日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
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76 巻 , 5 号
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原著
  • 今西 俊介, 首藤 潔彦, 斎藤 洋茂, 河野 世章, 大平 学, 当間 雄之, 郡司 久, 成島 一夫, 藤城 健, 栃木 透, 松原 久 ...
    76 巻 (2015) 5 号 p. 937-943
    公開日: 2015/11/30
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    目的:食道癌術前補助療法の組織学的奏効度判定におけるMRI拡散強調画像(Diffusion Weighted Imaging:DWI)の有用性を評価することが目的である.対象:術前補助療法を施行後に切除した食道癌患者70例.方法:補助療法前後にDWIを撮像し,組織学的奏効度別に腫瘍部の拡散係数(Apparent Diffusion Coefficient:ADC)の推移を比較した.結果:組織学的奏効例では非奏効例に比べ治療後のADCは有意に上昇した(1.61 vs. 1.11 P<0.0001).また,奏効例では非奏効例に比べ治療に伴うADCの増加率は有意に高値であった(62% vs. 13% P<0.0001).ADCによる奏効例の判別能は感度96%,陽性適中率86%,正診率93%であった.結論:食道癌補助療法の組織学的奏効度判定にDWIは有用である.
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症例
  • 渡瀬 智佳史, 森島 宏隆, 三輪 秀明, 小田 直文, 長谷川 順一, 松並 展輝
    76 巻 (2015) 5 号 p. 944-949
    公開日: 2015/11/30
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    66歳,女性.左腎癌術後経過観察中のCT検査で右乳房内に徐々に増大する腫瘤が認められた.右乳房に疼痛・圧痛や腫瘤を認めず,領域リンパ節も触知されなかった.マンモグラフィーは両側ともcategory 1であった.超音波検査では右乳房D領域に9.3mmでD/Wが大きい境界明瞭な楕円形腫瘤を認め,内部低エコーで後方エコーはやや増強していた(category 3).穿刺吸引細胞診では紡錘形細胞の集塊と鋭角状の突出があり,神経鞘腫を強く疑った.針生検では紡錘形細胞が柵状配列を形成し,VimentinおよびS-100蛋白が陽性のため神経鞘腫と診断した.診断的治療目的で腫瘍摘出術を施行.病理組織診断は二つの隣接する良性の神経鞘腫であった.乳房原発の神経鞘腫は自験例を含め47例と非常に稀であり,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 亀井 美玲, 菊池 暢之, 中城 正夫, 高橋 良彰, 秋月 真一郎
    76 巻 (2015) 5 号 p. 950-954
    公開日: 2015/11/30
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    症例は93歳,女性.呼吸困難感とめまいを主訴に来院し,心不全の診断で入院となった.入院時CTで左乳房腫大を指摘されたため当科紹介となった.視診では著明な左乳房腫大があり,触診では明らかな腫瘤は触知せず,pitting edemaを認めた.圧痛は認めなかった.超音波検査では皮膚皮下組織の肥厚を認め,C領域には良性病変とみられる低エコー域を認めるのみであった.心不全治療開始後6日目には心不全症状は改善したが,乳房腫大は改善なく,さらに発赤も認めた.炎症性乳癌を疑い,針生検と皮膚生検とを施行した.病理学的には悪性所見は認めず,真皮に毛細血管の拡張とリンパ球の軽度浸潤を認めるのみであった.心不全に伴う乳房浮腫と診断し心不全治療を継続したところ,2カ月経過した段階で左乳房浮腫は軽快した.炎症性乳癌との鑑別が困難であった心不全に伴う乳房腫大の1例を経験したので文献的考察を加え報告する.
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  • 山下 美智子, 亀井 義明, 村上 朱里, 杉森 和加奈, 馬越 健介, 本田 和男
    76 巻 (2015) 5 号 p. 955-960
    公開日: 2015/11/30
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    今回,われわれは乳癌術後にtoxic shock syndromeを発症し,重篤な経過を辿ったが集中治療により救命できた1例を経験したので報告する.症例は48歳の女性.左乳癌に対し術前化学療法後に乳房切除術,腋窩リンパ節郭清を施行した.術後出血を認めたが,圧迫にて止血され皮弁下に血腫が残存した.術後22日目にドレーンを抜去し,同日退院した.退院日の夕方より発熱および嘔吐下痢症状があり,術後24日目に緊急入院した.胸腹部CTでは左前胸部から側腹部に軟部陰影,皮弁下にガス像を認めた.創を開放すると広範囲に筋肉の壊死を認め,壊死性筋膜炎と診断した.入院後ショック状態となり集中治療を開始した.創部に対し局所陰圧閉鎖療法を開始した.創部の細菌培養からMRSA(ET-CおよびTSST-1産生株)が検出された.集中治療により全身状態は改善し,創部に関しても局所陰圧閉鎖療法により局麻下に創の再縫合が可能となった.
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  • 長島 沙樹, 櫻井 健一, 植田 雄一, 前田 哲代, 榎本 克久, 天野 定雄
    76 巻 (2015) 5 号 p. 961-964
    公開日: 2015/11/30
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    男性の非浸潤性乳管癌の頻度は4.8~7.0%とされ,稀である.今回われわれはPagetoid癌様の臨床症状を呈し,男性に発症した非浸潤性乳管癌を経験したので報告する.症例は63歳の男性.3年前より左乳頭の腫脹があり,増大したため受診した.初診時には左乳頭の腫脹・潰瘍形成を認めた.乳房超音波検査で左E領域に直径1.5cmの低エコー域を認めた.マンモグラフィ検査では,左乳頭直下に集簇する淡く不明瞭な石灰化病変を認めた.乳房造影MRI検査では造影効果のある腫瘤像として描出された.針生検を施行したところ,乳管癌と診断された.胸筋温存乳房切除術および腋窩リンパ節郭清術を施行した.病理組織学的検査では,非浸潤性乳管癌,エストロゲンレセプター陽性,プロゲステロンレセプター陽性,HER2陰性,pTis,pN0,M0=Stage 0と診断された.術後6年6カ月目の現在,再発・転移を認めていない.
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  • 櫻井 健一, 長島 沙樹, 鈴木 周平, 榎本 克久, 杉谷 雅彦, 藤崎 滋
    76 巻 (2015) 5 号 p. 965-969
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    中心性単発の乳頭腫切除後19年後に発見された非浸潤性乳管癌の1例を経験した.症例は68歳,女性.乳癌検診で異常を指摘され当科を受診した.既往歴として19年前に右乳頭直下の乳房腫瘤の切除歴があった.病理組織診断は乳管内乳頭腫であり,切除断端は陽性であった.マンモグラフィ検査で右M領域に多形性区域性の石灰化を認めた.超音波検査では右乳房C領域に高輝度点状高エコーの集簇を伴う低エコー領域を認めた.吸引式針生検術を施行したところ非浸潤性乳管癌と診断された.遠隔転移のないことを確認後,胸筋温存乳房切除術+センチネルリンパ節生検術を施行した.病理組織診断は非浸潤性乳管癌であった.乳頭腫は全体として乳癌の危険因子と推定されている.本症例は異型を伴わない中心性乳頭腫が長い年月を経て癌化したと考えられる症例であり,稀なものと考えられた.
