日本臨床外科学会雑誌
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76 巻 , 8 号
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原著
  • 中原 裕次郎, 山崎 誠, 牧野 知紀, 宮崎 安弘, 高橋 剛, 黒川 幸典, 中島 清一, 瀧口 修司, 森 正樹, 土岐 祐一郎
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1819-1824
    公開日: 2016/02/29
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    背景:食道癌に対するDCF療法はFP療法に代わる治療法として期待されている.一方で,骨髄抑制,発熱性好中球減少症 (febrile neutropenia;以下,FNと略記)が高頻度との報告がある.方法:2010年から2012年までにDCF療法を施行した108例を対象とし,血液毒性やFNの頻度およびFN関連因子について検討した.結果:年齢の中央値は67歳,性別は男/女=100/8例,cStage I/II/III/IV=7/9/53/39例であった.Grade4の好中球減少症を54.6%に,FNは37.0%に認めた.患者因子のうち,高齢と嚥下障害がFN発症に関連する独立因子となった.結語:食道癌に対するDCF療法では好中球減少やFNの発症が高頻度であった.一方で,FN関連因子が明らかとなり,食道癌化学療法における個別化につながる可能性が示唆された.
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  • 三原 康紀, 江川 智久, 伊藤 康博, 長島 敦
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1825-1830
    公開日: 2016/02/29
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    目的:下部消化管待機手術における化学的腸管処置(chemical bowel preparation;以下,CBP)によるsurgical site infection(以下,SSI)の予防効果を前向き無作為比較試験により明らかにする.方法:2009年1月から2010年8月までに当科で施行した下部消化管待機手術症例220例を,CBP施行群と非施行群に無作為に割り付けた.CBPは,術前日にKanamycin 3,000mg/日とMetronidazole 750mg/日を経口投与とし,CBPの有無と表層切開創SSI発生との関連を比較検討した.結果:CBP非施行群の表層切開創SSI発生率20.4%に対して,施行群は3.6%であり,CBP施行群において表層切開創SSI発生率の有意な低下がみられた.結論:下部消化管待機手術におけるCBPは表層切開創SSI予防に有用と考えられた.
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臨床経験
  • 大内 昌和, 福永 正氣, 永仮 邦彦, 平崎 憲範, 東 大輔, 小浜 信太郎
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1831-1836
    公開日: 2016/02/29
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    パリテックスTMアナトミカルメッシュMサイズ(13×9cm)によるTAPPを施行した鼠径部ヘルニア386症例453病変を検討した.平均手術時間が片側98.7分,両側136.3分,平均出血量は3.7ml,平均鎮痛剤使用回数は1.4回.初回外来診察では352症例中,患部疼痛29例(8.2%)・違和感4例(6.8%)・seroma29例(8.2%)・創部感染5例(1.4%).術後3カ月以上経過した患者へのアンケートでは291症例中,慢性疼痛8例(2.7%)・違和感34例(11.6%)・腫脹1例(0.3%),再発は認めていない.患者満足度は,「5:とても良い」が219人(75.2%),「4:まあまあ良い」が69人(31.5%)であった.現在まで深刻な合併症や再発を認めず,術後有害事象の発生頻度も低率であることからTAPPは有用であり,日本人では13×9cmのサイズで安全確実な補強が可能であることが示唆された.
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症例
  • 藤井 清香, 椎木 滋雄, 田上 貴之, 荒瀬 光一, 渡邉 哲也, 元井 信
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1837-1841
    公開日: 2016/02/29
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    副甲状腺はしばしば異所性に存在することが知られているが,甲状腺内に存在することは比較的稀である.今回,超音波検査・99mTc-MIBIシンチグラムを併用することにより,甲状腺内副甲状腺腫と診断し,腫瘤摘出術を行った原発性副甲状腺機能亢進症例を経験した.症例は70歳の女性.骨粗鬆症の治療としてビスホスホネート製剤の内服が行われていたが,デノスマブ投与に変更となった.その後の血液検査にて高Ca血症を認めたため,精査したところ,intact-PTH高値であり,副甲状腺機能亢進症が疑われた.超音波検査では甲状腺右葉内に副甲状腺を疑う低エコー腫瘤を認め,99mTc-MIBIシンチグラムでは甲状腺右葉に一致した集積を認めた.甲状腺内完全埋没型副甲状腺腫と診断し,甲状腺より腫瘤を摘出したところ,術後速やかにCaとintact PTHが低下した.病理学的診断は副甲状腺腫であった.
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  • 榊原 優香, 進藤 久和, 矢野 洋, 大坪 竜太, 松本 恵, 永安 武
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1842-1846
    公開日: 2016/02/29
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    症例は40歳台,女性.3年前に肺リンパ脈管筋腫症(Lymphangioleiomyomatosis;LAM)に対し,脳死右片肺移植術を施行し免疫抑制剤を当科プロトコールに従い内服していた.左乳房腫瘤を自覚し,当科を受診.マンモグラフィにて左乳房CD領域に2.0cm大の腫瘤を認め,針生検にて葉状腫瘍の診断を得た.受診3カ月前の胸部単純CT検査では乳房に腫瘤影は認めず,腫瘤指摘3カ月後には4.0cm大に増大しており,腫瘍摘出術を行った.術後病理所見は境界悪性葉状腫瘍の診断であった.葉状腫瘍は急速に増大する例があり,本症例と免疫抑制剤の因果関係は明らかではない.しかし,免疫抑制剤の長期内服により,移植後患者では悪性腫瘍発症率が高く,進行が速い可能性が示唆されている.本邦には臓器移植後の悪性腫瘍に関するまとまったデータはなく,スクリーニングには指標がないため,サーベイランスの早期確立が望まれる.
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  • 出口 博之, 友安 信, 重枝 弥, 兼古 由香, 無江 良晴, 谷田 達男
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1847-1851
    公開日: 2016/02/29
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    症例は76歳,男性.検診で胸部異常陰影を指摘され紹介となった.胸部CTで右肺上葉に45mm大の腫瘤を認め,PET-CTでは同部位にSUVmax 13.5の集積を示し肺癌を疑った.縦隔肺門リンパ節はCT上短径1cm以下,PET-CTでの集積も軽度だったため縦隔リンパ節転移はないと判断し手術を実施した.右肺上葉切除を行い迅速病理診断でcarcinomaと診断されリンパ節郭清に移ったが,上縦隔を占めていたのは白色の腫瘍だった.腫瘍の尾側は迷走神経と連続しており,迷走神経由来神経原性腫瘍と判明し,上縦隔郭清とともに腫瘍切除を行った.病理診断では肺癌は多形癌,神経原性腫瘍は神経線維腫だった.身体所見としてカフェ・オ・レ斑を有し,既往歴に大腿の神経線維腫切除があり神経線維腫症I型と診断された.
