日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
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76 巻 , 3 号
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平成25年度学会賞受賞記念講演
  • 佐々木 洋
    76 巻 (2015) 3 号 p. 447-465
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    1976年に大阪大学医学部を卒業後,1978年4月に大阪府立成人病センター外科にレジデントとして入職後,2006年12月に消化器外科部長として退職するまでの28年8カ月在籍した.その間,肝癌の手術(1,500例以上)を中心とした臨床と研究を同時進行できた.1980年代前半は肝切除例が少なく,手術不能例に対する治療法として肝動注療法を行っていたが,その際の血流分布や昇圧動注化学療法時の血流動態を,RIを用いて,動的かつ定量的に評価した.1980年代の肝細胞癌(HCC)に対する肝切除は術前TACEを標準とし,切除標本においてTACEの壊死効果を組織学的に検討し,多くの知見を得た.CDDPを併用した新しいTACE(サンドイッチ療法)や,側副血行路の発達のため,TACEが無効となったHCCに対する側副血行路の半永久的遮断法(ラップ療法)を開発した.1990年代は術前TACEを廃止し,積極的に新鮮標本を採取,保存し,切除標本を用いて,肝の微小がんと境界病変のclonality,多中心性発癌と転移再発の鑑別などの分子生物学的検討,calponinなどを用いて予後因子の臨床病理学的検討を行った.臨床的には,肝炎ウィルスとHCCの再発,予後との関係を明らかにした.2000年代は進行肝癌,特に高度脈管侵襲例に対して積極的手術を行った.門脈本幹に進展したHCCに対する,術前に放射線,肝動注を併用した肝切除,下大静脈~右心房への進展例に対する,人工心肺下での肝切除,グラフトを用いた血管再建などを行い,ビデオシンポジウムで報告してきた.2007年に八尾市立病院に転任後,肝臓外科医に加えて,病院管理,医師会,病院協会活動など,今なお多忙な生活を謳歌している.
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臨床経験
  • 二階 春香, 小山 基, 諸橋 一, 坂本 義之, 村田 暁彦, 袴田 健一
    76 巻 (2015) 3 号 p. 466-471
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    大腸癌における術中腹腔洗浄細胞診の陽性率を解析し,予後因子としての有用性を検討した.方法:2005年1月から2014年4月に大腸癌手術で洗浄細胞診を行った687例を対象とした.(1)背景因子別細胞診陽性率を解析し危険因子を検討した.(2)術後2年以上経過した治癒切除433例を対象に細胞診陽性と予後を解析した.結果:(1)細胞診陽性率は9.6%.多変量解析でpT4(Odds ratio;以下OR:10.02,P<0.001),ly2-3(OR:4.16,P<0.001),腹膜播種(OR:5.14,P<0.001)が有意な危険因子であった.(2)細胞診陽性は5年無再発生存率(細胞診陽性:65.0%,陰性:80.1%;P=0.038)と5年生存率(陽性:48.6%,陰性:89.1%;P=0.015)で有意に予後不良であった.結語:洗浄細胞診は再発や予後の予測因子として有用である.
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症例
  • 垂野 香苗, 吉田 正行, 神保 健二郎, 吉田 裕, 小倉 拓也, 麻賀 創太, 北條 隆, 木下 貴之
    76 巻 (2015) 3 号 p. 472-477
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は86歳,女性.52歳時に左乳癌に対する乳房全摘術を受け経過観察中であった.84歳時に右乳房腫瘤を指摘され,2年後に6cm大の皮膚発赤を伴う腫瘤を自覚し精査となった.術前針生検で非浸潤性乳管癌(ductal carcinoma in situ)と診断されたが,臨床・画像所見より浸潤癌成分の存在と,腋窩リンパ節転移が強く疑われたため,右乳癌cT4bN3M0,cStage IIICの診断となり,右乳房全摘出術および腋窩リンパ節郭清を行った.術後の最終病理組織診断は黄色肉芽腫性炎症を伴う非浸潤癌成分優位の微小浸潤癌であり,腋窩リンパ節に転移を認めず,pT1miN0M0,pStage IAと判定された.黄色肉芽腫性炎症は乳腺では稀である.今回われわれは,黄色肉芽腫性乳腺炎を伴い術前病期診断が困難であった乳癌症例を経験したので報告する.
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  • 佐久間 威之, 野水 整, 松嵜 正實, 片方 直人, 左雨 元樹, 菅家 康之, 喜古 雄一郎, 橋本 優子
    76 巻 (2015) 3 号 p. 478-483
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は57歳,女性.左乳房痛,違和感を主訴に近医受診し,c-T4bN1M0,IIIbの局所進行乳癌の診断で治療目的に当院紹介となった.当院で施行した針生検組織診断で扁平上皮化生トリプルネガティブ乳癌と診断され,術前化学療法としてEC100療法4サイクルに続きドセタキセル(75mg/m2)4サイクルを施行し,化学療法終了後に臨床的腫瘍縮小効果が見られ胸筋温存乳房切除術と腋窩リンパ節郭清を行った.摘出標本の病理組織学的検査では腫瘍巣,腋窩リンパ節ともに癌細胞の遺残は認められなかった.本疾患は術前化学療法に治療抵抗性を示すことが多いが,近い将来,完全奏効をめざした治癒率の高いレジメンが確立されることが望まれる.
