日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
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76 巻 , 12 号
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原著
  • 丸山 智宏, 須田 和敬, 大竹 雅広
    76 巻 (2015) 12 号 p. 2863-2868
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    目的:急性虫垂炎に対する保存的治療後の経過や再燃危険因子を明確にし,待機的虫垂切除術の適応ついて検討した.方法:2008年から2013年までに当院で保存的治療を行った急性虫垂炎114例を追跡調査し,再燃群と非再燃群に分け比較・検討した.結果:追跡調査が可能であった112例中,2例(2%)は待機的虫垂切除術が施行され,残りの34例(30%,再燃群)で再燃を認めたが,76例(68%,非再燃群)では再燃を認めなかった.最終的に手術を要したのは27例(24%)であった.虫垂径10mm以上の症例の割合は,再燃群で62%であり,非再燃群の35%に比べて,有意に高率であった(P=0.003).待機的手術は全11例が腹腔鏡下手術で行われ,開腹移行や術後合併症は認めなかった.結語:虫垂径10mm以上の腫大を認める症例では保存的治療後の再燃率が高いため,待機的虫垂切除術を行うことも考慮する必要があると考えられる.
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臨床経験
  • 小川 利久, 辻 英一, 林原 紀明, 丹羽 隆善, 多田 敬一郎
    76 巻 (2015) 12 号 p. 2869-2873
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    頸部手術の際,胸管損傷により発生する乳糜瘻の頻度は1.0-2.5%と報告されており,低頻度ではあるが起こりうる.しかし,本邦における報告は極めて限られていて,詳細は不明である.われわれが行った380例の甲状腺癌手術,頸部リンパ節手術症例を対象に検討した.頸部郭清を伴う甲状腺乳頭癌手術症例は314例で,うち5例(1.6%)に,また頸部リンパ節生検や摘出術は66例あり,うち2例(3%)に術後乳糜瘻が発生した.いずれも左側の頸部郭清やリンパ節生検であった.乳糜胸水を認め胸腔ドレナージを要した症例は2症例であった.治療は,軽度な症例は脂肪食制限のみで治癒したが,一方で再開創・胸管結紮を行い治癒した症例は5例あった.近年,オクトレオタイドによる全身治療で治癒した2症例を経験した.オクトレオタイドは安全で有効な治療法と思われた.
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  • 大久保 雄一郎, 竹内 透, 竹内 新治, 中野 正吾
    76 巻 (2015) 12 号 p. 2874-2879
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    目的:乳房温存手術切除標本における病理学的断端-腫瘍間距離を測定し,乳腺切除範囲の決定におけるCT-RVSの有用性を検討した.対象:乳房温存手術症例のうち,RVS導入前の50例(US群),RVS導入後の50例(RVS群)を対象とした.方法:US群,RVS群それぞれ病変部から2cmのマージンを加えて切除範囲とした.結果:断端-腫瘍間距離はUS群15.7±6.4mm,RVS群20.8±7.5mm (p=0.0003),断端陽性例はUS群8例(16%),RVS群4例(8%)であった.両群とも断端陽性例は乳管内進展やDCISなどの乳管内成分で同定困難な病変であった.結論:設定マージンとの誤差はUS群-4.3±6.4mm,RVS群0.8±7.5mmとRVS群で精度が向上,断端陽性例も減少傾向であり,乳房温存手術における切除範囲の決定にCT-RVSが有用であることが示唆された.
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  • 松本 崇
    76 巻 (2015) 12 号 p. 2880-2884
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    閉経後乳癌患者に対するアロマターゼ阻害剤の長期投与は骨代謝への影響が懸念されている.そこで,アナストロゾール(ANA)を5年間投与した患者について,その治療によって次の4群に分けて投与前と投与後の骨密度を検討した.N群(n=8):ANAのみを投与した群,V群(n=5):ANA投与中にビタミンD3製剤(Vit D)を併用した群,VB群(n=10):当初からVit Dを併用するも途中からビスフォスフォネート製剤(Bis)へ変更した群,B群(n=14):最初からBisを併用した群.5年後の骨密度変化率は,N群:-11.7%,V群:-14.1%,VB群:-6.5%,B群:+1.6%となっていた.VB群においてBisを途中から投与することにより骨密度減少の程度が改善され,さらにB群においては投与前の骨密度を保つことができた.以上より,Bisを併用することで骨密度の低下を予防できる可能性が示された.
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  • 山東 雅紀, 赤羽 和久, 田口 泰郎, 新宮 優二, 法水 信治, 坂本 英至
    76 巻 (2015) 12 号 p. 2885-2891
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    Bevacizumab併用化学療法は,無増悪生存期間の延長が報告されており,奏効率が高いことが知られている.当院でのbevacizumab+paclitaxel療法の治療成績と安全性について検討した.進行・再発乳癌の女性25例を対象とした.平均年齢は58歳.Luminal type/HER2 type/Triple negative=13/5/7例,1-2次治療/3次治療以降=18/7例で,それぞれの奏効率は62/40/57%,67/29%であった.臨床症状を有する症例すべてにおいて,症状の改善を認めた.Grade3以上の有害事象は,末梢神経障害3例,高血圧4例,好中球減少3例であった.本治療は比較的安全に施行可能で,治療の早い段階から導入することで,より高い奏効率を期待できる.速やかな臨床症状の消失はQOLの向上に寄与するものと考える.
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症例
  • 藤光 律子, 竹下 盛重, 吉満 研吾
    76 巻 (2015) 12 号 p. 2892-2897
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    慢性関節リウマチ(以下RA)によるメソトレキセート関連リンパ増殖性疾患の自然退縮は知られている.今回methotrexate(以下MTX)中止後,病変の組織学的変化を画像にて捉えられた症例について報告する.
