日本臨床外科学会雑誌
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77 巻 , 4 号
選択された号の論文の52件中1~50を表示しています
原著
  • 永岡 智之, 渡邊 常太, 中川 祐輔, 石田 直樹, 今井 良典, 根津 賢司, 岡田 憲三, 坂尾 寿彦, 梶原 伸介
    77 巻 (2016) 4 号 p. 739-745
    公開日: 2016/10/31
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    目的:腹腔鏡下急性胆嚢炎手術症例に対し,術後合併症発生に関連する因子を検討した.
    方法:2010年から2014年に当院で施行した開腹移行を含む腹腔鏡下胆嚢摘出術症例289例を対象とし,Clavien-Dindo分類Grade II以上を術後合併症とした.
    結果:289例中24例(8.3%)に術後合併症を認めた.単変量解析では,発症から手術まで72時間以上経過(p=0.0328),胆嚢炎重症度が中等症以上(p=0.0361),術中出血量(p=0.0429),術前CRP値(p=0.0021)の4項目で有意差を認めた.さらに,この4項目を多変量解析したところ術中出血量223g以上(p=0.0361)と術前CRP値12.7mg/dl以上(p=0.0296)で有意差を認めた.
    結論:今回の検討では,出血量とCRP値が単変量および多変量解析で術後合併症危険因子であることが判明した.術後合併症危険因子を有する患者においては,慎重な対応が望まれる.
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臨床経験
  • 高橋 遼, 林 英司, 太平 周作, 石田 陽祐, 蟹江 恭和, 岡田 禎人
    77 巻 (2016) 4 号 p. 746-750
    公開日: 2016/10/31
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    鼠径部・閉鎖孔ヘルニア嵌頓において,腸切除が必要となった症例に対してメッシュを用いない修復法(従来法)や二期的なメッシュ挿入を選択することが一般的だが,最近では腸切除例にもメッシュを使用した報告例が散見される.当院における腸切除を伴う鼠径部・閉鎖孔ヘルニア嵌頓治療におけるメッシュ挿入の是非について後方視的に検討した.最近11年間(2004年1月1日~2014年12月31日)に,55例の鼠径部・閉鎖孔ヘルニア嵌頓手術を行った.そのうち腸切除例は20例であった.腸切除が必要な症例においても,非腸管穿孔例,術中腸液の暴露がなかった7例では,創縁保護を行いメッシュを用いた治療法を選択した.腸管を切除し,メッシュ挿入した7例のいずれもメッシュに関わる術後合併症は起こらなかった.汚染が少なく感染のリスクが低いと考えられた症例では,メッシュを使用したヘルニア治療は選択肢の一つとなりうると考えた.
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症例
  • 落合 秀人, 鳥居 翔, 福本 和彦, 神藤 修, 深澤 貴子, 鈴木 昌八
    77 巻 (2016) 4 号 p. 751-757
    公開日: 2016/10/31
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    症例は75歳,女性.53歳時に甲状腺髄様癌(medullary thyroid carcinoma:以下,MTC)および両側副腎褐色細胞腫を発症した多発性内分泌腫瘍症2A型と診断され,甲状腺全摘術と両側副腎亜全摘術を施行された.その後20年間再発兆候なく,当院内分泌内科に紹介となったが,初回手術後21年目の腹部超音波検査にて肝S3に腫瘤を指摘された.腹部CT検査では,肝S3に石灰化を伴う20mm大の多血性腫瘍を認めた.血中CEA・カルシトニンも上昇しており,MTCの肝転移再発と診断した.当科で肝外側区域切除術を施行し,切除標本内に2個の腫瘍が指摘された.病理組織学的にもMTCの転移と診断された.肝転移巣切除後34カ月が経過し,無再発生存中である.甲状腺髄様癌の異時性肝転移に対して根治切除しえた症例の報告は稀であり,文献的考察を加えて報告する.
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  • 鎌田 徹, 牧田 直樹, 高井 優輝, 山崎 圭介, 神野 正博, 上田 善道
    77 巻 (2016) 4 号 p. 758-762
    公開日: 2016/10/31
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    症例は72歳,女性.腰痛と食欲不振を認め,当院を受診した.その際,左乳房の変形を指摘され,当科を紹介された.初診時から高度の貧血とDICを認めた.乳房の針生検では,Indian file patternを呈する印環細胞癌が混ざる乳腺浸潤性小葉癌であった.胃内視鏡検査ではタコイボ様びらんを認め,FDG-PETでは体幹骨中心にびまん性の集積を認め,胃と骨髄の生検から印環細胞癌を認めた.胃の生検組織を免疫染色したところERが陽性,乳腺粘液で陽性を示すMUC1は陽性,胃型粘液で陽性を示すMUC5ACは陰性であったため,胃病変は乳腺浸潤性小葉癌からの転移と診断したが,発症から約1カ月,初診から約2週間後に永眠された.今回,急速な転帰をたどった印環細胞癌による胃転移と播種性骨髄癌症を伴った乳腺浸潤性小葉癌を経験したので報告する.
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  • 大久保 雄一郎, 竹内 透, 竹内 新治
    77 巻 (2016) 4 号 p. 763-767
    公開日: 2016/10/31
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    症例は43歳,女性.4年前に右C領域の線維腺腫と診断され,定期的に経過観察を行っていた.今回,微細分葉状変化と内部不均一所見の増悪を認めたため,局所麻酔下に腫瘍摘出術を施行した.病理所見では,2.2cmの線維腺腫内に3mmの浸潤性乳管癌と散在性に非浸潤性乳管癌を認め,carcinoma arising within fibroadenomaと診断された.浸潤癌が切除断端に近接しており,後日,追加切除とセンチネルリンパ節生検を施行した.術後はtamoxifenによるホルモン療法と温存乳房への放射線照射を施行した.線維腺腫内に癌が発生することは非常に稀であり,今回われわれは線維腺腫内に発生した浸潤性乳管癌の1例を経験したので報告する.
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  • 野元 優貴, 喜島 祐子, 新田 吉陽, 平田 宗嗣, 吉中 平次, 夏越 祥次
    77 巻 (2016) 4 号 p. 768-772
    公開日: 2016/10/31
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    症例は57歳,女性.2011年3月に左乳癌に対して,胸筋温存乳房切除術(Bt + Ax + Ic)を施行した(pT2N3aM0 stage IIIC).術後補助療法として,2011年4月よりエピルビシン+シクロフォスファミド(EC)療法を4クール,同年7月よりパクリタキセル(PTX)療法を4クール施行した.2012年1月に腫瘍マーカーの上昇と多発肝転移を認め,再発1次治療としてEC療法を6クール施行した.投与中,腫瘍マーカーは低下傾向にあり,肝転移巣も縮小傾向にあった.再発一次治療終了直後より食思不振が出現し,近医に入院した.その後,急速にperformance status(PS)が低下し,頭部造影CTを施行したが異常所見は認められなかった.原因検索のため当院に転院となり,第20病日に髄液穿刺および頭部造影MRIにて髄膜播種の診断がついたが,第22病日に永眠された.