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  • 三和 健, 松居 真司, 春木 朋広, 荒木 邦夫, 谷口 雄司, 中村 廣繁
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1852-1855
    公開日: 2016/02/29
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    気管支内過誤腫は比較的まれである.今回,人間ドックを契機に発見され閉塞性肺炎をきたし,区域切除で治療できたので報告する.
    症例は57歳,女性.人間ドックの胸部X線で異常を指摘された.胸部CTでは右肺S6に5cmの腫瘤を認め,肺門縦隔リンパ節は腫大し,肺癌が疑われ,当科紹介となった.紹介時は陰影が縮小,肺炎として抗菌薬治療で改善したが,閉塞性肺炎をきたし当科紹介となった.気管支鏡検査で右B6入口部にポリープ状の腫瘍を認めた.気管支鏡生検で過誤腫と診断されたが,治療に難渋する閉塞性肺炎のため手術適応と判断した.手術は後側方切開で右S6区域切除を施行した.腫瘍周囲は高度な炎症性肥厚,リンパ節の腫大を認めたが,B6を根部で切断し,内腔から腫瘍を確認して気管支断端を縫合閉鎖してS6区域切除を完了した.術後経過は良好で再燃は認めていない.
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  • 山田 竜也, 林 亨治
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1856-1860
    公開日: 2016/02/29
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    当院では過去5年間に40例の胸骨骨折を経験し,うち2例に観血的治療を行った.いずれもロッキングプレートを使用した固定術を行った.ロッキングプレートはプレートのスクリューホールとスクリューヘッドが固定されるプレートシステムであり,ロッキングプレートによる胸骨固定は片側の骨皮質のみの固定で十分な固定力が得られる.よって,胸骨裏面の剥離・縦隔側臓器の保護を必要とせず,手技も容易である.今回われわれが行った2例も術後経過は良好であり,胸骨骨折に対するロッキングプレート固定は有用と思われた.
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  • 湯目 玄, 手島 伸, 遠藤 文庫, 斎藤 俊博, 武田 和憲, 鈴木 博義
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1861-1869
    公開日: 2016/02/29
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    局所再発を繰り返した後に肺と小腸に転移をきたした隆起性皮膚線維肉腫の1例を経験した.症例は51歳の女性で,左前胸部の原発巣切除後,局所再発を繰り返し,初回切除より25年後に肺転移をきたしていた.27年後に腹痛で発症し,CTにて小腸腫瘍による腸重積の診断となり,腹腔鏡による腹腔内の観察後に小腸切除が行われた.病理診断は隆起性皮膚線維肉腫の小腸転移で矛盾しない所見で,一部には線維肉腫様の所見もみられていた.術後3年経過しているが,再発はみられていない.隆起性皮膚線維肉腫の消化管転移は極めて稀で,自験例は小腸転移としては本邦初の報告となる.
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  • 日野 東洋, 田中 寿明, 的野 吾, 森 直樹, 門屋 一貴, 赤木 由人
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1870-1875
    公開日: 2016/02/29
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    症例は61歳の男性.腹痛と腹部膨満感を主訴に受診し,単純X線検査にて左下肺野に腸管ガス像を認めた.CTでは左横隔膜に一部不連続な部分があり,大腸・脾臓・左腎臓の胸腔内への脱出を認めた.以上より横隔膜ヘルニアと診断し,用手補助下腹腔鏡手術(hand assisted laparoscopic surgery;以下HALS)を行った.左横隔膜に約10cmのヘルニア門を認め,Bochdaleck孔ヘルニアと診断した.胸腔内に脱出していた臓器を腹腔内に還納し,メッシュを用いてヘルニア門を閉鎖した.術後3年6カ月経過するが,再発は認めていない.術前検査にて腹腔内臓器の大量脱出を認めたが,HALSにて良好な視野で,安全かつ低侵襲に手術を施行した症例を経験したので報告する.
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  • 末松 秀明, 五代 天偉, 藤川 寛人, 利野 靖, 鈴木 紳一郎, 益田 宗孝
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1876-1880
    公開日: 2016/02/29
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    症例は84歳,女性.嘔吐,心窩部痛を主訴に来院した.胸部X線検査・造影CT検査の所見より,胃・小腸・横行結腸の一部が脱出した複合型(IV型)食道裂孔ヘルニアを認めた.脱出した小腸の拡張を認め,拡張腸管の造影効果が不良であったため,食道裂孔ヘルニア嵌頓による絞扼性イレウスの疑いで緊急手術を施行した.手術所見では食道裂孔ヘルニアの他に横行結腸間膜のヘルニアを認め,同部位に嵌頓した腸管が絞扼し,壊死をきたしていた.壊死した小腸は部分切除した.食道裂孔ヘルニアは内容物を腹腔内へ還納し,食道裂孔を縫縮閉鎖し食道へ固定した.術後に逆流は軽度認めたが,通過障害は認めず軽快退院となった.食道裂孔ヘルニアに内ヘルニアを合併した稀な症例を経験したので報告する.
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  • 中川 智彦, 村上 和重, 宮田 剛, 臼田 昌広, 井上 宰, 齋藤 之彦
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1881-1884
    公開日: 2016/02/29
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    急性胃腸炎に併発した若年特発性食道破裂例を経験したので報告する.症例は28歳の男性で,急性胃腸炎に伴う下痢,嘔吐の直後から強い胸背部痛出現したため近医受診.精査加療目的に救急車にて当院搬送となった.来院時胸部X線写真で左下肺野に透過性低下,CT検査では左胸水,胸部下部食道周囲に縦隔気腫を認めた.また,上部消化管造影検査で胸部下部食道左側から左胸腔内への造影剤流出を認めたため,特発性食道破裂と診断した.そこで,発症10時間後に緊急手術となった.左第7肋間後側方開胸を行うと,胸部下部食道左側に5mm大の穿孔と胸腔内に食物残渣を認めた.炎症所見が軽度のため,穿孔部を2層に縫合閉鎖した.術後経過は良好で第10病日に経口摂取を開始し,第21病日に退院した.急性胃腸炎は日常よくある疾患だが,若年であっても特発性食道破裂をきたすことがあることは念頭に置くべきと考えられた.
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  • 百目木 泰, 中島 政信, 黒川 耀貴, 高橋 雅一, 佐々木 欣郎, 加藤 広行
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1885-1889
    公開日: 2016/02/29
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    症例は66歳,男性.9年前に胸部食道癌で右開胸食道切除胸骨後経路胃管再建術が施行された.約2カ月前より咳嗽・痰を自覚していた.その後,一旦咳の症状は改善したが,呼吸苦出現したため,心不全疑いで当院内科を受診後,胃管潰瘍穿孔と診断され同日当科に紹介される.手術は上腹部正中切開,胸骨縦切開で開始した.胃管周囲には壊死組織が大量にあり胃管後壁に潰瘍を認め,同部が心嚢に穿通していた.胃管を心嚢から剥離,切除し,食道断端は食道瘻とした.初回手術から111病日に胸壁前経路Roux-en Y再建・血管吻合付加による二次的な食道再建術を施行した.術後経過は良好で再建手術から第21病日に退院した.本症例のように胃管潰瘍心嚢穿通をきたした症例に二期手術を行い救命しえた報告は少ないため報告する.