    RA治療中の63歳の女性.10年間内服したMTX中止後に造影CTを施行し,両側乳腺病変および数個の皮下腫瘤を指摘.超音波で全病変が後方エコーを伴う低エコー,一部極低エコーを呈し,悪性リンパ腫を疑った.両側乳腺病変のelastographyはelasticity score 2であった.細胞診は,免疫染色にてび漫性大型B細胞リンパ腫と診断.その後,皮下腫瘤は消失,両側乳房病変は縮小した.乳房造影MRIは両側共遅延性濃染,拡散制限は認めず,超音波ではいずれも縮小しelastographyではelasticity score 3であった.乳房の針生検では間質の線維性変化を認め,大型異型リンパ球は認めなかった.
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  • 佐藤 七夕子, 木村 光誠, 田中 覚, 岩本 充彦, 西口 完二, 内山 和久
    76 巻 (2015) 12 号 p. 2898-2902
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,女性.2000年,左乳癌に対し乳管腺葉区域切除術施行.IDC・pT2NXM0と診断され,残存乳房への放射線照射および術後補助内分泌療法が施行された.術後12年目に左鎖骨上リンパ節腫大が指摘され,乳癌再発が疑われ当科紹介となった.超音波検査にて最大14.0mm大のリンパ門を認めないリンパ節が散見された.乳癌腫瘍マーカーは基準値以内であった.PET-CTで左鎖骨上窩に異常集積を認め,乳癌リンパ節再発が疑われた.鎖骨上リンパ節の穿刺吸引細胞診は良性の判断であったが,確定診断のため摘出生検を施行した.術後病理検査で悪性所見なく,類上皮肉芽腫を認め,QuantiFERON TB-2G (QFT)陽性であり,結核性リンパ節炎の診断に至った.乳癌術後鎖骨上リンパ節腫大を診た時には,良悪の鑑別を行い整合性が得られない場合には生検も含め精査を進めることが肝要と思われた.文献的考察を加え報告する.
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  • 松原 啓壮, 野間 翠, 松浦 一生, 板本 敏行, 西阪 隆, 香川 直樹
    76 巻 (2015) 12 号 p. 2903-2908
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    症例は80歳の閉経後女性.両側乳管内乳頭腫の診断で経過観察中に増大傾向を認め精査となった.造影MRIで右乳腺腫瘍は充実性部分の評価が困難で,左乳腺腫瘍は不整で悪性の造影パターンであった.US・造影MRI所見で両側ともに悪性が疑われたが,超音波造影剤Sonazoid®による造影エコーで右乳腺腫瘍は嚢胞内に均一な造影効果を伴う充実性部分を同定でき,左乳腺腫瘍は腫瘤内に限局して均一な造影を認め,良性が示唆された.術前針生検では良性との診断で両側腫瘍摘出術を施行し,病理結果は両側ともに乳管内乳頭腫と診断された.
    術前診断としてUSや造影MRIで評価困難であった乳管内乳頭腫症例に対し,造影エコーが有効であった症例を経験したため,文献的考察を含め報告する.
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  • 林 昌俊, 栃井 航也, 小久保 健太郎, 丹羽 真佐夫, 高橋 啓
    76 巻 (2015) 12 号 p. 2909-2913
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    症例は56歳,男性.平成25年11月にPET検診で左乳頭下にSUVmax 2.5の集積を指摘され,当院に紹介された.左乳頭下に小指大の腫瘤を触知した.超音波検査でも左乳頭直下に分葉状,辺縁不正,内部不均一な低エコー腫瘤を認めた.マンモグラフィー検査では左E領域に12×7mm大の分葉状の腫瘤を認め,カテゴリー3と診断した.
    針生検を施行しnon-invasive ductal carcinomaを疑った.胸筋温存乳房切除術,センチネルリンパ節生検を施行した.センチネルリンパ節が転移陰性でありリンパ節郭清は省略した.病理組織検査はnon-invasive ductal carcinoma病期0,(pTis,pN0,cM0)と判定した.外来でタモキシフェンを投与,術後1年5カ月を経過し再発兆候は認めていない.今回われわれは,検診FDG-PETで発見された男性非浸潤性乳管癌の1例を経験した.
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  • 遠藤 香代子, 矢内 洋次, 宮坂 知佳, 權 雅憲
    76 巻 (2015) 12 号 p. 2914-2919
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    男性乳癌は,比較的稀な疾患で全乳癌症例に占める割合は0.5~1.0%とされ,中でも非浸潤性嚢胞内癌はごく稀である.症例は76歳の男性,左乳房腫瘤を主訴に来院.視触診で左乳輪から頭側にわたる領域に2cmの境界明瞭な腫瘤と軽度陥没乳頭を認め,腋窩リンパ節の腫脹は認めなかった.マンモグラフィーで境界明瞭腫瘤陰影を認め(カテゴリー3),乳房超音波検査では嚢胞内に立ち上がりのなだらかな腫瘤を認めカテゴリー4(嚢胞内癌の疑い)と診断した.前医での細胞診ではclass III,針生検で非浸潤性乳管癌もしくは浸潤癌の疑いと診断された.乳房部分切除を施行し,最終病理診断は非浸潤性嚢胞内癌であった.残存乳腺に放射線照射(50Gy)を行い,経過は良好である.
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  • 國久 智成, 脇田 和幸, 寺村 一裕, 水本 紗千子
    76 巻 (2015) 12 号 p. 2920-2924
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    乳腺葉状腫瘍内に乳癌が併存することは非常に稀である.今回,われわれは境界悪性の乳腺葉状腫瘍内に乳癌の併存を認めた1例を経験したので報告する.症例は74歳,女性.初診の約1年前より右乳房腫瘤を自覚し,当院を受診した.3cmの平滑腫瘤を認め,穿刺吸引細胞診にて良性,線維腺腫と診断し経過観察となった.1年半後に受診した際に約7×4cmに増大したため,葉状腫瘍を疑い,全身麻酔下に乳腺腫瘍摘出術を行った.7.0×5.5cm大の境界悪性葉状腫瘍の内部に4.6×2.2mmの浸潤性乳管癌(乳頭腺管癌)の併発を認めた.乳癌に対するホルモン療法としてレトロゾールの内服を5年間行い,術後6年まで局所再発や遠隔転移の兆候は無い.
