日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
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77 巻 , 1 号
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巻頭言
綜説
  • 榎戸 克年, 明石 定子
    77 巻 (2016) 1 号 p. 1-7
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    乳癌に対する外科治療は縮小化の傾向にあり,腋窩リンパ節に関してはセンチネルリンパ節生検(SNB)が標準治療として行われ,センチネルリンパ節転移陰性の場合は腋窩郭清を省略することが標準治療として推奨されている.近年は,センチネルリンパ節転移陽性症例に対しても腋窩郭清を省略する臨床試験が行われ,腋窩郭清を行った群と非郭清の群の比較において腋窩リンパ節再発率・生存率ともに同等であることが報告された.この結果から,適切な基準に基づいて腋窩リンパ節郭清省略を考慮することができるようになった.また,術前化学療法後の症例では腋窩リンパ節郭清が標準治療であったが,センチネルリンパ節の同定率90%前後,偽陰性率10%程度であることが報告され,術前化学療法前に臨床的腋窩リンパ節転移陰性(N0)である症例では,細心の注意のもと腋窩郭清の省略が可能である.しかし,術前化学療法前にリンパ節転移陽性(N+)の場合には,SNBの偽陰性率が高く腋窩郭清が標準治療である.
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原著
  • 川崎 誠康, 奥村 哲, 革島 洋志, 豊田 翔, 山本 堪介, 伊藤 文, 水村 直人, 前平 博充, 今川 敦夫, 小川 雅生, 亀山 ...
    77 巻 (2016) 1 号 p. 8-16
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    目的:手術を施行した高齢大腸癌患者の身体的・社会的リスク因子と治療の現状を示す.方法:患者背景,入院経過,退院経路を含む生活環境,薬物療法と予後について,非高齢群(74歳以下276例)と高齢群(75歳以上108例)で比較検討した.結果:高齢群の70%強が基礎疾患を有し,低栄養・認知症等ハイリスク症例が多かったが,進行度・根治性・手術侵襲は非高齢群と差はなかった.高齢群の28.7%が通常自宅退院が困難であり,若い世代の支えがない患者の薬物療法施行率や予後は不良であった.高齢群全体の5生率は52.2%と不良であったが,CurC例を除く疾患特異的5生率は88.4%と良好であった.結語:高齢患者はハイリスク症例が多いが根治手術症例の予後は良好であり,個々のリスクに注意しつつも根治性を追求することが重要と考えられた.低い薬物療法施行率と社会的支えがないことが予後低下の一因であると考えられた.
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臨床経験
  • 近藤 亮一, 藤田 知之, 西村 基, 亀田 典章, 藤森 実
    77 巻 (2016) 1 号 p. 17-22
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    乳癌の術前化学療法(化療)施行症例のセンチネルリンパ節生検(SNB)は確立されていない.われわれは術前化療前後を比較し,リンパ流の変化と描出センチネルリンパ節(SN)画像の変化の有無を3D-CTリンフォグラフィ(LG)を用い検討した.対象:術前化療を施行し,PR以上を得かつ画像所見とCTガイド下SN穿刺吸引細胞診(FNA)等にてN0と診断した12例とした.方法:オムニパーク®を腫瘍直上と乳輪皮内に2.5ccずつ注入後,3D-CTLGを施行,同時に化療前CTガイド下SN・FNAを施行した.結果:化療前後の画像の重ね合わせで3D-CTLGが完全一致した.術中は全例,色素法によるSNBを施行したが,術中迅速病理診断にてSNへの転移を認めず,化療前N0の結果と合致した.結語:化療前後で3D-CTLG画像に変化はなく,N0症例では化療施行後でも化療非施行例と同様のSNBが可能と考えられた.
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  • 平山 裕, 岩谷 昭, 飯沼 泰史, 横山 直行, 桑原 史郎, 山崎 俊幸
    77 巻 (2016) 1 号 p. 23-28
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    目的:若年成人における外鼠径ヘルニアに対し,小児で普及している鼠径管の補強を追加したadvanced LPEC法(以下,本法)がmesh補強手術の代用術式となりうるのか検討する.対象と方法:比較的小さなヘルニアで鼠径管の脆弱性を認めない若年女性(JHS:I-1~2)に対し,インフォード・コンセントを得た.手術は腹腔内側から腹横筋腱弓と腸骨恥骨靱帯にLPEC針で補強用の縫合糸を刺通した後,通常のLPEC法と同様ヘルニア嚢を高位結紮し,最後に補強用縫合糸も結紮して完了する.成績:術後観察期間は平均17.7カ月とまだ短いが,全例再発所見無く経過している.結論:本法は適応を限れば若年成人の外鼠径ヘルニアに対しても有用な術式であると考えられた.