    急速に進行した乳癌髄膜播種症の症例を経験したので,文献考察を追加し,報告する.
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  • 関根 速子, 野木 裕子, 鈴木 正章, 武山 浩
    77 巻 (2016) 4 号 p. 773-779
    公開日: 2016/10/31
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    術前化学療法が著効したmicropapillary成分を有する男性乳癌の症例を報告する.患者は62歳で,初診時,左乳房に2.5cmの腫瘤と同側腋窩のリンパ節腫大を認めた.針生検にてmicropapillary成分を有する浸潤性乳管癌(硬癌)と診断した.エストロゲン受容体・プロゲステロン受容体;陽性,HER2;陰性,Ki67;16%であった.術前化学療法後,腋窩郭清を伴う乳房切除術を施行した.化学療法の効果判定はGrade 2bであった.術後2年間Tamoxifenを内服しているが,無再発経過観察中である.
    Luminal A-like乳癌やinvasive micropapillary carcinomaでは,化学療法の効果は乏しいと報告されるが,本症例においては著効を認めた.男性乳癌では化学療法の報告が少ないが,高リスク症例では女性と同様に補助療法の選択肢となり得る.
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  • 末廣 修治, 橋本 崇史, 亀井 美玲, 小副川 敦, 宮脇 美千代, 杉尾 賢二
    77 巻 (2016) 4 号 p. 780-784
    公開日: 2016/10/31
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    症例は86歳,女性.左乳房の変形,ひきつれを主訴に当院を受診し,左乳癌,cT2N0M0 stage IIA,ER:3b,PgR:2,HER2:1+と診断された.高齢のため侵襲的な治療は希望されず,ホルモン療法を開始した.アナストロゾール投与開始3カ月後,腫瘍の一時的な縮小を認めたが,投与7カ月目の検査で再増大を認め,フルベストラント(FUL)に変更した.治療開始後,腫瘍は増大せず(SD),以後1年間SDを継続した.乳癌診療ガイドラインによると,高齢乳癌症例に対しても非高齢者と同様に手術療法が標準となっている.しかし,高齢・併存疾患・死生観などを理由として手術の同意が得られない患者は一定数存在する.われわれは手術の同意が得られない高齢乳癌患者に対してフルベストラントを使用し,長期のSDを維持した症例を経験したので報告する.
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  • 和田 幸也, 吉原 基, 加藤 岳人, 平松 和洋, 柴田 佳久, 青葉 太郎
    77 巻 (2016) 4 号 p. 785-789
    公開日: 2016/10/31
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    症例は57歳,女性.右乳房腫瘤を主訴に受診,CTで約3cmの腫瘍と腋窩リンパ節腫大を認めた.針生検で浸潤性乳管癌・ER(+)・PgR(-)・HER2(-)であり,T2N1M0 stage IIBと診断した.術前化学療法(FEC療法×4,paclitaxel療法×9)を施行し,術前のCTの効果判定はPR,遠隔転移も認めなかった.初診から9カ月後に乳房切除術,腋窩リンパ節郭清術を施行した.術後にExemestaneを開始,その3週間後に腹痛を主訴に受診.肝逸脱酵素が上昇し,CTで不均一に造影される肝腫大を認め,薬剤性肝障害が疑われた.入院後に,急激に意識障害・凝固障害が進み集学的治療を施行したが,入院12日目(術後65日目)に永眠された.死後の肝針生検で,大部分が腫瘍細胞に置換されていたため,びまん性肝転移による急性肝不全と診断した.極めて急激な経過を辿った乳癌のびまん性肝転移の1例を経験した.
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  • 瀧 由美子, 石黒 淳子, 吉村 章代, 澤木 正孝, 岩田 広治
    77 巻 (2016) 4 号 p. 790-794
    公開日: 2016/10/31
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    乳房は他臓器からの転移をきたしにくい臓器であるが,今回直腸癌が乳房へ転移した稀な1例を経験した.症例は51歳,女性.IV期直腸癌の既往があり,転移性肺腫瘍術後4カ月目に左乳房腫瘤を自覚し当科を受診した.左上外側に3cm大の境界明瞭腫瘤を触知し,エコーでは左乳房皮下に2cm大の腫瘤を認めた.腫瘍マーカーの上昇があったため,直腸癌乳房転移の可能性を考えFDG-PETを施行したところ,左乳房と閉鎖リンパ節に集積を認めた.エコー下マンモトーム(MMT)生検で直腸癌乳房転移と診断した.閉鎖リンパ節への転移を伴っていたため,全身治療を優先させ薬物治療を開始した.腫瘍は一旦縮小したものの再増大し,皮膚へ露出したため局所コントロール目的に乳房転移診断から4カ月目,乳房部分切除を施行した.
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  • 安川 元章, 田村 大和, 関 寿夫
    77 巻 (2016) 4 号 p. 795-798
    公開日: 2016/10/31
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    症例は75歳,男性.肉眼的血尿を主訴に当院泌尿器科を受診し,精査にて多発膀胱癌と診断された.精査中に胸部X線で右中肺野に異常陰影を指摘された.胸部CTで右肺S6に径2cm大の結節影を認め,転移性肺腫瘍を疑い当科紹介となった.膀胱癌からの転移か否かで治療方針が変わるため,確定診断目的に胸腔鏡下右肺部分切除を施行した.病理組織学検査で,結節性肺アミロイドーシスと診断した.確定診断後の全身検索では,多発性骨髄腫の合併は否定的で,また他臓器にアミロイド沈着を認める所見も認めず,限局性結節性肺アミロイドーシスと最終診断した.膀胱癌精査中に発見された限局性結節性肺アミロイドーシスの1例を経験し,膀胱癌との関連も否定できないため報告する.
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  • 森嶋 計, 東條 峰之, 奥山 隆, 高橋 修平, 澁澤 公行
    77 巻 (2016) 4 号 p. 799-803
    公開日: 2016/10/31
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    症例は75歳,女性.繰り返す嘔吐に対して食道裂孔ヘルニアの診断で内服加療していた.食後の嘔吐のため外来受診した.胸部X線検査で右下肺野横隔膜上にガス像を伴う腫瘤様陰影を認めた.CT検査で腹腔内から右胸腔内へ脱出する胃と横行結腸を認め,Morgagni孔ヘルニアと診断した.腹腔鏡下に腹腔内を観察すると,胸骨後面右側に5×6cmのヘルニア門を認め,横行結腸と大網が陥入していた.ヘルニア嚢は切除せず,ヘルニア門にComposix Mesh(E/X)®を固定して手術を終了した.術後,ポート孔の皮下出血を認めたが保存的治療で軽快し,術後22病日に退院した.術後2年の現在再発を認めていない.本疾患に対する腹腔鏡下手術は簡便,低侵襲であり有用な方法であると考えられた.