    本邦での葉状腫瘍と乳癌の同時同側発生の報告は,検索範囲内では自験例を含め38例であった.そのうち葉状腫瘍内の乳癌の発生は17例であった.文献的考察を加え報告する.
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  • 叶 典子, 五味 直哉, 新井 正美, 岩瀬 拓士
    76 巻 (2015) 12 号 p. 2925-2929
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    症例は33歳,女性.母,母の姉2人(BRCA1変異有り),従姉の乳癌家族歴があり,遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)が疑われた.左乳癌の診断で乳房切除術,センチネルリンパ節生検を施行した.遺伝学的検査でBRCA1に変異を認めた.
    術後半年後の超音波検査(US),1年後のマンモグラフィ(MMG)では所見がなかったが,1年半後のUSで右乳腺に第二癌を認めた.乳房切除術,センチネルリンパ節生検を施行した.術後無治療で2年半無再発である.
    本症例はMMGで明らかな所見を認めず,USとMRIで病変を指摘できた.当院でのHBOC術後サーベイランスはUSを半年毎に行っている.
    欧米のガイドラインでは術後サーベイランスでMMGやMRIが推奨されているが,頻回に実施可能で,被曝や造影剤の危険性がないUSも第二癌の発生率が高いHBOCのサーベイランスに有用であると考えられた.
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  • 足立 祥子, 成井 一隆, 山田 顕光, 菅江 貞亨, 市川 靖史, 遠藤 格
    76 巻 (2015) 12 号 p. 2930-2934
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,女性.右乳癌T2N0M0(ER陽性,PgR境界域,HER2未検)に対して右乳房切除とセンチネルリンパ節生検を施行した.術後3年で傍胸骨リンパ節再発を認め,切除した.免疫染色ではER陽性,PgR陰性,HER2陽性(3+)であった.術後5年で胸骨転移を認め,ゾレドロン酸の投与を開始した.以降,左腋窩リンパ節再発と胸骨転移に対して,ホルモン療法,化学療法および抗HER2療法を続行し,ゾレドロン酸も継続投与した.投与開始から8年経過時に,右大腿の動揺を自覚し転倒した.右大腿骨骨幹部非定型骨折(atypical femoral fracture:AFF)の診断で入院,患側の骨折治療と,対側の骨折予防のために,両側大腿骨の髄内釘固定を行った.BP製剤によるAFF発症は極めて稀であるが,骨転移治療においてBP製剤を長期に用いる際は,AFF発症の可能性を念頭に置くべきと考えられた.
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  • 梅野 惟史, 廣田 潤, 本郷 哲央, 亀井 律孝, 森 宣, 宮本 伸二
    76 巻 (2015) 12 号 p. 2935-2939
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,女性.幼少期より左下肢の過成長傾向を認め,20歳台から浮腫や血栓性静脈炎などの静脈うっ滞症候群を繰り返していた.56歳時のCT検査で左外腸骨動脈瘤とリンパ管および静脈奇形を指摘され,今回66歳で左鼠径部の皮下腫瘤増大と同側股関節可動制限を自覚したため,精査加療目的で当科紹介となった.術前精査では,リンパ管および静脈奇形を主とする混合型血管奇形を合併した左外腸骨動脈瘤を認めた.左総腸骨動脈から下肢末梢動脈の拡張蛇行を認め,今回は破裂の危険性が高い直径43mmの外腸骨動脈瘤を治療対象とした.リンパ管および静脈奇形が左下腹部体壁から後腹膜にかけてびまん性に存在するため開腹瘤切除術は困難と判断し,浅大腿動脈アプローチのステントグラフト内挿術を施行した.術後は問題なく経過し,第7病日に退院となり,初回外来CT検査でもendoleak無く経過した.
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  • 清水 智治, 山口 剛, 園田 寛道, 三宅 亨, 金崎 周造, 谷 眞至
    76 巻 (2015) 12 号 p. 2940-2945
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    孤立性内腸骨動脈瘤直腸瘻は非常に稀であるが,大出血をきたす可能性のある注意すべき疾患である.症例は81歳の男性.5カ月前に血便を認め,上部・下部消化管内視鏡検査を施行したが出血源は認めなかった.造影CTにて約8cmの右内腸骨動脈瘤を認めた.破裂予防のため経カテーテル的動脈瘤塞栓術を施行された.塞栓術4カ月後に右下腹・大腿部痛があり,CTで動脈瘤内にガス像を認めた.注腸検査で直腸右前壁からコイルに沿った造影剤漏出を認め,CTにてコイルの脱落が認められたため外科治療を行った.右内腸骨動脈を根部で結紮後直腸瘻孔部を切断し,瘻孔前後で直腸を切除吻合し,一時的回腸人工肛門を造設した.右内腸骨動脈瘤内は洗浄ドレナージをした.術後経過は良好であり,約半年後に人工肛門閉鎖術を行い,3年間瘻孔の再発を認めていない.動脈瘤直腸瘻では動脈塞栓術のみでは治療が不十分となる可能性があり,外科的治療が第一選択になると考えられた.
