日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
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76 巻 , 7 号
選択された号の論文の54件中1~50を表示しています
第76回総会会長講演
  • 竹之下 誠一
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1539-1548
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    外科の臨床医として,外科医のアドヴァンテージを最大限に生かした臨床に直結する取り組みを行ってきた.様々な分野におけるパラダイムシフトとわれわれの歩みをふり返り,若い外科医へのメッセージとなりえるか,「外科の美学」という観点から考証した.1970年代の生化学的な手法に始まり,遺伝子工学の勃興時代,ポストゲノム,など相次ぐ研究のパラダイムシフトの中で,これらに即応し,2007年から,臨床検体と情報を基にした,「遺伝子発現解析を活用した個別癌医療の実現と抗癌剤開発の加速」を開始した.2012年には,福島の震災復興事業の一つとして,「福島医薬品関連産業支援拠点化事業」と継続的に発展している.福島県は,医療立県構想のもと,「臨床材料と臨床情報」を産業界で活用できる技術と体制の確立を目指してきた.医産連携「福島モデル」は,薬剤支援領域と医療機器支援領域の二本立てになっている.
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臨床経験
  • 武藤 潤, 大竹 節之, 梅本 一史, 鈴木 友啓, 大野 耕一
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1549-1552
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    肺原発多型癌(pleomorphic carcinoma)は1999年のWHO分類第3版で提唱された稀な組織型で,肉腫成分の紡錘細胞や巨細胞を少なくとも10%以上含む非小細胞肺癌で予後不良とされている.今回われわれは,2007年10月から2014年3月までの期間で,当院で肺癌に対して手術を施行した389例中,肺原発多型癌と診断された15例の検討を行った.性別は男性12例・女性3例で,年齢の中央値は65歳(54~83歳)であった.再発は10例に認め,そのうち6例は原病死した.再発を認めた10例の再発までの中央値は107日(17~301日)で9例は術後6カ月以内の再発であった.2年以上の無再発生存症例は2例に認め,1例は局所進行症例だったが,両者ともリンパ節転移陰性だった.肺原発多型癌は予後不良な腫瘍だが,局所進行の症例でもリンパ節転移が陰性であれば予後が期待出来る症例が存在する.
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  • 木村 康利, 今村 将史, 伊東 竜哉, 加藤 淳二, 長谷川 匡, 平田 公一
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1553-1561
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    目的:当初切除不適格の胆道癌症例に対し,放射線化学療法後,根治術に至った症例を解析する.
    対象と方法:2011-2012年に当科で加療した胆道悪性腫瘍49例のうち,救済的根治術を施行した当初切除不適格胆道癌3例について,前治療内容と術式,病理学的奏効程度を後方視的に解析した.
    結果:疾患内訳は胆嚢癌2例,肝内胆管癌1例,臨床病期はいずれもIVb(規約第5版)であった.全例にS1+RT(50.4Gy)を施行し,前後してGemcitabine+S1,あるいはGemcitabine+CDDPによる全身化学療法を施行した.手術前治療期間は4-9カ月で,全例が治療効果SD-PRを維持した.病理所見は腫瘍消失/fStage II/IVa=1/1/1例,全例がfCur Aとなった.
    結論:高度進行胆道癌に対し,化学・放射線療法を組み合わせることで高い治療効果が得られる可能性が示唆された.
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  • 久米村 秀, 風呂井 彰, 白桃 雄太, 二渡 久智, 門野 潤, 井本 浩
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1562-1566
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    膵頭十二指腸切除術における死亡率,合併症率は主に膵吻合の縫合不全に左右される.多くの膵吻合手技が報告されているが,gold standardと言えるものがないのが現状である.われわれの施設では,膵頭十二指腸切除術における膵再建を膵胃吻合(嵌入法)で行ってきたが,胃を用いることができない数例に対して膵胃吻合の基本的手技を応用した膵空腸端側吻合を行った.また,膵胃吻合の縫合不全例に対しても膵空腸端側吻合で再手術を行い良好な経過を得た.以降,当院では膵頭十二指腸切除術後の膵再建を嵌入法による膵空腸端側吻合で行っている.最近2年間で12例の症例を経験しているが膵液瘻はほとんど認めていない.この膵空腸吻合はわずか8針の縫合で,難しい手技を必要としないシンプルで縫合不全の少ない方法であり有用と思われる.
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症例
  • 柏倉 さゆり, 山本 貢, 細田 充主, 三橋 智子, 武冨 紹信, 山下 啓子
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1567-1570
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    顆粒球肉腫とは,幼若な骨髄細胞が髄外組織で腫瘤を形成するもので,乳房に生じるのは稀である.
    症例:26歳の女性.21歳時に急性骨髄性白血病(AML)を発症し,臍帯血移植・骨髄移植・化学療法などで加療されながら,再発・寛解を繰り返していた.頭頂部皮膚に顆粒球肉腫をきたしたためPET/CTを行ったところ,両側乳房に異常集積を認めた.乳房超音波検査では境界不明瞭な低エコー病変であった.両側乳房に生じた顆粒球肉腫を疑い,マンモトーム生検を施行した.病理検査にて頭頂部皮膚と免疫染色態度が一致し,顆粒球肉腫と確定診断された.両側乳房に放射線療法を行い,照射終了後のPET/CTにて集積の退縮が認められた.考察:顆粒球肉腫に特徴的な画像所見は無く,確定診断には病理組織学的検討が必要となる.
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  • 大岩 孝, 久留宮 康浩, 世古口 英, 小林 聡, 桐山 宗泰, 青山 広希
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1571-1576
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    近年,乳癌に対する局所治療は,乳房部分切除とその後の放射線照射併用による乳房温存療法が標準療法として確立してきている.われわれは,右乳癌手術後放射線照射の19年後に発症した放射線照射後に生じた平滑筋肉腫を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
    症例は65歳,女性.主訴は右鎖骨下腫瘤.既往歴は他院にて平成7年に右乳癌に対し,右乳房温存手術,同側腋窩郭清施行.術後残存乳腺に放射線照射施行.計5年間経過観察され,再発なく終診となっていた.1カ月前に右鎖骨下に腫瘤を自覚し,当院受診.右第2肋骨直上に小指頭大の弾性,軟の腫瘤を触知した.さらに,その外側にも米粒大の腫瘤を2個触知した.生検目的も兼ね,全身麻酔下で切除術を行った.免疫染色の結果,ASMA+,Desmin+,BCL2+より,放射線照射後平滑筋肉腫と診断した.