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  • 小池 佳勇, 寺西 克仁, 水谷 哲之, 橋本 瑞生, 佐藤 文哉, 坂口 憲史
    76 巻 (2015) 3 号 p. 484-487
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は84歳,男性.来院3カ月ほど前から徐々に食欲低下,10kg程度の体重減少を認め,来院日前日より頻回の嘔吐が出現したため受診した.上腹部に大動脈の拍動を触知し,腹部単純CTでは腎動脈下で最大径64mmの腹部大動脈瘤(AAA)を認め,同部位で十二指腸水平脚が圧迫されており,その口側の胃・十二指腸下行脚の著明な拡張を認めた.AAAによる十二指腸狭窄と考え,精査加療目的で入院となった.入院後施行した上部消化管造影では,十二指腸下行脚から水平脚にかけ造影剤の通過が悪く,AAAにより同部位が圧迫され狭窄していると考えられた.AAAによる圧迫を解除しないと経口摂取ができないと考え,入院17日目に腹部大動脈人工血管置換術を施行した.術後経過は良好で,術後21日目に軽快退院となった.AAAによる十二指腸閉塞は報告が少なく,稀な病態であると考えられる.
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  • 松本 紘典, 馬越 健介, 相引 眞幸
    76 巻 (2015) 3 号 p. 488-493
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は83歳,女性.歩行中に左側方より走行してきた250ccバイクと衝突した.搬入時,努力呼吸でフレイルチェストを伴う左第3~11肋骨骨折,肺挫傷,血気胸などを認めた.人工呼吸管理による内固定を行うも,通常の圧設定では胸郭の動揺が遷延し,強い疼痛を伴った.人工呼吸器からの早期離脱と早期の疼痛改善を目的として,合併する腹部臓器損傷の安定を得た後の受傷5日目に肋骨観血的整復固定術を施行した.固定部位は最も動揺や疼痛の強く,換気に影響している骨折部を選定し,最小限とした.術後,胸郭の動揺や疼痛は軽快し,受傷9日目に人工呼吸器を離脱した.多発肋骨骨折に対する外固定の適応や時期,固定部位については多く議論されている.本症例は高齢であったが,有効で低侵襲な骨折固定部位の選定や早期に外固定により人工呼吸器離脱を図ることで,良好な経過を得たので報告する.
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  • 多田 和裕, 酒井 昌博
    76 巻 (2015) 3 号 p. 494-497
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は5年前に右肋骨骨折の既往のある87歳の女性で,前夜からの心窩部痛を主訴に翌昼に受診された.受診時には呼吸苦も認めた.胸部単純X線検査で右胸郭の透過性低下,鏡面像,縦隔の左方偏位,陳旧性右肋骨骨折を認めた.胸部~骨盤単純CTで,右胸郭内に小腸脱出と胸水貯留,右肺の圧排と縦隔の左方偏位を認め,遅発性外傷性横隔膜ヘルニア嵌頓,絞扼性イレウスと診断した.CT撮像後,ショックバイタルとなったため緊急手術を行った.右肋弓下切開で開腹すると,小腸が,右横隔膜天蓋部のヘルニア門から胸腔内へ脱出していた.ヘルニア門を切開し,小腸を引き出すと嵌頓した部分は壊死しており,同時に多量の胸水を認めた.虚脱肺が拡張すると同時にバイタルサインは著明に改善した.小腸切除と胸腔ドレーン挿入,横隔膜修復を行い,手術を終了した.遅発性外傷性横隔膜ヘルニアは嵌頓により急激で致死的な症状を呈すことがあり,早急な対応が必要である.
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  • 永井 啓之, 野澤 聡志, 齋藤 徹, 升田 貴仁, 郷地 英二
    76 巻 (2015) 3 号 p. 498-502
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,男性.胃癌に対し胃全摘・Roux-Y法再建術後,胆嚢摘出術施行後,第14病日に左上腹部痛と発熱出現.血液検査にて炎症反応および胆道系酵素上昇を認め,腹部CTにて輸入脚腸管の著明な拡張と総胆管・肝内胆管拡張を認め輸入脚閉塞症と診断.経皮経肝胆道ドレナージ(PTCD)施行し,胆管炎の治療とともに同ルートよりチューブを拡張腸管内へ留置し腸液ドレナージとした.症状は早期に改善し,また,輸入脚腸管を長期ドレナージすることにより減圧のみで保存的に輸入脚閉塞症を治療しえた.輸入脚閉塞症は経鼻的イレウス管による減圧は困難であり再開腹により解除術施行されることが多いが,経皮経肝胆道ドレナージは非手術療法として有効な治療手技と思われた.
