日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
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77 巻 , 2 号
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症例
  • 小野田 尚佳, 徳本 真央, 野田 諭, 大平 豪, 柏木 伸一郎, 平川 弘聖
    77 巻 (2016) 2 号 p. 291-295
    公開日: 2016/08/31
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    甲状腺未分化癌(anaplastic thyroid cancer:ATC)は,急速に進展し,ほとんどの治療には抵抗性を示すため予後は不良で,これまで治療方針は確立できていなかった.多分子標的薬Lenvatinibが使用可能となったが,これまでの治療とは異なった有害事象が出現するため,投与に当たっては十分な注意が必要である.腫瘍に近接した大血管からの出血は致死的となる可能性も高く,広く注意喚起がなされている.66歳,女性.化学療法,手術,放射線外照射による集学的治療後,治療抵抗性の再発に対してLenvatinibが奏効したが,総頸動脈破綻が見られ手術および鎖骨下動脈へのステント内挿術による緊急処置により救命しえた.集学的治療により長期生存が得られた今回の経験から対処法や考慮すべきポイントを考察した.
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  • 近藤 優, 石黒 清介, 森 美樹, 石川 衛, 笹本 彰紀, 宮本 康二
    77 巻 (2016) 2 号 p. 296-302
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    1症例目は85歳,女性.デイサービスでの入浴時に左乳房の皮下出血班を指摘され,当院外科を受診した.エコーでは,皮下出血部と一致する左C領域に多角性で境界粗雑な低エコー腫瘤を認めた.2症例目は86歳,女性.2週間前に急に右乳房にしこりが出現したため近医を受診後に,当院外科を受診した.エコーで右AC領域に嚢胞性,楕円形で境界明瞭な低エコー腫瘤を認めた.2症例とも針生検で乳癌と診断,全身検索で遠隔転移が無いことを確認し根治術を施行した.現在,わが国は高齢化社会であり,特に85歳以上の超高齢者の場合は定期的な乳がん検診は受けずに家族や施設のスタッフが,しこりや皮膚浸潤による皮膚病変などで乳腺腫瘤に気づくことも少なくない.また,乳腺腫瘤はしこりを主訴として来院することが多いが,乳房内出血で腫瘤が見つかることは比較的稀である.明らかな外傷の既往が無い乳房内の破綻出血から発見された乳癌の2例を経験したので報告する.
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  • 浦中 康子, 南 智行, 北島 龍太, 勝俣 康史, 益田 宗孝
    77 巻 (2016) 2 号 p. 303-306
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,術前心肺停止を発症した冠動脈瘤破裂の1手術例を経験したので報告する.症例は47歳,女性.タクシー乗車中に意識消失し,救急搬送となった.救急車内で意識回復,当院救命センターを受診したが診察時に心肺停止となった.心臓超音波検査にて心タンポナーデを認め直ちに心嚢ドレナージを施行,自己心拍再開を得た.脳低温療法を施行後精査にて,右冠動脈領域に最大径5mmおよび左冠動脈領域に最大径8mmの冠動脈瘤を認め,両側冠動脈肺動脈瘻を形成していた.心肺停止の原因は冠動脈瘤の破裂と判断,人工心肺下に瘤切除,冠動脈肺動脈瘻閉鎖術を施行した.術中小さな冠動脈瘤の同定にICG navigation system (photodynamic Eye®)が有用であった.術後12日目に軽快退院した.
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  • 湯川 貴史, 井原 努, 山口 竜三
    77 巻 (2016) 2 号 p. 307-311
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    本稿はベバシズマブ(以下BV)使用下で,増大・破裂をきたした腹部大動脈瘤の治療経験である.70歳の男性,直腸癌再発に対しBV併用化学療法中,腹痛のため救急搬送された.来院時,腹部に拍動性腫瘤を触知した.意識清明,血圧199/116mmHgであった.造影CTでは,6カ月前に最大短径43mm大の腎動脈下腹部大動脈の紡錘瘤が48mm大へ増大し,後腹膜血腫を認めた.破裂性腹部大動脈瘤と診断したが,BVの副作用を考慮し,開腹術でなくステントグラフト内挿術を同日緊急で施行した.術中大動脈造影で血管外漏出は認めなかった.デバイスは緊急でも用意できるGore Excluder®を用い,エンドリークなく終了した.術後2日の造影CTでエンドリークを認めず,術後4日で軽快退院した.経過良く,術後1カ月で化学療法を再開できた.BVが腹部大動脈瘤破裂に関与した可能性があり,かつ,その生理活性の影響を考慮しながら的確な治療を選択した報告は過去になく,極めて貴重な報告である.