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  • 中川 有, 中鉢 誠司
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1577-1581
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    症例は55歳,女性.皮膚の浮腫と胸壁固定を伴う6cmの左乳房腫瘤を自覚し当院を受診した.浸潤性乳管癌(triple negative)と腋窩および傍胸骨リンパ節転移T4c N3bM0 Stage IIIcと診断し,FEC100×5,ドセタキセル×4を施行後,左乳房切除術および腋窩リンパ節郭清を施行した.病理組織学的には腫瘍径24mm,pN0であったが,化学療法前に傍胸骨リンパ節腫大を認めたことから,胸壁と鎖骨上窩に術後放射線照射(50Gy)を行った.照射6カ月後,発熱と呼吸苦あり,胸部レントゲンで左肺野に浸潤影を,胸部CTで多発する浸潤影とスリガラス様陰影意を認め,放射線療法後器質化肺炎と診断した.ステロイド投与を開始したが,ステロイド減量中に3回の再燃を繰り返したため,シクロスポリンを追加投与した.乳癌術後放射線照射後器質化肺炎にて免疫抑制剤の投与を必要とした症例を経験したので報告する.
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  • 深光 岳, 野島 真治, 須藤 隆一郎, 金田 好和, 杉山 望, 亀井 敏昭
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1582-1587
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,男性.40年前から右腋窩皮下腫瘤を自覚していた.2010年5月に腫瘤が急速に増大,潰瘍を形成した.同部の生検で浸潤性乳管癌の診断であり,男性副乳癌の疑いで当科紹介となった.CTで同側腋窩および縦隔リンパ節腫大を認めた.他臓器からの転移を疑う所見はなかった.2010年6月に右腋窩腫瘍部切除および,腋窩リンパ節郭清,肩甲皮弁による再建を施行した.病理組織では固有乳腺と非連続性の正常乳腺組織を有する悪性所見を確認した.免疫染色ではER(-),PgR(-),HER2(3+)であった.術後化学療法中の2011年10月に右肺に結節影が出現し,肺部分切除を行った.病理診断では転移性乳癌であった.2013年7月に多発肺転移が出現し,現在化学療法を継続している.術後4年5カ月経過したが,再建術の施行により術前と同様のActivity of daily living(ADL)を維持できている.
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  • 土屋 和代, 前原 直樹, 賴田 顕辞, 日高 秀樹, 近藤 千博
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1588-1594
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    われわれは左前胸壁に生じた男性副乳癌の1症例を経験した.症例は65歳の男性.近医で左前胸壁皮下の腫瘤切除術を施行された.病理診断では神経内分泌分化を伴う転移性癌が疑われ,断端陽性であった.しかし,全身精査では原発巣が不明で転移性腫瘍は否定的であった.腫瘍の位置が乳腺堤上であることと,病理組織所見で腫瘍細胞が浸潤性乳管癌の亜型である充実腺管癌に類似した組織像を呈し,腫瘍組織内またはその近傍に乳腺組織類似構造が認められたことから副乳癌が最も疑われた.腫瘍切除から5カ月後に,増大した残存腫瘤切除と左腋窩リンパ節郭清術を施行した.腫瘤の免疫組織化学検査ではER陽性,PgR陽性,HER2陰性であり,リンパ節転移は認められなかった.術後はタモキシフェンを内服中であり,再手術後24カ月経過した現在無再発生存中である.前胸壁に発生した男性副乳癌の症例は検索しえた範囲で自験例のみであった.
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  • 上原 正弘
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1595-1598
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    症例は右乳癌(T2N1M0=Stage IIB)にて両胸筋温存乳房切除術+腋窩リンパ節郭清(Bt+Ax)を施行した.病理は硬癌,エストロゲン受容体(ER)/プロゲステロン受容体(PgR)/HER2=-/-/0,n=2/35にて術後5FU+epirubicin+cyclophosphamide(FEC)を施行した.術後1年に右肺に孤立性腫瘍を指摘.原発性肺癌との鑑別のため右肺部分切除術を施行し,転移性乳癌(ER/PgR/HER2=-/-/1+)であった.術後はpaclitaxel,S-1を施行後,5年以上drug freeにて無再発生存中である.考察:再発乳癌は薬物療法が中心である.本症例は切除術を施行したところ,転移性乳癌の診断となった.再発乳癌でもoligometastasesであれば治癒を目指せると考えられた.結語:乳癌肺再発切除後10年以上無再発生存している稀な症例を経験した.
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  • 藤原 克次, 岡野 高久, 夜久 均
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1599-1603
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    VAC療法が著効し人工血管を温存できた術後人工血管感染症例を経験した.症例は78歳,男性.左鎖骨下動脈―両総大腿動脈バイパス術後1年目に,人工血管感染および人工血管周囲膿瘍をきたし緊急切開ドレナージ術を施行した.膿瘍は,左側胸腹部の人工血管T字分岐部を中心に,人工血管沿いにトンネル状に存在した.大量の蒸留水による創部洗浄と可及的デブリードマンを行った.起炎菌はMSSAであった.一旦,症状は軽快したが術後5日目に感染が再燃し,直ちにVAC療法を開始した.左腋窩部から両大腿部に至る人工血管沿いに各吻合部約5cm手前まで創部を切開し,スポンジ充填し低圧持続吸引を行った.発熱・WBC・CRPは軽快し,浸出液は大幅に減少したが創部培養からMSSAの検出が続いた.よって,吻合部まで創切開を拡大し,VAC療法を継続し33日目に縫合閉鎖できた.術後3年以上経過し,バイパスは開存し感染再燃の兆候はない.
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  • 峠 弘治, 渡邊 直純, 臼井 賢司, 榎本 剛彦, 濱 勇, 林 達彦
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1604-1608
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    症例は42歳,男性.腹痛を主訴に当院救急外来を受診.CTにて限局性の小腸炎の診断で点滴目的に入院となった.診察時,陰嚢浮腫を認めた.弟や姪が非対称性の顔面や口唇の浮腫をきたした家族歴があり,しばしば腹痛を呈していたことから遺伝性血管浮腫を疑い,補体のC4およびC1インヒビター(C1-INH)を検査した.C4,C1インアクチベーターはいずれも低下しており,遺伝性血管浮腫と診断した.遺伝性血管浮腫はC1-INHの量的欠損または機能的な減弱によって起きる遺伝性疾患である.精神的・肉体的ストレスを誘因として顔面や咽頭,腸管浮腫をきたす.稀な疾患ではあるが,急性腹症を呈する疾患として鑑別に挙げるべきである.今回,われわれは当院において遺伝性血管浮腫の1症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 前田 晋平, 高橋 道長, 佐藤 俊, 赤田 昌紀, 井上 亨悦, 内藤 広郎
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1609-1615
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,男性.腹痛,嘔吐を主訴に当院へ救急搬送となった.造影CTで上腸間膜静脈内の広範囲な血栓,腹水,空腸の限局的な浮腫性壁肥厚を認めた.血栓は門脈1次分枝まで認めたが脾静脈により門脈血流は保たれ,明らかな腸管虚血はみられなかった.上腸間膜静脈血栓症の診断で入院,厳重な観察下にウロキナーゼとヘパリンによる保存的治療を開始した.胸腹水と急性呼吸窮迫症候群による呼吸不全のため,5日目から1週間の呼吸器管理を要したが保存的に改善.入院時血液検査によりプロテインC欠損症の診断となった.ワーファリン継続投与とし28日目に退院し,遅発性腸管狭窄もなく経過観察中である.上腸間膜静脈血栓症は,うっ血性梗塞により腸管壊死をきたし手術が必要になることが多いが,腸管大量切除や縫合不全,再発の危険性も高い.保存的治療が奏効したプロテインC欠損症による上腸間膜静脈血栓症の報告は極めて稀であったため報告する.