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  • 伊藤 想一, 川嶋 和樹, 小笠原 弘之, 小坂 真吉, 大友 浩志, 横田 憲一
    76 巻 (2015) 3 号 p. 503-509
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例1は54歳,男性.発熱,嘔気,腰痛を主訴に当院を受診した.精査にて肝占拠性病変と胃粘膜下腫瘍を指摘された.症例2は73歳,男性.発熱,めまい,食欲不振を主訴に当院を受診した.精査にて肝占拠性病変と胃粘膜下腫瘍を指摘された.両例とも臨床症状から肝膿瘍を疑い抗生物質投与を行ったところ,症状は改善し,肝病変も消失した.肝膿瘍治療後に腹腔鏡下胃局所切除術を施行し,経過は良好であった.胃粘膜下腫瘍の病理診断は症例1が神経鞘腫,症例2がGISTであった.胃内細菌がDelleから腫瘍内壊死組織に感染し,経門脈経路で肝に到達,肝膿瘍を形成したと考えられた.肝膿瘍を契機に発見された胃粘膜下腫瘍の報告は稀であり,貴重な症例と考えられたため,文献的考察を加えて報告する.
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  • 丹羽 真佐夫, 林 昌俊, 栃井 航也, 小久保 健太郎, 高橋 啓
    76 巻 (2015) 3 号 p. 510-514
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,男性.6年前に近医で特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura:ITP)と診断されたが,無治療で経過観察されていた.食欲不振,黒色便を認めたため精査加療目的で当院紹介された.上部消化管内視鏡検査で胃前庭部大彎側に約35mm大の2型腫瘍を認め,生検結果は中~高分化腺癌だった.胃癌取扱規約第14版よりcT2(MP),cN0,cM0,cStage IBと術前診断した.術前にステロイドと大量免疫グロブリン投与を施行し,幽門側胃切除術を無輸血で安全に施行しえた.術後経過は良好で,ステロイド投与は漸減し術後2週間後に終了としたが血小板数はさらに増加を認めた.現在,術後約2年半で外来経過観察中だが,血小板数10万/μl以上を維持している.
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  • 安齋 実
    76 巻 (2015) 3 号 p. 515-518
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,男性.前庭部の胃癌に対し腹腔鏡補助下幽門側胃切除を施行した.術後第6病日に発熱とCRPの上昇を認め,CTで膵液瘻による腹腔内膿瘍の診断となったため,まず保存的治療を行った.一時,炎症反応は沈静化したが,第17病日に再燃したため,ドレナージの適応と判断した.しかし,経皮的穿刺のための安全なルートが確保できないため,超音波内視鏡ガイド下ドレナージを施行した.その後,速やかに解熱とCRPの低下がみられ,CTで貯留液の著明な減少を認めたため第47病日に退院した.
    胃癌術後の膵液瘻に対して,保存的治療で軽快せず,かつ経皮的穿刺によるドレナージが困難な場合には,超音波内視鏡ガイド下ドレナージが治療の選択肢の一つとなり得ると考えられた.
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  • 松澤 文彦, 濱口 純, 阿部 厚憲, 鈴木 崇史, 永生 高広, 及能 健一
    76 巻 (2015) 3 号 p. 519-524
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は20歳の女性で,手術歴を含め特記すべき既往歴はなかった.腹痛を主訴に当科を受診した.腹部造影CTでは造影効果のない拡張した小腸を広範に認めた.骨盤内では一部に出血性壊死を疑う壁肥厚があり,また多量の腹水を認めた.絞扼性イレウスと診断し緊急開腹術を行った.術中所見では回腸係蹄が口側の小腸に巻き付いている状態であり,絞扼した腸管は壊死に陥っていた.回腸の二つのループが関与した腸管結節形成症の診断で,壊死した回腸末端より口側130cmの腸管を含む回盲部切除術を行った.術後4日目より食事を再開した.経過は良好であり,術後11日目に退院した.
    腸管結節形成症は,移動性に富む二つの腸係蹄が結びつき結節を形成する疾患である.このうち小腸-小腸間に生じるものは非常にまれである.腸管の血流障害を伴い病状の進行が急激である.絞扼性イレウス症例では本症の可能性も念頭に置くべきと考えられた.
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  • 菅 淳, 瀬山 厚司, 末廣 祐樹, 井口 智浩, 井上 隆, 守田 知明
    76 巻 (2015) 3 号 p. 525-528
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    癒着や腸回転異常などに起因しない原発性小腸軸捻は比較的稀な疾患で,小腸壊死をきたした場合は予後不良である.今回われわれは,超高齢者に発症した原発性小腸軸捻に,小腸大量切除を施行した.術後短腸症候群を発症したが,その後,良好な経過が得られたので報告する.症例は90歳,女性.腸炎で他院に入院加療中,腹満感と嘔吐が出現した.癒着性イレウスを疑われ,精査加療目的で当院へ紹介となった.腹部CTで小腸軸捻が疑われ,緊急手術を施行した.小腸が上腸間膜動静脈を軸に時計回りに360度捻転し,広範囲に壊死していた.癒着等捻転の原因は認められず,原発性小腸軸捻と診断した.捻転を解除し,壊死小腸を大量に切除した.回盲弁は温存,残存小腸は約50cmとなった.術後短腸症候群を発症したが,その後,水様性下痢は軽快し,術後48日目には経口摂取のみで栄養学的自立が得られた.