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  • 森川 あけみ, 二村 学, 兼松 昌子, 森 龍太郎, 森光 華澄, 吉田 和弘
    76 巻 (2015) 5 号 p. 970-974
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は40代,女性.5年前からアルコール性肝硬変で近医加療中であった.1カ月前から左乳房の張り感,痛み,しこりを自覚し当科受診された.初診時左乳房の腫瘍は7cm大で発赤,浮腫,乳頭陥凹を認め,針生検でエストロゲンレセプター(ER):0,プロゲステロンレセプター(PgR):0,HER2:0,Ki-67:65.7%,T4dN1M0 Stage IIIBの局所進行乳癌であった.初診時肝機能はChild AであったがPlt 3.8×104/μLと低値のため脾臓摘出術を先行した.血小板の速やかな上昇を確認後,術前化学療法としてweekly PTX 9クール施行したところcCRとなり11カ月後に胸筋温存乳房切除術+腋窩リンパ節郭清を施行した.病理検索では非浸潤性乳管癌(DCIS)の遺残のみでpCRであった.化学療法を必要とする肝硬変合併症例において,脾摘は安全に化学療法を遂行する有効な補助手段であった.
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  • 宮坂 大介, 新関 浩人, 浅野 賢道, 松永 明宏, 山口 晃司, 池田 淳一
    76 巻 (2015) 5 号 p. 975-980
    公開日: 2015/11/30
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    胸腺腫は様々な免疫疾患を合併する.今回われわれは,抗アセチルコリンレセプター抗体(以下抗AChR抗体)高値を伴った赤芽球癆合併胸腺腫の1例を経験したので報告する.症例は61歳の女性.検診で胸部異常影を指摘され当院受診.胸部造影CT検査で前縦隔に約6cm大,均一な造影効果を伴う境界明瞭な腫瘤影を認め,胸腺腫疑いと診断されたほか,網状赤血球数低下を伴う正球性正色素性貧血を認め,骨髄検査で赤芽球癆と診断.抗AChR抗体高値も認めたが,臨床的に重症筋無力症の症状を認めず.胸腺腫に対する拡大胸腺摘出術を施行後,経過良好で第10病日退院.病理所見では胸腺腫(WHO分類typeAB,正岡分類II期)と診断.約1カ月後より再び貧血の進行を認めたため,免疫抑制剤(シクロスポリン)による治療を開始.1週間後より貧血に改善傾向が見られ,以後,輸血非依存の状態を維持しており,重症筋無力症の症状も顕在化していない.
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  • 川島 光明, 佐野 厚
    76 巻 (2015) 5 号 p. 981-984
    公開日: 2015/11/30
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    67歳,男性.大動脈弁置換術後(機械弁)のためワーファリン内服中,かつ慢性C型肝炎のため血小板低値であった.安静時に突然の右胸部痛を自覚し,その4時間後に一過性の意識レベル低下を起こしたため当院に救急搬送された.一過性意識レベル低下の原因になるような他疾患は除外され,肺の気腫性病変に伴う右自然血気胸と出血性ショックの診断で緊急手術となった.出血源は胸膜頂に存在した索状物の切断端であり,自然気胸の原因は奇静脈食道陥凹部の肺嚢胞と思われた.出血点は電気凝固して止血し,肺嚢胞は自動縫合器で切除し,ポリグリコール酸シートで被覆した.術後,胸腔内への再出血は無く,退院に至った.近年,肺気腫等に伴う自然気胸の原因として,奇静脈食道陥凹部における肺嚢胞形成の重要性が報告されており,見落としが無いように注意が必要と考えられた.
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  • 藤居 勇貴, 村上 隆啓, 嘉陽 宗史, 八幡 浩信, 福里 吉充, 上田 真
    76 巻 (2015) 5 号 p. 985-988
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,男性.不整脈の既往歴なし.入浴後の突然の腰痛と腹痛,両下肢脱力にて当院へ救急搬送された.身体所見上,両足背動脈の脈拍欠如,両下肢完全麻痺,肛門括約筋の緊張低下があり,左上腹部の圧痛と反跳痛を認めた.造影CTにて右腎動脈分岐部から両側総腸骨動脈にかけての腹部大動脈塞栓,および左結腸間膜内に造影剤の血管外漏出を伴う血腫を認めた.血行動態不安定であり,緊急で(1)Fogartyカテーテルによる血栓除去および大腿動脈-大腿動脈バイパス術,(2)開腹止血術を手術室にて同時に施行した.開腹所見では,左結腸間膜に血腫を認め,左側結腸は壊死していたため左半結腸切除術を施行した.術後は急性腎障害,腹腔内膿瘍などを合併したが,救命・救肢に成功し,第169日目に退院となった.大動脈塞栓症に結腸間膜出血を合併することは非常に稀で重篤な疾患であるが,早期診断・治療を行うことで救命可能と考えられた.
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  • 苛原 隆之, 諸江 雄太, 磐井 佑輔
    76 巻 (2015) 5 号 p. 989-993
    公開日: 2015/11/30
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    腹部外傷による腹腔内出血に対し,開腹に先立つ下行大動脈遮断として大動脈閉塞バルーン(intra-aortic balloon occlusion;IABO)を使用し有効であった3例を報告する.症例1は18歳の男性.交通外傷による脾損傷・腎損傷に対し術前IABOを挿入し循環動態を安定させ,開腹止血・脾摘・腎摘を行った.症例2は46歳の男性.自傷による腹部刺創に対する開腹術前に予防的にIABOを挿入した.開腹すると肝左葉に刺創を認め,IABOにより出血を制御しつつ良好な視野で縫合止血を行い得た.症例3は40歳の男性.交通外傷による腸間膜損傷に対し術前IABOを挿入し循環動態を安定させ,開腹止血を行った.術後,一過性に腎機能悪化を認めたが回復した.IABOは術前の循環動態を安定させるとともに,術中の出血制御と良好な視野確保・止血に寄与し有効であるが,虚血による合併症に注意が必要である.
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  • 間下 直樹, 小池 聖彦, 岩田 直樹, 丹羽 由紀子, 平井 昂宏, 小寺 泰弘
    76 巻 (2015) 5 号 p. 994-997
    公開日: 2015/11/30
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    症例は72歳の男性.Stage IIIの胸部食道癌の診断で,術前化学療法を2コース施行後に食道亜全摘,3領域郭清,胃管後縦隔経路再建術を施行した.術翌日より誤嚥からの重症肺炎を併発し,人工呼吸管理を要した.抗菌薬投与を行うが改善せず,acute respiratory distress syndrome(以下,ARDS)に進展した.術後18日目より腹臥位呼吸管理とステロイド投与を開始すると,徐々に酸素化能の改善が得られ,人工呼吸器から離脱可能となり救命できた.重症ARDSに対する腹臥位呼吸管理の有用性が近年報告されている.一方で,ステロイド治療への評価は定まっていない.本症例は,腹臥位呼吸管理とステロイドによる治療の併用がARDSに対して奏効したと考えられ,文献的考察を加えて報告する.
