日本臨床外科学会雑誌
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77 巻 , 5 号
選択された号の論文の58件中1~50を表示しています
綜説
  • 中田 浩二
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1007-1022
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    胃切除後にはしばしば胃切除後障害が出現し,患者の日常生活に支障をきたすことが臨床的な問題となる.患者は“癌が治ること”とともに“術前と同様の日常生活が送れること”も強く望んでいるが,後者については十分な対応がなされていないのが現状である.多くの外科医は手術や化学療法など“癌を治す”治療に追われており,胃切除後障害に十分な時間を割いて対応するのは難しい状況にある.そこで,胃切除後障害を効率よく拾い上げ対応するためのツールの開発や管理栄養士などの医療スタッフと連携したチーム医療の構築が求められる.多様な臨床像を呈する胃切除後障害を的確に診断・治療することはときに難しく,今までは個々の外科医の経験に基づいて診療されることが多かったが,今後は体系的に診断・治療が行われるようにするための方策が必要である.胃切除後障害の診療は(1)予防,(2)検出-評価-対応,(3)検査-診断-治療に分けられるが,とりわけ初期対応を充実させることが患者の望む“術前と同様な日常生活が送れること”につながり,QOLの向上に寄与すると考える.
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症例
  • 西原 佑一, 松井 哲, 磯部 義憲, 磯部 陽
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1023-1027
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は53歳,女性.抗凝固薬・抗血小板薬は内服していなかった.自転車で転倒し,ハンドルで右前胸部を打撲した.安静・冷却で経過観察していたが血腫が急速に増大し,造影CTで右乳房内側に造影剤の血管外漏出を認めた.右内胸動脈の穿通枝が原因と考え血管内治療を先行したが止血困難であり,切開止血術を施行した.内胸動脈乳腺穿通枝から拍動性の動脈性出血を認め,結紮止血した.その他の乳腺組織から出血はなく,ドレーンを留置し手術を終了した.術後経過は良好で後出血の所見もなく,術後3日目まで圧迫固定を行い,術後8日目に退院した.術後の創感染や瘢痕形成は認めず,整容性も保たれていた.
    自転車ハンドル外傷というまれな受傷起点で発症した乳房内出血の1手術例を経験した.体表など外科的アプローチが比較的容易な部位での動脈性出血は,血管内治療の前に手術を含めた積極的な外科的治療を考慮すべきであると考えられた.
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  • 古谷 裕一郎, 笠原 善郎, 堀田 幸次郎, 宗本 義則, 三井 毅
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1028-1032
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は14歳,女性.1年半前より左乳房乳頭分泌と乳房の左右差を自覚していた.近医を受診し,左乳房腫瘤が疑われ当院紹介となった.左乳房に約5cm大の弾性硬の腫瘤を触知し,マンモグラフィにて境界明瞭な高濃度腫瘤,乳房超音波検査にて長径8cmの辺縁明瞭な腫瘤を認め,内腔に突出する乳頭状の充実性部分を伴い混合性パターンを示した.術前診断では嚢胞内癌もしくは嚢胞内乳頭腫が疑われた.しかし,病理組織学的検査にて嚢胞壁は線維組織の増生,充実性部分では乳腺組織および線維性間質の増生を認め,若年性線維腺腫と診断した.術後経過良好で術後5日目に退院となり,術後7年経過したが,現在のところ再発を認めていない.
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  • 西田 良介, 尾崎 邦博, 石橋 慶章, 林田 良三, 西村 寛, 赤木 由人
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1033-1036
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    アポクリン癌は皮膚原発の比較的稀な悪性腫瘍である.腋窩に好発することより,副乳癌や転移性腫瘍などが鑑別に挙がり診断に難渋する.術後9年目で再発を認めたホルモン受容体陽性アポクリン癌の1例を経験したので報告する.症例は67歳,女性.左腋窩腫瘤の増大を認め当科受診.皮膚生検で,真皮全層に索状構造を呈した異型細胞を認めたため癌の診断となり,腫瘍摘出術,腋窩リンパ節郭清を行った.術後病理結果はアポクリン癌であった.皮膚原発と副乳癌との鑑別はできなかったが,ホルモン受容体陽性,リンパ節転移陽性であったため,術後5年間ホルモン療法を行った.その後近医フォロー中,術後9年目に右頸部リンパ節腫大とNCC-ST-439の上昇を認めた.全身精査の結果,右頸部リンパ節腫大のみであったため摘出術を施行.術後病理結果はアポクリン癌のリンパ節転移であった.ホルモン受容体陽性であり,術後は再度ホルモン療法を施行中である.
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  • 服部 裕昭, 秋山 芳伸, 田渕 悟, 瀬尾 雄樹, 岸田 憲弘, 椎木 春美
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1037-1042
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は52歳,女性.左乳房外上方に腫瘤を触知し,当科初診.超音波検査所見上同部に低エコー腫瘤を認め,針生検ではN/C比の高い異型細胞が充実性に増殖するのを認め,AE1/AE3 陽性,CAM5.2陽性,CK7陽性,CD56陽性,synaptophysin 陽性を示し神経内分泌癌・小細胞癌の疑いと診断.また,同側腋窩リンパ節への転移を認めた.乳房全摘+腋窩リンパ節郭清施行.病理所見は上記所見に加え乳管内病変も認められ乳腺原発神経内分泌癌,亜型はN/C比が高く核分裂像も多く認められ増殖能も高いことより,乳腺原発小細胞癌と診断した.乳腺原発の小細胞癌は非常に稀であり,文献的考察を加え報告する.
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  • 沖 豊和, 杉本 健樹, 小河 真帆, 駄場中 研, 戸井 慎, 花崎 和弘
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1043-1048
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    乳癌の甲状腺転移は非常に稀な病態である.今回われわれは乳癌の甲状腺転移症例を経験した.症例は51歳の女性.45歳時にホルモン感受性左乳癌に対し胸筋温存乳房切除術+腋窩郭清術を施行され,術後化学療法とホルモン療法を行っていたが,術後2年4カ月で右頸部リンパ節転移を認め当院に紹介された.当院ではリュープロレリン酢酸塩剤を開始し治療効果を認めたが,再発治療後2年11カ月で左頸部腫瘤が出現し,乳癌の甲状腺転移と診断した.Bevasizumab+weekly paclitaxel療法を行い腫瘍縮小を認めたが,副作用が強く治療を中止した.休薬中の局所コントロールを目的に甲状腺左葉切除術を施行した.術後はtamoxifenとリュープロレリン酢酸塩剤を再開したが,再開後2カ月で甲状腺右葉への転移を認め,現在は化学療法に変更し継続している.悪性腫瘍に合併した甲状腺腫瘍については転移性甲状腺腫瘍も考慮すべきである.
