脂肪織の混濁および腹水の貯留を認めたため,IPMNの破裂による腹膜炎と診断し緊急手術を行った.開腹所見では,腹腔内に混濁した腹水が存在し網嚢内に膿汁が充満していた.さらに,網嚢とつながる膵体部に径3cmの嚢胞性病変を認めた.腹腔内の洗浄ドレナージと膵体尾部切除術を施行した.病理組織診は非浸潤性のIPMC(intraductal papillary mucinous carcinoma)であった.
    IPMNの破裂は稀な病態であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 山田 翔, 前田 一也, 道傳 研司, 服部 昌和, 橋爪 泰夫, 海崎 泰治
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2806-2810
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,男性.腹痛を主訴に紹介医を受診し,腫瘍による閉塞性膵炎の診断で入院となった.ERCP施行時にVater乳頭より活動性の出血を認めたため,精査目的に当院に紹介となった.画像では膵頭部に30mm大の多血性腫瘤を認めた.貧血の進行があり,下膵十二指腸動脈に対して塞栓術を施行した.以上,膵癌疑いにて膵頭十二指腸切除,リンパ節郭清D2を施行した.切除標本の肉眼所見は4.2×2.3×2.0cmの嚢胞性腫瘤を認めた.病理組織検査では,背景は分枝膵管型IPMNから構成されていた.膵管および膵実質に浸潤する乳頭状腺癌,繊維肉腫様の細胞を認めた.以上より,分枝膵管型IPMN内に発生した膵癌肉腫と診断した.非常に稀な膵癌肉腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を含めて報告する.
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  • 廣津 周, 落合 秀人, 深澤 貴子, 稲葉 圭介, 松本 圭五, 鈴木 昌八
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2811-2816
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は52歳,女性.胃潰瘍で近医通院中に心窩部痛・背部痛・食欲低下があり,腹部USで膵腫瘍を指摘され紹介となった.CTでは膵全体に14cm大の濃度不均一な多血性,分葉状の腫瘍を認めた.腫瘍は脾門部と左側大網の静脈内に腫瘍栓を形成し,上腸間膜静脈への浸潤も疑われた.また左腎静脈を圧排,左副腎への浸潤が疑われた.膵神経内分泌細胞腫瘍を疑い,リンパ節郭清を伴う膵全摘,門脈合併切除再建術を施行した.術中所見で左副腎および左腎静脈への浸潤が疑われ,左副腎と左腎を合併切除した.切除標本の病理組織所見では,異型細胞が索状・胞巣状,一部で腺房状構造を呈して密に増殖していた.免疫染色および電顕所見も膵腺房細胞由来を示し,膵腺房細胞癌と診断した.術後は血糖コントロールも含めて概ね良好に経過し,術後46日目に退院となった.術後14カ月経過し無再発生存中であるが,今後も再発に対する厳重な経過観察が必要である.
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  • 山口 拓朗, 坂部 龍太郎, 長谷 諭, 田原 浩, 布袋 裕士, 前田 佳之
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2817-2823
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,男性.全身倦怠感を主訴に近医を受診し,血液検査で白血球数とCRPの上昇を指摘され,精査加療目的に当院紹介となった.来院時の血液検査で白血球数12,030/μl,CRP 16.6mg/dlと上昇を認めた.造影CTで骨盤内右側に6×3cm大の辺縁に造影効果を伴う液体貯留を認め,膿瘍形成が疑われた.2カ月前のCTで同部に造影効果を伴い拡張した右精管を認め,精管炎が示唆された.骨盤内の膿瘍は精索膿瘍が最も疑われた.抗菌薬投与による保存的治療を開始したが反応に乏しく,第4病日に開腹膿瘍ドレナージ術を施行した.術中に提出した膿よりActinomyces属が同定された.第18病日(術後14日目)に炎症反応の再燃を認めたが,抗菌薬投与を必要とせず改善を認め,第27病日(術後23日目)退院となった.稀な疾患とされる精索膿瘍の1例を経験したため報告する.
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  • 谷口 嘉毅, 赤丸 祐介, 森本 芳和, 安政 啓吾, 河野 恵美子, 山崎 芳郎, 吉田 康之, 春日井 務
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2824-2830
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,男性.主訴は腹部膨満.CT検査で左後腹膜腔にS状結腸を右側へ圧排して存在する長径30cmの巨大腫瘍を認めた.腫瘤内部は充実性部分と,脂肪成分である低吸収部分で構成されていた.脂肪肉腫の疑いで手術を施行し,肉眼的遺残なく全摘出した.腫瘍の大きさは30×20×15cmであり,重さは4,100gであった.病理組織診断の結果,高分化型・粘液型・多形型の3つの組織像の腫瘍が概ね1:1:1の割合で併存する混合型脂肪肉腫であった.脂肪肉腫はWHOの組織型分類で4種類の組織型に分けられているが,そのうち2種以上の組織型からなる混合型は比較的まれであり,3種以上の組織型が共存する症例はさらに頻度が少ない.今回われわれは,3種の異なる組織型で構成された混合型後腹膜脂肪肉腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 伏見 卓郎, 吉岡 貴裕, 松本 朝子, 村田 年弘, 上塚 大一, 宇田 征史
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2831-2835
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は92歳,女性.嘔吐・腹痛を主訴に救急外来受診.開腹歴なし.CT検査では縦隔内に脱出した拡張腸管を認め,脱出腸管により心臓は圧排されていた.脱出腸管の腸間膜は浮腫状に変化しており,脱出腸管が食道裂孔に嵌頓していると判断した.イレウス管造影ではTreitz靱帯から約20cm肛門側で完全狭窄の所見を認め,内ヘルニアによる嵌頓と判断し緊急手術を施行した.術中所見では横行結腸間膜に3cm大の裂孔を認め空腸が嵌頓していた.食道裂孔は6cm大で嵌頓腸管が食道裂孔を経て縦隔内に脱出していた.横行結腸間膜裂孔ヘルニア嵌頓と診断した.嵌頓を整復後,横行結腸間膜裂孔を閉鎖した.嵌頓腸管に壊死所見はなく,腸管切除は行わなかった.横行結腸間膜裂孔ヘルニアは比較的まれな内ヘルニアであり,症例報告が散見されるが,今回本邦報告例を検索した限りでは,嵌頓腸管が食道裂孔を経て縦隔内に嵌入した報告はない.
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  • 西村 潤也, 寺岡 均, 北山 紀州, 埜村 真也, 野田 英児, 西野 裕二
    76 巻 (2015) 11 号 p. 2836-2841
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は63歳の男性で,右鼠径ヘルニアに対して2013年8月に腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術を施行した.同年10月より右鼠径部の膨隆を自覚したため外来受診し,CTにて創部に膿瘍形成を認め術後感染と診断した.保存的加療では軽快せず,同年11月に手術を施行した.鼠径部からのアプローチにて膿瘍腔を開放し,壊死組織の除去および洗浄を行ったが,膿瘍腔とメッシュは接しておらず,メッシュの摘出は行わなかった.術後,創部に留置したドレーンを用いて洗浄を継続するも軽快せず,2014年1月に腹腔鏡下でのメッシュ除去術を施行した.メッシュは周囲組織と強固に癒着しており摘出に難渋した.術後,創部感染は速やかに改善し,現在までヘルニアの再発も認めていない.
    今回われわれは,腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術後のメッシュ感染に対して,腹腔鏡下にメッシュ除去を行い根治しえた貴重な1例を経験した.
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