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  • 村瀬 成彦, 内田 広夫, 平松 聖史, 雨宮 剛, 関 崇, 新井 利幸
    76 巻 (2015) 3 号 p. 529-533
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は10カ月,女児.在胎30週より径50mmの腹腔内嚢胞を指摘されていた.在胎38週に自然分娩,出生後は特に腹部症状を認めなかった.腹部超音波検査では経時的に大きさが変化する移動性腫瘤を認め,壁は消化管様の5層構造を示していた.CT検査では左下腹部の内部に空気を含む径40mmの嚢胞性腫瘤を認めた.消化管重複症またはMeckel憩室と術前診断し,生後10カ月で単孔式腹腔鏡補助下摘出術を施行した.臍内に逆Y字の皮膚切開を行い開腹しmulti-channel portを装着した.腹腔内を検索すると回腸に5cm大の腫瘤を認め,腫瘤を臍部創から体外に脱転し隣接腸管を含めて切除し回腸端々吻合を行った.腫瘤は回腸と腸間膜側で交通し,共通の腸間膜に支配されている回腸重複症であった.内腔は異所性胃粘膜で覆われていた.術後経過は順調で術後7日目に退院となった.
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  • 田守 登茂治, 浦野 尚美, 田中 靖士, 水谷 伸, 小川 法次, 小関 萬里
    76 巻 (2015) 3 号 p. 534-538
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,男性,左側腹部腫瘤を主訴に受診.腹部CT検査で左側腹部に多房性腫瘤を認めた.腸間膜嚢胞腺癌などの悪性病変の可能性を考慮して開腹手術を施行した.開腹所見では空腸間膜に表面平滑な腫瘤を認めた.一部空腸を含めて腫瘤を全摘出した.病理組織学的に腸間膜リンパ管腫と診断した.成人の腸間膜リンパ管腫は比較的稀な疾患であり若干の文献的考察を加えて報告した.
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  • 川越 勝也, 濵崎 景子, 稲村 幸雄, 福岡 秀敏, 角田 順久, 石川 啓, 岩崎 啓介
    76 巻 (2015) 3 号 p. 539-544
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は17歳の男性で,右下腹部痛を主訴に近医を受診し,抗生剤で加療されるも症状の改善なく,第2病日に当科に転院となった.腹部造影CT検査で回盲部にtarget signを認め,腸重積と診断した.入院後も症状の改善なく第3病日に手術を施行した.術中所見では回盲部の腫瘤性病変を先進部として横行結腸に重積していた.術中迅速病理診断では,悪性リンパ腫の所見であり,回盲部切除術のみを施行した.術後病理学的検査でBurkittリンパ腫が疑われ,染色体検査を施行し8番遺伝子の転座で確定診断を得た.CODOX-M/IVAC療法を施行し,寛解が得られた.
    本疾患は予後不良な疾患であったが,近年の化学療法の改良により寛解が望める疾患となりつつある.腸重積で発症する場合には,病理学的な診断が得られる前に緊急手術となることが多い.術中迅速病理診断を行うことで早期より他科との協力が可能となり,治療介入も早期に行える.
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  • 神尾 一樹, 玉川 洋, 澤崎 翔, 湯川 寛夫, 利野 靖, 益田 宗孝
    76 巻 (2015) 3 号 p. 545-549
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は89歳,男性.発熱,食思不振,呼吸苦を主訴に当院を受診した.来院時は,38.0℃の発熱を認め,腹部CT検査で,腹腔内膿瘍を伴う急性虫垂炎と診断され,虫垂切除術を施行した.病理組織学的検査で壊疽性虫垂炎と粘膜下に陳旧性の日本住血吸虫卵を認めた.術後経過良好で第10病日に退院となった.日本住血吸虫症は中間宿主である宮入貝の撲滅に伴い,1978年を最後に国内での新たな感染者は報告されていない.病理組織検体に日本住地吸虫卵が認められた場合は流行地出身者などの陳旧性症例であり,報告例も減少し,高齢層へ移行している.しかし,日本住血吸虫症の国外感染による輸入症例の報告もあり,活動性感染の可能性も念頭に置くべきと考えられた.
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  • 濵崎 景子, 川越 勝也, 渋谷 亜矢子, 福岡 秀敏, 角田 順久, 石川 啓
    76 巻 (2015) 3 号 p. 550-555
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は66歳の女性で,2010年に健診にて上部消化管造影検査を施行された.検査後,下剤を内服するも水様便の排出のみで白色便は認めなかった.検査後4日目より腹痛が出現し,近医の腹部CT検査にてイレウスを指摘された.検査後6日目には頻回の嘔吐を認めたため,当科紹介となった.腹部CT検査にてS状結腸穿孔と造影剤の漏出を認め,S状結腸穿孔の診断にて緊急手術となった.腹腔内には黄白色の混濁した腹水と壊死したS状結腸を認め,Hartmann手術を施行した.
    消化管造影検査後の大腸穿孔はまれであり,注腸検査では10,000例中2~4例と報告されているが,上部消化管造影検査ではさらに頻度が低い.今後,高齢化社会に伴い,便秘傾向の被験者が増加する可能性が高いことが予想される.検査後のバリウム排泄の徹底や,排泄困難例の厳密な管理が求められる.