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  • 奈良原 裕, 福田 智, 村田 升, 尾頭 厚
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1049-1052
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,男性.左下肢の脱力を主訴に前医脳神経外科を受診.右内頸動脈高度狭窄の診断でカテーテルインターベンションが施行され止血デバイス(Angio-Seal®)が使用された.その後,右大腿動脈穿刺部の感染性仮性大腿動脈瘤形成を認め当院紹介となった.同日,緊急的に総大腿動脈切除・大伏在静脈グラフト間置術を施行した.膿瘍培養検査からは,Staphylococcus aureus (MSSA)が検出された.感染制御が出来ず,術後21日目に間置した大伏在静脈グラフトが破綻した.新たな大伏在静脈グラフトを用いて間置術を再施行したが,再手術から4日後に初回手術時の大伏在静脈グラフトが再び破綻するに至った.この時点で解剖学的血行再建は諦め,人工血管(PTFE)を用いた閉鎖孔バイパス術を施行した.感染創の治癒を確認し,初回手術から約2カ月後にリハビリテーション目的に転院となった.
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  • 出津 明仁, 松下 昌裕, 待木 雄一, 広松 孝, 高良 大介
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1053-1057
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    大動脈・腸骨動脈・総大腿動脈病変による間歇性跛行患者に対する血行再建術では,跛行肢の予後が良好であることから,低侵襲性と長期開存性が求められる.われわれは,高度石灰化による複合病変に対して外科治療・血管内治療を組み合わせたハイブリッド治療を行い,良好な結果を得た症例を経験したので報告する.症例は77歳の男性で,症状は20m程度の右重症間歇性跛行であった.足関節上腕血圧比:右0.61/左0.95,造影CT:腹部大動脈から両側総腸骨動脈に高度石灰化による狭窄あり.上腸間膜動脈は起始部で閉塞し,下腸間膜動脈は側副血行路として発達していた.右総大腿動脈と右膝窩動脈は石灰化でほぼ閉塞していた.腹部大動脈から左総腸骨動脈までのステント留置および左外腸骨動脈-右総大腿動脈交叉バイパスを施行し,跛行症状の改善を得た.
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  • 青山 孝信, 藤井 弘通, 瀬尾 浩之, 笹子 佳門
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1058-1061
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    梅毒は大動脈瘤の一因として知られるが,術前に梅毒性大動脈瘤と診断し得なかった症例を経験したので報告する.症例は71歳,男性.CTにて最大径60mmの上行大動脈瘤を指摘された.梅毒血清反応はRPR法2.6R.U.,TPLA定量2,387U/mlであったが,紡錘状動脈瘤であり術前には動脈硬化性動脈瘤と診断した.部分弓部大動脈置換術,右腕頭動脈・左総頸動脈再建術を施行したが,大動脈瘤は周囲組織と強固に癒着し,弓部大動脈の壁肥厚を認めた.病理所見で大動脈瘤壁の中膜の栄養動脈周囲に形質細胞の浸潤を認め,術後に梅毒性大動脈瘤と診断し,術後8日目からアモキシシリンを1日1,000mg,2週間の内服を行った.術後経過良好で術後13日目に退院した.術後18カ月目にRPR法は陰性化し,TPLA定量は1,542U/mlであった.現在では,梅毒性大動脈瘤は非常にまれであり,意識しておかねば術前に診断できない可能性がある.
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  • 金山 雅俊, 大崎 敏弘, 西澤 夏將, 中川 誠, 小舘 満太郎, 梶山 潔
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1062-1068
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    膵癌術後肺転移に対して肺切除を行った3例を報告する.症例1:73歳,女性.膵癌術後2年2カ月目に肺転移(右3個)に対して右肺部分切除,その後,肺転移再発に対して術後4年2カ月目に左下葉部分切除,5年9カ月目に左下葉切除を施行した.経過中,化学療法(GEM 57コース)を継続,膵癌術後7年8カ月無再発生存中である.症例2:76歳,男性.膵癌術後1年8カ月目に肺転移(右3個)に対して右肺部分切除,その後,肺転移再発に対して術後2年1カ月目に左下葉部分切除を施行した.経過中,化学療法(GEM 32コース)を継続,膵癌術後2年11カ月無再発生存中である.症例3:71歳,女性.膵癌術後2年目に肺転移(右1個,左2個)に対して二期的に両側肺部分切除を施行した.経過中,化学療法(48コース)を継続,膵癌術後3年2カ月無再発生存中である.積極的な肺切除と化学療法の継続は予後改善に寄与する可能性がある.
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  • 石橋 雄次, 高橋 深幸, 末松 友樹, 大森 敬太, 若林 和彦, 伊藤 豊
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1069-1072
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,女性.呼吸苦,喘鳴,頻脈にて当院へ入院となった.胸腹部CT検査にて胃・十二指腸球部・横行結腸・回腸・膵尾部が胸腔内に逸脱しており,多臓器陥入食道裂孔ヘルニアの所見であった.これにより左胸腔内の半分以上が占拠され,心臓が右側に圧排されていた.巨大食道裂孔ヘルニアが原因で心不全症状が出現していると考えられ緊急手術の方針とした.腹腔鏡下に食道裂孔ヘルニア修復術,噴門形成術を行った.術後心不全症状は消失し,食道狭窄や逆流症状は認めず,前医へ転院となった.今回,心不全症状を合併した多臓器陥入食道裂孔ヘルニアに対し腹腔鏡下修復術を施行した1例を経験したので報告した.
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  • 松本 奏吉, 渡部 雅人, 末原 伸泰, 古賀 健一郎, 西原 一善, 中野 徹
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1073-1077
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    食道粘膜下腫瘍は術前診断が困難な場合が多く,また,腹臥位での左胸腔鏡下食道手術の報告はほとんどない.今回われわれは,稀な食道神経鞘腫を腹臥位左胸腔鏡下に摘出した1例を経験したので報告する.症例は65歳の女性.心窩部痛があり,上部消化管内視鏡検査で6cmの食道粘膜下腫瘍を指摘された.CTでは胸部中下部食道左壁に55×38mm大の内部均一な腫瘤を認めた.EUS-FNABを行い,S-100蛋白陽性で食道神経鞘腫と診断した.腫瘍が食道左壁に局在していたため,腹臥位での左胸腔鏡下腫瘍核出術を施行した.手術時間は207分,出血量は3gであった.経過良好であり,術後8日目に退院した.食道粘膜下腫瘍に対する術式選択は術前診断に大きく左右されるため,正診率の高いEUS-FNABによる組織診を行うことが重要である.また,胸部中下部食道左壁の粘膜下腫瘍に対する核出術では,腹臥位での左胸腔鏡アプローチが有用である.