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  • 井上 真岐, 門野 潤, 林 完勇, 田崎 貴嗣, 基 俊介, 井本 浩
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1616-1621
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    症例は59歳の男性で,1カ月間持続する発熱を主訴に前医を受診し,心エコーで高度大動脈弁閉鎖不全と僧帽弁の疣贅を認めた.血液培養でstreptococcus sp.が検出され,歯周炎が原因の感染性心内膜炎と診断された.歯科治療と抗菌薬投与で炎症反応は改善傾向であったが,第16病日に腹痛が出現後にショックとなり,CTで上腸間膜動脈瘤破裂と診断された.動脈塞栓術で止血したが,腸管虚血が疑われ,人工弁置換術に際し感染巣の除去が望ましいと判断し,瘤切除と小腸部分切除術を施行した.血腫により肉眼的な瘤同定は困難であったが,塞栓物質を触知し,瘤を同定できた.術後92日目に開心術を施行した.破裂症例では,動脈塞栓術で循環動態が安定し,切除の際に瘤の同定が容易となる一方,臓器虚血の併発や手技困難例もあり,症例ごとに治療法を選択する必要があると考えられた.
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  • 池田 秀明, 山下 裕, 大石 正博, 山村 方夫, 加藤 大, 水野 憲治
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1622-1627
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    症例は40歳の男性で1日40本,22年の喫煙歴がある.毎年,増大傾向の右肺上葉のブラを指摘されていたが無症状のため経過観察となっていた.胸部CTでブラは右肺上葉をほぼ占拠し,中下葉を圧排しながら胸腔の1/2以上を占めていた.1週間持続する右胸痛で受診,精査にて右自然気胸発症と診断し,翌日,右肺上葉切除を施行した.術後,再膨張性肺水腫,肺瘻の遷延,また残存中下葉の拡張不全を認めたが,呼吸機能は改善した.巨大ブラに対する明確な手術適応基準がないため,無症状の場合経過観察となることが多い.本症例は自然気胸を契機に手術となったが,結果的にブラ巨大化は進行し,肺切除量は広範囲となり術後経過にも影響したと考えられる.定期的な精査と呼吸機能評価を行い,適切な時期に外科的治療を行うことが必要である.
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  • 山崎 祐樹, 新保 敏史, 前多 力, 吉光 裕, 佐久間 寛
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1628-1632
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    症例は96歳,女性.4年前より横隔膜ヘルニアを指摘されていたが,症状を認めないため治療を行っていなかった.食後の嘔吐が持続するため前医を受診し,経鼻胃管による減圧が行われたが,改善せず当科紹介となった.上部消化管内視鏡検査では胃体下部で閉塞を認め,スコープは通過しなかった.CTで横隔膜の裂孔より胃・十二指腸および大網,横行結腸が右胸腔内に脱出していた.ヘルニア門と食道裂孔との間には横隔膜組織の介在を認めた.以上より右横隔膜傍裂孔ヘルニアと診断し,開腹手術を行った.胃・十二指腸・大網・横行結腸を腹腔内へ還納後,ヘルニア門を縫合閉鎖した.術後,逆流性食道炎(ロサンゼルス分類B)を併発したが,保存的治療で軽快した.術後27日目に退院し,術後1年が経過した現在まで再発を認めていない.
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  • 吉田 佐智子, 横山 邦雄, 西田 十紀人, 生田 肇
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1633-1638
    公開日: 2016/01/30
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    症例は70歳の女性.1週間前より継続する左背部痛を主訴に近医を受診し,胸部X線検査で左横隔膜の挙上を指摘され,炎症反応の上昇も認めたため精査加療目的に紹介となった.来院時,血液検査で炎症反応の著明な上昇を認め,画像検査で肝表面のfree airと左横隔膜下に液面形成を伴う空洞性腫瘤を認めた.消化管穿孔の可能性も考慮したが,上部消化管内視鏡検査・下部消化管内視鏡検査ともに穿孔部は確認できず,その他に感染源を疑う所見を認めなかったため,原因不明の横隔膜下膿瘍と診断した.経皮的腹腔内ドレナージを施行,抗生剤を投与し保存的加療を継続した結果,軽快退院となった.横隔膜下膿瘍の原因は消化管穿孔や胆嚢炎,膵炎などが挙げられるが,稀な原因として異所性Meckel憩室や異所性虫垂炎などの報告がある.本症例は原因不明で特発性であると考えられるが,原因検索時には稀な疾患も念頭に置いたうえで診療にあたる必要がある.
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  • 山本 暁邦, 森岡 祐貴, 阪井 満, 橋本 昌司, 永田 二郎
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1639-1643
    公開日: 2016/01/30
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    患者は61歳,男性.近医より嚥下困難・低酸素血症のため,当院へ救急搬送された.胸部CT検査で気管支および食道を圧排する歪な形態の胸部下行大動脈瘤を認め,感染性大動脈瘤の診断で入院翌日に胸部下行大動脈置換術を施行した.術後2日目の内視鏡検査にて食道に虚血性変化を認めたが,食道造影では造影剤の漏出は認めなかった.術後7日目のCT検査にて縦隔に腸管外ガス像を認め,食道造影でも縦隔への造影剤の漏出を認めたため食道穿孔と診断し,術後8日目に右開胸による食道切除術を施行した.切除した食道は全層性に壁の壊死脱落を認めた.食道切除術後49日目に食道再建術を施行した.食道再建術は胸骨前経路で全胃管を残存食道と吻合した.