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症例
  • 米沢 圭, 橋田 和樹, 前田 賢人, 江河 勇樹, 森木 利昭, 宮下 正
    77 巻 (2016) 1 号 p. 29-34
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    乳腺筋上皮癌は極めてまれな疾患である.今回われわれは,乳腺腺筋上皮腫内に発生した乳腺筋上皮癌の1例を経験したので報告する.症例は72歳の女性.2012年4月,左乳房C領域腫瘤を主訴に当科に紹介された.2.2cm大の充実性腫瘤で乳癌が否定できなかったため,針生検を施行.p63陽性の紡錘状細胞を確認し腺筋上皮腫を疑った.外来で経過観察したが,2014年1月に同腫瘤は4.3cm大に増大し,充実性領域のほかに嚢胞性領域を新たに認めた.充実性部分の針生検の病理診断は前回と同様であったが,悪性化の鑑別目的に全身麻酔下に腫瘍切除を施行した.充実性領域と嚢胞性領域が混在する5cm大の境界明瞭な腫瘍で,背景は腺筋上皮腫であったが,中央部に筋上皮由来を示す異型細胞の充実性領域があり,浸潤性・核分裂像・壊死像を認め,筋上皮癌と考えられた.外来で厳重に経過観察しているが,術後1年半の現在も再発兆候は認めていない.
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  • 土屋 和彦, 小池 哲史, 大山 正, 岡 成光, 佐古田 洋子
    77 巻 (2016) 1 号 p. 35-40
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    患者は44歳,女性.精査にて両側乳腺浸潤性小葉癌,腋窩・鎖骨上リンパ節転移,多発骨転移と診断された.T2N3cM1(OSS)Stage IV.ER陽性,PR陽性,Her2陰性,Ki-67 25%.全身状態は良好で,タモキシフェン・ゴセレリン酢酸塩・ゾレドロン酸による内分泌治療を開始した.4カ月後に腸閉塞を発症し,腹腔鏡補助下右結腸切除を施行した.病理検査では浸潤性小葉癌の回腸転移と診断された.術後FEC療法に引き続きドセタキセル療法を施行した.腫瘍マーカーは正常化し,原発腫瘤と転移リンパ節は縮小し,腹部転移巣は制御され順調に経過している.
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  • 金原 香織, 坂口 憲史, 橋本 瑞生, 水谷 哲之, 佐藤 文哉, 向井 俊貴
    77 巻 (2016) 1 号 p. 41-45
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    乳頭部乳癌の2例を経験したので,文献学的考察を加えて報告する.
    症例1:63歳,女性.半年前からの右乳頭血性分泌,乳頭部腫瘤を主訴に受診.右乳頭が2cmに腫大し,生検結果は非浸潤性乳管癌であった.右乳房部分切除術,センチネルリンパ節生検を施行した.センチネルリンパ節生検は陰性であったが,C領域乳腺断端が陽性となり追加切除を要した.切除標本は主に非浸潤性乳管癌が占めていたが,一部に浸潤性乳管癌を認めた.
    症例2:90歳,女性.3年前から左乳頭部腫瘤を自覚していたが放置し,出血を伴うようになり受診.左乳頭が3cmに腫大し,右乳房AC領域に5cmの腫瘤を触知した.生検結果は共に浸潤性乳管癌であり,左側は乳房全摘術・腋窩郭清,右側は乳房全摘術を施行した.左乳頭部腫瘤は充実腺管癌であり,乳頭下乳腺に異型乳管上皮細胞が充実性に増殖・浸潤する像を認めた.右乳房腫瘤は乳頭腺管癌であった.
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  • 浦中 康子, 南 智行, 勝俣 康史, 大越 隆文, 益田 宗孝
    77 巻 (2016) 1 号 p. 46-49
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    心臓腫瘍は転移性腫瘍が多く原発性心臓腫瘍は比較的稀である.原発性心臓腫瘍は粘液腫が多くその発生部位は左房に多い.今回われわれは,極めて稀な左室粘液腫を経験したので報告する.症例は77歳,女性.労作時の息切れを主訴に当院に紹介受診した.心臓超音波検査にて左室内腫瘍と診断した.術中超音波検査を左室表面から施行,左室切開部位を決定し腫瘍を摘出した.術後22日目に軽快退院した.
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  • 影山 優美子, 網倉 克己, 福田 俊, 國土 貴嗣, 高橋 遍, 坂本 裕彦
    77 巻 (2016) 1 号 p. 50-54
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    症例は57歳の男性.胸部食道癌,肝S6に径18mm,単発の肝転移の診断で,右開胸開腹食道亜全摘,肝S6部分切除術を施行.術後病理診断は食道癌,pT3N2M1(肝),Stage IVbであった.術後補助化学療法としてFP療法を施行.術後5カ月目に小脳転移を認め,腫瘍切除後,全脳照射を施行した.FP療法を再開後,初回術後1年7カ月目で左肺転移1箇所,右腎転移1箇所を認め,DTX+CDGPに変更.その後,右腎転移は消失し,左肺転移に対して肺部分切除を施行した.以後は無治療で経過観察を行い,初回手術後10年4カ月現在,無再発生存中である.食道癌肝転移は多発症例や他臓器転移を伴う症例が多く予後不良であり,外科的切除の適応はないと考えられている.しかし,単発症例では長期生存例の報告もあり,外科的切除も検討すべきと考えられた.