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  • 鈴木 優美, 村瀬 成彦, 平松 聖史, 雨宮 剛, 後藤 秀成, 新井 利幸
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1078-1082
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は8歳,男性.腹痛・発熱を主訴に当院を受診した.血液生化学検査にて炎症反応上昇を認め,腹部造影CTでは索状構造により胃の小彎側に連続する長径12cmの多房性嚢胞性病変を認めた.入院による抗生剤加療にて一旦症状は軽快し退院した.退院約1カ月後に待機的に単孔式腹腔鏡下での腫瘤切除術を行った.腫瘤は嚢胞構造を有し頭側が索状となり,胃の背側から小彎側に連続していた.切除標本は病理組織学的に胃漿膜下層に連続するリンパ管奇形と診断された.まれな胃リンパ管奇形を単孔式腹腔鏡にて切除しえた1例を経験したので,若干の文献学的考察と術式の工夫点を含め報告する.
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  • 森 治樹, 金岡 祐次, 前田 敦行, 高山 祐一, 深見 保之, 尾上 俊介
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1083-1087
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は53歳,女性.2010年に胃gastrointestinal stromal tumor(以下,GIST)肝転移に対して胃部分切除+肝左葉切除術を施行した.多発肝転移と腹膜播種再発に対して,イマチニブ内服136日後に急激な腹痛で当院救急外来に搬送された.腹膜播種破裂による腹腔内出血と診断し,緊急手術を行い,破裂出血していた播種病巣を切除した.その後は,イマチニブ内服せずに経過観察していたが,初回出血術後から2年を経て腹膜播種巣の増大を認め,再度イマチニブ内服を開始した.イマチニブ内服26日後に,出血性ショックで救急搬送となった.再び腹膜播種破裂による腹腔内出血を認め,緊急手術を施行した.破裂出血していた播種病巣を含め横行結腸切除を施行し止血を得た.
    再発GISTに対してはイマチニブ内服が標準治療である.イマチニブ投与による腫瘍出血はまれであり,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 吉田 千尋, 松岡 永, 谷田 信行, 浜口 伸正
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1088-1092
    公開日: 2016/11/30
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    小腸憩室は消化管憩室の中で比較的稀な疾患である.本症は穿通・穿孔をきたすことは少ないが,穿孔すれば診断の遅れにより致命的となることがある.回腸憩室穿孔により緊急手術を要した小腸真性多発憩室症の1例を経験したので報告する.症例は89歳,男性.腹痛を主訴に来院し,腹部CT検査で,直腸間膜付近にfree airを認めた.大腸穿孔を疑い緊急手術を施行した.術中所見では,小腸全般に腸間膜側へ多発する憩室を認めた.回腸末端より180cm口側で,直腸間膜に癒着した回腸に腸間膜側への憩室穿孔を認めた.腸間膜の膿瘍を含めて回腸部分切除術を行った.病理組織学的には小腸真性憩室穿孔の診断であった.本症は小腸全般に真性憩室を多数認める非常に稀な症例であると考えられた.
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  • 山本 大輔, 北村 祥貴, 太田 尚宏, 稲木 紀幸, 黒川 勝, 伴登 宏行
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1093-1097
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は16歳,男性.突然の大量下血にて当院に救急搬送された.腹部造影CTにて小腸からの動脈性出血が疑われ,血管造影検査にて,近位回腸枝動脈に血管外漏出を認め,塞栓術にて完全止血を得た.病変の検索目的に後日,小腸内視鏡を施行したが,病変部までは到達できず,カプセル内視鏡を施行したところ,小腸に粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認めた.待機的手術にて切除の方針とし,単孔式腹腔鏡補助下小腸切除術を施行した.病理組織学的所見では粘膜下に瘤化した動脈を認め,小腸動脈瘤の破裂と診断した.術後経過は良好で術後7日目に退院となった.小腸出血は全消化管出血の2-5%程度と報告されており,その中でも小腸動脈瘤破裂は極めて稀な疾患である.術前検査が困難であり,出血源検索に難渋することが多いが,今回,血管造影・小腸内視鏡・カプセル内視鏡を併用することで術前に出血部位を診断し,低侵襲に切除しえた症例を経験したので,報告する.
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  • 庄古 知久, 漆畑 直, 村田 希吉
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1098-1104
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は46歳,男性.腹部膨満感と大量下血にて当センターに救急車で搬入となった.来院時は意識清明,発熱,ショック症状なし.血液検査にて溶血所見なし.腹部超音波にて腸管の著明な拡張と腸管壁の浮腫,腹水の貯留を認めた.X線検査の終了間際に一時的に心肺停止となった.腹部造影CTで門脈内にガス像を伴う広範な腸管壊死と診断し緊急開腹とした.腹水は黄色透明であったが全腸管は著明に拡張し,小腸が約1mにわたり壊死しており同部を切除した.手術終了間際に再度心停止し,蘇生を行いながら手術室を退室となった.ICUにて経皮的人工心肺補助装置を導入し,エンドトキシン吸着療法を開始した.集中治療を継続したが来院後約7時間半で死亡した.病理解剖では回腸は広範囲な偽膜性出血性腸炎像を呈し,全層性の壊死の状態であった.組織診断で壊死回腸の表層にグラム陽性桿菌を多数検出し,免疫染色にてClostridium perfringens感染が確認された.来院後に急激に死亡したC. perfringens菌感染症の本邦報告24例を集計し,その特徴も報告する.
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  • 濱口 哲也, 森本 雄貴, 西川 隆太郎, 浦田 久志, 寺邊 政宏, 三木 誓雄
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1105-1109
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は89歳,女性.2013年9月に切除不能S状結腸癌に対して回腸人工肛門造設術を施行した.外来フォロー中,2013年11月に人工肛門口側からの腸管脱出を認め,整復困難で嵌頓壊死も疑われた.自動吻合器を使用したAltemeier変法にて手術を行った.本症例では腹壁を切開することなく,脱出腸管外側を全周性に切開し,脱出腸管間膜の処理,脱出嵌頓部小腸の部分切除を行い,CDH®にて器械吻合を行った.術後は合併症なく経過良好で,その後も腸管脱出は認めていない.本法は開腹手術と比較して低侵襲であり,回腸人工肛門脱出嵌頓の外科的治療の選択肢となり得る.今回,回腸人工肛門脱出嵌頓に対して人工肛門再造設を行うことなく,Altemeier変法を応用し脱出腸管切除を施行し,良好な結果を得たので文献的考察を含めて報告する.
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  • 平野 康介, 菅又 嘉剛, 奥山 隆, 小野 裕子, 伴 慎一, 鮫島 伸一, 野家 環, 大矢 雅敏
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1110-1115
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,女性.検診目的のCT検査で偶然に腹腔内腫瘤が指摘され,精査加療目的に当院へ紹介となった.腹部CT検査で小腸間膜内に約4cm大の造影効果を伴う分葉形腫瘤を認め,腹部MRI検査の拡散強調画像では明瞭な高信号を呈し,腸間膜悪性リンパ腫やGISTが疑われた.手術所見では,硬結腫瘤を小腸間膜に認め,狭窄を伴う腫瘤を対側空腸に触知し,腸間膜リンパ節転移を伴う小腸腫瘍と診断して小腸切除術,リンパ節郭清を行った.病理組織検査では,神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor:NET(G2)),pT3(SS),pN1,ly2,v3,Stage IIIbと診断された.