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  • 奥村 浩, 内門 泰斗, 尾本 至, 大迫 祐作, 石神 純也, 夏越 祥次
    76 巻 (2015) 12 号 p. 2946-2950
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,男性.嚥下困難を主訴に近医を受診した.上部消化管内視鏡検査で食道および下咽頭腫瘍を指摘され,当科紹介となった.診断は,胸部食道進行癌および下咽頭表在癌の同時性重複癌であった.治療は化学放射線療法(CRT)後に手術の方針とした.CRT開始後8日目に数回の嘔吐後,左胸部痛が出現した.胸部CT検査で下縦隔に限局するfree airを認め,内視鏡で食道胃接合部より3cm口側左壁に長径2cmの穿孔を確認し,食道癌治療中の嘔吐による食道破裂と診断した.一時的な食道カバードステント留置による保存的治療が行われた.経過は順調で,破裂後16日目にCRT再開,治療方針を根治CRTへ変更し,照射は完遂された.ステントは,破裂後47日目に抜去した.抜去後の内視鏡所見では,穿孔は治癒,食道腫瘍は消失しComplete Responseと判定され,1年無再燃生存中である.
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  • 鈴木 和光, 稲葉 一樹, 石田 善敬, 須田 康一, 塚本 徹哉, 宇山 一朗
    76 巻 (2015) 12 号 p. 2951-2956
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    症例は49歳,女性.10年前より近医で貧血・低蛋白血症,胃内に多発するポリープを指摘されていた.2014年3月に嘔吐にて当院救急外来を受診.貧血・低蛋白血症を認め,緊急入院となった.上部消化内視鏡検査では,胃全体にポリープが多発し,前庭部では幽門を覆い通過障害をきたしていた.腹部造影CT検査で,胃体上部から幽門にかけて,造影効果を伴う腫瘤が胃の内腔を占拠し,胃内口側に液貯留を認めた.絶食と輸血による内科的治療にて全身状態が改善した後に,腹腔鏡下胃全摘術を実施した.切除標本においては,胃全体にびまん性浮腫状のポリポーシスを認めた.組織学的に胃限局性若年性ポリポーシスを診断された.術後合併症なく経過し,貧血・低蛋白血症はともに改善した.胃限局性若年性ポリポーシスは稀な疾患であるが,今回腹腔鏡下胃全摘術を行い,良好な経過をたどった症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 楢原 克典, 安倍 知見, 勝又 健次, 知念 克也, 粕谷 和彦, 土田 明彦
    76 巻 (2015) 12 号 p. 2957-2964
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    症例は35歳,男性.摂食時の違和感を主訴に来院.上部消化管内視鏡検査で周堤を伴わない潰瘍を認め,生検で腫瘍細胞は認めなかった.CTで12cm大腫瘍を認め,確定診断のため超音波下生検を実施した.腫瘍増大による圧迫症状と小腸腸重積を認め,緊急手術となった.原発巣を切除できず腸重積部小腸を摘出し小腸瘻造設術を行った.悪性リンパ腫の診断のもと,術後3日目からR-CHOP化学療法を実施した.発熱性好中球減少症を認め,以後20%減量で6コース行い腹部CTで腫瘍は消失した.発症から4年経過し完全寛解状態で通院中である.成人胃Burkittリンパ腫症例は本邦で学会抄録も含めて21例報告されているが,1年以上の生存報告は4例と予後不良である.悪性リンパ腫は早期化学療法が推奨されるが,腫瘍崩壊症候群・穿孔・腸重積も多く手術を優先することもある.本症例は確定診断前に緊急手術となったが,術後早期から化学療法を行い,長期生存が得られたと考えられた.
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  • 難波 美津雄, 小川 達哉, 小島 勝, 清水 健
    76 巻 (2015) 12 号 p. 2965-2970
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,男性.めまい・立ちくらみ・息切れがあり,近医でHb 6.9g/dlと低下していたため精査入院となった.上部消化管内視鏡検査で胃噴門部小弯に出血を認める隆起性腫瘤を認め,生検診断は低分化腺癌であった.上腹部造影CT検査で胃穹窿部に30mm大の隆起性腫瘤を認め,筋層以深への浸潤が疑われた.胃全摘術・リンパ節郭清術を施行し,病理学的診断は腺癌成分のない純粋大細胞型胃内分泌細胞癌で最大径20mm,深達度T1b,リンパ節転移を認めずstage Iaで,免疫染色ではchromograninA陽性,CD56が一部陽性でMIB-1 labeling indexは20%以上であった.純粋大細胞型胃早期内分泌細胞癌は稀で若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 青山 広希, 久留宮 康浩, 世古口 英, 小林 聡, 桐山 宗泰, 大岩 孝
    76 巻 (2015) 12 号 p. 2971-2976
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    症例は73歳の男性で,ふらつきの増悪を主訴として当院を受診した.血液生化学検査で貧血を認め,CEAとCA19-9が軽度上昇していた.上部消化管内視鏡検査では胃小弯に隣接した口側の3型腫瘍と肛側の2型腫瘍を認めた.両病変から生検を行い,ともに中分化型腺癌と診断された.腹部CTでは2箇所に分かれた胃壁肥厚と小弯側リンパ節の腫大を認めた.以上より胃の進行衝突癌と術前診断し,胃全摘術を施行した.病理組織学的に二つの腫瘍はわずかな正常粘膜を介在して粘膜下層以深で隣接していた.口側病変は著明にリンパ球が浸潤したEpstein-Barr virus関連胃癌と診断され,肛側病変は中分化型腺癌であった.Epstein-Barr virus encoded RNA in situ hybridizationによって「真の衝突癌」であることを証明することができた.
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  • 横山 真也, 上松 俊夫, 鈴木 秀昭, 大西 桜
    76 巻 (2015) 12 号 p. 2977-2983
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,男性.2年前に肝S2の肝細胞癌に対し肝外側区域切除術を施行された.7カ月前からの食後の逆流症状を訴えたため,上部消化管内視鏡検査を施行した.胃前庭部に5mm大の隆起性病変を認め,生検ではgroup3,adenomaであった.4カ月後,腹部造影CT検査で胃前庭部の壁肥厚を認めた.内視鏡検査では胃前庭部の隆起性病変は増大していたが,粘膜は保たれているように見えた.生検では低悪性度の腫瘍と診断された.胃癌を疑い,2013年8月にリンパ節郭清を伴う幽門側胃切除術を施行した.病理組織学的検査で中分化型肝細胞癌の胃転移と診断された.胃切除後2年の現在,無再発生存中である.