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  • 高橋 一臣, 水野 豊, 原田 ジェームス統, 成田 知宏, 阿佐美 健吾, 鳩山 恵一朗
    77 巻 (2016) 4 号 p. 804-808
    公開日: 2016/10/31
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    症例は72歳,女性.胸部中部食道癌に対して胸腔鏡下食道亜全摘術を施行した.第2病日より経腸栄養を開始したところ,翌日の胸腔ドレーンの排液量が急激に増加した.第4病日に白濁した胸水を認めたため乳糜胸と診断した.完全静脈栄養としたが胸水量が減少せず,第7病日よりoctreotide acetateを投与した.全身状態が安定していたことと,CTで上大静脈に血栓が見つかり保存的治療を一貫して行った.第28病日よりetilefrineの投与を開始すると徐々に排液量が減少した.Etilefrineを中止しても排液量が増加しないことを確認し,第54病日に胸腔ドレーンを抜去した.食道癌術後の乳糜胸は比較的まれな合併症であるが,その治療に難渋することが少なくない.Etilefrine投与による乳糜胸の治療報告例は少ないが,副作用が少なく効果の高い有用な治療法であると考えられた.
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  • 藤枝 裕倫, 平松 聖史, 雨宮 剛, 後藤 秀成, 関 崇, 新井 利幸
    77 巻 (2016) 4 号 p. 809-814
    公開日: 2016/10/31
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    症例は67歳,女性.頻尿の精査目的で行った造影CTにて,縦隔内に占居性病変を指摘された.病変は,胸部中部食道と左主気管支との間に位置する径32×21mm大の造影効果に乏しい比較的内部均一な腫瘍性病変であった.同病変は,左主気管支との境界が不明瞭であり,かつ食道内腔への半球状の突出を認めた.MRIのT1強調画像で均一な低信号,T2強調画像で均一な軽度の低信号を呈し,粘性の高い液性成分である可能性が示唆された.以上から,気管支原性腫瘍と診断し,左胸腔アプローチによる胸腔鏡補助下に手術を施行した.腫瘍周囲組織の剥離をすると食道から発生する食道由来の腫瘍であった.食道粘膜下腫瘍と術中診断し食道部分切除を施行した.切除標本は病理組織学的に,CD117・CD34ともに陽性で,GISTと診断した.
    本症例は,食道GISTに対し胸腔鏡補助下に左側アプローチにより食道部分切除を行った.文献的考察を加え報告する.
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  • 梶岡 裕紀, 稲垣 優, 徳永 尚之, 岩川 和秀, 岩垣 博巳
    77 巻 (2016) 4 号 p. 815-821
    公開日: 2016/10/31
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    症例は56歳,男性.当院にて2013年10月に胃潰瘍穿孔に対して腹腔鏡下胃穿孔部縫合および大網被覆術を施行後,外来にて経過観察中であった.2014年1月より徐々に嘔気症状が悪化し,10月のCTにて幽門狭窄を伴う胃拡張を認めたため,緊急入院となった.上部消化管内視鏡では胃前庭部から幽門にかけて全周性狭窄を認め,粘膜下腫瘍様であった.バルーン拡張を繰り返すも狭窄症状の改善は得られず,血液検査ではDUPAN-2,Span-1,CA19-9の高値を認めたため,異所性膵管癌等の粘膜下腫瘍を鑑別に挙げ,手術の方針とした.手術所見としては以前の穿孔部周囲の胃や大網に白色結節を認めたが,迅速病理検査にて陰性であったため,幽門側胃切除およびD2郭清を施行した.病理学組織学的診断は胃異所性膵癌であった.胃穿孔症例では粘膜病変だけはなく,粘膜下病変の可能性も考慮して術後経過観察を行う必要がある.
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  • 三宅 益代, 杉浦 浩朗, 宮本 洋, 長嶺 弘太郎, 亀田 久仁郎, 久保 章, 竹川 義則, 松村 舞依
    77 巻 (2016) 4 号 p. 822-827
    公開日: 2016/10/31
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    症例は71歳の男性で,上腹部痛を主訴に近医を受診し,超音波検査上での胃壁肥厚と,白血球異常高値(39,600/μl)を指摘され精査加療目的に当院紹介受診した.上部消化管内視鏡検査で胃体部小弯前壁に2型病変を認め,生検で胃癌と診断された.感染や血液疾患などの白血球上昇をきたす要因は認めず,granulocyte-colony stimulating factor(以下,G-CSF)値も415.9pg/mlと高値だったため,G-CSF産生胃癌を疑い,胃全摘術,肝合併切除(肝浸潤のため)を施行した.術後,白血球数とG-CSF値は正常範囲となり,また,病理組織学的には未分化癌で,免疫組織染色ではG-CSF陽性細胞が検出されたため,G-CSF産生胃癌と診断した.G-CSF産生胃癌は比較的稀な疾患で予後不良とされているが,術後2年間無再発で経過している症例を経験したため,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 古谷 裕一郎, 高嶋 吉浩, 斎藤 健一郎, 宗本 義則
    77 巻 (2016) 4 号 p. 828-832
    公開日: 2016/10/31
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    小児の十二指腸潰瘍穿孔は稀な疾患であり,上部消化管穿孔では保存的加療を選択する症例が多い.しかし,全身状態や臨床症状によっては外科的加療が必要であり,本邦における小児の十二指腸穿孔の腹腔鏡手術を施行した報告例は自験例を含め6例であった.今回われわれは,十二指腸潰瘍穿孔をきたした14歳男児に対して腹腔鏡下穿孔縫縮術を施行した1例を報告する.
    症例は14歳,基礎疾患に自閉症がある男児.心窩部痛を主訴に近医を受診し,鎮痛薬を処方され経過観察されるも改善無く,当院受診となった.腹部CTにて腹腔内にfree airと腹水貯留がみられ,十二指腸球部の穿孔が疑われ,腹部全体に腹膜刺激症状を認めたため腹腔鏡手術を施行した.手術所見としては十二指腸球部前壁に約2mmの穿孔があり,縫縮術を施行した.術後経過は良好であり,術後10日目に退院となった.
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  • 丸山 智宏, 中野 雅人, 須田 和敬
    77 巻 (2016) 4 号 p. 833-838
    公開日: 2016/10/31
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    症例は59歳の男性で,心窩部不快感・食欲低下を主訴に来院した.腹部CTで十二指腸第4部に腫瘤性病変を認め,口側十二指腸および胃の拡張が認められた.上部消化管内視鏡検査で,第4部原発の十二指腸癌と診断し開腹手術を施行した.術中所見で横行結腸間膜に単発の腹膜播種を認めた.上腸間膜動脈リンパ節郭清を伴う十二指腸空腸部分切除術と腹膜播種巣を含めた横行結腸部分切除術を施行した.病理組織学的検査では,高分化型腺癌,pSS,ly0,v0であり,リンパ節転移は認めなかった.退院後は,S-1+CDDP療法を施行し,術後17カ月現在,再発なく外来通院中である.第4部原発の十二指腸癌の報告例は極めて少なく,その根治手術術式やリンパ節郭清範囲については確立されたものはない.十二指腸第4部に発生した原発性十二指腸癌の1例を経験したので,治療方針に関する考察を加え報告する.