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  • 山村 喜之, 梅本 一史, 鈴木 友啓, 加藤 航平, 村川 力彦, 大野 耕一
    76 巻 (2015) 3 号 p. 556-560
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,男性.既往歴として3年前に中部胆管癌に対して膵頭十二指腸切除術を施行された.上行結腸憩室炎の診断にて消化器内科入院していたが改善せず入院6日目にCTでfree air認めた.上行結腸憩室穿孔の診断にて当科紹介され結腸右半切除術を施行した.切除検体には多発する憩室の肛門側に腸管が引きつれて弯曲している部分があったが明らかな腫瘍は指摘できなかった.組織学的に漿膜下層から固有筋層を中心に管状腺癌,一部低分化腺癌が浸潤性発育していた.免疫染色ではCK7(+),CK20(-/+),Cdx2(-)で胆管癌の上行結腸転移と診断された.術後化学療法は施行せず,術後3カ月目に肝門部再発をきたし術後5カ月に永眠された.
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  • 竹田 充伸, 徳岡 優佳, 井出 義人, 竹田 雅司, 佐々木 洋
    76 巻 (2015) 3 号 p. 561-566
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,女性.めまいを主訴に近医を受診し,Hb 4.7g/dlと著明な貧血を認め精査加療目的で当院紹介受診となった.精査にて上行結腸癌と診断し結腸右半切除術を予定したが,術中検索で回盲弁より約6cm口側の回腸に腫瘤性病変を認めたため,この腫瘤性病変を含んで合併切除を行った.切除標本にて回腸に2型病変が確認できた.病理組織学検査にて上行結腸癌(por1>muc)+小腸癌(回腸)(muc>tub2)と診断した.回腸病変については,粘膜病変が主で漿膜面に露出がなく,肉眼型で2型の形態を示していることから原発性小腸癌と考えられた.術後21カ月経過し生存中である.小腸大腸同時性重複癌の本邦報告例は25例と比較的稀である.今回,われわれは上行結腸癌に小腸癌を合併した1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 弓削 拓也, 佐藤 真輔, 大島 健志, 大端 考, 高木 正和, 鈴木 誠
    76 巻 (2015) 3 号 p. 567-570
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は77歳の女性.2013年1月に血便を主訴に近医受診した.横行結腸癌と診断され,同年2月に当院に紹介受診.大腸癌,T,2型,por1>tub2,cSE,cN1,cH0,cP0,cM0 cStage IIIaの診断で結腸左半切除術を施行した.病理診断は大腸癌,T,2型,por1>tub2,pSS,pN1,sM0,sP0,sM0,INFb,ly1,v1,pPM0,pDM0,fStage IIIaであった.術後補助化学療法後(術後9カ月)に施行した造影CT検査にて左副腎転移を指摘された.PET-CT検査で他に遠隔転移を認めず,孤立性副腎転移と診断した.2014年1月に左副腎切除術を施行.病理組織学的には中分化型腺癌で横行結腸癌の転移と診断した.今回,われわれは比較的稀な大腸癌術後の孤立性副腎転移の1切除例を経験したので報告する.
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  • 土屋 淳一, 四万村 司, 岸 龍一, 佐々木 奈津子, 國場 幸均, 大坪 毅人
    76 巻 (2015) 3 号 p. 571-576
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,女性.2011年8月頃より体重減少を主訴に近医を受診し,肝腫瘍が疑われ,精査加療目的で当院紹介受診となった.腹部CT検査で肝臓に多発する腫瘍を認め,下部消化管内視鏡検査ではS状結腸癌を認めた.腫瘍マーカーはCEA<0.5ng/ml,CA19-9 10.9U/mlと正常値であったがα-fetoprotein(以下AFP)123.3ng/mlと上昇を認めた.S状結腸癌同時性多発肝転移と診断し,原発巣切除目的で腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した.術後AFPは20.4ng/mlまで低下し,また免疫染色にて腫瘍内部にAFPの染色が認められたことよりAFP産生S状結腸癌と診断した.術後全身化学療法を施行したが肝転移巣の増大を認め術後7カ月で死亡した.今回,われわれはAFP産生S状結腸癌という比較的稀な疾患を経験したため,文献的考察を加え報告する.
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  • 小倉 俊郎, 坂本 裕彦, 菊地 功, 八岡 利昌, 網倉 克己, 大庭 華子, 田中 洋一
    76 巻 (2015) 3 号 p. 577-582
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は58歳の男性で,7年前にS状結腸癌に対しS状結腸切除術を施行し,tub2,SS,N0,M0,Stage IIと診断された.フォロー中に施行した腹部造影CTで肝S6/7に造影効果の乏しい14mm大の腫瘤を指摘された.転移性肝腫瘍が疑われたため,腹腔鏡下肝S6/7部分切除術を施行した.病理組織学的検査では腫瘍は中分化型腺癌であり,免疫組織学的検査の結果からS状結腸癌の肝転移と診断された.大腸癌術後の再発はそのほとんどが5年以内に出現し,ガイドラインにおいてもサーベイランス期間の目安とされている1).当科における大腸癌切除症例の検討では,術後5年目以降に再発を認めた症例は全体の0.56%とまれであった.原発の進行度によらず5年以降の再発は報告されており,再発病変を切除可能であった症例の予後は比較的良好であった.50歳台以下で発症した大腸癌罹患者は60歳台以降発症例と比較し晩期再発が多い傾向を認めた.