    肝細胞癌胃転移のほとんどは超進行癌である.しかし,自験例のように門脈逆行性と考えられ,AFP値が低値の肝細胞癌胃転移では,胃切除で長期生存が期待できる症例も存在すると思われる.
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  • 神野 孝徳, 久留宮 康浩, 水野 敬輔, 世古口 英, 小林 聡, 桐山 宗泰
    76 巻 (2015) 12 号 p. 2984-2988
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    症例は44歳,男性.腹痛,嘔吐を主訴に当院を受診.末梢血で好酸球が16,700/mm3と増加し,下部消化管の生検で好酸球を主体とする炎症細胞浸潤を認め,好酸球性胃腸炎の診断でステロイドの内服を開始した.治療開始後,症状が軽快したためステロイドを減量したが,症状の再燃を認め入院となった.第20病日に強い腹痛を訴え,腹部CT検査で腹水・腹腔内遊離ガスを認めたため,小腸穿孔の診断で緊急手術を施行した.回盲弁から約30cmの口側回腸に穿孔部を認め,小腸部分切除術を施行した.病理組織学的に穿孔部周囲に好酸球を主体とする炎症細胞浸潤を認め,好酸球性胃腸炎に伴う小腸穿孔と診断した.術後1年現在,外来経過観察を行っており,再発は認めていない.
    好酸球性胃腸炎は再燃しやすく,時に消化管穿孔をきたすこともあるため,適切な維持療法が重要である.
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  • 森 秀暁, 内藤 稔, 秋山 一郎, 太田 徹哉, 藤原 拓造
    76 巻 (2015) 12 号 p. 2989-2992
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    患者は46歳,男性.虚血性心筋症に対し左心補助人工心臓(LVAD)を装着されていたが大量下血とショックを呈したため造影CTを施行したところ,回腸末端動脈からの血管外漏出像を認めた.内視鏡的止血および経動脈的塞栓術(TAE)での止血を試みられたが止血不可能であったため,緊急で回盲部切除術を施行し救命することができた.LVAD装着患者は抗凝固療法を施行されることが多く,合併症としての消化管出血を呈することが報告されている.LVAD装着患者の消化管出血に対する内視鏡的止血およびTAEは第一選択として推奨されており満足すべき結果が得られているが,出血制御困難で危機的状況の際には躊躇せず緊急手術を考慮すべきである.
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  • 宮地 洋介, 田中 浩登, 山本 孝夫, 尾崎 信弘
    76 巻 (2015) 12 号 p. 2993-2998
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    症例は24歳の男性で,1年前から続く慢性的な嘔吐を主訴に来院した.精査の腹部CT所見にて空腸移行部での十二指腸通過障害を認め,十二指腸や上腸間膜動静脈の位置関係からAmir-Jahed分類I型の腸管逆回転症と診断された.2013年12月に腹腔鏡下Ladd手術を行い,患者は術後4日目に退院となった.2015年6月の時点で,術後1年6カ月が経過して症状の再燃を認めない.腸管逆回転症は腸回転異常症と同様,胎生期における中腸の回転・固定の異常により生じ,全腸回転異常症の約4%の頻度という稀な疾患である.本症例は腸管逆回転症の有症状化の機序ならびに腹腔鏡下Ladd手術の有効性に関して,重要な臨床的示唆を含むものであった.本症例の経過に文献的考察を加えて報告する.
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  • 野村 明芳, 芦沢 直樹, 磯野 忠大, 寺本 祐記, 橘 充弘, 上村 和康
    76 巻 (2015) 12 号 p. 2999-3003
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    症例は62歳,男性.右側腹部痛を主訴に近医を受診し,急性虫垂炎の診断で点滴治療が開始されたが改善なく,当院へ紹介となった.腹部所見は右下腹部の限局した圧痛を認めたが,平坦・軟であった.腹部CTでは右下腹部に脂肪織濃度上昇を伴った40mm大の腫瘤影を認め,虫垂と小腸が不明瞭に接していた.急性穿孔性虫垂炎,あるいは膿瘍形成を伴ったMeckel憩室穿孔と診断し,同日緊急腹腔鏡下手術を施行した.観察すると,回腸末端から約50cm口側に膿瘍と重複腸管を認め,それらとともに小腸部分切除術・虫垂切除術を施行した.病理組織学的検査では重複腸管は管状で正常腸管と非交通性であり,異所性胃粘膜を認めなかった.そして,穿孔部は腸間膜対側にみられ,そこから膿瘍形成をきたしていることがわかった.以上より,回腸腸管重複症と診断された.今回,腹腔鏡下に治療しえた膿瘍形成を伴う回腸腸管重複症を経験したため報告する.