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  • 中村 俊介, 村井 俊文, 森岡 祐貴, 阪井 満, 橋本 昌司, 永田 二郎
    77 巻 (2016) 1 号 p. 55-59
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    症例は41歳,男性.健診の腹部超音波検査で腹腔内腫瘤を指摘され,精査目的で近医受診した.腹部CT検査にて胃噴門部近傍に20mm大の腫瘤像を認め,EUS-FNA検査を施行され病理学的に神経鞘腫と診断された.以後経過観察となったが,増大傾向を認めたため手術目的で当院紹介受診となった.当院腹部CT検査では胃小彎側に左胃動脈と近接する30mm大の境界明瞭な腫瘤像を認め,EUS検査では腫瘤は胃の筋層との連続性は認めなかった.手術は腹腔鏡下腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は左胃動脈神経叢と連続しており,同神経叢由来の神経鞘腫と考えられた.左胃動脈神経叢由来の神経鞘腫は稀であり,文献的考察を加え報告する.
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  • 梅村 将成, 湯浅 典博, 竹内 英司, 後藤 康友, 三宅 秀夫, 宮田 完志, 藤野 雅彦
    77 巻 (2016) 1 号 p. 60-65
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    症例は80歳の男性で,近医で前立腺肥大症の経過観察中に,高アミラーゼ血症・胸部X線写真での左肺上葉の単発腫瘤を指摘され,精査のために来院した.胸部CTで左肺に長径17mmの結節影を認め,FDG-PETで同部と左肺門リンパ節,胃体部にFDGの高集積を認めた.左肺上葉の腫瘤のCTガイド下針生検で腺癌と診断され,上部消化管内視鏡検査で胃前庭部小弯に潰瘍浸潤型進行胃癌が発見されたため,胃癌の肺転移あるいは原発性肺癌の合併と診断し,2期的に左肺上葉切除術,幽門側胃切除を施行した.肺腫瘍は胃癌と類似した組織像を示したため,胃癌の肺転移と診断された.胃癌は低分化腺癌で,唾液腺型アミラーゼ抗体染色で陽性を示し,術前の血清アミラーゼ値425U/Lが,左肺上葉切除後に65U/L,幽門側胃切除後に40U/Lと減少したことから,アミラーゼ産生胃癌と診断した.
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  • 原田 篤, 黒部 仁, 大塚 正彦
    77 巻 (2016) 1 号 p. 66-69
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    症例は2歳6カ月,女児.数回の嘔吐,間欠的腹痛を主訴に来院した.腹部単純X線にて2個の連なる異物と小腸の拡張を認めた.異物誤飲を疑い,両親に詳細な問診を行ったところ,日常的に使っている磁器治療器(ピップエレキバン®)を誤飲した可能性が考えられた.異物が腸閉塞の原因となっていると判断し,緊急開腹手術を施行した.開腹すると2個のピップエレキバン®が結合しバンドを形成,同部位に小腸が嵌まり込む形で絞扼性イレウスをきたしていた.異物誤飲は乳幼児の開腹歴のないイレウスの鑑別疾患に挙げる必要があり,消化管穿孔の症状がなくても,絞扼性イレウスを呈することがあるため,緊急開腹手術をすべきと考えられた.
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  • 山本 悠太, 平栗 学, 前田 知香, 水上 佳樹, 堀米 直人, 金子 源吾
    77 巻 (2016) 1 号 p. 70-73
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    症例は60歳の男性.6年10カ月前に辺縁性歯周炎に対して全抜歯を施行され,総義歯であった.1月初旬,起床時からの腹痛・嘔吐を主訴に救急外来を受診した.CT検査で回腸末端に30×22×6mmの高吸収を呈する直方体の異物を認め,同部位より口側の回腸の拡張を認めた.前日に義歯を装着せずに汁粉の餅を丸飲みしていたことから,餅による食餌性イレウスと診断した.腹膜刺激症状や発熱を認めず,腸管の拡張が軽度で虚血を疑う所見も認めなかったことから,絶飲食,補液に加え,でんぷん・蛋白質などの消化酵素複合剤の内服による保存的治療の方針とした.入院3日目に腹痛の消失,排便が認められた.腹部CTで回腸末端の餅および口側の拡張は消失し,結腸内に餅片と思われる高吸収構造を認めた.餅による食餌性イレウスは比較的稀な疾患であり,総合消化酵素剤を用いた保存的加療が有用である.
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  • 中川 智彦, 宮田 剛, 臼田 昌広, 井上 宰, 望月 泉, 小野 貞英
    77 巻 (2016) 1 号 p. 74-78
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,男性.起床時に嘔吐を伴う腹痛があり,救急外来で急性胃腸炎と診断された.外来で経過観察していたが,症状が持続したため4日後に再診した.血液検査で炎症反応高値,腹部CT検査で膿瘍を伴う虫垂腫大を認めたため,急性虫垂炎の診断下に緊急手術を施行した.なお,術後の検討ではCT検査において小腸壁の肥厚と嚢胞性病変を認めた.術中所見では小腸に径7cm大の嚢胞性病変があり,破裂して周囲に膿瘍を形成していた.そこで,嚢胞を含む小腸を約20cm切除し,二次的に炎症所見を呈していた虫垂も切除した.病理組織的に嚢胞は中皮由来を示唆する所見であり,mesothelial cystと診断した.小腸由来のmesothelial cystは非常に稀であり,今回自然破裂にて急性腹症を起こした症例を経験したので報告する.