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  • 谷 道夫, 川村 秀樹, 柴崎 晋, 本間 重紀, 高橋 典彦, 武冨 紹信
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1890-1895
    公開日: 2016/02/29
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    デスモイド腫瘍は一般的には緩徐な増大傾向を示すといわれるが,今回われわれは,急速増大した胃脾間膜原発腹腔内デスモイド腫瘍の1例を経験したので報告する.症例は54歳の男性.近医でCT上胃体部大弯側に2cm大の円形腫瘤が認められ,1年後のCTで10cm強にまで増大したため当科紹介.精査にて胃固有筋層由来の腫瘍が疑われ,腹腔鏡および用手補助下に腫瘍切除,脾摘出術が施行された.病理組織所見では,腫瘍は異型に乏しい紡錘形の細胞と膠原線維の増生を認め,胃脾間膜と連続していた.免疫染色でc-kit(-),desmin(-),S-100(-),β-catenin(+)の所見を呈し胃脾間膜原発デスモイド腫瘍と診断した.術後1年9カ月現在,無再発経過中である.腹腔内デスモイドは術前診断が困難なことが多いが,急速増大することもあることを念頭に置く必要があると考えられた.
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  • 梅本 一史, 村川 力彦, 鈴木 友啓, 山村 喜之, 大野 耕一, 平野 聡
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1896-1900
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    症例は41歳,女性.検診の上部消化管造影検査にて胃粘膜下腫瘍を指摘され精査目的に当院を受診した.上部消化管内視鏡検査にて胃前庭部に正常粘膜に覆われた隆起性病変を認め,EUS-FNAにてNET-G1と診断した.
    手術は術中超音波検査を併用し腹腔鏡下胃局所切除術を施行した.組織学的所見では,異型に乏しい均一な円形細胞が豊富な血管を介在し増殖しており,免疫染色にて胃glomus腫瘍と診断した.
    Glomus腫瘍は四肢や体幹の皮下に好発する非上皮性腫瘍であり,消化管での発生は稀であるが,その多くは胃原発である.腫瘍の稀少さと組織学的特徴から診断が難しい腫瘍であるが,EUS-FNAと免疫染色が診断に最も重要である.胃glomus腫瘍に対する手術は腹腔鏡下胃局所切除術が適切な術式となり得ると考えられ,術中超音波検査や術中消化管内視鏡検査の併用で,より安全な手術操作が期待できる.
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  • 仕垣 幸太郎, 長澤 雄大, 古川 義英
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1901-1905
    公開日: 2016/02/29
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    Leser-Trélat徴候(以下,L-T徴候)は,掻痒感を伴う脂漏性角化症が短期間のうちに急速に増加・増大した場合,内臓悪性腫瘍が存在する可能性があるというものである.多くは進行癌で発見され,本徴候の機序は明らかにされていない.今回,われわれはL-T徴候を契機に早期胃癌を発見し,手術後に皮疹の縮小と掻痒感の消失を認めた1例を経験した.患者は75歳の男性で,強い掻痒感を伴う急速に増加・増大する脂漏性角化症を認め,当院皮膚科を受診した.L-T徴候を疑い精査したところ,胃角部大彎側にIIc病変を認めたため当科で幽門側胃切除術を施行した.術後に掻痒感は消失し,脂漏性角化症は縮小した.本徴候を疑い精査することで,内臓悪性腫瘍を早期に発見,治療することができることもあると考えられた.
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  • 立岡 修治, 九玉 輝明, 本高 浩徐, 永田 彩子, 中村 登, 濵田 信男
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1906-1912
    公開日: 2016/02/29
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    症例は79歳,女性.5年前に胃癌に対して胃全摘術(第2群リンパ節郭清およびRoux-en-Y再建)が施行された.最終病理結果は低分化型腺癌,pT2(MP) N0 M0 Stage IBで,術後のadjuvant chemotherapyは行わず,定期的に経過観察されていた.今回行われた定期の下部消化管内視鏡検査にて大腸内に多発する粘膜下腫瘍様隆起性病変を認め,生検にて低分化型腺癌と診断された.CTとPET検査では明らかな肺・肝転移や播種を認めず,大腸亜全摘術を施行.病理検査(免疫染色)の結果,粘膜下を中心に前回の胃癌と同様の腫瘍細胞を認め,胃癌の多発大腸転移と診断した.転移性大腸癌は大腸癌全体の0.1~1%と稀で,ほとんどは進行癌からの転移である.Stage I胃癌の単独大腸転移は極めて稀であり,本邦では自験例を含めわずか4例に過ぎない.若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 松山 温子, 鈴木 正彦, 浅羽 雄太郎, 三宅 隆史, 鶴岡 琢也, 水上 泰延
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1913-1917
    公開日: 2016/02/29
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    症例は58歳の男性.以前から部分内臓逆位を指摘されていた.貧血の精査目的に当院受診し,上部消化管内視鏡で胃体中部前壁に出血性潰瘍を認めたため,クリップ止血した.その際,胃体上部小彎寄りに0-IIc型病変も指摘され,生検で低分化腺癌の診断であった.CTでは胃・脾・膵が右に位置しており,肝は左右対称,胆嚢・Treitz靱帯は正常位置であった.遠隔転移や明らかなリンパ節転移を認めず,cT1b,cN0,cM0,Stage IAの術前診断で胃全摘(D1+),R-Y再建を施行した.術後の経過は良好で,13日目に退院した.病理結果はpor,pT3(SS),int,INFb,ly1,v1,pN0,Stage IIAであった.術後1年3カ月現在,無再発生存している.内臓逆位を伴う手術症例においては,脈管および各臓器の位置関係を把握するためにCTが特に有用であった.
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  • 佐藤 英昭, 大村 範幸, 遠山 慎吾, 中山 瞬, 高野 成尚, 小野 文徳
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1918-1922
    公開日: 2016/02/29
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    症例は66歳の男性で,腹痛・血便などを主訴に来院.腸管壊死を伴わない上腸間膜動脈血栓症と診断して保存的加療を試みたものの,第2病日に腹部症状が増悪したため緊急手術を施行し,壊死小腸約50cmを部分切除するとともにsecond-look operationの方針で断端は小腸瘻として腹壁外に挙上した.術後第12病日に小腸を約70cm追加切除し,小腸瘻を閉鎖した.再手術後,経口摂取に誘発される腹痛と下痢を繰り返し,CT・蛋白漏出シンチグラムなどの精査にて虚血性小腸炎に合併した蛋白漏出性胃腸症と診断した.3度目の手術では詳細な観察のため,腹腔鏡を使用し,前回吻合部の口側約50cmにわたる小腸腸管壁の肥厚を認めた.小腸大量切除を回避するためsecond-look operationを企図したが,蛋白漏出性胃腸症の合併から結果的に3度の手術と長期入院を要した1例を経験したので,考察とともに報告する.