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  • 西村 貞徳, 平田 裕久, 森田 剛史
    76 巻 (2015) 12 号 p. 3004-3007
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,男性.1週間前から続く断続的な腹痛があり,当院外来を受診.外来で経過観察されていたが,腹痛の増強と嘔吐があり再度受診.腹部CTでは小腸に脂肪組織と等吸収値の結節病変が多発しており,結節病変が先進部となって,腸重積を起こしているような画像であった.重積部から口側の小腸は拡張してイレウスを呈しており,緊急手術を行った.開腹所見では小腸の合計2箇所で腸重積を起こしており,小腸全域に大小不同の腫瘤を触知して,腸重積は腫瘤が先進部となっていると考えられた.腸重積を整復後,先進部となっている2箇所の小腸を部分切除した.切除標本では大小不同の黄色の弾性軟の粘膜下腫瘍が多発していた.病理組織診断では脂肪腫の診断となった.術後39日目に退院し,術後3年8カ月で腸重積の再発を認めていない.多発性小腸脂肪腫によって腸重積が多発することは非常に稀であり,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 三宅 亨, 清水 智治, 園田 寛道, 石田 光明, 吉田 哲也, 谷 眞至
    76 巻 (2015) 12 号 p. 3008-3012
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,男性.5年前に右腎細胞癌に対し後腹膜鏡下右腎摘出術を施行された.2年前に腎細胞癌の左後腹膜転移に対し摘出術を施行され,1年前より腹部造影CTで多発性の膵腫瘍を認めた.今回,腹部膨満感・食欲低下で当院内科受診となった.腹部造影CTで小腸の拡張と回腸末端に強い造影効果を伴う腫瘤を認め,腸閉塞と診断しイレウス管で減圧を行った.下部消化管内視鏡で回腸末端部に腫瘤を認め,生検で明らかな悪性所見を認めなかった.回盲部切除術と小腸切除術を施行し,腎細胞癌小腸転移ならびに腸間膜転移の診断を得た.術後28日目に退院となった.術後51日目からスニチニブを用いた化学療法を継続し,小腸手術後33カ月現在,膵転移巣を含めて病勢の進行ならびに新出病変を認めていない.小腸転移を含めた腎細胞癌術後多発転移症例に対しても,手術と化学療法などの集学的治療によって長期生存が得られている.
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  • 西原 佑一, 浦上 秀次郎, 石 志紘, 島田 敦, 大石 崇, 磯部 陽, 白石 淳一
    76 巻 (2015) 12 号 p. 3013-3017
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,女性.腹痛を主訴に当院を受診し,腹部CTで長径約10cmの骨盤内腫瘤が指摘された.年齢や性別などを考慮し,卵巣腫瘍の術前診断で手術が施行された.腫瘍は小腸間膜から発生しており,腸間膜の温存が困難であったため小腸部分切除を施行した.病理組織学的所見では,楕円~紡錘形の核を有する細胞が,束状あるいは柵状配列を呈して増生する細胞密度の高い部分と,浮腫状の間質を背景にする細胞密度の低い部分が認められた.免疫組織化学染色ではS-100蛋白(+)を示し,小腸間膜原発神経鞘腫と診断した.
    小腸間膜原発神経鞘腫は非常に稀であり,本症例のように年齢・性別から卵巣腫瘍と診断されるなど,正確な術前診断は困難とされている.診断的治療として外科的切除が第一選択とされるが,悪性腫瘍である可能性も考慮して治療方針を決定すべきであり,術前診断・治療方針に関し文献的考察を加えて報告する.
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  • 吉岡 貴裕, 公文 剣斗, 村田 年弘, 上塚 大一, 宇田 征史, 中井 肇
    76 巻 (2015) 12 号 p. 3018-3022
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    症例は80歳,女性.嘔吐を主訴に来院し,腹部CTにて骨盤内の嚢胞性病変およびclosed loop形成を伴う絞扼性イレウスを指摘され,緊急手術を施行した.虫垂先端に生じた径10cmの嚢胞性腫瘤に牽引された虫垂が絞扼帯となり,回腸末端が絞扼を受けており,回盲部切除術を施行した.術後の病理組織診断にて嚢胞性腫瘤はlow-grade appendiceal mucinous neoplasmと診断された.絞扼性イレウスを合併する虫垂粘液嚢腫は今回検索しえた範囲で,これまで本邦で自験例を含め13例が報告されたのみであり,極めて稀である.本症例では虫垂先端に発生した粘液嚢腫の重みにより,虫垂自体が絞扼帯となる興味深い病態を呈していたため,ここに報告する.
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  • 和田 幸也, 平松 和洋, 加藤 岳人, 柴田 佳久, 吉原 基, 前多 松喜
    76 巻 (2015) 12 号 p. 3023-3028
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    症例は47歳,女性.3年前に他院で子宮内膜症と子宮筋腫に対し左付属器切除,子宮摘出術の既往がある.発熱と右下腹部痛を主訴に当院を受診した.血液検査で炎症反応の上昇を認めたが,腫瘍マーカーは正常値だった.腹部造影CTで上行結腸に接して,造影効果の高い約6cmの壁外発育性の腫瘤を認めた.大腸内視鏡検査では,明らかな粘膜病変は認めなかった.悪性腫瘍も否定できないことから開腹手術を行った.結腸間膜内に上行結腸と横行結腸に付着した球型の腫瘤を認め,所属リンパ節も目立ったことから,D3リンパ節郭清を含む結腸右半切除術を施行した.病理組織検査では,上行結腸の筋層内に子宮内膜組織が散在し,上行結腸子宮内膜症と診断した.所属リンパ節13個にも子宮内膜組織を認め,その分布からリンパ行性に内膜組織が進展したと考えられた.腸管子宮内膜症に所属リンパ節病変を伴うものは稀であり,文献的考察を加え報告する.
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  • 豊崎 良一, 上村 真弓, 大山 智宏, 三田 多恵, 佐藤 力弥, 北薗 正樹
    76 巻 (2015) 12 号 p. 3029-3033
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    症例は,81歳,男性.2013年4月に脾弯曲部寄りの横行結腸癌に対して,腹腔鏡補助下横行結腸切除術を行った.再建は,横行結腸と下行結腸での機能的端々吻合を行った.術後は,酸化マグネシウムを服用していたが,排便はほぼ毎日あり,便秘との認識は家族を含めてなかった.2014年10月に腹痛,嘔吐を主訴に受診した.造影CT検査にて,腹腔内にfree airを認めた.左上腹部の機能的端々吻合部で腸管が拡張し,腸管内に6.7cm大の便塊を認めた.同部背側の壁に4mmの穿孔部が疑われた.吻合部の便塊による穿孔性腹膜炎と診断し手術を行った.吻合に断裂があり便塊の露出を認めた.穿孔部を含めた吻合部を切除し,人工肛門造設術を行った.機能的端々吻合を行う際は,吻合部狭窄をきたさないよう吻合することは当然であるが,極端に大きな吻合径は憩室様変化をきたし,便塊の停滞につながることにも留意する必要がある.