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  • 増田 寛喜, 松谷 毅, 野村 務, 萩原 信敏, 内田 英二
    76 巻 (2015) 5 号 p. 998-1003
    公開日: 2015/11/30
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    症例は86歳,女性.主訴は,数年前からの食後上腹部不快感と嘔吐.胸部X線検査にて左胸腔内に異常ガス像を認めた.上部消化管内視鏡検査では,胃の変形が高度で,胃体中部から幽門側への内視鏡到達は困難であった.上部消化管造影および胸部CT検査では,横隔膜上の縦隔内に全胃が軸偏位を伴って脱出していた.Upside down stomachを呈したIII型食道裂孔ヘルニアと診断し,腹腔鏡下に胃還納,食道裂孔縫縮,メッシュ留置による食道裂孔の補強,噴門形成術を施行した.術後経過は順調で,再発は認めていない.食道裂孔ヘルニアは比較的頻度の高い疾患であるが,軸捻転を伴うupside down stomachを呈したIII型食道裂孔ヘルニアは稀な疾患であり,今回われわれは腹腔鏡下手術を施行した1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 三宅 謙太郎, 舛井 秀宣, 杉田 光隆, 福島 忠男, 茂垣 雅俊, 長堀 薫
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1004-1008
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は37歳,男性.統合失調症のため精神科入院中であった.外出時に自殺企図により酸性液体洗剤(サンポール®)を服用し,誤嚥性肺炎を発症したため,前医で人工呼吸器管理の下に抗生剤治療を行った.服用2カ月後から経口摂取後に嘔吐を繰り返すようになり,腐食性幽門狭窄が疑われたため精査加療目的に当院当科紹介受診となった.透視下上部消化管内視鏡検査では,幽門前庭部の狭窄を認め,内視鏡は通過不能であった.酸性洗剤による腐食性幽門狭窄と診断し,手術加療の方針とした.術中所見では狭窄が広範囲であり,膵臓との癒着も疑われたため空置的胃空腸吻合術を施行した.酸性洗剤の服用による消化管の遅発性瘢痕狭窄は外科治療を要することがあり,文献的考察を加えて報告する.
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  • 大川 広, 浅海 信也, 大野 聡, 金 仁洙, 高倉 範尚, 都地 友紘
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1009-1012
    公開日: 2015/11/30
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    症例は75歳,男性.背部痛を主訴に受診し,精査加療目的で入院となった.腹部CTでは胃体部大弯側に8cm大の腫瘤を認めた.上部消化管内視鏡では胃体部大弯に腫瘤からの圧排像を認めた.胃間葉系腫瘍の診断で胃局所切除した.組織学的には胃原発の脱分化型脂肪肉腫と診断された.脂肪肉腫は術前診断が難しく,脱分化型脂肪肉腫は予後不良である.胃原発脂肪肉腫は極めて稀な疾患であり,若干の文献的考察をつけて報告する.
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  • 森岡 伸浩, 清水 孝王, 中塚 英樹
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1013-1019
    公開日: 2015/11/30
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    症例は70歳,女性.心窩部痛を主訴に近医を受診した.めまいも認めたため当院を紹介受診した.腹部CT検査では十二指腸内に境界明瞭な7cm大の円形腫瘤を認めた.上部消化管内視鏡検査では胃穹窿部から索状物が認められ,幽門洞へ引き込まれていた.その先端は十二指腸にあり,潰瘍を伴う粘膜下腫瘍であった.内視鏡的に整復すると,病変は胃穹窿部前壁を主座とする粘膜下腫瘍で,生検ではGIST疑いであった.以上より,胃穹窿部から発生した内腔発育型のGISTと診断し,腹腔鏡下胃内手術を行った.摘出した腫瘍は大きさ70×50×52mmで,病理学的にはintermediate-grade GISTであった.Ball valve syndromeをきたした胃穹窿部GISTに対し内視鏡下に整復後,腹腔鏡下胃内手術で切除した1例を経験したので報告する.
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  • 木下 博之, 岩本 博光, 馬野 泰一, 椿原 秀明, 坂田 好史, 森 一成
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1020-1024
    公開日: 2015/11/30
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    症例は51歳の男性.腹膜播種を伴う高度進行胃癌に対してXP (capecitabin/CDDP)療法を6コース施行した後に胃全摘,2群リンパ節郭清術を施行した.術後も2コースを追加したところ,Grade 4の汎血球減少と頻回の下痢を認め,大腸内視鏡検査と血液検査からサイトメガロウイルス(以下CMV)腸炎と診断した.その後,ガンシクロビルの投与で腸炎は著明に改善した.なお,末梢血単核球中のdihydropyrimidine dehydrogenase(以下DPD)蛋白量は21.5U/mg proteinと基準値(33.6~183.6U/mg protein)に比して低値を示し,DPDの活性低値により重篤な副作用が発症したものと判断した.DPDが欠損または活性低下を示す患者の存在と日和見感染症としてのCMV腸炎の発症にも留意することが肝要であると考える.
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  • 山村 喜之, 梅本 一史, 鈴木 友啓, 吉岡 達也, 村川 力彦, 大野 耕一
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1025-1030
    公開日: 2015/11/30
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    症例は74歳,男性.胃癌の診断にて胃全摘術を施行した.病理組織診断はStage IBだった.術後23カ月,CTで肝転移を認めTS-1+CDDPを2クール施行後,肝S5部分切除術を施行した.病理組織学診断ではAFP産生胃癌の肝転移を疑ったため,胃の検体を再検討したところ,免疫染色でAFP陽性を示し,AFP産生胃癌(肝様腺癌)と診断した.原発巣切除後33カ月(肝切除後5カ月),胸部CTで右肺S3に腫瘤を認め,paclitaxel(PTX)開始したが血清AFP値が上昇し続けたため右肺部分切除術を施行した.病理組織学的診断はAFP産生胃癌の肺転移であった.原発巣切除後53カ月(肝切除後25カ月,肺切除後10カ月)のCTで肝S8に腫瘤影認め,肝転移が疑われ経カテーテル肝動脈塞栓術併用のラジオ波焼灼療法を施行した.その後,外来にて経過観察しているが,原発巣切除後10年目で再発認めず生存中である.
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  • 岡田 治彦, 佐藤 雅彦, 山田 正樹, 石戸 保典, 齋藤 徹也, 根上 直樹
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1031-1035
    公開日: 2015/11/30
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    患者は74歳,女性.空腹時の心窩部の不快感を主訴に,上部消化管内視鏡検査にて胃癌を指摘された.34歳時に子宮筋腫に対し手術歴があり,その際に完全内臓逆位(situs inversus totalis:SIT)を指摘されていた.術前の検査で胆石症も指摘された.本症例に対し腹腔鏡下幽門側胃切除術,D1+郭清,Roux-en-Y再建,腹腔鏡下胆摘術を施行した.SITには血管の走行異常の合併が多いため手術の際には注意が必要であるとされるが,術前の3D-CT angiographyによるシミュレーションをもとに,腹腔鏡下に安全に手術を施行することが可能であった.