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  • 福富 俊明, 中野 徹, 神波 力也, 藤島 史喜, 亀井 尚, 宮田 剛, 大内 憲明
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1644-1648
    公開日: 2016/01/30
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    症例は53歳,女性.2年前からの嚥下時の違和感を自覚し来院した.上部消化管造影では,頸部から胸部上部食道に隆起性病変を認め,上部消化管内視鏡検査にて,門歯列より18-24cmに表面平滑な粘膜下腫瘍を認めた.造影CT検査にて造影効果を認めない嚢胞性腫瘍を認め,PET検査で異常集積を認めなかった.頸部アプローチにて摘出術を行った.摘出標本は64×22 mm大の多房性の嚢胞性腫瘤で,内容は粘稠な液体であった.組織学的所見より食道貯留嚢胞と診断された.食道嚢胞の発生頻度は剖検症例の検討から8,200分の1と報告されており,稀な疾患であるが,その大部分が先天性と考えられる気管支嚢胞や食道重複嚢胞である.後天性に生じたと考えられる食道貯留嚢胞の報告は本症例を含めて9例のみである.今回われわれは,非常に稀である食道貯留嚢胞の1例を経験したため若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 吉井 真美, 山下 好人, 山根 心, 李 友浩, 玉森 豊, 西口 幸雄
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1649-1655
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    症例は31歳の男性,ブラジル人.嚥下障害を主訴に前医受診,食道腫瘍と診断され当科紹介となった.上部消化管内視鏡検査にて,食道内腔をほぼ占める腫瘍を認め,その表面は正常粘膜に被われていた.CT検査では,頸部食道から胸部下部食道に至る腫瘍を認め,内部は脂肪濃度と軟部濃度が混在していた.頸部血管3D-CT検査にて,腫瘍の栄養血管は上甲状腺動脈の分枝であると同定された.巨大fibrovascular polypの診断で手術を施行した.左頸部アプローチにて頸部食道を切開し,ポリープの基部を切離して腫瘍を摘出した.摘出標本は27cm大の弾性軟な巨大腫瘍で,病理組織学的に良性fibrovascular polypと診断された.術後半年が経過した現在,再発所見は認めていない.自験例は本邦報告例の中で最大であり,このような巨大腫瘍でも,適切な術前診断により頸部アプローチにて腫瘍切除術が可能であった.
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  • 古木 裕康, 松谷 毅, 萩原 信敏, 新井 洋紀, 野村 務, 内田 英二
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1656-1661
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    症例は38歳,女性.嚥下困難を主訴に近医を受診.食道粘膜下腫瘍を指摘され当科紹介となった.上部消化管内視鏡検査では頸胸部食道に隆起性粘膜下病変を認め,生検の病理組織所見で核異型・分裂像著明な紡錘形細胞が錯綜状に配列し,Ki-67染色は高度陽性であった.食道原発平滑筋肉腫の疑いにて,胸腔鏡手技を併用した喉頭温存食道全摘術を施行し,後縦隔経路で挙上した胃管・有茎遊離空腸・咽頭の再建術を施行した.切除標本の免疫組織染色では,desmin・α-SMAが陽性,c-kit・CD34・S-100蛋白・keratinは陰性であり,平滑筋肉腫と診断した.術後の嚥下機能は良好であった.術後半年以上経過するも再発徴候は認めていない.頸胸部食道平滑筋肉腫に対して,胸腔鏡下手術を併用し根治性を担保でき,さらに頭頸部外科・形成外科との合同手術で喉頭機能を温存することができた症例を経験したので報告する.
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  • 早坂 一希, 野村 尚, 石山 廣志朗, 佐藤 多未笑, 蓮沼 綾子, 福島 紀雅
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1662-1666
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    Fluorouracil (5-FU)の稀ではあるが重篤な副作用として高アンモニア血症がある.大腸癌に対する化学療法による高アンモニア血症の報告は散見されるが,食道癌での報告は少ない.今回われわれは,食道癌に対するFP療法中に意識障害を伴う高アンモニア血症をきたした2例を経験した.(症例1)58歳,男性.Stage IVの食道胃接合部癌に対して化学放射線療法後の追加FP療法4コース目day 5に意識障害が出現し,高アンモニア血症(493μg/dl)を認めた.(症例2)71歳,男性.Stage IIIの胸部食道癌に対して開胸食道亜全摘術後のFP療法1コース目day 6に意識障害が出現し,高アンモニア血症(361μg/dl)を認めた.両症例とも補液,分岐鎖アミノ酸製剤などにて加療を行い,翌日には症状は軽快した.FP療法中に意識レベルの低下を認めた場合,高アンモニア血症を考慮し迅速に対応する必要がある.
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  • 江藤 誠一郎, 西川 勝則, 湯田 匡美, 松本 晶, 小村 伸朗, 矢永 勝彦
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1667-1672
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,男性.胸部食道癌に対し,術前化学療法DCF(Docetaxel,CDDP,5-FU)を2コース施行後,右開胸開腹食道亜全摘・胸骨後胃管再建術・3領域リンパ節郭清を施行した.術後1年半に右鎖骨上および下縦隔リンパ節再発を認め,DCFによる治療目的と食思不振に伴う栄養障害の改善目的に入院となった.入院後,経鼻栄養チューブを挿入し経管栄養を開始した.経鼻チューブ留置6日後に39℃を超える発熱と著明な炎症反応の上昇を認めた.CTにて門脈内ガス血症および再建胃管粘膜下気腫像を認め,気腫性胃炎と診断した.治療として抗菌薬投与と共に経鼻チューブを抜去し,中心静脈からの栄養管理に切り替えた.治療開始1週間後には,症状・炎症所見の改善と共に胃管の気腫性変化と門脈内ガス血症が消失した.
    われわれの検索した範囲で,本症例は食道癌術後の再建胃管に発生した気腫性胃炎の本邦における初報告であり,早期診断と治療の重要性が示唆された.
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  • 宇野 耕平, 小村 伸朗, 飯野 年男, 久保 寿朗, 西田 貞之, 矢永 勝彦
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1673-1678
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    症例は83歳,女性.3年前に食後の嘔吐と経口摂取不良を主訴に来院した.精査の結果,upside-down stomachと横行結腸の脱出を伴うtype IV食道裂孔ヘルニアと診断された.保存的加療後,upside-down stomachは自然に修復された.しかし,脱出した横行結腸に十二指腸が圧排されて通過障害をきたし,固形物を摂取すると嘔吐してしまうため,手術目的に当科を紹介され腹腔鏡下食道裂孔ヘルニア修復術とToupet法による逆流防止術を行った.術後経過は良好であり,術後4日目から流動食を再開し,術後9日目から全粥食を摂取した.他臓器の脱出を伴う食道裂孔ヘルニアは,時に経口摂取不良の原因となりうるが,本症例のようにupside-down stomachが自然整復し横行結腸のみが脱出する経過は極めて稀であるため,文献的考察を含めて報告する.