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  • 金村 剛志, 大久保 聡, 野呂 浩史, 吉川 浩之, 中場 寛行
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1923-1927
    公開日: 2016/02/29
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    横行結腸間膜ヘルニアは頻度の少ない内ヘルニアとして知られている.今回われわれは,横行結腸間膜ヘルニアに逆行性腸重積を合併した希少な症例を経験したため文献的考察を加えて報告する.患者は手術歴のない60歳の男性,上腹部痛と頻回の嘔吐を主訴に来院した.CT画像では横行結腸背側へ空腸が脱出し,一部が十二指腸に逆行性に重積している像を認めた.逆行性腸重積を合併した空腸の内ヘルニアを疑い,緊急開腹術を施行した.術中所見では,最も口側の20cm程度の空腸が十二指腸空腸窩に形成されたヘルニア門より横行結腸間膜内に陥入し嵌頓している像が確認された.ヘルニアと重積は用手的に解除され,脱出腸管に虚血は認めなかった.逆行性重積を起こし得る既知の要因は認めず,何らかの未知の機序で横行結腸間膜内に嵌頓した空腸が十二指腸内に重積していたものと考えられた.ヘルニア門を縫縮して手術を終了し,良好な術後経過を得ることができた.
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  • 諸星 直輝, 浅沼 和樹, 澤崎 兵庫, 高梨 節二, 樫山 基矢, 石後岡 正弘
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1928-1932
    公開日: 2016/02/29
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    症例は39歳の男性.9年前に他医で陰嚢原発平滑筋肉腫の摘出を受け,3年前と2年前に肺転移で2回の手術を受けた.入院当日に急激に心窩部痛を発症し当院へ救急搬送となり,腹部CTで小腸閉塞の診断で開腹手術を施行した.手術所見で回盲弁から口側30cmの部位で4cmの腸管内異物を認め,それより口側の腸管の拡張を認めた.腸管内異物の口側腸管の一部に漿膜変化を伴う2cmの腫瘤を触知した.小腸部分切除を行い腸管内異物と腫瘤を摘出した.摘出標本では腸管内異物は径38mmのポリープ状腫瘍で,腫瘤として触知した部分に隆起性病変を認め,ポリープ状腫瘍の基部と考えた.何らかの機序で遊離した小腸腫瘍が腸閉塞の原因と考えた.組織学的に小腸固有筋層や粘膜筋板と腫瘍とに明らかな交通は無く,免疫染色でSMA陽性,HHF-35陽性,Ki67:70%で,以前の陰嚢原発平滑筋肉腫と同様の染色性を示し,転移性小腸平滑筋肉腫と診断した.
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  • 林谷 康生, 栗栖 佳宏, 赤木 真治, 湯浅 吉夫, 田中 智子
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1933-1937
    公開日: 2016/02/29
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    症例は78歳,女性.虫垂切除術の既往あり.昼食摂取後から激しい下腹部痛が出現し当院救急外来を受診した.腹部造影CTで小腸のclosed loopと腸間膜の脂肪濃度上昇を認め,絞扼性イレウスと診断して緊急手術を行った.腹腔内には血性腹水が貯留し,小腸を絞扼していた索状物を切離すると腸管壁の色調は不良であったが辺縁動脈の拍動は良好で蠕動もあり,腸管切除は行わなかった.術後経過は良好で,術後6日目に食事を開始したが悪寒・戦慄を伴う発熱があり,血液培養でBacillus cereusが検出され,腹部症状はなく他に感染源を認めないことからbacterial traslocationと診断した.絶飲食とメロペネムの投与で軽快し,術後22日目に退院した.紋扼性イレウス解除術後には虚血性小腸炎による粘膜障害が起こることがあり,穿孔や狭窄に加えてBTの発症にも注意が必要である.
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  • 松本 哲, 高橋 周作, 高橋 昌宏, 久慈 麻里子, 山上 英樹, 石津 寛之
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1938-1941
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,男性.10日前から下腹部痛が出現し,徐々に増悪してきたため,当院を受診.下腹部に筋性防御を伴う圧痛を認め,採血では炎症反応の上昇を認めた.腹部造影CTでは骨盤腔に膿瘍形成を認め,緊急手術を施行した.回腸末端から約120cm口側に管状の重複腸管を認め,分岐した腸管が盲端で膿瘍を形成し,S状結腸との癒着を認めた.膿瘍を伴う回腸重複腸管と診断し,重複腸管を含めた小腸切除術を行った.病理検査では,重複腸管の盲端部に膿瘍形性を認め,盲端と膿瘍の間に腺癌を認めた.回腸に管状型に発生した重複腸管の癌化の症例は本邦第1例目であり,癌化を伴う回腸重複腸管で膿瘍を形成した症例としても本邦第1例目であり,極めて稀であるため症例報告する.
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  • 長尾 祐一, 佐藤 永洋, 中山 善文
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1942-1946
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    症例は50歳,男性.約30年前に虫垂切除術を施行された.2012年2月より右下腹部痛を認め,近医受診.精査目的にて,当院消化器内科紹介受診された.CTにて盲腸から上行結腸に壁肥厚ならびに盲腸部に腫瘤を形成しており,内部にアーチファクトを伴う高吸収域を認めた.患者への問診にて2週間前に義歯誤飲しており,排泄を確認していないとのことで,義歯誤飲による腸炎疑いにて当科紹介受診された.下部消化管内視鏡検査では盲腸は著明に壁肥厚を認め,義歯の確認はできなかったが,内部に埋もれている可能性を考え,2012年3月上旬に回盲部切除術を施行した.切除標本では,盲腸の著明な壁肥厚を認めるが,明らかな義歯は認めなかった.病理組織検査では,虫垂の遺残とその周囲に線維化を伴った炎症所見を認め,遺残虫垂炎の診断であった.
    以前に虫垂切除を受けた既往があれば虫垂炎は除外してしまいがちであるが,遺残虫垂炎の可能性を念頭に置く必要があると考えられた.
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  • 高垣 敬一, 小川 正文, 福岡 達成, 達脇 大, 野村 勉, 山本 時彦
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1947-1952
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    虫垂原発の良性腺腫はまれな疾患であり,術前に診断可能であった報告は少ない.今回われわれは,大腸内視鏡検査にて術前診断をしたうえで,腹腔鏡補助下に切除した虫垂管状腺腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.症例は54歳の男性.便潜血反応陽性のため当院内科にて大腸内視鏡検査を施行したところ,虫垂開口部に径8mm大の隆起性病変を認めた.生検時腫瘍を牽引すると有茎性であり,根部は虫垂内であった.生検の結果管状腺腫と診断されたため,当科紹介となり手術を施行した.腹腔鏡補助下に虫垂を臍部ポート創に持ち上げ,遺残が生じないように虫垂付着部近傍の盲腸を含めて虫垂を切除した.切除標本上虫垂根部に8×4×6mm大の有茎性腫瘍を認め,病理組織学的検査にて軽度の異型を伴う虫垂管状腺腫と診断された.虫垂原発の良性腺腫に対し腹腔鏡下手術を施行した症例の報告は少ないが,自験例は腹腔鏡下手術の良い適応と考えられた.