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  • 上田 博文, 中田 英二, 河合 功, 天上 俊之, 荒木 麻利子, 東 千尋
    76 巻 (2015) 12 号 p. 3034-3037
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,女性.腹痛・便秘を主訴として来院.腹部単純CT検査にて下行結腸の腫瘍による腸閉塞症と診断した.入院後,注腸造影・下部消化管内視鏡検査にて下行結腸の全周性2型癌を確認した後,術前の減圧療法目的にて入院3日目に大腸ステントを留置した.そして,減圧効果を確認した後のステント留置8日目に口側腸管の内視鏡検査を行ったところ,盲腸にIIa病変を確認した.従って,ステント留置後16日目に双方の病巣に対して一期的に腹腔鏡補助下に左結腸切除術・回盲部切除術を施行した.
    大腸ステントは閉塞性大腸癌に対して術前の待機的治療(bridge to surgery:BTS)として普及しているが,今回大腸ステント治療により口側腸管の内視鏡観察が可能となり,その結果,同時性多発癌を発見し一期的に切除しえた症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 西口 由希子, 向川 智英, 中谷 充宏, 高 済峯, 石川 博文, 渡辺 明彦
    76 巻 (2015) 12 号 p. 3038-3041
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    今回,後腹膜線維症に併発した早期直腸癌に対し,腹腔鏡下手術を施行した1例を経験したので報告する.症例は65歳,女性.両下腿浮腫を自覚し近医を受診したところ,著名な腎機能障害を指摘され当院内科紹介.精査の結果,後腹膜線維症による両側水腎症,腎萎縮と診断され維持透析導入となった.悪性病変の検索で径2cm大の直腸癌が発見され当科紹介となり,腹腔鏡下低位前方切除術,D2郭清を施行した.後腹膜線維症併存により後腹膜が浮腫,線維化のため肥厚し,膜の層構造が消失し血管や尿管,神経の同定剥離は困難であり,捜査の工夫を行いながら手術を施行しえた.後腹膜線維症併存の大腸癌に対する腹腔鏡下手術は通常より難易度は高いが,腹腔鏡の拡大視・近接視効果を利用し,十分な解剖学的理解に基づいた手術操作と適切な器具の選択により施行可能な術式と考えられた.
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  • 山口 貴久, 萱原 正都, 古河 浩之, 佐藤 就厚, 大西 一朗, 大山 繁和, 笠島 里美, 川島 篤弘
    76 巻 (2015) 12 号 p. 3042-3046
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    症例は50歳,男性.心窩部痛を主訴に当院を受診した.腹部US検査にて胆嚢体部に扁平な高エコーの隆起性病変を認めた.造影CTにて胆嚢体部から底部にかけて,びまん性の壁肥厚を認めた.PET-CTでは胆嚢底部にSUVmax 2.9の淡い集積を認めた.MRIでは拡散強調画像にて胆嚢に高信号を認めた.胆嚢癌を否定できず開腹胆嚢摘出術を行った.胆嚢壁はびまん性に肥厚しており,病理組織学的検査では悪性所見はなく,広範な形質細胞とリンパ球,好酸球の浸潤および線維化を認めた.免疫染色にてIgG4染色で多数の陽性細胞を認め,IgG4関連胆嚢炎と診断した.その他臓器にて所見を認めず孤立性であることが分かった.
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  • 米山 哲司, 江口 武彦
    76 巻 (2015) 12 号 p. 3047-3052
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    症例は85歳,女性.数十年前より続く右下腹部痛を主訴に来院.腹部CT・MRCPで胆嚢内に腫瘍性病変を認め,進行胆嚢癌と診断した.術中所見で胆嚢は腫大し横行結腸への浸潤を認めたが,総胆管への浸潤はなく,胆嚢摘出術,結腸部分切除術および肝床切除術を施行した.病理組織学検査では,低分化腺癌および扁平上皮癌が混在した腺扁平上皮癌部分(免疫組織化学染色でepithelial membrane antigen (EMA)・keratin陽性)と異型の強い紡錘形細胞に一部骨化形成のある肉腫の混在した部分(vimentin陽性)が認められ,腺扁平上皮癌と肉腫が混在した胆嚢癌肉腫と診断された.7年経過した現在も再発の徴候は認めていない.腺扁平上皮癌と肉腫からなる胆嚢癌肉腫の報告は少ない.また腺扁平上皮癌は,大半が高度進行癌で予後不良かつ肉腫併存例での長期生存も少なく,極めて稀であり文献的考察を加えて報告する.
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  • 黒崎 亮, 富澤 直樹, 荒川 和久, 小林 克巳, 佐藤 弘晃, 安東 立正, 伊藤 秀明
    76 巻 (2015) 12 号 p. 3053-3058
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    胆嚢神経内分泌腫瘍(NET)は非常に稀な疾患である.胆嚢NETの中でも非常に報告の少ない胆嚢大細胞神経内分泌癌(large cell neuroendocrine carcinoma,LCNEC)の1例を経験した.症例は75歳の男性で,胃癌の精査のCT検査にて胆嚢腫瘍に連続する径15cm大の肝腫瘍を認めた.胆嚢癌の肝浸潤,胃癌と診断し,肝右3区域切除,肝外胆管切除,胃全摘術,脾臓摘出,右副腎摘出,2群リンパ節郭清,Roux-en-Y再建術を施行した.病理診断にて,胆嚢LCNEC・リンパ節転移・右副腎転移・胃中分化管状腺癌(固有筋層浸潤)と診断した.手術後3カ月目に,多発肝転移・腹膜播種を認め,胆嚢LCNECの再発と診断した.化学療法として,TS-1・cisplatin+irinotecanの投与を行ったが,全身状態が悪く,十分な抗癌治療ができなかった.手術後8カ月目に全身転移により現病死した.