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  • 岡崎 靖史, 大島 郁也, 篠藤 浩一, 吉村 清司, 太田 義人, 尾崎 正彦
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1036-1040
    公開日: 2015/11/30
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    症例は67歳,男性.15年前,穿孔性十二指腸潰瘍に対して幽門側胃切除術,Billroth II法再建を行った既往がある.4カ月前より食欲不振が出現し,約3カ月で10kgの体重減少を認めた.頻回の嘔吐と下腿浮腫が増悪し,精査加療目的にて当院入院となった.血液生化学検査所見では血清総蛋白4.8g/dl,血清アルブミン2.0g/dlと著明な低蛋白・低アルブミン血症を認めた.上部消化管内視鏡検査にて胃空腸の吻合部潰瘍と潰瘍に連続する内腔を認め,造影にて横行結腸との瘻孔が確認された.吻合部潰瘍による胃空腸結腸瘻と診断し,瘻孔を含めた胃・空腸・横行結腸部分切除術を行い,残胃と空腸はRoux-en-Y再建,横行結腸は端々吻合を行った.術後は創感染を認めたが,その後は順調に改善し第34病日に退院となった.胃十二指腸潰瘍術後の著明な体重減少,栄養障害を呈する場合には,本症を念頭に置く必要があると考えられた.
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  • 野口 大介, 大森 隆夫, 大倉 康生, 濱田 賢司, 金兒 博司, 田岡 大樹
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1041-1047
    公開日: 2015/11/30
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    91歳,女性.下腹部痛を主訴に当院を受診.受診3カ月前にも腹痛で受診され感染性腸炎疑いで入院となった.薬剤性腸炎を続発し入院は2カ月に及んだ.身体所見では下腹部に筋性防御と圧痛あり,血液検査でWBC 44,700/μl,CRP 21.3mg/dlと炎症反応を認めた.腹部CT検査で腹腔内に多量の遊離ガスと液貯留,小腸粘膜途絶像を認め,小腸穿孔の診断で緊急手術施行した.腹腔内は膿汁で充満,Treitz靱帯より50cmの腸間膜側空腸憩室に穿孔を認め,その他空腸にも多発憩室を認めた.穿孔部含め憩室腸管を摘出,遺残憩室には翻転術を加えた.術後数日ICU管理,その後は合併症なく嚥下機能回復遅延のため術後47日目に転院となった.原因不明の消化器症状を訴える高齢患者には小腸憩室炎の可能性も考慮し,穿孔など合併症を防ぐことが重要と考えた.
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  • 栂野 真吾, 渋谷 雅常, 前田 清, 永原 央, 大谷 博, 平川 弘聖
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1048-1052
    公開日: 2015/11/30
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    症例は65歳,男性.肺癌の入院精査加療中,イレウスを生じたため経鼻イレウス管による加療を開始した.イレウス管留置後9日目に腹膜刺激症状を伴う下腹部痛が出現したため,腹部CT検査を施行したところfree airを認め,消化管穿孔の疑いで緊急手術を行った.開腹したところMeckel憩室頂部からイレウス管の脱出を認めた.また,憩室は肛門側の回腸と白苔を伴って癒着しており,イレウスの原因は憩室炎による癒着と考えられた.憩室を含めた小腸部分切除術を施行した.
    Meckel憩室は消化管先天異常であり,大多数が無症状で経過するが,稀に憩室炎・イレウス・穿孔などを併発する.今回,憩室炎に伴う癒着性イレウスを発症し,その加療目的に挿入したイレウス管が憩室内に迷入し持続的な刺激により消化管穿孔をきたした極めて稀な1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 武田 幸樹, 島貫 公義, 旭 修司, 赤城 一郎, 秋丸 琥甫, 川口 隆憲, 内田 英二
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1053-1058
    公開日: 2015/11/30
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    16年間にわたり栄養状態,並びに9年間にわたり甲状腺機能を追跡しえたPeutz-Jeghers症候群の1例を経験したので報告する.症例は57歳の男性.41歳時に小腸腸重積にて緊急手術を施行.小腸切除,および小腸切開にて小腸ポリープを摘出した.この際,口腔粘膜・口唇・指趾の色素沈着を伴いPeutz-Jeghers症候群と診断した.その後も計5回の手術を施行し,全経過で総長82cmの小腸を切除,総計1,915個のポリープを摘出した.16年間の経過中,ポリープの再発に伴い低栄養状態,サルコペニア状態,低T3・T4状態をきたした.これらの状態は,補充・対症療法を施行するも改善せず,ポリープ摘出術にて改善した.ポリープの増加により栄養状態が低下し,摘出によって改善するという長期間にわたる経時的な変化を観察しえた貴重な症例と考える.
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  • 嶋口 万友, 中村 文隆, 高田 実, 安保 義恭, 樫村 暢一, 篠原 敏也
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1059-1063
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    小腸癌は稀な疾患であり,さらに胃全摘術後の挙上空腸癌の報告は極めて少ない.われわれは,胃全摘術後3年を経て挙上空腸に腺癌を発生した症例を経験したので報告する.症例は65歳の男性で,平成18年5月に胃癌に対して胃全摘・脾摘・胆摘術を施行された(pStage Ib).平成21年7月に貧血,便潜血陽性を指摘され,上部消化管内視鏡検査にて挙上空腸に腫瘤性病変を認めた.生検にて高分化腺癌と診断され,平成21年9月に挙上空腸部分切除術を施行した.腫瘍は30×15mmの可動性良好な0-I型で粘膜から粘膜下層を主座とするが,漿膜下層への脈管浸潤を伴う高分化腺癌であった.胃癌術後3年であり,胃癌再発転移との鑑別を要したが,粘膜表面からの連続した浸潤形式より,原発性小腸癌の最終病理診断となった.胃全摘術後の患者で,何らかの症状を伴う場合には内視鏡検査での挙上空腸の観察も重要であると考える.
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  • 貴島 孝, 盛 真一郎, 馬場 研二, 瀬戸山 徹郎, 貴島 文雄, 夏越 祥次
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1064-1068
    公開日: 2015/11/30
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    症例は85歳,男性.嘔吐,腹痛を主訴に当院内科を受診した.腹部手術の既往はない.右下腹部に軽度の圧痛を認め,腹部造影CTで盲腸周囲の小腸に狭窄を認め,腸閉塞の診断にて入院となった.保存的加療で改善せず,第7病日に当科へ転科.同日,イレウス管を挿入し減圧を行ったが狭窄所見が持続したため,第13病日に内ヘルニアの診断で手術を施行した.盲腸外側傍結腸溝に径1.5cmの腹膜陥凹部を認め,約20cmの回腸が嵌頓していた.用手的に嵌頓を解除後,腹膜陥凹部を縫合閉鎖し手術を終了した.本症例は,本邦で従来から汎用されてきた分類法の範疇に入らない外側型であり,臨床的見地から分類したMeyer分類で外側型と分類される.盲腸周囲ヘルニアの一つとして,外側型盲腸周囲ヘルニアは念頭に置くべき疾患と思われた.