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  • 松井 琢哉, 清水 保延, 近藤 靖浩, 野々山 敬介, 渡邊 貴洋, 田中 守嗣
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1953-1958
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    症例は79歳の女性で,下腹部の膨満感を訴え近医を受診し,精査目的に当院へ紹介された.CTで下腹部腹壁に線状の石灰化陰影を含む膿瘍を認め,膿瘍直下にも線状の石灰化陰影を認めた.魚骨穿孔による腹壁膿瘍を疑い,診断と治療を兼ねて腹腔鏡下手術を施行した.腹腔内を観察すると,腹壁に大網が炎症性に強固に癒着し,腹壁内に膿瘍形成を認めた.消化管に明らかな穿孔部位は認めなかった.腹腔鏡下に膿瘍と大網を切離し摘出した.切除標本内からは魚骨を認め,病理組織学的検査で膿瘍から放線菌塊を検出したため,魚骨の腸管不顕性穿孔に伴った腹部放線菌症と診断した.術後経過は良好で,第3病日に退院となった.現在外来で経過観察中であるが,再発は認めていない.腹腔鏡下に治療した魚骨による腸管不顕性穿孔に伴った腹部放線菌症の1例を経験したので報告する.
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  • 井出 大志, 笹原 孝太郎, 小口 和浩, 樋口 佳代子, 田内 克典
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1959-1962
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,女性.左下腹部痛を主訴に受診.20年前に子宮全摘術・両側付属器切除術の既往がある.血液検査では炎症反応上昇(WBC 11,900/mm3,CRP 14.1mg/dl),腫瘍マーカーは正常範囲内であり,CT検査ではS状結腸に接して壁外に突出する4cm大の腫瘤を認めた.下部消化管内視鏡検査では肛門縁20cm以降は挿入不能であったが,造影検査ではS状結腸の狭窄像を認めた.FDG-PET/CTではS状結腸にSUVmax 14.6の強いリング状集積を認めた.病歴も踏まえ,異物肉芽腫を最も疑ったが,悪性腫瘍も考慮してリンパ節郭清を含むS状結腸切除術を施行した.腫瘤はS状結腸間膜内に認め,腸管内への穿通を伴っていた.腫瘤内部には線維性人工物と膿瘍を認めたため,異物肉芽腫と診断した.腹腔内異物肉芽腫の術前診断は難しいが,FDG-PET/CTのリング状集積はその参考所見として注目すべきと考える.
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  • 園田 寛道, 清水 智治, 太田 裕之, 遠藤 善裕, 石田 光明, 谷 眞至
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1963-1968
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    症例は67歳の女性で,残尿感と下腹部腫瘤を主訴にかかりつけ医を受診した.腹部超音波検査にて骨盤内腫瘤を認めたため,当科紹介受診となった.腹部造影CTにて骨盤内に径120mm大の辺縁平滑で内部は不均一に造影されるS状結腸間膜由来の腫瘍を認め,画像上脂肪肉腫と診断され,2011年6月に手術を施行した.開腹所見ではS状結腸間膜に結腸壁と連続する径15cm大の腫瘍を認めた.周囲臓器への浸潤は認めず,術式はS状結腸切除術とした.病理組織学的検査所見では,c-kit・desmin陰性の紡錘形細胞の増生を認め,一部にCD34・S-100陽性細胞が観察され,腸間膜由来の悪性神経鞘腫と診断された.悪性神経鞘腫は神経鞘に原発する悪性腫瘍であり,主に頭頸部や四肢の末鞘神経,脊髄内に発生する.腸間膜由来の悪性神経鞘腫は本邦では自験例を含めて過去5例の報告しかなく非常にまれであるので報告する.
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  • 川本 浩史, 飯田 拓, 戸田 怜, 野村 明成, 寺嶋 宏明
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1969-1973
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    症例は維持血液透析中の53歳,女性.徐々に増悪する下腹部痛で受診し,腹部CTにてS状結腸穿孔による急性汎発性腹膜炎と診断し,S状結腸部分切除および単孔式人工肛門造設を施行した.
    術後21日目より人工肛門周囲の皮膚壊死が見られ,CTにて皮下の気泡貯留,腹腔内および後腹膜腔の膿瘍形成を認め,ストマ腸管の壊死・穿孔が疑われた.再手術では腸管穿孔は無いものの,広範な腹壁壊死と腹壁内膿瘍を認め,壊死腹壁の切除デブリードメントと左側結腸切除,人工肛門再造設を施行した.
    病理検査にて切除標本の腸間膜よりムコール菌糸が検出され,gangrenous typeの皮膚型ムコール症と診断し,抗真菌薬の投与を追加して集中治療を継続したが治療抵抗性であり,術後74日目に多臓器不全にて死亡した.
    Gangrenous typeの皮膚型ムコール症は,重篤かつ急激な転帰をたどることがあるので報告した.
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  • 武田 昂樹, 小西 健, 山田 晃正, 平岡 和也, 奥山 正樹, 西嶌 準一
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1974-1979
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    症例は60歳台,男性.201X年4月,頭痛・嘔吐・食欲不振を主訴に近医を受診.頭部単純MRI検査にて小脳腫瘍を指摘され,当院脳神経外科を受診.頭部造影CT検査で小脳内に周囲に浮腫性変化を伴う3.5cm大の転移性脳腫瘍が疑われたため,原発巣精査目的で胸腹部造影CT検査を施行.盲腸~上行結腸に異常濃染を伴う壁肥厚と周囲のリンパ節腫大を認め,追加したCSの結果,上行結腸癌が確認された.同年5月に歩行障害が出現したため,開頭小脳部分切除術を先行し,組織学的に腺癌が証明された.次いで,同年6月に開腹回盲部切除術を行い,脳腫瘍の原発巣として矛盾しない組織像が確認された.開頭術後2カ月で頭蓋内再発を認め,全脳照射を施行したが,効果が乏しく,歩行障害が出現した.再度,開頭腫瘍摘出術を行い,頭蓋内の残存腫瘍に対してγナイフ療法を施行した.最終手術後9カ月経過観察中,頭蓋内以外の再発は認めていない.