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  • 石戸 保典, 佐藤 雅彦, 岡田 治彦, 齋藤 徹也, 根上 直樹, 渡部 英
    76 巻 (2015) 3 号 p. 583-587
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,女性.平成24年12月より排便時出血を認めていた.平成25年3月に当院消化器内科を受診し大腸内視鏡検査を施行,直腸S状結腸部に3/4周性の2型腫瘍を認めた.腹部CT検査で骨盤内に融合した腎を認めた.同年5月に手術目的に当科を紹介された.腎の先天性奇形のうち,交叉性腎変位は比較的稀とされている.塊状腎は,交叉性腎変位の中でも融合した腎が正常より下部に位置し,尿管や腎動静脈の奇形を伴うことが多く,直腸癌の手術においてはその解剖学的位置関係が重要となる.今回われわれは,塊状腎を合併した直腸癌を経験した.胃潰瘍・子宮筋腫術後のため開腹で前方切除術を行ったが,術前検査として各種3D-CTをfusionさせ,腸管・尿管・血管の位置関係を術前に把握し,術中の尿管損傷などの合併症なく手術を終了できた.腎奇形を伴う直腸癌の手術において,各種3D-CTをfusionすることは有効と考えられた.
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  • 好中 久晶, 亀岡 伸樹, 長野 郁夫, 金澤 英俊, 佐藤 太一, 松本 直基
    76 巻 (2015) 3 号 p. 588-592
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は50歳,男性.腹痛,嘔吐を主訴に受診.来院時の腹部CTでイレウス,胆管気腫を認め入院となった.イレウスの治療目的でイレウス管を留置する際にガストロフィンによる造影で胆嚢十二指腸瘻を認めた.上部消化管内視鏡検査を施行し,十二指腸の瘻孔部に嵌頓した結石片を認め摘出した.胆道の評価のため施行したDIC-CTで偶然に小腸閉塞部の陰影欠損を認め,胆石イレウスを強く疑った.緊急手術を施行し,閉塞部小腸から結石片を摘出した.画像診断で胆道系の情報が不明瞭であったので,胆道十二指腸瘻に対する手術は行わなかった.術後4週間の上部消化管内視鏡で胆嚢十二指腸瘻はほぼ閉鎖し,無症状なため,胆嚢十二指腸瘻に対する手術は行っていない.今回われわれは,DIC-CTが確定診断の一助となった胆石イレウスの1例を経験したので報告する.
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  • 江上 拓哉, 北原 光太郎, 中村 賢二, 八谷 泰孝, 福山 時彦, 槇原 康亮
    76 巻 (2015) 3 号 p. 593-597
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,腎癌手術後2年目に胆嚢転移をきたした症例を経験したので報告する.症例は72歳の男性で,2年前に左腎細胞癌の診断で左腎摘出術を受けた.その後,肝硬変に対し当院内科に通院中であったが腹部エコーで胆嚢ポリープを指摘され,増大傾向であったため腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.組織学的に淡明細胞癌の所見であり,前回手術の腎細胞癌の組織像とも一致したため腎細胞癌の胆嚢転移と診断した.腎細胞癌の胆嚢転移は本邦報告21件と極めてまれであり,文献的考察を加えて報告する.
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  • 尾崎 友理, 平松 聖史, 雨宮 剛, 後藤 秀成, 関 崇, 新井 利幸
    76 巻 (2015) 3 号 p. 598-602
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,腫瘤を形成する限局型脾紫斑病の1例を経験した.症例は63歳,女性.他の疾患の精査中,CTで胃と脾臓との間に腫瘤性病変を指摘された.上部消化管内視鏡検査では,胃内に半球状に突出する粘膜の変化に乏しい隆起性病変を認めた.胃粘膜下腫瘍と術前診断した.超音波内視鏡検査においても同様の所見を認めた.手術所見では,腫瘤は胃粘膜下腫瘍ではなく脾臓由来であった.周囲への浸潤はなく,脾腫瘍と術中診断し脾臓摘出術を施行した.病理組織学的検査にて腫瘤性病変は腫瘍ではなく脾紫斑病と診断した.