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  • 山本 将輝, 向田 秀則, 多幾山 渉, 江川 博彌, 金子 真弓
    77 巻 (2016) 2 号 p. 312-316
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は38歳,女性.自覚症状はなく,検診の胸部X線検査で右上葉に結節影を指摘され精査されたが,積極的に悪性を疑わせる所見なく経過観察となっていた.翌年のCT検査にて増大傾向を認めたため,精査・加療目的に当院紹介となった.腫瘍の大きさ,存在部位や知的障害があることから気管支鏡検査やCT下生検などの侵襲的検査は困難であると考え,当科にて診断を含めた治療目的に胸腔鏡補助下肺部分切除術を行った.術後の病理診断は肺胞腺腫であった.肺胞腺腫は肺胞上皮細胞と間葉由来の線維組織の双方の増生を特徴とする稀な良性腫瘍である.肺胞腺腫は肺野の末梢に発症しやすく,病理学的にも正常組織と類似しており生検による確定診断が困難である.このため,診断と治療を含めた切除が必要である.
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  • 寺境 宏介, 谷村 葉子, 東島 由一郎, 小林 真一郎, 伊東 悠子, 澤崎 直規
    77 巻 (2016) 2 号 p. 317-321
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は82歳,男性.胸背部痛を主訴に近医を受診し,精査にて食道裂孔ヘルニアおよび心嚢内のfree airとniveauを認め,胃潰瘍穿孔・心タンポナーデ疑いとして当院搬送となった.CTで胃壁から心嚢への瘻孔を認め,上部消化管内視鏡検査でも縦隔内へ脱出した胃の前壁に潰瘍性病変を認めた.食道裂孔ヘルニアおよび穿孔性胃潰瘍による心膜膿気腫の診断にて,緊急手術を施行した.胃壁とヘルニア嚢が一部強固に癒着しており,切離すると穿孔部位が露出された.食道裂孔ヘルニアを修復し,穿孔部に大網充填術を施行.心嚢内からは混濁した排液を認めたため,食道裂孔経由と剣状突起背側から心嚢内へドレーンを留置し手術終了した.術後経過良好であり,リハビリを経て術後42日目に退院となった.
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  • 花田 圭太, 畑 啓昭, 大谷 哲之, 成田 匡大, 山口 高史, 猪飼 伊和夫
    77 巻 (2016) 2 号 p. 322-327
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    患者は85歳,女性.食道癌に対し胸腔鏡下食道亜全摘術を行い,合併症無く術後24日目に退院した.退院14日後に咳嗽・呼吸困難を主訴に受診し,CTで両側胸水を認めたため緊急入院となった.胸腔ドレナージにて乳糜胸水を認め,絶食,オクトレオチド投与を行ったが改善しなかった.鼠径リンパ節穿刺によるリンパ管造影にて胸管の走行と気管分岐部上の胸管本幹が漏出部位であることが確認でき,胸腔鏡下胸管結紮術を施行した.乳糜胸に対する外科治療では術前に胸管の走行と乳糜漏出部位を確認することが重要で,鼠径リンパ節穿刺によるリンパ管造影は手技的に容易であり非常に有用と考えられた.
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  • 吉田 佳弘, 定永 倫明, 松浦 弘, 中島 明彦, 前原 喜彦
    77 巻 (2016) 2 号 p. 328-332
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,男性.嚥下困難を主訴に上部消化管内視鏡検査を施行したところ,下部食道の壁内転移を複数認める進行食道胃接合部癌と診断された.化学療法としてS-1/docetaxel療法を4コース施行し,原発巣の縮小,食道壁内転移巣の消失を認めたため,手術(胸腔鏡下食道切除,後縦隔胃管再建術)を施行した.切除標本は,主病巣の大部分は変性壊死した癌細胞となり,一部に残存する腺癌組織を認めた.食道壁内転移部では,癌細胞は認めず瘢痕化していた.術後S-1による化学療法を1年施行し,術後5年無再発で経過中である.予後不良と考えられる食道壁内転移を有する食道胃接合部腺癌に対し,術前S-1/docetaxel療法が奏効し根治手術を施行し,良好な経過が得られた症例を経験した.