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  • 松浦 正徒, 伊丹 淳, 吉田 真也, 小寺澤 康文, 姜 貴嗣, 京極 高久
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1980-1984
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    症例は73歳の男性,主訴は排便困難感.精査にて膀胱結腸瘻を伴う直腸S状部癌,cT4N0M0 cStage IIと診断した.根治手術には膀胱全摘術が必要と判断されたため,膀胱温存をめざした術前化学療法の方針とした.S状結腸に双孔式人工肛門造設後,FOLFIRI+Bevacizumab(10mg/kg)レジメン9コースとFOLFIRIレジメン3コースを施行した.腹部CT検査で膀胱浸潤の縮小と膀胱結腸瘻の消失,膀胱鏡で粘膜の正常化を認めたため,膀胱温存が可能と判断して手術を施行した.手術所見では浸潤範囲の縮小を認め,直腸高位前方切除術+膀胱部分切除術を施行し,病理学的根治治療が得られた.
    今回われわれは,膀胱浸潤に伴う直腸S状部癌に対して術前化学療法を施行し,膀胱全摘術が回避できた1例を経験したため報告する.
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  • 澤井 利次, 上田 有紀, 田口 誠一
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1985-1988
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,男性.腹痛,嘔吐を主訴に当院受診.腹部CT検査でS状結腸にhigh densityな残渣を認め,周囲にフリーエアーを認めた.食事内容と摂取状況より餅によるS状結腸穿孔と診断し,緊急開腹手術を施行した.手術所見ではS状結腸に穿孔を認め,穿孔部直下に硬い餅を触知した.全身状態が安定していたため,S状結腸を部分切除し,吻合術を行った.切除標本では硬化した餅が穿孔部には陥入し,餅の圧迫による潰瘍形成も認めた.餅によりS状結腸穿孔をきたした稀な症例を経験したので報告する.
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  • 太田 学, 石橋 敏光
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1989-1994
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    局所進行大腸癌(直腸癌5例,S状結腸癌1例)に対し,mFOLFOX6療法あるいはSOX療法にbevacizumabを併用した新規術前化学療法を行った.術前放射線療法は併用しなかった.6例全例で良好な腫瘍縮小効果が得られ,骨盤腔内での手術操作が容易となった.膀胱浸潤例を除く6例中5例にR0切除が施行され,その5例に局所再発を認めなかった.また,pCRあるいはnear-pCRを6例中2例に認めた.術前化学療法中の有害事象としてGrade3の好中球減少症を3例に,肝機能障害を1例に認め,術後合併症として縫合不全を1例に認めた.放射線療法を併用しない新規術前化学療法は局所進行大腸癌に対する有力な一つの治療オプションになり得ると考えられた.
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  • 武藤 亮, 佐藤 耕一郎, 阿部 隆之, 上村 卓嗣, 三浦 佑一, 加藤 博孝
    76 巻 (2015) 8 号 p. 1995-2000
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    肝内胆管腺腫は,画像検査で診断されることは少なく,多くは剖検時または手術時に偶然発見される稀な胆管細胞由来の肝良性上皮性腫瘍である.今回,横行結腸癌の肝転移が疑われた肝内胆管腺腫の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は74歳,男性.T4aN1M0の横行結腸癌で左半結腸切除術施行後,1年目のCTで肝S8に7mm大の低吸収域が指摘され,EOB-MRIのT2強調像で淡い高信号,拡散強調像で高信号,肝細胞相で低信号を呈し,結腸癌の肝転移と診断し,肝部分切除術を施行した.病理組織学的検査で胆管類似の小型腺管集簇増生からなる腫瘤で,免疫染色でCK7陽性,CK20陰性であり,肝内胆管腺腫と診断された.肝内胆管腺腫は肉眼上も転移性肝癌に類似し,鑑別診断が難しく,悪性腫瘍に併存した肝腫瘍の診断に際し,本疾患の存在を十分認識する必要があると考えられる.
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  • 太田 浩志, 福田 三郎, 田澤 宏文, 先本 秀人, 江藤 高陽, 西田 俊博
    76 巻 (2015) 8 号 p. 2001-2007
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    症例は39歳,男性.心窩部の腫瘤と痛みを主訴に当院を受診.腹部エコーとCTで肝外側区に充実性腫瘤を認めた.血液検査では軽度の炎症反応の上昇を認めたが肝機能は正常で,肝炎ウィルスマーカーも陰性,腫瘍マーカーも正常であった.腹部CTとMRIでは乏血性肝腫瘤として認めた.痛みを伴っており,腫瘍破裂の危険を考慮し,左肝切除を施行.病理結果では,紡錘形の細胞が充実性に増殖しており,免疫染色はVimentinが陽性であったが,CK・hepatocyte・CK7などの上皮マーカーは陰性であり,S100・smooth muscle actin(SMA)・CD34・CD68・desminも陰性であり,未分化肉腫と診断した,術後1年6カ月現在,無再発生存中である.本症は小児に発生する稀な悪性間葉系腫瘍であり,成人例は非常に稀である.今回,39歳で発症した肝未分化肉腫を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
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  • 中川 有, 中鉢 誠司
    76 巻 (2015) 8 号 p. 2008-2012
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    症例は53歳,男性.13歳から錐体外路症状を呈し,19歳でWilson病と診断されD-ペニシラミンの投与を受けていた.35歳頃から尋常性乾癬にてシクロスポリンの投与を受けていた.前医にて施行したCT検査にて肝腫瘤を指摘された.当院で施行した腹部造影CT検査とGd-EOB-DTPA造影MRI検査で,肝S2に6cmの早期濃染とwash outを呈する腫瘤を認め,肝細胞癌と診断した.嚥下障害などの神経症状やシクロスポリン内服のリスクはあったが,肝機能はChild-Pugh Aで根治切除可能と判断し外側区域部分切除を行った.病理学的診断では腫瘍は中分化型肝細胞癌であった.背景肝は肝硬変で,ロダニン染色では肝細胞に銅の沈着を認めなかった.Wilson病にHCCの合併は稀とされてきたが,肝硬変を母地とし,尋常性乾癬の合併とシクロスポリンの投与により,癌発症リスクが上昇しHCCを発症したと考えられた.
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  • 升田 貴仁, 竹内 男, 篠田 公生, 古川 勝規, 代市 拓也, 宮崎 勝
    76 巻 (2015) 8 号 p. 2013-2020
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,男性.上腹部痛にて前医を受診し胆管炎と診断され,胆管狭窄の精査目的に当院消化器内科紹介受診.造影CTで門脈系に異常を認めた.SMVとSPVは通常走行で膵の背側で合流し,その後,膵上縁を回り込んで膵頭前面を尾側に進み,胆管が膵内に入り込む部で全周性に胆管を取り巻き圧迫していた.肝外門脈走行異常による胆管圧迫狭窄と診断され,胆管ステントが留置された.永続的な胆管ステントの留置・交換が必要となるため,手術目的に当科紹介となった.胆管空腸吻合術および胆嚢摘出術を施行した.術後3年経過した現在も,胆管炎を発症することなく外来経過観察中である.
    異常門脈が膵上縁で胆管を全周性に取り巻き圧迫して胆管狭窄から胆管炎を発症し,永続的な胆管ステント交換が必要とされた症例であったが,外科的治療の介入により患者のQOLを向上させることができた.