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  • 笹原 正寛, 横山 裕之, 村上 弘城, 神崎 章之, 望月 能成, 谷口 健次
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1069-1074
    公開日: 2015/11/30
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    症例は67歳,女性.以前より,ミトコンドリア脳筋症と診断されていた.嘔吐を伴う心窩部痛と右側腹部痛があり,当科へ紹介となった.CT検査で脾弯曲寄りの下行結腸から口側大腸の著明な拡張像を認め,同部位の腫瘍性病変による大腸腸閉塞を疑い,緊急で人工肛門造設術を施行した.術後に行った大腸内視鏡検査では,腫瘍などの明らかな閉塞機転となる原因は認めず,その後の経過で小腸の拡張は認められなかったことから,ミトコンドリア脳筋症を基礎疾患とした続発性の慢性偽性腸閉塞の大腸限局型と診断した.慢性偽性腸閉塞症は小腸が罹患していることが多く,その治療は薬物治療や栄養療法,腸管減圧が中心であるが,大腸限局型の場合には結腸亜全摘やバイパス手術など外科的切除が有効であるとされている.慢性的な腸閉塞症状を認める患者に対しては慢性偽性腸閉塞症を念頭に置き,その罹患部位や患者の状態によって治療方針を決定することが重要と思われた.
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  • 原田 真悠水, 佐々木 愼, 寺井 恵美, 金子 学, 中山 洋, 渡邊 俊之, 坂本 穆彦
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1075-1077
    公開日: 2015/11/30
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    症例は69歳,男性.1998年,直腸癌に対して腹会陰式直腸切断術を施行し,S状結腸ストマを造設された.以降,ストマより毎朝洗腸を施行してきた.2013年1月,洗腸処置後より腹痛が出現し,徐々に増悪したため救急要請した.来院時,腹部CT検査にてS状結腸ストマ周囲に膿瘍およびfree airを認め,ストマ穿孔による汎発性腹膜炎と診断し,緊急手術を施行した.人工肛門より約10cm口側の腸管に穿孔を認め,周囲に膿瘍を形成していた.穿孔部位を含めたS状結腸ストマを切除し,その口側で人工肛門再造設術を施行した.術後麻痺性イレウスが遷延したが,術後27日目に軽快退院した.また,再度現病歴を問診したところ,数日前より洗腸後の排便量が少なく,術当日朝は洗腸後に排便を認めなかったため,摘便目的でS状結腸ストマ内に割り箸を挿入したことが判明した.
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  • 坂本 渉, 島貫 公義, 原 敬介, 武田 幸樹, 旭 修司, 竹之下 誠一
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1078-1080
    公開日: 2015/11/30
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    認知症高齢者のストーマケアは比較的困難であることが多いが,人工肛門自体を損傷することは,まれである.今回われわれは,術後に発症したせん妄時に人工肛門を自己抜去し,緊急手術となった症例を経験したので報告する.症例は89歳の男性.直腸癌に対してHartmann手術を施行し,術後1日目夜に不穏となり病室にて人工肛門を引き抜き,腸管を引きちぎって床に投げ捨てているところを訪室した看護師が発見,緊急手術で人工肛門を再造設することとなった.外科医側でコントロールできる原因としては高すぎる人工肛門,腹膜内ルートでの挙上,を可能性として挙げることができ,高齢者の人工肛門造設では認識すべき点であると考えられた.
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  • 竹林 正孝
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1081-1086
    公開日: 2015/11/30
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    大腸癌が消化管に内瘻を形成するのはまれである.今回,空腸結腸瘻と回腸結腸瘻を形成した大腸癌の2例を経験したので報告する.症例1:52歳,女性.腹痛とイレウス症状で受診.腫瘍マーカーは異常高値を示し,CTでS状結腸腫瘍と肝転移と診断した.S状結腸切除術および空腸合併切除術を施行した.腫瘍は中分化腺癌で空腸と瘻孔を形成していた.術後6カ月で原病死した.症例2:82歳,女性.腹膜炎症状で受診.CTで回盲部腫瘍を認めた.穿孔性虫垂炎による腹膜炎と診断したが,回盲部腫瘍と回腸・横行結腸浸潤のため拡大結腸右半切除術を施行した.盲腸腫瘍は低分化腺癌で回腸に瘻孔を形成し,さらに横行結腸の漿膜下層にまで浸潤していた.術後2年無再発生存中である.結腸癌による小腸結腸瘻はまれで本邦では自験例を含め35例であった.本疾患は他臓器浸潤例ではあるが,遠隔転移がないときは積極的な合併切除で予後は期待できるものと思われた.
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  • 升田 貴仁, 齋藤 徹, 野澤 聡志, 永井 啓之, 郷地 英二, 宮崎 勝
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1087-1092
    公開日: 2015/11/30
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    症例は50歳,女性.2013年,膀胱浸潤を伴うS状結腸癌の診断でS状結腸切除術および膀胱部分切除術を施行.病理組織診断は,Type2,70×55mm,tub2,pSI(膀胱),ly1,v1,pN2,Stage IIIbであった.術後補助化学療法としてmFOLFOX6を施行していた.術後14カ月目に痙攣発作と意識障害を認め,緊急搬送された.頭部CT・MRIで右頭頂葉に腫瘤性病変を認め,S状結腸癌術後の孤立性脳転移の診断となった.術後15カ月目にサイバーナイフ治療を施行し,現在mFOLFOX6を継続中である.大腸癌術後脳転移は,一般に肝や肺などの他臓器転移を伴うことや多発性であることが多く予後不良とされるが,孤立性脳転移症例に対して手術や放射線治療を行うことで長期生存を得られたという報告も認められる.S状結腸癌根治手術後に孤立性脳転移を認めた症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
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  • 宮崎 貴寛, 湯沢 賢治, 米山 智, 小崎 浩一, 小泉 雅典, 植木 浜一
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1093-1098
    公開日: 2015/11/30
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    Morquio症候群は脊椎後弯・側弯,低身長などの骨格病変を主体とし,本邦では頻度約1/50万人と極めて稀な常染色体性劣性遺伝性疾患である.本邦で本疾患患者への腹腔鏡手術の報告例はない.本疾患患者に腹腔鏡下直腸高位前方切除術・胆嚢摘出術を施行したので報告する.症例は71歳,男性.身長127cmの低身長,側弯・胸郭変形が高度の体幹短縮型小人症で,術前診断は直腸癌(RS,T3,N0,M0,cStage II),胆嚢結石症であった.低身長,胸郭変形のため開腹手術は困難であり,腹腔鏡手術が好ましいと判断し,腹腔鏡下高位前方切除術・胆嚢摘出術を施行した.安全に手術を施行でき,合併症なく術後12日目に退院した.ただし,本疾患患者では脊椎・胸郭変形による挿管困難や低肺活量による術中換気不全が問題となるので,術前から麻酔科と連携して手術を計画する必要がある.