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  • 土屋 朗之, 田中 直樹, 坂田 直昭, 森川 孝則, 内藤 剛, 海野 倫明
    76 巻 (2015) 3 号 p. 603-607
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は60歳台,女性.卵巣腫瘤を含む腹部多発腫瘤を認め,腹膜転移を伴う卵巣癌を念頭に置いた精査中に,卵巣腫瘤のS状結腸穿通を認めた.その後,腹壁腫瘤の増大による炎症反応の著明な上昇と腹膜刺激症状を認め,腹腔内多発膿瘍を疑い緊急手術を施行した.手術は膿瘍ドレナージの上,子宮・付属器を切除し,S状結腸は温存し一時的回腸人工肛門を造設した.病理組織検査でグラム陽性線状細菌が多数観察され,細菌培養検査でActinomyces israeliiを同定,腹部放線菌症と診断した.本症例では,子宮内避妊器具(IUD)が長年留置されていたため腹部放線菌症を発症したものと考えられた.術後再発予防のためにペニシリン系抗菌薬を6カ月間投与し,現在まで術後2年8カ月間再発は認めていない.IUD長期留置に伴い腹部放線菌症を発症し多発腹腔内膿瘍のS状結腸穿通,腹壁浸潤を呈した稀な症例を経験したので報告する.
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  • 馬場 卓也, 肥満 智紀, 梅枝 覚, 山本 隆行, 湯澤 浩之, 中山 茂樹
    76 巻 (2015) 3 号 p. 608-612
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,女性.腹部膨満を主訴に来院.腹部CT・MRIで多量の腹水と下腹部に分葉状軟部腫瘍を認め,PET-CTで同部に高度集積を認めた.血清CA125は高値であった.腹水穿刺細胞診でadenocarcinomaと診断された.消化管・子宮・卵巣に異常を認めなかったため,原発不明癌として試験腹腔鏡を施行した.大網に一塊となった多房充実性腫瘍と腹膜播種を認めた.腫瘍は可及的に切除した.病理組織学的検査は漿液性乳頭状腺癌であった.以上より,腹膜原発漿液性乳頭状腺癌の診断で術後はpaclitaxel・carboplatin併用による化学療法を施行した.一時は奏効したが次第に腫瘍は増大し,腹水も貯留するようになっていった.腹水濾過濃縮再静注法(CART)を行うことで全身状態は保持しえたが,術後18カ月で死亡した.稀ではあるが原発不明癌では本症例も念頭に置き,診断・治療にあたるべきと考えられた.
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  • 白井 順也, 羽鳥 慎祐, 米山 克也, 笠原 彰夫, 山本 裕司, 益田 宗孝
    76 巻 (2015) 3 号 p. 613-616
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,女性.2日前より突然腰痛を自覚し当院外来を受診した.発熱,腹痛は認めず腰部全体の鈍痛を認めた.白血球22,900/μl,CRP 35mg/dlと炎症反応の著明な上昇を認め,腹部単純CT検査では第3~5腰椎,大動脈左側の後腹膜腔に径8cm大の内部均一な低吸収域を認め,エコー所見では内部均一な低エコー域であった.後腹膜膿瘍を疑い,同日緊急開腹ドレナージを施行した.腹部正中で開腹し,後腹膜腔の液体貯留部を穿刺し計350mlの乳白色液体を排液した.持続吸引式ドレーンを後腹膜腔の液体貯留部へ留置した.液体は,無臭でTG 1,129mg/dlと高値であったため乳糜漏と診断した.術後2日目から脂肪制限食を開始し,ドレーンは術後9日で抜去し術後12日で退院となった.特に原因となる手術歴や外傷を認めないことから特発性後腹膜乳糜漏と診断した.今回,極めて稀な症例を経験したため文献的考察を加え報告する.
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  • 藤幡 士郎, 坂本 宣弘, 松尾 洋一, 佐藤 幹則, 木村 昌弘, 竹山 廣光
    76 巻 (2015) 3 号 p. 617-621
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    患者は24歳,女性.食後の悪心を主訴に近医を受診し,腹部CT検査にて左傍結腸溝付近に45×24mm大の嚢胞性腫瘍を指摘され,当院消化器外科を紹介された.腹部は平坦・軟であり腫瘤は触知されず,圧痛も認めなかった.紹介後に当院施行の腹部造影CTにて60×20mm大の嚢胞性病変が指摘され,MRI T2強調画像では50×32mm大の高信号域が前述の部位に指摘された.内部に結節等の充実性病変は認められなかったが,徐々に増大する良性嚢胞性疾患の診断の下予防的切除に同意され手術を施行した.腹腔鏡下に手術を施行,下行結腸外側の後腹膜に境界明瞭な嚢胞性の腫瘤を確認し被膜を損傷することなく摘出した.嚢胞内容物は粘液様で細胞診は陰性であったが,生化学検査ではCEA・CA125が高値であった.病理組織学検査の結果,粘液嚢胞腺腫の診断を得た.術後9カ月の現在,再発の兆候を認めていない.
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  • 内田 雄一郎, 河本 和幸
    76 巻 (2015) 3 号 p. 622-625
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は結節性硬化症の50歳の女性,健康診断の腹部超音波検査で腹部腫瘤を指摘された.造影CT検査で上行結腸背側の後腹膜に10cm大の脂肪濃度の腫瘤を認めた.後腹膜腫瘍の診断で切除を行い,後腹膜血管筋脂肪腫の診断に至った.結節性硬化症は腎血管筋脂肪腫を高率に合併するのが一つの特徴である.本症例でも両側に腎血管筋脂肪腫の所見を認めているが,腎外血管筋脂肪腫の合併は極めて稀である.血管筋脂肪腫が腎外に発生することは少なく,後腹膜血管筋脂肪腫はこれまで32例が報告されているが,結節性硬化症と後腹膜血管筋脂肪腫の合併例は報告がなく,本症例は貴重な症例と考えられる.