    自験例のように画像検査で腹腔内腫瘤を認めた場合,悪性リンパ腫やGISTだけでなく小腸NETのリンパ節転移も想定し,遠隔転移を認めない症例に対しては,リンパ節郭清を含めた外科的根治術を行うことが望ましいと考えられた.
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  • 和田 幸也, 平松 和洋, 加藤 岳人, 柴田 佳久, 吉原 基, 前多 松喜
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1116-1121
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,女性.食後の間欠的な腹痛を主訴に当院を受診した.血液検査で貧血を認め,造影CT検査で小腸内腔の9×4cmの腫瘤を先進部とした小腸の拡張を認めた.小腸腫瘍に伴う腸閉塞と診断し,手術を施行した.漿膜面への露出のない内腔に発育する小腸腫瘍を認め,小腸切除術を施行した.病理組織検査では,紡錘形細胞が錯綜状に増殖しており,免疫染色の結果と合わせて小腸原発悪性末梢神経鞘腫(malignant peripheral nerve sheath tumor:以下MPNST)と診断した.術後1年5カ月で,貧血の進行を契機にMPNSTの再発が疑われ,再度手術を施行した.小腸内腔に発育する腫瘤と小腸間膜の腹膜結節を切除した.病理組織検査からMPNSTの小腸・腹膜播種再発と診断した.小腸原発のMPNSTは稀であり,内腔に発育し腸閉塞をきたした1例を経験したため文献的考察を加え報告する.
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  • 河口 賀彦, 赤池 英憲, 土屋 雅人, 平山 和義, 高橋 和徳, 藤井 秀樹, 望月 邦夫, 加藤 良平
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1122-1128
    公開日: 2016/11/30
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    症例1:神経線維腫症1型(以下NF1)の42歳,女性.下血の精査で小腸内視鏡検査を行ったところ,小腸に粘膜下腫瘤とそのすぐ肛門側に隆起性病変を認めた.出血源と判断し,小腸部分切除術を施行し,小腸腸間膜に結節を認めたため摘出した.小腸腫瘍の病理診断はそれぞれGISTと神経内分泌腫瘍(以下NET)で,腸間膜結節もGISTであった.
    症例2:NF1の73歳,女性.高血圧の精査でCT検査を行ったところ小腸に腫瘤を認め,カプセル内視鏡で十二指腸に1つ,小腸に3つの腫瘤を認めた.腹腔鏡補助下に小腸部分切除術を施行した.なお,十二指腸腫瘤は全身状態が不良のため切除しなかった.病理診断は小腸腫瘍のうち2つはGIST,1つはNETであった.
    NF1に小腸GISTと小腸NETを併存することは非常に稀であり,文献的考察を加え報告する.
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  • 三浦 泰智, 新宮 優二, 赤羽 和久, 法水 信治, 坂本 英至
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1129-1133
    公開日: 2016/11/30
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    症例は70歳,男性.黒色便を主訴に近医を受診し貧血がみられたため当院紹介となった.精査の結果,空腸に3cm大の易出血性腫瘍を認め,出血のコントロールおよび診断のため手術を施行した.摘出標本では,空腸内腔に突出する9.5×4.5×4.0cm大の有茎性腎型腫瘍を認めた.病理組織学的所見では,豊富な毛細血管とともに紡錘形腫瘍細胞が束状に交錯・増殖しており,patternless patternやhemangiopericytoma patternがみられた.免疫組織化学所見ではbcl-2,CD99が陽性となり,solitary fibrous tumor(SFT)と診断した.術後3カ月で上腸間膜動脈神経叢,第5腰椎,左副腎,梨状筋に再発を認め,術後5カ月で多臓器不全のため死亡した.
    腸管原発SFTで,本症例のように悪性の転帰をきたした症例は稀である.
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  • 松本 亮, 橋本 敏章, 前川 恭一郎, 山口 泉, 北島 正親, 長置 健司, 伊藤 裕司, 古井 純一郎
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1134-1137
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は56歳,男性.右下腹部痛が出現し,徐々に増強してきたため受診した.腹部は平坦・軟であったが,右下腹部に圧痛を認めた.腹部CTで虫垂にブドウ房状の多数の憩室を認めた.また,虫垂は8mm大に腫大しており,周囲脂肪識濃度上昇も認めた.虫垂炎および虫垂憩室症の診断で虫垂切除術を行った.虫垂はブドウ房状の多数の憩室を有していた.虫垂は肥厚していたが穿孔や膿瘍形成は認めなかった.病理組織学的所見では筋層を有した真性憩室を多数認めた.虫垂粘膜内にはリンパ球や形質細胞が主体の慢性の炎症細胞の浸潤を認め,虫垂真性憩室炎および虫垂炎の診断となった.虫垂憩室症は比較的まれな疾患であり,その中で真性憩室症はさらにまれな疾患である.今回われわれは,術前に診断しえた虫垂真性憩室症の症例を経験したため,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 松本 朝子, 吉川 勝広, 小林 壽範, 稲田 涼, 大石 賢玄, 濱田 円
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1138-1144
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    患者は63歳,男性.直腸癌Ra,cT3,N1,M0,cStage IIIaの診断で腹腔鏡下低位前方切除術を施行した.術中から胃,小腸,結腸の拡張を認めた.術後は排便・排ガスを認めるが,下行結腸~上行結腸に著明な大腸拡張と小腸ガス像を認めた.術後腸管麻痺と判断し経鼻イレウス管で腸管減圧するも,術後20日目に拡張腸管から緑膿菌のbacterial translocationを併発し,敗血症性ショック,DICに陥った.経肛門的イレウス管挿入を追加し,拡張腸管の減圧を行い全身管理を行うことでDICを脱却できた.内視鏡検査・CT検査で縫合不全や閉塞起点はなく,また残存腸管にも血流障害や腸炎などの感染も認められなかったことから,腹部手術後の急性結腸偽性閉塞症と考えられた.
    術後急性結腸偽性閉塞症の報告は散見されるが,本症例のように腹腔鏡術後に発症し,敗血症性ショックを合併する症例は極めて珍しい.