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  • 坂本 沙織, 三野 和宏, 川俣 太, 沢田 尭史, 西原 広史, 菊地 弘展
    77 巻 (2016) 4 号 p. 839-843
    公開日: 2016/10/31
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    症例は67歳,男性.2014年11月に腹痛・発熱を主訴に近医を受診し,急性胆嚢炎の診断で保存的治療で軽快した.同年12月に再度腹痛・発熱に加え黄疸が出現したため近医を受診し,精査加療目的に当院内科紹介となり,下部胆管癌の診断で当科紹介となった.
    2015年1月に膵頭十二指腸切除術を施行した.術中,回腸末端から20cm口側の回腸に腫瘤を伴った憩室と同部位近傍の腸間膜に5cm大の腫瘤を認め,合併切除を施行した.病理組織学的検査の結果,憩室内腫瘤はMeckel憩室内のカルチノイド(NET G1)であり,腸間膜腫瘤はそのリンパ節転移であった(胆管に関しては炎症性壁肥厚のみであった).
    Meckel憩室は剖検例の1~2%に認められ,Meckel憩室内に腫瘍が発生する頻度は1~4%とされている.発生する腫瘍に関してはGIST・腺癌・平滑筋腫瘍などが報告されており,カルチノイドに関しては本邦では3例のみである.
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  • 谷口 理丈, 俵藤 正信, 塚原 宗俊, 佐藤 寛丈, 岡田 真樹, 安田 是和
    77 巻 (2016) 4 号 p. 844-848
    公開日: 2016/10/31
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    症例は76歳の女性で,発熱と腹痛,体重減少を主訴に当院を紹介受診した.腹部CT検査で骨盤腔に腸重積をきたした小腸腫瘍を認め,小腸部分切除術を施行した.周囲への浸潤や播種,腫大リンパ節は認めなかった.腫瘍は大きさ65×40×30mmの表面平滑な充実性腫瘤で,病理組織学的所見では核異型や異常核分裂像が著明な紡錘形細胞が錯綜増生しており,免疫染色検査ではKIT・CD34・S100が陰性,α-SMA・Desminが陽性であり,GIST診療ガイドラインとWHO Classification of Tumors of the Digestive Systemの定義に則り小腸平滑筋肉腫と診断した.さらに,DOG1免疫染色検査が陰性で,c-kit遺伝子とPDGFRA遺伝子検査の変異を認めずGISTは完全に否定された.小腸平滑筋肉腫は稀な疾患で,確定診断には免疫染色検査と遺伝子検査が重要である.
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  • 多田 陽一郎, 山本 学, 前田 佳彦, 蘆田 啓吾, 池口 正英
    77 巻 (2016) 4 号 p. 849-852
    公開日: 2016/10/31
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    49歳,男性.腹部膨満感で近医を受診し,腹部CT検査で腸間膜腫瘍と仙骨全面の腫瘍を指摘された.31歳時に性腺外胚細胞腫と左腎細胞癌で左根治的腎摘出術,腹部大動静脈周囲・左頸部・左鎖骨上・上下縦隔リンパ節郭清術,胸腺摘出術の既往がある.胚細胞腫または腎細胞癌の再発が疑われたため,当院に紹介となった.生検が困難な部位であったため,診断と治療を兼ねて摘出術を施行した.病理結果で胚細胞腫の再発と診断された.再発巣摘除後9カ月の現在,再発なく経過している.今回われわれは,性腺外胚細胞腫と腎細胞癌の既往のある患者で,17年目に胚細胞腫の再発を経験したので若干の考察と共に報告する.
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  • 宮城 良浩, 堤 綾乃, 堤 真吾, 赤松 道成, 比嘉 宇郎, 照屋 淳
    77 巻 (2016) 4 号 p. 853-857
    公開日: 2016/10/31
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    患者は54歳,男性.右下腹部痛を主訴に当院を受診.腹部CT検査で虫垂に周囲脂肪織濃度の上昇を伴う多発憩室を認め,虫垂憩室炎と診断し,腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.病理組織学的検査では虫垂には菲薄化した筋層を伴った真性憩室が多数存在し,そのうちの一つに炎症を認めて虫垂真性憩室炎と診断した.虫垂憩室炎の診断は困難であり,大部分は急性虫垂炎と診断して手術される.また,虫垂憩室のほとんどは仮性憩室であり,虫垂真性憩室は非常に稀である.今回われわれは,腹部CT検査で術前に診断しえた虫垂憩室炎の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
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  • 鈴木 敏之, 山川 潤, 赤尾 敬彦, 松本 裕史
    77 巻 (2016) 4 号 p. 858-862
    公開日: 2016/10/31
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    症例は70歳の女性,大腸内視鏡の前処置後の腹痛を主訴に受診した.開腹歴はなく,右下腹部に軽度圧痛を認めた.腹部CTの結果,小腸閉塞と診断し,入院となった.その後,症状の改善傾向なく,経鼻的イレウス管を留置するも,腹部膨満感は改善しなかったため,手術の方針とした.手術所見では,上行結腸の腹膜垂と後腹膜の間に索状の癒着が形成されており,そこに小腸が嵌頓していた.索状物を切除した後は,腸管の色調も改善し,腸蠕動も認めた.絞扼性イレウスで腸管壊死なしと判断した.開腹既往のない症例で,腹膜垂と後腹膜の癒着により絞扼性イレウスを発症するという稀な症例を経験した.開腹歴がない症例でも,絞扼性イレウスの可能性を否定せず,十分な経過観察を実施すること,場合によっては早期に手術を決断する必要がある.
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  • 宮北 寛士, 中村 知己, 新田 美穂, 西 隆之, 島田 英雄, 貞廣 荘太郎
    77 巻 (2016) 4 号 p. 863-867
    公開日: 2016/10/31
    ジャーナル フリー
    症例は79歳,女性.肝浸潤を伴う横行結腸癌に対して,結腸右半切除術,肝部分切除術,胆嚢摘出術,リンパ節郭清を施行した.術後3カ月でCEAの上昇を認めた.術後,局所再発を認め,Bevacizumab+XELOX療法を開始した.2クール終了後,腹痛を主訴に外来受診した.消化管穿孔による汎発性腹膜炎の診断で緊急手術を施行した.胃前庭部前壁に穿孔部を認め,開腹洗浄ドレナージ,体網被覆を行った.術後,第23病日に再度,強い腹痛と発熱を認め,CT検査にて腹腔内遊離ガスと腹水を認め,消化管再穿孔の診断で緊急手術を施行した.穿孔部検索するも明らかな穿孔部は認められず,開腹洗浄ドレナージ術,ドレーンを留置し手術を終了した.術後,ドレーン造影にて胃内との交通を認め,瘻孔閉鎖に90日と長期間かかった.Bevacizumabによる消化管穿孔は重篤な副作用として知られているが,胃穿孔の報告は本邦初例である.腹膜炎症状の再発および瘻孔閉鎖に長期間を要した症例を経験した.