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  • 加藤 文彦, 永瀬 剛司, 山本 聖一郎, 赤坂 喜清, 中川 基人
    77 巻 (2016) 2 号 p. 333-339
    公開日: 2016/08/31
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    症例は83歳,女性.腹部腫瘤・腹痛・発熱を主訴に受診し,腹部正中左寄りに圧痛を伴う小児頭大の腫瘤を触知した.腹部造影CTでは腹腔内に最大径20cmの巨大腫瘍を認めた.腫瘍は胃穹窿部に連続し,茎部にて捻転していた.入院後に腹痛の増悪を認めたため手術を実施した.開腹すると,網嚢内に発育する表面平滑,淡褐色の巨大腫瘍を認めた.腫瘍は脾上極付近の胃穹窿部から発育していた.基部を起点に360°捻転していた.捻転を解除し,腫瘍基部を含む胃穹窿部を自動縫合器にて切除した.切除標本は巨大な嚢胞状腫瘍であり内腔は旧血様の液体で満たされていた.H.E.染色では充実部分に紡錘形細胞の束状の増生を認めた.KITおよびCD34が陽性であり,gastrointestinal stromal tumor (GIST)と診断した.非常に稀な病態ではあるが,腹痛を伴う巨大胃GISTでは破裂や出血だけでなく茎捻転も考慮すべきである.
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  • 森本 悠太, 角田 和彦, 佐藤 攻, 根本 啓一
    77 巻 (2016) 2 号 p. 340-345
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    胃癌肉腫は,1950年以降61例の報告しかないまれな疾患である.今回われわれは,胃粘膜内癌局所切除後に発生した胃癌肉腫の1例を経験した.症例は78歳の男性で,74歳時に3箇所の早期胃癌に対し局所切除術(2箇所は粘膜下層,1箇所は筋層までの切除)を施行した.組織学的には全て粘膜内腺癌で断端陰性であったが,筋層まで切除した病変にリンパ管侵襲を認めた.術後通院を自己判断で中断していたが,他院で施行されたCTで再発が疑われ当科紹介となった.胃体上部後壁の前回筋層まで切除した部位に一致して腫瘤を認めた.生検で非上皮性悪性腫瘍と診断され,胃全摘術を施行した.病理検査では,中心部が肉腫,辺縁部が腺癌からなる癌肉腫と診断された.胃切除後に発生した胃癌肉腫は6例報告されているが,局所切除部に一致して発生した胃癌肉腫は本例が初めての報告である.経過より本症例における癌肉腫の発生機序は腺癌の脱分化が原因と推測された.
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  • 佐藤 正法, 大森 一吉, 佐々木 彩実, 野村 克, 南田 猛
    77 巻 (2016) 2 号 p. 346-350
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    AFP産生胃癌はリンパ節転移・肝転移の頻度が高く,予後不良である.われわれは,同時多発肝転移を有し,胃切除後に化学療法にて肝転移が消失,その後出現した肺転移を切除して長期生存を得た稀な1例を経験した.症例は55歳の男性.貧血あり,上部消化管内視鏡で胃体部後壁の2型腫瘍を指摘,生検で低分化腺癌であった.血清AFP値が4,000ng/mlと著増,CTとMRIにて多発肝転移とリンパ節転移を認めた.幽門側胃切除,D2郭清を施行.腫瘍細胞は一部AFP陽性であった.術後,5-FU/Epirubicinによる肝動注化学療法とS-1の併用を開始.AFP値は6カ月でほぼ正常化,肝転移も同定不能となった.Tegafur/Uracilの経口に切り替えたが,術後1年目にAFPの再上昇と左肺上葉の肺転移を認め,胸腔鏡補助下左肺部分切除術を施行.初回手術後7年7カ月現在,無再発生存中である.文献的考察を加え報告する.
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  • 革島 洋志, 出村 公一, 今川 敦夫, 小川 雅生, 川崎 誠康, 亀山 雅男
    77 巻 (2016) 2 号 p. 351-357
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,男性.1990年に早期胃癌に対し幽門側胃切除を施行され,1997年に残胃癌に対し残胃全摘,脾摘を施行された.2013年頃から上腹部創部腫瘤を自覚され,2014年9月に形成外科を受診,生検にて腺癌と診断され外科紹介となった.CT上,上腹部創部の腹壁に腫瘤を認め,PET-CTでは腹壁腫瘤以外には異常集積像を認めなかった.生検組織像は免疫染色を含めて残胃癌の標本と類似のパターンを示したことより残胃癌の腹壁転移と診断し,化学療法の方針とした.SP療法で蕁麻疹が出現したためXP療法に変更し2コース施行し,CT上PRが得られたために腫瘍切除,腹壁・横隔膜合併切除,腹壁再建を施行した.最終病理診断はmetastatic adenocarcinoma (sig),断端陽性,R1切除であり,術後化学放射線療法を追加し現在無再発生存中である.