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  • 河島 毅之, 野口 琢矢, 柴田 浩平, 藤富 豊, 宮本 伸二
    76 巻 (2015) 12 号 p. 3059-3063
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    症例は44歳,女性.突然の左側腹部痛と,3日後の発熱・嘔気を主訴に近医を受診し,腸炎の疑いで当院へ紹介された.腹部造影CTにて左側腹部に5cm大の低吸収腫瘤と,その頭側に脾動脈から連続する索状構造物を認めた.4年前の虫垂炎手術時のCTでは,腫瘤・索状構造物ともに造影効果を有しており,栄養血管が捻転し腫瘤が虚血に陥っているものと考えられた.副脾梗塞と診断し,腹腔鏡下に緊急手術を施行した.左中腹部に大網に包まれた暗赤色の副脾が認められた.周囲を剥離して捻転した栄養血管を切離し摘出した.術後経過は良好で 4日目に退院した.
    大網原発の副脾は固定されていないため,4cm以上になると栄養血管が捻転し梗塞に至ることがある.今回われわれは,術前に副脾梗塞と診断し,腹腔鏡下摘出術を施行した1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.
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  • 木下 浩一, 大越 香江, 小林 克敏
    76 巻 (2015) 12 号 p. 3064-3068
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    症例は51歳の男性で,前医にて偶然右骨盤内腫瘤を指摘され,紹介された.腹部造影CT検査では,腫瘍径は66×48mmで,外腸骨静脈を内側後方より圧排していた.Three-dimensional CT angiography(3D-CTA)では,血流は後方より内腸骨動脈から内腸骨静脈に還流し,流出静脈の増生が目立つ腫瘍であった.右腸骨動脈域リンパ節が散在し,悪性を否定できない間葉系腫瘍が疑われ,診断的治療目的で腹腔鏡手術を施行した.腫瘍は,術前画像診断の通り内外腸骨動脈間に存在し,境界明瞭であった.右外腸骨静脈との癒着を認めたが剥離可能であり,後方の栄養血管を処理し腫瘍を摘出した.病理組織学的にはCastleman病(CD),hyaline-vascular typeであった.骨盤内後腹膜のCDは非常に稀であるが,術前3D-CTA画像診断により,腹腔鏡下に安全に摘出できた.
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  • 川野 雄一郎, 有永 信哉
    76 巻 (2015) 12 号 p. 3069-3073
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    症例は81歳,女性.下腹部痛・嘔吐にて当院救急外来受診,腹部CTにて左閉鎖孔ヘルニア嵌頓による腸閉塞と診断され入院となった.発症後,約4時間程度であり,腹部所見・血液検査所見から腸管壊死は起こしていないと考え,非観血的整復を行った.仰臥位にて患側である左脚をゆっくりと数回,屈曲させた.さらに,そのまま左脚を外側へ回旋,内側に内転させる下肢屈曲法により整復すると,腹部症状は急激に改善した.再度CTを施行し嵌頓腸管が整復されていることを確認,2日後に待機的に手術を施行.鼠径法にてメッシュを用いた左閉鎖孔ヘルニア修復術を施行した.術後経過良好であり第9病日に退院となった.閉鎖孔ヘルニア嵌頓は合併症を多く持つ高齢女性に多く発症する疾患と言われている.リスクの高い緊急手術の回避に下肢屈曲による非観血的整復は有用であると考えられた.
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  • 高橋 里奈, 市川 亮介, 盧 尚志, 柳沼 行宏, 五藤 倫敏, 坂本 一博
    76 巻 (2015) 12 号 p. 3074-3078
    公開日: 2016/06/30
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    症例は77歳の女性で,閉塞性動脈硬化症に対し73歳時に右外腸骨動脈-左大腿動脈バイパス術を施行されている.2013年7月に下腹部痛を主訴に当院を受診した.腹部CT検査では左大腿部にヘルニア嚢がみられ,ヘルニア嚢の付近にはグラフトを認めた.左大腿ヘルニア嵌頓の診断で緊急手術を施行した.修復は鼠径法で行った.術後の経過は良好で第5病日に退院となった.2013年10月に下腹部痛のために再受診し,右大腿ヘルニア嵌頓と診断し緊急手術を施行した.修復は大腿法で行った.左右ともにグラフトに起因する周術期合併症は認められなかった.
    大腿動脈バイパス術後の大腿ヘルニアに対して,ヘルニア修復術を行う際には,剥離時のグラフト損傷や開創器によるグラフト圧排で発生する下肢血流遮断に注意する必要があると考えられた.
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  • 内田 嚴, 長阪 智, 横手 芙美, 有本 斉仁, 喜納 五月
    76 巻 (2015) 12 号 p. 3079-3082
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    膠原病を有する患者に,しばしば石灰化沈着が伴うことは知られている.しかし,石灰化沈着の機序は未だ不明なため治療法は確立されていない.症例は強皮症の70歳台の女性.左胸壁に巨大な腫瘤を指摘され,手術目的に当科紹介となった.腫瘤は15cmを超え,一部皮膚へ穿孔していた.術中所見では腫瘤と左鎖骨下動脈が極めて近く,動脈損傷に注意が必要だった.術後経過は良好で合併症なく,8カ月無再発経過中である.保存的加療が手術よりも優先されるべきであるが,増大傾向を示す場合は外科的切除が必要となることもある.本症例では,増大傾向を示していたにも拘らず経過観察されていた.今回は切除可能であったが,手術が遅れることにより合併症の出現や完全切除困難となる可能性もあり,外科的切除の適応時期の決定が重要と考えられた.
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支部・集談会記事
編集後記
第77回 日本臨床外科学会 総会 演題:取下げ,訂正,変更,追加
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