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  • 岩倉 伸次, 中瀬 隆之, 坂田 好史, 嶋田 浩介
    77 巻 (2016) 1 号 p. 79-82
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    比較的稀な虫垂腺腫を伴った完全虫垂重積症を経験した.年齢は78歳の男性で便潜血反応陽性を指摘され,近医で大腸内視鏡検査を施行された.盲腸に絨毛様の腫瘤を指摘され,生検でGroup IIIにて治療目的に紹介された.腹部は平坦軟で腫瘤は触知しなかった.CTで盲腸の壁肥厚と,大腸内視鏡検査で虫垂開口部から盛り上がった絨毛様の腫瘤を認めた.腫瘍生検では,悪性所見は認めなかったが早期癌の可能性もあるために腹腔鏡下に回盲部切除術を行った.摘出標本では,虫垂が完全に内翻されており,1976年にAtkinsonが発表した虫垂重積症の中で,完全虫垂重積症であるE型であった.病理診断では明らかな悪性所見は認めなかった.術後経過は良好にて14病日に退院された.
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  • 仲本 博史, 鈴木 哲郎, 新井 俊文, 松本 浩次, 黒崎 哲也, 畑中 正行
    77 巻 (2016) 1 号 p. 83-87
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    症例は39歳,女性.右下腹部痛を主訴に前医を受診し,腸重積と診断され当院紹介となった.開腹虫垂切除術の既往があった.右下腹部に腫瘤を触知し,同部位に軽度の圧痛を認めた.腹部CT検査では,上行結腸に石灰化を伴う巨大な腫瘤を先進とした腸重積の所見を認めた.下部消化管内視鏡検査にて,盲腸内に虫垂開口部を中心とした約30mm大の粘膜下腫瘍様隆起を認め,虫垂重積症と診断した.腸重積再発の危険性を考慮し,腹腔鏡下回盲部切除術を施行した.病理組織学的検査の結果,腫瘍性病変は認めず,遺残虫垂内に貯留した糞石が先進部となり二次的に回腸結腸重積を併発した,虫垂重積症と診断した.今回われわれは,遺残虫垂の糞石が原因となった虫垂重積症の稀な1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 高取 寛之, 前田 光喜, 内倉 敬一郎, 塗木 健介, 脇本 讓二
    77 巻 (2016) 1 号 p. 88-92
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    今回,われわれは盲腸癌術後に右閉鎖リンパ節に孤立性転移をきたした症例を経験したので報告する.症例は72歳の女性.2014年1月に盲腸癌に対し回盲部切除を施行した.腫瘍は2型,中分化腺癌+粘液癌,後腹膜への浸潤を認めpT4b pN0 cM0 pStage IIであった.再発リスクが高いと判断し術後補助化学療法を行った.補助化学療法終了後の腹部造影CTで右閉鎖リンパ節の腫大を認め,術後9カ月目の再発と診断した.化学療法を行い,評価の画像検査で右閉鎖リンパ節以外に再発所見を認めないため,2015年4月に腫大した右閉鎖リンパ節の摘出術を行った.摘出したリンパ節は病理組織学的に盲腸癌の転移であった.盲腸癌の閉鎖リンパ節転移再発は非常に稀であり報告する.
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  • 田海 統之, 泉 俊昌, 大西 顕司, 河原 栄, 山口 明夫
    77 巻 (2016) 1 号 p. 93-97
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    症例は,S状結腸軸捻転にてS状結腸切除の既往がある74歳の女性.便秘にて通院中に呼吸困難を訴え受診した.胸腹部単純写真で,左横隔膜の挙上と横行結腸左側から下行結腸にかけての拡張したガス像を認め,S状結腸内視鏡下の脱気により呼吸困難は改善した.内視鏡検査や注腸造影検査では大腸に器質的な狭窄は認めなかった.内視鏡下に脱気を施行するも症状再燃を繰り返すため,拡張結腸の切除と横隔膜縫縮術を施行した.術後は現在まで再発を認めず,経過は良好である.今回われわれは,横隔膜弛緩症を合併した慢性特発性大腸偽性腸閉塞症(CICP)の1例に対し,拡張腸管の切除と横隔膜縫縮術を施行し良好な術後経過が得られたので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 照田 翔馬, 徳毛 誠樹, 国末 浩範, 内藤 稔
    77 巻 (2016) 1 号 p. 98-103
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    術前大腸内視鏡検査で進行大腸癌を疑い切除したが,術後病理診断で良性潰瘍であった症例を2例経験したので報告する.症例1:87歳,女性.貧血の精査目的の大腸内視鏡検査で横行結腸に内腔を狭窄する潰瘍を伴う隆起性病変を認め,進行大腸癌が疑われた.横行結腸切除術を施行したが,病理診断は良性潰瘍であった.症例2:81歳,男性.右下腹部痛の精査目的のCT検査で上行結腸に壁肥厚を認めた.大腸炎の診断で保存的治療を行ったが腹痛が持続し,大腸内視鏡検査で上行結腸に潰瘍を伴う隆起性病変を認めた.進行大腸癌を疑い腹腔鏡下右半結腸切除術を施行したが,病理診断は良性潰瘍であった.