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  • 西脇 紀之, 吉田 有佑, 梶原 義典, 橋本 将志, 浜野 郁美, 松本 祐介
    77 巻 (2016) 2 号 p. 358-362
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は39歳,男性.右下腹部痛を主訴に受診.右下腹部を中心とする圧痛と,炎症反応の上昇を認めた.腹部造影CTでは右下腹部に周囲の脂肪濃度上昇を伴う腫瘤像を認め,虫垂穿孔による急性腹膜炎の診断にて単孔式腹腔鏡下手術を施行した.虫垂には炎症所見を認めず,腹腔内には多量の汚染腹水を認めた.回腸末端より90cm口側の回腸腸間膜側に炎症を伴う腫瘤を認め,回腸への付着部で穿孔していた.腫瘤を含む回腸部分切除術を施行.病理組織検査では重複腸管穿孔の診断であった.穿孔性腹膜炎にて発症した成人重複腸管症は稀であり,診断・治療に腹腔鏡が有用であった.
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  • 十倉 三千代, 安野 正道, 花岡 まりえ, 山内 慎一, 菊池 章史, 松山 貴俊
    77 巻 (2016) 2 号 p. 363-367
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,男性.外傷歴なし,開腹歴なし.腹痛を主訴に近医を受診し,腸閉塞と診断され入院した.翌日,症状が悪化し当院転院搬送された.来院時,腹部全体が板状硬であった.腹部造影CTでは造影効果不良な小腸ループと腸間膜血管の集簇像と腹水を認めた.絞扼性イレウスと診断し,緊急手術を施行した.開腹すると血性腹水と壊死腸管を認めた.回盲弁から30cm離れた回腸腸間膜に異常裂孔が存在し,回腸が嵌入,捻転し壊死していたため,回腸100cmを切除した.術後,誤嚥性肺炎を発症し抗生剤治療とミニトラック挿入を要したが,術後24日目に軽快退院した.小腸間膜裂孔ヘルニアは内ヘルニアの一つで主に小児に好発し,高齢者では稀な疾患である.今回われわれは,高齢者に発症した小腸間膜裂孔ヘルニアによる絞扼性イレウスの1例を経験したので,文献的考察を含め報告する.
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  • 北川 浩樹, 吉満 政義, 伊富貴 雄太, 恵美 学, 小橋 俊彦, 金子 真弓
    77 巻 (2016) 2 号 p. 368-372
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,女性.発熱と腹痛を主訴に当院救急外来を受診し,腹膜刺激症状と腹部造影CTにて8cm大の腹腔内腫瘍と周囲にfree air,腹水貯留を認めた.小腸もしくは小腸間膜由来の間質系腫瘍による腸管穿孔が疑われ,緊急開腹手術を施行した.開腹すると小腸間膜に8cm大の平滑な腫瘍を認め,一部横行結腸に浸潤していた.腫瘍が回結腸静脈根部に浸潤していたため楔状切除し,小腸と横行結腸を合併切除し腸間膜腫瘍を摘出した.術後病理検査でデスモイド型線維腺腫と診断し,腫瘍は横行結腸に浸潤していたが明らかな穿孔所見はなく,腫瘍内に膿瘍を認め同部位が穿孔していた.小腸間膜デスモイドの破裂により急性腹症を呈した1例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.
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  • 大屋 久晴, 越川 克己, 真田 祥太朗, 宇野 泰朗, 佐野 正明, 福岡 伴樹
    77 巻 (2016) 2 号 p. 373-377
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    日本住血吸虫症は1978年を最後に国内での新規発生はないとされている.今回,腹腔鏡下虫垂切除術を行った急性虫垂炎の症例で虫垂内に日本住血吸虫虫卵が検出された.69年前に甲府市で日本住血吸虫症にかかった既往があり,この虫卵が虫垂炎を起こしたと考えられる稀な症例を報告する.
    症例は79歳,男性.平成27年3月,右下腹部痛・嘔吐・食事摂取困難を主訴に当科を受診した.血液検査での炎症反応上昇と腹部CT で虫垂腫大を認めたため急性虫垂炎と診断し,手術方針とした.手術所見では腫大した虫垂を認め,腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.病理組織所見では粘膜のリンパ濾胞形成と慢性炎症を認め,虫垂壁の線維性肥厚と石灰化した多数の日本住血吸虫の虫卵が確認され,陳旧性の肉芽腫像と考えられた.術後の便虫卵検査では異常を認めず,USとMRIで慢性肝炎・肝嚢胞の所見を認めたが,その他明らかな異常所見は認めなかった.