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  • 石橋 至, 高田 厚, 藤代 雅巳, 河原 正樹
    76 巻 (2015) 8 号 p. 2021-2025
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    症例は57歳,男性.右背部痛と発熱を主訴に当院を受診した.血液検査では炎症反応の上昇と肝胆道系酵素の上昇を認め,腹部CT検査にて急性胆嚢炎ならびに門脈血栓症と診断し,抗菌薬と抗凝固療法を行った.その後,症状検査所見は速やかに改善し,血栓の縮小も認めたため,発症から3カ月後に胆嚢摘出術を施行した.
    門脈血栓症は比較的稀な疾患であり,その成因として悪性腫瘍,先天性凝固異常,炎症などが指摘されている.本症例は急性胆嚢炎がその原因と考えられたため,その治療は,血栓の原因となった胆道感染のコントロールが最も重要と考えられた.また,併せて血栓症の治療も行った.今回われわれは,門脈血栓症を合併した急性胆嚢炎の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 豊島 雄二郎, 横田 良一, 菊地 弘展, 田口 宏一, 吉田 行範, 岩木 宏之
    76 巻 (2015) 8 号 p. 2026-2031
    公開日: 2016/02/29
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    症例は64歳の男性で,既往歴に上行結腸癌・左腎盂癌がある.2008年,前医のCTで肝内胆管拡張を指摘された.2010年6月,直腸癌・胃癌の精査加療目的に当院紹介受診.胆管拡張は2年前のCTと変化なく,ERC下生検で悪性像は認めなかった.進行直腸癌・胃癌の手術を優先し,胆管腫瘍は慎重な経過観察とした.2011年5月のCTで腫瘍の増大傾向を認め,胆管内乳頭状腫瘍の術前診断で肝左葉切除および尾状葉切除術を行った.病巣は左肝管分岐部から肝管に沿って外側区域全体に及び,さらに左右肝管分岐部に乳頭状病変を認めた.肝管壁にわずかな浸潤を認めた.長い経過から考えて,進行の遅い低悪性度の腫瘍と考えられた.
    自験例では既往歴および家族歴の聴取により,Lynch症候群を想定することが重要であった.また,限局的な肝内胆管拡張と乳頭状腫瘍を認めた場合,本疾患も念頭に置き,切除適応を考慮する必要がある.
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  • 松山 貴俊, 奥野 圭祐, 柿本 應貴, 輿石 晴也, 吉村 哲規
    76 巻 (2015) 8 号 p. 2032-2036
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    症例は72歳の男性で,上行結腸閉塞にて当科を紹介受診した.CTにて上行結腸に壁肥厚を認め,口側腸管の拡張を認めた.下部消化管内視鏡検査にて上行結腸に粘膜下からの狭窄を認めた.大腸ステントにて狭窄を解除し,待機的に手術を施行した.開腹所見では上行結腸の漿膜に露出する腫瘍の他に,腹膜播種巣を多数認め,空腸には30mm大の腫瘍を認めた.回盲部切除術,空腸部分切除術を施行した.病理組織学的所見にて空腸の異所性膵に発生した腺癌で,上行結腸は転移病変と診断した.今回,われわれは空腸の異所性膵に発生した腺癌の1例を経験した.特に転移病変である上行結腸の腸閉塞で発症した点がまれであると考えられた.
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  • 槐島 健太郎, 石崎 直樹, 安田 洋, 森本 喜博, 渡邉 照彦, 大迫 政彦
    76 巻 (2015) 8 号 p. 2037-2040
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    膵が門脈を輪状に巻き込んだ門脈輪状膵は非常に稀な膵形態異常である.通常は無症状であるが,膵頭部手術を行うに際して様々な問題に遭遇することがある.今回,門脈輪状膵を伴った膵頭部癌に対し,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した症例を経験したので,若干の考察を加え報告する.症例は60歳の男性.閉塞性黄疸の診断にて当院紹介となった.膵頭部癌または下部胆管癌疑いで平成24年2月に手術を施行した.術中に門脈輪状膵が存在し,しかも主膵管が門脈背側を走行していることが明らかになった.再建は膵腸吻合を行ったが,膵切離断端が通常よりも広いため,吻合に工夫を要した.術後は膵瘻を合併したが保存的治療で改善した.膵頭十二指腸切除術においては,術前の画像にて十分な膵頭部領域の解剖を把握し手術を行うことが肝要と思われた.
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  • 竜口 崇明, 高橋 秀典, 大東 弘明, 秋田 裕史, 矢野 雅彦, 石川 治
    76 巻 (2015) 8 号 p. 2041-2046
    公開日: 2016/02/29
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    症例は72歳,男性.閉塞性黄疸にて発症した膵頭部癌症例.画像診断にて総肝動脈が上腸間膜動脈から分岐するhepatomesenteric typeの血管亜型を認め,膵内を走行する変異総肝動脈への腫瘍浸潤が疑われた.術前化学療法の後,膵頭十二指腸切除・総肝動脈合併切除再建を施行した.肝動脈再建として,腹腔動脈分岐部から約3cm授動した脾動脈と,固有肝動脈とを端端吻合した.病理組織学的検査にて組織学的動脈浸潤は認められず,(pA0),pTS2 (2.2cm) pT3[CH(+)DU(+)S(+)RP(+)PV(-)A(-)PL(-)OO(-)] pN0 pStage III R0であった.肝動脈のpatencyは良好であったが,術後6カ月に肝転移が出現し,現在化学療法中である.
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  • 小野 真吾, 江花 弘基, 田波 秀朗, 丸山 祥司, 佐藤 栄吾, 松本 潤, 迫間 隆昭
    76 巻 (2015) 8 号 p. 2047-2051
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,女性.慢性腎不全で維持透析中の患者であった.約1カ月前から体調不良があり,前医で抗菌薬が投与されていた.その後,発熱と腹部膨満を認めたために当院紹介となった.来院時,腹部全体に圧痛および腹膜刺激症状を認め,血液検査では炎症反応の上昇を認めた.腹部造影CTでは,腹腔内遊離ガス像,腹水貯留,および子宮内避妊具(IUD)を認めた.汎発性腹膜炎の状態であり,子宮内にガス像を認めたことからIUDによる子宮穿孔を考慮し,緊急手術を施行した.子宮底部に穿孔を認め,子宮全摘,ならびに人工肛門造設術を施行した.IUD長期留置による子宮穿孔から,汎発性腹膜炎を併発した症例を経験したので報告する.