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  • 福岡 伴樹, 越川 克己, 真田 祥太朗, 宇野 泰朗, 大屋 久晴, 佐野 正明
    77 巻 (2016) 4 号 p. 868-872
    公開日: 2016/10/31
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    人工肛門脚での穿孔は,過去に数例の報告しか見られない極めてまれな合併症である.原因としては自己管理操作に伴うものや宿便,癌の穿通の報告がある.われわれは,S状結腸人工肛門脚部で宿便による穿孔をきたした症例を経験した.症例は61歳の男性.腹会陰式直腸切断術の1年後に,突然の腹痛で受診した.ストマ周囲に強い圧痛があり,腹部CTでストマ周囲の腹壁内に便塊と思われる像を認めた.緊急手術を行うと,腹壁内に硬い便塊を含む嚢腫が存在し,隣接する人工肛門脚のS状結腸に穿孔を認めた.人工肛門を挙上していた創からのみの操作で,病変部の結腸切除術,および別の創を作成して人工肛門再造設術を行った.創感染を生じたものの他は順調な経過で,14病日に退院となった.病理組織学的検査では,憩室や腫瘍はなく宿便性大腸穿孔と診断した.
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  • 鎌田 泰之, 八木 大介, 菅野 元喜, 服部 泰章
    77 巻 (2016) 4 号 p. 873-876
    公開日: 2016/10/31
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    症例は71歳の女性で,S状結腸癌に対して腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した.術後21日目よりTreitz靱帯近傍空腸に腸閉塞を発症し,保存的治療で改善しないため,術後39日目に再手術となった.腹腔鏡にて腹腔内を観察すると,Treitz靱帯近傍の空腸が結腸間膜・後腹膜間に陥入・癒着し,狭窄を認めた.陥入腸管に虚血所見はなく,癒着剥離後,空腸漿膜と結腸間膜の腹膜とを縫合固定して手術を終了した.その後の経過は良好で,術後12日目(初回手術後51日目)に軽快退院した.本症例のように,癒着の少ないとされる腹腔鏡手術後でも,腸間膜欠損部に小腸が陥入し,腸閉塞を発症した報告が散見されるようになった.今後,大腸癌に対する腹腔鏡手術はますます普及していくと考えられ,本症例のような腹腔鏡下左側結腸切除術後の内ヘルニアに対して腹腔鏡による修復術を試みることは,治療の低侵襲性という意味でも有用であると考える.
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  • 芦澤 陽介, 三浦 世樹, 竹内 男, 金子 高明, 神谷 潤一郎, 尾形 章
    77 巻 (2016) 4 号 p. 877-882
    公開日: 2016/10/31
    ジャーナル フリー
    症例は60歳台の男性で,既往歴として高血圧・糖尿病・大動脈弓部解離があり,下行結腸の進行癌に対して2013年に腹腔鏡補助下結腸左半切除術を施行した.術後補助化学療法施行中,初回手術から6カ月目に下痢・腹痛が出現し,救急外来を受診した.造影CT検査・下部消化管内視鏡では虚血性腸炎が疑われ,保存的治療を継続した.保存的治療開始1カ月半後に施行した下部消化管内視鏡生検病理の結果,抗サイトメガロウイルス抗体陽性であり,ガンシクロビル投与を開始したが改善を認めず,治療開始2カ月後に穿孔性腹膜炎を発症したためHartmann手術を施行した.病理組織学的所見は壊死型虚血性大腸炎と診断された.本症例は動脈硬化による血管因子に加え,腹腔鏡下結腸癌手術による血流量低下因子,術後補助化学療法による免疫能低下に伴うサイトメガロウイルス感染が影響し難治性となったと考えられた.
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  • 西川 隆太郎, 森本 雄貴, 濱口 哲也, 浦田 久志, 寺邊 政宏, 三木 誓雄
    77 巻 (2016) 4 号 p. 883-886
    公開日: 2016/10/31
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,男性.10日前に,経肛門的に直腸に牛乳ビンを自己挿入したが摘出不能となっていたため,下腹部不快感と残便感を主訴に当院救急外来を受診した.来院時,直腸内に口側に向かって開口した牛乳ビンの存在が確認された.消化管穿孔の合併はなく,透視下に鉗子・バルーン・スネアによる摘出を試みたが,摘出は不可能であった.そのため,市販の吸盤と紐で即興に作成した吸引器具による摘出を試みたところ,容易に摘出に成功し,手術を回避することができた.今回用いた手技は非常に簡便かつ効果的であり,従来の方法では摘出困難な直腸内異物に対して,特に有効な方法と考えられるものであり,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 桒原 尚太, 村上 慶洋, 福永 亮朗, 笹村 裕二, 武山 聡, 沼田 昭彦
    77 巻 (2016) 4 号 p. 887-890
    公開日: 2016/10/31
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,女性.早朝,排便時に肛門からの脱出感を自覚し近医を受診したところ,子宮脱と肛門から小腸脱出を認めたため,当科外来へ緊急搬送となった.診察上,子宮脱と肛門から小腸が1m以上にわたり脱出していた.子宮は容易に還納できたが,脱出した小腸は絞扼され暗赤色調であり,還納を試みるも激しい疼痛により不可能であった.直腸穿孔による小腸脱出を疑い緊急手術を施行した.術中所見は直腸前壁に約8cmの縦走裂孔を認め,その穿孔部を通じて回腸が経肛門的に脱出していた.速やかに回腸を還納した後,直腸穿孔部を単純縫合閉鎖した.脱出した回腸にも壊死による穿孔を認めたため縫合閉鎖し,双孔式S状結腸人工肛門を造設して手術を終了した.術後経過は良好で第29病日に退院となった.
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  • 竹之内 信, 岸上 史士, 横畠 徳祐, 野村 晋太郎, 大島 秀男
    77 巻 (2016) 4 号 p. 891-895
    公開日: 2016/10/31
    ジャーナル フリー
    大腸脂肪腫は一般に無症状であるが,まれに閉塞や腸重積の原因となる.今回われわれは,自動縫合器を用いた経肛門的切除ののち腹腔鏡下に重積を整復しえたS状結腸脂肪腫による腸重積の1例を経験したので報告する.
    症例は24歳の女性.下腹部痛を主訴に当院を受診し,腹部CTにて直径約4cmのS状結腸脂肪腫を先進部とする腸重積と診断された.腸管の重積距離は長く,先進部は上部直腸内まで落ち込んでいたが,非観血的に整復不可能であった.腹腔鏡補助下S状結腸切除術を予定し,全身麻酔を導入した時点で先進部の脂肪腫はさらに下降し,経肛門的に腫瘍の把持が可能となった.このため,経肛門的に挿入した自動縫合器を用いて腫瘍を切除した後,腹腔鏡下に重積を解除し,大腸内視鏡で縫合線を確認して手術を終了した.
    腫瘤を先進部とする腸重積症例では,自動縫合器を用いた経肛門的切除により腸切除を回避できる可能性があると考えられた.
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  • 木原 恭一, 河野 友輔, 鈴木 一則, 中村 誠一, 澤田 隆, 清水 哲
    77 巻 (2016) 4 号 p. 896-903
    公開日: 2016/10/31
    ジャーナル フリー
    mFOLFOX6療法は,切除不能進行再発大腸癌に対する標準治療として広く行われているが有害事象の高アンモニア血症と意識障害についての報告は少なく,高アンモニア血症をきたした場合の大腸癌に対する後治療について一定の見解は得られていない.