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  • 毛利 康一, 湯浅 典博, 竹内 英司, 三宅 秀夫, 後藤 康友, 宮田 完志, 藤野 雅彦
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1679-1684
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    症例1は63歳の男性.上部消化管内視鏡検査で胃幽門部に発赤を伴う不整な隆起を認め,進行胃癌と診断し幽門側胃切除を行った.切除標本の病理組織学的検索では幽門部の病変は深達度mの高分化型腺癌で,病変の粘膜下層に嚢胞状に拡張した胃粘膜下異所腺を認め,内視鏡検査における隆起成分は癌の浸潤ではなく,びまん性胃粘膜下異所腺によるものであった.症例2は74歳の男性.内視鏡検査で胃体上部・胃角部・胃体下部に不整な小陥凹を認め,いずれも早期癌(0-IIc)と診断された.3病変ともESDが行われたが,体下部病変はsm2,ly(+)であったため胃全摘を行った.切除標本に腺癌の残存を認めなかったが,小彎側の粘膜下層に大小の嚢胞を多数認め,びまん性胃粘膜下異所腺と診断された.びまん性胃粘膜下異所腺に併存した胃癌は胃壁に厚みを持ち,進行癌と誤診されることがあり,また多発することが多いことに注意すべきである.
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  • 大野 浩平, 村上 雅彦, 大塚 耕司, 山崎 公靖, 渡辺 誠, 青木 武士
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1685-1689
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,男性.左上下肢麻痺を主訴に当院を受診.精査の結果,肺癌・転移性脳腫瘍(Stage IV)と診断.転移性脳腫瘍に対して放射線・化学療法を開始したところタール便が出現し,貧血の進行を認めた.上部消化管内視鏡検査を施行し,穹窿部大弯に出血を伴う30mm大の潰瘍を有する粘膜下腫瘍を認めた.生検による病理組織学的および免疫組織化学的検査の結果,肺腺癌からの胃転移と診断した.進行性の貧血を認め,出血コントロールを目的に腹腔鏡・内視鏡合同手術にて転移性腫瘍を含めた胃局所切除を施行した.術前に転移性胃癌と診断し,腹腔鏡・内視鏡合同手術にて切除しえた1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 入野 志保, 関根 和彦, 松本 松圭, 渋沢 崇行, 清水 正幸
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1690-1694
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    症例は29歳の男性.腹部に暴行を受けて受傷し,受傷18時間後に搬送された.ショック状態であり,腹部全体に筋性防御を認めた.腹部・骨盤CT検査所見より十二指腸損傷を疑い,緊急開腹手術となった.十二指腸下行脚から水平脚にかけて,十二指腸膵臓側に半周程度の破裂部を認めた.周囲は3~4cmの範囲で挫滅が高度であり,腸管の血流障害が疑われたため,単純閉鎖や漿膜パッチでは修復困難と判断した.Vater乳頭部から損傷部が離れていることを内腔より確認後,損傷部十二指腸の部分切除術および挙上空腸による Roux-en-Y法再建を施行した.この再建法は,物理的張力が軽微であることや十二指腸を遊離する必要がないことが利点と言え,挫滅範囲が広く,十二指腸の端々吻合が距離の問題で不可能な場合に,安全で最適な方法と考えられた.
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  • 山本 将輝, 大森 一郎, 向田 秀則, 多幾山 渉
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1695-1700
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,女性.心窩部痛を主訴に近医を受診し胆嚢炎の診断にて当科紹介となった.腹部CT検査にて胆嚢内,また胆嚢外にも高吸収結節を認めた.上部消化管内視鏡検査では十二指腸球部に隆起性病変を認めた.超音波内視鏡検査では,壁内にacoustic shadowを伴う高エコー野を認めたため,十二指腸壁内の結石が疑われた.胆石胆嚢炎および胆嚢十二指腸瘻を伴う十二指腸壁内の結石と診断し,手術を行ったが,術中所見では,胆嚢と十二指腸の間に瘻孔は形成されておらず,胆嚢摘出術および十二指腸壁内の結石核出術を施行した.結石成分分析では,十二指腸壁内の結石と胆嚢結石の組成は類似しており,胆石が総胆管を経由して十二指腸壁内へ嵌入し,十二指腸粘膜に覆われる場合も考えられた.今回,われわれは極めて稀な十二指腸壁内迷入結石の1例を経験したので報告する.
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  • 高見 友也, 山口 智之, 大島 侑, 畑野 光太郎, 若間 聡史, 片岡 直己
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1701-1705
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    われわれは,膵動脈瘤破裂後の血腫に伴う十二指腸閉塞をきたした2例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.症例は腹痛を主訴に受診しCT検査で腹部内臓動脈瘤の破裂と診断され,血管造影で膵動脈に動脈瘤を認めた2例で,1例は経過観察とし,1例は塞栓術を行い,2例とも経過は良好であった.しかし,退院後に腹痛と嘔吐が出現し,十二指腸閉塞の診断となった.保存的治療でいずれも改善し,その後の経過は良好であった.膵動脈瘤破裂後には,血腫に伴う十二指腸閉塞をきたす場合があるため,経過観察が必要と考えられた.
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  • 濵田 隆志, 藤田 文彦, 山下 万平, 虎島 泰洋, 黒木 保, 江口 晋
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1706-1709
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    Ehlers-Danlos syndrome(以下EDS)は皮膚過伸展,関節過可動性,皮膚と血管の脆弱性を3主徴とする遺伝性結合織疾患である.今回,癒着性イレウスにより多発小腸憩室を形成したEDSの1例を経験したので報告する.症例は50代,男性.開腹術後の癒着性イレウスで入院中,状態悪化し当院紹介.腹部CTで遊離ガスを認め消化管穿孔の診断で緊急手術を施行した.前回の手術創直下に癒着による小腸狭窄あり.狭窄部口側小腸は拡張し多発憩室を認め,そのうち一つは腸間膜に穿通し炎症性に硬化していた.EDSによる組織脆弱性から小腸切除および吻合は不適と判断し,癒着剥離によるイレウス解除術のみ行った.本症例は組織の膨張に対する歯止めの役割をもつIII型コラーゲンの減少が特徴であるEDS IV型と考えられた.そのため,組織脆弱性から閉塞部より口側腸管の内圧上昇によって組織が膨張し,多数憩室を形成したと推測された.
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  • 松山 悟, 西村 一宣, 原 雅雄
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1710-1714
    公開日: 2016/01/30
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    症例は86歳,男性.21年来の糖尿病治療歴と半年前からの血液透析などの既往がある.前日まで普通に生活していたが,突然発症した腹痛で救急搬送された.腹部CT検査で腹腔内遊離ガスと下腹部腹腔内膿瘍が認められ,胸部CT検査では気管支肺炎と考えられる多数の小粒状影を両側肺に認めた.緊急手術を行い,空腸腸間膜対側に径1mmの穿孔部位と腸間膜に多数の白色小結節を認めた.特発性小腸穿孔と考え小腸部分切除を行った.摘出標本の病理検査で腸結核と診断され,喀痰の結核菌DNA検査で陽性となったため二次性小腸結核と診断された.腸結核の穿孔は稀ではあるが,糖尿病や血液透析患者など免疫力が低下している患者の原因不明の腸管穿孔においては,輪状潰瘍や狭窄などの典型的な所見を認めなくても,腸結核を念頭に置き治療にあたる必要があると考えられた.