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  • 森本 雄貴, 井上 靖浩, 濱口 哲也, 西川 隆太郎, 三木 誓雄, 楠 正人
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1099-1102
    公開日: 2015/11/30
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    症例は80歳,男性.下部直腸癌の手術目的に当科へ紹介された.下肢の虚血症状はなかったが,大動脈瘤の既往と大腿動脈の脈拍に左右差を認めたため大動脈造影を施行した.右総腸骨動脈は造影されず,右大腿動脈は左大腿動脈から直腸壁の血管を経由して造影されていた.直腸癌手術に伴う側副血行路離断による右下肢虚血を考慮し,右下肢への血行再建先行後に直腸癌根治手術を行った.術後合併症なく,経過良好であった.術後3年を経過して再発を認めていない.閉塞性動脈性硬化症などの基礎疾患を有する患者では,直腸癌手術に伴い下肢壊死や死亡するなどの重篤な合併症が起こりうることが報告されている.本症例の如く下肢虚血症状がない場合でも既往歴や理学所見にて動脈疾患が疑われる患者では,大動脈造影にて骨盤から下肢への血行動態を評価し,下肢血行再建術先行を念頭に置いて直腸癌手術にあたるべきである.
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  • 石井 健太, 平松 和洋, 加藤 岳人, 前多 松喜
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1103-1109
    公開日: 2015/11/30
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    症例は65歳の男性で,下血で発症したRSとRaの直腸二重癌に対して低位前方切除術を施行した.病理診断はSE・A,N1,H0,P0,M0,Stage IIIaであった.術後,縫合不全から汎発性腹膜炎をきたし,横行結腸人工肛門造設を行った.腹膜炎は軽快し,3カ月後に人工肛門閉鎖を行った.外来経過観察中,術後2年の腹部CTで胃周囲の脂肪織内に結節を認めた.PET-CTで結節にFDGの集積を認めたため,直腸癌腹膜播種再発と診断し,化学療法を行った.結節は縮小を認め,化学療法を1年半継続した.他臓器への転移を認めなかったため手術を行った.開腹すると大網内に白色の結節を認め切除した.病理組織学的検査では結節の中央にアニサキス幼虫を認め,消化管外アニサキス症と診断された.消化管外アニサキス症はまれな疾患で術前診断は困難であるが,腹腔内結節の鑑別に加えるべき疾患と考えられた.
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  • 友杉 俊英, 坪井 賢治, 宇野 泰朗, 荘加 道太, 大河内 治, 川瀬 義久
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1110-1113
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,男性.肛門痛を主訴に当科外来受診した.直腸診で直腸に魚骨が刺入しているのを確認し,経肛門的に除去した.4日後に発熱および肛門痛,左下腹部痛にて再度当科外来受診した.腹部CT検査にて前膀胱間隙と直腸周囲に遊離ガスを認めたため,魚骨の直腸穿通による遅発性骨盤部腹膜外腔膿瘍と診断し,同日緊急手術を施行した.腹膜前腔の剥離を進め,左傍直腸腔に到達すると,多量の排膿を認めた.洗浄後,左傍直腸腔と前膀胱間隙にドレーンを留置した.炎症波及から尿閉となる可能性を考慮し膀胱瘻造設し手術終了した.術後はドレーンより洗浄継続し,術後55日目にはドレーンを抜去した.術後56日目に膀胱瘻を閉鎖,術後58日目に退院とした.退院後も合併症無く経過している.今回われわれは,魚骨により遅発性に直腸穿通に至り,外科的治療を要した1例を経験したので若干の文献的考察も含めて報告する.
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  • 松本 亮, 藤田 文彦, 虎島 泰洋, 黒木 保, 安倍 邦子, 江口 晋
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1114-1117
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,女性.数年前より肛門周囲にびらんが出現し,徐々に増大傾向があるため近医を受診.皮膚生検の結果,Bowen病と診断され,治療目的に当院へ紹介となった.病変は肛門右側6時~12時方向に認め,病変肛門側は肛門縁に及んでいた.広範囲局所切除術を施行し,病変部から肛門粘膜側は6mm,皮膚側は10mmのmarginをとって切除した.術中に迅速病理診断で粘膜側および皮膚側の断端陰性を確認し,皮膚粘膜欠損部は皮弁形成術にて被覆を行った.肛門部Bowen病は,肛門部悪性腫瘍のうち2.4%と報告されており,非常に稀な疾患である.肛門部Bowen病の治療は局所切除が原則で腫瘍辺縁より6~10mmのmarginをとる広範囲局所切除を行うが,局所再発率は16~25%と高く,確実な切離marginをとることが肝要である.本症例では,術中迅速病理診断を行うことで安全な切除線を確保することができた.
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  • 藤吉 健司, 日高 敦弘, 主藤 朝也, 白土 一太郎, 田中 裕穂, 草野 弘宣, 赤木 由人
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1118-1123
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は79歳,男性.主訴は肛門部痛.直腸診にて下部直腸から肛門管にかけて有痛性の腫瘤を触知した.下部消化管内視鏡検査では下部直腸に粘膜下腫瘍の形態をとる腫瘤性病変を認め,直腸粘膜表面の生検では悪性細胞は認めなかったが,肛門近傍からのエコーで境界不明瞭で内部不均一な低エコー腫瘤を認めた.エコー下穿刺組織診で粘液癌の診断となり,肛門管癌の診断で腹会陰式直腸切断術を施行した.摘出標本では粘膜面に明らかな病変は認められず,病理組織学的に肛門扁平上皮下に主座をおく粘液癌が認められた.肛門扁平上皮内にはpagetoid spreadが認められ,肛門腺由来肛門管粘液癌と診断した.われわれは,比較的まれな肛門腺由来癌症例を経験したのでここに報告する.
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  • 千田 圭悟, 神山 俊哉, 柿坂 達彦, 横尾 英樹, 畑中 佳奈子, 武冨 紹信
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1124-1129
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は43歳,男性.胸痛を主訴に近医受診.CTで肝左葉に腫瘤を認め,血清学的検査で肝エキノコックス症の診断となり当科紹介.術前画像診断で肝左葉~尾状葉に13cm大の病巣を認め,肝部下大静脈(inferior vena cava;IVC)は病巣により完全閉塞し,右副腎にも浸潤.側副血行路として奇静脈系が発達.肝左3区域・尾状葉切除および肝部IVC,右副腎合併切除を施行.肝上部IVCは右肝静脈を温存し,一部病巣を残して切除.肝下部IVCは腎静脈合流部頭側で縫合閉鎖.IVCは非再建とした.術後経過は良好でalbendazole (ABZ)を内服し,補助療法中である.周辺臓器に浸潤した肝エキノコックス症では可及的な病巣切除と術後ABZ内服で長期予後が期待できるため,積極的な手術を行う必要がある.IVC完全閉塞例に対する肝切除では,術前に側副血行路の発達があればIVC合併切除後の再建は不要と考える.