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  • 澤田 健太郎, 西條 文人, 松村 直樹, 岩間 憲行, 中山 文恵, 徳村 弘実
    77 巻 (2016) 1 号 p. 104-111
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,女性.検診で貧血を指摘され近医を受診し,下部消化管内視鏡検査で横行結腸平滑筋肉腫の診断となった.当院紹介となり,2013年9月に腹腔鏡下横行結腸部分切除術を行った.切除標本の病理組織検査は平滑筋肉腫の診断で,断端は陰性であった.2014年1月の腹部造影CTで横行結腸に20mmの腫瘤を認め,平滑筋肉腫再発の診断で同3月にD2郭清を伴う開腹結腸右半切除術を行った.前回吻合部の5mm口側と上行結腸間膜内に腫瘍を認めた.病理組織検査で壁内および壁外転移による再発の診断となった.平滑筋肉腫の手術治療は,腫瘍の完全切除により断端の陰性を確保することが一般的であるが,自験例を考慮すると,腫瘍から十分な切除距離を確保する必要性があることが示唆された.今回われわれは,非常に稀な転移形式をとった横行結腸平滑筋肉腫の1例を経験したので報告する.
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  • 山根 宏昭, 豊田 和広, 志々田 将幸, 池田 昌博, 貞本 誠治, 高橋 忠照, 富吉 秀樹
    77 巻 (2016) 1 号 p. 112-116
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,男性.発熱,肛門部痛を主訴に前医に入院.CTで下部直腸腹側から右側へと続く直腸周囲膿瘍と診断され,当院転院予定となった.転院前日に多量の泥状排便あり症状改善した.当院のCTでは,膿瘍腔は縮小しており保存的加療を行った.下部消化管内視鏡検査では,S状結腸憩室は認められたが瘻孔は認めなかった.退院後,精査を行う予定としたが約1カ月後に発熱・肛門部痛が再度出現し,CTを施行した.前回同様に直腸周囲膿瘍を認め,経肛門的ドレナージを行った.症状改善後の精査でS状結腸憩室炎・直腸周囲膿瘍と診断し,S状結腸切除吻合術を施行した.術中所見では,S状結腸憩室の一部が直腸膀胱窩右側に強固に癒着し同部位が膿瘍形成の原因巣と考えられた.S状結腸憩室炎穿孔による膿瘍形成では直腸周囲膿瘍を形成することは稀であり,また経肛門的に自然排膿され症状改善を得た症例は極めて稀であり報告する.
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  • 島 卓史, 山本 誠士, 鱒渕 真介, 田中 慶太朗, 奥田 準二, 内山 和久
    77 巻 (2016) 1 号 p. 117-121
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    腸回転異常症の発生率は1万人に1人である.その中で,逆回転型を呈するものは約4%とまれである.今回われわれは,逆回転型腸回転異常症を伴った進行S状結腸癌に対し,腹腔鏡下手術を施行した1例を経験した.症例は77歳の男性で,血便の精査にて進行S状結腸癌と診断された.術前精査にて,下行結腸は腹部右側で上行結腸の右背側に存在し,小腸は腹部左側に位置しており,逆回転型腸回転異常症が考えられた.解剖学的異常のため腹腔鏡下手術の難易度が高くなると想定された.しかし,3D-CTを駆使して術前に血管と結腸の走行を確認し,十分に術前シミュレーションすることで腸回転異常症を伴う進行大腸癌に対しても,栄養血管を同定し,適切なD3リンパ節郭清を伴う腹腔鏡補助下S状結腸切除術を施行することが可能であった.逆回転型腸回転異常を伴った進行大腸癌に対する腹腔鏡下手術の報告は比較的まれであるため報告する.
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  • 高橋 亜紗子, 斉田 芳久, 榎本 俊行, 高林 一浩, 長尾 さやか, 草地 信也
    77 巻 (2016) 1 号 p. 122-127
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    下大静脈腫瘍塞栓の原発巣として,大腸癌からの転移の報告は少なく,孤立性に転移をきたすことはまれである.今回,直腸癌術後3年目に,他臓器に転移を認めず下大静脈腫瘍塞栓として転移した症例に対し,血管切除および人工血管置換術を施行したので報告する.症例は67歳,男性.右総腸骨静脈の深部静脈血栓症の原因検索でStage IIIaの進行直腸癌を認め,前方切除術を施行した.術後補助化学療法を半年間行ったが,術後3年目にCEAが著増した.下大静脈から右総腸骨静脈の血管内に腫瘤性病変を認め,他臓器に明らかな転移がないことから転移性腫瘍と判断し手術を施行した.下大静脈~右総腸骨静脈内に充実性腫瘤を認めたが,右総腸骨静脈遠位まで進展しており可能な限り剥離して離断した.下大静脈および左総腸骨静脈を切離して人工血管を用いバイパス術を行った.現在全身化学療法を導入しているが,再手術後1年経過し明らかな再発を認めていない.
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  • 浅沼 和樹, 吉田 信, 澤崎 兵庫, 高梨 節二, 河島 秀昭, 八代 真一
    77 巻 (2016) 1 号 p. 128-134
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,女性.自己免疫性肝炎の疑いで近医通院中に腹部超音波検査で膵に多房性嚢胞性病変を認め,当院へ紹介された.膵病変は諸検査で分枝膵管型膵管乳頭粘液性腫瘍と診断したが,MRCP検査で肝にT1強調像で低信号,T2強調像で淡い高信号の腫瘤を認めた.造影CT検査で辺縁から内部へ不均一に淡く造影され,Gd-EOB-DTPA MRI検査では肝細胞相で低信号を示した.以上から肝内胆管癌を疑い,診断と治療を兼ねて手術方針とした.腫瘍は肝外側区域表面に白色の漿膜変化を伴う比較的柔らかい腫瘤として触知したが,その辺縁に線維化の強い部分があり浸潤傾向のある悪性腫瘍と考え,左肝切除と胆嚢摘出およびリンパ節郭清を施行した.病理組織学的検査で,腫瘤は弾性線維に富み異型の乏しい血管増生を認め,肝硬化性血管腫と診断した.硬化性血管腫はまれな疾患であるが,乏血性の肝腫瘤性病変の鑑別診断に本症も念頭に置く必要がある.