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  • 深田 真宏, 松橋 延壽, 高橋 孝夫, 山口 和也, 長田 真二, 吉田 和弘
    76 巻 (2015) 3 号 p. 626-630
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,女性.平成16年に全身性エリテマトーデス(以下SLE)と診断されて以来,副腎皮質ステロイド剤を中心とした治療が継続中であった.平成24年6月中旬より,左側腹部に手拳大の膨隆を自覚し腹部CT検査を施行し,左側腹部の腹壁ヘルニアと診断され当科紹介となった.初診時は腹部症状はなく,ステロイド長期投与による術後合併症のリスクを考慮し経過観察とした.その後,急速にヘルニアの増大を認め,疼痛・嘔気を伴うようになったため手術を施行した.
    術中所見は腹壁筋が約8×22cmにわたり断裂し,小児頭大のヘルニア嚢の脱出を認めた.ヘルニア嚢を内翻し,腹膜・腹横筋間にVentrioTM HerniaPatchを固定し修復した.術後経過は良好で術後9日目に退院となった.
    今回われわれは,長期間のステロイド投与と腹圧の上昇が主な原因と考えられた腹壁ヘルニアの1例を経験し,文献的考察を加えて報告する.
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  • 小倉 道一, 康 祐大, 菊池 剛史, 君塚 圭, 大原 守貴, 三宅 洋
    76 巻 (2015) 3 号 p. 631-636
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,女性.睡眠薬を服用した状態で乗用車を運転し,意識を消失して電柱に衝突し救急搬送された.右側腹部の疼痛を訴えたが,経過観察となった.約1カ月後より右側腹部の膨隆を自覚し,徐々に増大するため当科を受診した.右側腹部に長径15cmの無痛性,弾性硬の腫瘤を触知し,画像検査と併せてヘルニア内容を横行結腸とする上腰ヘルニアと診断した.交通事故の際のシートベルトによる急激な腹圧の上昇がヘルニア発症の原因と考えられた.Parietex Optimized Composite MeshTM(PCO)を用いて腹腔内経路での腹腔鏡下腰ヘルニア修復術を施行した.術後第3病日に合併症なく退院し,術後9カ月の経過観察で再発や慢性疼痛などの有害事象は認めていない.腰ヘルニアは稀な疾患で腹腔鏡手術の報告は少ないが,従来の術式と比べ低侵襲で整容性の点でも有用であり,術後在院期間を短縮しうると考えられた.
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  • 山口 拓也, 戸口 景介, 外山 和隆, 冨岡 百合子, 石田 ゆみ, 今井 稔
    76 巻 (2015) 3 号 p. 637-641
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,女性.上腹部の膨隆を主訴に当科を受診.既往歴として,前年(2012年)に大動脈弁狭窄症に対して大動脈弁置換術と冠動脈バイパス術を施行されていた.このとき胸骨正中切開を行っており,同時に上腹部の白線も一部切開されている.腹部CT所見でも矢状断で二つに分かれた剣状突起の下から,白線の消失と,脂肪組織の膨隆脱出を認める.このため,剣状突起下瘢痕ヘルニア(subxiphoid incisional hernia,以下SIHと略記)と診断した.今回は腹腔鏡下に腹腔内からメッシュを展開,修復術を施行した.術後合併症はなく,疼痛コントロールもNSAIDsで可能であった.7日目に退院.腹腔鏡下に修復する場合のメリットとしては,創が小さいこと,さらに腹腔内からヘルニア門の観察が十分に行えること,腹部外科医にとって解剖学的な理解が容易であることがあげられる.SIHに対する腹腔鏡下手術を経験したので報告する.
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  • 金子 達哉, 二村 好憲, 遠藤 悟史, 仲本 嘉彦, 当間 智子, 高石 聡
    76 巻 (2015) 3 号 p. 642-646
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    今回Meckel憩室が嵌頓した大腿ヘルニアの1例を経験したので報告する.
    症例は86歳の男性.右鼠径部の腫脹・疼痛を主訴に受診.腹部単純CTにて鼠径部に内部低信号な26mm大の腫瘤を認めた.限局した鼠径部腫瘤と判断し摘出を試みたが,腫瘤は鼠径靱帯の尾側に存在し大腿輪へと繋がっており大腿ヘルニア嵌頓と判明.ヘルニア嚢を切開したところ,回腸末端より50cm口側に存在したMeckel憩室が嵌頓していた.先端に一部虚血性変化を認めるも壊死・穿孔の所見なく,憩室切除しMcVay法により大腿ヘルニアを修復した.
    嵌入部位を問わずMeckel憩室がヘルニア内容となったものをLittréヘルニアと呼ぶ.Meckel憩室が嵌頓した大腿ヘルニアの報告は少なく,その中でも男性での発症は稀である.疼痛などの自覚症状がありながら通過障害を認めない鼠径部腫瘤に対しては本疾患を考慮し診療に臨む必要があると考えられた.
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