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  • 南 貴之, 平松 和洋, 夏目 誠治, 加藤 岳人, 柴田 佳久, 吉原 基
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1130-1136
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は65歳の男性で,便潜血反応陽性のため大腸内視鏡検査を行ったところ直腸癌を認め,当院へ紹介となった.腹部造影CTで肝S1に15mm,S4に12mm,S6に17mmの乏血性腫瘤を認めた.腹部MRI検査を行い,T1強調画像で低信号,T2強調画像で淡い高信号,EOB-MRIの肝細胞相で低信号を示した.直腸癌および同時性多発肝転移の診断で術前化学療法を行った.投与終了後の効果判定ではRECISTにより原発巣はPR,肝転移巣はSDであった.肝拡大左葉切除術,尾状葉部分切除術,肝S6部分切除術,低位前方切除術D3郭清を行った.病理組織学的所見は直腸のadenocarcinoma in tubulo-villous adenomaでリンパ節転移は認めなかった.肝は濾胞性リンパ腫と診断した.肝原発悪性リンパ腫は稀な疾患であり,その術前診断は容易ではなく,他臓器癌と合併した場合は肝転移との鑑別が重要である.
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  • 中出 裕士, 松本 壮平, 若月 幸平, 田仲 徹行, 右田 和寛, 中島 祥介
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1137-1141
    公開日: 2015/11/30
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    症例は64歳,男性.アルコール性肝炎経過中の2004年に初めて肝細胞癌を指摘され,肝動脈化学塞栓術,放射線療法を行い経過観察していた.2009年6月,上部消化管内視鏡検査で胃体上部に易出血性の粘膜下腫瘍様の隆起性病変を指摘,生検で低分化型腺癌を検出した.その後,腫瘍は急速に増大し貧血の進行を認めたため,2009年9月に胃全摘術を行った.術後病理診断では腫瘍は漿膜下層から粘膜下層にかけて増生し肝細胞様の形質を示し,索状構造を認め,管状腺癌の構造は確認されなかったこと,免疫染色でHAS(+)・CEA(-)・CK19(-)であったことから組織学的に肝細胞癌と推定し,病理所見と臨床経過より肝細胞癌の胃転移と診断した.肝細胞癌の胃への転移は珍しく,自験例を含め本邦では38例の報告を認めるのみである.今回われわれは,肝細胞癌の血行性胃転移の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 阪田 麻裕, 倉地 清隆, 山本 真義, 原田 岳, 坂口 孝宣, 今野 弘之
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1142-1149
    公開日: 2015/11/30
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    転移性小腸腫瘍は比較的稀な疾患で,出血や穿孔,イレウス,腸重積に伴う症状で発見されることが多く,加えて他臓器転移を合併することが多く予後不良とされている.今回われわれは,肝細胞癌(以下HCCと略記)の転移性小腸腫瘍に対して外科的切除を行った2例を経験した.症例1は72歳の男性.HCCに対し肝拡大左葉切除術施行6年後,小腸腫瘍による腸重積に対して小腸部分切除術を施行した.症例2は72歳の男性.HCCに対し肝拡大左葉切除術施行3年後,小腸腫瘍からの出血に対して小腸部分切除術を施行した.2症例とも病理組織学検査でHCCの転移性小腸腫瘍と診断された.いずれの症例においても術後経口摂取が可能となり,QOLの改善に有用であった.HCCの転移性小腸腫瘍の報告で,血行性転移と思われるものは自験例を含めて10例のみであり,文献的考察を加え報告する.
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  • 中村 聡, 坂本 裕彦, 高橋 遍, 網倉 克己, 川島 吉之, 石川 文隆, 田中 洋一
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1150-1154
    公開日: 2015/11/30
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    症例は42歳の男性で,2005年に右鼻腔癌に対して,右鼻腔腫瘍摘出術を施行した.病理組織学的所見はadenocarcinoma,pT1,cN0,cM0,pStage Iで,術後予防的に放射線照射50 Gy施行し,原発巣はCRとなった.2010年に初回肝転移再発を認め,肝外側区域切除術,肝部分切除術(S2,S4)を施行した.その後,肝転移再発に対して,2012年に肝前腹側区域切除術,肝部分切除術(S4,S7),2013年に肝部分切除術(S1,S6,S7,S8),2014年に残肝前区域切除術,肝部分切除術(S6)を施行し,初回肝転移再発後4年の生存を得ている.鼻腔癌は頭頸部癌の中で頻度が低く,鼻腔腺癌はまれな組織型とされる.また,鼻腔腺癌の肝転移単独の再発症例報告は極めてまれで,肝転移巣を切除した報告はない.鼻腔腺癌の肝転移に対して,積極的な肝切除が有効であった1例を報告する.
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  • 池田 敦世, 野田 剛広, 畠野 尚典, 広田 将司, 高田 晃宏, 堂野 恵三
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1155-1159
    公開日: 2015/11/30
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    患者は41歳,女性.腹痛・嘔吐を主訴に当院を受診し,腹部CT検査にて気腫性胆嚢炎と診断された.臓器障害は伴わず中等症急性胆嚢炎に分類され,受診翌日に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.胆嚢壁は壊死しており,肝床部や大網との高度の癒着を認めたが,安全に腹腔鏡下手術を施行しえた.術後合併症なく第7病日に退院となった.気腫性胆嚢炎は中等症急性胆嚢炎の重篤な局所合併症の一つとされ,緊急手術の適応とされている.しかし,その手術手技の困難性から開腹術と腹腔鏡下手術とのいずれを選択すべきかについて一定の見解は得られていない.腹腔鏡下胆嚢摘出術にて安全に治療しえた気腫性胆嚢炎の1例を経験したので報告する.
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  • 嶌岡 成佳, 佐藤 功, 北薗 巌, 田儀 知之, 水谷 真, 藤村 昌樹
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1160-1163
    公開日: 2015/11/30
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    症例は88歳の男性.上腹部痛と黄疸を主訴に当院を受診.腹部造影CT検査で胆嚢壁内のガス像,胆嚢腫大と,それに起因すると考えられる門脈左枝の血栓・ガス像を認めた.感染巣除去のため緊急胆嚢摘出術を施行した.抗凝固療法として術直後よりヘパリンの全身投与を行い,術後1日目より経口摂取開始と同時にワーファリン内服投与した.その後,門脈内の血栓・ガスは残存するも臨床症状は変化なく経過した.術後3日目より,ドレーンより黄白色の排液を認めた.腹水中トリグリセリドは上昇しており,乳糜腹水と診断.脂肪制限食にて軽快し退院となった.