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  • 久米村 秀, 風呂井 彰, 井上 真岐, 二渡 久智, 門野 潤, 井本 浩
    77 巻 (2016) 1 号 p. 135-141
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    デスモイド腫瘍の多くは,腹壁または腹壁外に発生し,腹腔内発生は比較的稀である.肝内胆管癌術後に局所再発を疑い切除し,術後病理で腹腔内デスモイド腫瘍と診断された1例を経験したので報告する.症例は57歳,男性.2011年9月,肝S4の肝内胆管癌,食道胃静脈瘤に対して肝内側区域切除術,Hassab手術を行った.術後のCTで肝切除部の近傍に結節性病変を認め,徐々に増大した.他の画像検査でも局所再発が疑われ手術を行った.肝外側区域下面に大網に被覆され肝円索の切離断端と連続する5cm大の腫瘤を認め摘出した.組織学的には膠原線維の間質を伴った紡錘形細胞が束状配列を示し,核分裂像はほとんど認めず,免疫組織学的所見も合わせ,総合的にデスモイド腫瘍と診断された.家族性大腸ポリポーシスの合併はなく,肝切除時の機械的刺激が誘因となった可能性が考えられた.追加治療は行わず,術後2年3カ月無再発生存中である.
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  • 今岡 祐輝, 大石 幸一, 眞次 康弘, 中原 英樹, 漆原 貴, 板本 敏行
    77 巻 (2016) 1 号 p. 142-147
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    アルコール性肝硬変に合併しPIVKA-II高値を呈した肝炎症性偽腫瘍を経験した.症例は74歳,男性.ビール4,000ml/日のアルコール多飲歴があった.検診で肝機能異常を指摘され近医を受診,腹部超音波検査で肝右葉に6cm大の腫瘍を認め,当科紹介受診となった.体温37.0度.血液検査所見は軽度の炎症反応の上昇を認めた.腫瘍マーカーはPIVKA-IIが554mAU/mlと上昇していた.HBs抗原,HCV抗体ともに陰性であった.腹部CT検査・腹部MRI検査より肝細胞癌を疑い,肝S7亜区域切除を行った.病理組織学的検査でリンパ球や形質細胞の浸潤を伴う筋線維芽細胞が増生する像を認め,肝炎症性偽腫瘍と診断した.術後PIVKA-IIは14mAU/mlまで低下した.アルコール性肝障害では,栄養障害に起因するビタミンK欠乏の可能性があり,PIVKA-II高値の評価に際しては十分な注意が必要である.
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  • 生田 大二, 前平 博充, 塩見 尚礼, 赤堀 浩也, 仲 成幸, 谷 眞至
    77 巻 (2016) 1 号 p. 148-153
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    症例は56歳,男性.胆嚢結石症に対して腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.術後3日目以降も心窩部痛と発熱が持続し,TAZ/PIPCを投与したが改善せず,CTおよび腹部超音波検査で感染性肝嚢胞と診断した.術後10日目に超音波誘導下に経皮経肝膿瘍ドレナージを施行し,白色膿性排液を50ml吸引し,ドレーンを留置した.嚢胞内容液および血液の細菌培養検査では有意な病原体の発育は認めなかった.ドレナージ後は胆汁流出もなく速やかに症状は改善し,術後24日目に退院となった.肝嚢胞は日常の診療で遭遇する機会が多く,無症状で経過することがほとんどであるが,稀に手術後に感染をきたすという報告がある.自験例では,胆嚢に手術操作が加わることによって,胆嚢炎の起炎菌が周囲の静脈を介して経門脈的に肝嚢胞に波及したと推察した.胆嚢炎を併発している患者の胆嚢摘出後には,肝嚢胞の感染の発症を考慮しておく必要があると思われた.