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  • 公文 剣斗, 宇田 征史, 吉岡 貴裕, 村田 年弘, 上塚 大一
    77 巻 (2016) 2 号 p. 378-381
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は55歳の男性で精神発達遅滞のため近医に入院中,S状結腸軸捻により内視鏡的整復の既往歴あり.腹痛・腹部膨満を主訴とし,当院へ紹介受診となった.腹部膨満顕著で,腹部単純X線検査では全大腸の高度拡張を認め,S状結腸軸捻再発を疑うが造影CT検査にて上腸間膜動脈末梢および間膜の捻転,それに伴う回盲部の血流障害を認め,盲腸軸捻と診断した.S状結腸軸捻再発の否定,虚血程度の確認,内視鏡的整復を行う目的で下部消化管内視鏡検査を行った.S状結腸軸捻は認めなかったが,右側結腸へ内視鏡を到達できず,緊急開腹手術を施行した.回盲部から上行結腸にかけ後腹膜との固定不全により回結腸動静脈の間膜が捻転しており,同領域の腸管の拡張・壊死を認め,右半結腸切除を施行した.S状結腸軸捻の既往歴のある患者に盲腸軸捻を異時性に発症した1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
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  • 松下 和香子, 鈴木 茂貴, 藤原 康博, 古川 博之
    77 巻 (2016) 2 号 p. 382-387
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,男性.持続する発熱と全身倦怠感のため入院.右下腹部に手拳大の腫瘤を触知し,腹部CTで上行結腸内側に境界明瞭,内部に低吸収領域を伴う7cm大の腫瘤を認めた.下部消化管内視鏡検査で上行結腸に粘膜下腫瘍様の病変を認めたが,確定診断に至らなかった.発熱とCRP高値,肝機能異常も持続し保存的治療で改善がみられなかったため,診断目的も兼ねて開腹手術を行った.約7cm大の腫瘤を上行結腸間膜内に認め,回盲部切除術を施行した.病理組織学的検査の結果,腸間膜原発と考えられる未分化多形肉腫と診断された.術後補助化学療法は行わず,現在術後1年7カ月経過したが無再発生存中である.本疾患は症例報告も少なく,その特徴は未だ明らかにされていないが,完全切除によって長期予後が得られる可能性があるため,根治的な手術を心がけることと,更なる症例の蓄積が重要と思われた.
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  • 山内 達雄, 清地 秀典, 永岡 智之, 岡田 倫明, 今井 良典, 中村 太郎
    77 巻 (2016) 2 号 p. 388-392
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    成人腸重積症の中でも大腸における逆行性の腸重積は非常に稀な疾患である.今回,われわれはS状結腸腺腫内癌による逆行性腸重積を生じた1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例は54歳の男性.左側腹部痛,嘔吐を主訴に当院救急外来を受診した.腹部CT検査でS状結腸逆行性腸重積症と診断され,緊急手術を施行した.開腹所見にて,逆行性に陥入したS状結腸を認め,徒手整復の後,リンパ節郭清を伴うS状結腸部分切除を施行した.切除標本ではS状結腸に二つのpolypを認め,うち一つのpolypの先端に悪性腫瘍を認めた.組織学的にはpapillary adenocarcinoma in adenomaであった.過去の報告においても成人逆行性腸重積症の原因病変が有茎性悪性腫瘍であることが多いことから,手術ではリンパ節郭清を含めた腸管切除を考慮すべきであると思われた.
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  • 瀧 雄介, 大端 考, 佐藤 真輔, 渡邉 昌也, 新井 一守, 高木 正和
    77 巻 (2016) 2 号 p. 393-398
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    術後のtoxic shock syndrome(TSS)の報告は多いが,多くは術後急性期の発症である.今回,直腸癌術後に軽快退院後,術後25日目に発症したTSSを経験したため報告する.症例は62歳の男性.便行頻回で発症した進行直腸癌に対し,直腸切断術,両側側方郭清を施行した.術後経過は良好で術後8病日に軽快退院となった.3日前からの下痢で術後28日目に当院救急外来を受診した.脱水症の診断で入院後,急速に進行した低血圧・末梢循環不全・意識障害を認め,敗血症性ショックとして集学的治療を行うも,播種性血管内凝固症候群・多臓器不全が急速に進行し,入院70時間後に死亡した.病理解剖・細菌検査結果より,骨盤リンパ嚢胞のMRSA感染に伴うTSSと診断された.術後3週間以降に発症したTSSの報告は稀であるが,術後の発疹を伴う敗血症の際には,TSSの可能性もある.