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  • 西川 隆太郎, 森本 雄貴, 濱口 哲也, 浦田 久志, 寺邊 政宏, 三木 誓雄
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1145-1149
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は79歳,男性.下血を主訴に紹介入院となった.来院時には止血していたが,入院4病日目に再出血が認められた.緊急大腸内視鏡検査(CF)を施行し,上行結腸の憩室に出血が認められた.CFにて止血を試みたが,完全には止血できなかったため,緊急アンギオを施行し,活動性の出血が認められたため,NBCA(N-butyl-2-cyanoacrylate)による選択的動脈塞栓術(TAE)を行った.TAE後は塞栓部位を含めた結腸切除を行う方針とし,絶食にて経過観察したが,腹部症状なく,TAEの4日後に,待機的に手術を行った.術中所見では,上行結腸に全層性の壊死巣が環状に認められた.壊死巣を含めた憩室多発部位を切除するために,結腸右半切除を行った.術後創部の感染を合併したものの,排膿処置にて改善した.今回われわれは,結腸憩室出血に対する選択的TAE後,無症候性に結腸壊死が進行した1例を経験したので報告する.
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  • 馬場 裕信, 小野 千尋, 織田 福一郎, 村山 忠雄, 星野 直明, 西岡 良薫
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1150-1154
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は56歳,女性.腹痛,発熱を主訴に近医より当科紹介受診となった.臍下に熱感を伴う60mm大の腫瘤を触知した.尿膜管遺残症を疑い腹部CT検査を施行すると,尿膜管遺残膿瘍および盲腸癌も偶然発見された.炎症の改善を期待し抗生剤治療を続けたところ,臍から自然排膿を認めた.注腸および下部消化管内視鏡検査では盲腸癌を認めるのみであったが,臍部からの瘻孔造影では臍から尾側に続く尿膜管および横行結腸が造影された.また,膀胱鏡検査や腹部骨盤MRI検査では尿膜管と膀胱との連続性を認めなかった.以上の所見より,尿膜管遺残症・横行結腸瘻を伴う盲腸癌の診断で,腹腔鏡補助下に結腸右半切除術および尿膜管摘出術を施行した.摘出標本では膿瘍腔と横行結腸に瘻孔形成を認めた.尿膜管遺残膿瘍と結腸の内瘻形成例は少なく,検索した限り横行結腸瘻の報告は海外を含め認めず極めて稀な症例であり,文献的考察を加え報告する.
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  • 大草 幹大, 進士 誠一, 菅 隼人, 山田 岳史, 小泉 岐博, 内田 英二
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1155-1159
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    上行結腸癌術後に右外腸骨リンパ節再発をきたした稀な1例を経験したので報告する.患者は73歳の女性.上行結腸癌の診断で2012年4月に腹腔鏡補助下結腸右半切除術を施行した.術後補助化学療法としてUFT/LVを行うも,4カ月後に右外腸骨リンパ節転移と肺転移を認め,mFOLFOX6+bevacizumabに変更し7コース施行した.4カ月後に肺転移巣は消失したが,大動脈周囲リンパ節転移が出現.初回手術後8カ月目に,右外腸骨リンパ節,大動脈周囲リンパ節を摘出した.しかし,再発手術後2カ月目に多発大動脈周囲リンパ節に再発を認め,FOLFIRI+bevacizumabを施行したが,病勢が進行し原発巣切除後30カ月目に他臓器不全で永眠された.盲腸にかかる結腸癌で深達度が深く,低分化成分を有する場合には,局所のリンパ流に影響し,後腹膜腔のリンパ節に転移する可能性があり,興味深い症例と考えられたので報告する.
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  • 福岡 伴樹, 越川 克己, 真田 祥太朗, 宇野 泰朗, 西 鉄生, 佐野 正明
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1160-1165
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    髄膜癌腫症は,癌細胞が髄腔に播種する病態であり癌性髄膜炎ともいわれる.大腸癌が原発であった髄膜癌腫症は,過去に少数例が報告されているのみである.症例は38歳,男性.腸閉塞の精査で横行結腸印環細胞癌と診断され手術を行った.腹膜播種を伴っており術後化学療法を施行したが,約8カ月後に強い頭痛を生じ髄液細胞診で髄膜癌腫症と診断した.全身状態の安定が得られず抗腫瘍治療は不可能であった.髄腔-腹腔シャントを造設して約1週間の自宅療養期間が得られたが,頭痛発症後約1カ月で死亡した.髄膜癌腫症は,発症すると治療困難なことも多く予後は極めて不良である.髄膜癌腫症が大腸癌から発症することはまれではあるが,組織型が低分化型や印環細胞癌である場合はその発症頻度は比較的高いとされている.大腸印環細胞癌の診療においては髄膜癌腫症の発症も念頭に置いて,脳神経症状出現の際に速やかに診断し治療すべきと思われた.
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  • 横山 真也, 上松 俊夫, 鈴木 秀昭, 佐々木 英二, 大西 桜
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1166-1170
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,女性.主訴は下腹部痛.抗菌薬治療で改善なく当院に紹介入院となった.下腹部に圧痛あるも筋性防御は認めず.WBC 21,900/μl,CRP 20.58mg/dlと炎症反応高値であった.腹部造影CT検査でS状結腸の多発憩室と周囲に低吸収域を複数認め,S状結腸憩室炎による腹腔内膿瘍と診断した.症状の改善がないため手術を行った.S状結腸は子宮・左付属器と強固に癒着し,子宮は腫大していた.子宮を圧排するとS状結腸と子宮の間に膿の流出を認めたため子宮留膿腫の合併と判断し,S状結腸切除,子宮全摘,左付属器切除を行った.病理組織学的検査でS状結腸と子宮との間には,膿瘍腔と強い炎症を伴った左付属器を認めたが,結腸子宮瘻は認めなかった.以上のことから,S状結腸憩室炎から先ず腹腔内膿瘍が形成され,その後,卵管を介して子宮留膿腫が形成されたと考えられた.子宮留膿腫を合併したS状結腸憩室炎の1例を報告する.
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  • 大東 雄一郎, 大槻 憲一, 薮内 裕也, 松本 宗明, 中本 貴透, 北東 大督
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1171-1176
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    グリセリン浣腸による直腸損傷から溶血性の急性腎不全を発症した症例を経験したので報告する.
    患者は58歳,女性.胆石症に対し腹腔鏡下胆嚢摘出術を予定していた.手術前の前処置としてグリセリン浣腸を行ったところ肛門痛と少量の血便を認めたが,予定通り入室し手術を行った.術中より血尿を認め,尿量は少なかった.術後も血尿は続き,血液検査で溶血を認め,ほぼ無尿となった.手術翌日の血液検査,CTで急性腎不全と直腸穿孔を認めた.術前浣腸後の経過から,浣腸による直腸損傷およびグリセリン血中移行による溶血性の急性腎不全と診断した.このため,手術翌日より血液透析を開始し,ハプトグロビンを投与した.直腸穿孔に対しては保存的治療を行った.腎不全・直腸穿孔とも改善し,術後第28病日に退院した.