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  • 本田 志延, 岡村 茂樹, 兼田 博
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1164-1168
    公開日: 2015/11/30
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    症例は52歳の女性,悪心と右背部痛を主訴に当院外来を受診した.腹部は平坦で右季肋部に軽度の圧痛があり,右背部に放散痛を認めた.腹部単純X線写真で右上腹部に5.5×2.5cmの嚢状の高吸収陰影,腹部超音波検査で胆嚢結石を認め,胆嚢結石および石灰乳胆汁による仙痛発作の診断で入院となった.胆道造影CTでは左右肝管・総胆管に異常を認めず,腹腔鏡下胆嚢摘出術が行われた.術後摘出標本では胆嚢粘膜に最大径3.5mmまでの多発する小隆起を認め腺腫と診断され,そのうち体部の最大のIp型の病変には核異型や構造異型を伴う増殖像を呈する腺腫内早期癌を認めた.術後経過順調で,病理組織学的診断から治癒切除と判断し追加切除は行っていないが4年間無再発生存中である.石灰乳胆汁と腺腫や癌,粘膜化生との関連は明らかではないが,背景となる胆嚢内環境がそれらに影響する可能性はあると思われ,今後の研究成果が待たれる.
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  • 唐橋 強, 吉水 信就, 関 みな子, 櫻井 孝志, 中島 顕一郎, 細田 洋一郎, 清水 健, 緒方 衝
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1169-1175
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,男性.主訴は右季肋部腫瘤,吐血.他院で胆嚢癌と診断され,精査待機中に大量に吐血し救急搬送された.腹部CT検査にて胆嚢に不均一な造影効果を示す100mm大の充実性腫瘤を認め,肝S6,結腸肝弯曲,十二指腸(吐血の原因)に浸潤する胆嚢癌(T4N0M0.Stage IVa)と診断した.輸血による貧血の改善後,結腸部分切除と肝S6切除を伴う膵頭十二指腸切除術(HPD)を施行した.病理組織検査結果で胆嚢原発の紡錘細胞癌(いわゆる癌肉腫)と診断された.
    胆嚢癌肉腫(特にいわゆる癌肉腫)は通常の胆嚢腺癌と比較し予後不良で術後も早期再発が多いとされ,有効な標準化学療法も存在しない.術後S-1の補助化学療法を施行したが,6カ月後に肝転移を認めた.Gemcitabine+cisplatin療法(G-C療法)を施行した結果,肝転移は縮小,術後17カ月担癌生存中である.
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  • 北口 和彦, 高橋 進一郎, 小林 達伺, 加藤 祐一郎, 後藤田 直人, 小西 大
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1176-1181
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は20歳台の女性.約3年前に先天性胆道拡張症(戸谷IV-A型),膵・胆管合流異常(新古味分類I a)に対して,分流手術を施行.経過観察目的の画像検査にて拡張した右肝管内に腫瘍性病変を指摘され,当院紹介となった.小腸内視鏡にて残存した拡張胆管内に腫瘍を認め,生検にて腺癌との診断を得た.肝門部領域胆管癌の診断にて,門脈塞栓術を施行の上,肝右葉尾状葉切除,胆道再建術を施行した.切除標本では,二つの隆起性病変を認め,いずれの病変も乳頭状構造を呈する腺癌と診断された.先天性胆道拡張症は高率に胆管癌を発生することが知られており,分流手術が標準的治療法とされているが,近年,分流手術後に肝内胆管・肝管・膵内胆管から癌が発生した症例の報告が散見される.肝内胆管の拡張を伴う先天性胆道拡張症への至適な術式について,今後の検討が必要と考えられた.
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  • 井上 立崇, 仲程 純, 岩井 輝, 沢津橋 孝拓, 寺谷 直樹, 有井 滋樹
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1182-1186
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    胃から膵瘻管に内視鏡的にステントを挿入して,術後の難治性膵瘻の治癒を得た1例を報告する.症例は65歳の男性.膵癌に対し膵頭十二指腸切除術(Child変法,膵管空腸全層縫合+膵貫通空腸漿膜筋層縫合)を施行した.術後膵瘻が生じ,腹膜刺激症状が顕著になったため術後8日目に再開腹し,洗浄ドレナージ術を行った.全身状態は安定したが,オクトレオチドを投与するもドレーンから高アミラーゼ排液(約10万IU/L,600 ml/日)が続き,一方,腸液アミラーゼが低値のため,膵空腸吻合の閉塞に伴う難治性膵瘻と判断した.まず,内視鏡的に膵管空腸吻合部にステント留置を試みたが,挙上空腸の屈曲部を通過できず断念した.そこで,術後44日目に超音波内視鏡ガイド下に胃から瘻管にメタリックステントを留置した.内瘻化後27日目に退院できた.胃-膵瘻間の内視鏡下ステント留置の報告はほとんどないが有用な治療法と考え報告する.
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  • 坂元 克考, 本田 五郎, 倉田 昌直, 小林 信, 奥田 雄紀浩, 本庄 真彦
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1187-1191
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    患者は50歳の女性.意識消失発作を起こして救急搬送され,著明な低血糖(血糖値23mg/dl)を認めた.CTとMRI検査で上腸間膜静脈背側の膵鈎部に1cm大の多血性腫瘤を認め,選択的動脈内刺激薬注入試験(SASI test)を行ったところ,腫瘍の栄養動脈である前上膵十二指腸動脈からの刺激時のみインスリン値が高値を呈した.インスリノーマと診断し,主膵管との最短距離が約5mmであったため腹腔鏡下腫瘤核出術を施行した.核出は主にバイポーラ鑷子を用いて行った.術後経過良好で15日目に退院した.柔らかい膵実質の中にある腫瘤は腹腔鏡手術でも触覚により辺縁を認識しながら核出することが可能であった.
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  • 小池 大助, 鳥海 哲郎, 野村 幸博, 田中 信孝
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1192-1195
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,男性.複数回の右鼠径ヘルニアの既往があった.膀胱を内容とする内鼠径ヘルニア再発に対し7年前にmesh plug法が施行された.1年前より創部から排膿を認め精査にてメッシュ感染,膀胱皮膚瘻と診断された.保存的加療で軽快せず手術の方針とした.瘻孔を含む皮膚とメッシュを除去し,膀胱は瘻孔部を切除した.プラグ先端が膀胱へと穿通していた.膀胱を縫合閉鎖し,ヘルニアはiliopubic tract法で修復した.術後経過は良好であった.鼠径ヘルニア術後のメッシュ感染は保存的加療で軽快せずメッシュ除去を要することが多い.膀胱を内容とする鼠径ヘルニアは膀胱ヘルニアと呼ばれることがある.手術所見からはプラグ先端が膀胱壁へと向いて留置されたことが膀胱瘻を形成した原因と示唆された.膀胱ヘルニアに対するmesh plug法は膀胱皮膚瘻の形成に注意する必要があると考えられた.
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  • 中鉢 誠司
    76 巻 (2015) 5 号 p. 1196-1200
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,女性.腹痛と発熱を発症し,CTにて上行結腸の壁肥厚と腸間膜の石灰化を認めた.保存的治療にて軽快退院後も7年間にわたり再燃を繰り返した.腸間膜の石灰化は継時的に増加傾向を認め腸間膜静脈硬化症と診断したが,穿孔性腹膜炎を発症し手術となった.近年,腸間膜静脈硬化症の発症原因として漢方薬の関与を指摘する報告が多数あり,本例でも初回発症2年前から漢方薬を継続服用しており,発症原因の可能性があると考えられた.
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