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  • 森 晃佑, 河野 文彰, 田代 耕盛, 中尾 大伸, 落合 昂一郎, 中村 都英
    77 巻 (2016) 2 号 p. 399-405
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例1:63歳,男性.肝転移を伴う直腸癌に対し,高位前方切除術を施行した.病理組織所見で低分化型腺癌の一部にinside out patternを含んでおり,micropapillary carcinoma (MPC)と診断された.また,高度の脈管侵襲と多発リンパ節転移も認めた. 症例2:59歳,女性.子宮頸癌の精査中に直腸癌と診断された.子宮頸癌に対しては放射線化学療法を行う方針として,直腸癌に対しHartmann手術を施行した.病理組織所見でMPCを含んだ高~中分化型管状腺癌と診断された.リンパ節転移はなかったが,症例1と同様に高度の脈管侵襲を認めた.MPCは高率にリンパ節転移,遠隔転移をきたす悪性度の高い癌であると考えられているが,大腸MPCの報告は少ない.今回われわれは直腸MPCの2手術症例を報告し,本邦報告例を集計して臨床病理学的な特徴を検討した.
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  • 三浦 康誠, 白畑 敦, 喜島 一博, 鈴木 哲太郎, 高坂 佳宏, 石田 康男
    77 巻 (2016) 2 号 p. 406-410
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    肛門管癌は管内型・外型に分類されるが,一般的に管外型肛門管癌は粘膜面の所見に乏しいため術前診断が困難なことが多い.今回われわれは診断に難渋した管外型発育を呈した肛門管低分化扁平上皮癌の1例を経験したので報告する.症例は70歳,女性.肛門痛を主訴に当院を受診された.直腸診では肛門縁より3cmに全周性狭窄を認め,可動性不良の硬結を触知し疼痛を伴っていた.下部消化管内視鏡検査では粘膜面の変化は乏しく,狭窄部からの生検組織診断では明らかな異型細胞・腫瘍細胞は認めなかった.経肛門的針生検でも確定診断がつかず,診断・治療の目的で腹会陰式直腸切断術を施行した.切除標本では腫瘍細胞が肛門管の移行上皮部を中心として粘膜下層から管外性に分布していた.病理組織検査では腫瘍内の限られた一部分にのみ乏しい角化部分,細胞間橋を認めた.最終的に低分化扁平上皮癌と診断することができた.
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  • 宮地 洋介, 伊江 将史, 村上 隆啓, 砂川 一哉, 上田 真, 福里 吉充
    77 巻 (2016) 2 号 p. 411-417
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    走行中の水上オートバイから転落した場合,船体の推進力であるジェット水流により直腸・膣に特徴的な損傷(以下,本外傷)を生じる.水上オートバイ関連外傷の中で稀な外傷ではあるが,損傷が複雑で治療に難渋し,時に致命的となる.症例1:25歳の女性,走行中の水上オートバイから後方に転落し,会陰部から多量の出血を認め当院へ搬送された.肛門裂傷と腹膜翻転部上に及ぶ直腸損傷を認め,人工肛門造設術を行った.患者は術後12日目に退院したが人工肛門閉鎖には至っていない.症例2:27歳の女性,走行中の水上オートバイから後方に転落し,直腸・膣を複数箇所で損傷し活動性の出血を認めた.直腸損傷に対しては人工肛門造設術にて対応しえたが,膣損傷は円蓋部にまで及んでおり止血が困難であった.一時は重篤な出血性ショックに至ったものの,経カテーテル的動脈塞栓術により止血・救命した.患者は術後35日目に転院となった.
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  • 島 卓史, 井上 善博, 朝隈 光弘, 廣川 文鋭, 里見 英俊, 竹下 篤, 林 道廣, 内山 和久
    77 巻 (2016) 2 号 p. 418-422
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,女性.脂肪肝のフォロー中に,腹部超音波検査にて肝S3に高エコー像を呈する腫瘤を認めた.腹部単純CT検査では肝の同部位に最大径55mmの内部不均一な低吸収を呈し,一部に高吸収域を認めた.肝血管筋脂肪腫の可能性も疑われたが,肝細胞癌などの悪性腫瘍を否定できなかったため,腹腔鏡下に肝外側区域切除術を施行した.腫瘍は55mm大の境界明瞭な腫瘤で,病理組織学的には,脂肪組織,紡錘形の細胞および血管の増生を認め,一部に線維性の被膜様構造を有していた.免疫染色ではHMB-45・α-SMAが陽性であり,肝血管筋脂肪腫と診断した.