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  • 鈴木 雄飛, 平山 一久, 金井 俊和, 池松 禎人, 西脇 由朗, 小澤 享史
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1177-1182
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,女性.2カ月前に失神のため他院に入院した.CT検査で直腸に腫瘤を認め,当院に紹介された.精査により直腸粘膜下腫瘍を認め,リンパ節腫大もあることからリンパ節転移を伴う直腸カルチノイドを疑い,低位前方切除術(D3郭清)を施行した.病理診断は直腸神経鞘腫であり,リンパ節転移はなかった.本疾患の術前診断は難しく,疑った場合は悪性の神経鞘腫としてリンパ節郭清を含めた手術を考慮すべきである.
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  • 伊藤 剛, 藤井 佑介, 福田 明輝, 有本 明
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1183-1186
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は60代,女性.直腸癌術後の右側方リンパ節転移・傍大動脈周囲リンパ節転移に対し,同領域のリンパ節郭清術を施行した.その後に右閉鎖リンパ節領域に術後リンパ嚢胞を形成し,腸閉塞を反復していた.骨盤内癒着によってリンパ嚢胞開窓術は困難と判断し,穿刺ドレナージとOK-432による硬化療法を施行した.硬化療法は奏効し,継時的な排液減少に伴ってリンパ嚢胞は消退した.後腹膜操作を伴う手術ではリンパ嚢胞が問題となることがあり,外科領域では側方リンパ節郭清の普及とともに,硬化療法の需要は高まるものと考えられる.今後もリンパ嚢胞に対する硬化療法として,OK-432の安全性や有効性について検討が必要である.
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  • 石井 正嗣, 田中 慶太朗, 山本 誠士, 近藤 圭策, 江頭 由太郎, 芥川 寛, 奥田 準二, 内山 和久
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1187-1191
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    症例1は67歳,男性.排便障害のため施行した下部消化管内視鏡検査にて,下部直腸に多発する粘膜下腫瘍を認めた.生検にて直腸カルチノイド(神経内分泌腫瘍,以下直腸カルチノイド)と診断され,腹腔鏡下ISR(括約筋間直腸切除術)を施行した.症例2は62歳,男性.便潜血陽性のため施行した下部消化管内視鏡検査にて,症例1と同様の多発性直腸カルチノイドを認めたため,腹腔鏡下超低位前方切除術を施行した.病理組織診断にて,症例1は最大腫瘍径10mm,深達度SM(1,400μm),ly1であり,症例2は最大腫瘍径10mm,深達度SM(2,500μm),ly1,pN2であった.症例1は術後3年,症例2は術後2年無再発で経過観察中である.現在,多発性直腸カルチノイドの治療方針は明確ではないため,自験例2例を含め文献的考察を加え報告する.
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  • 南 貴人, 西平 友彦, 三木 明寛, 鈴木 貴久, 大谷 剛, 北村 好史, 荻野 哲朗
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1192-1196
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    80歳台,女性.肛門部痛を主訴に受診した.肛門部に硬い隆起性病変を認め,腹部CTやMRIでは直腸から肛門にかけて巨大な腫瘍を認めた.生検にてKi-67指数が極めて高い低分化な腫瘍と診断され,腹会陰式直腸切断術を施行した.切除標本の病理組織検査では,腫瘍細胞の大部分に神経内分沁マーカーが免疫組織化学染色により検出されneuroendocrine carcinoma (NEC)と診断した.また,Somatostatin receptor type 2との強陽性反応が認められた.本例は全身化学療法が困難なため,オクトレオチドの効果を期待して術後補助療法としてオクトレオチド(LAR製剤30mg筋注4週毎に継続)を単独投与した.術後2年無再発生存中である.一般的に直腸NECは極めて予後不良であるが,オクトレオチドによる術後補助療法の有効性が示唆される症例を経験したので報告する.
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  • 宮原 悠三, 伊藤 誉, 鯉沼 広治, 宮倉 安幸, 堀江 久永, 佐田 尚宏
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1197-1201
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,男性.排便困難と肛門痛を主訴に近医を受診した.大腸内視鏡検査で下部直腸癌と診断され,当科を紹介受診.腹部CTで前立腺および肛門挙筋への浸潤,直腸周囲の膿瘍形成,側方リンパ節の腫脹を認めた.外来精査中にイレウスとなり,緊急で双孔式S状結腸人工肛門造設術を施行した.抗菌薬投与を行い炎症所見が消退した後,術前化学放射線療法(UFT 500mg/LV 75mg,総線量50.4Gy)を行い,腫瘍の著明な縮小を認め,骨盤内臓全摘術を施行した.術後に癒着性イレウスを発症したが保存的加療で軽快し,術後51日目に退院となった.切除標本では直腸病変は瘢痕化しており,病理組織学的検査では腫瘍細胞を認めず,化学放射線療法の効果はGrade3,病理学的完全奏効(pCR)と診断された.膿瘍形成を伴う高度進行直腸癌に対し術前化学放射線療法が奏効しpCRを得た症例を経験したので報告する.
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  • 井上 亨悦, 森川 孝則, 赤田 昌紀, 上野 達也, 海野 倫明, 内藤 広郎
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1202-1206
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡下肝嚢胞開窓術では嚢胞壁の胆管損傷による胆汁漏に注意が必要である.今回,indocyanine green(以下,ICG)蛍光法により術中胆道造影を行うことで,嚢胞壁の胆管の走行を確認し,安全に開窓術を施行しえた1症例を提示する.症例は80歳台,女性.今回,右側腹部膨満感を主訴に受診し,CTで肝右葉に巨大な肝嚢胞を認め,症状軽減のため肝嚢胞開窓術を予定した.腹腔鏡下に手術を開始し,ICG蛍光法を用いて嚢胞により圧排された胆管の損傷に留意しつつ腹腔鏡下肝嚢胞開窓術を施行した.ICG蛍光法は簡便であり,腹腔鏡下肝嚢胞開窓術において胆道損傷を予防する有用な手段と考えられた.
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  • 小林 展大, 神山 俊哉, 折茂 達也, 岡田 宏美, 横尾 英樹, 武冨 紹信
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1207-1211
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は62歳,男性.前医で増大傾向を示す多発性肝嚢胞に対し,嚢胞穿刺ドレナージ・エタノール注入を複数回施行されていた.その後,治療後の嚢胞が感染し,内科的治療に抵抗性となり,当科紹介となった.肝右葉の感染性肝嚢胞にはドレナージチューブが留置状態で,少量の血性排液が持続し,皮膚障害を合併していた.感染性肝嚢胞の診断で肝右葉切除術を施行し,ドレナージチューブを抜去することができた.術後経過は良好で退院した.感染性肝嚢胞の嚢胞壁は白色に肥厚しており,嚢胞内には充実性成分を認め,病理組織検査では嚢胞内と瘻孔に沿って腺癌の所見を認めた.多発性肝嚢胞に悪性腫瘍を合併したという報告は非常に少ないが,感染性嚢胞で長期的に軽快が得られない場合は,悪性腫瘍合併の可能性も念頭に置く必要がある.