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  • 東園 和哉, 三宅 大, 矢野 秀朗, 橋本 政典
    76 巻 (2015) 8 号 p. 2052-2056
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,女性,腹部腫瘤を主訴に当院を受診した.造影CTでは,左腎臓を内包し,内部は脂肪を示唆する低吸収域を主体とし,一部に不均一な高吸収を示す充実性腫瘤を認めた.画像所見から,後腹膜脱分化型脂肪肉腫と診断した.術中所見にて膵・横行結腸に直接浸潤が疑われ,腫瘍切除とともに左腎摘出,膵体尾部脾合併切除,および横行結腸部分切除術を施行した.摘出標本は3,500g,病理診断で脱分化型脂肪肉腫と診断された.大動脈剥離面で断端陽性であったが,肉眼的に切除しえたと考え経過観察とした.術後1年目の造影CTで右肺野に結節影を認め,転移が疑われたため右上葉区域切除を施行した.術後病理で脱分化型脂肪肉腫の肺転移と診断された.その後,再発・遠隔転移など新出病変を認めていない.術後単発肺転移再発をきたしたが切除し,局所再発および肺転移再再発なく経過している脱分化型脂肪肉腫は稀であることから,文献的考察を加えて報告する.
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  • 林 憲吾, 小竹 優範, 羽田 匡宏, 加藤 洋介, 平沼 知加志, 原 拓央
    76 巻 (2015) 8 号 p. 2057-2060
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,傍ストーマヘルニアに対しsandwich法にて腹腔鏡下に修復術を行い良好な結果を得たので報告する.症例は71歳の女性.多発肝転移を伴うS状結腸癌に対しHartmann手術を施行したが,術後1年5カ月より傍ストーマヘルニアを認めた.腹痛等の症状増悪を認め,また肝転移は化学療法で制御されていたため手術の方針とした.ポートは右側腹部・右上腹部・右下腹部に留置し,腹腔内を観察するとヘルニア門は約8cmであった.ヘルニア門を縫縮した後keyhole法,さらにSugarbaker法にて修復を行った.術後経過は良好で早期に化学療法を再開でき,ヘルニアの再発も認めていない.腹腔鏡下手術は低侵襲で感染のリスクやストーマ管理の変更点が少なく,優れた治療法であると考えられた.
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  • 盛口 佳宏, 阿南 陽二, 佐澤 由郎, 伊在井 淳子, 宮本 慶一, 小熊 信
    76 巻 (2015) 8 号 p. 2061-2064
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    症例は46歳,女性.腹痛と嘔吐を主訴に来院し,腸閉塞の診断で入院した.開腹手術歴はなかった.腹部CTでは,骨盤底部で拡張小腸が,拡張のない腸管径に移行する部分を認めた.イレウス管による保存的治療で改善せず,第6病日の小腸造影で骨盤内に小腸の完全閉塞を認めた.骨盤内の器質的病変が原因と診断し,第7病日に手術を施行した.開腹するとDouglas窩に腹膜欠損部があり,回腸が嵌頓していた.整復するも,嵌頓部を中心に腸管の血流障害が広がっていたため,腸切除を行い,腹膜欠損部を縫合閉鎖した.術後経過は良好であった.原因不詳の腸閉塞では,保存的治療が可能な病態であっても,内ヘルニアを念頭に置いて速やかに対処する必要があると考えられた.
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  • 山本 将輝, 漆原 貴, 大森 一郎, 吉満 政義, 向田 秀則, 多幾山 渉
    76 巻 (2015) 8 号 p. 2065-2071
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    症例は51歳,男性.交通事故で当院へ救急搬送された.多発骨折,脾損傷,右側腹部腹壁ヘルニアを認めた.腹壁ヘルニアに関しては,嵌頓所見を認めなかったため,待機的に手術を行うこととした.手術は,1カ月間の入院加療を行い,3カ月間のリハビリを行った後に施行した.手術法は,腹腔鏡下にて腹腔内よりヘルニア門を同定するtransabdominal preperitoneal(TAPP)法で行い,腹壁ヘルニアを修復した.第5病日に施行したCT検査では,ヘルニアを認めず,第12病日に経過良好にて退院となった.外傷性腹壁ヘルニアに対する腹腔鏡手術の報告例は少なく,Reduced port surgeryによる治療しえた報告は本邦初である.今回,われわれは外傷性腹壁ヘルニアに対してReduced port surgeryとしての腹腔鏡下腹壁ヘルニア修復術が有用であった1例を経験したので報告する.
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  • 籾山 正人, 水谷 文俊, 山本 竜義, 青山 吉位, 長谷川 洋, 山本 英夫
    76 巻 (2015) 8 号 p. 2072-2076
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,男性.身長159cm,体重84kg,BMI 32.2.生来,右鼠径部の膨隆を認め55歳までは還納可能であったが,以後は還納できなくなった.
    来院時,膨隆は小児頭大で立位で陰嚢の先端は膝に達した.CTではヘルニア内容はS状結腸と大網でヘルニア門は約50mmであった.嵌頓症状は認めず待機的手術でヘルニア修復術を行った.術前の下剤でヘルニア内容と腹腔内容積の減量を行った.術式は腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(trans abdominal preperitoneal repair,以下TAPP)を行い,メッシュはventralight ST,固定にはsorbafixを使用した.医学中央雑誌で巨大鼠径ヘルニアに対してTAPPを行った報告は今のところ認めない.巨大ヘルニアの治療に関して注意すべき以下の3点,還納の方法,メッシュの選択,腹部コンパートメント症候群について文献的考察を加えて報告する.
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  • 岡崎 靖史, 大島 郁也, 篠藤 浩一, 堀部 大輔, 花岡 俊晴, 尾崎 正彦
    76 巻 (2015) 8 号 p. 2077-2080
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,男性.20年前に両側鼠径ヘルニアにて手術を行った既往がある.両側鼠径部の膨隆と頻尿が出現し,近医より紹介受診となった.腹部CT検査では両側鼠径部に軟部陰影腫瘤を認め,右側のヘルニア内容は膀胱の一部であることが判明した.膀胱ヘルニアを伴った両側再発鼠径ヘルニアの診断にてTAPP(transabdominal prepreritoneal repair)法による根治手術を施行した.術後の経過は良好であり,翌日退院となった.膀胱ヘルニアの診断にはCT検査が有用と考えられ,術中膀胱損傷を防ぐためには特に術前診断が重要と思われた.今回われわれは,TAPP法にて修復しえた鼠径部膀胱ヘルニアの1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 高橋 真治, 呉屋 朝幸
    76 巻 (2015) 8 号 p. 2081-2086
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    シートベルト症候群は,交通事故の際にシートベルトによって腹部が強く圧迫されることにより発症し,腰椎骨折と小腸損傷などの腹腔内臓器損傷が同時に引き起こされることがある.外傷性小腸穿孔は診断が難しく開腹を決定するのに時間が掛かることがあるが,腰椎骨折を合併している場合は高率に腹腔内臓器損傷が合併することが知られている.そのため,腹部所見や画像検査所見で開腹が必要な所見が得られなくても,腰椎骨折を認めた場合は積極的に腹腔内臓器損傷を疑い,開腹のタイミングを逃さないことが重要である.
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