    多発肝転移を伴うS状結腸癌に対し,mFOLFOX6療法を導入後,高アンモニア血症と意識障害を発症した1例を経験した.後治療として5-FUを減量ないし含まないレジメンへ変更,あるいは治療を断念した症例が既報告されていたが,自験例では血中アンモニア値をモニタリングしつつCapeOX療法を導入,継続できた.比較的短期間に5-FUを投与するmFOLFOX6療法に対し,14日間にわたって経口フッ化ピリミジン系薬剤を投与するCapeOX療法は,5-FUによる高アンモニア血症の既往患者に対する後治療の選択肢の一つとして検討の余地があると考えられた.
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  • 櫻井 禎子, 竹山 廣志, 木谷 光太郎, 井上 啓介, 辻江 正徳, 若狭 朋子, 太田 善夫, 井上 雅智
    77 巻 (2016) 4 号 p. 904-908
    公開日: 2016/10/31
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    症例は83歳,女性.肝嚢胞のフォローアップ中,腹部造影CTで結腸肝弯曲部に壁肥厚を認めた.下部消化管内視鏡で上行結腸肝弯曲部に隆起性病変を認め,生検より神経内分泌癌(neuroendocrine carcinoma;NEC)と診断され手術目的で当科紹介となった.腹腔鏡下結腸右半切除術を施行し,大細胞型神経内分泌癌(large cell neuroendocrine carcinoma;LCNEC)の診断となった.本症例では,診断時に遠隔転移を認めず腹腔鏡下に治癒切除を施行しえた.術後6カ月が経過し再発は認めていない.大腸LCNECは消化管悪性腫瘍の中ではまれで,検索しえた範囲では9編の症例報告に留まった.非常にまれな症例を経験したので報告する.
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  • 四方 祐子, 篠原 永光, 金村 普史, 尾形 頼彦, 福田 洋, 和田 大助
    77 巻 (2016) 4 号 p. 909-912
    公開日: 2016/10/31
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    症例は70歳台,男性.2010年,横行結腸癌にて右半結腸切除術を施行され,術後補助化学療法が行われた.2012年,左鼠径部腫瘤を自覚し生検で腺癌を認めたため,当科紹介となった.PET-CTではFDG集積は左鼠径部腫瘤のみに認めた.Bmab+mFOLFOX6療法を行い,腫瘍の縮小が得られたため切除術を行った.腹腔鏡下に観察すると,腫瘍は左鼠径管内にあり腫瘍を含めて左精索を切除した.切除標本で精管周囲結合組織内に原発巣と同じ中分化型腺癌を認め,精索転移として矛盾しない所見だった.術後1年半後に左外腸骨リンパ節再発,鼠径部局所再発を認め,再度切除術を行った.現在術後3年経過し,大動脈周囲リンパ節再発を認め化学療法中である.結腸癌の精索転移は,まれな病態であり,また精索転移を腹腔鏡下に切除した例は検索した限りでは認めなかった.転移性精索腫瘍とその手術手技について報告する.
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  • 牛田 雄太, 平松 聖史, 雨宮 剛, 深津 彰子, 酒井 優, 新井 利幸
    77 巻 (2016) 4 号 p. 913-918
    公開日: 2016/10/31
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,まれな卵巣癌の異時性S状結腸転移の切除例を経験した.症例は33歳の女性.両側卵巣嚢腫の診断にて両側卵巣嚢種核出術を施行した.病理組織学的に左卵巣類内膜腺癌と診断,妊孕性を考慮し左附属器摘出術のみを追加して施行した.術後化学療法後,約1年6カ月のPET-CT検査で骨盤内S状結腸近傍にFDGの集積亢進を認めた.大腸内視鏡検査を施行すると,S状結腸に腫瘍性病変を認めた.同部位の生検にて卵巣癌の転移と診断した.卵巣癌のS状結腸転移による再発と診断し,S状結腸切除術,単純子宮全摘術,骨盤・傍大動脈リンパ節郭清術を施行した.術中,S状結腸の所属リンパ節の腫大を認めた.転移巣であるS状結腸もD3郭清を施行した.病理組織学的に卵巣癌のS状結腸転移と診断,傍腸管・中間リンパ節に転移を認めた.傍大動脈・骨盤リンパ節,他臓器に癌の転移を認めず,R0切除が得られた.
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  • 小野澤 寿志, 門馬 智之, 中村 泉, 大木 進司, 石井 芳正, 竹之下 誠一
    77 巻 (2016) 4 号 p. 919-925
    公開日: 2016/10/31
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,男性.64歳時に痔瘻にて手術を施行された.1年前より肛門部の硬結を自覚し,近医を受診したが,MRI検査にて骨盤腔内に巨大な嚢胞構造を認め,当科紹介となった.造影CT検査で直腸後壁と連続する7cm大の嚢胞状腫瘍を認め,穿刺吸引細胞診で粘液様物質を認めた.CEA 129ng/ml,CA19-9 87U/mlと著明高値を認め,FDG-PET検査では病変の一部にSUVmax4.4の集積を認めた.下部消化管内視鏡検査では,粘膜面の不整像は認めなかった.待機的に手術の方針となったが,4カ月の経過観察中に嚢胞病変が16×10cm以上増大し,腹直筋下まで達していた.術中所見では,腫瘍は恥骨後面・左閉鎖腔に強固に癒着しており,完全切除が困難であった.経括約筋・経開腹腫瘍切除術,S状結腸双孔式人工肛門造設術を施行した.術後病理組織診では高分化型粘液癌の診断であり,腫瘍の位置および臨床経過よりtailgut cyst由来の粘液癌が疑われた.術後良好に経過し,第22病日に退院した.
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  • 坂本 浩一, 大畠 雅之, 下野 隆一, 花崎 和弘
    77 巻 (2016) 4 号 p. 926-930
    公開日: 2016/10/31
    ジャーナル フリー
    症例は1歳10カ月,男児.41生日に肛門皮膚瘻の診断でカットバック手術を行った.術後から便秘傾向となり,右側腹部膨隆を認めるようになった.注腸透視にて直腸S状結腸の限局性拡張がみられたが,直腸粘膜生検ではAch-E陽性繊維の増生は認めなかった.限局性腸管拡張症の診断で1歳10カ月時に腹腔鏡補助下拡張腸管切除,正常腸管プルスルーを行った.切除標本の神経節細胞は正常であった.術後経過は良好で自排便を認めるようになった.限局性結腸拡張症は小児便秘の原因の一つであり,外科的治療での改善が期待できる.