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  • 大渕 佳祐, 神山 俊哉, 横尾 英樹, 折茂 達也, 若山 顕治, 武冨 紹信
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1212-1216
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    中肝静脈根部への浸潤を伴う大腸癌肝転移に対して,パッチ再建を行い,切除しえた2例を経験したので報告する.
    症例1は66歳,男性.肝S4の直腸癌同時性肝転移.中肝静脈浸潤を認めたが,術前化学療法による肝障害を考慮し,左葉切除および門脈左枝臍部を用いた中肝静脈パッチ再建を行った.術後7カ月のCTで中肝静脈の開存を確認した.症例2は75歳,男性.直腸癌同時性多発肝転移.術前化学療法後に原発巣を切除し,二期的に肝切除を予定した.肝S2/3を中心とした腫瘍が中肝静脈根部まで浸潤していたが,肝予備能低下を認め,肝拡大外側区域切除,肝S4・S6/7・S8部分切除,臍静脈を用いた中肝静脈パッチ再建術を行った.術後8カ月のCTで中肝静脈の血流を確認した.
    肝静脈根部に発生した大腸癌肝転移の肝切除における肝静脈再建は,根治性を保ちつつ,残肝うっ血容積の減少による有効残肝容積の確保に有用な方法である.
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  • 宋 智亨, 森本 芳和, 水野 均, 平尾 隆文, 山崎 芳郎
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1217-1222
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    胃十二指腸動脈より分枝する特異な右肝動脈分岐破格(aberrant right hepatic artery;ARHA)を伴った遠位胆管癌2例に対し,膵頭十二指腸切除術を施行した.症例1は66歳,男性.主訴は背部痛で,肝・胆道系機能の異常と胆管下部に腫瘤像を認めた.症例2は62歳,男性.主訴は心窩部痛で,閉塞性黄疸を認めた.2症例のCT検査は,胆管下部の腫瘍病変を描出し,3D血管構築画像により,共にARHAが胃十二指腸動脈より分岐する特異な走行変位を示した.遠位胆管癌2例に膵頭十二指腸切除術を施行し,ARHAは共に温存した.病期進行度は各々stage IAとstage IBで,R0切除であった.術後に胃停滞ならびに膵液瘻を認めたものの軽快退院し,それぞれ29,13カ月が経過し無再発生存中である.ARHA温存のためには慎重な術中操作と術前診断が肝要である.
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  • 神野 孝徳, 久留宮 康浩, 世古口 英, 小林 聡, 河合 清貴, 桐山 宗泰
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1223-1228
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,男性.鉄製の柵に上腹部を強打し当院に救急搬送された.腹部CTで膵頭部損傷を認めた.内視鏡的逆行性膵管造影(ERP)では造影剤の漏出は認めなかったが,膵管損傷を強く疑い内視鏡的経鼻膵管ドレナージ(ENPD)チューブを留置し保存的治療を行った.第2病日のENPD造影検査で膵頭部主膵管より造影剤の漏出を認めIIIb型膵損傷と診断したが,全身状態は安定していたため慎重に保存的治療を継続した.第25病日にENPDチューブを抜去し,内視鏡的逆行性膵管ドレナージ(ERPD)チューブに交換,チューブを留置したまま第36病日に退院となった.受傷3カ月後に造影剤の漏出のないことを確認しERPDチューブを抜去,その後再燃することなく受傷13カ月後に終診となった.
    IIIb型膵損傷に対し膵管ドレナージにより手術を回避できる症例が存在するため,その適応や治療方針に関し,今後さらなる症例の集積と検討が必要である.
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  • 水野 均, 畑中 信良, 森本 芳和, 平尾 隆文, 山崎 芳郎
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1229-1235
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は44歳,男性.2007年6月より右季肋部痛を自覚し,近医にて胆石症と診断され当院を受診.2003年頃より胆嚢結石を指摘されていたが,症状は認めず.肝胆道系酵素ならびに腫瘍マーカーは正常範囲であったが,膵内・外分泌機能に異常を認めた.画像検査は膵胆管合流異常を伴う胆嚢結石,総胆管結石および膵石を示し,下部胆管に狭窄を伴った腫瘍像を描出した.MRI所見では,膵体尾部の実質が広汎に脂肪置換しており,血管造影所見は背側膵動脈を描出した.膵体尾部の脂肪置換を伴った膵胆管合流異常に起因する膵石,総胆管結石症ならびに胆管腫瘍疑いに対し開腹術を施行した.術中胆道内視鏡および病理検査にて悪性所見を認めなかったため,膵切除は行わず.膵石および総胆管結石を除去後,総胆管切除と肝管空腸吻合術を施行した.術後の膵内・外分泌機能はともに改善し,術後8年が経過し腹部症状なく,良好に経過している.
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  • 横山 邦雄, 生田 肇, 西田 十紀人, 吉田 佐智子
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1236-1240
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,女性.特記すべき既往歴はない.2013年8月,検診の胸部X線写真にて両側肺炎様陰影を指摘され,喀痰培養,胸部CTにて非結核性抗酸菌症を疑われ,経過観察となった.その際,上腹部後腹膜腔に腫瘤影を認め,腹部造影CTにて,腹部大動脈左縁に左腎静脈下縁から骨盤腔まで連続する造影効果の乏しいリンパ節様腫瘤影を認めた.悪性リンパ腫を疑われ,開腹生検を施行した.病理結果にて孤立性神経線維腫と診断された.後日,後腹膜腫瘍摘出術を施行した.腫瘍の周囲臓器への浸潤は認めず,肉眼的遺残なく根治切除を行った.病理結果にて,悪性化所見を認めなかった.術後経過は良好であり,現在までに再発所見を認めていない.
    神経線維腫症1型を合併しない後腹膜孤立性神経線維腫は稀な疾患である.今回,われわれは後腹膜腔に発生した孤立性神経線維腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 林 憲吾, 小竹 優範, 羽田 匡宏, 加藤 洋介, 平沼 知加志, 原 拓央
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1241-1245
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    症例1は88歳,女性.イレウス症状で受診され,CTで左閉鎖孔ヘルニア嵌頓を認めた.絞扼所見はなく,US下に還納し待機的に手術を施行した,症例2は77歳,女性.腹痛を主訴に受診され,右閉鎖孔ヘルニア嵌頓を認めた.本症例も絞扼所見はなく,用手還納の後待機的に手術を行った.両例とも術中所見で両側閉鎖孔ヘルニアを認め,Paritex ProGripTM(Covidien)(以下ProGrip)を用いて腹腔鏡下両側閉鎖孔ヘルニア修復術を施行した.いずれも経過は良好で術後約1年が経過した現在,再発は認めていない.絞扼所見を認めない閉鎖孔ヘルニアは用手還納後の待機的手術が可能であり,またタッカーが不要なセルフグリップメッシュは,閉鎖神経や死冠への影響が懸念される同手術においても安全に施行できうると考えられる.