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  • 松山 貴俊, 柿本 應貴, 吉村 哲規
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1715-1718
    公開日: 2016/01/30
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    66歳の女性で,腹部膨満感の精査にて,10cm大の腹腔内腫瘍を認め入院となった.入院時から炎症反応の亢進を認め,発熱・頻脈・白血球数から全身性炎症反応症候群と診断した.血小板数の低下,FDPの上昇を認め,腸間膜腫瘍の診断で緊急手術を施行した.空腸起始部の腸間膜に腫瘤を認め,近接する空腸を巻き込んでいた.腸間膜腫瘍切除,小腸合併切除術を施行した.病理組織検査にて,anaplastic lymphoma kinase(以下ALK)陰性anaplastic large cell lymphoma(以下ALCL)と診断した.術後速やかに解熱し,全身状態の改善が得られた.その後再発を認めたが,化学療法を施行し術後4年8カ月の現在までCRを維持している.ALK陰性ALCLは,腸間膜原発例は稀で,化学療法の効果が乏しい疾患である.本症例では長期CRを維持しているが,症例の蓄積が必要と考えられた.
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  • 甲嶋 一喜, 坪内 優宜, 福浦 竜樹
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1719-1722
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    症例は既往に神経線維腫症1型(NF1)がある80歳の女性で,下血を主訴に来院した.腹部CT検査で小腸・S状結腸にenhancedされる壁肥厚を認め,小腸あるいは大腸からの出血が疑われた.大腸内視鏡検査で,肛門縁より25cm付近に全周性の腫瘤性病変を認めた.翌日止血困難のため緊急手術を行った.手術所見では,膀胱・回腸・両側付属器・子宮などが膿瘍腔を形成していた.S状結腸腫瘍の口側に穿孔を認めた.また,バウヒン弁より約200cm口側の小腸に約60cmにわたり軟性の腫瘤性病変を認め,Hartmann手術,小腸部分切除術を施行した.病理検査所見で,空腸に神経線維腫が多発し,一部に高分化型腺癌を認めた.S状結腸病変は中分化型腺癌であった.神経線維腫症1型には悪性腫瘍が合併する報告があり,本疾患患者について消化器癌の合併を念頭に置いた詳細な検索が必要と思われた.
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  • 中川 裕, 国吉 史雄, 阿嘉 裕之, 花城 直次, 宮平 工, 西原 実
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1723-1726
    公開日: 2016/01/30
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    症例は50歳台,男性.当院受診当日の16時頃から右下腹部痛を認め,急激に増悪したため救急車で当院へ搬送された.来院時理学所見では右下腹部に圧痛・反跳痛を認めた.血液検査所見では白血球20,500/mm3と上昇していたが他に異常値は認めなかった.腹部単純CT検査では虫垂は内部に糞石が充満し,壁に軽度の浮腫が見られたが,7mm大でごく軽度の腫大であった.虫垂炎の初期である可能性は否定できず,また,右下腹部痛が強かったこともあり,同日緊急手術を行った.腹腔鏡下に腹腔内を観察すると盲腸の血色が不良であり,壊死が疑われた.回盲部切除術を行って壊死腸管の切除を行い,機能的端々吻合を行った.切除標本は組織学的にも壊死所見を認めたが,腸間膜の血管を含む血管内に明らかな血栓は認められなかった.盲腸壊死の原因としては動脈硬化性疾患の既往などから,小範囲の壊死性虚血性腸炎の可能性が示唆された.
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  • 金本 斐子, 谷 卓, 石井 要, 竹田 利弥, 八木 雅夫, 丹羽 秀樹
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1727-1732
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,女性.数日持続する右下腹部痛を主訴に近医受診.虫垂炎の疑いにて保存的治療を受けるも症状改善せず,腹部超音波検査にて回盲部膿瘍を疑われたため当院紹介となった.受診時右下腹部に手拳大・弾性硬な有痛性腫瘤を認め,同部位に限局した腹膜刺激症状を認めた.血液検査にて炎症反応亢進,CTにて回盲部周囲に炎症波及を伴う腫瘤性病変を認めた.虫垂炎による膿瘍形成を疑い緊急手術を施行した.回盲部は一塊の腫瘤を形成し,剥離時に膿と共に粘液の排出を認めたため腫瘍性病変を考え,回盲部切除・D2リンパ節郭清を施行した.摘出標本において回盲部漿膜側に膿瘍を認め,虫垂は膿瘍壁に連続していた.病理組織学的検査で虫垂末端にsessile serrated adenoma/polyp(SSA/P)が認められた.
    虫垂原発SSA/Pは極めて稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 上村 志臣, 真木 健裕, 金古 裕之, 三栖 賢次郎, 猪俣 斉, 近江 亮
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1733-1738
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,女性.検診で上部消化管のバリウム造影検査を施行された翌日より嘔吐が出現し,検査後2日目に当院を受診.CTで腹腔内へのバリウムの漏出を認め,S状結腸穿孔が疑われた.血液検査では炎症反応の異常高値,腎機能の異常を認めた.S状結腸穿孔の診断で緊急手術を行った.開腹するとS状結腸穿孔を認め,Hartmann手術を施行した.術後早期経過は良好であったが,16PODより高熱が出現し,血液検査で強い炎症を認めた.抗菌薬投与を行ったが炎症は遷延した.CTで腹腔内にバリウムの残存を認め,残存バリウムによる炎症と判断しステロイドを投与したところ,速やかに軽快した.術後5カ月で人工肛門閉鎖を行い,現在異常を認めていない.バリウム腹膜炎は極めて稀であり,非常に重篤な疾患である.今回われわれは,術後炎症反応が遷延したS状結腸穿孔によるバリウム腹膜炎に対し,ステロイド治療により良好な結果を得たので報告する.
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  • 岩間 望, 池田 篤, 甲斐田 武志, 迫 裕之, 池田 謙, 奥澤 星二郎
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1739-1746
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,男性.右下腹部痛を主訴に受診した.腹部エコー,造影CTで横隔膜に接する直径3cmの肝腫瘤を認めた.下部消化管内視鏡検査でS状結腸に進行癌を認め,同時性肝転移と術前診断した.開腹所見では,腫瘤の主座は横隔膜にあり,右下横隔動脈から栄養されていた.肝臓と強く固着しており,肝合併横隔膜部分切除およびS状結腸切除+D3リンパ節郭清を行った.横隔膜腫瘤の免疫染色検査では,CEA・hepatocyte・TTF-1が陰性,CK5/6・EMA・D-2-40・calretininが陽性であり,腹膜中皮腫と最終診断した.限局性腹膜中皮腫は富血性腫瘍で,血管造影やCT-Angiographyなどで栄養血管の同定が補助診断になると考えられた.また,血清CA125値やCA125の免疫染色が補助診断や再発の指標となる可能性が示唆された.