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  • 富田 晃一, 高野 公徳, 佐野 達, 千葉 斉一, 芹澤 博美, 河地 茂行
    77 巻 (2016) 4 号 p. 931-937
    公開日: 2016/10/31
    ジャーナル フリー
    症例は60代,男性.耳下腺の悪性多形性腺腫術後,3年8カ月を経て肝S6にPET/CTにて集積を認めた.各種血液・画像検査を行った後に,転移性肝腫瘍の可能性を考え肝生検ではなく診断的治療目的に腹腔鏡下肝部分切除術を行った.病理組織学的検査では好酸球浸潤を伴う類上皮肉芽腫を認め,最終的に肉芽腫の原因は不明であったが腫瘍・悪性所見は認めなかった.転移性肝腫瘍との鑑別が困難であったが,播種のリスクを回避して侵襲の少ない腹腔鏡手術によって診断的切除を施行した1例を経験したため,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 山口 方規, 池添 清彦, 新上 浩司, 馬場 活嘉, 宇治 祥隆, 高尾 貴史
    77 巻 (2016) 4 号 p. 938-942
    公開日: 2016/10/31
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,男性.肝門部胆管癌に対して尾状葉全切除兼拡大左葉切除術,肝外胆管切除,2群リンパ節郭清を施行した.特に術後合併症は認めず経過した.術後14日目と術後21日目にドレーン抜去部より多量の血性排液を認め,2回目の緊急腹部造影CTで,胃十二指腸動脈分岐部近傍に約15mmの胃十二指腸仮性動脈瘤を認めた.肝動脈血流温存を第一に考えて動脈塞栓術を選択した.コイル逸脱による右肝動脈閉塞を予防するために,まず固有肝動脈から右肝動脈にかけて冠動脈ステントを留置し,その後コイルによる塞栓術を行った.塞栓術後,バイタルサイン・肝機能は速やかに改善した.拡大肝切除後の胃十二指腸動脈仮性動脈瘤は報告例もまれである上,ステント併用コイル塞栓術の報告例はない.冠動脈ステントを腹部内臓仮性動脈瘤に用いるのは保険適応外治療であるが,仮性動脈瘤塞栓と臓器血流保持の観点から,ステント併用コイル塞栓術は非常に有用であると考えた.
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  • 久保 孝文, 津村 朋子, 塩谷 俊雄, 大越 祐介, 佃 和憲
    77 巻 (2016) 4 号 p. 943-948
    公開日: 2016/10/31
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    症例は80歳,女性.先天性胆道拡張症・膵胆管合流異常症・胆嚢癌にて胆嚢摘出,胆管切除,リンパ節郭清,Roux-en-Y胆道再建術(総肝管空腸吻合)を施行した.術後1年2カ月後にB2胆管狭窄を伴う10mm大の肝内結石と,閉塞性黄疸と胆管炎を認めた.ダブルバルーン内視鏡(以下DBE)を用いた採石を試みるも,ガイドワイヤーの狭窄部の通過が困難であったため,胆道ドレナージ目的に緊急PTCDを施行した.PTCDルートからガイドワイヤーを挿入し,胆管狭窄部を通過させ挙上空腸内まで挿入したのち,DBEルートからそのガイドワイヤーを利用し,胆管狭窄部をバルーン拡張させ破砕採石を施行し,第10病日で退院した.胆道再建後の胆管狭窄を伴う肝内結石症に対し,PTCDとDBEを併用したランデブー法を用い破砕採石し,早期退院可能であった1例を経験したため報告する.
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  • 坂部 龍太郎, 山口 拓朗, 長谷 諭, 田原 浩, 布袋 裕士, 前田 佳之
    77 巻 (2016) 4 号 p. 949-954
    公開日: 2016/10/31
    ジャーナル フリー
    稀な総肝動脈走行変異を伴う胆管癌の1例を報告する.症例は69歳,女性.心窩部痛と倦怠感を主訴に近医を受診し,皮膚黄染を認めたため当院紹介となった.造影CT検査で遠位胆管に造影効果を伴う腫瘤を認めた.ERCP検査では総胆管に狭窄を認め,胆管擦過細胞診で腺癌と診断した.3D-CT angiographyでは,腹腔動脈から分岐した総肝動脈が膵背側から膵下縁を通って膵頭部前面を頭側に走行する走行変異を認めた.総肝動脈走行変異を伴う胆管癌と診断し,変異総肝動脈を温存した亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的検索では管状腺癌と神経内分泌腫瘍が混在し,それぞれの成分が30%以上を占めていたため,mixed adenoneuroendocrine carcinomaと診断した.術後補助化学療法としてS-1を開始し,術後10カ月経過した現在,再発徴候なく外来通院中である.
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  • 水井 崇浩, 臼田 昌広, 中西 渉, 井上 宰, 宮田 剛, 望月 泉, 小野 貞英
    77 巻 (2016) 4 号 p. 955-960
    公開日: 2016/10/31
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,男性.2013年3月に近医での腹部超音波検査にて膵上縁のリンパ節腫大を指摘され,精査加療目的に当院を紹介受診した.腹部CTで胆嚢底部に25mm大の充実性腫瘤を認め,またNo.8aリンパ節腫大も認めた.胆嚢癌の診断にて胆管切除を伴う肝S4a+S5切除,リンパ節郭清,胆道再建術を施行した.病理組織学的検査にて,中分化型腺癌を伴う神経内分泌癌と最終診断された.術前よりCA19-9の上昇を認めたこと,また領域外リンパ節に腺癌成分の転移を認めたことより,術後補助化学療法として通常型胆嚢癌に対して考慮されるS-1療法を開始したが,9カ月後のCTで15mm大の腹部リンパ節再発を2箇所に認めた.CA19-9の再上昇を認めたことより腺癌成分の再発と考え,gemcitabine+cisplatin療法に変更したところ,腹部リンパ節は消失した.術後2年以上経過した現在も新たな転移や再発は認めていない.
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  • 中島 政信, 井原 啓佑, 百目木 泰, 加藤 正人, 窪田 敬一, 加藤 広行
    77 巻 (2016) 4 号 p. 961-966
    公開日: 2016/10/31
    ジャーナル フリー
    症例は62歳,男性.飲酒後の背部痛を主訴に当院を受診.重症急性膵炎の診断で内科的治療を行うも,約2週間後に膵性胸水が出現.入院後41日目に食道の狭窄および穿孔を確認した.内科的治療での治癒は困難と判断し,まず62日目に胆嚢摘出およびCチューブドレナージ,十二指腸切開膵管完全外瘻化,減圧胃瘻造設,空腸瘻造設術を施行した.その後,全身状態は安定したものの食道狭窄が増悪し,164日目に行った食道造影で完全閉塞を認めた.膵性胸水および食道穿孔による右胸腔内の癒着と食道周囲の線維化が予測されたため,食道切除は困難と判断し,184日目に右側結腸挙上による食道バイパス手術を施行した.経過は良好で,術後第13病日に経口摂取を開始した.その後は保存的治療を行い,術後第60病日に軽快退院した.これまでに急性膵炎後に生じた食道完全閉塞の報告は認められず,極めて稀な病態と思われる.若干の文献的考察を交えて報告する.