    肝血管筋脂肪腫は比較的まれな腫瘍であり,被膜様構造を有することは非常にまれであるとされる.今回,われわれは被膜様構造を伴った肝血管筋脂肪腫の1例を経験したので報告する.
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  • 今泉 健, 松山 貴俊, 中田 拓也, 村田 知洋, 吉村 哲規, 鶴田 耕二, 加藤 弘之
    77 巻 (2016) 2 号 p. 423-429
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,女性.以前より肝機能障害を指摘されていた.スクリーニングで施行された近医でのCTにて,肝腫瘤を指摘され当科紹介受診となった.造影CTにて,肝S6辺縁に周囲の造影効果を伴い中心部が造影されない直径10mmと15mmの腫瘤を認めた.MRIにて,腫瘍はT1強調画像で低信号,T2強調画像は淡い高信号,拡散強調画像でも淡い高信号を呈した.病変が小さく,確定診断が困難であったため経過観察としたところ,増大を示したため診断的治療目的に肝S6の部分切除術を行った.病理組織学的検査にて,線維芽細胞の混在した線維性成分が増生し,多彩で著明な炎症細胞浸潤を認め肝炎症性偽腫瘍(inflammatory pseudotumor,以下IPTと略記)と診断した.血液検査にて,慢性活動性のEpstein-Barr virus(以下EBVと略記)感染状態を示していたことから,EBV感染を伴う肝IPTと診断した.
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  • 宮崎 貴寛, 網倉 克己, 國土 貴嗣, 高橋 遍, 山田 祐, 坂本 裕彦
    77 巻 (2016) 2 号 p. 430-435
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は75歳の男性で,黄疸を契機に胆管癌(cT2,N1,M0,cStage IIB)と診断され,減黄後に治療目的に当院を受診した.ADL低下と中等度の認知機能低下を伴っており,認知症とせん妄のどちらが原因かの鑑別が困難であったが,精神腫瘍科にコンサルトし,せん妄に伴う一過性の認知機能低下と診断し治療適応と判断した.また,早期からの多職種介入により,入院中から退院後までの充実したサポート体制を構築し,円滑に診療を進めた.患者背景や全身状態を考慮した上で縮小手術として肝外胆管切除術,リンパ節郭清を施行し,術後2年間無再発で外来通院中である.高齢化に伴い高齢手術患者が増加しているが,せん妄は高齢者で頻度が高く,認知機能低下を伴い認知症との鑑別が困難なことも多い.早期からの多職種の介入により円滑に診療を進めることが重要と考えられた.
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  • 徳永 尚之, 岩川 和秀, 野々下 崇, 稲垣 優, 岩垣 博巳, 園部 宏
    77 巻 (2016) 2 号 p. 436-440
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は85歳の男性で,遷延する上腹部痛を主訴に近医を受診し,急性胆嚢炎を疑われ当院紹介となった.2カ月前に脳梗塞を発症し抗凝固薬を内服中であった.腹部CT検査にて,胆嚢内に充満する血腫と頸部前壁での穿孔を疑う所見が得られた.胆嚢炎を契機に胆嚢出血が惹起され,それに伴う内圧の急激な上昇が破裂をきたしたとの判断から緊急手術が施行された.術中には確認できなかったが,切除標本では胆嚢底部に約25mm大の中心陥凹を伴う隆起性病変が指摘され,病理学的に管状腺癌と診断された.また,中心陥凹底直下に壁の破綻した小血管と血管外への血球漏出が確認され,最終的に腫瘍出血による胆嚢内圧上昇が破裂に繋がったと判断した.胆嚢出血の原因は多岐にわたるが胆嚢破裂にまで至る症例の報告はまれである.また,胆嚢腫瘍が出血性胆嚢炎・胆嚢破裂を伴ったとの報告は検索しえた範囲では見当たらなかった.文献的考察を加えて報告する.