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  • 山下 万平, 藤田 文彦, 虎島 泰洋, 井上 悠介, 黒木 保, 江口 晋
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1747-1751
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    40代,女性.血便と臀部痛を主訴に来院し,下部直腸癌(cStage IIIb)と診断され,腹腔鏡下超低位前方切除術,および両側側方リンパ節郭清術を施行した.術後第2病日から経口栄養剤を開始したが,腹痛と発熱,ドレーン排液の混濁を認め,縫合不全の診断にて腹腔洗浄ドレナージおよび横行結腸人工肛門造設術を施行した.再手術後4日目にドレーンから血性排液があったため,腹部造影CTを施行したところ,骨盤腔内に仮性動脈瘤を認めた.血管造影にて,内腸骨動脈領域に仮性動脈瘤を認め,塞栓術を施行した.その後徐々に回復し,初回手術から40日目に退院した.側方リンパ節郭清を伴う直腸癌手術では,縫合不全に伴う感染を伴った場合,仮性動脈瘤形成の可能性があることを念頭に置く必要がある.
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  • 北村 直美, 清水 智治, 今井 秀一, 太田 裕之, 園田 寛道, 谷 眞至
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1752-1755
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,腹腔鏡下低位前方切除の術中に広範な皮下気腫と換気障害をきたした症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は80歳台の女性.血便を主訴に近医を受診し直腸癌の診断を受けた.手術開始から約3時間後に高炭酸ガス血症を伴う換気障害と前胸部の皮下気腫が出現した.術中胸部X線検査では気胸はなく広範囲皮下気腫を認めた.気腹状態を解除することで換気障害は軽快したため,気腹圧を10mmHgから8mmHgに下げて手術を再開した.その後は換気障害を認めることはなく手術は終了した.術後経過良好で術後13日目に退院.皮下気腫はすべての腹腔鏡下手術の約20-60%に発生するとされるが,換気障害を伴う広範囲皮下気腫を発症することはまれである.本症例は高齢で痩せ形の女性であり,組織の脆弱性に起因すると考えられる.麻酔科医師と連携し重症化しないよう早期発見し対処を行うことが肝要である.
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  • 小澤 りえ, 菊池 正二郎, 大嶋 勉, 竹村 雅至, 廣田 誠一, 笹子 三津留
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1756-1760
    公開日: 2016/01/30
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    患者は74歳の女性.肝細胞癌(以下:HCC)破裂に対し緊急肝動脈塞栓術を行い,2カ月後に肝外側区域切除術を施行した.術後6年目にPIVKA-IIの高値と上部消化管内視鏡(以下:EGD)による胃小弯前壁の粘膜下腫瘤を認め,増大傾向であった.生検による免疫組織学的検査ではKIT陰性,DOG1陽性であり,類上皮型GISTと診断したため,胃部分切除術を施行した.臨床病理診断はHCCの腹膜転移再発と考えられた.HCCの肝外再発は4.85%と稀であり,ガイドラインではSorafenib投与が推奨されている.しかし,HCCの腹膜転移再発は初回手術後1カ月~10年と様々であり,外科的切除術のみで長期生存したとの報告もある.初回手術後6年目に発症したGISTと鑑別困難であったHCC手術後6年目の腹膜転移再発症例について,診断的問題点と治療方針に関する検討を行った.
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  • 斉藤 庸博, 柴 浩明, 藤原 佑樹, 二川 康郎, 脇山 茂樹, 矢永 勝彦
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1761-1765
    公開日: 2016/01/30
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    症例は2010年に他院にて心臓弁膜症に対する弁置換術を施行した90歳の男性である.経過観察中に肝S4を中心とする直径12cmの肝細胞癌を指摘され,加療目的で当科受診となった.肝炎ウイルスの感染を認めず.肝動脈塞栓化学療法を2回施行したが縮小効果なく,造影CTとMRIで腫瘍のviability残存を認め,破裂の可能性も考慮し肝部分切除術を予定した.中肝静脈は腫瘍に圧排され同定困難であった.術前ICG R15は16%であった.術中,肝外側区域に膿瘍を認め,拡大肝外側区域切除術に変更した.また,中肝静脈に腫瘍栓を認め,中肝静脈切開の上,腫瘍栓を除去した.病理診断はpT3,Stage IIIであった.経過は良好で,術後第20病日に独歩にて退院した.肝胆膵悪性疾患に対する手術は,ときに大きな侵襲を伴うが,超高齢者でも全身状態が良好であれば,適切な周術期管理を行うことにより安全に施行できると考えられた.
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  • 藤 智和, 松川 啓義, 塩崎 滋弘, 藤原 康宏, 佐藤 太祐, 二宮 基樹
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1766-1771
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,男性.68歳より原発性胆汁性肝硬変(primary biliary cirrhosis,以下PBC)の診断で経過観察中であった.定期フォローの腹部造影CTでsegment 7に右肝静脈に接する34mm大の腫瘤を認めた.精査にて肝細胞癌と診断,右肝静脈を含む拡大後区域切除術を施行した.術中PBCの硬変肝に対する肝切離は他の肝硬変症への肝切離と大きく異なる印象は無く,また術後も特異な合併症なく軽快した.切除標本の病理組織検査所見では中分化型を主体とする肝細胞癌を認め,非腫瘍部ではScheuer分類IV期のPBC像を呈していた.PBCに対する肝切除の報告では,PBCに特有の周術期合併症は認められず,PBCに発生した肝細胞癌に対する肝切除術を施行する際には,他の原因の肝硬変の際と同様に,癌の進行度診断と肝予備能評価に基づいて切除術式を決定することが重要と考えられた.
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  • 坂本 修一, 木村 臣一, 宇野 太, 高畑 隆臣, 丸山 昌伸, 西山 宜孝
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1772-1776
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,女性.1カ月前から吃逆が多く近医受診.腹部X線写真で胃拡張を指摘され,幽門狭窄の疑いで当院紹介となった.腹部膨満以外に異常所見なし.上部消化管内視鏡検査で幽門に高度狭窄および後壁中心に粘膜下腫瘍様隆起を認めた.生検するもGroup1であったが,腹部エコーで十二指腸球部への浸潤が疑われた.粘膜下腫瘍様の胃癌を否定できず,確定診断および通過障害の治療目的に手術を施行した.十二指腸浸潤を伴う胃癌に準じた幽門側胃切除術,D2+No.12b/p,13a,14vリンパ節郭清を施行した.病理組織検査にて異所性膵の癌化と診断.No.5,6,8a,13aにリンパ節転移を認めた.