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  • 三浦 康誠, 筋師 健, 橋本 清利, 白畑 敦, 高坂 佳宏, 石田 康男
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1246-1250
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(totally extraperitoneal inguinal hernia repair:TEP法)後,腹膜欠損部に小腸が嵌入し,イレウスを発症した1例を経験した.患者は84歳,男性.右鼠径ヘルニアに対し,腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術を施行した.後3日目にイレウスを発症し,CT検査にて腹膜前腔に腸管の脱出を認め,イレウス管を挿入し,減圧を行った.術後4日目に腹痛を認め,症状改善ないため再手術を行った.鏡視下で腹腔内を観察したところ,腹膜欠損部より腹膜前腔に小腸が嵌入し,一部に軽度の血流障害を認めた.腹膜欠損部は5cm程度に拡大しており,腹膜を縫合閉鎖し,手術を終了した.腹膜欠損部は当初は1cm程度であったが,本症例のように術後腸管が嵌入する可能性があるため,予め腹膜欠損部が生じた場合は可及的に縫合閉鎖する必要があると考えられた.
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  • 長谷部 圭史, 平松 聖史, 雨宮 剛, 後藤 秀成, 関 崇, 新井 利幸
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1251-1254
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は,42歳,女性.左鼠径部腫瘤を主訴に当科を受診した.触診にて左鼠径部に弾性軟な,可動性のやや乏しい腫瘤を認めた.悪性の可能性を考え,画像診断を行うこととした.CT検査にて左鼠径部に境界明瞭な径6cm大の類円形の皮下腫瘤像を認めた.CT値は脂肪濃度に近似していた.MRI検査ではT1・T2ともに高信号を呈し,内部には索状構造が認められた.腫瘍は増大傾向を認め,脂肪肉腫と臨床診断し,腫瘍摘出術を施行した.腫瘍はマージンを確保するように一塊に切除・摘出した.摘出標本の病理組織診では成熟した脂肪細胞と平滑筋細胞の増生が認められたが,悪性所見は認めずmyolipomaと診断した.Myolipomaはまれな腫瘍である.この,まれな症例につき文献的考察を加え報告する.
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  • 神谷 真梨子, 白井 順也, 鈴木 喜裕, 羽鳥 慎祐, 米山 克也, 益田 宗孝
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1255-1260
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,男性.右下腹部痛,発熱を主訴に来院し,上行結腸憩室炎の診断で経過観察とされた.2日後に右鼠径部の膨隆が出現,発赤を伴う手拳大の有痛性腫瘤を触知した.炎症反応の上昇と,造影CT検査で右鼠径部に腸管脱出を疑う所見を認め,右鼠径ヘルニア嵌頓の診断で緊急手術を施行した.腹腔鏡で観察し,右大腿部に5mmのヘルニア門を認めたが,腹腔内臓器の脱出は認めず,黄色混濁した液体が少量流出した.鼠径法に切り替えると,大腿ヘルニアで,腫瘤は肥厚したヘルニア嚢であったので,高位結紮の上,嚢を切除,大腿輪にメッシュプラグを挿入した.病理学的検査では,腹膜の炎症性肥厚と好中球浸潤を認め,大腿ヘルニア膿瘍と診断.術後28病日にメッシュ感染をきたし,切開排膿とメッシュ除去手術を行った.上行結腸憩室炎から波及したと考えられた,大腿ヘルニア膿瘍という稀な1例を経験した.
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  • 千田 匡
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1261-1264
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は79歳,女性.慢性骨髄増殖症候群のため抗血小板剤を内服中であった.前日より腹痛と嘔気があり,当院を受診し入院となった.CTにて骨盤腔を占め腹直筋に及ぶ巨大血腫を認め,貧血と血圧低下のため腹腔内出血の診断で緊急手術を施行した.左下腹壁動脈の断裂による出血を認めたことから,骨盤内にまで波及した腹直筋血腫と診断,結紮止血と血腫除去を施行した.術後出血性胃潰瘍を併発したものの保存的治療にて改善し退院となった.今後,社会の高齢化と抗血栓療法患者の増加により,腹直筋血腫の患者の増加が予測され,十分考慮に入れるべき疾患だと思われる.
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  • 遠迫 孝昭, 窪田 寿子, 村上 陽昭, 東田 正陽, 松本 英男, 平井 敏弘
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1265-1270
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    開腹手術を行い,Burkittリンパ腫と診断された3例を経験したので報告する.症例1は54歳の男性で,1週間前から増悪する腰痛・乏尿を認め,緊急開腹術を行った.回腸末端に腫瘤形成を認めたため,これを切除し人工肛門を造設した.Burkittリンパ腫と診断され,化学療法を行い寛解した.症例2は72歳の女性で,1カ月前から持続する発熱と背部痛を自覚し,当院を受診した.胃内に多発潰瘍性病変を認め,潰瘍からの出血がコントロール困難であったため,緊急で胃切除術を施行した.Burkittリンパ腫と診断され,化学療法を行ったが骨髄浸潤を認め,術後30日目に死亡した.症例3は82歳の男性で,1週間前から腹痛・腹部膨満を自覚するようになり虫垂炎が疑われ,緊急手術を行った.虫垂は腫大し,先端は大網と癒着し腫瘤を形成していたため,虫垂と大網を合併切除した.Burkittリンパ腫と診断され化学療法を行い寛解した.
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  • 梅田 健二, 神代 竜一, 平林 康宏, 板東 登志雄, 宇都宮 徹
    77 巻 (2016) 5 号 p. 1271-1276
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は44歳,男性.筋強直性ジストロフィー症にて通院中であった.悪性腫瘍のスクリーニング目的に造影CT検査を施行したところ,胃および上行結腸に壁肥厚を認めた.上部消化管内視鏡検査で胃角部小弯前壁に0-IIc病変を認めた.また,下部消化管内視鏡検査で上行結腸に1型腫瘤を認め,生検でいずれもGroup Vであった.両病変に対して一期的に腹腔鏡下幽門側胃切除および腹腔鏡下右結腸切除術を施行した.麻酔は完全静脈麻酔で行った.手術終了後抜管は可能であった.術後合併症は特に認めず,術後第10病日に退院となった.筋強直性ジストロフィー患者に合併した胃癌・大腸癌の重複癌に対して腹腔鏡下手術を施行した稀な症例と考えられたので,文献的考察を加えて報告する.
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