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  • 門馬 浩行, 矢野 誠司, 西 健, 藤井 敏之, 田島 義証
    77 巻 (2016) 2 号 p. 441-446
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,女性.1998年に子宮体癌,2005年に両側乳癌で手術歴あり.1998年の術前検査で膵鉤部に分枝型膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)を指摘されていた.2006年に膵体部管状腺癌を発症したが,IPMNに悪性変化はなく尾側膵亜全摘術施行された.再発なく経過していたが,2009年の定期受診時に血便と肛門部痛を訴えたため,肛門鏡を行ったところ肛門管癌を指摘された.左鼠径部に腫大したリンパ節を認めた.IPMNに変化はなかった.肛門管癌の診断で腹会陰式直腸切断術と左鼠径部リンパ節摘出術を施行したが,9カ月後に再発死亡した.IPMNはmalignant potentialを有するとともに,他臓器悪性腫瘍を高率に合併することが知られている.3臓器以上の多重複癌の報告は稀であるが,IPMN症例では併発した悪性疾患が予後を規定するとの報告もあり,膵臓のみならず他臓器を含めた注意深い経過観察が必要である.
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  • 齋藤 博紀, 阿部島 滋樹
    77 巻 (2016) 2 号 p. 447-453
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,女性.徐々に増大する左鼠径部腫瘤を自覚し近医を受診し,当科紹介受診.左鼠径部にピンポン玉大の弾性硬の腫瘤を触知.鼠径ヘルニアを疑い,用手還納を試みたが還納できなかった.単純CTで,左鼠径部に腫瘤影と腹腔内に連続する腹膜肥厚像を認めた.左鼠径ヘルニアの大網または左卵巣嵌頓の診断で腹腔鏡下ヘルニア修復術(TAPP)を施行.左外鼠径ヘルニアだったが卵巣や大網の嵌入は認めなかった.ヘルニア嚢を牽引するとヘルニア嚢内に腹膜結節を認め,切除した.鼠径部腫瘤はヘルニア内容物ではなかったので左鼠径部を横切開すると,浅鼠径輪の近傍に腫瘤を認めた.腫瘤はヘルニア嚢内に存在していたため前方より腫瘤を摘出.鼠径ヘルニアは定型的に腹腔内よりメッシュを挿入し修復した.病理組織検査で鼠径部腫瘤,腹膜結節ともに上皮型の悪性腹膜中皮腫であった.鼠径部腫瘤にて発見された悪性腹膜中皮腫の1例を経験したので報告する.
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  • 木庭 遼, 自見 政一郎, 大畑 佳裕, 亀井 隆史
    77 巻 (2016) 2 号 p. 454-458
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,男性.下部消化管内視鏡検査を施行中に,右鼠径部から陰嚢にかけて膨隆が出現した.陰嚢が20cm大に腫脹しており,腹部CTより大網と結腸が嵌頓した右鼠径ヘルニアと診断した.用手還納は困難であり,全身麻酔下に緊急手術を施行した.BMI 35と高度肥満で,巨大な嵌頓ヘルニアであったことから,下腹部正中切開および鼠径部の両方からのアプローチが必要であった.ヘルニア内容は大網の大部分と横行結腸であった.大網を一部切除し,横行結腸が損傷して開いた小孔から腸管内容を吸引し腸管の減圧を図ることで,腹腔内へ還納した.小孔を閉鎖後,iliopubic tract repair法で鼠径ヘルニアを修復した.術後に呼吸不全を合併したが短期間で軽快した.下部消化管内視鏡検査の合併症としてヘルニア嵌頓の報告はまれである.さらに,横行結腸が鼠径ヘルニアに嵌頓した症例に関しても非常にまれであり,文献的考察を含め報告する.
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  • 林 正吾, 松下 英信, 荘加 道太, 日比野 壯貴, 大河内 治, 川瀬 義久
    77 巻 (2016) 2 号 p. 459-462
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は35歳,男性.3カ月前より臍からの滲出液を自覚し,2週間前から臍下部にしこりを触れるようになったため近医を受診し,尿膜管遺残の疑いで当院へ紹介となった.受診時は臍から黄色漿液性の滲出液を認め,臍下部に2cm大の硬結を触知した.発赤腫脹や熱感は認めず,臍部から陰部にかけての多毛を認めた.腹部CT所見では,臍下部に脂肪織の濃度上昇を認めるも,膀胱へと連続する索状物はなく尿膜管遺残の所見は認めなかった.手術所見では,臍下部を切開して周囲組織から剥離していくと,腫瘤内部から少量の白色膿汁および毛髪が露見した.嚢腫の剥離を慎重に進めていくと,嚢腫は臍と瘻孔で通じており,瘻孔内にも毛髪の束が充満していた.以上より臍部に発生した毛巣洞と診断した.臍部毛巣洞の本邦報告例は自験例を含めて6例しかなく,極めて稀である.毛髪の刺激が炎症の原因となるため,根治のためには外科切除が必要である.
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