    総合所見はpT3,pN2,sH0,sP0,pCY0,pM1,fStage IVであった.胃粘膜下腫瘍の診療の際,稀ではあるが胃異所性膵原発腺癌も鑑別に挙げ,リンパ節転移を考慮した術式を検討する必要性も示唆される.
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  • 木村 次郎, 佐々木 潔
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1777-1781
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    症例は14歳,男児.2歳時に外傷のため脾摘の既往がある.間欠的腹痛と嘔吐のため,当院救急外来を受診した.腹部造影CTでは,腸管壁の造影効果は保たれていたがbeak signを認め,機械的イレウスと診断し,開腹術を施行した.術中,小腸-腸間膜間の索状物により形成された孔に陥入した腫瘤を認め,イレウス解除・腫瘤摘出術を施行した.腫瘤は病理組織学的検査により脾組織と判明し,splenosis(脾症)により引き起こされたイレウスと診断した.Splenosisは術後相当期間を経て発見されるため,小児においては稀であるが,脾外傷や脾摘の既往がある患者における腹部症状の訴えに対しては,原因として常にsplenosisも鑑別として考えなければならない.
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  • 上坂 貴洋, 三澤 一仁, 武田 圭佐, 菊地 一公, 大島 隆宏, 大川 由美
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1782-1786
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    症例は44歳,女性.1年半前から下腹部の膨隆を自覚し,半年前から急速に増大したため当院を受診した.初診時,上半身のるい痩が顕著である一方,腹部は高度に膨隆していた.腹部CTでは巨大腫瘤が腹腔内を占拠し,所見から後腹膜脂肪肉腫が疑われ外科的切除の方針となった.開腹時,腫瘤は腹腔内の他臓器を圧排するとともに膵臓を取り囲む形で存在していた.脾臓および膵尾部の合併切除を要したが腫瘤の切除は可能であった.切除標本は63×41cm,重量24.5kgと巨大であり,病理組織検査では高分化型脂肪肉腫と診断された.半年後に肝表面および後腹膜に再発を認め再切除術を施行したが,その3カ月後に多発肝転移が出現したため全身化学療法を開始した.その後も多発肝転移は増大し,初回手術から2年7カ月後に死亡した.本症例のごとく巨大な後腹膜脂肪肉腫は稀であり,本邦報告例の中では最大であった.若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 水田 憲利, 中谷 研介, 岡田 晋一郎, 菅沼 利行
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1787-1791
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    壊死性筋膜炎は,壊死性軟部組織感染症の一種であり,進行すると致死的な経過を辿る.症例は79歳,女性.1週間前からの食欲不振を主訴に救急搬送.右鼠径部に皮膚壊死を伴う膨隆あり,CT所見と合わせ,鼠径ヘルニア嵌頓に伴うガス壊疽を疑い,緊急手術を施行した.術中所見では,小腸および大網が嵌頓,壊死しており,小腸は穿孔していた.また皮下組織,筋膜まで壊死が進行していたが,筋層まで達しておらず壊死性筋膜炎と診断した.緊急デブリードマン+ヘルニア修復術+空腸部分切除術を施行した.その後,創部壊死が拡大,術後第2・4病日に追加デブリードマンを施行したが効果なく,術後第6病日に永眠された.壊死性筋膜炎の致死的な経過を防ぐためには,発症早期に十分なデブリードマンを含めた集学的治療が必要と考える.
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  • 田口 和浩, 小島 康知, 岡島 正純, 徳本 憲昭, 原野 雅生
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1792-1795
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    会陰ヘルニアは,ほとんどが腹会陰式直腸切断術あるいは骨盤内臓全摘術後に発生する続発性会陰ヘルニアである.今回,われわれは腹会陰式直腸切断術後に発生した続発性会陰ヘルニアの1例を経験したので報告する.症例は67歳,男性.直腸癌(Rb,MPN1M0,cStage IIIa)に対し術前化学放射線療法を施行後,両側側方リンパ節郭清を伴う腹会陰式直腸切断術を施行した.術後経過は良好であったが,術後12カ月後頃より会陰部の膨隆が出現した.次第に膨隆は増大傾向し,術後18カ月目の腹部造影CT検査においても会陰部の小腸の脱出を認め,続発性会陰ヘルニアと診断した.術後21カ月目,経腹的にヘルニア修復術を施行した.術中所見として,骨盤底に約10cm大のヘルニア門を認めた.ヘルニア門を覆うようにComposix® mesh (15.2cm×20.3cm)を骨盤底に固定し,骨盤底再建術を施行した.
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  • 筋師 健, 白畑 敦, 高坂 佳宏, 鈴木 哲太郎, 松本 匡史, 石田 康男
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1796-1800
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    症例は79歳,女性.18年前に直腸癌に対して腹会陰式直腸切断術を施行され,術後経過中に腹壁瘢痕ヘルニアおよび傍ストーマヘルニアを認めていた.2014年5月に突然の腹痛が出現したため救急外来を受診した.腹部造影CT検査では腹部正中に腹壁瘢痕ヘルニアを認め,脱出腸管が軽度に肥厚していた.また,ストーマ近傍にも腸管の脱出を認めており,ヘルニア嵌頓と診断した.用手的還納が可能であり,腸管の虚血性変化を認めなかったため,後日,ヘルニア修復術を施行した.腹腔鏡下手術を施行し,両ヘルニアに対してParietexTM Optimized Composite Meshを用いて同時修復を行った.術後再発は認めていない.
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  • 三原 勇太郎, 鈴木 稔, 木村 寛子, 赤須 玄, 濵田 伸哉, 篠崎 広嗣
    76 巻 (2015) 7 号 p. 1801-1806
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    症例は51歳,男性.全身に広範な刺青を有する患者.直腸癌に対し低位前方切除を施行中,突然の血圧低下,頻脈,顔面紅潮をきたした.アナフィラキシーショックを疑い,手術を中止した.Epinephrine投与などによりバイタル安定し改善を得た.術後検査でラテックスに対する特異的IgE抗体陽性であり,ラテックスアレルギーを考え,ラテックスフリー環境下で再手術を行い,問題なく手術を終了しえた.ラテックスは術中アナフィラキシーの原因の一つであり,文献報告が散見される.一般に,頻回に手術や医療処置を受ける患者に加え,医療従事者や製造業などゴム手袋着用頻度の多い群でリスクが高いとされるが,本症例はラテックスアレルギーのハイリスク群には該当せず,刺青の長期に渡る作成過程でラテックスに感作した可能性を考えた.
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