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  • 吉川 高宏, 久永 倫聖, 瀬川 雅数
    77 巻 (2016) 4 号 p. 967-971
    公開日: 2016/10/31
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    骨軟化症は骨代謝障害の中では比較的まれな疾患である.今回,われわれは亜全胃温存膵頭十二指腸切除術後7年の経過を経て骨軟化症を発症した1例を経験したので報告する.症例は80歳の女性で,Vater乳頭部癌に対し亜全胃温存膵頭十二指腸切除術,消化管吻合はChild変法を施行し,無再発経過観察中であった.術後7年目に腰痛および高ALP血症,低Ca血症を呈し,MRI・骨シンチグラフィ―にて骨軟化症の診断へと至った.活性型ビタミンD製剤投与にて症状および臨床検査は改善した.胃切除後の骨代謝障害は以前から問題視されているが,十二指腸および上部小腸の切除と複雑な消化管再建を要する膵頭十二指腸切除術後においては骨軟化症に限らず,様々な消化吸収障害に対する注意が必要であると思われた.
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  • 所 智和, 中沼 伸一, 芳炭 哲也, 岩田 啓子, 経田 淳, 桐山 正人
    77 巻 (2016) 4 号 p. 972-978
    公開日: 2016/10/31
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    症例は25歳,男性.漁船で綱と巻き上げ用のローラーに腹部を巻き込まれた.CTでは門脈左縁レベルに膵断裂,肝損傷,右腎静脈根部に造影剤の血管外漏出,左腎に造影不良域を認めた.多発腹部外傷にて緊急手術を行った.手術所見は膵断裂,胃と空腸に断裂,横行結腸とS状結腸に損傷,右後腹膜血腫を認めた.膵体尾部切除術,肝縫合術,胃部分切除術・Roux-en-Y再建術,横行~S状結腸切除術,人工肛門造設術を行った.右後腹膜血腫は増大を認めず止血状態と判断し経過観察とした.術後に無尿となったが左水腎症を認め,腎瘻造設にて排尿が再開した.左尿路造影では尿管損傷を認めた.以後は経過良好にて退院となる.術後約9カ月後に左尿路再建術にて左腎瘻を閉鎖,続いて横行結腸とS状結腸を吻合し人工肛門を閉鎖した.現在,患者は社会復帰している.膵損傷に腎損傷を伴った多発腹部外傷の救命症例を経験したので若干の文献を加えて報告する.
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  • 横山 靖彦, 佐藤 崇, 山本 佳生, 中島 裕一, 橘 球, 内田 正昭
    77 巻 (2016) 4 号 p. 979-982
    公開日: 2016/10/31
    ジャーナル フリー
    症例は53歳,女性.2014年8月,子宮筋腫に対して腹式単純子宮全摘術を施行された.2015年2月,下腹部痛を主訴に当院へ救急搬入となった.理学所見・画像所見から骨盤腹膜炎と診断したが,原疾患に関しては確定できなかった.保存的治療では,全身状態が改善せず,試験開腹術を施行した.骨盤底の膿瘍形成・膣断端の離開・小腸の炎症性癒着を認め,膣断端離開に伴う腹腔内膿瘍,骨盤腹膜炎と診断した.女性の骨盤腹膜炎の病態は様々であり,消化器科疾患・泌尿器科疾患に加え,婦人科疾患も鑑別にあげる必要がある.中でも,子宮全摘術後の膣断端離開は頻度の少ない合併症であり,それに伴う膿瘍形成,骨盤腹膜炎の報告は極めて稀である.子宮全摘術の既往がある症例での骨盤腹膜炎では,一般的な婦人科疾患だけでなく,膣断端離開の可能性も考慮して治療に臨むことが重要と考えた.自験例について文献的考察を含め報告する.
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  • 岡田 俊裕, 金谷 誠一郎, 吉村 文博, 持田 郁己, 田村 卓也, 有本 明
    77 巻 (2016) 4 号 p. 983-986
    公開日: 2016/10/31
    ジャーナル フリー
    腎臓摘出術後(以下,腎摘後と略記)に発症した腰ヘルニアに対する腹腔鏡下修復術の報告は少ない.今回,腎摘後の上腰ヘルニアに対して腹腔鏡下修復術を2例施行したので報告する.2例とも70歳台の女性で,1例は右腎摘後,1例は左腎摘後に上腰ヘルニアを発症した.半側臥位の体位にて腹腔鏡下にヘルニア門を確認し,十分にオーバーラップする大きさのメッシュを留置し,吸収性タッカーと非吸収糸を用いて全周性に固定した.術後経過良好で早期に退院し,再発は認めていない.腎摘後の上腰ヘルニアは,前方アプローチではヘルニア門の同定やメッシュ固定が困難であると予想されるが,腹腔鏡下に行うことでこれらが容易になり,再発率の低下につながると考えられた.
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  • 貝羽 義浩, 大橋 洋一, 佐藤 馨, 佐藤 博子
    77 巻 (2016) 4 号 p. 987-990
    公開日: 2016/10/31
    ジャーナル フリー
    患者は80歳,男性.腹部大動脈瘤手術後に生じた腹壁瘢痕ヘルニアに対して,メッシュを6箇所の非吸収糸による筋膜固定と金属製コイル式タックで固定する腹腔鏡下腹壁瘢痕ヘルニア修復術を施行した.その約2年後,腹部の発赤・発熱が出現し,メッシュ感染による腹壁膿瘍の診断で入院した.膿瘍をドレナージした後,膿瘍腔を造影すると小腸と交通していたため,開腹手術を施行した.開腹所見では,メッシュの辺縁部の金属製コイル式タックが小腸と強固に癒着し穿通していた.メッシュ,膿瘍腔,癒着腸管を切除し,腸管を再建した.術後は創感染を認めたが,軽快し退院となった.腹腔内での金属製コイル式タックの使用は,金属の一部が腹腔内に突出して腸管が癒着,穿通しメッシュ感染の原因となることがあるため,吸収性タックなど金属製コイル式タック以外の固定具を用いるべきと考えられた.
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  • 新田 美穂, 島田 英雄, 西 隆之, 宮北 寛士, 小澤 壯治, 幕内 博康
    77 巻 (2016) 4 号 p. 991-995
    公開日: 2016/10/31
    ジャーナル フリー
    坐骨ヘルニアは,坐骨孔より脱出するヘルニアであり,閉鎖孔ヘルニアとともに骨盤底ヘルニアに分類されている.今回われわれは,閉鎖孔ヘルニアに併存していた坐骨ヘルニアの1例を経験した.症例は93歳,女性.右臀部から大腿背側にかけての疼痛,腹部膨満,嘔吐を主訴に受診した.腹部CT検査にて,右閉鎖孔ヘルニア嵌頓とそれに伴う小腸イレウス,右坐骨ヘルニアと診断し,手術を施行した.右閉鎖孔に小腸が嵌頓し壊死していたため,小腸部分切除術を施行した.右坐骨孔の小腸の嵌入は開腹時に自然整復されており,ヘルニア嚢の奥に傍卵巣嚢腫の嵌入を認め嚢腫切除術を施行した.右閉鎖孔・右坐骨孔は単純閉鎖した.閉鎖孔ヘルニアと坐骨ヘルニアは,骨盤底筋群の脆弱化という同様の機序がある.坐骨ヘルニアはすべてのヘルニアの中で最も稀と報告されているが,無症候性の場合もあり,両疾患の合併を念頭に置いた診断・治療が必要であると考えられた.
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