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  • 小林 仁存, 川岸 直樹, 宮城 重人, 中西 史
    77 巻 (2016) 1 号 p. 154-160
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    症例は71歳の男性.68歳時に異常行動で発症し,遺伝子検索を含めた精査の結果,成人型シトルリン血症と診断された.外来通院中の定期腹部超音波検査にて肝S7の充実性腫瘍を指摘され,造影CT・プリモビスト造影MRIで早期濃染パターンを示し,肝細胞癌疑いの診断で当科紹介となった.肝S7部分切除術を施行し,病理組織学的に高~中分化型肝細胞癌と診断された.術後6カ月目に切除部近傍に再発をきたし,再度,肝S7部分切除術を施行した.切除範囲を最小限に留め,術後早期に個人対応食の経口摂取およびアルギニン製剤・ピルビン酸製剤を再開することで順調な経過が得られた.成人型シトルリン血症に肝細胞癌を併発した報告は散見されるが,外科的切除を行った報告は少なく極めて稀な症例と考えられたため,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 中谷 充宏, 吉村 淳, 西脇 英敏
    77 巻 (2016) 1 号 p. 161-166
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,女性.2週間前に自転車走行中に転倒しハンドルで上腹部を打撲した.受傷直後は軽い上腹部痛を認めたが,翌日には消失していた.その後,褐色尿と皮膚黄染を認め,前医を受診し閉塞性黄疸が疑われ,当院内科受診となった.CT検査で肝内・肝外胆管の拡張を認め,総胆管の膵上縁レベルでの狭小と途絶を認めた.胆管狭窄による閉塞性黄疸の診断で緊急入院となり,経皮経肝胆管ドレナージが行われた.胆管狭窄の精査が行われたが胆管癌を否定できず当科紹介となり,膵頭十二指腸切除術が行われた.病理組織学的検査では,狭窄部の胆管粘膜は乳頭状に内腔に突出し,胆管周囲の線維化が強く認められた.悪性所見は認めずIgG4関連疾患も否定され,外傷性胆管狭窄と診断された.良性胆管狭窄は胆管癌との鑑別が重要であるが診断に難渋することも少なくない.自験例の様に軽度の外傷でも胆管狭窄が発症することもあり,若干の文献的考察を含め報告する.
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  • 岡田 菜実, 高屋敷 吏, 渡邉 善寛, 加藤 厚, 清水 宏明, 宮崎 勝
    77 巻 (2016) 1 号 p. 167-173
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    症例は55歳,男性.胆嚢管癌の診断にて前医にて開腹手術施行されるも,主腫瘍および高度リンパ節転移の局所浸潤より切除不能と判断され当院紹介となった.ゲムシタビン(GEM)・シスプラチン(CDDP)併用化学療法(GC療法)を導入したところ,著明な腫瘍縮小効果を認めたことから,膵頭十二指腸切除,D2+傍大動脈リンパ節郭清により根治切除を施行しえた.病理診断は胆嚢管に限局した中分化型管状腺癌であり,リンパ節にも悪性所見は認めなかった.術後合併症なく退院し,術後1年6カ月現在無再発生存中である.
    胆道癌は外科的切除が唯一の根治的治療法であるが,発見時には切除不能進行癌の状態であることも多い.このような初診時局所進行胆道癌に対するGC療法を用いたdown-sizing chemotherapyは,積極的な外科切除による切除率向上および胆道癌患者の予後改善に有用な治療戦略の一つである.
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  • 西崎 大輔, 水野 克彦, 坂田 晋吾, 武田 亮二, 高橋 滋
    77 巻 (2016) 1 号 p. 174-179
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,女性.腹痛を主訴に救急外来を受診した.胆嚢総胆管結石症で内視鏡的乳頭切開術を受けた既往があったが,胆嚢は摘出されていなかった.腹部CTで胆道気腫およびS状結腸内の結石様陰影を認め,そこより口側の腸管が拡張しており,胆石イレウスと診断した.下部消化管内視鏡を用いて砕石し,閉塞を解除した.胆嚢結腸瘻から胆石が落下したと考えられ,胆摘および結腸部分切除術を行った.高度の炎症と線維化を伴い胆嚢底部と横行結腸が瘻孔を形成していた.摘出標本では胆嚢体部を中心に漿膜下層へ浸潤する胆嚢癌を認めたが,胆嚢結腸瘻への腫瘍進展は認めなかった.術後1年で再発を認めていない.胆石イレウスは高齢女性に多く発生し,結石除去術が第一選択として行われるが,内胆汁瘻に胆嚢癌が併存する可能性があり,状態が許せば胆道手術を行うべきである.
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  • 木村 有希, 眞田 幸弘, 川口 英之, 瑞木 亨, 関口 忠司
    77 巻 (2016) 1 号 p. 180-184
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    膵仮性嚢胞は一般に腹腔内に認め,縦隔内への進展は稀である.縦隔内膵仮性嚢胞により食道通過障害と心肺機能低下をきたした症例を報告する.
    53歳,男性.主訴は背部痛と嘔吐.4年前より時々背部痛を認め,1カ月前より固形物を嘔吐していた.既往はなく,アルコール10単位/日×30年の飲酒歴があった.初診時,貧血(Hb 8.7g/dl)と血清アミラーゼ軽度上昇(265U/l)を認め,腹部CTで膵体尾部主膵管拡張を伴う最大径14cmの食道裂孔から縦隔内へ拡がる膵仮性嚢胞を認めた.縦隔内嚢胞により食道と心臓は著明に圧排されていた.上部消化管内視鏡検査で食道の圧排を認めたがスコープは容易に通過し,心臓超音波検査では軽度拡張障害を認めた.病歴よりアルコール性慢性膵炎による縦隔内膵仮性嚢胞と診断し,嚢胞胃吻合術を施行した.術後経過は良好で縦隔内嚢胞縮小と心機能改善を認めた.
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  • 伊藤 慎吾, 武田 良平, 小島 豊, 五藤 倫敏, 冨木 裕一, 坂本 一博
    77 巻 (2016) 1 号 p. 185-189
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    症例は66歳の女性で,10年前に後腹膜腫瘍に対して正中切開で摘出術を施行されている.嘔吐を主訴に当院を受診した.腹部CT検査で拡張した小腸と,骨盤内正中の小腸に造影効果を伴う壁肥厚を認め,腸閉塞と診断し胃管留置による保存的治療を施行した.胃管抜去すると,再び嘔吐が認められ,癒着性イレウスを疑い原因診断と治療目的に手術を施行した.手術所見ではTreitz靱帯より80cm肛門側の空腸に20mm大の漿膜面は白色調を呈する全周性の腫瘍を認め,漿膜浸潤を伴う小腸癌を疑い小腸部分切除術を施行した.病理診断では,小腸粘膜下層~固有筋層内のHeinrich II型の空腸異所性膵組織から発生した膵癌の所見であった.空腸に発生した異所性膵癌の報告は非常に稀であり,文献的考察を加えて報告する.
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  • 成田 知宏, 阿佐美 健吾, 高橋 一臣, 原田 ジェームス統, 水野 豊, 矢嶋 信久
    77 巻 (2016) 1 号 p. 190-196
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,男性.人間ドックにて胆嚢と脾の異常を指摘され,精査目的に当院受診となった.精査にて胆嚢ポリープと脾臓に70mm大の腫瘍を認めた.脾腫瘍は悪性疾患を除外できず,胆嚢切除術・脾切除術を行った.脾腫瘍は病理組織検査上,毛細血管に富む血管腫様の構造,すなわちangiomatoid nodule(AN)の像を有していた.免疫染色では3種の異なる血管構造が観察されたため,脾sclerosing angiomatoid nodular transformation (SANT)と診断した.医学中央雑誌にて「sclerosing angiomatoid nodular transformation」をキーワードに本邦報告例を検索すると,14件・15例の報告を認めるのみであった.今回われわれは稀な脾SANTの1例を経験したので,本邦報告例の検討と併せて報告する.
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  • 辻尾 元, 青松 直撥, 内間 恭武, 平川 俊基, 中澤 一憲, 竹内 一浩
    77 巻 (2016) 1 号 p. 197-203
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    症例は45歳,女性.平成26年4月に子宮筋腫に対し子宮全摘術が施行された.術前の腹部MRI検査にて,左卵巣付近および左後腹膜腔にそれぞれ5cm大・11cm大の嚢腫を認め,子宮筋腫摘出時に1個(左卵巣付近)を摘出された.術後の病理診断で嚢腫は後腹膜Müller管嚢腫と診断された.同年10月より左腹部に腫瘤を自覚し,次第に増大し,疼痛も伴うようになり精査・加療目的に当院受診となる.左側腹部に25×20cm大の可動性不良な腫瘤を触知した.腹部造影CT・MRI検査では,後腹膜腔左側に20cm大の多房性嚢腫を認めた.後腹膜嚢腫と診断し,手術目的に平成27年4月に入院となった.術中,左後腹膜腔内に20cm・10cm大の嚢腫を認め,嚢腫摘出術を施行した.術後病理検査にて,前回と同様に後腹膜Müller管嚢腫と診断された.本疾患は稀な疾患であり,自然経過を追跡できた貴重な症例と考え,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 松本 哲平, 塚本 義貴, 中尾 照逸
    77 巻 (2016) 1 号 p. 204-207
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,男性.膜性腎症の診断にて6カ月前からプレドニゾロン内服中であった.1カ月前から右背部痛の訴えがあり,腹部CTを施行したところ下大静脈の背側に5cm大の低吸収性腫瘤を認めた.周囲臓器からの炎症波及の所見はなく,原発性後腹膜膿瘍と診断した.抗生剤投与にて一時軽快したが,2週間ほどで症状が再燃したため後腹膜アプローチによる腹腔鏡下ドレナージ術を施行した.手術は左側臥位にて行い,後腹膜腔をバルーン拡張した後に外側円錐筋膜を切開して腎門部に至り,下大静脈を確認した.下大静脈背面の脂肪組織を除去し膿瘍壁を露出し,試験穿刺を行った後に開窓してドレーンを留置した.その後は術後7日目にドレーンを抜去し,術後11日目に退院した.原発性後腹膜膿瘍を腹腔鏡下にドレナージを行った稀な1例を経験したので報告する.
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  • 熊頭 勇太, 虫明 寛行, 山本 直人, 湯川 寛夫, 利野 靖, 益田 宗孝
    77 巻 (2016) 1 号 p. 208-212
    公開日: 2016/07/29
    ジャーナル フリー
    70歳男性.30代から右鼠径部の膨隆を認め,当科を受診した.右鼠径部から陰嚢にかけて小児頭大の膨隆を認め,用手的な還納は不可能であった.腹部CT検査では,ヘルニア内容は回腸から横行結腸であった.非還納性の巨大鼠径ヘルニアと診断し,手術を施行した.腹腔鏡下に腹腔内を観察し,ヘルニア門は6cmであった.ヘルニア内容を還納し,transabdominal preperitoneal approach (TAPP)にてヘルニアを修復した.体外圧迫に加え腹腔内からの牽引によりヘルニア内容の還納が可能となり,還納後に通常通りのTAPPを施行可能であった.さらには巨大なヘルニア門,myopectineal orificeの確実な視認と補強が可能であり,非還納性巨大鼠径ヘルニアに対するTAPPは有用であると考えられた.
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